説明

撮影対象サイズ推定装置及び撮影対象サイズ推定方法並びにそのプログラム

【課題】撮影画像に写っている撮影対象のサイズを簡易な方法で推定することのできる撮影対象サイズ推定装置を提供する。
【解決手段】撮影画像に写っている撮影対象の所望の算出対象サイズを表す算出対象画素の前記撮影画像内において占める画素数を検出する。また、撮影画像内において算出対象画素が占める画素数の代表値により、撮影対象の実空間上での算出対象サイズの代表値を除して、撮影画像内の1画素の実空間上におけるサイズの代表値を算出し、その値に、撮影対象の算出対象画素が撮影画像内において占める画素数を乗じることにより、撮影画像内に写っている撮影対象における算出対象サイズの実空間上のサイズを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影画像に写っている撮影対象のサイズを推定する撮影対象サイズ推定装置及び撮影対象サイズ推定方法並びにそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
撮影画像に写っている人などの撮影対象のサイズを推定するための技術として、特許文献1および特許文献2が開示されている。特許文献1の技術は、人の所定部位、例えば、顔の大きさから身長を推定するものである。また特許文献2の技術は、床面上を移動する通行者の身長を高精度に測定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−88709号公報
【特許文献2】特開2007−78355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、人の所定部位の大きさを導出するために、カメラ内のCCDエリアセンサと被写体との距離を求める必要がある。そして、それを自動で行うためには、フォーカスレンズの位置を検出し、検出した位置を示す情報を画像情報に関連付けてパソコンへ送信しなければならない。あるいは、CCDエリアセンサから被写体までの距離を測定する測距センサをカメラに設けなければならない。つまり被写体との距離を測定するために、特殊な機能を持つカメラを使用しなければ人の所定部位の大きさを導出できないという問題点がある。
また、特許文献2の技術では、人の身長を撮影画像から測定するために、三次元空間における各位置が、表示画面のどの位置に対応するかをあらかじめキャリブレーションによって決定しておかなければならないという問題点がある。
【0005】
そこでこの発明は、上述の課題を解決することのできる撮影対象サイズ推定装置及び撮影対象サイズ推定方法並びにそのプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、撮影画像に写っている撮影対象の所望の算出対象サイズを表す算出対象画素の前記撮影画像内において占める画素数を検出する撮影対象サイズ検出部と、前記撮影対象の実空間上での算出対象サイズの代表値を記憶する代表値記憶部と、前記撮影画像内において前記算出対象画素が占める画素数の代表値により、前記撮影対象の実空間上での算出対象サイズの代表値を除して、前記撮影画像内の1画素の実空間上におけるサイズの代表値を算出し、その値に、前記撮影対象の前記算出対象画素が前記撮影画像内において占める画素数を乗じることにより、前記撮影画像内に写っている前記撮影対象における算出対象サイズの実空間上のサイズを算出する撮影対象実サイズ算出部と、を備えることを特徴とする撮影対象サイズ推定装置である。
【0007】
また本発明は、上述の撮影対象サイズ推定装置において、前記撮影対象の前記撮影画像内における出現範囲を特定する出現範囲特定部と、異なる複数の前記撮影画像の同一の前記出現範囲において、前記算出対象画素が占める画素数に基づいて、前記出現範囲において前記撮影対象の算出対象画素が占める画素数の代表値を算出する撮影対象サイズ代表値算出部と、を備え、前記撮影対象実サイズ算出部は、前記撮影画像内の前記出現範囲において前記算出対象画素が占める画素数の代表値により、前記撮影対象の実空間上での算出対象サイズの代表値を除して、前記出現範囲の1画素の実空間上における算出対象サイズの代表値を算出し、その値に、前記撮影対象の前記算出対象画素が前記撮影画像内において占める画素数を乗じることにより、前記撮影画像内に写っている前記撮影対象の実空間上のサイズを算出することを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上述の撮影対象サイズ推定装置において、前記撮影対象それぞれについて算出した算出対象サイズを記憶する撮影対象サイズ記憶部と、予め定められたサイズ未満またはサイズ以上の撮影対象の情報を出力する撮影対象情報出力部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上述の撮影対象サイズ推定装置において、前記撮影対象について算出した算出対象サイズが、予め定められたサイズ未満またはサイズ以上である場合に警告情報を出力する警告情報出力部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上述の撮影対象サイズ推定装置において、前記撮影対象が人物であり、前記撮影画像の前記出現範囲内において前記撮影対象の算出対象画素が占める画素数が、前記撮影画像における縦方向の画素数であり、前記撮影対象の算出対象サイズが前記人物の身長である
ことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、撮影対象サイズ推定装置における撮影対象サイズ推定方法であって、撮影画像に写っている撮影対象の所望の算出対象サイズを表す算出対象画素の前記撮影画像内において占める画素数を検出し、前記撮影対象の実空間上での算出対象サイズの代表値を記憶し、前記撮影画像内において前記算出対象画素が占める画素数の代表値により、前記撮影対象の実空間上での算出対象サイズの代表値を除して、前記撮影画像内の1画素の実空間上におけるサイズの代表値を算出し、その値に、前記撮影対象の前記算出対象画素が前記撮影画像内において占める画素数を乗じることにより、前記撮影画像内に写っている前記撮影対象における算出対象サイズの実空間上のサイズを算出することを特徴とする撮影対象サイズ推定方法である。
【0012】
また本発明は、撮影対象サイズ推定装置のコンピュータを、撮影画像に写っている撮影対象の所望の算出対象サイズを表す算出対象画素の前記撮影画像内において占める画素数を検出する撮影対象サイズ検出手段、前記撮影画像内において前記算出対象画素が占める画素数の代表値により、前記撮影対象の実空間上での算出対象サイズの代表値を除して、前記撮影画像内の1画素の実空間上におけるサイズの代表値を算出し、その値に、前記撮影対象の前記算出対象画素が前記撮影画像内において占める画素数を乗じることにより、前記撮影画像内に写っている前記撮影対象における算出対象サイズの実空間上のサイズを算出する撮影対象実サイズ算出手段、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、撮影対象を撮影するカメラに特殊な機能を設けたり、予め、三次元空間における各位置が、表示画面のどの位置に対応するかをあらかじめキャリブレーションによって決定するなどの処理をすることなく、撮影画像に写った人物のサイズ(身長)を推定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】撮影対象サイズ推定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】撮影対象サイズ推定装置の処理フローを示す図である。
【図3】撮影画像において設定された矩形ブロックを示す図である。
【図4】代表値記憶部に記録されるデータ例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態による撮影対象サイズ推定装置を図面を参照して説明する。
図1は同実施形態による撮影対象サイズ推定装置の構成を示すブロック図である。
この図において、符号1は撮影対象サイズ推定装置である。
この撮影対象サイズ推定装置1は、図1に示すように、撮影画像取得部11、撮影対象サイズ検出部12、出現範囲特定部13、サイズ決定完了判定部14、代表値更新部15、撮影対象サイズ代表値算出部16、撮影対象実サイズ算出部17、撮影対象情報出力部18、警告情報出力部19の各処理部と、矩形ブロック情報記憶部21、代表値記憶部22、統計情報記憶部23、撮影対象サイズ記憶部24の各記憶部を備えている。
【0016】
そして、上述の処理部および記憶部を備えた撮影対象サイズ推定装置1は、撮影画像に写っている撮影対象の所望の算出対象サイズを表す算出対象画素の前記撮影画像内において占める画素数を検出する。また撮影対象サイズ推定装置1は、撮影対象の実空間上での算出対象サイズの代表値を記憶し、撮影画像内において算出対象画素が占める画素数の代表値により、撮影対象の実空間上での算出対象サイズの代表値を除して、撮影画像内の1画素の実空間上におけるサイズの代表値を算出し、その値に、撮影対象の算出対象画素が撮影画像内において占める画素数を乗じることにより、撮影画像内に写っている撮影対象における算出対象サイズの実空間上のサイズを算出する処理を行う。
【0017】
このような処理により、撮影対象サイズ推定装置1は、撮影対象を撮影するカメラに特殊な機能を設けたり、予め、三次元空間における各位置が、表示画面のどの位置に対応するかをあらかじめキャリブレーションによって決定するなどの処理をすることなく、撮影画像に写っている撮影対象(人物など)のサイズ(身長などの算出対象サイズ)を推定することが可能となる撮影対象サイズ推定装置1を提供する。
【0018】
図2は撮影対象サイズ推定装置の処理フローを示す図である。
図3は撮影画像において設定された矩形ブロックを示す図である。
次に、図1〜3を用いて撮影対象サイズ推定装置の処理フローについて順を追って説明する。
まず、撮影対象サイズ推定装置1の撮影画像取得部11が、撮影画像を取得する(ステップS101)。当該撮影画像は、通信ネットワークや通信ケーブル等を介して接続されたカメラから直接、撮影画像を受信して取得してもよいし、記録媒体や自装置内の記憶部に記録された撮影画像を読み込むことにより撮影画像を取得するようにしてもよい。そして、撮影画像取得部11は、当該取得した撮影画像を撮影対象サイズ検出部12へ出力する。
【0019】
次に撮影対象サイズ検出部12は、入力した撮影画像内において所望の撮影対象を検出する(ステップS102)。本実施形態においては、撮影対象は撮影画像に写った人物であるものとする。撮影対象サイズ検出部12は、撮影画像中から人物を表示している領域の各画素を検出し、撮影画像中において当該人物を表す画素範囲の上下左右の最端画素を矩形の枠上に含むようにした矩形範囲を求める(ステップS103)。そして、撮影対象サイズ検出部12は、求めた矩形範囲の四隅の頂点画素の撮影画像中における座標を取得する。当該矩形範囲は、例えば人物がカメラに正対している場合には、頭頂の画素、足先端の画素、両肩の端の画素の各画素を上下左右の枠画素上に有する矩形範囲である。
【0020】
なお、撮影画像中における人物の検出は、例えば、カメラが定点カメラであれば、予め背景画像が特定されているので、背景画像と撮影画像の画素値(RGB値や輝度値など)の差分により、画素値の差分の大きい画素がまとまっている範囲の形状を特定し、当該形状が、人物を示す形状と類似するかどうかを判定し、類似する場合に、その画素の範囲を、人物を示す範囲と特定するなどの処理により行う。撮影画像中における人物の検出手法は、公知の技術であり、どのような手法を用いるようにしてもよい。
【0021】
次に撮影対象サイズ検出部12は、撮影画像に写った人物を囲む矩形範囲の各頂点画素の座標に基づいて、当該矩形範囲のY軸方向の画素数Hbを算出する(ステップS104)。撮影画像中の画素の横方向をX軸(右向きを正)、縦方向をY軸(下向きを正)とし、矩形範囲の左上頂点、右上頂点、左下頂点、右下頂点の画素の座標それぞれが、(x1,y1)、(x2,y1)、(x1,y2)、(x2,y2)である場合、矩形範囲のY軸方向の画素数Hbは、y2−y1により算出できる。
【0022】
また、撮影対象サイズ検出部12は、撮影画像に写った人物を囲む矩形範囲の下端中央画素の座標を算出する(ステップS105)。当該下端中央画素の座標は{(x1+x2)÷2,y2}として算出できる。この下端中央画素が示す座標は、人物の足先端の位置であり、当該下端中央画素に対応する撮影画像中の位置に人物が立っていることが特定できる。ここで、本実施形態においては、撮影画像の全体は、予め縦横の複数の矩形ブロックにより分割されて管理されている。そして、撮影画像中の人物の足先端を示す下端中央画素の座標が、当該撮影画像中の各矩形ブロックのいずれに含まれるかに応じて、当該人物のサイズが算出される。従って、次に、出現範囲特定部13が、撮影画像中における人物の出現範囲として、撮影対象サイズ検出部12によって特定された人物を囲む矩形範囲の下端中央画素の座標を撮影対象サイズ検出部12より入力し、その下端中央画素の座標に対応して矩形ブロック情報記憶部21に記録されている矩形ブロックの識別番号を読取り、これにより、下端中央画素の座標を含む矩形ブロックの識別番号を特定する(ステップS106)。例えば、撮影画像は縦横それぞれ4分割、全体で16分割の矩形ブロックに分割されて管理されているものとする。
【0023】
図3が示すように、撮影画像は、縦横4分割、全体で16分割に分割されて管理されている。撮影画像の行方向に上から1,2,3,4の数字で識別し、撮影画像の列方向に左からA,B,C,Dのアルファベットで識別すると、図3の撮影画像中に写った人物H1〜H3のうちの人物H2の出現範囲は、その人物を囲む矩形範囲の下端中央画素が含まれる矩形ブロックの識別番号から『4行−B列』である。
【0024】
そして、撮影画像中における人物の出現範囲として、矩形ブロックの識別番号が特定されると、次に、サイズ決定完了判定部14が、人物の出現範囲として特定された矩形ブロックの識別番号に対応付けられ代表値記憶部22に登録されているサイズ決定完了情報が、サイズ決定完了を示すかどうかを判定する(ステップS107)。当該サイズ決定完了情報は、矩形ブロック内の1画素の実空間におけるサイズ(cm/pix)が決定完了したか否かを示す情報である。そして、サイズ決定完了情報が未完了を示す場合には、サイズ決定完了判定部14は、代表値更新部15へサイズ決定未完了を示す情報を出力する。他方、サイズ決定完了情報が完了を示す場合には、サイズ決定完了判定部14は、撮影対象実サイズ算出部17へサイズ決定完了を示す情報を出力する。
【0025】
次に、ステップS107の処理においてサイズ決定未完了であると判定された場合、代表値更新部15が、撮影対象サイズ検出部12より、撮影画像中において人物を囲む矩形範囲の画素情報と、当該矩形範囲のY軸方向の画素数Hbと、出現範囲特定部13で特定された人物の出現範囲を示す矩形ブロックの識別番号とを入力する。
【0026】
図4は代表値記憶部に記録されるデータ例を示す図である。
ここで、代表値記憶部22には、図4で示すように、矩形ブロックの識別番号と、その矩形ブロックにおいて検出された人物を囲む矩形範囲のY軸方向の画素数(算出対象画素の画素数)の代表値Haと、その矩形ブロックにおいて人物が検出された件数(処理件数)Nと、当該矩形範囲内の1画素の実空間上におけるサイズの代表値(cm/pix)と、サイズ決定完了情報(サイズ決定完了またはサイズ決定未完了の何れかを示す情報)とが対応付けられて記録されている。
【0027】
そして、代表値更新部15は、出現範囲特定部13から入力した矩形ブロックの識別番号に対応付けられて、代表値記憶部22に記録されている、処理件数Nと、矩形範囲のY軸方向の画素数の代表値Haとを読み取る。そして、代表値更新部15は、
{(代表値Ha×処理件数N)+矩形範囲のY軸方向の画素数Hb}÷(処理件数N+1)
により、矩形範囲のY軸方向の画素数の新たな代表値Haを算出し(ステップS108)、人物の出現範囲を示す矩形ブロックの識別番号に対応付けられて代表値記憶部22に記録されている代表値Haを新たな代表値Haに更新する(ステップS109)。この代表値Haは矩形ブロックの識別番号で特定される矩形範囲の示す撮影画像中の出現範囲において、人物の形状が占めるY軸方向(算出対象画素となる身長方向の画素)の画素数の代表値(平均値など)である。
【0028】
また、代表値更新部15は、矩形ブロックの識別番号に対応付けられて代表値記憶部22に記録されている処理件数を1加算して(ステップS110)、新たな処理件数がサイズ決定完了と判定するための閾値以上となったかを判定する(ステップS111)。そして、ステップS111において、新たな処理件数がサイズ決定完了と判定するための閾値(図4では1000件を閾値としている)以上でない場合には、撮影対象サイズ検出部12へ、撮影画像に写っている次の人物の処理を行うよう指示する。そして、撮影対象サイズ検出部12は、撮影画像に写っている全ての人物の処理を終了したかを判定する(ステップS112)。この判定において、撮影画像に写っている全ての人物の処理を終了していない場合には、次の人物に対するステップS102からの処理を開始する。また、次の撮影画像が取得できる場合、ステップS101からの処理が繰り返される。
【0029】
ステップS111において、新たな処理件数がサイズ決定完了と判定するための閾値以上である場合、代表値更新部15は統計情報記憶部23に予め記録されている、撮影画像中に現れると予測される人物のサイズ(身長)の代表値を読み取って、撮影対象サイズ代表値算出部16へ出力する。例えば、統計情報記憶部23に記録される人物のサイズ(身長)の代表値は、カメラを幼稚園に設置し、撮影対象を園児とする場合には、園児のサイズ(身長)の代表値とする。また統計情報記憶部23に記録される人物のサイズ(身長)の代表値は、例えば、カメラを大人や子供が通行する商店街の通りに設置し、撮影対象を通行人とする場合には、国民のサイズ(身長)を代表値とする。なお、上述したサイズ(身長)や画素数の代表値は、平均値や中央値など、撮影される人物(標本)の実サイズや画素数の特徴を、代表的に表す統計学上の値であればどのようなものであってもよい。
【0030】
そして、撮影対象サイズ代表値算出部16は、代表値更新部15が統計情報記憶部23から読み取った、撮影画像中に現れると予測される人物のサイズ(身長)の代表値を、ステップS108で算出した矩形範囲のY軸方向の画素数の新たな代表値Haを用いて除算する。これにより、撮影対象サイズ代表値算出部16は、当該人物の出現範囲である矩形ブロックの1画素の実空間におけるサイズ(cm/pix)の代表値を算出する(ステップS113)。そして、撮影対象サイズ代表値算出部16は、算出した矩形ブロックの1画素の実空間におけるサイズの代表値を代表値更新部15へ出力し、また、代表値更新部15が、当該1画素の実空間におけるサイズ(cm/pix)と、サイズ決定完了を示すサイズ決定完了情報を、矩形ブロックの識別番号に対応付けて代表値記憶部22に登録する(ステップS114)。
なお、図4の例では、統計情報記憶部23から読み取った人物のサイズ(身長)の代表値が160(cm)のとき、矩形ブロックの識別番号が1−Aおよび1−Cのブロックにおいては、1画素の示す実サイズが160÷160=1(cm/pix)であることを示しており、矩形ブロックの識別番号が1−Dのブロックにおいては、1画素の示す実サイズが160÷150≒1.067(cm/pix)であることを示している。
【0031】
他方、上述のステップS107において、サイズ決定完了であると判定された場合、またはステップS114の後、撮影対象実サイズ算出部17が、撮影画像に写った人物の出現範囲である矩形ブロックの1画素の実空間におけるサイズを、当該矩形ブロックの識別番号を用いて代表値記憶部22から読み取る。また、撮影対象実サイズ算出部17は、ステップS104において算出した、その人物を囲む矩形範囲のY軸方向の画素数Hbをメモリ等から取得する。そして、撮影対象実サイズ算出部17は、撮影画像に写った人物の出現範囲である矩形ブロックの1画素の実空間におけるサイズの代表値と、その矩形ブロックが示す矩形範囲のY軸方向の画素数Hbを乗算して、撮影画像に写った人物のサイズ(身長)の推定値を算出する(ステップS115)。例えば、撮影画像に写った人物の出現範囲(撮影画像に写った人物を囲む矩形範囲の下端中央画素が含まれる範囲)が1−Aの矩形ブロックであり、その人物を示す矩形範囲のY軸方向の画素数が170である場合、図4から、矩形ブロックの1画素の実空間におけるサイズの代表値が“1”であるため、撮影画像に写った人物のサイズの推定値は170×1=170cmと算出できる。その後、撮影対象実サイズ算出部17は、撮影画像に写っている全ての人物についてサイズ(身長)の推定値を算出したかを判定し(ステップS116)、全ての人物についてサイズ(身長)の推定値を算出した場合には処理を終了し、全ての人物についてサイズ(身長)の推定値を算出していない場合には、次の人物に対するステップS102からの処理を開始する。
【0032】
次に、撮影対象実サイズ算出部17は、撮影対象サイズ記憶部24へ、算出した人物のサイズ(身長)の推定値と、撮影画像の通し番号と、撮影画像中に人物が特定された出現範囲を示す矩形ブロックの識別番号とを対応付けて記憶する。そして、撮影対象情報出力部18は、撮影対象サイズ記憶部24に記録された情報を、例えば、撮影対象サイズ推定装置1のモニタ等に表示する。
【0033】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述の処理によれば、撮影画像に出現するであろうと予測される人物の実空間におけるサイズの代表値を記憶しておき、当該実空間におけるサイズの代表値と、撮影画像中に出現する人物の撮影画像内での画素数で表されるサイズの代表値とがほぼ等しいとして、それらの関係から、撮影画像中における1画素の実空間におけるサイズを算出し、これにより、撮影画像に写った人物のサイズ(身長)を推定している。従って、撮影対象を撮影するカメラに特殊な機能を設けたり、予め、三次元空間における各位置が、表示画面のどの位置に対応するかをあらかじめキャリブレーションによって決定するなどの処理をすることなく、撮影画像に写った人物のサイズ(身長)を推定することが可能となる。
【0034】
なお、上述の処理のほか、例えば撮影画像中に出現する撮影対象のサイズが、予め定められたサイズ未満またはサイズ以上である場合に警告情報を出力するようにしてもよい。この場合、警告情報出力部19が撮影対象サイズ記憶部24に記録された撮影対象のサイズを読取り、閾値以上であるか、または閾値未満であるかを判定する。そして、閾値以上で警告を出力するという処理の場合には、警告情報出力部19は、撮影対象のサイズが閾値以上であると判定した場合に警告情報を出力する。また、閾値未満で警告を出力するという処理の場合には、警告情報出力部19は、撮影対象のサイズが閾値未満であると判定した場合に警告情報を出力する。当該警告情報の出力は、モニタへの出力でもよいし、他の記憶部への記録、あるいは通信ネットワークを介した送信であってもよい。警告情報の出力は、例えば、幼稚園の門のような通常は身長の小さい園児のみが通過する場所に、大人が通行している場合に行うことができる。
【0035】
また、その他、撮影対象情報出力部18は、撮影対象サイズ記憶部24に記録された情報のうち、所望の身長以下の(例えば子供の)、情報を出力するようにしてもよい。
【0036】
また、データ検索部を備え、ユーザの利用する端末からのアクセスおよび、検索キーを用いた検索要求を受信して、データ検索部が検索キー(撮影画像の番号やサイズの大きさなど)に基づいて、撮影対象サイズ記憶部24に記録されている情報(撮影対象のサイズや、撮影日時、撮影画像の識別番号、撮影対象の出現範囲など)を出力するようにしてもよい。
【0037】
上述の実施形態においては、撮影画像の全体が、予め縦横の複数の矩形ブロックにより分割されて管理されているが、撮影画像の異なる位置に写っている各撮影対象の遠近差が小さい場合などには、撮影画像の全体を、縦横の複数の矩形ブロックにより分割して管理する必要はない。つまりこの場合、代表値記憶部22において、撮影対象の矩形範囲のY軸方向の画素数の代表値Haや、その矩形範囲の実空間上におけるサイズの代表値を、撮影画像中の矩形ブロック毎に記憶する必要ない。
そしてその場合、ステップS105,S106の処理は省略し、ステップS107,109,110においては矩形ブロックを考慮せずに上述と同様の処理を進め、ステップS113においては、撮影画像内の画素全体で均一となる、1画素の実空間におけるサイズの代表値を算出する。そして、撮影対象実サイズ算出部17は、撮影画像内の画素全体で均一となる、1画素の実空間におけるサイズの代表値と、撮影画像に写った人物の矩形範囲のY軸方向の画素数Hbを乗算して、撮影画像に写った人物のサイズ(身長)の推定値を算出することとなる。
【0038】
上述の処理においては、撮影画像中に写っている撮影対象が人物であり、人物の身長を推定する場合について説明したが、上述した処理と同様の処理により、撮影画像中に写っている他の物体のサイズ(横幅や高さ、奥行き、体積、面積など)を推定するようにしてもよい。体積や面積の場合には、物体が撮影画像中で表される画素数から、その体積や面積を換算して、上述と同様の処理を行うようにすればよい。また撮影対象が人物でなく、サイズが(横幅や高さ、奥行き、体積、面積など)である場合には、上述の処理における矩形範囲のY軸方向の画素数の代表値を、所望のサイズ(横幅や高さ、奥行き、体積、面積など)の代表値に代えて、また撮影対象の実サイズの代表値を当該撮影対象の実サイズ(横幅や高さ、奥行き、体積、面積など)の代表値に代えて処理を行う。
【0039】
上述の撮影対象サイズ推定装置は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0040】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0041】
1・・・撮影対象サイズ推定装置
11・・・撮影画像取得部
12・・・撮影対象サイズ検出部
13・・・出現範囲特定部
14・・・サイズ決定完了判定部
15・・・代表値更新部
16・・・撮影対象サイズ代表値算出部
17・・・撮影対象実サイズ算出部
18・・・撮影対象情報出力部
19・・・警告情報出力部
21・・・矩形ブロック情報記憶部
22・・・代表値記憶部
23・・・統計情報記憶部
24・・・撮影対象サイズ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影画像に写っている撮影対象の所望の算出対象サイズを表す算出対象画素の前記撮影画像内において占める画素数を検出する撮影対象サイズ検出部と、
前記撮影対象の実空間上での算出対象サイズの代表値を記憶する代表値記憶部と、
前記撮影画像内において前記算出対象画素が占める画素数の代表値により、前記撮影対象の実空間上での算出対象サイズの代表値を除して、前記撮影画像内の1画素の実空間上におけるサイズの代表値を算出し、その値に、前記撮影対象の前記算出対象画素が前記撮影画像内において占める画素数を乗じることにより、前記撮影画像内に写っている前記撮影対象における算出対象サイズの実空間上のサイズを算出する撮影対象実サイズ算出部と、
を備えることを特徴とする撮影対象サイズ推定装置。
【請求項2】
前記撮影対象の前記撮影画像内における出現範囲を特定する出現範囲特定部と、
異なる複数の前記撮影画像の同一の前記出現範囲において、前記算出対象画素が占める画素数に基づいて、前記出現範囲において前記撮影対象の算出対象画素が占める画素数の代表値を算出する撮影対象サイズ代表値算出部と、を備え、
前記撮影対象実サイズ算出部は、
前記撮影画像内の前記出現範囲において前記算出対象画素が占める画素数の代表値により、前記撮影対象の実空間上での算出対象サイズの代表値を除して、前記出現範囲の1画素の実空間上における算出対象サイズの代表値を算出し、その値に、前記撮影対象の前記算出対象画素が前記撮影画像内において占める画素数を乗じることにより、前記撮影画像内に写っている前記撮影対象の実空間上のサイズを算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮影対象サイズ推定装置。
【請求項3】
前記撮影対象それぞれについて算出した算出対象サイズを記憶する撮影対象サイズ記憶部と、
予め定められたサイズ未満またはサイズ以上の撮影対象の情報を出力する撮影対象情報出力部と、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮影対象サイズ推定装置。
【請求項4】
前記撮影対象について算出した算出対象サイズが、予め定められたサイズ未満またはサイズ以上である場合に警告情報を出力する警告情報出力部と、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の撮影対象サイズ推定装置。
【請求項5】
前記撮影対象が人物であり、
前記撮影画像の前記出現範囲内において前記撮影対象の算出対象画素が占める画素数が、前記撮影画像における縦方向の画素数であり、
前記撮影対象の算出対象サイズが前記人物の身長である
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の撮影対象サイズ推定装置。
【請求項6】
撮影対象サイズ推定装置における撮影対象サイズ推定方法であって、
撮影画像に写っている撮影対象の所望の算出対象サイズを表す算出対象画素の前記撮影画像内において占める画素数を検出し、
前記撮影対象の実空間上での算出対象サイズの代表値を記憶し、
前記撮影画像内において前記算出対象画素が占める画素数の代表値により、前記撮影対象の実空間上での算出対象サイズの代表値を除して、前記撮影画像内の1画素の実空間上におけるサイズの代表値を算出し、その値に、前記撮影対象の前記算出対象画素が前記撮影画像内において占める画素数を乗じることにより、前記撮影画像内に写っている前記撮影対象における算出対象サイズの実空間上のサイズを算出する
ことを特徴とする撮影対象サイズ推定方法。
【請求項7】
撮影対象サイズ推定装置のコンピュータを、
撮影画像に写っている撮影対象の所望の算出対象サイズを表す算出対象画素の前記撮影画像内において占める画素数を検出する撮影対象サイズ検出手段、
前記撮影画像内において前記算出対象画素が占める画素数の代表値により、前記撮影対象の実空間上での算出対象サイズの代表値を除して、前記撮影画像内の1画素の実空間上におけるサイズの代表値を算出し、その値に、前記撮影対象の前記算出対象画素が前記撮影画像内において占める画素数を乗じることにより、前記撮影画像内に写っている前記撮影対象における算出対象サイズの実空間上のサイズを算出する撮影対象実サイズ算出手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−57974(P2012−57974A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198959(P2010−198959)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(397065480)エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社 (187)
【Fターム(参考)】