説明

撮影装置

【課題】連写撮影中において最後まで確実に撮影が行なわれる撮影装置を提供する。
【解決手段】露出制御手段であるメインCPUと測光・測距CPUとが連携して、連写開始時は、機械式シャッタの開閉で露出が決定され、連写の途中で電子シャッタにより露出が決定されるように、機械式シャッタおよび電子シャッタを制御する。メインCPUと測光・測距CPUとが連携して連写開始時には機械式シャッタの開閉で露出が決定されるように、またステップS3033で連写枚数が所定枚数を超えたと判定したら電子シャッタにより露出が決定されるように制御する。そうすると、機械式シャッタの駆動部が発熱して駆動部が壊れそうなときには機械式シャッタを開けたままにして電子シャッタにより露出が決定される様になるので、最後まで撮影が確実に行なわれる様になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影光学系で被写体光を捉えて該被写体光を撮像素子に結像させ該撮像素子で被写体を表わす画像データを生成する撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラには、撮影光学系が、通過する光束を機械的に通過および遮断する機械式シャッタを備え、さらに撮像素子が露出時間を電子的に定める電子シャッタを備えているものが多い。上記機械式シャッタを用いると、撮像素子への入光が完全に遮ぎられるので撮像素子にスミアなどを発生させることがなくなるが、機械式シャッタだけであると機械式シャッタの開閉速度が遅く短いシャッタ秒時の撮影には対応することができなくなることがあるので短いシャッタ秒時を実現するために電子シャッタが使用される。
【0003】
特許文献1には、相対的に短いシャッタ秒時においては電子シャッタを用い、相対的に長いシャッタ秒時においては機械式シャッタを用いる技術が提案されている。
【0004】
ところで、デジタルカメラには、連続的に撮影を行なう連写モードを有するものがある。この連写モードで連写撮影が行なわれるときにも上記特許文献1の技術を活用することができるが、たとえ相対的に長いシャッタ秒時であっても繰り返し機械式シャッタを用い続けると駆動部の温度が上昇して駆動部に異常が発生し撮影を行なうことができなくなってしまう恐れがある。例えば駆動部がコイルの電磁誘導により機械式シャッタを開閉駆動するものであった場合には、連写が長時間に及んだ場合や相対的に連写間隔の短い連写で短時間のうちに多くの回数の連写が行なわれた場合などにコイルが発熱してコイル周辺の軸受け部等が変形する等の不具合が発生してしまう可能性がある。
【特許文献1】特開2004−363778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、連写撮影中において最後まで確実に撮影が行なわれる撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明の撮影装置は、撮影光学系で被写体光を捉えて該被写体光を撮像素子上に結像させ該撮像素子で被写体を表わす画像データを生成する撮影装置において、
上記撮影光学系が、通過する光束を機械的に通過および遮断する機械式シャッタを備えるとともに、上記撮像素子が、露出時間を電子的に定める電子シャッタを備え、当該撮影装置が連続的に撮影を行なう連写モードを有するものであって、
連写開始時は、上記機械式シャッタの開閉で露出が決定され、連写の途中で前記電子シャッタにより露出が決定されるように、上記機械式シャッタおよび上記電子シャッタを制御する露出制御手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記本発明の撮影装置によれば、連写モードが行なわれているときには上記露出制御手段によって、連写開始時には機械式シャッタの開閉で露出が決定されるように露出が制御され、連写の途中で機械式シャッタの駆動部の温度が上昇して駆動部に不具合が発生する前に上記機械式シャッタの代わりに上記電子シャッタにより露出が決定されるように露出が制御される。
【0008】
つまり、例えば、これ以上機械式シャッタにより露出を制御して連写を行なうと駆動部が発熱して最後まで正常な撮影を行なうことができない恐れがあるときに、上記露出制御手段によって電子シャッタで露出が決定される様に露出の制御が行なわれて撮影が最後まで行なわれる。
【0009】
上記露出制御手段が、電子シャッタで露出が決定される様に制御することへの切替を行なうタイミングを連写の途中で定めるにあたっては、
上記露出制御手段が、一回の連写中の所定枚数の撮影までは、上記機械式シャッタの開閉で露出が決定され、その所定枚数を超えると、上記電子シャッタにより露出が決定されるように、上記機械式シャッタおよび上記電子シャッタを制御するものであっても良く、
また、上記機械式シャッタを駆動する駆動部の温度を測定する温度センサを備え、
上記露出制御手段が、一回の連写中、上記駆動部の温度が所定温度以下のときは、上記機械式シャッタにより露出が決定され、その駆動部の温度が所定温度を超えると上記電子シャッタで露出が決定されるように、上記機械式シャッタおよび上記電子シャッタを制御するものであっても良い。
【0010】
ここで、上記露出制御手段により、機械式シャッタの開閉で露出が決定される制御モードから上記電子シャッタにより露出が決定される制御モードに切り替えられたことをユーザに向けて通知する通知手段を備えたものであることが好ましい。
【0011】
前述した様に機械式シャッタを用いた方が、撮像素子への入光が完全に遮ぎられるため、撮像素子にスミアなどを発生させることがなく画質が向上する。これに対し電子シャッタを用いると、遮光が完全には行なわれずに場合によっては撮像素子側にスミアが発生して画質が劣化することがある。
【0012】
上記の様に電子シャッタにより撮影が行なわれていることを撮影者に通知する構成にしておくと、撮影者が、電子シャッタによる撮影では画質が落ちると考えて撮影を中止することができる。このときには、撮影者が連写撮影の代わりに、一枚、一枚シャッタを押すことによって一枚、一枚連続的に撮影を行なうこともできる。
【0013】
また、連写により得られた画像データが機械式シャッタの開閉で露出が決定される制御モードでの撮影により得られた画像データであるか、あるいは電子シャッタにより露出が決定される制御モードでの撮影により得られた画像データあるかを表わすデータをその画像データに対応づけて記録する記録手段を備えた態様であることが好ましい。
【0014】
そうすると、再生モードで画像データに基づく画像が表示画面上に表示されたときに、上記記録手段によって画像データに対応づけて記録されている上記データが表わすシャッタに関する情報が画像データが表わす画像とともに表示画面上に表示される。
【0015】
その結果、撮影者は、その表示画面上の表示を見て撮影画像の画質の劣化の原因が電子シャッタにあることにすぐに気づく様になる。
【0016】
こうして撮影者が撮影画像の画質の劣化が電子シャッタにあることに気づく様になると、この撮影者が新たな撮影を行なっているときに電子シャッタへの切り替えが撮影装置から音や画像により通知されたときには撮影を即座に中止するか、また画質が落ちることを承知の上で撮影を続行するかを自らの判断により選択することができる様になる。
【発明の効果】
【0017】
以上、説明したように、連写撮影中において最後まで確実に撮影が行なわれる撮影装置が実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
図1は、本発明の撮影装置の一実施形態であるデジタルカメラを示す図である。
【0020】
図1には本発明の一実施形態であるデジタルカメラ100の斜視図が示されている。図1(a)には正面上方から見た斜視図が示されており、図1(b)には背面上方から見た斜視図が示されている。
【0021】
図1(a)に示すように、本実施形態のデジタルカメラ100のボディ中央にはレンズ鏡胴170が備えられており、そのレンズ鏡胴170の上方には、ファインダ105が備えられている。またそのファインダ105の脇には撮影補助光発光窓161が備えられている。
【0022】
また、図1(b)に示すように本実施形態のデジタルカメラ100の背面および上面にはユーザがこのデジタルカメラ100を使用するときにいろいろな操作を行なうための操作子群101が備えられている。
【0023】
この操作子群101の中にはデジタルカメラ100を作動させるための電源スイッチ101aのほか、十字キー101b、メニュー/OKキー101c、キャンセルキー101d、モードレバー101eなどがある。これらの操作子群101の中のモードレバー101eによっては、再生モードと撮影モードの切替や撮影モードの中でさらに動画モード、静止画モードの切替が行なわれる。上記モードレバー101eが撮影モードに切り替えられた状態にあるときに電源スイッチ101aが投入されたら表示画面150上にスルー画が表示されて、そのスルー画を見ながらシャッタチャンスにレリーズ釦102が押されたら被写体の撮影が行なわれる。なお上記モードレバー101eが再生側に切り替えられた状態にあるときには既撮影画像がLCDパネル150上に再生表示される。
【0024】
なお本実施形態のデジタルカメラ100が備えるレリーズ釦102は半押しと全押しの2つの操作態様を有しており、半押しされたときのタイミングで測光と測距との双方が撮影装置内で行われて測光値に応じた絞りおよびシャッタ秒時(機械式シャッタ又は電子シャッタのうちのいずれかを優先的に用いる)が設定され、さらに測距された被写体距離にあうピント位置にフォーカスレンズが配置された後、レリーズボタンの全押し操作に応じて機械式シャッタ(又は電子シャッタ)が駆動されCCD固体撮像素子で露光が行なわれる。
【0025】
図2は、図1のデジタルカメラ100内部の電気系統の構成ブロック図である。
【0026】
図2を参照してこのデジタルカメラ100の内部の構成および動作を簡単に説明する。
【0027】
本実施形態のデジタルカメラ100ではすべての処理がメインCPU110によって統括的に制御されている。このメインCPU110の入力部には図1(b)に示した操作子ン群101からの操作信号がそれぞれ供給されていてそれらの操作信号のうちの少なくとも一つが供給されてきたら操作信号に応じた処理が適宜CPU110によって実行される。メインCPU110はEEPROM110aを有しており、このEEPROM110aにはデジタルカメラ100として動作するために必要なプログラムが書き込まれているので、まず操作子群101の中の電源スイッチ101a(図1参照)が投入されたらそのEEPROM110a内のプログラムの手順にしたがってメインCPU110によりこのデジタルカメラ全体の動作を制御する処理が開始される。なお、CPU110とEEPROM110aには常に電源130から電力が供給されている。
【0028】
ここで操作子群101の中の電源スイッチ101a(図1参照)が投入された後のデジタルカメラ100の動作を、図2を参照して説明する。
【0029】
操作子群101の中の電源スイッチ101aが投入されたら、メインCPU110により電源スイッチ101aが投入されたことが検知され、電源130から測光・測距CPU120などの各ブロックに電力が供給される。電源130から各部に電力が供給されたときにモードレバー101eが撮影側に切り替えられている場合には、まず撮影レンズ1110,1111によりCCD固体撮影素子112上に結像された被写体像が画像信号として所定の間隔ごとに間引かれて出力され、その出力された画像信号に基づく被写体像が画像表示LCD15のLCDパネル150上に表示される。このCCD固体撮像素子112にはクロックジェネレータ(以下、CGという)1121からタイミング信号が供給されており、このタイミング信号によって所定の間隔ごとにCCD固体撮像素子112に電子シャッタが設定され画像信号が間引かれて出力される。このCG1121からはメインCPU110からの指示に基づいてタイミング信号に同期した信号がCCD固体撮像素子112の他、後段のホワイトバランスγ処理部113、さらにA/D部114にも供給されているので、CCD固体撮像素子112、ホワイトバランスγ処理部113、A/D部114ではそのタイミング信号に同期して順序良く画像信号の処理が流れるように行なわれる。
【0030】
つまり本実施形態のデジタルカメラ100においては、機械式シャッタ1113の駆動の制御やCG1121からCCD固体撮像素子112に設定される電子シャッタの駆動の制御がメインCPU110からの指示に基づいて測光・測距CPU120によって行なわれることになる。詳細は後述するが、本実施形態においては、このメインCPU110と測光・測距CPU120との双方が本発明にいう露出制御手段に該当する。
【0031】
こうしてCG1121からのタイミング信号に同期してCCD固体撮像素子112、ホワイトバランスγ処理部113、A/D部114で順序良く画像信号の処理が流れるように行なわれてA/D部114でアナログの画像信号がデジタルの画像信号に変換されたら、ホワイトバランス調整やガンマ補正された画像信号が後段のYC処理部116に供給される。
【0032】
このYC処理部116でYC分離の処理が行なわれるときにはA/D部114とYC処理部116との間の処理タイミングをあわせる必要があるので、バッファメモリ115によってバッファメモリ115を境にした前段(A/D部114等)の処理タイミングと後段(YC処理部116)の処理タイミングとがあう様に調整されてからYC処理部116に画像信号であるRGB信号が転送される。
【0033】
YC処理部116では、そのRGB信号からYC信号への変換が行なわれ、その後バス121を介してその変換されたYC信号が画像表示LCD15に供給されるとともにY信号がメインCPU110に供給される。
【0034】
YC信号が供給される画像表示LCD15の方にはまずYC信号をRGB信号に変換するYC→RGB変換部151があり、このYC→RGB変換部151でYC信号が再びRGB信号に変換され、その変換されたRGB信号がドライバ152に供給され、さらにそのドライバ152によって画像表示LCD15のLCDパネル150上にRGB信号に基づくカラー画像(被写体像)の表示が行なわれる。
【0035】
また、Y信号が供給されるメインCPU110の方では、Y信号に基づいて測光が行なわれその測光値が後述する測光・測距CPU120に供給されてその測光・測距CPU120によって絶えず絞り径の変更設定やCCD固体撮像素子112の電子シャッタ秒時(CG1121)の設定等が行なわれて適正な明るさを持つスルー画を得るために必要な露出が調整される様になっている。さらに、メインCPU110では、Y信号からコントラストが検出されピント調整も絶えず行なわれる様になっていて、そのピント調整により得た合焦位置が測光・測距CPU120に通知され測光・測距CPU120によって撮影レンズ1111であるフォーカスレンズが合焦位置に配置される様にもなっている。
【0036】
前述したCG1121から出力されるタイミング信号に同期してCCD固体撮像素子112、ホワイトバランスγ処理部113、A/D部114およびバッファメモリ115等が動作して、所定の間隔ごとにCCD固体撮像素子112で生成された画像信号が処理されている訳であるから、この画像表示LCD15の表示パネル150上には撮影レンズが向けられた方向の被写体が被写体像として常に表示され続ける。この表示され続けている被写体像を視認しながら、シャッタチャンスにレリーズ釦102が押されると、レリーズ釦102の押下タイミングを起点として測光・測距CPU120により所定のシャッタ秒時で機械式シャッタ1113が開駆動されてCCD固体撮像素子112に被写体光が結像され所定のシャッタ秒時が経過して機械式シャッタが閉じ駆動される。機械式シャッタ1113が閉じ駆動された後にCG1121からCCD固体撮像素子112に読み出し信号が供給されその読み出し信号に応じてCCD固体撮像素子112に結像された画像信号がRGB信号となって出力される。出力されたRGB信号はYC処理部116でYC信号に変換されてさらに圧縮・伸張部117でYC信号が圧縮され、その圧縮された画像信号がヘッダと共に画像ファイルとなってメモリカード119に記録される。この圧縮・伸張部117では静止画についてはJPEG規格に準拠した圧縮方法で圧縮が行なわれてメモリカード119に画像ファイルが記録される。この画像ファイルのヘッダには圧縮情報や撮影情報などが書き込まれており、このデジタルカメラ100のモードレバー101eが再生側に切り替えられたら、メモリカード119からそのファイルのヘッダがまず読み出され、そのヘッダ内の圧縮情報に基づいてファイル内の圧縮画像信号が圧縮・伸張部117で伸張されて画像信号が元に復元された後、その画像信号に基づく被写体像がLCDパネル150上に表示される。
【0037】
また、本発明のデジタルカメラ100は、連写モードを有しており、その連写モードがメニューボタン101cの操作などにより指定されているときにはレリーズボタン102の押し操作に応じて所定の連写回数の連写が行なわれる様になっている。この連写モードにあっては、撮影回数や撮影間隔などの設定が撮影者によって行なわれる様になっており、この連写モードにおいてはメインCPU110が測光・測距CPU120と連携して、その設定された撮影回数や撮影間隔に応じて、連写開始時は、機械式シャッタ1113の開閉で露出が決定され、連写の途中で電子シャッタ(CG1121によりCCD固体撮像素子112に設定される)により露出が決定されるように、機械式シャッタ1113および電子シャッタを制御する構成になっている。前述した様に本実施形態においては、メインCPU110と測光・測距CPU120とが露出制御手段に該当する。
【0038】
ここで、本発明にいう露出制御手段に該当するメインCPU110と測光・測距CPU120とが連携して行なう撮影処理を説明する。
【0039】
図3(a)は、メインCPU110と測光・測距CPU120が行なう撮影処理の手順を示すフローチャートである。
【0040】
図3(a)のフローの処理は、シャッタボタン102が半押しされたときに開始される。
【0041】
シャッタボタン102が半押しされたら、ステップS301でAE処理(測光結果に応じて絞り等を調整して露出調整を行なう)を実行して、次のステップS302でAF処理(フォーカスレンズを合焦位置に配置する)を実行する。
【0042】
ここでシャッタボタン102が全押しされたら、ステップS303へ進んでステップS303で連写撮影を開始し、連写撮影が終了したら次のステップS304へ進む。なおこの例ではステップS303で連写枚数分の連写撮影が行なわれているときには、各回の連写撮影ごとに得られた画像信号がCCD固体撮像素子から各回の撮影ごとに出力されホワイトバランスγ処理部内の一時記憶部に記憶されているとする。
【0043】
次のステップS304で一時記憶部に読み出し信号を供給して画像信号を順次に読み出してA/D部114へと供給させる。
【0044】
次のステップS305でA/D部114にA/D変換を行なわせ、次のステップS306でデジタル信号に変換された画像信号を、バッファメモリ115からバス121を経由してYC処理部116に供給させる。こうしてYC信号処理部116に信号処理を行なわせてYC処理部116での信号処理が終了したら、次のステップS307で今度はバス121を経由して圧縮・伸張部117に1フレーム分の画像信号を順次に供給させ圧縮伸張部117に圧縮処理を行なわせて、メモリカード119に連写により得た画像データすべてを記録させてこのフローの処理を終了する。
【0045】
ここで、本発明にいう露出制御手段であるメインCPU110と測光・測距CPUが連携して行なう露出制御の処理を図3(b)を参照して説明する。
【0046】
図3(b)は、図3(a)の露光ステップS303の詳細を示すフローチャートである。
【0047】
まず、ステップS303でシャッタボタンが全押しされたら、一回目の撮影に先立ってステップS3031でCG1121に指示してCCD固体撮像素子112に掃き出し信号を供給させて内部に蓄えられている余計な電荷を掃き出させる。次のステップS3032へ進んで露光を開始する。ここではまず機械式シャッタ1113により露出が決定されるように機械式シャッタ1113を開けてCCD固体撮像素子112に露光を行なわせる。さらに次のステップS3033へ進んで連写枚数が所定枚数を超えたかどうかを判定する。ここではまだ連写撮影が始まったばかりなのでステップS3034へ進んで所定のシャッタ秒時後に機械式シャッタを閉じて露光を停止する。次のステップS3035で電荷の転送つまり読み出しを行なってホワイトバランスγ処理部内の一時記憶部に一旦記憶する。次のステップS3036で今度は機械式シャッタを開けて、次のステップS3037へ進んでステップS3037で撮影を続行するかどうかを判定する。ここで連写枚数が終了枚数に達していないと判定したら撮影継続側に進んでステップS3031へ戻ってステップS3031からステップS3037の処理を繰り返す。連写回数が進んでいって、ステップS3033で、連写枚数が所定枚数を超えたと判定したら、機械式シャッタを閉じ駆動せずに開けたままにしてCCD固体撮像素子112が備える電子シャッタにより露出が決定されるようにCG1121にCCD固体撮像素子112へ向けて露光開始信号を供給させることにより電子シャッタを開駆動して露光を開始させ、所定のシャッタ秒時後にステップS3038へ進んでステップS3038で露光終了信号を供給させることにより電子シャッタを閉じ駆動して撮影を終える。次のステップS3039で電荷の転送つまりCCD固体撮像素子112から画像信号を出力させてステップS3037へ進む。ステップS3037で撮影を継続するかどうかを判定して継続する場合には、ステップS3031へ戻ってステップS3031からステップS3033、さらにステップS3038、ステップS3039の処理を繰り返し、ステップS3037で連写枚数が所定枚数に達したと判定したらこのフローの処理を終了して図3(a)のステップS304に戻る。
【0048】
このフローの処理が実行されると、連写モードで連写撮影が行なわれているときにはメインCPU110と測光・測距CPU120とからなる上記露出制御手段によって、連写開始時には機械式シャッタ1113の開閉で露出が決定され、その機械式シャッタ1113が開閉駆動されることにより機械式シャッタ1113の駆動部の温度が上昇して駆動部に不具合が発生しそうな撮影枚数にまで達したときにはCCD固体撮像素子が備える電子シャッタにより優先的に露出が決定されるように露出が制御される。
【0049】
つまり、これ以上機械式シャッタ1113により露出を制御して連写を行なうと駆動部が発熱して最後まで撮影を行なうことができそうもないときには上記露出制御手段が電子シャッタにより露出が決定される様に制御することにより撮影を最後まで行なうことができる様にしている。
【0050】
以上説明した様に連写撮影中において最後まで確実に撮影が行なわれる撮影装置が実現する。
【0051】
図4、図5は、第2実施形態を説明する図である。
【0052】
機械式シャッタ1113の駆動部に温度センサTSを配備した以外は、図2の構成と同じ構成である。また、ステップS3033の処理がステップS3033Aに変更され、ステップS3033の判定基準が撮影枚数が所定の枚数を超えたかどうかから、温度センサTSで検出された温度が所定温度を超えたかどうかに変更された以外は、図3の処理と同じ処理である。この様にしても良い。
【0053】
図6は、第1実施形態の変形例を説明する図である。
【0054】
図3(b)に示すステップS3033の処理で所定枚数に達したと判定して図2に示すメインCPU110と測光・測距CPU120とが連携して電子シャッタへの切り替えを行なったときに、メインCPU110が、バスを介して画像表示LCD15に指示して表示画面上に撮影時の画像に加えてシャッタが電子シャッタであることを表示させる様にしている。
【0055】
この様にすると、撮影者が、図6に示す表示画面の表示を見て電子シャッタによる撮影では画質が落ちると考えた場合には撮影を即座に中止することができる。このときには、撮影者が連写撮影を行なう代わりに、一枚、一枚シャッタを押すことによって一枚、一枚別々に撮影を行なって同じ被写体を撮影すれば良い。
【0056】
図7は、さらなる変形例を説明する図である。
【0057】
図7には、Exifファイルをメモリカードに記録するときのメモリ割当が示されている。図7に示す様に、上からスタートコード領域、次にタグ領域、さらにサムネイル領域が割り当てられていて、それらの下方に主画像の記録領域が割り当てられている。
【0058】
図3(a)のステップS308の処理で、メインCPU110が、圧縮・伸張部117に画像ファイル(Exifファイル)の記録をメモリカードに行なわせるときには、図のタグ領域に、電子シャッタで撮影された画像データについては電子シャッタで撮影されたことを対応づけて記録させる様にしている。図7には、連写の枚数Nから電子シャッタにより露出が制御されたことが情報として記憶されていることが示されている。
【0059】
この様にしておくと、撮影者が撮影モードから再生モードに切り替えたことを受けてメインCPU110が画像データに基づく画像を画像表示部15が備える表示画面150上に表示する際、上記記録手段によって画像データに対応づけてタグ領域に記録されている上記データが表わすシャッタに関する情報も、画像データが表わす画像とともに表示画面上に表示することができる(図6参照)。
【0060】
その結果、撮影者は、その表示画面上の表示を見て撮影画像の画質の劣化の原因が電子シャッタにあることにすぐに気づく様になる。
【0061】
こうして撮影者が撮影画像の画質の劣化が電子シャッタにあることに気づく様になると、この撮影者が新たな撮影を行なっている最中に電子シャッタへの切り替えが通知されたときには撮影を即座に中止するか、また画質が落ちることを承知の上で撮影を続行するかを自らの判断により選択することができる様になる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の撮影装置の一実施形態であるデジタルカメラを示す図である。
【図2】図1のデジタルカメラ100内部の電気系統の構成ブロック図である。
【図3(a)】メインCPU110と測光・測距CPU120が行なう撮影処理の手順を示すフローチャートである。
【図3(b)】図3(a)の露光ステップS303の詳細を示すフローチャートである。
【図4】第2実施形態を説明する図である。
【図5】第2実施形態を説明する図である。
【図6】第1実施形態の変形例を説明する図である。
【図7】更なる変形例を説明する図である。
【符号の説明】
【0063】
100 デジタルカメラ
101 操作子群
101a 電源スイッチ
101b 十字キー
101c メニューキー
101d キャンセルキー
101e モードレバー
102 レリーズ釦
105 ファインダ
110 メインCPU
1110 1111 撮影レンズ
1112 絞り
1113 機械式シャッタ
112 CCD固体撮像素子
1121 クロックジェネレータ(CG)
120 測光・測距CPU
16 補助光発光部
16a Xe管発光制御部
161 補助光発光窓
170 レンズ鏡胴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系で被写体光を捉えて該被写体光を撮像素子上に結像させ該撮像素子で被写体を表わす画像データを生成する撮影装置において、
前記撮影光学系が、通過する光束を機械的に通過および遮断する機械式シャッタを備えるとともに、前記撮像素子が、露出時間を電子的に定める電子シャッタを備え、当該撮影装置が連続的に撮影を行なう連写モードを有するものであって、
連写開始時は、前記機械式シャッタの開閉で露出が決定され、連写の途中で前記電子シャッタにより露出が決定されるように、前記機械式シャッタおよび前記電子シャッタを制御する露出制御手段を備えたことを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記露出制御手段は、一回の連写中の所定枚数の撮影までは前記機械式シャッタの開閉で露出が決定され、該所定枚数を超えると前記電子シャッタにより露出が決定されるように、前記機械式シャッタおよび前記電子シャッタを制御するものであることを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
【請求項3】
前記機械式シャッタを駆動する駆動部の温度を測定する温度センサを備え、
前記露出制御手段は、一回の連写中、前記駆動部の温度が所定温度以下のときは前記機械式シャッタにより露出が決定され、該駆動部の温度が所定温度を超えると前記電子シャッタで露出が決定されるように、前記機械式シャッタおよび前記電子シャッタを制御するものであることを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
【請求項4】
前記露出制御手段により、機械式シャッタの開閉で露出が決定される制御モードから前記電子シャッタにより露出が決定される制御モードに切り替えられたことをユーザに向けて通知する通知手段を備えたものであることを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
【請求項5】
連写により得られた画像データが機械式シャッタの開閉で露出が決定される制御モードでの撮影により得られた画像データであるか、あるいは電子シャッタにより露出が決定される制御モードでの撮影により得られた画像データあるかを表わすデータを該画像データに対応づけて記録する記録手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−60630(P2008−60630A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−231576(P2006−231576)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】