説明

有機半導体を架橋するための方法

本発明は、有機半導体および有機伝導体を架橋するための新規方法に関し、ここで、前記架橋は、自己光増感様式で開始する。本発明は、また、前記架橋方法を用いる有機電子デバイスの製造に関する。結果として、電子デバイスにおける性質は改善される。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
有機電子デバイスは、市販用の製品において、これまでかなり頻繁に用いられており、あるいは市場への導入が始まったところである。既に市販されている製品として挙げられる例は、ディスプレイデバイスにおける有機発光ダイオードまたはポリマー発光ダイオード(OLED、PLED)である。有機太陽電池(O−SC)、有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機集積回路(O−IC)、有機光増幅器、または有機レーザーダイオード(O−laser)は、研究段階においてかなり進歩しており、将来非常に重要なものになり得るであろう。
【0002】
ポリマー有機半導体またはオリゴマー有機半導体に基づく電子デバイスの利点は、これらは、低分子量化合物について一般的に行われるように、溶液から処理することができることであり、これは、真空方法と比べて、より技術的な複雑さを伴わず、よりコストが低い。つまり、例えば単一色のエレクトロルミネセンスデバイスを、溶液から表面をコーティングすることによって材料を処理することにより、比較的簡単に製造することができる。構造化、すなわち、個々の画素の割り当ては、「供給ライン」において、すなわち、例えば電極において一般的に行われる。これは、例えば、型抜き染めの様式で、シャドーマスクを通して行われる。しかしながら、工業的な大量生産については、深刻な不利点が、このことから生じる。すなわち、マスクは、堆積物形成のために、1回のまたは複数回の使用後は使用できず、および複雑な様式で再生させる必要がある。製造について、従って、材料の堆積にシャドーマスクを必要としないプロセスを可能にすることが望まれる。加えて、シャドーマスクを介する表面のコーティングおよび構造化は、例えば、フルカラーディスプレイを溶液から製造する場合には用いることができない。この目的のために、3原色(赤、緑、青)を、高い解像度をもって、個々の画素に互いに並んで適用する必要がある。低分子量の蒸着可能な分子の場合においては、画素は、シャドーマスクを介する個々の色の蒸着により(既に上記した困難さを伴って)製造することができるのに対して、ポリマー材料については、このことは可能ではない。ここでの解決策は、直接的に構造化される様式で、活性層を適用することにある。このことがかなりの問題を引き起こすことは、寸法からだけでも理解できる。すなわち、数10μmの領域において100nm未満〜数μmの範囲における層の厚さを有する構造を形成しなければならない。例えばインクジェットのような種々の印刷法が、とりわけ、この目的のために近年検討されている。しかしながら、これらの印刷法は、今のところ、大量生産プロセスに使用でき得るほどに十分に発達していない。従って、印刷法による構造化能力は、現在のところ、未解決の問題としてみなされざるを得ない。
【0003】
他のアプローチは、WO 02/10129 および Nature 2003, 421, 829 に提案されており、構造化能力を有する有機半導体および有機伝導体が記載され、これは少なくとも1つの架橋可能なオキセタン基を含有しており、この架橋反応を、的を絞った様式で開始し制御することができる。この目的のために、少なくとも1種の光開始剤を材料に混合する。開始剤の吸収帯域におけるUV光を用いる照射は、酸を生成し、これは、カチオン性の開環重合を経る架橋反応を開始する。従って、構造化された照射は、架橋された材料と架橋されない材料を伴う領域のパターンを得ることを可能にする。その後適切な溶媒を用いてすすぐと、架橋されない材料を伴う領域を除去することができ、これは、所望の構造化をもたらす。架橋された領域は溶解しないために残存する。従って、複数の層(または第1の材料の近傍における他の材料)を、架橋を行った後に続いて適用することができる。構造化するために用いられる照射は、現代の電子技術の標準的な方法(フォトリソグラフィー)であり、例えば、レーザーを用いて、または対応するフォトマスクを介する均一な照射により行うことができる。このマスクは、放射のみであり、マスクを介する材料の流れはないために、堆積物のリスクは伴わない。
【0004】
しかしながら、光酸発生物質(photoacid)、またはこれらの反応生成物は、架橋後も不純物として電子デバイス中に残存する。有機不純物および無機不純物の双方とも、電子デバイスの作動に不利な影響を与え得ることが一般的に知られている。従って、出来るだけ光酸発生物質の使用を減じることを可能にすることが所望され得る。加えて、高いエネルギーのUV放射が現在のところ架橋には必要であることは、副反応とおよび有機半導体の分解をもたらし、かさねて電子デバイスの作動に不利に影響を与えることになる。従って、より穏やかな架橋方法を利用可能にすることが所望される。
【0005】
未公開特許出願 DE 10340711.1 は、どのようにOLEDにおける発光層とドープされた電荷注入層との間の、カチオン的に架橋可能である中間層を、熱処理により、おそらくドープされた電荷注入層からのプロトンを用いて架橋することができるかということを記載している。これは、光酸発生物質の添加を回避することを可能にする。しかしながら、この方法は、まず第一にドープされた電荷注入層があって、第二に架橋が、広い範囲に渡って行われる場合にのみ用いることができるのみである。構造化はこのような方法では可能ではなく、従って、この方法は、幅広い適用を見出すことができない。
【0006】
US 6593388 は、300〜600nmの範囲において吸収するポリマー状の光増感剤を、カチオン的に光重合できるモノマーとオニウム塩との混合物に混合し、この混合物に照射することにより、どのようにカチオン性光重合の速度を速めることができるかを記載している。低分子量の光増感剤は、この目的のために文献に何度も記載されている(例えば、J.V.クリベロ(Crivello)、Designed Monomers and Polymers 2002, 5, 141)。結果、重合はより迅速に進行し、より低いエネルギーの放射を用いることができる。しかしながら、低分子量であるかポリマーであるかにかかわらず、混合される光増感剤の、有機電子デバイスについての不利点は明らかである。すなわち、これらは電子的に活性な化合物であって、架橋後フィルムから完全に分離することができず、従って、不純物として、例えば、電荷輸送に影響を与えることにより、または再吸収と場合によっては再発光により、デバイスの機能に不利に影響を与え得る。従って、このアプローチは、有機半導体の架橋には適さない。
【0007】
驚くべきことに、オキセタン官能化された有機半導体の架橋の開始が、光酸発生物質の吸収帯における照射により行われない場合に、従来技術に従うよりも、より効率的に且つ迅速に架橋が進行するということを見出した。従って、より少ない開始剤(光酸発生物質)が必要とされ、デバイスは、架橋後、よりわずかな不純物(とりわけ、光酸発生物質の反応生成物)を含み、より良好な性質を有するという結果を伴う。さらに、従来技術に従う架橋の場合のように、架橋反応を開始するために短波長のUV放射を用いて放射する必要はない。多くの有機化合物は光安定でなく、特に短波長のUV光には安定でないために、このことは著しい利点を提供する。より穏やかな架橋条件は、望まない副反応を回避することを可能にする。従って、電子デバイスは、その架橋がより短波長の(従ってより高エネルギーの)UV照射により従来技術に従って開始されるデバイスと比較して、とりわけ効率と寿命に関して、より優れた性質を有する。
【0008】
従って、本発明は、少なくとも1種の添加されたオニウム化合物により、および照射により開始される、オキセタン官能化された有機半導体および有機伝導体、好ましくはオリゴマーおよびポリマー有機半導体並びに有機伝導体を架橋するための方法であって、照射を、オニウム化合物の吸収帯外で行うことを特徴とする方法に関する。
【0009】
本発明の目的のために、オニウム化合物の吸収帯外の照射とは、照射波長におけるオニウム化合物の吸光度が、最大吸光度のせいぜい5%、好ましくはせいぜい3%、最大吸光度の特に好ましくはせいぜい1%であることを意味するものとする。照射が、オニウム化合物の吸収極大よりも少なくとも80nm長い波長、好ましくは100nm長い波長において行われる場合に、特に良好な結果が得られることを見出した。しかしながら、照射波長とオニウム化合物の吸収極大との差が、80nm未満である場合にも、良好な結果が既に得られる。
【0010】
本発明の目的のために、オキセタン官能化されたとは、少なくとも1つのオキセタン基が、少なくとも1つの有機半導体または有機伝導体に、任意にスペーサを介して、共有結合されることを意味する。
【0011】
本発明は、さらに、有機半導体層であって、これは、本発明による方法により架橋されていることを特徴とする有機半導体層に関する。
【0012】
本発明は、さらに、有機電子デバイスの製造方法であって、有機半導体または有機伝導体を架橋するための本発明による方法を、少なくとも1つの層について用いることを特徴とする有機電子デバイスの製造方法に関する。
【0013】
本発明は、さらに、有機電子デバイスであって、これらは、本発明による方法により架橋された少なくとも1つの層を含むことを特徴とする有機電子デバイスに関する。
【0014】
それ自体が既知である架橋された有機半導体および有機伝導体の層と、このような層を含む電子部品は、既に文献中に記載されている。本発明による方法により製造される層と電子部品は、今日まで記載されているものと比較して、改善された形態的な性質と電子的な性質を示す(このことは、とりわけ、例3において明らかに確認される)。とりわけ、溶媒に対する層の耐性、および電子デバイスの効率と寿命は、改善された架橋条件により大幅に改善される。
【0015】
オニウム化合物とは、中性分子の中心原子上へのプロトンまたは他の陽性基の付加により生成する配位的に飽和なカチオンを有する塩状の化合物を意味するものとする。これらは、例えば、アンモニウム化合物(R)、オキソニウム化合物(R)、スルホニウム化合物(R)、クロロニウム化合物(RCl)、ブロモニウム化合物(RBr)、ヨードニウム化合物(R)等を含む。これらの化合物のいくつかについては、光酸発生物質として作用する、すなわち、一般的に200〜300nmの波長範囲において、照射中分解反応によってプロトンを遊離することが知られている。既知であり、この目的に特に適しているのが、ジアリールヨードニウム塩、ジアリールブロモニウム塩、ジアリールクロロニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、およびジアルキルフェナシルスルホニウム塩である。光酸発生物質の具体的な例は、4−(チオフェノキシフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩、または{4−[(2−ヒドロキシテトラデシル)オキシ]フェニル}フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩、および EP 1308781 に記載される他のものである。
【0016】
本明細書の目的のために、有機半導体は、固体または層として半導体性質を有する、すなわち、伝導帯と荷電子帯との間のエネルギーギャップが、0.1〜4eVである化合物である。適切な有機半導体または有機伝導体は、原則としては、低分子量、オリゴマー、樹枝状またはポリマーの半導体材料または伝導体材料である。本発明の目的のために、有機材料とは、純粋な有機材料のみでなく、有機金属材料および有機配位子を有する金属配位化合物も意味するものと解釈される。ここでの材料は、共役、非共役、または部分的に共役していてよく、好ましくは共役しているか部分的に共役しており、特に好ましくは共役している。
【0017】
少なくとも1つのH原子が、式(1)、式(2)、式(3)、または式(4)の基により置き換えられている有機半導体および有機伝導体が好ましい。
【化3】

【0018】
(式中、以下が、用いられる記号と添え字に適用される。すなわち、
は、出現毎に同一であるか異なり、水素、1〜20個のC原子を有する直鎖の、分岐の若しくは環状のアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシ基若しくはチオアルコキシ基、4〜18個の芳香族環原子を有するアリール基若しくはヘテロアリール基、または2〜10個のC原子を有するアルケニル基であって、ここで、1以上の水素原子は、ハロゲンまたはCNにより置き換えられてもよく、また1以上の非隣接のC原子は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−O−CO−により置き換えられてもよく、
は、出現毎に同一であるか異なり、水素、1〜20個のC原子を有する直鎖の、分岐の若しくは環状のアルキル基若しくはアルコキシアルキル基、4〜18個の芳香族環原子を有するアリール基若しくはヘテロアリール基、または2〜10個のC原子を有するアルケニル基であって、ここで、1以上の水素原子は、ハロゲンまたはCNにより置き換えられてもよく、また1以上の非隣接のC原子は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−O−CO−により置き換えられてもよく、
Zは、出現毎に同一であるか異なり、二価の基−(CR−(ここで、1以上の非隣接のC原子は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−O−CO−により置き換えられてもよい)、または4〜40個のC原子を有する二価のアリール基若しくはN−、S−および/またはO−ヘテロアリール基(これは、1以上のR基により置換されていてもよい)であり、
、Rは、出現毎に同一であるか異なり、水素、1〜20個のC原子を有する直鎖の、分岐の若しくは環状のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基若しくはチオアルコキシ基、4〜20個の芳香族環原子を有するアリール基若しくはヘテロアリール基、または2〜10個のC原子を有するアルケニル基であって、ここで、1以上の水素原子は、ハロゲンまたはCNにより置き換えられてもよく、RまたはR基は、互いに、またはR若しくはRと環構造を形成していてもよく、
nは、出現毎に同一であるか異なり、0〜30の整数、好ましくは1〜20の、特に2〜12の整数であり、
xは、出現毎に同一であるか異なり、0〜5の整数、好ましくは1〜3の整数であり、
但し、式(1)または式(2)の基の数は、利用できる、すなわち、代替可能な、有機半導体または伝導体のH原子の最大数により制限される)。
【0019】
式(1)〜(4)における破線は、有機半導体への結合を示す。ここではメチル基を意味するとは解釈されない。
【0020】
式(3)および式(4)の化合物は新規である。従って、これらも同様に、本発明の主題である。
【0021】
少なくとも1つのH原子が、式(1)の基により置き換えられている有機半導体および有機伝導体が特に好ましい。
【0022】
本発明の1つの側面は、有機伝導体に関する。これは、好ましくは、電荷注入材料および/または電荷輸送材料として用いられる。ここで、有機伝導体は、電子伝導性と正孔伝導性の双方を有し得る。
【0023】
本発明のさらなる側面は、有機半導体に関する。これは、好ましくは、(正孔または電子のための)電荷注入材料、および/または(正孔または電子のための)電荷輸送材料、および/または一重項状態若しくは三重項状態のいずれかから光を放射することができる発光材料、および/または障壁材料(これは、例えば、正孔障壁材料、電子障壁材料、および/または励起子障壁(exciton-blocking)材料であり得る)として用いられる。
【0024】
本発明の好ましい側面において、架橋可能な化合物は、発光化合物である。これは、本発明による架橋方法により特に効率的に架橋され得、改善された物性を有する構造化された電子デバイスへの容易な経路を与える。
【0025】
架橋可能な層は、伝導性の、ドープされたポリマーと有機半導体との間に導入される、オキセタン含有の「緩衝層」でもあり得る。このタイプの緩衝層の使用は、未公開特許出願 DE 10340711.1 中に記載されている。ここでもまた、本発明による架橋方法は、層を効率的に架橋する簡単な方法を提供する。
【0026】
好ましいオニウム化合物は、ジアリールヨードニウム塩、ジアリールブロモニウム塩、ジアリールクロロニウム塩、およびトリアリールスルホニウム塩であり、特に好ましくはジアリールヨードニウム塩、ジアリールブロモニウム塩、およびジアリールクロロニウム塩であり、ここで、アニオンは変えることができるが、一般的には、例えば、PF、SbF、SbCl、BF、B(C等のような、弱い求核アニオンが選択される。
【0027】
混合物中または層中のオニウム化合物の割合は、広い範囲で変化し得る。しかしながら、分解反応の反応生成物が、出来るだけ電子デバイスの機能に影響を与えないように、出来るだけ低い割合を保つことが好ましい。一方で、この割合は、出来るだけ十分に架橋を開始するために十分であることを確実にすることが必要である。半導体の異なる電子性質は、その架橋における性質にも影響を与えるために、開始剤(オニウム化合物)の割合は、それぞれの有機半導体について、およびそれぞれのオニウム化合物について別個に最適化され得る。一般的に、混合物中のオニウム化合物の割合が、0.01〜5重量%から選択されることが好ましく、特に好ましくは0.05〜3重量%、特に0.1〜2重量%から選択されることが判明した。これらの値は、特にジアリールヨードニウム化合物に当てはまり、他の化合物については、これらの値がこれから外れることは十分にあり得る。大雑把に言えば、半導体が容易に酸化しない場合には、非常に低い割合のオニウム化合物、好ましくは0.1〜0.5重量%の範囲におけるオニウム化合物が、良好な架橋に適切である一方で、非常に電子リッチな、容易に酸化し得る半導体の場合には、より高い割合のオニウム化合物、好ましくは1〜2重量%の範囲におけるオニウム化合物が、良好な架橋に必要とされるということが見出された。
【0028】
照射後に、架橋を完結するために、および/または層から反応性の中間体を除くために、層を後処理することが好ましい。
【0029】
この目的のために、層を、照射が完了した後、好ましくは50〜250℃の温度範囲に、特に80〜150℃の温度範囲で状態調節することができる。この状態調節時間は、好ましくは0.1〜10分、特に1〜3分である。特定の理論に拘束されることを望まないが、本発明者等は、このことは、フィルム中の反応性オキセタン単位の移動度を増し、従って、架橋の度合いが上昇すると考えている。ここでの温度は、用いられる材料に適合される。従って、ポリマーネットワークが得られ、これは、事実上、THFおよび他の一般的な有機溶媒に不溶である。
【0030】
さらに、層を、好ましくは、照射が完了した後、および必要に応じて状態調節後に、例えば、THFのような溶媒を用いてすすぐ。他の添加剤が、任意に、この溶媒中に混合されるか溶解され得る。例えば、還元剤(例えば、LiAlH、MBDQフリーラジカルアニオン=2,6−ジメチル2’,6’−ジ−tert−ブチルジキノンフリーラジカルアニオン、ヒドラジン、ヒドラジン誘導体等)、または弱塩基/求核試薬(例えば、テトラブチルアンモニウムアセテートまたはブロミド等)である。これらの添加剤の濃度は低く、好ましくは10−4モル/l未満、特に好ましくは10−5モル/l未満である。驚くべきことに、その結果として、層はより優れた電子性質を有することが見出された。特定の理論に拘束されることを望まないが、本発明者等は、還元剤は、形成されるいずれものフリーラジカルカチオンを除去し(中性分子への還元)、求核試薬/塩基は、架橋反応のカチオン性中間体(例えば、オキソニウムイオン)を中和すると考えている。
【0031】
オニウム化合物の存在下で進行し、および照射により開始される本架橋反応は、従来技術に対して、照射をオニウム化合物の吸収帯において行わないということを特徴とする。ここでは、オニウム化合物の吸収極大よりも少なくとも80nm長い、特に好ましくは、オニウム化合物の吸収極大よりも100nm長い波長において照射することが好ましい。これらの数値は、吸収の決定的な極大と放出との分離に相当する。このことは、オニウム化合物は、光酸発生物質として直接的に作用することはできず、すなわち、直接的にプロトンを遊離することはできないということを意味する。驚くべきことに、それにも関わらず、オキセタン基の架橋は、非常に効率的に且つ迅速に起こり、実際に、照射が、他の点に関しては同様の条件下で、オニウム化合物の吸収帯においてではなく、有機半導体または有機伝導体の吸収帯において行われる場合には、架橋された層はより耐久性を有するということが見出された。特定の理論に拘束されることを望まないが、本発明者等は、オキセタン官能化された伝導体または半導体は、反応のための光増感剤としての役割を果たすと考えている。オキセタンの光増感カチオン性重合は、原則として文献に開示されているが、ここでは、用いられる増感剤は、ポリマーに別個に加えられている。しかしながら、これまで、「マクロモノマー」、すなわち、架橋可能な基を有するポリマーが、それ自体、光増感剤としての役割を果たすことができるということは記載されていない。従って、増感剤は、実質的に100%の割合でフィルム中に存在する。このタイプの「自己増感(autosensitisation)」が実際に首尾よく進行するという事実は新規であり、驚くべき結果である。別個に加えられる増感剤による光増感と比較して、最良の見込まれる電子性質を生み出すために、添加される増感剤のような不純物を、ここでは実質的に回避することが必要なために、このことは、電子部品の製造についての非常に大きな利点である。
【0032】
照射を、好ましくは、有機半導体の吸収帯において、特に個々の吸収帯の吸収極大の+/−50nmまでの範囲における波長において行う。最も広い意味でポリ−パラ−フェニレン誘導体に基づく共役ポリマー(ポリフルオレン、ポリスピロビフルオレン等)については、照射を、好ましくは、例えば、370〜450nmの範囲において行う。照射時間は、非常に短いものを選択することができ、非常に良好な架橋結果がやはり得られる。照射を、好ましくは、0.01〜10秒間、特に好ましくは0.1〜3秒間で行い、ここで、これらの時間は、<1mW/cmの光量に対応し、より高い光量においては、適切な場合には、さらにより短い露光時間で十分であり得る。
【0033】
本発明の1つの側面において、架橋化合物は、既に上記したように電荷輸送化合物である。新規の方法は、ここで、さらなる予期されない利点を提供する。すなわち、本発明に従って架橋された電荷輸送化合物のフィルムが、通常慣例的であるが、反応を完結させるため、および電荷担体を除去するために、架橋後処理されない場合には、このフィルムは、通常の様式で状態調節され洗浄されたフィルムと比べて、有意により優れた電荷輸送性を有する。特定の理論に拘束されることを望まないが、本発明者等は、電荷輸送化合物と添加される光酸発生物質との間の光誘起反応は、電荷輸送化合物上で、活性種、例えば、フリーラジカルカチオンの生成を引き起こし(これは、ポリマーの(酸化的な)ドーピングに相当する)、電荷輸送性における有意な改善をもたらすと考えている。ドーピングの程度を、続く状態調節工程および/または添加剤を用いる(用いない)すすぎ工程の正確な条件を通して調節することができる。しかしながら、ドーピングが所望されない場合には、これを、この場合もやはり、状態調節工程およびすすぎ工程により除去することができる。
【0034】
好ましい態様において、本発明による方法は、従って、架橋に加えて同時に層のドーピングをもたらす手段として、電荷輸送材料について用いられる。
【0035】
同時に起こる架橋および電荷輸送材料のドーピングについての匹敵する代替法は、酸化剤の添加による架橋反応の直接の酸化的開始である。これも、同様に、本発明の主題である。これは、光増感により可能であるものと比べて、より高い程度のドーピングをもたらすことを可能にする。この目的のために適切な酸化剤は、例えば、ニトロソニウム塩、トリアリールアンモニウムフリーラジカルカチオンの塩、または例えば、揮発性化合物若しくは易溶性の化合物のような、その反応生成物を、架橋後フィルムから容易に除去することができる他の酸化剤、またはその反応生成物が不活性であり、且つ電子デバイスの作動中、フィルムにおける不利な影響を有さない酸化剤である。容易に取り扱えるNO化合物は、例えば、NO(BF)またはNO(SbF)である。トリス(4−ブロモフェニルアンモニウム)塩は、安定なフリーラジカルカチオンの例である。添加される酸化剤は、第1に、オキセタン基の架橋が開始されることを可能にし、および第2に、電荷輸送材料の酸化的なドーピングを同時に促進する。架橋を、光誘起によってではなく、酸化剤の添加により行う場合には、構造化はもはや可能でなく、この理由のために、上記した本発明による方法は、特に構造化されるポリマーについては、酸化剤の添加よりも好ましい。
【0036】
オキセタン基の存在は、オニウム化合物による電荷輸送材料の光増感ドーピングに絶対的に必要ではなく、ここで、架橋の可能性は、オキセタン官能基無しでは当然ながら除外されるということをここでさらに言及しておく。従って、本発明は、さらに、照射を光酸発生物質の吸収帯外で、好ましくは、オニウム化合物の吸収極大よりも少なくとも80nm長い、特に好ましくは少なくとも100nm長い波長において行うことを特徴とするオニウム化合物による電荷輸送材料の光増感ドーピングに関する。
【0037】
デバイスは、WO 02/10129 および未公開特許出願 DE 10340711.1 中に記載されており、上記した新規の架橋方法に従って適応させる必要がある一般方法を用いて一般的に製造する。
【0038】
有機電子デバイスは、オキセタン含有架橋化合物を含む1層のみから成っていてもよく、または複数の層から成っていてもよい。1を超えるこれらの層が架橋されることが好ましい。1つの層のみが架橋されており、他の層は架橋されないことも好ましい。さらなる層は、伝導性の、例えば、例えばポリチオフェンまたはポリアニリン誘導体のような、ドープされた伝導性の電荷注入層であり得る。これらは、例えば、電子注入材料として高誘電率を有する化合物、例えばLiF、NaF、BaF等を使用するように、半導体であるか非伝導体であり得る。
【0039】
本発明の目的のために、電子デバイスは、有機発光ダイオードおよびポリマー発光ダイオード(OLED、PLED:例えば、EP-A-0 676 461、WO 98/27136 )、有機太陽電池(O−SC:例えば、WO 98/48433、WO 94/05045)、有機電界効果トランジスタ(O−FET:例えば、US 5705826、US 5596208、WO 00/42668)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機集積回路(O−IC:例えば、WO 95/31833、WO 99/10939)、有機光増幅器、または有機レーザーダイオード(O−laser:例えば、WO 98/03566)であり、特には、有機発光ダイオードおよびポリマー発光ダイオードである。本発明の目的のために、有機とは、少なくとも1種の有機半導体または有機伝導体を含む少なくとも1つの層が存在することを意味する。
【0040】
驚くべきことに、新規の架橋方法は、従来技術に従って(照射が、光酸発生物質の吸収帯において行われる)光誘起される架橋に対して、以下の利点を提供する。
【0041】
1)架橋を、従来技術に従って可能であるものよりも、より穏やかな条件下で行うことができる。プロトンを遊離し且つ架橋を開始するために、光酸発生物質の場合には、より高いUV放射が必要である一方で、本発明による方法の場合における反応を、有意により低いエネルギー(=より長い波長)の光で開始することができる。とりわけ、光化学的に不安定である有機半導体および有機伝導体について(および、このことは、今日までのところ必要とされるUV放射の場合において、殆どの有機半導体および伝導体にも当てはまる)、新規の架橋方法は、高エネルギーUV放射による層における副反応および分解を実質的に回避するために、明らかな利点を提供する。
【0042】
2)架橋は、従来技術に従う場合と比較して、より迅速且つ効率的に進行する。それによって、架橋を、これまでと比較してより短い時間で行うことができ、これは、より短い露光時間のために、材料を保護し、副反応を低減させる。加えて、より短い架橋時間は、工業的生産方法における明らかな利点を示す。従って、デバイスの構造化は、非常に効率的であり、これまでと比べてより短い時間で同様に可能である。
【0043】
3)より少ない光酸発生物質の添加を伴う本発明による方法により架橋される層は、それでもなお、溶媒に対するより良好な耐性を有する。従って、これらは、一方ではより良好に構造化されると同時に、他方では、順に重ねる複数の層の適用も改善される。
【0044】
4)新規な方法により架橋される電子デバイスの物性、特に効率、駆動電圧および寿命は、層が、従来技術に従う方法により架橋されている電子デバイスと比較して、より優れている。このことは、予測されず、驚くべき効果である。特定の理論に拘束されることを望まないが、本発明者等は、より少ない不純物(光酸発生物質の反応生成物)が層の中に残存するために、光酸発生物質の減じられた添加が、このプラスの効果の原因であり得、並びに/またはこの効果は、より穏やかな架橋条件および/若しくはより短い露光時間により得られると考えている。
【0045】
5)層の光増感架橋後、電荷(フリーラジカルカチオン)は、有機半導体上に残存したままであり得る。このことは、とりわけ、電荷輸送材料および/または電荷注入材料の場合に有利であり、何故なら、さらなる電荷は、ドーピング機能を果たし、従って、これらの材料の固有の伝導性を高めるためであり、これは、電荷輸送性には所望される。ドーピングの程度を、続く状態調節s工程および/またはすすぎ工程により、所望されるアプリケーションに従って調節することができる。
【0046】
本発明を、以下の例により極めて詳細に説明するが、これらに制限されることを望まない。これらの例は、ポリマー発光ダイオードを論じたのみである。しかしながら、当業者は、発明を必要とすることなく、本例から、ほんの数例を挙げると、例えば、O−SC、O−FET、O−IC、光増幅器、およびO−laserのようなさらなる電子デバイスを製造することができるであろう。
【0047】

例1:自己光増感架橋の一般方法
全てのプロセス工程を、保護雰囲気下で行う。適した量の開始剤(0.1〜2重量%)を、スピンコーティングの直前に、半導体の溶液に加える。以下の例において用いた開始剤は、{4−[(2−ヒドロキシテトラデシル)オキシ]フェニル}フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩であった。添加を、新たに調製した原液(THF中10mg/ml)から行う。スピンコーティングプロセスの直後に、架橋可能なフィルムを、広い範囲に渡って、またはマスクを介して露光する。従来式の4Wチューブ(UV−A、365nm)を有する標準的なUVハンドランプのほかに、用いた露光源は、主に、GaN高性能UVダイオード(395nm)であった。このタイプのダイオードは、専門の電子機器店から種々のデザインで市販されている。1〜3秒の露光時間で十分であり、基材と露光源との間隔は、数センチメートルである。架橋プロセスを完結するために、フィルムを、90〜150℃で約1分間状態調節する。状態調節後、または次の層の適用前に、フィルムを、例えばスピンコーターにおいて、適切な溶媒量で滴らせることにより、THFを用いてすすぐ。例えば、3分間180〜200℃でのさらなる状態調節工程(後焼き)を、任意に、すすぎ工程の後に行うことができる。
【0048】
例2:酸化的架橋の一般方法
全てのプロセス工程を、不活性ガス下で行う。適切な量の酸化剤(例えば、0.01〜5重量%)を、スピンコーティングの直前に、半導体溶液に加える。ここで用いた酸化剤は、ニトロメタン中のニトロソニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩(NOSbF)の溶液であった。添加は、新たに調製される原液(THF中5mg/ml)から行う。酸化剤を添加した後、フィルムをスピンコーティングにより得る。この直後、フィルムを100℃で状態調節し、これは、フィルムの架橋をもたらす。スピンコーティングプロセス中の溶液の濃度に起因して、ある程度の架橋は起こり、すなわち、溶媒に対する40〜80%の範囲におけるある程度の耐性を、状態調節工程なしでも得ることができるということを指摘しておく。状態調節工程後、または次の層の適用前に、フィルムを、例えばスピンコーターにおいて、適切な溶媒量で滴らせることにより、THFを用いてすすぐ。高いドーピング濃度において、すなわち、1重量%を超えるNOSbFの添加の際は、高度にドープされた層と続くエレクトロルミネセンスポリマーとの間の直接の接触を防止するために、さらなる層を通常は適用する。より高い酸化ポテンシャルを有する正孔伝導体(これは、理想的には、ドープされた(酸化的に架橋された)層とECポリマーの間に存在する)を、この目的のために用いる。
【0049】
例3:PLEDのデバイス性質
ITO//20nmPEDOT//80nmポリマー//Ba//Ag構造を有する2層デバイスを製造した。用いた半導体は、オキセタン基を用いて官能化されたポリスピロビフルオレンに基づく赤色−、緑色−、および青色発光共役ポリマーであった。これらの材料とその合成は、既に文献(Nature 2003,421,829)に記載されている。種々の量の光開始剤({4−[(2−ヒドロキシテトラデシル)オキシ]フェニル}フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩)をここに加え、層に、種々の波長の光を照射し、種々の温度で状態調節した。以下の表1は、架橋条件と、いずれの場合にもエレクトロルミネセンス結果を示す。
【表1】

【0050】
表1:種々の方法により架橋されたポリマーのデバイス性質
Nature 2003, 421, 829-833 に従う架橋可能なポリマー
ポリマーの重量に基づく重量%
照射波長
THFを用いたすすぎ後の、%での吸収により決定したTHFに対する耐性(参照:すすがない基材)。
【0051】
明らかに理解されるように、従来技術に従う場合と比較して、溶媒に対する同じ耐性についてのより少ない開始剤の使用から明らかであるが、本発明による方法を用いる架橋は、より短い時間で、それにも関わらずより十分に起こる。それに反して、光酸発生物質の吸収帯における照射が、その他の点では同一の条件下でより短い時間で行われる場合には、ポリマーフィルムの溶媒耐性は低下する。
【0052】
さらに、フィルムが、本発明による方法により架橋されている場合には、デバイスにおける性質は改善されるということが、デバイス例から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】THFを用いてすすぐ前後の化合物OTPDのフィルムのUV/VISスペクトル。標示「UVのみ」は、状態調節工程がないことを意味し、標示「150℃+UV」は、ホットプレート上150℃での光の照射を意味する。
【図2】それぞれ3つの異なる開始剤濃度を伴うOTPDとMUPDの正孔オンリーダイオード。
【図3】それぞれ、THFを用いるすすぎを伴う、および伴わない誘導体OTPDとMUPDの正孔オンリーダイオード。
【図4】それぞれ、3つの異なる温度において状態調節された誘導体OTPD、MUPDおよびQUPDの正孔オンリーダイオード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の添加されたオニウム化合物により、および照射により開始される、オキセタン官能化された有機半導体および有機伝導体を架橋するための方法であって、前記照射を、前記オニウム化合物の吸収帯外で行うことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記照射を、前記オニウム化合物の吸収極大よりも少なくとも100nm長い波長において行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有機半導体または有機伝導体が、オリゴマーまたはポリマーであることを特徴とする請求項1および/または2に記載の方法。
【請求項4】
前記有機半導体または有機伝導体中の少なくとも1つのH原子が、式(1)、式(2)、式(3)、または式(4)の基により置き換えられていることを特徴とする請求項1〜3の一項以上に記載の方法。
【化1】

(式中、以下が、用いられる記号および添え字に適用される。すなわち、
は、出現毎に同一であるか異なり、水素、1〜20個のC原子を有する直鎖の、分岐の若しくは環状のアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシ基若しくはチオアルコキシ基、4〜18個の芳香族環原子を有するアリール基若しくはヘテロアリール基、または2〜10個のC原子を有するアルケニル基であって、ここで、1以上の水素原子は、ハロゲンまたはCNにより置き換えられてもよく、また1以上の非隣接のC原子は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−O−CO−により置き換えられてもよく、
は、出現毎に同一であるか異なり、水素、1〜20個のC原子を有する直鎖の、分岐の若しくは環状のアルキル基若しくはアルコキシアルキル基、4〜18個の芳香族環原子を有するアリール基若しくはヘテロアリール基、または2〜10個のC原子を有するアルケニル基であって、ここで、1以上の水素原子は、ハロゲンまたはCNにより置き換えられてもよく、また1以上の非隣接のC原子は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−O−CO−により置き換えられてもよく、
Zは、出現毎に同一であるか異なり、二価の基−(CR−(ここで、1以上の非隣接のC原子は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−O−CO−により置き換えられてもよい)、または4〜40個のC原子を有する二価のアリール基若しくはN−、S−および/またはO−ヘテロアリール基(これは、1以上のR基により置換されていてもよい)であり、
、Rは、出現毎に同一であるか異なり、水素、1〜20個のC原子を有する直鎖の、分岐の若しくは環状のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基若しくはチオアルコキシ基、4〜20個の芳香族環原子を有するアリール基若しくはヘテロアリール基、または2〜10個のC原子を有するアルケニル基であって、ここで、1以上の水素原子は、ハロゲンまたはCNにより置き換えられてもよく、RまたはR基は、互いに、またはR若しくはRと環構造を形成していてもよく、
nは、出現毎に同一であるか異なり、0〜30の整数であり、
xは、出現毎に同一であるか異なり、0〜5の整数であり、
但し、式(1)または式(2)のこれらの基の数は、前記有機半導体または有機伝導体の利用できるH原子の最大数により制限される;
ここでの破線は、前記有機半導体への結合を示す)。
【請求項5】
前記有機半導体または有機伝導体中の少なくとも1つのH原子が、請求項4に記載の式(1)の基により置き換えられていることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記有機半導体が、電荷輸送性、および/または発光性、および/または障壁性を有することを特徴とする請求項1〜5の一項以上に記載の方法。
【請求項7】
用いられる前記オニウム化合物が、少なくとも1種のジアリールヨードニウム塩、ジアリールブロモニウム塩、ジアリールクロロニウム塩、またはトリアリールスルホニウム塩であることを特徴とする請求項1〜6の一項以上に記載の方法。
【請求項8】
混合物中、または層中の前記オニウム化合物の割合が、0.01〜5重量%であることを特徴とする請求項1〜7の一項以上に記載の方法。
【請求項9】
前記混合物中、または前記層中の前記オニウム化合物の割合が、0.1〜2重量%であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記層を、照射後、後処理することを特徴とする請求項1〜9の一項以上に記載の方法。
【請求項11】
前記層を、照射後、状態調節することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記層を、50〜250℃の温度範囲で状態調節することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記層を、0.1〜10分間状態調節することを特徴とする請求項10および/または11に記載の方法。
【請求項14】
前記層を、照射後、および必要に応じて状態調節後、溶媒を用いてすすぐことを特徴とする請求項10〜13の一項以上に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1種の還元剤、および/または少なくとも1種の弱塩基または求核試薬を前記溶媒に加えることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記照射を、前記有機半導体の個々の吸収帯の吸収極大の+/−50nmまでの範囲の波長で行うことを特徴とする請求項1〜15の一項以上に記載の方法。
【請求項17】
前記照射時間が、<1mW/cmの光量で、0.01〜10秒であることを特徴とする請求項1〜20の一項以上に記載の方法。
【請求項18】
架橋に加えて、前記層のドーピングを、前記照射後に、不完全に前記層を状態調節するおよび/またはすすぐことにより同時にもたらすことを特徴とする請求項1〜17の一項以上に記載の方法。
【請求項19】
式(3)および式(4)の化合物。
【化2】

(式中、用いられる記号と添え字は、請求項4において記載したものと同じ意味を有する)。
【請求項20】
少なくとも1種の酸化剤を前記架橋反応に加えることを特徴とする、オキセタン含有有機半導体を架橋する、および任意に同時にドープするための方法。
【請求項21】
前記照射を、光酸発生物質の吸収帯外で行うことを特徴とする、光酸発生物質による有機半導体または有機伝導体の光増感ドーピングのための方法。
【請求項22】
請求項1〜21の一項以上に記載の方法により製造されたことを特徴とする有機半導体層。
【請求項23】
請求項1〜21の一項以上に記載の方法を、少なくとも1つの層について用いることを特徴とする、有機電子デバイスの製造方法。
【請求項24】
請求項1〜21の一項以上に記載の方法により製造される少なくとも1つの層を含むことを特徴とする有機電子デバイス。
【請求項25】
有機発光ダイオード若しくはポリマー発光ダイオード(OLED、PLED)、有機太陽電池(O−SC)、有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機集積回路(O−IC)、有機光増幅器、または有機レーザーダイオード(O−laser)であることを特徴とする請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−527119(P2007−527119A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500160(P2007−500160)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001978
【国際公開番号】WO2005/083812
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】