説明

最適化された信頼性を有する自己参照MRAMセル

【課題】MRAMセルに比べてより高い温度で確実に書き込まれ得る熱アシストされた書き込み操作と自己参照読み出し操作とに適した磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)セルを提供する。
【解決手段】メモリセルは、第1部分2’と第2部分2”とを有する磁気トンネル接合部分から構成され、各部分が、記憶層23,24とセンス層21,22とトンネル障壁層25,26とから構成され、この磁気トンネル接合が、当該2つの記憶層との間に反強磁性層20をさらに有し、これらの記憶層の各々の記憶磁化方向を臨界温度未満でピン止めし、これらの記憶磁化方向を臨界温度以上で自由にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明は、従来のMRAMセルに比べてより高い温度で確実に書き込まれ得る熱アシストされた書き込み操作と自己参照読み出し操作とに適した磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)セルに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
一般に、いわゆる自己参照読み出し操作を使用する磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)セルは、第1安定方向から第2安定方向に変更され得る磁化方向を呈する磁気記憶層と、薄い絶縁層と、可逆な磁化方向を呈するセンス層とから形成された磁気トンネル接合を有する。自己参照MRAMセルは、書き込み読み出し操作を低い電力消費と向上された速度とで実施可能にする。当該自己参照読み出し操作は、同出願人によるヨーロッパ特許出願公開第2276034号明細書中に記されている。一般に、当該自己参照読み出し操作は、二重サンプリングとして構成される。この場合、センス層の磁化方向が、第1磁化方向と第2磁化方向とに合わせられ、磁気トンネル接合の当該それぞれの抵抗が、各方向に対して測定される。
【0003】
自己参照MRAMセルは、ユーザー権限若しくはセキュリティ用の、又は、ハイパフォーマンス・データスイッチ、ファイヤーウォール、ブリッジ及びルーターのためのパケット・バイ・パケット・ベースに関する暗号情報を含むセキュリティアプリケーション用の、MRAMに基づいた不揮発性の連想メモリセルで有益に使用され得る。自己参照MRAMセルは、減少された歩留りで機能メモリを製作するためにも高温アプリケーションのためにも有益である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ヨーロッパ特許第2276034号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高温アプリケーションの場合には、MRAMセルを高温に加熱するため、電流パルスが、磁気トンネル接合に通電される。この電流パルスは、薄い絶縁層を相当な電気応力に曝しやすい。磁気トンネル接合にわたって印加された電圧が、当該絶縁層の破壊電圧に達しうるか又はこの破壊電圧を超えうる。当該絶縁層にわたって印加された電圧が、その破壊電圧より低いときでも、電流パルスに関連された電気応力が、長期間に、特に何回もの電圧サイクル後に、例えば複数の書き込みサイクル中に相当な老化効果をもたらしうる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
本発明は、熱アシスト(TA)された書き込み操作と自己参照読み出し操作とに適した磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)セルに関する。当該磁気ランダムアクセスメモリセルは、磁気トンネル接合部分から構成される。この磁気トンネル接合部分は、第1部分と第2部分とを有する。この第1部分は、第1記憶磁化方向を呈する第1記憶層と、第1自由磁化方向を呈する第1センス層と、この第1記憶層とこの第1センス層との間の第1トンネル障壁層とから構成される。この第2部分は、第2記憶磁化方向を呈する第2記憶層と、第2自由磁化方向を呈する第2センス層と、この第2記憶層とこの第2センス層との間の第2トンネル障壁層とから構成される。この磁気トンネル接合部分は、この第1記憶層とこの第2記憶層との間に構成された反強磁性層をさらに有し、低温閾値でこの第1記憶磁化方向とこの第2記憶磁化方向とをピン止めし、高温閾値でこの第1記憶磁化方向とこの第2記憶磁化方向とを自由にする。この場合、書き込み操作中は、書き込み磁界が印加されるときに、第1自由磁化方向及び第2自由磁化方向が、この書き込み磁界の方向に応じて磁気飽和可能である。この場合、第1記憶磁化方向と第2記憶磁化方向とが、一方向にほぼ平行にあり且つ飽和した第1自由磁化方向及び第2自由磁化方向に一致して切り替え可能である。
【0007】
一実施の形態では、第1磁気トンネル接合部分が、第2磁気トンネル接合部分の第2抵抗面積にほぼ等しい第1抵抗面積を有するように、MRAMセルがさらに構成され得る結果、このRAMセルの磁気抵抗比が、書き込み操作中にほとんど変更されないままである。
【0008】
さらに、本発明は、熱アシストされた書き込み操作を使用してMRAMセルに書き込むための方法に関する。当該方法は:
磁気トンネル接合を高温閾値で加熱し、
第1記憶磁化方向及び第2記憶磁化方向を切り替え、
この第1記憶磁化方向及びこの第2記憶磁化方向を当該書き込み状態に固定するため、MRAMセルを臨界温度未満に冷却することから成る。この場合、第1記憶磁化方向と第2記憶磁化方向とが、ほぼ同時に一方向に互いにほぼ平行に切り替えられる。当該切り替えは、書き込み磁界の方向にしたがって第1自由磁化方向及び第2自由磁化方向を磁気飽和させるように、この書き込み磁界を印加することから成り、第1記憶磁化方向と第2記憶磁化方向とが、ほぼ同時に一方向に互いにほぼ平行に切り替えられ得る。
【発明の効果】
【0009】
第1トンネル障壁層と第2トンネル障壁層とから構成されている磁気トンネル接合を有する開示されたMRAMセルの構成は、当該磁気トンネル接合が高温閾値に加熱されるときに、ただ1つの障壁層を有する磁気トンネル接合に比べて、この第1トンネル障壁層とこの第2トンネル障壁層とに印加される電圧を下げることを可能にする。したがって、当該開示されたMRAMセルの磁気トンネル接合は、これらのトンネル障壁層の絶縁破壊及び老化の危険を最小限にしつつ効果的に加熱され得る。
可能な実施の形態の詳細な説明
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施の形態による磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)セル1を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
可能な実施の形態の詳細な説明
本発明は、一実施の形態による磁気ランダムアクセスメモリを示す例によって与えられ且つ図1によって示された一実施の形態の説明を用いてより良好に理解される。
【0012】
図1は、一実施の形態によるランダムアクセスメモリ(MRAM)セル1を示す。このMRAMセル1は、第1記憶磁化方向231を呈する第1記憶層23と、第1自由磁化方向211を呈する第1センス層21と、この第1記憶層23とこの第1センス層21との間の第1トンネル障壁層25とを有する第1部分2′を備える磁気トンネル接合2から構成される。さらにこの磁気トンネル接合2は、第2記憶磁化方向232を呈する第2記憶層24と、第2自由磁化方向212を呈する第2センス層22と、この第2記憶層24とこの第2センス層22との間の第2トンネル障壁層26とを有する第2部分2″を備える。さらにこの磁気トンネル接合2は、この第1記憶層23とこの第2記憶層24との間に構成され、この反強磁性層20の臨界温度より低い低温閾値でこの第1記憶磁化方向231とこの第2記憶磁化方向232とをピン止めし、この臨界温度以上の高温閾値でこの第1記憶磁化方向231とこの第2記憶磁化方向232とを自由にする反強磁性層20を有する。
【0013】
一実施の形態では、MRAMセル1の熱アシスト(TA)された書き込み操作が:
磁気トンネル2を高温閾値まで加熱し、
第1記憶磁化方向231と第2記憶磁化方向232とを切り替え、
この第1記憶磁化方向231とこの第2記憶磁化方向232とをこれらの磁化方向の書き込み状態中に固定するため、この磁気トンネル接合2を低温閾値で冷却するステップから成り得る。
【0014】
第1記憶層23と第2記憶層24とが反強磁性層20の各側に対称に配置されている磁気トンエル接合2の構成は、第2記憶磁化方向232に対してほぼ同時に且つほぼ平行な方向に第1記憶磁化方向321を切り替える。
【0015】
一実施の形態では、MRAMセル1が、磁気トンネル接合2とやりとりする界磁線5をさらに有する。この界磁線5が、この界磁線5とほぼ垂直にある方向に沿って第1記憶磁化方向231と第2記憶磁化方向232とを切り替えできる書き込み磁界52を発生させるために適合された界磁電流51を通電するために配置されている。MRAMセル1を加熱することが、磁気トンネル接合2に電気接続している電流線4を通じてこの磁気トンネル接合2中に加熱電流31を通電することによって実施され得る(図1参照)。この代わりに、この電流線4は、書き込み磁界52を発生するように意図された界磁電流51を通電するために使用されてもよい。磁気トンネル接合2が、低温閾値まで冷却されると、第1記憶磁化方向231が、書き込み磁界52の方向にしたがって切り換えられた方向にピン止めされる、つまり書き込まれた方向にピン止めされる。
【0016】
磁気異方性を界磁線5とほぼ垂直にある方向に配向させるように、第1記憶層23と第2記憶層24とが構成されている結果、第1記憶磁化方向231と第2記憶磁化方向232とが、書き込み磁界52を印加することによってほぼ同時に且つほぼ同じ方向に切り替えられる。
【0017】
別の実施の形態では、第1記憶磁化方向231と第2記憶磁化方向232とを切り替えることが、書き込み磁界52の方向にしたがって第1自由磁化方向211を一方向に飽和させる大きさを有するこの書き込み磁界52を印加することによって実施される。同様に、 第1記憶磁化方向231を飽和された第1自由磁化方向211の方向に配向させるように、当該飽和された第1自由磁化方向211が、第1記憶磁化方向231に閉じられた磁束構造で電磁結合する第1漂遊局所磁界60を誘導する。この書き込み磁界52は、第2自由磁化方向212をこの書き込み磁界52の方向に飽和させるようにも配置されている。第2記憶磁化方向232を飽和された第2自由磁化方向212の方向に配向させるように、 当該飽和された第2自由磁化方向212が、この第2自由磁化方向212を第2記憶磁化方向232に閉じられた磁束構造で電磁結合する第2漂遊局所磁界61を誘導する。第1漂遊局所磁界60及び第2漂遊局所磁界61の双方が、同じ方向に配向されるので、この第1漂遊局所磁界60が、第2記憶磁化方向232も飽和された第1自由磁化方向211の方向に配向させ、この第2漂遊局所磁界61が、第1記憶磁化方向231を飽和された第2自由磁化方向212の方向に配向させる。すなわち、第1記憶磁化方向231と第2記憶磁化方向232とが、第1漂遊局所磁界60と第2漂遊局所磁界61との和に一致する正味の漂遊磁界にしたがって切り替えられる。
【0018】
第1自由磁化方向211及び第2自由磁化方向212、すなわち第1漂遊局所磁界60及び第2漂遊局所磁界61の大きさが、第1センス層21及び第2センス層22の厚さを変えることによって変更され得る。一実施の形態では、第1センス層21及び第2センス層22の厚さは、第1自由磁化方向211と第2自由磁化方向212との各々が第1記憶磁化方向231と第2記憶磁化方向232との和より大きいような厚さである。好ましくは、好ましくは、第1センス層21の厚さは、当該自由磁化層211,212を飽和させるために要求される書き込み磁界52の大きさが約80エルステッド未満であり得るような厚さである。第1漂遊局所磁界60及び第2漂遊局所磁界61の大きさは、大きい自発磁化を呈する材料を有する当該センス層21,22を提供することによってさらに増大され得る。さらに、当該自由磁化方向211,212を飽和させるために要求される書き込み磁界52の大きさが、小さい異方性を呈する当該センス層21,22を提供することによってさらに減少され得る。
【0019】
第1記憶層23と第1センス層21との間の距離並びに第2記憶層24と第2センス層22との間の距離が小さく、一般にナノメートルのレンジ内にあるので、第1記憶磁化方向231及び第2記憶磁化方向232は、界磁線5(又は電流線4)によって生成された書き込み磁界52に電磁結合されるよりも、第1自由磁化方向211及び第2自由磁化方向212に電磁結合されるほうがより効果的に電磁結合される。
【0020】
別の実施の形態では、MRAMセル1を読み出すための自己参照方法が:
第1自由磁化方向211及び第2自由磁化方向212を第1読み出し方向に調整し、
第1接合抵抗値Rを測定し、
この第1自由磁化方向211及びこの第2自由磁化方向212を第2読み出し方向に調整し、
第2接合抵抗値Rを測定することから成る。
【0021】
一実施の形態では、第1自由磁化方向211及び第2自由磁化方向212を第1読み出し方向に調整することが、界磁線5中に第1極性を有する読み出し界磁電流53を通電することによって第1方向を呈する読み出し磁界54を印加することから成る。第1自由磁化方向211及び第2自由磁化方向212を第2読み出し方向に調整することが、界磁線5中に第2極性を有する読み出し界磁電流53を通電することによって第2方向を呈する読み出し磁界54を印加することから成る。磁気異方性を界磁線5とほぼ垂直にある方向に配向させるように、第1センス層21と第2センス層22とが構成されている結果、読み出し磁界54を第1自由磁化方向と第2自由磁化方向とのそれぞれ印加するときに、この第1自由磁化方向211とこの第2自由磁化方向212とが、ほぼ同時に且つほぼ同じ第1自由磁化方向と第2自由磁化方向とに調整される。第1接合抵抗値Rと第2接合抵抗値Rとを測定することが、電流線4を通じて磁気トンネル接合2中に読み出し電流32を通電することによって実施され得る。
【0022】
磁気トンネル接合2の第1部分2′が、磁気トンネル接合2の第2部分2″の第2抵抗面積RAにほぼ等しい第1抵抗面積RAを有するように、MRAMセル1がさらに構成されている。書き込み操作中は、第1記憶磁化方向231が、第2記憶磁化方向232に対してほぼ平行に切り替えられるので、MRAMセル1の磁気抵抗比MRが、この書き込み操作によってほとんど変更されないままである。ここでは、当該磁気抵抗比MRは:

MR=(R−R)/R (方程式1)

によって定義される。
【0023】
この場合、Rは、第1自由磁化方向211と第2自由磁化方向212とが第1記憶磁化方向231と第2記憶磁化方向232とに対してほぼ平行に調整されているときに測定された磁気トンネル接合2の低い抵抗であり、Rは、第1自由磁化方向211と第2自由磁化方向212とが第1記憶磁化方向231と第2記憶磁化方向232とに対してほぼ反平行に調整されているときに測定された磁気トンネル接合2の高い抵抗である。
【0024】
一実施の形態では、第1トンネル障壁層25及び第2トンネル障壁層26が、Al又はMgOから成る。この第1トンネル障壁層25とこの第2トンネル障壁層26とは、ほぼ同じ厚さを有してもよい。第1センス層21と第2センス層22とも、ほぼ同じ厚さを有してもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 磁気ランダムアクセスメモリセル
2 磁気トンネル接合
2′ 第1部分
2″ 第2部分
20 反強磁性層
21 第1センス層
22 第2センス層
23 第1記憶層
24 第2記憶層
25 第1トンネル障壁層
26 第2トンネル障壁層
211 第1自由磁化方向
212 第2自由磁化方向
231 第1記憶磁化方向
232 第2記憶磁化方向
24 第1反強磁性層
31 加熱電流
32 読み出し電流
4 電流線
5 界磁線
51 書き込み電流
52 書き込み磁界
53 読み出し界磁電流
54 読み出し磁界
60 第1漂遊局所磁界
61 第2漂遊局所磁界
MR 磁気抵抗比
低い抵抗
高い抵抗
RA 第1抵抗面積
RA 第2抵抗面積

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱アシストされた書き込み操作と自己参照読み出し操作とに適し、或る磁気抵抗比を有する磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)セルにおいて、
前記磁気ランダムアクセスメモリセルが、磁気トンネル接合部分を有し、
この磁気トンネル接合部分が、第1部分と第2部分とを有し、
この第1部分が、第1記憶磁化方向を呈する第1記憶層と、第1自由磁化方向を呈する第1センス層と、この第1記憶層とこの第1センス層との間の第1トンネル障壁層とから構成され、
前記第2部分が、第2記憶磁化方向を呈する第2記憶層と、第2自由磁化方向を呈する第2センス層と、この第2記憶層とこの第2センス層との間の第2トンネル障壁層とから構成され、
前記磁気トンネル接合部分が、前記第1記憶層と前記第2記憶層との間に構成された反強磁性層をさらに有し、低温閾値で前記第1記憶磁化方向と前記第2記憶磁化方向とをピン止めし、高温閾値でこの第1記憶磁化方向とこの第2記憶磁化方向とを自由にし、
書き込み操作中は、書き込み磁界が印加されるときに、前記第1自由磁化方向及び前記第2自由磁化方向が、この書き込み磁界の方向に応じて磁気飽和可能であり、
前記第1記憶磁化方向と前記第2記憶磁化方向とが、一方向にほぼ平行にあり且つ飽和した前記第1自由磁化方向及び前記第2自由磁化方向に一致して切り替え可能である当該磁気ランダムアクセスメモリセル。
【請求項2】
前記第1自由磁化方向と前記第2自由磁化方向とが、読み出し操作中にほぼ同時に且つ一方向にほぼ平行に調整されるように、前記磁気ランダムアクセスメモリセルが構成れている請求項1に記載の磁気ランダムアクセスメモリセル。
【請求項3】
前記第1磁気トンネル接合部分が、前記第2磁気トンネル接合部分の第2抵抗面積にほぼ等しい第1抵抗面積を有するように、前記磁気ランダムアクセスメモリセルがさらに構成されている結果、この磁気ランダムアクセスメモリセルの前記磁気抵抗比が、前記書き込み操作中にほとんど変更されないままである請求項1に記載の磁気ランダムアクセスメモリセル。
【請求項4】
前記第1トンネル障壁層及び前記第2トンネル障壁層は、Al又はMgOから成る請求項1に記載の磁気ランダムアクセスメモリセル。
【請求項5】
前記第1トンネル障壁層及び前記第2トンネル障壁層は、ほぼ同じ厚さを有する請求項1に記載の磁気ランダムアクセスメモリセル。
【請求項6】
或る磁気抵抗比を有し且つ磁気トンネル接合部分から構成されている磁気ランダムアクセスメモリセルに書き込むための方法において、
前記磁気ランダムアクセスメモリセルが、磁気トンネル接合部分を有し、
この磁気トンネル接合部分が、第1部分と第2部分とを有し、
この第1部分が、第1記憶磁化方向を呈する第1記憶層と、第1自由磁化方向を呈する第1センス層と、この第1記憶層とこの第1センス層との間の第1トンネル障壁層とから構成され、
前記第2部分が、第2記憶磁化方向を呈する第2記憶層と、第2自由磁化方向を呈する第2センス層と、この第2記憶層とこの第2センス層との間の第2トンネル障壁層とから構成され、
前記磁気トンネル接合部分が、前記第1記憶層と前記第2記憶層との間に構成された反強磁性層をさらに有し、低温閾値で前記第1記憶磁化方向と前記第2記憶磁化方向とをピン止めし、高温閾値でこの第1記憶磁化方向とこの第2記憶磁化方向とを自由にし、
書き込み操作中は、書き込み磁界が印加されるときに、前記第1自由磁化方向及び前記第2自由磁化方向が、この書き込み磁界の方向に応じて磁気飽和可能であり、
前記第1記憶磁化方向と前記第2記憶磁化方向とが、一方向にほぼ平行にあり且つ飽和した前記第1自由磁化方向及び前記第2自由磁化方向に一致して切り替え可能であり、
当該方法は、前記磁気トンネル接合を高温閾値で加熱し、前記第1記憶磁化方向及び前記第2記憶磁化方向を切り替え、この第1記憶磁化方向及びこの第2記憶磁化方向を当該書き込み状態に固定するため、前記磁気ランダムアクセスメモリセルを前記低温閾値に冷却することから成り、
当該切り替えが、前記書き込み磁界の方向にしたがって前記第1自由磁化方向及び前記第2自由磁化方向を磁気飽和させるように、この書き込み磁界を印加することから成り、
前記第1記憶磁化方向と前記第2記憶磁化方向とが、ほぼ同時に一方向に互いにほぼ平行に切り替えられる当該書き込むための方法。
【請求項7】
前記磁気ランダムアクセスメモリセルは、前記第1磁気トンネル接合部分及び前記第2磁気トンネル接合とやりとりする界磁線をさらに有し、
前記第1記憶磁化方向と前記第2記憶磁化方向との当該切り替えが、界磁電流を前記界磁線に通電することで発生された磁界によって実施される請求項6に記載の書き込むための方法。
【請求項8】
或る磁気抵抗比を有し且つ磁気トンネル接合部分から構成されている磁気ランダムアクセスメモリセルを読み出すための方法において、
前記磁気ランダムアクセスメモリセルが、磁気トンネル接合部分を有し、
この磁気トンネル接合部分が、第1部分と第2部分とを有し、
この第1部分が、第1記憶磁化方向を呈する第1記憶層と、第1自由磁化方向を呈する第1センス層と、この第1記憶層とこの第1センス層との間の第1トンネル障壁層とから構成され、
前記第2部分が、第2記憶磁化方向を呈する第2記憶層と、第2自由磁化方向を呈する第2センス層と、この第2記憶層とこの第2センス層との間の第2トンネル障壁層とから構成され、
前記磁気トンネル接合部分が、前記第1記憶層と前記第2記憶層との間に構成された反強磁性層をさらに有し、低温閾値で前記第1記憶磁化方向と前記第2記憶磁化方向とをピン止めし、高温閾値でこの第1記憶磁化方向とこの第2記憶磁化方向とを自由にし、
書き込み操作中は、書き込み磁界が印加されるときに、前記第1自由磁化方向及び前記第2自由磁化方向が、この書き込み磁界の方向に応じて磁気飽和可能であり、
前記第1記憶磁化方向と前記第2記憶磁化方向とが、一方向にほぼ平行にあり且つ飽和した前記第1自由磁化方向及び前記第2自由磁化方向に一致して切り替え可能であり、
当該方法は、前記第1自由磁化方向及び前記第2自由磁化方向を第1読み出し方向に調整し、第1接合抵抗値を測定し、この第1自由磁化方向及びこの第2自由磁化方向を第2読み出し方向に調整し、第2接合抵抗値を測定することから成り、
前記第1自由磁化方向と前記第2自由磁化方向とに調整することは、同時に実施される当該読み出すための方法。
【請求項9】
前記磁気ランダムアクセスメモリセルは、前記第1磁気トンネル接合部分及び前記第2磁気トンネル接合とやりとりする界磁線をさらに有し、
前記第1自由磁化方向と前記第2自由磁化方向とを第1読み出し方向と第2読み出し方向とに調整することは、読み出し電流を前記界磁線中に通電することによって読み出し磁界を印加することから成り、この読み出し磁界が、第1方向とこの第1方向とは反対の第2方向とをそれぞれ有する請求項8に記載の読み出すための方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−110417(P2013−110417A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−256066(P2012−256066)
【出願日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【出願人】(509096201)クロッカス・テクノロジー・ソシエテ・アノニム (33)
【Fターム(参考)】