説明

新規なV族金属含有前駆体および金属含有膜の堆積のためのその使用

式(Ia)または式(Ib)の化合物:
【化1】


【化2】


これら新規な前駆体は、電極および/またはhigh k層、および/または銅拡散バリア層などを作るための、純金属、金属酸化物、酸窒化物、窒化物および/または珪化物膜の堆積のために有用である。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、新規な種類または化合物および金属含有膜の堆積におけるそれらの使用に関する。
【0002】
次世代CMOSデバイスの限界寸法の縮小に伴い、新規材料、特にタンタルおよびニオブの導入が必要とされる。例えば、デュアル金属ゲートが、CMOSゲートスタックのための高い比誘電率(high-k)の材料のために必要とされることはよく認識されている。金属ゲートは、特に、0.2 Vの閾電圧を達成することが要求され、このようにして、デバイスの電力消費を激烈に減じることを可能にする。そうするために、金属ゲートによるアプローチは、異なる仕事関数の2つの金属化合物、典型的にpMOSゲートについては〜5 eV、nMOSゲートについては〜4 eVのものを持つことが要求される。適切な金属ゲート材料に対する要求は、一般に、可能な限り最低の比抵抗(しかしながら、一般に金属化合物については常にp-Siを下回る)、適切な仕事関数(金属ベースの膜中の追加要素によって激烈に影響を受ける)、high-kゲート酸化物上での熱安定性、high-kのものへの粘着性およびエッチング選択性を含む。V族金属含有膜、および特に炭化タンタル、珪化タンタル、珪窒化タンタル、炭窒化タンタルのようなタンタルベースの材料は、金属ゲート用途のための有望な特性を示す。TaCNは適切なpMOS金属として提案されており、TaCNの仕事関数は4.8〜5 eVと評価された。
【0003】
また、V族金属含有膜は電極 (純金属または金属窒化物の場合)として使用され、かつ金属-絶縁体-金属構造(DRAM等)におけるhigh-k層(酸化物の場合)としても使用される。例えば、TaNは電極の堆積のために使用され得、Ta2O5およびTaOxNyはhigh-k層として使用され得る。
【0004】
また、V族金属含有膜は、金属拡散バリアとして最新の半導体デバイスのバックエンドオブザライン(BEOL)層における用途も見出している。特に、銅の拡散のためのTaN上のTaのような、純V族金属が対象とされる。窒素の組込みも、銅の拡散の低減を助ける。タンタル膜は現在、low-k/TaN-Ta/Cuパターン化構造を達成するために、スパッタリング堆積法を用いて堆積されている。チップ寸法の縮小に伴い、スパッタリングは共形堆積のためには急速に不適切となるであろう。
【0005】
合理的なスループットおよび許容できる純度を具備したこのような薄膜の堆積を可能にする主な工業的選択肢は、MOCVD(金属-有機化学気相堆積)またはALD(原子層堆積)のような気相堆積技術である。例えば、ALD(またはプラズマ支援ALD)は、一般に、適切な前駆体と結びつけた場合に、BEOL用途に必要な高度に共形の膜を形成するために適切な方法と考えられる。金属-有機およびハロゲン化化合物がこれらの前駆体のために必要とされる。
【0006】
多くのV族前駆体はこのような堆積を可能にすると考えられている。以下に例を与える。
【0007】
五塩化タンタルTaCl5のようなハロゲン化物は、HautalaらによりUS 6,268,288において開示されたように広く検討されている。しかしながら、堆積プロセスの間に生じるHClまたはCl2のようないくつかの副生成物は、最終特性に有害となり得る表面/界面粗さを生じさせ得る。さらに、ClまたはF不純物は、最終的な電気特性に対して高度に有害である。それ故に、十分な揮発性を持つ一方でCl、FまたはBr原子を含まない新規な化合物の発見が期待される。
【0008】
ペンタエトキシタンタル(PET)のようなアルコキシドが広く使用され、かつ説明されている。しかしながら、それらは酸素を含む膜をもたらし、特に電極として使用されかつ痕跡量であっても酸素を含むべきでない窒化物、炭化物、炭窒化物、珪化物のような金属含有膜の堆積のためには不適切である。
【0009】
US-A-6,379,748は、例えばTa(OEt)5 (PET)の代わりにTaMe3(OEt)2を用いることによって導入されたPETアルキル結合についての改良策を開示する。それにより、融点に影響を与えることなく、揮発性が著しく向上した。しかしながら、TaMe3(OEt)2は汎用性のある堆積が不可能である。特に、酸素を含まない金属窒化物または炭化物を得ることができない。
【0010】
US-A-6,368,398は、例えばTa[OC(O)C(CH3)3]5の使用による他の改良策を開示するが、ここで先に開示されたような同様の制限がある。
【0011】
WO 02/20870は、Ta2O5の堆積のためのtert-ブチルイミド(トリス(ジエチルアミド))タンタル、TBTDETの使用を開示する。US-A-6,593,484、US 2004/0219784は、TBTDETまたはTAIMATAおよび他のN源の連続注入による窒化タンタル膜の堆積の方法を開示する。しかしながら、それらは堆積された膜の中に常に存在する窒素を含むので、Ta、TaC、TaSi膜を堆積するためにそれらを使用することは不可能である。
【0012】
US-A-6,379,748は、低い揮発性を持つ固体であるビスシクロペンタジエニルTa水素化物であるTa(Me3SiCp)2H3を開示する。
【0013】
今日、室温下(または室温近く)で液状であるために高い揮発性を持ち、かつ高い汎用性を持つ金属有機前駆体、すなわちDRAMおよび/または銅拡散バリア、またはTFT-LCD用途などのための金属-絶縁体-金属構造における金属ゲート、電極および/またはhigh-k層のような、半導体製造における種々の用途に適切な金属有機前駆体についての需要がいまだにある。
【0014】
第1の態様によれば、本発明は、金属前駆体として、式(Ia)
【化1】

【0015】
または式(Ib)
【化2】

【0016】
の少なくとも1つの化合物を用いて金属含有膜を堆積する方法に関する(ここで式(Ia)および(Ib)について、Mはタンタル(Ta)、ニオブ(Nb)およびバナジウム(V)から選択されるV族金属であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は同一または異なり得、水素原子、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキル基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルコキシ基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキルアミド基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキルシリルアミド基から独立に選択され、
R'1、R'2、R'3およびR'4のいずれかは同一または異なり得、水素原子、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキル基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルコキシ基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキルアミド基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキルシリルアミド基から独立に選択されるか、
R'1、R'2のいずれかは同一または異なり得、水素原子、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキル基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルコキシ基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキルアミド基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキルシリルアミド基から独立に選択され、R'3およびR'4は共にオキソ基(=O)または1ないし4個の炭素原子を持つアルキルイミノ基(=N-R)を表す)。
【0017】
第1の具体的な態様によれば、本発明は、およそ35℃以下の融点を持つ、すなわち、室温下で液体状であるかまたは液体に近い形態にある(配送を容易にする)、先に定義されたような式(Ia)または式(Ib)の化合物を用いて金属含有膜を堆積する方法に関する。
【0018】
第2の具体的な態様によれば、本発明は、100℃にて1 Torr超の蒸気圧を持つ、先に定義されたような式(Ia)または式(Ib)の化合物を用いて金属含有膜を堆積する方法に関する。そうするためには、当業者は、より低い分子量を持つ分子の群における適切な分子および/またはより低い分子間力を誘起する構造を持つものを選択すべきであろう。
【0019】
第3の具体的な態様によれば、式(Ia)または(Ib)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は同一または異なり得、水素原子、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキル基から独立に選択される。
【0020】
第4の具体的な態様によれば、式(Ia)または(Ib)において、R'1、R'2、R'3およびR'4は同一または異なり得、水素原子、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキル基から独立に選択される。
【0021】
第5の具体的な態様によれば、式(Ia)または(Ib)において、Mはタンタルである。
【0022】
第6の具体的な態様によれば、式(Ia)において、各R2、R3、R4およびR5は水素原子を表す。
【0023】
第7の具体的な態様によれば、式(Ib)において、各R2、R3、R4、R5、R6およびR7は水素原子を表す。
【0024】
第8の具体的な態様によれば、式(Ia)または(Ib)において、R1はエチル、イソプロピルまたはtert-ブチルから選択される。
【0025】
第9の具体的な態様によれば、式(Ia)または(Ib)において、各R'1、R'2、R'3およびR'4はメチル基を表す。
【0026】
第10の具体的な態様によれば、式(Ia)または(Ib)において、同一または異なり得るR'1およびR'2はメチルまたはメトキシから独立に選択され、R'3およびR'4は共にオキソ基(=O)またはtert-ブチルイミノ基(=N-tBu)を表す。
【0027】
このような具体的な態様の例は、
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【0028】
である。
【0029】
第11の具体的な態様によれば、先にここで定義されたような式(Ia)または(Ib)の化合物は、次の化合物:
(イソプロピル-シクロペンタジエニル)テトラキス(メチル)タンタル、
(1,5-ジイソプロピル-ペンタジエニル)テトラキス(メチル)タンタル、
(1,3-ジ-tert-ブチル-シクロペンタジエニル)テトラキス(メチル)タンタル、
(エチル-シクロペンタジエニル)テトラキス(メチル)タンタル、
(イソプロピル-シクロペンタジエニル)テトラキス(メチル)バナジウム、
(イソプロピル-シクロペンタジエニル)テトラキス(メチル)ニオブ、
(1,3-ジ-tert-ブチル-シクロペンタジエニル)テトラキス(メチル)ニオブ
から選択される。
【0030】
他の態様によれば、本発明はただ1つのシクロペンタジエニル環と、4つのアルキルアミド配位子とを含む特徴を持つ化合物に関し、前記化合物は式
【化7】

【化8】

【0031】
(ここでMはタンタル(Ta)、ニオブ(Nb)およびバナジウム(V)から選択されるV族金属であり、
各Rは、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキル基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルコキシ基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキルアミド基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキルシリルアミド基からなる群より独立に選択される;
各R’は、水素原子、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキル基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルコキシ基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキルアミド基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキルシリルアミド基からなる群より独立に選択される)を持ち、
このような具体的な態様の例は、
【化9】

【化10】

【化11】

【0032】
である。
【0033】
他の態様によれば、本発明は、ただ1つのシクロペンタジエニル環と、4つのアルキルアミド配位子とを含む特徴を持つ化合物に関し、前記化合物は式
【化12】

【0034】
(ここでMはタンタル(Ta)、ニオブ(Nb)およびバナジウム(V)より選択されるV族金属であり、
各Rは、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキル基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルコキシ基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキルアミド基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキルシリルアミド基からなる群より独立に選択される)を持つ。
【0035】
式(Ia)または(Ib)の化合物単独または混合物は、MOCVD (金属有機化学気相堆積)、ALD (原子層堆積)およびPECVD (プラズマ補強化学気相堆積)もしくはパルスCVDのような気相堆積を用いた任意のよく知られた堆積方法を用いて、種々の組成(ここで後に開示されるような)の膜を堆積するために使用される。これら新規なV族金属前駆体は、したがって、電極および/またはhigh k層、および/または銅拡散バリア層などを作るための純金属、金属酸化物、酸窒化物、窒化物および/または珪化物膜の堆積に有用である。ALD法において、好ましい温度は150ないし400℃、より好ましくは200ないし350℃の範囲にあり、ALDにおける好ましいパルス持続時間は1秒であり、好ましい圧力は0.1 Torrないし500 Torr、より好ましくは1 Torrないし100 Torrの範囲にある。
【0036】
CVD法において、好ましい温度は300℃ないし700℃、より好ましくは300℃ないし500℃の範囲にあり、好ましい圧力は0.1 Torrないし500 Torr、より好ましくは1 Torrないし100 Torrの範囲にあり、好ましいキャリアガスはN2、He、Ar、H2から、より好ましくはArまたはN2から選択される。好ましいN2キャニスター流量は30〜200 sccm、好ましくは50ないし100 sccmの範囲にある。
【0037】
PECVD法において、好ましい温度は300℃ないし700℃、より好ましくは300℃ないし500℃の範囲にあり、好ましい圧力は0.1 Torrないし500 Torr、好ましくは1 Torrないし100 Torrの範囲にあり、好ましいキャリアガスはN2、He、Ar、H2から、好ましくはArまたはH2から選択され、好ましいN2キャニスター流量は30〜200 sccm、好ましくは50ないし100 sccmの範囲にある。HまたはNHラジカルは、リモートプラズマシステムによって作られ、かつ共反応物質として使用される。
【0038】
これらの先述した用途において、先に定義されたような式(Ia)または式(Ib)の任意の化合物は、単独で使用されるか、または前記式(Ia)または(Ib)の他の1つまたは複数の化合物と混合して、および/または金属含有膜を堆積するときに有用である、以下提供されるような任意の適切な添加物と混合して使用され得る。第1の具体的な態様によれば、本発明は、およそ35℃以下の融点を持つ混合物のような先に定義したもの、すなわち配送を容易にするような室温下で液体であるかまたは液体に近い形態にあるもの、または100℃で1 Torr超の蒸気圧を持つものの使用に関する。
【0039】
窒化物、炭化物、珪化物、窒珪化物(MSiN)、酸化物(例えばMeOj)、酸窒化物(MOxNy)および2つの異なる金属M1およびM2 からの酸窒化物(M1M2OxNy)のような種々の膜が、ここで先述された前駆体を用いることによって基板上に得ることができる。
【0040】
本発明は、基板上にV族金属含有膜を堆積させるための方法であって、
- 基板を反応器中に導入する工程と、
- 基板を好ましくは150℃超の温度に加熱する工程と、
- ここで先に開示された通りの式(Ia)もしくは式(Ib)の化合物または前記化合物の混合物を気相にて反応器に供給する工程と、
- 任意で少なくとも1つの第2の前駆体を気相にて反応器に供給する工程と、
- 前記V族金属の少なくとも1つを含有する膜を堆積させる工程と
を含む方法にも関する。
【0041】
純金属が基板の表面上に堆積される必要がある場合、そのときは第2の前駆体の注入は必要とされない。
【0042】
しかしながら、窒化物、炭化物、珪化物、窒珪化物、酸化物、酸窒化物などの膜が必要とされる場合、そのときは、最終的な所望される膜の組成を得るために適切な化学種を提供するこのような第2の前駆体の注入が必要とされ得る。
【0043】
TaN:好ましい反応物質はNH3、N2H4、メチルヒドラジンである。
【0044】
TaSi:好ましい第2の前駆体はSiH4である。
【0045】
TaSiN:好ましい第2の前駆体はTSAおよびNH3、TriDMASおよびNH3である。
【0046】
TaO:好ましい酸素源はO3である。
【0047】
TaHfO:好ましい第2の前駆体はTEMAHである。
【0048】
TaC:前駆体は単独で使用することができ、C含有量を増やすためにC2H4も使用することができる。
【0049】
本発明による方法は、図表1に要約される。
【0050】
1つの態様によれば、新規な金属源の気化は、前記新規な金属源を含有する加熱された容器にキャリアガスを導入することによって実現される。容器は、好ましくは、前記金属源を液相で、かつ十分な蒸気圧で得ることができる温度まで加熱される。キャリアガスは、限定されないが、Ar、He、H2、N2またはそれらの混合物から選択され得る。前記金属源は容器内で溶媒、または他の金属源、またはそれらの混合物と混合され得る。容器は、例えば80〜110℃の範囲にある温度に加熱され得る。当業者は、気化される前駆体の量を制御するために容器の温度が調節され得ることを考慮するであろう。
【0051】
他の態様によれば、前記金属源は、気化器に液体状態で供給されて気化される。前記金属源は溶媒と混合され得る。前記金属源は他の金属源と混合され得る。金属源の前記混合物は溶媒または溶媒の混合物と混合され得る。前記金属源は安定剤と混合され得る。
【0052】
気化された金属源は、その後、反応チャンバーに導入されて基板と接触する。基板は、所望の物理状態および組成を持って所望の膜を、十分な成長速度で得るために十分な温度まで加熱され得る。典型的な温度は150℃ないし600℃の範囲である。好ましくは、温度は450℃以下である。反応チャンバー中の圧力は、所望の金属含有膜を十分な成長速度で得るために調整される。典型的な圧力は1 mTorrないし100 Torr、またはそれより高い範囲である。
【0053】
他の態様によれば、反応チャンバーへの混合物の導入に先立って、金属源を反応化学種と混合することが可能である。
【0054】
本発明の他の態様において、金属源は反応チャンバー中で反応化学種と混合され得る。
【0055】
さらなる態様によれば、金属源および反応化学種は同時に(化学気相堆積)、逐次に(原子層堆積)、またはそれらの任意の組合せ(1つの例は、金属源と他の金属源とを一緒に1つのパルスで導入し、酸素を別個のパルスで導入すること[変形原子層堆積]、他の例は酸素を連続的に導入し、金属源をパルスで導入すること(パルス化学気相堆積)である)で導入される。
【0056】
反応チャンバーへの導入の前に、反応化学種を、反応チャンバーから遠隔的に配置されたプラズマ装置に導入し、これらの化学種をラジカルに分解することも可能である。
【0057】
ターゲット金属をベースとする膜が、例えば、限定されないが、金属、酸化物または金属酸窒化物のように酸素を含むというさらなる態様によれば、反応化学種は、酸素(O2)、例えばリモートプラズマによって発生する酸素ラジカル(例えばOまたはOH)、オゾン(O3)、NO、N2O、NO2、水蒸気(H2O)およびH2O2または任意のそれらの混合物からなる群より選択される酸素源を含み得る。
【0058】
ターゲット金属をベースとする膜が例えば、金属窒化物または金属炭窒化物のように窒素を含むという、なお更なる態様によれば、反応化学種は、限定されないが、窒素(N2)、アンモニア、ヒドラジンおよびアルキル誘導体、N含有ラジカル(例えばN、NH、NH2)、NO、N2O、NO2、アミンから選択される窒素源を含む。
【0059】
ターゲット金属をベースとする膜が、例えば、限定されないが、金属炭化物または金属炭窒化物のように炭素を含む場合は、反応化学種は、限定されないが、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、プロピレン、t-ブチレン、イソブチレン、CCl4から選択される炭素源を含む。
【0060】
ターゲット金属をベースとする膜が、例えば、金属珪化物、珪窒化物、シリケート、珪炭窒化物のように珪素を含む場合、反応化学種はSiH4、Si2H6、Si3H8、TriDMAS、BDMAS、BDEAS、TDEAS、TDMAS、TEMAS、(SiH3)3N、(SiH3)2O、トリシリルアミン、ジシロキサン、トリシロキサン、ジシラン、トリシラン、アルコキシシランSiHx(OR1)4-x、シラノールSi(OH)x(OR1)4-x (好ましくはSi(OH)(OR1)3、より好ましくはSi(OH)(OtBu)3)、アミノシランSiHx(NR1R2)4-x (ここでxは0ないし4であり、R1およびR2はHまたは直鎖、分岐鎖もしくは環状のC1-C6炭素鎖から独立に選択され、好ましくはTriDMAS SiH(NMe2)3、BTBAS SiH2(NHtBu)2、BDEAS SiH2(NEt2)2である)およびそれらの混合物からなる群より選択される珪素源を含み得る。ターゲット膜は、代替的にゲルマニウムを含み得る。先述したSi含有源は、類縁のGe含有源で置き換えられ得る。
【0061】
多金属含有膜を形成するために、反応チャンバーへの導入に先立って金属源を他の金属源と混合すること、またはこれらの金属源を同時に反応チャンバーに導入し、それらを反応チャンバー中で一緒におよび/または他の反応化学種と共に混合することも可能である。
【0062】
しかしながら、第1の源、第2の源および反応化学種を反応チャンバー中に同時に(化学気相堆積)、逐次に(原子層堆積)、またはそれらの任意の組合せ(1つの例は、金属源と他の金属源とを一緒に1つのパルスで導入し、酸素を別個のパルスで導入すること[変形原子層堆積]、他の例は酸素を連続的に導入し、金属源をパルスで導入すること(パルス化学気相堆積)である)で導入することも可能である。
【0063】
第2の金属源は、希土類ジケトナートLn(-O-C(R1)-C(R2)-C(R3)-O-)(-O-C(R4)-C(R5)-C(R6)-O-)(-O-C(R7)-C(R8)-C(R9)-O-) (ここで各Riは独立にH、直鎖、分岐鎖または環状のC1-C6炭素鎖である)、シクロペンタジエニルLn(R1Cp)(R2Cp)(R3Cp) (ここで各Riは独立にH、直鎖、分岐鎖または環状のC1-C6炭素鎖である)、Ln(NR1R2)(NR3R4)(NR5R6)およびそれらの混合物のような、ランタノイドおよび希土類金属源(Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Gdなど)からなる群より選択され得る。第2の金属源は、代替的に、トリメチルアルミニウム、水素化ジメチルアルミニウム、アルコキシアランAlRix(OR')3-x (ここでxは0ないし3であり、R1およびR2は独立にHまたは直鎖、分岐鎖もしくは環状のC1-C6炭素鎖であり、好ましくはAlR1R2(OR')であり、最も好ましくはAlMe2(OiPr)である)、アミドアランAlRix(NR’R'')3-x (ここでxは0ないし3であり、R1およびR2は独立にHまたは直鎖、分岐鎖もしくは環状のC1-C6炭素鎖である)およびそれらの混合物からなる群より選択されるアルミニウム源であり得る。他の金属源は、代替的にタングステン、モリブデン源であり得る。他の金属源は、代替的にM(OR1)4または他のアルコキシド含有金属源、M(NR1R2)4、またはこれらの化学種を含有する付加物のような、ハフニウム、ジルコニウムまたはチタン源であり得る。第2の金属源は、代替的に、限定されないが、金属β-ジケトナートまたはこれらの化学種を含有する付加物から選択される二価金属源(好ましくはMg、Ca、Zn)であり得る。
【0064】
反応物質は、同時に(化学気相堆積)、逐次に(原子層堆積)、またはそれらの任意の組合せで導入され得る。
【0065】
例1:V族金属化合物
以下に、ここで先に定義された通りの式(Ia)または(Ib)のいくつかの前駆体を記載する(cpはシクロペンタジエニルを意味し、C5はペンタジエニルを意味する):
Ta(MeCp)Me4、Ta(EtCp)Me4、Ta(iPrCp)Me4、Ta(tBuCp)Me4、Ta(Me2Cp)Me4、Ta(Et2Cp)Me4、Ta(iPr2Cp)Me4、Ta(tBu2Cp)Me4、Ta(Et5C5)Me4、Ta(iPr5C5)Me4、Ta(MeCp)Et4、Ta(EtCp)Et4、Ta(iPrCp)Et4、Ta(tBuCp)Et4、Ta(Me2Cp)Et4、Ta(Et2Cp)Et4、Ta(iPr2Cp)Et4、Ta(tBu2Cp)Et4、Ta(Et5C5)Et4、Ta(iPr5C5)Et4、Ta(MeCp)Me2Et2、Ta(EtCp)Me2Et2、Ta(iPrCp)Me2Et2、Ta(tBuCp)Me2Et2、Ta(Me2Cp)Me2Et2、Ta(Et2Cp)Me2Et2、Ta(iPr2Cp)Me2Et2、Ta(tBu2Cp)Me2Et2、Ta(Et5C5)Me2Et2、Ta(iPr5C5)Me2Et2、Ta(MeEtCp)Me4、Ta(MeCp)(NEtMe)4、Ta(EtCp)(NEtMe)4、Ta(iPrCp)(NEtMe)4、Ta(tBuCp)(NEtMe)4、Ta(Me2Cp)(NEtMe)4、Ta(Et2Cp)(NetMe)4、Ta(iPr2Cp)(NEtMe)4、Ta(tBu2Cp)(NEtMe)4、Ta(Et5C5)(NEtMe)4、Ta(iPr5C5)(NEtMe)4、Ta(MeCp)(NMe2)4、Ta(EtCp)(NMe2)4、Ta(iPrCp)(NMe2)4、Ta(tBuCp)(NMe2)4、Ta(Me2Cp)(NMe2)4、Ta(Et2Cp)(NMe2)4、Ta(iPr2Cp)(NMe2)4、Ta(tBu2Cp)(NMe2)4、Ta(Et5C5)(NMe2)4、Ta(iPr5C5)(NMe2)4、Ta(MeCp)(NEt2)4、Ta(EtCp)(NEt2)4、Ta(iPrCp)(NEt2)4、Ta(tBuCp)(NEt2)4、Ta(Me2Cp)(NEt2)4、Ta(Et2Cp)(NEt2)4、Ta(iPr2Cp)(NEt2)4、Ta(tBu2Cp)(NEt2)4、Ta(Et5C5)(NEt2)4、Ta(iPr5C5)(NEt2)4、Ta(MeCp)(OMe)4、Ta(EtCp)(OMe)4、Ta(iPrCp)(OMe)4、Ta(tBuCp)(OMe)4、Ta(Me2Cp)(OMe)4、Ta(Et2Cp)(OMe)4、Ta(iPr2Cp)(OMe)4、Ta(tBu2Cp)(OMe)4、Ta(Et5C5)(OMe)4、Ta(iPr5C5)(OMe)4、Nb(MeCp)Me4、Nb(EtCp)Me4、Nb(iPrCp)Me4、Nb(tBuCp)Me4、Nb(Me2Cp)Me4、Nb(Et2Cp)Me4、Nb(iPr2Cp)Me4、Nb(tBu2Cp)Me4、Nb(Et5C5)Me4、Nb(iPr5C5)Me4、Nb(MeCp)Et4、Nb(EtCp)Et4、Nb(iPrCp)Et4、Nb(tBuCp)Et4、Nb(Me2Cp)Et4、Nb(Et2Cp)Et4、Nb(iPr2Cp)Et4、Nb(tBu2Cp)Et4、Nb(Et5C5)Et4、Nb(iPr5C5)Et4、Nb(MeCp)Me2Et2、Nb(EtCp)Me2Et2、Nb(iPrCp)Me2Et2、Nb(tBuCp)Me2Et2、Nb(Me2Cp)Me2Et2、Nb(Et2Cp)Me2Et2、Nb(iPr2Cp)Me2Et2、Nb(tBu2Cp)Me2Et2、Nb(Et5C5)Me2Et2、Nb(iPr5C5)Me2Et2、Nb(MeEtCp)Me4、Nb(MeCp)(NEtMe)4、Nb(EtCp)(NEtMe)4、Nb(iPrCp)(NEtMe)4、Nb(tBuCp)(NEtMe)4、Nb(Me2Cp)(NEtMe)4、Nb(Et2Cp)(NEtMe)4、Nb(iPr2Cp)(NEtMe)4、Nb(tBu2Cp)(NEtMe)4、Nb(Et5C5)(NEtMe)4、Nb(iPr5C5)(NEtMe)4、Nb(MeCp)(NMe2)4、Nb(EtCp)(NMe2)4、Nb(iPrCp)(NMe2)4、Nb(tBuCp)(NMe2)4、Nb(Me2Cp)(NMe2)4、Nb(Et2Cp)(NMe2)4、Nb(iPr2Cp)(NMe2)4、Nb(tBu2Cp)(NMe2)4、Nb(Et5C5)(NMe2)4、Nb(iPr5C5)(NMe2)4、Nb(MeCp)(NEt2)4、Nb(EtCp)(NEt2)4、Nb(iPrCp)(NEt2)4、Nb(tBuCp)(NEt2)4、Nb(Me2Cp)(NEt2)4、Nb(Et2Cp)(NEt2)4、Nb(iPr2Cp)(NEt2)4、Nb(tBu2Cp)(NEt2)4、Nb(Et5C5)(NEt2)4、Nb(iPr5C5)(NEt2)4、Nb(MeCp)(OMe)4、Nb(EtCp)(OMe)4、Nb(iPrCp)(OMe)4、Nb(tBuCp)(OMe)4、Nb(Me2Cp)(OMe)4、Nb(Et2Cp)(OMe)4、Nb(iPr2Cp)(OMe)4、Nb(tBu2Cp)(OMe)4、Nb(Et5C5)(OMe)4、Nb(iPr5C5)(OMe)4、V(MeCp)Me4、V(EtCp)Me4、V(iPrCp)Me4、V(tBuCp)Me4、V(Me2Cp)Me4、V(Et2Cp)Me4、V(iPr2Cp)Me4、V(tBu2Cp)Me4、V(Et5C5)Me4、V(iPr5C5)Me4、V(MeCp)Et4、V(EtCp)Et4、V(iPrCp)Et4、V(tBuCp)Et4、V(Me2Cp)Et4、V(Et2Cp)Et4、V(iPr2Cp)Et4、V(tBu2Cp)Et4、V(Et5C5)Et4、V(iPr5C5)Et4、V(MeCp)Me2Et2、V(EtCp)Me2Et2、V(iPrCp)Me2Et2、V(tBuCp)Me2Et2、V(Me2Cp)Me2Et2、V(Et2Cp)Me2Et2、V(iPr2Cp)Me2Et2、V(tBu2Cp)Me2Et2、V(Et5C5)Me2Et2、V(iPr5C5)Me2Et2、V(MeEtCp)Me4、V(MeCp)(NEtMe)4、V(EtCp)(NEtMe)4、V(iPrCp)(NEtMe)4、V(tBuCp)(NEtMe)4、V(Me2Cp)(NEtMe)4、V(Et2Cp)(NetMe)4、V(iPr2Cp)(NEtMe)4、V(tBu2Cp)(NEtMe)4、V(Et5C5)(NEtMe)4、V(iPr5C5)(NEtMe)4、V(MeCp)(NMe2)4、V(EtCp)(NMe2)4、V(iPrCp)(NMe2)4、V(tBuCp)(NMe2)4、V(Me2Cp)(NMe2)4、V(Et2Cp)(NMe2)4、V(iPr2Cp)(NMe2)4、V(tBu2Cp)(NMe2)4、V(Et5C5)(NMe2)4、V(iPr5C5)(NMe2)4、V(MeCp)(NEt2)4、V(EtCp)(NEt2)4、V(iPrCp)(NEt2)4、V(tBuCp)(NEt2)4、V(Me2Cp)(NEt2)4、V(Et2Cp)(NEt2)4、V(iPr2Cp)(NEt2)4、V(tBu2Cp)(NEt2)4、V(Et5C5)(NEt2)4、V(iPr5C5)(NEt2)4、V(MeCp)(OMe)4、V(EtCp)(OMe)4、V(iPrCp)(OMe)4、V(tBuCp)(OMe)4、V(Me2Cp)(OMe)V(Et2Cp)(OMe)4、V(iPr2Cp)(OMe)4、V(tBu2Cp)(OMe)4、V(Et5C5)(OMe)4、V(iPr5C5)(OMe)4、V(iPrCp)(=O)(OMe)2、V(iPrCp)(=O)(OEt)2、Ta(iPrCp)(=NtBu)Me2、Ta(iPrCp)2(=NiPr)Me2
【0066】
例2:Ta(iPrCp)Me4を使用したTaCのMOCVD
Ta(iPrCp)Me4を容器に貯蔵する。容器を90℃に加熱し、キャリアガスとしてN2を100 sccmの流量で使用する。容器中の圧力を50 Torrに制御する。反応チャンバー中でTa(iPrCp)Me4をH2/N2ガス混合物と混合する。基板を450℃に加熱する。反応器内部の圧力を20 Torrに設定する。炭化タンタルの膜を得る。
【0067】
炭素含有量を増すために、C2H4を反応チャンバー中に同時に導入することができる。
【0068】
類似の実験をNbおよびV類縁体で実施することができる。
【0069】
例3:Ta(iPrCp)Me4を使用したTaSiのMOCVD
Ta(iPrCp)Me4を容器に貯蔵する。容器を90℃に加熱し、キャリアガスとしてN2を100 sccmの流量で使用する。容器中の圧力を50 Torrに制御する。反応チャンバー中でTa(iPrCp)Me4をSiH4/N2ガス混合物と混合する。基板を500℃に加熱する。反応チャンバー内部の圧力を10 Torrに設定する。珪化タンタルの膜を得る。
【0070】
同様の実験をNbおよびV類縁体で実施することができる。
【0071】
例4:Ta(iPrCp)Me4を使用したTa2O5のMOCVD
Ta(iPrCp)Me4を容器に貯蔵する。容器を90℃に加熱し、キャリアガスとしてN2を100 sccmの流量で使用する。容器中の圧力を50 Torrに制御する。反応チャンバー中でTa(iPrCp)Me4をO2/N2ガス混合物と混合する。基板を450℃に加熱する。反応チャンバー内部の圧力を20 Torrに設定する。酸化タンタルの膜を得る。
【0072】
同様の実験をNbおよびV類縁体で実施することができる。
【0073】
例5: Ta(iPrCp)Me4および他のHf前駆体を使用したHfTaOxのMOCVD
Ta(iPrCp)Me4を容器に貯蔵する。容器を90℃に加熱し、キャリアガスとしてN2を100 sccmの流量で使用する。テトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム、TEMAHを他の容器に貯蔵し、90℃に加熱し、N2を100 sccmの流量でこの第2の容器に通す。両方の容器中の圧力を50 Torrに制御する。両方の前駆体を、反応チャンバーに同時に供給する。O2/N2ガス混合物を反応チャンバーに同時に導入する。基板を450℃に加熱する。反応チャンバー内部の圧力を20 Torrに設定する。タンタルハフニウム酸化物の膜を得る。
【0074】
同様の実験をNbおよびV類縁体で実施することができる。
【0075】
例6:Ta(iPrCp)Me4および他のHf前駆体を用いたHfTaOxのALD
Ta(iPrCp)Me4を容器を容器に貯蔵する。容器を90℃に加熱し、N2をキャリアガスとして100 sccmの流量で使用する。テトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム、TEMAHを他の容器に貯蔵し、90℃に加熱し、N2を100 sccmの流量でこの第2の容器に通す。両方の容器の中の圧力を50 Torrに制御する。O3を酸素源として使用する。基板を300℃に加熱する。前駆体をその後、反応チャンバーに導入する:第1の工程の間、Ta(iPrCp)Me4のパルスを2秒間導入し、その後N2パージを2秒間導入する。次にO3のパルスを反応チャンバーに2秒間導入し、その後N2パージを2秒間導入する。次にTEMAHのパルスを反応チャンバーに2秒間導入し、次にN2パージを2秒間導入する。次にO3のパルスを反応チャンバーに2秒間導入する。次に第1の工程を再度行った。100サイクルをこの方法で実行する。タンタルハフニウム酸化物の膜を得た。
【0076】
同様の実験をNbおよびV類縁体で実施することができる。
【0077】
例7:Ta(iPrCp)Me4の合成
Ta(iPrCp)Me4を3工程で調製する。LiMeとTaCl5の反応によってTaCl2Me3を調製する。次に、Li(iPrCp)とTaCl2Me3の反応によってTa(iPrCp)ClMe3を調製する。最後に、LiMeとTa(iPrCp)ClMe3の反応によってTa(iPrCp)Me4を調製する。得られた化合物を、半導体産業において使用するために十分な純度の化合物を合理的な収率で得るために十分な蒸留時間で精製する。
【0078】
例8:Ta(tBu2Cp)Me4の合成
t-Bu2C5H3SiMe3 (4.42 g、17.6 mmol)のトルエン溶液を、TaCl5 (6.31 g、17.6 mmol)のトルエン懸濁液に-78℃でゆっくり添加する。次に反応混合物を室温下でさらに12時間反応させる。黄色の(t-Bu2Cp)TaCl4の沈殿物を収集し、ペンタンで洗浄し、真空下で乾燥させる。収量 7.61 g、86 %。
【0079】
次にLiMeと(t-Bu2Cp)TaCl4の反応によってTa(t-Bu2Cp)Me4を得る。
【0080】
例9:Ta(tBu2Cp)(NMe2)4の合成
t-Bu2C5H3SiMe3 (4.42 g、17.6 mmol)のトルエン溶液を、TaCl5 (6.31 g、17.6 mmol)のトルエン懸濁液に-78℃で緩徐に添加する。次に反応混合物を室温下でさらに12時間反応させる。黄色の(t-Bu2Cp)TaCl4の沈殿物を収集し、ペンタンで洗浄し、真空下で乾燥させる。収量 7.61 g、86 %。
【0081】
次にLiNMe2(市販品)と(t-Bu2Cp)TaCl4の反応によってTa(t-Bu2Cp)Me4を得る。
【0082】
例10:Ta(tBu2Cp)Me4の熱重量分析
35.445 mgのTa(tBu2Cp)Me4試料を熱重量分析装置の坩堝中に配置する。温度を減圧下で10℃/minにて上昇させる。質量減少および試料熱流量を熱重量分析および示差走査熱量測定によって測定する。TGA曲線を図1に示す。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】
【図2】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Ia)
【化1】

または式(Ib)
【化2】

のうちの少なくとも1つの化合物の、基板上にV族金属含有膜を堆積させるための方法における金属前駆体としての使用であって、前記方法は、
- 反応器に基板を導入する工程と、
- 好ましくは前記基板を150℃超の温度に加熱する工程と、
- 前記式(Ia)もしくは前記式(Ib)の化合物、または前記複数の化合物の混合物を気相で前記反応容器に供給する工程と、
- 任意で、前記式(Ia)もしくは前記式(Ib)の第2の化合物、または前記化合物の第2の混合物を気相で前記反応容器に供給する工程と、
- 前記式(Ia)もしくは前記式(Ib)の前記化合物の少なくとも1つを含有する膜を前記基板上に堆積させる工程と
を含む、使用
(ここで式(Ia)および(Ib)について、Mはタンタル(Ta)、ニオブ(Nb)およびバナジウム(V)から選択されるV族金属であり、
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は同一または異なり得、水素原子、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキル基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルコキシ基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキルアミド基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキルシリルアミド基から独立に選択される;
R'1、R'2、R'3およびR'4は同一または異なり得、水素原子、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキル基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルコキシ基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキルアミド基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキルシリルアミド基から独立に選択されるか、
または、R'1、R'2は同一または異なり得、水素原子、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキル基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルコキシ基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキルアミド基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキルシリルアミド基から独立に選択され、R'3およびR'4は共にオキソ基(=O)、もしくは1ないし4個の炭素原子を持つアルキルイミノ基(=N-R)を表すかのいずれかである)。
【請求項2】
R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7が、同一または異なり得、水素原子、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキル基から独立に選択される、請求項1による金属含有膜の堆積における前記式(Ia)または式(Ib)の化合物の少なくとも1つの使用。
【請求項3】
R'1、R'2、R'3およびR'4が、同一または異なり得、水素原子、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキル基から独立に選択される、請求項1または請求項2による金属含有膜の堆積における前記式(Ia)または式(Ib)の化合物の少なくとも1つの使用。
【請求項4】
R2、R3、R4およびR5の各々が水素原子を表す、請求項1ないし請求項3のうちの1項による金属含有膜の堆積における前記式(Ia)の化合物の少なくとも1つの使用。
【請求項5】
R2、R3、R4、R5、R6およびR7の各々が水素原子を表す、請求項1ないし請求項3のうちの1項による金属含有膜の堆積における前記式(Ib)の化合物の少なくとも1つの使用。
【請求項6】
R1が、エチル、イソプロピルまたはtert-ブチルから選択される請求項1ないし請求項5のうちの1項による金属含有膜の堆積における前記式(Ia)または(Ib)の化合物の少なくとも1つの使用。
【請求項7】
R'1、R'2、R'3およびR'4の各々がメチル基を表す請求項1ないし請求項6のうちの1項による金属含有膜の堆積における前記式(Ia)または(Ib)の化合物の少なくとも1つの使用。
【請求項8】
R'1およびR'2が同一または異なり得、メチルまたはメトキシから独立に選択され、R'3およびR'4が共にオキソ基(=O)またはtert-ブチルイミノ基(=N-tBu)を表す請求項1ないし請求項6のうちの1項による金属含有膜の堆積における前記式(Ia)または(Ib)の化合物の少なくとも1つの使用。
【請求項9】
以下の化合物:
(イソプロピル-シクロペンタジエニル)テトラキス(メチル)タンタル;
(1,5-ジイソプロピル-ペンタジエニル)テトラキス(メチル)タンタル;
(1,3-ジ-tert-ブチル-シクロペンタジエニル)テトラキス(メチル)タンタル;
(エチル-シクロペンタジエニル)テトラキス(メチル)タンタル;
(イソプロピル-シクロペンタジエニル)テトラキス(メチル)バナジウム;
(イソプロピル-シクロペンタジエニル)テトラキス(メチル)ニオブ;
(1,3-ジ-tert-ブチル-シクロペンタジエニル)テトラキス(メチル)ニオブ。
【請求項10】
基板上にV族金属含有膜を堆積する方法であって、
- 基板を反応器に導入する工程と、
- 好ましくは前記基板を150℃超の温度に加熱する工程と、
- 請求項1ないし請求項9のうちの1項に開示された前記式(Ia)もしくは前記式(Ib)の化合物、または前記化合物の混合物を気相で前記反応器に供給する工程と、
- 任意で請求項1ないし請求項9のうちの1項に開示された前記式(Ia)もしくは前記式(Ib)の第2の化合物、または前記化合物の第2の混合物を気相で前記反応器に供給する工程と、
- 前記基板上に前記式(Ia)または前記式(Ib)の化合物の少なくとも1つを含有する膜を堆積させる工程と
を含む方法。
【請求項11】
NH3、N2H4、メチルヒドラジンおよびそれらの任意の混合物からなる群より選択された反応物質を注入する工程をさらに含む、基板上にTaN層を堆積させるための請求項10による方法。
【請求項12】
追加のSi含有前駆体、好ましくはSiH4を供給する工程をさらに含む、基板上にTaSi層を堆積させるための請求項10または請求項11による方法。
【請求項13】
Si含有前駆体と反応物質、好ましくはトリシリルアミンとNH3および/またはTriDMASとNH3を供給する工程をさらに含む、基板上にTaSiN層を堆積させるための請求項10ないし請求項12のうちの1項による方法。
【請求項14】
酸素含有反応物質、好ましくはO3を注入する工程をさらに含む、基板上にTaO層を堆積させるための請求項10ないし請求項13のうちの1項による方法。
【請求項15】
酸素含有反応物質とハフニウム含有前駆体、好ましくはTEMAHとを注入する工程をさらに含む、基板上にTaHfO層を堆積させるための請求項10ないし請求項14のうちの1項による方法。
【請求項16】
タンタル前駆体単独、または前記堆積された層においておよそ30体積%超の炭素が必要な場合にC2H4のような炭素前駆体を追加で注入する工程をさらに含む、基板上にTaC層を堆積させるための請求項10ないし請求項15のうちの1項による方法。
【請求項17】
化合物であって、式(Ia)
【化3】

もしくは
【化4】

(ここでMはタンタル(Ta)、ニオブ(Nb)およびバナジウム(V)から選択されるV族金属であり、
各Rは1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキル基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルコキシ基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキルアミド基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキルシリルアミド基から独立に選択される;
各R’は水素原子、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキル基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルコキシ基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキルアミド基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキルシリルアミド基から独立に選択される)、
または式
【化5】

(ここでMはタンタル(Ta)、ニオブ(Nb)およびバナジウム(V)から選択されるV族金属であり、
各Rは1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキル基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルコキシ基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキルアミド基、1ないし4個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキルシリルアミド基から独立に選択される)
の化合物。
【請求項18】
以下の化合物:
Ta(Me2Cp)Me4、Ta(Et2Cp)Me4、Ta(iPr2Cp)Me4、Ta(tBu2Cp)Me4、Ta(Me2Cp)Et4、Ta(Et2Cp)Et4、Ta(iPr2Cp)Et4、Ta(tBu2Cp)Et4、Ta(Me2Cp)Me2Et2、Ta(Et2Cp)Me2Et2、Ta(iPr2Cp)Me2Et2、Ta(tBu2Cp)Me2Et2、Nb(Me2Cp)Me4、Nb(Et2Cp)Me4、Nb(iPr2Cp)Me4、Nb(tBu2Cp)Me4、Nb(Me2Cp)Et4、Nb(Et2Cp)Et4、Nb(iPr2Cp)Et4、Nb(tBu2Cp)Et4、Nb(Me2Cp)Me2Et2、Nb(Et2Cp)Me2Et2、Nb(iPr2Cp)Me2Et2、Nb(tBu2Cp)Me2Et2、Nb(MeEtCp)Me4、V(Me2Cp)Me4、V(Et2Cp)Me4、V(iPr2Cp)Me4、V(tBu2Cp)Me4、V(Me2Cp)Et4、V(Et2Cp)Et4、V(iPr2Cp)Et4、V(tBu2Cp)Et4、V(Me2Cp)Me2Et2、V(Et2Cp)Me2Et2、V(iPr2Cp)Me2Et2、V(tBu2Cp)Me2Et2
【請求項19】
以下の化合物:
Ta(MeCp)(NEtMe)4、Ta(EtCp)(NEtMe)4、Ta(iPrCp)(NEtMe)4、Ta(tBuCp)(NEtMe)4、Ta(Me2Cp)(NEtMe)4、Ta(Et2Cp)(NEtMe)4、Ta(iPr2Cp)(NEtMe)4、Ta(tBu2Cp)(NEtMe)4、Ta(MeCp)(NMe2)4、Ta(EtCp)(NMe2)4、Ta(iPrCp)(NMe2)4、Ta(tBuCp)(NMe2)4、Ta(Me2Cp)(NMe2)4、Ta(Et2Cp)(NMe2)4、Ta(iPr2Cp)(NMe2)4、Ta(tBu2Cp)(NMe2)4、Ta(MeCp)(NEt2)4、Ta(EtCp)(NEt2)4、Ta(iPrCp)(NEt2)4、Ta(tBuCp)(NEt2)4、Ta(Me2Cp)(NEt2)4、Ta(Et2Cp)(NEt2)4、Ta(iPr2Cp)(NEt2)4、Ta(tBu2Cp)(NEt2)4、Nb(EtCp)(NEtMe)4、Nb(iPrCp)(NEtMe)4、Nb(tBuCp)(NEtMe)4、Nb(Me2Cp)(NEtMe)4、Nb(Et2Cp)(NEtMe)4、Nb(iPr2Cp)(NEtMe)4、Nb(tBu2Cp)(NEtMe)4、Nb(MeCp)(NMe2)4、Nb(EtCp)(NMe2)4、Nb(MeCp)(NEtMe)4、Nb(iPrCp)(NMe2)4、Nb(tBuCp)(NMe2)4、Nb(Me2Cp)(NMe2)4、Nb(Et2Cp)(NMe2)4、Nb(iPr2Cp)(NMe2)4、Nb(tBu2Cp)(NMe2)4、Nb(MeCp)(NEt2)4、Nb(EtCp)(NEt2)4、Nb(iPrCp)(NEt2)4、Nb(tBuCp)(NEt2)4、Nb(Me2Cp)(NEt2)4、Nb(Et2Cp)(NEt2)4、Nb(iPr2Cp)(NEt2)4、Nb(tBu2Cp)(NEt2)4、V(MeCp)(NEtMe)4、V(EtCp)(NEtMe)4、V(iPrCp)(NEtMe)4、V(tBuCp)(NEtMe)4、V(Me2Cp)(NEtMe)4、V(Et2Cp)(NetMe)4、V(iPr2Cp)(NEtMe)4、V(tBu2Cp)(NEtMe)4、V(MeCp)(NMe2)4、V(EtCp)(NMe2)4、V(iPrCp)(NMe2)4、V(tBuCp)(NMe2)4、V(Me2Cp)(NMe2)4、V(Et2Cp)(NMe2)4、V(iPr2Cp)(NMe2)4、V(tBu2Cp)(NMe2)4、V(MeCp)(NEt2)4、V(EtCp)(NEt2)4、V(iPrCp)(NEt2)4、V(tBuCp)(NEt2)4、V(Me2Cp)(NEt2)4、V(Et2Cp)(NEt2)4、V(iPr2Cp)(NEt2)4、V(tBu2Cp)(NEt2)4
【請求項20】
以下の化合物:
Ta(Me2Cp)(OMe)4、Ta(Et2Cp)(OMe)4、Ta(iPr2Cp)(OMe)4、Ta(tBu2Cp)(OMe)4、Nb(Me2Cp)(OMe)4、Nb(Et2Cp)(OMe)4、Nb(iPr2Cp)(OMe)4、Nb(tBu2Cp)(OMe)4、V(Me2Cp)(OMe)4、V(Et2Cp)(OMe)4、V(iPr2Cp)(OMe)4、V(tBu2Cp)(OMe)4

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−507729(P2010−507729A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533797(P2009−533797)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061216
【国際公開番号】WO2008/049790
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(591036572)レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード (438)
【出願人】(500174661)サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・レシェルシュ・サイエンティフィーク−セ・エン・エール・エス− (54)
【Fターム(参考)】