説明

有機化合物の酸化方法

本発明は、酸化触媒の存在下で水素および酸素を反応させることによって製造される過酸化水素溶液で、有機化合物を酸化する方法である。貴金属およびイオン交換樹脂のポリマーカプセル化された組合せを含むH22製造触媒の存在下、溶媒中で水素および酸素を反応させることによって過酸化水素を製造する。H22製造触媒のポリマーカプセル化は、過酸化水素を作る際にその生産性を改善し、金属の損失を低減することが期待される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過酸化水素で有機化合物を酸化する方法に関する。この過酸化水素は、水素および酸素を反応させることによって製造される。

発明の背景
過酸化水素は、水処理、パルプおよび紙の漂白ならびに有機合成のような用途において有用である、重要な中間化学物質である。現在、過酸化水素製造の商業的方法にはアントラキノン自動酸化法がある(例えば、米国特許第4,428,923号、および第6,524,547号を参照されたい)。この方法は、幾多の反応および精製部門を必要とし、大量の溶媒を使用し、非理想的な収率の過酸化水素しかもたらさない。
【0002】
過酸化水素を、適切な触媒の存在下で水素および酸素の直接反応で作ることもできる。水素および酸素から過酸化水素を作る公知の方法は、担持遷移金属(3族〜12族の元素)、特に白金族金属を使用する。活性炭(例えば、米国特許第6,168,775号および第6,649,140号を参照されたい)、フッ素化炭素(例えば、米国特許第5,846,898号を参照されたい)、スルホン酸官能化炭素(例えば、米国特許第6,284,213号を参照されたい)、シリカ、アルミナ(例えば、米国特許第5,961,948号を参照されたい)、ポリマー繊維(例えば、米国特許第6,375,920号を参照されたい)、およびイオン交換樹脂(例えば、米国出願公開第2003/0215383号を参照されたい)を含めた広範な無機性および有機性担体が確認されている。
【0003】
過酸化水素は、水が唯一の副生物なので、化学産業において魅力的な酸化剤である。例えば、チタンゼオライトの存在下で過酸化水素によるアルカン、芳香族炭化水素、オレフィンの酸化が示されている(New Developments in Selective Oxidation、G.CentiおよびF.Trifiro編、33〜38頁を参照されたい)。水素および酸素の反応から調製される過酸化水素溶液を使用することができる(例えば、米国特許第6,284,213号および第6,888,013号、米国出願公開第2004/0151658号を参照されたい)。
【0004】
最近、「マイクロカプセル化」と呼ばれる技術を使用して、特性の改良された触媒を調製したことが、近年の刊行物に総説されている(Chem.Commun.(2003)449およびその中の次の引用文献、Angew.Chem.,Int.Ed.40(2001)3469、J.Am.Chem.Soc.120(1998)2985、米国出願公開第2005/0201925号、第2005/0202957号、および第2005/0203304号)。欧州特許出願公開第0498166A1号明細書は、4−ブロモスチレンまたはスチレンを含浸させた後に重合させたアルミナ担持Pd触媒を開示している(実施例7および比較実施例8を参照されたい)。ポリ(4−ブロモスチレン)コーティング触媒は、水素および酸素からの過酸化水素の生成において活性を示す。米国出願公開第2004/0184983号は、(a)活性成分としての白金族の1種以上の金属、(b)1種以上のポリオレフィン、および(c)担体からなる触媒について記述している。ポリオレフィンは、溶媒に溶解され、得られる溶液は、担体または触媒を含浸させるために使用される。この触媒は、ハロゲン化助触媒および/または酸助触媒を含有する反応溶媒中で水素および酸素から過酸化水素を製造するのに有用である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、H22製造触媒の存在下、溶媒中で水素および酸素を反応させて、過酸化水素溶液を得ることを含む方法である。H22製造触媒は、貴金属およびイオン交換樹脂のポリマーカプセル化された組合せを含む。この方法は、酸化触媒の存在下で過酸化水素溶液と有機化合物を反応させて、酸化生成物を得ることも含む。H22製造触媒のポリマーカプセル化は、その生産性を改善し、使用時の金属の損失を低減させることが期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
この方法はH22製造ステップおよび酸化ステップを含む。H22製造ステップは、貴金属およびイオン交換樹脂のポリマーカプセル化された組合せを含むH22製造触媒の存在下、溶媒中で水素および酸素を反応させて、過酸化水素溶液を得ることを含む。酸化ステップは、酸化触媒の存在下で過酸化水素溶液と有機化合物を反応させて、酸化生成物を得ることを含む。
【0007】
22製造ステップ
22製造触媒をこの過程で用いる。H22製造触媒は、貴金属を含む。適当な貴金属には、金、銀、白金、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、レニウム、およびそれらの混合物が含まれる。好ましい貴金属は、Pd、Pt、Au、Re、Ag、およびそれらの混合物である。これらの貴金属のいずれも、単独でまたは組み合わせて利用することができるが、パラジウムおよび金が特に望ましい。通常では、触媒中に存在する貴金属の量は、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜5重量%の範囲になろう。貴金属が触媒に組み込まれる方式は決定的なものではない。例えば、貴金属を、含浸、イオン交換、吸着、沈殿等でイオン交換樹脂上に担持することができる。
【0008】
貴金属源として使用される貴金属化合物または錯体の選択に関して、特別な制限はない。適当な化合物には、硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物)、カルボン酸塩(例えば、酢酸塩)、および貴金属のアミンまたはホスフィン錯体(例えば、テトラアンミン臭化パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0))が含まれる。
【0009】
同様に、貴金属の酸化状態は、決定的なものではない。例えば、パラジウムは、0〜+4のいずれの酸化状態でも、このような酸化状態のいずれの組合せでもよい。所望の酸化状態または酸化状態の組合せを達成するために、触媒に導入された後の貴金属化合物を、完全にまたは部分的に予備還元することができる。しかし、全く予備還元がなくても満足できる触媒性能を実現することができる。
【0010】
22製造触媒は、担体としてイオン交換樹脂も含む。イオン交換樹脂は、イオン交換特性を有する合成有機ポリマーである。イオン交換樹脂の例は、Ion Exchange、Friedrich Helfferich著、McGraw−Hill Book Company,Inc.(1962年)、26〜71頁に見い出すことができる。このイオン交換樹脂は架橋されていることが好ましい。イオン交換樹脂は、官能性によって強酸もしくは強塩基または弱酸もしくは弱塩基のいずれかに分類される。酸性樹脂(陽イオン性樹脂)は、一般にスルホン酸またはカルボン酸基を含有する。塩基性樹脂(陰イオン性樹脂)は、一般にアミン、置換アミン、アンモニウムまたは置換アンモニウム基を含有する。特に好ましい樹脂にはビニルモノマーから調製される付加共重合体が含まれる。
【0011】
ゲル状のイオン交換樹脂を使用できるが、巨大網状イオン交換樹脂が好ましい(上記のF.Helfferich著、59〜60頁を参照されたい)。マクロ孔質樹脂は、非常に小さなゲル状の微小球の凝集塊からなる。それらは、微小孔およびマクロ細孔の両方を有する。樹脂の平均孔径は、10オングストローム(Å)を超えるのが好ましく、20Åを超えることがより好ましい。樹脂の内部表面積は、通常は1〜1000平方メートル毎グラム(m2/g)の範囲にあり、10〜900m2/gの範囲が好ましく、30〜600m2/gの範囲がより好ましい(R.L.Albright著、「Basic Principles of Catalysis by Functionalized Porous Organic Polymers」、Catalyst Supports and Supported Catalysts(1987)A.B.Stiles編、Butterworths Publishers、159〜186頁を参照されたい)。
【0012】
酸性樹脂(陽イオン性樹脂)を使用することが好ましい。特に好ましい樹脂は、スルホン酸ポリスチレン樹脂、すなわちスルホン酸官能基を含有する架橋ポリスチレンである。架橋剤として、普通はジビニルベンゼンを使用する。酸性イオン交換樹脂を使用する場合、そのプロトンは、部分的に他の陽イオンによって交換し得る。適当な陽イオンには、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ランタニド金属、亜鉛、カドミウム、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルキルホスホニウムイオン等、およびそれらの混合物が含まれる。
【0013】
このイオン交換樹脂の容量は、決定的なものではない。この容量は、樹脂における官能基(例えば、スルホン酸またはカルボン酸、アミン、アンモニウム、置換アンモニウム)の濃度の指標である。適当なイオン交換樹脂は、キログラム当たり0.01〜20当量(eq/kg)の官能基を含有することができる。好ましい樹脂は、0.1〜15eq/kgを含有し、特に好ましい樹脂は、1〜10eq/kgを含有する。例えば、アンバーリスト36(ロームアンドハース社製酸性樹脂)は、5.4eq/kgのスルホン酸基を含有する。
【0014】
このH22製造触媒は、例えば、チタニア、ジルコニア、ニオビア、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニア−シリカ、ジルコニア−シリカ、ニオビア−シリカ等、およびそれらの混合物のような他の成分を含有してもよい。イオン交換樹脂と上記成分のいずれかとの複合体を触媒用の担体として使用することもできる。例えば、米国特許第5,824,622号は、内部に捉えられていてかつ金属酸化物ネットワークの至るところに高度に分散された側鎖スルホン酸および/またはカルボン酸基を含有するパーフルオロ化イオン交換ポリマーを含む多孔性ミクロ複合体を開示している。同様のミクロ複合体を本発明において使用することができる。
【0015】
このH22製造触媒は、貴金属およびイオン交換樹脂のポリマーカプセル化された組合せを含む。貴金属およびイオン交換樹脂の組合せを「貴金属触媒」と呼ぶ。「カプセル化された」とは、貴金属およびイオン交換樹脂の両方が、ポリマーの層の内部に含有され、ポリマーの層によって囲まれていることを意味する。通常、イオン交換樹脂は、様々な寸法のビーズ(例えば、約10μm〜約2mm)として提供されるので、貴金属触媒は、通常は使用されるイオン交換樹脂と同様の粒子寸法を有する。したがって、ポリマーカプセル化は、ポリマー被膜の内部に貴金属およびイオン交換樹脂を封入することを伴う。
【0016】
22製造触媒を作る際の使用に適するポリマーには、付加または縮合重合によって作られる天然または合成の有機ポリマー(炭素原子を含む)が含まれる。一般に、このポリマーは、1種以上の重合性モノマーのラジカル、イオン、配位、または縮合重合によって製造されるホモポリマーまたはランダムおよびブロックコポリマーである。例には、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリ尿素、ポリアクリル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリシロキサン、多糖類、ポリペプチド、ポリヌクレオチド等、およびそれらの混合物が含まれる。好ましいのはポリスチレン系樹脂、ポリオレフィンおよびそれらの混合物である。特に好ましいのはポリスチレンである。ポリマーをバルク、溶液、懸濁または乳化重合によって作り出すことができる。ポリマーには、炭化水素がなり得るが、またはハロゲン、ヒドロキシル、アミン、ホスフィン、ホスフィンオキシド、アルシン、硫黄、硫黄酸化物、アルコキシ、シラン、シロキシ、カルボキシ等の官能基を組み込むことができる。
【0017】
イオン交換樹脂への貴金属の添加およびポリマーカプセル化を実行する順序は、イオン交換樹脂および貴金属の両方が本質的にポリマーの薄膜に包まれている限り決定的なものではない。ある好ましい手法では、貴金属をイオン交換樹脂に加えて、そのカプセル化の前に貴金属触媒を形成する。別の手法では、イオン交換樹脂をポリマーの内部でカプセル化してポリマーカプセル化されたイオン交換樹脂を製造し、その後ポリマーカプセル化されたイオン交換樹脂に遷移金属を加える。この場合、貴金属化合物(例えば、ハロゲン化パラジウム、酢酸パラジウム)または錯体(例えば、テトラアンミン臭化パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0))は、ポリマー層を通して拡散してイオン交換樹脂上に析出し、こうしてイオン交換樹脂および遷移金属の両方を、最終的に得られるH22製造触媒中にカプセル化する。更に別の好ましい手法では、イオン交換樹脂への貴金属の添加およびポリマーカプセル化を単一ステップで実施する。ある例では、貴金属源とモノマー(例えばスチレン)あるいはモノマー、開始剤および/または他の成分(例えば、有機溶媒)との混合物を含む溶液を、イオン交換樹脂および水を含有するスラリーと混合する。モノマーの重合が起こる時、貴金属をイオン交換樹脂に添加し、ポリマーカプセル化された貴金属触媒が得られる。別の例では、イオン交換樹脂と貴金属源および溶解ポリマーの溶液とを含有するスラリーから溶媒を蒸発させると、ポリマーカプセル化された貴金属触媒を得ることができる。
【0018】
ポリマー内部に貴金属触媒をカプセル化する多くの適当な方法がある。適当な技術には、例えば噴霧乾燥、噴霧冷却、噴霧コーティング、相分離およびコアセルベーション、注入処理コーティング、流動床コーティング、ドライオンドライコーティング、溶融押出、蒸着、インシチュ界面重合を含むインシチュ重合等が含まれる。これらおよび他のマイクロカプセル化技術は、Microcapsules and Nanoparticles in Medicine and Pharmacy、M.Donbrow編、1〜14頁の序章およびその中の引用文献、ならびにControlled−Release Delivery Systems for Pesticides(1999)、H.Scher編の中の31〜54頁、G.Beestman著、「Microencapsulation of Solid Particles」に記載されている。米国特許第6,156,245号も参照されたい。
【0019】
インシチュ重合は、1つの好ましい技術である。貴金属触媒をモノマー、開始剤および他の成分(例えば、架橋剤)を含有する反応媒体中に懸濁し、重合が進むとポリマーカプセル化された貴金属触媒を生じる。モノマーは、親水性(例えば、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド)でも、疎水性(例えば、スチレン)でもまたはこれらの組合せもでよい。適当な技術にはバルク、乳化、懸濁および界面重合法が含まれる。H22製造触媒をこのように調製することができる。一例として、スチレンまたはスチレンおよび他のエチレンモノマーの混合物を貴金属触媒の水性懸濁液中で重合することができる。
【0020】
相分離/コアセルベーションによるポリマーカプセル化は、別の好ましい技術である。ポリマーカプセル化材としてのポリスチレンを用いた適当な手法は、小林等によって例示されている(Chem.Commun.(2003)449およびその中の引用文献、Angew.Chem.,Int.Ed.40(2001)3469、J.Am.Chem.Soc.120(1998)2985を参照されたい)。パラジウム化合物をカプセル化するために小林によって教示された特に有利なコアセルベーション手法では、ポリスチレンを温シクロヘキサン中に溶解する。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)をこの混合液中に溶解する。緩やかに0℃まで冷却すると、相分離およびカプセル形成が起こる。ヘキサンを加えてマイクロカプセルを硬化させ、次いで単離し、洗浄し、乾燥する。同様に、貴金属触媒を溶媒中のポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリイソブチレン)溶液と混合する。より低い温度に冷却および/または別の溶媒を添加して溶媒混合物中でのポリマーの溶解度を低減させると、相分離が生じ、ポリマーカプセル化された貴金属触媒が得られる。
【0021】
ポリ尿素カプセル化遷移金属の調製に際して、1つの界面法が、レイ等(Chem.Cmmun.(2002)1132および1134、ならびにChem.Commun.(2003)678を参照されたい)によって説明されている。Leyの例では、重合性モノマーおよび遷移金属源を含有する有機相を、乳化剤および/または安定剤を含有する水性相内に分散する。重合は、界面で起こり、マイクロカプセル壁を形成する。ポリ尿素カプセル化貴金属触媒は、遷移金属源の代わりに貴金属触媒を用いて同じように調製する。マイクロカプセルを作り出すインシチュ重合の別の例に関しては、Adv.Powder Technol.13(2002)265を参照されたい。
【0022】
貴金属触媒のポリマーカプセル化によって性能(例えば、速度、選択性、触媒寿命)および濾過性を改善でき、貴金属の反応混合物中への滲出も低減される。特に金属のコストが高い(例えば、Pd)場合には、金属の損失を低減すれば顕著な財務上の利点をもたらすことができる。
【0023】
過酸化水素製造時の使用に先立って、H22製造触媒を、熱処理、酸化、還元等の技術によって更に処理してもよい。例えば、触媒を水素含有雰囲気下で還元してもよい。カプセル化材ポリマーおよび貴金属は、このような処理の結果として物理的または化学的変化を受けることができる。例えば、貴金属が低酸化状態へ還元される間に、不飽和ポリマーカプセル化材(例えば、ポリブタジエン)は水素処理によって水素化することができる。
【0024】
22製造ステップは溶媒を使用する。適当な溶媒は、反応条件下で液体である。それらには、例えば、アルコール等の酸素含有炭化水素、トルエンおよびヘキサン等の芳香族および脂肪族溶媒、クロロベンゼンおよび塩化メチレン等の芳香族および脂肪族塩素化溶媒、アセトニトリル等のニトリル、二酸化炭素ならびに水が含まれる。適当な酸素化溶媒には、二酸化炭素、水、およびアルコール、エーテル、エステル、ケトン等の酸素含有炭化水素、ならびにそれらの混合物がある。好ましい酸素化溶媒には、水、低級脂肪族C1〜C4アルコールであるメタノール、エタノール、イソプロパノールおよび第3級ブタノール、ならびにそれらの混合物が含まれる。フッ素化されたアルコールを使用することができる。
【0025】
22製造ステップは、酸素および水素を使用する。いずれの水素源および酸素源も使用できるが、分子状酸素(O2)および分子状水素(H2)が好ましい。水素対酸素の使用モル比(H2:O2)は、1:10〜10:1の範囲内であることが好ましい。
【0026】
酸素および水素に加えて、不活性ガスを使用することができる。不活性ガスは、反応混合物中の酸素および水素濃度を爆発限界外に保つのに役立てることができる。適当な不活性ガスは、ヘリウム、アルゴン、窒素、メタン、エタン、プロパン、二酸化炭素等、およびそれらの混合物である。
【0027】
22製造ステップを、連続流、半バッチまたはバッチ方式を使用して実施することができる。触媒をスラリーまたは固定床形式で使用することができる。1〜200barの範囲内の全圧で操作を行うことが好ましい。所望量の過酸化水素を製造するのに効果的な温度で反応を実施し、0℃〜120℃の範囲内の温度が好ましく、20℃〜80℃がより好ましい。
【0028】
過酸化水素の製造に際して過酸化水素安定剤を使用して、過酸化水素の分解を最小化することは有利となる場合がある。適当な安定剤には無機酸および有機酸およびそれらの塩、キレート剤等、ならびにそれらの混合物が含まれる。過酸化水素安定剤の例としては、硝酸、硫酸、リン酸、塩酸、臭化水素酸、ピロリン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸およびエチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)がある。通常は、安定剤を0.1ppm〜10wt%の範囲内で添加する。
【0029】
過酸化水素溶液は、H22製造ステップで得られる。反応をスラリー反応器中で実施する場合、過酸化水素溶液を得るために、当業者には周知のデカンテーション、遠心分離、濾過等の技術を使用して、H22製造触媒を反応混合液から除去することが好ましい。もしH22製造触媒を固定床で使用するならば、生成物混合液は、触媒をほとんど含有しないのが普通であるから、追加の分離操作は必要ない。過酸化水素溶液は、触媒全使用量の10wt%未満を含有することが好ましく、2wt%未満がより好ましい。この溶液は、過酸化水素安定剤、未反応の水素および酸素等を含有してもよい。水素、酸素および不活性ガス等の過酸化水素製造ステップ由来のガスの少なくとも一部分を除去することが望ましい場合がある。いくつかの事例では、より高濃度の過酸化水素溶液を作り出すために、溶媒の一部分を除去することが望ましい場合がある。
【0030】
酸化ステップ
本発明の方法は、酸化触媒の存在下で有機化合物を過酸化水素溶液と反応させることを含む酸化ステップも含む。
【0031】
酸化触媒は、過酸化水素による有機化合物の酸化を触媒する能力がある任意の触媒である。酸化触媒は、通常は遷移金属を含む。適当な遷移金属は、3〜11族の金属である。これらのうち第1金属には、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、NiおよびCuが含まれる。遷移金属は、反応を触媒する能力がある限り、任意の適当な酸化状態で存在していてよい。適当な酸化触媒の例としては以下のものがある:遷移金属塩(例えば、FeCl3、Cr2(SO43)、遷移金属錯体(例えば、チタン(IV)テトラ(イソプロポキシド)、チタンビス(イソプロポキシド)アセチルアセトネート、三酸化メチルレニウム(VII))、遷移金属酸化物(例えば、チタニア、酸化タングステン(VI)、酸化ニオブ)、担持遷移金属酸化物(例えば、シリカ、アルミナまたは他の担体上に担持される酸化チタン)、混合金属酸化物(例えば、チタニア/シリカ、バナジア/シリカ)、遷移金属ゼオライト(例えば、チタンケイ酸塩、バナジウムケイ酸塩)、ヘテロポリ酸(例えば、Applied Catalysis A:General,250(2)(2003)239に記載の触媒を参照されたい)等、およびそれらの混合物。酸化触媒は、反応条件下の反応混合液中で溶解性、部分的に溶解性、または本質的に不溶性であってもよい。
【0032】
酸化触媒は、遷移金属ゼオライトを含むことが好ましい。ゼオライトは、一般に酸素のほかにSi、Ge、Al、B、P等を1種または複数含有する。遷移金属ゼオライト(例えば、チタンゼオライト、バナジウムゼオライト)は、多孔性分子篩構造を有し、遷移金属を含有する結晶性物質である。好ましい遷移金属は、Ti、V、Mn、Fe、Co、Cr、Zr、Nb、MoおよびWである。特に好ましいのは、Ti、V、MoおよびWである。最も好ましいのはTiである。用いられる遷移金属ゼオライトの種類は、酸化される有機化合物の大きさおよび形状を含むいくつかの要素に依存する。例えば、もし有機化合物がエチレン、プロピレン、または1−ブテン等の低級脂肪族オレフィンならば、遷移金属シリカライト等の比較的小孔のゼオライトを使用することが好ましい。
【0033】
チタンケイ酸塩(チタノケイ酸塩)は、適当な酸化触媒である。それらは、チタン、ケイ素および酸素以外の元素を格子状骨格中に含有しないことが好ましい(Molecular Sieves:Principles of Synthesis and Identification(1989)、Van Nostrand Reinhold中のR.Szostak著、「Non−aluminosilicate Molecular Sieves」、205〜282頁を参照されたい)。少量の不純物、例えば、ホウ素、鉄、アルミニウム、リン、銅等、およびそれらの混合物が格子中にあってもよい。不純物の量は、0.5wt%未満が好ましく、0.1wt%未満がより好ましい。好ましいチタンケイ酸塩は、一般に次の実験式に対応する組成を有するであろう:xTiO2・(1−x)SiO2、ただし、xは0.0001と0.5000との間である。xの値は、0.01〜0.125がより好ましい。ゼオライトの格子状骨格中のSi:Tiのモル比は、9.5:1〜99:1(最も好ましくは9.5:1〜60:1)が有利である。比較的チタンの多いゼオライトの使用も望ましい場合がある。特に好ましいチタンゼオライトには、普通チタンシリカライトとして知られる分子篩群が含まれる(Catal.Rev.−Sci.Eng.,39(3)(1997)209を参照されたい)。これらの例にはTS−1(チタンシリカライト−1で、ZSM−5アルミノケイ酸塩と類似のMFIトポロジーを有するチタンシリカライト)、TS−2(ZSM−11アルミノケイ酸塩と類似のMELトポロジーを有する)、およびTS−3(ベルギー特許第1,001,038号に記載されるような)がある。ゼオライトベータ、モルデナイトおよびZSM−12と同形の骨格構造を有するチタンゼオライトも使用に適している。
【0034】
酸化触媒は、チタンゼオライトのほかに、触媒の一部としてチタニア、ジルコニア、ニオビア、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニア−シリカ、ジルコニア−シリカ、ニオビア−シリカおよびそれらの混合物を含む、他の成分を含有することができる。例えば、チタンゼオライトを、単独でまたは結合剤(例えば、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニア−シリカ等)と組み合わせて粒子に(例えば、噴霧乾燥、パレット化等)形成することができる。
【0035】
酸化ステップを連続流、半バッチ、またはバッチ方式を使用して実施することができる。1〜200barの圧力および0〜250℃、より好ましくは20〜200℃の範囲の温度で行うことが有利である。追加の溶媒および/または不活性ガスを反応混合液に加えてよい。H22製造ステップのための好適な溶媒および不活性ガスを利用することができる。
【0036】
酸化ステップ中で緩衝剤を使用することが、有利な場合がある。緩衝剤は、通常、溶媒に加えて緩衝液を形成し、または過酸化水素溶液に加えてもよい。緩衝剤を酸化反応混合物に直接加えることもできる。緩衝剤は、反応液中に用いて反応速度および/または選択性を改善する。本発明において有用な緩衝剤には、混合液中でのその性質および比率が、溶液のpHを好ましくは3〜10、より好ましくは4〜9、最も好ましくは5〜8の範囲にし得るような任意の適当なオキシ酸塩が含まれる。オキシ酸の適当な塩は、陰イオンおよび陽イオンを含有している。陰イオンにはリン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、カルボン酸塩(例えば、酢酸塩)、ホウ酸塩、水酸化物、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩等を含むことができる。陽イオンにはアンモニウム、アルキルアンモニウム(例えば、テトラアルキルアンモニウム、ピリジニウム等)、アルキルホスホニウム、アルカリ金属およびアルカリ土類金属イオン等を含むことができる。例にはNH4、NBu4、NMe4、Li、Na、K、Cs、MgおよびCaの陽イオンが含まれる。好ましい緩衝剤は、リン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、水酸化物および酢酸塩からなる群から選択される陰イオン、ならびにアンモニウム、アルキルアンモニウム、アルキルホスホニウム、アルカリ金属およびアルカリ土類金属イオンからなる群から選択される陽イオンを含む。緩衝剤は、1種類を超える適当な塩の組合せを含有できることが好ましい。通常、溶媒中の緩衝剤の濃度は、0.0001M〜1Mで、0.0005M〜0.3Mが好ましい。本発明で有用な緩衝剤としては水酸化アンモニウムが挙げられ、反応系にアンモニアガスを添加することにより形成することができる。例えば、反応系のpHを均衡させるために水酸化アンモニウムのpH=12〜14の溶液を使用することができる。より好ましい緩衝剤としてはアルカリ金属リン酸塩、リン酸アンモニウムおよび水酸化アンモニウムが挙げられる。
【0037】
様々な有機化合物を本方法によって酸化することができる。有機化合物の例としては、オレフィン、アルカン、芳香族炭化水素、アルコール、アルデヒド、ケトン、チオエーテル等が挙げられる。
【0038】
ある好ましい酸化法では、有機化合物がオレフィンで、酸化生成物はエポキシドである。適当なオレフィンには、少なくとも1つの炭素間二重結合およびほぼ2〜60個の炭素原子を有するいずれのオレフィンも含まれる。このオレフィンは、炭素原子数2〜30の非環式アルケンであることが好ましく、この方法は、特にC2〜C6オレフィンをエポキシ化するのに適当である。ジエンまたはトリエンにおけるように、オレフィン分子中に1個を超える二重結合があってもよい。オレフィンは、炭化水素でよく、あるいはハロゲン、カルボキシル、ヒドロキシル、エーテル、カルボニル、シアンまたはニトロ基等の官能基を含有してもよい。特に好ましい方法では、オレフィンがプロピレンで、エポキシドはプロピレンオキシドである。オレフィンをアルデヒド、ケトンおよびカルボン酸を含む他の生成物に酸化することもできる。
【0039】
アルカンをアルコール、ケトンまたは他の酸化生成物に酸化することは、本発明のもう1つの好ましい酸化法である。酸化生成物が非官能化炭化水素より有益なのが普通なので、この方法は有益である。適当なアルカンには、ハロゲン、酸素、アリール基等、およびそれらの混合物を含有するものが含まれる。アルカンの例には、例えばエタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、トルエン、エチルベンゼンおよびクメンが含まれる。
【0040】
他の酸化反応には、例えば芳香族炭化水素からフェノールへ、フェノールからカテコールへ、ケトンからエステルまたはラクトンへ、チオエーテルからスルホキシドおよび/またはスルホンへの酸化、アンモニアまたはアミンの存在下でオキシムを作るためのアルデヒドまたはケトンのアンモオキシム化(例えば、シクロヘキサノンのシクロヘキサノンオキシムへの転化)が含まれる。
【0041】
次の実施例は、本発明を例示しているにすぎない。当業者ならば、多くの変形が、本発明の趣旨および特許請求の範囲の技術的範囲内であることを認めよう。
【実施例】
【0042】
比較実施例1:Pd/A36触媒
アンバーリスト36樹脂(A36、ロームアンドハース社製の酸性樹脂)(50.5g)を、ビーカー中のメタノール(100g)で穏やかに攪拌して洗浄する。次に、容器を傾けてメタノールを流し出す。メタノール洗浄ステップを6回繰り返す。洗浄されたA−36樹脂およびメタノール(100g)を含有する懸濁液に、酢酸パラジウム溶液(70gのアセトン中に1.71gのPd(OAc)2)を室温で混合しながら加える。30分後に固形物を濾過し、メタノール(100g)で洗浄し、60℃の真空オーブン中で恒量になるまで乾燥する。乾燥固形物(触媒A、46.5g)は、1.9wt%のPdを含有する。
【0043】
実施例2:ポリスチレンカプセル化Pd/A36触媒
スチレン(13g)および2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN、0.15g)の溶液が入った2オンス(59.2cm3)の王冠付きビンの中へ、水性ポリビニルアルコール溶液(0.15wt%、120g)および実施例1からの触媒A(30g)を詰める。窒素でパージした後、ビンに王冠で蓋をし、油浴中で70℃、3時間、次いで90℃でもう3時間転倒攪拌して懸濁重合を起こす。室温まで冷却した後、ポリマーカプセル化された触媒を濾過し、脱イオン水で2回洗浄し、60℃の真空オーブン中で恒量になるまで乾燥する。生成物(触媒B)は、1.1wt%のPdを含有する。
【0044】
実施例3:過酸化水素製造
試験を、450mL多管式Parr反応器中で実行する。反応器内の5個の試験管が、同じ気相を共有する。各試験管は、磁気攪拌子を有し、すべての攪拌子は、同じ速さで攪拌する。試験管1、2および5にはそれぞれ触媒B(10mg)を入れる。試験管3および4にはそれぞれ5.6mgの触媒A(5.6mg)を入れる。各試験管中の触媒は、約0.1mgのPdを含有している。メタノール/水の混合物(重量で70/30、5.6g)を各試験管に加えた後、反応器を閉じて、窒素で置換する。反応器の内容物を30℃まで加熱した後、反応器に水素を100psig(7bar)まで充填し、次に窒素中に酸素(4mol%)の入った混合物を1400psig(94bar)まで充填する。室温まで冷却される前に、各試験管の反応混合物を30℃で1時間磁気攪拌する。各溶液中の過酸化水素濃度を液体クロマトグラフィー(LC)によって測定し、表1に列挙する。
【0045】
表1は、ポリマーカプセル化されたPd/A36触媒を用いるこの方法が、ポリマーでカプセル化されていないPd/A36触媒上の同量のPdで実施された同様の方法よりも高い収率の過酸化水素をもたらすことを示している。
【0046】
【表1】

【0047】
実施例4:プロピレンのエポキシ化
攪拌器を装備したオートクレーブに、メタノールおよび水中の5wt%過酸化水素溶液(市販の30wt%過酸化水素水溶液およびメタノールの混合によって調製、40g)、TS−1(150mg)およびプロピレン(21g)を入れる。TS−1触媒は2.2wt%のTiを含有する。反応器を50℃まで加熱し、50℃を0.5hの間保持する。反応混合物をガスクロマトグラフィー(GC)によって分析する。LCの分析では93%の過酸化水素の転化を示している。GCでは、選択率がそれぞれ94、0.5および5.5mol%のプロピレンオキシド(PO)、プロピレングリコール(PG)およびメトキシプロパノール類(PM)の形成を示している。計算は次のように実行する。POE(モル)=総形成PO当量=POのモル+PGおよびPM等のPO誘導体におけるPO構成単位のモル。PO選択率=(POのモル)/(POEのモル)×100。PG選択率=(PGのモル)/(POEのモル)×100。PM選択率=(PMのモル)/(POEのモル)×100。
【0048】
22製造触媒(例えば、実施例2の触媒B)の存在下で水素および酸素の反応によって製造される過酸化水素溶液の使用は別として、実施例4の手順の繰り返しはプロピレンのエポキシ化に関して同様の結果をもたらすと予想される。
【0049】
実施例5:緩衝剤存在下でのプロピレンのエポキシ化
リン酸アンモニウム緩衝液を加える(540ppm、pH=6)こと以外は、実施例4の手順を繰り返す。反応時間は、50℃で0.5hであり、LCの分析は38%の過酸化水素転化を示している。PO、PGおよびPM選択率は、それぞれ99、<0.1および0.3mol%である。
【0050】
実施例6:プロパンの酸化
攪拌器を装備したオートクレーブに、30wt%過酸化水素水溶液(0.4g)、メタノール(18g)、TS−1(200mg)およびプロパン(8g)を入れる。TS−1触媒は2.2wt%のTiを含有する。反応器を60℃まで加熱し、60℃を1.75hの間保持する。反応混合物のGCは、0.36wt%のイソプロパノールおよび0.1wt%のアセトンを示す。
【0051】
22製造触媒(例えば、実施例2の触媒B)の存在下で水素および酸素の反応によって製造される過酸化水素溶液の使用は別として、実施例6の手順の繰り返しはプロパンの酸化に関して同様の結果をもたらすと予想される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)貴金属およびイオン交換樹脂のポリマーカプセル化された組合せを含むH22製造触媒の存在下、溶媒中で水素および酸素を反応させて、過酸化水素溶液を得るステップと、
(b)酸化触媒の存在下で前記過酸化水素溶液と有機化合物を反応させて、酸化生成物を製造するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記貴金属がパラジウム、白金、金、レニウム、銀およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記貴金属がパラジウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記イオン交換樹脂が酸性樹脂である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記イオン交換樹脂がスルホン酸ポリスチレン樹脂である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマーがポリスチレン系樹脂、ポリオレフィンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマーがポリスチレンである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記H22製造触媒が、炭素、チタニア、ジルコニア、ニオビア、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニア−シリカ、ジルコニア−シリカ、ニオビア−シリカおよびそれらの混合物からなる群から選択される成分を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(a)を過酸化水素安定剤の存在下で実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記溶媒が酸素化溶媒である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記溶媒が、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、二酸化炭素、水およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(b)を緩衝剤の存在下で実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記有機化合物がオレフィンである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記オレフィンがプロピレンである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記酸化触媒がチタンゼオライトである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記チタンゼオライトがTS−1である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記有機化合物がアルカンである、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記酸化触媒がチタンゼオライトである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
(a)パラジウムおよびスルホン酸ポリスチレン樹脂のポリマーカプセル化された組合せを含むH22製造触媒の存在下、溶媒中で水素および酸素を反応させて過酸化水素溶液を得るステップと、
(b)チタンゼオライトの存在下で前記過酸化水素溶液とプロピレンを反応させて、プロピレンオキシドを製造するステップと
を含む方法。
【請求項20】
前記チタンゼオライトがTS−1である、請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2009−523126(P2009−523126A)
【公表日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547220(P2008−547220)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/040988
【国際公開番号】WO2007/075214
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(505341095)ライオンデル ケミカル テクノロジー、 エル.ピー. (61)
【氏名又は名称原語表記】LYONDELL CHEMICAL TECHNOLOGY, L.P.
【Fターム(参考)】