説明

新規なシクロペンテンジオン抗真菌性化合物およびその使用方法

真菌活性の抑制、処置、および予防に有用な新規な化合物および方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、米国特許法第119条(e)項に基づいて、2004年3月29日に出願された米国特許出願第60/557,323号の優先権を主張し、その内容は引用によってその全体が本明細書に取り込まれる。
【0002】
政府支援
米国国立衛生研究所・国立アレルギー感染症研究所・エイズ研究部門からの助成金番号AI27094と、米国農務省・農業研究局・特定共同研究協約番号58−6408−2−0009とからの支援によって、本発明はなされた。米国政府は本発明への権利を有する。
【0003】
本発明は、シクロペンテンジオン化合物およびその使用方法の分野に関する。もっと特定すると、抗真菌薬としてのシクロペンテンジオン化合物の使用方法を、該方法は包含する。本明細書に記載されたコルスカノンA(coruscanone A)およびBを、本発明の化合物は包含する。本発明の実施態様であるコルスカノンAのCandida albicans(カンジダ・アルビカンス)に対する抗真菌能は、陽性対照薬であるアムホテリシンBおよびフルコナゾールのそれと同等であるか、またはそれより強い。さらに、コルスカノンAは、フルコナゾール耐性のC.albicans株を阻害する。
【0004】
抗真菌剤として、または新しい部類の抗真菌剤、たとえば免疫不全患者に付随する生命を脅かすカンジダ症の処置に使用するものを調製するための鋳型として、本発明の化合物は使用されることができる。
【背景技術】
【0005】
天然のアシルシクロペンテンジオンは、産出量が限定された、僅かの化合物のみに含まれる。この、他にない部類の化合物群の生物活性に関しては、メチルリンデロンはいくつかの癌細胞株に対して細胞毒性であり、他方、メチルルシドンはPuccinia recondite菌によって引き起こされる小麦赤さび病(wheat leaf rust)に対する中等度の抗真菌活性を示した。これに関する重要な研究は、合成同族体である2−(1−メトキシ−3−フェニル−2−プロペニリデン)−シクロペンタ−4−エン−1,3−ジオンをヒトキマーゼの強力な阻害剤として、すなわち心臓血管病および線維症後の慢性炎症に関連する潜在的薬剤標的として同定することであった。化合物ライブラリーのスクリーニングから同定された、該酵素の中等度の阻害剤である、天然産のメチルリンデロンによって、この化合物の合成は触発された。しかし、シクロペンタ−4−エン−1,3−ジオンおよびシクロペンタン−1,3−ジオンの構造部分は、治療適用される、または治療適用可能性のある、数多くの合成化合物中に存在することが注記される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ペルー産植物である、Piper coruscans H.B.& K.全体のエタノール抽出物が、Candida albicansに対する有意な抗真菌活性(IC50<2μg/mL)を示すことを、本発明者らは発見した。引き続く抗真菌性バイオアッセイに従った、この抽出物の画分化は、本発明の新規な抗真菌性シクロペンテンジオン誘導体の同定をもたらした。
【0007】
本発明の1つの面は、(哺乳類、たとえばヒト用の)安全な、効果的な抗真菌剤として使用されることができる、新規な化合物および組成物を提供することである。
【0008】
本発明のもう1つの面は、Candida albicansに対する抗真菌能を持つ化合物または組成物を提供することである。
【0009】
本発明のもう1つの面は、フルコナゾール耐性のCandida albicans真菌株に対する抗真菌能を持つ化合物または組成物を提供することである。
【0010】
本発明のもう1つの面は、真菌を治療するのに有用な薬剤である化合物および組成物を提供することである。
【0011】
本発明のもう1つの面は、Piper coruscansからの抽出物からの実質的に純粋な抗真菌性化合物を提供することである。この文脈で、実質的に純粋とは約90%〜約99%である。
【0012】
本発明のもう1つの面は、本発明の化合物または組成物の抗真菌有効量を投与することを含む、それを必要とする患者の真菌症状を処置する方法を提供することである。
【0013】
本発明のもう1つの面は、それを必要とする患者の処置に使用するための、抗真菌薬の部類群を調製するための鋳型を提供することである。
【0014】
本発明のもう1つの面は、植物保護剤としての作用を持つ、抗真菌性化合物または組成物を提供することである。
【0015】
本発明のもう1つの面は、植物体内の真菌活性を処置しまたは予防する方法を提供することである。
【0016】
本発明のもう1つの面は、本発明の化合物および農薬的に許容される担体を含んでいる、農薬組成物を提供することである。
【0017】
本発明のもう1つの面は、本発明の化合物および第二の活性成分、たとえば除草剤、殺虫剤、または肥料を含んでいる、農薬組成物を提供する。
【0018】
本明細書の開示および特許請求の範囲を見ると、これらおよび他の目的は明らかだろう。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の1つの実施態様は、以下の式の化合物

(この式で、R1〜4はそれぞれ独立にH、アルキル、メチル、アシル、ハロゲン、フェニルであり;
但し、Rがメチルであり、かつ各RがHであるときは、RおよびRは両方同時にHではなく;
また但し、RおよびRが両方ともHであるときは、RおよびRは両方同時にメチルではない。)、
その立体異性体、およびその医薬的に許容される塩である。
【0020】
本発明の好まれる1つの実施態様は、以下の式の化合物

、その立体異性体、並びにこれらの医薬的に許容される塩である。
【0021】
本発明のもう1つの実施態様は、以下の式の化合物

(この式で、RおよびRは独立にH、CH、アルキル、ハロゲン、フェニルであり;
はアルキル、アルケニル、アルキニル、スチリル、複素環、シクロアルキル、アリール、アルキルシクロアルキル、アルキル複素環、アルキルアリールであり;
はアルキル、アルケニル、アシル、グリコシル、ホスフェート、サルフェートであり;
但し、RまたはRの一方がメチルであり、かつRまたはRの他方がHであるときは、RおよびRは両方同時にメチルではない。)、
その立体異性体、並びにこれらの医薬的に許容される塩である。本明細書に開示された、これらおよび他の実施態様において、変異物は同一でも異なっていてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の化合物は、もちろん、組成物の形態をしていてもよい。さらに、本発明の化合物は、抗真菌性化合物として広い有用性を持つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、以下の式の化合物、

、その立体異性体、同族体並びにこれらの医薬的に許容される塩および組成物を包含する。
【0024】
本発明はさらに、本発明の化合物を含んでいる組成物を包含する。
【0025】
同様に包含されるのは、前記の化合物および組成物の、医薬的に許容される誘導体であり、ここで「医薬的に許容される誘導体」の語句は、当該化合物の、任意の医薬的に許容される塩、エステル、若しくは当該エステルの塩、または任意の他の付加体若しくは誘導体を表し、これらは、患者に投与されると、抗真菌特性を持つ、本明細書に記載された化合物またはその代謝産物若しくは残基を(直接的にまたは間接的に)供給する能力がある。したがって、医薬的に許容される誘導体は、プロドラッグを包含する。プロドラッグとは、通常、ある化合物の有意に低められた薬理学的活性を持つ誘導体であり、生体内で(in vivo)脱離しやすい追加の部分を有し、脱離の結果、薬理学的に活性な化学種としての親分子を生成する。プロドラッグの例はエステルであり、これは生体内で開裂されて、関心の的である分子を生成する。
【0026】
本発明の化合物、および医薬的に許容される塩、たとえばその酸付加塩は、真菌を治療するのに有用な薬剤である。たとえば、本発明の化合物および組成物は、広く様々な真菌、たとえばMicrosporum canis、Ctenomyces mentagrophytes、Trichophyton rubrum、Phialophora verrcosa、Cryptococcus neoformans、Candida tropicalis、Candida albicans、Candida glabrata、Candida krusei、Candida pseudotropicalis、Candida parapsilosis、Aspergillus fumigatus、Aspergillus flavus、Mucor種、Sporotricum schenckiiおよびSaprolegnia種等に対して活性である。
【0027】
本発明の化合物の強力な(局所性並びに全身性の)抗菌活性の観点から、真菌の成長の破壊または予防を引き起こしまたは促進する方法に、これらは有用であり、より特には、このような微生物に苦しむ患者(ヒトおよび動物)の処置に、これらは効果的に使用されることができる。
【0028】
本発明の化合物はまた、以下を包含する。

【0029】
さらに、本発明の化合物は以下を包含する。

これらの式で、R、R、RおよびRは、上で定義された通りであり、同一でも異なっていてもよい。
【0030】
さらに、本発明の化合物は以下を包含する。

これらの式で、RおよびRは上で定義されているが、但しRおよびRは両方同時にHではない。
【0031】
さらに以下で検討されるように、本発明の化合物および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物に、本発明の化合物は使用されることができる。
【0032】
組成物の語は、医薬組成物または農薬組成物のように、本明細書で使用されるときには、活性成分(一または複数の成分)および担体を構成する不活性成分(一または複数の成分)を含む生成物、並びに活性成分(一または複数の成分)および/若しくは不活性成分(一または複数の成分)のいずれか2以上の組み合わせ、錯体形成、凝集若しくは他の相互作用から、または活性成分(一または複数の成分)および/若しくは不活性成分(一または複数の成分)の1以上の解離から、または活性成分(一または複数の成分)および/若しくは不活性成分(一または複数の成分)の1以上の他のタイプの反応から、直接的若しくは間接的に、得られる任意の生成物を包含することが意図される。
【0033】
本発明の1つの実施態様は、以下の式

(この式で、R1〜4は、独立にH、アルキル、メチル、ハロ、フェニルである。)
の化合物の有効量を投与することを含む、植物または哺乳動物内の真菌活性を処置し、抑制し、または予防する方法である。
【0034】
本発明のもう1つの実施態様は、以下の式の化合物

(この式で、RおよびRは、独立にH、CH、アルキル、ハロゲン、フェニルであり;
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、スチリル、複素環、シクロアルキル、アリール、アルキルシクロアルキル、アルキル複素環、アルキルアリールであり;
は、H、アルキル、アルケニル、アシル、グリコシルである。)、
その立体異性体、並びにこれらの医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む、植物または哺乳動物内の真菌活性を処置し、抑制し、または予防する方法である。各変異物は同一でも異なっていてもよい。
【0035】
1つの実施態様では、該化合物は、以下の式を有する。

【0036】
本明細書で使用される「有効量」の語句または類似した語句は、処置されない対照と比較して、真菌種の増殖および/または成長を阻害し、予防し、および/または抑制する、本発明の化合物/組成物の量を意味する。
【0037】
「抑制する」の語は、予防的使用(すなわち、感染を防ぐこと)および治療的使用(すなわち、感染を根絶すること)を包含する。
【0038】
線状、すなわち直鎖、若しくは分岐状であることができ、また非環式若しくは環状残基(すなわち、シクロアルキル)であることができ、または非環式および環状の下位単位の任意の組み合わせを含んでいる炭化水素残基を意味すると、本明細書で使用されるアルキルまたはアルキル基の語は、最も広い意味で理解されるべきである。さらに、本明細書で使用されるアルキルの語は、飽和基並びに不飽和基を明示的に包含し、後者の基は1以上、すなわち1、2、または3の二重結合および/または三重結合を有する。
【0039】
アルキル基が置換基を持つか、または他の残基上の置換基として、たとえばアルキルオキシ残基若しくはアリールアルキルアミノ残基中に現れるならば、全てのこれらの記述は、同様に当てはまる。1〜20の炭素原子を有するアルキル残基の例は、メチル、エチル、
プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、およびエイコシル、全てのこれらの残基のノルマル異性体、イソプロピル、イソブチル、1−メチルブチル、イソペンチル、ネオペンチル、2,2−ジメチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、イソヘキシル、2,3,4−トリメチルヘキシル、イソデシル、第2級ブチル、第3級ブチル、または第3級ペンチルである。
【0040】
不飽和アルキル残基は、例としてアルケニル残基、たとえばビニル、1−プロペニル、2−プロペニル(=アリル)、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、5−ヘキセニル、若しくは1,3−ペンタジエニル、またはアルキニル残基、たとえばエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル(=プロパルギル)、若しくは2−ブチニルである。置換されたときに、アルキル残基は不飽和であることもできる。
【0041】
環状アルキル残基の例は、3、4、5、6、7、または8の環炭素原子を有するシクロアルキル残基、たとえばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチルであり、これらも置換され、および/または不飽和であることができる。たとえばシクロペンテニルまたはシクロヘキセニルのような、不飽和環状アルキル基および不飽和シクロアルキル基は、任意の炭素原子を介して結合されることができる。本明細書で使用されるアルキルの語は、シクロアルキルで置換されたアルキル基、たとえばシクロプロピルメチル−、シクロブチルメチル−、シクロペンチルメチル−、シクロヘキシルメチル−、シクロヘプチルメチル−、シクロオクチルメチル−、1−シクロプロピルエチル−、1−シクロブチルエチル−、1−シクロペンチルエチル−、1−シクロヘキシルエチル−、1−シクロヘプチルエチル−、1−シクロオクチルエチル−、2−シクロプロピルエチル−、2−シクロブチルエチル−、2−シクロペンチルエチル−、2−シクロヘキシルエチル−、2−シクロヘプチルエチル−、2−シクロオクチルエチル−、3−シクロプロピルプロピル−、3−シクロブチルプロピル−、3−シクロペンチルプロピル−、3−シクロヘキシルプロピル−、3−シクロヘプチルプロピル−、または3−シクロオクチルプロピル−も包含し、これらの基の中で、シクロアルキル下位基並びに非環式下位基も不飽和でおよび/または置換されていることができる。
【0042】
もちろん、(C〜C)−アルキルのような基は、とりわけ飽和非環式(C〜C)−アルキル、(C〜C)−シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル基、たとえば(C〜C)−シクロアルキル−(C〜C)−アルキル−(ここで炭素原子の全数は、4〜8の範囲にあることができる。)、また不飽和の(C〜C)−アルキル、たとえば(C〜C)−アルケニルまたは(C〜C)−アルキニルを含んでいると理解されるべきである。同様に、(C〜C)−アルキルのような基は、とりわけ飽和非環式(C〜C)−アルキル、(C〜C)−シクロアルキル、シクロプロピルメチル、および不飽和の(C〜C)−アルキル、たとえば(C〜C)−アルケニルまたは(C〜C)−アルキニルを含んでいると理解されるべきである。したがって、シクロアルキルは、アルキルシクロアルキル基を包含すると理解される。
【0043】
他様に記述されない限り、線状または分岐状であることができる、1〜6の炭素原子を有する非環式飽和炭化水素残基、線状または分岐状であることができる、2〜6の炭素原子を有する非環式不飽和炭化水素残基、たとえば(C〜C)−アルケニルおよび(C〜C)−アルキニル、並びに3〜8の環炭素原子、とりわけ3〜6の環炭素原子を有する環式アルキル基を、アルキルの語は好ましくは包含する。(C〜C)−アルキル残基、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第2級ブチル、および第3級ブチルによって、飽和非環式アルキル残基の特定の基は構成される。
【0044】
本発明のアルキル基は一般に、置換されないか、または1以上、たとえば1、2、3、若しくは4の同一若しくは異なった置換基によって置換されることができる。置換されたアルキル残基中に存在する任意の種類の置換基は、該置換が不安定な分子をもたらさない限り、任意の所望の位置に存在することができる。置換されたアルキル残基の例は、1以上、たとえば1、2、3、4、または5の水素原子がハロゲン、窒素、硫黄または酸素原子で置き換えられたアルキル残基である。
【0045】
置換されたシクロアルキル基の例は、1以上、たとえば1、2、3、または4の同一または異なった非環式アルキル基、たとえば非環式(C〜C)−アルキル基、たとえばメチル基を置換基として持つシクロアルキル基である。置換されたシクロアルキル基の例は、4−メチルシクロヘキシル、4−第3級ブチルシクロヘキシル、または2,3−ジメチルシクロペンチルである。
【0046】
置換されたシクロアルキル基の例は、1以上、たとえば1、2、3、または4の同一または異なった非環式アルキル基、たとえば非環式(C〜C)−アルキル基、たとえばメチル基を置換基として持つシクロアルキル基である。置換されたシクロアルキル基の例は、4−メチルシクロヘキシル、4−第3級ブチルシクロヘキシル、または2,3−ジメチルシクロペンチルである。
【0047】
アリールの語は、その中に少なくとも1の炭素環式の環が存在するところの単環式または多環式炭化水素残基を言う。(C〜C14)−アリール残基中には、6〜14の環炭素原子が存在する。(C〜C14)−アリール残基の例は、フェニル、ナフチル、ビフェニリル、フルオレニル、またはアントラセニルである。(C〜C10)−アリール残基の例は、フェニルまたはナフチルである。他様に記述されない限り、およびアリール基に結合されたいずれの特定の置換基にも関係なく、たとえばフェニル、ナフチル、およびフルオレニルを包含するアリール残基は一般に、置換されないか、または1以上、たとえば1、2、3、若しくは4の同一または異なった置換基で置換されることができる。アリール残基は、任意の所望の位置によって結合されることができ、かつ置換されたアリール残基中で置換基は、任意の所望の位置にあることができる。
【0048】
一置換されたフェニル残基中では、置換基は、2の位置、3の位置、または4の位置にあることができ、3の位置および4の位置が好まれる。フェニル基が2の置換基を持つならば、これらは2、3の位置、2、4の位置、2、5の位置、2、6の位置、3、4の位置、または3、5の位置にあることができる。3の置換基を持つフェニル残基中では、置換基は2、3、4の位置、2、3、5の位置、2、3、6の位置、2、4、5の位置、2、4、6の位置、または3、4、5の位置にあることができる。ナフチル残基は、1−ナフチルおよび2−ナフチルであることができる。置換されたナフチル残基中では、置換基は任意の位置にあることができ、たとえば一置換された1−ナフチル残基中では、2、3、4、5、6、7、または8の位置に、および一置換された2−ナフチル残基中では、1、3、4、5、6、7、または8の位置にあることができる。ビフェニリル残基は、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、または4−ビフェニリルであることができる。フルオレニル残基は、1−、2−、3−、4−、または9−フルオレニルであることができる。9の位置によって結合された、一置換されたフルオレニル残基中では、置換基は好ましくは、1、2、3、または4の位置に存在する。
【0049】
他様に記述されない限り、置換されたアリール基中に存在することができる置換基は、たとえば(C〜C)−アルキル、特に(C〜C)−アルキル、たとえばメチル、エチル、または第3級ブチル、ヒドロキシ、(C〜C)−アルキルオキシ、特に(C〜C)−アルキルオキシ、たとえばメトキシ、エトキシ、または第3級ブトキシ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、F、Cl、Br、I、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシメチル、ホルミル、アセチル、アミノ、モノ−若しくはジ−(C〜C)−アルキルアミノ、((C〜C)−アルキル)カルボニルアミノ、たとえばアセチルアミノ、ヒドロキシカルボニル、((C〜C)−アルキルオキシ)カルボニル、カルバモイル、任意的に置換されたフェニル、フェニル基において任意的に置換されたベンジル、任意的に置換されたフェノキシ、またはフェニル基において任意的に置換されたベンジルオキシである。
【0050】
アリール基に関する上の記述は、アリール基から誘導された2価の残基、すなわちアリーレン基、たとえばフェニレンまたはナフタレンに対応して当てはまり、該フェニレンは置換されないか、または置換された1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、若しくは1,4−フェニレンであることができ、該ナフタレンは置換されないか、または置換された1,2−ナフタレンジイル、1,3−ナフタレンジイル、1,4−ナフタレンジイル、1,5−ナフタレンジイル、1,6−ナフタレンジイル、1,7−ナフタレンジイル、1,8−ナフタレンジイル、2,3−ナフタレンジイル、2,6−ナフタレンジイル、若しくは2,7−ナフタレンジイルであることができる。
【0051】
上の記述は、アリールアルキル基中のアリール下位基にも対応して当てはまる。同様に置換されていないか、またはアリール下位基並びにアルキル下位基において置換されていることができる、アリールアルキル基の例は、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、1−メチル−3−フェニルプロピル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、1−(1−ナフチル)エチル、1−(2−ナフチル)エチル、2−(1−ナフチル)エチル、2−(2−ナフチル)エチル、または9−フルオレニルメチルである。
【0052】
もちろん、これらの語が組み合わせて使用される場合は、該組み合わせのそれぞれの個々の部分についての定義が、他様に定義されない限り、適用される。
【0053】
アセチルは、アセチル残基(CHCO−)を含んでいる任意の基として定義される。スチリルは、2−フェニルビニル(PhCH=CH−)として定義される。
【0054】
「複素環」基は、親の単環式または2環式複素環式環の系中に、3、4、5、6、7、8、9または10の環原子を有する基を包含する。単環式複素環基では、複素環式の環は、好ましくは3員、4員、5員、6員、または7員環、特に好ましくは5員、または6員環である。2環式複素環基では、好ましくは2の融合された環が存在し、その一方は5員環、または6員の複素環式環であり、かつその他方は5員、または6員の複素環式または炭素環式環である、すなわち、2環式複素環の環は、好ましくは8、9、または10の環原子、より好ましくは9または10の環原子を有する。
【0055】
環内に何らの二重結合も有さない、飽和の複素環式環の系、並びに環内に1以上、たとえば1、2、3、4、5の二重結合を、得られた系が安定である限り有する、単不飽和および多不飽和の複素環式環の系を、本発明の複素環基は包含する。不飽和の環は、非芳香族でも芳香族でもよい、すなわち複素環基中の環内の二重結合は、共役パイ電子系が得られるような様式で配置されることができる。複素環基中の芳香族環は、5員、または6員環であることができる、すなわち複素環基中の芳香族基は、5〜10の環原子を有する。したがって、5員および6員の、単環式複素環、並びに2の5員環、1の5員環および1の6員環、または2の6員環からなる2環式複素環を、複素環基中の芳香族環は包含する。複素環基中の2環式芳香族基では、1または両方の環がヘテロ原子を有することができる。芳香族複素環基は、慣習的な語であるヘテロアリールと呼ばれることもでき、これについては、複素環に関する上記および下記の全ての定義および説明が対応して当てはまる。
【0056】
他様に記述されない限り、複素環基および任意の他の複素環性の基中には好ましくは、窒素、酸素、および硫黄から選ばれた、1、2、3、または4の同一または異なった環ヘテロ原子が存在する。特に好ましくは、これらの基中には、窒素、酸素、および硫黄から選ばれた、1または2の同一または異なった環ヘテロ原子が存在する。得られた複素環式系が当業者に知られており、かつ医薬物質中の下位基として安定で適当である限り、任意の所望の数でおよびお互いに関して任意の位置に、環ヘテロ原子は存在することができる。それから複素環基が誘導されるところの複素環の親構造体の例は、アジリジン、オキシラン、チイラン、アゼチジン、ピロール、フラン、チオフェン、ジオキソール、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピラン、チオピラン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2−オキサジン、1,3−オキサジン、1,4−オキサジン、1,2−チアジン、1,3−チアジン、1,4−チアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、アゼピン、1,2−ジアゼピン、1,3−ジアゼピン、1,4−ジアゼピン、インドール、イソインドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、1,3−ベンゾジオキソール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、クロマン、イソクロマン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、ピリドイミダゾール同族体、ピリドピリジン同族体、ピリドピリミジン同族体、プリン、またはプテリジン、並びに列挙された複素環から炭素環式環の融合(または縮合)によって得られる環系、たとえばこれらの複素環のベンゾ融合、シクロペンタ融合、シクロヘキサ融合、またはシクロヘプタ融合された誘導体である。
【0057】
任意の環炭素原子によって、また窒素複素環の場合には、任意の適当な環窒素原子によって、複素環残基は結合されることができる。したがって、たとえば、ピロリル残基は、1−ピロリル、2−ピロリル、または3−ピロリルであることができ、ピロリジニル残基は、1−ピロリジニル(=ピロリジノ)、2−ピロリジニル、または3−ピロリジニルであることができ、ピリジル残基は、2−ピリジル、3−ピリジル、または4−ピリジルであることができ、またピペリジニル残基は、1−ピペリジニル(=ピペリジノ)、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、または4−ピペリジニルであることができる。フリルは、2−フリルまたは3−フリルであることができ、チエニルは、2−チエニルまたは3−チエニルであることができ、イミダゾリルは、1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、または5−イミダゾリルであることができ、1,3−オキサゾリルは、1,3−オキサゾール−2−イル、1,3−オキサゾール−4−イル、または1,3−オキサゾール−5−イルであることができ、1,3−チアゾリルは、1,3−チアゾール−2−イル、1,3−チアゾール−4−イル、または1,3−チアゾール−5−イルであることができ、ピリミジニルは、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル(=6−ピリミジニル)、または5−ピリミジニルであることができ、またピペラジニルは、1−ピペラジニル(=4−ピペラジニル=ピペラジノ)または2−ピペラジニルであることができる。インドリルは、1−インドリル、2−インドリル、3−インドリル、4−インドリル、5−インドリル、6−インドリル、または7−インドリルであることができる。同様に、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、およびベンゾチアゾリル残基は、2の位置によって、および4、5、6、および7の位置のいずれかによって、ベンズイミダゾリルは、1の位置によっても結合されることができる。
【0058】
他様に記述されない限り、および本発明の化合物の定義に示された、複素環基または任意の他の複素環性の基に結合されたいずれの特定の置換基にも関係なく、複素環基は、置換されないか、または1以上、たとえば1、2、3、4、若しくは5の、同一若しくは異なった置換基、たとえば(C〜C)−アルキル、特に(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルキルオキシ、特に(C〜C)−アルキルオキシ、(C〜C)−アルキルチオ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、((C〜C)−アルキル)カルボニルアミノ、たとえばアセチルアミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、オキソ、ヒドロキシ−(C〜C)−アルキル、たとえばヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、若しくは2−ヒドロキシエチル、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、ホルミル、アセチル、シアノ、メチルスルホニル、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、(C〜C)−アルキルオキシカルボニル、任意的に置換されたフェニル、任意的に置換されたフェノキシ、フェニル基において任意的に置換されたベンジル、若しくはフェニル基において任意的に置換されたベンジルオキシで、環炭素原子上において置換されることができる。安定な分子が得られる限り、任意の所望の位置に、該置換基は存在することができる。
【0059】
好まれるアルキル複素環置換基は、以下を包含する。

【0060】
本明細書に開示された全ての化合物は、医薬的に許容される塩形を包含するとみなされる。本明細書で使用される「医薬的に許容される塩」の語句は、無機または有機酸との、非毒性の酸付加塩、たとえば塩酸、リン酸、硫酸、マレイン酸、酢酸、クエン酸、コハク酸、安息香酸、フマル酸、マンデル酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、アスコルビン酸、乳酸、グルコン酸、トリフルオロ酢酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸等のような酸との塩を包含することが意図される。医薬的に許容される塩の例は、アミンのような塩基性残基の鉱酸塩または有機酸塩、カルボキシル酸のような酸性残基のアルカリ塩または有機塩等を含むが、これらに限定されない。
【0061】
本発明の化合物の遊離酸形または遊離塩基形と適当な塩基または酸の化学量論量とを、水中で若しくは有機溶媒中で、または両者の混合物中で反応させることによって、本発明の化合物の医薬的に許容される塩は調製されることができ、一般に、非水性媒体、たとえばエーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルが好まれる。適当な塩のリストは、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第17版、米国ペンシルバニア州、Easton、Mack Publishing社刊、1985年、1418ページに見出され、その開示は、引用によって本明細書に取り込まれる。
【0062】
本発明は、本発明の化合物を含んでいる、全ての医薬的に許容される組成物も包含する。活性成分の有効性を実質的に妨げず、かつそれが投与される宿主に毒性でないところの任意の担体を包含することを、「医薬的に許容される」の定義は意図される。たとえば、非経口投与については、添加剤、たとえば安定性を維持するものを含有してもよい媒体、たとえば塩水、デキストロース溶液等中の、注射用の単位投与量の形態に、本発明の化合物は調合されることができる。
【0063】
その抗真菌活性の点から、本発明の化合物は、哺乳類、たとえばヒトの多様な真菌感染症の処置、抑制、および/または予防に有用である。このような感染症は、表在性、皮膚性、皮下性および全身性の真菌感染症、たとえば呼吸器感染症、胃腸管感染症、心臓血管感染症、尿路感染症、中枢神経系感染症、カンジダ症および慢性粘膜カンジダ症(たとえば、口腔カンジダ症および膣カンジダ症)および真菌によって引き起こされる皮膚感染症、皮膚カンジダ症および皮膚粘膜カンジダ症、皮膚糸状菌症、たとえば白癬(ringworm and tinea)感染症、足白癬、爪周囲炎、癜風、紅色陰癬、間擦疹、真菌性おむつかぶれ、カンジダ性外陰炎、カンジダ性亀頭炎および外耳炎を包含する。本発明の化合物は、全身性および局所性真菌感染症を予防する予防薬として使用されることもできる。予防薬として、免疫不全患者(たとえば、エイズ患者、ガン療法を受けている患者または移植患者)の感染の予防に使用することは、たとえば選択的腸管内除菌療法の一部として適当でありうる。抗生物質処置の際の真菌の異常増殖の防止は、いくつかの疾患症候群または医原性状態においても望ましいことがある。
【0064】
コルスカノンA(本発明の化合物1)は、高分解能ESIMSによるC1614の分子式を持つ。室温におけるベンゼン−d中の化合物(1)のH スペクトルは、CDCl中よりも良好な分解能を持ち、一組の主要ピークと、それに付随する、近接したケミカルシフトを持つ、対応する、より低強度のピークとを、約5:1の比で表示する。ベンゼン−d中のNMRサンプルが室温で24時間放置されると、2の幾何異性体(1a、1b)は、殆んど1:1の比に到達し、これは溶液中の該2の異性体の同じようなエネルギーを示している。

【0065】
コルスカノンB(本発明の化合物2)は、化合物1のHおよび13C NMRスペクトルと同じようなスペクトルを示す。化合物2が、側鎖上にメトキシ基の代わりに水酸基を有する点で、化合物2のスペクトルは化合物1のそれと異なる。C1512の分子式を示したその高分解能ESIMSによって、このことは支持される。CDCl中においては、室温で24時間、NMR管中で平衡化された後、2の幾何異性体は約1:1.2の比で現れる。2の異性体の比の僅差は、Hおよび13C NMRシグナルの強度の僅差を生じる。主要な異性体2bに対応する、より強いシグナルの一組を、副次的な異性体2aに対応する、より弱いシグナルの他の一組から区別して同定することを、これは容易にする。各異性体内で、アリル位の水酸基と水素結合を形成するカルボニル炭素は、遮蔽が弱められて(deshieldされて)いるはずであるから、メチルプロトンとカルボニル炭素に関して4位のHとの重要なHMBC相関は、NMRデータとそれぞれの異性体との相関付けを可能にする。化合物1の2異性体についてのNMRデータの帰属も、この情報は容易にする。

【0066】
本発明の化合物の合成
【0067】
どのように本発明の化合物がつくられることができるかの例は、以下を包含する。

【0068】
コルスカノンAおよびB(化合物1、2)の合成は、類似した化合物の調製方法(たとえば、図式1)を使用することによって、達成されることができる。すなわち、熱ベンゼン中の無水2−メチルマレイン酸(3)とシンナモイルメチレントリフェニルホスホラン(4)とのウィッティッヒ縮合は、位置選択的および立体選択的な様式で4−イリデンブテノリド(5)を与える。MeOH中のMeONaで(5)を処理すると、シクロペンテンジオン(2)への転移が生じ、これはさらにKCO/アセトン中のMeSOでメチル化されて、化合物1を与える。
【0069】
【表1−1】

【0070】
コルスカノンAおよびBは、エイズに関連した2の主要な日和見性病原菌に対する生体外(in vitro)抗真菌活性を、バイオアッセイ実験計画法を使用して評価される(表1)。本発明の化合物1はとりわけ、C.albicansに対する効力のある活性を示す。特に重要なことは、フルコナゾール療法中の患者から分離されたフルコナゾール耐性のC.albicans菌株に対するその強力な活性である。フルコナゾールへの感受性の400倍までの減少を示す分離菌株の中で、本発明の化合物1は、感受性菌株基準で同等の活性を保持する(表2)。
【0071】
【表2−1】

a 患者培養菌:培養菌(isolate)1、アゾール感受性株;培養菌2、5、8、
および17、増大するアゾール耐性を有するアゾール耐性株。
IC50、IC80およびIC95で示された成長阻止濃度は、投与量−効果カーブを反映
する。
b 100μg/mLの最高テスト濃度で不活性。
【0072】
本発明の化合物および組成物の抗真菌能およびある選択性並びに合成によるその容易入手性を考慮すると、本発明の化合物および組成物はさらに、新しい部類の抗真菌剤、たとえば生命を脅かす播種性カンジダ症の処置に使用されるもののための鋳型の役割をすることができる。
【0073】
哺乳類への投与
【0074】
療法への使用のために、本発明の化合物は粗化学薬品として投与されうることも可能であるけれども、該活性成分を医薬組成物として与えることが好ましい。本発明の医薬組成物は、従来技術の1つによって投与されることができる。これに関しては、いくつかの様式、具体的には、たとえば局所投与および全身投与で、該医薬製剤は送達されることができる。
【0075】
本発明の医薬組成物は、任意の知られた経路によって、たとえば非経口的におよび他様に投与されることができる。経口、鼻腔内(点鼻スプレーまたは鼻吸入器を介して)、口腔内、直腸内、膣内または局所投与を、これは包含する。投与はまた、同所、皮内皮下、筋肉内、腹膜内または静脈内への注射および/または注入によってでもよい。薬理学的に許容される担体、緩衝剤または他の賦形剤を含んでいる、医薬的に許容される組成物として、このような組成物は投与されてもよい。「薬理学的に許容される」の語句は、ヒトに投与されたときに、有害な、アレルギー性または他の都合の悪い反応を生じない分子実体および組成物を言う。肺の病状の処置のためには、好まれる経路は、気管支肺胞洗浄等による肺へのエーロゾル送達である。
【0076】
結合剤のような慣用の賦形剤、たとえばシロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、デンプンの粘液若しくはポリビニルピロリドン;充填剤、たとえば乳糖、砂糖、微結晶性セルロース、コーンスターチ、リン酸カルシウム若しくはソルビトール;潤滑剤、たとえばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコール若しくはシリカ;崩壊剤、たとえばジャガイモデンプンすなわちデンプングリコール酸ナトリウム若しくはクロスカルメロースナトリウム;またはラウリル硫酸ナトリウムのような湿潤剤を、経口投与用の錠剤およびカプセルは含有することができる。チュアブル、分散性または発泡性錠剤を包含する錠剤は、従来技術で周知の方法に従って被覆されてもよい。経口液状製剤は、たとえば水性若しくは油性の懸濁物、溶液、エマルション、シロップ若しくはエリキシル剤の形態であることができ、または使用前に水または他の媒体を用いて構成されることになる、乾燥製品として提供されることができる。懸濁剤のような慣用の添加剤、たとえばソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/砂糖シロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルまたは水素化食用脂;エマルション化剤、たとえばレシチン、ソルビタンモノオレエートまたはアカシア;(食用油を含んでいてもよい)非水性媒体、たとえばアーモンド油、分留されたヤシ油、油状エステル、プロピレングリコールまたはエチルアルコール;および保存剤、たとえばp−ヒドロキシ安息香酸メチル若しくはプロピルまたはソルビン酸を、このような液状製剤は含有してもよい。
【0077】
口腔投与用には、該組成物は、慣用の様式で処方された錠または菱の形状をとることができる。
【0078】
静脈内注射および/または注入は、送達経路として使用されることができる。当該実施態様では、本発明の組成物は、0.001時間〜100時間の範囲の期間にわたって徐々に投与されることができる。他の実施態様で、静脈内注射および/または注入による本発明の医薬組成物の投与が好まれる経路であるときは、本発明の医薬組成物は、0.1時間〜50時間の範囲の期間にわたって徐々に投与されなければならない。他の実施態様で、静脈内注射および/または注入を介した本発明の医薬組成物の投与が好まれる経路であるときは、本発明の医薬組成物は、1時間〜10時間の範囲の期間にわたって徐々に投与されなければならない。
【0079】
本発明の製剤の投与の様式は、そこへ本発明の化合物が送達されることになるところの、生物体中の部位および細胞を決定するだろう。一般的に言って、意図された投与経路および標準的な薬剤慣行に関連して選ばれた薬剤担体との付加混合物で、本発明の組成物は投与されるだろう。たとえば、特定の部位への送達は、(感染が外部、たとえば目、皮膚、耳内のような領域上、または外傷若しくは火傷のような疾患部上であれば、)局所投与によって最も容易に達成されることができる。当該局所投与は、疾患領域への直接投与のために、クリーム、軟膏、ゲル、エマルション、またはペーストの形態であることができる。あるいは、非経口的に、たとえば静脈内、筋肉内、または皮下に、製剤は注射されることができる。非経口投与については、他の溶質、たとえばその溶液を等浸透圧にするのに十分な塩またはグルコースを含有してもよい、滅菌された水性溶液の形態で、該製剤はたとえば使用されることができる。該製剤の特定の特性に応じて、他の使用方法が当業者によって想到されることができる。
【0080】
ヒトへの治療のための投与については、所定の被験者への適当な投与量を、処方医が最終的に決定することになり、該個体の年齢、体重、および応答並びに該患者の症状の性質および激しさに従って、これは変動することが予想されうる。
【0081】
本発明の化合物が、他の抗真菌剤と組み合わせて投与されるときは、本発明の化合物および他方の真菌剤は、推奨された最大臨床投与量またはそれより低い投与量で投与されることができる。
【0082】
上で言及された組み合わせは、医薬調合物の形態で使用されるために好都合に投与されることができ、したがって上で定義された組み合わせとともに医薬的に許容されるその担体を含んでいる医薬調合物は、本発明のさらなる面を構成する。当該組み合わせの個々の成分は、逐次的に、あるいは同時に、別々のまたは一緒にされた医薬調合物で投与されることができる。本発明の化合物とともに使用される化合物の例は、イトラコナゾール、フルシトシン、フルコナゾール、カスポフンギンまたはアムホテリシンBを包含する。
【0083】
農業での投与
【0084】
さらに、本発明に関連する農薬としての使用に関して、本発明の化合物は、米国特許第3,852,470号に記載されたように使用されることができ、同号は引用によって本明細書に取り込まれる。
【0085】
さらにまた、本発明の化合物は、米国特許第6,844,353号に従って使用されることができ、同号は引用によって本明細書に取り込まれる。すなわち、一般に、本発明の化合物を0.1mM〜100mMの範囲の濃度で投与することが望ましい。しかし、正確な投与量は従来技術の1つによって決定されることができる。本発明に関して、好まれる投与量は、草木、花または果実に壊死性障害を引き起こすことなく、成長または貯蔵の通常の条件下に真菌の成長を阻害することになる量である。
【0086】
本発明に従う殺真菌剤組成物は、典型的には活性物質0.5重量%〜95重量%を含有する。ここに記載されたように、他様に指定されない限り、パーセンテージは重量による。
【0087】
本明細書の「担体」の語は、天然または合成の、有機または無機物質を呼び、草木、果実、種子または土壌への活性物質の投与を容易にするために、活性物質がこれと一緒にされる。したがって、この担体は一般に不活性であり、とりわけ処理される植物上で農薬的に許容されなければならない。担体は固体(粘土、天然または合成ケイ酸塩、シリカ、樹脂、ワックス、固形肥料等)または液体(水、アルコール、ケトン、石油留分、芳香族または脂肪族炭化水素、塩素化炭化水素、液化ガス等)であることができる。
【0088】
界面活性剤は、イオン性または非イオン性タイプのエマルション化剤、分散剤または湿潤剤であることができる。以下のもの、すなわち、ポリアクリル酸塩、リグノスルホン酸塩、フェノールスルホン酸塩またはナフタレンスルホン酸塩、エチレンオキシドと脂肪族アルコールまたは脂肪酸または脂肪族アミンとの重縮合物、置換フェノール(とりわけ、アルキルフェノールまたはアリールフェノール)、スルホコハク酸のエステル塩、タウリン誘導体(とりわけ、タウリン酸アルキル)、アルコールのリン酸エステルまたはポリオキシエチル化フェノールのリン酸エステルが、例として挙げられることができる。活性物質および/または不活性担体が水に不溶性であり、かつ投与の媒介剤が水であるならば、少なくとも1の界面活性剤の存在が必須である。
【0089】
従来技術の1によって決定される、たとえば保護コロイド、粘着剤、増粘剤、チキソトロピー剤、浸透剤、安定剤、金属イオン封鎖剤、顔料、着色剤およびポリマーのような他の成分を、これらの組成物は含有してもよい。
【0090】
より一般的には、本発明に従う組成物は、通常の調合手順に認められる全ての固形又は液状添加剤と一緒にされることができる。
【0091】
固体の組成物の形態としては、以下のもの、すなわち、(95%という高さであってもよい、活性物質(すなわち、殺真菌剤)の含有量を持つ)振りかけ用または分散用粉体並びに顆粒、とりわけ押出によって、圧縮によって、顆粒化された担体の含浸によって、および粉体からの顆粒化によって得られるもの(後者の場合、これらの顆粒中の活性物質の含有量は1%〜80%である。)が包含される。
【0092】
液体の組成物の形態、または投与の際に液状組成物を構成するように意図された形態としては、以下のもの、すなわち、溶液、とりわけ水溶性高濃度物、エマルション形成性高濃度物(乳剤)、エマルション、高濃度懸濁物、エーロゾル、湿潤性粉体(または噴霧用粉体)およびペーストが包含される。
【0093】
エマルション形成性高濃度物および溶解性高濃度物は、一般に活性物質10%〜80%を含み、すぐに投与できるエマルションまたは溶液は、活性物質0.01%〜20%を含有する。
【0094】
たとえば、溶媒に追加して、エマルション形成性高濃度物は、必要なときに、安定剤、界面活性剤、浸透剤、腐食防止剤、着色剤または前述の添加剤のような適当な添加剤2%〜20%を含有することができる。
【0095】
これらの高濃度物から、任意の所望の濃度のエマルションが、水で希釈することによって得られることができ、これらは葉、種子、花または果実への投与に特に適している。
【0096】
噴霧によって投与されることもできる高濃度懸濁物は、沈殿物を形成しない安定な流体生成物を得るように調製され、活性物質10%〜75%、界面活性剤0.5%〜15%、チキソトロピー剤0.1%〜10%、顔料、着色剤、消泡剤、腐食防止剤、安定剤、浸透剤および粘着剤のような適当な添加剤0%〜10%、並びに、担体として、活性物質がその中に殆ど溶解性でないかまたは不溶性であるところの水または有機液体を、該高濃度懸濁物は通常含有し、いくらかの有機固形物質または無機塩が、沈殿を防ぐのを助けるために、または水への不凍剤として、担体中に溶解されることができる。
【0097】
湿潤性粉体(または噴霧用粉体)は通常、活性物質20%〜95%を含有するように調製され、これらは通常、固形担体に追加して、湿潤剤0%〜5%、分散剤3%〜10%、および必要なときに、1以上の安定剤および/または顔料、着色剤、浸透剤、粘着剤、若しくは凝集防止剤等のような他の添加剤0%〜10%を含有する。しかし、正確な組成は、従来技術の1によって決定されるように変わりうる。
【0098】
これらの噴霧用粉体または湿潤性粉体を得るためには、活性物質は、適当な混合機中で追加の物質と完全に混合され、そしてミルまたは他の適当な粉砕機を使用して粉砕される。好都合である湿潤性、および懸濁物を形成する能力を持つ噴霧用粉体は、これによって得られ、任意の所望の濃度で水中に懸濁されることができ、これらの懸濁物は、とりわけ植物の葉への投与に、非常に好都合に使用されることができる。
【0099】
湿潤性粉体の代わりに、ペーストが調製されることができる。これらのペーストの調製および使用の条件および方法は、湿潤性粉体または噴霧用粉体のそれと同様である。
【0100】
分散性顆粒は通常、湿潤性粉体タイプの組成物の、適当な顆粒化系中での集塊によって調製される。
【0101】
既に示したように、分散物および水性エマルション(たとえば、本発明に従う湿潤性粉体またはエマルション形成性高濃度物を水で希釈することによって得られる組成物)は、本発明の全般的範囲内に包含される。エマルションは、油中水滴または水中油滴タイプのものであることができ、「マヨネーズ」の粘稠性のような、濃厚で、吐き出されることができ、薄く広げられることができる一体性を持つことができる。
【0102】
真菌、特にbasidiomycete、ascomycete、adelomycete、または不完全真菌タイプのもの、とりわけ野菜および草木全般の、並びに、とりわけ穀物、たとえばコムギ、オオムギ、ライムギ、オートムギおよびこれらの交配種およびまたイネおよびトウモロコシの、サビ病菌、ウドンコ病菌、眼紋病菌、フサリオセス病菌(fusarioses)、赤かび病菌(Fusarium roseum)、紅色雪腐病菌(Fusarium nivale)、網斑病菌、葉枯病菌、セプトリア紋病菌(septoria spot)、黒紋病菌、リゾクトニオセス病菌(rhizoctonioses)を治療するために、本発明に従う組成物は、予防または治療の役割として使用されることができる
【0103】
本発明に従う組成物は、とりわけ真菌、特に以下のタイプのもの、すなわち、basidiomycetes、ascomycetes、adelomycetesまたは不完全真菌、たとえばBotrytis cinerea、Colletotrichum fragariae、Colletotrichum acutatum、Colletotrichum gloeosporioides、Erysiphe graminis、Puccinia recondita、Piricularia oryzae、Cercospora beticola、Puccinia striiformis、Erysiphe cichoracearum、Fusarium oxysporum(たとえば、メロンつる割病菌(melonis))、Pyrenophora avenae、Septoria tritici、Venturia inaequalis、Whetzelinia sclerotiorum、Monilia laxa、Mycosphaerella fijiensis、Marssonina panettoniana、Alternaria solani、Aspergillus niger、Cercospora arachidicola、Cladosporium herbarum、Helminthosporium oryzae、Penicillium expansum、Pestalozzia種、Phialophora cinerescens、Phoma betae、Phoma foveata、Phoma lingam、Ustilago maydis、Verticillium dahliae、Ascochyta pisi、Guignardia bidwellii、Corticium rolfsii、Phomopsis veticola、Sclerotinia sclerotiorum、Sclerotinia minor、Coryneum cardinale、Rhizoctonia solani、phompsis obscuransに対して活性である。
【0104】
本発明に従う組成物は、以下の真菌、すなわち、Acrostalagmus koningi、Alternaria、Colletotrichum、Diplodia natalensis、Gaeumannomyces graminis、Gibberella fujikuroi、Hormodendron cladosporioides、Lentinus degenerまたはLentinus tigrinus、Lenzites quercina、Memnoniella echinata、Myrothecium verrucaria、Paecylomyces varioti、Pellicularia sasakii、Phellinus megaloporus、Polystictus sanguineus、Poria vaporaria、Sclerotium rolfsii、Stachybotris atra、Stereum、Stilbum種、Trametes trabea、Tricoderma pseudokoningi、Trichothecium roseumに対しても活性である。
【0105】
Colletotrichum属の真菌は、世界的に主要な植物病原菌と考えられている。Colletotrichum種は、イチゴ、穀物、イネ科植物、カンキツ属およびウリ科植物の炭疽病(anthracnose);トマト、ナス、コショウ、リンゴ、セイヨウナシおよびモモのあと腐れ病(ripe rot)の原因である。世界の多くの地域における果実および草木の生産にとって、イチゴの炭疽病は、とりわけ深刻な問題である。炭疽病を抑制することができないと、米国および全世界の両方の農業への深刻な経済的損失をもたらしうる。
【0106】
ボトリティス(Botrytis)病は、世界中で、温室作物、野菜、観賞植物、および果実の、おそらく最もありふれた、広く分布している病気である。ボトリティス果実腐敗病(Botrytis fruit rot)は、世界的にイチゴの最も破壊的な病気の1つである。この果実腐敗病を引き起こす真菌であるBotrytis cinereaは、花腐細菌病(blossom blight)もまた誘発し、イチゴの葉および葉柄に感染しうる。抗真菌剤噴霧が、ボトリティス果実腐敗病に対する主要な抑制手段である。ベンズイミダゾールおよびジカルボキシイミド抗真菌剤は、効果的な抑制剤であったが、多くの地域でB.cinereaは、耐薬品性を発現させた。
【0107】
数多くの植物のフザリウム導管病(Fusarium vascular wilt)は、非常に破壊的で、経済を制限し、および抑制するのが最も困難な病気の1つに入る。重要な作物、たとえば殆どの野菜および花、綿花、タバコ、プランテーション作物、および観賞植物は、あるFusarium種にとりわけ感受性であるようである。カビが生えたトウモロコシ上やサイレージ中のFusarium毒素は、ヒトの健康および農園動物に深刻な収穫後の問題を与える。多くのFusarium種は、ベンズイミダゾールの部類の殺真菌剤への耐性を発現している。
【0108】
フォモプシス葉つる枯病(Phomopsis leaf and stem blight)は、世界規模で発生している。病原菌であるPhompsis obscuransは、フォモプシス葉つる枯病を引き起こし、またイチゴの果実腐敗病も引き起こす。他のPhompsis種は、重度の葉つる枯病、ブルーベリーおよびシャクナゲの枝枯病(dieback)、アーモンドのフォモプシス腐敗病(Phompsis canker)および果実腐敗病、ピスタチオの胴枯病(blight)、多くの他の果実、樹木、および観賞植物の壊死を引き起こしうる。
【0109】
真菌であるPhomopsis viticolaによって引き起こされる、テーブルワインブドウおよびワインブドウのフォモプシス斑点病(Phomopsis leaf and cane sot)および果実腐敗病は、ブドウの茎中で越冬して、子実体を生成する。胞子は、春の雨の多い気候の間に新葉に感染する。該葉の症状は、6月初めから中頃に、小さい、角張った枯れた斑点として現われる。比較的低い葉が、最初に感染を示す。該季節の後期に、茎、巻きひげ、葉柄およびブドウの房の柄さえもが、1/4インチ(6.35mm)長さの、細長い褐色がかったまたは紫色がかった病変を示すことがある。病気が重度であれば、おそらくは小花柄(ブドウの房の柄への、漿果の付着部)を通って、真菌はブドウの漿果中に入る。機械による収穫ではしばしば、多くの漿果が、機械の前でブドウの木からふるい落とされて、かなりの作物の損失の原因となるだろう。「ナイアガラ」ブドウは、この病気に非常に感受性が強く、また「コンコルド」ブドウは、より低度に感受性ではあるが、殺真菌管理が不足していた場合には、損失が生じうる。
【0110】
本発明の組成物は、穀物病(ウドンコ病、サビ病、眼紋病、葉枯病、網斑病、セプトリア紋病およびフサリオセス病(fusarioses))に関するその広い有効範囲の故に、特に有用である。本発明の組成物はまた、灰色カビ病(grey mold)(Botrytis)および斑点病(leaf spot)へのその活性の故に、非常に関心の的であり、その結果、ブドウの木、市場向け菜園作物、樹木栽培作物および熱帯作物、たとえばアメリカホドイモ、バナナの木、コーヒーの木、ペカンの実等の多岐にわたる作物伝播の生成物に投与されることができる。
【0111】
既に上記された投与に加えて、本発明に従う組成物はさらに、数多くの他の様々な微生物に対する優れた殺生物活性を有し、その中には、真菌、たとえば以下の属のものが、限定を意味することなく、挙げられることができる。
Pullularia、たとえばP.pullulans種
Chaetomium、たとえばC.globosum種
Aspergillus、たとえばA.niger種
Coniophora、たとえばC.puteana種
【0112】
本発明の組成物の殺生物活性の故に、その増殖が農業および工業の分野において数多くの問題を生み出すところの微生物を効果的に治療することを、これらは可能にする。この趣旨で、植物または工業生産物、たとえば木材、皮革、塗料、紙、ロープ、プラスチック、および工業用水系の保護に、本発明の組成物は特によく適している。
【0113】
これらの化合物および/または組成物は、単独で、または所望であれば、お互いの、および/若しくは担体との、および/若しくは他の公知の相容性の活性剤、とりわけ植物保護剤、たとえば他の殺真菌剤および殺細菌剤、若しくは殺虫剤、ダニ駆除剤、殺鼠剤、線虫駆除剤、除草剤、肥料、成長抑制剤等との混合物の形態で、または特定の投与のための、これらから作られた特定の投与量製剤の形態、たとえばそれによって直ぐに使用できるところの溶液、エマルション、懸濁物、粉体、ペースト、および顆粒で使用されることができる。
【0114】
実施例
【0115】
以下の実施例は、本発明の様々な面を実証する。これらは本発明の典型例であるべく意図され、かつこれらに限定されることは意図されない。
【実施例1】
【0116】
本発明の化合物を得るための一般的反応式を、この実施例は示す。

【実施例2】
【0117】
2−(1−メトキシ−エチリデン)−シクロペンタ−4−エン−1,3−ジオンの合成のための一般的反応式を、この実施例は示す。

【実施例3】
【0118】
本発明の化合物の抽出および単離を、この実施例は実証する。
【0119】
植物材料が集められる。P.coruscansの乾燥された根−茎−葉が、粉砕されて、粗粉体にされ、そして95%EtOHで沸騰される。この溶媒を真空下に除くと、EtOH抽出物(約15.2g)が得られ、その一部(約5g)が、溶媒としてヘキサン−CHClの混合物を使用するシリカゲルカラムに直接かけられる。C.albicansに対して最も活性(IC50<2μg/mL)である、ヘキサン−CHCl(1:1)によって溶出された2の連続した画分が、
溶媒として60%CHCN−HOを使用する逆相シリカゲル(C18)上で個別にクロマトグラフされて、コルスカノンA(化合物1、約98mg)およびB(化合物2、約135mg)が、それぞれ得られる。
【0120】
コルスカノンA(化合物1):黄色粉体、融点86℃、UV(MeOH)、λmax(logε)232(4.45)、348(4.58)nm;IR(NaCl)νmax、1666、1615、1547、1444、1306、1177、1034、973、874、765、692cm−1;NMRデータ、表1および2参照;HRESIMS m/z [M+H]255.1016(C1615についての計算値は、255.1016)、[M+Na]277.0828(C1614Naについての計算値は、277.0835)。
【0121】
コルスカノンB(化合物2):黄色針状物、融点124℃、UV(MeOH)、λmax(logε)232(4.24)、348(4.40)nm;IR(NaCl)νmax、1708、1648、1630、1588、1448、1353、1016、978、904、877、704、690cm−1;NMRデータ、表1および2参照;HRESIMS m/z [M+H]241.0849(C1513についての計算値は、241.0859)、[M+Na]263.0660(C1512Naについての計算値は、263.0678)。

【実施例4】
【0122】
コルスカノンA(化合物1)およびB(化合物2)のNMRデータを、この実施例は示す。
【0123】
【表1−2】

【0124】
【表2−2】

【実施例5】
【0125】
コルスカノンA(1)およびB(2)の重要なHMBC相関を、この実施例は示す。

【実施例6】
【0126】
本発明の実施態様であるコルスカノンA(化合物1)およびB(化合物2)を製造するための反応式を、この実施例は示す。

【0127】
窒素下、室温の乾燥THF(80mL)中のスチリルメチルケトン(5.0g、34.2ミリモル)の溶液に、乾燥THF(120mL)中のピロリドン3臭化水素酸塩(20.3g、40.9ミリモル)の溶液が1時間でゆっくりと加えられる。混合物は、室温で24時間撹拌を続けられる。過剰のピロリドン3臭化水素酸塩が、ろ過によって除かれる。ろ液は濃縮されて、乾燥状態になる。得られた残渣はEtO中に溶解され、塩水で洗われ、そして(NaSO上で)乾燥される。溶媒を除去すると、粗生成物が得られ、これはEtO−ヘキサン(1:6)で溶出するシリカゲル上でクロマトグラフされて、ブロモメチルスチリルケトン(5.91g、77%)を(EtOからの)無色の結晶として与える。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.70(1H、d、J=16.0Hz、β−CH=)、7.58(2H、m、Ph)、7.43(3H、m、Ph)、6.95(1H、d、J=16.0Hz、α−CH=)、4.11(2H、s、CHBr);13C NMR(100MHz、CDCl)δ191.1(s、C=O)、145.4(d、β−H=)、134.0(s、Ph)、131.2(d、Ph)、129.1(2C、d、Ph)、128.7(2C、d、Ph)、122.3(d、α−H=)、33.3(t、Br)。
【0128】
窒素下の乾燥THF(25mL)中のトリフェニルホスフィン(5.84g、22.3ミリモル)の還流溶液に、ブロモメチルスチリルケトン(5.0g、22.3ミリモル、THF25mL中)が、ゆっくりと加えられる。この反応混合物は、2時間還流される。冷却後、白色の沈殿物がろ過によって回収され、そしてEtOで洗われる。メタノールを用いたこの生成物の結晶化は、トリフェニルシンナモイルメチルホスホニウム臭化物(9.3g、86%)を白色の針状物として与える。H NMR(400MHz、DMSO−d)δ8.02(1H、d、J=16.0Hz、β−CH=)、7.87、7.76、7.49(20H、m、Ph)、7.00(1H、d、J=16.0Hz、α−CH=)、6.07(2H、d、J=13.2Hz、CHBr)。
【0129】
水(100mL)およびメタノール(100mL)中の、上記のホスホニウム塩(8.1g、16.7ミリモル)の懸濁物に、水(15mL)中の水酸化ナトリウム(1.3g)溶液が加えられる。この混合物は、室温で一晩撹拌される。メタノールの蒸発後、この懸濁物は、クロロホルムで抽出される。有機層は塩水で洗われ、(NaSO上で)乾燥され、そして濃縮されて乾燥状態になる。EtOを用いたこの残渣の結晶化は、対応するホスホラン(4)(6.2g、91%)を黄色結晶として与える。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.53、7.47、7.31、7.24(21H、m)、6.94(1H、d、J=16.0Hz、α−CH=)、4.07(1H、ブロードなd、J=21.2Hz、CH=P);13C NMR(100MHz、CDCl)δ182.8(C=O)、136.8(d、β−H=)、133.9、133.2、133.1、132.3、129.1、129.0、128.6、128.2、127.5、127.1、126.6。
【0130】
E−4−シンナモイルメチリデン−2−メチルブタ−2−エン−4−オリド(5):ベンゼン(10mL)中の無水2−メチルマレイン酸(3)(1.8g、16.1ミリモル)が、窒素下のベンゼン(50mL)中の(4)(5.5g、13.5ミリモル)の還流溶液に加えられる。6時間の還流後、(12)の完全な消費を、TLCは示した。反応混合物は蒸発されて乾燥状態になり、そしてヘキサンーアセトン(4:1)を使用するシリカゲル上で、この残渣がクロマトグラフされて、E−4−シンナモイルメチリデン−2−メチルブタ−2−エン−4−オリド(5)(2.35g、73%)が[クロロホルム−メタノール(1:1)からの]黄色針状物として得られた:融点160〜161℃、UV(MeOH)、λmax(logε)208(4.18)、238(3.98)、334(4.50)nm;IR(KBr)νmax、1770、1678、1627、1588、1451、1375、1209、1098、1039、990、911、877、754、698、545;H NMR(400MHz、CDCl)δ8.10(1H、s、H−3)、7.64(1H、d、J=16.0Hz、H−4’)、7.59(2H、m、H−6’、10’)、7.42(3H、m、H−7’、8’、9’)、6.88(1H、d、J=16.0Hz、H−3’)、6.48(1H、s、H−1’)、2.11(3H、s、Me−2);13C NMR(100MHz、CDCl)δ188.3(s、C−2’)、169.2(s、C−1)、159.2(s、C−4)、144.0(d、C−4’)、137.0(d、C−3)、136.4(s、C−2)、134.3(s、C−5’)、131.0(d、C−8’)、129.1(2C、d、C−6’、10’)、128.6(2C、d、C−7’、9’)、127.5(d、C−3’)、106.0(d、C−1’)、11.2(q、Me−2)(NMRの帰属は、二次元HMBCおよびNOESYの実験に基づいた。);HRESIMS m/z [M+H]241.0841(C1513についての計算値は、241.0859)、[M+Na]263.0659(C1512Naについての計算値は、263.0678)、[M+K]279.0400(C1512Kについての計算値は、279.0418)。

【0131】
コルスカノンB(化合物2):乾燥MeOH(60mL)中の(13)(1.95g、8.13ミリモル)の溶液が、MeOH(25mL)中のNaOMe(4.41g、81.7ミリモル)の溶液に加えられ、そして得られたオレンジ色溶液が、室温で3時間撹拌され、そしてそれから氷水(150mL)中に注がれ、そして2MのHClでpH1.0まで酸性化される。メタノールが蒸発によって除かれ、そして懸濁物がEtOを用いて抽出される。乾燥された抽出物を蒸発すると粗生成物が得られ、これはMeOHを用いる結晶化によって精製されて、コルスカノンB(2)が黄色針状物(1.21g、62%)、融点125℃として得られる。
注:この合成による結晶性化合物は、主要な異性体2bを有することを、NMRスペクトルは示す。天然に存在するコルスカノンBと同様に、異性体2bは、CDCl中で2aに迅速に転化されうる。
【0132】
コルスカノンA(化合物1):アルゴン下の乾燥アセトン(50mL)中の(2)(500mg)の溶液に、KCO(3.0g)が加えられる。5分間還流した後、この濃黄色の溶液にMeSO(2.2mL)が加えられ、そしてこの混合物が30分間還流を続けられる。KCOがろ過によって除かれる。ろ液は濃縮されて乾燥状態になり、この残渣は、水性MeOHを使用する逆相RP−18カラムクロマトグラフィーに付される。70%MeOHによって黄色バンドが溶出され、そして該溶媒を蒸発すると、コルスカノンA(1)(493mg、93%)が黄色粉体として得られ、このNMRスペクトルは、天然のコルスカノンA(1)のそれと同一である。
【実施例7】
【0133】
2−(1−メトキシ−エチリデン)−4−メチル−シクロペンタ−4−エン−1,3−ジオン(6)を得るための反応式を、この実施例は示す。

【0134】
窒素下、室温の乾燥CCl(200mL)中の無水2−メチルマレイン酸(8.0g、71.4ミリモル)の溶液に、無水AlCl(32.3g、133.4ミリモル)が加えられる。この懸濁物は0℃まで冷却され、そして酢酸α−メチルビニル(10.7g、107.1ミリモル)が15分間で滴下された。添加を終了した後、反応混合物は加熱されて、1.5時間還流された。冷却後、この反応混合物は、10%HCl氷水(300mL)中に注がれた。有機層が分離された。水性層は、CHCl(150mL×3回)を用いて抽出された。一緒にされた有機層は、塩水(150mL)および(200mL×4回)で洗われて、中性にされ、(NaSO上で)乾燥され、そして濃縮されて乾燥状態になり、残渣(8.5g)が得られ、これはヘキサン−EtOAc(1:2)を用いて溶出するシリカゲル上でクロマトグラフされて、2−(1−ヒドロキシ−エチリデン)−4−メチル−シクロペンタ−4−エン−1,3−ジオン(5.97g、55%)を(EtOからの)薄黄色結晶として与えた。H NMR(400MHz、CDCl、2異性体)δ11.8(ブロードなs、OH)、6.50および6.42(ブロードなs、H−5)、2.22(s、ビニル性Me)、1.91(s、Me−4);13C NMR(100MHz、CDCl、2異性体)δ200.4、199.6、192.1および191.7(1,3−C=O)、176.9および176.7(ビニル性C)、157.8および153.4(C−4)、140.5および136.2(C−5)、104.2よび104.2(C−2)、17.9(ビニル性Me)、11.2および10.2(Me−4);HRTOFMS m/z [M+H]153.0585(Cについての計算値は、153.0547)。
【0135】
乾燥アセトン(20mL)中の、上記シクロペンテンジオン化合物(130mg、0.855ミリモル)およびKCO(0.9g)の加熱された溶液に、MeSO(0.4mL)が加えられた。5時間の還流後、反応混合物はろ過されて、KCOが除かれた。ろ液は濃縮されて、乾燥状態にされ、そしてこの残渣は、水性MeOHを使用する逆相RP−18カラムクロマトグラフィーに付される。80%MeOH溶出液は濃縮されて、乾燥状態にされ、そしてこの残渣は、ヘキサン−EtOAc(5:1〜2:1)を用いて溶出するシリカゲル上でクロマトグラフされて、2−(1−メトキシ−エチリデン)−4−メチル−シクロペンタ−4−エン−1,3−ジオン(6)を黄色粉体形状の2の分離できる異性体として与えた(各32mg、46%)。しかし、これらのそれぞれは、コルスカノンAのように挙動し、溶液中で2の幾何異性体の殆んど1:1の平衡に達することを、NMRは示した。H NMR(400MHz、CDCl、1異性体)δ6.52(ブロードなs、H−5)、3.94(s、OMe)、2.54(ブロードなs、ビニル性Me)、1.95(s、Me−4);13C NMR(100MHz、CDCl、1異性体)δ194.5および193.0(1,2−C=O)、173.6(ビニル性C)、155.2(C−4)、139.7(C−5)、107.1(C−2)、55.9(OMe)、14.0(ビニル性Me)、10.8(Me−4);HRTOFMS m/z [M+H]167.0682((C11についての計算値は、167.0703)。
【実施例8】
【0136】
哺乳類細胞に対する生体外での抗真菌および抗細菌活性を評価するためのバイオアッセイ法を、この実施例は示す。
【0137】
微生物の情報および保存
【0138】
全ての生物体は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection、ATCC)(米国バージニア州、Manassas)から入手した。これらは、Candida albicans真菌ATCC90028、Candida glabrata真菌ATCC90030、Candida krusei真菌ATCC6258、およびCryptococcus neoformans真菌ATCC90113並びにMycobacterium intracellulare細菌ATCC23068を含む。全ての生物体の(試験に直ちに使用するための)一時的な培養菌は、M.intracellulareを除いて、必要になるまで4℃の寒天斜面培地か、あるいは寒天平板培地に保存される。菌株の長期保存は、10%グリセロール/液体培地[Candida種およびC.neoformansについてはサブローデキストロース(Sabouraud Dextrose)液体培地(米国デトロイト、Difco社)、およびM.intracellulareについては発育促進剤OADC(米国メリーランド州、BBL社)を添加したミドルブルック(Middlebrook)7H9液体培地(Difco社)]中の細胞を−70℃で凍結することによってなされる。M.intracellulareを除いて、凍結された保存物の懸濁物で寒天を画線することによって、各試験の3〜5日前に、新鮮な寒天平板培地が調製される。M.intracellulare斜面培地は、凍結された保存物から4〜5週間毎に調製される。Candida種をサブローデキストロース寒天(Difco社)平板培地に37℃で18〜24時間、C.neoformanをサブローデキストロース寒天平板培地に30℃で72時間、およびM.intracellulareをLowenstein−Jensen寒天斜面培地(BBL社)に37℃で1週間、培養することによって、新鮮な斜面培地または平板培地が調製される。
【0139】
抗菌性試験
【0140】
感受性試験は、米国臨床検査標準協議会(National Committee for Clinical Laboratory Standards)法の修正版を使用して実施される。M.intracellulareは、Franzblauらの修正された方法を使用して試験される。試験の72〜96時間前に、斜面培地の表面からの細胞を、発育促進剤OADCを添加したミドルブルック7H9液体培地に再懸濁し、37℃および10%COにおいて培養することによって、M.intracellulareの継代培養菌が調製される。試験の当日に、調製された(DMSOに溶解された)サンプルは、20%/0.9%DNSO/塩水を使用して一連に希釈され、そして96穴平底マイクロプレートに二重反復で移される。Candida種およびC.neoformansの接種菌は、寒天平板培地から1〜3個のコロニーを採取し、約5mLの0.9%滅菌塩水に再懸濁することによって調製される。該塩水懸濁物およびM.intracellulare継代培養物100μlの、EL−340 Biokinetics Reader(米国バーモント州、Bio−Tek Instruments社)を使用した630nmにおける吸収が、0.03(Mi)の0.5 McFarland標準比濁液か、あるいは標準曲線と比較される。液体培地[Candida種についてpH7.3のRPMI 1640/2%デキストロース/MOPS(Cellgro社)、C.neoformansについてサブローデキストロース、およびM.intracellulareについて発育促進剤OADCを添加したミドルブルック7H9液体培地中の5%Alamar Blue(商標)(米国カリホルニア州、Camarillo、BioSource International社)、pH=7.3。これらは、サンプルに添加された後、Candida種について1.0×10、C.neoformansについて1.0×10、およびM.intracellulareについて2.0×10の最終目標接種菌を与える。]中に、微生物は希釈される。該微生物接種菌はサンプルに加えられて、200μlの最終体積を得る。成長(塩水のみ)、溶媒およびブランク(培地のみ)の対照が、各試験プレートに加えられる。薬剤対照[細菌についてシプロフロキサシン(Ciprofloxacin)(米国オハイオ州、ICN Biomedicals社)および真菌についてアムホテリシンB(Amphotericin B)(米国オハイオ州、ICN Biomedicals社)]が、各試験に加えられる。培養(Candida種について37℃で18〜24時間、C.neoformansについて30℃で72時間、並びにM.intracellulareについて37℃および10%COで72時間)の前後に、EL−340 Biokinetics Reader(米国バーモント州、Bio−Tek Instruments社)を使用して630nmにおいてか、あるいは(M.intracellulareについては)Polarstar Galaxy Plate Reader(独国、BMG Lab Technologies社)を使用して544ex/590emにおいて、全ての生物体は計測される。成長パーセントが計算され、試験濃度に対してプロットされて、IC50(生物体の50%成長を許すサンプル濃度)および最小発育阻止濃度(MIC)および最小殺真菌または殺細菌濃度(MFC/MBC)を与える。検知できる成長を許さない最低試験濃度(M.intracellulareについては、青からピンクへの色変化がないこと)と、MICは定義される。清澄な(または青色の)各穴から5μlを取り、寒天に移し、そして前述のように培養することによって、最小殺真菌または殺細菌濃度は測定される。生物体の100%を殺す(寒天上での成長を許さない)最低試験濃度と、MFC/MBCは定義される。
【実施例9】
【0141】
本発明の化合物の抗真菌または抗細菌活性を、この実施例は実証する。バイオアッセイ法は、米国臨床検査標準協議会法の修正版であり、実施例8に記載されたものと同じであり、これによって、Candida種についての培地のpHが7.3から4.5へ変えられたことを除いて、化合物(1)および(2)(表1および2)の生物学的データが得られた。
【0142】
【表3】



【実施例10】
【0143】
この実施例は、農薬試験を要約し、本発明の農薬的実施態様を示す。
【0144】
抗真菌方法
【0145】
病原菌の採集
【0146】
Colletotrichum acutatum Simmonds、Colletotrichum fragariae Brooks、およびColletotrichum gloeosporioides (Penz.)Penz.& Sacc.in Penz.の分離株は、米国ミシシッピー州、Poplarville、米国農務省、農業研究局、小果樹試験場、B.J.Smithから入手した。Colletotrichum fragariae(CF63分離株)、C.acutatum(CAGoff分離株)、およびC.gloeosporioides(CG162分離株)は、全ての病原菌およびバイオオートグラフィーの試験に使用された。イチゴ植物体に感染する際に、並びに菌核病(crown rot)および果実腐敗病の両方を引き起こす際に、CF63分離株は最も感染力の強い分離株の1つである(SmithおよびBlack、1990年)。CF63、CAGoff、およびCG162は、これらの分離株についての本発明者らの広範な知識並びにバイオオートグラフィーおよびマイクロタイターの両方式におけるこれら分離株の公知の殺真菌剤感受性プロファイルの故に、標準試験分離株として使用された。該3のColletotrichum種は、イチゴ(Fragaria x ananassa Duchesne)から分離された。Botrytis cinerea Pers.:Frは市販ブドウ(Vitis vinifera L.)から、およびFusarium oxysporum Schlechtend:Frはラン(Cynoches種)から、米国農務省、農業研究局、天然物利用研究所、David E.Wedgeによって分離された。Phomopsis viticola(Sacc.)およびP.obscurans(Ellis & Everh.) Suttonは、米国オハイオ州、Wooster、オハイオ州立大、Mike A.Ellisから入手された。9cmペトリ皿中のポテト−デキストロース寒天培地(PDA、米国ミシガン州、デトロイト、Difco社)上で、真菌は発育され、そして24±2℃および12時間光周期の冷白色蛍光(55±5ミリモル・m−2・秒−1光)下のグロースチャンバー内で培養される。
【0147】
接種菌の調製
【0148】
平板培地を5mLの滅菌蒸留水で洗い流し、そしてコロニーをL形ガラス棒で柔らかくブラシングすることによって分生胞子を移動することによって、7〜10日齢の培養物から分生胞子が収穫された。分生胞子懸濁物は、滅菌ミラクロス(米国カリホルニア州、La Jolla、Calbiochem−Novabiochem社)を通してろ過されて、菌子が除かれた。625nmにおける吸光度に基づいた標準曲線から、分生胞子濃度は光度計で測定され、そして次に滅菌蒸留水で1.0×10分生胞子/mLの濃度へ、懸濁物は調節された。
【0149】
バイオオートグラフィー
【0150】
真菌発育抑止の明白な帯域によって、または薄層クロマトグラフィー(TLC)バイオオートグラフィー法(HomansおよびFuchs、1970年;Osborneら、1994年;WedgeおよびNagle、2000年)の修正版を使用するクロマトグラフプレートの上に直接に、抗真菌性化合物を含有する抽出物は示された。抽出物は溶解された。各サンプルについての使い捨てガラスマイクロピペットを使用して、4μlの各試験用抽出物がTLCプレート上に置かれ、そして1次元でクロマトグラフされた。
【0151】
TLCプレート上で直接に生物活性を検出するために、液状ポテト−デキストロース培地(PDB、米国ミシガン州、デトロイト、Difco社)および0.1%のTween−80を用いて3.0×10分生胞子/mLの最終濃度へ調節された3の胞子懸濁物のいずれかを、シリカゲルプレートは噴霧された。50μlのクロマトグラフ用噴霧器を使用して、蛍光指示計付きの各ガラスシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)プレート(250μm、Silica Gel GF Uniplate、米国デラウェア州、Newark、Analtech社)は、分生胞子懸濁物を軽く(湿った外観まで)3回噴霧された。接種されたプレートは次に、30×13×7.5cmの加湿器(398−C、米国ケンタッキー州、Dixon、Pioneer Plastics社)内に置かれ、そして24±1℃および60±5ミリモル・m−2・秒−1光下の12時間光周期にあるグロースチャンバー内で培養された。真菌の成長阻止は、処理後4日に測定された。阻止領域の大きさを比較することによって、各試験化合物への各真菌種の感受性は測定された。
【0152】
マイクロタイター試験
【0153】
標準化された96穴マイクロタイタープレート試験は、天然産の殺真菌剤の発見のために開発された。公知の標準殺真菌剤と比較した、各種の抗真菌剤へのB.cinerea、C.acutatum、C.fragariae、C.gloeosporioides、F.oxysporum、Phomopsis viticola、およびP.obscuransの感受性を測定するために、96穴マイクロタイター試験は使用された。3つの異なった様式の作用を表す、ビンクロゾリン、キャプタン、およびチアベンダゾールが、この実験において標準物として使用された。各真菌は、試験化合物を使用する投与量−応答方式で攻撃を受け、この場合に最終処理濃度は0.3、3.0および30.0μMであった。マイクロタイタープレート(Nunc Micro Well、無処理品、デンマーク国、Roskilde、Nunc社)は、プラスチック蓋で覆われ、24±1℃および60±5マイクロモル光下の12時間光周期にあるグロースチャンバー内で培養された。次にマイクロプレート光度計(Packard Spectra Count、米国イリノイ州、Downers Grove、Packard Instrument社)を使用する620nmにおける各穴の吸光度を測定することによって、成長が測定された。
【0154】
マイクロバイオアッセイ実験の設計
【0155】
各真菌の96穴マイクロタイター試験の化学薬品感受性が、B.cinerea、C.acutatum、C.fragariae、C.gloeosporioides、F.oxysporum、Phomopsis viticola、およびP.obscuransの感受性を測定するために使用される。各化学薬品は、各投与量(0.3、3.0および30.0μM)で二重反復で評価され、そして時を置かず2回繰り返される。液体培地および接種菌を有する16穴は、陽性対照の役割をし、適当な濃度の溶媒および接種菌なしの液体培地を有する8穴は、陰性対照として使用される。48時間および72時間における真菌成長を評価するために、平均吸光度値および標準誤差が使用され、但しP.obscuransおよびP.viticolaについては該データは120時間において記録される。無処理の陽性成長対照(n=32)と比較した、試験化合物(n=4)の各投与量における各真菌の阻止パーセントの平均の分散分析は、真菌成長阻止を評価するために使用される。時を置かず2回繰り返される分割区画法として、処理は計画される。全区画は真菌分離株であり、副区画は化学薬品である。それぞれの投与量レベルおよび応答時間が、分離して分析される。SAS方式の分散分析手順(米国ノースカロライナ州、Cary、Statistical Analysis System社)が、有意の因子を認定するために使用され、また制約付き最小有意差検定(Fisher’s protected LSD)法が平均を選別するために使用される。これらの試験の結果は以下に示される。
【0156】
マイコトキシン生成性真菌のバイオアッセイ法
【0157】
病原菌の生成
【0158】
Aspergillus flavus、Fusarium oxysporum、およびFusarium moniliformeの保存斜面培地分離株が、ポテトデキストロース寒天(米国ミシガン州、デトロイト、Difco社)斜面培地上で室温(22℃)で7日間育成された。
【0159】
接種菌の調製
【0160】
バイオアッセイの前に、1%のポテトデキストロース液体培地(PDB、米国ミシガン州、デトロイト、Difco社)、pH4.86の4mlが、保存培養菌斜面培地に加えられた。ピペット先端を使用する穏やかな撹拌によって、分生胞子は懸濁され、そして個体数が血球計測器を用いて測定された。分生胞子は次に10分生胞子/mlの濃度まで希釈され、そして22℃で8時間培養されて、発芽した分生胞子が得られ、これはバイオアッセイに使用された。
【0161】
コルスカノンAの活性を測定するための致死バイオアッセイ実験の設計
【0162】
コルスカノンAが100%メタノール中に希釈され、さらにPDB中に希釈されて、0.032μg/μlの保存物濃度が達成された。発芽した分生胞子および化合物(67)の試験混合物が、滅菌された500μlのEppendorf(米国ニューヨーク州、Westbury、Brinkman社)微小遠心管中でつくられた。化合物(67)の最終試験濃度は、250μlの最終体積中の、0、5、10、15、20、25、および30μMであった(0.0635μg/μl=1.0μM/250μl)。22℃で30分間、16時間および24時間の培養後、各サンプルのアリコート(50μl)が4のPDAプレートのそれぞれ上に薄く広げられた。該プレートは、22℃で2日間培養され、そして発育した成長できるコロニーが数え上げられた。別途のバイオアッセイが同様に30分間の培養期間を持つものと同時に設定されたが、これらは22℃でそれぞれ16時間および24時間培養された。これらのサンプルは前述のように薄く広げられ、そして発育している成長できるコロニーが数え上げられた。バイオアッセイは、真菌毎に3の別々の機会に実施された(n=12)。統計分析は、SibmaPlot 9.0(p<0.05)を使用して実施された。
【0163】
バイオアッセイの結果
【0164】
コルスカノンAおよびその構造的に関連した同族体およびこれらを含有する植物抽出物の分留分は、散布剤、浸剤または燻蒸剤として投与されうる、天然産の抗真菌剤および収穫後の腐敗防止剤としての可能性を持つ。コルスカノンAが、殺真菌剤耐性菌株のB.cinerea(48時間における発育阻止濃度IC50<1.55μM)、C.gloeosporioides(IC50<3.1μM)、C.fragariae(IC50<3.1μM)、C.acutatum(IC50<3.1μM)、およびF.oxysporum(IC50<12.5μM)に対して活性であることを、生体外および96穴マイクロバイオアッセイから得られたデータは示す。コルスカノンAによるPhomopsis obscuransの発育阻止は、120時間においてベノミル(IC50<6.25μM)よりも大きかった(IC50<3.1μM)。コルスカノンAによるPhomopsis viticolaの発育阻止は、72時間においてキャプタン(IC50<3.1μM)よりも大きかった(IC50<1.55μM)。
【0165】
コルスカノンAは、発芽した分生胞子とともに30分間のみ培養されたときは、Aspergillus flavusに対して致死性ではなかった。対照的に、化合物(67)は、これらの分生胞子に対して有意に致死性であり、15μMから始まって致死率が増加した。24時間の培養後は、コルスカノンは、試験された濃度のいずれにおいても、もはや有意に致死性ではなかった。次に、Fusarium oxysporum。試験された濃度のいずれにおいても、Fusarium oxysporumの発芽した分生胞子に対して、コルスカノンAは致死性ではなかった。しかし、16時間の培養後、15μMの濃度から始まって、発芽した分生胞子に対してコルスカノンAによって有意な、かつ増加する致死率が観察された。24時間の培養後は、コルスカノンAは、15μM以上において、有意に、かつ増加してFusarium oxysporumの発芽した分生胞子に対して致死性であった。次に、Fusarium moniliforme。コルスカノンAは、30分間の培養後は、発芽した分生胞子に対して有意に致死性ではなかった。しかし、16時間および24時間の培養後は、
有意な、かつ増加する致死率が5μM以上において観察された。
【0166】
【表4】

【0167】
【表5】

【0168】
【表6】

【0169】
【表7】

【0170】
【表8】

【0171】
【表9】

【0172】
【表10】

【0173】
【表11】

【0174】
【表12】

【0175】
【表13】

【0176】
引用された参考文献
【0177】
以下の刊行物は、主として背景または裏づけ情報を提供し、引用によってその全体が本明細書に取り込まれ、本明細書の開示の一部とみなされる。
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【0178】
本発明は、このように記載されているので、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、各種の変更および改変が本発明になされうることは当業者には明らかであろう。全てのそのような変更および改変は、本発明の範囲内であり、それからの発展ではないとみなされる。
【0179】
他様に具体的に示されない限り、本明細書および特許請求の範囲に使用された成分の量、特性、たとえば反応条件等を表現する全ての数字は、全ての場合に「約」の語によって修飾されていると理解されるべきである。したがって、それと反対に示されない限り、本明細書および特許請求の範囲に記載された数的パラメータは、本発明によって決定されるべく努められた所望の特性に応じて変動しうる近似である。
【0180】
本発明の広い範囲を示す数的範囲および数的パラメータが近似であるにも係らず、実験または実施例の節に記載された数値は、できるだけ正確に報告されている。しかし、いずれの数値も、そのそれぞれの試験測定法に認められる標準偏差から必然的にもたらされる、ある誤差を本質的に含む。
【0181】
この明細書を通して、各種の刊行物が参照されている。全てのこのような参考文献は、特に「引用された参考文献」の節に引用されたものを包含して、引用によって本明細書に取り込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0182】
【図1】C中のコルスカノンA(1)の300MHz H NMRスペクトル(1a/1b:約5/1)を示す図
【図2】室温で24時間NMR管中に放置後の、C中のコルスカノンA(1)の300MHz H NMRスペクトル(1a/1b:約1/1)を示す図
【図3】室温で12時間NMR管中に放置後の、CDCl中のコルスカノンA(1)の300MHz H NMRスペクトル(1a/1b:約1/1)を示す図
【図4】室温で12時間NMR管中に放置後の、CDCl中の合成コルスカノンA(1)の400MHz H NMRスペクトル(1a/1b:約1/1)を示す図
【図5】室温で24時間NMR管中に放置後の、CDCl中のコルスカノンB(2)の300MHz H NMRスペクトル(2a/2b:約1/1.2)を示す図
【図6】室温におけるCDCl中の合成コルスカノンB(2)の400MHz H NMRスペクトル(主要な2b)を示す図
【図7】室温で5時間NMR管中に放置後の、CDCl中の合成コルスカノンB(2)の400MHz H NMRスペクトル(2b/2a:約2.4:1)を示す図
【図8】CDCl中のイリデンブテノリド(5)の400MHz H NMRスペクトルを示す図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式の化合物


(この式で、R1〜4はそれぞれ独立にH、アルキル、メチル、アシル、ハロゲン、フェニルであり;
但し、Rがメチルであり、かつ各RがHであるときは、RおよびRは両方同時にHではなく;
また但し、RおよびRが両方ともHであるときは、RおよびRは両方同時にメチルではない。)、
その立体異性体、およびその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
以下の式

の、請求項1に記載された化合物。
【請求項3】
以下の式

の、請求項1に記載された化合物。
【請求項4】
以下の式

の、請求項1に記載された化合物。
【請求項5】
以下の式

の、請求項1に記載された化合物。
【請求項6】
以下の式の化合物

(この式で、RおよびRは独立にH、CH、アルキル、ハロゲン、フェニルであり;
はアルキル、アルケニル、アルキニル、スチリル、複素環、シクロアルキル、アリール、アルキルシクロアルキル、アルキル複素環、アルキルアリールであり;
はアルキル、アルケニル、アシル、グリコシル、ホスフェート、サルフェートであり;
但し、RまたはRの1がメチルであり、かつRまたはRの他の1がHであるときは、RおよびRは両方同時にメチルではない。)、
その立体異性体並びにその医薬的に許容される塩。
【請求項7】
以下の式の化合物

その立体異性体並びにその医薬的に許容される塩である、請求項6に記載された化合物。
【請求項8】
以下の式

の、請求項6に記載された化合物。
【請求項9】
請求項1に記載された化合物および医薬的に許容される担体を含んでいる、医薬組成物。
【請求項10】
請求項6に記載された化合物および医薬的に許容される担体を含んでいる、医薬組成物。
【請求項11】
請求項1に記載された化合物および農業的に許容される担体を含んでいる、農薬組成物。
【請求項12】
請求項6に記載された化合物および農業的に許容される担体を含んでいる、農薬組成物。
【請求項13】
以下の式

(この式で、R1〜4は独立にH、アルキル、アルコキシ、アシル、ハロゲン、フェニルである。)
の化合物の有効な真菌処置量または有効な真菌予防量および医薬的に許容される担体を、それを必要とする患者に投与することを含む、真菌感染症を処置し、予防し、および/または抑制する方法。
【請求項14】
真菌が、Microsporum canis、Ctenomyces mentagrophytes、Trichophyton rubrum、Phialophora verrucosa、Cryptococcus neoformans、Candida tropicalis、Candida albicans、Candida glabrata、Candida krusei、Candida pseudotropicalis、Candida parapsilosis、Aspergillus fumigatus、Aspergillus flavus、Mucor種、Sporotricum schenckiiおよびSaprolegnia種である、請求項13に記載された方法。
【請求項15】
化合物が以下の式

を有する、請求項13に記載された方法。
【請求項16】
化合物が以下の式

を有する、請求項13に記載された方法。
【請求項17】
以下の式の化合物

(この式で、R1〜4は独立にH、アルキル、アルコキシ、アシル、ハロゲン、フェニルである。)、またはその立体異性体の有効な真菌処置量、予防量、および/または抑制量並びに農業的に許容される担体を、植物または土壌に投与することを含む、植物体内の真菌活性を処置し、予防し、および/または抑制する方法。
【請求項18】
化合物が以下の式

を有する、請求項17に記載された方法。
【請求項19】
以下の式の化合物

(この式で、RおよびRは独立にH、アルキル、ハロゲン、フェニルであり;
はアルキル、アルケニル、アルキニル、スチリル、複素環、シクロアルキル、アリール、アルキルシクロアルキル、アルキル複素環、アルキルアリールであり;
はH、アルキル、アルケニル、アシル、グリコシル、ホスフェート、サルフェートである。)、またはその立体異性体の有効な真菌処置量または有効な真菌予防量並びに医薬的に許容される担体を、それを必要とする患者に投与することを含む、真菌感染症を処置し、または予防する方法。
【請求項20】
真菌が、Microsporum canis、Ctenomyces mentagrophytes、Trichophyton rubrum、Phialophora verrucosa、Cryptococcus neoformans、Candida tropicalis、Candida albicans、Candida glabrata、Candida krusei、Candida pseudotropicalis、Candida parapsilosis、Aspergillus fumigatus、Aspergillus flavus、Mucor種、Sporotricum schenckiiおよびSaprolegnia種である、請求項19に記載された方法。
【請求項21】
化合物が、以下の式の化合物

およびこれらの立体異性体である、請求項19に記載された方法。
【請求項22】
化合物が以下の式

を有する、請求項19に記載された方法。
【請求項23】
以下の式

(この式で、RおよびRは独立にH、アルキル、ハロゲン、フェニルであり;
はアルキル、アルケニル、アルキニル、スチリル、複素環、シクロアルキル、アリール、アルキルシクロアルキル、アルキル複素環、アルキルアリールであり;
はH、アルキル、アルケニル、アシル、グリコシル、ホスフェート、サルフェートである。)1の化合物、その
立体異性体、又はその同族体の有効な真菌処置量、予防量、および/または抑制量並びに農業的に許容される担体を、植物または土壌に投与することを含む、植物体内の真菌活性を処置し、予防し、および/または抑制する方法。
【請求項24】
化合物が以下の式

を有する、請求項21に記載された方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−530700(P2007−530700A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506420(P2007−506420)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/010275
【国際公開番号】WO2005/091754
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(506329166)ユニバーシティ オブ ミシシッピ (2)
【Fターム(参考)】