説明

新規なN−(2−アミノ−フェニル)−アクリルアミド

本発明は、式(I)[式中、R1〜R4は明細書に記載された意義と同義である。]の化合物、該化合物の製造方法および該化合物を含有する医薬に関する。本発明の化合物は、抗増殖および分化誘導活性を示し、したがって、ヒトまたは動物における癌等の疾患の治療に有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な抗腫瘍物質および薬学的に許容し得るその塩、これらの新規化合物の製造方法ならびにそれらを含有する医薬に関する。本発明の化合物は、抗増殖および分化誘導活性を有しており、その結果として、腫瘍細胞の増殖阻害、アポトーシス誘導および浸潤阻害を生じさせる。また、本発明は、癌等の疾患の治療のための、および、対応する医薬の製造のための、上記化合物の使用に関する。
【0002】
本発明の化合物は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の阻害物質であり、したがって、抗増殖および分化誘導活性を示し、その結果として、腫瘍細胞の増殖阻害、アポトーシス誘導および浸潤阻害を生じさせる。
【背景技術】
【0003】
転写制御は、細胞分化、増殖およびアポトーシスにおける重要な事象である。一連の遺伝子の転写活性化は細胞の運命を決定し、この理由ゆえ、転写は様々な因子によって厳重に制御されている。転写制御メカニズムの1つには、DNA三次構造の変化が含まれ、これは、転写因子がその標的DNAセグメントに接近する可能性を調節することによって転写に影響を与える。ヌクレオソームの完全性は、コアヒストンのアセチル化状態によって制御されている。低アセチル化状態では、ヌクレオソームは緊密に凝集しており、したがって、転写は許容されない。一方、コアヒストンのアセチル化によってヌクレオソームは緩み、その結果、転写が許容される。ヒストンのアセチル化状態は、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)およびヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の活性バランスによって制御されている。最近、HDAC阻害剤が、幾つかのタイプの癌細胞、例えば、結腸癌細胞、T細胞リンパ腫細胞および赤白血病細胞において増殖を停止させてアポトーシスを誘導させることが判明した。もしアポトーシスが癌の進行に関して重要な因子であるなら、HDAC阻害剤は、有効なアポトーシス誘導剤として、癌の治療のための有望な薬剤である(Koyama, Y., 等, Blood 96 (2000) 1490-1495)。
【0004】
ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)は、ヒストンおよび非ヒストンタンパク質性基質におけるリジン残基の脱アセチル化に関与する多タンパク質複合体の主要な酵素成分である。HDACは、酵母HDACであるRpd3、Hda1およびSir2に対する配列相同性に従って、3つの主要なクラスに分類することができる。Rpd3に相同なクラスIのHDAC(HDAC1,2,3および8)は、主に核内に局在しており、ほとんどの組織で発現しているようである。Hda1に相同なクラスIIのHDAC(HDAC4,5,6,7,9,10)は、様々な制御シグナルおよび細胞内状態に依存して、核と細胞質とを行き来できるとともに、組織特異的発現パターンを有する。これらのHDACは、さらにクラスIIa(HDAC4,5,7,9)およびクラスIIb(HDAC6,10)に分類することができる。Sir2に相同なクラスIIIのHDACは、機構的にクラスIおよびIIのHDACとは区別されるNAD+依存性デアセチラーゼであり、標準的なHDAC阻害剤、例えば、トリコスタチンA、トラポキシンBまたはSNDX−275によって阻害されない。このように、HDACは、配列類似性、細胞局在の傾向、組織発現パターンおよび酵素機構に基づいて3つのクラスに分類することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
クラスIのHDACは、特に、腫瘍細胞に対する抗増殖作用と緊密に関連している。例えば、HDAC1−3の薬理学的阻害は、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤p21の誘導およびそれに伴う細胞周期の停止を引き起こす。クラスIIaのHDACは、HDAC3/SMRT/N−CoR複合体およびMEF2と関連し、筋細胞遺伝子発現(Oncogene 2007, 26, 5450-5467に概説されている)および免疫応答(Biochemical Pharmacology 2007, 74, 465-476)の制御において重要な役割を有することが知られている。それらの特異的な抗増殖機能ゆえ、クラスIのHDACの選択的阻害は、より低い毒性で抗腫瘍効果を達成するために望ましいかもしれない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の化合物は、クラスIIaのHDACよりもクラスIのHDACに対して増大した効力および選択性を示す。この効力および選択性は、典型的には酵素選択性アッセイでは存在しない細胞中の関連多タンパク質複合体との関連においてHDACサブタイプ活性を評価するレポーター遺伝子アッセイによって評価される。本発明の化合物は、クラスIIaのHDACの阻害と関連する毒性を低減することができる細胞内選択性を有する。
【0007】
WO2007/100657には、細胞分化誘導物質として、関連するが構造的に異なるo−フェニレンジアミン誘導体が記載されている。また、同一タイプの化合物がWO2007/087130の主題である。これらの出願に記載された化合物は、もっぱら、安息香酸の誘導体でモノアシル化されたo−フェニレン誘導体である。しかしながら、向上した治療特性、ほんの数例を挙げれば、増大した活性、減少した毒性、良好な溶解性および/または向上した薬物動態プロファイルを有する新規化合物の必要性は残ったままである。
【0008】
モノアシル化o−フェニレンジアミンは、対応するベンズイミダゾールの調製のための前駆物質として当技術分野で公知であり、そのような調製方法は、例えば、DE A 2 062 265; FR 2 167 954; Rastogi, R., and Sharma, S., Indian J. Chem., Sect. B, 21B (5) (1982) 485-487; Moll, R., 等, Z. Chem. 17 (1977) 133-134; および Hassan, H., 等, Indian J. Chem. 39B (2000) 764-768等に記載されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の化合物は、抗増殖および分化誘導活性を有し、その結果として、腫瘍細胞の増殖阻害、アポトーシス誘導および浸潤阻害を生じさせるHDAC阻害物質であることが判明した。したがって、これらの化合物は、ヒトまたは動物における癌等の疾患の治療に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
(原文記載なし)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、式(I):
【化1】


[式中、R1は水素;低級アルキル;シクロアルキル;ヘテロシクリル;アリールまたはヘテロアリールであり;そして
これら全ての基は非置換であってもよいし、
ハロゲン;
非置換のまたはハロゲンで1回もしくは複数回置換された低級アルキル;
低級アルコキシ;
シクロアルキル;
シアノ;
−NRab
−OCF3;または
−S(O)2−低級アルキル
で1回または複数回置換されていてもよく;
ここで、Ra/Rbは互いに独立して低級アルキルまたはシクロアルキルであり、あるいはそれらが結合している窒素原子と一緒になって4〜6員環のヘテロシクリルを形成していてもよく;
2,R3,R4は独立して
水素;
ハロゲン;
非置換のまたはヒドロキシで1回置換された低級アルキル;
低級アルコキシ;
ヒドロキシ;
ヘテロシクリル;
【化2】


;または
−NRR’
から選択され、
ここで、R/R’は互いに独立して水素;ヒドロキシで置換された低級アルキル;−C(O)−低級アルキル;または同一のもしくは異なる低級アルキルであり;そして
nは0,1または2であり;
あるいは
2およびR3はそれらが結合している炭素原子と一緒になって4〜6員環のシクロアルキルを形成していてもよく、ここで、1個の炭素原子は窒素原子、酸素原子または硫黄原子で置換されていてもよい。]
の化合物およびその薬学的に活性な塩、ラセミ混合物、エナンチオマー、光学異性体または互変異性体に関する。
【0012】
本発明はまた、式(I)の化合物の薬学的に許容し得る塩およびプロドラッグならびに医薬を製造するためのこれらの化合物の使用を包含する。
【0013】
本明細書中の「低級アルキル」という用語は、1〜8個、好ましくは1〜6個、さらに好ましくは1〜4個の炭素原子を含有する直鎖状または分岐鎖状の飽和アルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、1−ブチル、2−ブチル、tert−ブチル等が挙げられる。好ましい「C1−C8アルキル」基は、1、2または3個の炭素原子を有する。
【0014】
本明細書中の「低級アルコキシ」という用語は、−O−アルキルという基を意味し、ここでの「アルキル」は上記と同義であり、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、2−ブトキシ、t−ブトキシ等が挙げられる。好ましいアルコキシ基は1〜4個の炭素原子を有する基である。
【0015】
本明細書中の「シクロアルキル」という用語は、融合していてもよいし単結合を介して結合していてもよい1個または2個の環からなる飽和環状炭化水素であって、3〜8個、好ましくは3〜6個の炭素原子を含有するものを意味する。そのような3〜8員環のシクロアルキル環の具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、オクタヒドロ−インデン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロヘキシル等が挙げられる。
【0016】
本明細書中の「ヘテロシクリル」という用語は、上記に定義した3〜8員環の単環式または二環式のシクロアルキルであって、4個以下の炭素原子、好ましくは1、2または3個の炭素原子が酸素原子、窒素原子または硫黄原子で置換されているものを意味する。その具体例としては、特に限定されるわけではないが、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、2−オキサ−5−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、[1,4]オキサチアニル、アゼパニル、[1,4]ジアゼパニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、[1,2,3]トリアゾリジニル、イミダゾリジニル、チアゾリジニル、アゼチジニル等が挙げられる。
【0017】
「アリール」という用語は、6〜10個の炭素原子を含有するとともに、融合していてもよいし単結合を介して結合していてもよい1個または2個の環からなる芳香族または部分芳香族炭化水素を意味する。その具体例としては、フェニル、ビフェニル、インデニルまたはナフチルが挙げられる。
【0018】
「ヘテロアリール」という用語は、5〜10個の炭素原子を含有するとともに、融合していてもよいし単結合を介して結合していてもよい1個または2個の環からなる芳香族または部分芳香族炭化水素であって、4個以下、好ましくは1、2または3個の炭素原子が酸素原子、窒素原子または硫黄原子で置換され得るものを意味する。そのような芳香族複素環の具体例としては、特に限定されるわけではないが、ピロリル、チオフェニル、フラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、キノリニル、キノキサリニル、クロマニル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、ベンゾ[b]チオフェニル等が挙げられる。
【0019】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0020】
本明細書中の「複数回置換される」という用語は、5回以下置換されること、好ましくは4回以下、最も好ましくは2または3回置換されることを意味する。
【0021】
1または複数のキラル中心を有する一般式(I)の化合物は、ラセミ体または光学活性体のいずれかで存在し得る。ラセミ化合物は、公知の方法によってエナンチオマーに分離することができる。好ましくは、結晶化によって分離し得るジアステレオマー塩は、光学活性な酸、例えば、D−またはL−酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸またはカンファースルホン酸との反応によってラセミ混合物から形成される。
【0022】
本発明の化合物は、それらの薬学的に許容し得る塩の形態で存在してもよい。「薬学的に許容し得る塩」とは、式(I)の化合物の生物学的有効性および特性を保持するとともに、毒性のない適当な有機もしくは無機酸または有機もしくは無機塩基から形成される標準的な酸付加塩または塩基付加塩を意味する。酸付加塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等の無機酸から誘導されたもの、および、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸等の有機酸から誘導されたものが挙げられる。塩基付加塩としては、例えば、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、および水酸化テトラメチルアンモニウム等の水酸化第4級アンモニウムから誘導されたものが挙げられる。医薬化合物の塩への化学修飾は、薬剤師に周知の技術であり、化合物の物理的および化学的安定性、吸湿性、流動性ならびに溶解性を向上させることができる。例えば、Bastin R.J., 等, Organic Process Research & Development 2000, 4, 427-435; または in Ansel, H., 等, In: Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 6th ed. (1995), pp. 196 and 1456-1457 に記載されている。
【0023】
本発明のある好ましい態様では、
1が、それぞれが非置換であってもよいし、ハロゲン;非置換のまたはハロゲンで1回もしくは複数回置換された低級アルキル;低級アルコキシ;シクロアルキル;シアノ;NRab;−OCF3;または−S(O)2−低級アルキルで1回または複数回置換されていてもよいフェニルまたはピリジニルであり;そして
残りの全ての置換基は上記と同義である、上記式(I)の化合物が提供される。
【0024】
本発明の別の好ましい態様では、
1が、ハロゲン;低級アルキル;−CF3;シクロプロピル;シアノ;−OCF3;または−S(O)2−低級アルキルから独立して選択された置換基で1回または2回置換されたフェニルであり;
2が、水素;ヒドロキシ;メトキシ;ピペリジニル;ピロリジニル;または−NRR’であり、ここで、R/R’は互いに独立して水素、ヒドロキシで置換された低級アルキル、−C(O)−低級アルキル、または同一のもしくは異なる低級アルキルであり;そして
3,R4が水素であり;あるいは
2およびR3が、それらが結合している炭素原子と一緒になって4〜6員環のシクロアルキルを形成していてもよく、ここで、1個の炭素原子は酸素原子で置換されていてもよい、上記式(I)の化合物が提供される。
【0025】
本発明のさらに別の好ましい態様では、
1が、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり、そして
残りの全ての置換基が上記と同義である、上記式(I)の化合物が提供される。
本発明のさらに別の好ましい態様では、
1がシクロペンチル、シクロヘキシル、ピペリジニルまたはテトラヒドロピランであり;
2がヒドロキシであり;そして
3およびR4が水素である、上記式(I)の化合物が提供される。
【0026】
以下の具体的な化合物は、本発明の特に好ましい化合物である。
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(4-シクロプロピル-フェニルカルバモイル)-((S)-3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(4-クロロ-フェニルカルバモイル)-(3-ジエチルアミノ-ピロリジン-1-イル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(4-ブロモ-フェニルカルバモイル)-((S)-3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(4-ブロモ-フェニルカルバモイル)-((R)-3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(1S,4S)-(4-ブロモ-フェニルカルバモイル)-2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-イル-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[((R)-3-ジメチルアミノ-ピロリジン-1-イル)-(4-トリフルオロメチル-フェニルカルバモイル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(3-ジエチルアミノ-ピロリジン-1-イル)-(4-トリフルオロメチル-フェニルカルバモイル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[((S)-3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-(4-トリフルオロメチル-フェニルカルバモイル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[((S)-3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-(4-イソプロピル-フェニルカルバモイル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(4-クロロ-フェニルカルバモイル)-((S)-3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(4-シアノ-フェニルカルバモイル)-((S)-3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(4-フルオロ-フェニルカルバモイル)-((S)-3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(3-ジエチルアミノ-ピロリジン-1-イル)-(4-イソプロピル-フェニルカルバモイル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(4-シクロプロピル-フェニルカルバモイル)-(3-ジエチルアミノ-ピロリジン-1-イル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(4-シアノ-フェニルカルバモイル)-(3-ジエチルアミノ-ピロリジン-1-イル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(3-ジエチルアミノ-ピロリジン-1-イル)-(4-フルオロ-フェニルカルバモイル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(4-ブロモ-フェニルカルバモイル)-(3-ジエチルアミノ-ピロリジン-1-イル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(2-フルオロ-4-トリフルオロメチル-フェニルカルバモイル)-((S)-3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[((S)-3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-イルカルバモイル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[((S)-3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-(4-トリフルオロメトキシ-フェニルカルバモイル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-3-{4-[[3-(アセチル-メチル-アミノ)-ピロリジン-1-イル]-(4-トリフルオロメチル-フェニルカルバモイル)-メチル]-フェニル}-N-(2-アミノ-フェニル)-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-(4-{(4-ブロモ-フェニルカルバモイル)-[3-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-ピロリジン-1-イル]-メチル}-フェニル)-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-[4-((4-ブロモ-フェニルカルバモイル)-{3-[エチル-(2-ヒドロキシ-エチル)-アミノ]-ピロリジン-1-イル}-メチル)-フェニル]-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(4-ブロモ-フェニルカルバモイル)-(3-ピペリジン-1-イル-ピロリジン-1-イル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;および
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(3-ジエチルアミノ-ピロリジン-1-イル)-(4-メタンスルホニル-フェニルカルバモイル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド。
本発明の化合物は、有用な薬学的特性、具体的には抗増殖剤または抗癌剤として、さらに具体的には固形腫瘍および血液学的腫瘍の治療のための薬剤として有用な薬学的特性を示す。
【0027】
したがって、本発明の別の態様では、上記化合物の少なくとも1種を薬学的に許容し得る補助剤とともに含む医薬組成物が提供される。
【0028】
本発明の別の態様では、医薬として使用するための上記化合物が提供される。
【0029】
本発明のさらに別の態様では、癌、特に固形腫瘍および血液学的腫瘍、さらに具体的には白血病、リンパ腫、結腸癌、肝臓癌または胃癌の治療に使用するための上記化合物が提供される。
【0030】
本発明のさらに別の態様では、癌、特に固形腫瘍および血液学的腫瘍の治療のための医薬を製造するための、上記化合物の少なくとも1種の使用が提供される。上記医薬、例えば、製剤形態の医薬は、経口的に、例えば、錠剤、コーティング錠剤、糖衣錠、硬および軟ゼラチンカプセル、液剤、乳剤または懸濁剤の形態で、投与することができる。また、投与は、経直腸的に、例えば、坐剤の形態で、または、非経口的に、例えば、注射液の形態でも行うことができる。
【0031】
製剤は、本発明の化合物を薬学的に不活性な無機または有機の担体で処理することによって得ることができる。ラクトース、コーンスターチまたはその誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩等を、錠剤、コーティング錠剤、糖衣錠および硬ゼラチンカプセル用の担体として用いることができる。軟ゼラチンカプセル用の好適な担体としては、例えば、植物油、ろう、脂肪、半固体および液体ポリオール等が挙げられる。但し、軟ゼラチンカプセルの場合、活性物質の特性によって担体は通常必要とならない。液剤およびシロップ剤製造用の好適な担体としては、例えば、水、ポリオール、グリセロール、植物油等が挙げられる。坐剤用の好適な担体としては、例えば、天然または硬化油、ろう、脂肪、半固体または液体ポリオール等が挙げられる。
【0032】
製剤はさらに、保存料、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色剤、香味料、浸透圧調整用の塩、緩衝液、マスキング剤または抗酸化剤を含有することができる。製剤はまた、その他の治療に有効な物質をさらに含有することができる。
【0033】
投与量は、投与方法、種、年齢および/または個々の健康状態等の様々な因子に依存する。1日の投与量は約5−400mg/kg、好ましくは約10−100mg/kgであり、1回で投与してもよいし、数回に分けて投与してもよい。
【0034】
本発明の別の好ましい態様では、患者の癌を治療する方法であって、患者に本発明の化合物の少なくとも1種を投与することを含む方法が提供される。
【0035】
本発明の化合物およびその出発物質は、それぞれ、以下の一般的反応スキーム1〜4に従って合成することができる。この反応スキーム1〜4において、全ての置換基、特にR1〜R4は、特に明記しない限り、上記と同義である。さらに、特に明記しない限り、全ての反応、反応条件、略語および記号は、有機化学分野の当業者に周知の意義と同義である。
【0036】
したがって、本発明のさらに別の好ましい態様では、本発明の式(I)の化合物を製造する方法であって、反応相手および条件が以下の反応スキーム1に記載される通りである方法が提供される。
【0037】
A.ピロリジン−シンナミド合成のための一般的合成経路(スキーム1)
【化3】

【0038】
B.重要なビルディングブロックの合成経路
(2-アクリロイルアミノ-フェニル)-カルバミン酸 tert-ブチルエステルの合成(スキーム2)
【化4】

【0039】
(E)-{2-[3-(4-ホルミル-フェニル)-アクリロイルアミノ]-フェニル}-カルバミン酸 tert-ブチルエステルの合成(スキーム3)
【化5】

【0040】
(E)-{4-[2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-フェニルカルバモイル)-ビニル]-フェニル}-ヒドロキシ-酢酸メチルエステルの合成(スキーム4)
【化6】

【0041】
以下の実施例は、上記スキームに概要を示した一般的方法によって実施した。それらは、本発明の意義を明らかにするものであるが、本発明の意義を限定するものではない。
【実施例】
【0042】
実施例1
【化7】


(E)-{4-[2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-フェニルカルバモイル)-ビニル]-フェニル}-メタンスルホニルオキシ-酢酸メチルエステル
−5℃に冷却した、{4-[2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-フェニルカルバモイル)-ビニル]-フェニル}-ヒドロキシ-酢酸メチルエステル (9.00 g, 21.1 mmol) および トリエチルアミン (3.20 g, 31.6 mmol) のCH2Cl2 (135 mL) 溶液に、N2雰囲気下、メタンスルホニルクロリド (3.14 g, 27.4 mmol)を滴下して加えた。TLCに従い、出発物質が消費されるまで(約1時間)、反応物を0℃で攪拌した。水 (90 mL) および 塩水 (90 mL) で混合物を洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧下でエバポレートし、淡黄色結晶 11.2 g (定量的収率) を得、これをさらに精製することなく使用した。
MS: calc'd 505 (MH+), exp 505 (MH+).
【0043】
実施例2
【化8】


(E)-{4-[2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-フェニルカルバモイル)-ビニル]-フェニル}-((S)-3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-酢酸メチルエステル
{4-[2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-フェニルカルバモイル)-ビニル]-フェニル}-メタンスルホニルオキシ-酢酸メチルエステル (1.26 g, 2.5 mmol) および Et3N (0.76 g, 7.5 mmol) の CH2Cl2 (15mL) 溶液に、(S)-3-ヒドロキシピロリジン (0.27 g, 3 mmol)を加えた。この混合物を室温で一晩攪拌し、次いで CH2Cl2 (50 mL) で希釈し、飽和NaHCO3水溶液、水および塩水で洗浄し、Na2SO4 で乾燥し、ろ過し、エバポレートし、黄色固形物を得、これをさらに精製することなく次の反応に直接使用した。
MS: calc'd 496 (MH+), exp 496 (MH+).
【0044】
実施例3
【化9】


(E)-{4-[2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-フェニルカルバモイル)-ビニル]-フェニル}-((S)-3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-酢酸
{4-[2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-フェニルカルバモイル)-ビニル]-フェニル}-(3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-酢酸メチルエステル (1.23 g, 2.5 mmol) の MeOH (30mL) 溶液に、LiOH (1 N, 10 mL) 水溶液を加えた。この混合物を室温で約5時間攪拌し、次いでエバポレートして大部分のMeOHを除去した。水層を濃HClで酸性化して pH 5-6 とした。酸性化した水層を酢酸エチルで抽出した(3 X 30 mL)。有機層を合わせ、塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、エバポレートし、黄色固形物 0.85 g (81%) を得た。
MS: calc'd 482 (MH+), exp 482 (MH+).
【0045】
実施例4
【化10】


(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(4-シクロプロピル-フェニルカルバモイル)-((S)-3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド
{4-[2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-フェニルカルバモイル)-ビニル]-フェニル}-(3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-酢酸 (200 mg, 0.42 mmol)、PyBroP (290 mg, 0.62 mmol) および DIPEA (162 mg, 1.26 mol) の CH2Cl2 (10 mL) 溶液に、4-シクロプロピル-フェニルアミン (100 mg, 0.75 mmol) を加えた。この混合物を室温で一晩攪拌し、次いで CH2Cl2 (20 mL) で希釈し、飽和 NaHCO3 水溶液、水および塩水で洗浄し、Na2SO4 で乾燥し、エバポレートし、黄色残渣を得た。塩酸メタノール溶液 (1.25 M, 5 mL) を残渣に加え、この混合物を約3時間攪拌し、次いで NaHCO3 を反応系に加えた。固形物のろ過後、粗製混合物を分取 HPLC で精製し、黄白色固形物 42.3 mg を得た。
MS: calc'd 497 (MH+), exp 497 (MH+). 1H NMR (d4-MeOD, 400MHz) 7.70 (m, 5H), 7.45 (m, 2H), 7.21 (m, 1H), 7.04 (m, 3H), 6.88 (m, 2H), 6.76 (m, 1H), 4.35 (m, 1H), 3.98 (s, 1H, エピマー A), 3.97 (s, 1H, エピマー B), 3.00 (m, 1H), 2.56-1.85 (m, 6H), 0.94 (m, 2H), 0.64 (m, 2H).
【0046】
実施例5
【化11】


(E)-{4-[2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-フェニルカルバモイル)-ビニル]-フェニル}-(3-ジエチルアミノ-ピロリジン-1-イル)-酢酸メチルエステル
{4-[2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-フェニルカルバモイル)-ビニル]-フェニル}-メタンスルホニルオキシ-酢酸メチルエステル (1.89 g, 3.75 mmol) および Et3N (1.46 g, 14.4 mmol) の CH2Cl2 (30 mL) 溶液に、(S)-3-ヒドロキシピロリジン (0.67 g, 4.5 mmol) を加えた。この混合物を室温で一晩攪拌し、次いで CH2Cl2 (50 mL) で希釈し、飽和 NaHCO3 水溶液、水および塩水で洗浄し、Na2SO4 で乾燥し、ろ過し、エバポレートし、黄色固形物を得、これをさらに精製することなく次の反応に直接使用した。
MS: calc'd 551 (MH+), exp 551 (MH+).
【0047】
実施例6
【化12】


(E)-{4-[2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-フェニルカルバモイル)-ビニル]-フェニル}-(3-ジエチルアミノ-ピロリジン-1-イル)-酢酸
{4-[2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-フェニルカルバモイル)-ビニル]-フェニル}-(3-ジエチルアミノ-ピロリジン-1-イル)-酢酸メチルエステル (2.06 g, 3.75 mmol) の MeOH (30 mL) 溶液に、LiOH (1 N, 15 mL) 水溶液を加えた。この混合物を室温で約5時間攪拌し、次いでエバポレートして大部分の MeOH を除去した。水層を濃 HCL で酸性化して pH 5-6 とした。酸性化した水層を酢酸エチルで抽出した(3 X 30 mL)。有機層を合わせ、塩水で洗浄し、Na2SO4 で乾燥し、ろ過し、エバポレートし、黄色固形物 1.40 g (70%) を得た。
MS: calc'd 537 (MH+), exp 537 (MH+).
【0048】
実施例7
【化13】


(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-(4-{(4-クロロ-フェニルカルバモイル)-[3-(1-エチル-プロピル)-ピロリジン-1-イル]-メチル}-フェニル)-アクリルアミド
{4-[2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-フェニルカルバモイル)-ビニル]-フェニル}-(3-ジエチルアミノ-ピロリジン-1-イル)-酢酸 (200 mg, 0.37 mmol)、PyBroP (300 mg, 0.64 mmol) および DIPEA (162 mg, 1.26 mol) の CH2Cl2 (10 mL) 溶液に、4-クロロ-フェニルアミン (100 mg, 0.78 mmol) を加えた。この混合物を一晩攪拌し、次いで、CH2Cl2 (20 mL) で希釈し、飽和 NaHCO3 水溶液、水および塩水で洗浄し、Na2SO4 で乾燥し、エバポレートし、黄色残渣を得た。残渣に塩酸メタノール溶液 (1.25 N, 5 mL) を加え、混合物を約3時間攪拌し、次いで NaHCO3 を反応系に加えた。ろ過して固形物を除去した後、粗製混合物を分取 HPLC で精製し、黄白色固形物 25.5 mg を得た。
MS: calc'd 546 (MH+), exp 546 (MH+). 1H NMR (d4-MeOD, 400MHz) 7.61 (m, 7H), 7.32 (m, 2H), 7.22 (m, 1H), 7.06 (m, 1H), 6.88 (m, 2H), 6.76 (m, 1H), 3.99 (s, 1H), 3.45 (m, 1H), 2.68 (m, 6H), 2.50 (m, 2H), 2.09 (m, 1H), 1.85 (m, 1H), 1.06 (m, 6H).
【0049】
以下の表1に示す化合物を、適当な出発物質を用いて、上記合成法と類似の方法により調製した。その次に示される表2は、表1の化合物に関するNMRデータを示す。
【0050】
【表1−1】

【0051】
【表1−2】

【0052】
【表1−3】

【0053】
【表1−4】

【0054】
【表1−5】

【0055】
【表2−1】

【0056】
【表2−2】

【0057】
【表2−3】

【0058】
【表2−4】

【0059】
【表2−5】

【0060】
【表2−6】

【0061】
実施例8
【化14】


(2-アミノ-フェニル)- カルバミン酸 tert-ブチルエステル
o-フェニレンジアミン (54.0 g, 0.500 mol) の THF (500 mL) 溶液に、(Boc)2O (109 g, 0.500 mol) の THF (150 mL) 溶液を滴下して加え、混合物を室温で一晩攪拌した。減圧下で濃縮した後、残渣を酢酸エチル/石油エーテル = 1/4 (v/v) (150 mL) で希釈し、沈殿物を回収した。母液を濃縮し、粗生成物を酢酸エチル/石油エーテル = 1/4 (v/v) で再結晶した。固形物を合わせ、減圧下、40℃で4時間乾燥した。灰色がかった白色の固形物 (80 g, 77%) を得た。
MS: calc’d 209 (MH+), exp 209 (MH+). 1H NMR (CDCl3, 400MHz)δ 7.25 (m, 1H), 7.00 (m, 1H), 6.77 (m, 2H), 6.29 (ブロード m, 1H), 3.60 (ブロード m, 2H), 1.51 (s, 9H).
【0062】
実施例9
【化15】


(2-アクリロイルアミノ-フェニル)-カルバミン酸 tert-ブチルエステル
0℃のアクリル酸 (2.50 g, 34.7 mmol) ジクロロメタン (80 mL) 溶液に、N-メチル-モルホリン (4.73 g, 46.8 mmol) を加え、次いで、イソブチルクロロホルメート (6.37 g, 46.8mmol)を加えた。30分後、(2-アミノ-フェニル)-カルバミン酸 tert ブチルエステル (5.80 g, 27.8 mmol) の ジクロロメタン (50 mL) 溶液を30分以上かけて滴下しながら還流反応混合物に加えた。反応終了後 (2時間後)、反応混合物を室温まで冷却し、氷水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した (30 mL × 3)。有機層を水、希釈重炭酸ナトリウム溶液、0.1M HCl、水および塩水で順に洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗製固形物を酢酸エチル/石油エーテル = 1/4 (v/v) から再結晶し、目的の生成物を得た (2.5g, 34%)。
MS: calc’d 263 (MH+), exp 263 (MH+).
【0063】
実施例10
【化16】


(E)-{2-[3-(4-ホルミル-フェニル)-アクリロイルアミノ]-フェニル}-カルバミン酸 tert-ブチルエステル
(2-アクリロイルアミノ-フェニル)-カルバミン酸 tert-ブチルエステル (20.0 g, 76.3 mmol)、4-ブロモベンズアルデヒド (14.4 g, 77.8 mmol)、Pd2(dba)3 (0.56 g, 0.61 mmol)、トリ-o-トリルホスフィン (0.370 g, 1.22 mmol) および トリエチルアミン (42.1 mL, 0.300 mol) の混合物を含むDMF (300 mL) を、N2雰囲気下、100℃で5時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、飽和 NH4Cl 水溶液に注いだ。沈殿物をろ別し、水で洗浄し、減圧下、40℃で一晩乾燥した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、黄色固形物を得た (15.5 g, 56%)。
MS: calc'd 367 (MH+), exp 367 (MH+). 1H NMR (d6-DMSO, 400MHz)δ 10.0 (s, 1H), 9.79 (s, 1H), 8.53 (s, 1H), 7.98 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 7.87 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 7.68 (d, 1H, J = 16 Hz), 7.60 (m, 2H), 7.14 (m, 2H), 7.10 (d, 1H, J = 16 Hz), 1.46 (s, 9H).
【0064】
実施例11
【化17】


(E)-{4-[2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-フェニルカルバモイル)-ビニル]-フェニル}-ヒドロキシ-酢酸メチルエステル
(2-アクリロイルアミノ-フェニル)-カルバミン酸 tert-ブチルエステル (23 g, 87.7 mmol)、メチル-2-(4-ブロモフェニル)-2-ヒドロキシアセテート (25.6 g, 104.5 mmol)、トリ-o-トリル-ホスフィン (2.8 g, 9.2 mmol)、Et3N (35.8 g, 353.8 mmol) および Pd2(dba)3 (4.3 g, 4.7 mmol) の混合物を含む DMF (400 mL) を、N2雰囲気下、100℃で6時間加熱し、TLC でモニタリングした。室温まで冷却した後、混合物を飽和 NH4Cl 水溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を塩水で洗浄し、Na2SO4 で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル/石油エーテル 1:2) で精製し、黄白色固形物を得た (22.4 g, 60%)。
MS: calc'd 427 (MH+), exp 427 (MH+). 1H NMR (d6-DMSO, 400MHz)δ 9.71 (s, 1H), 8.48 (s, 1H), 7.64 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 7.59 (d, 1H, J = 15.6 Hz), 7.57 (m, 1H), 7.48 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 7.14 (m, 2H), 6.92 (d, 1H, J = 15.6), 6.17 (d, 1H, J = 5.2 Hz), 5.21 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 3.64 (s, 3H), 1.47 (s, 9H).
【0065】
実施例12
新規化合物によるHDAC阻害:HeLa抽出HDAC蛍光分析
新規化合物を、そのヒストンデアセチラーゼ阻害能に関し、in vitro脱アセチル化アッセイを用いて試験した。このアッセイにおける酵素の供給源は、HeLa核抽出物とした。基質は、アセチル化リジン側鎖を含む市販製品で構成した(HeLa抽出物および基質はともに BIOMOL Research Laboratories, Inc., Plymouth Meeting, PA から市販されている)。HeLa核抽出物とのインキュベーションによって基質を脱アセチル化した後、展開剤に曝露し、脱アセチル化レベルに正比例するフルオロフォアを生成した。HeLa核抽出物に対するKmでの基質濃度を用いて、30μモル濃度の新規化合物の存在下、脱アセチル化アッセイを実施し、既知の参照HDAC阻害物質(SNDX−275)に対するパーセント酵素阻害を測定した。上記実施例および表に記載した本発明の化合物は、既知の参照化合物に対して約95%〜180%の範囲のヒストンデアセチラーゼ阻害活性を示す。特定の代表的な化合物の阻害活性を表3に示す。
【0066】
実施例13
新規化合物によるp21レポーター遺伝子誘導
本発明の新規化合物を、そのp21遺伝子発現誘導能に関し、p21プロモーター−ルシフェラーゼ構築物をトランスフェクトしたHeLa細胞を含むレポーター遺伝子アッセイを用いて試験した。p21プロモーターは、HDACに対するSp1/Sp3結合部位を含むが、その上流のp53結合部位は含んでいない。簡単に説明すると、トランスフェクションの前日に、HeLa細胞を96ウェル培養プレートに11000細胞/ウェルで播種し、5%CO2中、37℃で一晩インキュベーションした。トランスフェクションのために、培養液を除去し、次のように予め調製しておいたトランスフェクション培養液100μL/ウェルで置換した:血清不含DMEM 5μL、Fugene6試薬 0.15μL、p21−luc 40ng、GFP 10ngを穏やかに混合し、室温で30分間インキュベーションした;次いで、DMEM 98μL(10%FBS、1%ペニシリンおよびストレプトマイシン含有)をDNA:Fugene6試薬複合体に加え、穏やかに混合した。細胞を5%CO2中、37℃で24時間インキュベーションした後、新しい培養液および試験化合物をウェルに加え、細胞を5%CO2中、37℃で15時間さらにインキュベーションした。80μL/ウェルの細胞培養物溶解試薬(Promega)を加えて細胞を溶解した。486nmの励起波長および527nmでの検出を用いたGFP検出のために、各溶解物50μLを採取した。次いで、ルミノメーター検出のために、ルシフェラーゼアッセイ試薬(Proemga)100μLを細胞溶解物20μLのそれぞれに加えた。上記実施例および表に記載した本発明の化合物は、3μモル濃度において、既知のHDAC阻害剤(SNDX−275)と比較して約2%〜300%の範囲のp21誘導活性を示す。特定の代表的な化合物の誘導活性を表3に示す。
【0067】
実施例14
新規化合物によるgdf11レポーター遺伝子誘導
本発明の新規化合物を、そのgdf11(増殖分化因子11)遺伝子発現誘導能について、gdf11プロモーター−ルシフェラーゼ構築物をトランスフェクトしたHeLa細胞を含むレポーター遺伝子アッセイを用いて試験した。gdf11プロモーターは、HDAC3によって負に調節されていることが報告されている(Mol. Cell. Bio. 2004, 24, 5106-5118)。簡単に説明すると、トランスフェクションの前日に、HeLa細胞を96ウェル培養プレートに11000細胞/ウェルで播種し、5%CO2中、37℃で一晩インキュベーションした。トランスフェクションのために、培養液を除去し、次のように予め調製したトランスフェクション培養液100μL/ウェルで置換した:血清不含DMEM 5μL、Fugene6試薬 0.15μL、gdf11−luc 40ng、GFP 10ngを穏やかに混合し、室温で30分間インキュベーションした;次いで、DMEM(10%FBS、1%ペニシリンおよびストレプトマイシン)98μLをDNA:Fugene6試薬複合体に加え、穏やかに混合した。細胞を5%CO2中、37℃で24時間インキュベーションした後、新しい培養液および試験化合物をウェルに加え、細胞を5%CO2中、37℃で15時間さらにインキュベーションした。細胞培養物溶解試薬(Promega)80μL/ウェルを加えて細胞を溶解した。486nmの励起波長および527nmでの検出を用いたGFP検出のために、各溶解物50μLを採取した。次いで、ルミノメーター検出のために、ルシフェラーゼアッセイ試薬(Promega)100μLを細胞溶解物20μLのそれぞれに加えた。上記実施例および表に記載した本発明の化合物は、3μモル濃度において、既知のHDAC阻害剤(SNDX−275)と比較して約2%〜300%の範囲のgdf11誘導活性を示す。特定の代表的な化合物の誘導活性を表3に示す。
【0068】
実施例15
新規化合物によるklf2レポーター遺伝子誘導
本発明の新規化合物を、そのklf2遺伝子発現誘導能について、klf2プロモーター−ルシフェラーゼ構築物をトランスフェクトしたA204細胞を含むレポーター遺伝子アッセイを用いて試験した。klf2プロモーターは、HDAC3/クラスIIaHDAC複合体に対するMEF2結合部位を含む。簡単に説明すると、トランスフェクションの前日に、A204細胞を96ウェル培養プレートに11000細胞/ウェルで播種し、5%CO2中、37℃で一晩インキュベーションした。トランスフェクションのために、培養液を除去し、次のように予め調製しておいたトランスフェクション培養液100μL/ウェルで置換した:血清不含DMEM 5μL、Fugene6試薬 0.15μL、klf2−luc 40ng、GFP 10ngを穏やかに混合し、室温で30分間インキュベーションした;次いで、DMEM(10%FBS、1%ペニシリンおよびストレプトマイシン)98μLをDNA:Fugene6試薬複合体に加え、穏やかに混合した。細胞を5%CO2中、37℃で24時間インキュベーションした後、新しい培養液および試験化合物をウェルに加え、細胞を5%CO2中、37℃で15時間さらにインキュベーションした。最後に、TNFα 10ng/mLを加え、細胞をさらに4時間インキュベーションした。細胞培養物溶解試薬(Promega)80μL/ウェルを加えて細胞を溶解した。486nmの励起波長および527nmでの検出を用いたGFP検出のために、各溶解物50μLを採取した。次いで、ルミノメーター検出のために、ルシフェラーゼアッセイ試薬(Promega)100μLを細胞溶解物20μLのそれぞれに加えた。上記実施例および表に記載した本発明の化合物は、10μモル濃度において、p21 対 klf2が0.1〜2.9倍である分化誘導を示す。特定の代表的な化合物のp21 対 klf2選択性を表3に示す。
【0069】
実施例16
新規化合物の癌細胞株に対する抗増殖活性
本発明の新規化合物を、種々の癌細胞株の増殖阻害能について、以下のin vitro増殖阻害アッセイを用いて試験した。
MTSアッセイ
細胞を96ウェル培養プレートに播種し(細胞の種類に応じて異なる播種濃度で200μL/ウェル)、5%CO2中、37℃で一晩インキュベーションした。細胞に化合物希釈物を加えた後(DMSO濃度を0.5%未満に維持した)、細胞を5%CO2中、37℃で72時間インキュベーションした。製造者の指示に従ってMTS試薬(Promega)を加えることにより、増殖に対する効果を測定し、次いで、5%CO2中、37℃で2時間インキュベーションし、最後に、ELISAプレートリーダーを用いて490nmでの吸光度を記録した。
【0070】
WSTアッセイ
展開剤としてCCK−8試薬(Dojindo)を用いた点およびプレートリーダーを450nmの吸光度に設定した点を除き、MTSアッセイと同様である。
上記実施例および表に記載した本発明の化合物は、癌細胞株の増殖を阻害し、72時間のGI50値は、約200nモル濃度から、15μモル濃度を上回るまでの範囲であった。特定の代表的な化合物のHT−29結腸癌細胞に対するGI50値を表3に示す。
【0071】
【表3】

【0072】
表3は、本発明から選択された実施例に関する生物活性データである。HDAC(RP30)は、30μモル濃度におけるSNDX−275と比較した相対的阻害能である。p21(RP3)は、3μモル濃度におけるSNDX−275と比較した相対的誘導能である。p21/klf2(RP3)は、3μモル濃度におけるSNDX−275(p21/klf2比は1.0と規定される)と比較した相対的選択性である。p21/klf2(RP10)は、10μモル濃度におけるSNDX−275(p21/klf2比は1.0と規定される)と比較した相対的選択性である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


[式中、R1は水素;低級アルキル;シクロアルキル;ヘテロシクリル;アリールまたはヘテロアリールであり;そして
これら全ての基は非置換であってもよいし、
ハロゲン;
非置換のまたはハロゲンで1回もしくは複数回置換された低級アルキル;
低級アルコキシ;
シクロアルキル;
シアノ;
−NRab
−OCF3;または
−S(O)2−低級アルキル
で1回または複数回置換されていてもよく;
ここで、Ra/Rbは互いに独立して低級アルキルまたはシクロアルキルであり、あるいはそれらが結合している窒素原子と一緒になって4〜6員環のヘテロシクリルを形成していてもよく;
2,R3,R4は独立して
水素;
ハロゲン;
非置換のまたはヒドロキシで1回置換された低級アルキル;
低級アルコキシ;
ヒドロキシ;
ヘテロシクリル;
【化2】


;または
−NRR’
から選択され、
ここで、R/R’は互いに独立して水素;ヒドロキシで置換された低級アルキル;−C(O)−低級アルキル;または同一のもしくは異なる低級アルキルであり;そして
nは0,1または2であり;
あるいは
2およびR3はそれらが結合している炭素原子と一緒になって4〜6員環のシクロアルキルを形成していてもよく、ここで、1個の炭素原子は窒素原子、酸素原子または硫黄原子で置換されていてもよい。]
の化合物またはその薬学的に活性な塩、ラセミ混合物、エナンチオマー、光学異性体もしくは互変異性体。
【請求項2】
1が、それぞれが非置換であってもよいし、ハロゲン;非置換のまたはハロゲンで1回もしくは複数回置換された低級アルキル;低級アルコキシ;シクロアルキル;シアノ;NRab;−OCF3;または−S(O)2−低級アルキルで1回または複数回置換されていてもよいフェニルまたはピリジニルであり;そして
残りの全ての置換基は請求項1と同義である、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
1が、ハロゲン;低級アルキル;−CF3;シクロプロピル;シアノ;−OCF3;または−S(O)2−低級アルキルから独立して選択された置換基で1回または2回置換されたフェニルであり;
2が、水素;ヒドロキシ;メトキシ;ピペリジニル;ピロリジニル;または−NRR’であり、ここで、R/R’は互いに独立して水素、ヒドロキシで置換された低級アルキル、−C(O)−低級アルキル、または同一のもしくは異なる低級アルキルであり;そして
3,R4が水素であり;あるいは
2およびR3が、それらが結合している炭素原子と一緒になって4〜6員環のシクロアルキルを形成していてもよく、ここで、1個の炭素原子は酸素原子で置換されていてもよい、請求項1または2記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
1が、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり、そして
残りの全ての置換基が請求項1と同義である、請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
1がシクロペンチル、シクロヘキシル、ピペリジニルまたはテトラヒドロピランであり;
2がヒドロキシであり;そして
3およびR4が水素である、請求項1または4記載の化合物。
【請求項6】
化合物が、
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(4-シクロプロピル-フェニルカルバモイル)-((S)-3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(4-クロロ-フェニルカルバモイル)-(3-ジエチルアミノ-ピロリジン-1-イル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(4-ブロモ-フェニルカルバモイル)-((S)-3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(4-ブロモ-フェニルカルバモイル)-((R)-3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(1S,4S)-(4-ブロモ-フェニルカルバモイル)-2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-イル-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[((R)-3-ジメチルアミノ-ピロリジン-1-イル)-(4-トリフルオロメチル-フェニルカルバモイル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(3-ジエチルアミノ-ピロリジン-1-イル)-(4-トリフルオロメチル-フェニルカルバモイル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[((S)-3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-(4-トリフルオロメチル-フェニルカルバモイル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[((S)-3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-(4-イソプロピル-フェニルカルバモイル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(4-クロロ-フェニルカルバモイル)-((S)-3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(4-シアノ-フェニルカルバモイル)-((S)-3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(4-フルオロ-フェニルカルバモイル)-((S)-3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(3-ジエチルアミノ-ピロリジン-1-イル)-(4-イソプロピル-フェニルカルバモイル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(4-シクロプロピル-フェニルカルバモイル)-(3-ジエチルアミノ-ピロリジン-1-イル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(4-シアノ-フェニルカルバモイル)-(3-ジエチルアミノ-ピロリジン-1-イル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(3-ジエチルアミノ-ピロリジン-1-イル)-(4-フルオロ-フェニルカルバモイル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(4-ブロモ-フェニルカルバモイル)-(3-ジエチルアミノ-ピロリジン-1-イル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(2-フルオロ-4-トリフルオロメチル-フェニルカルバモイル)-((S)-3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[((S)-3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-(6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-イルカルバモイル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[((S)-3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル)-(4-トリフルオロメトキシ-フェニルカルバモイル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;
(E)-3-{4-[[3-(アセチル-メチル-アミノ)-ピロリジン-1-イル]-(4-トリフルオロメチル-フェニルカルバモイル)-メチル]-フェニル}-N-(2-アミノ-フェニル)-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-(4-{(4-ブロモ-フェニルカルバモイル)-[3-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-ピロリジン-1-イル]-メチル}-フェニル)-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-[4-((4-ブロモ-フェニルカルバモイル)-{3-[エチル-(2-ヒドロキシ-エチル)-アミノ]-ピロリジン-1-イル}-メチル)-フェニル]-アクリルアミド;
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(4-ブロモ-フェニルカルバモイル)-(3-ピペリジン-1-イル-ピロリジン-1-イル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド;または
(E)-N-(2-アミノ-フェニル)-3-{4-[(3-ジエチルアミノ-ピロリジン-1-イル)-(4-メタンスルホニル-フェニルカルバモイル)-メチル]-フェニル}-アクリルアミド
である請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
医薬として使用するための請求項1〜6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
請求項1〜6記載の化合物の少なくとも1種を薬学的に許容し得る補助剤とともに含む医薬組成物。
【請求項9】
癌、特に固形腫瘍および血液学的腫瘍の治療のための請求項1〜6のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
癌、特に固形腫瘍および血液学的腫瘍の治療のための医薬を製造するための、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項11】
請求項1記載の式(I)の化合物を製造する方法であって、
式:
【化3】


の化合物を
式:
【化4】


の化合物とTEAおよびDCMの存在下で反応させて、
式:
【化5】


の化合物を生じさせ、これをLiOHおよびメタノールの存在下で反応させて、
式:
【化6】


の化合物を生じさせ、これをR1NH2ならびにPyBroP、DIPEAおよびDCMの存在下で反応させて、
式:
【化7】


の化合物を生じさせ、これを塩酸およびメタノールの存在下で反応させて、請求項1記載の式(I)の化合物を生じさせる、ここで、置換基R1、R2、R3およびR4は全て請求項1と同義である、前記方法。
【請求項12】
明細書に実質的に記載された新規化合物、方法および使用。

【公表番号】特表2011−519966(P2011−519966A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508865(P2011−508865)
【出願日】平成21年5月6日(2009.5.6)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055441
【国際公開番号】WO2009/138338
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】