支持方法、これを用いた高温処理方法、及び支持治具
【課題】ウエハの反りの発生を防止する。
【解決手段】ウエハ11が貼り付けられている支持体13を支持する支持方法であって、支持体13におけるウエハ11が貼り付けられている面とは反対側の被支持面13aの内周部における少なくとも三点を支持点14として、重力に抗して支持する。
【解決手段】ウエハ11が貼り付けられている支持体13を支持する支持方法であって、支持体13におけるウエハ11が貼り付けられている面とは反対側の被支持面13aの内周部における少なくとも三点を支持点14として、重力に抗して支持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハが貼り付けられている被支持基板の支持方法、これを用いた高温処理方法、及び支持治具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、デジタルAV機器及びICカード等の高機能化に伴い、搭載される半導体シリコンチップの小型化、薄型化及び高集積化への要求が高まっている。
【0003】
薄型のチップは、例えば、高純度シリコン単結晶等をスライスしてウエハとした後、このウエハの裏面に半導体を形成させることにより製造される。半導体を形成させる工程では、絶縁膜のキュアリング工程などにおいて熱処理することにより、200℃を超える高温にウエハをさらす場合がある。
【0004】
また、特許文献1には、熱処理する際にウエハを支持する方法及びウエハを支持する治具について記載されている。特許文献1に記載された支持方法は、結晶方位が<110>ウエハの場合には、ウエハの裏面を、ウエハの中心点とその点からウエハの表面に平行な<100>に向かう方向を基準として40°〜60°の範囲にある扇形のウエハ面、および前記扇形のウエハ面を90°周期で回した当該ウエハ面で支持する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−98589号公報(2008年4月24日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ウエハは、上述したチップの小型化及び薄型化への要求により、研削して薄板化する必要がある。そこで、ウエハの破損を防止するため、ウエハを接着剤等により支持体(以下、「被支持基板」ともいう。)に貼り付けて薄板化することがある。この薄化されたウエハは、支持体に貼り付けられた状態で、上述した熱処理を行なう場合がある。
【0007】
しかしながら、特許文献1には、ウエハが貼り付けられた支持体を支持する方法については記載されていない。
【0008】
ところで、ウエハが貼り付けられた支持体を支持する方法として、支持体の外周の三点又は四点を支持する方法が考えられる。この方法で支持体を支持した場合の例を図15及び図16に示す。図15及び図16は、従来の方法により支持体を支持する方法を説明するための図である。
【0009】
図15及び図16に示す例では、ウエハ111が支持体113に接着層112を介して貼り付けられた積層体110を、支持体113の外周に位置する四点の支持点115で支持する。例えば外周支持部123を備えた支持治具120によって支持する方法である。なお、図15は積層体110を横から見た断面図であり、図16は、積層体110を上から見た平面図である。
【0010】
しかし、この方法により積層体110を支持した場合には、支持体113及び接着層112の重みによる自重応力によって、積層体110の中央部分が撓んでしまう。
【0011】
特に、300mmを超えるような大口径ウエハを用いる場合には、大きく撓んでしまう可能性が高い。このように撓んだ状態で、ウエハに対し熱処理を行なった後に冷却すると、ウエハには大きな反りが生じてしまう。そのため、その後のプロセスにおいて、ロボットアームによる搬送の不良、真空チャックエラー、露光時のデフォーカスなどを発生させてしまい、プロセスの進行に大きな支障をきたしてしまうという問題がある。
【0012】
本発明は、上記の従来技術が有する問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ウエハの反りの発生を防止することができる支持方法、高温処理方法、及び支持治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明に係る支持方法は、ウエハが貼り付けられている被支持基板を支持する支持方法であって、上記被支持基板における上記ウエハが貼り付けられている面とは反対側の被支持面の内周部における少なくとも三点を支持点として、重力に抗して支持することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る支持方法では、上記支持点のうちの少なくとも三点が、円形である上記被支持面の中心点を共有する一つの同心円の円周上に、互いに等間隔で位置することが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る支持方法では、ウエハが貼り付けられている被支持基板を支持する支持方法であって、上記被支持基板における上記ウエハが貼り付けられている面とは反対側の被支持面の内周部における少なくとも一点と、被支持面の外周部における少なくとも二点とを支持点として、重力に抗して支持することが好ましい。
【0016】
また、本発明に係る支持方法では、上記支持点のうちの一点が、円形である上記被支持面の中心点に位置することが好ましい。
【0017】
上記の課題を解決するために、本発明に係る高温処理方法は、上述したいずれかの支持方法を用いて上記被支持基板を支持した状態で、上記ウエハを高温処理することを特徴とする。
【0018】
上記の課題を解決するために、本発明に係る支持治具は、被支持基板における被支持面に対向して配置されることにより、当該被支持基板を支持する支持治具であって、支持プレートと、上記支持プレート上に形成され、上記被支持面の内周部を重力に抗して支持する少なくとも三つの支持部とを備えていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る支持治具では、上記支持部のうちの少なくとも三つは、円形である上記被支持面の中心点を共有する一つの同心円の円周上に、互いに等間隔で位置する点を支持するようになっていることが好ましい。
【0020】
また、本発明に係る支持治具では、被支持基板における被支持面に対向して配置されることにより、当該被支持基板を支持する支持治具であって、支持プレートと、上記支持プレート上に形成され、上記被支持面の内周部を重力に抗して支持する少なくとも一つの支持部と、上記被支持面の外周部を重力に抗して支持する少なくとも二つの外周支持部とを備えていることが好ましい。
【0021】
また、本発明に係る支持治具では、上記支持部のうちの一つは、円形である上記被支持面の中心点を支持するようになっていることが好ましい。
【0022】
また、本発明に係る支持治具では、上記支持部の先端は、上記被支持面と点接触する形状であることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ウエハの反りの発生を防止することができる支持方法、高温処理方法、及び支持治具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る支持方法の一実施形態を説明するための図である。
【図2】(a)〜(e)は、本発明に係る支持方法の一実施形態における支持点の配置の例を示す図である。
【図3】本発明に係る支持治具の一実施形態を示す図である。
【図4】本発明に係る支持治具を用いて支持体を支持する方法を説明するための図である。
【図5】(a)〜(e)は、本発明に係る支持治具の一実施形態における支持部の配置の変形例を示す図である。
【図6】本発明の他の実施形態を説明するための図である。
【図7】(a)〜(b)は、本発明の他の実施形態における支持点の配置の例を示す図である。
【図8】本発明に係る支持治具の他の実施形態を示す図である。
【図9】図8に示す支持治具の一部を示す図である。
【図10】本発明に係る支持治具の一実施例の構成を示す平面図である。
【図11】本発明に係る支持治具の他の実施例の構成を示す平面図である。
【図12】本発明に係る支持治具の一例を示す断面図である。
【図13】図13(a)は、従来の支持治具の一例を示す正面図であり、図13(b)は、図13(a)に示す支持治具の要部を示す図である。
【図14】図13(a)に示す支持治具の断面を模式的に示す図である。
【図15】従来の方法により支持体を支持する方法を説明するための図である。
【図16】従来の方法により支持体を支持する方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔第1実施形態〕
本発明に係る支持方法及び支持治具の一実施形態について、以下に説明する。
【0026】
(支持方法の概要)
まず、本発明に係る支持方法の一実施形態の概要について、図1を参照して説明する。図1は、本発明に係る支持方法の一実施形態を説明するための図である。
【0027】
本実施形態に係る支持方法は、ウエハ11が貼り付けられている支持体(被支持基板)13を支持する方法である。なお、図1は、支持体13を横から見た断面図を示す。
【0028】
支持体13は、例えばウエハ11に研磨等の加工を施すときに、ウエハ11を保護するために支持可能な基板である。支持体13としては、可撓性を有するものであれば特に限定されず、当業者に公知の基板を用いればよい。可撓性を有する基板の材料としては、例えば、ガラス、シリコン、アルミナ、炭化珪素、アルミニウム、樹脂、ステンレス、又は鉄−ニッケル合金等の金属類等が挙げられる。
【0029】
支持体13の形状は、ウエハ11の形状に応じて適宜設計すればよい。また、支持体13には、貫通孔が形成されていてもよいし、されていなくてもよい。なお、本実施形態においては、支持体13の両面にそれぞれ開口面を有している複数の貫通孔が形成されている場合を例に説明する。本実施形態のように、支持体13として貫通孔が形成されている支持体を用いた場合には、溶解工程において当該貫通孔から溶解液を注入し、接着剤を容易に溶解することができる。なお、支持体13における貫通孔の形成方法は、当業者に公知の方法を用いればよい。
【0030】
また、支持体13として、貫通孔が形成されていない支持体を用いた場合には、接着剤の沈み込みを抑制することができる。また、ウエハを支持体からレーザー等により剥離するため、接着剤の溶解時間を短縮することができる。
【0031】
ウエハ11は、例えばその表面に回路パターンが形成されており、当該回路パターンの形成面が支持体13と接着され得る。ウエハ11としては、当業者が利用可能な公知のウエハ11を用いればよく、その材料には、例えば、石英、シリコン、サファイヤ、GaAs(ガリウムヒ素)等の化合物半導体が挙げられる。
【0032】
支持体13とウエハ11とは、接着剤により互いに接着され、積層体10を構成している。すなわち、支持体13とウエハ11との界面には接着剤が塗布され、接着層12が形成されている。
【0033】
接着剤としては、例えばアクリル系樹脂、マレイミド系樹脂、炭化水素系樹脂(シクロオレフィン系樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂等)、又はノボラックタイプのフェノール樹脂系材料を含有してなる接着剤組成物等、有機溶剤に対して可溶性を示す接着剤を用いることが好ましい。なお、これらを単独で用いても組み合わせて用いてもよい。
【0034】
支持体13は、ウエハ11が貼り付けられている面とは反対側の面が被支持面13aとなっている。
【0035】
本実施形態に係る支持方法では、被支持面13aの内周部13aaを重力に抗して支持する。内周部13aaとは、被支持面13aの外周近傍の領域を除いた内側の領域を指す。なお、内周部13aaは、支持体13の被支持面13aが円形の場合には、被支持面13aの半径に対して95%の半径を有する同心円を想定した場合における当該同心円の円周上及び内側部分であってもよい。
【0036】
本実施形態に係る支持方法は、被支持面13aの内周部13aaを支持する方法である。したがって、300mmを超える大きなサイズ(例えば450mmなど)のウエハ11を用いた場合であっても、支持体13の重みによる自重応力によって中央部分が撓んでしまうことを防止することができる。そのため、ウエハ11の反りの発生を防止することができる。
【0037】
なお、本実施形態では、被支持面13aの内周部13aaを点において支持することが好ましい。これにより、支持体13を支持する部材と支持体13とが接触する面積を小さくすることができるため、ウエハ11を熱処理した後に冷却する際に、効率よく熱を逃がすことができる。
【0038】
以下に、本実施形態に係る支持方法について、より詳細に説明する。
【0039】
(支持方法の詳細)
本実施形態では、被支持面13aの内周部13aaにおける少なくとも三点を支持点14として、重力に抗して支持体13を支持する。支持体13を安定に支持するという観点からは、支持点14とする点の全てが一直線上に存在していないことが好ましい。例えば、内周部13aa内における任意の多角形の各頂点を支持点14として支持してもよい。このように、少なくとも三点を支持点14として支持することにより、支持体13を安定に支持することができる。
【0040】
支持点14の数は、三点以上であれば特に限定されない。なお、支持点14の数は、ウエハ11を熱処理した後に冷却する際に、効率よく熱を逃がすという観点から、十点以下であることが好ましい。
【0041】
ここで、被支持面13aが円形である場合の支持点14とする点の数及び配置の例を図2(a)〜(e)にいくつか示すが、本発明は特にこれらに限られるものではない。図2(a)〜(e)は、本発明に係る支持方法の一実施形態における支持点の配置の例を示す図である。なお、図2(a)〜(e)は、支持体13を被支持面13a側から見た平面図であり、一点鎖線は内周部13aaと外周部13abとの境界を示す。
【0042】
支持点14の配置の一例としては、支持点14のうちの少なくとも三点が、被支持面13aの中心点を共有する一つの同心円の円周上に、互いに等間隔で位置する構成が挙げられる。なお、中心点としては、例えば被支持面13aが円形であればその中心であってもよく、被支持面13aが多角形であればその対角線の交点であってもよい。この構成により、支持体13を安定に支持することが可能である。
【0043】
例えば、図2(a)、図2(b)及び図2(c)に示すように、被支持面13aの内周部13aaにある、被支持面13aの中心点を共有する一つの同心円(図中、点線で示す)の円周上に互いに等間隔で位置する三点又は四点を支持点14としてもよい。なお、この同心円は、図2(a)及び図2(c)に示すように内周部13aaと外周部13abとの境界の少し内側にある円であってもよいし、図2(b)に示すように被支持面13aの中心点に近い位置にある円であってもよい。
【0044】
また、支持点の配置の他の例としては、支持点14のうちの一点が、被支持面13aの中心点に位置する構成が挙げられる。この構成により、支持体13が中央部分において撓むことを効果的に防止することができる。
【0045】
例えば、図2(d)に示すように、被支持面13aの中心点と、被支持面13aの内周部13aaにある、被支持面13aの中心点を共有する一つの同心円(図中、点線で示す)の円周上に互いに等間隔で位置する三点又は四点と、を支持点14としてもよい。
【0046】
また、例えば、被支持面13aの中心点を共有する、半径の異なる少なくとも2つの同心円のそれぞれの円周上に位置する点を、支持点14としてもよい。支持点14とする点は、それぞれの同心円の円周上に少なくとも二点以上配置されていることが好ましく、それらは互いに等間隔で位置していることがより好ましい。
【0047】
例えば、図2(e)に示すように、被支持面13aの中心点を共有する、半径の異なる2つの同心円(図中、点線で示す)のそれぞれの円周上に互いに等間隔で位置する二点ずつを、支持点14としてもよい。図2(e)に示す例では、同じ同心円の円周上に位置する2つの支持点14は、被支持面13aにおける同一の直径上にある。そして、一方の同心円の円周上に位置する2つの支持点14を通る直径と、他方の同心円の円周上に位置する2つの支持点14を通る直径とは、直交している。この構成により、支持体13を安定に支持することができる。
【0048】
なお、本発明に係る支持方法は、本発明に係る支持治具によって実施され得る。
【0049】
(支持治具)
次に、本発明に係る支持治具の一実施形態について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、本発明に係る支持治具の一実施形態を示す図である。図4は、本発明に係る支持治具を用いて支持体を支持する方法を説明するための図である。なお、図4には、ウエハ11と支持体13との積層体10を支持している支持治具20を横から見た断面図を示す。図4の右側の図は、図4の左側の図における要部を拡大して示す図である。
【0050】
本実施形態に係る支持治具20は、支持体13における被支持面13aに対向して配置されることにより、支持体13を支持する支持治具20である。
【0051】
支持治具20は、支持プレート21と、支持部22とを備えている。支持プレート21は、円形の板状部材である。なお、本発明における支持プレートは、円形に限らず、例えば多角形であってもよい。また、支持プレートは、被支持基板と同一の形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。また、支持プレートの直径は、被支持基板の直径と略同じ大きさであってもよいし、被支持基板の直径より大きくても小さくてもよい。
【0052】
支持部22は、支持体13を重力に抗して支持するための部材である。支持部22は、支持プレート21上に形成されている。
【0053】
支持プレート21及び支持部22としては、耐熱性の材料を用いることが好ましく、例えば石英等を用いることができる。なお、支持部22は、支持プレート21と同じ材料により構成されていてもよいし、異なる材料により構成されていてもよい。また、支持部22は、支持プレート21と一体に構成されていてもよい。支持部22は、支持プレート21上に、例えば溶接することによって形成されることができる。
【0054】
支持部22は、その先端で被支持面13aに接触する。支持部22の先端は、被支持面13aと点接触する形状であることが好ましい。支持部22の先端における被支持面13aと接触する面は、被支持面13aと点接触しうる構成であれば、曲面であっても平坦な面であってもよい。例えば、支持部22の先端は、図12に示すような丸頭形状であってもよい。図12は、本発明に係る支持治具の一例を示す断面図である。
【0055】
支持部22の先端が被支持面13aと点接触する形状であれば、支持体13を点で支持することができ、支持体13を高温処理に供した後に冷却する際に、効率よく熱を逃がすことができる。
【0056】
また、支持部22は、柱形状の胴体部分と、この胴体部分につながる先端部分とからなっていてもよい。胴体部分は、例えば柱形状、錐形状等であってもよく、例えば円柱形状、角柱形状、円錐形状、角錐形状などが挙げられる。先端部分は、上述したような先端を有していればよく、丸頭形状であってもよいし、先端に向かって先細りするテーパー形状であってもよい。
【0057】
支持部22は、被支持面13aの内周部13aaを支持する構成となっている。すなわち、支持部22は、支持治具20が被支持面13aに対向して配置されたときに、例えばその先端が被支持面13aの内周部13aaに接触することによって支持体13を支持できるように構成されている。
【0058】
本実施形態の支持治具20は、上述した構成により、被支持面13aの内周部13aaを支持することができる。したがって、大きなサイズのウエハ11を用いた場合であっても、支持体13の重みによる自重応力によって中央部分が撓んでしまうことを防止することができる。そのため、ウエハ11の反りの発生を防止することができる。
【0059】
本実施形態では、支持部22は、支持プレート21上に少なくとも三つ形成されている。これらの支持部22は、支持体13の被支持面13aの内周部13aaにおける少なくとも三点を重力に抗して支持するようになっている。支持体13を安定に支持するという観点からは、各支持部22が支持する点の全てが一直線上に存在していないことが好ましい。
【0060】
例えば、支持部22は、内周部13aa内における任意の多角形の各頂点をそれぞれ支持するようになっていてもよい。また、支持部22は、上述したような配置の支持点14を支持するようになっていることが好ましい。このように、支持治具20は、内周部13aaの少なくとも三点を支持することにより、支持体13を安定に支持することができる。
【0061】
1つの支持体13を支持する支持部22の数は、三つ以上であれば特に限定されない。なお、支持部22の数は、ウエハ11を熱処理した後に冷却する際に、効率よく熱を逃がすという観点から、十個以下であることが好ましい。なお、図3及び図4には、支持部22が三つである構成を示す。
【0062】
支持治具20は、図4に示すように、支持プレート21を水平に支持する縦型ボート40をさらに備えていてもよい。
【0063】
縦型ボート40は、支柱41と、支持プレート支持部42とを備えている。縦型ボート40としては、耐熱性の材料を用いることが好ましく、例えば石英等を用いることができる。支柱41は、支持プレート21の周囲に垂直に設けられている。縦型ボート40は、例えば3本又は4本の支柱41を備えていてもよい。支持プレート支持部42は、各支柱41に形成されており、支持プレート21の外周部を重力に抗して支持する。支持プレート支持部42は、支柱41の各々に垂直方向に複数形成されていてもよい。
【0064】
縦型ボート40を用いることによって、図4に示すように、積層体10を垂直方向に複数並べて支持することができる。
【0065】
(支持部の配置の変形例)
ここで、支持部22の数及び配置の変形例を図5(a)〜(e)にいくつか示すが、本発明は特にこれらに限られるものではない。図5(a)〜(e)は、本発明に係る支持治具の一実施形態における支持部の配置の変形例を示す図である。なお、図5(a)〜(e)は、支持治具20A〜20Eを上から見た平面図である。
【0066】
支持部22の配置の一例としては、支持部22のうちの少なくとも三つが、円形である支持プレート21の中心点を共有する一つの同心円の円周上に、互いに等間隔で配置されている構成が挙げられる。これらの支持部22は、円形である被支持面13aの中心点を共有する一つの同心円の円周上に、互いに等間隔で位置する点を支持するようになっている。この構成により、支持治具20は、支持体13を安定に支持することが可能である。
【0067】
例えば、図5(a)、図5(b)及び図5(c)に示す支持治具20A、20B、20Cのように、三つまたは四つの支持部22が、支持プレート21の中心点を共有する一つの同心円(図中、点線で示す)の円周上に、互いに等間隔で配置されていてもよい。なお、この同心円は、例えば図5(a)及び図5(c)に示すように支持プレート21の半径に対して50%の半径を有していてもよく、図5(b)に示すように支持プレート21の半径に対して約33%(1/3)の半径を有していてもよい。
【0068】
また、支持部22の配置の他の例としては、支持部22のうちの一つが、支持プレート21の中心点に配置されている構成が挙げられる。この支持部22は、円形である被支持面13aの中心点を支持するようになっている。この構成により、支持治具20は、支持されている支持体13が中央部分において撓むことを効果的に防止することができる。
【0069】
例えば、図5(d)に示す支持治具20Dのように、支持部22が、支持プレート21の中心点と、支持プレート21の中心点を共有する一つの同心円(図中、点線で示す)の円周上に互いに等間隔で位置する三点又は四点と、に配置されていてもよい。なお、これらの支持部22は、被支持面13aの中心点と、被支持面13aの内周部13aaにある、被支持面13aの中心点を共有する一つの同心円の円周上に互いに等間隔で位置する三点又は四点と、を支持するようになっている。
【0070】
また、例えば支持部22は、支持プレート21の中心点を共有する、半径の異なる少なくとも2つの同心円のそれぞれの円周上に配置されてもよい。これらの支持部22は、内周部13aa内であって、被支持面13aの中心点を共有する、半径の異なる少なくとも2つの同心円のそれぞれの円周上に位置する点を支持するようになっている。支持部22は、それぞれの同心円の円周上に少なくとも二つ以上配置されていることが好ましく、それらは互いに等間隔で配置されていることがより好ましい。
【0071】
例えば、図5(e)に示す支持治具20Eのように、支持プレート21の中心点を共有する、半径の異なる2つの同心円(図中、点線で示す)のそれぞれの円周上に、それぞれ二つの支持部22が互いに等間隔で配置されてもよい。これらの支持部22は、内周部13aa内であって、被支持面13aの中心点を共有する、半径の異なる2つの同心円のそれぞれの円周上に互いに等間隔で位置する二点ずつを、支持するようになっている。
【0072】
図5(e)に示す例では、同じ同心円の円周上に配置されている2つの支持部22は、支持プレート21における同一の直径上にある。そして、一方の同心円の円周上に配置されている2つの支持部22を通る直径と、他方の同心円の円周上に配置されている2つの支持部22を通る直径とは、直交している。この構成により、支持治具20Eは、支持体13を安定に支持することができる。
【0073】
〔第2実施形態〕
次に、本発明に係る支持方法及び支持治具の他の実施形態について、以下に説明する。なお、本実施形態においては、上述した第1実施形態における構成要素と同様の機能を有する構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。ここでは、主に第1実施形態と異なる点について説明する。
【0074】
(支持方法)
本発明に係る支持方法の他の実施形態について、図6及び図7(a)〜(b)を参照して以下に説明する。図6は、本発明の他の実施形態を説明するための図であり、支持体13を横から見た断面図を示す。また、図7(a)〜(b)は、本発明の他の実施形態における支持点の配置の例を示す図である。なお、図7(a)〜(b)は、支持体13を被支持面13a側から見た平面図であり、一点鎖線は内周部13aaと外周部13abとの境界を示す。
【0075】
本実施形態における支持方法は、被支持面13aの内周部13aaにおける少なくとも一点を支持点14として支持する点、及び被支持面13aの外周部13abにおける少なくとも二点を支持点15として支持する点のみが、第1実施形態における支持方法とは異なっている。
【0076】
本実施形態であれば、被支持面13aの内周部13aaを支持するため、大きなサイズのウエハ11を用いた場合であっても、支持体13の重みによる自重応力によって中央部分が撓んでしまうことを防止することができる。そのため、ウエハ11の反りの発生を防止することができる。
【0077】
内周部13aaにおいて支持点14とする点は、内周部13aaのどこにあってもよい。なお、支持点14とする点のうちの一点は、支持体13の撓みを効果的に防止するという観点からは、被支持面13aの中央に近い位置であることが好ましい。例えば被支持面13aが円形である場合には、支持点14とする点のうちの一点は、被支持面13aの中心点に位置することが好ましい。
【0078】
内周部13aaにおいて支持点14とする点の数は、一点以上であればよい。なお、ウエハ11を熱処理した後に冷却する際に、効率よく熱を逃がすという観点からは、十点以下であることが好ましい。支持点14の配置は、例えば上述した第1実施形態において例示した配置であってもよい。
【0079】
外周部13abとは、内周部13aaより外側の部分、すなわち被支持面13aの外周近傍の領域を指す。なお、外周部13abは、支持体13の被支持面13aの半径に対して95%の半径を有する同心円を想定した場合における当該同心円の外側部分であってもよい。
【0080】
外周部13abにおいて支持点15とする点の数は、二点以上であれば特に限定されない。支持点15とする点が二点以上であることにより、撓みを防止しつつ、支持体13を安定に支持することができる。なお、支持点15とする点の数は、ウエハ11を熱処理した後に冷却する際に、効率よく熱を逃がすという観点から、五点以下であることが好ましい。
【0081】
外周部13abにおける支持点15は、内周部13aaにおける支持点14とともに支持されることによって、支持体13を安定に支持することができるように配置されることが好ましい。支持体13を安定に支持するという観点からは、外周部13abにおける支持点15と、内周部13aaにおける支持点14との全てが、一直線上に存在していないことが好ましい。例えば、外周部13abにおける支持点15と、内周部13aaにおける支持点14とは、被支持面13a内における任意の多角形の各頂点であってもよい。
【0082】
ここで、被支持面13aが円形である場合の支持点14、15とする点の数及び配置の例を図7(a)〜(b)にいくつか示すが、本発明は特にこれらに限られるものではない。
【0083】
例えば図7(a)に示すように、支持点14とする点が一点であって、円形である被支持面13aの中心点に位置し、かつ支持点15とする点が四点である構成が挙げられる。また、例えば図7(b)に示すように、支持点14とする点が一点であって、円形である被支持面13aの中心点に位置し、かつ支持点15とする点が三点である構成が挙げられる。
【0084】
支持点15とする点は、図7(a)〜(b)に示すように、外周部13abに非均等に位置してもよい。すなわち、被支持面13aの外周に沿って隣り合う支持点15の間隔のうちのいずれか一つが、他の間隔よりも大きくてもよい。これにより、支持治具の形状によっては、支持体13を支持治具に取り付けたり支持治具から取り外したりすることが容易となる場合がある。なお、これに限らず、支持点15とする点は、外周部13abにおいて互いに均等に位置していてもよい。
【0085】
(支持治具)
次に、本発明に係る支持治具の他の実施形態について、図8及び図9を参照して以下に説明する。図8は、本発明に係る支持治具の他の実施形態を示す図である。また、図9は、図8に示す支持治具の一部を示す図である。なお、図8は、ウエハ11と支持体13との積層体10を支持している支持治具30を横から見た断面図である。また、図9は、支持治具30のうち、支持プレート21と支持部22とのみを示す平面図である。
【0086】
本実施形態の支持治具30は、特に、支持部22を少なくとも一つ備えている点、及び少なくとも二つの外周支持部23を備えている点が、第1実施形態の支持治具20と異なっている。すなわち、本実施形態における支持治具30は、支持プレート21と、少なくとも一つの支持部22と、少なくとも二つの外周支持部23とを備えている。
【0087】
また、本実施形態では、支持治具30が、支持プレート21を水平に支持する縦型ボート50を備えている点でも、第1実施形態と異なっている。縦型ボート50は、複数の支柱41と、支持プレート支持部42と、外周支持部23とを備えている。支柱41及び支持プレート支持部42の構成は、第1実施形態において説明した構成と同じである。また、各支柱41には、支持プレート支持部42と外周支持部23とが交互に形成されている。
【0088】
本実施形態では、支持部22は、支持プレート21上に少なくとも一つ形成されている。支持部22は、被支持面13aの内周部13aaを支持するようになっていれば、支持プレート21上のどこに形成されていてもよい。
【0089】
本実施形態の支持治具30は、支持部22によって被支持面13aの内周部13aaを支持することができる。したがって、大きなサイズのウエハ11を用いた場合であっても、支持体13の重みによる自重応力によって中央部分が撓んでしまうことを防止することができる。そのため、ウエハ11の反りの発生を防止することができる。
【0090】
なお、支持部22のうちの一つは、支持体13の撓みを効果的に防止するという観点からは、被支持面13aの中央に近い位置を支持するようになっていることが好ましい。例えば被支持面13aが円形である場合には、支持部22のうちの一つは、被支持面13aの中心点を支持するようになっていることが好ましい。
【0091】
支持部22の数は、一つ以上であれば特に限定されない。なお、支持部22の数は、ウエハ11を熱処理した後に冷却する際に、効率よく熱を逃がすという観点から、十個以下であることが好ましい。支持部22の配置は、上述した第1実施形態において例示した配置を好適に用いることができる。
【0092】
外周支持部23は、支持体13を重力に抗して支持するための部材である。外周支持部23は、被支持面13aの外周部13abを支持する構成となっている。すなわち、外周支持部23は、支持治具30の支持プレート21が被支持面13aに対向して配置されたときに、被支持面13aの外周部13abに接触することによって支持体13を支持できるように構成されている。
【0093】
本実施形態では、外周支持部23は、支柱41に形成されている。なお、本発明における外周支持部は、本実施形態の構成に限らず、被支持面の外周部を支持するように構成されていればよく、例えば支持プレート上に直接形成されていてもよい。
【0094】
1つの支持体13を支持する外周支持部23の数は、二つ以上であれば特に限定されない。外周支持部23が二つ以上であることにより、撓みを防止しつつ、支持体13を安定に支持することができる。なお、外周支持部23の数は、ウエハ11を熱処理した後に冷却する際に、効率よく熱を逃がすという観点から、五個以下であることが好ましい。また、外周支持部23は、三つ又は四つであることがより好ましい。これにより、支持治具30を容易に製造することができる。また、積層体10を支持治具30に取り付けたり支持治具30から取り外したりすることが容易となる。
【0095】
外周支持部23は、支持部22とともに支持体13を支持することによって、支持体13を安定に支持することができるように配置されることが好ましい。支持体13を安定に支持するという観点からは、支持部22と外周支持部23との全てが一直線上に存在していないことが好ましい。
【0096】
例えば、支持部22と外周支持部23とは、被支持面13a内における任意の多角形の各頂点を支持するようになっていてもよい。また、支持部22と外周支持部23とは、それぞれ上述したような配置の支持点14又は15を支持するようになっていることが好ましい。これらの構成により、支持治具30は、支持体13を安定に支持することができる。
【0097】
〔高温処理方法〕
次に、本発明に係る高温処理方法の一実施形態について説明する。
【0098】
本実施形態に係る高温処理方法は、上述した支持方法を用いて、ウエハ11が貼り付けられている支持体13を支持した状態で、ウエハ11を高温処理する方法である。なお、「高温」とは、ここでは接着剤組成物が含有する樹脂成分のガラス転移点を超える温度を指し、具体的には70℃以上であればよく、好ましくは120℃以上、より好ましくは180℃以上、さらに好ましくは200℃以上の温度を指す。なお、高温という場合の上限は特に限定されないが、400℃以下、好ましくは350℃以下である。
【0099】
高温処理する方法としては、例えば上述した支持方法により支持された状態のウエハ11を、オーブンなどの加熱機器内に一定時間静置する方法などが挙げられる。
【0100】
上述した方法によってウエハ11を支持した状態で高温処理することにより、ウエハ11の反りの発生を防止することができる。したがって、その後のプロセスを効率よく進行させることができる。
【0101】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0102】
(接着剤組成物の調製方法)
樹脂として、シクロオレフィンコポリマー(「TOPAS」(商品名)8007、ポリプラスチックス社製)を用いた。この樹脂を、p−メンタンに、樹脂固形分濃度が25重量%となるように溶解し、また酸化防止剤IR1010(BASF社製)を樹脂固形分に対して5重量%となるように添加して、接着剤組成物を調製した。
【0103】
〔実施例1〕
本実施例では、支持体としてガラス基板を使用し、ウエハとして直径300mmのシリコンウエハを使用した。また、接着剤組成物として、上述した調製方法により調製した接着剤組成物を使用した。
【0104】
なお、本実施例及び実施例2において用いた支持治具の構成は、図1に示す支持治具と同様であるため、説明の便宜上、同一の機能を有する部材には同一の番号を付して説明する。
【0105】
まず、ウエハ11にスピンコートにより接着剤組成物を厚さ80μmになるように塗布し、100℃、160℃、220℃でベークして接着層12を形成させた。その後、接着層12の上に支持体13を160℃で貼り付け、積層体10を作製した。
【0106】
この積層体10におけるウエハ11を、バックグラインディングにより厚さ50μmにまで薄化させた。
【0107】
その後、この積層体10を、図5(a)に示す支持治具20Aと同じ構成の支持治具により支持した。すなわち、支持プレート21の中心点を共有する一つの同心円の円周上に、互いに等間隔で配置されている三つの支持部22を備えた支持治具20Aを用いて、支持体13の被支持面13aの内周部13aaにおいて三点支持した。
【0108】
なお、支持プレート21には、直径300.5mm、厚さ3mmの石英のプレートを用いた。支持部22が配置される同心円の直径は、150mm(支持プレート21の直径に対して50%)であった。支持部22は、高さが9mmであった。また、支持部22の胴体部分は、円柱形状であり、断面が直径6mmの円であった。支持部22の先端は、図12に示すような丸頭形状であった。
【0109】
この状態で、オーブン中で200℃、1時間の加熱工程を行なった後、オーブンのスイッチを切り、そのまま2時間冷却した。その後、積層体10の反り量を測定した。
【0110】
反り量は、積層体10を定盤上に置き、LK−G−30(キーエンス社製)を用いてウエハ11のX、Y面の任意の57点における変位量を計測することによって測定した。
【0111】
結果を表1に示す。なお、表1において各結果は、反り量が700μm未満の場合に「○」(反りが少なく良好)で表し、反り量が700μm以上の場合に「×」(反りが大きく不良)で表した。
【0112】
【表1】
【0113】
表1に示すように、本実施例では、反り量が少ないという結果が得られた。
【0114】
〔実施例2〕
本実施例では、実施例1と同様に積層体10を作製し、ウエハ11を薄化させた。その後、この積層体10を、支持部22が配置される同心円の直径が240mm(支持プレート21の直径に対して80%)である点以外は、実施例1で用いた支持治具と同様の構成の支持治具により支持した。この状態で、実施例1と同様に加熱工程を行なった後に冷却し、反り量を測定した。
【0115】
結果を表1に示す。表1に示すように、本実施例では、反り量が少ないという結果が得られた。
【0116】
〔実施例3〕
本実施例では、実施例1と同様に積層体10を作製し、ウエハ11を薄化させた。その後、この積層体10を、支持部22が配置される同心円の直径が270mm(支持プレート21の直径に対して90%)である点以外は、実施例1で用いた支持治具と同様の構成の支持治具により支持した。この状態で、実施例1と同様に加熱工程を行なった後に冷却し、反り量を測定した。
【0117】
結果を表1に示す。表1に示すように、本実施例では、反り量が少ないという結果が得られた。
【0118】
〔実施例4〕
本実施例では、実施例1と同様に積層体10を作製し、ウエハ11を薄化させた。その後、この積層体10を、支持部22が配置される同心円の直径が285mm(支持プレート21の直径に対して95%)である点以外は、実施例1で用いた支持治具と同様の構成の支持治具により支持した。この状態で、実施例1と同様に加熱工程を行なった後に冷却し、反り量を測定した。
【0119】
結果を表1に示す。表1に示すように、本実施例では、反り量が少ないという結果が得られた。
【0120】
〔実施例5〕
本実施例では、実施例1と同様に積層体10を作製し、ウエハ11を薄化させた。その後、この積層体10を、図10に示す支持治具20Fと同じ構成の支持治具により支持した。図10は、本発明に係る支持治具の一実施例の構成を示す平面図である。
【0121】
この支持治具20Fは、支持プレート21の中心点を共有する、半径の異なる2つの同心円(図中、点線で示す)のそれぞれの円周上に、それぞれ四つの支持部22が互いに等間隔で配置されていた。支持部22が配置される同心円の直径は、それぞれ150mm(支持プレート21の直径に対して50%)及び225mm(支持プレート21の直径に対して75%)であった。
【0122】
この状態で、実施例1と同様に加熱工程を行なった後に冷却し、反り量を測定した。
【0123】
結果を表1に示す。表1に示すように、本実施例では、反り量が少ないという結果が得られた。
【0124】
〔実施例6〕
本実施例では、実施例1と同様に積層体10を作製し、ウエハ11を薄化させた。その後、この積層体10を、図11に示す支持治具20Gと同じ構成の支持治具により支持した。図11は、本発明に係る支持治具の他の実施例の構成を示す平面図である。
【0125】
この支持治具20Gは、長方形の支持プレート21’と、三つの支持部22とを備えていた。支持プレート21’は、縦21aが200mm、横21bが300mmの長方形であった。三つの支持部22は、支持プレート21の対角線の交点を共有する一つの同心円(図中、点線で示す)の円周上に、互いに等間隔で配置されていた。支持部22が配置される同心円の直径は、150mm(支持プレート21の直径に対して50%)であった。
【0126】
この状態で、実施例1と同様に加熱工程を行なった後に冷却し、反り量を測定した。
【0127】
結果を表1に示す。表1に示すように、本実施例では、反り量が少ないという結果が得られた。
【0128】
〔実施例7〕
本実施例では、実施例1と同様に積層体10を作製し、ウエハ11を薄化させた。その後、この積層体10を、図8及び図9に示す支持治具30と同じ構成の支持治具により支持した。本実施例で用いた支持治具は、支持プレート21の中心点に配置されている一つの支持部22と、被支持面13aの外周部13abを支持する四つの外周支持部23とを備えていた。また、縦型ボート50としては、石英により構成されたボートを用いた。
【0129】
この状態で、実施例1と同様に加熱工程を行なった後に冷却し、反り量を測定した。
【0130】
結果を表1に示す。表1に示すように、本実施例では、反り量が少ないという結果が得られた。
【0131】
〔比較例1〕
本比較例では、実施例1と同様に積層体10を作製し、ウエハ11を薄化させた。その後、この積層体10を、従来の方法で支持した。
【0132】
本比較例において用いた支持治具130の構成を、図13(a)〜(b)及び図14に示す。図13(a)は、従来の支持治具の一例を示す正面図であり、図13(b)は、図13(a)に示す支持治具の要部を示す図である。また、図14は、図13(a)に示す支持治具の断面を模式的に示す図である。
【0133】
支持治具130は、石英により構成された縦型ボートであり、四本の支柱131と、支持体保持部132とを備えている。1つの支柱131には十個の支持体保持部132が形成されており、支持治具130は10枚の積層体10を保持することが可能である。
【0134】
積層体10が保持される内部領域の水平方向の幅130aは307.5mmであり、上下に隣り合った支持体保持部132の間隔130bは30mmである。また、支持治具130の底面を構成する石英板の厚さ130cは10mmである。
【0135】
また、支柱131の幅131aは15mmであり、支持体保持部132の垂直方向の厚さ132aは5mmであり、支持体保持部132の水平方向の長さ132bは10mmである。
【0136】
また、図14に示すように、支持治具130の水平方向の断面において、四本の支柱131のそれぞれに形成された四つの支持体保持部132は、支持治具130の外周に沿って非均等に配置されている。四つの支持体保持部132のうちの二つの位置は、支持治具130の中心点とのなす角が90°である。この二つの支持体保持部132を挟んで位置する他の二つの支持体保持部132の位置は、支持治具130の直径(図14中、符号「130a」を付した直径)に対して同じ方向に少しずれており、これらの支持体保持部132の位置と、当該直径との距離130dは、20mmである。この構成により、支持治具130の外周に沿って隣り合う支持体保持部132の間隔のうちの一つが、他の間隔よりも大きくなっている。
【0137】
上述した構成の支持治具130を用いて積層体10を支持した状態で、実施例1と同様に加熱工程を行なった後に冷却し、反り量を測定した。
【0138】
結果を表1に示す。表1に示すように、大きな反りが発生したことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明は、携帯電話、デジタルAV機器及びICカード等に搭載される半導体チップの製造に利用することができる。
【符号の説明】
【0140】
11 ウエハ
13 支持体(被支持基板)
13a 被支持面
13aa 内周部
13ab 外周部
14、15 支持点
20、20A〜H 支持治具
21、21’ 支持プレート
22 支持部
23 外周支持部
30 支持治具
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハが貼り付けられている被支持基板の支持方法、これを用いた高温処理方法、及び支持治具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、デジタルAV機器及びICカード等の高機能化に伴い、搭載される半導体シリコンチップの小型化、薄型化及び高集積化への要求が高まっている。
【0003】
薄型のチップは、例えば、高純度シリコン単結晶等をスライスしてウエハとした後、このウエハの裏面に半導体を形成させることにより製造される。半導体を形成させる工程では、絶縁膜のキュアリング工程などにおいて熱処理することにより、200℃を超える高温にウエハをさらす場合がある。
【0004】
また、特許文献1には、熱処理する際にウエハを支持する方法及びウエハを支持する治具について記載されている。特許文献1に記載された支持方法は、結晶方位が<110>ウエハの場合には、ウエハの裏面を、ウエハの中心点とその点からウエハの表面に平行な<100>に向かう方向を基準として40°〜60°の範囲にある扇形のウエハ面、および前記扇形のウエハ面を90°周期で回した当該ウエハ面で支持する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−98589号公報(2008年4月24日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ウエハは、上述したチップの小型化及び薄型化への要求により、研削して薄板化する必要がある。そこで、ウエハの破損を防止するため、ウエハを接着剤等により支持体(以下、「被支持基板」ともいう。)に貼り付けて薄板化することがある。この薄化されたウエハは、支持体に貼り付けられた状態で、上述した熱処理を行なう場合がある。
【0007】
しかしながら、特許文献1には、ウエハが貼り付けられた支持体を支持する方法については記載されていない。
【0008】
ところで、ウエハが貼り付けられた支持体を支持する方法として、支持体の外周の三点又は四点を支持する方法が考えられる。この方法で支持体を支持した場合の例を図15及び図16に示す。図15及び図16は、従来の方法により支持体を支持する方法を説明するための図である。
【0009】
図15及び図16に示す例では、ウエハ111が支持体113に接着層112を介して貼り付けられた積層体110を、支持体113の外周に位置する四点の支持点115で支持する。例えば外周支持部123を備えた支持治具120によって支持する方法である。なお、図15は積層体110を横から見た断面図であり、図16は、積層体110を上から見た平面図である。
【0010】
しかし、この方法により積層体110を支持した場合には、支持体113及び接着層112の重みによる自重応力によって、積層体110の中央部分が撓んでしまう。
【0011】
特に、300mmを超えるような大口径ウエハを用いる場合には、大きく撓んでしまう可能性が高い。このように撓んだ状態で、ウエハに対し熱処理を行なった後に冷却すると、ウエハには大きな反りが生じてしまう。そのため、その後のプロセスにおいて、ロボットアームによる搬送の不良、真空チャックエラー、露光時のデフォーカスなどを発生させてしまい、プロセスの進行に大きな支障をきたしてしまうという問題がある。
【0012】
本発明は、上記の従来技術が有する問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ウエハの反りの発生を防止することができる支持方法、高温処理方法、及び支持治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明に係る支持方法は、ウエハが貼り付けられている被支持基板を支持する支持方法であって、上記被支持基板における上記ウエハが貼り付けられている面とは反対側の被支持面の内周部における少なくとも三点を支持点として、重力に抗して支持することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る支持方法では、上記支持点のうちの少なくとも三点が、円形である上記被支持面の中心点を共有する一つの同心円の円周上に、互いに等間隔で位置することが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る支持方法では、ウエハが貼り付けられている被支持基板を支持する支持方法であって、上記被支持基板における上記ウエハが貼り付けられている面とは反対側の被支持面の内周部における少なくとも一点と、被支持面の外周部における少なくとも二点とを支持点として、重力に抗して支持することが好ましい。
【0016】
また、本発明に係る支持方法では、上記支持点のうちの一点が、円形である上記被支持面の中心点に位置することが好ましい。
【0017】
上記の課題を解決するために、本発明に係る高温処理方法は、上述したいずれかの支持方法を用いて上記被支持基板を支持した状態で、上記ウエハを高温処理することを特徴とする。
【0018】
上記の課題を解決するために、本発明に係る支持治具は、被支持基板における被支持面に対向して配置されることにより、当該被支持基板を支持する支持治具であって、支持プレートと、上記支持プレート上に形成され、上記被支持面の内周部を重力に抗して支持する少なくとも三つの支持部とを備えていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る支持治具では、上記支持部のうちの少なくとも三つは、円形である上記被支持面の中心点を共有する一つの同心円の円周上に、互いに等間隔で位置する点を支持するようになっていることが好ましい。
【0020】
また、本発明に係る支持治具では、被支持基板における被支持面に対向して配置されることにより、当該被支持基板を支持する支持治具であって、支持プレートと、上記支持プレート上に形成され、上記被支持面の内周部を重力に抗して支持する少なくとも一つの支持部と、上記被支持面の外周部を重力に抗して支持する少なくとも二つの外周支持部とを備えていることが好ましい。
【0021】
また、本発明に係る支持治具では、上記支持部のうちの一つは、円形である上記被支持面の中心点を支持するようになっていることが好ましい。
【0022】
また、本発明に係る支持治具では、上記支持部の先端は、上記被支持面と点接触する形状であることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ウエハの反りの発生を防止することができる支持方法、高温処理方法、及び支持治具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る支持方法の一実施形態を説明するための図である。
【図2】(a)〜(e)は、本発明に係る支持方法の一実施形態における支持点の配置の例を示す図である。
【図3】本発明に係る支持治具の一実施形態を示す図である。
【図4】本発明に係る支持治具を用いて支持体を支持する方法を説明するための図である。
【図5】(a)〜(e)は、本発明に係る支持治具の一実施形態における支持部の配置の変形例を示す図である。
【図6】本発明の他の実施形態を説明するための図である。
【図7】(a)〜(b)は、本発明の他の実施形態における支持点の配置の例を示す図である。
【図8】本発明に係る支持治具の他の実施形態を示す図である。
【図9】図8に示す支持治具の一部を示す図である。
【図10】本発明に係る支持治具の一実施例の構成を示す平面図である。
【図11】本発明に係る支持治具の他の実施例の構成を示す平面図である。
【図12】本発明に係る支持治具の一例を示す断面図である。
【図13】図13(a)は、従来の支持治具の一例を示す正面図であり、図13(b)は、図13(a)に示す支持治具の要部を示す図である。
【図14】図13(a)に示す支持治具の断面を模式的に示す図である。
【図15】従来の方法により支持体を支持する方法を説明するための図である。
【図16】従来の方法により支持体を支持する方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔第1実施形態〕
本発明に係る支持方法及び支持治具の一実施形態について、以下に説明する。
【0026】
(支持方法の概要)
まず、本発明に係る支持方法の一実施形態の概要について、図1を参照して説明する。図1は、本発明に係る支持方法の一実施形態を説明するための図である。
【0027】
本実施形態に係る支持方法は、ウエハ11が貼り付けられている支持体(被支持基板)13を支持する方法である。なお、図1は、支持体13を横から見た断面図を示す。
【0028】
支持体13は、例えばウエハ11に研磨等の加工を施すときに、ウエハ11を保護するために支持可能な基板である。支持体13としては、可撓性を有するものであれば特に限定されず、当業者に公知の基板を用いればよい。可撓性を有する基板の材料としては、例えば、ガラス、シリコン、アルミナ、炭化珪素、アルミニウム、樹脂、ステンレス、又は鉄−ニッケル合金等の金属類等が挙げられる。
【0029】
支持体13の形状は、ウエハ11の形状に応じて適宜設計すればよい。また、支持体13には、貫通孔が形成されていてもよいし、されていなくてもよい。なお、本実施形態においては、支持体13の両面にそれぞれ開口面を有している複数の貫通孔が形成されている場合を例に説明する。本実施形態のように、支持体13として貫通孔が形成されている支持体を用いた場合には、溶解工程において当該貫通孔から溶解液を注入し、接着剤を容易に溶解することができる。なお、支持体13における貫通孔の形成方法は、当業者に公知の方法を用いればよい。
【0030】
また、支持体13として、貫通孔が形成されていない支持体を用いた場合には、接着剤の沈み込みを抑制することができる。また、ウエハを支持体からレーザー等により剥離するため、接着剤の溶解時間を短縮することができる。
【0031】
ウエハ11は、例えばその表面に回路パターンが形成されており、当該回路パターンの形成面が支持体13と接着され得る。ウエハ11としては、当業者が利用可能な公知のウエハ11を用いればよく、その材料には、例えば、石英、シリコン、サファイヤ、GaAs(ガリウムヒ素)等の化合物半導体が挙げられる。
【0032】
支持体13とウエハ11とは、接着剤により互いに接着され、積層体10を構成している。すなわち、支持体13とウエハ11との界面には接着剤が塗布され、接着層12が形成されている。
【0033】
接着剤としては、例えばアクリル系樹脂、マレイミド系樹脂、炭化水素系樹脂(シクロオレフィン系樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂等)、又はノボラックタイプのフェノール樹脂系材料を含有してなる接着剤組成物等、有機溶剤に対して可溶性を示す接着剤を用いることが好ましい。なお、これらを単独で用いても組み合わせて用いてもよい。
【0034】
支持体13は、ウエハ11が貼り付けられている面とは反対側の面が被支持面13aとなっている。
【0035】
本実施形態に係る支持方法では、被支持面13aの内周部13aaを重力に抗して支持する。内周部13aaとは、被支持面13aの外周近傍の領域を除いた内側の領域を指す。なお、内周部13aaは、支持体13の被支持面13aが円形の場合には、被支持面13aの半径に対して95%の半径を有する同心円を想定した場合における当該同心円の円周上及び内側部分であってもよい。
【0036】
本実施形態に係る支持方法は、被支持面13aの内周部13aaを支持する方法である。したがって、300mmを超える大きなサイズ(例えば450mmなど)のウエハ11を用いた場合であっても、支持体13の重みによる自重応力によって中央部分が撓んでしまうことを防止することができる。そのため、ウエハ11の反りの発生を防止することができる。
【0037】
なお、本実施形態では、被支持面13aの内周部13aaを点において支持することが好ましい。これにより、支持体13を支持する部材と支持体13とが接触する面積を小さくすることができるため、ウエハ11を熱処理した後に冷却する際に、効率よく熱を逃がすことができる。
【0038】
以下に、本実施形態に係る支持方法について、より詳細に説明する。
【0039】
(支持方法の詳細)
本実施形態では、被支持面13aの内周部13aaにおける少なくとも三点を支持点14として、重力に抗して支持体13を支持する。支持体13を安定に支持するという観点からは、支持点14とする点の全てが一直線上に存在していないことが好ましい。例えば、内周部13aa内における任意の多角形の各頂点を支持点14として支持してもよい。このように、少なくとも三点を支持点14として支持することにより、支持体13を安定に支持することができる。
【0040】
支持点14の数は、三点以上であれば特に限定されない。なお、支持点14の数は、ウエハ11を熱処理した後に冷却する際に、効率よく熱を逃がすという観点から、十点以下であることが好ましい。
【0041】
ここで、被支持面13aが円形である場合の支持点14とする点の数及び配置の例を図2(a)〜(e)にいくつか示すが、本発明は特にこれらに限られるものではない。図2(a)〜(e)は、本発明に係る支持方法の一実施形態における支持点の配置の例を示す図である。なお、図2(a)〜(e)は、支持体13を被支持面13a側から見た平面図であり、一点鎖線は内周部13aaと外周部13abとの境界を示す。
【0042】
支持点14の配置の一例としては、支持点14のうちの少なくとも三点が、被支持面13aの中心点を共有する一つの同心円の円周上に、互いに等間隔で位置する構成が挙げられる。なお、中心点としては、例えば被支持面13aが円形であればその中心であってもよく、被支持面13aが多角形であればその対角線の交点であってもよい。この構成により、支持体13を安定に支持することが可能である。
【0043】
例えば、図2(a)、図2(b)及び図2(c)に示すように、被支持面13aの内周部13aaにある、被支持面13aの中心点を共有する一つの同心円(図中、点線で示す)の円周上に互いに等間隔で位置する三点又は四点を支持点14としてもよい。なお、この同心円は、図2(a)及び図2(c)に示すように内周部13aaと外周部13abとの境界の少し内側にある円であってもよいし、図2(b)に示すように被支持面13aの中心点に近い位置にある円であってもよい。
【0044】
また、支持点の配置の他の例としては、支持点14のうちの一点が、被支持面13aの中心点に位置する構成が挙げられる。この構成により、支持体13が中央部分において撓むことを効果的に防止することができる。
【0045】
例えば、図2(d)に示すように、被支持面13aの中心点と、被支持面13aの内周部13aaにある、被支持面13aの中心点を共有する一つの同心円(図中、点線で示す)の円周上に互いに等間隔で位置する三点又は四点と、を支持点14としてもよい。
【0046】
また、例えば、被支持面13aの中心点を共有する、半径の異なる少なくとも2つの同心円のそれぞれの円周上に位置する点を、支持点14としてもよい。支持点14とする点は、それぞれの同心円の円周上に少なくとも二点以上配置されていることが好ましく、それらは互いに等間隔で位置していることがより好ましい。
【0047】
例えば、図2(e)に示すように、被支持面13aの中心点を共有する、半径の異なる2つの同心円(図中、点線で示す)のそれぞれの円周上に互いに等間隔で位置する二点ずつを、支持点14としてもよい。図2(e)に示す例では、同じ同心円の円周上に位置する2つの支持点14は、被支持面13aにおける同一の直径上にある。そして、一方の同心円の円周上に位置する2つの支持点14を通る直径と、他方の同心円の円周上に位置する2つの支持点14を通る直径とは、直交している。この構成により、支持体13を安定に支持することができる。
【0048】
なお、本発明に係る支持方法は、本発明に係る支持治具によって実施され得る。
【0049】
(支持治具)
次に、本発明に係る支持治具の一実施形態について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、本発明に係る支持治具の一実施形態を示す図である。図4は、本発明に係る支持治具を用いて支持体を支持する方法を説明するための図である。なお、図4には、ウエハ11と支持体13との積層体10を支持している支持治具20を横から見た断面図を示す。図4の右側の図は、図4の左側の図における要部を拡大して示す図である。
【0050】
本実施形態に係る支持治具20は、支持体13における被支持面13aに対向して配置されることにより、支持体13を支持する支持治具20である。
【0051】
支持治具20は、支持プレート21と、支持部22とを備えている。支持プレート21は、円形の板状部材である。なお、本発明における支持プレートは、円形に限らず、例えば多角形であってもよい。また、支持プレートは、被支持基板と同一の形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。また、支持プレートの直径は、被支持基板の直径と略同じ大きさであってもよいし、被支持基板の直径より大きくても小さくてもよい。
【0052】
支持部22は、支持体13を重力に抗して支持するための部材である。支持部22は、支持プレート21上に形成されている。
【0053】
支持プレート21及び支持部22としては、耐熱性の材料を用いることが好ましく、例えば石英等を用いることができる。なお、支持部22は、支持プレート21と同じ材料により構成されていてもよいし、異なる材料により構成されていてもよい。また、支持部22は、支持プレート21と一体に構成されていてもよい。支持部22は、支持プレート21上に、例えば溶接することによって形成されることができる。
【0054】
支持部22は、その先端で被支持面13aに接触する。支持部22の先端は、被支持面13aと点接触する形状であることが好ましい。支持部22の先端における被支持面13aと接触する面は、被支持面13aと点接触しうる構成であれば、曲面であっても平坦な面であってもよい。例えば、支持部22の先端は、図12に示すような丸頭形状であってもよい。図12は、本発明に係る支持治具の一例を示す断面図である。
【0055】
支持部22の先端が被支持面13aと点接触する形状であれば、支持体13を点で支持することができ、支持体13を高温処理に供した後に冷却する際に、効率よく熱を逃がすことができる。
【0056】
また、支持部22は、柱形状の胴体部分と、この胴体部分につながる先端部分とからなっていてもよい。胴体部分は、例えば柱形状、錐形状等であってもよく、例えば円柱形状、角柱形状、円錐形状、角錐形状などが挙げられる。先端部分は、上述したような先端を有していればよく、丸頭形状であってもよいし、先端に向かって先細りするテーパー形状であってもよい。
【0057】
支持部22は、被支持面13aの内周部13aaを支持する構成となっている。すなわち、支持部22は、支持治具20が被支持面13aに対向して配置されたときに、例えばその先端が被支持面13aの内周部13aaに接触することによって支持体13を支持できるように構成されている。
【0058】
本実施形態の支持治具20は、上述した構成により、被支持面13aの内周部13aaを支持することができる。したがって、大きなサイズのウエハ11を用いた場合であっても、支持体13の重みによる自重応力によって中央部分が撓んでしまうことを防止することができる。そのため、ウエハ11の反りの発生を防止することができる。
【0059】
本実施形態では、支持部22は、支持プレート21上に少なくとも三つ形成されている。これらの支持部22は、支持体13の被支持面13aの内周部13aaにおける少なくとも三点を重力に抗して支持するようになっている。支持体13を安定に支持するという観点からは、各支持部22が支持する点の全てが一直線上に存在していないことが好ましい。
【0060】
例えば、支持部22は、内周部13aa内における任意の多角形の各頂点をそれぞれ支持するようになっていてもよい。また、支持部22は、上述したような配置の支持点14を支持するようになっていることが好ましい。このように、支持治具20は、内周部13aaの少なくとも三点を支持することにより、支持体13を安定に支持することができる。
【0061】
1つの支持体13を支持する支持部22の数は、三つ以上であれば特に限定されない。なお、支持部22の数は、ウエハ11を熱処理した後に冷却する際に、効率よく熱を逃がすという観点から、十個以下であることが好ましい。なお、図3及び図4には、支持部22が三つである構成を示す。
【0062】
支持治具20は、図4に示すように、支持プレート21を水平に支持する縦型ボート40をさらに備えていてもよい。
【0063】
縦型ボート40は、支柱41と、支持プレート支持部42とを備えている。縦型ボート40としては、耐熱性の材料を用いることが好ましく、例えば石英等を用いることができる。支柱41は、支持プレート21の周囲に垂直に設けられている。縦型ボート40は、例えば3本又は4本の支柱41を備えていてもよい。支持プレート支持部42は、各支柱41に形成されており、支持プレート21の外周部を重力に抗して支持する。支持プレート支持部42は、支柱41の各々に垂直方向に複数形成されていてもよい。
【0064】
縦型ボート40を用いることによって、図4に示すように、積層体10を垂直方向に複数並べて支持することができる。
【0065】
(支持部の配置の変形例)
ここで、支持部22の数及び配置の変形例を図5(a)〜(e)にいくつか示すが、本発明は特にこれらに限られるものではない。図5(a)〜(e)は、本発明に係る支持治具の一実施形態における支持部の配置の変形例を示す図である。なお、図5(a)〜(e)は、支持治具20A〜20Eを上から見た平面図である。
【0066】
支持部22の配置の一例としては、支持部22のうちの少なくとも三つが、円形である支持プレート21の中心点を共有する一つの同心円の円周上に、互いに等間隔で配置されている構成が挙げられる。これらの支持部22は、円形である被支持面13aの中心点を共有する一つの同心円の円周上に、互いに等間隔で位置する点を支持するようになっている。この構成により、支持治具20は、支持体13を安定に支持することが可能である。
【0067】
例えば、図5(a)、図5(b)及び図5(c)に示す支持治具20A、20B、20Cのように、三つまたは四つの支持部22が、支持プレート21の中心点を共有する一つの同心円(図中、点線で示す)の円周上に、互いに等間隔で配置されていてもよい。なお、この同心円は、例えば図5(a)及び図5(c)に示すように支持プレート21の半径に対して50%の半径を有していてもよく、図5(b)に示すように支持プレート21の半径に対して約33%(1/3)の半径を有していてもよい。
【0068】
また、支持部22の配置の他の例としては、支持部22のうちの一つが、支持プレート21の中心点に配置されている構成が挙げられる。この支持部22は、円形である被支持面13aの中心点を支持するようになっている。この構成により、支持治具20は、支持されている支持体13が中央部分において撓むことを効果的に防止することができる。
【0069】
例えば、図5(d)に示す支持治具20Dのように、支持部22が、支持プレート21の中心点と、支持プレート21の中心点を共有する一つの同心円(図中、点線で示す)の円周上に互いに等間隔で位置する三点又は四点と、に配置されていてもよい。なお、これらの支持部22は、被支持面13aの中心点と、被支持面13aの内周部13aaにある、被支持面13aの中心点を共有する一つの同心円の円周上に互いに等間隔で位置する三点又は四点と、を支持するようになっている。
【0070】
また、例えば支持部22は、支持プレート21の中心点を共有する、半径の異なる少なくとも2つの同心円のそれぞれの円周上に配置されてもよい。これらの支持部22は、内周部13aa内であって、被支持面13aの中心点を共有する、半径の異なる少なくとも2つの同心円のそれぞれの円周上に位置する点を支持するようになっている。支持部22は、それぞれの同心円の円周上に少なくとも二つ以上配置されていることが好ましく、それらは互いに等間隔で配置されていることがより好ましい。
【0071】
例えば、図5(e)に示す支持治具20Eのように、支持プレート21の中心点を共有する、半径の異なる2つの同心円(図中、点線で示す)のそれぞれの円周上に、それぞれ二つの支持部22が互いに等間隔で配置されてもよい。これらの支持部22は、内周部13aa内であって、被支持面13aの中心点を共有する、半径の異なる2つの同心円のそれぞれの円周上に互いに等間隔で位置する二点ずつを、支持するようになっている。
【0072】
図5(e)に示す例では、同じ同心円の円周上に配置されている2つの支持部22は、支持プレート21における同一の直径上にある。そして、一方の同心円の円周上に配置されている2つの支持部22を通る直径と、他方の同心円の円周上に配置されている2つの支持部22を通る直径とは、直交している。この構成により、支持治具20Eは、支持体13を安定に支持することができる。
【0073】
〔第2実施形態〕
次に、本発明に係る支持方法及び支持治具の他の実施形態について、以下に説明する。なお、本実施形態においては、上述した第1実施形態における構成要素と同様の機能を有する構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。ここでは、主に第1実施形態と異なる点について説明する。
【0074】
(支持方法)
本発明に係る支持方法の他の実施形態について、図6及び図7(a)〜(b)を参照して以下に説明する。図6は、本発明の他の実施形態を説明するための図であり、支持体13を横から見た断面図を示す。また、図7(a)〜(b)は、本発明の他の実施形態における支持点の配置の例を示す図である。なお、図7(a)〜(b)は、支持体13を被支持面13a側から見た平面図であり、一点鎖線は内周部13aaと外周部13abとの境界を示す。
【0075】
本実施形態における支持方法は、被支持面13aの内周部13aaにおける少なくとも一点を支持点14として支持する点、及び被支持面13aの外周部13abにおける少なくとも二点を支持点15として支持する点のみが、第1実施形態における支持方法とは異なっている。
【0076】
本実施形態であれば、被支持面13aの内周部13aaを支持するため、大きなサイズのウエハ11を用いた場合であっても、支持体13の重みによる自重応力によって中央部分が撓んでしまうことを防止することができる。そのため、ウエハ11の反りの発生を防止することができる。
【0077】
内周部13aaにおいて支持点14とする点は、内周部13aaのどこにあってもよい。なお、支持点14とする点のうちの一点は、支持体13の撓みを効果的に防止するという観点からは、被支持面13aの中央に近い位置であることが好ましい。例えば被支持面13aが円形である場合には、支持点14とする点のうちの一点は、被支持面13aの中心点に位置することが好ましい。
【0078】
内周部13aaにおいて支持点14とする点の数は、一点以上であればよい。なお、ウエハ11を熱処理した後に冷却する際に、効率よく熱を逃がすという観点からは、十点以下であることが好ましい。支持点14の配置は、例えば上述した第1実施形態において例示した配置であってもよい。
【0079】
外周部13abとは、内周部13aaより外側の部分、すなわち被支持面13aの外周近傍の領域を指す。なお、外周部13abは、支持体13の被支持面13aの半径に対して95%の半径を有する同心円を想定した場合における当該同心円の外側部分であってもよい。
【0080】
外周部13abにおいて支持点15とする点の数は、二点以上であれば特に限定されない。支持点15とする点が二点以上であることにより、撓みを防止しつつ、支持体13を安定に支持することができる。なお、支持点15とする点の数は、ウエハ11を熱処理した後に冷却する際に、効率よく熱を逃がすという観点から、五点以下であることが好ましい。
【0081】
外周部13abにおける支持点15は、内周部13aaにおける支持点14とともに支持されることによって、支持体13を安定に支持することができるように配置されることが好ましい。支持体13を安定に支持するという観点からは、外周部13abにおける支持点15と、内周部13aaにおける支持点14との全てが、一直線上に存在していないことが好ましい。例えば、外周部13abにおける支持点15と、内周部13aaにおける支持点14とは、被支持面13a内における任意の多角形の各頂点であってもよい。
【0082】
ここで、被支持面13aが円形である場合の支持点14、15とする点の数及び配置の例を図7(a)〜(b)にいくつか示すが、本発明は特にこれらに限られるものではない。
【0083】
例えば図7(a)に示すように、支持点14とする点が一点であって、円形である被支持面13aの中心点に位置し、かつ支持点15とする点が四点である構成が挙げられる。また、例えば図7(b)に示すように、支持点14とする点が一点であって、円形である被支持面13aの中心点に位置し、かつ支持点15とする点が三点である構成が挙げられる。
【0084】
支持点15とする点は、図7(a)〜(b)に示すように、外周部13abに非均等に位置してもよい。すなわち、被支持面13aの外周に沿って隣り合う支持点15の間隔のうちのいずれか一つが、他の間隔よりも大きくてもよい。これにより、支持治具の形状によっては、支持体13を支持治具に取り付けたり支持治具から取り外したりすることが容易となる場合がある。なお、これに限らず、支持点15とする点は、外周部13abにおいて互いに均等に位置していてもよい。
【0085】
(支持治具)
次に、本発明に係る支持治具の他の実施形態について、図8及び図9を参照して以下に説明する。図8は、本発明に係る支持治具の他の実施形態を示す図である。また、図9は、図8に示す支持治具の一部を示す図である。なお、図8は、ウエハ11と支持体13との積層体10を支持している支持治具30を横から見た断面図である。また、図9は、支持治具30のうち、支持プレート21と支持部22とのみを示す平面図である。
【0086】
本実施形態の支持治具30は、特に、支持部22を少なくとも一つ備えている点、及び少なくとも二つの外周支持部23を備えている点が、第1実施形態の支持治具20と異なっている。すなわち、本実施形態における支持治具30は、支持プレート21と、少なくとも一つの支持部22と、少なくとも二つの外周支持部23とを備えている。
【0087】
また、本実施形態では、支持治具30が、支持プレート21を水平に支持する縦型ボート50を備えている点でも、第1実施形態と異なっている。縦型ボート50は、複数の支柱41と、支持プレート支持部42と、外周支持部23とを備えている。支柱41及び支持プレート支持部42の構成は、第1実施形態において説明した構成と同じである。また、各支柱41には、支持プレート支持部42と外周支持部23とが交互に形成されている。
【0088】
本実施形態では、支持部22は、支持プレート21上に少なくとも一つ形成されている。支持部22は、被支持面13aの内周部13aaを支持するようになっていれば、支持プレート21上のどこに形成されていてもよい。
【0089】
本実施形態の支持治具30は、支持部22によって被支持面13aの内周部13aaを支持することができる。したがって、大きなサイズのウエハ11を用いた場合であっても、支持体13の重みによる自重応力によって中央部分が撓んでしまうことを防止することができる。そのため、ウエハ11の反りの発生を防止することができる。
【0090】
なお、支持部22のうちの一つは、支持体13の撓みを効果的に防止するという観点からは、被支持面13aの中央に近い位置を支持するようになっていることが好ましい。例えば被支持面13aが円形である場合には、支持部22のうちの一つは、被支持面13aの中心点を支持するようになっていることが好ましい。
【0091】
支持部22の数は、一つ以上であれば特に限定されない。なお、支持部22の数は、ウエハ11を熱処理した後に冷却する際に、効率よく熱を逃がすという観点から、十個以下であることが好ましい。支持部22の配置は、上述した第1実施形態において例示した配置を好適に用いることができる。
【0092】
外周支持部23は、支持体13を重力に抗して支持するための部材である。外周支持部23は、被支持面13aの外周部13abを支持する構成となっている。すなわち、外周支持部23は、支持治具30の支持プレート21が被支持面13aに対向して配置されたときに、被支持面13aの外周部13abに接触することによって支持体13を支持できるように構成されている。
【0093】
本実施形態では、外周支持部23は、支柱41に形成されている。なお、本発明における外周支持部は、本実施形態の構成に限らず、被支持面の外周部を支持するように構成されていればよく、例えば支持プレート上に直接形成されていてもよい。
【0094】
1つの支持体13を支持する外周支持部23の数は、二つ以上であれば特に限定されない。外周支持部23が二つ以上であることにより、撓みを防止しつつ、支持体13を安定に支持することができる。なお、外周支持部23の数は、ウエハ11を熱処理した後に冷却する際に、効率よく熱を逃がすという観点から、五個以下であることが好ましい。また、外周支持部23は、三つ又は四つであることがより好ましい。これにより、支持治具30を容易に製造することができる。また、積層体10を支持治具30に取り付けたり支持治具30から取り外したりすることが容易となる。
【0095】
外周支持部23は、支持部22とともに支持体13を支持することによって、支持体13を安定に支持することができるように配置されることが好ましい。支持体13を安定に支持するという観点からは、支持部22と外周支持部23との全てが一直線上に存在していないことが好ましい。
【0096】
例えば、支持部22と外周支持部23とは、被支持面13a内における任意の多角形の各頂点を支持するようになっていてもよい。また、支持部22と外周支持部23とは、それぞれ上述したような配置の支持点14又は15を支持するようになっていることが好ましい。これらの構成により、支持治具30は、支持体13を安定に支持することができる。
【0097】
〔高温処理方法〕
次に、本発明に係る高温処理方法の一実施形態について説明する。
【0098】
本実施形態に係る高温処理方法は、上述した支持方法を用いて、ウエハ11が貼り付けられている支持体13を支持した状態で、ウエハ11を高温処理する方法である。なお、「高温」とは、ここでは接着剤組成物が含有する樹脂成分のガラス転移点を超える温度を指し、具体的には70℃以上であればよく、好ましくは120℃以上、より好ましくは180℃以上、さらに好ましくは200℃以上の温度を指す。なお、高温という場合の上限は特に限定されないが、400℃以下、好ましくは350℃以下である。
【0099】
高温処理する方法としては、例えば上述した支持方法により支持された状態のウエハ11を、オーブンなどの加熱機器内に一定時間静置する方法などが挙げられる。
【0100】
上述した方法によってウエハ11を支持した状態で高温処理することにより、ウエハ11の反りの発生を防止することができる。したがって、その後のプロセスを効率よく進行させることができる。
【0101】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0102】
(接着剤組成物の調製方法)
樹脂として、シクロオレフィンコポリマー(「TOPAS」(商品名)8007、ポリプラスチックス社製)を用いた。この樹脂を、p−メンタンに、樹脂固形分濃度が25重量%となるように溶解し、また酸化防止剤IR1010(BASF社製)を樹脂固形分に対して5重量%となるように添加して、接着剤組成物を調製した。
【0103】
〔実施例1〕
本実施例では、支持体としてガラス基板を使用し、ウエハとして直径300mmのシリコンウエハを使用した。また、接着剤組成物として、上述した調製方法により調製した接着剤組成物を使用した。
【0104】
なお、本実施例及び実施例2において用いた支持治具の構成は、図1に示す支持治具と同様であるため、説明の便宜上、同一の機能を有する部材には同一の番号を付して説明する。
【0105】
まず、ウエハ11にスピンコートにより接着剤組成物を厚さ80μmになるように塗布し、100℃、160℃、220℃でベークして接着層12を形成させた。その後、接着層12の上に支持体13を160℃で貼り付け、積層体10を作製した。
【0106】
この積層体10におけるウエハ11を、バックグラインディングにより厚さ50μmにまで薄化させた。
【0107】
その後、この積層体10を、図5(a)に示す支持治具20Aと同じ構成の支持治具により支持した。すなわち、支持プレート21の中心点を共有する一つの同心円の円周上に、互いに等間隔で配置されている三つの支持部22を備えた支持治具20Aを用いて、支持体13の被支持面13aの内周部13aaにおいて三点支持した。
【0108】
なお、支持プレート21には、直径300.5mm、厚さ3mmの石英のプレートを用いた。支持部22が配置される同心円の直径は、150mm(支持プレート21の直径に対して50%)であった。支持部22は、高さが9mmであった。また、支持部22の胴体部分は、円柱形状であり、断面が直径6mmの円であった。支持部22の先端は、図12に示すような丸頭形状であった。
【0109】
この状態で、オーブン中で200℃、1時間の加熱工程を行なった後、オーブンのスイッチを切り、そのまま2時間冷却した。その後、積層体10の反り量を測定した。
【0110】
反り量は、積層体10を定盤上に置き、LK−G−30(キーエンス社製)を用いてウエハ11のX、Y面の任意の57点における変位量を計測することによって測定した。
【0111】
結果を表1に示す。なお、表1において各結果は、反り量が700μm未満の場合に「○」(反りが少なく良好)で表し、反り量が700μm以上の場合に「×」(反りが大きく不良)で表した。
【0112】
【表1】
【0113】
表1に示すように、本実施例では、反り量が少ないという結果が得られた。
【0114】
〔実施例2〕
本実施例では、実施例1と同様に積層体10を作製し、ウエハ11を薄化させた。その後、この積層体10を、支持部22が配置される同心円の直径が240mm(支持プレート21の直径に対して80%)である点以外は、実施例1で用いた支持治具と同様の構成の支持治具により支持した。この状態で、実施例1と同様に加熱工程を行なった後に冷却し、反り量を測定した。
【0115】
結果を表1に示す。表1に示すように、本実施例では、反り量が少ないという結果が得られた。
【0116】
〔実施例3〕
本実施例では、実施例1と同様に積層体10を作製し、ウエハ11を薄化させた。その後、この積層体10を、支持部22が配置される同心円の直径が270mm(支持プレート21の直径に対して90%)である点以外は、実施例1で用いた支持治具と同様の構成の支持治具により支持した。この状態で、実施例1と同様に加熱工程を行なった後に冷却し、反り量を測定した。
【0117】
結果を表1に示す。表1に示すように、本実施例では、反り量が少ないという結果が得られた。
【0118】
〔実施例4〕
本実施例では、実施例1と同様に積層体10を作製し、ウエハ11を薄化させた。その後、この積層体10を、支持部22が配置される同心円の直径が285mm(支持プレート21の直径に対して95%)である点以外は、実施例1で用いた支持治具と同様の構成の支持治具により支持した。この状態で、実施例1と同様に加熱工程を行なった後に冷却し、反り量を測定した。
【0119】
結果を表1に示す。表1に示すように、本実施例では、反り量が少ないという結果が得られた。
【0120】
〔実施例5〕
本実施例では、実施例1と同様に積層体10を作製し、ウエハ11を薄化させた。その後、この積層体10を、図10に示す支持治具20Fと同じ構成の支持治具により支持した。図10は、本発明に係る支持治具の一実施例の構成を示す平面図である。
【0121】
この支持治具20Fは、支持プレート21の中心点を共有する、半径の異なる2つの同心円(図中、点線で示す)のそれぞれの円周上に、それぞれ四つの支持部22が互いに等間隔で配置されていた。支持部22が配置される同心円の直径は、それぞれ150mm(支持プレート21の直径に対して50%)及び225mm(支持プレート21の直径に対して75%)であった。
【0122】
この状態で、実施例1と同様に加熱工程を行なった後に冷却し、反り量を測定した。
【0123】
結果を表1に示す。表1に示すように、本実施例では、反り量が少ないという結果が得られた。
【0124】
〔実施例6〕
本実施例では、実施例1と同様に積層体10を作製し、ウエハ11を薄化させた。その後、この積層体10を、図11に示す支持治具20Gと同じ構成の支持治具により支持した。図11は、本発明に係る支持治具の他の実施例の構成を示す平面図である。
【0125】
この支持治具20Gは、長方形の支持プレート21’と、三つの支持部22とを備えていた。支持プレート21’は、縦21aが200mm、横21bが300mmの長方形であった。三つの支持部22は、支持プレート21の対角線の交点を共有する一つの同心円(図中、点線で示す)の円周上に、互いに等間隔で配置されていた。支持部22が配置される同心円の直径は、150mm(支持プレート21の直径に対して50%)であった。
【0126】
この状態で、実施例1と同様に加熱工程を行なった後に冷却し、反り量を測定した。
【0127】
結果を表1に示す。表1に示すように、本実施例では、反り量が少ないという結果が得られた。
【0128】
〔実施例7〕
本実施例では、実施例1と同様に積層体10を作製し、ウエハ11を薄化させた。その後、この積層体10を、図8及び図9に示す支持治具30と同じ構成の支持治具により支持した。本実施例で用いた支持治具は、支持プレート21の中心点に配置されている一つの支持部22と、被支持面13aの外周部13abを支持する四つの外周支持部23とを備えていた。また、縦型ボート50としては、石英により構成されたボートを用いた。
【0129】
この状態で、実施例1と同様に加熱工程を行なった後に冷却し、反り量を測定した。
【0130】
結果を表1に示す。表1に示すように、本実施例では、反り量が少ないという結果が得られた。
【0131】
〔比較例1〕
本比較例では、実施例1と同様に積層体10を作製し、ウエハ11を薄化させた。その後、この積層体10を、従来の方法で支持した。
【0132】
本比較例において用いた支持治具130の構成を、図13(a)〜(b)及び図14に示す。図13(a)は、従来の支持治具の一例を示す正面図であり、図13(b)は、図13(a)に示す支持治具の要部を示す図である。また、図14は、図13(a)に示す支持治具の断面を模式的に示す図である。
【0133】
支持治具130は、石英により構成された縦型ボートであり、四本の支柱131と、支持体保持部132とを備えている。1つの支柱131には十個の支持体保持部132が形成されており、支持治具130は10枚の積層体10を保持することが可能である。
【0134】
積層体10が保持される内部領域の水平方向の幅130aは307.5mmであり、上下に隣り合った支持体保持部132の間隔130bは30mmである。また、支持治具130の底面を構成する石英板の厚さ130cは10mmである。
【0135】
また、支柱131の幅131aは15mmであり、支持体保持部132の垂直方向の厚さ132aは5mmであり、支持体保持部132の水平方向の長さ132bは10mmである。
【0136】
また、図14に示すように、支持治具130の水平方向の断面において、四本の支柱131のそれぞれに形成された四つの支持体保持部132は、支持治具130の外周に沿って非均等に配置されている。四つの支持体保持部132のうちの二つの位置は、支持治具130の中心点とのなす角が90°である。この二つの支持体保持部132を挟んで位置する他の二つの支持体保持部132の位置は、支持治具130の直径(図14中、符号「130a」を付した直径)に対して同じ方向に少しずれており、これらの支持体保持部132の位置と、当該直径との距離130dは、20mmである。この構成により、支持治具130の外周に沿って隣り合う支持体保持部132の間隔のうちの一つが、他の間隔よりも大きくなっている。
【0137】
上述した構成の支持治具130を用いて積層体10を支持した状態で、実施例1と同様に加熱工程を行なった後に冷却し、反り量を測定した。
【0138】
結果を表1に示す。表1に示すように、大きな反りが発生したことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明は、携帯電話、デジタルAV機器及びICカード等に搭載される半導体チップの製造に利用することができる。
【符号の説明】
【0140】
11 ウエハ
13 支持体(被支持基板)
13a 被支持面
13aa 内周部
13ab 外周部
14、15 支持点
20、20A〜H 支持治具
21、21’ 支持プレート
22 支持部
23 外周支持部
30 支持治具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハが貼り付けられている被支持基板を支持する支持方法であって、
上記被支持基板における上記ウエハが貼り付けられている面とは反対側の被支持面の内周部における少なくとも三点を支持点として、重力に抗して支持することを特徴とする支持方法。
【請求項2】
上記支持点のうちの少なくとも三点が、円形である上記被支持面の中心点を共有する一つの同心円の円周上に、互いに等間隔で位置することを特徴とする請求項1に記載の支持方法。
【請求項3】
ウエハが貼り付けられている被支持基板を支持する支持方法であって、
上記被支持基板における上記ウエハが貼り付けられている面とは反対側の被支持面の内周部における少なくとも一点と、被支持面の外周部における少なくとも二点とを支持点として、重力に抗して支持することを特徴とする支持方法。
【請求項4】
上記支持点のうちの一点が、円形である上記被支持面の中心点に位置することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の支持方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の支持方法を用いて上記被支持基板を支持した状態で、上記ウエハを高温処理することを特徴とする高温処理方法。
【請求項6】
被支持基板における被支持面に対向して配置されることにより、当該被支持基板を支持する支持治具であって、
支持プレートと、
上記支持プレート上に形成され、上記被支持面の内周部を重力に抗して支持する少なくとも三つの支持部とを備えていることを特徴とする支持治具。
【請求項7】
上記支持部のうちの少なくとも三つは、円形である上記被支持面の中心点を共有する一つの同心円の円周上に、互いに等間隔で位置する点を支持するようになっていることを特徴とする請求項6に記載の支持治具。
【請求項8】
被支持基板における被支持面に対向して配置されることにより、当該被支持基板を支持する支持治具であって、
支持プレートと、
上記支持プレート上に形成され、上記被支持面の内周部を重力に抗して支持する少なくとも一つの支持部と、
上記被支持面の外周部を重力に抗して支持する少なくとも二つの外周支持部とを備えていることを特徴とする支持治具。
【請求項9】
上記支持部のうちの一つは、円形である上記被支持面の中心点を支持するようになっていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の支持治具。
【請求項10】
上記支持部の先端は、上記被支持面と点接触する形状であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の支持治具。
【請求項1】
ウエハが貼り付けられている被支持基板を支持する支持方法であって、
上記被支持基板における上記ウエハが貼り付けられている面とは反対側の被支持面の内周部における少なくとも三点を支持点として、重力に抗して支持することを特徴とする支持方法。
【請求項2】
上記支持点のうちの少なくとも三点が、円形である上記被支持面の中心点を共有する一つの同心円の円周上に、互いに等間隔で位置することを特徴とする請求項1に記載の支持方法。
【請求項3】
ウエハが貼り付けられている被支持基板を支持する支持方法であって、
上記被支持基板における上記ウエハが貼り付けられている面とは反対側の被支持面の内周部における少なくとも一点と、被支持面の外周部における少なくとも二点とを支持点として、重力に抗して支持することを特徴とする支持方法。
【請求項4】
上記支持点のうちの一点が、円形である上記被支持面の中心点に位置することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の支持方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の支持方法を用いて上記被支持基板を支持した状態で、上記ウエハを高温処理することを特徴とする高温処理方法。
【請求項6】
被支持基板における被支持面に対向して配置されることにより、当該被支持基板を支持する支持治具であって、
支持プレートと、
上記支持プレート上に形成され、上記被支持面の内周部を重力に抗して支持する少なくとも三つの支持部とを備えていることを特徴とする支持治具。
【請求項7】
上記支持部のうちの少なくとも三つは、円形である上記被支持面の中心点を共有する一つの同心円の円周上に、互いに等間隔で位置する点を支持するようになっていることを特徴とする請求項6に記載の支持治具。
【請求項8】
被支持基板における被支持面に対向して配置されることにより、当該被支持基板を支持する支持治具であって、
支持プレートと、
上記支持プレート上に形成され、上記被支持面の内周部を重力に抗して支持する少なくとも一つの支持部と、
上記被支持面の外周部を重力に抗して支持する少なくとも二つの外周支持部とを備えていることを特徴とする支持治具。
【請求項9】
上記支持部のうちの一つは、円形である上記被支持面の中心点を支持するようになっていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の支持治具。
【請求項10】
上記支持部の先端は、上記被支持面と点接触する形状であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の支持治具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−182234(P2012−182234A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42954(P2011−42954)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】
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