説明

新規化合物

【課題】
従来の抗菌剤に比較して、より優れた抗菌効果、幅広い抗菌スペクトルを有し、かつ人や環境に優しく安全性に優れた抗菌剤を提供すること。
【解決手段】
新規物質である、9-(1',5'-ジメチル-1'-ビニル-4'-ヘキセニル)-4-ヒドロキシ-7H-フル[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オン、それを含有する抗菌剤により上記課題を解決する。
なし

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物である9-(1',5'-ジメチル-1'-ビニル-4'-ヘキセニル)-4-ヒドロキシ-7H-フル[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オン及び当該新規化合物を含む抗菌剤に関する。この抗菌剤は幅広い菌種に対して優れた抗菌効果を有する上に、人や環境にやさしく、しかもそれ自体は無味無臭で、食品等に添加した後にも香りや味を変えることがないので、多くの使い道がある。
【背景技術】
【0002】
古くから抗菌剤、防腐剤は飲食品、香粧品、口腔用品、医薬品、医薬部外品、雑貨類などさまざまな分野で、有害な微生物の増殖に伴う品質の低下や風味の劣化に対する防止、あるいは微生物の増殖に伴う悪臭の発生に対処するために、用いられてきた。
例えば、飲食品には、日持ち向上、食中毒防止を目的とし、防腐剤が添加される。また、口腔用品においては、虫歯、歯周病の原因となる虫歯原因菌、歯周病菌の増殖を防止、抑制する目的で、抗菌剤が添加されてきた。また、香粧品にはワキガ、フケ、ニキビの原因となるワキガ菌、フケ菌、ニキビ菌の増殖を抑制する等の目的で抗菌剤が製品に添加されてきた。
【0003】
しかしながら、従来用いられてきた抗菌剤、防腐剤は必ずしも十分な抗菌活性、広い抗菌スペクトルを有するものではなく、満足の行く効果を示すものが少なかった。また、抗菌活性、広い抗菌スペクトルを有するものもであっても、安全面で人や環境に対する負荷が大きいことから、必ずしも満足の行くものではなかった。
例えば、従来、香粧品などの防腐剤として多く使用されているパラベンは、抗菌スペクトルが狭い上に活性が弱く、必ずしも満足出来る抗菌剤ではなかった。また、強い抗菌活性、広い抗菌スペクトルを有する抗菌素材として知られるトリクロサン(Triclosan)は、分子内に塩素原子を含有しており、環境、人体への影響が危惧されることから、製品への使用が制限されている。
【0004】
また飲料分野においては、菌の増殖に伴う商品価値の低下を防ぐため、加熱による殺菌処理が行われている。しかしながら、この加熱処理により商品の風味を大きく損なってしまうという問題がある。そのため、必要最小限の過熱処理に加えて、ショ糖脂肪酸エステル等抗菌効果を有する素材を添加して菌の増殖に対処する提案がなされている。しかしながら、該エステルは酸性領域では分散性が悪く、結晶化しやすいことから、酸性飲料中で濁りや沈殿が生じてしまい、商品価値を大きく損ねるという不都合さも指摘されている。
【0005】
また近年の、消費者の衛生面、安全性面に対する関心の高まりから、飲食品、口腔用品、香粧品など、人体に直接触れる製品については、特により安全で、高い抗菌作用を有し、幅広い抗菌スペクトルを有する抗菌剤の提供が求められてきた。
【特許文献1】特開2002-255810号
【特許文献2】特開平10-203906号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
すなわち、本発明の解決しようとする課題は、従来の抗菌剤よりも強い抗菌活性、広い抗菌スペクトルを有し、なおかつ塩素化合物ではない、人や環境に優しい安全な抗菌剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、十分な抗菌力、広い抗菌スペクトルを有し、かつ安全性の面で問題視されている塩素原子を含まない抗菌活性物質を得るべく研究を重ねた結果、新規物質である9-(1',5'-ジメチル-1'-ビニル-4'-ヘキセニル)-4-ヒドロキシ-7H-フル[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オンが、従来の抗菌物質よりすぐれていることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明では9-(1',5'-ジメチル-1'-ビニル-4'-ヘキセニル)-4-ヒドロキシ-7H-フル[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オンで示される新規化合物を含む抗菌剤を提供することにより本発明の課題を解決するものである。またこの新規化合物を含む抗菌剤を添加することを特徴とする飲食品、香粧品、口腔用品、医薬品を提供するものである。
また、本発明では、4-(1',5'-ジメチル-1'-ビニル-4'-ヘキセンオキシ)-7H-フル-[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オンを高沸点有機溶剤に溶解し、不活性ガス雰囲気下、加熱攪拌する工程を含むことを特徴とする、9-(1',5'-ジメチル-1'-ビニル-4'-ヘキセニル)-4-ヒドロキシ-7H-フル[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オンで示される新規化合物の製造方法、及び、3-[6'-(3",7"-ジメチル-2",6"-オクタジエンオキシ)-4'-ヒドロキシ-5'-ベンゾフラニル]-プロペノイックアシッド アルキルエステルのフェノール性水酸基を保護基により保護した化合物を、高沸点有機溶剤に溶解し、不活性ガス雰囲気下、加熱攪拌した後、保護基を除去する工程を含むことを特徴とする、9-(1',5'-ジメチル-1'-ビニル-4'-ヘキセニル)-4-ヒドロキシ-7H-フル[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オンで示される新規化合物の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、9-(1',5'-ジメチル-1'-ビニル-4'-ヘキセニル)-4-ヒドロキシ-7H-フル[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オンで示される新規化合物を有効成分とする、新規な抗菌剤を提供することが可能となり、更には今までに無い抗菌特性を有する抗菌剤を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明を詳しく説明する。
本明細書において、「抗菌剤」とは、9-(1',5'-ジメチル-1'-ビニル-4'-ヘキセニル)-4-ヒドロキシ-7H-フル[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オン(下記構造式(1))で示される新規化合物又はそれを有効成分として含んでなる剤であり、防腐剤、殺菌剤の作用をあわせもつ性質を有した、優れた剤のことをいう。
【化1】

【0011】
上記式(1)で示される構造式中には、不斉炭素が1つ存在するため、単一の光学活性体((1'R)-9-(1',5'-ジメチル-1'-ビニル-4'-ヘキセニル)-4-ヒドロキシ-7H-フル[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オン、又は、(1'S)-9-(1',5'-ジメチル-1'-ビニル-4'-ヘキセニル)-4-ヒドロキシ-7H-フル[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オン)あるいはこれらの光学活性体混合物としても存在しうる。
【0012】
上記式(1)で示される化合物は、例えば、下記式(2)で示される化合物(4-(1',5'-ジメチル-1'-ビニル-4'-ヘキセンオキシ)-7H-フル-[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オン)をベンジルアルコール等の高沸点有機溶剤に溶解し、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、高温で加熱攪拌することにより製造することができる。
【化2】

【0013】
また、上記式(1)で示される化合物は、下記式(3)で示される化合物(フェノール性水酸基を保護基(R1)で保護した、3-[6'-(3",7"-ジメチル-2",6"-オクタジエンオキシ)-4'-ヒドロキシ-5'-ベンゾフラニル]-プロペノイックアシッド アルキルエステル)をベンジルアルコールなどの高沸点有機溶剤に溶解し、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、高温で加熱することにより得られる中間体(式(4)、フェノール性水酸基を保護基(R1)で保護した、9-(1',5'-ジメチル-1'-ビニル-4'-ヘキセニル)-4-ヒドロキシ-7H-フル-[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オン)を酸処理することにより、R1で示される保護基を脱保護することによっても得ることができる。
【化3】

[式中、R1はメチル基、メトキシメチル基、tert-ブチルジメチルシリル基など、新規化合物の7H−フロ[3,2−γ][1]ベンゾピラン−7−オン骨格とエーテル結合を形成する保護基であり、R2は、メチル基、エチル基などのアルキル基である。]
【化4】

[式中、R1は構造式(3)中のR1と同義である。]
【0014】
上記式(2)で示される化合物を用いて上記式(1)で示される本発明の新規化合物を得る場合、加熱反応における諸条件、すなわち、高沸点有機溶剤、温度は適時調整することが可能であるが、高沸点有機溶剤には、ベンジルアルコール、ジメチルスルホキシドを用いるのが好ましく、また米サラダ油、パーム油、コーン油等の天然油脂を用いることも可能である。反応温度は100℃〜180℃、好ましくは130℃〜160℃である。
圧力は常圧が好ましい。
反応時間は1時間〜7時間が好ましく、3時間〜6時間が更に好ましい。
上記式(2)で示される化合物を加熱処理する際の濃度は、0.001重量%〜50重量%が好ましく、10重量%〜30重量%であることが更に好ましい。
【0015】
また上記式(3)で示される化合物を用いて上記式(1)で示される本発明の新規化合物を得る際の諸条件、すなわち、加熱反応、脱保護反応の条件は、適時調整することが可能であり、加熱反応条件は上記式(2)に用いる条件と同一条件で実施することが出来る。またR1で示される保護基の脱保護反応は、無水条件下で反応させることが好ましい。
【0016】
かくして得られた本発明にかかる新規化合物は、各種の菌に対して優れた抗菌効果を示す。それら各種の菌としては、虫歯原因菌、歯周病菌、ニキビ菌、ワキガ菌、フケ菌、皮膚常在菌、膿瘍菌、食中毒菌等を挙げることが出来る。
【0017】
それら各種の菌の具体例としては例えば次のものを示すことが出来る。
虫歯原因菌;アクチノマイセス・ネスランディ(Actinomyces naeslundii)、アクチノマイセス・ビスコーサス(Actinomyces viscosus)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans
歯周病菌;フソバクテリウム・ナクレタム(Fusobacterium nucleatum)、プレボテラ・インテルメディア(Prevotella intermedia)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis
ニキビ菌;プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes
膿瘍菌;バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis
ワキガ菌;コリネバクテリウム・ゼロシス(Corynebacterium xerosis
フケ菌;マラセチア・フルフル(Malassezia furfur
皮膚常在菌;スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphyrococcus epidermidis)、コリネバクテリウム・ミヌティシマム(Corynebacterium minutissimum
腐敗菌;バシラス・サブティラス(Bacillus subtilis
食中毒菌;腸炎ビブリオ菌(Vibrio parahaemoliticus)、カンピロバクター・ジェジェニ(Campylobactor jejuni
胃潰瘍原因菌;ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori
黄色葡萄球菌:スタフィロコッカス・アウレウス(Staphyrococcus aureus)など。
【0018】
本発明にかかる新規化合物は、抗菌剤として食品等にそのまま直接添加することができる。また本発明にかかる新規化合物を適当な液体担体(例えば、エタノール、エタノール水溶液、ベンジルアルコール、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)等)に溶解するか、もしくは分散させ、あるいは適当な粉体担体(例えば、多糖類、加工澱粉、活性炭、シリカゲル等)と混合するかもしくはこれに吸着させて、これを抗菌剤として使用に供することも可能である。また場合によっては、乳化剤、分散剤、懸濁剤、展着剤、浸透剤、湿潤剤、又は安定剤を添加し、乳剤、水和剤、粉剤、又は錠剤などに製剤化することも可能であり、香粧品、飲食品、口腔用品用の抗菌剤として使用する。
【0019】
さらに、本発明にかかる新規化合物に対して、増量剤、抗酸化剤、色素、公知の防腐剤や抗菌剤、消臭剤、界面活性剤、香料、安定化剤、吸湿剤(塩化カルシウム、高吸水性高分子等)、賦形剤(乳糖等)などの配合剤を単独あるいは2種以上を組み合わせて配合し、本発明の抗菌剤とすることも可能であり、特徴のある抗菌剤を調製することができる。
【0020】
上記配合剤の配合量は、本発明の目的を達成できる量であれば、とくに限定されない。
【0021】
増量剤としては、糖類、多糖類、加工澱粉、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース(以下、CMCという)、レシチン等を挙げることができる。
【0022】
抗酸化剤としては、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、クエン酸、ビオフラボ酸、グルタチオン、セレン、リコペン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC等の他、ピロロピロール誘導体や各種植物からの抽出物から得られる遊離基スカベンジャー(free radical scavengers)、スーパーオキサイドディスムターゼやグルタチオンペルオキシダーゼなどの抗酸化特性を有する酵素などが知られている。
【0023】
色素としては、染料、レーキ、有機顔料などの有機合成色素(タール色素)、天然色素などが知られており、具体的には、ハイビスカス色素、ハクルベリー色素、プラム色素、ノリ色素、デュベリー色素、ブドウ果汁色素、ブラックベリー色素、ブルーベリー色素、マルベリー色素、モレロチェリー色素、レッドカーラント色素、ローガンベリー色素、パブリカ粉末、麦芽エキス、ルチン、フラボノイド、アカキャベツ色素、アカダイコン色素、アズキ色素、ウコン色素、オリーブ茶、カウベリー色素、クロレラ末、サフラン色素、シソ色素、ストロベリー色素、チコリ色素、ペカンナッツ色素、ベニコウジ色素、ベニバナ色素、ムラサキイモ色素、ラック色素、スピルリナ色素、タマネギ色素、タマリンド色素、トウガラシ色素、クチナシ色素、シコン色素、シタン色素、オキアミ色素、オレンジ色素、ニンジンカロテン、カルメル、二酸化チタン、鉄クロロフィリンナトリウム、リボフラビン、ノルビキシンカリウム、ノルビキシンナトリウム、アラマンス、エリスロシン、ニューコクシン、フロキシンB、ローズベンガル、アシッドレッド、クートラジン、サンセットエロー、ファストグリーン、プリリアントブルー、インジゴカルミン、レーキレッドC、リソールレッド、ローダミン、フロキシン、インジゴ、ポンソー、オレンジI、スダンブルー、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、ベンガラ、酸化鉄、群青、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化亜鉛、雲母、オキシ塩化ビスマス、窒化ホウ素、フォトクロミック顔料、微粒子複合粉体(ハイブリットファインパウダー)、合成マイカなどが挙げられる。
【0024】
公知の防腐剤や抗菌剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ツヤプリシン、ウド抽出物、エゴノキ抽出物、カワラヨモギ抽出物、ウーロン茶抽出物、しらこたん白抽出物、酵素分解ハトムギ抽出物、茶カテキン類、リンゴポリフェノール、ペクチン分解物、キトサン、リゾチーム、ε-ポリリジン等を挙げることができる。
【0025】
公知の消臭剤としては、たとえば、脱硫作用による消臭剤(硫酸第一鉄などの硫酸鉄や塩酸鉄など)、化学反応作用による消臭剤(酸性剤、アルカリ性剤、酸化剤、還元剤など)、付加・縮合作用による消臭剤(付加剤:(メタ)アクリル酸エステル、マレイン酸エステルなど、縮合剤:グリオキシザールなど)、イオン交換作用による消臭剤(イオン交換樹脂の両性活性剤、カチオン剤、アニオン剤など)、薬剤添着吸着作用による消臭剤(アルカリ性または酸性添着活性炭、活性炭と化学反応剤との混合物など)、吸着作用による消臭剤(中性活性炭、繊維化炭素吸着剤、ゼオライト、活性白土などの多孔質の吸着剤など)、吸収作用による消臭剤(アルコール、ヘキサンなどの有機溶剤系、水、および界面活性剤など)、酵素作用による消臭剤(消化酵素や口内善玉菌LS-1乳酸菌、酵母、土壌細菌など)、防腐・殺菌作用による消臭剤(クロラミンT、パラベン系、フェノール系など)、ポリフェノール系消臭剤(柿ポリフェノール、茶カテキン、ローズマリー抽出物、ウーロン茶抽出物、ヨモギ抽出物、ウラジロガシ葉抽出物、米糠・大豆焙煎抽出物など)、サイクロデキストリン、シャンピニオンエキス、ルイボス抽出物、鉄クロロフィンナトリウム、活性炭、ゼオライト等が挙げられる。
【0026】
界面活性剤としては、ノニオンタイプ、特にポリオキシエチレンアルキルエーテルや脂肪酸アルキロールアミド、又はアシルグルタミン酸の界面活性剤を1種または2種以上組み合わせて用いることが好ましい。ポリオキシエチレンアルキルエーテルの例としては、ポリオキシエチレンステアリル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油などがあげられる。脂肪酸アルキロールアミドの例としては、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドがあげられる。アシルグルタミン酸タイプとしては、炭素数12〜18の飽和及び不飽和脂肪酸、これらの混合物であるヤシ油脂肪酸、硬化ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、硬化パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸などのグルタミン酸エステルが挙げられ、具体的には、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、ラウロイル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸・硬化牛脂脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸カリウムなどがあげられる。
【0027】
また、香料(フレーバーあるいはフレグランス)を抗菌剤に配合してもよい。その結果、心地よい香気を付与することができる。
香料の配合量は、抗菌剤の適用対象、使用方法などにより変動するが、通常抗菌剤に対して重量で0.001重量%〜20重量%とすることが好ましい。
【0028】
本発明の用いられるフレーバーとしては、エステル類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アセタール類、フェノール類、エーテル類、ラクトン類、フラン類、炭化水素類、酸類などの合成香料、および、天然香料などが挙げられる。
本発明の用いられるフレグランスとしては、炭化水素類、アルコール類、フェノール類、アルデヒド類及び/又はアセタール類、ケトン類及び/又はケタール類、エーテル類、合成ムスク類、酸類、ラクトン類、エステル類、含ハロゲン化合物、天然香料などが挙げられる。
【0029】
さらに、上記フレーバーおよびフレグランスの他に、「日本における食品香料化合物の使用実態調査」(平成12年度 厚生科学研究報告書;日本香料工業会 平成13年3月発行)、「合成香料 化学と商品知識」(1996年3月6日発行 印藤元一著 化学工業日報社)、「Perfume and Flavor Chemicals(Aroma Chemicals)1,2」(Steffen Arctender(1969)などに記載の香料を使用することができる。
これらのフレーバーおよびフレグランスは、1種および2種以上を混合して使用しても良い。
これらは市販のものを使用することもできる。また単品は、合成品を使用してもよいし、植物などの天然起源から導入してもよい。精油、レジノイド、バルサム、アブソリュート、コンクリート、チンキなどは、公知の方法で調製することもできる。
【0030】
本発明である抗菌剤を添加配合することができる対象としては、例えば飲食品、香粧品(フレグランス製品、基礎化粧品、頭髪化粧品、トイレタリー製品、浴用剤、ボディケア製品、洗剤、仕上げ剤、芳香消臭剤)、口腔用品、医薬品などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0031】
上記飲食品としては、例えば果汁飲料、無果汁飲料、茶系飲料、乳酸飲料、粉末飲料などの飲料、アイスクリーム,シャーベット、氷菓等の冷菓類、プリン、ゼリー、ババロア、ヨーグルトなどのデザート類、ガム、キャンデー等の製菓,水産練り製品などを挙げられる。
【0032】
フレグランス製品としては、香水、オードトワレ、オーデコロン、シャワーコロンなどを挙げることが出来る。
基礎化粧品としては、スキンクリーム、クレンジングクリーム、化粧水、アフターシェーブローション、ファンデーション、口紅、タルカムパウダーなどを挙げることが出来る。
【0033】
頭髪化粧品としては、シャンプー、リンス、コンディショナー、リンスインシャンプー、トリートメントなどの洗髪製剤、ポマード、ヘアトニック、ヘアリキッド、ヘアジェルなどの整髪剤、育毛剤、染髪剤、コールドウェーブ剤などを挙げることが出来る。
【0034】
トイレタリー製品としては化粧石鹸、浴用石鹸、透明石鹸などを挙げることが出来る。
洗剤としては、衣類用粉末洗剤、衣類用液体洗剤、柔軟仕上げ剤、台所用洗剤、トイレ用洗剤、浴室用洗剤、ガラスクリーナー、カビ取剤などが挙げられる。
浴用剤としては粉末入浴剤、固形入浴剤、固形発泡入浴剤、バスオイル、バブルバスなどを上げることができる。
芳香消臭剤としては、ゲル状芳香消臭剤、ミストタイプ芳香消臭剤、含浸型エアゾール芳香消臭剤等が挙げられる。
【0035】
医薬品としては、錠剤、液状の薬、カプセルタイプの薬、顆粒状の薬などがあげられる。
口腔用品としては洗口剤、歯磨き粉、オーラルケア用ガム、オーラルケア用キャンデー等が挙げられる。
【0036】
上記抗菌剤を飲食品、香粧品、口腔用品、医薬品に添加配合する量は、対象物や対象菌などにより大幅に異なるものであるが、通常対象物に対して0.0000001重量%〜50重量%とすることが好適である。0.0000001重量%以下では抗菌活性能が十分ではなく、50重量%以上添加しても抗菌活性能は十分であるが経済的な点で不都合である。さらに、対象物に対し、0.00001重量%〜10重量%とすることがもっとも望ましい。
【0037】
本発明にかかる新規化合物である9-(1',5'-ジメチル-1'-ビニル-4'-ヘキセニル)-4-ヒドロキシ-7H-フル[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オンは、虫歯原因菌、歯周病菌、ニキビ菌、ワキガ菌、フケ菌、皮膚常在菌、膿瘍菌、食中毒菌等に強い抗菌効果を示す。
食中毒菌などは、食品の腐敗劣化を導き、食品の商業的価値を大きく損ねる。更に、菌の増殖に伴い、製品内において毒素を生成し、それを食したものに対して重大な悪影響をもたらす。従って、本発明にかかる新規化合物を含む抗菌剤を飲食品に含有せしめることにより、飲食品に対する日持ち向上効果や、食中毒防止が達成される。
【0038】
虫歯原因菌は齲食の原因となる。歯周病菌は歯周病の原因となる。更にこれらの菌の口腔内での増殖が口臭の発生源ともなる。従って、本発明にかかる抗菌剤を口腔用品に含有せしめることにより、虫歯予防、歯周病予防、口臭予防が可能となる。
【0039】
また、本発明における抗菌剤を各種香粧品等に含有させることによって、フケ菌、ニキビ菌、ワキガ菌、膿瘍菌の増殖を抑制し、体臭予防効果、フケ防止効果、ニキビ防止効果等をえることが期待できる。
【0040】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0041】
実施例における化合物の同定には以下の装置を用いた。
プロトンNMR、カーボンNMR:Instrument DRX500(BRUKER BIOSPIN K.K : ブルカー・バイオスピン株式会社)
MS :M-2000(日立計測機器サービス株式会社)
【実施例1】
【0042】
9-(1',5'-ジメチル-1'-ビニル-4'-ヘキセニル)-4-ヒドロキシ-7H-フル[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オンの合成(構造式(2)を出発物質とする製法)
4-(1',5'-ジメチル-1'-ビニル-4'-ヘキセンオキシ)-7H-フル-[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オン(構造式(2))50mg(0.148mmol)をジメチルスルホキシド10mlに溶解し、窒素雰囲気下、140℃で、3時間加熱攪拌を行った。反応溶媒を室温まで冷却後、水10mlに空け、酢酸エチルで抽出を行った。有機層を水、飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。濃縮物60mgをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的とする9-(1',5'-ジメチル-1'-ビニル-4'-ヘキセニル)-4-ヒドロキシ-7H-フル[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オンを1mg(0.074mmol)を得た。
【実施例2】
【0043】
9-(1',5'-ジメチル-1'-ビニル-4'-ヘキセニル)-4-ヒドロキシ-7H-フロ[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オンの合成(構造式(3)(但し、R1はメトキシメチル基であり、R2はメチル基である)を経由する製法)
4-ヒドロキシ-7H-フロ[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オン 8.3g(41.0mmol)を無水テトラヒドロフラン200mlに懸濁し、氷冷下水素化ナトリウム2.46g(61.5mmol)を4回に分けて加えた。メトキシメチルクロライド4.59gを加え室温で3時間攪拌を行った。氷冷下、酢酸1mlを加えた後、酢酸エチル100mlを加え、攪拌を続けた。静置後、酢酸エチル層を分液し、蒸留水、食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを濃縮した後、濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、4-メトキシメトキシ-7H-フロ[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オン10.0g(40.6mmol)を得た。
4-メトキシメトキシ-7H-フロ[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オン3.44g(14.0mmol)を無水ジメチルホルムアミド60mlに溶解し、氷冷下ナトリウムメチラート0.83g(15.4mmol)を加え攪拌を続けた。室温で20分間攪拌後、氷冷しながら1−クロロ−3,7-ジメチル−2,6−オクタジエン2.6ml(14mmol)を滴下した。滴下後、ゆっくりと室温に戻しながら5時間攪拌を行った。酢酸エチル60ml、n−ヘキサン140mlを加え、氷冷下、水を100ml加え攪拌を実施した。分液後、水層を酢酸エチルで2回抽出し、有機層を合わせて食塩水で2回洗浄した。硫酸ナトリウムで有機層を乾燥した後、有機溶剤を濃縮し、濃縮物を得た。得られた濃縮残渣はシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的とする3-[6'-(3",7"-ジメチル-2",6"-オクタジエンオキシ)-4'-メトキシメトキシ-5-ベンゾフラニル]-プロペノイックアシッド メチルエステル(構造式(3)中、R1がメトキシメチル基、R2がメチル基)を3.77g(9.1mmol)得た。
得られた3-[6'-(3",7"-ジメチル-2",6"-オクタジエンオキシ)-4'-メトキシメトキシ-5-ベンゾフラニル]-プロペノイックアシッド メチルエステル3.0g(7.24mmol)を乾燥したジメチルスルホキシド28gに溶かし、窒素気流下、140℃で5時間攪拌を行った。攪拌後、室温まで冷却し、反応液を水に希釈した。これを酢酸エチル、n-ヘキサン混合溶剤にて抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後に硫酸ナトリウムで乾燥した。有機溶剤を濃縮した後に、得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的とする9-(1',5'-ジメチル-1'-ビニル-4'-ヘキセニル)-4-メトキシメトキシ-7H-フル-[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オン(構造式(4)中、R1がメトキシメチル基)を1.8g(4.7mmol)得た。得られた9-(1',5'-ジメチル-1'-ビニル-4'-ヘキセニル)-4-メトキシメトキシ-7H-フル-[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オン1.7g(4.4mmol)を50%酢酸水溶液30mlに溶解し、触媒量の硫酸を添加した後、加熱還留を30分間行った。室温まで冷却後、反応溶液を水に空け、トルエンで抽出した。トルエン層を水洗、炭酸ナトリウム水溶液で中和、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。トルエン層を濃縮して得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的とする9−(1',5'−ジメチル−1'−ビニル−4'−ヘキセニル)−4−ヒドロキシ−7H−フル−[3,2−γ][1]ベンゾピラン−7オン(構造式(1))を1.19g(3.52mmol)得た。
【0044】
得られた新規化合物のスペクトルデーターは以下のとおりである。
1H-NMR δ(CDCl3):8.28(1H,d,J=9.7Hz) 7.57(1H,d,J=2.4Hz) 7.26(1H,s) 6.97(1H,d,J=2.4Hz) 6.44(1H,dd,J=10.9,17.2Hz) 6.29(1H,d,J=9.8Hz) 5.02(1H,tt,J=1.37,6.86Hz) 4.99(1H,dd,J=10.7,1.09Hz) 4.98(1H,dd,J=17.2,1.1Hz) 2.42(1H,ddm,J=1.92,5.21Hz) 1.94〜1.87(2H,m) 1.81(3H,s) 1.74〜1.65(1H,m) 1.56(3H,s) 1.38(3H,s)
13C-NMR δ(CDCl3):17.34, 23.91, 25.59, 26.43, 40.33, 44.54, 102.58, 104.91, 110.28, 111.10, 111.38, 113.45, 124.60, 131.07, 140.00, 144.13, 147.29, 150.62 156.69, 162.01
EIMS(m/z) [M]+338
【0045】
上記化合物の構造についてはHMBC(1H-Detected Multiple-bond Heteronuclear Multiple Quantum Coherrence Spectrum)を測定した。その際確認した、側鎖と7H−フロ[3,2−γ][1]ベンゾピラン−7−オン骨格間の2JCH3JCHを下図の曲線で示す。
【化5】

【実施例3】
【0046】
抗菌剤の調整(水溶性抗菌剤)
実施例2で得られた9-(1',5'-ジメチル-1'-ビニル-4'-ヘキセニル)-4-ヒドロキシ-7H-フロ[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オン500mgを99.5%エタノールに溶解し、10mlエタノール溶液を調整し、これを本実施例における抗菌剤として用いた。
【実施例4】
【0047】
抗菌剤の調整(油溶性抗菌剤)
実施例2で得られた9-(1',5'-ジメチル-1'-ビニル-4'-ヘキセニル)-4-ヒドロキシ-7H-フロ[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オン500mgを中鎖脂肪酸トリグリセイド(MCT)に溶解し、0.2%MCT溶液とした。
【実施例5】
【0048】
最小生育阻止濃度の測定
寒天培地希釈法(ADT;Agar Dilution Test)により最小生育阻止濃度(MIC)の測定を実施した。
サンプルをエタノール又は水(サンプルの溶解性による)に溶解して系列2倍希釈段階を作り、その100μlを10mlの滅菌寒天培地(皮膚関連、一般細菌はMueller Hinton Medium(Difco)、酵母、糸状菌はSabroud Medium(Difco)、嫌気性菌はTrypticase Soy agar(BBL))に加え、良く撹拌した後9cmφのシャーレに移し室温で固化させた。このシャーレに佐久間製作所のミクロプランターMIT-P27本用を用い、皮膚関連菌、一般細菌の試験菌については1x105cfu(colony forming unit:生菌数)ずつスポットし、37℃で18時間培養した。酵母、糸状菌に関しては5000 cfu (Cg-1のみ50〜100 cfu)ずつスポットし27℃72時間培養、嫌気性菌は37℃72時間嫌気条件下(BBLのガスパック嫌気システムを使用)で培養する。培養終了後アルコールのみを加えたシャーレ(ブランク)とそれぞれの菌の生育を比較し、菌の生育の見られないサンプルの濃度を最小阻止濃度(MIC)とした。
比較物質として、ブチルパラベン(BPHB)およびトリクロサンも測定した。結果は以下のとおりである。
【表1】

【表2】

【0049】
以上の結果より、従来の抗菌剤であるBPHBより、上記にあげた菌のほとんどについて、抗菌効果が高いことがわかった。またトリクロサンは抗菌効果が最も強いものの、含ハロゲン化合物であることから、環境、人体への影響が危惧されており、その使用が控えられている。
以下、実施例3で調製した抗菌剤を用いて、下記組成を有する香粧品、飲食品、口腔用品を調製した。
【実施例6】
【0050】
歯磨(単位:重量%)
リン酸2カルシウム 10.0
ラウリル硫酸ナトリウム 2.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.5
サッカリンナトリウム 0.02
薄荷香味剤 1.0
抗菌剤 0.05
グリセリン 適量
100.0
【実施例7】
【0051】
洗口剤(単位:重量%)
エチルアルコール 10.0
ポリオキシエチレン水素化ひまし油 2.0
薄荷香味剤 0.5
サッカリンナトリウム 0.02
グリセリン 10.0
色素 適量
抗菌剤 0.25
精製水 適量
100.0
【実施例8】
【0052】
キャンデー(単位:重量%)
砂糖粉末 50.0
水飴 33.0
クエン酸 1.0
抗菌剤 0.25
精製水 適量
100.0
【実施例9】
【0053】
チューインガム(単位:重量%)
ガム素地 21.0
砂糖粉末 63.9
とうもろこしでんぷん 12.5
レモン型香味剤 1.0
酸性化剤 0.6
抗菌剤 1.0
100.0
【実施例10】
【0054】
トローチ(単位:重量%)
でんぷん 98.45
薄荷型粉末香味剤 0.8
スクロース脂肪酸エステル 0.5
抗菌剤 0.25
100.0
【実施例11】
【0055】
除菌剤(単位:重量%)
エタノール 20.0
抗菌剤 5.0
精製水 適量
100.0
【実施例12】
【0056】
粉末洗剤(単位:g)
ラウリン酸、ステアリン酸硫酸ナトリウム塩 15.0
炭酸ナトリウム 15.0
メタ珪酸ナトリウム 13.0
クエン酸ナトリウム 15.0
カルボキシメチルセルロース 2.0
硫酸ナトリウム 38.0
麝香樹木系芳香剤 1.0
抗菌剤 1.0
100.0
【実施例13】
【0057】
制汗剤(単位:g)
PEG-7グリセリルココエート(GLYCERYL COCOATE) 2.0
水素化油脂(HYDROGENATED OIL) 5.0
ミリスチン酸ミリスチル(MYRISTYL MYRISTATE) 15.0
シクロメチコーン 33.5
ステアリルアルコール(STEARYL ALCOHOL) 20.0
ステアリルイソノネノエート(STEARYL ISONONENOATE) 3.0
クロルヒドロキシアルミニウム(AL- CHROLOHYDRATE) 20.0
制汗剤用香料 0.5
抗菌剤 1.0
100.0
【実施例14】
【0058】
エモリエントクリーム(単位:g)
セチルアルコール 5.0
ステアリン酸 3.0
ワセリン 5.0
スクワラン 10.0
グリセロールトリ2−エチルヘキサン酸エステル 7.0
ジプロピレングリコール 5.0
グリセリン 5.0
プロピレングリコールモノステアリン酸エステル 3.0
POE(20)セチルアルコールエーテル 3.0
トリエタノールアミン 1.0
パラベン 0.3
クリーム用香料 1.0
抗菌剤 1.0
精製水 適量
100.0
【実施例15】
【0059】
シャンプー(単位:g)
ラウレス硫酸ナトリウム(SODIUM LAURETH SULFATE) 40.0
ココアンホ酢酸ナトリウム(SODIUMU COCOAMPHOACETATE) 10.0
コカミドDEA(COCAMIDE DEA) 2.0
ブチレングリコール(BUTYLENE GLYCOL) 2.0
クエン酸(CITRIC ACID) 0.35
塩化ナトリウム(SODIUM CHLORIDE) 0.1
パラベン(PARABEN) 0.3
テトラナトリウムEDTA(TETRASODIUM EDTA) 0.1
シャンプー用香料 0.5
抗菌剤 1.0
精製水 適量
100.0
【実施例16】
【0060】
果汁入り飲料(単位:g)
果糖ブドウ糖液糖 107.0
クエン酸 1.0
クエン酸ナトリウム 0.3
オレンジ濃縮果汁 51.8
水溶性オレンジフレーバー 1.0
抗菌剤 0.1
水 適量
1000.0
【実施例17】
【0061】
スポーツ飲料(単位:g)
砂糖 31.0
ブドウ糖 15.7
クエン酸 1.0
乳酸カルシウム 0.679
クエン酸ナトリウム 0.3
塩化ナトリウム 0.28
塩化カリウム 0.22
ビタミンC 0.864
L-グルタミン酸ナトリウム 0.03
ナイアシン 0.013
パントテン酸カルシウム 0.007
ビタミンB6 0.0022
ビタミンB12 0.000006
レモンフレーバー 1.0
抗菌剤 0.1
精製水 適量
1000.0
【実施例18】
【0062】
コーヒー乳飲料(単位:g)
レギュラーコーヒー 50.0
グラニュー糖 50.0
牛乳 150.0
乳化剤(脂肪酸エステル) 0.5
コーヒーフレーバー 1.0
ミルクフレーバー 0.8
抗菌剤 0.1
精製水 適量
1000.0
【実施例19】
【0063】
炭酸飲料(単位:g)
果糖ブドウ糖液糖 127.0
クエン酸 1.24
精製水 200.0
レモンフレーバー 0.12
抗菌剤 0.05
炭酸水 適量
1000.0
【実施例20】
【0064】
果汁入りゼリー(単位:g)
アップル果汁 6.0
水飴 3.5
グラニュー糖 13.0
りんご酸 0.21
ゲル化剤 0.9
クエン酸ナトリウム 0.05
カラメル色素 0.08
アップルフレーバー 0.2
抗菌剤 0.01
精製水 適量
100.0
【実施例21】
【0065】
レモンティー(単位:g)
紅茶葉抽出液(brix 1.0) 200.0g
グラニュー糖 60.0
レモン濃縮果汁 1.56
ビタミンC 0.1
抗菌剤 0.05
精製水 適量
1000.0
【0066】
上記のように調整したもののうち酸性飲料については、目視で確認できる濁りや沈殿は認められなかった(実施例16、17、19、21)。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明で得られた抗菌剤は、優れた抗菌効果を有する。即ち、虫歯原因菌、歯周病菌といった口腔関連の菌、食品業界で問題となっている食中毒菌、腐敗菌、香粧品分野で問題となっているニキビ菌、フケ菌、皮膚常在菌といったようにさまざまな菌に対し、優れた抗菌活性を示す。従って、この抗菌剤は、飲食品、香粧品(フレグランス製品、基礎化粧品、頭髪化粧品、トイレタリー製品、浴用剤、ボディケア製品、洗剤、仕上げ剤、芳香消臭剤)、口腔用品、医薬品等の幅広い製品への応用が可能である。
また本発明における抗菌剤は他の抗菌剤、あるいは抗菌活性を有する素材とともに用いることも可能で、相乗的な抗菌効果も期待できる。上記製品に本発明の抗菌剤を用いることにより、優れた抗菌効果と保存安定性を賦与することが可能になった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
9-(1',5'-ジメチル-1'-ビニル-4'-ヘキセニル)-4-ヒドロキシ-7H-フル[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オンで示される新規化合物。
【請求項2】
請求項1記載の新規化合物を含有することを特徴とする抗菌剤。
【請求項3】
請求項2記載の抗菌剤を含むことを特徴とする飲食品。
【請求項4】
請求項2記載の抗菌剤を含むことを特徴とする口腔用品。
【請求項5】
請求項2記載の抗菌剤を含むことを特徴とする香粧品。
【請求項6】
請求項2記載の抗菌剤を含むことを特徴とする医薬品。
【請求項7】
4-(1',5'-ジメチル-1'-ビニル-4'-ヘキセンオキシ)-7H-フル-[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オンを高沸点有機溶剤に溶解し、不活性ガス雰囲気下、加熱攪拌する工程を含むことを特徴とする、9-(1',5'-ジメチル-1'-ビニル-4'-ヘキセニル)-4-ヒドロキシ-7H-フル[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オンで示される新規化合物の製造方法。
【請求項8】
3-[6'-(3",7"-ジメチル-2",6"-オクタジエンオキシ)-4'-ヒドロキシ-5'-ベンゾフラニル]-プロペノイックアシッド アルキルエステルのフェノール性水酸基を保護基により保護した化合物を、高沸点有機溶剤に溶解し、不活性ガス雰囲気下、加熱攪拌した後、保護基を除去する工程を含むことを特徴とする、9-(1',5'-ジメチル-1'-ビニル-4'-ヘキセニル)-4-ヒドロキシ-7H-フル[3,2-γ][1]ベンゾピラン-7-オンで示される新規化合物の製造方法。

【公開番号】特開2006−76924(P2006−76924A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−262907(P2004−262907)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000169466)高砂香料工業株式会社 (194)
【Fターム(参考)】