説明

操舵支援装置

【課題】隣接車両の回避時におけるドライバの操舵操作との干渉を軽減した操舵支援装置を提供する。
【解決手段】走行車線内の目標走行位置Xcを自車両OVが走行するよう操舵機構10へ操舵力τを付与する操舵支援装置を、自車両前方の環境を認識して走行車線を設定する車線設定手段110と、走行車線からの自車両の逸脱傾向を判定する逸脱判定手段140と、逸脱傾向が判定されたときに操舵機構に逸脱回避方向への操舵力を付与する操舵制御手段150と、環境認識手段を用いて自車両の前方で自車両の走行車線と隣接して走行する隣接車両NVを検出する隣接車両検出手段160と、隣接車両の自車両に対する接近度を算出する接近度算出手段170とを備え、操舵制御手段は、逸脱判定手段が隣接車両の走行車線と反対側への逸脱傾向を判定したときに、接近度の増加に応じて逸脱回避方向への操舵力を低減する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両に設けられ、自車両前方の環境を認識して操舵機構に操舵力を付与する操舵支援装置に関し、特に、隣接車両の回避時におけるドライバの操舵操作との干渉を軽減したものに関する。
【背景技術】
【0002】
操舵支援装置は、例えばステレオカメラ等で自車両前方の環境を認識し、操舵機構に操舵力を付与することによってドライバの運転操作を支援するものである。
操舵支援装置は、例えば自車両が走行車線からの逸脱傾向を有する場合に、逸脱を防止する方向の操舵力を付与する車線逸脱防止制御や、車線内に設定される目標走行位置に沿って自車両が走行するよう操舵力を付与する車線維持支援制御を実行する。
【0003】
自車両の走行車線と隣接する車線内に先行車等の障害物があり、これを追い抜く場合等には、ドライバは自車両と障害物との距離を確保するため、車線中央からずれた位置を走行したり、さらには車線を意図的に逸脱して走行するなどして、障害物の回避を図る場合がある。
これに対し、特許文献1には、車線追従装置において、自車両の走行車線と隣接する車線内に障害物がある場合に、これを回避するために走行目標ラインを障害物のない方向にずらすことが記載されている。
また、特許文献2には、隣接車線が渋滞している場合には、隣接車線走行車両の割り込み等に対処するため、自車両の走行位置を隣接車線とは反対側に変位させることが記載されている。
また、特許文献3には、レーダ等の車間距離センサで検出した車間距離に基づいて先行車両との接近度合を検出し、この接近度合に応じて操舵力を低減することが記載されている。
【特許文献1】特開2001−048036号公報
【特許文献2】特開2006−069344号公報
【特許文献3】特開2000−025631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に記載された技術では、隣接車線に障害物があったり、渋滞している場合には、その車線内横位置に関わらず走行目標ラインがずらされることから、例えば隣接車線にいる車両が自車両の走行車線から十分に離れた位置を走行中であり、回避する必要がない場合にも走行目標ラインが変更される。この場合、ドライバが回避不要であると判断して自車両を車線に沿って走らせようとすると、ドライバの操舵操作との干渉が生じてドライバに違和感を与えることが懸念される。
一方、特許文献3に記載された技術では、先行車等の横位置に関わらず車間距離の接近に応じて操舵力が低減されるため、先行車との間に十分な横距離がある場合であっても制御が弱められ、ドライバの期待する支援レベルを得ることができない。
本発明の課題は、隣接車両の回避時におけるドライバの操舵操作との干渉を軽減した操舵支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、上述した課題を解決する。
請求項1の発明は、走行車線内の目標走行位置を自車両が走行するよう操舵機構へ操舵力を付与する操舵支援装置において、自車両前方の環境を認識して走行車線を設定する車線設定手段と、前記走行車線からの自車両の逸脱傾向を判定する逸脱判定手段と、前記逸脱傾向が判定されたときに前記操舵機構に逸脱回避方向への操舵力を付与する操舵制御手段と、前記環境認識手段を用いて自車両の前方で自車両の走行車線と隣接して走行する隣接車両を検出する隣接車両検出手段と、前記隣接車両の自車両に対する接近度を算出する接近度算出手段とを備え、前記操舵制御手段は、前記逸脱判定手段が前記隣接車両の走行車線と反対側への逸脱傾向を判定したときに、前記接近度の増加に応じて前記逸脱回避方向への操舵力を低減する操舵力低減制御を実行することを特徴とする操舵支援装置である。
【0006】
請求項2の発明は、自車両進行方向に沿った自車両と前記隣接車両との距離を検出する隣接車両距離検出手段と、前記隣接車両の自車両に対する相対速度を検出する隣接車両相対速度検出手段と、前記距離及び前記相対速度に基づいて自車両と前記隣接車両との並走終了時期を推定する並走終了時期推定手段とを備え、前記操舵制御手段は、前記並走終了時期推定手段によって推定された前記並走終了時期に基づいたタイミングで前記操舵力低減制御を終了することを特徴とする請求項1に記載の操舵支援装置である。
請求項3の発明は、複数の撮像手段によって前記隣接車両を撮像した画像群から前記隣接車両の側面部前端を認識する側面部認識手段を備え、前記隣接車両距離検出手段及び前記隣接車両相対速度検出手段は、前記側面部前端を基準として前記距離及び前記相対速度をそれぞれ検出することを特徴とする請求項2に記載の操舵支援装置である。
請求項4の発明は、ドライバからの減速操作を検出する減速操作検出手段を備え、前記操舵制御手段は、前記減速操作の検出時には非検出時よりも前記操舵力を低減することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の操舵支援装置である。
請求項5の発明は、前記操舵制御手段は、前記逸脱判定手段が前記隣接車両の走行車線側への逸脱傾向を判定したときに、前記接近度の増加に応じて前記逸脱回避方向への操舵力を増大する操舵力増大制御を実行することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の操舵支援装置である。
請求項6の発明は、前記操舵制御手段は、前記走行車線からの自車両の横変位に所定のゲインを乗じた操舵力を前記操舵機構に付与するとともに、前記隣接車両の前記接近度が所定時間以上所定の閾値以上であるときに前記ゲインを通常のゲインよりも小さい一定値に切り換えることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の操舵支援装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)隣接車両の走行車線と反対側への逸脱傾向が判定されたときに、隣接車両との接近度の増加に応じて逸脱回避方向への操舵力を低減することによって、ドライバが意図的に車線を逸脱しようとした場合の操舵操作との干渉を低下し、ドライバに違和感を与えることを防止できる。また、接近度に応じて操舵力の低減を行っていることから、接近度が小さくドライバが回避する可能性が低い場合には、操舵力の低減を抑制して車線逸脱を防止することができる。これに対し、接近度が大きくドライバが回避する可能性が高い場合には、操舵力を大きく低減してドライバ操作との干渉防止効果を高めることができる。
(2)隣接車両の距離及び相対速度に基づいて並走終了時期を推定し、これに基づいたタイミングで操舵力低減制御を終了することによって、隣接車両との並走状態が解消された後に速やかに通常の制御に復帰し、ドライバの運転操作を支援することができる。
(3)側面部認識手段によって認識された隣接車両の側面部前端を基準として隣接車両の距離及び相対速度を検出することによって、上述した並走終了時期を適切に推定することができる。
(4)減速操作の検出時には非検出時よりも操舵力を低減することによって、ドライバによる緊急回避動作との干渉を防止することができる。
(5)隣接車両の走行車線側への逸脱傾向を判定したときに、接近度の増加に応じて逸脱回避方向への操舵力を増大することによって、自車両が隣接車両側に車線逸脱して隣接車両と衝突することを防止できる。
(6)接近度が所定時間以上にわたって所定の閾値以上であるときに、操舵力算出に用いるゲインを通常のゲインよりも小さい一定値に切り換えることによって、制御出力のばらつきを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、隣接車両の回避時におけるドライバの操舵操作との干渉を軽減した操舵支援装置を提供する課題を、隣接車両と反対側への車線逸脱判定が成立した場合に、隣接車両と自車両走行車線との距離が小さくなるのに応じて、逸脱回避方向へ付与される操舵トルクの算出に用いられるゲインを低減することによって解決した。
【実施例】
【0009】
以下、本発明を適用した操舵支援装置の実施例について説明する。実施例の操舵支援装置は、例えば、前二輪を操舵する乗用車等の四輪自動車に備えられる。
図1は、実施例の操舵支援装置を含む車両のシステム構成を示す図である。
操舵支援装置は、操舵機構10に操舵トルク(操舵力)を付与するものである。
操舵機構10は、前輪FWを支持するハウジングHを所定の操向軸線(キングピン)回りに回転させて操舵を行うものである。
【0010】
操舵機構10は、ステアリングホイール11、ステアリングシャフト12、ステアリングギアボックス13、タイロッド14等を備えて構成されている。
ステアリングホイール11は、ドライバが操舵操作を入力する環状の操作部材である。
ステアリングシャフト12は、ステアリングホイール11の回転をステアリングギアボックス13に伝達する回転軸である。
ステアリングギアボックス13は、ステアリングシャフト12の回転運動を車幅方向の直進運動に変換するラックアンドピニオン機構を備えている。
タイロッド14は、一方の端部をステアリングギアボックス13のラックに連結され、他方の端部をハウジングHのナックルアームに連結された軸状の部材である。タイロッド14は、ハウジングHのナックルアームを押し引きすることによってハウジングを回転させ、操舵を行う。
【0011】
また、車両は、電動パワーステアリング(EPS)制御ユニット20、操安制御ユニット30、エンジン制御ユニット40、トランスミッション(TM)制御ユニット50、車両統合ユニット60等を備えている。
【0012】
EPS制御ユニット20は、ドライバの操舵操作に応じて操舵アシスト力を発生する電動パワーステアリング装置を統括的に制御するものである。EPS制御ユニット20には、電動アクチュエータ21、舵角センサ22、トルクセンサ23等が接続されている。
電動アクチュエータ21は、例えば、ステアリングシャフト12の途中に設けられ、減速機構を介して操舵機構10に対して操舵トルク(操舵力)を付与する電動モータである。
舵角センサ22は、ステアリングシャフト12の角度位置(ステアリングホイール11の角度位置と実質的に等しい)を検出するエンコーダを備えている。
トルクセンサ23は、電動アクチュエータ21とステアリングホイール11との間でステアリングシャフト12に挿入され、ステアリングシャフト12に作用するトルクを検出するものである。通常、トルクセンサ23が検出するトルクは、ドライバがステアリングホイール11に入力する操舵トルクと実質的に等しくなる。
【0013】
操安制御ユニット30は、各車輪のブレーキの制動力を個別に制御する車両操安性制御及びABS制御を行うものである。車両操安性制御は、アンダーステア又はオーバーステアの発生時に、旋回内輪側と外輪側の制動力を異ならせて復元方向のヨーモーメントを発生させるものである。ABS制御(アンチロックブレーキ制御)は、車輪のロック傾向を検出した際に、当該車輪の制動力を低減して回復させるものである。
操安制御ユニット30には、ハイドロリックコントロールユニット(HCU)31、車速センサ32、ヨーレートセンサ33、横加速度(横G)センサ34等が接続されている。
【0014】
HCU31は、各車輪の液圧式サービスブレーキに付与されるブレーキフルード液圧を個別に制御する装置である。HCU31は、ブレーキフルードを加圧するモータポンプ、及び、各車輪のキャリパシリンダへ付与される圧力を調整するソレノイドバルブ等を備えている。
車速センサ32は、各車輪のハブベアリングハウジングを保持するハウジングに設けられ、車輪速に応じた車速パルス信号を出力する。この車速パルス信号は、所定の処理を施すことによって、車両の走行速度を求めることができる。
ヨーレートセンサ33及び横Gセンサ34は、車体の鉛直軸回りの回転速度及び横方向の加速度をそれぞれ検出するMEMSセンサを備えている。
【0015】
エンジン制御ユニット40は、車両の走行用動力源であるエンジン及びその補器類を統括的に制御するものである。
トランスミッション制御ユニット50は、エンジンの出力を変速して駆動軸のディファレンシャルギアへ伝達するオートマティックトランスミッションを統括的に制御するものである。
車両側ユニット60は、上記各ユニットに関連する以外の車両の電装品を統括的に制御するものである。
【0016】
また、実施例の操舵支援装置は、以下説明する操舵支援制御ユニット100を備えている。
操舵支援制御ユニット100は、上述したEPS制御ユニット20、操安制御ユニット30、エンジン制御ユニット40、トランスミッション制御ユニット50、車両統合ユニット60と、例えばCAN通信システム等の車載LANを介して接続され、各種情報や信号を取得可能となっている。
【0017】
また、操舵支援制御ユニット100は、環境認識手段110、自車進行路推定手段120、目標走行位置設定手段130、逸脱判定手段140、操舵制御手段150、隣接車両検出手段160、接近度算出手段170、車間距離算出手段180、相対速度算出手段190、並走終了時期推定手段200、制動検出手段210等を備えて構成されている。なお、これらの各手段は、それぞれ独立したハードウェアとして構成されてもよく、また、一部又は全部を共通したハードウェアとした構成としてもよい。
【0018】
環境認識手段110は、自車両前方を撮像した画像情報に基づいて、自車両の走行車線の形状や先行車、障害物等の形状、サイズ、位置等を認識するものである。環境認識手段110は、本発明にいう車線設定手段として機能する。
環境認識手段110は、ステレオカメラ111、画像処理部112等が接続されている。
ステレオカメラ111は、例えば車両のフロントウインドウ上端部のルームミラー基部付近に設けられた一対のメインカメラ及びサブカメラを備えている。メインカメラ及びサブカメラは、それぞれCCDカメラを有して構成されている。メインカメラ及びサブカメラは、車幅方向に離間して設置されている。メインカメラ及びサブカメラは、それぞれ基準画像及び比較画像を撮像し、これらに係る画像データを画像処理部112に出力する。
【0019】
画像処理部112は、ステレオカメラ111が出力した基準画像及び比較画像の画像データをA/D変換した後、所定の画像処理を施して環境認識手段110に出力するものである。この画像処理には、例えば、各カメラの取付位置誤差の補正や、ノイズ除去、階調の適切化などが含まれる。デジタル化された画像は、例えば、垂直方向及び水平方向にマトリクス状に配列された複数の画素を有する。これらの各画素は、それぞれ被写体の明るさに応じた輝度値を有する。
【0020】
環境認識手段110は、基準画像及び比較画像のデータに基づいて、基準画像上の任意の画素又は複数の画素からなるブロックである画素群の視差を検出する。この視差は、ある画素又は画素群の基準画像上の位置と比較画像上の位置とのずれ量である。この視差を用いると、三角測量の原理により、自車両から当該画素に対応する被写体までの距離を算出することができる。
【0021】
図2は、自車両OV、車線(白線WL)、走行目標位置Xc及び自車進行路Xeの平面的配置の一例を示す図である。
環境認識手段110は、自車両OV前方の車線両端部に配置された白線WLの形状、及び、先行車両の位置、形状、サイズ等を認識する。なお、本明細書、特許請求の範囲等において、白線とは、車線の幅方向における端部に引かれた連続線又は破線を示すものとし、実際の色彩が白色以外(例えば燈色など)の線も含むものとする。
【0022】
環境認識手段110は、基準画像のデータから、画素の輝度データに基づいて白線WL部分の画素群を検出する。自車両に対する白線WL部分の画素群の方位は、画像データ上の画素位置に基づいて検出される。具体的には、垂直方向における画素位置が路面上に相当する領域を水平方向に走査し、輝度値が急変する箇所を白線WLの輪郭として認識する。そして、当該白線WL部分の画素群の距離を算出することによって、白線WLの位置を検出する。
そして、環境認識手段110は、白線WL位置の検出を連続的に行なって車両の進行方向に複数の車線候補点を設定し、整合のとれない車線候補点を無視するとともに、車線候補点を設定できなかった領域は所定の補完処理を行うことによって、自車両前方の車線形状を認識する。
また、環境認識手段110は、隣接車線を走行する車両(隣接車両NV(図3を参照))に関する画像データ又はこの画像データに基づく情報を、隣接車両検出手段160に提供する。
【0023】
自車進行路推定手段120は、環境認識手段110からの情報、舵角センサ21、車速センサ32、ヨーレートセンサ33等によって検出される車両の走行状態、及び、既知の車両諸元等に基づいて、自車両OVの進行路を推定するものである。
自車進行路の推定は、例えば、車両前方の所定の距離である注視距離Zにおける自車両OVの横位置Xeを算出することによって行う。注視距離Zは、自車両OV前方の所定の距離であって、例えば自車両OVが数秒後(例えば約2秒程度)に到達する位置に設定される。
自車両OVの重心位置を原点とし、車幅方向へ延びるX軸、及び、車体前方側へ延びるZ軸を有する座標系を用いて以下説明する。
注視距離Zにおける自車進行路の横位置Xeは、以下の式1によって求められる。
【数1】

【0024】
目標走行位置設定手段130は、自車両の目標走行位置(支援制御目標点)(Xc,Z)を設定するものである。目標走行位置は、例えば、注視距離Zにおける車線幅の中央部(左右白線までの横位置が等しくなる点)に設定される。ただし、目標走行位置の設定箇所は、車線幅の中央部に限らず、適宜変更が可能である。
【0025】
逸脱判定手段140は、自車進行路推定手段120が推定した自車両OVの推定横位置Xeと、目標走行位置設定手段130が設定した目標走行位置の横位置Xcとを比較して、自車両OVの走行車線からの逸脱傾向を判定するものである。逸脱判定手段140は、例えば、自車両横位置Xeと目標走行位置Xcとの偏差が所定の閾値以上となった場合に逸脱傾向ありと判定する。
【0026】
操舵制御手段150は、自車進行路推定手段120が推定した自車両OVの推定横位置Xeと、目標走行位置設定手段130が設定した目標走行位置の横位置Xcとの偏差に基づいて、EPS制御ユニット20を介して電動アクチュエータ21を制御し、操舵機構10への操舵トルクの付与を行わせるものである。
操舵トルクを付与する際の目標操舵トルクは、例えば、以下説明する1次制御及び3次制御によって設定される。
【0027】
1次制御における目標操舵トルクτの算出式を式2に示す。

τ=Gx1・Δe
=Gx1・(Xc−Xe)・・・(式2)

τ:1次制御目標操舵トルク
Δe:目標偏差[m]
Xe:注視距離における自車両推定横位置[m]
Xc:目標走行位置[m]
x1:1次制御操舵トルク算出ゲイン
【0028】
3次制御における目標操舵トルクτの算出式を式3に示す。

τ=Gx3・Δe3
=Gx3・(Xc−Xe)3・・・(式3)

τ:3次制御目標操舵トルク
Δe:目標偏差[m]
Xe:注視距離における自車両推定横位置[m]
Xc:目標走行位置[m]
x3:3次制御操舵トルク算出ゲイン
【0029】
操舵制御手段150は、上述した1次制御目標操舵トルクτと3次制御目標操舵トルクτとを所定の制御分担比で合成し、さらに必要に応じて他の制御に基づく目標操舵トルクも合成して、操舵支援装置全体としての目標操舵トルクτを設定する。
操舵制御手段150は、設定された目標操舵トルクτに基づいて、EPS制御ユニット20を介して電動アクチュエータ21を駆動させ、操舵機構10に操舵トルクの付与を行わせる。
なお、操舵制御手段150は、隣接車線を走行する先行車である隣接車両NVの自車両走行車線に対する接近度が所定値以上でありかつこの隣接車両NVと反対側への車線逸脱判定が成立した場合に、操舵機構10に付与される操舵トルクτを低減する機能を備えている。この点については、後に詳しく説明する。
【0030】
隣接車両検出手段160は、環境認識手段110を用いて自車両OVの走行車線と隣接する車線(隣接車線)を走行する先行車(隣接車両NV)を検出するものである。具体的には、画像データにおける隣接車線上に所定の特徴を具備する像が存在する場合に、この像を隣接車両NVの像として認識する。
図3は、自車両、車線、及び、隣接車両の平面的配置の一例を示す図である。図3に示す状態では、隣接車両NVは自車両OVの走行車線の右側の車線を走行している。このため、ドライバが左側への操舵入力を行い、自車両OVを走行車線の左側(隣接車両と反対側)へ意図的に逸脱させようとしている。
【0031】
隣接車両検出手段160は、側面部認識手段161を備えている。側面部認識手段161は、隣接車両NVの画像データに基づいて、隣接車両NVの側面部を認識するものである。
図4は、側面部認識を行う際の自車両と隣接車両との平面的配置の一例を示す図である。
側面部Sの認識は、隣接車両NVの画像から、水平方向に配列された一連の画素群を抽出し、抽出された各画素群の位置を順次検出する。そして、隣接車両NVの画像データのうち、画素群の位置がZ軸方向にほぼ沿って配置されている領域を側面部Sとして認識する。
【0032】
接近度算出手段170は、隣接車両検出手段160が検出した隣接車両NVの画像データを用いて、隣接車両NVの自車線側の端点と、自車両OVと隣接車両NVとの間の白線WLとの横方向距離d(図3参照)を算出する。この横方向距離dは、隣接車両NVの自車両走行車線への接近度合を示す度合(接近度)である。なお、ここで隣接車両NVの自車両OV側の端点として、隣接車両NVの画像を構成する画素のうち、水平方向における位置が最も自車両走行車線側の画素を用いることができる。また、隣接車両検出手段160及び接近度算出手段170は、隣接車両NVの画像をパターン認識し、隣接車両NVの画像内に占める位置及び色彩からウインカ(ターンシグナルランプ)やブレーキランプ、あるいはこれらをアセンブリ化したリアコンビネーションランプ等を抽出し、これらのうち一つを隣接車両NVの端点として用いることもできる。
【0033】
車間距離算出手段180は、隣接車両検出手段160の側面部認識手段161が認識した隣接車両NVにおける側面部Sの車両前方端点Pf(図4参照)までの車間距離Zffを、ステレオカメラ111の視差に基づいて算出するものである。
【0034】
相対速度算出手段190は、車間距離算出手段180が逐次算出する車間距離Zffを蓄積し、その単位時間あたりの変化量に基づいて自車両OVと隣接車両NVとの相対速度Vzfを算出するものである。
【0035】
並走終了時期推定手段200は、自車両OVによる隣接車両NVの追い抜きが終了し、自車両OVと隣接車両NVとの並走状態が終了する時期である並走終了時期を推定するものである。
図5は、並走終了時期における自車両と隣接車両との平面的配置の一例を示す図である。並走終了時期推定手段200は、自車両OVの後端部が隣接車両NVの前端部よりも前方(Z軸正方向)に出る時期を並走終了時期として推定する。
並走終了時期推定手段200における並走終了判定式(追い越し終了判定式)を以下の式4に示す。

【数2】

ここで、最終z方向相対速度及び最終z方向相対位置とは、自車両OVの接近によって隣接車両NVがステレオカメラ111の視野外となった場合に、最後に認識された相対速度及び相対位置を示す。
【0036】
制動検出手段210は、例えばHCU31が各車輪のブレーキのホイールシリンダに付与されるブレーキフルード圧力等を検出することによって、ドライバによる制動操作(減速操作)を検出するものである。
【0037】
以下、実施例の操舵支援装置における操舵支援制御時の動作について説明する。
図6は、操舵支援制御時の動作を示すフローチャートである。
図7は、図6におけるゲイン設定時のサブルーチンを示すフローチャートである。
先ず、図6のステップ毎に順を追って説明する。
<ステップS10:環境認識>
環境認識手段110は、ステレオカメラ111を用いて自車両の走行車線の形状を認識する。その後、ステップS20に進む。
<ステップS20:走行状態検出>
自車進行路推定手段120は、自車進行路の推定に必要な舵角、車速等の車両の走行状態に関する情報を取得する。その後、ステップS30に進む。
<ステップS30:自車進行路推定>
自車進行路推定手段120は、ステップS02で取得した情報を用いて、上述した式1により自車進行路を推定する。その後、ステップS40に進む。
<ステップS40:車線維持目標地点算出>
目標走行位置設定手段130は、車線維持目標地点(Xc,Z)を算出する。この車線維持目標地点は、自車両に対して所定の注視距離前方であって、車線幅の中央部に設定される。その後、ステップS50に進む。
<ステップS50:自車進行路と車線維持目標地点との偏差Δe算出>
操舵制御手段150は、自車進行路と車線維持目標地点との偏差Δe=Xc−Xeを算出する。
その後、ステップS60に進む。
【0038】
<ステップS60:ゲイン設定>
操舵制御手段150は、上述した1次制御目標操舵トルクτ及び3次制御目標操舵トルクτを設定する。
以下、このゲイン設定について、図7の各ステップ毎に順を追って説明する。
<ステップS61:隣接車両有無判断>
操舵制御手段150は、隣接車両検出手段160、車間距離算出手段180、相対速度算出手段190等を用いて、自車両OVに接近する隣接車両NVの有無を検出する。隣接車両NVが自車両OVに接近しているか否かの判断は、例えば、自車両OVから隣接車両NVまでの車間距離Zffの時間履歴をモニタすることによって、両者の相対速度Vrを算出することによって行う。自車両OVに接近する隣接車両NVが有る場合はステップS63に進み、無い場合はステップS62に進む。
<ステップS62:基本ゲインを設定>
操舵制御手段150は、1次制御目標操舵トルクτ及び3次制御目標操舵トルクτとして、予め設定された基本ゲインを設定する。その後、図6に示すメインルーチンに復帰してステップS70に進む。
【0039】
<ステップS63:隣接車両接近度判断>
操舵制御手段150は、接近度算出手段170が算出した隣接車両NVの自車線側端点と白線との距離dを所定の閾値d1(例えば、0.3m程度)と比較し、dがd1よりも小さい場合は接近度が大きいものとしてステップS64に進み、その他の場合はステップS62に進む。
【0040】
<ステップS64:反隣接車両側への車線逸脱判断>
逸脱判定手段140は、自車両OVが隣接車両NVの走行車線と反対側への車線逸脱傾向を有するか判定し、逸脱傾向が判定された場合はステップS65に進み、その他の場合はステップS67に進む。
【0041】
<ステップS65:ゲイン低下>
操舵制御手段150は、1次制御操舵トルク算出ゲインGX1及び3次制御操舵トルク算出ゲインGX3を、接近度の増加(距離dの減少)に応じて減少させる操舵力低減制御を実行する。
図8は、接近度に応じて1次制御操舵トルク算出ゲインGX1を変化させた場合における偏差Δeと1次制御目標操舵トルクτとの相関を示すグラフである。
図9は、接近度に応じて3次制御操舵トルク算出ゲインGX3を変化させた場合における偏差Δeと3次制御目標操舵トルクτとの相関を示すグラフである。
操舵制御手段150は、接近度の増加(距離dの減少)に応じて、1次制御操舵トルク算出ゲインGx1をG1からG2,G3へと順次変更する。また、操舵制御手段150は、接近度の増加(距離dの減少)に応じて、3次制御操舵トルク算出ゲインGx3をG4からG5,G6へと順次変更する。なお、このようなゲインの変更は、段階的に変化させるものに限らず、連続的に変化させてもよい。
【0042】
このように接近度の増加に応じてゲインを低下させることによって、偏差Δeが同等である場合には目標操舵トルクτは図8、図9に示すように低下する。
また、操舵制御手段150は、隣接車両NVと白線WLとの横方向距離dが所定の閾値d2(<d1)以下の状態が所定の判定時間以上継続した場合には、制御出力のばらつきを抑えるため、1次制御操舵トルク算出ゲインGX1及び3次制御操舵トルク算出ゲインGX3をそれぞれG3及びG6よりも小さい最小値に固定する。
その後、ステップS66に進む。
【0043】
<ステップS66:ブレーキ補正>
操舵制御手段150は、制動検出手段210がドライバによる制動操作を検出した場合には、ステップS65で低下させた1次制御目標操舵トルクτ及び3次制御目標操舵トルクτをさらに低下させるブレーキ補正を行う。
その後、一連の処理を終了し、図6に示すメインルーチンのステップS70に進む。
【0044】
<ステップS67:隣接車両側への車線逸脱判断>
逸脱判定手段140は、自車両OVが隣接車両NVの走行車線側への車線逸脱傾向を有するか判定し、逸脱傾向が判定された場合はステップS68に進み、その他の場合はステップS62に進む。
<ステップS68:ゲイン増加>
操舵制御手段150は、1次制御操舵トルク算出ゲインGX1及び3次制御操舵トルク算出ゲインGX3を、接近度の増加(距離dの減少)に応じて増加させる操舵力増加制御を実行する。
その後、一連の処理を終了し、図6に示すメインルーチンのステップS70に進む。
【0045】
<ステップS70:操舵トルク設定>
操舵制御手段150は、ステップS50で求めた偏差Δe、及び、ステップS60で設定した1次制御操舵トルク算出ゲインGX1及び3次制御操舵トルク算出ゲインGX3を用いて、目標操舵トルクτを設定する。
その後、ステップS80に進む。
<ステップS80:操舵力発生>
操舵制御手段150は、ステップS70で設定した目標操舵トルクτに基づいて、EPS制御ユニット20に指示を出し、電動アクチュエータ21によって操舵機構10に対して操舵トルクを付与する。その後、一連の処理を終了(リターン)する。
【0046】
以上説明した実施例によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)隣接車両NVの走行車線と反対側への逸脱傾向が判定されたときに、隣接車両NVと白線WLとの横方向距離dの減少に応じて逸脱回避方向への目標操舵トルクτを低減することによって、ドライバが意図的に車線を逸脱しようとした場合の操舵操作との干渉を低下し、ドライバに違和感を与えることを防止できる。また、横方向距離dに応じて目標操舵トルクτの低減を行っていることから、接近度が小さくドライバが回避する可能性が低い場合には、目標操舵トルクτの低減を抑制して車線逸脱を防止することができる。これに対し、接近度が大きくドライバが回避する可能性が高い場合には、目標操舵トルクτを大きく低減してドライバ操作との干渉防止効果を高めることができる。
(2)隣接車両NVとの車間距離Zff及び相対速度Vzfに基づいて並走終了時期を推定し、これに基づいたタイミングで操舵力低減制御を終了することによって、隣接車両NVとの並走状態が解消された後に速やかに通常の制御に復帰し、ドライバの運転操作を支援することができる。
(3)側面部認識手段161によって認識された隣接車両NVの側面部Sの前端である車両前方端点Pfを基準として隣接車両NVとの車間距離Zff及び相対速度Vzfを検出することによって、上述した並走終了時期を適切に推定することができる。
(4)減速操作の検出時には非検出時よりも目標操舵トルクτを低減することによって、ドライバによる緊急回避動作との干渉を防止することができる。
(5)隣接車両NVの走行車線側への逸脱傾向を判定したときに、接近度の増加に応じて逸脱回避方向への目標操舵トルクτを増大することによって、自車両OVが隣接車両NV側に車線逸脱して隣接車両NVと衝突することを防止できる。
(6)接近度が所定時間以上にわたって所定の閾値以上であるときに、操舵力算出に用いるゲインGx1,Gx3を通常のゲインよりも小さい一定値に切り換えることによって、目標操舵トルクτのばらつきを低減することができる。
【0047】
(変形例)
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)実施例ではステレオカメラによって環境認識を行う構成としたが、本発明はこれに限らず、例えば先行車の距離をミリ波レーダ、レーザレーダ、超音波等を用いて検出する構成としてもよい。また、自車両の走行車線に関する情報を、例えばナビゲーション装置用として準備された地図データから取得する構成としてもよい。
(2)操舵機構に操舵トルクを付与するアクチュエータの構成は、実施例のようなコラムアシストタイプのものに限らず、例えば、ステアリングシャフトに接続されたピニオン軸を駆動するピニオンアシストタイプ、ステアリングシャフトに接続されたピニオンと独立したピニオンを駆動するダブルピニオンタイプ、ステアリングラック自体を直進方向に駆動するラック直動タイプ等であってもよい。
(3)隣接車両の自車両に対する接近度を算出する手法は、実施例のものに限定されず、適宜変更することができる。例えば、隣接車両の自車両側の端点を検出するものに限らず、隣接車両の重心位置等に基づいて接近度を算出してもよい。また、自車両走行車線側の基準位置も白線に限定されない。また、隣接車両の自車両側の端点を検出する場合、検出する手法も限定されない。
(4)自車両の減速操作を検出する手法は実施例のものに限定されず、例えば、ブレーキフルード液圧に代えてブレーキランプスイッチのオンオフに基づいて検出してもよい。また、車体に作用する加速度、車輪速の変化等に基づいて減速操作を検出してもよい。さらに、ブレーキを用いた減速に限らず、アクセルペダルの全閉操作や変速機のダウンシフト操作に基づいて減速操作を検出するようにしてもよい。
(5)実施例では1次制御及び3次制御を用いて算出した目標操舵トルクを合成して制御出力を得ているが、本発明はこれに限らず、他の制御に基づいたトルク成分を用いてもよい。例えば、車線逸脱判定が成立している場合には、ドライバに警報するため、パルス状の操舵トルクを出力するようにしてもよい。
(6)実施例では、隣接車両の自車両に対する接近度を、隣接車両と車線端(白線)との距離に基づいて検出しているが、これに限らず、例えば自車両の横位置と隣接車両の横位置との偏差に基づいて接近度を検出してもよい。
(7)操舵力を低減する手法は、実施例のように目標操舵トルク算出用のゲインを変更するものに限らず、適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明を適用した操舵支援装置の実施例を含む車両のシステム構成を示す図である。
【図2】自車両、車線、目標走行位置、及び、自車進行路の平面的配置の一例を示す図である。
【図3】自車両、車線、及び、隣接車両の平面的配置の一例を示す図である。
【図4】側面部認識を行う際の自車両と隣接車両との平面的配置の一例を示す図である。
【図5】並走終了時期における自車両と隣接車両との平面的配置の一例を示す図である。
【図6】実施例の操舵支援装置における操舵支援制御時の動作を示すフローチャートである。
【図7】図6におけるゲイン設定時のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図8】実施例の操舵支援装置において接近度に応じて1次制御操舵トルク算出ゲインを変化させた場合における偏差と1次制御目標操舵トルクとの相関を示すグラフである。
【図9】実施例の操舵支援装置において接近度に応じて3次制御操舵トルク算出ゲインを変化させた場合における偏差と3次制御目標操舵トルクとの相関を示すグラフである。
【符号の説明】
【0049】
10 操舵機構 11 ステアリングホイール
12 ステアリングシャフト 13 ステアリングギアボックス
14 タイロッド FW 前輪
H ハウジング
20 電動パワーステアリング(EPS)制御装置
21 電動アクチュエータ 22 舵角センサ
23 トルクセンサ 30 操安制御ユニット
31 ハイドロリックコントロールユニット(HCU)
32 車速センサ 33 ヨーレートセンサ
34 横加速度(横G)センサ 40 エンジン制御ユニット
50 トランスミッション制御ユニット
60 車両統合ユニット
100 操舵支援制御ユニット 110 環境認識手段
111 ステレオカメラ 112 画像処理部
120 自車進行路推定手段 130 目標走行位置設定手段
140 逸脱判定手段 150 操舵制御手段
160 隣接車両検出手段 161 側面部認識手段
170 接近度算出手段 180 車間距離算出手段
190 相対速度算出手段 200 並走終了時期推定手段
210 制動検出手段
OV 自車両 NV 隣接車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車線内の目標走行位置を自車両が走行するよう操舵機構へ操舵力を付与する操舵支援装置において、
自車両前方の環境を認識して走行車線を設定する車線設定手段と、
前記走行車線からの自車両の逸脱傾向を判定する逸脱判定手段と、
前記逸脱傾向が判定されたときに前記操舵機構に逸脱回避方向への操舵力を付与する操舵制御手段と、
前記環境認識手段を用いて自車両の前方で自車両の走行車線と隣接して走行する隣接車両を検出する隣接車両検出手段と、
前記隣接車両の自車両に対する接近度を算出する接近度算出手段と
を備え、
前記操舵制御手段は、前記逸脱判定手段が前記隣接車両の走行車線と反対側への逸脱傾向を判定したときに、前記接近度の増加に応じて前記逸脱回避方向への操舵力を低減する操舵力低減制御を実行すること
を特徴とする操舵支援装置。
【請求項2】
自車両進行方向に沿った自車両と前記隣接車両との距離を検出する隣接車両距離検出手段と、
前記隣接車両の自車両に対する相対速度を検出する隣接車両相対速度検出手段と、
前記距離及び前記相対速度に基づいて自車両と前記隣接車両との並走終了時期を推定する並走終了時期推定手段と
を備え、
前記操舵制御手段は、前記並走終了時期推定手段によって推定された前記並走終了時期に基づいたタイミングで前記操舵力低減制御を終了すること
を特徴とする請求項1に記載の操舵支援装置。
【請求項3】
複数の撮像手段によって前記隣接車両を撮像した画像群から前記隣接車両の側面部前端を認識する側面部認識手段を備え、
前記隣接車両距離検出手段及び前記隣接車両相対速度検出手段は、前記側面部前端を基準として前記距離及び前記相対速度をそれぞれ検出すること
を特徴とする請求項2に記載の操舵支援装置。
【請求項4】
ドライバからの減速操作を検出する減速操作検出手段を備え、
前記操舵制御手段は、前記減速操作の検出時には非検出時よりも前記操舵力を低減すること
を特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の操舵支援装置。
【請求項5】
前記操舵制御手段は、前記逸脱判定手段が前記隣接車両の走行車線側への逸脱傾向を判定したときに、前記接近度の増加に応じて前記逸脱回避方向への操舵力を増大する操舵力増大制御を実行すること
を特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の操舵支援装置。
【請求項6】
前記操舵制御手段は、前記走行車線からの自車両の横変位に所定のゲインを乗じた操舵力を前記操舵機構に付与するとともに、前記隣接車両の前記接近度が所定時間以上所定の閾値以上であるときに前記ゲインを通常のゲインよりも小さい一定値に切り換えること
を特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の操舵支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−102436(P2010−102436A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271989(P2008−271989)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】