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支承用損傷判定装置、支承用損傷判定装置の取付方法、及び支承
説明

支承用損傷判定装置、支承用損傷判定装置の取付方法、及び支承

【課題】簡易な構成で支承の損傷の有無を正確且つ容易に検知可能な支承用損傷判定装置を提供することが目的である。
【解決手段】橋脚106と橋桁108との間に配置され、橋桁108を橋脚106と相対移動可能に支持する支承10のゴム層16と金属板15を交互に積層した積層体14の外周を覆う外皮ゴム18の表面に、少なくとも隣接する2枚の金属板15に跨るように損傷判定装置20を構成するゴム片22を取り付ける。このゴム片22の伸び性能を、橋脚106と橋桁108との間の相対変位量Dが限界変位量DLを超えた場合に破断するように予め設定しておくことで、簡易な構成で支承10の損傷の有無を正確且つ容易に検知することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持部材と被支持部材との間に配置された支承の損傷判定を行うための支承用損傷判定装置、支承用損傷判定装置を支承に取り付けるための支承用損傷判定装置の取付方法、及び支承用損傷判定装置が取り付けられた支承に関する。
【背景技術】
【0002】
支持部材に対し、ビルや橋梁などの構造物(被支持部材)を免震して支持する支承が知られている。このような支承は、支持部材と被支持部材との間に配置され、被支持部材である上部構造物を支持すると共に、支持部材と被支持部材とを水平方向に相対移動可能としている。そして、この支承は、支承自体が弾性変形することにより被支持部材と支持部材との間の相対移動を許容している。
【0003】
ところで、支承は構成部材に応じた所定の限界変位量までの弾性変形であれば損傷を受けずに変形されて復元されるが、限界変位量を超えた場合には、損傷を受ける可能性が高く、交換、補修などの処置が必要となる。
【0004】
そのため、支承の変位量をセンサなどで測定し、その測定値から損傷の有無を判定する技術が考案されている(例えば、特許文献1、2)。しかしながら、測定のために複数のセンサを配置することから、構成が複雑になると共にコストも高くなる。
【0005】
一方、支承の外表面を構成するゴム壁の伸び性能を、橋桁と橋脚との間の相対移動量が支承の限界変位量を超えた場合に破損(破断)するように規定し、目視で支承の損傷の有無を判定する技術が考案されている(例えば、特許文献3)。しかしながら、引用文献3の支承の外表面を構成するゴム壁は、支承の内側を構成するゴム体を紫外線等から保護するためのものであり、ゴム体との加硫接着時に規定どおりの伸び性能を安定して付与することが難しいという難点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−303020号公報
【特許文献2】特開平10−025710号公報
【特許文献3】特開2009−007797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題を解決すべく成されたもので、簡易な構成で支承の損傷の有無を正確且つ容易に検知可能な支承用損傷判定装置、この支承用損傷判定装置を支承に取り付けるための支承用損傷判定装置の取付方法、及びこの支承用損傷判定装置が取り付けられた支承を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の支承用損傷判定装置は、支持部材と被支持部材との間に配置され、内側弾性部材と該内側弾性部材よりも硬質な硬質板とを交互に積層した積層体と該積層体の外周を覆う外側弾性部材とを備え、前記被支持部材を前記支持部材と相対移動可能に支持する支承の損傷判定を行うための支承用損傷判定装置であって、前記支承の前記外側弾性部材の表面に取り付けられ、少なくとも隣接する2枚の前記硬質板に跨り、前記支持部材と前記被支持部材との間の相対変位量が予め設定した設定値を超えた場合に検知可能に破損する損傷判断部材、を有する。
【0009】
請求項1の支承用損傷判定装置では、支持部材と被支持部材との間の相対変位量が予め設定された設定値を超えた場合、損傷判断部材が検知可能に破損する。ここで、検知可能な破損とは、切断、破断、亀裂など、例えば目視により検知することが可能な破損指す。損傷判断部材が支承の外側弾性部材の表面に取り付けられることで目視により支承が設定値を超えた変形を受けたかを容易に検知することができる。
【0010】
また、例えば、相対変位量の設定値を支承の限界変位量に設定した場合には、支承が限界変位量を超えた変形を受けたかを目視により検知することができる。これにより、支承の損傷の有無を容易に判定することができる。
【0011】
さらに、損傷判断部材の状態から支承の損傷の有無を判断することができるので、センサなどを必要とせず、構成を簡易なものとすることができる。
【0012】
そして、支持部材と被支持部材との間の相対変位量が設定値を超えると破損する損傷判断部材を支承の外側弾性部材の表面に、少なくとも隣接する2つの硬質板に跨って取り付けることから、例えば、相対変位量が設定値を超えると破損する外側弾性部材を用いるものと比べて、支承が設定値を超えた変形を受けたかを正確に検知することができる。これにより、支承の損傷の有無についても正確に検知できる。
【0013】
請求項2の支承用損傷判定装置は、請求項1の支承用損傷判定装置において、前記損傷判断部材は、弾性材料で構成され、前記損傷判断部材の破断伸びは、前記外側弾性部材及び内側弾性部材よりも小さく、且つ前記相対変位量が前記設定値を超えた場合に破断するように設定されている。
【0014】
請求項2の支承用損傷判定装置では、支持部材と被支持部材との間の相対変位量が予め設定された設定値を超えた場合、損傷判断部材が破断する。
【0015】
また、損傷判断部材の破断伸びが外側弾性部材及び内側弾性部材の破断伸びよりも小さいことから、支持部材と被支持部材の相対移動で外側弾性部材及び内側弾性部材が破壊される前に、損傷判断部材が破断する。これにより、支承が損傷する前に、どの程度の変形を支承が受けたかを損傷判断部材の状態から検知することができる。
【0016】
請求項3の支承用損傷判定装置は、請求項1又は請求項2の支承用損傷判定装置において、前記損傷判断部材は、前記外側弾性部材の表面に複数取り付けられ、各々の前記損傷判断部材には、前記相対変位量の前記設定値が個別に設定されている。
【0017】
請求項3の支承用損傷判定装置では、相対変位量の設定値が個別に設定された異なる損傷判断部材が破損することにより、支承が受けた変形の大きさを段階的に検知することができる。
【0018】
請求項4の支承用損傷判定装置は、請求項3の支承用損傷判定装置において、複数の前記損傷判断部材のうちの一つは、前記相対変位量の前記設定値が前記支承の限界変位量に設定されている。
【0019】
請求項4の支承用損傷判定装置では、相対変位量の設定値が支承の限界変位量に設定されていることから、損傷判断部材が破損することで、支承の損傷の有無を判定することができる。
【0020】
請求項5の支承用損傷判定装置は、請求項1〜請求項4の何れか1項の支承用損傷判定装置において、前記損傷判断部材は、長尺とされ、長手方向の両端部のみが前記外側弾性部材の表面の前記硬質板に対応する位置にそれぞれ取り付けられている。
【0021】
請求項5の支承用損傷判定装置では、外側弾性部材の表面の内側弾性部材に対応する位置を避けて、硬質板に対応する位置に損傷判断部材の長手方向の両端部のみを取り付けている。この構成により内側弾性部材の弾性変形に左右されずに、支承が受けた変形の大きさを正確に検知することができる。
【0022】
請求項6の支承用損傷判定装置の取付方法は、支持部材と被支持部材との間に配置され、内側弾性部材と該内側弾性部材よりも硬質な硬質板とを交互に積層した積層体と該積層体の外周を覆う外側弾性部材とを備え、前記被支持部材を前記支持部材と相対移動可能に支持する支承に請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の支承用損傷判定装置を取り付けるための支承用損傷判定装置の取付方法であって、前記支承の前記硬質板の位置を検知し、少なくとも隣接する2枚の前記硬質板に跨るように、前記損傷判断部材を前記外側弾性部材の表面に取り付ける。
【0023】
請求項6の支承用損傷判定装置の取付方法では、積層体と外側弾性部材とを備える支承の硬質板の位置を検知し、少なくとも隣接する2枚の硬質板に跨るように、損傷判断部材を外側弾性部材の表面に取り付ける。これにより、簡易な構成で支承の損傷の有無を正確且つ容易に検知することができる。
なお、損傷判断部材を取り付ける支承は、製造途中の支承でも、既設の支承であっても構わない。
【0024】
請求項7の支承は、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の支承用損傷判定装置が取り付けられている。
【0025】
請求項7の支承では、簡易な構成の支承用損傷判定装置により支承の損傷の有無が正確且つ容易に検知される。
【0026】
なお、上記の「被支持部材」としては、支承を介して支持される構造物であればよく、例えば、オフィスビル、病院、集合住宅、美術館、公会堂、学校、庁舎、神社仏閣、橋梁、競技場、照明灯等を挙げることができる。また、「支持部材」としては、支承を介して上記の被支持部材を支持するものであればよく、例えば、これら被支持部材の基礎、土台、地盤等を含む。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明の支承用損傷判定装置、支承用損傷判定装置の取付方法、及び支承は、簡易な構成で支承の損傷の有無を正確且つ容易に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態の支承及び損傷判定装置を示す一部破断図である。
【図2】図1のA部拡大断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態の支承及び損傷判定装置の斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態の支承の水平方向の変形状態を示す一部破断図である。
【図5】図4のB部拡大断面図である。
【図6】(A)支承の変形によりゴム片が破断した状態を示すゴム片の平面図である。 (B)図6(A)の6B−6B線断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態の支承及び損傷判定装置の斜視図である。
【図8】本発明の第2実施形態の損傷判定装置を構成するゴム片の平面図である。
【図9】本発明の第3実施形態の損傷判定装置を構成する塗膜の平面図である。
【図10】図9のC−C線断面図である。
【図11】本発明のその他の実施形態のゴム片の形状を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1実施形態]
以下に本発明の第1実施形態の損傷判定装置20、この損傷判定装置20を支承10に取り付けるための損傷判定装置20の取付方法、及び損傷判定装置20が取り付けられた支承10について説明する。図1には、支承10の一部破断図が示され、図2には、支承10のA部拡大図が示されている。
【0030】
図1に示すように、損傷判定装置20は、支持部材の一例である橋脚106と、被支持部材の一例である橋梁の橋桁108との間に配置された支承10の損傷の有無を判断するものである。
【0031】
支承10は、下板11、上板12、下板11と上板12の間に配置され両者に固定された積層体14、及び外側弾性部材の一例である外皮ゴム18を備えている。
下板11は、橋脚106上面にボルト(図示省略)で固定され、上板12は、橋桁108の下面にボルト(図示省略)で固定されている。なお、上板12及び下板11のそれぞれの固定はボルト以外を用いた固定であっても構わない。
【0032】
積層体14は、四角柱状とされ、内側弾性部材の一例であるゴム層16と、このゴム層16よりも硬質な硬質板の一例である金属板15とを交互に積層して構成されている。なお、硬質板は、ゴム層16よりも硬質であれば樹脂板などであってもよい。
【0033】
また、積層体14の外周面全体は外皮ゴム18によって覆われている。この外皮ゴム18により、ゴム層16は紫外線等から保護され、金属板15は風雨から保護されてその耐久性が向上されている。
なお、ゴム層16及び外皮ゴム18の具体的材料としては、たとえば、EPDMなどの合成ゴムを挙げることができる。
【0034】
図3に示すように、支承10には、損傷判定装置20が取り付けられている。この損傷判定装置20は、長尺な2枚のゴム片22で構成されている。この2枚のゴム片22は、それぞれ外皮ゴム18の表面のうち、X方向の一方の表面18Xとこの表面18Xに隣接するY方向の一方の表面18Yとに接合されている。なお、本実施形態では、水平方向のうち、橋桁108の長手方向に対応する方向をY方向とし、橋桁108の幅方向(長手方向と直交する方向)に対応する方向をX方向としている。
【0035】
図1、図2に示すように、ゴム片22は、少なくとも隣接する2枚(本実施形態では、隣接する2枚)の金属板15に跨って、外皮ゴム18の表面18X、18Yにそれぞれ接合されている。このゴム片22と外皮ゴム18の表面18X、18Yとの接合は、接着剤を用いた接合、加硫接合など、何れの接合でもよい。なお、本実施形態では、2枚のゴム片22はともに、外皮ゴム18の表面18X、18Yの各々の幅方向中央部分に接合されている。
【0036】
また、本実施形態では、図2に示すように、ゴム片22の長手方向の両端部22Aのみが、外皮ゴム18の表面18X、18Yの金属板15に対応した位置にそれぞれ接合されている。
なお、図1では図示省略しているが、積層体14は、常時橋桁108の重みを受けているため、実際には、図2に示すように、金属板15に挟まれたゴム層16が橋桁108の重みで弾性変形して外側に膨らみ、これに押されて外皮ゴム18のゴム層16に対応した部位も外側に膨らんでいる。
【0037】
また、ゴム片22は、破断伸びがゴム層16及び外皮ゴム18よりも小さく設定されている。
そして、ゴム片22は、橋桁108と橋脚106との間の水平方向の相対移動量(以下、相対変位量D)がユーザーにより予め設定された設定値(本実施形態では、支承10の限界変位量DL)を超えた場合、破断や亀裂などが生じる伸び性能とされている。なお、ここで言う、破断伸び(伸び性能)とは、JIS K 6251(2004年)に準拠した試験により求められるものを指す。
また、限界変位量DLとは、積層体14の水平方向の許容変形量をいい、積層体14が変形された後に損傷することなく元の状態に復元する変位量の最大値よりも小さい値とされている。限界変位量DLは、積層体14の特性に応じて、ユーザーにより予め設定されている。
【0038】
次に損傷判定装置20を支承10に取り付けるための取付手順について説明する。
まず、損傷判定装置20を構成する、相対変位量Dが予め設定した設定値を超えると破断する伸び性能を有する2枚のゴム片22を製造する。なお、本実施形態のゴム片22は、所定の伸び性能を発揮できるように予めゴム材料の配合と加硫条件を求めておき、その情報に基づき製造している。
【0039】
次に、金属探知機や目視などで金属板15の位置を検知する。
そして、1枚目のゴム片22の両端部22Aを、隣接する2枚の金属板15に対応した外皮ゴム18の表面18Yの位置にそれぞれ接合し、2枚目のゴム片22の両端部22Aを、外皮ゴム18の表面18Xの隣接する2枚の金属板15に対応した位置にそれぞれ接合する。これにより、ゴム片22は、隣接する2枚の金属板15に跨って取り付けられた状態となる。このようにして、支承10に損傷判定装置20が取り付けられる。
なお、上述したように、ゴム片22と外皮ゴム18との接合は、加硫接合でも、接着剤による接合でも構わない。
【0040】
なお、損傷判定装置20の取付対象となる支承10は、既に橋脚106と橋桁108との間に配置されて橋桁108を橋脚106と相対移動可能に支持している状態、いわゆる既設状態であってもよく、製造途中の状態であってもよい。支承10が既設状態の場合、橋桁108の重みでゴム層16に対応した外皮ゴム18の部位が外側に膨出している(図2参照)。このため、金属板15の位置を目視で検知することができる。また、支承10が製造途中の状態の場合、設計資料に基づいて金属板15の位置を検知することができる。
【0041】
次に、第1実施形態の支承10及び損傷判定装置20の作用について説明する。
例えば、地震等の振動により、橋脚106と橋桁108とが、図1に示す位置から水平方向(図4の矢印Y方向)に相対移動すると、積層体14がせん断変形し、その弾性力が、橋脚106及び橋桁108に対し復元力として作用する。これにより、橋脚106と橋桁108との相対移動が制限されると共に長周期化されるので、これらが相対移動前の位置に戻ろうとすると共に、相対移動のエネルギーが吸収される。
【0042】
このときの相対変位量Dが予め設定した設定値である限界変位量DL以下の場合には、図5に示すように、ゴム片22は、弾性変形し、橋桁108と橋脚106とが図1に示す位置に戻った際には、図2に示されるように復元する。
【0043】
一方、相対変位量Dが限界変位量DLを超えた場合には、図6(A)、図6(B)に示すように、ゴム片22に破損(例えば、破断や亀裂)などの損傷DMが生じる。この損傷DMは、橋脚106と橋桁108とが図1に示す位置に戻っても残る。
【0044】
図6に示すように、ゴム片22は、外皮ゴム18の表面に接合されているため、この損傷DMを外側から目視により確認することができるため、損傷DMの検知が容易なものとなる。破断や亀裂がゴム片22に生じていれば、積層体14及び外皮ゴム18が受けた変形の大きさ、すなわち、限界変位量DLを超えた大きさの変形をしたことが分かり、支承10の内側ゴム部分が損傷している可能性があると判断することができる。つまり、目視により支承10の損傷の有無を容易に判定することができる。
【0045】
またさらに、ゴム片22の状態から支承の損傷の有無を判断することができるので、センサなどの測定機器を必要とせず、構成を簡易なものとすることができる。
【0046】
そして、相対変位量Dが予め設定した設定値を超えると破断するように破断伸び(伸び性能)を設定したゴム片22を支承10の外皮ゴム18の表面に、隣接する2つの金属板15に跨って取り付けることから、例えば、相対変位量Dが設定値を超えると破断するように設定した外皮ゴムを用いるものと比べて、支承10が設定値を超えた変形を受けたかを正確に検知することができる。これにより、支承10の損傷の有無についても正確に検知することができる。
【0047】
具体的には、図1及び図2に示すように、外皮ゴム18の表面18X、18Yのゴム層16に対応する位置を避け、金属板15に対応する位置にゴム片22の両端部22Aのみを取り付けている。図5に示すように、支承10の変形時には、ゴム層16がせん断力を受けて弾性変形するが、支承10の変形量が増すに連れて、橋桁108の重みで外側に膨らんでいたゴム層16が内側にへこみ始める。このため、高い精度で支承10が受けた変形の大きさを検知するためには、ゴム層16と比較して弾性変形をしない金属板15に対応した外皮ゴム18の表面18X、18Yの位置に両端部22Aを接合して、ゴム片22を外皮ゴム18に取り付けることが好ましい。このようにすることで、ゴム層16の弾性変形に左右されずに、支承10が受けた変形の大きさを正確に検知することができる。
【0048】
図1及び図3に示すように、2枚のゴム片22をそれぞれ外皮ゴム18の表面18X、18Yに接合しているため、橋桁108と橋脚106とが水平方向に相対移動した際に支承10が受けた変形の大きさのX方向成分及びY方向成分をそれぞれ検知することができる。これにより、支承10の損傷の有無をより正確に検知することができる。
【0049】
なお、第1実施形態では、ゴム片22の両端部22Aのみを外皮ゴム18の表面18X、18Yに接合する構成としているが、外皮ゴム18の表面18X、18Yにゴム片22の背面をすべて接合する構成としてもよい。
【0050】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付して示し、その部分の詳細な説明は省略する。
【0051】
図7に示すように、本実施形態の損傷判定装置40は、3枚で1組のゴム片21、22、23が2組で構成されている。このゴム片21〜23は、それぞれ外皮ゴム18の表面18X、表面18Yに接合されている。
【0052】
また、本実施形態のゴム片22は、第1実施形態のゴム片22と同じものであり、相対変位量Dも支承10の限界変位量DLに設定されている。
【0053】
図8に示すように、ゴム片21、23は、ゴム片22と同形状とされ、ゴム片22と同様に長手方向の両端部21A、23Aがそれぞれ外皮ゴム18の表面18X、18Yに接合されている。また、ゴム片21、23の伸び性能はゴム片22とそれぞれ異なっており、相対変位量Dがそれぞれに設定された設定値に達すると破損するようになっている。
【0054】
ゴム片21の破断伸びは、ゴム片22よりも小さく設定され、相対変位量Dが限界変位量DLに達する前に、ゴム片21が破断する。
【0055】
ゴム片23の破断伸びは、ゴム片22よりも大きく設定され、相対変位量Dが限界変位量DLに達した後で、ゴム片23が破断する。なお、本実施形態では、ゴム片23の破断伸びを、支承10が元の状態に復元する変位量の最大値に設定している。
【0056】
次に第2実施形態の損傷判定装置40の作用について説明する。
例えば、地震等の振動により、橋脚106と橋桁108とが、図1に示す位置から水平方向(図7では矢印Y方向)に相対移動し、相対変位量Dが限界変位量DLに達すると、
図8に示すように、ゴム片21が破断する。
【0057】
そして、相対変位量Dがゴム片22の限界変位量DLを超えた場合には、ゴム片22が破断し、支承10に損傷有りの可能性が判断される。さらに、相対変位量Dが、支承10が元の状態に復元する変位量の最大値を超えた場合には、ゴム片23が破断し、支承10が復元しなくなり、早期に交換又は補修が必要であると判断される。
【0058】
このように、伸び性能の異なる複数のゴム片21、22、23を用いることで、支承10が受けた変形の大きさを段階的に検知することができる。
【0059】
なお、第2の実施形態では、損傷判定装置を破断伸びが異なる3種のゴム片21、22、23で構成したが、本発明はこの構成に限定されず、破断伸びが異なる複数種のゴム片で構成してもよい。
【0060】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態では、第1及び第2実施形態と同様の部分については同一の符号を付して示し、その部分の詳細な説明は省略する。
【0061】
図9及び図10に示すように、本実施形態の損傷判定装置50は、弾性を有する塗膜51、52、53で構成されている。この塗膜51、52、23は、少なくとも隣接する2枚(本実施形態では、3枚)の金属板15に跨って、外皮ゴム18の表面18X、18Yにそれぞれ形成されている。塗膜51、52、53は、シリコン系のシーリング剤で構成され、ある程度の変形で破損(亀裂、破断など)が生じるようになっている。
【0062】
塗膜52の伸び性能は、塗膜51よりも大きく、塗膜53よりも小さく、相対変位量Dが支承10の限界変位量DLを超えると破損するように設定されている。
塗膜51の伸び性能は、相対変位量Dが限界変位量DLに達する前に、塗膜51が破損するように設定されている。
塗膜53の伸び性能は、相対変位量Dが限界変位量DLに達した後で、塗膜53が破損するように設定されている。なお、本実施形態では、塗膜53の伸び性能を、支承10が元の状態に復元する変位量の最大値に設定している。
【0063】
次に第3実施形態の損傷判定装置50の作用について説明する。
損傷判定装置50は、第2実施形態の損傷判定装置40と同様の作用効果を奏する。
また、塗膜51、52、53は、支承10に対して塗り付けることで形成することができるため、取付作業が簡易なものとなる。
【0064】
なお、塗膜51、52、53は、既知の伸び性能のシリコン系のシーリング剤で形成してもよく、好適な耐候性を有する液剤などに伸び性能を付与してもよい。
【0065】
[その他の実施形態]
第1及び第2実施形態では、損傷判定装置をゴム片とする構成としたが、本発明はこの構成に限定されず、損傷判定装置として、線部材(例えば、繊維(天然繊維、有機繊維、金属繊維)など)を用いる構成としてもよい。線部材を用いた場合の構成の一例について説明すると、外皮ゴム18の表面の、隣接する2枚の金属板15に対応する位置に1対のゴムブロックなどを接合(加硫接合、接着剤による接合など)し、ゴムブロックに形成しておいた係止部(例えば、フック、ピンなど)に糸などの線部材を係止させる。このとき、相対変位量Dが予め設定した設定値(例えば、限界変位量DL)以下の場合には、糸は弛んだ状態となり、相対変位量Dが設定値を超えると糸が切れるように糸の長さを設定する。このようにすることで、支承が受けた変形の大きさを糸の状態で検知することができる。
【0066】
第1〜第3実施形態では、積層体14の形状を四角柱状としたが、本発明はこの構成に限定されず、積層体14の形状を多角形状や円柱状としてもよい。
【0067】
第1及び第2実施形態では、ゴム片22の形状を長方形としたが、本発明はこの構成に限定されず、その他の形状としてもよく、例えば、ゴム片22の形状を図11に示すような、長手方向の両端部22Aが中央部22Bよりも幅広となる形状としてもよい。このように両端部22Aを中央部22Bよりも幅広とすることで、両端部22Aと外皮ゴム18との接合面積が増え、両者間の接合強度が向上する。これにより、支承10の変形時にゴム片22の端部22Aと外皮ゴム18との接合が外れることが抑制される。なお、第2実施形態においては、ゴム片21、23もゴム片22と同様に、長手方向の両端部21A、23Aが中央部21B、23Bよりも幅広となる形状としてもよい。
【0068】
第1及び第2実施形態のゴム片は、隣接する2枚の金属板15を跨って取り付けられる構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、ゴム片は複数枚の金属板15を跨って取り付けられる構成としてもよい。
【0069】
また、第1及び第2実施形態のゴム片は、所定の伸び性能を発揮できるように予めゴム材料の配合と加硫条件を求めておき、その情報に基づき製造する構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、所定の伸び性能を設定せずにゴム片を製造してもよい。このように製造したゴム片を外皮ゴム18の表面に接合した場合、接合したゴム片とゴム材料の配合が同じで且つ加硫条件も同じ条件のゴム片の伸び性能を測定しておく。このようにしておくことで、接合したゴム片が破断した場合には、接合したゴム片が破断するだけの変形を支承10が受けたことを容易に判定することができる。
【0070】
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0071】
10 支承
14 積層体
15 金属板(硬質板)
16 ゴム層(内側弾性部材)
18 外皮ゴム(外側弾性部材)
20 損傷判定装置
22 ゴム片(損傷判断部材)
22A 端部
40 損傷判定装置
21 ゴム片(損傷判断部材)
21A 端部
22 ゴム片(損傷判断部材)
22A 端部
23 ゴム片(損傷判断部材)
23A 端部
50 損傷判定装置
52 塗膜(損傷判断部材)
106 橋脚(支持部材)
108 橋桁(被支持部材)
D 相対変位量
DL 限界変位量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材と被支持部材との間に配置され、内側弾性部材と該内側弾性部材よりも硬質な硬質板とを交互に積層した積層体と該積層体の外周を覆う外側弾性部材とを備え、前記被支持部材を前記支持部材と相対移動可能に支持する支承の損傷判定を行うための支承用損傷判定装置であって、
前記支承の前記外側弾性部材の表面に取り付けられ、少なくとも隣接する2枚の前記硬質板に跨り、前記支持部材と前記被支持部材との間の相対変位量が予め設定した設定値を超えた場合に検知可能に破損する損傷判断部材、を有する支承用損傷判定装置。
【請求項2】
前記損傷判断部材は、弾性材料で構成され、
前記損傷判断部材の破断伸びは、前記外側弾性部材及び内側弾性部材よりも小さく、且つ前記相対変位量が前記設定値を超えた場合に破断するように設定されている請求項1に記載の支承用損傷判定装置。
【請求項3】
前記損傷判断部材は、前記外側弾性部材の表面に複数取り付けられ、
各々の前記損傷判断部材には、前記相対変位量の前記設定値が個別に設定されている請求項1又は請求項2に記載の支承用損傷判定装置。
【請求項4】
複数の前記損傷判断部材のうちの一つは、前記相対変位量の前記設定値が前記支承の限界変位量に設定されている請求項3に記載の支承用損傷判定装置。
【請求項5】
前記損傷判断部材は、長尺とされ、長手方向の両端部のみが前記外側弾性部材の表面の前記硬質板に対応する位置にそれぞれ取り付けられている請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の支承用損傷判定装置。
【請求項6】
支持部材と被支持部材との間に配置され、内側弾性部材と該内側弾性部材よりも硬質な硬質板とを交互に積層した積層体と該積層体の外周を覆う外側弾性部材とを備え、前記被支持部材を前記支持部材と相対移動可能に支持する支承に請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の支承用損傷判定装置を取り付けるための支承用損傷判定装置の取付方法であって、
前記支承の前記硬質板の位置を検知し、
少なくとも隣接する2枚の前記硬質板に跨るように、前記損傷判断部材を前記外側弾性部材の表面に取り付ける支承用損傷判定装置の取付方法。
【請求項7】
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の支承用損傷判定装置が取り付けられた支承。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−106624(P2011−106624A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264283(P2009−264283)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】