撮像装置、制御方法、及びプログラム
【課題】撮影者の期待通りの露出となる確率をより高めることを可能とした撮像装置、制御方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】カメラは、制御部41を有するカメラ本体1、交換レンズ2、フラッシュ装置3を備える。制御部41は、プリ発光直前の輝度値とプリ発光時の輝度値との比が最大の測光エリアにおける基準値BaseRを抽出する対象となる測光エリアを限定する係数を、露光動作に先立ち信号処理回路43により得た顔位置情報に応じて設定する。制御部41は、設定された係数に応じて抽出された基準値BaseRと、プリ発光直前の輝度値とプリ発光時の輝度値との比の値とを比較し、比較結果に基づき露光動作時の発光部34の発光量を演算する。
【解決手段】カメラは、制御部41を有するカメラ本体1、交換レンズ2、フラッシュ装置3を備える。制御部41は、プリ発光直前の輝度値とプリ発光時の輝度値との比が最大の測光エリアにおける基準値BaseRを抽出する対象となる測光エリアを限定する係数を、露光動作に先立ち信号処理回路43により得た顔位置情報に応じて設定する。制御部41は、設定された係数に応じて抽出された基準値BaseRと、プリ発光直前の輝度値とプリ発光時の輝度値との比の値とを比較し、比較結果に基づき露光動作時の発光部34の発光量を演算する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラッシュ発光による撮影が可能な撮像装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置(カメラ、デジタルスチルカメラ)でフラッシュ撮影を行う際のフラッシュ発光制御に関する各種の技術が提案されているが、その中でも特に次の方式の提案が多い。露光動作に先立ってフラッシュのプリ発光(予備発光)を行い、プリ発光による被写体の反射光を撮像画面(ファインダまたはディスプレイにより観察される被写体画像)内の複数に分割された領域毎に測光して本発光量を決定する方式である。これは、分割された領域毎の測光結果により所定のアルゴリズムにより本発光量を決めることで、様々な撮影シーンに対して適切な発光量を決定できるからである。
【0003】
上記のフラッシュ発光制御に関しては、安定して適切な露光量が得られるように以下のような撮像方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。まず、プリ発光が行われる直前の各測光エリアの測光値P(i)と、プリ発光が行われている時の各測光エリアの測光値H(i)との比R(i)を、測光エリア毎に演算する。得られたR(i)の中で最大のものを基準値baseRとして抽出し、基準値baseRと各測光エリアのR(i)の値を比較して各測光エリアに対する重み付け係数W(i)を決定する。次に、重み付け係数W(i)に従って各測光エリアのプリ発光時の反射光量を重み付け平均して得られた重み付け平均結果により、本発光量を演算する。
【0004】
また、被写体の輝度が十分ではない場合でも人物顔領域を検出して良好な露出を得るために以下のような撮像方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。まず、プリ発光により撮像した画像を基に画像内に人物の顔領域が存在するかどうかを検出する。次に、検出された顔領域に応じて調光領域を決定し、この決定された調光領域によるプリ発光時の測光値に応じて本発光量を演算する。
【特許文献1】特開2005−275265号公報
【特許文献2】特開2005−184508号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術によれば、多くの撮影シーンで安定した露出が得られると共に、同一の撮影シーンを少しだけ構図の変更を行って撮影した場合でも露出の変化が少ない撮像結果が得られる。しかし、経験則的に各測光エリアのうち所定条件を満たすR(i)の中で最大のものを主被写体エリアと見なし、そのエリアの反射光量から基準値baseRを抽出している。そのため、撮像画面内で比較的近距離に存在するもの或いは反射率が高めのものに、重み付け係数W(i)が大きくなる傾向が高い。従って、もしも本当の主被写体が上記所定条件に当てはまっていなかった場合には、撮影者の期待通りの露出とならない場合がある。
【0006】
また、特許文献2に記載の技術によれば、主被写体が人物であり且つその人物の顔が確実に検出されている場合には、良好な露出となる可能性が高くなる。しかし、撮像画面に占める顔領域の大きさに対してプリ発光時の反射光の測光を行うセンサの分解能が十分でないような場合には、次の問題が発生する。顔領域だけを調光領域として本発光量を決定しようとしても、人物の背景など他の領域の影響を除外できなくなり露出が良好でなくなる場合がある。
【0007】
本発明の目的は、撮影者の期待通りの露出となる確率をより高めることを可能とした撮像装置、制御方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明は、被写体に対して発光を行う発光手段を用いた撮影が可能な撮像装置において、複数に分割された測光領域を有し、各測光領域の被写体輝度を測光する測光手段と、露光動作に先立ち被写体に含まれる人物の顔を検出し顔情報を得る検出手段と、前記発光手段による予備発光動作の前に前記測光手段により測光された第1の輝度値と、前記発光手段による予備発光動作中に前記測光手段により測光された第2の輝度値との比を、各測光領域について演算する第1の演算手段と、前記第1の演算手段により演算された各測光領域における前記第1の輝度値と前記第2の輝度値との比の中から基準となる比の値を抽出する抽出手段と、前記抽出手段により前記基準となる比の値を抽出する対象となる測光領域を限定する係数を、前記検出手段から入力された顔情報に応じて設定する設定手段と、前記設定手段により設定された係数に応じて前記抽出手段により抽出された前記基準となる比の値と、前記第1の演算手段により演算された各測光領域の比の値とを比較し、比較した結果に基づいて露光動作時の前記発光手段の発光量を演算する第2の演算手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、設定された係数に応じて抽出された基準となる比の値と、演算された各測光領域の比の値とを比較し、比較結果から露光動作時の発光量を演算する。これにより、撮影者の期待通りの露出となる確率をより高めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置としてのカメラ本体、交換レンズ、フラッシュ装置の内部構成を示す構成図である。
【0012】
図1において、カメラは、レンズ交換が可能ないわゆる一眼レフタイプであり、カメラ本体1に対して交換レンズ2とフラッシュ装置3が着脱可能に構成されている。カメラ本体1は、メカニカルシャッタ(以下シャッタ)10、ローパスフィルタ11、撮像素子12、主ミラー13、第1の反射ミラー14、第2の反射ミラー16、赤外カットフィルタ17、絞り18を備えている。更に、カメラ本体1は、2次結像レンズ19、焦点検出用センサ20、ピント板21、ペンタプリズム22、接眼レンズ23、第3の反射ミラー24、集光レンズ25、測光用センサ26を備えている。
【0013】
撮像素子12は、エリアの蓄積型光電変換素子(例えばCMOSやCCD)から構成されている。主ミラー13は、半透過性の主ミラーである。主ミラー13と第1の反射ミラー14は、ともに撮影時には駆動機構(不図示)により図示の位置から上方に跳ね上げられる。近軸的結像面15は、第1の反射ミラー14による撮像素子12の撮像面と共役な結像面を例示したものである。絞り18は、2つの開口部を有する。
【0014】
焦点検出用センサ20は、エリアの蓄積型光電変換素子(例えばCMOSやCCD)から構成されており、図2に示すように2つのエリアにそれぞれ配置された受光センサ部20A、受光センサ部20Bを備えている。受光センサ部20A、受光センサ部20Bは、絞り18の2つの開口部にそれぞれ対応しており、多数の区画に分割されている。また、焦点検出用センサ20は、受光センサ部20A、受光センサ部20Bに加えて、信号蓄積部や信号処理用の周辺回路等が同一チップ上に集積回路として作り込まれている。
【0015】
上記の第1の反射ミラー14から焦点検出用センサ20までの構成は、例えば特開平9−184965号公報に詳細に記載されているように、撮像画面内の任意の位置での像ずれ方式での焦点検出を可能とするものである。
【0016】
測光用センサ26(測光手段)は、例えばシリコンフォトダイオード等の光電変換素子から構成されており、被写体の輝度に関する情報を得るためのセンサである。測光用センサ26は、図3に示すように格子状に複数に分割された受光センサ部26Aを備えており、撮像画面の略全体を視野としている。受光センサ部26Aは、本実施の形態では受光視野内が7列×5行の35分割されている。35分割された各受光部をPD1〜PD35と表記する。測光用センサ26は、受光センサ部26Aに加えて、信号増幅部や信号処理用の周辺回路等が同一チップ上に集積回路として作り込まれている。
【0017】
上記のピント板21、ペンタプリズム22、接眼レンズ23によりファインダ光学系が構成される。測光用センサ26には、主ミラー13により反射されてピント板21により拡散された光線のうち光軸外の一部が入射する。
【0018】
図4は、焦点検出用センサ20による撮像画面内の焦点検出位置と35分割された測光用センサ26との対応位置関係を示す図である。本実施の形態では、撮像画面内の例えば3つの焦点検出位置S0〜S2で焦点検出を行う。焦点検出位置S0は、測光用センサ26の受光部PD18に対応する。焦点検出位置S1は、測光用センサ26の受光部PD16に対応する。焦点検出位置S2は、測光用センサ26の受光部PD20に対応する。尚、測光用センサ26における受光センサ部26Aの分割数35と、3つの焦点検出位置S0〜S2は一例であり、これに限定されるものではない。
【0019】
図1の説明に戻る。カメラ本体1において、マウント部27は、カメラ本体1に交換レンズ2を取り付けるための部材である。接点部28は、カメラ本体1と交換レンズ2との間の情報通信に用いられる。接続部29は、カメラ本体1にフラッシュ装置3を取り付けるための部材である。
【0020】
交換レンズ2は、撮影レンズを構成する光学レンズ30a〜30e、絞り31、カメラ本体1と情報通信を行うための接点部32、交換レンズ2をカメラ本体1に取り付けるためのマウント部33を備えている。フラッシュ装置3は、発光部(本例ではキセノン管)34、反射笠35、集光用のフレネルレンズ36、発光部34の発光量を検出する発光量センサ(モニタセンサ)37、フラッシュ装置3をカメラ本体1に取り付けるための取付部38を備えている。
【0021】
図5は、カメラ本体、交換レンズ、フラッシュ装置の電気回路の構成例を示すブロック図である。
【0022】
図5において、カメラ本体1は、更に、制御部41、シャッタ駆動部42、信号処理回路43、記憶部44、第1のモータドライバ45、第1のモータ46、表示器47、レリーズスイッチ48、ライブビュー開始スイッチ49、記憶部50を備えている。
【0023】
制御部41(第1の演算手段、第2の演算手段、抽出手段、設定手段)は、カメラ全体の制御を行う。制御部41は、A/Dコンバータ41a、タイマ41b、演算論理ユニット(ALU)41c、ROM41d、RAM41e、シリアル通信ポート(SPI)41f等を内蔵したワンチップマイクロコンピュータから構成されている。また、制御部41は、ROM41dに格納されたプログラムに基づき図6a、図6b、図7の各フローチャートに示す処理を実行する。ROM41dには、後述のLVL0決定用テーブル(図8)、W(i)値決定用テーブル(図10)が格納されている。
【0024】
シャッタ10、撮像素子12、焦点検出用センサ20、測光用センサ26は、図1等に図示したものと同一である。焦点検出用センサ20及び測光用センサ26の出力信号は、制御部41のA/Dコンバータ41aの入力端子に入力される。シャッタ駆動部42は、制御部41の出力端子に接続されており、シャッタ10を駆動する。
【0025】
信号処理回路43(検出手段)は、制御部41の指示に従って撮像素子12を制御し、撮像素子12から出力される撮像信号をA/D変換しながら入力して信号処理を行い、画像信号を得る。また、信号処理回路43は、得られた画像信号から被写体(人間)の目・口といった特徴を抽出して人間の顔を検出し顔情報(顔位置情報、顔大きさ情報)として得る顔検出機能も有する。また、信号処理回路43は、得られた画像信号を記憶部50に記録するに際して圧縮等の必要な画像処理を行う。
【0026】
記憶部44は、例えばDRAMとして構成されており、信号処理回路43が種々の信号処理を行う際のワーク用メモリとして使われたり、表示器47に画像を表示する際のVRAMとして使われたりする。第1のモータドライバ45は、制御部41の出力端子に接続されており、制御部41の制御に基づき主ミラー13及び第1の反射ミラー14のアップ/ダウンと、シャッタ10のチャージ(シャッタ10を初期位置に戻す動作)を行う。表示器47は、液晶パネルから構成されており、制御部41により点灯が制御されることで各種の撮像画像等を表示する。
【0027】
レリーズスイッチ48は、撮影の際に操作者により操作される。ライブビュー開始スイッチ49は、ライブビュー機能(撮像素子12により撮像されるスルー画像を表示器47にリアルタイムで表示しながら構図確認やピント合わせを行う機能)を開始させる際に操作される。記憶部50は、例えばフラッシュメモリまたは光ディスクとして構成されており、撮像された画像信号を記憶する。
【0028】
接点部28は、交換レンズ2の接点部32と接触されるものであり、制御部41のシリアル通信ポート41fを経由する入出力信号が接続される。これにより、カメラ本体1と交換レンズ2との間の情報通信が可能となっている。接続部29は、フラッシュ装置3の接続部38と接続されるものであり、制御部41のシリアル通信ポート41fを経由する入出力信号が接続される。これにより、カメラ本体1とフラッシュ装置3との間の情報通信が可能となっている。
【0029】
交換レンズ2は、更に、レンズ制御部51、第2のモータドライバ52、第2のモータ53、第3のモータドライバ54、第3のモータ55、距離エンコーダ56、ズームエンコーダ57を備えている。レンズ制御部51は、シリアル通信ポート(SPI)51a、演算論理ユニット(ALU)51b、ROM51c、RAM51d、タイマ51e等を内蔵したワンチップマイクロコンピュータから構成されている。
【0030】
第2のモータドライバ52は、レンズ制御部51の出力端子に接続されており、レンズ制御部51の制御に基づき焦点調節を行うための第2のモータ53を駆動する。第3のモータドライバ54は、レンズ制御部51の出力端子に接続されており、レンズ制御部51の制御に基づき絞り31の制御を行うための第3のモータ55を駆動する。
【0031】
距離エンコーダ56は、レンズ制御部51の入力端子に接続されており、交換レンズ2内の焦点調節レンズの繰り出し量、即ち被写体距離に関する情報を測定する。ズームエンコーダ57は、レンズ制御部51の入力端子に接続されており、交換レンズ2がズームレンズである場合に撮影時の焦点距離情報を測定する。接点部32は、レンズ制御部51のシリアル通信ポート51aを経由する入出力信号が接続される。
【0032】
交換レンズ2がカメラ本体1に装着されると、それぞれの接点部32と接点部28とが接続される結果、交換レンズ2のレンズ制御部51は、カメラ本体1の制御部41とのデータ通信が可能となる。カメラ本体1の制御部41が必要とする情報は、レンズ制御部51から制御部41へデータ通信により出力される。前記情報には、焦点検出や露出演算を行うために必要なレンズ固有の光学的な情報、距離エンコーダ56で測定された被写体距離に関する情報、ズームエンコーダ57で測定された焦点距離情報を含む。
【0033】
また、カメラ本体1の制御部41で処理された情報は、制御部41からレンズ制御部51へデータ通信により出力される。前記情報には、制御部41が焦点検出や露出演算を行った結果求められた焦点調節情報、絞り情報を含む。レンズ制御部51は、カメラ本体1の制御部41から出力された焦点調節情報に従って第2のモータドライバ52を制御し、絞り情報に従って第3のモータドライバ54を制御する。
【0034】
フラッシュ装置3は、更に、フラッシュ制御部61、昇圧部62を備えている。発光部34及び発光量センサ37は、図1に図示したものと同一である。フラッシュ制御部61は、演算論理ユニット(ALU)、ROM、RAM、A/Dコンバータ、シリアル通信ポート(SPI)(以上不図示)等を内蔵したワンチップマイクロコンピュータから構成されている。昇圧部62は、発光部34の発光に必要な300V程度の高圧電圧を作りその高圧電圧を充電する機能を有する。
【0035】
フラッシュ装置3がカメラ本体1に装着されると、それぞれの接続部38と接続部29とが接続される結果、フラッシュ装置3のフラッシュ制御部61は、カメラ本体1の制御部41とのデータ通信が可能となる。フラッシュ制御部61は、カメラ本体1の制御部41からの通信内容に従って昇圧部62を制御することで発光部34の発光開始/発光停止を行うと共に、発光量センサ37の検出量をカメラ本体1の制御部41に対して出力する。
【0036】
次に、上記構成を有する本実施の形態のカメラの動作について図6a〜図10を参照しながら説明する。
【0037】
図6a、図6bは、カメラにおける本発明に関わる具体的な動作シーケンスを示すフローチャートである。
【0038】
図6a、図6bにおいて、カメラの電源スイッチ(不図示)が操作者によりオンされると、カメラ本体1の制御部41が動作可能となり本処理が開始される。
【0039】
ステップS101において、制御部41は、フラッシュ装置3のフラッシュ制御部61と通信を行い、昇圧部62を動作させて発光部34(フラッシュ)の発光に十分な高圧電圧を発生するための充電を行うように指示する。
【0040】
次にステップS102において、制御部41は、交換レンズ2のレンズ制御部51と通信を行い、測距や測光に必要な交換レンズ2を構成する各種レンズの情報を得る。
【0041】
次にステップS103において、制御部41は、ライブビュー開始スイッチ(LVSW)49が操作者によりオンされているかどうかをチェックする。ライブビュー開始スイッチ49がオンされていない場合は、ステップS104へ進む。
【0042】
次にステップS104において、制御部41は、前回の撮影時においてRAM41eに記憶された撮像画面における人物被写体の顔の位置の座標を示す顔位置情報及び人物被写体の顔の大きさを示す顔大きさ情報をクリアする。その理由は、顔位置情報及び顔大きさ情報はライブビュー開始スイッチ49がオンされてライブビュー動作が開始された場合に有効な情報となるが、そうでない場合は意味を持たないためである。
【0043】
次にステップS105において、制御部41は、焦点検出用センサ20に対して制御信号を出力し、焦点検出用センサ20における焦点検出に伴う信号蓄積部に対する信号の蓄積を行う。制御部41は、信号の蓄積が終了すると、焦点検出用センサ20の信号蓄積部に蓄積された信号を読み出しながらA/D変換を行う。更に、制御部41は、A/D変換された各デジタルデータに対してシェーディング補正等の必要な各種のデータ補正を行う。
【0044】
次にステップS106において、制御部41は、焦点検出を行うために必要なレンズ情報等をレンズ制御部51から入力し、レンズ情報と焦点検出用センサ20から得られているデジタルデータを基に撮像画面各部の焦点状態を演算する。更に、制御部41は、撮像画面内の焦点を合わせるべき領域を焦点検出位置S0〜S2(図4)の中から決定する。操作者により予め操作部材等により指定されている領域があるならばそれに従っても良い。制御部41は、決定された領域における焦点状態に従って合焦となるためのレンズ移動量を算出し、算出されたレンズ移動量をレンズ制御部51に出力する。
【0045】
レンズ制御部51は、レンズ移動量に従って焦点調節用レンズを駆動するように第2のモータドライバ52に駆動信号を出力することで、第2のモータ53を駆動する。これにより、撮影レンズは被写体に対して合焦状態となる。焦点調節用レンズを駆動することで距離エンコーダ56により測定される情報が変化するので、各種レンズの情報の更新も行う。
【0046】
次にステップS107において、制御部41は、測光用センサ26から35分割された各受光部PD1〜PD35(図3)の信号を読み出しながらA/D変換を行い、撮像画面各部の輝度情報を入力する。更に、制御部41は、必要なレンズ情報等をレンズ制御部51から入力し、撮像画面各部の輝度情報の補正を行い、測光用センサ26の各受光部毎の被写体輝度情報を得る。
【0047】
次にステップS108において、制御部41は、得られた測光用センサ26の各受光部毎の被写体輝度情報から、焦点検出用センサ20による焦点検出部分に対応した測光用センサ26の各受光部の輝度情報に重み付けを置いて撮像画面全体の輝度を算出する。制御部41は、このようにして算出された撮像画面全体の輝度情報に基づいて撮影に適する撮像素子12の電荷蓄積時間(即ちシャッタ速度)と絞り値を規定のプログラム線図(不図示)から決定し、表示器47に表示する。シャッタ速度または絞り値の一方が予めプリセットされている場合は、そのプリセット値と組み合わせて良好な露出となる他方の因子を決定する。
【0048】
尚、決定されたシャッタ速度と絞り値とのアペックス値に基づく露出値をEVTと呼ぶこととする。露出値EVTは下記の式で表される。
【0049】
EVT=Tv+Av
ここで、Tvはシャッタ速度のアペックス値、Avは絞り値のアペックス値である。
【0050】
次にステップS109において、制御部41は、レリーズスイッチ48が操作者によりオンされるのを待つ。レリーズスイッチ48がオンされていない場合は、ステップS102に戻る。レリーズスイッチ48がオンされた場合は、ステップS117に進む。
【0051】
他方、上記ステップS103でライブビュー開始スイッチ49がオンされている場合は、ステップS110へ進む。ステップS110において、制御部41は、第1のモータドライバ45に制御信号を出力することで第1のモータ46を駆動し、主ミラー13及び第1の反射ミラー14を上方に跳ね上げる。
【0052】
次にステップS111において、制御部41は、シャッタ駆動部42に対して制御信号を出力することでシャッタ10を開放状態とする。これにより、撮像素子12には撮影レンズからの光線が入射して撮像が可能となる。続いて、制御部41は、撮像素子12により撮像動作を行うように信号処理回路43に対して指示を出す。制御部41は、撮像動作が開始されると、得られた撮像画像を表示器47に表示するように制御する。こうしてライブビュー動作が開始される。
【0053】
次にステップS112において、制御部41は、表示器47に表示されるライブビュー画像の明るさや色合いが適切なものとなるように、撮像された画像データから露出(AE)制御やホワイトバランス(WB)制御のためのデータを入手する。更に、制御部41は、入手したデータを基に撮像素子12の電荷蓄積時間や色処理の補正を行う。露出制御用のデータからは本撮像時の露出値EVTも演算される。必要に応じてシャッタ速度や絞り値といった露出制御データもステップS108と同様に演算される。
【0054】
次にステップS113において、制御部41は、信号処理回路43により撮像画像から顔検出処理を行う。顔検出処理では、特開2005−184508号公報に記載されているように、画像データの中から目と口の特徴エッジを抽出して人物の顔位置を検知し、更に目と口を包含する輪郭を検出し、その重心位置を求めると共に輪郭内の領域の輝度を算出する。更に、算出された重心位置に基づいて撮像画面内の顔位置情報を求め、輪郭情報から顔大きさ情報を求める。
【0055】
次にステップS114において、制御部41は、信号処理回路43で求められた顔位置情報及び顔大きさ情報を入手し、RAM41eに格納する。尚、顔位置情報は、撮像画面内の例えば中央或いは左上端といった所定のポイントを原点としたx座標、y座標のようなもので良い。また、顔大きさ情報は、顔領域が広がる範囲を示すデータとして、顔位置情報を中心とした円の半径を表すデータ或いは正方形の一辺の長さデータといったもので良い。
【0056】
次にステップS115において、制御部41は、レリーズスイッチ48が操作者によりオンされるのを待つ。レリーズスイッチ48がオンされていない場合は、ステップS112に戻り、ステップS112〜ステップS114の処理を繰り返す。レリーズスイッチ48がオンされている場合は、ステップS116に進む。
【0057】
次にステップS116において、制御部41は、シャッタ駆動部42に対して制御信号を出力することでシャッタ10を閉じてライブビュー動作を終了する。続いて、制御部41は、第1のモータドライバ45に制御信号を出力することで第1のモータ46を駆動し、主ミラー13及び第1の反射ミラー14を跳ね上げ状態から一度ダウンさせると共にシャッタ10をチャージする。
【0058】
次にステップS117において、制御部41は、測光用センサ26から35分割された各受光部PD1〜PD35の信号を読み出しながらA/D変換を行い、撮像画面各部のプリ発光(予備発光)直前の輝度情報を入力する。ここで、測光用センサ26の各受光部毎のプリ発光直前の輝度情報(輝度値)をP(i)と呼ぶこととする。続いて、制御部41は、フラッシュ制御部61と通信を行い、発光部34(フラッシュ)のプリ発光を指示する。
【0059】
これにより、フラッシュ制御部61は、発光量センサ37の出力信号に基づき発光部34が予め設定されたプリ発光量だけ発光するように発光部34を発光させる。このプリ発光が行われている間の被写体の輝度情報を得るために、制御部41は、測光用センサ26から35分割された各受光部PD1〜PD35の信号を読み出しながらA/D変換を行い、撮像画面各部のプリ発光時輝度情報を入力する。ここで、測光用センサ26の各受光部毎のプリ発光時の輝度情報(輝度値)をH(i)と呼ぶこととする。尚、ここでiは35分割された各受光部に対応した1〜35のことである。
【0060】
次にステップS118において、制御部41は、発光部34(フラッシュ)の本発光量(本発光ゲイン)を決定する演算を行う。具体的な演算処理については図7のフローチャートを用いて後述する。
【0061】
次にステップS119において、制御部41は、第1のモータドライバ45に制御信号を出力することで第1のモータ46を駆動し、主ミラー13及び第1の反射ミラー14を上方に跳ね上げる。続いて、制御部41は、上記ステップS107にて演算された絞り値情報を交換レンズ2のレンズ制御部51に対して出力する。
【0062】
レンズ制御部51は、絞り値情報に従って絞り31を駆動するように第3のモータドライバ54に制御信号を出力することで第3のモータ55を駆動する。これにより、撮影レンズは絞り込み状態となる。
【0063】
次にステップS120において、制御部41は、シャッタ駆動部42に対して制御信号を出力することでシャッタ10を開放状態とする。これにより、撮像素子12には撮影レンズからの光線が入射して撮像が可能となる。続いて、制御部41は、上記ステップS107にて演算されたシャッタ時間に従って撮像素子12の電荷蓄積時間を設定して撮像素子12により撮像を行うように、信号処理回路43に対して指示を出す。また、制御部41は、撮像タイミングに同期してフラッシュ装置3のフラッシュ制御部61に対して発光部34(フラッシュ)の発光指示を与える。
【0064】
フラッシュ制御部61は、発光指示に従って、上記ステップS118にて演算された本発光量(本発光ゲイン)に対応する発光量となるように、発光量センサ37の出力信号に基づき発光部34を発光させる。これにより、フラッシュ発光を伴った撮像が行われる。撮像が終了すると、制御部41は、シャッタ駆動部42に対して制御信号を出力することでシャッタ10を遮光状態とする。これにより、撮像素子12に対する撮影レンズからの光線が遮断される。
【0065】
次にステップS121において、制御部41は、交換レンズ2のレンズ制御部51に対して絞り31を開放するように情報を出力する。レンズ制御部51は、この情報に従って絞り31を駆動するように第3のモータドライバ54に制御信号を出力することで第3のモータ55を駆動する。これにより、撮影レンズは絞り開放状態となる。更に、制御部41は、第1のモータドライバ45に制御信号を出力することで第1のモータ46を駆動し、主ミラー13及び第1の反射ミラー14をダウンさせる。
【0066】
次にステップS122において、制御部41は、撮像画像情報を撮像素子12からA/D変換しながら読み出し、必要な補正処理や補間処理を行うように信号処理回路43に対して指示を出す。
【0067】
次にステップS123において、制御部41は、信号処理回路43に対して指示を出して撮像画像情報に対してホワイトバランス調整を行う。具体的には、撮像画像情報において1画面内を複数に分割し、各領域毎の色差信号から被写体の白色領域を抽出する。更に、抽出された白色領域の信号に基づいて撮像画面全体の赤チャンネル及び青チャンネルのゲイン補正を行いホワイトバランス調整を行う。
【0068】
次にステップS124において、制御部41は、ホワイトバランス調整が行われた撮像画像情報を記録ファイルフォーマットに圧縮変換して記憶部44に記憶するように信号処理回路43に対して指示を出す。ステップS101〜124で一連の撮影シーケンスが終了する。
【0069】
次に、上記図6bのステップS118で行う発光部34(フラッシュ)の本発光量(本発光ゲイン)を決定する演算処理について図7のフローチャートに従って説明する。
【0070】
図7は、発光部の本発光量(本発光ゲイン)を決定する演算処理の詳細を示すフローチャートである。
【0071】
図7において、ステップS151では、制御部41は、測光用センサ26の各測光エリア(測光領域)毎にプリ発光直前の輝度値P(i)とプリ発光時の輝度値H(i)とから、プリ発光時の反射光分のみの輝度値(被写体反射光量)D(i)を算出する。プリ発光直前の輝度値P(i)とプリ発光時の輝度値H(i)とはそれぞれ圧縮系での値であるため、下式で示すようにP(i)とH(i)とのべき乗をとって伸長させてから差分をとり、差分値を対数圧縮する演算を行う。
【0072】
D(i)=log2(2H(i)−2P(i))
ここで、iは35分割された測光用センサ26の各受光部(測光エリア)に対応した1〜35のことである。
【0073】
次にステップS152において、制御部41は、測光用センサ26の各測光エリア毎にプリ発光直前の輝度値P(i)とプリ発光時の輝度値H(i)とから、下式で示すように輝度値の比R(i)を演算する。
【0074】
R(i)=H(i)−P(i)
プリ発光直前の輝度値P(i)とプリ発光時の輝度値H(i)とはそれぞれ圧縮系での値であるため、この差分をとることは輝度値の比をとることと等価である。
【0075】
輝度値の比を求める理由は、特開2005−275265号公報に記載されているように、35分割された測光用センサ26の各測光エリアにおいて輝度値の比の値が一致する測光エリアは被写体までの距離が一致する測光エリアとみなせることによる。
【0076】
次にステップS153において、制御部41は、被写体の距離に関する情報から下式で示すように所定値LVL0及びLVL1を演算する。LVL0は、上記ステップS102或いはステップS106にてレンズ制御部51から得られる距離エンコーダ56の情報(被写体までの物体距離に関する距離情報D)と、プリ発光時の発光光量に関する情報C2とから、次のように計算する。即ち、その距離における標準的な反射率の被写体の場合の反射輝度を考慮して計算する。
【0077】
LVL0は、距離情報Dでの標準的な反射率の被写体の反射輝度よりも少し高くなるように決める。これは、距離情報Dが実際は多少の誤差を持つことを考慮して、その誤差分の程度だけLVL0を高くしておき、実際の標準的な反射率の被写体におけるプリ発光時の反射光がLVL0よりも高くならないようにするためである。
【0078】
LVL0=−log2(D)×2+C2
一方、LVL1は、LVL0に対してC3を減じて決定される。C3は実際の標準的な反射率の被写体のプリ発光時の反射光がLVL1を下回らないように、距離情報Dの誤差等を考慮して決定される。
【0079】
LVL1=LVL0−C3
このように、距離情報Dから通常は被写体のプリ発光時の反射光は所定値LVL0とLVL1の間に入る前提で以下のフラッシュ本発光量を決定するための演算が行われる。
【0080】
尚、レンズ交換可能な一眼レフタイプのカメラの場合には、カメラ本体に装着されたレンズによっては距離エンコーダ56を装備していないために距離情報Dは得られないといったこともある。ここで、その場合の所定値LVL0及びLVL1の算出方法を記す。
【0081】
まず、LVL0は撮影レンズの焦点距離情報に基づいて図8に示すLVL0決定用テーブル(table1)を参照して決定する。
【0082】
LVL0=table1(f)
LVL0決定用テーブルは、撮影レンズの焦点距離(f)とLVL0との対応関係を示すテーブルである。
【0083】
例えば撮影レンズの焦点距離(f)が28mmであれば(f<40mm)、0.5mの距離に標準的な反射率の被写体があった場合の反射輝度(0.5mにおける標準反射光)をLVL0とする。一般的に焦点距離28mmの撮影レンズを使って撮影を行う場合に、0.5mよりも近距離の被写体を撮影する頻度は極めて低いことから、殆どの場合に実際のプリ発光時の反射光量としてはLVL0よりも低くなる。
【0084】
以下同様に、焦点距離50mmの撮影レンズであれば0.8mの距離に標準的な反射率の被写体があった場合の反射輝度をLVL0とするという考え方で、図8のLVL0決定用テーブルは構成されている。撮影レンズの焦点距離に対してはある程度のステップで区切る方が合理的なので、LVL0決定用テーブルではそのように焦点距離を区切っている。
【0085】
一方、距離情報Dが得られない場合のLVL1はLVL0からC1を減じて算出される。C1は経験則的に被写体からのプリ反射光量がLVL1よりも下回ることは無いように決められる。例えば焦点距離50mmの撮影レンズでフラッシュ撮影する場合に、被写体から6.4mより遠くに離れて撮影する確率は極めて低いとすれば、LVL0を決定する際の距離0.8mの場合に対して被写体からの反射光は6段低くなるのでC1は6とする。
【0086】
LVL1=LVL0−C1
LVL0及びLVL1は共に圧縮系での値である。
【0087】
次にステップS154において、制御部41は、信号処理回路43から顔位置情報及び顔大きさ情報が入手できているかどうかをチェックする。ライブビュー動作が開始されて上記ステップS114が実行されている場合は、顔位置情報及び顔大きさ情報が入手できている。そうでない場合は、上記ステップS114にて顔位置情報及び顔大きさ情報はクリアされているので、顔位置情報及び顔大きさ情報が入手できてはいないことになる。顔位置情報及び顔大きさ情報が入手できていない場合はステップS155へ進む。
【0088】
次にステップS155において、制御部41は、後述する基準値BaseRを選択するための選択肢エリアを限定する係数K(i)を規定のデフォルト値に設定する。係数K(i)は、図9(a)に示すように測光用センサ26における35分割された各測光エリアに対してそれぞれ設定される。規定のデフォルト値とは、図9(b)に示すようにK(1)〜K(8)、K(14)、K(15)、K(21)、K(22)、K(28)、K(29)、K(35)の各値が0で、それ以外の各値は1である。
【0089】
他方、上記ステップS154にて顔位置情報及び顔大きさ情報が入手できている場合は、ステップS156へ進む。ステップS156において、制御部41は、基準値BaseRを選択するための選択肢エリアを限定する係数K(i)を、顔位置情報に応じて規定のデフォルト値から変更または該デフォルト値に設定する。
【0090】
例えば、顔位置情報から図9(c)に示すように撮像画面中央付近に人物の顔が存在する場合には、係数K(i)は規定のデフォルト値のままである。顔位置情報から図9(d)に示すように撮像画面左端に寄った位置に人物の顔が存在する場合には、係数K(i)は規定のデフォルト値に対してK(8)、K(15)、K(22)、K(29)の4箇所の値を0から1に変更する。
【0091】
図示してはいないが、同様に、顔位置情報から撮像画面右端に寄った位置に人物の顔が存在する場合には、係数K(i)は規定のデフォルト値に対してK(14)、K(21)、K(28)、K(35)の4箇所の値を0から1に変更する。顔位置情報から撮像画面上部に寄った位置に人物の顔が存在する場合には、係数K(i)は規定のデフォルト値に対してK(2)〜K(6)の5箇所の値を0から1に変更する。
【0092】
即ち、制御部41は、基準値BaseR(基準となる比の値)を抽出する際に抽出対象となる測光領域を限定する係数を、信号処理回路43により得た顔位置情報・顔大きさ情報(顔情報)に応じて設定する。
【0093】
尚、図9(f)に示すように顔大きさ情報がかなり大きい値を示していて撮像画面ほぼ全域が人物の顔であるような場合は、顔位置情報に従って撮像画面端部の係数K(i)の値を変更しても本発光量の演算結果に対して大きな意味を持たなくなる。これは、結果的に撮像画面中央付近の測光用センサ26の測光領域の多数のセンサ部に顔領域がかかるためである。よって、顔大きさ情報が所定以上大きい場合には、係数K(i)は図9(a)に示した規定のデフォルト値のままとしても良い。
【0094】
次にステップS157において、制御部41は、測光用センサ26における35分割された測光エリアで係数K(i)が1となっている測光エリアの中から、輝度値D(i)が所定値LVL0とLVL1との間に入っている領域を抽出する。これにより、ガラス等の鏡面物体からの正反射により輝度値D(i)が異常に高くなっている測光エリアや、発光部34のフラッシュ光が届かないくらいに距離が離れていて輝度値D(i)が非常に低くなっている測光エリアが除外される。その結果、主被写体が存在しそうな測光エリアが抽出される。
【0095】
尚、プリ発光時の輝度値H(i)の値は輝度値D(i)の値と大きく変わらないことが多いので(プリ発光直前の輝度値P(i)が小さい場合が多いので)、該ステップS157では輝度値D(i)の代わりにプリ発光時の輝度値H(i)を使用してもよい。
【0096】
尚、係数K(i)が1の測光エリアのみから抽出を行っているので、通常、K(i)が規定のデフォルト値のままである条件では撮像画面の上端や左右端といった主被写体を配置しそうにない測光エリアは、やはり抽出対象から除外される。顔位置情報に応じて係数K(i)が0から1に変更された測光エリアは、人物の顔という主被写体が存在する可能性がある領域として抽出の候補に変更されていることになる。
【0097】
次にステップS158において、制御部41は、抽出された測光エリアの中で一番近距離にある被写体が主被写体である可能性が高いので、次のように基準エリアを選択する。即ち、上述したプリ発光直前(予備発光動作の前)の輝度値P(i)(第1の輝度値)と、プリ発光時(予備発光動作中)の輝度値H(i)(第2の輝度値)との比R(i)が最大値となっている測光エリアを基準エリアとして選択する。その基準エリアにおけるR(i)の値を基準値BaseR(基準となる比の値)と呼び、基準値BaseRとR(i)の値が同一の値を示している測光エリアを主被写体エリアとする。
【0098】
次にステップS159において、制御部41は、測光用センサ26におけるi=1〜35の全ての測光エリアにおいて下式で示すように輝度値の比R(i)と基準値BaseRとの差RR(i)を算出する。
【0099】
RR(i)=baseR−R(i)
輝度値の比R(i)と基準値BaseRとは共に圧縮系での値なので、RR(i)は基準エリアのR(i)とその他の測光エリアのR(i)との比を算出していることになる。RR(i)の値が小さくなる測光エリアというのは、主被写体エリアであると想定し基準値BaseRとなった測光エリアの被写体と略等価な距離に被写体が存在する測光エリアである。
【0100】
一方、RR(i)の値が正の方向に大きくなる測光エリアというのは、主被写体エリアであると想定し基準値BaseRとなった測光エリアの被写体よりも遠くに離れていた被写体が存在していると見なせる測光エリアである。逆に、RR(i)の値が負の方向に大きくなる測光エリアというのは、主被写体エリアであると想定し基準値BaseRとなった測光エリアの被写体よりも近くにあると見なせる測光エリアである。
【0101】
即ち、こうした測光エリアは、被写体において主被写体以外に手前に障害物が存在する測光エリアや、ガラス等の鏡面による正反射が発生して異常に高い反射光量が得られた測光エリアであると考えられる。
【0102】
次にステップS160において、制御部41は、測光用センサ26におけるi=1〜35の全ての測光エリアにおいて算出されたRR(i)に応じて重み付け係数W(i)を決定する。具体的には、各測光エリアのRR(i)の値より図10に示すW(i)値決定用テーブル(table2)を参照して下式で示すようにW(i)を求める。
【0103】
W(i)=table2(RR(i))
W(i)値決定用テーブルは、RR(i)とW(i)との対応関係を示すテーブルである。
【0104】
W(i)値決定用テーブルによれば、RR(i)の値が基準値BaseRとなった測光エリアが重み付け上の最大値12がW(i)として与えられる。RR(i)の値が基準値BaseRと同一またはごく近い値となった測光エリアほどW(i)は高い値が与えられる。このような領域は主被写体領域または主被写体とほぼ同一距離の被写体とみなしているからである。RR(i)値の絶対値が0から大きくなるに従ってその測光エリアに与えられる重み付け係数W(i)は徐々に小さくなる。これは、主被写体であると仮定した測光エリアの被写体とは異なる被写体領域である可能性が高くなるからである。
【0105】
このように、各測光エリア毎に存在する被写体までの距離に応じて重み付け係数を与えて次ステップ以降による本発光量演算を行う。これにより、撮影毎に撮像画面内での主被写体位置が移動している場合や同一シーンを少しだけ構図を変えて撮影した場合などにおいても、略同様な本発光量を演算できるため、1枚毎に異なる露出結果になることを防止することができる。
【0106】
尚、上記ステップS155或いはステップS156で、K(i)の値が0とされて基準値BaseRを選択する選択肢からは外された測光エリアにおいても、RR(i)の値が基準値BaseRに近い値であれば重み付け係数W(i)は大きなものが与えられる。本実施の形態のこの点が、特開2005−184508号公報に記載されているように顔領域を検出し、検出された顔領域を調光領域に設定して本発光量を演算する手法とは異なる点である。
【0107】
次にステップS161において、制御部41は、下式で示すように測光用センサ26におけるi=1〜35の全ての測光エリアの被写体の反射光の重み付け演算を行う。
【0108】
AVE=Σ(D(i)×W(i))/ΣW(i)
この重み付け演算により、主被写体エリアと見なした測光エリアと同一距離の被写体であると想定される測光エリアほど重み付けが大きくなった撮像画面全体の反射光の平均値AVEが算出される。
【0109】
次にステップS162において、制御部41は、上記ステップS108或いはステップS112で決定されているシャッタ速度と絞り値とのアペックス値に基づく露出値EVTと、ステップS161で演算したAVEから、本発光の発光量Gを演算する。
【0110】
G=EVT−AVE
即ち、制御部41は、係数に応じて抽出された基準値BaseR(基準となる比の値)と、測光用センサ26の各測光領域のプリ発光直前の輝度値とプリ発光時の輝度値との比の値とを比較し、比較結果に基づき露光動作時の発光部34の発光量を演算する。
【0111】
本発光の発光量Gは、プリ発光時のフラッシュ発光量に対する本発光の相対値となる。発光量Gの値は、カメラ本体1の制御部41から通信によりフラッシュ装置3のフラッシュ制御部61に送信される。これにより、ステップS120にて発光量Gに従った発光量にて本発光が行われることで所望のフラッシュ撮像が行われる。
【0112】
〔第2の実施の形態〕
本発明の第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態に対して、下記の点において相違する。本実施の形態のその他の要素は、上記第1の実施の形態(図1〜図5)の対応するものと同一なので説明を省略する。
【0113】
上記第1の実施の形態では、基準値BaseRを選択するための選択肢エリアを限定する係数K(i)を顔位置情報や顔大きさ情報が入手できていない状態では、図9(b)に示すデフォルト値に設定した。また、顔位置情報や顔大きさ情報が入手できている状態では、デフォルト値のうち一部を変更した。これに対し、本実施の形態では以下のような設定を行う。
【0114】
図11(a)〜図11(e)は、本実施の形態に係る基準値BaseRを選択するための選択肢エリアを限定する係数K(i)の設定組み合わせテーブルの例を示す図である。
【0115】
図11(a)〜図11(e)において、係数K(i)は、図11(a)のデーブルでは、K(1)〜K(8)、K(14)、K(15)、K(21)、K(22)、K(28)、K(29)、K(35)の各値が0で、それ以外の各値は1である。係数K(i)は、図11(b)のデーブルでは、K(1)〜K(7)、K(13)、K(14)、K(20)、K(21)、K(27)、K(28)、K(34)、K(35)の各値が0で、それ以外の各値は1である。
【0116】
係数K(i)は、図11(c)のデーブルでは、K(1)〜K(9)、K(15)、K(16)、K(22)、K(23)、K(29)、K(30)の各値が0で、それ以外の各値は1である。係数K(i)は、図11(d)のデーブルでは、K(1)、K(7)、K(8)、K(14)、K(15)、K(21)、K(22)、K(28)〜K(35)の各値が0で、それ以外の各値は1である。係数K(i)は、図11(e)のデーブルでは、K(1)、K(7)、K(29)、K(35)の各値が0で、それ以外の各値は1である。
【0117】
上述した5種類の係数K(i)の設定組み合わせテーブル(係数値テーブル)には、測光エリア(測光領域)を限定する係数が各測光エリア毎(各測光領域毎)に予め設定されている。制御部41は、5種類の係数K(i)の設定組み合わせテーブルから適する係数を顔情報(顔位置情報、顔大きさ情報)に基づいて選択する。
【0118】
上記図7のステップS155では顔位置情報及び顔大きさ情報がクリアされているので、標準的なK(i)値のテーブルである図11(a)のデーブルを選択する。また、ステップS156では入力されている顔位置情報が撮像画面左端寄りを示す情報であれば、図11(b)のデーブルを選択する。入力されている顔位置情報が撮像画面右端寄りを示す情報であれば、図11(c)のデーブルを選択する。
【0119】
入力されている顔位置情報が撮像画面上端寄りを示す情報であれば、図11(d)のデーブルを選択する。入力されている顔位置情報が撮像画面中央付近或いは撮像画面下端寄りを示す情報であれば、図11(a)のデーブルを選択する。また、入力されている顔大きさ情報が所定以上大きい場合には、顔位置情報に因らずに図11(e)のテーブルを選択する。その他の構成やフローチャートは全て上記第1の実施の形態にて説明したものを適用できる。
【0120】
尚、係数K(i)の設定組み合わせテーブルの数を5としたのはあくまで一例であり、これに限定されるものではない。顔位置情報と顔大きさ情報との組み合わせにより選択肢をマトリクス的に切り替える構成とすることも可能である。
【0121】
以上説明したように第1及び第2の実施の形態によれば、以下のような制御を行うことで各種の効果を奏することができる。カメラ本体1の制御部41は、露光動作に先立ち被写体に向けてフラッシュ装置3の発光部34のプリ発光(予備発光)動作を指示する。プリ発光直前の第1のタイミングとプリ発光動作中の第2のタイミングとのそれぞれにおいて、測光用センサ26により複数の測光エリアの被写体輝度を測光する。また、制御部41は、露光動作に先立ち人物の顔情報(顔位置情報、顔大きさ情報)を信号処理回路43から入力する。
【0122】
制御部41は、第1のタイミングで測光した第1の測光情報(プリ発光直前の輝度値)P(i)と、第2のタイミングで測光した第2の測光情報(プリ発光動作中の輝度値)H(i)との比R(i)を、各測光エリアについて演算する。次に、制御部41は、各測光エリアにおける比R(i)の中から基準BaseR(基準となる比の値)を抽出する。
【0123】
次に、制御部41は、基準BaseRを抽出する際に抽出対称となる測光エリアを限定する係数K(i)を、人物の顔情報に応じて設定する。次に、制御部41は、係数K(i)の値に応じて、基準BaseRと各測光エリアの比の値R(i)とを比較し、比較した結果に基づいて露光動作時のフラッシュ装置3の発光部34発光量を演算する。
【0124】
上記のように、主被写体(人物の顔)が撮像画面の中央付近にある場合と撮像画面の周辺付近にある場合とで、基準値BaseRを抽出する測光エリアに適切な限定をかける(測光エリアを絞り込む)。これにより、撮影者の期待通りの露出となる確率をより高めることが可能となる。
【0125】
上記第1及び第2の実施の形態に記載の何れの構成例においても、顔位置情報が入手できていない撮影状況では、基準値BaseRを選択するための選択肢エリア(測光エリア)を限定する係数K(i)を次のように設定している。即ち、図9(b)或いは図11(a)に示したような通常は主被写体が存在する確率がごく低い撮像画面周辺部領域において係数K(i)を0とする。
【0126】
従って、撮像画面周辺部に撮影意図とあまり関係なく入ってしまった物体が存在する領域を基準値BaseRの領域として選択してしまいフラッシュ発光レベルが不適切になる可能性を低くすることが可能となる。これにより、撮影者の意図する主被写体領域を抽出する精度、即ち、撮影者の期待通りの露出となる確率をより高めることが可能となる。
【0127】
一方、顔位置情報が入手できている撮影状況では、顔位置情報に応じて図9(e)或いは図11(b)〜(d)に示したような係数K(i)に変更する。そして、主被写体である可能性が極めて高い人物の顔を含む領域のK(i)値を1にすることで、撮像画面周辺部領域であっても基準値BaseRの選択肢エリアとする。人物の顔が存在しない周辺部領域のK(i)値は0のままである。
【0128】
従って、上記と同様に、撮像画面周辺部に撮影意図とあまり関係なく入ってしまった物体が存在する領域を基準値BaseRの領域として選択してしまいフラッシュ発光レベルが不適切になる可能性を低くすることが可能となる。これにより、撮影者の意図する主被写体領域を抽出する精度、即ち、撮影者の期待通りの露出となる確率をより高めることが可能となる。
【0129】
また、特開2005−275265号公報と同様に、主被写体領域及びそれと等価な距離にある領域に対して高い重み付けをおいて本発光量を決定したフラッシュ発光による撮像が可能となる。これにより、同じような撮影シーンでの被写体の移動や構図を変更した時にフラッシュ発光量が変化して撮像結果の露出がばらつくことを抑止する効果を維持することが可能となる。
【0130】
〔他の実施の形態〕
上記第1及び第2の実施の形態では、本発明の顔情報として顔位置情報と顔大きさ情報を用いる場合を例に挙げたが、これに限定されるものではない。本発明は顔情報として顔位置情報のみを用いる場合にも適用可能である。
【0131】
また、本発明の目的は、以下の処理を実行することによって達成される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。
【0132】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0133】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、次のものを用いることができる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等である。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0134】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現される場合も本発明に含まれる。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0135】
更に、前述した実施形態の機能が以下の処理によって実現される場合も本発明に含まれる。即ち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行う場合である。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置としてのカメラ本体、交換レンズ、フラッシュ装置の内部構成を示す構成図である。
【図2】カメラの焦点検出用センサの構成例を示す図である。
【図3】カメラの測光用センサの構成例を示す図である。
【図4】焦点検出用センサによる撮像画面内の焦点検出位置と35分割された測光用センサとの対応位置関係を示す図である。
【図5】カメラ本体、交換レンズ、フラッシュ装置の電気回路の構成例を示すブロック図である。
【図6a】カメラにおける本発明に関わる具体的な動作シーケンスを示すフローチャートである。
【図6b】カメラにおける本発明に関わる具体的な動作シーケンスを示すフローチャートである。
【図7】発光部の本発光量(本発光ゲイン)を決定する演算処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】LVL0決定用テーブルの例を示す図である。
【図9】(a)〜(f)は、K(i)値を示す図である。
【図10】W(i)値決定用テーブルの例を示す図である。
【図11】(a)〜(e)は、本発明の第2の実施の形態に係る基準値BaseRを選択するための選択肢エリアを限定する係数K(i)の設定組み合わせテーブルの例を示す図である。
【符号の説明】
【0137】
1 カメラ本体
2 交換レンズ
3 フラッシュ装置
12 撮像素子
20 焦点検出用センサ
26 測光用センサ
34 発光部
37 発光量センサ
41 制御部
43 信号処理回路
61 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラッシュ発光による撮影が可能な撮像装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置(カメラ、デジタルスチルカメラ)でフラッシュ撮影を行う際のフラッシュ発光制御に関する各種の技術が提案されているが、その中でも特に次の方式の提案が多い。露光動作に先立ってフラッシュのプリ発光(予備発光)を行い、プリ発光による被写体の反射光を撮像画面(ファインダまたはディスプレイにより観察される被写体画像)内の複数に分割された領域毎に測光して本発光量を決定する方式である。これは、分割された領域毎の測光結果により所定のアルゴリズムにより本発光量を決めることで、様々な撮影シーンに対して適切な発光量を決定できるからである。
【0003】
上記のフラッシュ発光制御に関しては、安定して適切な露光量が得られるように以下のような撮像方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。まず、プリ発光が行われる直前の各測光エリアの測光値P(i)と、プリ発光が行われている時の各測光エリアの測光値H(i)との比R(i)を、測光エリア毎に演算する。得られたR(i)の中で最大のものを基準値baseRとして抽出し、基準値baseRと各測光エリアのR(i)の値を比較して各測光エリアに対する重み付け係数W(i)を決定する。次に、重み付け係数W(i)に従って各測光エリアのプリ発光時の反射光量を重み付け平均して得られた重み付け平均結果により、本発光量を演算する。
【0004】
また、被写体の輝度が十分ではない場合でも人物顔領域を検出して良好な露出を得るために以下のような撮像方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。まず、プリ発光により撮像した画像を基に画像内に人物の顔領域が存在するかどうかを検出する。次に、検出された顔領域に応じて調光領域を決定し、この決定された調光領域によるプリ発光時の測光値に応じて本発光量を演算する。
【特許文献1】特開2005−275265号公報
【特許文献2】特開2005−184508号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術によれば、多くの撮影シーンで安定した露出が得られると共に、同一の撮影シーンを少しだけ構図の変更を行って撮影した場合でも露出の変化が少ない撮像結果が得られる。しかし、経験則的に各測光エリアのうち所定条件を満たすR(i)の中で最大のものを主被写体エリアと見なし、そのエリアの反射光量から基準値baseRを抽出している。そのため、撮像画面内で比較的近距離に存在するもの或いは反射率が高めのものに、重み付け係数W(i)が大きくなる傾向が高い。従って、もしも本当の主被写体が上記所定条件に当てはまっていなかった場合には、撮影者の期待通りの露出とならない場合がある。
【0006】
また、特許文献2に記載の技術によれば、主被写体が人物であり且つその人物の顔が確実に検出されている場合には、良好な露出となる可能性が高くなる。しかし、撮像画面に占める顔領域の大きさに対してプリ発光時の反射光の測光を行うセンサの分解能が十分でないような場合には、次の問題が発生する。顔領域だけを調光領域として本発光量を決定しようとしても、人物の背景など他の領域の影響を除外できなくなり露出が良好でなくなる場合がある。
【0007】
本発明の目的は、撮影者の期待通りの露出となる確率をより高めることを可能とした撮像装置、制御方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明は、被写体に対して発光を行う発光手段を用いた撮影が可能な撮像装置において、複数に分割された測光領域を有し、各測光領域の被写体輝度を測光する測光手段と、露光動作に先立ち被写体に含まれる人物の顔を検出し顔情報を得る検出手段と、前記発光手段による予備発光動作の前に前記測光手段により測光された第1の輝度値と、前記発光手段による予備発光動作中に前記測光手段により測光された第2の輝度値との比を、各測光領域について演算する第1の演算手段と、前記第1の演算手段により演算された各測光領域における前記第1の輝度値と前記第2の輝度値との比の中から基準となる比の値を抽出する抽出手段と、前記抽出手段により前記基準となる比の値を抽出する対象となる測光領域を限定する係数を、前記検出手段から入力された顔情報に応じて設定する設定手段と、前記設定手段により設定された係数に応じて前記抽出手段により抽出された前記基準となる比の値と、前記第1の演算手段により演算された各測光領域の比の値とを比較し、比較した結果に基づいて露光動作時の前記発光手段の発光量を演算する第2の演算手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、設定された係数に応じて抽出された基準となる比の値と、演算された各測光領域の比の値とを比較し、比較結果から露光動作時の発光量を演算する。これにより、撮影者の期待通りの露出となる確率をより高めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置としてのカメラ本体、交換レンズ、フラッシュ装置の内部構成を示す構成図である。
【0012】
図1において、カメラは、レンズ交換が可能ないわゆる一眼レフタイプであり、カメラ本体1に対して交換レンズ2とフラッシュ装置3が着脱可能に構成されている。カメラ本体1は、メカニカルシャッタ(以下シャッタ)10、ローパスフィルタ11、撮像素子12、主ミラー13、第1の反射ミラー14、第2の反射ミラー16、赤外カットフィルタ17、絞り18を備えている。更に、カメラ本体1は、2次結像レンズ19、焦点検出用センサ20、ピント板21、ペンタプリズム22、接眼レンズ23、第3の反射ミラー24、集光レンズ25、測光用センサ26を備えている。
【0013】
撮像素子12は、エリアの蓄積型光電変換素子(例えばCMOSやCCD)から構成されている。主ミラー13は、半透過性の主ミラーである。主ミラー13と第1の反射ミラー14は、ともに撮影時には駆動機構(不図示)により図示の位置から上方に跳ね上げられる。近軸的結像面15は、第1の反射ミラー14による撮像素子12の撮像面と共役な結像面を例示したものである。絞り18は、2つの開口部を有する。
【0014】
焦点検出用センサ20は、エリアの蓄積型光電変換素子(例えばCMOSやCCD)から構成されており、図2に示すように2つのエリアにそれぞれ配置された受光センサ部20A、受光センサ部20Bを備えている。受光センサ部20A、受光センサ部20Bは、絞り18の2つの開口部にそれぞれ対応しており、多数の区画に分割されている。また、焦点検出用センサ20は、受光センサ部20A、受光センサ部20Bに加えて、信号蓄積部や信号処理用の周辺回路等が同一チップ上に集積回路として作り込まれている。
【0015】
上記の第1の反射ミラー14から焦点検出用センサ20までの構成は、例えば特開平9−184965号公報に詳細に記載されているように、撮像画面内の任意の位置での像ずれ方式での焦点検出を可能とするものである。
【0016】
測光用センサ26(測光手段)は、例えばシリコンフォトダイオード等の光電変換素子から構成されており、被写体の輝度に関する情報を得るためのセンサである。測光用センサ26は、図3に示すように格子状に複数に分割された受光センサ部26Aを備えており、撮像画面の略全体を視野としている。受光センサ部26Aは、本実施の形態では受光視野内が7列×5行の35分割されている。35分割された各受光部をPD1〜PD35と表記する。測光用センサ26は、受光センサ部26Aに加えて、信号増幅部や信号処理用の周辺回路等が同一チップ上に集積回路として作り込まれている。
【0017】
上記のピント板21、ペンタプリズム22、接眼レンズ23によりファインダ光学系が構成される。測光用センサ26には、主ミラー13により反射されてピント板21により拡散された光線のうち光軸外の一部が入射する。
【0018】
図4は、焦点検出用センサ20による撮像画面内の焦点検出位置と35分割された測光用センサ26との対応位置関係を示す図である。本実施の形態では、撮像画面内の例えば3つの焦点検出位置S0〜S2で焦点検出を行う。焦点検出位置S0は、測光用センサ26の受光部PD18に対応する。焦点検出位置S1は、測光用センサ26の受光部PD16に対応する。焦点検出位置S2は、測光用センサ26の受光部PD20に対応する。尚、測光用センサ26における受光センサ部26Aの分割数35と、3つの焦点検出位置S0〜S2は一例であり、これに限定されるものではない。
【0019】
図1の説明に戻る。カメラ本体1において、マウント部27は、カメラ本体1に交換レンズ2を取り付けるための部材である。接点部28は、カメラ本体1と交換レンズ2との間の情報通信に用いられる。接続部29は、カメラ本体1にフラッシュ装置3を取り付けるための部材である。
【0020】
交換レンズ2は、撮影レンズを構成する光学レンズ30a〜30e、絞り31、カメラ本体1と情報通信を行うための接点部32、交換レンズ2をカメラ本体1に取り付けるためのマウント部33を備えている。フラッシュ装置3は、発光部(本例ではキセノン管)34、反射笠35、集光用のフレネルレンズ36、発光部34の発光量を検出する発光量センサ(モニタセンサ)37、フラッシュ装置3をカメラ本体1に取り付けるための取付部38を備えている。
【0021】
図5は、カメラ本体、交換レンズ、フラッシュ装置の電気回路の構成例を示すブロック図である。
【0022】
図5において、カメラ本体1は、更に、制御部41、シャッタ駆動部42、信号処理回路43、記憶部44、第1のモータドライバ45、第1のモータ46、表示器47、レリーズスイッチ48、ライブビュー開始スイッチ49、記憶部50を備えている。
【0023】
制御部41(第1の演算手段、第2の演算手段、抽出手段、設定手段)は、カメラ全体の制御を行う。制御部41は、A/Dコンバータ41a、タイマ41b、演算論理ユニット(ALU)41c、ROM41d、RAM41e、シリアル通信ポート(SPI)41f等を内蔵したワンチップマイクロコンピュータから構成されている。また、制御部41は、ROM41dに格納されたプログラムに基づき図6a、図6b、図7の各フローチャートに示す処理を実行する。ROM41dには、後述のLVL0決定用テーブル(図8)、W(i)値決定用テーブル(図10)が格納されている。
【0024】
シャッタ10、撮像素子12、焦点検出用センサ20、測光用センサ26は、図1等に図示したものと同一である。焦点検出用センサ20及び測光用センサ26の出力信号は、制御部41のA/Dコンバータ41aの入力端子に入力される。シャッタ駆動部42は、制御部41の出力端子に接続されており、シャッタ10を駆動する。
【0025】
信号処理回路43(検出手段)は、制御部41の指示に従って撮像素子12を制御し、撮像素子12から出力される撮像信号をA/D変換しながら入力して信号処理を行い、画像信号を得る。また、信号処理回路43は、得られた画像信号から被写体(人間)の目・口といった特徴を抽出して人間の顔を検出し顔情報(顔位置情報、顔大きさ情報)として得る顔検出機能も有する。また、信号処理回路43は、得られた画像信号を記憶部50に記録するに際して圧縮等の必要な画像処理を行う。
【0026】
記憶部44は、例えばDRAMとして構成されており、信号処理回路43が種々の信号処理を行う際のワーク用メモリとして使われたり、表示器47に画像を表示する際のVRAMとして使われたりする。第1のモータドライバ45は、制御部41の出力端子に接続されており、制御部41の制御に基づき主ミラー13及び第1の反射ミラー14のアップ/ダウンと、シャッタ10のチャージ(シャッタ10を初期位置に戻す動作)を行う。表示器47は、液晶パネルから構成されており、制御部41により点灯が制御されることで各種の撮像画像等を表示する。
【0027】
レリーズスイッチ48は、撮影の際に操作者により操作される。ライブビュー開始スイッチ49は、ライブビュー機能(撮像素子12により撮像されるスルー画像を表示器47にリアルタイムで表示しながら構図確認やピント合わせを行う機能)を開始させる際に操作される。記憶部50は、例えばフラッシュメモリまたは光ディスクとして構成されており、撮像された画像信号を記憶する。
【0028】
接点部28は、交換レンズ2の接点部32と接触されるものであり、制御部41のシリアル通信ポート41fを経由する入出力信号が接続される。これにより、カメラ本体1と交換レンズ2との間の情報通信が可能となっている。接続部29は、フラッシュ装置3の接続部38と接続されるものであり、制御部41のシリアル通信ポート41fを経由する入出力信号が接続される。これにより、カメラ本体1とフラッシュ装置3との間の情報通信が可能となっている。
【0029】
交換レンズ2は、更に、レンズ制御部51、第2のモータドライバ52、第2のモータ53、第3のモータドライバ54、第3のモータ55、距離エンコーダ56、ズームエンコーダ57を備えている。レンズ制御部51は、シリアル通信ポート(SPI)51a、演算論理ユニット(ALU)51b、ROM51c、RAM51d、タイマ51e等を内蔵したワンチップマイクロコンピュータから構成されている。
【0030】
第2のモータドライバ52は、レンズ制御部51の出力端子に接続されており、レンズ制御部51の制御に基づき焦点調節を行うための第2のモータ53を駆動する。第3のモータドライバ54は、レンズ制御部51の出力端子に接続されており、レンズ制御部51の制御に基づき絞り31の制御を行うための第3のモータ55を駆動する。
【0031】
距離エンコーダ56は、レンズ制御部51の入力端子に接続されており、交換レンズ2内の焦点調節レンズの繰り出し量、即ち被写体距離に関する情報を測定する。ズームエンコーダ57は、レンズ制御部51の入力端子に接続されており、交換レンズ2がズームレンズである場合に撮影時の焦点距離情報を測定する。接点部32は、レンズ制御部51のシリアル通信ポート51aを経由する入出力信号が接続される。
【0032】
交換レンズ2がカメラ本体1に装着されると、それぞれの接点部32と接点部28とが接続される結果、交換レンズ2のレンズ制御部51は、カメラ本体1の制御部41とのデータ通信が可能となる。カメラ本体1の制御部41が必要とする情報は、レンズ制御部51から制御部41へデータ通信により出力される。前記情報には、焦点検出や露出演算を行うために必要なレンズ固有の光学的な情報、距離エンコーダ56で測定された被写体距離に関する情報、ズームエンコーダ57で測定された焦点距離情報を含む。
【0033】
また、カメラ本体1の制御部41で処理された情報は、制御部41からレンズ制御部51へデータ通信により出力される。前記情報には、制御部41が焦点検出や露出演算を行った結果求められた焦点調節情報、絞り情報を含む。レンズ制御部51は、カメラ本体1の制御部41から出力された焦点調節情報に従って第2のモータドライバ52を制御し、絞り情報に従って第3のモータドライバ54を制御する。
【0034】
フラッシュ装置3は、更に、フラッシュ制御部61、昇圧部62を備えている。発光部34及び発光量センサ37は、図1に図示したものと同一である。フラッシュ制御部61は、演算論理ユニット(ALU)、ROM、RAM、A/Dコンバータ、シリアル通信ポート(SPI)(以上不図示)等を内蔵したワンチップマイクロコンピュータから構成されている。昇圧部62は、発光部34の発光に必要な300V程度の高圧電圧を作りその高圧電圧を充電する機能を有する。
【0035】
フラッシュ装置3がカメラ本体1に装着されると、それぞれの接続部38と接続部29とが接続される結果、フラッシュ装置3のフラッシュ制御部61は、カメラ本体1の制御部41とのデータ通信が可能となる。フラッシュ制御部61は、カメラ本体1の制御部41からの通信内容に従って昇圧部62を制御することで発光部34の発光開始/発光停止を行うと共に、発光量センサ37の検出量をカメラ本体1の制御部41に対して出力する。
【0036】
次に、上記構成を有する本実施の形態のカメラの動作について図6a〜図10を参照しながら説明する。
【0037】
図6a、図6bは、カメラにおける本発明に関わる具体的な動作シーケンスを示すフローチャートである。
【0038】
図6a、図6bにおいて、カメラの電源スイッチ(不図示)が操作者によりオンされると、カメラ本体1の制御部41が動作可能となり本処理が開始される。
【0039】
ステップS101において、制御部41は、フラッシュ装置3のフラッシュ制御部61と通信を行い、昇圧部62を動作させて発光部34(フラッシュ)の発光に十分な高圧電圧を発生するための充電を行うように指示する。
【0040】
次にステップS102において、制御部41は、交換レンズ2のレンズ制御部51と通信を行い、測距や測光に必要な交換レンズ2を構成する各種レンズの情報を得る。
【0041】
次にステップS103において、制御部41は、ライブビュー開始スイッチ(LVSW)49が操作者によりオンされているかどうかをチェックする。ライブビュー開始スイッチ49がオンされていない場合は、ステップS104へ進む。
【0042】
次にステップS104において、制御部41は、前回の撮影時においてRAM41eに記憶された撮像画面における人物被写体の顔の位置の座標を示す顔位置情報及び人物被写体の顔の大きさを示す顔大きさ情報をクリアする。その理由は、顔位置情報及び顔大きさ情報はライブビュー開始スイッチ49がオンされてライブビュー動作が開始された場合に有効な情報となるが、そうでない場合は意味を持たないためである。
【0043】
次にステップS105において、制御部41は、焦点検出用センサ20に対して制御信号を出力し、焦点検出用センサ20における焦点検出に伴う信号蓄積部に対する信号の蓄積を行う。制御部41は、信号の蓄積が終了すると、焦点検出用センサ20の信号蓄積部に蓄積された信号を読み出しながらA/D変換を行う。更に、制御部41は、A/D変換された各デジタルデータに対してシェーディング補正等の必要な各種のデータ補正を行う。
【0044】
次にステップS106において、制御部41は、焦点検出を行うために必要なレンズ情報等をレンズ制御部51から入力し、レンズ情報と焦点検出用センサ20から得られているデジタルデータを基に撮像画面各部の焦点状態を演算する。更に、制御部41は、撮像画面内の焦点を合わせるべき領域を焦点検出位置S0〜S2(図4)の中から決定する。操作者により予め操作部材等により指定されている領域があるならばそれに従っても良い。制御部41は、決定された領域における焦点状態に従って合焦となるためのレンズ移動量を算出し、算出されたレンズ移動量をレンズ制御部51に出力する。
【0045】
レンズ制御部51は、レンズ移動量に従って焦点調節用レンズを駆動するように第2のモータドライバ52に駆動信号を出力することで、第2のモータ53を駆動する。これにより、撮影レンズは被写体に対して合焦状態となる。焦点調節用レンズを駆動することで距離エンコーダ56により測定される情報が変化するので、各種レンズの情報の更新も行う。
【0046】
次にステップS107において、制御部41は、測光用センサ26から35分割された各受光部PD1〜PD35(図3)の信号を読み出しながらA/D変換を行い、撮像画面各部の輝度情報を入力する。更に、制御部41は、必要なレンズ情報等をレンズ制御部51から入力し、撮像画面各部の輝度情報の補正を行い、測光用センサ26の各受光部毎の被写体輝度情報を得る。
【0047】
次にステップS108において、制御部41は、得られた測光用センサ26の各受光部毎の被写体輝度情報から、焦点検出用センサ20による焦点検出部分に対応した測光用センサ26の各受光部の輝度情報に重み付けを置いて撮像画面全体の輝度を算出する。制御部41は、このようにして算出された撮像画面全体の輝度情報に基づいて撮影に適する撮像素子12の電荷蓄積時間(即ちシャッタ速度)と絞り値を規定のプログラム線図(不図示)から決定し、表示器47に表示する。シャッタ速度または絞り値の一方が予めプリセットされている場合は、そのプリセット値と組み合わせて良好な露出となる他方の因子を決定する。
【0048】
尚、決定されたシャッタ速度と絞り値とのアペックス値に基づく露出値をEVTと呼ぶこととする。露出値EVTは下記の式で表される。
【0049】
EVT=Tv+Av
ここで、Tvはシャッタ速度のアペックス値、Avは絞り値のアペックス値である。
【0050】
次にステップS109において、制御部41は、レリーズスイッチ48が操作者によりオンされるのを待つ。レリーズスイッチ48がオンされていない場合は、ステップS102に戻る。レリーズスイッチ48がオンされた場合は、ステップS117に進む。
【0051】
他方、上記ステップS103でライブビュー開始スイッチ49がオンされている場合は、ステップS110へ進む。ステップS110において、制御部41は、第1のモータドライバ45に制御信号を出力することで第1のモータ46を駆動し、主ミラー13及び第1の反射ミラー14を上方に跳ね上げる。
【0052】
次にステップS111において、制御部41は、シャッタ駆動部42に対して制御信号を出力することでシャッタ10を開放状態とする。これにより、撮像素子12には撮影レンズからの光線が入射して撮像が可能となる。続いて、制御部41は、撮像素子12により撮像動作を行うように信号処理回路43に対して指示を出す。制御部41は、撮像動作が開始されると、得られた撮像画像を表示器47に表示するように制御する。こうしてライブビュー動作が開始される。
【0053】
次にステップS112において、制御部41は、表示器47に表示されるライブビュー画像の明るさや色合いが適切なものとなるように、撮像された画像データから露出(AE)制御やホワイトバランス(WB)制御のためのデータを入手する。更に、制御部41は、入手したデータを基に撮像素子12の電荷蓄積時間や色処理の補正を行う。露出制御用のデータからは本撮像時の露出値EVTも演算される。必要に応じてシャッタ速度や絞り値といった露出制御データもステップS108と同様に演算される。
【0054】
次にステップS113において、制御部41は、信号処理回路43により撮像画像から顔検出処理を行う。顔検出処理では、特開2005−184508号公報に記載されているように、画像データの中から目と口の特徴エッジを抽出して人物の顔位置を検知し、更に目と口を包含する輪郭を検出し、その重心位置を求めると共に輪郭内の領域の輝度を算出する。更に、算出された重心位置に基づいて撮像画面内の顔位置情報を求め、輪郭情報から顔大きさ情報を求める。
【0055】
次にステップS114において、制御部41は、信号処理回路43で求められた顔位置情報及び顔大きさ情報を入手し、RAM41eに格納する。尚、顔位置情報は、撮像画面内の例えば中央或いは左上端といった所定のポイントを原点としたx座標、y座標のようなもので良い。また、顔大きさ情報は、顔領域が広がる範囲を示すデータとして、顔位置情報を中心とした円の半径を表すデータ或いは正方形の一辺の長さデータといったもので良い。
【0056】
次にステップS115において、制御部41は、レリーズスイッチ48が操作者によりオンされるのを待つ。レリーズスイッチ48がオンされていない場合は、ステップS112に戻り、ステップS112〜ステップS114の処理を繰り返す。レリーズスイッチ48がオンされている場合は、ステップS116に進む。
【0057】
次にステップS116において、制御部41は、シャッタ駆動部42に対して制御信号を出力することでシャッタ10を閉じてライブビュー動作を終了する。続いて、制御部41は、第1のモータドライバ45に制御信号を出力することで第1のモータ46を駆動し、主ミラー13及び第1の反射ミラー14を跳ね上げ状態から一度ダウンさせると共にシャッタ10をチャージする。
【0058】
次にステップS117において、制御部41は、測光用センサ26から35分割された各受光部PD1〜PD35の信号を読み出しながらA/D変換を行い、撮像画面各部のプリ発光(予備発光)直前の輝度情報を入力する。ここで、測光用センサ26の各受光部毎のプリ発光直前の輝度情報(輝度値)をP(i)と呼ぶこととする。続いて、制御部41は、フラッシュ制御部61と通信を行い、発光部34(フラッシュ)のプリ発光を指示する。
【0059】
これにより、フラッシュ制御部61は、発光量センサ37の出力信号に基づき発光部34が予め設定されたプリ発光量だけ発光するように発光部34を発光させる。このプリ発光が行われている間の被写体の輝度情報を得るために、制御部41は、測光用センサ26から35分割された各受光部PD1〜PD35の信号を読み出しながらA/D変換を行い、撮像画面各部のプリ発光時輝度情報を入力する。ここで、測光用センサ26の各受光部毎のプリ発光時の輝度情報(輝度値)をH(i)と呼ぶこととする。尚、ここでiは35分割された各受光部に対応した1〜35のことである。
【0060】
次にステップS118において、制御部41は、発光部34(フラッシュ)の本発光量(本発光ゲイン)を決定する演算を行う。具体的な演算処理については図7のフローチャートを用いて後述する。
【0061】
次にステップS119において、制御部41は、第1のモータドライバ45に制御信号を出力することで第1のモータ46を駆動し、主ミラー13及び第1の反射ミラー14を上方に跳ね上げる。続いて、制御部41は、上記ステップS107にて演算された絞り値情報を交換レンズ2のレンズ制御部51に対して出力する。
【0062】
レンズ制御部51は、絞り値情報に従って絞り31を駆動するように第3のモータドライバ54に制御信号を出力することで第3のモータ55を駆動する。これにより、撮影レンズは絞り込み状態となる。
【0063】
次にステップS120において、制御部41は、シャッタ駆動部42に対して制御信号を出力することでシャッタ10を開放状態とする。これにより、撮像素子12には撮影レンズからの光線が入射して撮像が可能となる。続いて、制御部41は、上記ステップS107にて演算されたシャッタ時間に従って撮像素子12の電荷蓄積時間を設定して撮像素子12により撮像を行うように、信号処理回路43に対して指示を出す。また、制御部41は、撮像タイミングに同期してフラッシュ装置3のフラッシュ制御部61に対して発光部34(フラッシュ)の発光指示を与える。
【0064】
フラッシュ制御部61は、発光指示に従って、上記ステップS118にて演算された本発光量(本発光ゲイン)に対応する発光量となるように、発光量センサ37の出力信号に基づき発光部34を発光させる。これにより、フラッシュ発光を伴った撮像が行われる。撮像が終了すると、制御部41は、シャッタ駆動部42に対して制御信号を出力することでシャッタ10を遮光状態とする。これにより、撮像素子12に対する撮影レンズからの光線が遮断される。
【0065】
次にステップS121において、制御部41は、交換レンズ2のレンズ制御部51に対して絞り31を開放するように情報を出力する。レンズ制御部51は、この情報に従って絞り31を駆動するように第3のモータドライバ54に制御信号を出力することで第3のモータ55を駆動する。これにより、撮影レンズは絞り開放状態となる。更に、制御部41は、第1のモータドライバ45に制御信号を出力することで第1のモータ46を駆動し、主ミラー13及び第1の反射ミラー14をダウンさせる。
【0066】
次にステップS122において、制御部41は、撮像画像情報を撮像素子12からA/D変換しながら読み出し、必要な補正処理や補間処理を行うように信号処理回路43に対して指示を出す。
【0067】
次にステップS123において、制御部41は、信号処理回路43に対して指示を出して撮像画像情報に対してホワイトバランス調整を行う。具体的には、撮像画像情報において1画面内を複数に分割し、各領域毎の色差信号から被写体の白色領域を抽出する。更に、抽出された白色領域の信号に基づいて撮像画面全体の赤チャンネル及び青チャンネルのゲイン補正を行いホワイトバランス調整を行う。
【0068】
次にステップS124において、制御部41は、ホワイトバランス調整が行われた撮像画像情報を記録ファイルフォーマットに圧縮変換して記憶部44に記憶するように信号処理回路43に対して指示を出す。ステップS101〜124で一連の撮影シーケンスが終了する。
【0069】
次に、上記図6bのステップS118で行う発光部34(フラッシュ)の本発光量(本発光ゲイン)を決定する演算処理について図7のフローチャートに従って説明する。
【0070】
図7は、発光部の本発光量(本発光ゲイン)を決定する演算処理の詳細を示すフローチャートである。
【0071】
図7において、ステップS151では、制御部41は、測光用センサ26の各測光エリア(測光領域)毎にプリ発光直前の輝度値P(i)とプリ発光時の輝度値H(i)とから、プリ発光時の反射光分のみの輝度値(被写体反射光量)D(i)を算出する。プリ発光直前の輝度値P(i)とプリ発光時の輝度値H(i)とはそれぞれ圧縮系での値であるため、下式で示すようにP(i)とH(i)とのべき乗をとって伸長させてから差分をとり、差分値を対数圧縮する演算を行う。
【0072】
D(i)=log2(2H(i)−2P(i))
ここで、iは35分割された測光用センサ26の各受光部(測光エリア)に対応した1〜35のことである。
【0073】
次にステップS152において、制御部41は、測光用センサ26の各測光エリア毎にプリ発光直前の輝度値P(i)とプリ発光時の輝度値H(i)とから、下式で示すように輝度値の比R(i)を演算する。
【0074】
R(i)=H(i)−P(i)
プリ発光直前の輝度値P(i)とプリ発光時の輝度値H(i)とはそれぞれ圧縮系での値であるため、この差分をとることは輝度値の比をとることと等価である。
【0075】
輝度値の比を求める理由は、特開2005−275265号公報に記載されているように、35分割された測光用センサ26の各測光エリアにおいて輝度値の比の値が一致する測光エリアは被写体までの距離が一致する測光エリアとみなせることによる。
【0076】
次にステップS153において、制御部41は、被写体の距離に関する情報から下式で示すように所定値LVL0及びLVL1を演算する。LVL0は、上記ステップS102或いはステップS106にてレンズ制御部51から得られる距離エンコーダ56の情報(被写体までの物体距離に関する距離情報D)と、プリ発光時の発光光量に関する情報C2とから、次のように計算する。即ち、その距離における標準的な反射率の被写体の場合の反射輝度を考慮して計算する。
【0077】
LVL0は、距離情報Dでの標準的な反射率の被写体の反射輝度よりも少し高くなるように決める。これは、距離情報Dが実際は多少の誤差を持つことを考慮して、その誤差分の程度だけLVL0を高くしておき、実際の標準的な反射率の被写体におけるプリ発光時の反射光がLVL0よりも高くならないようにするためである。
【0078】
LVL0=−log2(D)×2+C2
一方、LVL1は、LVL0に対してC3を減じて決定される。C3は実際の標準的な反射率の被写体のプリ発光時の反射光がLVL1を下回らないように、距離情報Dの誤差等を考慮して決定される。
【0079】
LVL1=LVL0−C3
このように、距離情報Dから通常は被写体のプリ発光時の反射光は所定値LVL0とLVL1の間に入る前提で以下のフラッシュ本発光量を決定するための演算が行われる。
【0080】
尚、レンズ交換可能な一眼レフタイプのカメラの場合には、カメラ本体に装着されたレンズによっては距離エンコーダ56を装備していないために距離情報Dは得られないといったこともある。ここで、その場合の所定値LVL0及びLVL1の算出方法を記す。
【0081】
まず、LVL0は撮影レンズの焦点距離情報に基づいて図8に示すLVL0決定用テーブル(table1)を参照して決定する。
【0082】
LVL0=table1(f)
LVL0決定用テーブルは、撮影レンズの焦点距離(f)とLVL0との対応関係を示すテーブルである。
【0083】
例えば撮影レンズの焦点距離(f)が28mmであれば(f<40mm)、0.5mの距離に標準的な反射率の被写体があった場合の反射輝度(0.5mにおける標準反射光)をLVL0とする。一般的に焦点距離28mmの撮影レンズを使って撮影を行う場合に、0.5mよりも近距離の被写体を撮影する頻度は極めて低いことから、殆どの場合に実際のプリ発光時の反射光量としてはLVL0よりも低くなる。
【0084】
以下同様に、焦点距離50mmの撮影レンズであれば0.8mの距離に標準的な反射率の被写体があった場合の反射輝度をLVL0とするという考え方で、図8のLVL0決定用テーブルは構成されている。撮影レンズの焦点距離に対してはある程度のステップで区切る方が合理的なので、LVL0決定用テーブルではそのように焦点距離を区切っている。
【0085】
一方、距離情報Dが得られない場合のLVL1はLVL0からC1を減じて算出される。C1は経験則的に被写体からのプリ反射光量がLVL1よりも下回ることは無いように決められる。例えば焦点距離50mmの撮影レンズでフラッシュ撮影する場合に、被写体から6.4mより遠くに離れて撮影する確率は極めて低いとすれば、LVL0を決定する際の距離0.8mの場合に対して被写体からの反射光は6段低くなるのでC1は6とする。
【0086】
LVL1=LVL0−C1
LVL0及びLVL1は共に圧縮系での値である。
【0087】
次にステップS154において、制御部41は、信号処理回路43から顔位置情報及び顔大きさ情報が入手できているかどうかをチェックする。ライブビュー動作が開始されて上記ステップS114が実行されている場合は、顔位置情報及び顔大きさ情報が入手できている。そうでない場合は、上記ステップS114にて顔位置情報及び顔大きさ情報はクリアされているので、顔位置情報及び顔大きさ情報が入手できてはいないことになる。顔位置情報及び顔大きさ情報が入手できていない場合はステップS155へ進む。
【0088】
次にステップS155において、制御部41は、後述する基準値BaseRを選択するための選択肢エリアを限定する係数K(i)を規定のデフォルト値に設定する。係数K(i)は、図9(a)に示すように測光用センサ26における35分割された各測光エリアに対してそれぞれ設定される。規定のデフォルト値とは、図9(b)に示すようにK(1)〜K(8)、K(14)、K(15)、K(21)、K(22)、K(28)、K(29)、K(35)の各値が0で、それ以外の各値は1である。
【0089】
他方、上記ステップS154にて顔位置情報及び顔大きさ情報が入手できている場合は、ステップS156へ進む。ステップS156において、制御部41は、基準値BaseRを選択するための選択肢エリアを限定する係数K(i)を、顔位置情報に応じて規定のデフォルト値から変更または該デフォルト値に設定する。
【0090】
例えば、顔位置情報から図9(c)に示すように撮像画面中央付近に人物の顔が存在する場合には、係数K(i)は規定のデフォルト値のままである。顔位置情報から図9(d)に示すように撮像画面左端に寄った位置に人物の顔が存在する場合には、係数K(i)は規定のデフォルト値に対してK(8)、K(15)、K(22)、K(29)の4箇所の値を0から1に変更する。
【0091】
図示してはいないが、同様に、顔位置情報から撮像画面右端に寄った位置に人物の顔が存在する場合には、係数K(i)は規定のデフォルト値に対してK(14)、K(21)、K(28)、K(35)の4箇所の値を0から1に変更する。顔位置情報から撮像画面上部に寄った位置に人物の顔が存在する場合には、係数K(i)は規定のデフォルト値に対してK(2)〜K(6)の5箇所の値を0から1に変更する。
【0092】
即ち、制御部41は、基準値BaseR(基準となる比の値)を抽出する際に抽出対象となる測光領域を限定する係数を、信号処理回路43により得た顔位置情報・顔大きさ情報(顔情報)に応じて設定する。
【0093】
尚、図9(f)に示すように顔大きさ情報がかなり大きい値を示していて撮像画面ほぼ全域が人物の顔であるような場合は、顔位置情報に従って撮像画面端部の係数K(i)の値を変更しても本発光量の演算結果に対して大きな意味を持たなくなる。これは、結果的に撮像画面中央付近の測光用センサ26の測光領域の多数のセンサ部に顔領域がかかるためである。よって、顔大きさ情報が所定以上大きい場合には、係数K(i)は図9(a)に示した規定のデフォルト値のままとしても良い。
【0094】
次にステップS157において、制御部41は、測光用センサ26における35分割された測光エリアで係数K(i)が1となっている測光エリアの中から、輝度値D(i)が所定値LVL0とLVL1との間に入っている領域を抽出する。これにより、ガラス等の鏡面物体からの正反射により輝度値D(i)が異常に高くなっている測光エリアや、発光部34のフラッシュ光が届かないくらいに距離が離れていて輝度値D(i)が非常に低くなっている測光エリアが除外される。その結果、主被写体が存在しそうな測光エリアが抽出される。
【0095】
尚、プリ発光時の輝度値H(i)の値は輝度値D(i)の値と大きく変わらないことが多いので(プリ発光直前の輝度値P(i)が小さい場合が多いので)、該ステップS157では輝度値D(i)の代わりにプリ発光時の輝度値H(i)を使用してもよい。
【0096】
尚、係数K(i)が1の測光エリアのみから抽出を行っているので、通常、K(i)が規定のデフォルト値のままである条件では撮像画面の上端や左右端といった主被写体を配置しそうにない測光エリアは、やはり抽出対象から除外される。顔位置情報に応じて係数K(i)が0から1に変更された測光エリアは、人物の顔という主被写体が存在する可能性がある領域として抽出の候補に変更されていることになる。
【0097】
次にステップS158において、制御部41は、抽出された測光エリアの中で一番近距離にある被写体が主被写体である可能性が高いので、次のように基準エリアを選択する。即ち、上述したプリ発光直前(予備発光動作の前)の輝度値P(i)(第1の輝度値)と、プリ発光時(予備発光動作中)の輝度値H(i)(第2の輝度値)との比R(i)が最大値となっている測光エリアを基準エリアとして選択する。その基準エリアにおけるR(i)の値を基準値BaseR(基準となる比の値)と呼び、基準値BaseRとR(i)の値が同一の値を示している測光エリアを主被写体エリアとする。
【0098】
次にステップS159において、制御部41は、測光用センサ26におけるi=1〜35の全ての測光エリアにおいて下式で示すように輝度値の比R(i)と基準値BaseRとの差RR(i)を算出する。
【0099】
RR(i)=baseR−R(i)
輝度値の比R(i)と基準値BaseRとは共に圧縮系での値なので、RR(i)は基準エリアのR(i)とその他の測光エリアのR(i)との比を算出していることになる。RR(i)の値が小さくなる測光エリアというのは、主被写体エリアであると想定し基準値BaseRとなった測光エリアの被写体と略等価な距離に被写体が存在する測光エリアである。
【0100】
一方、RR(i)の値が正の方向に大きくなる測光エリアというのは、主被写体エリアであると想定し基準値BaseRとなった測光エリアの被写体よりも遠くに離れていた被写体が存在していると見なせる測光エリアである。逆に、RR(i)の値が負の方向に大きくなる測光エリアというのは、主被写体エリアであると想定し基準値BaseRとなった測光エリアの被写体よりも近くにあると見なせる測光エリアである。
【0101】
即ち、こうした測光エリアは、被写体において主被写体以外に手前に障害物が存在する測光エリアや、ガラス等の鏡面による正反射が発生して異常に高い反射光量が得られた測光エリアであると考えられる。
【0102】
次にステップS160において、制御部41は、測光用センサ26におけるi=1〜35の全ての測光エリアにおいて算出されたRR(i)に応じて重み付け係数W(i)を決定する。具体的には、各測光エリアのRR(i)の値より図10に示すW(i)値決定用テーブル(table2)を参照して下式で示すようにW(i)を求める。
【0103】
W(i)=table2(RR(i))
W(i)値決定用テーブルは、RR(i)とW(i)との対応関係を示すテーブルである。
【0104】
W(i)値決定用テーブルによれば、RR(i)の値が基準値BaseRとなった測光エリアが重み付け上の最大値12がW(i)として与えられる。RR(i)の値が基準値BaseRと同一またはごく近い値となった測光エリアほどW(i)は高い値が与えられる。このような領域は主被写体領域または主被写体とほぼ同一距離の被写体とみなしているからである。RR(i)値の絶対値が0から大きくなるに従ってその測光エリアに与えられる重み付け係数W(i)は徐々に小さくなる。これは、主被写体であると仮定した測光エリアの被写体とは異なる被写体領域である可能性が高くなるからである。
【0105】
このように、各測光エリア毎に存在する被写体までの距離に応じて重み付け係数を与えて次ステップ以降による本発光量演算を行う。これにより、撮影毎に撮像画面内での主被写体位置が移動している場合や同一シーンを少しだけ構図を変えて撮影した場合などにおいても、略同様な本発光量を演算できるため、1枚毎に異なる露出結果になることを防止することができる。
【0106】
尚、上記ステップS155或いはステップS156で、K(i)の値が0とされて基準値BaseRを選択する選択肢からは外された測光エリアにおいても、RR(i)の値が基準値BaseRに近い値であれば重み付け係数W(i)は大きなものが与えられる。本実施の形態のこの点が、特開2005−184508号公報に記載されているように顔領域を検出し、検出された顔領域を調光領域に設定して本発光量を演算する手法とは異なる点である。
【0107】
次にステップS161において、制御部41は、下式で示すように測光用センサ26におけるi=1〜35の全ての測光エリアの被写体の反射光の重み付け演算を行う。
【0108】
AVE=Σ(D(i)×W(i))/ΣW(i)
この重み付け演算により、主被写体エリアと見なした測光エリアと同一距離の被写体であると想定される測光エリアほど重み付けが大きくなった撮像画面全体の反射光の平均値AVEが算出される。
【0109】
次にステップS162において、制御部41は、上記ステップS108或いはステップS112で決定されているシャッタ速度と絞り値とのアペックス値に基づく露出値EVTと、ステップS161で演算したAVEから、本発光の発光量Gを演算する。
【0110】
G=EVT−AVE
即ち、制御部41は、係数に応じて抽出された基準値BaseR(基準となる比の値)と、測光用センサ26の各測光領域のプリ発光直前の輝度値とプリ発光時の輝度値との比の値とを比較し、比較結果に基づき露光動作時の発光部34の発光量を演算する。
【0111】
本発光の発光量Gは、プリ発光時のフラッシュ発光量に対する本発光の相対値となる。発光量Gの値は、カメラ本体1の制御部41から通信によりフラッシュ装置3のフラッシュ制御部61に送信される。これにより、ステップS120にて発光量Gに従った発光量にて本発光が行われることで所望のフラッシュ撮像が行われる。
【0112】
〔第2の実施の形態〕
本発明の第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態に対して、下記の点において相違する。本実施の形態のその他の要素は、上記第1の実施の形態(図1〜図5)の対応するものと同一なので説明を省略する。
【0113】
上記第1の実施の形態では、基準値BaseRを選択するための選択肢エリアを限定する係数K(i)を顔位置情報や顔大きさ情報が入手できていない状態では、図9(b)に示すデフォルト値に設定した。また、顔位置情報や顔大きさ情報が入手できている状態では、デフォルト値のうち一部を変更した。これに対し、本実施の形態では以下のような設定を行う。
【0114】
図11(a)〜図11(e)は、本実施の形態に係る基準値BaseRを選択するための選択肢エリアを限定する係数K(i)の設定組み合わせテーブルの例を示す図である。
【0115】
図11(a)〜図11(e)において、係数K(i)は、図11(a)のデーブルでは、K(1)〜K(8)、K(14)、K(15)、K(21)、K(22)、K(28)、K(29)、K(35)の各値が0で、それ以外の各値は1である。係数K(i)は、図11(b)のデーブルでは、K(1)〜K(7)、K(13)、K(14)、K(20)、K(21)、K(27)、K(28)、K(34)、K(35)の各値が0で、それ以外の各値は1である。
【0116】
係数K(i)は、図11(c)のデーブルでは、K(1)〜K(9)、K(15)、K(16)、K(22)、K(23)、K(29)、K(30)の各値が0で、それ以外の各値は1である。係数K(i)は、図11(d)のデーブルでは、K(1)、K(7)、K(8)、K(14)、K(15)、K(21)、K(22)、K(28)〜K(35)の各値が0で、それ以外の各値は1である。係数K(i)は、図11(e)のデーブルでは、K(1)、K(7)、K(29)、K(35)の各値が0で、それ以外の各値は1である。
【0117】
上述した5種類の係数K(i)の設定組み合わせテーブル(係数値テーブル)には、測光エリア(測光領域)を限定する係数が各測光エリア毎(各測光領域毎)に予め設定されている。制御部41は、5種類の係数K(i)の設定組み合わせテーブルから適する係数を顔情報(顔位置情報、顔大きさ情報)に基づいて選択する。
【0118】
上記図7のステップS155では顔位置情報及び顔大きさ情報がクリアされているので、標準的なK(i)値のテーブルである図11(a)のデーブルを選択する。また、ステップS156では入力されている顔位置情報が撮像画面左端寄りを示す情報であれば、図11(b)のデーブルを選択する。入力されている顔位置情報が撮像画面右端寄りを示す情報であれば、図11(c)のデーブルを選択する。
【0119】
入力されている顔位置情報が撮像画面上端寄りを示す情報であれば、図11(d)のデーブルを選択する。入力されている顔位置情報が撮像画面中央付近或いは撮像画面下端寄りを示す情報であれば、図11(a)のデーブルを選択する。また、入力されている顔大きさ情報が所定以上大きい場合には、顔位置情報に因らずに図11(e)のテーブルを選択する。その他の構成やフローチャートは全て上記第1の実施の形態にて説明したものを適用できる。
【0120】
尚、係数K(i)の設定組み合わせテーブルの数を5としたのはあくまで一例であり、これに限定されるものではない。顔位置情報と顔大きさ情報との組み合わせにより選択肢をマトリクス的に切り替える構成とすることも可能である。
【0121】
以上説明したように第1及び第2の実施の形態によれば、以下のような制御を行うことで各種の効果を奏することができる。カメラ本体1の制御部41は、露光動作に先立ち被写体に向けてフラッシュ装置3の発光部34のプリ発光(予備発光)動作を指示する。プリ発光直前の第1のタイミングとプリ発光動作中の第2のタイミングとのそれぞれにおいて、測光用センサ26により複数の測光エリアの被写体輝度を測光する。また、制御部41は、露光動作に先立ち人物の顔情報(顔位置情報、顔大きさ情報)を信号処理回路43から入力する。
【0122】
制御部41は、第1のタイミングで測光した第1の測光情報(プリ発光直前の輝度値)P(i)と、第2のタイミングで測光した第2の測光情報(プリ発光動作中の輝度値)H(i)との比R(i)を、各測光エリアについて演算する。次に、制御部41は、各測光エリアにおける比R(i)の中から基準BaseR(基準となる比の値)を抽出する。
【0123】
次に、制御部41は、基準BaseRを抽出する際に抽出対称となる測光エリアを限定する係数K(i)を、人物の顔情報に応じて設定する。次に、制御部41は、係数K(i)の値に応じて、基準BaseRと各測光エリアの比の値R(i)とを比較し、比較した結果に基づいて露光動作時のフラッシュ装置3の発光部34発光量を演算する。
【0124】
上記のように、主被写体(人物の顔)が撮像画面の中央付近にある場合と撮像画面の周辺付近にある場合とで、基準値BaseRを抽出する測光エリアに適切な限定をかける(測光エリアを絞り込む)。これにより、撮影者の期待通りの露出となる確率をより高めることが可能となる。
【0125】
上記第1及び第2の実施の形態に記載の何れの構成例においても、顔位置情報が入手できていない撮影状況では、基準値BaseRを選択するための選択肢エリア(測光エリア)を限定する係数K(i)を次のように設定している。即ち、図9(b)或いは図11(a)に示したような通常は主被写体が存在する確率がごく低い撮像画面周辺部領域において係数K(i)を0とする。
【0126】
従って、撮像画面周辺部に撮影意図とあまり関係なく入ってしまった物体が存在する領域を基準値BaseRの領域として選択してしまいフラッシュ発光レベルが不適切になる可能性を低くすることが可能となる。これにより、撮影者の意図する主被写体領域を抽出する精度、即ち、撮影者の期待通りの露出となる確率をより高めることが可能となる。
【0127】
一方、顔位置情報が入手できている撮影状況では、顔位置情報に応じて図9(e)或いは図11(b)〜(d)に示したような係数K(i)に変更する。そして、主被写体である可能性が極めて高い人物の顔を含む領域のK(i)値を1にすることで、撮像画面周辺部領域であっても基準値BaseRの選択肢エリアとする。人物の顔が存在しない周辺部領域のK(i)値は0のままである。
【0128】
従って、上記と同様に、撮像画面周辺部に撮影意図とあまり関係なく入ってしまった物体が存在する領域を基準値BaseRの領域として選択してしまいフラッシュ発光レベルが不適切になる可能性を低くすることが可能となる。これにより、撮影者の意図する主被写体領域を抽出する精度、即ち、撮影者の期待通りの露出となる確率をより高めることが可能となる。
【0129】
また、特開2005−275265号公報と同様に、主被写体領域及びそれと等価な距離にある領域に対して高い重み付けをおいて本発光量を決定したフラッシュ発光による撮像が可能となる。これにより、同じような撮影シーンでの被写体の移動や構図を変更した時にフラッシュ発光量が変化して撮像結果の露出がばらつくことを抑止する効果を維持することが可能となる。
【0130】
〔他の実施の形態〕
上記第1及び第2の実施の形態では、本発明の顔情報として顔位置情報と顔大きさ情報を用いる場合を例に挙げたが、これに限定されるものではない。本発明は顔情報として顔位置情報のみを用いる場合にも適用可能である。
【0131】
また、本発明の目的は、以下の処理を実行することによって達成される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。
【0132】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0133】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、次のものを用いることができる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等である。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0134】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現される場合も本発明に含まれる。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0135】
更に、前述した実施形態の機能が以下の処理によって実現される場合も本発明に含まれる。即ち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行う場合である。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置としてのカメラ本体、交換レンズ、フラッシュ装置の内部構成を示す構成図である。
【図2】カメラの焦点検出用センサの構成例を示す図である。
【図3】カメラの測光用センサの構成例を示す図である。
【図4】焦点検出用センサによる撮像画面内の焦点検出位置と35分割された測光用センサとの対応位置関係を示す図である。
【図5】カメラ本体、交換レンズ、フラッシュ装置の電気回路の構成例を示すブロック図である。
【図6a】カメラにおける本発明に関わる具体的な動作シーケンスを示すフローチャートである。
【図6b】カメラにおける本発明に関わる具体的な動作シーケンスを示すフローチャートである。
【図7】発光部の本発光量(本発光ゲイン)を決定する演算処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】LVL0決定用テーブルの例を示す図である。
【図9】(a)〜(f)は、K(i)値を示す図である。
【図10】W(i)値決定用テーブルの例を示す図である。
【図11】(a)〜(e)は、本発明の第2の実施の形態に係る基準値BaseRを選択するための選択肢エリアを限定する係数K(i)の設定組み合わせテーブルの例を示す図である。
【符号の説明】
【0137】
1 カメラ本体
2 交換レンズ
3 フラッシュ装置
12 撮像素子
20 焦点検出用センサ
26 測光用センサ
34 発光部
37 発光量センサ
41 制御部
43 信号処理回路
61 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に対して発光を行う発光手段を用いた撮影が可能な撮像装置において、
複数に分割された測光領域を有し、各測光領域の被写体輝度を測光する測光手段と、
露光動作に先立ち被写体に含まれる人物の顔を検出し顔情報を得る検出手段と、
前記発光手段による予備発光動作の前に前記測光手段により測光された第1の輝度値と、前記発光手段による予備発光動作中に前記測光手段により測光された第2の輝度値との比を、各測光領域について演算する第1の演算手段と、
前記第1の演算手段により演算された各測光領域における前記第1の輝度値と前記第2の輝度値との比の中から基準となる比の値を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により前記基準となる比の値を抽出する対象となる測光領域を限定する係数を、前記検出手段から入力された顔情報に応じて設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された係数に応じて前記抽出手段により抽出された前記基準となる比の値と、前記第1の演算手段により演算された各測光領域の比の値とを比較し、比較した結果に基づいて露光動作時の前記発光手段の発光量を演算する第2の演算手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記検出手段から前記顔情報が入力されていない状態では、前記測光領域を限定する係数を規定のデフォルト値に設定し、前記検出手段から前記顔情報が入力された状態では、前記測光領域を限定する係数を前記顔情報に応じて前記デフォルト値から変更または前記デフォルト値に設定することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記設定手段は、前記測光領域を限定する係数が各測光領域毎に予め設定されている係数値テーブルから適する係数を前記検出手段から入力された前記顔情報に基づいて選択することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
前記顔情報は、前記撮像装置の撮像画面における被写体に含まれる人物の顔の位置を示す顔位置情報であることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項5】
前記顔情報は、前記撮像装置の撮像画面における被写体に含まれる人物の顔の位置を示す顔位置情報と、人物の顔の大きさを示す顔大きさ情報であることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項6】
被写体に対して発光を行う発光手段を用いた撮影が可能な撮像装置の制御方法において、
複数に分割された測光領域を有し、各測光領域の被写体輝度を測光する測光ステップと、
露光動作に先立ち被写体に含まれる人物の顔を検出し顔情報を得る検出ステップと、
前記発光手段による予備発光動作の前に前記測光ステップにより測光された第1の輝度値と、前記発光手段による予備発光動作中に前記測光ステップにより測光された第2の輝度値との比を、各測光領域について演算する第1の演算ステップと、
前記第1の演算ステップにより演算された各測光領域における前記第1の輝度値と前記第2の輝度値との比の中から基準となる比の値を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにより前記基準となる比の値を抽出する対象となる測光領域を限定する係数を、前記検出ステップにより得られた顔情報に応じて設定する設定ステップと、
前記設定ステップにより設定された係数に応じて前記抽出ステップにより抽出された前記基準となる比の値と、前記第1の演算ステップにより演算された各測光領域の比の値とを比較し、比較した結果に基づいて露光動作時の前記発光手段の発光量を演算する第2の演算ステップと、を有することを特徴とする制御方法。
【請求項7】
被写体に対して発光を行う発光手段を用いた撮影が可能な撮像装置の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、前記制御方法は、
複数に分割された測光領域を有し、各測光領域の被写体輝度を測光する測光ステップと、
露光動作に先立ち被写体に含まれる人物の顔を検出し顔情報を得る検出ステップと、
前記発光手段による予備発光動作の前に前記測光ステップにより測光された第1の輝度値と、前記発光手段による予備発光動作中に前記測光ステップにより測光された第2の輝度値との比を、各測光領域について演算する第1の演算ステップと、
前記第1の演算ステップにより演算された各測光領域における前記第1の輝度値と前記第2の輝度値との比の中から基準となる比の値を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにより前記基準となる比の値を抽出する対象となる測光領域を限定する係数を、前記検出ステップにより得られた顔情報に応じて設定する設定ステップと、
前記設定ステップにより設定された係数に応じて前記抽出ステップにより抽出された前記基準となる比の値と、前記第1の演算ステップにより演算された各測光領域の比の値とを比較し、比較した結果に基づいて露光動作時の前記発光手段の発光量を演算する第2の演算ステップと、を有することを特徴とするプログラム。
【請求項1】
被写体に対して発光を行う発光手段を用いた撮影が可能な撮像装置において、
複数に分割された測光領域を有し、各測光領域の被写体輝度を測光する測光手段と、
露光動作に先立ち被写体に含まれる人物の顔を検出し顔情報を得る検出手段と、
前記発光手段による予備発光動作の前に前記測光手段により測光された第1の輝度値と、前記発光手段による予備発光動作中に前記測光手段により測光された第2の輝度値との比を、各測光領域について演算する第1の演算手段と、
前記第1の演算手段により演算された各測光領域における前記第1の輝度値と前記第2の輝度値との比の中から基準となる比の値を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により前記基準となる比の値を抽出する対象となる測光領域を限定する係数を、前記検出手段から入力された顔情報に応じて設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された係数に応じて前記抽出手段により抽出された前記基準となる比の値と、前記第1の演算手段により演算された各測光領域の比の値とを比較し、比較した結果に基づいて露光動作時の前記発光手段の発光量を演算する第2の演算手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記検出手段から前記顔情報が入力されていない状態では、前記測光領域を限定する係数を規定のデフォルト値に設定し、前記検出手段から前記顔情報が入力された状態では、前記測光領域を限定する係数を前記顔情報に応じて前記デフォルト値から変更または前記デフォルト値に設定することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記設定手段は、前記測光領域を限定する係数が各測光領域毎に予め設定されている係数値テーブルから適する係数を前記検出手段から入力された前記顔情報に基づいて選択することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
前記顔情報は、前記撮像装置の撮像画面における被写体に含まれる人物の顔の位置を示す顔位置情報であることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項5】
前記顔情報は、前記撮像装置の撮像画面における被写体に含まれる人物の顔の位置を示す顔位置情報と、人物の顔の大きさを示す顔大きさ情報であることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項6】
被写体に対して発光を行う発光手段を用いた撮影が可能な撮像装置の制御方法において、
複数に分割された測光領域を有し、各測光領域の被写体輝度を測光する測光ステップと、
露光動作に先立ち被写体に含まれる人物の顔を検出し顔情報を得る検出ステップと、
前記発光手段による予備発光動作の前に前記測光ステップにより測光された第1の輝度値と、前記発光手段による予備発光動作中に前記測光ステップにより測光された第2の輝度値との比を、各測光領域について演算する第1の演算ステップと、
前記第1の演算ステップにより演算された各測光領域における前記第1の輝度値と前記第2の輝度値との比の中から基準となる比の値を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにより前記基準となる比の値を抽出する対象となる測光領域を限定する係数を、前記検出ステップにより得られた顔情報に応じて設定する設定ステップと、
前記設定ステップにより設定された係数に応じて前記抽出ステップにより抽出された前記基準となる比の値と、前記第1の演算ステップにより演算された各測光領域の比の値とを比較し、比較した結果に基づいて露光動作時の前記発光手段の発光量を演算する第2の演算ステップと、を有することを特徴とする制御方法。
【請求項7】
被写体に対して発光を行う発光手段を用いた撮影が可能な撮像装置の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、前記制御方法は、
複数に分割された測光領域を有し、各測光領域の被写体輝度を測光する測光ステップと、
露光動作に先立ち被写体に含まれる人物の顔を検出し顔情報を得る検出ステップと、
前記発光手段による予備発光動作の前に前記測光ステップにより測光された第1の輝度値と、前記発光手段による予備発光動作中に前記測光ステップにより測光された第2の輝度値との比を、各測光領域について演算する第1の演算ステップと、
前記第1の演算ステップにより演算された各測光領域における前記第1の輝度値と前記第2の輝度値との比の中から基準となる比の値を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにより前記基準となる比の値を抽出する対象となる測光領域を限定する係数を、前記検出ステップにより得られた顔情報に応じて設定する設定ステップと、
前記設定ステップにより設定された係数に応じて前記抽出ステップにより抽出された前記基準となる比の値と、前記第1の演算ステップにより演算された各測光領域の比の値とを比較し、比較した結果に基づいて露光動作時の前記発光手段の発光量を演算する第2の演算ステップと、を有することを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−246773(P2009−246773A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−92364(P2008−92364)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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