説明

撮像装置およびカメラ

【課題】本発明は、高倍率屈曲光学系の実現と、高画質な撮像の実現とを両立する撮像装置、およびカメラを提供することを課題とする。
【解決手段】撮像装置400は、第1レンズ群G1と、プリズムL5と、第3レンズ群G3と、CCDユニット33と、1群枠ユニット41と、モータユニット32と、第1遮光部材401、第2遮光部材402、第3遮光部材403と、を備える。第1遮光部材401、第2遮光部材402、第3遮光部材403は、第1レンズ群G1から入射した光のうち、プリズムL5を介さずに第3レンズ群G3に到達する光の光路上に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置およびカメラ、特に、屈曲光学系を備える撮像装置およびカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal−oxide Semiconductor)センサなどの撮像素子を用いて、光学像を電気信号に変換し、電気信号をデジタル化して記録するデジタルカメラが普及している。このようなデジタルカメラにおいては、CCDやCMOSセンサの高画素化などだけでなく、それらの撮像素子に光学像を結像させるレンズ鏡筒に対しても高性能化が求められている。具体的には、より高倍率なズームレンズ系を搭載したレンズ鏡筒が求められている。
一方、デジタルカメラの分野においては、携帯性能の向上のため、本体の小型化に対する要求がある。このため、本体の小型化に大きく貢献すると考えられる、レンズ鏡筒と撮像素子とを備える撮像装置の小型化が求められている。このような撮像装置の小型化に際しては、ズームレンズ系を光路の途中で折り曲げ、光路長を変化させずに装置の小型化を図る、いわゆる屈曲光学系の提案が行われている。
例えば、特許文献1では、反射鏡を用いて光路を折り曲げる屈曲光学系が開示されている。具体的には、特許文献1に開示されたレンズ鏡筒は、反射鏡の被写体側に、被写体側から順に第1レンズ群および第2レンズ群を備え、反射鏡の撮像素子側に、反射鏡側から順に第3レンズ群と第4レンズ群とを備えている。第1レンズ群は、固定されている。第2レンズ群および第3レンズ群は、それぞれ光軸方向に移動可能であり、それぞれの協働によりズームレンズ系を構成する。第4レンズ群は、フォーカス調整用のレンズである。
【0003】
また、特許文献2では、プリズムを用いて光路を折り曲げる屈曲光学系が開示されている。具体的には、特許文献2に開示されたレンズ鏡筒は、プリズムの被写体側に、レンズ群を備える。レンズ群は、使用位置と収納位置との間を光軸方向に移動可能である。さらに、プリズムは、レンズ群が収納位置に有る場合にその収納空間を確保するように移動可能である。
また、特許文献3では、屈曲光学系に用いられるレンズ群の構成について開示されている。
【特許文献1】特開平11−258678号公報
【特許文献2】特開2003−169236号公報
【特許文献3】特開2004−102089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、高倍率なズームレンズ系の実現と小型化の実現とに対する要求の高まりを両立するためには、さらなる改善が求められる。
具体的には、特許文献1や特許文献2に開示されている構成では、装置の小型化を実現しつつ、高倍率なズームレンズ系を構成することが難しい。さらに、特許文献3に開示されているレンズ構成を採用するとしても、装置の小型化を実現するための構成が開示されておらず、具体的な装置の構成が不明であるという問題がある。
高倍率なズームレンズ系では、被写体側に位置する第1レンズ群により集光された光が入射する反射鏡、プリズムなどは、第1のレンズ群の口径に比して小さくすることが可能であり、装置全体の小型化のためには、反射鏡、プリズムなどを小型に構成することが有利である。一方、反射鏡、プリズムなどを小さくすると、第1レンズ群から入射された光の一部が反射鏡、プリズムなどに入射せず、漏光(迷光)として撮像手段にまで到達してしまうおそれがある。このような漏光は、撮像画像の画像品質を低下させる。
このような漏光を防止するため、第1レンズ群とプリズムなどとを固定的な鏡筒によりユニット化することが考えられるが、このようなユニット化は、撮像装置やカメラの小型化に対しては不利である。
【0005】
そこで、本発明は、高倍率屈曲光学系の実現と、高画質な撮像の実現とを両立する撮像装置、およびカメラを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明としての撮像装置は、第1のレンズ群と、屈曲手段と、第2のレンズ群と、撮像手段と、第1の移動機構と、駆動手段と、遮光手段と、を備える。第1のレンズ群は、第1の光軸に沿って入射した光束を取り込む。屈曲手段は、第1の光軸に沿って入射した光束を、第1の光軸に交差する第2の光軸に沿った方向に屈曲させる。第2のレンズ群は、屈曲手段により屈曲された光束を取り込む。撮像手段は、第2のレンズ群を通過した光束を受光する。第1の移動機構は、第1のレンズ群を保持し、第1の光軸に沿った方向に第1のレンズ群と屈曲手段とを相対的に移動させる。駆動手段は、第1の移動機構を駆動する。遮光手段は、第1のレンズ群から入射した光のうち、屈曲手段を介さずに第2のレンズ群に到達する光の光路上に配置される。
ここで、第1の光軸に沿う、とは、例えば、第1の光軸に平行なこと、を意味する。また、第2の光軸に沿う、とは、例えば、第2の光軸に平行なこと、を意味する。屈曲手段は、例えば、反射面を有する部材を含み、より詳しくは、プリズム、ミラーなどを含んでもよい。駆動手段とは、例えば、駆動力を発生するモータと、発生した駆動力を第1の移動機構に伝達する駆動ギアなどの駆動力伝達手段とを備えていてもよい。撮像手段は、例えば、電気的に受光するCCD、CMOSなどであってもよいが、これに限定せず、フィルムなどで有ってもよい。
【0007】
第1のレンズ群は、例えば、屈曲手段よりも大口径に構成される。このため、屈曲手段の周囲から第2のレンズ群に到達する光の少なくとも一部を遮光するように遮光手段が設けられる。
第1のレンズ群は、屈曲手段に対する相対位置が変化可能である。このため、高倍率なズームレンズ系を構成することが可能となる。また、遮光手段は、第1のレンズ群から入射した光のうち、屈曲手段を介さずに第2のレンズ群に到達する光の光路上に配置される。これにより、高倍率の屈曲光学系であり、かつ、撮像手段に到達する漏光が軽減される。よって、より高画質な画像を撮像可能な撮像装置を提供することが可能となる。
第2の発明としての撮像装置では、第1の移動機構は、第1の移動体と、第2の移動体とを有する。第1の移動体は、屈曲手段に対して第1の光軸に沿った方向に相対的に移動可能である。第2の移動体は、第1のレンズ群を保持し、第1の移動体に対して第1の光軸に沿った方向に相対的に移動可能である。
本発明の撮像装置では、第1のレンズ群は、第1の移動体と第2の移動体とにより、撮像手段との光路に沿った相対位置が変化可能である。すなわち、第1の移動体と第2の移動体との多段により、撮像手段との相対位置を変化させることができるため、第1のレンズ群から撮像手段との光路長を長くすることができる。このため、高倍率なズームレンズ系を構成することが可能となる。また、さらなる高倍率化に伴って、第1のレンズ群は、より大口径に構成されるが、遮光手段は、屈曲手段の周囲から第2のレンズ群に到達する光の少なくとも一部を遮光するため、撮像手段に到達する漏光が軽減される。
【0008】
第3の発明としての撮像装置では、遮光手段は、第1のレンズ群から屈曲手段を介さずに第2のレンズ群を臨む開口の少なくとも一部を遮断する。
本発明では、遮光手段は、開口の少なくとも一部を遮断するため、高倍率の屈曲光学系であり、かつ、撮像手段に到達する漏光が軽減される。
第4の発明としての撮像装置は、第2のレンズ群を保持し、第2の光軸に沿った方向に第2のレンズ群と屈曲手段とを相対的に移動させる第2の移動機構をさらに備える。遮光手段の少なくとも一部は、第1の移動機構と第2の移動機構とが共有する空間に配置される。
ここで、第1の移動機構と第2の移動機構とが共有する空間とは、例えば、第1の移動機構の移動に必要な空間と、第2の移動機構の移動に必要な空間とが重複する空間のことである。
高倍率なズームレンズ系では、第1のレンズ群により集光された光が入射する屈曲手段の口径は、第1のレンズ群の口径に比して小さくすることが可能であるとともに、装置全体の小型化のためには、屈曲手段を小型に構成することが有利である。一方、屈曲手段を小型に構成するのに、第1のレンズ群と屈曲手段とを漏光が無いようにユニット化してしまうと、装置全体を十分に小型化することが難しい。そこで、第1の移動機構と第2の移動機構とが共有する空間を設け、装置全体の小型化を図っている。この際、この空間は、第1のレンズ群から屈曲手段を介さずに第2のレンズ群を臨む開口となり得るが、遮光手段がこの空間に配置されているため、第2のレンズ群に入射し、撮像手段に到達する漏光が軽減される。
【0009】
第5の発明としての撮像装置では、遮光手段の少なくとも一部は、可撓性の部材であり、第2の移動機構と当接して変形する。
遮光手段は、例えば、一部が薄肉の部材などにより構成されており、第2の移動機構の動作に応じて弾性変形し、遮光を行う。
これにより、第2の移動機構と当接しても遮光手段の損傷が防止でき、第1のレンズ群から入射した光のうち、屈曲手段を介さずに第2のレンズ群に到達する光の光路をより効率的に遮光することが可能となる。また、例えば、第2の移動機構の動作に応じて弾性変形するため、第2の移動機構の移動空間を確保することが可能となる。
第6の発明としての撮像装置では、遮光手段の少なくとも一部は、可撓性の部材であり、第1の移動機構と当接して変形する。
遮光手段は、例えば、一部が薄肉の部材などにより構成されており、第1の移動機構の動作に応じて弾性変形し、遮光を行う。
これにより、第1の移動機構と当接しても遮光手段の損傷が防止でき、第1のレンズ群から入射した光のうち、屈曲手段を介さずに第2のレンズ群に到達する光の光路をより効率的に遮光することが可能となる。また、例えば、第1の移動機構が遮光手段に当接しない場合には、遮光手段への負荷は除荷され、第2の移動機構の移動空間を確保するように元に戻る。
【0010】
第7の発明としての撮像装置では、遮光手段は、屈曲手段に対して実質的に固定される部材を含む。
遮光手段は、例えば、屈曲手段の周囲に直接、あるいは部材を介して間接的に固定され、遮光を行う。
本発明により、屈曲手段の周囲を通過し、第2のレンズ群に到達する光の光路を遮光することが可能となる。
第8の発明としての撮像装置では、遮光手段は、第2のレンズ群に対して実質的に固定される部材を含む。
遮光手段は、例えば、第2のレンズ群の周囲に直接、あるいは部材を介して間接的に固定され、遮光を行う。
本発明により、第2のレンズ群の周囲から第2のレンズ群に入射する光の光路を遮光することが可能となる。
第9の発明としての撮像装置では、遮光手段は、撮像手段に対する露光を調整する露光調整機構と撮像手段との間に配置され、第2のレンズ群の周囲の少なくとも一部を覆う部材である。
【0011】
本発明により、露光調整機構を介さずに第2のレンズ群の周囲から入射する光の光路を遮光することが可能となる。
第10の発明としての撮像装置では、遮光手段は、第2の光軸に沿った方向に対して傾斜して設けられている。
本発明により、より遮光性を高めることが可能となる。例えば、第2の光軸に沿った方向に第2のレンズ群と屈曲手段とを相対移動させる第2の移動機構に対して遮光手段を確実に当接させることなどが可能となり、遮光性を高めることが可能となる。
第11の発明としての撮像装置は、筐体の一部として被写体側を覆うカバー部材をさらに備えている。遮光手段は、カバー部材に対して傾斜して固定される。
本発明では、遮光手段は、カバー部材に対して傾斜して固定される。
第12の発明としての撮像装置では、カバー部材は、第2の光軸に沿った方向の撮像手段側に向かうにつれて第1の光軸に沿った方向の被写体側に向かうように傾斜する傾斜部を有する。遮光手段の一端は、傾斜部に対して固定される。
本発明では、遮光手段は、傾斜部に対して固定され、傾斜部以外のカバー部材に対して傾斜する。これにより、例えば、遮光手段を板状に形成してもカバー部材に対して遮光手段を傾斜させることが可能となり、傾斜角度の精度を向上させることが可能となる。
【0012】
第13の発明としてのカメラは、第1〜第12の発明としての撮像装置を含む。
本発明により、第1〜第12の発明と同様の効果を奏するカメラを提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、高倍率屈曲光学系の実現と、高画質な撮像の実現とを両立する撮像装置、およびカメラを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
〈1:概要について〉
本発明の実施形態について、図1〜図29を用いて説明する。
本発明のデジタルカメラは、光学系に屈曲光学系を採用するとともに、被写体側のレンズ鏡筒が多段に繰り出し可能に形成されている。これにより、高倍率なズームレンズ系の実現と、装置の小型化の実現とを両立する。
〈2:デジタルカメラについて〉
本発明の第1実施形態のデジタルカメラについて、図1〜図3を用いて説明する。
〔2.1:デジタルカメラの構成〕
図1は、本発明の第1実施形態のデジタルカメラ1の外観を示す斜視図である。
デジタルカメラ1は、撮像装置2と、本体部3とを備えている。撮像装置2は、第1の光軸A1に沿って入射した光束を、第1の光軸A1に直交する第2の光軸A2に沿った方向に屈曲させて撮像素子に導く屈曲光学系を備えている。本体部3は、撮像装置2を収納するとともに、撮像装置2の制御などを行う。
まず、撮像装置2の詳しい構成を説明する前に、本体部3の構成について説明を行う。
なお、以下の説明では、デジタルカメラ1の6面を以下のように定義する。
【0015】
デジタルカメラ1による撮影時に被写体側を向く面を前面、その反対側の面を背面とする。被写体の鉛直方向上下とデジタルカメラ1で撮像される長方形の像(一般には、アスペクト比(長辺対短辺の比)が3:2、4:3、16:9など)の短辺方向上下とが一致するように撮影を行う場合に、鉛直方向上側に向く面を上面、その反対側の面を底面とする。さらに、被写体の鉛直方向上下とデジタルカメラ1で撮像される長方形の像の短辺方向上下とが一致するように撮影を行う場合に、被写体側から見て左側にくる面を左側面、その反対側の面を右側面とする。なお、以上の定義は、デジタルカメラ1の使用姿勢を限定するものではない。
以上の定義によれば、図1は、前面、上面および左側面を示す斜視図ということになる。
なお、デジタルカメラ1の6面だけでなく、デジタルカメラ1に配置される各構成部材の6面も同様に定義する。すなわち、デジタルカメラ1に配置された状態の各構成部材の6面に対して、上述の定義を適用する。
また、図1に示すように、第1の光軸A1に平行なY軸と第2の光軸A2に平行なX軸とを有する3次元直交座標系(右手系)を定義する。この定義によれば、第1の光軸A1に沿って背面側から前面側に向かう方向がY軸正方向であり、第2の光軸A2に沿って右側面側から左側面側に向かう方向がX軸正方向であり、第1の光軸A1と第2の光軸A2とに直交する直交軸に沿って底面側から上面側に向かう方向がZ軸正方向となる。
【0016】
以下、それぞれの図面において、このXYZ座標系を基準として説明を行う。すなわち、それぞれの図面におけるX軸正方向、Y軸正方向、Z軸正方向は、それぞれ同じ方向を示している。
〔2.2:本体部の構成〕
図1、図2、図3(a)〜(c)を用いて、本体部3の構成について説明を行う。
図2は、デジタルカメラ1の背面、上面および右側面の外観を示す斜視図である。
図3(a)〜(c)は、本体部3の構成を概略的に示す透視図である。図3(a)は、Y軸方向正側(前面側)に配置される部材の構成を示す透視図であり、図3(b)は、Z軸方向負側(底面側)に配置される部材の構成を示す透視図であり、図3(c)は、Y軸方向負側(背面側)に配置される部材の構成を示す透視図である。
図1〜図3に示すように、本体部3は、撮像装置2を収納する筐体を構成する外装部11およびグリップ部12と、外装部11の表面に配置されるストロボ15,レリーズボタン16、操作ダイアル17および画像表示部18と、外装部11およびグリップ部12から構成される筐体の内部に配置されるメインコンデンサ20、サブ基板21、電池22、メイン基板23およびメモリカード24とから主に構成されている。
【0017】
図1に示すように、外装部11は、第2の光軸A2方向に長い、略直方体形状のハウジングであり、X軸方向正側には、撮影者が撮影時に把持するためのグリップ部12が外装部11からY軸方向に突出するように配置されている。これにより、外装部11およびグリップ部12は、略L字上の中空の筐体を構成している。外装部11からは、後述する撮像装置2の固定枠52(図9参照)がその筒状部125(図10参照)の一部をY軸方向正側に突出させている。また、外装部11の前面には、ストロボ15が配置されている。ストロボ15は、被写体が暗い時など必要に応じて閃光して被写体を照射し露光の補助を行う。また、外装部11の上面のグリップ部12側には、レリーズボタン16や操作ダイアル17が配置されている。レリーズボタン16は、撮影動作を実行する際にZ軸方向負側に向かって押下される。操作ダイアル17は、撮影動作の設定など各種設定を行う。
さらに、図2に示すように、外装部11の背面には、撮像装置2により撮影される像を撮影者などに視認させる視認手段としての画像表示部18が設けられている。画像表示部18は、例えば、アスペクト比(長辺対短辺の比)が3:2、4:3、16:9などの長方形の外形を有しており、その長辺方向が第2の光軸A2に沿った方向(X軸方向)とほぼ並行するように設けられている。
【0018】
なお、図1や図2は、外装部11の表面に配置される主な部材のみを示すものであり、説明を行った部材以外の部材が設けられていてもよい。
次に、図3を用いて、本体部3の内部構成について説明を行う。
図3(a)に示すように、本体部3の内部のY軸方向正側には、第2の光軸A2方向(X軸方向正側)に長い撮像装置2がその長手方向を外装部11の長手方向に沿わせるように配置されている。撮像装置2は、被写体に向く第1レンズ群G1を保持する1群枠ユニット41をX軸方向負側にして本体部3に配置されている。これにより、第1レンズ群G1からグリップ部12までのX軸方向距離を確保している。
さらに、撮像装置2のZ軸方向正側には、ストロボ15と、メインコンデンサ20と、サブ基板21とが配置されている。メインコンデンサ20は、後述する電池22からの充電により、ストロボ15に閃光エネルギーを与える。サブ基板21は、後述する電池22からの電力を必要に応じて変圧したり、ストロボ15の制御を行う。また、グリップ部12の内部のY軸方向正側には、デジタルカメラ1を動作させるため電源としての電池22が配置されている。
さらに、図3(b)および(c)に示すように、撮像装置2のY軸方向負側には、メイン基板23が配置されている。メイン基板23には、撮像装置2からの画像信号を処理する画像処理回路や、撮像装置2を制御するための制御回路などが実装されている。また、電池22のY軸方向負側には、メモリカード24が配置されている。メモリカード24は、撮像装置2からの画像信号を記録する。
【0019】
なお、図3(a)および(b)に示すように、撮像装置2は、そのZ軸方向幅(Wz)がY軸方向幅(Wy)よりも大きく形成されている。
〈3:撮像装置について〉
〔3.1:撮像装置の構成について〕
デジタルカメラ1に搭載されている撮像装置2の構成について、図4を用いて説明を行う。
図4は、撮像装置2の組み立て斜視図である。図4(a)は、撮像装置2の前面、上面および左側面を示す斜視図であり、図4(b)は、撮像装置2の前面、上面および右側面を示す斜視図である。
撮像装置2は、光学系35を有するレンズ鏡筒31と、レンズ鏡筒31を駆動するズームモータ36を有するモータユニット32と、レンズ鏡筒31を通過した光束を受光する撮像手段としてのCCD37を有するCCDユニット33とから構成されている。
レンズ鏡筒31は、機構的には、第1の光軸A1方向に多段に繰り出し可能かつ沈胴可能な多段沈胴式のレンズ枠を有する点に特徴を有しており、光学的には、屈曲光学系を構成する光学系35を有する点に特徴を有している。光学系35は、光学3倍ズームを超える高倍率ズーム(例えば、6倍〜12倍程度の光学ズーム)を実現する5群12枚の光学素子(レンズおよびプリズム)を備えている。このような構成により、レンズ鏡筒31は、第1の光軸A1に沿って入射する光束を取り込み、第1の光軸A1に沿って入射した光束を、第1の光軸A1に交差する第2の光軸A2に沿った方向に屈曲させ、さらに、第2の光軸A2に沿った方向に屈曲された光束をCCD37に導く。
【0020】
モータユニット32は、例えば、DCモータなどのズームモータ36と、ズームモータ36をメイン基板23(図3参照)に電気的に接続するフレキシブルプリント配線板(FPC)(図示せず)と、ズームモータ36のモータ回転数の計測を通して、レンズ鏡筒31におけるレンズの原点からの位置を計測するために設けられているフォトセンサ(図示せず)とから主に構成されている。ズームモータ36は、レンズ鏡筒31を駆動し、光学系35を広角端と望遠端との間で移動させる。これにより、レンズ鏡筒31が備える光学系35は、CCD37における光束の結像倍率を変化させるズームレンズ系として動作する。フォトセンサは、以下のように動作する。フォトセンサは、モータボックス(ギアボックス)の外側より進入して設けられる一対の透過型フォトセンサである。フォトセンサは、外形コの字形状を成し、対向する両端には、一対の発光素子および受光素子が備えられている。発光素子と受光素子との間には、ズームモータ36に直結するギアが通過するようになっており、単位時間あたりにこの発光素子と受光素子との間をギアが遮る回数を計測することにより、ズームモータの回転数を非接触で計測することができる。
CCDユニット33は、レンズ鏡筒31を通過した光束を受光し、電気的な信号に変換するCCD37と、CCD37をレンズ鏡筒31に固定するためのCCD板金38と、CCD37をメイン基板23(図3参照)に電気的に接続するFPC(図示せず)とから主に構成されている。
〔3.2:光学系について〕
(3.2.1:光学系の構成について)
撮像装置2の詳細な構成を説明する前に、レンズ鏡筒31が備える光学系35の構成について、図5〜図8を用いて説明する。
【0021】
図5〜図8は、レンズ鏡筒31が備える光学系35の構成を示している。図5〜図6は、光学系35が広角端に位置する場合の光学系35の配置を示している。図7〜図8は、光学系35が望遠端に位置する場合の光学系35の配置を示している。図5と図7とは、図4と同じ視点から見た光学系35の配置を示している。図6と図8とは、図5と図7とに示す光学系35の光軸を含む平面における断面図である。
図5〜図8に示すように、光学系35は、被写体側から順に、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、露光調整部材St(図6または図8参照)、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4、第5レンズ群G5およびIRフィルタF1(図6または図8参照)から構成されており、第1レンズ群G1から入射する光束が、各レンズ群G1〜G5およびIRフィルタF1を通過し、CCD37に導かれるように構成されている。また、各レンズ群G1〜G5は、それぞれのレンズ群間の間隔を変化させることにより、ズームレンズ系を構成している。
第1レンズ群G1は、全体として正のパワーを有するレンズ群であり、第1の光軸A1上に被写体側から順に配置される第1レンズL1と、第2レンズL2と、第3レンズL3とを備えている。
【0022】
第1レンズL1は、被写体側に凸面を向けた凹メニスカスレンズである。第2レンズL2は、被写体側に凸面を向けた平凸レンズである。第3レンズL3は、被写体側に凸面を向けた凸メニスカスレンズである。
第2レンズ群G2は、全体として負のパワーを有するレンズ群であり、第1の光軸A1上に配置される第4レンズL4と、第1の光軸A1に沿って入射した光束を第1の光軸A1に略直交する第2の光軸A2に沿った方向に屈曲させるプリズムL5と、第2の光軸A2上に配置される第6レンズL6と、第7レンズL7とを備えている。
第4レンズL4は、被写体側に凸面を向けた凹メニスカスレンズである。プリズムL5は、第1の光軸A1に沿って入射した光束を第1の光軸A1に略直交する第2の光軸A2に沿った方向に反射させる反射面L5a(図6または図8参照)を有している。なお、ここでは、プリズムL5、特に内部反射プリズムを用いたが、同様の機能を奏する表面反射プリズム、内部反射鏡、表面反射鏡のいずれを採用してもよい。第6レンズL6は、両凹レンズである。第7レンズL7は、両凸レンズである。
露光調整部材St(図6または図8参照)は、第2の光軸A2上に配置され、第2の光軸A2に沿ってCCD37に入射する光の量を調整する絞りやシャッターなどの部材である。
【0023】
第3レンズ群G3は、全体として正のパワーを有するレンズ群であり、第8レンズL8と、第9レンズL9と、第10レンズL10とを備えている。
第8レンズL8は、プリズムL5側に凸面を向けた平凸レンズである。第9レンズL9は、両凸レンズである。第10レンズL10は、両凹レンズである。
第4レンズ群G4は、焦点調節用のレンズ群であり、第2の光軸A2上に配置される第11レンズL11を備えている。第11レンズL11は、プリズムL5側に凸面を向けた凸メニスカスレンズである。
第5レンズ群G5は、第2の光軸A2上に配置される第12レンズL12を備えている。第12レンズL12は、両凸レンズである。
IRフィルタF1(図6または図8参照)は、CCD37に入射する赤外領域の不可視光をカットするフィルタである。なお、光学系35は、IRフィルタF1の第2の光軸A2方向(X軸方向正側)に、光学ローパスフィルタを配置していてもよい。光学ローパスフィルタは、CCD37に入射する光束の空間周波数の高い成分を取り除き、偽色を解消するためのフィルタである。
なお、各レンズ群G1〜G5を構成するレンズの構成は、上述のものに限らず、同様の光学的効果を奏する構成で有れば、他のレンズ構成を採用することも可能である。
【0024】
(3.2.2:光学系の動作について)
図6と図8とを参照して、光学系35の動作について説明する。
上述のように、図6は、光学系35が広角端に位置する場合の各レンズ群G1〜G5の配置を示し、図8は、光学系35が望遠端に位置する場合の各レンズ群G1〜G5の配置を示す。
第1レンズ群G1は、第1の光軸A1方向に移動可能であり、光学系35が広角端に位置する場合は、可動範囲のうち第2レンズ群G2に対する最近接位置に位置し(図6参照)、光学系35が望遠端に位置する場合は、可動範囲のうち第2レンズ群G2に対する最離隔位置に位置する(図8参照)。
第2レンズ群G2は、図6と図8とで示すように、光学系35の広角端から望遠端のズーミングに際して、CCD37に対して相対的に静止している。
第3レンズ群G3は、露光調整部材Stとともに、第2の光軸A2方向に移動可能であり、光学系35が広角端に位置する場合は、可動範囲のうち第2レンズ群G2に対する最離隔位置に位置し(図6参照)、光学系35が望遠端に位置する場合は、可動範囲のうち第2レンズ群G2に対する最近接位置に位置する(図8参照)。
【0025】
第4レンズ群G4は、第2の光軸A2方向に移動可能である。第4レンズ群G4は、焦点調節動作を行うとともに、第1レンズ群G1および第3レンズ群G3の移動による結像倍率の変化に伴って生じる焦点調節状態のずれを補正する。
第5レンズ群G5およびIRフィルタF1は、図6と図8とで示すように、光学系35の広角端から望遠端のズーミングに際して、CCD37に対して相対的に静止している。
各レンズ群G1〜G5は、それぞれ上述のように動作する。特に、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3とは、それぞれ連動して移動し、CCD37における結像倍率を変化させる。
なお、レンズ鏡筒31では、多段沈胴式のレンズ枠の沈胴時の各レンズ群G1〜G5の配置を、光学系35が広角端に位置する場合の各レンズ群G1〜G5の配置と一致させている。
〈4:レンズ鏡筒について〉
〔4.1:レンズ鏡筒の構成について〕
撮像装置2の構成、主に、レンズ鏡筒31の構成について、図9を用いて説明する。
図9は、図4(a)と同じ視点から見た撮像装置2の分解斜視図である。
【0026】
レンズ鏡筒31は、第1レンズ群G1を保持する1群枠ユニット41と、第2レンズ群G2を保持する2群枠ユニット42が固定されているベースユニット43と、露光調整部材Stおよび第3レンズ群G3を保持する3群枠ユニット44と、第4レンズ群G4を保持する4群枠ユニット45と、第5レンズ群G5を保持するマスターフランジユニット46とから構成されている。
1群枠ユニット41は、第1の光軸A1上に配置される第1レンズ群G1と、第1レンズ群G1を保持する1群枠50と、1群枠50を第1の光軸A1方向(Y軸方向)に移動可能に支持する駆動枠51と、駆動枠51を第1の光軸A1方向(Y軸方向)に移動可能に支持する固定枠52と、固定枠52とベースユニット43との間にY軸方向に沿って回転可能に配置され、モータユニット32の駆動力を駆動枠51に伝達する駆動ギア53とから主に構成される。
固定枠52は、第2レンズ群G2を保持する2群枠ユニット42に固定される。この固定に際しては、第1レンズ群G1の光軸と第2レンズ群G2の第4レンズL4の光軸とが一致するようにZ軸方向およびX軸方向の位置決めが行われている。
ベースユニット43は、レンズ鏡筒31の筐体を構成するベース55と、ベース55とともに筐体を構成し、ベース55の前面側を覆うカバー56と、ベース55に固定された2群枠ユニット42と、ベース55およびカバー56により構成される筐体の内部に収納される3群枠ユニット44を第2の光軸A2方向(X軸方向)に沿って移動させる3群移動機構57と、3群枠ユニット44のX軸方向位置を検知するフォトセンサ58とから主に構成されている。
【0027】
ベースユニット43のX軸方向負側には、駆動ギア53を回転駆動するモータユニット32が取り付けられている。モータユニット32の駆動力は、駆動ギア53を介して3群移動機構57に伝達されている。ベースユニット43のX軸方向正側には、ベースユニット43のX軸方向正側を覆うマスターフランジユニット46が固定されている。
3群枠ユニット44は、第2の光軸A2上に設けられ、シャッター動作および絞り動作を行う露光調整部材Stを備えるシャッターユニット60と、第3レンズ群G3と、第3レンズ群G3をY軸方向およびZ軸方向に移動可能に保持する像振れ補正機構61と、シャッターユニット60と像振れ補正機構61とを支持する3群枠62とから主に構成されている。
3群枠62は、ベースユニット43の3群移動機構57に固定され、X軸方向に駆動される。この固定に際しては、第3レンズ群G3が可動範囲の可動中心に位置する場合の光軸と、第2レンズ群G2の第6レンズL6および第7レンズL7の光軸とが一致するようにY軸方向およびZ軸方向の位置決めが行われている。さらに、3群枠62は、後述するマスターフランジユニット46からX軸方向負側に延びる3群ガイドポール70,71に摺動可能に嵌合している。これにより、3群枠ユニット44は、X軸方向すなわち第2の光軸A2方向にのみ移動可能となる。
【0028】
4群枠ユニット45は、第4レンズ群G4と、第4レンズ群G4を保持する4群枠66と、4群枠66に固定されるセンサーマグネット67およびコイル68とから主に構成されている。
4群枠66は、後述するマスターフランジユニット46からX軸方向負側に延びる4群ガイドポール72,73に摺動可能に嵌合している。これにより、4群枠66は、第4レンズ群G4の光軸と第2レンズ群G2の第6レンズL6および第7レンズL7の光軸とが一致するようにY軸方向およびZ軸方向に位置決めされるとともに、X軸方向すなわち第2の光軸A2方向にのみ移動可能となる。
マスターフランジユニット46は、第5レンズ群G5と、第5レンズ群G5を保持するマスターフランジ75と、マスターフランジ75に固定され、X軸方向負側に延びる3群ガイドポール70,71および4群ガイドポール72,73と、クッションゴム80を介してX軸方向正側から取り付けられたIRフィルタF1と、コイル68との協働により4群枠ユニット45に駆動を発生させる磁性部材76と、センサーマグネット67の磁気を検知し4群枠ユニット45のX方向位置をセンシングするMRセンサ77とから主に構成されている。
【0029】
マスターフランジ75は、ベース55のX軸方向正側に固定される。この固定に際しては、第5レンズ群G5の光軸と第2レンズ群G2の第6レンズL6および第7レンズL7の光軸とが一致するようにY軸方向およびZ軸方向に位置決めされる。さらに、マスターフランジユニット46のX軸方向正側には、CCDユニット33が固定される。
以下、レンズ鏡筒31を構成する各部の詳細について説明する。
〔4.2:1群枠ユニットについて〕
(4.2.1:1群枠ユニットの構成について)
図10を用いて、1群枠ユニット41の詳細な構成について説明する。
図10は、1群枠ユニット41の分解斜視図である。1群枠ユニット41は、第1レンズ群G1を多段沈胴式の枠体で支持するユニットである。
図10に示すように、1群枠ユニット41は、第1レンズ群G1と、第1レンズ群を保持する1群枠50と、1群枠50に取り付けられた1群DR(デザインリング)54と、1群枠50を移動可能に支持する駆動枠51と、駆動枠51を移動可能に支持する固定枠52と、駆動枠51にモータユニット32(図9参照)からの駆動を伝達する駆動ギア53とから構成されている。
【0030】
第1レンズ群G1は、1群枠50の内周面101に接着または熱カシメにより固定されている。さらに、1群枠50の内周面101において、第1レンズ群G1のY軸方向正側には、1群DR54が取り付けられている。これにより、第1レンズ群G1に不要光が入射することを防止している。また、1群DR54を取り付けることで、1群枠50に対する第1レンズ群G1の固着跡(接着跡)を覆い、外観品質を確保している。
1群枠50は、筒状部102と、フランジ部103と、カムピン104a〜104cと、延長部105a,105bと、係合部106a,106bと有している。
筒状部102は、第1レンズ群G1が取り付けられる環状の内周面101を有する。フランジ部103は、筒状部102のY軸方向負側の縁部において形成され、筒状部102よりも径大の外周面を有している。カムピン104a〜104cは、フランジ部103の外周面の周方向複数箇所(例えば、3箇所:例えば、Y軸方向正側から見て3時、7時、11時の位置)において、それぞれ周方向に所定角度(例えば、120度)離隔して設けられており、第1の光軸A1の放射方向に突起する。延長部105a,105bは、フランジ部103のY軸方向負側の縁部の周方向2箇所(例えば、Y軸方向正側から見て1時の位置と5時の位置)を中心として所定の周方向幅(例えば、30度)を持って形成された、Y軸方向負側に向かって延びる弧状の部材である。係合部106a,106bは、延長部105a,105bのそれぞれの先端において、第1の光軸A1の放射方向に延びるように形成されており、その放射方向先端かつX軸方向正側の端部には、他の部分よりも周方向幅が狭い先端部107a,107bが形成されている。
【0031】
駆動枠51は、筒状部110と、カムピン111a〜111cと、リングギア112とを有している。
カムピン111a〜111cは、筒状部110の外側面115の周方向複数箇所(例えば、3箇所:例えば、Y軸方向正側から見て1時、5時、9時の位置)において、それぞれ周方向に所定角度(例えば、120度)離隔して設けられており、第1の光軸A1の放射方向に突起する。リングギア112は、筒状部110のY軸方向負側の縁部の周方向一部(例えば、Y軸方向正側から見て1時の位置から5時の位置)において、歯先を外側面115よりも第1の光軸A1の放射方向に突出させて、筒状部110と一体的に形成されている。カムピン111a〜111cの先端を結ぶ仮想円の半径は、リングギア112の歯先を結ぶ仮想円の半径よりも大きく形成されている。
筒状部110およびリングギア112の環状の内側面116は、1群枠50のフランジ部103の半径よりも大きい半径を有するとともに、1群枠50のカムピン104a〜104cの先端を結ぶ仮想円の半径よりも小さい半径を有している。このため、1群枠50は、カムピン104a〜104cを内側面116に形成されたカム溝118a〜118cにカム係合させることにより、駆動枠51の内側に配置可能となっている。
【0032】
また、筒状部110のY軸方向正側の縁部には、第1の光軸A1の放射方向内側に延びる環状のフランジ部122が形成されている。フランジ部122の内側面の半径は、1群枠50の筒状部102の外周面の半径とほぼ同じ大きさに形成されている。これにより、1群枠50と駆動枠51との第1の光軸A1の放射方向隙間から、レンズ鏡筒31の内部に不要光が進入することが防止されている。
カム溝118a〜118cは、内側面116の周方向に所定角度(例えば、120度)隔離して形成されている。それぞれのカム溝118a〜118cは、内側面116のY軸方向負側の端部3箇所(例えば、3時、7時、11時の位置)に開口し、カムピン104a〜104cをカム溝118a〜118cに導入するための導入端を有している。また、それぞれのカム溝118a〜118cは、それぞれの導入端からY軸方向正側に延びる導入溝119a〜119cと、導入溝119a〜119cに連続しY軸方向正側から見て時計回りおよびY軸方向正側に向かって延びる傾斜溝120a〜120cとを有している。なお、内側面116のリングギア112側に導入端を形成するカム溝118aの導入溝119aは、他の導入溝119bおよび119cに比して、リングギア112のY軸方向幅の大きさだけY軸方向長さが長くなっている。
【0033】
固定枠52は、筒状部125と、延長部126a,126bとを有している。筒状部125と延長部126a,126bとの内側面127には、カム溝128a〜128cと直進溝129a,129bとが形成されている。
筒状部125の外側面130の周方向所定位置(例えば、Y軸方向正側から見て2時の位置)には、第1の光軸A1の放射方向に突起する突起部140と、突起部140のY軸方向負側から延びるとともに、筒状部125を第1の光軸A1の放射方向に貫通する貫通溝141とが形成されている。突起部140は、駆動ギア53の駆動軸のY軸方向正側の端部を軸支する。なお、駆動ギア53の駆動軸のY軸方向負側の端部は、後述する固定部145cにより軸支される。これにより、駆動ギア53の両端は、固定枠52上に軸支され、固定枠52の加工精度と同程度の精度でY軸方向に沿って配置される。貫通溝141には、Y軸方向に沿って駆動ギア53が配置される。駆動ギア53の歯先は、筒状部125の内側にまで進入しており、固定枠52の内側に配置される駆動枠51のリングギア112に噛合する。
また、筒状部125のY軸方向正側の縁部には、第1の光軸A1の放射方向内側に延びる環状のフランジ部142が形成されている。フランジ部142の内側面の半径は、駆動枠51の筒状部110の外側面115の半径とほぼ同じ大きさに形成されている。これにより、駆動枠51と固定枠52との第1の光軸A1の放射方向隙間から、レンズ鏡筒31の内部に不要光が進入することが防止されている。
【0034】
筒状部125のY軸方向負側の縁部には、周方向一部において、第1の光軸A1の放射方向外側に延びるフランジ145が形成されている。フランジ145上には、固定部145a,145bが形成されている。固定部145aは、後述する2群枠ユニット42の固定部164cに位置決めされるとともに、螺子などにより固定される。固定部145bは、モータユニット32に一体に形成されている腕部に位置決めされるとともに、螺子などにより固定される。
延長部126a,126bは、筒状部125のY軸方向負側の縁部の周方向2箇所に所定の周方向幅を持って形成された、Y軸方向負側に向かって延びる弧状の部材である。より詳細には、延長部126a,126bは、Y軸方向正側から見て12時の位置と6時の位置とにそれぞれのX軸方向正側の端部を有し、周方向に所定の幅を持って形成されている。ここで、所定の幅とは、延長部126a,126bの内側面127に、後述するカム溝128a,128bの導入溝131a,131bと直進溝129a,129bとをそれぞれ形成するのに十分な幅である。
延長部126aのY軸方向負側の端部には、第1の光軸A1の放射方向外側に延びる固定部145cが形成されている。固定部145cは、駆動ギア53の駆動軸のY軸方向負側の端部を軸支され、後述するベース55の駆動軸収納部175に収納される。延長部126aと延長部126bとの周方向中間部には、延長部126aに隣接して、第1の光軸A1の放射方向外側に延びる固定部145dが形成されている。固定部145dは、モータユニット32の前面に対して位置決めされるとともに、螺子などにより固定される。さらに、延長部126bの周方向に隣接して、第1の光軸A1の放射方向外側に延びる固定部145eが形成されている。固定部145eは、後述する2群枠ユニット42の固定部165dに対して位置決めされるとともに、螺子などにより固定される。
【0035】
筒状部125および延長部126a,126bの環状の内側面127は、駆動枠51のリングギア112の先端を結ぶ仮想円の半径よりも大きい半径を有するとともに、駆動枠51のカムピン111a〜111cの先端を結ぶ仮想円の半径よりも小さい半径を有している。このため、駆動枠51は、カムピン111a〜111cを内側面127に形成されたカム溝128a〜128cにカム係合させることにより、駆動枠51の内側に配置可能となっている。
カム溝128a〜128cは、内側面127の周方向に所定角度(例えば、120度)隔離して形成されている。それぞれのカム溝128a〜128cは、内側面127のY軸方向負側の端部3箇所(例えば、1時、5時、9時の位置)に開口し、カムピン111a〜111cをカム溝128a〜128cに導入するための導入端を有している。また、それぞれのカム溝128a〜128cは、それぞれの導入端からY軸方向正側に延びる導入溝131a〜131cと、導入溝131a〜131cに連続し、Y軸方向正側から見て反時計回りおよびY軸方向正側に向かって延びる傾斜溝132a〜132cとを有している。なお、延長部126a,126bのY軸方向負側の端部にそれぞれの導入端を形成するカム溝128a,128bの導入溝131a,131bは、他の導入溝131cに比して、延長部126a,126bのY軸方向長さだけY軸方向長さが長くなっている。
【0036】
直進溝129a,129bは、1群枠50の先端部107a,107bと係合し、1群枠50の第1の光軸A1方向への移動を案内するとともに、1群枠50の固定枠52に対する相対回転を不可能とする。
(4.2.2:1群枠ユニットの動作について)
上述の構成を有する1群枠ユニット41の動作について説明する。
まず、光学系35が広角端に位置する場合(図5または図6参照)、1群枠50は、カムピン104a〜104cのそれぞれが駆動枠51の導入溝119a〜119cのY軸方向正側の端部にカム係合する状態で、駆動枠51の内側に配置されている。さらに、駆動枠51は、カムピン111a〜111cのそれぞれが固定枠52の導入溝131a〜131cのY軸方向正側の端部にカム係合する状態で、固定枠52の内側に配置されている。また、固定枠52の直進溝129a,129bのY軸方向負側の端部近傍には、1群枠50の先端部107a,107bがカム係合している。
このとき、1群枠50の筒状部102、駆動枠51の筒状部110、固定枠52の筒状部125のそれぞれのY軸方向正側の端部は、そのY軸方向位置をほぼ一致させており、1群枠ユニット41のそれぞれ構成の配置状態は、撮像装置2の不使用時における1群枠ユニット41の配置状態(沈胴状態)と同じ状態になっている。
【0037】
次に、駆動ギア53がモータユニット32(図9参照)によりY軸方向正側から見て時計回り方向に回転駆動されると、駆動ギア53に噛合するリングギア112を介して、駆動枠51には、Y軸方向正側から見て反時計回り方向の駆動が伝達される。駆動枠51と固定枠52との間には、円筒カム機構が形成されている。このため、駆動枠51が回転駆動されると、駆動枠51は、固定枠52に対して第1の光軸A1回りに回転するとともに、第1の光軸A1に沿った方向(Y軸方向正側)に移動する。また、駆動枠51と1群枠50の間には、円筒カム機構が形成されている。さらに、1群枠50は、1群枠50と固定枠52との係合により、固定枠52に対して第1の光軸A1回りの相対回転が規制されている。このため、駆動枠51が回転駆動されると、1群枠50は、駆動枠51に対して第1の光軸A1方向(Y軸方向正側)に相対移動する。
最後に、光学系35が望遠端に位置する場合、1群枠50は、カムピン104a〜104cのそれぞれが駆動枠51の傾斜溝120a〜120cのY軸方向正側の端部にカム係合する状態で、筒状部102の大部分を駆動枠51の筒状部110よりもY軸方向正側に繰り出している。さらに、駆動枠51は、カムピン111a〜111cのそれぞれが固定枠52の傾斜溝132a〜132cのY軸方向正側の端部にカム係合する状態で、筒状部110の大部分を固定枠52の筒状部125よりもY軸方向正側に繰り出している。すなわち、光学系35が望遠端に位置する場合には広角端に位置する場合に比して、第1レンズ群G1は、1群枠50と駆動枠51との間に構成される円筒カム機構のリフト量と、駆動枠51と固定枠52との間に構成される円筒カム機構のリフト量との合計だけY軸方向正側に移動する。なお、この状態で、1群枠50の先端部107a,107bは、直進溝129a,129bのY軸方向正側の端部近傍に位置している。すなわち、第1レンズ群G1は、光学系35が広角端に位置する場合に比して、ほぼ直進溝129a,129bのY軸方向長さ分だけ第1の光軸A1方向に移動している。
【0038】
また、上記した1群枠ユニット41の広角端から望遠端への移動に際して、固定枠52の筒状部125のY軸方向負側、かつ延長部126a,126bのX軸方向正側には、1群枠ユニット41の各部材が進入することなく、空間が確保されている。これにより、後述する3群枠ユニット44のこの空間への進入が可能となっている。
〔4.3:ベースユニットについて〕
(4.3.1:ベースユニットの構成について)
図11を用いて、ベースユニット43の構成について説明する。
図11は、ベースユニット43の分解斜視図である。ベースユニット43は、第1の光軸A1に沿って入射する光束を第1の光軸A1に直交する第2の光軸に沿った方向に屈曲させる第2レンズ群G2を保持する。また、ベースユニット43は、第1レンズ群G1とともにズームレンズ系を構成する第3レンズ群G3(図5〜図8参照)を第2の光軸A2方向に移動するための機構を備える。
図11では、図9を用いて説明したベースユニット43の構成のうち、2群枠ユニット42と、2群枠ユニット42をY軸方向負側から固定的に支持するベース55と、2群枠ユニット42とベース55とのY軸方向中間に配置され、ベース55に取り付けられる3群移動機構57とを図示している。
【0039】
以下、2群枠ユニット42、ベース55、3群移動機構57のそれぞれについて詳細な構成を説明する。
(4.3.2:2群枠ユニットの構成について)
図11〜図13を参照して、2群枠ユニット42の構成について説明する。
図12は、2群枠ユニット42の分解斜視図である。
図13は、第1の光軸A1および第2の光軸A2を含む平面による2群枠ユニット42の断面図である。
図12に示すように、2群枠ユニット42は、第2レンズ群G2と、第2レンズ群G2を保持する2群枠150と、2群枠150を支持し、ベース55に取り付けられる支持部151とを有している。
第2レンズ群G2の詳細は、図5〜図8を用いて説明したので、ここでは省略する。
2群枠150は、第4レンズL4を保持する第4レンズ保持枠155と、プリズムL5を保持するプリズム保持枠156と、第6レンズL6を保持する第6レンズ保持枠157と、第7レンズL7を保持する第7レンズ保持枠158と、から主に構成されている。
第4レンズ保持枠155は、第4レンズL4の半径とほぼ一致する半径を有し、Y軸方向に延びる環状の内周面155aを有する。第4レンズL4は、内周面155aに嵌合して配置され、接着などにより固定される。また、内周面155aのY軸方向負側の端部の内周側には、Y軸に直交し、第4レンズL4をY軸方向正側に向かって支持する支持面155b(図13参照)が形成されている。第4レンズL4は、Y軸方向負側の面がこの支持面155bに当接するように配置され、Y軸方向(第1の光軸A1方向)に位置決めされる。
【0040】
プリズム保持枠156は、内部にプリズムL5を収納するとともに、第1の光軸A1方向および第2の光軸A2方向に開口する枠体であり、第4レンズ保持枠155のY軸方向負側に一体に形成されている。プリズム保持枠156の内部には、プリズムL5の反射面L5a(図13参照)に対向配置され、X軸方向正側に向かって45度下傾する傾斜面156a(図13参照)と、傾斜面156aのZ軸方向両端からZ軸に直交するように延伸し、それぞれプリズムL5の上面L5bと底面L5cとに対向配置される対向面156bおよび156cと、が形成されている。プリズム保持枠156の内部において、傾斜面156a、対向面156b,156cにより形成される空間には、プリズムL5が収納され、接着などにより固定される。
第6レンズ保持枠157は、プリズム保持枠156のX軸方向正側において、プリズム保持枠156と一体に形成されている。第6レンズ保持枠157は、第6レンズL6の半径とほぼ一致する半径を有し、X軸方向に延びる環状の内周面157aを有する。第6レンズL6は、内周面157aに嵌合して配置され、接着などにより固定される。また、内周面157aのX軸方向負側には、プリズムL5の出射面L5dが位置しており(図13参照)、第6レンズL6は、X軸方向負側の面が出射面L5dに当接するように配置され、X軸方向(第2の光軸A2方向)に位置決めされる。
【0041】
第7レンズ保持枠158は、第6レンズ保持枠157のX軸方向正側において、第6レンズ保持枠157と一体に形成されている。第7レンズ保持枠158は、第7レンズL7を内接円とする仮想正三角柱のそれぞれの側面の一部を構成する斜面158aと、それぞれの斜面を第2の光軸A2回りに滑らかに接続する弧状面158bとを有する。第7レンズL7は、外周面をそれぞれの斜面158aに当接させて配置され、接着により固定される。また、第7レンズL7のX軸方向負側には、第6レンズL6のX軸方向正側の面が位置しており(図13参照)、第7レンズL7は、X軸方向負側の面が第6レンズL6のX軸方向正側の面に当接するように配置され、X軸方向(第2の光軸A2方向)に位置決めされる。
第7レンズ保持枠158のX軸方向正側の端面には、中心部に開口を有する板状部材である開口部材159が螺子などにより固定されている。開口部材159は、第2の光軸A2に沿って2群枠ユニット42から出射する光のうち、不要な方向に向かう不要光を遮断するための部材である。開口部材159は、ほぼ中心部に円形の開口を有しており、その開口の中心と第2の光軸A2とが一致するように第7レンズ保持枠158に取り付けられる(図13参照)。さらに、開口部材159は、その開口の開口縁で、第7レンズL7をX軸方向負側に支持する。
【0042】
支持部151は、2群枠150のX軸方向中間位置からZ軸方向正側に向かって形成され、X軸方向正側を向く面を有する第1部材163と、第1部材163の先端部において、X軸方向正側に延びる第2部材164と、2群枠150のZ軸方向負側に形成され、X軸方向正側を向く面を有する第3部材165と、X軸方向負側の端部に形成される固定部168a,168bとから主に形成されている。
第1部材163は、X軸方向正側を向く面に、4群ガイドポール73(図9参照)を嵌合固定するための孔部163aを有している。
第2部材164は、X軸方向正側を向く面の孔部163aとほぼ同じY軸方向位置において、3群ガイドポール71(図9参照)を嵌合固定するための孔部164aを有している。また、第2部材164は、Z軸方向正側の端部において、2群枠ユニット42をベース55に固定するための固定部164bを形成するとともに、1群枠ユニット41を2群枠ユニット42に固定するための固定部164cを形成する。固定部164bは、ベース55に形成される固定部171aに対して位置決めされ、螺子などにより固定される。固定部164cは、1群枠ユニット41の固定枠52に形成される固定部145aに対して位置決めされ、螺子などにより固定される。
【0043】
上述のように、第1部材163は、2群枠150のX軸方向中間位置からZ軸方向正側に向かって形成され、第2部材は、第1部材163の先端部において、X軸方向正側に向かって形成されている。このため、2群枠150のZ軸方向正側の面と第2部材のZ軸方向負側の面との間の、2群枠150のX軸方向正側の端面よりもX軸方向負側には、凹部空間166が確保されている。この凹部空間166には、後述するシャッターユニット60のX軸方向負側に突出する絞り用アクチュエータ202が進入可能となっている。これについては、図27〜図29を用いて後述する。
第3部材165は、2群枠150のY軸方向負側の端部近傍からZ軸方向負側に向かって形成されており、X軸方向正側を向く面に、Z軸方向正側から順に、4群ガイドポール72とを嵌合固定するための孔部165a(図11参照)と、3群ガイドポール70を嵌合固定するための孔部165bとを有している。また、第3部材165は、Z軸方向負側の端部において、2群枠ユニット42をベース55に固定するための固定部165cを形成するとともに、1群枠ユニット41を2群枠ユニット42に固定するための固定部165dを形成する。固定部165cは、ベース55に形成される固定部171bに対して位置決めされ、螺子などにより固定される。固定部165dは、1群枠ユニット41の固定枠52に形成される固定部145eに対して位置決めされ、螺子などにより固定される。
【0044】
上述のように、第3部材165は、2群枠150のY軸方向負側の端部近傍からZ軸方向負側に向かって形成されている。このため、第3部材165のY軸方向正側には、2群枠150のZ軸方向負側に隣接する凹部空間167が確保されている。この凹部空間167には、後述するシャッターユニット60のX軸方向負側に突出するシャッター用アクチュエータ203が進入可能となっている。これについては、図27〜図29を用いて後述する。
固定部168aは、モータユニット32の背面側に設けられた固定部に対して、位置決めされ、固定される。
固定部168bは、ベース55に形成される固定部171cに対して位置決めされ、螺子などにより固定される。
(4.3.3:ベースの構成について)
図11を用いて、ベース55の構成について説明する。
ベース55は、レンズ鏡筒31の背面を構成する背面170と、背面170からY軸方向正側に延びる側面171とから主に構成されている。
背面170には、後述する3群移動機構57のリングギア180の中心孔180aを軸支するための軸受部172と、後述する3群移動機構57のロッドユニット182のX軸方向へ並進運動をガイドするためのガイドピン173a,173bと、ロッドユニット182のX軸方向への移動を規制する規制部174と、駆動ギア53を収納する駆動軸収納部175とが形成されている。
【0045】
軸受部172は、Y軸方向正側に突起する円筒状の凸部であり、リングギア180の回転中心に設けられた中心孔180aに挿入され、リングギア180を回転可能に支持する。
ガイドピン173a,173bは、X軸方向およびZ軸方向にそれぞれ所定の間隔を有するように形成されたY軸方向正側に突起する部材であり、ロッドユニット182の長手方向に沿って形成された案内溝183a,183bにそれぞれ挿入され、ロッドユニット182のX軸方向への移動を案内する。
規制部174は、X軸方向に延びる有底の長手溝であり、そのX軸方向両端には、規制部174の溝底からY軸方向正側に立ち上がる端部174a,174bが形成されている。
駆動軸軸受部175は、1群枠ユニット41の駆動ギア53および駆動ギア53を軸支する固定部145cを収納する。
側面171には、2群枠ユニット42をベース55に固定するための固定部171a〜171cが形成されている。固定部171a,171b,171cは、それぞれ2群枠ユニット42の固定部164b,165c,168bに対して位置決めされ、螺子などにより固定される。
【0046】
(4.3.4:3群移動機構の構成について)
図11を用いて、3群移動機構57の構成について説明する。3群移動機構57は、モータユニット32(図9参照)からの駆動を受けて駆動され、3群枠ユニット44を第2の光軸A2に沿った方向に移動させるための機構である。
3群移動機構57は、モータユニット32から駆動ギア53を介して伝達される回転駆動を第2の光軸A2に沿った方向の駆動へと変換するためのリングギア180と、3群枠ユニット44と一体的に第2の光軸A2に沿った方向に並進運動可能なロッドユニット182と、リングギア180とロッドユニット182とを機能的に連結するリングギアピン181とから主に構成されている。
リングギア180は、駆動ギア53に噛合するように外周に円弧状に歯が形成された板状の部材であり、所定の回転角度範囲で回転運動する。リングギア180は、回転中心に中心孔180aを有しており、中心孔180aをベース55の軸受部172に嵌合させることによりベース55に取り付けられる。
リングギアピン181は、所定のY軸方向長さを有する円柱状部材であり、Y軸方向負側の端部がカシメなどによりリングギア180に固定されている。
【0047】
ロッドユニット182は、リングギアピン181に係合することにより、リングギア180と機能的に連結され、リングギア180とともにスライダクランク機構を構成する。
図14を用いて、ロッドユニット182の構成を説明する。図14は、ロッドユニット182の分解斜視図である。
図14に示すように、ロッドユニット182は、ロッド183と、ロッド183に固定される圧着バネ186と、ロッド183に圧着バネ186を固定するためのバネピン187と、圧着バネ186の圧着動作を規制する圧着バネ規制ピン185とから主に構成されている。圧着バネ186と、バネピン187と、圧着バネ規制ピン185とにより、リングギア180とロッドユニット182とを弾性的に連結する弾性連結機構が構成されている。
ロッド183は、X軸方向に長い板状部材である。ロッド183には、長手方向に延びる2本の案内溝183a,183bと、案内溝183bのX軸方向正側に形成されている貫通孔183cと、案内溝183a,183bのX軸方向負側に形成されている係合孔183dとが形成されている。
案内溝183a,183bには、図11を用いて説明したように、ベース55に形成されるガイドピン173a,173bがそれぞれ挿通される。案内溝183aと案内溝183bとは、ガイドピン173aとガイドピン173bとのZ軸方向距離と同じ距離だけZ軸方向に離れて形成されている。これにより、ロッド183の運動は、X軸方向への並進運動のみに規制されている。
【0048】
貫通孔183cには、後述する3群枠ユニット44の突起部65がY軸方向正側から挿入される。突起部65は、その先端がロッド183のY軸方向負側に突出するまで挿入される。
係合孔183dには、リングギアピン181がY軸方向負側から挿入される。係合孔183dは、Z軸方向に延び、リングギアピン181の直径よりも大きいX軸方向幅を有する第1係合孔183eと、第1係合孔183eのZ軸方向正側に連続して形成される第1係合孔183eよりもX軸方向に幅広な第2係合孔183fとから構成される。
圧着バネ186は、コイル186aと、コイル186aから延びる2本の腕部186b,186cとから構成されるねじりコイルばねなどである。圧着バネ186は、コイル186aを巻き込むように弾性変形される場合に、それぞれの腕部186b,186cがお互いに向かう方向に荷重を支持することができるように形成されている。
バネピン187は、圧着バネ186のコイル186aに挿通され、一端がロッド183に形成された孔に嵌めあわされて固定される部材であり、圧着バネ186をロッド183に固定する。バネピン187は、第1係合孔183eのZ軸方向負側に配設される。
圧着バネ規制ピン185は、圧着バネ186を所定の弾性変形状態に維持するための部材であり、腕部186bと腕部186cとの間に配置され、それぞれの腕部186b,186cから他方の腕部186c,186bに向かう方向への圧着力を受ける。圧着バネ規制ピン185は、第1係合孔183eのZ軸方向負側に配置される。また、圧着バネ規制ピン185における圧着バネ186との当接面のX軸方向幅は、第1係合孔183eのX軸方向幅よりも広くなっている。
【0049】
図15を用いて、3群移動機構57の組み立て状態を説明する。図15は、主にロッドユニット182の組み立て状態を示す斜視図である。
図15に示すように、ロッドユニット182では、圧着バネ186は、バネピン187によりロッド183に固定されている。圧着バネ186は、弾性変形された状態で、それぞれの腕部186b,186cの間に圧着バネ規制ピン185を介在させて固定されている。この取り付け状態では、X軸方向正側に位置する腕部186bは、圧着バネ規制ピン185のX軸方向正側の面に当接し、圧着バネ規制ピン185に対してX軸負側に向かう方向の圧着力を作用させている。一方、X軸方向負側に位置する腕部186cは、圧着バネ規制ピン185のX軸方向負側の面に当接し、圧着バネ規制ピン185に対してX軸正側に向かう方向の圧着力を作用させている。
ロッドユニット182の係合孔183dには、圧着バネ186の腕部186bと腕部186cとのX軸方向中間において、リングギア180(図11参照)に固定されたリングギアピン181がY軸方向負側から挿入されている。これにより、リングギア180が回転駆動されリングギアピン181のX軸方向位置が変化すると、ロッド183は、係合孔183dの孔縁をリングギアピン181の外周に摺動させつつX軸方向に駆動される。
【0050】
ロッド183のX軸方向に延びる案内溝183a,183bには、ベース55(図11参照)に形成されるガイドピン173a,173bがそれぞれY軸方向負側から挿通されている。これにより、駆動を受けたロッド183は、X軸方向に並進運動する。
ロッド183の貫通孔183cは、ベース55に形成される規制部174のY軸方向正側に対向するように位置している。貫通孔183cには、後述する3群枠ユニット44の突起部65がY軸方向正側から挿入されている。突起部65の先端は、ロッド183のY軸方向負側に突出し、さらに規制部174にまで進入している。
図16に、3群枠ユニット44の突起部65とロッド183と規制部174との係合状態を示す。図に示すように、3群枠ユニット44の3群枠62に形成されたY軸方向負側に突起する突起部65は、ロッド183に形成された貫通孔183cに挿入されており、さらに、その先端は、ベース55の規制部174に進入している。
これにより、ロッド183は、X軸方向正側には、突起部65が端部174aに当接する位置まで移動可能であり、X軸方向負側には、突起部65が端部174bに当接する位置まで移動可能である(図11または図15参照)。
(4.3.5:ベースユニットの動作について)
図17〜図22を用いて、ベースユニット43の動作、特に、3群移動機構57の動作について説明する。
【0051】
図17を用いて、3群移動機構57の動作のうち、リングギア180(図11参照)とロッド183とを弾性連結する弾性連結機構の動作について説明する。図17は、リングギアピン181が係合孔183dに挿入された状態を示している。
係合孔183dの第1係合孔183eのX軸方向幅W1は、リングギアピン181の直径dよりも大きい。さらに、圧着バネ規制ピン185の圧着バネ186との当接面のX軸方向幅W2は、第1係合孔183eのX軸方向幅W1よりも大きい。このため、リングギアピン181が、第1係合孔183eに挿入された状態では、圧着バネ186の腕部186b,186cは圧着バネ規制ピン185のX軸方向両端の当接面に当接する。よって、リングギアピン181が、第1係合孔183eに位置する場合には、圧着バネ186の圧着力は、リングギアピン181に作用しない。
一方、リングギアピン181が係合孔183dの縁部に沿って第1係合孔183eよりもX軸方向に幅広の第2係合孔183fに移動すると、リングギアピン181は、第2係合孔183fの縁部に当接するとともに、圧着バネ186の腕部186bまたは腕部186cに当接する。よって、リングギアピン181が、第2係合孔183fに位置する場合には、圧着バネ186の圧着力は、リングギアピン181に作用する。
【0052】
より具体的には、リングギアピン181が第2係合孔183fのX軸方向正側に位置する場合、X軸方向正側の腕部186bは、リングギアピン181によりX軸方向正側に弾性変形され、腕部186bは、圧着バネ規制ピン185のX軸方向正側の当接面から離間する。このため、圧着バネ186の圧着力は、X軸方向負側の腕部186cから圧着バネ規制ピン185のX軸方向負側の当接面に作用する。この結果、ロッド183は、圧着バネ規制ピン185を介して、X軸方向正側に向かう方向の押圧力を受ける。
一方、リングギアピン181が第2係合孔183fのX軸方向負側に位置する場合、X軸方向負側の腕部186cは、リングギアピン181によりX軸方向負側に弾性変形され、腕部186cは、圧着バネ規制ピン185のX軸方向負側の当接面から離間する。このため、圧着バネ186の圧着力は、X軸方向正側の腕部186bから圧着バネ規制ピン185のX軸方向正側の当接面に作用する。この結果、ロッド183は、圧着バネ規制ピン185を介して、X軸方向負側に向かう方向の押圧力を受ける。
図18〜図22を用いて、上述した弾性連結機構により連結されたリングギア180とロッド183との動作について説明する。
図18は、光学系35が広角端に位置する場合のリングギア180の回転角度と、それに応じた弾性連結機構の動作とロッド183の動作とを示している。図19〜図21は、光学系35が広角端から望遠端に移動する場合のリングギア180の回転角度と、それに応じた弾性連結機構の動作とロッド183の動作とを示している。特に、図20は、光学系35が広角端と望遠端との中間位置であるノーマル位置に位置する場合のリングギア180の回転角度と、それに応じた弾性連結機構の動作とロッド183の動作とを示している。図22は、光学系が望遠端に位置する場合のリングギア180の回転角度と、それに応じた弾性連結機構の動作とロッド183の動作とを示している。
【0053】
図18では、リングギア180は、Y軸方向正側から見て時計回り方向の端部に位置している。この場合、リングギア180に固定されるリングギアピン181は、X軸方向への可動範囲のうち正側の端部に位置するとともに、ロッド183の第2係合孔183fのX軸方向正側に係合している。図17を用いて説明したように、リングギアピン181が第2係合孔183fのX軸方向正側に位置する場合、圧着バネ186は、ロッド183をX軸方向正側に押圧している。一方、ロッド183に挿入されベース55の規制部174に係合する3群枠ユニット44の突起部65は、規制部174のX軸方向正側の端部174aに当接しており、X軸方向正側への移動が規制されている。よって、光学系35が広角端に位置する場合には、ロッド183は、X軸方向正側への移動が規制されているとともに、X軸方向正側に押圧されることで確実に固定されている。
なお、本実施形態では、光学系35を広角端に位置させた状態は、撮像装置2の不使用時における光学系35の配置状態(沈胴状態)と同じ状態になっている。このため撮像装置2の不使用時においてロッド183を確実に固定することが可能となる。
図19〜図21では、リングギア180は、Y軸方向正側から見て時計回り方向の端部から反時計回り方向に回転駆動されている。図19は、リングギア180がY軸方向正側から見て時計回り方向の端部近傍に位置する場合を示している。図20は、リングギア180が可動範囲の中間位置に位置する場合を示している。図21は、リングギア180がY軸方向正側から見て反時計回り方向の端部近傍に位置する場合を示している。
【0054】
この場合、リングギア180に固定されるリングギアピン181は、ロッド183の第1係合孔183eに係合しつつ、X軸方向負側に移動される。図17を用いて説明したように、リングギアピン181が第1係合孔183eに位置する場合、圧着バネ186の圧着力は、リングギアピン181に作用しない。この場合、リングギア180は、リングギアピン181をロッド183の第1係合孔183eに係合させながら反時計回り方向に回転運動し、これによりロッド183をX軸方向負側に向かって駆動させる。ロッド183は、案内溝183a,183bをベース55に形成されるガイドピン173a,173bに係合させつつ駆動されるため、X軸方向負側に向かって並進運動する。ロッド183には、3群枠ユニット44の突起部65が嵌合されている。このため、3群枠ユニット44は、ロッド183の移動に従って、X軸方向負側に向かって移動する。
図22では、リングギア180は、Y軸方向正側から見て反時計回り方向の端部に位置している。この場合、リングギア180に固定されるリングギアピン181は、X軸方向への可動範囲のうち負側の端部に位置するとともに、ロッド183の第2係合孔183fのX軸方向負側に係合している。図17を用いて説明したように、リングギアピン181が第2係合孔183fのX軸方向負側に位置する場合、圧着バネ186は、ロッド183をX軸方向負側に押圧している。一方、ロッド183に挿入されベース55の規制部174に係合する3群枠ユニット44の突起部65は、規制部174のX軸方向負側の端部174bに当接しており、X軸方向負側への移動が規制されている。よって、光学系35が望遠端に位置する場合には、ロッド183は、X軸方向負側への移動が規制されているとともに、X軸方向負側に押圧されることで確実に固定されている。
〔4.4:3群枠ユニットについて〕
図23を用いて、3群枠ユニット44の詳細な構成について説明する。
【0055】
図23は、3群枠ユニット44の分解斜視図である。3群枠ユニット44は、第2の光軸A2上に設けられシャッター動作および絞り動作を行う露光調整部材Stを備えるシャッターユニット60と、第3レンズ群G3と、第3レンズ群G3をY軸方向およびZ軸方向に移動可能に保持する像振れ補正機構61と、シャッターユニット60と像振れ補正機構61とを支持する3群枠62とから主に構成されている。
第3レンズ群G3の詳細は、図5〜図8を用いて説明したので、ここでは省略する。
シャッターユニット60は、第2の光軸A2上に設けられCCD37(図9参照)の露光量および露光時間を制御するための絞りやシャッターである露光調整部材Stを備える本体部201と、本体部201のZ軸方向正側においてX軸方向負側に向かって突出して備えられている絞り用アクチュエータ202と、本体部201のZ軸方向負側においてX軸方向負側に向かって突出して備えられているシャッター用アクチュエータ203と、から主に構成されている。絞り用アクチュエータ202とシャッター用アクチュエータ203とは、第2の光軸A2を挟んでZ軸方向に離隔して設けられている。シャッターユニット60は、後述する像振れ補正機構61を挟んで、3群枠62に固定される。
像振れ補正機構61は、第3レンズ群G3を保持し、3群枠62に対してZ軸方向(ピッチング方向)およびY軸方向(ヨーイング方向)に移動可能なピッチング移動枠205と、ピッチング移動枠205のX軸方向正側に取り付けられた電気基板206と、電気基板206のX軸方向正側からピッチング移動枠205に取り付けられるキャップ207と、ピッチング移動枠205をZ軸方向に移動可能に保持するとともに、3群枠62に対してY軸方向に移動可能なヨーイング移動枠208とから主に構成されている。
【0056】
ピッチング移動枠205は、中心部に第3レンズ群G3を保持する筒部205cが形成され、Y軸方向正側に軸受205aを、Y軸方向負側に廻り止め205bを有している。軸受205aには、Z軸方向と平行なピッチングシャフト205cが挿入される。ピッチングシャフト205cの両端は、後述するヨーイング移動枠208の固定部208aにより支持される。廻り止め205bは、後述するヨーイング移動枠208の係合部208bに対して、Z軸方向に移動可能に係合する。これにより、ピッチング移動枠205は、ヨーイング移動枠208に対して、ピッチングシャフト205cに沿う方向に摺動可能になっている。
電気基板206には、第3レンズ群G3をZ軸方向に駆動するコイル206aと、Y軸方向に駆動するコイル206bと、第3レンズ群G3のZ軸方向位置を検出するホール素子206cと、Y軸方向位置を検出するホール素子206dとが設けられている。なお、コイル206a,206bは、例えば、積層コイルとして電気基板206に一体に構成されている。FPC206eは、電気基板206に取り付けられコイル206a,206b、ホール素子206c,206cとメイン基板23(図3参照)との間の信号の伝達を行う。
【0057】
キャップ207は、第3レンズ群G3のX軸方向正側に取り付けられ、フレアやゴーストなどの発生を抑制する。キャップ207は、電気基板206を挟んでピッチング移動枠205の筒部205cを覆うように取り付けられる。
ヨーイング移動枠208は、中心部に第3レンズ群G3を保持する筒部205cおよびキャップ207が挿入される開口を有する部材であり、Y軸方向正側には、ピッチングシャフト205cの両端を支持する固定部208aが、Y軸方向負側には、ピッチング移動枠205の廻り止め205bと係合する係合部208bが形成されている。これにより、ヨーイング移動枠208は、ピッチング移動枠205をZ軸方向に摺動可能に支持している。また、ヨーイング移動枠208のX軸方向正側の面には、Z軸方向正側に軸受208cが、Z軸方向負側に廻り止め208dが形成されている。軸受208cには、Y軸方向と平行なヨーイングシャフト208eが挿入される。ヨーイングシャフト208eの両端は、後述する3群枠62の固定部62aにより支持される。廻り止め208dは、後述する3群枠62の係合部62bに対して、Y軸方向に移動可能に係合する。これにより、ヨーイング移動枠208は、3群枠62に対して、ヨーイングシャフト208eに沿う方向に摺動可能になっている。
【0058】
3群枠62は、ヨーイング移動枠208に対して、X軸方向正側に配置される部材であり、X軸方向負側の面には、Z軸方向正側にヨーイングシャフト208eの両端を支持する固定部62aが、Z軸方向負側にヨーイング移動枠208の廻り止め208dと係合する係合部62bが形成されている。これにより、3群枠62は、ヨーイング移動枠208をY軸方向に移動可能に支持している。
3群枠62のZ軸方向負側の嵌合部62gには、ヨーク62dが圧入固定されている。ヨーク62dは、Y軸に垂直な断面がコの字状の部材であり、内側には、Z軸方向に2極着磁されたマグネット62cを固定する。ヨーク62dは、電気基板206のコイル206aとマグネット62cとがX軸方向に対向するように固定される。これにより、ピッチング方向の電磁アクチュエータが構成されている。また、3群枠62のY軸方向負側の嵌合部62hには、ヨーク62fが圧入固定されている。ヨーク62fは、Z軸に垂直な断面がコの字状の部材であり、内側には、Y軸方向に3極着磁されたマグネット62eを固定する。ヨーク62fは、電気基板206のコイル206bとマグネット62eとがX軸方向に対向するように固定される。これにより、ヨーイング方向の電磁アクチュエータが構成されている。
【0059】
以上の構成により、電気基板206のコイル206aに電流が流されると、マグネット62cとヨーク62dとにより、ピッチング方向(Z軸方向)に沿った電磁力が発生する。同様に、電気基板206のコイル206bに電流が流されると、マグネット62eとヨーク62fとにより、ヨーイング方向(Y軸方向)に沿った電磁力が発生する。
以上のように、像振れ補正機構61では、第2の光軸A2に直交する2つの方向(Y軸方向およびZ軸方向)に第3レンズ群G3を駆動させ、像振れ補正を行うことが可能となる。
3群枠62のY軸方向負側には、Y軸方向負側に突起する突起部65が形成されている。突起部65は、ロッド183(図14参照)の貫通孔183cに係合する。これにより、3群枠62は、ロッドユニット182からのX軸方向への駆動を受ける。
また、3群枠62には、Y軸方向正側かつZ軸方向正側の角部と、Y軸方向負側かつZ軸方向負側の角部とに、それぞれ軸受部62iと、軸受部62jとが形成されている。軸受部62iには、マスターフランジユニット46(図9参照)からX軸方向に沿って延びる3群ガイドポール71が挿入される。軸受部62jには、マスターフランジユニット46(図9参照)からX軸方向に沿って延びる3群ガイドポール70が挿入される。これにより、3群枠62は、3群ガイドポール70,71に沿って、X軸方向に移動可能となっている。
【0060】
さらに、3群枠62には、上述のように、像振れ補正機構61が固定されるとともに、さらにそのX軸方向負側からシャッターユニット60が取り付けられている。
以上により、3群枠ユニット44は一体として、ロッドユニット182からのX軸方向への駆動を受けるとともに、3群ガイドポール70,71によりX軸方向にガイドされ、X軸方向すなわち第2の光軸A2に沿った方向に移動する。
〔4.5:4群枠ユニットについて〕
図24を用いて、4群枠ユニット45の詳細な構成について説明する。
図24は、4群枠ユニット45の分解斜視図である。4群枠ユニット45は、第4レンズ群G4を保持し、第2の光軸A2に沿って移動して焦点調節動作を行うとともに、第1レンズ群G1および第3レンズ群G3の移動による結像倍率の変化に伴って生じる焦点調節状態のずれを補正する。
4群枠ユニット45は、第4レンズ群G4と、第4レンズ群G4を保持する4群枠66と、4群枠66に固定されるセンサーマグネット67およびコイル68とから主に構成されている。
第4レンズ群G4の詳細は、図5〜図8を用いて説明したので、ここでは省略する。
【0061】
4群枠66は、第4レンズ群G4を保持する開口66aを有している。第4レンズ群G4は、この開口66aに接着またはカシメにより固定されている。
4群枠66には、Y軸方向正側かつZ軸方向正側の角部と、Y軸方向負側かつZ軸方向負側の角部とに、それぞれ軸受部66bと、軸受部66cとが形成されている。軸受部66bは、X軸方向に長い筒状の軸受であり、マスターフランジユニット46(図9参照)からX軸方向に沿って延びる4群ガイドポール73が挿入される。軸受部66cには、マスターフランジユニット46(図9参照)からX軸方向に沿って延びる4群ガイドポール72が挿入される。これにより、4群枠66は、4群ガイドポール73,72に沿って、X軸方向に移動可能となっている。
4群枠66には、筒状の軸受部66bに長手方向が沿うようにセンサーマグネット67が固定されている。センサーマグネット67は、X軸方向に多極着磁されている。センサーマグネット67は、マスターフランジユニット46のMRセンサ77(図9参照)とY軸方向に対向して配置される。これにより、センサーマグネット67が4群枠66とともにX軸方向に移動すると、MRセンサ77は、その周辺の磁界の変化を検出する。これにより、4群枠ユニット45の位置が検出される。
【0062】
また、4群枠66のX軸方向正側には、コイル68が接着固定されている。コイル68には、FPC68aが接続されている。FPC68aは、コイル68とメイン基板23(図3参照)とを電気的に接続する。
コイル68は、後述するマスターフランジユニット46に固定されているZ軸に垂直な断面がコの字状のメインヨーク76aの一部により貫通されている。メインヨーク76aの他部には、マグネット76bが固定されている。また、メインヨーク76aのX軸方向負側の開放端は、コイル68を貫通した状態でサイドヨーク76cにより閉じられている。以上のメインヨーク76a、マグネット76bおよびサイドヨーク76cにより構成される磁性部材76と、コイル68とにより、ボイスコイル型のリニアモータが構成される。これにより、コイル68に電流が流されると、コイル68にX軸方向の駆動力が発生し、コイル68およびコイル68を固定する4群枠ユニット45がX軸方向に駆動される。
以上により、4群枠ユニット45は、ボイスコイル型のリニアモータによりX軸方向への駆動を受けるとともに、4群ガイドポール73,72によりX軸方向にガイドされ、X軸方向すなわち第2の光軸A2に沿った方向に移動する。
なお、ここでは、リニアモータを用いて、4群枠ユニット45を駆動する場合について示したが、4群枠ユニット45は、他のモータ、例えば、ステッピングモータなどにより駆動されてもよい。
〔4.6:マスターフランジユニットについて〕
図25を用いて、マスターフランジユニット46の詳細な構成について説明する。
【0063】
図25は、マスターフランジユニット46の分解斜視図である。マスターフランジユニット46は、ベースユニット43とともに、レンズ鏡筒31の筐体を構成する部材であり、ベース55のX軸方向に螺子などにより固定される。
マスターフランジユニット46には、4群枠ユニット45のコイル68とともに磁気回路を構成する磁性部材76が固定されている。具体的には、磁性部材76を構成するメインヨーク76aの圧入用突起76dをマスターフランジユニット46の嵌合部(図示せず)に圧入固定することにより、磁性部材76を固定している。メインヨーク76aのY軸方向負側の内側面には、マグネット76bが接着などにより固定されている。さらに、メインヨーク76aには、4群枠ユニット45のコイル68が貫通されており、コイル68が貫通された状態で、メインヨーク76aのX軸方向負側の開放端には、サイドヨーク76cが固定されている。
マスターフランジユニット46のY軸方向正側の面には、MRセンサ77(図9参照)を取り付けるための嵌合部75fが形成されている。嵌合部75fの一部は、マスターフランジユニット46の内側と貫通された貫通部75gを有している。MRセンサ77は、この嵌合部75fに固定されるとともに、貫通部75gを介して、マスターフランジユニット46の内側に位置する4群枠ユニット45のセンサーマグネット67(図24参照)とY軸方向に対向する。MRセンサ77には、図示しないFPCが接続されており、FPCを介して、メイン基板23(図3参照)と電気的に接続されている。
【0064】
マスターフランジユニット46のY軸方向正側かつZ軸方向正側の角部には、Z軸方向に隣接する筒状のガイドポール支持部75b,75cが形成されている。Z軸方向正側に位置するガイドポール支持部75bは、3群ガイドポール71のX軸方向正側の端部を支持する。Z軸方向負側に位置するガイドポール支持部75cは、4群ガイドポール73のX軸方向正側の端部を支持する。また、マスターフランジユニット46のY軸方向負側かつZ軸方向負側の角部には、Z軸方向に隣接する筒状のガイドポール支持部75d,75eが形成されている。Z軸方向正側に位置するガイドポール支持部75dは、4群ガイドポール72のX軸方向正側の端部を支持する。Z軸方向負側に位置するガイドポール支持部75eは、3群ガイドポール70のX軸方向正側の端部を支持する。また、それぞれのガイドポール70〜73のX軸方向負側の端部は、2群枠ユニット42に固定されている。
〔4.7:レンズ鏡筒の動作〕
図26を用いて、レンズ鏡筒31の各部の動作について説明する。図26は、レンズ鏡筒31の第1の光軸A1および第2の光軸A2を含む平面における断面図である。図26では、説明の都合上、第1の光軸A1および第2の光軸A2を含む平面に位置しない部材も示している。また、説明の都合上、主に説明に必要な構成を示している。図26(a)は、光学系35が広角側に位置する場合、図26(b)は、光学系35が広角端と望遠端との中間位置であるノーマル位置に位置する場合、図26(c)は、光学系35が望遠端に位置する場合を示している。
【0065】
以下、光学系35が広角側から望遠側にズーミングされる場合の各部の動作について説明する。
まず、モータユニット32が動作すると、駆動ギア53が駆動される。駆動ギア53は、1群枠ユニット41の駆動枠51と、ベースユニット43のリングギア180に噛合しており、駆動ギア53の回転駆動は、駆動枠51とリングギア180とを回転駆動させる。
駆動枠51が回転駆動されると、上述のごとく構成された1群枠ユニット41が動作し、それに保持される第1レンズ群G1がY軸方向正側に移動する。
リングギア180が回転駆動されると、その駆動は、ロッドユニット182のX軸方向負側への並進運動に変換される。ロッドユニット182には、3群枠ユニット44の突起部65が係合している。このため、ロッドユニット182とともに、3群枠ユニット44は、X軸方向負側に並進運動する。
図26(a)に示すように、光学系35が広角側に位置する場合には、3群枠ユニット44は、その一部が1群枠ユニット41のX軸方向正側の一部とY軸方向に対向するように配置されている。具体的には、3群枠ユニット44の一部が固定枠52のX軸方向正側の一部とY軸方向に対向するように配置されている。
【0066】
また、図26(b)に示すように、光学系35が望遠側に移動すると、1群枠50および駆動枠51がY軸方向正側に移動するとともに、その移動により生まれた空間に3群枠ユニット44がX軸方向正側から進入する。
さらに、図26(c)に示すように、光学系35が望遠端に位置する場合には、3群枠ユニット44は、X軸方向への可動範囲のうち、2群枠ユニット42に最近接する位置まで移動する。
ここで、図27〜図29を用いて、2群枠ユニット42と3群枠ユニット44との位置関係について説明する。図27は、光学系35が広角端に位置する場合の2群枠ユニット42と3群枠ユニット44のシャッターユニット60との位置関係を示す斜視図である。図28は、光学系が望遠端に位置する場合の2群枠ユニット42と3群枠ユニット44のシャッターユニット60との位置関係を示す斜視図である。図29は、光学系が望遠端に位置する場合の2群枠ユニット42と3群枠ユニット44のシャッターユニット60との位置関係を示すY軸方向正側から見た平面図である。
図27に示すように、2群枠ユニット42には、X軸方向正側、すなわち3群枠ユニット44側に向けて凹部空間166と凹部空間167とが形成されている。この凹部空間166と凹部空間167とは、3群枠ユニット44からX軸方向負側に突出して設けられた絞り用アクチュエータ202とシャッター用アクチュエータ203とに対して、それぞれX軸方向に対向する位置に形成されている。このため、図28に示すように、光学系35が望遠側に移動し、シャッターユニット60が2群枠ユニット42側に最近接する位置まで移動すると、凹部空間166に絞り用アクチュエータ202が嵌り合い、凹部空間167にシャッター用アクチュエータ203が嵌り合う。
【0067】
また、図29に示すように、絞り用アクチュエータ202とシャッター用アクチュエータ203とは、第2の光軸A2を挟んでZ軸方向に離隔して設けられており、その間隔は、2群枠150のZ軸方向幅よりも大きい。このため、シャッターユニット60が2群枠ユニット42側に最近接する位置まで移動すると、2群枠150は、絞り用アクチュエータ202とシャッター用アクチュエータ203とのZ軸方向中間部に嵌り合う。
以上のように2群枠ユニット42と3群枠ユニット44とを構成しているため、第3レンズ群G3のX軸方向の可動範囲を大きくすることが可能となる。すなわち、レンズ鏡筒31をX軸方向にコンパクトに形成しつつ、第3レンズ群G3とCCD37とのX軸方向最大距離を大きくすることが可能となる。
以上に説明した1群枠ユニット41と3群枠ユニット44との協働により、光学系35は、CCD37への結像倍率を変化させる(図26参照)。4群枠ユニット45は、この結像倍率の変化に伴って生じる焦点調節状態のずれを補正する。補正は、4群枠ユニット45のコイル68とマスターフランジユニット46の磁性部材76とにより構成されるボイスコイル型のリニアモータにより、4群枠ユニット45をX軸方向に駆動することにより行われる(図24参照)。
【0068】
なお、図26に示すように、2群枠ユニット42のX軸方向負側には、1群枠ユニット41のY軸方向負側に形成される空間195を利用してモータユニット32が配置されている。これにより、光学系35を構成する部材が配置されておらず、光学系35に影響を与えない空間を有効に利用して、撮像装置2を構成する部材を配置することが可能となり、空間利用効率を向上させることが可能となっている。
〈5:効果〉
〔5.1〕
撮像装置2は、第1の光軸A1方向に多段に繰り出し可能かつ沈胴可能な多段沈胴式の1群枠ユニット41を有している。さらに、光学系35として、屈曲光学系を採用している。このため、撮像装置2をコンパクトに構成しつつ、第1レンズ群G1からCCD37までの光路長を長くすることができ、高倍率なズームレンズ系を構成することが可能となる。
〔5.2〕
撮像装置2では、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3とは、CCD37に対する光路上での相対位置を変更する。このため、より光学的に高性能なズームレンズ系を構成することが可能となる。
【0069】
〔5.3〕
駆動枠51は、ズームモータ36により第1の光軸A1回りに回転駆動されることにより、プリズムL5を備える2群枠ユニットに対して第1の光軸A1に沿った方向に移動する。さらに、1群枠50は、駆動枠51の駆動により、駆動枠51に対して第1の光軸A1に沿った方向に移動する。撮像装置2では、ズームモータ36からの駆動力が駆動枠51を介して1群枠50に伝達される。このため、1群枠50を駆動するための特別なモータが不必要となり、撮像装置2をより簡易に構成することが可能となる。
〔5.4〕
1群枠ユニット41の固定枠52は、プリズムL5を固定する2群枠ユニット42に対して直接固定されている。固定枠52は、1群枠50および駆動枠51を第1の光軸A1方向に移動可能に支持する。このため、プリズムL5に対する第1レンズ群G1の位置決め、特に第1の光軸A1に直交する方向の位置決めを高精度に行うことが可能となる。
〔5.5〕
撮像装置2では、固定枠52の内周側に駆動枠51が配置され、駆動枠51の内周側に1群枠50が配置される。駆動枠51は、カムピン111a〜111cを固定枠52のカム溝128a〜128cに係合させつつ第1の光軸A1方向に移動可能である。1群枠50は、カムピン104a〜104cを駆動枠51のカム溝128a〜128cに係合させ、さらに先端部107a,107bを直進溝129a,129bに係合させつつ第1の光軸A1方向に移動可能である。特に、先端部107a,107bを直進溝129a,129bに係合させて直進するため、1群枠50の第1の光軸A1回りの回転が防止されている。このため、撮像装置2では、1群枠50を直進させるための直進枠を設ける必要がなく、撮像装置2をより簡易に構成することが可能となる。
【0070】
〔5.6〕
固定枠52では、延長部126a,126bは、筒状部125のX軸方向負側にのみ設けられている。このため、図26で説明したように、3群枠ユニット44は、固定枠52と干渉することなく、X軸方向に移動することが可能となる。
〔5.7〕
撮像装置2は、第3レンズ群G3を保持する3群枠ユニット44を第2の光軸A2に沿った方向に移動させる3群移動機構57を備えている。1群枠ユニット41と3群移動機構57とは、ズームモータ36により駆動される駆動ギア53を介して機能的に連結されている。このため、1群枠ユニット41と3群移動機構57とをそれぞれ駆動する機構を必要とせず、撮像装置2をより簡易に構成することが可能となる。また、このことは、撮像装置2の静音化にもつながる。さらに、1群枠ユニット41の駆動枠51のリングギア112と3群移動機構57のリングギア180とのいずれもが、駆動ギア53に噛合して駆動されるため、簡易に1群枠ユニット41と3群移動機構57との動作を連動させることが可能となる。
〔5.8〕
3群移動機構57は、ズームモータ36からの回転駆動を第2の光軸A2に沿った方向の駆動へと変換するリングギア180およびリングギアピン181と、リングギアピン181に係合し第2の光軸A2に沿った方向に移動するロッドユニット182とを備える。このため、第1レンズ群G1を第1の光軸A1に沿った方向に移動させる1群枠ユニット41と、第3レンズ群G3を第2の光軸A2に沿った方向に移動させる3群移動機構57とを同じ駆動手段で駆動することが可能となる。
【0071】
〔5.9〕
撮像装置2では、圧着バネ186と、バネピン187と、圧着バネ規制ピン185とにより、リングギア180とロッド183とを弾性的に連結する弾性連結機構が構成されている。弾性連結機構は、ロッド183がX軸方向正側の端部に位置する場合に、X軸方向正側に向けてロッド183を押圧する。また、ロッド183がX軸方向負側の端部に位置する場合に、X軸方向負側に向けてロッド183を押圧する。これにより、ロッド183およびロッド183と一体的に移動する3群枠ユニット44のがたつきを防止できる。特に、光学系が広角端または望遠端に位置する場合や撮像装置の不使用状態(沈胴状態)における3群枠ユニット44のがたつきを防止できる。
〔5.10〕
3群枠ユニット44のX軸方向への移動を案内する3群ガイドポール70,71の一端は、第2レンズ群G2を備える2群枠ユニット42に固定されている。このため、2群枠ユニット42に対する3群枠ユニット44の位置決め、特に、第2の光軸A2に直交する方向への位置決めを高精度に行うことが可能となる。
〔5.11〕
図26に示すように、モータユニット32の一部は、プリズムL5の反射面L5aを挟んで3群枠ユニット44と反対側の空間に配置される。このため、光学系35を構成する部材が配置されておらず、光学系35に影響を与えない空間を有効に利用して、撮像装置2を構成する部材を配置することが可能となり、空間利用効率を向上させることが可能となる。
【0072】
〔5.12〕
シャッターユニット60には、絞り用アクチュエータ202とシャッター用アクチュエータ203が2群枠ユニット42側に突出して形成されている。2群枠ユニット42の2群枠150は、シャッターユニット60と2群枠ユニット42とが近接する場合に、絞り用アクチュエータ202とシャッター用アクチュエータ203とのZ軸方向中間部に嵌り込む。これにより、撮像装置2の第2の光軸に沿った方向の寸法を小さくすることが可能となる。
〔5.13〕
2群枠ユニット42では、開口部材159を2群枠150に固定することにより、第6レンズL6および第7レンズL7をX軸方向負側に支持している。開口部材159は、第7レンズL7から出射する光のうち、不要な方向に向かう不要光を遮断しているとともに、第6レンズL6および第7レンズL7をX軸方向負側に支持する。このため、撮像装置2の構成部材を削減し、コスト低減の効果を奏することが可能となる。
〔5.14〕
デジタルカメラ1は、撮像装置2を備えるため、上記撮像装置2の効果を奏することが可能である。
【0073】
〔5.15〕
デジタルカメラ1では、被写体の鉛直方向上下と撮像される被写体像の短辺方向上下とが一致するように撮像を行う場合に、第2の光軸A2に沿った方向が水平方向に略一致する。このため、デジタルカメラ1では、被写体の鉛直方向上下と撮像される被写体像の短辺方向上下とが一致するように撮像を行う通常撮像状態において、デジタルカメラ1の長手方向を水平方向に一致させて撮像を行うことが可能となる。また、通常撮像状態においてデジタルカメラの短手方向を水平方向に一致させて撮像を行うデジタルカメラに比して、通常撮像状態での鉛直方向の寸法を小さくすることが可能となる。
〔5.16〕
デジタルカメラ1では、第2の光軸A2に沿った方向は、画像表示部18の長辺方向に略並行する。画像表示部18の長辺方向は、外装部11の長手方向と略並行する。このため、画像表示部18の長辺方向を略水平方向に一致させて撮像を行う通常撮影状態において、外装部11の長手方向を略水平方向に一致させて撮像を行うことが可能となる。また、第2の光軸A2に沿った方向が画像表示部18の短辺方向と略並行するデジタルカメラに比して、画像表示部18の短辺方向の寸法を小さくすることが可能となる。
【0074】
〔5.17〕
デジタルカメラ1では、X軸方向正側にグリップ部12が形成されている。このため、グリップ部12と、デジタルカメラ1のX軸方向負側に配置される1群枠ユニット41とのX軸方向距離を確保することが可能となる。これにより、撮影時に第1レンズ群G1への指がかりが防止可能となる。
〔5.18〕
デジタルカメラ1では、撮影時に1群枠ユニット41が外装部11から被写体側(Y軸方向正側)に突出する。撮影時に第1レンズ群G1への指がかりが防止可能となる。
〔5.19〕
デジタルカメラ1では、像振れ補正機構61を備えている。このため、より高品質な撮像を行うことが可能となる。
〔5.20〕
撮像装置2のZ軸方向幅(Wz)は、Y軸方向幅(Wy)よりも大きく形成されている。このため、デジタルカメラ1の第1の光軸A1に沿った方向の厚みを薄く形成することが可能となる。
〈6:その他〉
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0075】
〔6.1〕
上記実施形態で図1〜図3を用いて説明したデジタルカメラ1および本体部3の外観および構成は、説明したものに限らない。
例えば、デジタルカメラ1を構成する部材およびその配置は、上記したものに限定されない。
また例えば、デジタルカメラの外観および構成は、図30に示すようなものであってもよい。なお、図30では、図1〜図3で説明した各部と同様の部分には同じ符号を付して説明を省略する。
図30(a)にデジタルカメラ211のY軸方向正側の外観を示す。デジタルカメラ211は、上述の撮像装置2と、外観が直方体状の外装部214を有する本体部213と、外装部214に連結機構212により連結された画像表示部228とを備えている。
画像表示部228は、連結機構212により、X軸方向に延びる軸回りに回転可能に取り付けられており、外装部214のY軸方向正側およびY軸方向負側に折りたたみ可能である。また、画像表示部228は、外装部214のY軸方向負側に折りたたまれた状態でY軸方向負側を向く面に画像を表示するための液晶部228aを配置している。言い換えれば、画像表示部228は、Y軸方向正側に折りたたまれた状態でY軸方向正側を向く面に液晶部228aを配置している。これにより、デジタルカメラ211の不使用時には、画像表示部228を外装部214のY軸方向負側に折りたたむことが可能となり、デジタルカメラ211の不使用時に液晶部228aを保護することが可能となる。また、デジタルカメラ211の使用時には、画像表示部228を外装部214のY軸方向正側に折りたたむことが可能となり、この状態でY軸方向正側を向く液晶部228aにより撮像される像を視認することが可能となる。
【0076】
画像表示部228のZ軸方向寸法Wz1は、外装部214のZ軸方向寸法Wz2とほぼ同じであり、X軸方向寸法Wx1は、外装部214からY軸方向正側に突出する撮像装置2のX軸方向正側の端部から外装部214のX軸方向正側の端部までのX軸方向寸法Wx2とほぼ同じである。このため、画像表示部228が外装部214のY軸方向正側に折りたたまれると、画像表示部228は、外装部214のX軸方向にもZ軸方向にも突出しない。
図30(b)は、画像表示部228を外装部214のY軸方向正側に折りたたんだ状態を示すとともに、外装部214の内部においてX軸方向負側に配置される部材を示す透視図である。
図30(b)に示すように、画像表示部228のY軸方向寸法Wy1は、外装部214から突出する撮像装置2の固定枠52のY軸方向寸法Wy2とほぼ同じである。このため、画像表示部228を外装部214のY軸方向正側に折りたたんだ状態で、固定枠52のY軸方向正側の端部と画像表示部228のY軸方向正側の面とのY軸方向位置がほぼ一致する。また、図3(b)に示したのと同様に、外装部214の内部には、撮像装置2、メイン基板23、電池22、メモリカード24が配置されている。
【0077】
図30(c)は、外装部214の内部においてY軸方向正側に配置される部材を示す透視図である。図3(a)に示したのと同様に、外装部214には、ストロボ15、メインコンデンサ20、サブ基板21、撮像装置2、電池22が配置されている。
〔6.2〕
光学系35の構成は、説明した構成に限らない。例えば、各レンズ群G1〜G5は、他のレンズの組み合わせにより実現されてもよい。
〔6.3〕
1群枠ユニット41の構成は、説明した構成に限らない。例えば、1群枠50、駆動枠51、固定枠52のそれぞれに形成されるカムピンやカム溝は、同様の機能を果たすものであれば、他の構成により実現されてもよい。
〔6.4〕
2群枠ユニット42の構成は、説明した構成に限らない。例えば、2群枠150は、第2レンズ群G2を保持することができるものであれば、他の構造を有していてもよい。
〔6.5〕
(6.5.1:概要について)
撮像装置2の構成は、説明した構成に限らない。例えば、図31〜図37を用いて説明する構成であってもよい。
【0078】
より具体的には、図31に示す撮像装置400は、第1レンズ群G1から入射する光のうち、第2レンズ群G2を介さずに第3レンズ群に入射する光の光路上に位置する遮光部材(第1遮光部材401、第2遮光部材402、第3遮光部材403)を備えている点に特徴を有する。
この特徴について、以下、図31〜図37を用いて詳しく説明を加える。なお、以下では、上記実施形態で説明したのと同様の機能を有する部材に対して同じ名称を付し、同様の構成については説明を省略するとともに、異なる構成についての説明を加える。
(6.5.2:構成について)
図31に示す撮像装置400は、第1レンズ群G1を保持する1群枠50、駆動枠51および固定枠52から主に構成される1群枠ユニット41と、第2レンズ群G2を保持する2群枠ユニット415と、第3レンズ群G3を保持する3群枠ユニット413と、4群枠ユニット45と、CCDユニット33を固定するマスターフランジユニット46と、1群枠ユニット41と3群枠ユニット413とを駆動するモータユニット32と、これらの部材を保持するベース411とから主に構成されている。
撮像装置400の詳しい構成については、上記実施形態とほぼ同様であるため説明を省略し、以下では、第1遮光部材401〜第3遮光部材403について説明を加える。
【0079】
第1遮光部材401は、ベース411に固定されるカバー405と、カバー405に接着などにより固定、あるいは一体に形成されたカバーシート406とから構成されている。
図32は、カバー405の取り付けを説明する平面図である。カバー405は、ベース411のY軸方向正側を覆うように、1群枠ユニット41に隣接して固定される。
カバーシート406(図31参照)は、黒色の可撓性薄膜樹脂などにより構成されており、Y軸方向視で1群枠ユニット41と重なる位置まで延接された部材である。カバーシート406は、Y軸方向に弾性変形可能であり、負荷が解放された状態では、平面状の部材である。
第2遮光部材402(図31参照)は、2群枠ユニット415に固定される部材である。
図33は、第2遮光部材402の構成を説明する斜視図である。第2遮光部材402は、2群枠ユニット415が保持する第4レンズL4の周囲に配置されるリング状部材417と、リング状部材417の周方向の一部(X軸方向負側)において径方向に延接された遮光板418と、遮光板418のY軸方向負側からY軸方向負側に向けて延接される板状部421とから主に構成されている。
【0080】
板状部421は、2群枠ユニット415に形成されたプリズム接着用孔419からの漏光を遮光するために設けられた部材である。プリズム接着用孔419は、2群枠ユニット415に対してプリズムL5を固定する際に、接着剤を流し込むための孔である。
第3遮光部材403(図31参照)は、3群枠ユニット413に実質的に固定される部材である。
図34は、第3遮光部材403の構成を説明する斜視図である。第3遮光部材403は、3群枠ユニット413のピッチング移動枠205に対して接着などにより固定される部材であり、ピッチング移動枠205が保持する第8レンズL8の周縁部を第2の光軸A2方向に覆うように配置されるリング状部材427から主に構成されている。また、第3遮光部材403は、露光調整部材Stを備えるシャッターユニット60と3群枠ユニット413との間に配置されている。すなわち、第3遮光部材403は、シャッターユニット60の第2の光軸A2方向CCDユニット33側に配置されている。
なお、図31〜図34に示す撮像装置400の構成において、例えば、3群移動機構の構成などは、上記実施形態で示したのとは異なるが、本変形例と直接関係しない構成については説明を省略する。またこのような構成の相違は、本変形例が図31〜図34に示した構成にのみ用いられるということを意味する訳ではなく、本変形例に示した構成は、上記実施形態に示した撮像装置2に適用可能である。
【0081】
(6.5.3:作用について)
図35〜図37を用いて、第1遮光部材401〜第3遮光部材403の作用について説明を加える。
図35は、光学系が広角側(Wide位置)に位置する場合の撮像装置400の断面図である。図36は、光学系が中間位置(Normal位置)に位置する場合の撮像装置400の断面図である。図37は、光学系が望遠側(Tele位置)に位置する場合の撮像装置400の断面図である。
図35に示すように、光学系が広角側に位置する場合には、第1レンズ群G1は、沈胴状態にあり、第1レンズ群G1は、第2レンズ群G2に接近している。この状態で第1レンズ群G1を保持する1群枠50のY軸方向負側の端部は、第1遮光部材401のカバー405よりもY軸方向負側に位置している。また、1群枠50は、第2遮光部材402のリング状部材417と、径方向隙間を介して対向している。
この時、カバーシート406は、1群枠50のY軸方向負側の端部と当接し、Y軸方向負側に撓んでいる。
以上の状態で、第1遮光部材401のカバーシート406は、第1レンズ群G1を通過し、第2遮光部材402と1群枠50との径方向隙間からレンズ鏡筒404内に入射しようとする光(例えば、漏光Ls1)の光路上に位置し、遮光を行う。
【0082】
また、第2遮光部材402のリング状部材417は、第1レンズ群G1を通過し、第2レンズ群G2の周囲からレンズ鏡筒404内に入射しようとする光(例えば、漏光Ls2)の光路上に位置し、遮光を行う。
第2遮光部材402の板状部421は、第2レンズ群G2に入射し、プリズム接着用孔419から出射しようとする漏光の光路上に位置し、プリズム接着用孔419からの漏光がレンズ鏡筒404内で迷光としてCCDユニット33にまで到達することを防止している。なお、このような板状部421の作用は、光学系が図36や図37の状態にある場合にも同様である。
第3遮光部材403は、第3レンズ群G3の周縁部に入射しようとする光の光路上に位置し、遮光を行う。第2レンズ群G2を介さずに第3レンズ群G3に到達する光のうち、第3レンズ群G3の周縁部に入射しようとする光は、CCDユニット33にまで到達し、撮像画像の画像品質を低下させる。そこで、第3遮光部材403を第3レンズ群G3の周縁部に入射しようとする光の光路上に、第8レンズL8の外周と外周近傍のプリズム面側を覆うように配置することで、遮光を行う。すなわち、第3遮光部材403のX軸方向(第2の光軸A2方向)負側の端部の内径は、第8レンズL8の外径より小さい寸法で構成されている。
【0083】
次に、図36に示す中間位置では、第1レンズ群G1は、沈胴状態からY軸方向正側に移動している。この状態で第1レンズ群G1を保持する1群枠50のY軸方向負側の端部は、第1遮光部材401のカバー405よりもY軸方向正側に位置している。また、1群枠50のY軸方向負側の内周縁と、第2遮光部材402のリング状部材417との間には、Y軸方向に沿って環状の開口が形成される。
この時、カバーシート406は、1群枠50のY軸方向負側の端部とは当接せず、図35に示した弾性変形状態から解放され、平面状に延びている。このため、中間位置では、3群枠ユニット413は、カバーシート406とY軸方向に対向する位置まで移動しているが、カバーシート406と干渉せずに移動可能となる。
以上の状態で、第1遮光部材401のカバーシート406および第2遮光部材402のリング状部材417は、第1レンズ群G1を通過し第2遮光部材402と1群枠50とのY軸方向隙間からレンズ鏡筒404内に入射しようとする光の光路上に位置し、遮光を行う。
また、第3遮光部材403は、第1レンズ群G1を通過し第2遮光部材402とカバーシート406との隙間からレンズ鏡筒404内に入射する光のうち、第3レンズ群G3の周縁部に直接または反射により入射しようとする光(例えば、漏光Ls3〜Ls5)の光路上に位置し、遮光を行う。
【0084】
図37に示す望遠位置では、第1レンズ群G1は、第2レンズ群G2から最も離れた位置まで移動している。この状態で第1レンズ群G1を保持する1群枠50のY軸方向負側の端部は、第1遮光部材401のカバー405よりもY軸方向正側に位置している。また、1群枠50のY軸方向負側の内周縁と、第2遮光部材402のリング状部材417との間には、Y軸方向に沿って環状の開口が形成される。
この時、カバーシート406は、1群枠50のY軸方向負側の端部とは当接せず、図35に示した弾性変形状態から解放され、平面状に延びている。このため、望遠側では、3群枠ユニット413は、カバーシート406とY軸方向に対向する位置まで移動しているが、カバーシート406と干渉せずに移動可能となる。
以上の状態で、第1遮光部材401のカバーシート406および第2遮光部材402のリング状部材417は、第1レンズ群G1を通過し第2遮光部材402と1群枠50とのY軸方向隙間からレンズ鏡筒404内に入射しようとする光(例えば、漏光Ls6)の光路上に位置し、遮光を行う。
また、第3遮光部材403は、第1レンズ群G1を通過し第2遮光部材402と1群枠50とのY軸方向隙間からレンズ鏡筒404内に入射しようとする光の光路上に位置し、遮光を行う。
【0085】
また、撮像装置400の光学系が広角側に位置し、カバーシート406が1群枠50のY軸方向負側の端部によりY軸方向負側に押し下げられている状態で放置されると、光学系が望遠側に移動し(1群枠50がY軸方向正側に移動し)、カバーシート406が弾性変形状態から解放されても、温度条件などによってはカバーシート406が平面状に復帰しないことも考えられる。仮にこのようなカバーシート406の弾性変形状態が生じても、光学系が望遠側に移動する場合には、3群枠ユニット413のY軸方向正側の端部がカバーシート406を押し上げ、カバーシート406を略平面状に変形させ、遮光を行わせる。
(6.5.4:効果について)
(1)
撮像装置400では、高倍率でありながら小型・薄型のカメラを実現するために、第1の光軸A1に沿って入射した光束を、第1の光軸A1に交差する第2の光軸A2に沿った方向に屈曲させるプリズムL5を有する屈曲光学系を備える。また、高倍率の変倍比を確保するために、第1レンズ群G1を第2レンズ群G2に対して第1の光軸A1方向に相対的に移動可能とするとともに、第3レンズ群G3を第2レンズ群G2に対して第2の光軸A2方向に相対的に移動可能としている。また、装置を小型化するために、1群枠ユニット41と、3群枠ユニット413とが移動するための空間を独立して確保するのではなく、一部が重複するような構成としている。
【0086】
このため、撮像装置400では、1群枠ユニット41と3群枠ユニット413との重複する移動空間に、第1レンズ群G1から第2レンズ群G2を介さずに第3レンズ群を臨む開口が形成されている。
しかし、この開口は、第1遮光部材401〜第3遮光部材403により遮光される。
具体的には、光学系が広角側〜望遠側のいずれにある場合でも、第1遮光部材401(特に、カバーシート406)や、第2遮光部材402により、この開口の全部あるいは一部が遮光される。これにより、第1レンズ群G1から入射した光のうち第2レンズ群G2を介さずにレンズ鏡筒404内に入射した光が、直接第3レンズ群G3に入射すること、あるいはレンズ鏡筒404内で反射し、迷光としてCCDユニット33まで到達することが防止可能となる。また、第3遮光部材403(特に、リング状部材427)は、第8レンズL8の入射口径を制限し、第1レンズ群G1から入射した光のうち第2レンズ群G2を介さずにレンズ鏡筒404内に入射した光が、第8レンズL8の周縁部やコバ面に高い強度で入射することを防止する。また、第3遮光部材403は、光学系が中間位置にある場合に、第2遮光部材402とカバーシート406との隙間を通過した光が第8レンズL8に直接入射することを防止している。特に、第3遮光部材403は、シャッターユニット60と3群枠ユニット413との間(図36符号B1参照)や、露光調整部材Stの開口部(図36符号B2参照)からの入射光が第8レンズL8に入射し、CCDユニット33の撮像有効エリアに到達することを防止している。
【0087】
(2)
第1遮光部材401は、可撓性のカバーシート406を備える。このため、光学系が広角側にある場合には、カバーシート406は、1群枠50の動きに応じて変形し、開口を遮光する。また、光学系が中間位置〜望遠側にある場合には、カバーシート406は、1群枠50との当接から解放され、平面状に戻り、3群枠ユニット413の動きと干渉しない。このため、カバーシート406は、開口を適切に遮光するとともに、弾性変形を利用して、3群枠ユニット413との干渉により破損することが防止されている。
また、カバーシート406は、1群枠50に当接しつつ変形するため、変形のために特別の駆動装置を要さず、撮像装置400の構成を簡易にすることが可能となる。
(3)
第1遮光部材401〜第3遮光部材403は、3群枠ユニット413よりも被写体側に配置されている。このように、できるだけ光の入射側で遮光を行うことで、レンズ鏡筒404内での光の拡散を防止することができる。
また、第3遮光部材403は、シャッターユニット60よりもCCDユニット33側に配置されている。
【0088】
通常の光学系では、シャッターユニットの後段(撮像装置側)に到達する光は、それよりも前段のレンズ群を通過した光に限られる。
一方、撮像装置400では、屈曲光学系、特に高倍率の屈曲光学系を採用しているため、第1レンズ群G1の口径が第2レンズ群G2の口径よりも大口径となる。さらに、装置を小型化するために、1群枠ユニット41と、3群枠ユニット413とが移動するための空間を独立して確保するのではなく、一部が重複するような構成としている。よって、撮像装置400では、1群枠ユニット41と3群枠ユニット413との重複する移動空間に、第1レンズ群G1から第2レンズ群G2を介さずに第3レンズ群を臨む開口が形成されている。
このような構成のため、撮像装置400では、シャッターユニット60の後段に第3遮光部材403を配置し、第3レンズ群に入射する不要光を遮光することを可能としている。
(6.5.5:その他について)
(1)
遮光部材の構成は、上述の構成に限らず、第1レンズ群G1から入射した光のうち第2レンズ群G2を介さずにレンズ鏡筒404内に入射した光が、高い強度でCCDユニット33に到達することが防止できれば、他の構成であってもよい。
【0089】
(2)
第1遮光部材401の構成は、上述の構成に限らず、図38に示すような構成であってもよい。図38に示す第1遮光部材431のカバーシート430には、X軸方向に延びるスリットが形成されている。これにより、カバーシート430は、1群枠50との当接し容易に変形するとともに、容易に解放状態へ復帰することができる。このため、カバーシート430の変形に伴う騒音の発生を低減することが可能となる。
(3)
第1遮光部材の401の構成は、上述の構成に限らず、以下に説明する構成であってもよい。
図39および図40に示す第1遮光部材440は、ベース411に固定されるカバー441と、カバー441に接着などにより固定されるカバーシート445とから構成されている。図39は、第1遮光部材440を前面側から見た斜視図であり、図40は、第1遮光部材440を背面側から見た斜視図である。
カバー441は、ベース411のY軸方向正側を覆うように、1群枠ユニット41に隣接して固定される。カバー441のY軸方向正側の端面には、Z軸方向に延びる傾斜部442が形成されている。傾斜部442のY軸方向負側(背面側)には、X軸方向正側に向かうにつれてY軸方向正側に向かう傾斜面442aが形成されている。
【0090】
カバーシート445は、黒色の可撓性薄膜樹脂などにより構成されており、Y軸方向視で1群枠ユニット41と重なる位置まで延接された部材である。カバーシート445は、Y軸方向に弾性変形可能であり、負荷が解放された状態では、平面状の部材である。
カバーシート445のX軸方向正側の端部445aは、傾斜面442aに対して固定される。これにより、カバーシート445は、負荷が開放された状態では、カバー441に対して傾斜する。より具体的には、カバーシート445は、X軸方向負側に向かうにつれてカバー441から離れるように傾斜する。
図41および図42を用いて、第1遮光部材440の作用について説明を加える。図41および図42は、第1遮光部材401(図31参照)に替えて第1遮光部材440を採用した撮像装置400の断面図である。
図41は、光学系が広角側(Wide位置)に位置する場合の撮像装置400の断面図である。図42は、光学系が望遠側(Tele位置)に位置する場合の撮像装置400の断面図である。
図41に示すように、光学系が広角側に位置する場合には、第1レンズ群G1は、沈胴状態にあり、第1レンズ群G1は、第2レンズ群G2に接近している。この状態で第1レンズ群G1を保持する1群枠50のY軸方向負側の端部は、第1遮光部材440のカバー441よりもY軸方向負側に位置している。
【0091】
この時、カバーシート445は、1群枠50のY軸方向負側の端部と当接し、Y軸方向負側に撓んでいる。
以上の状態で、第1遮光部材440のカバーシート445は、第1レンズ群G1を通過し、第2遮光部材402と1群枠50との径方向隙間からレンズ鏡筒404内に入射しようとする光(例えば、漏光Ls1)の光路上に位置し、遮光を行う。
この状態から光学系が望遠側に移動する場合、第1レンズ群G1は、沈胴状態からY軸方向正側に移動している。
この時、カバーシート445は、1群枠50のY軸方向負側の端部とは当接せず、図41に示した弾性変形状態から解放され、平面状に延びている。すなわち、カバーシート445は、カバー441とは所定の角度を有して傾斜している。この時のカバーシート445の状態を図42の点線で示す。
図42に示すように、光学系が望遠側に位置する場合には、第1レンズ群G1は、第2レンズ群G2から最も離れた位置まで移動している。この状態で第1レンズ群G1を保持する1群枠50のY軸方向負側の端部は、第1遮光部材440のカバー441よりもY軸方向正側に位置している。この時、3群枠ユニット413は、カバーシート445をY軸方向正側に撓ませつつX軸方向負側に移動している。
【0092】
以上の状態で、第1遮光部材440のカバーシート445は、第1レンズ群G1を通過し第2遮光部材402と1群枠50とのY軸方向隙間からレンズ鏡筒404内に入射しようとする光(例えば、漏光Ls6)の光路上に位置し、遮光を行う。
以上、説明したように、第1遮光部材440では、カバーシート445は、カバー441に対して傾斜して固定されている。また、カバーシート445は、3群枠ユニット413の移動経路中に配置されている。このため、3群枠ユニット413の移動に伴って、3群枠ユニット413がカバーシート445をY軸方向正側に撓ませることになる。すなわち、3群枠ユニット413の移動中に、カバーシート445が3群枠ユニット413に当接し続けることが可能となる。よって、より確実に遮光を行うことが可能となる。
なお、第1遮光部材440において、傾斜部442を設けない構造も考えられる。例えば、カバーシート445の端部445aを他の部分に対して所定角度だけ傾斜させて形成し、端部445aをカバー441に固定することでカバー441とカバーシート445とを傾斜させる構造などが考えられる。このような構造であっても遮光を行うことが可能となる。
しかし、第1遮光部材440のように、傾斜部442の傾斜面442aにおいて、平面状のカバーシート445の端部445aを固定する構造を採用すると、カバー441とカバーシート445との傾斜角度を、カバー441と傾斜面442aとが成す角度により定めることが可能となる。このため、カバー441とカバーシート445との傾斜角度の精度を向上させることが可能となる。またこのような構造は、量産性にも優れている。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明にかかる撮像装置およびカメラは、高倍率屈曲光学系の実現と、高画質な撮像の実現との両立が求められる分野において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】デジタルカメラの外観を示す斜視図
【図2】デジタルカメラの外観を示す斜視図
【図3】本体部の構成を概略的に示す透視図
【図4】撮像装置の組み立て斜視図
【図5】光学系の構成を示す説明図(広角端)
【図6】光学系の構成を示す説明図(広角端)
【図7】光学系の構成を示す説明図(望遠端)
【図8】光学系の構成を示す説明図(望遠端)
【図9】撮像装置の分解斜視図
【図10】1群枠ユニットの分解斜視図
【図11】ベースユニットの分解斜視図
【図12】2群枠ユニットの分解斜視図
【図13】2群枠ユニットの断面図
【図14】ロッドユニットの分解斜視図
【図15】ロッドユニットの組み立て斜視図
【図16】3群枠ユニットとベースユニットとの組み立て状態を示す斜視図
【図17】3群移動機構の動作を説明する説明図
【図18】3群移動機構の動作を説明する説明図(広角端)
【図19】3群移動機構の動作を説明する説明図(広角側)
【図20】3群移動機構の動作を説明する説明図(ノーマル位置)
【図21】3群移動機構の動作を説明する説明図(望遠側)
【図22】3群移動機構の動作を説明する説明図(望遠端)
【図23】3群枠ユニットの分解斜視図
【図24】4群枠ユニットの分解斜視図
【図25】マスターフランジユニットの分解斜視図
【図26】レンズ鏡筒の動作を説明する説明図
【図27】2群枠ユニットと3群枠ユニットとの位置関係について説明する説明図
【図28】2群枠ユニットと3群枠ユニットとの位置関係について説明する説明図
【図29】2群枠ユニットと3群枠ユニットとの位置関係について説明する説明図
【図30】変形例としてのデジタルカメラの外観および構成を示す正面図および透視図
【図31】変形例としての撮像装置の分解斜視図
【図32】撮像装置の平面図
【図33】第2遮光部材の構成を説明する分解斜視図
【図34】第3遮光部材の構成を説明する分解斜視図
【図35】第1〜第3遮光部材の作用について説明する断面図(広角側)
【図36】第1〜第3遮光部材の作用について説明する断面図(ノーマル位置)
【図37】第1〜第3遮光部材の作用について説明する断面図(望遠側)
【図38】第1遮光部材の他の構成について説明する斜視図
【図39】第1遮光部材の他の構成について説明する斜視図
【図40】第1遮光部材の他の構成について説明する斜視図
【図41】第1遮光部材の作用について説明する断面図(広角側)
【図42】第1遮光部材の作用について説明する断面図(望遠側)
【符号の説明】
【0095】
1 デジタルカメラ
2 撮像装置
11 外装部
18 画像表示部
31 レンズ鏡筒
32 モータユニット
33 CCDユニット
41 1群枠ユニット
42 2群枠ユニット
G1 第1レンズ群
G3 第3レンズ群
A1 第1の光軸
A2 第2の光軸
L5 プリズム
400 撮像装置
401 第1遮光部材
402 第2遮光部材
403 第3遮光部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光軸に沿って入射した光束を取り込む第1のレンズ群と、
前記第1の光軸に沿って入射した光束を、前記第1の光軸に交差する第2の光軸に沿った方向に屈曲させる屈曲手段と、
前記屈曲手段により屈曲された前記光束を取り込む第2のレンズ群と、
前記第2のレンズ群を通過した前記光束を受光する撮像手段と、
前記第1のレンズ群を保持し、前記第1の光軸に沿った方向に前記第1のレンズ群と前記屈曲手段とを相対的に移動させる第1の移動機構と、
前記第1の移動機構を駆動する駆動手段と、
前記第1のレンズ群から入射した光のうち、前記屈曲手段を介さずに前記第2のレンズ群に到達する光の光路上に配置される遮光手段と、
を備える、
撮像装置。
【請求項2】
前記第1の移動機構は、
前記屈曲手段に対して前記第1の光軸に沿った方向に相対的に移動可能な第1の移動体と、
前記第1のレンズ群を保持し、前記第1の移動体に対して前記第1の光軸に沿った方向に相対的に移動可能な第2の移動体と、
を有する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記遮光手段は、前記第1のレンズ群から前記屈曲手段を介さずに前記第2のレンズ群を臨む開口の少なくとも一部を遮断する、
請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第2のレンズ群を保持し、前記第2の光軸に沿った方向に前記第2のレンズ群と前記屈曲手段とを相対的に移動させる第2の移動機構、
をさらに備え、
前記遮光手段の少なくとも一部は、前記第1の移動機構と前記第2の移動機構とが共有する空間に配置される、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記遮光手段の少なくとも一部は、可撓性の部材であり、前記第2の移動機構と当接して変形する、
請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記遮光手段の少なくとも一部は、可撓性の部材であり、前記第1の移動機構と当接して変形する、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記遮光手段は、前記屈曲手段に対して実質的に固定される部材を含む、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記遮光手段は、前記第2のレンズ群に対して実質的に固定される部材を含む、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記遮光手段は、前記撮像手段に対する露光を調整する露光調整機構と前記撮像手段との間に配置され、前記第2のレンズ群の周囲の少なくとも一部を覆う部材である、
請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記遮光手段は、前記第2の光軸に沿った方向に対して傾斜して設けられている、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
筐体の一部として被写体側を覆うカバー部材をさらに備え、
前記遮光手段は、前記カバー部材に対して傾斜して固定される、
請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記カバー部材は、前記第2の光軸に沿った方向の前記撮像手段側に向かうにつれて前記第1の光軸に沿った方向の前記被写体側に向かうように傾斜する傾斜部を有し、
前記遮光手段の一端は、前記傾斜部に対して固定される、
請求項11に記載の撮像装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の撮像装置を含むカメラ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2007−241207(P2007−241207A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−106797(P2006−106797)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】