説明

新規なトリメチルシクロドデカトリエン誘導体、その使用及びそれを含有する芳香製品

【課題】新規化合物、その製造方法及びその使用の提供。
【解決手段】式(I)の化合物。式中、
a)R、R及びRが水素原子で、R、R及びRがメチル基、又は
b)R、R及びRが水素原子で、R、R及びRがメチル基、又は
c)R、R及びRが水素原子で、R、R及びRがメチル基であり、並びに、点線が存在してcis若しくはtrans二重結合で、Rが水素原子で、Rが−OH、−OCH若しくは−OC基であるか、又は点線が存在せず、Rが水素原子で、Rが−OCH若しくは−OC基、あるいは、
、R及びRが水素原子で、R、R及びRがメチル基であり、並びに、点線が存在してシス若しくはトランス二重結合で、Rが水素原子で、Rが−OH、−OCH若しくは−OC基であるか、又は点線が存在せず、Rが水素原子で、Rが−OCH若しくは−OC基である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広義には、香料に使用できる新規な芳香性化合物に関する。本発明は具体的には、新規なアルコール及びマクロ環エーテル、その合成方法、その芳香特性を利用した香料への使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本願明細書において「香料」の用語は、通常の語義のみならず、生成物の匂いが重要である他の分野における香料を指す場合にも用いる。それらには、香料ベース、香料コンセントレート、オーデコロン、オーデトワレ、香水などの通常の語義としての香水組成物、顔及び身体用クリーム、タルカムパウダー、ヘアオイル、シャンプー、ヘアローション、バスソルト及びオイル、シャワー及びバスゲル、化粧用石鹸、制汗剤及びボディデオドラント、シェービングローション及びクリーム、石鹸、クリーム、歯みがき、うがい薬、ポマードなどの局所用組成物(特に化粧用組成物)、並びに洗濯用柔軟剤、洗剤、洗濯機用洗浄剤、室内用消臭剤などのメンテナンス用品が含まれうる。
【0003】
本願明細書の「芳香剤」の用語は、匂いを供給する化合物を指すのに用いる。
【0004】
従来、マクロ環が香料に用いられている。特に、イソプレンの三量体形成によりマクロ環アルケンの混合物が得られ、そこには主に2つの立体異性体(特に1,5,10−トリメチルシクロドデカ−1,5,9−トリエン及び1,5,9−トリメチルシクロドデカ−1,5,9−トリエン)が様々な比率で含まれる。このマクロ環の混合物は、香料産業にとり低コストの原料である。具体的には、一般に用いられているそれらの若干の例としては、Cedroxyde(商標)(Firmenich社製、トリメチル−13−オキサビシクロ[10.1.0]トリデカ−4,8−ジエン)、Boisanol(商標)(Symrise社製)又はTrimofix(商標)O(2,5,10−トリメチル−2,5,9−シクロ−ドデカトリエン−1−イルメチルケトン)(IFF社製)などの誘導体が挙げられる。
【0005】
更に、Firmenichの特許文献1には、特定のトリメチルシクロドデカトリエン類の酸化によるケトン誘導体の合成に関する記載が存在する。トリメチルシクロドデカジエノンはエポキシ化、続いてエポキシドの開環、更に酸化を経て得られる。しかしながら、この合成経路での処理収率は低く、変換もあまり選択的でない。
【特許文献1】米国特許第3723478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上より、収率及び選択性が改善された、新規な芳香性マクロ環の合成方法に対するニーズが今なお存在する。
【0007】
驚くべきことに発明者は、芳香特性を有し、ゆえに香料に使用できる新規なマクロ環を合成するための新規な方法を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上より本発明は、下記の式(I)で表される新規な環状高分子群に関する。
【化1】

式中、
A)
a)R、R及びRが各々水素原子で、R、R及びRが各々メチル基、又は
b)R、R及びRが各々水素原子で、R、R及びRが各々メチル基、又は
c)R、R及びRが各々水素原子で、R、R及びRが各々メチル基であり、並びに、
点線が存在してcis若しくはtrans二重結合で、Rが水素原子で、Rが−OH、−OCH若しくは−OC基であるか、若しくは
点線が存在せず、Rが水素原子で、Rが−OCH若しくは−OC基、あるいは、
B)
、R及びRが各々水素原子で、R、R及びRが各々メチル基であり、並びに、
点線が存在してcis若しくはtrans二重結合で、Rが水素原子で、Rが−OH、−OCH若しくは−OC基であるか、若しくは
点線が存在せず、Rが水素原子で、Rが−OCH若しくは−OC基、
で表される。
【0009】
具体的には、本発明は下記の式(5a〜5d)、(6a〜6d)、(6a’〜6d’)で表される新規な化合物であって、
【化2】

式中、Rが水素原子(化合物5a、5b、5c、5d)、又はメチル基(化合物6a、6b、6c、6d)、又はエチル基(化合物6a’、6b’、6c’、6d’)で表される化合物に関する。
【0010】
化合物5a、6a及び6a’は、
が水素原子であり、
が−OH(化合物5a)、−OCH(化合物6a)又は−OC(化合物6a’)基であり、
がメチル基であり、
が水素原子であり、
が水素原子であり、
がメチル基であり、
が水素原子であり、
がメチル基であり、
二重結合が存在する場合の式(I)の化合物である。
【0011】
化合物5b、6b及び6b’は、
が水素原子であり、
が−OH(化合物5b)、−OCH(化合物6b)又は−OC(化合物6b’)基であり、
がメチル基であり、
が水素原子であり、
がメチル基であり、
が水素原子であり、
が水素原子であり、
がメチル基であり、
二重結合が存在する場合の、式(I)の化合物である。
【0012】
化合物5c、6c及び6c’は、
が水素原子であり、
が−OH(化合物5c)、−OCH(化合物6c)又は−OC(化合物6c’)基であり、
が水素原子であり、
がメチル基であり、
がメチル基であり、
が水素原子であり、
が水素原子であり、
がメチル基であり、
二重結合が存在する場合の、式(I)の化合物である。
【0013】
5d化合物、6d及び6d’は、
が水素原子であり、
がメチル基であり、
がメチル基であり、
が水素原子であり、
がメチル基であり、
が水素原子であり、
が水素原子であり、
が−OH(5d化合物)、−OCH(6d化合物)又は−OC(化合物6d’)基であり、二重結合が存在する場合の、式(I)の化合物である。
【0014】
具体的には、本発明の主題は下記の式(7a〜7d)及び(7a’〜7d’)で表される新規な化合物であって、
【化3】

Rがメチル基(化合物7a、7b、7c、7d)又はエチル基(化合物7a’、7b’、7c’、7d’)である化合物に関する。
【0015】
化合物7a及び7a’は、
が水素原子であり、
が−OCH(化合物7a)又は−OC(化合物7a’)基であり、
がメチル基であり、
が水素原子であり、
が水素原子であり、
がメチル基であり、
が水素原子であり、
がメチル基であり、
二重結合が存在しない場合の、式(I)の化合物である。
【0016】
化合物7b及び7b’は、
が水素原子であり、
が−OCH(化合物7b)又は−OC(化合物7b’)基であり、
がメチル基であり、
が水素原子であり、
がメチル基であり、
が水素原子であり、
が水素原子であり、
がメチル基であり、
二重結合が存在しない場合の、式(I)の化合物である。
【0017】
化合物7c及び7c’は、
が水素原子であり、
が−OCH(化合物7c)又は−OC(化合物7c’)基であり、
が水素原子であり、
がメチル基であり、
がメチル基であり、
が水素原子であり、
が水素原子であり、
がメチル基であり、
二重結合が存在しない場合の、式(I)の化合物である。
【0018】
7d化合物及び7d’は、
が水素原子であり、
がメチル基であり、
がメチル基であり、
が水素原子であり、
がメチル基であり、
が水素原子であり、
が水素原子であり、
が−OCH(7d化合物)又は−OC(化合物7d’)基であり、二重結合が存在しない場合の、式(I)の化合物である。
【0019】
式(I)の化合物は、1つの異性体若しくは複数の異性体の混合物の形であってもよく、特に1つの鏡像異性体、複数の鏡像異性体の混合物、ラセミ混合物、又は1つのジアステレオ異性体若しくは複数のジアステレオ異性体の混合物であってもよい。式(I)の化合物は全て芳香特性を有する。化合物(5a〜5d)はアンバー、ムスクの匂いを有する。化合物(6a〜6d)及び(6a’〜6d’)はヴェティヴェールの輪郭と共にウッディー、カンファーのノートを有する。化合物(7a〜7d)はフルーティ、グリーンのノートを有する。これらの芳香特性により、これらの様々な生成物、特に具体的にはメチルエーテル(6a〜6d)の場合、特に香料の分野において様々な使用法が想起できる。
【0020】
以上より、本発明はまた、芳香剤としての上記化合物の使用に関する。
【0021】
本発明はまた、式(I)の化合物を合成する方法に関する。化合物(5a〜5d)、(6a〜6d)、(6a’〜6d’)、(7a〜7d)、(7a’〜7d’)の各々は、下記の化合物(4a〜4d)から直接又は間接的に合成できる。
【化4】

上記のいずれも、トリメチルシクロドデカトリエン類を開始材料として合成できる。本発明はまた、下記のマクロ環ケトン4a〜4dを調製するための新規な方法を提供する。
【0022】
以下の反応式で、本発明の化合物の合成方法を示す。
反応式1:
【化5】

【0023】
一般に、本発明の方法には以下の工程が含まれる。
− 1,5,10−トリメチルシクロドデカ−1,5,9−トリエンからの(1a)、及び1,5,9−トリメチルシクロドデカ−1,5,9−トリエンからの(1b)、クロロニトロソ誘導体の形成、
− これらの誘導体のオキシムへの変換、
− レーニーニッケル、アセトン及びホウ酸存在下での、オキシムの還元によるケトンへの変換、
− ケトンのアルコールへの還元、
− エーテル化によるエーテルの形成、
− 適宜、水素化による飽和エーテルの形成。
【0024】
最初の工程では、1,5,10−トリメチルシクロドデカトリエン(1a)、1,5,9−トリメチルシクロドデカトリエン(1b)のクロロニトロソ誘導体(2a〜2d)を形成させる。当業者に公知の多数の試薬をこの反応に利用でき、所望の結果が得られる。これらの試薬の中では、経済的な理由により亜硝酸ナトリウムが好適である。この反応は非常に発熱的であるため、トリメチルシクロドデカトリエン類(1a〜1b)をsec−ブタノールなどの溶媒中で−10℃〜−20℃の低温に冷却する。次いで亜硝酸ナトリウム(本実施態様で使用する試薬)を徐々に添加し、同時に塩酸を滴下しながら添加する。白色の結晶が形成される。試薬の添加終了後、反応溶媒を更に16時間撹拌しながらバルク温度を室温に戻す。次に、水酸化ナトリウム又は他の適切な塩基を用いて、バルク温度が25℃を越えないように溶液を冷却しながら中和する。クロロニトロソ誘導体(2a〜2d)が結晶の形で得られ、それを洗浄、濾過、乾燥させる。それは次の工程に直接使用できる。
【0025】
次に、当業者が有する一般的な知識に基づき決定できる適切な条件下でクロロニトロソ誘導体(2a〜2d)をオキシム(3a〜3d)に変換する。オキシムへの変換は塩基の存在下、水性媒体中で実施するのが好適である。幾つかの塩基の使用が想起できるが、トリエチルアミンの存在下で良好な収率となる。結晶(2a〜2d)を水、トルエン及びトリエチルアミンを含む混合物中に懸濁する。懸濁液を約4〜6時間還流する。全ての結晶の消失は、完全な変換を示す。冷却後、層分離させ、有機層を塩水、次いで硫酸、再度塩水で中性となるまで洗浄する。溶媒の濃縮により、茶色塊状のオキシム(3a〜3d)が得られる。それは、精製してもよいが、分子量及び粗生成物の複雑さの理由により困難であるため、以下の反応に直接使用してもよい。オキシムをケトン(当業者に公知である)に変換する多種多様な酸化及び還元方法が存在し、そこでは若干の例としてナトリウム重亜硫酸塩、硫酸銅、亜硝酸ナトリウム、レブリン酸及びオキソンなどの試薬が、ケトンの調製に使用されている。但し本件の場合、これらの試みは全て失敗に終わった。レーニーニッケル、アセトン/エタノール及びホウ酸の存在下においてのみ、還元的変換によるケトン(4a〜4d)の調製が可能であった。この実施においては、オキシム(3a〜3d)をエタノール及びアセトンの混合物中に部分的に溶解させ、レーニーニッケル及びホウ酸の存在下、オートクレーブ中に充填する。次いで反応溶媒を約14時間、約25℃〜60℃の温度及び約1×10HPa〜5×10HPaの水素分圧下で撹拌することにより、ケトン(4a〜4d)、すなわち4,9,12−トリメチル−シクロ−ドデカ−4,8−ジエノン(4a)、4,8,12−トリメセドリン−イルシクロ−ドデカ−4,8−ジエノン(4b)、5,8,12−トリメチル−シクロ−ドデカ−4,8−ジエノン(4c)、5,9,12−トリメチル−シクロ−ドデカ−4,8−ジエノン(4d)の調製が可能となる。
【0026】
次いで溶液を室温に冷却し、水で急冷し、溶媒(例えばトルエン)で抽出する。中性となるまで混合有機層を洗浄し、乾燥させ、濃縮し、次いで蒸留する。ケトン(4a〜4d)の混合物はムスク、フローラル及びわずかにウッディーな匂いを有する。
【0027】
ケトン(4a〜4d)のアルコール(5a〜5d)への還元は、当業者が決定できる適切な条件下で実施できる。特に、エタノールの還元は水素化ホウ素ナトリウムを使用して実施でき、他の適切な試薬よりも、簡便性及び価格上の理由から好ましいものである。水素化ホウ素ナトリウムを、約5℃〜15℃の温度で、約36時間にわたり、アルコール溶液に添加する。過剰な水素化物をアセトンで除去する。塩酸による酸性化後、溶液を水で急冷し、次いで抽出する。中性となるまで混合有機層を洗浄し、乾燥させ、濾過し、濃縮する。蒸留し、アルコール(5a〜5d)を得る。
【0028】
これらのアルコールはアンバー、ムスクの匂いを有し、比較的弱いがはっきりとした匂いである。次いでアルコールを当業者に公知の適切な条件下でエーテル化してもよい。通常、2種類の試薬(ハロゲン化アルキル及びアルキル硫酸)がアルコールのエーテル化に用いられる。エーテル(6a〜6d及び6a’〜6d’)の調製にこれらの2種類の試薬を使用できる。経済的な理由から、ジメチル硫酸及びジエチル硫酸が好適である。アルコキシドの形成を容易にするために、ナトリウムを懸濁させた、トリメチルシクロドデカジエノール(5a〜5d)のテトラヒドロフラン中溶液に、イソプレンを滴下して添加する。ナトリウムは最初にイソプレンと反応し、陽イオンを形成し、次いで存在するアルコールと急速に反応する。この反応は約10℃〜20℃の温度で実施する。全てのナトリウムの反応後、エーテル化試薬(例えばジメチル又はジエチル硫酸)を添加する。反応溶媒を約6時間還流する。溶液が無色になり次第、反応を終了させる。冷却(10℃〜20℃)しながら、過剰の硫酸を除去するためにアンモニア水溶液を添加する。水性層を溶媒(例えばt−ブチルメチルエーテル)で抽出する。中性となるまで混合有機層を洗浄し、乾燥させ、濾過し、濃縮する。蒸留し、新規な化合物であるメチルエーテル(6a〜6d)又はエチルエーテル(6a’〜6d’)を得る。メチルエーテル(6a〜6d)はヴェティヴェールの輪郭と共にウッディー、カンファーのノートを有し、香水調合者によって明瞭に認められる。エチルエーテル(6a’〜6d’)はメチルエーテル(6a〜6d)とほぼ同じノートを有し、同時に揮発性がはるかに低い。次いで、当業者が決定できる条件下で、エーテル(6a〜6d)を水素化して対応する飽和エーテル(7a〜7d)を調製できる。特に、例えばパラジウム/チャコールの存在下、約20℃〜80℃の温度で、約2×10HPa〜8×10HPaの水素分圧下で、水素化処理を実施できる。得られたエーテルは新規な化合物である。それらはかすかなフルーティ、グリーンのノートを有する。
【0029】
上記の方法により、化合物4、5、6及び7の各グループは混合物a〜d又はa’〜d’の形で得られる。特にキラルカラム又は調製クロマトグラフィによる分離などの、当業者に公知の適切な技術を用いることにより、困難ではあるが、混合物中の化合物を分離することも不可能ではない。但しこのような問題点を考慮すれば、各混合物自体は芳香特性を有するため、それらの分離は必須ではなく、化合物を混合物として使用してもよい。
【0030】
本発明はまた、少なくとも1つの本発明の式(I)の化合物の、芳香剤としての、匂いマスキング剤としての、又は匂い中和剤としての使用に関する。該化合物はそれら単独で、又は当業者に公知の1つ以上の他の芳香性化合物(所望の効果に応じて当業者が適宜選択できる)を有する混合物として使用してもよい。1つ以上の付加的な芳香剤を、式(I)の化合物又は当業者に公知の他の芳香剤としてもよい。
【0031】
本発明はまた、ベース生成物及び有効量の1つ以上の本発明の式(I)の化合物を含んでなる組成物に関する。
【0032】
それ自身が芳香性を有する組成物であってもよく、又は芳香剤が特定の匂いのマスキング又は中和の目的で用いられている組成物であってもよい。
【0033】
ベース生成物は意図する組成及び意図する使用に応じて当業者が容易に決定でき、それに使用する通常の成分として、例えば1つ以上の溶媒及び/又は1つ以上の賦形剤が公知である。
【0034】
組成物に添加される本発明の式(I)の化合物の有効量は、組成物の性質、所望の芳香効果及びその他の芳香性化合物又は存在しうる非芳香性化合物の性質に従って変化し、それは当業者が容易に決定でき、0.1%〜99重量%、具体的には0.1%〜50重量%、特に0.1%〜30重量%の非常に広い範囲で変化させることができる。
【0035】
本発明の式(I)の化合物は、未修飾の形でもよく、又は支持材料中若しくは支持材料上に設けてもよく、該支持材料は不活性であってもよく、又は完結した組成物の他の活性成分を含んでいてもよい。多種多様な支持材料が使用でき、例えば極性溶媒、油、グリス、微粉末化固体、シクロデクストリン、マルトデキストリン、ゴム、樹脂及びこの種の組成物として公知の他のあらゆる支持材料が使用できる。
【0036】
以上より本発明はまた、上記の用途、特に香料、シャンプー又は石鹸などの化粧品、又は洗濯用柔軟剤又は洗濯用洗剤などのメンテナンス用品への用途に使用する、芳香性組成物又は芳香性製品の調製における、式(I)の化合物の使用に関する。
【0037】
本発明は具体的には、少なくとも1つの式(I)の化合物を含んでなる、又は少なくとも1つの式(I)の化合物を含む化合物を含んでなる、香料組成物、特に芳香ベース若しくはコンセントレート、オーデコロン、オーデトワレ又はオーデフレグランスに関する。
【0038】
本発明はまた、具体的には、少なくとも1つの式(I)の化合物を含んでなる、又は少なくとも1つの式(I)の化合物を含む少なくとも1つの組成物を含んでなる、化粧用組成物、特に顔用又は身体用クリーム、タルカムパウダー、ヘアオイル又はボディオイル、シャンプー、ヘアローション、バスソルト、バスオイル、シャワーゲル、バスゲル、化粧用石鹸、制汗剤、ボディデオドラント、ローション、シェービングクリーム、シェービングソープ、クリーム、歯みがき、うがい薬又はポマードに関する。
【0039】
更に本発明は、少なくとも1つの式(I)の化合物又は少なくとも1つの式(I)の化合物を含む少なくとも1つの組成物を用いる、保護的若しくは非保護的な美容処置又はケア方法に関する。
【0040】
本発明はまた、少なくとも1つの式(I)の化合物又は少なくとも1つの式(I)の化合物を含む少なくとも1つの組成物を含んでなるメンテナンス用品、特に洗濯用柔軟剤、洗剤、洗濯機用洗剤又は室内用消臭剤に関する。
【0041】
本発明の化合物は、単独又は組み合わせで用いてもよく、未修飾の形でも、又は支持材料中若しくは支持材料上に設けてもよく、該支持材料は不活性であっても、又は最終的な組成物における他の活性成分を含んでいてもよい。多種多様な支持材料が使用でき、例えば極性溶媒、油、グリス、微粉末化固体、シクロデクストリン、マルトデキストリン、ゴム、樹脂及びこの種の組成物として公知の他のあらゆる支持材料が使用できる。
【0042】
以上より、本発明はまた、上記の用途、特に香料、シャンプー又は石鹸などの化粧品、又は洗濯用柔軟剤又は洗濯用洗剤などのメンテナンス用品への用途に使用する、芳香性組成物又は芳香性製品の調製における、新規化合物の使用に関する。
【0043】
本発明は具体的には、少なくとも1つの式(I)の化合物を含んでなる、又は少なくとも1つの式(I)の化合物を含む化合物を含んでなる、香料組成物、特に芳香ベース若しくはコンセントレート、オーデコロン、オーデトワレ又はオーデフレグランスに関する。
【0044】
本発明はまた、具体的には、少なくとも1つの式(I)の化合物を含んでなる、又は少なくとも1つの式(I)の化合物を含む組成物を含んでなる、化粧用組成物、特に顔用又は身体用クリーム、タルカムパウダー、ヘアオイル又はボディオイル、シャンプー、ヘアローション、バスソルト、バスオイル、シャワーゲル、バスゲル、化粧用石鹸、制汗剤、ボディデオドラント、ローション、シェービングクリーム、シェービングソープ、クリーム、歯みがき、うがい薬又はポマードに関する。
【0045】
更に本発明は、少なくとも1つの式(I)の化合物又は少なくとも1つの式(I)の化合物を含む少なくとも1つの組成物を用いる、保護的若しくは非保護的な美容処置又はケア方法に関する。
【0046】
以下の実施例では、既に周知の、又は本発明の新規な分子の様々な製造方法、更にその使用法及び有用性を示す。これらの実施例は単に図示を目的として開示するものであり、本発明を限定するものと解釈すべきでない。
【実施例1】
【0047】
<クロロトリメチルニトロソシクロドデカジエン(2a〜2d)の合成>
408.0g(2.00mol)のトリメチルシクロドデカトリエン類(1a及びb)及び700.0gのsec−ブタノールを、粉末用漏斗、滴下漏斗及び温度計を備えたサイドチューブ付の4L平底フラスコに充填した。溶液を−10℃〜−15℃に冷却した。亜硝酸ナトリウム160.0g(2.32mol)を約6時間にわたって滴下して添加し、同時に640.0g(6.00mol)の34%塩酸を徐々に添加した。反応は非常に発熱的であった。バルク温度が0℃を越えないような効率的な冷却が望ましい。反応溶媒を更に16時間撹拌しながらバルク温度を室温に戻した。灰白色の結晶が生し、反応溶媒がペースト状になった。次に、1000.0gの水を添加し、撹拌を促進した。混合物を再度冷却し、バルク温度が25℃を越えないように、滴下しながら300.0g(3.53mol)の47%水酸化ナトリウムを添加した。結晶を濾過して除去し、325.0gのヘキサンでリンスし、スクリーンした(1.25スクリーン)。結晶を真空乾燥した(最初40HPa、次いで0.7HPa)。419.7g(最大1.56mol)のクロロトリメチルニトロソシクロドデカジエン(2a〜2d)が得られ、出発原料を微量含み、試験した全ての溶媒に実質的に不溶性であった。最大収率は78.0%であった。結晶を次の工程に直接用いた。
【実施例2】
【0048】
<トリメチルシクロドデカ−トリエノンオキシム(3a〜3d)の合成>
270.0g(1.00mol)のクロロトリメチルニトロソシクロドデカジエン(2a〜2d)、301.0gのトルエン及び121.5g(1.20mol)のトリメチルアミンを、濃縮器、滴下漏斗及び温度計を備えた2Lの平底フラスコに充填し、混合物を60℃に加熱した。この温度で350.0mlの水を滴下して添加し、次いで激しく撹拌しながら反応溶媒を(約80℃で)4時間還流した。反応溶媒を60℃まで冷却し、水層を分離除去した。次いで有機層を塩水200ml、再度塩水200ml、210%硫酸50mlで一度、更に塩水で二度洗浄した。バルク温度が50℃を越えないように、溶媒を減圧(約40のHPa)下で濃縮した。228.00gのペースト状の茶色の塊を得、次の工程に直接用いた。
【実施例3】
【0049】
<トリメチルシクロドデカジエノン(4a〜4d)の合成>
エタノール78.0g、アセトン158.0g(2.72mol)ホウ酸2.3g(0.04mol)、水30.0g(1.67mol)、レーニーニッケル4.0g及び粗トリメチルシクロドデカトリエノンオキシム(3a〜3d)228.0gを、800ml容のオートクレーブに充填した。装置を水素で3回洗浄した。混合物を50℃、3×10HPaの水素分圧下で24時間撹拌した。装置を室温に冷却し、反応溶媒を回収した。500mlのトルエン、次いで300mlの塩水を添加した。層分離させ、水性層を100mlのトルエンで一度抽出した。混合有機層を100mlの10%の塩酸で6回洗浄し、中性のpHとした。得られた有機層を、100mlの塩水で更に一度洗浄し、乾燥させ、濾過し、バルク温度が50℃を越えないように真空(40HPa)下で濃縮した。蒸留後、124.8g(0.57mol)のトリメチルシクロドデカジエノン(4a〜4d)を得た(沸点:94〜97℃/0.3HPa)。2段階処理の収率は57%であった。IR、NMR及びMS分析の結果、予想される化合物の構造と一致していた。
【実施例4】
【0050】
<トリメチルシクロドデカジエノール(5a〜5d)の合成>
トリメチルシクロドデカジエノン(4a〜4d)124.8g(0.57mol)及びエタノール390.0gを、温度計を備えた2Lの平底フラスコに充填した。混合物を5℃まで冷却し、バルク温度が10℃を越えないように、10.7gの水素化ホウ素ナトリウムを徐々に添加した。この温度で混合物を42時間撹拌した。この工程中に水素化ホウ素ナトリウムの付加的な量を添加した(6時間後5.3g、24時間後10.1g及び36時間後5.3g;使用した水素化ホウ素ナトリウムの総量:31.4g(0.863mol))。アセトン79.0g(1.36mol)を、バルク温度が10℃を越えないように滴下して添加し、過剰な還元剤を除去した。バルク温度が10℃を越えないように、反応混合物に10%塩酸500.0gを添加し酸性化した。更に水800g、次いでトルエン344gを激しく撹拌しながら添加した。層分離させ、有機層を水200gで3回、塩水200gで1回洗浄した。得られた有機層を乾燥し、濾過し、バルク温度が50℃を越えないようにしながら減圧下(40HPa)でトルエンを蒸発除去した。蒸留後、トリメチルシクロドデカジエン(5a〜5d)69.6g(0.31mol)を得た(沸点:98〜100℃/0.2HPa)。収率は55.3%であった。IR、NMR及びMS分析の結果、予想される化合物の構造と一致していた。
【実施例5】
【0051】
<メトキシトリメチルシクロドデカジエン(6a〜6d)の合成>
テトラヒドロフラン360.0g、トリメチルシクロドデカジエノール(5a〜5d)69.6g(0.31mol)及びナトリウム(小片にカット)8.2g(0.36mol)を、濃縮器、温度計及び滴下漏斗を備えた2Lの平底フラスコに充填した。反応溶媒を15℃まで冷却し、バルク温度が15℃を越えないように、イソプレン41.6ml(28.3g、0.42mol)を滴下して添加した。ナトリウムが完全に溶解するまで撹拌を継続した。混合物を10℃まで冷却し、ジメチル硫酸塩33.8ml(45.0g、0.357mol)をこの温度で滴下して添加した。溶液が完全に脱色されるまで、反応溶媒を6時間還流した。得られた溶液を10℃まで冷却し、バルク温度が15℃を越えないように、300mlの10%アンモニア水溶液を滴下して添加した。層分離させ、水性層を150mlのt−ブチルメチルエーテルで2回抽出した。混合有機層を150gの10%塩酸で1回、水150gで2回、次いで塩水150gで1回洗浄した。得られた有機層を乾燥し、濾過し、バルク温度が50℃を越えないように真空下(40HPa)溶媒を蒸発除去した。蒸留後、33.5g(0.14mol)のメトキシトリメチルシクロドデカジエン(6a〜6d)を得た(沸点:68〜72℃/0.2HPa)。収率は45.7%であった。IR、NMR及びMS分析の結果、予想される化合物の構造と一致していた。
【実施例6】
【0052】
<エトキシトリメチルシクロドデカジエン(6a’〜6d’)の合成>
トリメチルシクロドデカジエン(5a〜5d)28.9g(0.12mol)及び硫酸ジエチル20.4g(0.36mol)を用い、実施例4の記載と同様にしてエトキシトリメチルシクロドデカジエン(6a’〜6d’)を合成した。エトキシトリメチルシクロドデカジエン(6a’〜6d’)18.2g(0.07mol)を得た(沸点:105/108℃/0.2HPa)。収率は62.7%であった。IR、NMR及びMS分析の結果、予想される化合物の構造と一致していた。
【実施例7】
【0053】
<メトキシトリメチルシクロドデカン(7a〜7d)の合成>
メトキシトリメチルシクロドデカジエン(6a〜6d)7.6g(32mmol)、エタノール100ml及びパラジウム/チャコール0.5gをオートクレーブに充填した。装置を閉鎖し、水素で3回洗浄した。混合物を4×10HPaの水素を供給しながら40℃で6時間撹拌し、室温に冷却し、反応溶媒を回収した。触媒を濾過して除去し、バルク温度が50℃を越えないように、減圧下(40HPa)で溶媒を蒸発除去した。微量の蒸留後、5.0g(20.8mmol)のメトキシトリメチルシクロドデカン(7a〜7d)を得た(沸点:71〜78℃/0.3HPa)。収率は65.0%であった。IR、NMR及びMS分析は予想される化合物の構造と一致していた。
【実施例8】
【0054】
<官能評価>
第一段階において、純粋なメトキシトリメチルシクロドデカジエン(6a〜6d)の芳香特性と、同時に公知の市販の化合物の芳香特性をパネル評価した。評価パネラーは数人の専門家で構成し、各化合物を質的及び量的に評価させた。化合物の混合物は、ヴェティヴェールの輪郭と共にウッディー、カンファーを有し、非常に強い、と判定された。同様の特徴が、例えばGivaudan社製のSpirambrene(商標)(2,2,3’,7’,7−ペンタメチルスピロ−1,3−ジオキサン−5,2’−ノルカレン)、Quest International社製のKaranal(商標)(5−sec−ブチル−2−(2,4−ジメチルシクロヘキス−3−エニル)−5−メチル[1,3]ジオキサン)、International Flavours社製のCedramber(商標)(6−メトキシ−3,6,8,8−テトラメチルオクタヒドロ−3a,7−メタノアズレン)、及びヘンケル社製のFragrances又はBoisambrene(商標)(エトキシメトキシシクロドデカン)などの具体的な市販品においても見られた。次に、2つのアルコール系組成物を調製し、それを用いてメトキシトリメチルシクロドデカジエン(6a〜6d)の混合物と市販品とを比較した。各場合において、周知の化合物と比較した嗅覚インパクトの評価を、t、t+48時間及びt+168時間のヘッド、コア及びベースにおけるノートの評価により行った。
【0055】
<組成物1>
【表1】

1. 由来:V.Mane Fils(フランス)。
2. 3a,6,6,9a−テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1−b]フラン、由来:V.Mane Fils(フランス)。
3. 1,1,2,3,3−ペンタメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロインデン−4−オン、由来:International Flavours and Fragrances(米国)。
4. 1,1,2,3,3,8−ヘキサメチル−1,2,3,5,7,8−ヘキサヒドロ−6−オキサシクロペンタ[b]ナフタレン、由来:International Flavours and Fragrances(米国)。
5. [3−オキソ−2−((E)−ペンチル)シクロペンチル]酢酸メチルエステル、由来:Firmenich(スイス)。
6. 1−(2,3,8,8−テトラメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロナフタレン−2−イル)エタノン、由来:International Flavours and Fragrances(米国)。
7. ジプロピレングリコール。
8. 6−メトキシ−3,6,8,8−テトラメチルオクタヒドロ−3a,7−メタノアズレン、由来:International Flavours and Fragrances(米国)。
9. エトキシメトキシシクロドデカン、由来:ヘンケル(ドイツ)。
【0056】
<組成物2>
【表2】

1. (E)−ウンデカ−1,3−ジエン−5−イン、由来:Firmenich(スイス)。
2. 3a,6,6,9a−テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1−b]−フラン、由来:V.Mane Fils(フランス)。
3. 7−メチルベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−3−オン、由来;Symrise(ドイツ)。
4. 2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチル安息香酸メチルエステル、由来:International Flavours and Fragrances(米国)。
5. 由来:Givaudan(スイス)。
6. 2−イソブチル−4−メチルテトラヒドロピラン−4−オール、由来:Firmenich(スイス)。
7. [3−オキソ−2−((E)−ペンチル)シクロペンチル]酢酸メチルエステル、由来:Firmenich(スイス)。
8. 3−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−2−メチルプロピオンアルデヒド、由来:International Flavours and Fragrances(米国)。
9. 1−(2,3,8,8−テトラメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロナフタレン−2−イル)エタノン、由来:International Flavours and Fragrances(米国)。
10. 3−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロピオンアルデヒド、由来:Givaudan(スイス)。
11. 2,6−ジメチルヘプト−5−エナール、由来:Guivaudan(スイス)。
12. (E)−3−メチル−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキス−2−エニル)ブト−3−エン−2−オン、由来;Firmenich(スイス)。
13. 由来:V.Mane Fils(フランス)。
14. ジプロピレングリコール中、10%。
15. 由来:Firmenich(スイス)。
16. カルボン酸(E)−ヘキス−3−エニルエステルメチルエステル、由来:International Flavours and Fragrances(米国)。
17. 2−4−ジメチルシクロヘキス−3−エンカルバルデヒド、由来:International Flavours and Fragrances(米国)。
18. エトキシメトキシシクロドデカン、由来:ヘンケル(ドイツ)。
【0057】
組成物1の試験では、メトキシトリメチルシクロドデカジエン(6a〜6d)がBoisambrene(商標)のアンバーのノートがないことを示し、一方ウッディーのノートがBoisambrene(商標)より強力であり、その結果Cedramber(商標)と同様のインパクトを示した。
【0058】
組成物2の試験では、メトキシトリメチルシクロドデカジエン(6a〜6d)はBoisambrene(商標)より弱いアンバー感及び弱い高揚感であることを確認したが、一方ではより深いベースノートを有し、スギ、ハニー及びワックス様のヒントを有していた。
【0059】
更に、時間経過に伴う強さの低下は全ての場合比較的直線的な様相であり、また芳香特性の顕著な変化を示さなかった。
【0060】
これらの評価の結果は、疑いもなく上記の化合物の混合物が良好な香り特徴を有することを示し、特に香料の分野における用途が想起される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(I)の化合物
【化1】

(式中、
A)
a)R、R及びRが各々水素原子で、R、R及びRが各々メチル基、又は
b)R、R及びRが各々水素原子で、R、R及びRが各々メチル基、又は
c)R、R及びRが各々水素原子で、R、R及びRが各々メチル基であり、並びに、
点線が存在してcis若しくはtrans二重結合で、Rが水素原子で、Rが−OH、−OCH若しくは−OC基であるか、若しくは
点線が存在せず、Rが水素原子で、Rが−OCH若しくは−OC基、あるいは、
B)
、R及びRが各々水素原子で、R、R及びRが各々メチル基であり、並びに、
点線が存在してcis若しくはtrans二重結合で、Rが水素原子で、Rが−OH、−OCH若しくは−OC基であるか、若しくは
点線が存在せず、Rが水素原子で、Rが−OCH若しくは−OC基)
であって、前記化合物がアルコール又はエーテルの誘導体である化合物。
【請求項2】
以下の式
【化2】

のいずれか1つであって、Rが水素原子、メチル基又はエチル基である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
以下の式
【化3】

のいずれか1つであって、Rがメチル基又はエチル基である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
下記のケトン(4a〜4d)
【化4】

及び/又は請求項1から3のいずれか1項記載の式(I)の化合物の調製方法であって、
− 1,5,10−トリメチルシクロドデカ−1,5,9−トリエンからの(1a)、及び1,5,9−トリメチルシクロドデカ−1,5,9−トリエンからの(1b)、クロロニトロソ誘導体の形成、
− これらの誘導体のオキシムへの変換、
− レーニーニッケル、アセトン及びホウ酸の存在下での、オキシムの還元によるケトンへの変換、
の工程を含む方法。
【請求項5】
更に前記ケトンをアルコールに還元する工程を含む、請求項4記載の調製方法。
【請求項6】
更にエーテルを得るためのエーテル化工程を含む、請求項4又は5記載の調製方法。
【請求項7】
更に飽和エーテルを得るための水素化工程を含む、請求項4から6のいずれか1項記載の調製方法。
【請求項8】
下記の化合物(4a〜4d)
【化5】

からの化合物(5a〜5d)、(6a〜6d)、(6a’〜6d’)及び/又は(7a〜7d)若しくは(7a’〜7d’)の調製方法であって、ケトン(4a〜4d)をアルコール(5a〜5d)
【化6】

に還元し、次いで、必要に応じて前記アルコールをエーテル化してエーテル(6a〜6d)又は(6a’〜6d’)
【化7】

を得、必要に応じて前記エーテルを水素化して飽和エーテル(7a〜7d)又は(7a’〜7d’)
【化8】

を得る方法。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか1項記載の式(I)の少なくとも1つの化合物を、1つの異性体若しくは複数の異性体の混合物、特に1つの鏡像異性体若しくは複数の鏡像異性体の混合物、ラセミ混合物、又は1つのジアステレオ異性体若しくは複数のジアステレオ異性体の混合物の形で含む組成物。
【請求項10】
以下の化合物5a、5b、5c及び/又は5dから選択される少なくとも2つの化合物の混合物を含む、好ましくは化合物5a、5b、5c及び5dの4つの化合物の混合物を含む、請求項9記載の組成物。
【化9】

【請求項11】
以下の化合物6a、6b、6c及び/又は6dから選択される少なくとも2つの化合物の混合物を含む、好ましくは化合物6a、6b、6c及び6dの4つの化合物の混合物を含み、
【化10】

Rがメチル基である、請求項9記載の組成物。
【請求項12】
以下の化合物6a’、6b’、6c’及び/又は6d’から選択される少なくとも2つの化合物の混合物、好ましくは化合物6a’、6b’、6c’及び6d’の4つの化合物の混合物を含み、
【化11】

Rがエチル基である、請求項9記載の組成物。
【請求項13】
以下の化合物7a、7b、7c及び/又は7dから選択される少なくとも2つの化合物の混合物、好ましくは化合物7a、7b、7c及び7dの4つの化合物の混合物を含み、
【化12】

Rがメチル基である、請求項9記載の組成物。
【請求項14】
化合物7a’、7b’、7c’及び/又は7d’から選択される少なくとも2つの化合物の混合物、好ましくは化合物7a’、7b’、7c’及び7d’の4つの化合物の混合物を含み、
【化13】

Rがエチル基である、請求項9記載の組成物。
【請求項15】
式(I)の1つ以上の化合物が、不活性であるか又は他の活性成分を含みうる支持材料中又は支持材料上に設けられ、前記支持材料が特に極性溶媒、油、グリス、微粉末化固体、シクロデクストリン、マルトデキストリン、ゴム、樹脂から選択される、請求項9から14のいずれか1項記載の組成物。
【請求項16】
香料組成物、特に芳香ベース若しくはコンセントレート、オーデコロン、オーデトワレ又はオーデフレグランスであって、請求項1から3のいずれか1項で定義した少なくとも1つの化合物、又は請求項9から14のいずれか1項記載の組成物を含む香料組成物。
【請求項17】
請求項11に記載の少なくとも1つの組成物を含む、請求項16記載の香水組成物。
【請求項18】
化粧用組成物、特に顔用又は身体用クリーム、タルカムパウダー、ヘアオイル又はボディオイル、シャンプー、ヘアローション、バスソルト、バスオイル、シャワーゲル、バスゲル、化粧用石鹸、制汗剤、ボディデオドラント、ローション、シェービングクリーム、シェービングソープ、クリーム、歯みがき、うがい薬又はポマードであって、請求項1から3のいずれか1項で定義した少なくとも1つの化合物、又は請求項9から14のいずれか1項記載の組成物を含む化粧用組成物。
【請求項19】
メンテナンス用品、特に洗濯用柔軟剤、洗剤、洗濯機用洗剤又は室内用消臭剤であって、請求項1から3のいずれか1項で定義した少なくとも1つの化合物、又は請求項9から18のいずれか1項記載の組成物を含むメンテナンス用品。
【請求項20】
請求項1から3のいずれか1項記載の式(I)の少なくとも1つの化合物、又は請求項9から18のいずれか1項記載の組成物の、芳香剤、匂いマスキング剤又は匂い中和剤としての使用。
【請求項21】
前記化合物又は前記組成物を他の芳香剤と組み合わせて用いる、請求項20記載の使用。

【公表番号】特表2008−527024(P2008−527024A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551699(P2007−551699)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【国際出願番号】PCT/FR2006/000081
【国際公開番号】WO2006/077306
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(507038674)
【Fターム(参考)】