説明

時間変化を伴う発出光の透過/反射

【課題】物体から発出する光を使用するための改善された技法を提供する。
【解決手段】物体が経路の2つ以上のセグメントの各々の中にある間、発出光の各部分がフィルタ構成内のフィルタアセンブリの対応する位置を透過/反射し、セグメントの少なくとも2つの間で発出光に時間変化が生じるように対応する位置の各々が範囲内のそれぞれの透過関数を有する、又は、物体が経路の一連のセグメントの各々の中にある間、発出光の各部分がフィルタ構成内のフィルタ構成要素を透過/反射し、範囲内で、フィルタ構成要素が2つ以上の単純な透過関数が重畳されている組の組合せ透過関数を有し、組が第1および第2の単純な非均一透過関数を含み、第1および第2の単純な非均一透過関数の重畳によって発出光に時間変化が生じるように前記組が重畳される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体から発出する光の反射および/または透過に関する。フィルタ構成は、例えば、物体が相対的運動を有する場合、時間変化と共にそのような光を透過および/または反射することができる。
【背景技術】
【0002】
様々な技法が物体から発出する光を使用するために提案されている。例えば、米国特許第7358476号は、感知構成要素が物体に関する情報を取得するチャネルをもつ流体構造を説明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7,358,476号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】BASSLER,. SCHMIDT,O.,KIESEL, P.,JOHNSON,N.M., ”Class Identification of Bio-Molecules Based on Multi-Color Native Fluorescence Spectroscopy”, International Journal of High Speed Electronics and Systems (IJHSES), Vol.17, Issue 4, 2007, pp.671-680.
【非特許文献2】BHATTA,H., GOLDYS,E.M., and LEARMONTH,R., “Rapid Identification of Microorganisms by Intrinsic Fluorescence”, Proc. of SPIE, Vol.5699, 2005, pp.9-18.
【非特許文献3】”Flow Cytomery”, printed from www.wellscenter.inpui.edu/MMIA on January 29, 2008, 4pages.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
物体から発出する光を使用するための改善された技法を有するのは有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、例えば、時間変化を得るためにフィルタ構成によって発出光を透過および/または反射する方法および装置を提供する。
【0007】
例えば、フィルタ構成を使用する方法であって、物体が前記フィルタ構成を通り過ぎる経路に沿って移動し、光子エネルギーの適用範囲内の光を発出する間、前記発出光の少なくともいくらかが前記フィルタ構成を透過/反射し、前記フィルタ構成によって前記発出光の少なくともいくらかを透過/反射する動作は、前記物体が前記経路の2つ以上のセグメントの各々の中にある間、前記発出光の各部分が前記フィルタ構成内のフィルタアセンブリの対応する位置を透過/反射し、前記セグメントの少なくとも2つの間で前記発出光に時間変化が生じるように前記対応する位置の各々が前記範囲内のそれぞれの透過関数を有する、及び、前記物体が前記経路の一連のセグメントの各々の中にある間、前記発出光の各部分が前記フィルタ構成内のフィルタ構成要素を透過/反射し、前記範囲内で、前記フィルタ構成要素が2つ以上の単純な透過関数が重畳されている組の組合せ透過関数を有し、前記組が第1および第2の単純な非均一透過関数を含み、前記第1および第2の単純な非均一透過関数の重畳によって前記発出光に時間変化が生じるように前記組が重畳される、のうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする方法である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】時間変化と共に物体から発出する光を透過および/または反射するフィルタ構成を示す図である。
【図2】システムの構成要素を示す図である。
【図3】励起構成を示す図である。
【図4】フィルタ構成を示す図である。
【図5】変位制御構成を示す図である。
【図6】システムを示す図である。
【図7】物体区別ルーチンを示す図である。
【図8】アナライザを示す図である。
【図9】物品を示す図である。
【図10】物品を示す図である。
【図11】別の物品を示す図である。
【図12】フィルタ構成を構成できる方法を示す図である。
【図13】フィルタ構成を示す図である。
【図14】フィルタ構成を示す図である。
【図15】フィルタ構成を示す図である。
【図16】別のフィルタアセンブリを示す図である。
【図17】別のフィルタアセンブリを示す図である。
【図18】別のフィルタアセンブリを示す図である。
【図19】変位制御構成を示す図である。
【図20】別の変位制御構成を示す図である。
【図21】別の変位制御構成を示す図である。
【図22】符号化構成をもつ流体チャネルを示す図である。
【図23】図22の構成要素を示す図である。
【図24】図22の別の構成要素を示す図である。
【図25】1組のグラフを含む図である。
【図26】1組のグラフを含む図である。
【図27】2つの単純なフィルタを含むフィルタアセンブリを示す図である。
【図28】グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施は、例えば臨床診断学、微生物学などにおけるフローサイトメトリにおいて、移動物体、例えば生体細胞、ウィルス、分子、サブ分子複合体に関する情報を取得する際の問題に対処する。サイトメーターのコストおよびサイズは、現場クリニック、水モニタ、農業/獣医診断、および迅速に配備可能なバイオ脅威検出での使用を妨げる。
【0010】
いくつかの利用可能なフローサイトメーターは、各々が別個の場所または領域に集束される多数の励起光源を使用する。着色された細胞または多数の染色された細胞を別々に検出し区別するために、ビームスプリッタ、フィルタ、および光電子増倍管(PMT)で各領域からの光を分析することができる。細胞は挿入の前に着色され、測定は、細胞が最大毎秒数メートルで横切る検出領域をもつ流体チャネルで行われる。細胞が横切る集束レーザ光は、細胞上の染料を励起する。蛍光は、顕微鏡レンズによって収集され、帯域通過フィルタによって選別され、PMTまたはアバランシェフォトダイオードによって検出され得る。複数組のフィルタおよび検出器は高価であり、光学アラインメントに敏感な大型デバイスをもたらす。物体は小さい領域を迅速に横切るので、重大な信号対雑音(S/N)問題が発生し、例えば数をカウントすることによって物体の特性評価および区別を行う場合より深刻になる。
【0011】
臨床診断では、試薬は高価であるが、蛍光強度を低減するにもかかわらず、分析物の所要量または分析物体積当たりの消耗品の量を低減することができる。
【0012】
事前に空間変調された単色励起技法は、黒/白手法であろうと単色干渉パターンであろうと、染料の波長感度および退色の問題に出会うことがある。低い波長感度のために、フィルタ−PMTの組合せをもつ多くのフローサイトメーターは、実質的に異なる蛍光波長をもつ染料を使用する。
【0013】
以下の実施では、2つの技法の一方または両方を用いて発出光を透過または反射するフィルタ構成を使用する。フィルタアセンブリは物体の経路の異なるセグメントで異なる透過関数を与え、かつ/またはフィルタ構成要素は単純な非均一透過関数が重畳されている組合せ透過関数の組を有する。そのような技法は、物体の経路の短い部品内に順に透過関数を与え、その結果、発出光は異なる透過関数の全体にわたって比較的一定である。これらの技法により、2値、黒/白マスク、または単色マスクで可能であるものよりも多くのフィルタ構成の変形が可能になる。これらの技法は、より高い空間分解能を維持し、光センサ上のより高い光子束を可能にすることができる。そのようなフィルタからの発出光の時間変化により、粒子のスペクトル特性決定を可能にすることができる。多数の色により、固有の蛍光に基づいた粒子識別が可能になり、例えば、パターン化されたフィルタ構成により、発光スペクトルの差異の検出、おそらく固有の蛍光スペクトル差異の検出さえ可能になり、さらに、フィルタ構成を通り過ぎて移動する間に色スポットの反射スペクトルのわずかな差異を検出することによって印刷用途における高度な色モニタを可能にすることができる。
【0014】
図1において、物体10は、フィルタ構成20を通り過ぎる相対的運動を有する物体14から16の一連の動き12のうちの1つである。
【0015】
物体10が構成20を通り過ぎて移動するとき、光は、例えば、発光、散乱(例えば反射を含む)、または透過によって物体10から発出し、発出光の一部は矢印22によって示されるようにフィルタ構成20によって受け取られる。一般に、発出光は、適用範囲外にあって適用範囲内の光と同じようにフィルタ構成20と相互作用しないかもしれない光子エネルギーを含むとしても、光子エネルギーの適用範囲内の光を含み、図1におけるような技法は所定の用途、例えばフローサイトメトリ、バイオチップ読み出し、または任意の適切な種類の分析物検出で首尾よく使用できることを意味する。
【0016】
「物体」という用語は、情報がセンサによって取得され、感知結果中に含まれ得るあらゆる区別可能なもの、例えば、小滴、小容積の流体、単一分子、凝集した分子、分子クラスタ、細胞、ウィルス、バクテリア、非常に長い重合体、サブ分子複合体、マイクロ粒子、ナノ粒子、特定の化学物質または他の分析物を結合し搬送することができるビードまたは他の小さい粒子、エマルジョン、アレイ中の物体、および表面の区別可能領域、例えば有色スポットを含む。
【0017】
時間的に変動する波形を示す感知結果は「符号化された時間変化」を有する。
【0018】
「時間的に変動する波形」は時間の次元に対して変化する。「感知された時間的に変動する波形」は時間に対して得られた感知結果によって示される。
【0019】
物体の運動は、システムのパーツもしくは構成要素またはシステムの環境のパターンもしくは特性、例えば、符号化もしくは感知用の構成要素、励起もしくはフィルタ処理のパターン、または別の環境のパターンもしくは特性に対する任意の運動を含む。
【0020】
「光学フィルタ」または「フィルタ」という用語は、基準に従って光を透過および/または反射する光透過または光反射パーツもしくは構成要素を指す。光子エネルギーのある適用範囲にわたる「帯域通過フィルタ」は、部分的な範囲内の光を優先的に透過および/または反射する。「阻止フィルタ」は適用範囲中の光を全く透過または反射せず、一方、「透明フィルタ」は適用範囲中の光を全て透過および/または反射する。
【0021】
フィルタ要素およびフィルタアセンブリは時には「マスク」と呼ばれる。「透過する」および「反射する」という用語は別段の定めがない限り互いを含み、「透過する/反射する」または、「透過/反射」は、反射のない透過、透過のない反射、ならびに共存する透過および反射を包含する。
【0022】
光はフィルタの「シーケンス」を通過することができ、特定の光がフィルタを順に通過することを意味する。「径方向シーケンス」のフィルタである場合、例えば、発出光は各フィルタを順に通過することができ、第1のもので始まり、前の各フィルタを通過した後、次のフィルタを通過し、径方向シーケンスの前のフィルタによって阻止された光は次のフィルタに達しないことになる。「長手方向シーケンス」のフィルタの場合、セグメントのシーケンスの各々で発出する光は長手方向シーケンスのそれぞれのフィルタを通過する。
【0023】
他のカテゴリのフィルタには、シャドウマスク、周期マスク、チャープマスク、ランダムマスクなどが含まれる。「ランダム」パターンはフィルタの長手方向シーケンスの全長にわたって非周期的であり、「周期」フィルタアセンブリは、アセンブリの長手方向の長さにわたって2回以上繰り返す少なくとも1つのパターンを有し、「チャープ」パターンは、前述のランダムの定義を満たすが、直線的に変化する時間スケーリングでは、前述の周期の定義を満たすことができる。「シャドウマスク」は帯域通過フィルタではなく強度に基づいたフィルタアセンブリであり、そのフィルタアセンブリは、注目する光子エネルギー範囲内で全てのエネルギーの光を透過/反射するが、フィルタの様々な部分は白黒および/または様々なグレースケールなどの様々な強度で光を透過/反射する。
【0024】
「白」は、光子エネルギーの実施の全範囲にわたって最大強度に近いスペクトルをもつ光を指し、「黒」は、白とは逆で、すなわち、全範囲にわたって最小の利用可能な強度を指し、理想では光がなく、したがって0の強度である。白におけるような全範囲にわたる最大強度をもたない光は、白と黒との間のグレーレベルのような「グレーレベル」を有することができ、または「色」を、例えば、可視範囲または赤外もしくは紫外範囲の部分的な範囲内の光子エネルギーを主として有することができる。黒でも白でもないスペクトルは「非2値スペクトル」である。
【0025】
フィルタ構成20は、複数のフィルタの組合せ又は構成の一方又は両方を含む。フィルタ構成要素30は、位置34および36が異なる透過関数を有するフィルタアセンブリ32を含み、一方、フィルタ構成要素40は、2つ以上の異なる非均一透過関数が重畳されている、ボックス42で示された、組合せ透過関数を有する。透過関数の差異は、発出光の時間変化として情報を符号化する。
【0026】
「透過関数」は、ある適切な位置または位置の組について、フィルタまたはフィルタアセンブリなどの光透過および/または光反射構成要素の出力光と入力光との関係を示す。透過関数は、例えば、光子エネルギーの範囲にわたるある位置での出力強度と入力強度の比、すなわち透過関数の「透過スペクトル」を示す。透過関数は、例えば、出力強度と入力強度の比を示す「強度比」を含み、ここで、同じ強度比は関連する範囲にわたる全ての光子エネルギーに当てはまり、フィルタの各位置が0または1の強度比のいずれかを有する場合、各位置の透過関数は、黒/白、オン/オフ、1/0などのような1対の2進値の一方とすることができる。
【0027】
「均一透過関数」では、実質的に全ての位置が近似的に同じ透過関数を有する。「非均一透過関数」は近似的に均一でなく、例として、周期フィルタ、ランダムフィルタ、およびチャープフィルタが含まれる。
【0028】
2つの位置の透過関数は異なる透過スペクトルを有する、すなわち「色」において異なる場合があり、関連する範囲にわたって同じ形状の透過スペクトルをもつ透過関数は「強度」において異なる、すなわち、異なる強度比を有することができる。要素34および36は互いに異なる透過関数を有する。組合せ透過関数を与えるために重畳される単純な透過関数は異なる透過関数を有することができ、組合せ透過関数42を与えるために重畳された2つの単純な透過関数は非均一であり、互いに異なる。
【0029】
フィルタの長手方向シーケンスでは、透過関数はシーケンスとして組み合わされる。スタック、フィルタの径方向シーケンス又はフィルタアセンブリでは、透過関数は「重畳する」ことができ、両方の透過関数が構成要素を通過する光に適用され、その結果、単純な透過関数が重畳されている組合せ透過関数が得られることを意味する。1つの透過関数は組合せ透過関数より「単純」である。組合せ透過関数および全ての重畳された透過関数が同じスペクトル形状を有するか、または、重畳された透過関数が関連した形状を有し、特定の位相関係で重畳されたとき細部の均一な損失をもたらす場合を除いて、透過関数は別の透過関数と重畳される。単一のフィルタアセンブリは、「スタック等価」である、すなわち、単純な透過関数をもつフィルタ構成要素のスタックと近似的に等価である組合せ透過関数を有することができる。スタック等価フィルタアセンブリは、時には、順序に関係ない単純なフィルタの組合せと等価であり、すなわち、単純なフィルタを異なる順序とした異なるスタックは等価であり得る。
【0030】
物体10がセグメント50またはセグメント52内にある場合、発出光のそれぞれの部分は、矢印54および56によって示されるようにフィルタアセンブリ32の位置34および36によって透過/反射される。異なる透過関数のために、矢印58によって示されるように光の時間変化として情報が符号化される。セグメント50および52からの光が同じ強度またはスペクトルを有する場合、位置34および36からの出力光は強度またはスペクトルに別々に影響を与え、例えば、物体10がセグメント50とセグメント52との間を移動した時間を示すことができる。セグメント50は物体10の経路に沿ってセグメント52より前にあり、その結果、セグメント50からの光は位置34の透過関数によって透過/反射され、その後、セグメント52からの光が位置36の透過関数によって透過/反射される。
【0031】
物体10はセグメント60および62を含む一連のセグメントを通過するので、発出光のそれぞれの部分は矢印64および66によって示されるように組合せ透過関数42で透過/反射される。関数42として重畳された2つの単純な透過関数は非均一であり、互いに異なっているので、さらに矢印68によって示されるように情報を発出光の時間変化として符号化する。各セグメントからの光が同じ強度またはスペクトルを有する場合、関数42からの光は両方の単純な非均一透過関数に従って符号化されたものになり、すなわち、両方の単純な透過関数に対応する情報は、発出光の時間変化として同時に符号化されたものになる。
【0032】
組合せ30と構成要素40との間の「および/または」という語は、2つが相互に排他的でなく共に存在できることを示す。単一のフィルタアセンブリは、組合せ30および構成要素40で示された両方の方法で情報を発出光の時間変化として符号化することができる。
【0033】
ボックス70は、矢印58および68によって示されるように、時間変化として符号化された情報をもつ光を光感知し、例えば、アナログまたはデジタルの電気信号の感知結果が得られる。ボックス72はボックス70からの感知結果を使用して符号化された情報を示すデータを得る、すなわち「復号化」操作を行う。
【0034】
フィルタ処理構成20は、異なる透過関数を有する位置をもつフィルタ構成要素、または重畳された単純で非均一な透過関数もつ組合せ透過関数を有するフィルタアセンブリ、または両方とすることができる。
【0035】
図2のシステム100では、移動物体から発出する光はその特性に関する情報を有することができる。符号化構成要素102は符号化出力光を供給し、光感知構成要素104は応答し、感知結果、例えば処理構成要素106に伝達することができる電気信号を与える。構成要素106は感知結果を使用して、物体特性に関する情報を示す特性データを得るかつ/または与えることができる。
【0036】
物体110は位置を通る矢印112によって示された方向の相対運動を有する。ある位置では、物体110は矢印114によって示されるように励起を受け取り、例えば染料もしくは別の添付の「タグ」の蛍光からのまたは例えば紫外光または固有の細胞材料の他の励起による固有の蛍光または自己蛍光からの矢印116によって示された光を発出することによって応答することができ、化学蛍光、バイオ蛍光、吸収、散乱、または同時励起を必要としない他の現象を使用することができる。
【0037】
矢印120は構成要素102からの出力光を表す。ボックス122は、出力光に含まれる物体110の特性に関する情報を示す。情報は、様々な方法のいずれか、例えば、矢印120によって示された符号化出力光を得るために励起のパターニングおよび/または発出光のパターニングによって符号化される。
【0038】
符号化出力光の一部が構成要素104によって感知されて感知結果が得られ、その感知結果に基づいて構成要素104は矢印130によって示された電気信号を与える。電気信号はボックス120からの情報を含むことができ、構成要素106は、応答して、物体特性を示すデータを得るかつ/または与えることができる。
【0039】
図3において、励起構成150は、光を発出する物体152の経路に沿って存在する。「x 又は t」によって示唆されるように、経路はx方向に沿って延びかつ/または時間tに沿って生じる。物体152の速度または変位速度は変わることがあるが、速度または他の変位速度に関する情報は、例えば、物体の符号化信号などからのトリガ信号を得るトリガ検出技法に基づいてx方向の位置と時間tとの間の近似的なマッピングを可能にすることができる。
【0040】
図3は、構成要素154「0」および構成要素156「(K−1)」を伴う、K個の励起構成要素154から156のシーケンスを示す。励起構成要素は経路の近くのいかなる位置にも位置決めすることができる。2つ以上の励起構成要素が同じ位置にまたはx 又は t軸に沿って重なる範囲内にあり、回転方向に変位することができ、例えば構成要素158「(0’)」は構成要素154から経路の反対側にある。
【0041】
矢印160は構成要素154からの励起を、矢印162は構成要素158からの励起を、および矢印164は構成要素156からの励起を表す。
【0042】
励起構成要素170「k1」は、矢印172および174によって示された様々なタイプの励起をもたらす干渉光源171を含む。物体152が領域176を移動する間、矢印172によって示された励起が生じ、一方、物体152が領域178を移動する間、矢印174によって示された励起が生じる。領域176の励起は領域178の励起と異なる光子エネルギースペクトルを有し、すなわち、領域176および178は励起の「異なる色」を有する。
【0043】
励起構成要素180「k2」は、空間パターン186によって示された空間的にパターン化された励起を与えるように構造化された構造化光源182を含む。矢印184は、領域188の励起、すなわちパターン186によって表された領域の完全なパターンのうちの1つを表す。
【0044】
構成要素154から156の各々は、ライン190を通して励起制御回路からの制御信号を受け取ることができる。励起制御回路は、トリガ検知回路に応答し、定常状態でまたは時間的に変動するように励起を生じさせる制御信号を供給することができる。
【0045】
図4において、フィルタ構成200が光発出物体202の経路に沿って存在する。フィルタ構成200はフィルタアセンブリの組合せを含む。
【0046】
図4はアセンブリ204「0」およびアセンブリ206「(M−1)」を伴う、M個のフィルタアセンブリ204から206を示す。フィルタアセンブリは経路の近くのいかなる位置にも位置決めすることができる。フィルタアセンブリが同じ位置にまたはx 又は t軸に沿って重なる範囲内にあり、回転方向に変位することができ、例えばボックス208「(0’)」はアセンブリ204から経路の反対側にある。
【0047】
アセンブリ210「m1」はフィルタの径方向シーケンスを含み、そこを矢印212によって示された光が通過することができ、出力光は矢印214によって示される。アセンブリ210は、例えばフィルタ216および218を含む。
【0048】
フィルタアセンブリ204から206の全シーケンスは長手方向シーケンスを示す。アセンブリ220はフィルタの長手方向シーケンスを含み、そこを矢印222によって示された光が通過することができ、出力光は矢印224によって示される。アセンブリ220は、例えば隣接するフィルタ226および228を含み、各々は、発出スペクトルに関する情報を与えるために十分に異なる帯域をもつ帯域通過フィルタである。アセンブリ220ならびにフィルタ216および218は空間的にパターン化されたフィルタとすることができる。
【0049】
矢印224によって示された出力光はフィルタ226および228からの符号化情報を含むことができ、符号化情報は、出力光を光感知し、感知結果を操作することによって回復することができる。フィルタ226および228ならびに他のフィルタは適切な長さを有し、x 又は t方向においておそらく分解能の損失をもたらすような物体202の明瞭な長さより小さく、または、x 又は t方向における物体202の明白な長さ以上であるが、物体202がアセンブリ220を通り過ぎて移動する間特性が変わらない程十分に小さくすることができる。
【0050】
図4によって示されたフィルタ構成は、流体の実施、または画像を運ぶ走査用の紙のシートまたは他の媒体などの、走査移動のために他の構成要素に対して移動するアレイ中の物体の実施に適用することができる。物体202はシート上の有色スポットとすることができ、フィルタ構成は物体202から発出する色のわずかな差異に関する情報を得ることができ、物体202が位置決めマークに特有の色をもつマークである場合、色は他の色と区別することができ、位置を取得することにより画像感知、印刷などのためのシートの位置決めが可能になる。
【0051】
図5において、変位制御構成250が、移動する光発出物体252の経路に沿って存在する。構成250は変位制御構成要素の組合せを含む。
【0052】
図5は、構成要素254「0」および構成要素256「(N−1)」を伴う、制御構成要素254から256を示す。
【0053】
制御構成要素260「n1」は、成形された境界262を含み、物体252の変位、例えば速度またはその他の変位速度に影響を与えるかまたは制御する形状を有する経路の周りに部分的にまたは完全に延設される。
【0054】
制御構成要素270「n2」は、双方向の矢印274によって示されるように、経路のセグメントにおいて境界の横方向運動を引き起こす運動デバイス272を含む。デバイス272は、ライン276を通して制御信号を受け取ることができる。変位制御回路は、定常状態でまたは時間的に変動するようにデバイス272を操作することによってトリガ検知回路に応答することができる。
【0055】
図6は、バス404または他の回路を通して構成要素に接続された中央処理装置(CPU)402をもつシステム400を示す。
【0056】
システム400は外部入出力(I/O)構成要素406およびメモリ408を含み、両方ともバス404に接続される。外部I/O406はシステム400の外側のデバイスとの通信を可能にする。
【0057】
IC I/O410は、ICとの、例えばIC(0)412からIC(P−1)414までの一連のP個のICとの通信を可能にする。IC412から414は、光センサアレイ418をもつIC(p)416を含む。デバイスI/O420は、例えば、デバイス(0)422からデバイス(Q−1)424までのQ個の感知および制御デバイスとの通信を可能にする。デバイス422から424は、励起および変位制御構成要素と、さらに流体デバイス、例えば、ポンプ、計測電極、スマートゲート、ゲートおよび分岐用デバイス、バルブ、フローセンサまたは圧力センサなどとを含むことができる。
【0058】
メモリ408はプログラムメモリ430を含み、指示はソフトウェアまたはハードウェアの他の形態で与えることができる。プログラムメモリ430は符号化ルーチン440と、検知、読み出し、および組合せルーチン442と、物体区別ルーチン444とを記憶する。
【0059】
ルーチン440は情報を移動物体から発出する光に符号化する。CPU402はセンサからの信号を受け取り、どの流体操作が必要か決定し、ポンプ、計測電極、ゲート、およびバルブを活性化して物体と他の構成要素との間の相対的運動を生成することができる。CPU402は、さらにトリガ検出デバイスからの信号を受け取り、符号化を行うために励起構成要素、運動デバイスなどに制御信号を与えることができる。
【0060】
ルーチン442は事前感知読み出しを行い、物体情報および感知期間を取得し、感知期間およびアナログ調整で感知読み出しを行い、感知結果をデジタル的に調整し、物体に関する数量を記憶し、物体に関する数量を組み合わせて特性データを生成することができる。
【0061】
ルーチン444はルーチン442からの各物体の未処理データを使用する。図7において、例えば、ボックス470はルーチン440および442を調整して、未処理データ、例えば光感知された数量を取得することができる。
【0062】
ボックス472はボックス470からの未処理データを受け取り、それを使用して物体の特性データを取得する、例えば物体のタイプを示す比較結果を取得する。特性データは、物体がさらなる分析の対象であるかどうかを示すことができる。
【0063】
ボックス480は分岐している。物体が対象のものでない場合、ボックス482はスマートゲートを開くか、さもなければ物体を除去する。対象の物体の場合、ボックス484はスマートゲートを閉じるか、さもなければさらなる分析のため物体を下流に移送する。
【0064】
図8において、分析計500は支持構造体502上にある。構造体502は、物体506が、例えば流体によって搬送される蛇行チャネル504を含む。
【0065】
コールターカウンタ510およびミー散乱センサ512は粒子サイズ検出器である。
【0066】
発出光エンコーダ/光センサ520は、一般に、励起/変位構成要素522、フィルタ構成要素524、および光感知構成要素526を含む。
【0067】
構成要素530、532、および534は、第1および第2の蛍光感知構成要素、ならびにラマン散乱感知構成要素を含む。物体のタイプ間の相違に基づいて、バルブ540は位置間を切り替えることができ、物体506は矢印542によって示されるようにある位置で出て行き、矢印544によって示されるように別の位置で出て行く。
【0068】
図9において、物品600は2つの光透過構成要素を含み、光透過構成要素間の内側領域は2つの主要部分、すなわち流体を含むチャネル部分602と、部分602を囲む非チャネル部分604とを含む。ポート608は、部分602への流体の流入、および部分602からの流体の流出を可能にする。
【0069】
フィルタアセンブリ610は、フィルタ612、614、616、618、および620を含む帯域通過フィルタの長手方向シーケンスを含む。フィルタ612、616、および620は近似的に同じ帯域を有し、一方、フィルタ614および618も近似的に同じ帯域を有し、異なる帯域阻止材料622が開口を与え、光の散乱および反射を防止することができる。
【0070】
図10において、構成要素630および632は部分604の材料によって分離される。構成要素630および632は、それぞれ約0.3mmおよび1.0mm以下の厚さをもつ石英、ガラス、またはアクリルを含むことができ、厚さは数ミリメートルから0.1mm以下になるまでの範囲とすることができる。物体のサイズ、例えば10μmの寸法をもつ生体細胞によってそれらの間の最適距離は約20μmから50μmとすることができる。部分604はフォトレジスト材料、例えばSU−8とすることができ、壁が部分602を囲むことができ、部分604はエポキシ樹脂で充填することができる。
【0071】
物体640は、全反射(TIR)の角度に応じて、発光錐内で上向きに光を発出する。フィルタアセンブリ642は、構成要素630の下部表面上のチャネル部分602に面することができ、フィルタアセンブリ644は、構成要素630の上部表面上の部分602の外側とすることができ、またはフィルタアセンブリ646は構成要素630から離れて、光センサ648に隣接することができる。発光錐は光学構成要素652によってアセンブリ646を通して画像平面650上に結像される。
【0072】
フィルタアセンブリ642の発光錐は、アセンブリ642の表面によって全反射されない入射光の角度の範囲を含む。同様に、フィルタアセンブリ644の発光錐は、発出光が構成要素630とアセンブリ644との間の表面で全反射を受けない角度の範囲によって決定される。フィルタアセンブリ646の発光錐はフィルタアセンブリ644のものと同様であるが、光学要素652の効果によりフィルタアセンブリ646上でより小さい区域を占めることができる。
【0073】
部分602は水(n=1.33)を含むことができ、物体640は直径d=7μmを有し、例えばTリンパ球である。部分602は30μmの高さを有することができ、すなわち、アセンブリ642からの物体の距離は近似的にh=15μmである。構成要素630は、空気(n=1)によって囲まれるアクリル(n=1.48)とすることができる。アセンブリ642がない場合、部分602からの回避角度は48.75°になるはずである。構成要素630の上部表面のTIR角度は42.51°とすることができる。水−アクリル界面での物体640により照明される直径はD=d+2×h×tan(α(回避))=41.2μmとすることができ、ここで、17.1μmがTIRなしで構成要素630を通る最大発光錐半径である。物体640界面を検出するパターンの「最小フィーチャサイズ」(「MFS」)はD、すなわち約40μmとなるであろう。
【0074】
光センサ648が発光錐をより小さくする開口数を有する場合、または光がα(TIR)よりわずかに高い角度で構成要素630を出る場合、MFSはわずかに小さくなることができる。しかし、MFSは、小さすぎる場合、アセンブリ642のフィーチャの両側の周りの発光錐からの光を可能にし、その結果、時間的に変動する信号は物体の変位を不正確に示すことがある。同様のMFSの考察がアセンブリ644および646に当てはまるであろう。10μmの生体細胞では、典型的なMFSは10〜20μmであろう。フィルタアセンブリ幅はチャネル幅に依存することになり、例えば、アセンブリ642は100μm×1.0mmとすることができる。較正は既知の蛍光スペクトルをもつ小さいビードを使用して、測定値を調整するための較正値を得て、既知の強度を得ることができる。
【0075】
図11において、構成要素630は、構成要素630および632に対して約45°で傾斜した表面660を有する。矢印662によって示されたように表面660にほぼ垂直な入射励起光は、矢印664によって示されたようにチャネル部分602を通る光と結合することができる。励起光は、例えば、266nmとすることができる。
【0076】
部分602は右側で開放され、ポート666を設けることができ、または端部表面668で終了する代わりに、表面668に関して対称的に延びることができる。
【0077】
図11において、アセンブリ610内のフィルタは重なり合わないが隣接し、例えば、構成要素630の凹部に統合されるか、または同じ厚さのシャドウもしくは透明材料で囲まれる。フィルタは様々な材料を印刷することによって製作することができ、シャドウまたは透明材料をフィルタの周りに印刷することができる。
【0078】
図11のグラフは、それぞれ色「A」および「B」の発出光に応じた強度を示す。フィルタ612、616、および620は色「A」を通過させ、フィルタ614および618は色「B」を通過させる。
【0079】
曲線672は、物体640が色「A」を発出する場合の強度を示す。曲線672はフィルタ612、616、および620に沿って高いが、フィルタ614および618に沿って低い。
【0080】
曲線674は、物体640が色「B」を発出する場合の強度を示す。曲線674はフィルタ614および618に沿って高く、他の所では低い。
【0081】
フィルタ612、616、および620は赤を通過させ、フィルタ614および618は緑を通過させ、各物体は赤または緑のいずれかの蛍光を発することができる。
【0082】
光センサ670からの信号は、物体のタイプ、例えば色「A」を発出する物体と色「B」を発出する物体を区別することができる。
【0083】
図12において、フィルタアセンブリは光センサ648の感光性表面上にあり、それは、例えば、帯域通過フィルタの長手方向シーケンスにフィルタ612、614、616、618、および620ならびに阻止材料622を印刷するか、さもなければ堆積およびパターニングすることによって製作される。左側では、光センサ648は、図10のフィルタアセンブリ642と同様に、非常に小さいMFSを可能にするチャネル部分602の一方の側でもある。右側では、光センサ648は、チャネル部分602の外側にあり、図10のフィルタアセンブリ644と同様に構成要素630の外面の直上ではなく高さgの小さい間隙だけ構成要素630の外面から隔てられており、その結果、より大きいMFSが必要である。スペーサまたは他の適切な支持構成要素によって保持された、構成要素630と光センサ648との間の間隙は十分に大きいので、光センサ648はチャネル部分602内の反共振導波と干渉しない。
【0084】
吸収フィルタは、3つ以上のそれぞれの色をもつ3つ以上のタイプのフィルタを有することができるか、または反射フィルタと結合することができる。
【0085】
図13のフィルタアセンブリ700では、各ストライプがフィルタ基準を有する。ストライプ702は赤を通過させ、ストライプ704は閉じられ、透過がなく、ストライプ706は開かれ、完全な透過であり、ストライプ708はグレーであり、中間の強度で範囲の端から端まで全ての光子エネルギーを通過させ、ストライプ710は緑を通過させ、ストライプ712は、青と緑の共通部分を通過させ、ストライプ714は青を通過させる。ストライプの幅は不揃いである。
【0086】
図14において、アセンブリ700は、パターン化された光吸収材料を使用して、例えば、層を印刷するかまたは堆積およびパターニングすることによって製作されたフィルタを含む。
【0087】
アセンブリ700は赤の部分720、部分720に重なっている黒の部分722、グレーの部分724、緑の部分726、および部分726に重なっている青の部分728を含む。重なりでは、2つのフィルタが交差し、部分720と722の共通部分は閉じられ、一方、部分726と728の共通部分は緑と青の共通部分を通過させる。
【0088】
3つのグラフは、例えば大面積光センサからの3つの予想される強度信号、すなわち、赤の蛍光の曲線730、緑の蛍光の曲線732、ならびに赤および緑の蛍光の両方でタグ付けされた物体の曲線734を示す。赤、緑、および青だけでなく、区別可能な時間的に変動する信号をもたらす組合せも区別することが可能である。
【0089】
区別された粒子の数は、例えば主成分分析で、様々な色の光感知セルのアレイの要素または個別の光センサの数よりも非常に大きくなることがある。物体は、環境もしくは背景と、または他のタイプの物体と区別することができる。
【0090】
様々な帯域をもつ、干渉に基づいたフィルタを使用することができる。
【0091】
図15のフィルタアセンブリ750では、透明材料の薄い層がファブリーペロー振動を生成し、高い厚さ依存の指標コントラストが得られる。フィルタ752、754、756、758、および760の各々は実質的に一定の厚さを有するが、フィルタ752、756、および760の厚さはフィルタ754および758の厚さよりも大きく、例えば、堆積された層をエッチングするかまたは非固体層をインプリントすることによって製作される。
【0092】
グラフは透過光の強度−エネルギー関数を示し、フィルタ752、756、および760がほぼ同じ厚さを有するので、曲線770、772および、774は同様であり、フィルタ754および758の厚さが同じであるので、曲線778および776は同様である。アセンブリ750を通過する光発出物体は、強度−エネルギー関数の変化によって時間的に変動する信号を生成する。発出光の関連する部分を検出することができる。アセンブリ750はチャネルの1つのカバースライド上に存在することができ、2つの光センサはチャネルの各側に1つある。
【0093】
図16および17では、ファブリーペロー干渉に基づいた帯域通過フィルタは、x方向で変化するフィルタキャビティの光学厚さを有する。領域は、帯域通過ファブリーペローフィルタとして動作し、周期パターンまたは他の適切なパターンにおいて、異なる光子エネルギーに透過ピークがあり、例えば、ある組は約822nmに透過ピークがあり、別の組は約833nmに透過ピークがある。
【0094】
図16のフィルタアセンブリ800は、均質の底部分布ブラッグミラー(DBR)802と、キャビティ804と、上部DBR806とを含む。キャビティ804の光学厚さは2つの厚さの間で変化することによって変更され、すなわち、フィルタ810、812、および814はより大きな厚さを有するが、一方、フィルタ816および818はより小さい厚さを有し、より短い波長を透過する。キャビティ804の厚さの変化は、例えば、層が堆積された後およびDBR806が堆積される前に層をエッチングすることによって、またはキャビティ804の成長中ハーフトーンマスクを使用することによって生成することができる。
【0095】
図17のフィルタアセンブリ820は、下部DBR822、キャビティ824、および上部DBR826を含み、各々はほぼ均一な厚さをもつが、キャビティ824はx方向で変化する光学厚さを有する。領域830、832、および834は、異なる屈折率のために領域836および838と異なる光子エネルギーを透過する。注入もしくはイオン拡散、注入により引き起こされる多量子井戸構造の混合、または紫外光により引き起こされる屈折率の変化により、屈折率を変更できる。
【0096】
図18において、フィルタ構成要素860は透明材料のくさび形層またはファブリーペローフィルタを含み、その上部表面にフィルタアセンブリ864、866、および868が形成される。各フィルタアセンブリの時間的に変動する効果に加えて、追加のスペクトル情報が符号化発出光に含まれる。
【0097】
対照的に、図19〜21は、層流が非均一な変位を生成できるか、または他の方法で変更され得る例を示す。
【0098】
図19において、壁様の部分870および872は、それらの間で直線的に減少する距離を有する。物体640は、フィルタ要素612、614、616、618、および620をもつ2色フィルタアセンブリ610に沿って通過するとき、周期速度が曲線874によって示されるように直線的に増加する。結果として生じる時間的に変動する信号はチャープ化され、すなわち、周期が直線的に減少する。曲線876は結果として生じるチャープ信号を示し、それは、強度I(A)と強度I(B)との間で変化し、各連続する領域の期間は前の領域よりも短い。移行時間の直線的な減少は曲線876では誇張されている。
【0099】
一般に、チャネルの形状は、フィルタ要素のシーケンスを通り過ぎた所で、周期、チャープ、またはランダムなどの確定された方法で物体の流れを誘導することができる。十分に確定されたフィルタアセンブリでより急激または迅速な信号移行を得るために、壁を形成するかまたは移動することができ、帯電した物体は電場変動などによって誘導し直すことができる。
【0100】
図20において、壁様の部分880および882は平行であるが、正弦波のように形成され、その結果、正弦波の流れパターンがもたらされる。フィルタ要素884および886は、異なる色「A」および「B」の均質のものである。物体640は正弦波の経路888に従うので、それは、要素884と要素886との間を、それらの間の小さい間隙を通って移動する。曲線890および892は経路888に沿って移動する物体からの時間的に変動する信号を示し、曲線890はAと同様であるがBと異なるスペクトルをもつ物体に対するものであり、曲線892はBと同様であるがAと異なるスペクトルをもつ物体に対するものである。経路888がストライプ894を横断している間、各曲線はほぼ0になる。
【0101】
図21において、2つの壁様の部分900および902は直線で平行であり、それらの間にフィルタ要素904および906がある。運動デバイス908は、双方向矢印910によって示されるように、物体640とストライプ様要素904および906との間に相対運動を生成する。制御回路912は任意の適切なパターンで制御し、任意の時間的に変動する信号をもたらす。代わりに、要素904および906が移動することができ、すなわち壁900および902と他方の要素904および906との間の相対的運動の任意の組合せを生成することができる。運動デバイス908はトリガ信号に応じて変動を生成することができる。
【0102】
曲線914は、要素904「バンドA」と要素906「バンドB」との間の物体640の移動を示す。物体640は各領域で時間の異なる長さ、例えばランダム量の時間を過ごし、その結果、ランダムな励振パターンがもたらされる。曲線916および918は時間的に変動する信号を示し、一方は曲線916によって示された色Aにより類似するスペクトルを有し、他方は曲線918によって示された色Bに類似するスペクトルを有する。要素904と要素906との間で、物体は阻止材料のストライプ919を通過し、発出光は短い間中断される。
【0103】
図22〜24において、フィルタアセンブリはチャネル920の両側にある。検出器922は、チャネル920の手前側に1つのフィルタアセンブリを含み、検出器924は、向こう側に別のものを含む。図23および24において、検出器922はy方向に周期性をもつ周期フィルタアセンブリを含み、検出器924はx方向に長手方向シーケンスをもつランダムな2色フィルタアセンブリを含む。検出器922からの感知結果はy方向で変調され、検出器924からの感知結果はx方向で変調される。
【0104】
検出器922は、光センサ926の感光性表面に、y方向に周期的なフィルタ927、例えば、赤色帯域通過フィルタまたは任意の他のタイプを含むことができる。検出器924は、光センサ928の感光性表面に、フィルタアセンブリ610を含むことができる。
【0105】
別のタイプのテンプレート層がチャネル920の一方の側にあり、所望の信号を与え、周期マスク層が他方の側で周期信号を与えることができ、周期信号を絶えず分析して物体の変位を取得し、それを使用してテンプレート信号との相関のために適切な時間スケールを決定することができ、または、チャネル920の一方の側で蛍光からの発出光を光感知し、他方の側で散乱による発出光を光感知することができる。
【0106】
組合せフィルタアセンブリからの時間的に変動する信号は、例えば、テンプレート層および周期層を含むフィルタの径方向シーケンスまたは「スタック」からの2つの異なる空間的に変化するパターンを有することができる。
【0107】
図25および26において、単一のフィルタアセンブリ中の反射グレースケールフィルタはフィルタの径方向シーケンスまたはスタックと等価である。フィルタ層の厚さのデフィニションはソフトウェアを使用して重ねることができ、付加することができ、その結果、例えば0、0.5、および1の厚さになり、層は、同じ方向に、または異なる方向に、例えば垂直に変動を有することができ、または、フィルタの光学フィーチャのデフィニションを重ねて所望の等価物の光学フィーチャのデフィニションを得ることができ、それは、各領域が光学厚さまたは他の特性を有するレイアウトタイプの記述に変換することができる。
【0108】
一般に、フィルタの重畳は交換可能であり、すなわち、結果として生じる透過または反射関数は、フィルタが重畳されている順序にかかわらず同じである。例えば、フィルタフィーチャのアライメントまたは他の関係がフィルタの順序に応じて様々な情報の損失をもたらす場合、例外が生じることがある。
【0109】
等価フィルタのデフィニションに近い等価フィルタを構成するために、高反射材料がフィルタアセンブリ全体の上に堆積され、厚さ0または0.5をもつ領域に部分的にエッチング除去され、その後、残りの反射材料を0の厚さをもつ領域にエッチング除去することができる。部分エッチングが信頼性の低い場合、厚さ0.5の最初のパターン化層を生成し、次にエッチングなしでパターン化される厚さ0.5の第2のパターン層を生成することができる。同様の技法により、透過/反射を変化させるDBRおよび/または厚さおよび屈折率変化の適切な組合せから光学厚さを変化させるキャビティをもつ構造を生成することができる。
【0110】
図25のフィルタ930は、重畳されたランダムフィルタと周期フィルタの組合せと等価である。曲線932はランダムフィルタを示し、曲線934は周期フィルタを示す。曲線936は、変位および位置情報の両方を発出光に符号化することができる透過関数を示し、時間スケーリングは情報を抽出することができる。
【0111】
厚さレベルの振幅を例えば0、0.2、および0.4までスケーリングすることによって全光出力を変更することができ、それによってより大きい光透過が可能になることを破線938は示唆する。
【0112】
図26のフィルタアセンブリ940は、曲線942によって示されたチャープフィルタと曲線944によって示された周期フィルタの組合せと等価であり、それは、異なる速度にもかかわらず変位および位置の情報のより効率的な抽出を可能にできる。曲線946は透過関数を示し、それは情報抽出を可能にする。
【0113】
図27において、長手方向フィルタシーケンス、例えばランダム帯域通過フィルタ構成は、反射グレースケールフィルタ構成、例えば周期グレースケールフィルタと組み合わされる。フィルタ構成950は、長手方向シーケンスをもつフィルタサブアセンブリ952を含む。その上部表面に、各々が中間の透過レベルを有する領域954をもつ周期フィルタサブアセンブリがある。フィルタアセンブリ950は異なる色に対して区別可能な時間的に変動する信号を与え、時間スケーリングを可能にする。
【0114】
図28は、例えば、タイプ、位置、またはスペクトル差を抽出し、物体を区別する方法を示す。
【0115】
ボックス970は符号化された時間的に変動する信号を、例えば、光センサ構成から取得する。
【0116】
ボックス972は、ボックス970からの信号、例えば、2つの符号化された信号、または1つの符号化された信号と各々を相関させるか、さもなければ比較する。
【0117】
ボックス974において、上の曲線はアライメントtで類似の波形を相関することに由来し、下の曲線は、波形がアライメントt’で非相関される、すなわち相違する場合に生じる。上方のピークは振幅Aを有し、逆のピークは同様の振幅を有する。
【0118】
ボックス980は、ボックス972からの各結果の時間微分d/dtを取得し、相関される場合、正のピークとそれに続く負のピークをもち、tでゼロを横切り、コントラストまたは差異の量が振幅Aであるボックス982におけるような曲線を取得し、非相関される場合、負のピークとそれに続く正のピークをもち、t’でゼロを横切り、コントラストまたは差異の量がボックス974の逆転されたピーク振幅の振幅A’であるボックス984の曲線を取得する。
【0119】
ボックス986はボックス980からの微分を使用して、例えば、相関、非相関、またはどちらでもないかに基づいてタイプを、ゼロを横切る時間に基づいて位置を、相関および非相関からの正ピークと負のピークとの間の振幅またはコントラストに基づいて発光、吸収または散乱スペクトルの差を抽出する。次に、ボックス988はボックス986からの情報を使用して、物体を区別することができる。
【0120】
相関は、一般に、交流電源周波数などの雑音に敏感でない。
【0121】
この技法の成功した実証には全血中のCD4をカウントすることが含まれ、単一のタグ検出が可能であった。
【0122】
シミュレーション結果は、1.0μm未満の空間分解能が可能であり、単一の蛍光マーカーを検出できることを示している。
【符号の説明】
【0123】
10 物体、12 一続きの物体、14,16 物体、20 フィルタ構成、22 矢印、30 フィルタ構成要素、32 フィルタアセンブリ、34,36 位置、40 フィルタ構成要素、42 ボックス、50,52 セグメント、54,56,58 矢印、60、62 セグメント、64,66,68 矢印、70,72 ボックス、100 システム、102 符号化構成要素、104 光感知構成要素、106 処理構成要素、110 物体、112,114,116,120 矢印、122 ボックス、130 矢印、150 励起構成、152 物体、154,156 構成要素、160,162,164 矢印、170 励起構成要素、171 干渉光源、172,174 矢印、176,178 領域、180 励起構成要素、182 構造化光源、184 矢印、186 空間パターン、188 領域、190 ライン、200 フィルタ構成、202 光発出物体、204,206 フィルタアセンブリ、208 ボックス、210 アセンブリ、212、214 矢印、216,218 フィルタ、220 アセンブリ、222,224 矢印、226,228 フィルタ、250 変位制御構成、252 光発出物体、254、256 構成要素、260 制御構成要素、262 境界、270 制御構成要素、272 運動デバイス、274 矢印、276 ライン、400 システム、402 中央処理装置、404 バス、406 外部入出力(I/O)構成要素、408 メモリ、410 IC I/O、412,414 IC、416 IC(p)、418 光センサアレイ、420 デバイスI/O、422 デバイス(0)、424 デバイス(Q−1)、430 プログラムメモリ、440 符号化ルーチン、442 組合せルーチン、444 物体区別ルーチン、470,472,480,482,484 ボックス、500 分析計、502 支持構造体、504 蛇行チャネル、506 物体、510 コールターカウンタ、512 ミー散乱センサ、520 発出光エンコーダ/光センサ、522 励起/変位構成要素、524 フィルタ構成要素、526 光感知構成要、530、532、534 構成要素、540 バルブ、542,544 矢印、600 物品、602 チャネル部分、604 非チャネル部分、608 ポート、610 フィルタアセンブリ、612,614,616,618,620 フィルタ、622 帯域阻止材料、630,632 構成要素、640 物体、642,644,646 フィルタアセンブリ、648 光センサ、650 画像平面、652 光学構成要素、660 傾斜した表面、662、664 矢印、666 ポート、668 端部表面、670 光センサ、672、674 曲線、700 フィルタアセンブリ、702,704,706,708,710,712,714 ストライプ、720 赤の部分、722 黒の部分、724 グレーの部分、726 緑の部分、728 青の部分、730,732,734 曲線、750 フィルタアセンブリ、752,754,756,758,760 フィルタ、770,772,774,776,778 曲線、800 フィルタアセンブリ、802 底部分布ブラッグミラー(DBR)、804 キャビティ、806 上部DBR、810、812,814,816,818 フィルタ、820 フィルタアセンブリ、822 下部DBR、824 キャビティ、826 上部DBR、830,832,834,836,838 領域、860 フィルタ構成要素、864,866,868 フィルタアセンブリ、870、872 壁様の部分、874、876 曲線、880,882 壁様の部分、884、886 フィルタ要素、888 正弦波の経路、890,892 曲線、894 ストライプ、900,902 壁様の部分、904,906 フィルタ要素、908 運動デバイス、910 双方向矢印、912 制御回路、914,916,918 曲線、919 ストライプ、920 チャネル、922,924 検出器、926 光センサ、927 周期的なフィルタ、928 光センサ、930 フィルタ、932,934,936 曲線、938 破線、940 フィルタアセンブリ、942,944,946 曲線、950 フィルタ構成、952 フィルタサブアセンブリ、954 領域、970、972,974,980,982,984,986,988 ボックス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタ構成を使用する方法であって、
物体が前記フィルタ構成を通り過ぎる経路に沿って移動し、光子エネルギーの適用範囲内の光を発出する間、前記発出光の少なくともいくらかが前記フィルタ構成を透過/反射し、
前記フィルタ構成によって前記発出光の少なくともいくらかを透過/反射する動作は、
前記物体が前記経路の2つ以上のセグメントの各々の中にある間、前記発出光の各部分が前記フィルタ構成内のフィルタアセンブリの対応する位置を透過/反射し、前記セグメントの少なくとも2つの間で前記発出光に時間変化が生じるように前記対応する位置の各々が前記範囲内のそれぞれの透過関数を有する、
及び、
前記物体が前記経路の一連のセグメントの各々の中にある間、前記発出光の各部分が前記フィルタ構成内のフィルタ構成要素を透過/反射し、前記範囲内で、前記フィルタ構成要素が2つ以上の単純な透過関数が重畳されている組の組合せ透過関数を有し、前記組が第1および第2の単純な非均一透過関数を含み、前記第1および第2の単純な非均一透過関数の重畳によって前記発出光に時間変化が生じるように前記組が重畳される、
のうちの少なくとも一方を
含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
物体が装置の動作中にそれぞれの経路に沿って移動することができるチャネルを含む流体構造と、
前記チャネル中の物体から発出する光を受け取ることができるフィルタ構成を含む符号化構成要素であって、光子エネルギーの適用範囲内にあり、前記チャネルを通って移動する物体から発出し、前記フィルタ構成を通り過ぎる入力光に応じて、前記フィルタ構成が出力光を与え、
前記フィルタ構成が、
各々が前記範囲内でそれぞれの透過関数を有する位置の組を含むフィルタアセンブリであって、前記組の各位置が物体から発出する光を受け取るように前記物体の経路のセグメントのシーケンスが少なくとも2つのセグメントを含み、前記各位置の少なくとも2つの透過関数が互いに十分に異なるので、前記物体が前記セグメントのシーケンスを通って移動する間に時間変化が出力光に生じるものである、
及び、
物体の経路のセグメントから入力光を受け取り、前記範囲内で、2つ以上の単純な透過関数が重畳されている組合せ透過関数の組を有するフィルタ構成要素であって、前記組が第1および第2の単純な非均一透過関数を含み、前記物体が前記セグメントを通って移動する間に、前記第1および第2の単純な非均一透過関数の重畳によって前記出力光に時間変化が生じるように前記組が重畳されるフィルタ構成要素と
のうちの少なくとも一方を含む符号化構成要素を備えることを特徴とする装置。
【請求項3】
光センサを使用する方法であって、
前記光センサを通り過ぎる経路に沿って光発出物体が移動する間、感知結果を得るために前記物体の発出光を光感知するステップと、
前記物体に関する情報を得るために前記感知結果を使用するステップと、
を含み、
前記発出光が前記物体の発光スペクトルに関するスペクトル情報を示す時間変化を有し、前記感知結果が1つ以上の感知された時間的に変動する波形を示し、
前記感知結果を使用する動作が、
比較結果を得るために時間的に変動する波形の組において比較操作を行うステップであって、前記組のうちの少なくとも1つが感知された時間的に変動する波形であるステップと
前記物体に関する前記スペクトル情報を示すデータを得るために前記比較結果を使用するステップと
を含むことを特徴とする方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate


【公開番号】特開2009−180727(P2009−180727A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19131(P2009−19131)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(502096543)パロ・アルト・リサーチ・センター・インコーポレーテッド (393)
【氏名又は名称原語表記】Palo Alto Research Center Incorporated
【Fターム(参考)】