説明

故障診断装置、回転角度検出装置および故障診断方法

【課題】故障検出を、故障検出専用の回路などを別に設けることなく行うことができる技術を提供する。
【解決手段】第2の歯車の回転角度を検出する第1の回転角度センサと、第3の歯車の回転角度を検出する第2の回転角度センサと、第1の回転角度センサが検出した第2の歯車の回転角度と第2の回転角度センサが検出した第3の歯車の回転角度との角度差に基づいて第2の回転軸の回転角度を演算する演算手段とを備える回転角度を検出する検出装置の故障を診断する故障診断装置であって、第1の回転角度センサが検出した第2の歯車の回転角度と第2の回転角度センサが検出した第3の歯車の回転角度とに基づいて、第2の歯車の回転角度と第3の歯車の回転角度との角度差が零となる交差角θKを算出し(S906)、交差角θKに基づいて故障を診断する(S907〜S910)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置の故障を診断する故障診断装置、回転角度検出装置および故障診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、360度を越えて回転可能な回転体の回転角度を検出する装置が提案されている。
例えば、特許文献1には、以下のように構成された回転角度検出装置が記載されている。すなわち、回転可能な回転体は、n個の歯が形成された歯車を有している。この歯車は、m個の歯を有している歯車とm+1個の歯を有している2つの歯車に係合されている。これら2つの歯車の角度ψとθは2つの周期的な角度センサを用いて測定される。この測定は接触式か又は非接触式に行われる。そして、これらの角度センサはそれぞれ電子評価回路に接続されており、この評価回路は、回転体の回転角度φの検出に必要な計算を行う。このように構成された回転角度検出装置において、いわゆる絶対値センサである2つの角度センサは、回転角度検出装置のスイッチオン直後に、スイッチオン時の2つの歯車の回転角度ψとθを供給する。これらの角度値、回転体の歯車の角度マークないし歯の数、および2つの歯車の角度マークないし歯の数により、回転体の角度φを検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3792718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転角度検出装置が、角度センサから送信される2つの歯車の回転角度のデータを基に、電子制御ユニット(ECU)にて回転体の回転角度を算出する構成である場合、2つの歯車、角度センサ、ハーネス、ECU側のインターフェース回路などの故障の検出はこの電子制御ユニットで行う必要がある。そして、この故障検出を、故障検出専用の回路などを別に設けることなく行うことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと、本発明は、回転体の回転に連動して回転する第1の従動体の回転角度を検出する第1の検出手段と、前記回転体の回転に連動して回転する第2の従動体の回転角度を検出する第2の検出手段と、前記第1の検出手段が検出した前記第1の従動体の回転角度と前記第2の検出手段が検出した前記第2の従動体の回転角度との角度差に基づいて前記回転体の回転角度を演算する演算手段とを備える前記回転体の回転角度を検出する検出装置の故障を診断する故障診断装置であって、前記第1の検出手段が検出した前記第1の従動体の回転角度と前記第2の検出手段が検出した前記第2の従動体の回転角度とに基づいて、当該第1の従動体の回転角度と当該第2の従動体の回転角度との角度差が零となる零回転角度を演算する零回転角度演算手段と、前記零回転角度演算手段が演算した零回転角度に基づいて前記検出装置の故障を診断する故障診断手段とを備えることを特徴とする故障診断装置である。
【0006】
ここで、前記零回転角度演算手段は、前記回転体の回転角度から逆算した前記第1の従動体の回転角度と、前記第1の検出手段が検出した当該第1の従動体の回転角度とに基づいて前記零回転角度を演算することが好適である。
また、前記零回転角度演算手段は、前記回転体の回転角度から逆算した前記第2の従動体の回転角度と、前記第2の検出手段が検出した当該第2の従動体の回転角度とに基づいて前記零回転角度を演算することが好適である。
また、前記故障診断手段は、前記零回転角度演算手段が演算した零回転角度が許容範囲外である状態が予め定められた期間継続した場合に前記検出装置に故障が生じていると判断することが好適である。
【0007】
他の観点から捉えると、本発明は、回転体の回転角度を検出する回転角度検出装置であって、前記回転体の回転に連動して回転する第1の従動体の回転角度を検出する第1の検出手段と、前記回転体の回転に連動して回転する第2の従動体の回転角度を検出する第2の検出手段と、前記第1の検出手段が検出した前記第1の従動体の回転角度と前記第2の検出手段が検出した前記第2の従動体の回転角度との角度差に基づいて前記回転体の回転角度を演算する演算手段と、前記第1の検出手段が検出した前記第1の従動体の回転角度と前記第2の検出手段が検出した前記第2の従動体の回転角度とに基づいて、当該第1の従動体の回転角度と当該第2の従動体の回転角度との角度差が零となる零回転角度を演算する零回転角度演算手段と、前記零回転角度演算手段が演算した前記零回転角度に基づいて故障を診断する故障診断手段と、を備えることを特徴とする回転角度検出装置である。
【0008】
ここで、前記零回転角度演算手段は、前記演算手段が演算した前記回転体の回転角度から逆算した前記第1の従動体の回転角度と、前記第1の検出手段が検出した当該第1の従動体の回転角度とに基づいて前記零回転角度を演算することが好適である。
また、前記零回転角度演算手段は、前記演算手段が演算した前記回転体の回転角度から逆算した前記第2の従動体の回転角度と、前記第2の検出手段が検出した当該第2の従動体の回転角度とに基づいて前記零回転角度を演算することが好適である。
【0009】
また、前記故障診断手段は、前記零回転角度演算手段が演算した零回転角度が許容範囲外である状態が予め定められた期間継続した場合に故障が生じていると判断することが好適である。
また、前記回転体は歯車を有し、前記第1の従動体は第1の従動歯車を有し、前記第2の従動体は前記第1の従動歯車の歯数とは異なる歯数を有する第2の従動歯車を有し、前記第1の従動体および前記第2の従動体は、前記第1の従動歯車および前記第2の従動歯車が前記歯車により回転力が付与されることにより前記回転体の回転に連動して回転することが好適である。
【0010】
また、他の観点から捉えると、本発明は、回転体の回転に連動して回転する第1の従動体の回転角度を検出する第1の検出手段と、前記回転体の回転に連動して回転する第2の従動体の回転角度を検出する第2の検出手段と、前記第1の検出手段が検出した前記第1の従動体の回転角度と前記第2の検出手段が検出した前記第2の従動体の回転角度との角度差に基づいて前記回転体の回転角度を演算する演算手段とを備える前記回転体の回転角度を検出する検出装置の故障を診断する故障診断方法であって、前記第1の検出手段が検出した前記第1の従動体の回転角度と前記第2の検出手段が検出した前記第2の従動体の回転角度とに基づいて、当該第1の従動体の回転角度と当該第2の従動体の回転角度との角度差が零となる零回転角度を演算し、演算した零回転角度に基づいて前記検出装置の故障を診断することを特徴とする故障診断方法である。
【0011】
ここで、前記回転体の回転角度から逆算した前記第1の従動体の回転角度と、前記第1の検出手段が検出した当該第1の従動体の回転角度とに基づいて前記零回転角度を演算することが好適である。
また、前記回転体の回転角度から逆算した前記第2の従動体の回転角度と、前記第2の検出手段が検出した当該第2の従動体の回転角度とに基づいて前記零回転角度を演算することが好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、故障検出を、故障検出専用の回路などを別に設けることなく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態に係る検出装置を適用した電動パワーステアリング装置の断面図である。
【図2】実施の形態に係る検出装置の斜視図である。
【図3】第2の回転軸の回転角度と、第2の歯車,第3の歯車の回転角度との関係を示す図である。
【図4】ECUが行う第2の回転軸の回転角度演算処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】第2の歯車の回転角度と第3の歯車の回転角度との関係を例示した図である。
【図6】第2の歯車の回転角度が第3の歯車の回転角度に対して20度進角した状態で組み付けられた場合の、第2の歯車の回転角度と第3の歯車の回転角度との関係を示す図である。
【図7】第2の歯車の回転角度が第3の歯車の回転角度に対して20度進角した状態で組み付けられた場合の、第2の回転軸の回転角度と、第2の歯車,第3の歯車の回転角度との関係を示す図である。
【図8】交差角を120度とした場合の、第2の歯車の回転角度と第2の歯車の累積の回転角度とを示す図である。
【図9】ECUが行う故障診断処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】ECUが行う故障診断処理の他の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(実施の形態)について詳細に説明する。
図1は、実施の形態に係る検出装置1を適用した電動パワーステアリング装置100の断面図である。図2は、実施の形態に係る検出装置1の斜視図である。なお、図2においては、構成を分かり易くするために後述するフラットケーブルカバー50およびベース60の一部は省略して示している。
【0015】
検出装置1は、ハウジング110に回転可能に支持された第1の回転軸120と、同じくハウジング110に回転可能に支持された回転体の一例としての第2の回転軸130との相対角度を検出すると共に第2の回転軸130の回転角度を検出する装置である。
ハウジング110は、例えば自動車などの乗り物の本体フレーム(以下、「車体」と称する場合もある。)に固定される部材であり、第1ハウジング111と第2ハウジング112とが、例えばボルトなどにより結合されて構成される。
第1の回転軸120は、例えばステアリングホイールが連結される回転軸であり、軸受113を介して第1ハウジング111に回転可能に支持されている。
【0016】
第2の回転軸130は、トーションバー140を介して第1の回転軸120に同軸的に結合されていると共に軸受114を介して第2ハウジング112に回転可能に支持されている。また、第2の回転軸130に形成されたピニオン131が、車輪に連結されるラック軸(不図示)のラック(不図示)と噛み合っている。そして、第2の回転軸130の回転運動がピニオン131,ラックを介してラック軸の直線運動に変換され、車輪が操舵される。
また、第2の回転軸130には、例えば圧入などによりウォームホイール150が固定されている。このウォームホイール150は、第2ハウジング112に固定された電動モータ160の出力軸に連結されたウォームギヤ161と噛み合っている。
【0017】
以上のように構成された電動パワーステアリング装置100は、ステアリングホイールに加えられた操舵トルクを検出装置1にて検出し、その検出トルクに基づいて電動モータ160を駆動し、電動モータ160の発生トルクをウォームギヤ161、ウォームホイール150を介して第2の回転軸130に伝達する。これにより、電動モータ160の発生トルクが、ステアリングホイールに加える運転者の操舵力をアシストする。
【0018】
以下に、検出装置1について詳述する。
検出装置1は、第1の回転軸120に取り付けられる第1の磁石10と、ハウジング110に固定される第1の歯車20と、を有している。また、検出装置1は、第2の回転軸130の回転に伴い、第2の回転軸130の軸心を回転中心として公転しつつ第1の歯車20と噛み合って自転する第1の従動歯車の一例としての第2の歯車30を有する。また、検出装置1は、第2の回転軸130の回転に伴い、第2の回転軸130の軸心を回転中心として公転しつつ第1の歯車20と噛み合って自転し、第2の歯車30の歯数とは異なる歯数の第3の歯車40を有する。この第3の歯車40は、第2の従動歯車の一例である。
【0019】
第1の磁石10は、ドーナツ状であり、その内側に第1の回転軸120が嵌合され、第1の回転軸120と共に回転する。そして、少なくとも外周面に、N極およびS極が交互に配置されている。
第1の歯車20は、フラットケーブルカバー50の上部の内周面の全周に設けられた歯車である。フラットケーブルカバー50が、ハウジング110の第2ハウジング112に固定されることで、第1の歯車20は、ハウジング110に固定される。
【0020】
フラットケーブルカバー50をハウジング110に固定する態様としては、以下の態様を例示することができる。すなわち、フラットケーブルカバー50の外周面に、周方向に等間隔に複数個(本実施の形態においては90度間隔に4個)の凸部50aを、外側に延出するように形成する。一方、ハウジング110の第2ハウジング112に、凸部50aが嵌合される凹部112aを、凸部50aと同数個形成する。そして、フラットケーブルカバー50の凸部50aを第2ハウジング112に形成した凹部112aに嵌合することで、第2の回転軸130の回転方向の位置決めを行う。そして、第1ハウジング111でフラットケーブルカバー50の上面を押さえることで第2の回転軸130の軸方向の位置決めを行う。
【0021】
検出装置1は、第2の回転軸130に固定されて、第2の回転軸130と共に回転するベース60を有している。そして、第2の歯車30および第3の歯車40が、ベース60に回転可能に支持されている。言い換えれば、第2の歯車30および第3の歯車40は、ハウジング110に固定されるフラットケーブルカバー50に対して、第2の回転軸130の軸心を回転中心として回転可能に設けられている。
第2の歯車30の内側には、半円柱状のN極と半円柱状のS極とを有する円柱状の第2の磁石30aが例えばインサート成形により装着されている。また、第3の歯車40の内側には、同じく半円柱状のN極と半円柱状のS極とを有する円柱状の第3の磁石40aが例えばインサート成形により装着されている。これら第2の歯車30と第2の磁石30aとで第1の従動体の一例を構成し、第3の歯車40と第3の磁石40aとで第2の従動体の一例を構成する。
【0022】
第2の歯車30を、ベース60に回転可能に支持する態様としては、以下の態様を例示することができる。図1に示すように、ベース60に円柱状の凹部60aを設け、凹部60aにベアリング61を装着する。他方、第2の歯車30の下面に円柱状の凸部30bを設ける。そして、第2の歯車30の凸部30bを、ベアリング61の内周面に嵌合する。または、第2の歯車30の回転中心部に、つまり第2の磁石30aの中心部に非磁性体の回転軸を設け、この回転軸をベース60に設けた軸受け(例えば、ベアリング)に嵌合してもよい。第3の歯車40も上述した態様でベース60に回転可能に支持する。
【0023】
ベース60には、配線パターン(不図示)が形成されたプリント基板70が、第2の歯車30および第3の歯車40との間で所定の間隙を形成するように、例えばネジ止めなどにより装着されている。言い換えれば、プリント基板70は、ハウジング110に固定されるフラットケーブルカバー50に対して、第2の回転軸130の軸心を回転中心として回転可能に設けられている。
プリント基板70には、図1,2に示すように、第1の回転軸120の半径方向には第1の磁石10の外周面の外側であり、第1の回転軸120の軸方向には第1の磁石10が設けられた領域内となるように相対角度センサ71が装着されている。本実施の形態に係る相対角度センサ71は、磁界によって抵抗値が変化することを利用した磁気センサであるMRセンサ(磁気抵抗素子)であることを例示することができる。そして、この相対角度センサ71が、第1の磁石10から発生される磁界に基づいて第1の回転軸120と第2の回転軸130との相対角度を検出する相対角度検出手段を構成する。
【0024】
また、プリント基板70には、第2の磁石30aの中央部と対向する位置に、第2の磁石30aとの間で所定の間隙を形成するように第1の検出手段の一例としての第1の回転角度センサ72が装着されている。また、プリント基板70には、第3の磁石40aの中央部と対向する位置に、第3の磁石40aとの間で所定の間隙を形成するように第2の検出手段の一例としての第2の回転角度センサ73が装着されている。本実施の形態に係る第1,2の回転角度センサ72,73も、MRセンサ(磁気抵抗素子)であることを例示することができる。そして、この第1,2の回転角度センサ72,73が、第2の歯車30の自転の角度と第3の歯車40の自転の角度とに基づいて第2の回転軸130の回転角度を検出する回転角度検出手段を構成する。
【0025】
また、プリント基板70には、配線パターンと電気的に接続されたコネクタ74が取り付けられており、このコネクタ74には、フラットケーブル80の一方の先端部に設けられたコネクタ(不図示)が接続されている。フラットケーブル80は、図2に示すように、ベース60の下方であってフラットケーブルカバー50の内側で渦状に巻かれている。そして、フラットケーブル80の一方の先端部は、ベース60に形成された孔を介してベース60の上方のコネクタ74に接続されている。また、フラットケーブル80の他方の先端部は、フラットケーブルカバー50に形成された孔を介してフラットケーブルカバー50の内部から外部へ出され、フラットケーブルカバー50の外側で、例えば電動パワーステアリング装置100の制御を行う電子制御ユニット(ECU)(不図示)のプリント基板(制御基板)に設けられたコネクタ(不図示)に接続される。
【0026】
また、検出装置1は、相対角度センサ71の検出値を基に第1の回転軸120と第2の回転軸130との相対角度を演算する相対角度演算手段(不図示)と、第1,第2の回転角度センサ72,73の検出値を基に第2の回転軸130の回転角度を演算する回転角度演算手段(不図示)と、を備えている。相対角度演算手段は、上述した相対角度検出手段を構成し、回転角度演算手段は上述した回転角度検出手段を構成する。そして、これらの演算手段は、プリント基板70とは別にフラットケーブルカバー50の外側に設けたプリント基板(例えば上述したECUに設けられた基板)に装着してもよいし、プリント基板70に装着してもよい。
【0027】
演算手段を、プリント基板70とは別のプリント基板に装着する場合には、相対角度センサ71および第1,2の回転角度センサ72,73の検出値は、フラットケーブル80を介して演算手段に出力されるようにする。また、演算手段を、プリント基板70に装着する場合には、演算手段にて相対角度センサ71および第1,2の回転角度センサ72,73の検出値に基づいて相対角度あるいは回転角度を演算した後に、演算した結果を、フラットケーブル80を介してECUに出力する。
【0028】
次に、回転角度演算手段がECUに設けられているものとして、第2の回転軸130の回転角度を検出する態様について詳細に説明する。
図3は、第2の回転軸130の回転角度と、第2の歯車30,第3の歯車40の回転角度との関係を示す図である。
第1の歯車20の歯数は、例えば90個、第2の歯車30の歯数は、例えば36個、第3の歯車40の歯数は、例えば39個である。そして、これら第1の歯車20の歯数と第2の歯車30の歯数との関係、第1の歯車20の歯数と第3の歯車40の歯数との関係を考慮すると共に、第2の歯車30の歯数と第3の歯車40の歯数とが異なる点を考慮すると、図3に示すような、第2の回転軸130の回転角度と、第2の歯車30,第3の歯車40の回転角度との関係を示す図を得ることができる。
【0029】
第1の回転角度センサ72および第2の回転角度センサ73は、それぞれ、例えば、検出した第2の歯車30または第3の歯車40の回転角度に応じたデューティ比を有するパルス幅変調信号PWMを予め定められた周期で出力する。
そして、ECUは、第1の回転角度センサ72および第2の回転角度センサ73からの出力値に基づいて、言い換えれば第1の回転角度センサ72および第2の回転角度センサ73により入力された検出結果に基づいて第2の回転軸130の回転角度を演算する。
【0030】
ECUは、CPU、ROM、RAM、バックアップRAMなどからなる算術論理演算回路であり、予め定められた周期で、キャプチャ・レジスタに取り込んだ、最新のパルス幅変調信号PWMのONパルスの時間を読み込み、この時間および周期に基づいて第2の回転軸130の回転角度を演算する演算処理を行う。
以下、フローチャートを用いて、ECUが行う第2の回転軸130の回転角度演算処理について説明する。
図4は、ECUが行う第2の回転軸130の回転角度演算処理の手順を示すフローチャートである。ECUは、予め定められた周期にてこの回転角度演算処理を行う。
【0031】
ECUは、先ず、第2の歯車30の回転角度θAを算出する(ステップ401)。これは、キャプチャ・レジスタに取り込んだ最新の第2の歯車30の回転角度に応じたPWM信号のON時間と周期に基づいて算出する処理である。
ECUは、次に、第3の歯車40の回転角度θBを算出する(ステップ402)。これは、キャプチャ・レジスタに取り込んだ最新の第3の歯車40の回転角度に応じたPWM信号のON時間と周期に基づいて算出する処理である。
【0032】
次に、ECUは、第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとの角度差ΔθABを算出する(ステップ403)。これは、ステップ401にて算出された回転角度θAからステップ402にて算出された回転角度θBを減算することにより算出する処理である(ΔθAB=θA−θB)。
その後、ECUは、ステップ403にて算出した角度差ΔθABが0度(deg)よりも小さいか否かを判別する(ステップ404)。そして、ステップ404にて肯定判定した場合には、ステップ403にて算出した角度差ΔθABに360度を加算した値をΔθABに置き換え(ΔθAB←ΔθAB+360)(ステップ405)、ステップ406へ進む。他方、ステップ404にて否定判定した場合には、ステップ406へ進む。
【0033】
そして、ステップ406において、第2の回転軸130の回転角度φを算出する(ステップ406)。これは、以下の式(1)により算出する処理である。
φ=ΔθAB×K1・・・(1)
ここで、K1は、第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとの角度差ΔθABを第2の回転軸130の回転角度φに変換する係数であり、第1の歯車20の歯数、第2の歯車30の歯数、第3の歯車40の歯数、第1の回転角度センサ72および第2の回転角度センサ73の検出角度である360度に依存する係数である。
このようにして、ECUは、第2の回転軸130の回転角度φを算出する。
【0034】
次に、以上のように構成された検出装置1を構成する、第1の歯車20、第2の歯車30、第3の歯車40、第1の回転角度センサ72、第2の回転角度センサ73などに故障が生じたか否かを診断する故障診断装置について説明する。
本実施の形態に係る故障診断装置は、検出装置1を乗り物に組み付けた時に固定される第2の歯車30および第3の歯車40の回転角度θA,θBと、第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとの角度差ΔθABとに基づいて故障を診断する。
【0035】
以下、より具体的に説明する。上述したように、本実施の形態に係る検出装置1は、第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとの角度差ΔθABに基づいて第2の回転軸130の回転角度φを検出する装置であるため、検出可能な第2の回転軸130の回転角度φの範囲内では、第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとが等しくなるポイント(回転角度)は1点しか存在しない。このポイント(回転角度)は、設計レイアウトや組み付け精度によって定まり、検出装置1を乗り物に組み付けた後は、検出装置1が正常に作動する限り変化することがない。かかる点に着目し、本実施の形態に係る故障診断装置においては、定期的に、第1の回転角度センサ72および第2の回転角度センサ73からの出力値に基づいて第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとが等しくなる回転角度(以下、「交差角θK」と称する場合もある。)を算出し、この交差角θKの変化に基づいて故障を診断する。つまり、交差角θKの変化が大きい場合には、第1の歯車20あるいは第2の歯車30の固着などの回転不良、第1の回転角度センサ72あるいは第2の回転角度センサ73の故障などのセンシング不良、第1の回転角度センサ72あるいは第2の回転角度センサ73からの信号の伝達不良などが発生し、検出装置1に故障が発生しているものと判断する。
【0036】
なお、交差角θKは、言い換えれば、第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとの角度差ΔθABが零となる零回転角度である。
また、本実施の形態に係る故障診断装置は、交差角θKを演算し、この交差角θKの変化に基づいて故障を診断するものであり、上述した演算手段と同様に、ECUに備えられていてもよいし、プリント基板70に備えられていてもよい。
【0037】
以下に、第1の歯車20の歯数が90個、第2の歯車30の歯数が36個、第3の歯車40の歯数が39個であることを前提として説明する。
図5は、第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとの関係を例示した図である。横軸に第2の歯車30の回転角度θAを、縦軸に第3の歯車40の回転角度θBを取り、第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとの関係を細線で示している。この細線を見ると、例えば、第3の歯車40の回転角度θBが零度である場合には、第2の歯車30の回転角度θAが、30度、60度、90度、120度、150度、180度、210度、240度、270度、300度、330度となり得ることを示している。
【0038】
また、第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとが等しくなる線を太線で示している。
そして、図5に例示した、第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとの関係では、細線と太線とが交わるポイント(回転角度)は零(360)度である。このことは、第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとが零(360)度であるときに、唯一第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとが等しくなることを示しており、かかる場合には、零度(360度)が上述した交差角θKとなる。
なお、図3に示した、第2の回転軸130の回転角度と、第2の歯車30,第3の歯車40の回転角度との関係は、この交差角θKが零度(360度)である場合の関係を示した図である。
【0039】
ところで、設計レイアウトでは、第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとが等しくなるポイント(回転角度)が零度、つまり設計段階の交差角θKが零度となるように設計されたとしても、検出装置1を乗り物に組み付けた後の交差角θKが零度とならない場合がある。これは、第2の歯車30、第3の歯車40などの製品の寸法バラツキや検出装置1の電動パワーステアリング装置100への組み付け精度の悪さに起因するものである。
【0040】
図6は、第2の歯車30の回転角度θAが第3の歯車40の回転角度θBに対して20度進角した状態で組み付けられた場合の、第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとの関係を示す図である。図7は、第2の歯車30の回転角度θAが第3の歯車40の回転角度θBに対して20度進角した状態で組み付けられた場合の、第2の回転軸130の回転角度と、第2の歯車30,第3の歯車40の回転角度との関係を示す図である。
【0041】
図6には、第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとが等しくなる線である太線と、第2の歯車30の回転角度θAが第3の歯車40の回転角度θBに対して20度進角した状態で組み付けられた場合の、第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとの関係を示す細線とが交わるポイント(回転角度)、つまり交差角θKが120度となることを示している。
【0042】
このように、検出装置1を乗り物に組み付けた後には、設計段階の交差角θKからずれるおそれがある。しかしながら、組み付けた後は、検出装置1が正常に作動する限り、交差角θKが変化することはない。
そこで、本実施の形態に係る故障診断装置においては、検出装置1を乗り物に組み付けた後、その乗り物がユーザに使用される前の段階の、好ましくは検出装置1を乗り物に組み付けた直後の、交差角(以下、「初期交差角θK0」という。)を認識する。そして、定期的に、第1の回転角度センサ72および第2の回転角度センサ73からの出力値に基づいて交差角θKを算出し、この算出した交差角θKと初期交差角θK0とに基づいて故障を診断する。
【0043】
以下に、故障診断装置がECUに設けられているものとして、第1の回転角度センサ72および第2の回転角度センサ73からの出力値に基づいて交差角θKを算出する手法について説明する。
図8は、交差角θKを120度とした場合の、第2の歯車30の回転角度θAと第2の歯車30の累積の回転角度θLAとを示す図である。
図8を見ても分かるとおり、第2の歯車30の累積の回転角度θLAは、以下の式(2)により算出することができる。
θLA=360×n+θA−θK・・・(2)
nは、第2の歯車30の、360度→0度のまたぎ回数である。図8ではn=2である場合を示している。
【0044】
また、同様に、第3の歯車40の累積の回転角度θLBは、以下の式(3)により算出することができる。
θLB=360×m+θB−θK・・・(3)
mは、第3の歯車40の、360度→0度のまたぎ回数である。
【0045】
一方、第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとの角度差ΔθABと、第2の歯車30の累積の回転角度θLAとの関係は、以下の式(4)の関係となる。
θLA=ΔθAB×K1×KA・・・(4)
ここで、KAは、第2の歯車30の減速比であり、第1の歯車20の歯数を第2の歯車30の歯数で除した値(=第1の歯車20の歯数/第2の歯車30の歯数)である。
【0046】
また、第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとの角度差ΔθABと、第3の歯車40の累積の回転角度θLBとの関係は、以下の式(5)の関係となる。
θLB=ΔθAB×K1×KB・・・(5)
ここで、KBは、第3の歯車40の減速比であり、第1の歯車20の歯数を第3の歯車40の歯数で除した値(=第1の歯車20の歯数/第3の歯車40の歯数)である。
【0047】
上記式(2)および式(4)により、
360×n+θA−θK=ΔθAB×K1×KA
が成り立ち、この式を整理すると、
θK=360×n+θA−ΔθAB×K1×KAであり、
θK=360×n−(ΔθAB×K1×KA−θA)・・・(6)
となる。
同様に、上記式(3)および式(5)により、
θK=360×m−(ΔθAB×K1×KB−θB)・・・(7)
となる。
【0048】
ただし、式(6)において、故障診断装置を備えるECUの起動直後等、交差角θKからの360度→0度またぎ回数である上述した、nを特定できない場合を考慮し、式(6)の「ΔθAB×K1×KA−θA」を360で除算した場合の余りを、360から減算することで交差角θKを算出する。つまり、以下の式(8)により交差角θKを算出する。
θK=360−MOD{(360+ΔθAB×K1×KA−θA),360}・・・(8)
なお、MOD{X,Y}は、XをYで除算した場合の余りのことである。
同様に、式(7)を変形した、以下の式(9)により交差角θKを算出してもよい。
θK=360−MOD{(360+ΔθAB×K1×KB−θB),360}・・・(9)
【0049】
そして、故障診断装置は、上述した式(8)あるいは式(9)を用いて算出した交差角θKが許容範囲外の状態を予め定められた期間継続した場合に、検出装置1に故障が生じているものと判断する。
なお、許容範囲は、初期交差角θK0に基づいて定めることが好適である。例えば、初期交差角θK0±α度内を許容範囲内とし、算出した交差角θKが初期交差角θK0±α度の範囲外の状態を予め定められた期間継続した場合に、検出装置1に故障が生じているものと判断する。その際、初期交差角θK0が零度である場合は360度として用いる。
【0050】
以下、フローチャートを用いて、故障診断装置の一例としてのECUが行う故障診断処理について説明する。
図9は、ECUが行う故障診断処理の手順を示すフローチャートである。ECUは、予め定められた周期にてこの故障診断処理を行う。なお、回転角度演算処理と同じ周期でこの故障診断処理を行うことが好適である。
【0051】
ECUは、先ず、第2の歯車30の回転角度θAを算出する(ステップ901)。これは、上述した回転角度演算処理におけるステップ401と同じ処理である。なお、回転角度演算処理におけるステップ401にて算出した第2の歯車30の回転角度θAをRAMに記憶しておき、ここではRAMに記憶した値を読み込むようにしてもよい。
【0052】
ECUは、次に、第3の歯車40の回転角度θBを算出する(ステップ902)。これは、上述した回転角度演算処理におけるステップ402と同じ処理である。なお、回転角度演算処理におけるステップ402にて算出した第3の歯車40の回転角度θBをRAMに記憶しておき、ここではRAMに記憶した値を読み込むようにしてもよい。
【0053】
次に、ECUは、第2の歯車30の回転角度θAと第3の歯車40の回転角度θBとの角度差ΔθABを算出する(ステップ903)。これは、ステップ901にて算出された回転角度θAからステップ902にて算出された回転角度θBを減算することにより算出する処理であり、上述した回転角度演算処理におけるステップ403と同じ処理である。
【0054】
その後、ECUは、ステップ903にて算出した角度差ΔθABが0度(deg)よりも小さいか否かを判別する(ステップ904)。そして、ステップ904にて肯定判定した場合には、ステップ903にて算出した角度差ΔθABに360度を加算した値をΔθABに置き換え(ΔθAB←ΔθAB+360)(ステップ905)、ステップ906へ進む。他方、ステップ904にて否定判定した場合には、ステップ906へ進む。
なお、ステップ903〜905の代わりに、RAMに記憶した、回転角度演算処理で算出した最終的な角度差ΔθABを読み込むようにしてもよい。
【0055】
そして、ステップ906において、交差角θKを算出する(ステップ906)。これは、上述した式(8)あるいは式(9)により算出する処理である。つまり、式(8)に、ステップ901にて算出した回転角度θA、ステップ903あるいはステップ905にて算出した角度差ΔθABを代入することにより算出する処理である。あるいは、式(9)に、ステップ902にて算出した回転角度θB、ステップ903あるいはステップ905にて算出した角度差ΔθABを代入することにより算出する処理である。
【0056】
そして、ECUは、ステップ906において算出した交差角θKが許容範囲内か否かを判別する(ステップ907)。そして、ステップ907にて否定判定した場合には、カウント値Cnを1つ加算する(Cn←Cn+1)(ステップ908)。その後、カウント値Cnが予め定められた値CT以上であるか否かを判別する(ステップ909)。そして、ステップ909にて肯定判定した場合には、交差角θKが許容範囲外の状態を予め定められた期間継続したとして、検出装置1に故障が生じていると判断する(ステップ910)。他方、ステップ909にて否定判定した場合には、未だ予め定められた期間継続していないとして故障診断処理を終了する。
一方、ステップ907にて肯定判定、つまり交差角θKは許容範囲内であると判定した場合には、カウント値Cnを零にし(Cn←0)(ステップ911)、故障診断処理を終了する。
【0057】
かかる処理により、故障診断装置は、算出した交差角θKに基づいて検出装置1に故障が生じているか否かを診断することができる。そして、このように、故障診断装置が算出した交差角θKに基づいて、ひいては第2の回転軸130の回転角度φを算出するのに用いる第1の回転角度センサ72および第2の回転角度センサ73からの出力値に基づいて検出装置1に故障が生じているか否かを診断することができるので、故障診断専用の回路などを別に設けることなく故障が生じているか否かを診断することができる。
なお、故障診断装置の一例としてのECUが上述したステップ906の処理を行うことにより、ECUは、零回転角度演算手段の一例であり、上述したステップ907〜910の処理を行うことにより、ECUは、故障診断手段の一例である。
【0058】
なお、上述した、故障診断処理においては、算出した交差角θKが、初期交差角θK0に基づいて定められた許容角度の範囲外の状態を予め定められた期間継続した場合(予め定められた周期でカウントされるカウント値Cnが予め定められた値CT以上となった場合)に、検出装置1に故障が生じていると判断するが、かかる態様に限定されない。
例えば、算出した交差角θKと初期交差角θK0との偏差が、予め定められた偏差の上限値以上となる状態が予め定められた期間継続した場合に、検出装置1に故障が生じていると判断してもよい。
【0059】
また、交差角θKの変化量が予め定められた範囲内にある状態の最新の交差角θKを変化量判定の基準点とし、その基準点からの交差角θKの変化量が予め定められた値以上の状態を一定期間継続した場合に、検出装置1に故障が生じていると判断してもよい。以下、より具体的に説明する。
図10は、故障診断装置の一例としてのECUが行う故障診断処理の他の手順を示すフローチャートである。ECUは、予め定められた周期にて、この手順に従って故障診断処理を行ってもよい。以下では、図9に示したフローチャートにおける手順と異なる点について主に述べ、同じ処理については同じステップ番号を付してその詳細な説明は省略する。
【0060】
ステップ906において、交差角θKを算出した後、交差角θKの基準角θCPに対する変化量ΔθKを算出する(ΔθK=θK−θCP)(ステップ1012)。基準角θCPは、算出した交差角θKを基に故障が生じているか否かを判断する際に基準となる角度であり、基準角θCPの初期値としては、初期交差角θK0を用いることが好ましい。
【0061】
そして、変化量ΔθKの絶対値が予め定められた、許容可能な変化量の上限値θU以上であるか否かを判別する(ステップ1007)。そして、肯定判定された場合には、図10に示すようにステップ908以降の処理を実行する。他方、ステップ1007にて否定判定された場合には、カウント値Cnを零にし(Cn←0)(ステップ911)、ステップ906において算出した交差角θKを、基準角θCPに置換する(θCP←θK)(ステップ1013)。
【0062】
これにより、次回以降の故障診断処理において、今回算出され、許容可能な状態にある交差角θKを基準として、故障診断がなされることとなる。そして、かかる態様でも、故障診断装置は、算出した交差角θKに基づいて検出装置1に故障が生じているか否かを精度高く診断することが可能となる。
【0063】
なお、上述した実施の形態においては、検出装置1の故障を診断する故障診断装置が検出装置1とは別に存在するように述べているが、故障診断機能を備えた検出装置1と捉えてもよいことは言うまでもない。つまり、図4のフローチャートを用いて説明した回転角度演算処理、および図9あるいは図10のフローチャートを用いて説明した故障診断処理を行う例えばECU、第1の歯車20、第2の歯車30、第1の回転角度センサ72、第2の回転角度センサ73などを含めて検出装置1として捉え、故障診断機能を備えた検出装置と解してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…検出装置、10…第1の磁石、40…第3の歯車、50…フラットケーブルカバー、60…ベース、70…プリント基板、71…相対角度センサ、72…第1の回転角度センサ、73…第2の回転角度センサ、80…フラットケーブル、100…電動パワーステアリング装置、110…ハウジング、120…第1の回転軸、130…第2の回転軸、140…トーションバー、150…ウォームホイール、160…電動モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体の回転に連動して回転する第1の従動体の回転角度を検出する第1の検出手段と、
前記回転体の回転に連動して回転する第2の従動体の回転角度を検出する第2の検出手段と、
前記第1の検出手段が検出した前記第1の従動体の回転角度と前記第2の検出手段が検出した前記第2の従動体の回転角度との角度差に基づいて前記回転体の回転角度を演算する演算手段と
を備える前記回転体の回転角度を検出する検出装置の故障を診断する故障診断装置であって、
前記第1の検出手段が検出した前記第1の従動体の回転角度と前記第2の検出手段が検出した前記第2の従動体の回転角度とに基づいて、当該第1の従動体の回転角度と当該第2の従動体の回転角度との角度差が零となる零回転角度を演算する零回転角度演算手段と、
前記零回転角度演算手段が演算した零回転角度に基づいて前記検出装置の故障を診断する故障診断手段と
を備えることを特徴とする故障診断装置。
【請求項2】
前記零回転角度演算手段は、前記回転体の回転角度から逆算した前記第1の従動体の回転角度と、前記第1の検出手段が検出した当該第1の従動体の回転角度とに基づいて前記零回転角度を演算することを特徴とする請求項1に記載の故障診断装置。
【請求項3】
前記零回転角度演算手段は、前記回転体の回転角度から逆算した前記第2の従動体の回転角度と、前記第2の検出手段が検出した当該第2の従動体の回転角度とに基づいて前記零回転角度を演算することを特徴とする請求項1に記載の故障診断装置。
【請求項4】
前記故障診断手段は、前記零回転角度演算手段が演算した零回転角度が許容範囲外である状態が予め定められた期間継続した場合に前記検出装置に故障が生じていると判断することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の故障診断装置。
【請求項5】
回転体の回転角度を検出する回転角度検出装置であって、
前記回転体の回転に連動して回転する第1の従動体の回転角度を検出する第1の検出手段と、
前記回転体の回転に連動して回転する第2の従動体の回転角度を検出する第2の検出手段と、
前記第1の検出手段が検出した前記第1の従動体の回転角度と前記第2の検出手段が検出した前記第2の従動体の回転角度との角度差に基づいて前記回転体の回転角度を演算する演算手段と、
前記第1の検出手段が検出した前記第1の従動体の回転角度と前記第2の検出手段が検出した前記第2の従動体の回転角度とに基づいて、当該第1の従動体の回転角度と当該第2の従動体の回転角度との角度差が零となる零回転角度を演算する零回転角度演算手段と、
前記零回転角度演算手段が演算した前記零回転角度に基づいて故障を診断する故障診断手段と、
を備えることを特徴とする回転角度検出装置。
【請求項6】
前記零回転角度演算手段は、前記演算手段が演算した前記回転体の回転角度から逆算した前記第1の従動体の回転角度と、前記第1の検出手段が検出した当該第1の従動体の回転角度とに基づいて前記零回転角度を演算することを特徴とする請求項5に記載の回転角度検出装置。
【請求項7】
前記零回転角度演算手段は、前記演算手段が演算した前記回転体の回転角度から逆算した前記第2の従動体の回転角度と、前記第2の検出手段が検出した当該第2の従動体の回転角度とに基づいて前記零回転角度を演算することを特徴とする請求項5に記載の回転角度検出装置。
【請求項8】
前記故障診断手段は、前記零回転角度演算手段が演算した零回転角度が許容範囲外である状態が予め定められた期間継続した場合に故障が生じていると判断することを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の回転角度検出装置。
【請求項9】
前記回転体は歯車を有し、
前記第1の従動体は第1の従動歯車を有し、
前記第2の従動体は前記第1の従動歯車の歯数とは異なる歯数を有する第2の従動歯車を有し、
前記第1の従動体および前記第2の従動体は、前記第1の従動歯車および前記第2の従動歯車が前記歯車により回転力が付与されることにより前記回転体の回転に連動して回転することを特徴とする請求項5から8のいずれか1項に記載の回転角度検出装置。
【請求項10】
回転体の回転に連動して回転する第1の従動体の回転角度を検出する第1の検出手段と、
前記回転体の回転に連動して回転する第2の従動体の回転角度を検出する第2の検出手段と、
前記第1の検出手段が検出した前記第1の従動体の回転角度と前記第2の検出手段が検出した前記第2の従動体の回転角度との角度差に基づいて前記回転体の回転角度を演算する演算手段と
を備える前記回転体の回転角度を検出する検出装置の故障を診断する故障診断方法であって、
前記第1の検出手段が検出した前記第1の従動体の回転角度と前記第2の検出手段が検出した前記第2の従動体の回転角度とに基づいて、当該第1の従動体の回転角度と当該第2の従動体の回転角度との角度差が零となる零回転角度を演算し、演算した零回転角度に基づいて前記検出装置の故障を診断することを特徴とする故障診断方法。
【請求項11】
前記回転体の回転角度から逆算した前記第1の従動体の回転角度と、前記第1の検出手段が検出した当該第1の従動体の回転角度とに基づいて前記零回転角度を演算することを特徴とする請求項10に記載の故障診断方法。
【請求項12】
前記回転体の回転角度から逆算した前記第2の従動体の回転角度と、前記第2の検出手段が検出した当該第2の従動体の回転角度とに基づいて前記零回転角度を演算することを特徴とする請求項10に記載の故障診断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−145225(P2011−145225A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7407(P2010−7407)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000146010)株式会社ショーワ (715)
【Fターム(参考)】