説明

操作ボタン構造

【課題】操作ボタンを支持する支持部を簡便に固定する。
【解決手段】操作ボタン19は、支持部57により背後から支持されている。支持部57は導電性弾性板42の一部を切り欠いて弾性自在に形成されている。後カバー11の内壁には複数の突出ピン54が形成されている。導電性弾性板42には、突出ピン54に嵌合する位置決め穴45が形成されている。操作ボタン部材35は、操作ボタン19の周りに配される上下左右ボタン23,21をヒンジで一体に連結した形態になっている。この操作ボタン部材35には複数の圧入穴66が形成されている。圧入穴66を突出ピン54に圧入することで後カバー11と操作ボタン部材35との間で導電性弾性板42を挟装する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電気が帯電することを防止するように工夫した操作ボタン構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器には、操作ボタンが設けられている。操作ボタンとしては、樹脂によって成形したキートップの表面にメッキ処理を施して装飾性を高めたものが知られている。しかし、表面にメッキ処理を施した操作ボタンは静電気などが帯電し易い。このため、静電気対策として、例えば、押圧操作部(キートップ)にキャップ状の金属キャップを取れないように被せ、内部に設けた基板のグランド接点に接触するアーム状の接片を前記金属キャップに一体に設けている(特許文献1)。また、操作ボタン自体に弾性変形自在な接触片を一体に設け、その接触片を導電性のシャーシに弾発的に接触するようにしたものも知られている(特許文献2)。
【0003】
しかし、特許文献1に記載の発明では、キートップに金属キャップを被せるため、部品点数が増えてコストアップになる。また、特許文献2に記載の発明では、操作ボタンにアーム状の接片を一体に作るため、操作ボタンが複雑な形状になり、製作コストがアップする。そこで、操作ボタンの形状を複雑にせずにまた他の部品を利用せずに静電気の帯電を防止するように工夫したものが知られている(特許文献3)。
【0004】
特許文献3に記載の発明では、操作ボタンの背後にシート部材を配し、そのシート部材で操作ボタンを支持するようにしている。このシート部材は、弾性を有する材料で形成されている。また、このシート部材は、基板に実装したスイッチに向けてキーステムを突出する開口が形成されており、その開口の周りを含む範囲以外が筺体(外カバー)の内壁に接着され、開口の周りを含む範囲の弾性力を利用して操作ボタンを元の位置に復帰する。そして、シート部材は、基板を筺体の内壁にネジ止めするときに四隅が筺体の内壁と基板との間に挟装される。
【特許文献1】特開2002−93262号公報
【特許文献2】特開2006−156031号公報
【特許文献3】特開2006−244823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献3に記載の発明では、シート部材を筺体の内壁に接着し、四隅をネジ止めするため、取付け作業が面倒であった。また、長期的に使用すると接着が剥がれやすく、剥がれると、操作ボタンを元の位置に向けて戻す作用が弱くなる欠点があった。
【0006】
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、操作ボタンの可動を確実なものにするとともに、支持部を簡単に取り付けることができるように工夫した操作ボタン構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の操作ボタン構造では、一部を切り欠いて弾性変形自在に形成されかつ操作ボタンを背後から支持する支持部と、キーステムをスイッチに向けて突出する貫通部と、を有し、基板に設けたグランド接点に直接又は間接的に電気的接続がなされている導電性弾性板と;外カバーの内壁に設けられた係止部を利用して導電性弾性板を外カバーの内壁にねじを用いないで結合する結合手段と;を備えたものである。
【0008】
結合手段としては、前記外カバーのうちの前記操作ボタンとは異なる位置に露呈される操作ボタンを弾性変形自在に支持しかつ導電性を付与した操作ボタン部材に設けられた複数の圧入穴と、外カバーの内壁に設けられた複数の突出ピンと、で構成し、圧入穴を突出ピンに圧入することで操作ボタン部材を外カバーの内壁に結合し、かつ、操作ボタン部材と外カバーの内壁との間で導電性弾性板を挟持するようにしてもよい。
【0009】
この場合、複数の突出ピンのうちも少なくとも2個を利用して位置決めするための位置決め穴を導電性弾性板に形成するのが、外カバーに対して導電性弾性板を精度良く位置決めすることができるので好適である。
【0010】
また、操作ボタン部材としては、操作ボタンの周りに配される複数の操作ボタンを複数のヒンジで連結した一体部品にしてもよい。この場合、前記操作ボタンとは作用が異なる複数の操作ボタンの各々がヒンジで弾性変形自在に支持される。この場合には、操作ボタン部材の背後を覆うサイズで導電性弾性板を作り、その導電性弾性板に、複数の操作ボタンを貫通させるための開口部を形成する。そして、支持部を作るために切り欠いた切欠き部を開口部に兼用するようにすると、加工コストの低減につながるため好適である。なお、圧入穴は、ヒンジに設けるのが望ましい。
【0011】
結合手段としては、導電性弾性板に設けた被係止部と、外カバーの内壁に設けた係止部とを有し、被係止部に係止部を押込むことで被係止部と係止部とのうちの何れか一方又は両方が弾性変形して導電性弾性板を外カバーの内壁にスナップ結合するようにしてもよい。この場合、外カバーに導電性を付与し、外カバーと基板のグランド接点とを導電性部材で電気的に接続して操作ボタンに帯電する静電気を、外カバーを介して基板のグランドに流すように構成してもよいし、導電性弾性板と基板のグランド接点とを導電性部材で接続してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の操作ボタン構造によれば、導電性弾性板の一部を切り欠いて弾性変形自在に設けた支持部で操作ボタンを背後から支持し、外カバーの内壁に設けられた係止部を利用して導電性弾性板を外カバーの内壁に結合手段でねじを用いないで結合するようにしたので、操作ボタンの可動が確実なものとなり、また、組立作業を簡便に行うことができる。さらに、基板のグランド接点に電気的接続がなされている導電性弾性板の一部を切り欠いて作った支持部で操作ボタンを弾性自在に支持しているため、操作ボタンに帯電する静電気を基板のグランド接点に確実に流すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1に示す電子カメラ10は、外カバーに内部部品を収納した形態になっており、外カバーは、前後に2分割した後カバー11及び前カバー12とで構成されている。外カバーの上面にはシャッタボタン13や電源ボタン14が、また、後カバー11の背面には、撮影モード選択ダイヤル15、再生ボタン16、フォトモードボタン17、十字ボタン18、及び、メニュー/決定ボタン19がそれぞれ露呈して設けられている。このメニュー/決定ボタン19を以下では操作ボタン19と称す。十字ボタン18は、操作ボタン19の周りに配される独立した上下左右ボタン20〜23で構成されている。
【0014】
後カバー11の背面には、スルー画像、再生画像、及び、メニュー画像などを表示するためのLCD(液晶表示部)24が設けられている。なお、外カバー11,12には、装飾性を高めるために、表面にメッキ処理が施されている。
【0015】
後カバー11には、図2に示すように、LCD用開口25、再生ボタン用開口26、フォトモードボタン用開口27、十字ボタン用の4個の開口28〜31、モード選択ダイヤル用開口32、及び、操作ボタン用開口33などがそれぞれ形成されている。
【0016】
再生ボタン16、フォトモードボタン17、及び、十字ボタン18は、複数のヒンジで繋げて一体的に取り扱える一体部品になっている。なお、この形態を以下では操作ボタン部材35と称す。この操作ボタン部材35を構成する各ボタン16〜18には、キートップ、鍔、キーステムがそれぞれ一体的に設けられている。キートップは、再生ボタン用開口26、フォトモードボタン用開口27、十字ボタン用の4個の開口28〜31から外部に露呈する。鍔は、各ボタン16〜18の根元外周に突出して設けられており、各操作ボタン16〜18が開口26〜31から抜け出さないように抜け止めの作用をする。キーステム21c,23cは、押圧操作が行われたときに、図3に示すように、基板37に設けたスイッチ38,40を押圧するためのものである。この操作ボタン部材35には、表面にメッキ処理が施されている。
【0017】
なお、図3では、十字ボタンのうちのボタン21,23に設けたキーステム21c,23cしか記載がないが、他のボタン20,22にもキーステムが形成され、これらキーステムの下方に対応するスイッチが各々配される。また、再生ボタン16、フォトモードボタン17のキーステムも対応するスイッチの上方に配される。
【0018】
一方、操作ボタン19にも、キートップ19a、鍔19b、キーステム19cがそれぞれ一体的に設けられている。キートップ19aは、操作ボタン用開口33から外部に露呈する。鍔19bは、操作ボタン19の根元外周に突出して設けられており、操作ボタン19が開口33から抜け出さないように防止する。キーステム19cは、押圧操作が行われたときに、基板37に設けたスイッチ39を押圧するためのものである。この操作ボタン19にも、表面にメッキ処理が施されている。
【0019】
外カバー11,12、操作ボタン19、及び、操作ボタン部材35は、絶縁物(非導電性材料)である樹脂で金型成形したものである。そして、これらに施すメッキ処理は、表面を金属化し導電性を付与する無電解メッキ処理としている。無電解メッキ処理としては金、銀、ニッケル、銅、スズなどを用いる。なお、無電解メッキ処理の代わりに、金、銀、ニッケル、白金、パラジュウムなどを用いる電気メッキ処理を利用してもよい。
【0020】
操作ボタン19の背後には、導電性弾性板42が配されている。導電性弾性板42は、例えば導電性を有する厚みの薄い金属板である。この導電性弾性板42には、打ち抜き加工により位置決め穴43〜46、グランド用取付穴47、及び、3つの開口48〜50が形成され、また、支持部57及び腕部58が作られている。位置決め穴43〜46には、後カバー11に一体に設けた突出ピン52〜55が嵌まり込む。この突出ピン52〜55が本発明の係止部に相当する。グランド用取付穴47は、LCD24を取り付けたLCD支持板56にネジ止めされる。3つの開口48〜50は、それぞれ再生ボタン16、フォトモードボタン17、及び、十字ボタン18を露呈するための開口である。
【0021】
3つの開口48〜50のうちの十字ボタン18を露呈する開口50は、支持部57及び腕部58が弾性変形自在になるように作るために切り欠いた切り欠き部に兼用されている。この開口50は、支持部57と腕部58とを残して切り欠くために略C字形状になっている。そして、これら開口48〜50の縁に、操作ボタン部材35の各ボタン16〜18に設けた鍔が当接する。
【0022】
腕部58は、支持部57を弾性変形自在に支持している。支持部57は、操作ボタン19を背後から支持する。この支持部57には、キーステム19cを背後に貫通するための貫通部60と、切欠き部61とがそれぞれ設けられている。切欠き部61には、操作ボタン19の背後に設けた突起62が係合する。突起62が切欠き部61に係合することで操作ボタン19の回転止めがなされる。なお、貫通部60としては穴形状にしているが、切欠き形状にしてもよい。
【0023】
操作ボタン部材35には、ヒンジに圧入穴64〜67が形成されている。圧入穴64〜67を突出ピン52〜55に圧入することで操作ボタン部材35が後カバー11の内壁に固定されるとともに、操作ボタン部材35が導電性弾性板42を後カバー11との間で挟持する。なお、突出ピン52〜55、圧入穴64〜67、位置決め穴43〜46の個数は4個限らず、複数あればよい。また、突出ピン52〜55と同じ数だけ位置決め穴43〜46を作らなくてもよく、例えば4個の突出ピン52〜55のうちの少なくとも2個を利用するように位置決め穴を2個だけ作ってもよい。さらに、突出ピン52〜55としては、後カバー11に一体に形成しているが、別に設けてもよい。
【0024】
LCD支持板56は、導電性を有する材料で板形状になっており、LCD24を支持している。このLCD支持板56には、後カバー11に取り付ける取付部74〜78が複数設けられている。これら取付部74〜78が後カバー11の内壁にネジ止めにより取り付けられる。このうちの一カ所の取付部74がグランド用取付穴47に重ねて後カバー11の内壁に取り付けられ、電気的接続がなされる。そして、LCD支持板56には、取付部74とは異なる位置にオンボードコンタクト70が接触する。このオンボードコンタクト70は、断面Z字形状になっており、一端が基板37のグランド接点71にハンダ等で固定され、他端が基板37の厚み方向に弾性変形自在になっており、その他端がLCD支持板56の背面に当接する。このLCD支持板56は、LCDのグランドにも接続されている。
【0025】
基板37には、複数のスイッチ38〜40やグランド接点71などが設けられている。スイッチ38〜40は、印刷配線接点になっており、クリック感触を付与するために、金属ドームを上下電極の上部に設けた形態になっている。そして、各キーステムが各金属ドームの上に配されている。スイッチ38〜40は、ボタン16〜18の押圧操作によりキーステムが金属ドームを凹ましてさらに上電極を押下することで上電極が下電極に接触してONする。なお、ドーム状金属板の代わりに、クリックゴム、エンボス加工によるドーム成形などを設けてもよい。この基板37は、内部部品により固定されている。
【0026】
操作ボタン部材35は、各ボタン16〜23の鍔が導電性弾性板42に接触しており、また、操作ボタン19は、導電性弾性板42の支持部57に接触している。導電性弾性板42は、グランド用取付穴47がLCD支持板56の取付部74に接触しており、また、LCD支持板56は、オンボードコンタクト70により基板37のグランド接点71に接触している。このため、各ボタン16〜19に帯電する静電気は、基板37のグランド接点71に確実に流される。また、導電性弾性板42は、位置決め穴43〜46を突出ピン52〜55に挿入するだけの取付け作業であるため、組立作業が簡便に行える。
【0027】
また、この実施形態では、導電性を付与するために後カバー11にメッキ処理を施しているので、後カバー11に帯電する静電気も操作ボタン19や操作ボタン部材35、もしくは、導電性弾性板42を介して基板37のグランド接点71に流すことができる。なお、後カバー11に帯電する静電気による電気的不都合が生じない場合には、後カバー11へのメッキ処理を省略してもよい。
【0028】
この実施形態での取付けは、後カバー11の裏面に対して操作ボタン19、操作ボタン部材35、及び、導電性弾性板42を順に一方向から挿入して取り付ければよく、しかも、ネジなどを使用しないで取り付けることができるので、取付け作業が簡便に行える。また、操作ボタン19、操作ボタン部材35、及び、導電性弾性板42を後カバー11に予め取り付けておけるので、取り扱いが簡便になる。
【0029】
なお、独立した4個のボタン20〜23で十字ボタンを構成しているが、これらボタン20〜23を繋げて中央から操作ボタン19を露呈するドーナッツ形状に作った1個のボタンを十字ボタンとしてもよい。この場合には、1個のドーナッツ形状のボタンの背後の上下左右に、4つのキーステムをそれぞれ設ければよい。また、導電性弾性板としては、導電性を有する金属板を加工したものに限らず、樹脂材料で板形状に金型成形したものでもよい。この場合には、メッキ処理を施して導電性を付与すればよい。
【0030】
また、上記実施形態では、突出ピン52〜55と圧入穴64〜67とで、ネジを用いない結合手段を構成しているが、本発明ではこれらに限らず、例えば周知のスナップ作用、弾性クリップなどを用いて結合することができる結合手段を利用してもよい。
【0031】
さらに、上記実施形態では、突出ピン52〜55と位置決め穴43〜46との係合により導電性弾性板42を操作ボタン部材35と後カバー11の内壁との間で動かないように挟装しているが、導電性弾性板42を動かないように挟装する手段としては、突出ピン52〜55と位置決め穴43〜46との構成に限らず、突出ピン52〜55を利用して固定することができるものであれば、位置決め穴43〜46以外の何れでもよい。
【0032】
上記実施形態では、LCD支持板56、及び、オンボードコンタクト70との2部品を介して導電性弾性板42と基板37のグランドとを間接的に接続しているが、図4に示すように、導電性弾性板80と、基板81のグランド接点82との間に、導電性を付与したガスケットや導電性金属板などの導電性部材83を用いて直接に接続してもよい。導電性部材83を導電性弾性板80、及び、基板81に取り付ける手段としては、ネジ止めや導電性を有する両面テープなどを用いればよい。さらに、導電性部材83を省略して、導電性弾性板80に弾性自在な接片を一体に設け、その接片を基板81のグランド接点82に直接に接触させるようにしてもよい。
【0033】
また、上記各実施形態の操作ボタン構造では、再生ボタン16、フォトモードボタン17、操作ボタン19、及び、十字ボタン18について説明しているが、本発明ではこれらを作用するボタンに限らず、あらゆるボタンにも採用することができる。また、電子カメラの背面に設けた操作ボタンに限らず、前面、平面、底面、もしくは左右側面に設けた操作ボタンにも採用することができる。
【0034】
図5及び図6に示す操作ボタン構造は、電子カメラの前面のグリップ部に設けた操作ボタンの構造を示しており、グリップ部材85、前カバー86、操作ボタン87、導電性弾性板88、及び、導電性部材89などからなる。
【0035】
前カバー86は、装飾性を高めるために、表面にメッキ処理が施されており、内壁には導電性弾性板88を固定するためのL字状をした弾性を有する係止部90,91が一体に設けられている。この前カバー86は、金型成形により作られる。係止部90,91は、前カバー86の内壁に対して垂直に突出した支持部92と、導電性弾性板88に引っ掛かる爪部93とからなり、金型成形で爪部93を作るときに必要になる開口部95,96が前カバー86に形成される。
【0036】
前カバー86は、絶縁物(非導電性材料)である樹脂で成形したものである。そして、前カバー86に施すメッキ処理は、表面を金属化し導電性を付与する無電解メッキ処理である。
【0037】
開口部95,96は、グリップ部材85により隠される。グリップ部材85も装飾性を高めるためかつ導電性を付与するために、表面に無電界メッキ処理が施され、導電性を有する両面テープなどにより前カバー86に取り付けられる。
【0038】
グリップ部材85及び前カバー86には、操作ボタン87を外部に露呈するための開口97,98が形成されている。操作ボタン87は、キートップ87a、鍔87b、及び、キーステム87cが一体に形成されている。キートップ87aは、開口97,98から外部に露呈される。鍔87bは、開口97の内壁に当接し、開口97から抜け出すことを防止する。キーステム87cは、基板100に設けたスイッチ101を押圧する。
【0039】
導電性弾性板88には、一対の被係止部102,103、支持部104、及び、腕部105が一体に設けられている。支持部104は、一部を切り欠いて弾性自在に設けられており、操作ボタン87を背後から支持する。腕部105は、支持部104を弾性変形自在に支持する。支持部には、キーステムを貫通させる貫通部110が形成されている。
【0040】
一対の被係止部102,103は、爪部93が係止する切欠き形状になっている。これら被係止部102,103と係止部90,91とは、何れか一方又は両方が弾性変形することでスナップ結合し、導電性弾性板88が前カバー86に固定される。これにより、操作ボタン87は、前カバー86と支持部57との間で挟装される。
【0041】
詳しくは、図6に示すように、基板100のグランド接点106と前カバー86の背面とは、導電性部材89により接続される。この導電性部材89は、ネジ止めや導電性を有する両面テープにより基板100及び前カバー86に取り付けられる。この導電性部材89が前カバー86と基板100のグランド接点106とを導通することにより、操作ボタン87に帯電する静電気が導電性弾性板88、及び、係止部90,91を介して基板100のグランド接点106に流される。これによれば、前カバー86に対して操作ボタン87、導電性弾性板88を順に一方向から取り付け、しかも、ネジなどを使用しないで取り付けることができるので、取付け作業が簡便に行える。また、操作ボタン87、導電性弾性板88を前カバー86に予め取り付けておけるので、取り扱いも簡便になる。
【0042】
上記実施形態では、爪をもつ係止部90,91と、切欠きをもつ被係止部102,103とでネジを用いない結合手段を構成しているが、本発明ではこれら形状に限らず、何れか一方又は両方が弾性変形して互いを結合するスナップ作用による結合手段であればいずれのものを利用してもよい。
【0043】
また、上記各実施形態では、樹脂成形品に導電性を付与するために、表面に金属蒸着膜(酸化錫など)を形成する無電解メッキ処理や電気メッキ処理を利用しているが、本発明ではこれに限らず、界面活性剤や帯電防止剤を樹脂へ配合したり又は表面に塗布する方法や、樹脂に導電性付与剤(カーボン系粉末や金属粉末など)を混合した組成物を作る方法、他には、導電性樹脂(高分子の化学構造から導電性高分子を合成した樹脂。例えばポリピロール、ポリアセチレンなど)を利用する方法などを採用してもよい。導電性樹脂を用いる場合には、導電性を付与するためのメッキ処理を省略することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の利用可能性としては、電子カメラ10に設けた操作ボタンの構造に利用するに限らず、例えばテレビ、液晶表示装置、ステレオ、携帯電話、扇風機、時計、炊飯器、及び、ゲーム機などの電気機器や電子機器にも採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明を採用した電子カメラの外観を示す背面側斜視図である。
【図2】後カバーに各種ボタンやLCDなどを取り付ける状態を示す分解斜視図である。
【図3】図2で説明した操作ボタンの要部を示す断面図である。
【図4】導電性弾性板から基板のグランド接点に直に接続した別の実施形態を示す要部断面図である。
【図5】電子カメラのグリップ部に設けた操作ボタンの他の実施形態を示す要部分解斜視図である。
【図6】図5で説明した操作ボタンの要部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0046】
10 電子カメラ
11 後カバー
12,86 前カバー
16〜23,87 操作ボタン
35 操作ボタン部材
37,100 基板
42,80,88 導電性弾性板
56 LCD支持板
57,105 支持部
70 オンボードコンタクト
83,89 導電性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外カバーに設けた開口から外部に露呈されるキートップと、背後に突出して設けられたキーステムと、を有し導電性が付与されている操作ボタンと、
前記キーステムの押圧によりONするスイッチを実装する基板と、を備えた操作ボタン構造において、
一部を切り欠いて弾性変形自在に形成されかつ前記操作ボタンを背後から支持する支持部と、前記キーステムを前記スイッチに向けて突出する貫通部と、を有し、前記基板に設けたグランド接点に直接又は間接的に電気的接続がなされている導電性弾性板と、
前記外カバーの内壁に設けられた係止部を利用して前記導電性弾性板を前記外カバーの内壁にねじを用いないで結合する結合手段と、を備えたことを特徴とする操作ボタン構造。
【請求項2】
前記結合手段は、
前記外カバーのうちの前記操作ボタンとは異なる位置に露呈される操作ボタンを弾性変形自在に支持しかつ導電性を付与した操作ボタン部材に設けられた複数の圧入穴と、
前記外カバーの内壁に設けられた複数の突出ピンと、で構成されており、
前記圧入穴を前記突出ピンに圧入することで前記操作ボタン部材を前記外カバーの内壁に結合するとともに、前記操作ボタン部材と前記外カバーの内壁との間で前記導電性弾性板を挟持することを特徴とする請求項1記載の操作ボタン構造。
【請求項3】
前記導電性弾性板には、前記突出ピンを利用して位置決めするための位置決め穴が形成されていることを特徴とする請求項2記載の操作ボタン構造。
【請求項4】
前記操作ボタン部材は、前記操作ボタンの周りに配される複数の操作ボタンをヒンジで連結して前記複数の操作ボタンが独立して弾性変形自在に設けられた一体部品になっており、
前記導電性弾性板には、前記複数の操作ボタンを貫通させるための開口部が形成されており、
前記開口部は、前記支持部を作るために切り欠いた切欠き部に兼用されていることを特徴とする請求項2又は3記載の操作ボタン構造。
【請求項5】
前記結合手段は、前記導電性弾性板に設けた被係止部と前記外カバーの内壁に設けた係止部とを有し、前記被係止部に前記係止部を押込むことで前記被係止部と前記係止部とのうちの何れか一方又は両方が弾性変形して前記導電性弾性板を前記外カバーの内壁にスナップ結合することを特徴とする請求項1記載の操作ボタン構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−181672(P2008−181672A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−12142(P2007−12142)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】