説明

有機半導体デバイスに使用するためのジケトピロロピロールポリマー

本発明は、式(I)の1つ以上の(繰り返し)単位と、式(II)、(III)、および(IV)の繰り返し単位から選択された少なくとも1つの(繰り返し)単位とを含むポリマー;および式IIIまたはIVのポリマー、ならびに有機デバイス、特に有機光電装置(太陽電池)およびフォトダイオード、またはダイオードおよび/または有機電界効果トランジスタを含有するデバイスにおける、有機半導体としてのそれらの使用に関する。本発明によるポリマーは、有機溶媒に対する優れた溶解性および優れた膜形成能を有する。さらに、本発明によるポリマーを有機電界効果トランジスタ、有機光電装置(太陽電池)、およびフォトダイオードにおいて使用したとき、高効率のエネルギー変換、優れた電界効果移動度、良好なオン/オフ電流比、および/または優れた安定性を認めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式
【化1】

の1つ以上の(繰り返し)単位と、式
【化2】

の繰り返し単位から選択された少なくとも1つの(繰り返し)単位とを含むポリマー;および式IIIまたはIVのポリマー、ならびに有機デバイス、特に有機光電装置(太陽電池)およびフォトダイオード、またはダイオードおよび/または有機電界効果トランジスタを含有するデバイスにおける、有機半導体としてのそれらの使用に関する。本発明によるポリマーは、有機溶媒に対する優れた溶解性および優れた膜形成能を有する。さらに、本発明によるポリマーを有機電界効果トランジスタ、有機光電装置(太陽電池)、およびフォトダイオードにおいて使用したとき、高効率のエネルギー変換、優れた電界効果移動度、良好なオン/オフ電流比、および/または優れた安定性を認めることができる。
【0002】
米国特許(US−B)第6451459号(B. Tieke et al., Synth. Met. 130 (2002) 115−119; Macromol. Rapid Commun. 21 (4) (2000) 182−189を参照)は、以下の単位
【化3】

[式中、
xは、0.005〜1、好ましくは0.01〜1の範囲で選択され、yは、0.995〜0、好ましくは0.99〜0の範囲で選択され、このときx+y=1であり、
Ar1およびAr2は、互いに独立して、
【化4】

を表わし、
m、nは、1〜10の数であり、
1およびR2は、互いに独立して、H、C1−C18アルキル、−C(O)O−C1−C18アルキル、ペルフルオロ−C1−C12アルキル、非置換C6−C12アリール、またはC1−C12アルキル、C1−C12アルコキシ、もしくはハロゲンで1〜3回置換されたC6−C12アリール、C1−C12アルキル−C6−C12アリール、もしくはC6−C12アリール−C1−C12アルキルを表わし、
3およびR4は、好ましくは、水素、C1−C12アルキル、C1−C12アルコキシ、非置換C6−C12アリール、またはC1−C12アルキル、C1−C12アルコキシ、もしくはハロゲンで1〜3回置換されたC6−C12アリール、またはペルフルオロ−C1−C12アルキルを表わし、
5は、好ましくは、C1−C12アルキル、C1−C12アルコキシ、非置換C6−C12アリール、またはC1−C12アルキル、C1−C12アルコキシ、もしくはハロゲンで1〜3回置換されたC6−C12アリール、またはペルフルオロ−C1−C12アルキルを表わす]を含むジケトピロロピロールベースのポリマーおよびコポリマーと、ELデバイスにおけるその使用とを記載している。以下のポリマー
【化5】

は、Tieke et al., Synth. Met. 130 (2002) 115−119において、明確に開示されている。以下のポリマー
【化6】

は、Macromol. Rapid Commun. 21 (4) (2000) 182−189において、明確に開示されている。
【0003】
国際公開第05/049695号は、ジケトピロロピロール(DPP)ベースのポリマー、およびPLED、有機集積回路(O−IC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、有機太陽電池(O−SC)、または有機レーザダイオードにおけるその使用を開示しているが、式Iのポリマーをベースとする特定のDPPは開示していない。
【0004】
好適なポリマーは、式
【化7】

の繰り返し単位および繰り返し単位
【化8】

[式中、
1およびR2は、互いに独立して、C1−C25アルキル基、特にC4−C12アルキル基であり、これらは1つ以上の酸素原子で中断されていてもよく、Ar1およびAr2は、互いに独立して、式
【化9】

の基であり、このとき−Ar3−は、式
【化10】

の基であり、このとき
6は、水素、C1−C18アルキル、またはC1−C18アルコキシであり、R32は、メチル、Cl、またはOMeであり、R8は、H、C1−C18アルキル、またはEで置換および/またはDで中断されたC1−C18アルキル、特に−O−で中断されたC1−C18アルキルである]を含む。
【0005】
実施例12において、以下のポリマーの製造が記載されている。
【化11】

【0006】
国際公開第08/000664号は、式
【化12】

の(繰り返し)単位を含むポリマーを記載している。
【0007】
Ar1およびAr1’は、好ましくは同じであり、これらは式
【化13】

の基であり、
Ar2、Ar2’、Ar3、Ar3’、Ar4、およびAr4’は、互いに独立して、式
【化14】

の基であり、このとき、
pは、0、1、または2を表わし、R3は、同じであっても、または1つの群中で異なってもよく、これは場合によってはEで置換および/またはDで中断されていてもよいC1−C25アルキル、または場合によってはEで置換および/またはDで中断されていてもよいC1−C18アルコキシから選択され、
4は、場合によってはEで置換および/またはDで中断されていてもよいC6−C25アルキル、場合によってはGで置換されていてもよいC6−C14アリール、例えばフェニル、ナフチル、もしくはビフェニリル、場合によってはEで置換および/またはDで中断されていてもよいC1−C25アルコキシ、またはC7−C15アラルキルであり、このときarは、場合によってはGで置換されていてもよく、
Dは、−CO−、−COO−、−S−、−SO−、−SO2−、−O−、−NR25−であり、このときR25は、C1−C12アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、もしくはsec−ブチルであり、
Eは、−OR29、−SR29、−NR2525、−COR28、−COOR27、−CONR2525、または−CNであり、このとき、R25、R27、R28、およびR29は、互いに独立して、C1−C12アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ヘキシル、オクチル、もしくは2−エチル−ヘキシル、またはC6−C14アリール、例えばフェニル、ナフチル、もしくはビフェニリルであり、
Gは、Eと同様であるか、またはC1−C18アルキル、特にC1−C12アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ヘキシル、オクチル、もしくは2−エチル−ヘキシルである。
【0008】
実施例において、以下のポリマーが開示されている:
【化15−1】

【化15−2】

【0009】
本発明の目的は、有機電界効果トランジスタ、有機光電装置(太陽電池)、およびフォトダイオードにおいて使用したときに、高効率のエネルギー変換、優れた電界効果移動度、良好なオン/オフ電流比、および/または優れた安定性を示すポリマーを提供することである。
【0010】
前記目的は、式
【化16】

の(繰り返し)単位と、式
【化17】

の繰り返し単位から選択された少なくとも1つの(繰り返し)単位とを含むポリマー、

【化18】

の1つ以上の(繰り返し)単位を含むポリマー、または

【化19】

の1つ以上の(繰り返し)単位を含むポリマーであって、
式中、
Ar23は、式
【化20】

の基であり、
Ar30は、式
【化21】

または
【化22】

の基であり、このとき
26およびR26’は、互いに独立して、C1−C25アルキル基、特にC4−C18アルキル基であり、
Aは、式
【化23】

【化24】

の基であり、
aは、0、または整数1もしくは2であり、
b、0、または整数1もしくは2であり、
p、0、または整数1もしくは2であり、yは、0または1であり、
q、0、または整数1もしくは2であり、sは、0または1であり、
uは、整数1または2であり、tは、0または1であり、
vは、整数1または2であり、wは、0または1であり、
Ar21、Ar21’、Ar24、Ar24’、Ar25、Ar27、Ar29、Ar31、Ar31’、Ar38、Ar34、Ar36、Ar39、Ar1、およびAr1’は、互いに独立して、式
【化25】

の基であり、
Ar3およびAr3’は、互いに独立して、Ar1の意味を有するか、あるいは式
【化26】

の基であり、
Ar2、Ar2’、Ar26、Ar28、Ar33、Ar35、Ar37、Ar32、Ar32’、Ar22、およびAr22’は、互いに独立して、式
【化27】

の基であり、
1およびX2のうちの一方はNであり、他方はCHであり、
3およびX4のうちの一方はNであり、他方はCR3’であり、
1、R2、R24、およびR25は、同じであっても異なってもよく、これらは水素、C1−C100アルキル基、特にC6−C24アルキル基、C1−C8アルキル、C1−C8チオアルコキシ、および/またはC1−C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよいC6−C24アリール、特にフェニルまたは1−もしくは2−ナフチル、あるいはペンタフルオロフェニルから選択され、
3およびR3’は、互いに独立して、C1−C25アルキル基、特にC4−C25アルキルであり、これらは場合によっては、1つ以上の酸素原子で中断されていてもよく、
B、D、およびEは、互いに独立して、式
【化28】

または式Iの基であり、ただしB、D、およびEが式Iの基である場合、これらはAとは異なり、このとき
kは、1であり、
lは、0または1であり、
rは、0または1であり、
zは、0または1であり、
Ar4、Ar5、Ar6およびAr7は、互いに独立して、式
【化29】

の基であり、
このときX5およびX6のうちの一方はNであり、他方はCR14であり、
cは、整数1、2、または3であり、
dは、整数1、2、または3であり、
Ar8およびAr8’は、互いに独立して、式
【化30】

の基であり、X1およびX2は、上記に定義したとおりであり、
1’’およびR2’’は、同じであっても異なってもよく、これらは水素、C1−C36アルキル基、特にC6−C24アルキル基、C1−C8アルキル、C1−C8チオアルコキシ、および/またはC1−C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよいC6−C24アリール、特にフェニルまたは1−もしくは2−ナフチル、あるいはペンタフルオロフェニルから選択され、
14、R14’、R17、およびR17’は、互いに独立して、H、またはC1−C25アルキル基、特にC6−C25アルキルであり、これらは場合によっては、1つ以上の酸素原子で中断されていてもよいポリマーによって解決された。
【0011】

【化31】

の(繰り返し)単位と、式
【化32】

の繰り返し単位から選択された少なくとも1つの(繰り返し)単位とを含むポリマーは、式IIIまたはIVのポリマーと比較して好適である。
【0012】
A、B、D、およびEは、それぞれ異なる。ポリマーが、式
【化33】

の繰り返し単位を含む場合、これらは好ましくは、式
【化34】

[式中、x=0.995〜0.005、y=0.005〜0.995、特にx=0.2〜0.8、y=0.8〜0.2であり、このときx+y=1である]の(ランダム)コポリマーである。ポリマーが、式
【化35】

の繰り返し単位を含む場合、これらは好ましくは、式
【化36】

[式中、r=0.985〜0.005、s=0.005〜0.985、t=0.005〜0.985、u=0.005〜0.985であり、このときr+s+t+u=1である]の(ランダム)コポリマーである。本発明のポリマーは、好ましくは、二ハロゲン化物、例えば二臭化物または二塩化物、特に式
【化37】

の二臭化物と、(等モル)量の式
【化38】

[式中、X11は、上記に定義したとおりである]のジボロン酸もしくはジボロネートとの(鈴木)重合によって製造される(得ることができる)。あるいは、式
【化39】

のジボロン酸もしくはジボロネート[式中、X11は、上記に定義したとおりである]と、(等モル)量の二ハロゲン化物、例えば二臭化物または二塩化物、特に式
【化40】

の二臭化物とを反応させる。
【0013】
有利には、本発明のポリマー、または本発明のポリマーを含む有機半導体材料、層、もしくは要素は、有機光電装置(太陽電池)およびフォトダイオードにおいて、または有機電界効果トランジスタ(OFET)において使用することができる。
【0014】
本発明のポリマーは、コポリマーである。コポリマーは、1つを上回る種のモノマーに由来するポリマー、例えば二元ポリマー、三元ポリマー、四元ポリマーなどである。
【0015】
ポリマーという用語は、ポリマーに加えて、オリゴマーを含む。本発明のオリゴマーは、質量平均分子量が<4,000ダルトンである。本発明のポリマーは、好ましくは、質量平均分子量が4,000ダルトン以上、特に4,000〜2,000,000ダルトン、より好ましくは10,000〜1,000,000、最も好ましくは10,000〜100,000ダルトンである。現在最も好適なポリマーは、質量平均分子量30,000〜80,000ダルトンを有する。分子量は、ポリスチレン標準物質を用いた高温ゲル浸透クロマトグラフィ(HT−GPC)によって測定する。本発明のポリマーは、好ましくは多分散度が1.01〜10、より好ましくは1.1〜3.0、最も好適には1.5〜2.5である。
【0016】
Ar21およびAr21’、Ar24およびAr24’、Ar31およびAr31’、Ar8およびAr8’、Ar1およびAr1’は、同じであっても異なってもよいが、好ましくは同じである。Ar21、Ar21’、Ar24、Ar24’、Ar25、Ar27、Ar29、Ar31、Ar31’、Ar38、Ar34、Ar36、Ar39、Ar8、Ar8’、Ar1、およびAr1’は、式
【化41】

の基であってもよく、式
【化42】

の基が好適である。
【0017】
Ar3およびAr3’は、好ましくは、Ar1の意味を有する。
【0018】
Ar2およびAr2’、Ar32およびAr32’、Ar22およびAr22’は、同じであっても異なってもよいが、好ましくは同じである。Ar2、Ar2’、Ar26、Ar28、Ar33、Ar35、Ar37、Ar32、Ar32’、Ar22、およびAr22’は、式
【化43】

の基であってもよい。
【0019】
aが2である場合、Ar2は、式
【化44】

の基から構成されてもよく、すなわち、例えば、式
【化45】

の基であってもよい。
【0020】

【化46】

に示されるように、基
【化47】

は、DPP基本単位に結合していてもよく、あるいは2つの形
【化48】

(−−−はDPP基本単位との結合)で、ポリマー鎖中に配置されていてもよい。
【化49】

の表記は、両可能性を包含するものとする。
【0021】

【化50】

は、DPP基本単位に結合していてもよく、あるいは2つの形
【化51】

(−−−はDPP基本単位との結合)で、ポリマー鎖中に配置されていてもよい。
【化52】

の表記は、両可能性を包含するものとする。
【0022】

【化53】

は、DPP基本単位に結合していてもよく、あるいは2つの形
【化54】

(−−−はDPP基本単位との結合)で、ポリマー鎖中に配置されていてもよい。
【化55】

の表記は、両可能性を包含するものとする。
【0023】
24およびR25、R1およびR2は、異なってもよいが、好ましくは同じである。R24、R25、R1、およびR2は、直鎖状であってもよいが、好ましくは分枝鎖状である。R24、R25、R1、およびR2は、好ましくはC8−C36アルキル基、特にC12−C24アルキル基、例えばn−ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、2−エチル−ヘキシル、2−ブチル−ヘキシル、2−ブチル−オクチル、2−ヘキシルデシル、2−デシル−テトラデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、またはテトラコシルである。C8−C36アルキル基およびC12−C24アルキル基は、直鎖状または分枝鎖状であってよいが、好ましくは分枝鎖状である。本発明の特に好適な実施形態において、R24、R25、R1、およびR2は、2−ヘキシルデシルまたは2−デシル−テトラデシル基である。
【0024】
有利には、基R24、R25、R1、およびR2は、式
【化56】

[m1=n1+4であり、m1+n1≦22である]で表わすことができる。
【0025】
キラル側鎖、例えばR24、R25、R1、およびR2は、ホモキラルまたはラセミのいずれかであってよく、これはポリマーの形態に影響を与えうる。
【0026】
1’’およびR2’’は、同じであっても異なってもよく、これらは水素、C1−C36アルキル基、特にC6−C24アルキル基から選択される。
【0027】
3およびR3’は、互いに独立して、C1−C25アルキル基である。R3およびR3’は、分枝鎖状であってもよいが、好ましくは直鎖状である。R3およびR3’は、特に直鎖C4−C25アルキル基、特にn−ヘキシルである。
【0028】
本発明のポリマー中に基R15およびR3が存在する場合、それらは好ましくは同一である。
【0029】
さらに、2つのDPP構造体(
【化57】

)の間に少なくとも5個のチオフェンが存在するポリマーは好適である。
【0030】
特に好適な実施形態において、本発明は、式
【化58】

[式中、
xは、0.01〜0.99、特に0.8〜0.4であり、yは、0.99〜0.01、特に0.2〜0.6であり、
1は、C8−C36アルキル基、特にヘキシル−デシルであり、
3およびR15は、C1−C18アルキル基、特にn−ヘキシルである]のポリマーに関する。
【0031】
Aは、好ましくは、式I[式中、Ar3およびAr3’は、Ar1の意味を有する]の基である。
【0032】
Aは、好ましくは、式
【化59−1】

【化59−2】

[式中、
1、X2、X3、X4、R1、R2、およびR3は、上記に定義したとおりである]の基である。式Ia〜Igの基は、式Ihの基と比較して好適である。
【0033】
B、D、およびEは、互いに独立して、式
【化60】

[式中、
5’およびX6’のうちの一方はNであり、他方はCR14またはCHであり、
15、R15’、R17、およびR17’は、互いに独立して、H、または場合によっては1つ以上の酸素原子で中断されていてもよいC1−C25アルキル基、特にC6−C25アルキルであり、R14は、場合によっては1つ以上の酸素原子で中断されていてもよいC1−C25アルキル基、特にC6−C25アルキルである]の基である。B、D、およびEは、より好ましくは、式
【化61】

[式中、
5’およびX6’のうちの一方はNであり、他方はCR14またはCHであり、
14、R15、R15’、ぉよびR17は、互いに独立してC6−C25アルキルである]の基である。
【0034】
B、D、およびEが式
【化62】

の基である場合、これらは好ましくは、式
【化63】

の基である。R15の頭−尾配置は、より高い溶解性を導入するために重要である。
【0035】
Bは、好ましくは、式
【化64−1】

【化64−2】

[式中、
1、X2、R1’’、およびR2’’は、上記に定義したとおりである]の基である。
【0036】
別の好適な実施形態において、Bは、式Ia、Ib、Ic、Id、Ie、If、Ig、またはIhの基であるが、ただしBはAと異なる。
【0037】
本発明の好適な実施形態において、ポリマーは、式
【化65】

[式中、
Aは、式
【化66】

の基であり、
1およびR2は、C8−C35アルキル基であり、
3は、C1−C18アルキル基であり、
Bは、式
【化67】

の基であり、
15は、C4−C18アルキル基であり、
Dは式
【化68】

の基であり、
x=0.995〜0.005、y=0.005〜0.995、特にx=0.4〜0.9、y=0.6〜0.1であり、このときx+y=1である]の繰り返し単位を含む。
【0038】
本発明の別の好適な実施形態において、ポリマーは、式
【化69】

[式中、
Aは、式Ia、Ib、Ic、Id、Ie、If、Ig、またはIhの基であり、
1およびR2は、C8−C35アルキル基であり、
3は、C4−C18アルキル基であり、
Bは、式Va、IIb、IIc、IId、IIe、IIf、IIg、IIh、またはIIiの基、あるいは式Ia、Ib、Ic、Id、Ie、If、またはIgの基であるが、ただしBはAと異なり、
1’’およびR2’’は、C8−C35アルキル基であり、
1およびX2のうちの一方はNであり、他方はCHであり、
Dは、式
【化70】

の基であり、
x=0.995〜0.005、y=0.005〜0.995であり、このときx+y=1である]の繰り返し単位を含む。
【0039】
Aが式Iの基であり、かつBが式IIの基である場合、xは、好ましくは0.2〜0.8であり、yは、好ましくは0.8〜0.2である。AおよびBがともに式IIの基である場合、xは、好ましくは0.99〜0.3であり、yは、好ましくは0.01〜0.7である。
【0040】
前記実施形態において、式
【化71】

[式中、
Aは、式
【化72】

の基であり、
1およびR2は、C8−C35アルキル基であり、
3は、C4−C18アルキル基であり、
Bは、式
【化73】

の基であり、
1’’およびR2’’は、C8−C35アルキル基であり、
Dは、式
【化74】

の基であり、
x=0.995〜0.005、y=0.005〜0.995、特にx=0.2〜0.8、y=0.8〜0.2であり、このときx+y=1であるか;あるいは
Aは、式
【化75】

の基であり、
1およびR2はC8−C35アルキル基であり、
3は、C4−C18アルキル基であり、
Bは、式
【化76】

の基であり、
1’’およびR2’’は、C8−C35アルキル基であり、
3’は、C4−C18アルキル基であり、
Dは、式
【化77】

の基であり、
x=0.995〜0.005、y=0.005〜0.995、特にx=0.99〜0.3、y=0.01〜0.7であり、このときx+y=1である]の繰り返し単位を含むポリマーは、さらに好適である。
【0041】
好適なポリマーの例は、下記に示す:
【化78−1】

【化78−2】

【化78−3】

[式中、
24、R1、およびR1’’は、C8−C36アルキル基であり、
15、R15’、R3、およびR26は、C1−C18アルキル基、特にC4−C18アルキル基であり、
1’は、C8−C36アルキルであり、
3’は、C1−C18アルキル、特にC4−C18アルキル基であり、R1≠R1’および/またはR3≠R3’であり、
nは、4〜1000、特に4〜200、特に5〜100であり、
xは、0.005〜0.995、好ましくは0.01〜0.99であり、
yは、0.995〜0.005、好ましくは0.99〜0.01であり、このときx+y=1である]。
【0042】
特に好適なポリマーの例は、下記に示す:
【化79】

(nは、4〜200、特に5〜100である)。
【化80−1】

【化80−2】

【化80−3】

【0043】
好適な実施形態において、本発明は、式
【化81】

[式中、A、B、およびDは、上記に定義したとおりである]のコポリマーに関する。
【0044】
式VIIのコポリマーは、例えば、鈴木反応によって得ることができる。一般に「鈴木反応」と称される、芳香族ボロネートとハロゲン化物、特に臭化物との縮合反応は、宮浦憲夫および鈴木章によって、Chemical Reviews, Vol. 95, pp. 457−2483 (1995)において報告されているように、さまざまな有機官能基の存在を許容する。好適な触媒は、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジ−アルコキシビフェニル/酢酸パラジウム(II)、トリ−アルキル−ホスホニウム塩/パラジウム(0)誘導体、およびトリ−アルキルホスフィン/パラジウム(0)誘導体である。特に好適な触媒は、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジ−メトキシビフェニル(sPhos)/酢酸パラジウム(II)、およびトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート((t−Bu)3P・HBF4)/トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)、およびトリ−tert−ブチルホスフィン(t−Bu)3P/トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)である。この反応は、高分子量のポリマーおよびコポリマーを製造するために利用することができる。
【0045】
式VIIに相当するポリマーを製造するために、二ハロゲン化物、例えば二臭化物または二塩化物、特に式
【化82】

に相当する二臭化物と、(等モル)量の式
【化83】

[式中、X11は、それぞれ独立して、
【化84】

であり、このときY1は、それぞれ独立して、C1−C10アルキル基であり、Y2は、それぞれ独立して、C2−C10アルキレン基、例えば−CY34−CY56−または−CY78−CY910−CY1112−であり、このときY3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、およびY12は、互いに独立して、水素、またはC1−C10アルキル基、特に−C(CH32C(CH32−、−CH2C(CH32CH2−、または−C(CH32CH2C(CH32−であり、Y13およびY14は、互いに独立して、水素またはC1−C10アルキル基である]に相当するジボロン酸もしくはジボロネートとを、Pdおよびトリフェニルホスフィンの触媒作用下で反応させる。反応は、典型的には、約0℃〜180℃で、芳香族炭化水素溶媒中、例えばトルエン、キシレン中で実施する。また、その他の溶媒、例えばジメチルホルムアミド、ジオキサン、ジメトキシエタン、およびテトラヒドロフランを単独で、あるいは芳香族炭化水素との混合物として使用することもできる。水性塩基、好ましくは、炭酸ナトリウムもしくは重炭酸ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸カリウムもしくは重炭酸カリウムが、ボロン酸、ボロネートの活性化剤として、およびHBr捕捉剤として使用される。重合反応は、0.2〜100時間を要してもよい。有機塩基、例えば、テトラアルキルアンモニウム水酸化物など、および相間移動触媒、例えばTBABなどは、ホウ素の活性を促進することができる(例えば、Leadbeater & Marco; Angew. Chem. Int. Ed. Eng. 42 (2003) 1407、およびその中で引用されている参考文献を参照)。反応条件の別の変形形態は、T. I. WallowおよびB. M. Novakによって、J. Org. Chem. 59 (1994) 5034−5037において、またM. Remmers、M. Schulze、およびG. Wegnerによって、Macromol. Rapid Commun. 17 (1996) 239−252において示されている。分子量の制御は、過剰の二臭化物、ジボロン酸もしくはジボロネート、または連鎖停止剤のいずれかを使用することによって可能である。
【0046】
所望であれば、このような反応において、単官能性のアリールハライドもしくはアリールボロネートを連鎖停止剤として使用してもよく、これによって末端アリール基の形成がもたらされるであろう。
【化85】

【0047】
鈴木反応におけるモノマーフィードの順序および組成を制御することによって、得られるコポリマー中のモノマー単位の配列を制御することが可能である。
【0048】
また、本発明のポリマーは、Stilleカップリングによって合成することもできる(例えば、Babudri et al, J. Mater. Chem., 2004, 14, 11−34; J. K. Stille, Angew. Chemie Int. Ed. Engl. 1986, 25, 508を参照)。式VIIに相当するポリマーを製造するために、二ハロゲン化物、例えば二臭化物または二塩化物、特に式Br−A−BrおよびBr−B−Brに相当する二臭化物を式X21−D−X21[式中、X21は、基−SnR207208209である]の化合物と、0℃〜200℃の温度範囲で、不活性溶媒中、パラジウム含有触媒の存在下で反応させる。このとき、R207、R208、およびR209は、同一または異なり、これらはHまたはC1−C6アルキルであり、このとき2つの基が場合によっては共通の環を形成し、これらの基は、場合によっては分枝鎖状または非分枝鎖状である。この際、使用する全てのモノマーの全体が、有機スズ官能基とハロゲン官能基との極めて均衡のとれた比率を有することを確実にしなければならない。さらに、単官能性試薬によるエンドキャッピングによって、反応終了時に、あらゆる過剰の反応性基を除去することが有利であると証明されるであろう。この方法を実施するために、スズ化合物およびハロゲン化合物を、好ましくは1つ以上の不活性有機溶媒中に導入し、温度0〜200℃、好ましくは30〜170℃で、1時間〜200時間、好ましくは5時間〜150時間攪拌する。粗生成物は、当業者に既知のそれぞれのポリマーに適した方法、例えば再沈殿の繰り返しによって、または透析によって、精製することができる。
【0049】
記載した方法に適した有機溶媒は、例えば、エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、ジイソプロピルエーテル、およびtert−ブチルメチルエーテル、炭化水素類、例えばヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、およびキシレン、アルコール類、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、1−ブタノール、2−ブタノール、およびtert−ブタノール、ケトン類、例えばアセトン、エチルメチルケトン、およびイソブチルメチルケトン、アミド類、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、およびN−メチルピロリドン、ニトリル類、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、およびブチロニトリル、ならびにそれらの混合物である。
【0050】
パラジウム成分およびホスフィン成分は、鈴木変形形態についての記載と同様に選択すべきである。
【0051】
あるいは、本発明のポリマーは、亜鉛試薬A−(ZnX222およびB−(ZnX222[式中、X22は、ハロゲンおよびハロゲン化物である]と、D−(X232[式中、X23は、ハロゲンまたはトリフレートである]とを用いて、あるいはA−(X222と、B−(X222と、びD−(ZnX232とを用いて、根岸反応によって合成することもできる。例えば、E. Negishi et al., Heterocycles 18 (1982) 117−22を参照する。
【0052】
あるいは、本発明のポリマーは、有機ケイ素試薬A−(SiR2102112122およびB−(SiR2102112122[式中、R210、R211、およびR212は、同一または異なり、これらはハロゲン、C1−C6アルキル、およびD−(X232であり、このときX23は、ハロゲンまたはトリフレートである]を用いて、あるいはA−(X222と、B−(X222と、D−(SiR2102112122とを用いて、檜山反応によって合成することもできる。例えば、T. Hiyama et al., Pure Appl. Chem. 66 (1994) 1471−1478、およびT. Hiyama et al., Synlett (1991 ) 845−853を参照する。
【0053】
1および/またはR2が水素であるポリマーは、重合後に除去することができる保護基を用いて得ることができる(例えば、欧州特許(A)第0 648 770号、欧州特許(A)第0 648 817号、欧州特許(A)第0 742 255号、欧州特許(A)第0 761 772号、国際公開第98/32802号、国際公開第98/45757号、国際公開第98/58027号、国際公開第99/01511号、国際公開第00/17275号、国際公開第00/39221号、国際公開第00/63297号、および欧州特許(A)第1 086 984号を参照)。顔料前駆体のその顔料形態への変換は、既知の条件下、例えば熱によって、場合によっては追加触媒、例えば国際公開第00/36210号に記載されている触媒の存在下で、フラグメント化することによって実施される。
【0054】
このような保護基の例は、式
【化86】

[式中、Lは、溶解性を与えるのに適した任意の所望の基である]の基である。
【0055】
Lは、好ましくは、式
【化87】

[式中、
1、Z2、およびZ3は、互いに独立して、C1−C6アルキルであり、
4およびZ8は、互いに独立して、C1−C6アルキル、酸素、硫黄、もしくはN(Z122で中断されたC1−C6アルキル、あるいは非置換またはC1−C6アルキル−、C1−C6アルコキシ−、ハロ−、シアノ−、もしくはニトロ−置換フェニルもしくはビフェニルであり、
5、Z6、およびZ7は、互いに独立して、別の水素またはC1−C6アルキルであり、
9は、水素、C1−C6アルキル、または式
【化88】

の基であり、
10およびZ11は、互いに独立して、水素、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、N(Z122、あるいは非置換またはハロ−、シアノ−、ニトロ−、C1−C6アルキル−、もしくはC1−C6アルコキシ−置換フェニルであり、
12およびZ13は、C1−C6アルキルであり、Z14は、水素またはC1−C6アルキルであり、Z15は、水素、C1−C6アルキル、または非置換もしくはC1−C6アルキル−置換フェニルであり、
Qは、非置換の、またはC1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルチオ、もしくはC2−C12ジアルキルアミノでモノ置換もしくはポリ置換されたp,q−C2−C6アルキレンであり、このときpおよびqは、異なる位置番号であり、
Xは、窒素、酸素、および硫黄からなる群から選択されたヘテロ原子であり、m’は、Xが酸素または硫黄である場合に、数字0であり、mは、Xが窒素である場合に、数字1であり、
1およびL2は、互いに独立して、非置換またはモノ−もしくはポリ−C1−C12アルコキシ−、−C1−C12アルキルチオ−、−C2−C24ジアルキルアミノ−、−C6−C12アリールオキシ−、−C6−C12アリールチオ−、−C7−C24アルキルアリールアミノ−、もしくは−C12−C24ジアリールアミノ−置換C1−C6アルキル、または[−(p’,q’−C2−C6アルキレン)−Z−]n’−C1−C6アルキルであり、n’は、1〜1000の数であり、p’およびq’は、異なる位置番号であり、各Zは、それぞれ独立して、ヘテロ原子の酸素、硫黄、またはC1−C12アルキル−置換窒素であり、繰り返し単位[−C2−C6アルキレン−Z−]中のC2−C6アルキレンは、同じであっても異なってもよく、
1およびL2は、飽和または1〜10回不飽和でよく、中断されていなくても、または−(C=O)−および−C64−からなる群から選択された1〜10個の基で、いかなる位置で中断されていてもよく、さらなる置換基を有さなくても、またはハロゲン、シアノ、およびニトロからなる群から選択された1〜10個のさらなる置換基を有してもよい]の基である。最も好適なLは、式
【化89】

の基である。
【0056】
式Br−A−Brの化合物の合成は、国際公開第08/000664号、および国際公開第09/047104号に記載されおり、それらに記載されている方法と同様に行なうことができる。式Br−A−BrのN−アリール置換化合物の合成は、米国特許(A)第5,354,869号および国際公開第03/022848号に記載されている方法と同様に行なうことができる。
【0057】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素である。
【0058】
1−C25アルキル(C1−C18アルキル)は、典型的には、可能な場合は直鎖状または分枝鎖状である。例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、1,1,3,3−テトラメチルペンチル、n−ヘキシル、1−メチルヘキシル、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、および2−エチルヘキシル、n−ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、テトラコシル、またはペンタコシルがある。C1−C8アルキルは、典型的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチル−プロピル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、および2−エチルヘキシルである。C1−C4アルキルは、典型的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチルである。
【0059】
1−C25アルコキシ基(C1−C18アルコキシ基)は、直鎖状または分枝鎖状のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ、またはtert−アミルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、ヘプタデシルオキシ、およびオクタデシルオキシである。C1−C8アルコキシの例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、2−ペントキシ、3−ペントキシ、2,2−ジメチルプロポキシ、n−ヘキソキシ、n−ヘプトキシ、n−オクトキシ、1,1,3,3−テトラメチルブトキシ、および2−エチルヘキソキシ、好ましくはC1−C4アルコキシ、例えば、典型的にはメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシがある。「アルキルチオ基」という用語は、エーテル結合の酸素原子が、硫黄原子に置き換えられている以外は、アルコキシ基と同じ基を意味する。
【0060】
6−C24アリールは、典型的には、フェニル、インデニル、アズレニル、ナフチル、ビフェニル、as−インダセニル、s−インダセニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナントリル、フルオランテニル、トリフェニレニル、クリセニル、ナフタセン、ピセニル、ペリレニル、ペンタフェニル、ヘキサセニル、ピレニル、またはアントラセニル、好ましくはフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、9−フェナントリル、2−もしくは9−フルオレニル、3−もしくは4−ビフェニルであり、これらは置換されていなくても、置換されていてもよい。C6−C12アリール例には、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、3−もしくは4−ビフェニル、2−もしくは9−フルオレニル、または9−フェナントリルがあり、これらは置換されていなくても、置換されていてもよい。
【0061】
上記の基の可能な置換基は、C1−C8アルキル、ヒドロキシル基、メルカプト基、C1−C8アルコキシ、C1−C8アルキルチオ、ハロゲン、ハロ−C1−C8アルキル、シアノ基、カルバモイル基、ニトロ基、またはシリル基、特にC1−C8アルキル、C1−C8アルコキシ、C1−C8アルキルチオ、ハロゲン、ハロ−C1−C8アルキル、またはシアノ基である。
【0062】
1つ以上のOで中断されたC1−C18アルキル、例えば、(CH2CH2O)1-9−Rx[式中、Rxは、HまたはC1−C10アルキルである]、CH2−CH(ORy’)−CH2−O−Ry[式中、Ryは、C1−C18アルキルであり、Ry’は、Ryと同じ定義を包含するか、またはHである]である。
【0063】
置換基、例えばAr24などが、1つの基に1回を超えて出現する場合、それぞれが異なってもよい。
【0064】
本発明のポリマーを含有する混合物は、本発明のポリマー(典型的には5〜99.9999質量%、特に20〜85質量%)と、少なくとも1つの別の材料とを含む半導体層をもたらす。別の材料は、異なる分子量の本発明の同じポリマーの一部、本発明の別のポリマー、半導体ポリマー、有機小分子、カーボンナノチューブ、フラーレン誘導体、無機粒子(量子ドット、量子ロッド、量子トライポッド、TiO2、ZnOなど)、伝導性粒子(Au、Agなど)、ゲート誘電体について記載したものなどの絶縁体材料(PET、PSなど)であってもよいが、これらに限定されない。
【0065】
本発明のポリマーは、例えば、欧州特許出願第09155919.5号、国際公開第09/047104号、米国特許第6,690,029号、国際公開第2007082584号、および国際公開第2008107089号に記載されている小分子とブレンドすることもできる。
【0066】
国際公開第2007082584号:
【化90−1】

【化90−2】

【0067】
国際公開第2008107089号:
【化91】

[式中、
1およびY2のうちの一方は、−CH=または=CH−を示し、他方は−X−を示し、
3およびY4のうちの一方は、−CH=または=CH−を示し、他方は−X−を示し、
Xは、−O−、−S−、−Se−、または−NR’’’−であり、
Rは、1〜20個のC原子を有する環状、直鎖状、もしくは分枝鎖状のアルキルもしくはアルコキシ、または2〜30個のC原子を有するアリールであり、これらは全て、場合によってはフッ素化または過フッ素化されており、
R’は、H、F、Cl、Br、I、CN、1〜20個のC原子を有する、場合によってはフッ素化または過フッ素化された直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキルもしくはアルコキシ、6〜30個のC原子を有する、場合によってはフッ素化または過フッ素化されたアリール、またはCO2R’’であり、R’’は、H、1〜20個のC原子を有する、場合によってはフッ素化されたアルキル、または2〜30個のC原子を有する、場合によってはフッ素化されたアリールであり、
R’’’は、H、または1〜10個のC原子を有する環状、直鎖状、もしくは分枝鎖状のアルキルであり、yは、0または1であり、xは、0または1である]。
【化92】

【0068】
ポリマーは、小分子、または2種以上の小分子化合物の混合物を含有してもよい。
【0069】
したがって、本発明は、本発明によるポリマーを含む、有機半導体材料、層、もしくは要素にも関する。
【0070】
本発明のポリマーは、半導体デバイスにおける半導体層として使用することができる。したがって、本発明は、本発明のポリマー、または有機半導体材料、層、もしくは要素を含む半導体デバイスにも関する。半導体デバイスは、特に有機光起電(PV)デバイス(太陽電池)、フォトダイオード、または有機電界効果トランジスタである。
【0071】
半導体デバイスには非常に多くの種類がある。全てに共通するのは、1つ以上の半導体材料の存在である。半導体デバイスは、例えば、S. M. Szeによって、Physics of Semiconductor Devices, 2nd edition, John Wiley and Sons, New York (1981)に記載されている。このようなデバイスには、整流器、トランジスタ(この中には、p−n−p、n−p−n、および薄膜トランジスタを含む多くの種類がある)、発光半導体デバイス(例えば、ディスプレイ用途における有機発光ダイオード、または例えば液晶ディスプレイにおけるバックライト)、光伝導体、電流制限器、太陽電池、サーミスタ、p−n接合、電界効果ダイオード、Schottkyダイオードなどが含まれる。それぞれの半導体デバイスにおいて、半導体材料は、1つ以上の金属、金属酸化物、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)など、および/または絶縁体と組み合わされてデバイスを形成する。半導体デバイスは、既知の方法、例えば、Peter Van Zantによって、Microchip Fabrication, Fourth Edition, McGraw−Hill, New York (2000)に記載されている方法などによって、製造または作製することができる。とりわけ、有機電子部品は、D. R. Gamota et al.によって、Printed Organic and Molecular Electronics, Kluver Academic Publ., Boston, 2004に記載されているように作製することができる。
【0072】
特に有用な種類のトランジスタデバイスである薄膜トランジスタ(TFT)は、一般に、ゲート電極、ゲート電極上のゲート誘電体、ゲート誘電体に隣接するソース電極およびドレイン電極、ならびにゲート誘電体に隣接し、かつソース電極およびドレイン電極に隣接する半導体層を含む(例えば、S. M. Sze, Physics of Semiconductor Devices, 2nd edition, John Wiley and Sons, page 492, New York (1981)を参照)。これらの要素は、さまざまな構成で組み立てることができる。より具体的には、OFETは、有機半導体層を有する。
【0073】
典型的には、作製、試験、および/または使用時に,基板がOFETを支持する。場合によっては、基板は、OFETに電気的機能を提供することができる。有用な基板材料には、有機材料および無機材料が含まれる。例えば、基板は、種々の適当な形態のシリコンを含むシリコン材料、無機ガラス、セラミック箔、ポリマー材料(例えば、アクリル、ポリエステル、エポキシ、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリケトン、ポリ(オキシ−1,4−フェニレンオキシ−1,4−フェニレンカルボニル−1,4−フェニレン)(ポリ(エーテルエーテルケトン)またはPEEKと称されることもある)、ポリノルボルネン、ポリフェニレンオキシド、ポリ(エチレンナフタレンジカルボキシレート)(PEN)、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(フェニレンスルフィド)(PPS))、充填ポリマー材料(例えば、繊維強化プラスチック(FRP))、および被覆金属箔を含んでよい。
【0074】
ゲート電極は、いかなる有用な伝導性材料であってもよい。例えば、ゲート電極は、ドープしたシリコン、または金属、例えばアルミニウム、クロム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金、タンタル、およびチタンを含んでもよい。また、伝導性酸化物、例えば酸化インジウムスズ、または場合によっては、ポリマーバインダーを含有する、カーボンブラック/グラファイトもしくは銀コロイド分散液からなる導電性インク/ペーストも使用することができる。また、伝導性ポリマー、例えば、ポリアニリンまたはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT:PSS)も使用することができる。さらに、これらの材料の合金、組み合わせ、および多層体も使用することができる。一部のOFETにおいて、同じ材料が、ゲート電極機能を提供することができ、基板の支持機能も提供することができる。例えば、ドープしたシリコンは、ゲート電極として機能し、かつOFETを支持する。
【0075】
ゲート誘電体は、一般に、ゲート電極上に備えられる。このゲート誘電体は、ゲート電極をOFETデバイスの残りの部分から電気的に絶縁する。ゲート誘電体に有用な材料は、例えば、無機電気絶縁材料を含んでよい。
【0076】
ゲート誘電体(絶縁体)は、例えば酸化物、窒化物などの材料であってもよく、あるいはこれは強誘電性絶縁体の族(例えば、有機材料、例えばポリ(フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレンまたはポリ(m−キシリレンアジパミド))から選択された材料であってもよく、あるいはこれは、例えば、J. Veres et al. Chem. Mat. 2004, 16, 4543またはA. Facchetti et al. Adv. Mat. 2005, 17, 1705に記載されているような、有機ポリマー絶縁体(例えば、ポリ(メタクリレート)、ポリ(アクリレート)、ポリイミド、ベンゾシクロブテン(BCB)、パリレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート)であってもよい。ゲート誘電体に有用な材料の具体例には、ストロンチア酸塩、タンタル酸塩、チタン酸塩、ジルコン酸塩、アルミニウム酸化物、シリコン酸化物、タンタル酸化物、チタン酸化物、シリコン窒化物、チタン酸バリウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、セレン化亜鉛、および硫化亜鉛が含まれ、これにはPbZrxTi1-x3(PZT)、Bi4Ti312、BaMgF4、Ba(Zr1-xTix)O3(BZT)があるが、これらに限定されない。さらに、これらの材料の合金、ハイブリッド材料(例えば、ポリシロキサンまたはナノ粒子−充填ポリマー)組み合わせ、および多層体をゲート誘電体に使用することができる。誘電体層の厚さは、例えば約10〜1000nmであり、より具体的な厚さは約100〜500nmであって、0.1〜100ナノファラッド(nF)の範囲のキャパシタンスをもたらす。
【0077】
ソース電極およびドレイン電極は、ゲート誘電体によってゲート電極から分離されるが、有機半導体層は、ソース電極およびドレイン電極の上または下にあってよい。ソース電極およびドレイン電極は、半導体層に低抵抗のオーム接触を好都合にもたらす、いかなる有用な伝導性材料であってもよい。有用な材料には、ゲート電極について上記に記載した材料のほとんどが含まれ、例えば、アルミニウム、バリウム、カルシウム、クロム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金、チタン、ポリアニリン、PEDOT:PSS、その他の導電性ポリマー、それらの合金、それらの組み合わせ、およびそれらの多層体がある。当該技術分野で既知のとおり、これらの材料のうちの一部は、n型半導体材料との使用に適しており、それ以外は、p型半導体材料との使用に適している。
【0078】
薄膜電極(すなわち、ゲート電極、ソース電極、およびドレイン電極)は、物理気相堆積法(例えば、熱蒸着またはスパッタリング)または(インクジェット)印刷法などのあらゆる有用な手段によって設けることができる。これらの電極のパターニングは、既知の方法、例えばシャドーマスキング、アディティブ法フォトリソグラフィ、サブトラクティブ法フォトリソグラフィ、印刷、マイクロコンタクト印刷、およびパターンコーティングによって実施することができる。
【0079】
本発明は、有機電界効果トランジスタデバイスであって、
基板上に配置された複数の導電性ゲート電極と;
前記導電性ゲート電極上に配置されたゲート絶縁体層と;
複数の電気伝導性のソース電極とドレイン電極との組であって、前記組のそれぞれが、前記ゲート電極のそれぞれと整列するように前記絶縁体層上に配置された組と;
前記絶縁体層上のソース電極とドレイン電極との間のチャネルに配置され、前記ゲート電極に実質的に重なる有機半導体層とを含み;
このとき前記有機半導体層が、本発明のポリマー、または本発明のポリマーを含有する混合物を含む、有機電界効果トランジスタデバイスをさらに提供する。
【0080】
本発明は、薄膜トランジスタデバイスを製造するための方法であって、
基板上に、複数の導電性ゲート電極を堆積する工程と、
前記導電性ゲート電極上に、ゲート絶縁体層を堆積する工程と、
前記層上に、複数の電気伝導性のソース電極とドレイン電極との組を、前記組のそれぞれが前記ゲート電極のそれぞれと整列するように堆積する工程と、
前記絶縁体層上に、本発明のポリマーの層を、本発明の化合物または本発明のポリマーを含有する混合物の前記層が、前記ゲート電極に実質的に重なるように堆積する工程と、
を含み、
それによって薄膜トランジスタデバイスを製造する方法をさらに提供する。
【0081】
あるいは、OFETは、例えば、熱成長酸化物層で覆われた高ドープシリコン基板上に、ポリマーの溶液堆積を行ない、続いてソース電極およびドレイン電極の真空堆積およびパターニングを行なうことによって加工する。
【0082】
また別の手法では、OFETは、熱成長酸化物で覆われた高ドープシリコン基板上に、ソース電極およびドレイン電極の堆積を行ない、次にポリマーの溶液堆積を行なって薄膜を形成することによって加工する。
【0083】
また、ゲート電極は、基板上のパターニングされた金属ゲート電極、または導電性材料、例えば導電性ポリマーであってもよく、これは次に、パターニングされたゲート電極上に、溶液コーティングまたは真空堆積のいずれかによって塗布された絶縁体で被覆される。
【0084】
あらゆる適切な溶媒を使用して、本出願のポリマーを溶解および/または分散させることができるが、ただしこれは不活性であり、従来の乾燥手段(例えば、熱、減圧、空気流などの適用)によって、基板から部分的または完全に除去することができるものとする。本発明の半導体を処理するのに適した有機溶媒には、芳香族もしくは脂肪族炭化水素、ハロゲン化、例えば塩素化またはフッ素化された炭化水素、エステル、エーテル、アミド、例えばクロロホルム、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、テトラリン、デカリン、アニソール、キシレン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、およびそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。好適な溶媒は、キシレン、トルエン、テトラリン、デカリン、塩素化されたもの、例えばクロロホルム、クロロベンゼン、オルト−ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、およびそれらの混合物である。次に、スピンコーティング、ディップコーティング、スクリーン印刷、マイクロコンタクト印刷、ドクターブレーディング、または当該技術分野で既知のその他の溶液塗布技法などの方法によって、溶液および/または分散液を基板上に塗布して、半導体材料の薄膜を得る。
【0085】
「分散液」という用語は、溶媒中に完全に溶解していない本発明の半導体材料を含む、あらゆる組成物を包含する。分散は、少なくとも1つの本発明のポリマーまたは本発明のポリマーを含有する混合物と溶媒とを含む組成物であって、ポリマーが室温では溶媒に対して低い溶解性を示すが、上昇させた温度では溶媒に対して高い溶解性を示し、上昇させた温度を攪拌せずに第1の低下温度まで低下させたときに、組成物がゲル化する組成物を選択することによって行なうことができ;
‐上昇させた温度で、少なくとも一部のポリマーを溶媒中に溶解させ;組成物の温度を上昇させた温度から第一の低下温度まで低下させ;組成物を攪拌してあらゆるゲル化を妨害し(攪拌は、組成物の上昇させた温度を第一の低下温度まで低下させる前、これと同時、またはこの後の任意の時点に開始する);組成物の層(組成物が上昇した温度よりも低い第2の低下温度である)を堆積させ;この層を少なくとも部分的に乾燥させる。
【0086】
また、分散液は、(a)溶媒と、バインダー樹脂と、場合によっては分散剤とを含む連続相と、(b)本発明のポリマー、または本発明のポリマーを含有する混合物を含む分散相とから構成されていてもよい。本発明のポリマーの溶媒に対する溶解性の程度は異なってもよく、例えば0%〜約20%の溶解性、特に0%〜約5%の溶解性である。
【0087】
好ましくは、有機半導体層の厚さは約5nm〜約1000nmの範囲であり、特にこの厚さは、約10nm〜約100nmの範囲である。
【0088】
本発明のポリマーは、単独であるいは組み合わせて、半導体デバイスの有機半導体層として使用することができる。この層は、任意の有用な手段、例えば、気相堆積法(比較的低分子量の材料の場合)および印刷技法などによって設けることができる。本発明の化合物は、有機溶媒に対して十分に可溶性であってもよく、溶液堆積およびパターニングすることができる(例えば、スピンコーティング、ディップコーティング、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、マイクロコンタクト(波)−印刷、ドロップキャスティングもしくはゾーンキャスティング、またはその他の既知の技法によって)。
【0089】
本発明のポリマーは、複数のOTFTを含む集積回路において、さらに種々の電子製品において使用することができる。このような製品には、例えば、無線識別(RFID)タグ、フレキシブルディスプレイ用バックプレーン(例えば、パソコン、携帯電話、または携帯用デバイスに使用する)、スマートカード、メモリデバイス、センサ(例えば、光センサ、イメージセンサ、バイオセンサ、化学センサ、メカニカルセンサ、または温度センサ)、特にフォトダイオード、またはセキュリティデバイスなどが含まれる。その両極性により、この材料は、有機発光トランジスタ(OLET)にも使用することができる。
【0090】
本発明のさらなる態様は、1つ以上の本発明のポリマーを含む、有機半導体材料、層、もしくは要素である。さらなる態様は、有機光起電(PV)デバイス(太陽電池)、フォトダイオード、または有機電界効果トランジスタ(OFET)における、本発明のポリマーまたは材料の使用である。さらなる態様は、本発明のポリマーまたは材料を含む、有機光起電(PV)デバイス(太陽電池)、フォトダイオード、または有機電界効果トランジスタ(OFET)である。
【0091】
本発明のポリマーは、典型的には、好ましくは30ミクロン厚未満の薄い有機層もしくは膜の形態で、有機半導体として使用される。典型的には、本発明の半導体層は、最大1ミクロン(=1μm)厚であるが、必要であればそれより厚くてもよい。種々の電子デバイス用途では、この厚さは、約1ミクロン厚未満であってもよい。例えば、OFETにおいて使用する場合、層厚は、典型的には100nm以下であってよい。層の正確な厚さは、例えば、その層が使用される電子デバイスの要件によって異なるであろう。
【0092】
例えば、OFET中のドレインとソースとの間のアクティブ半導体チャネルは、本発明の層を含んでもよい。
【0093】
本発明によるOFETデバイスは、好ましくは、
− ソース電極と、
− ドレイン電極と、
− ゲート電極と、
− 半導体層と、
− 1つ以上のゲート絶縁体層と、
− 場合によっては、基板と、
を含み、このとき半導体層は、1つ以上の本発明のポリマーを含む。
【0094】
OFETデバイスにおける、ゲート電極、ソース電極、およびドレイン電極、ならびに絶縁層および半導体層は、いかなる配列で配置してもよいが、ただしソース電極およびドレイン電極は、絶縁層によってゲート電極から分離され、ゲート電極および半導体層は、どちらも絶縁層に接触し、ソース電極およびドレイン電極は、どちらも半導体層に接触する。
【0095】
好ましくは、OFETは、第1の面と第2の面とを有する絶縁体と、絶縁体の第1の面上に位置するゲート電極と、絶縁体の第2の面上に位置する本発明のポリマーを含む層と、ポリマー層上に位置するドレイン電極およびソース電極とを含む。
【0096】
OFETデバイスは、トップゲート型デバイスまたはボトムゲート型デバイスであってよい。
【0097】
OFETデバイスの適切な構造および加工方法は、当業者には既知であり、文献、例えば国際公開第03/052841号に記載されている。
【0098】
ゲート絶縁体層は、例えばフルオロポリマー、例えば市販されているCytop 809M(登録商標)またはCytop 107M(登録商標)(Asahi Glass社)を含んでもよい。好ましくは、ゲート絶縁体層は、例えば、スピンコーティング、ドクターブレーディング、ワイヤーバーコーティング、スプレーもしくはディップコーティング、またはその他の既知の方法によって、絶縁体材料と、1つ以上のフルオロ原子を有する1つ以上の溶媒(フルオロ溶媒)、好ましくはペルフルオロ溶媒とを含む配合物から堆積させる。適切なペルフルオロ溶媒は、例えば、FC75(登録商標)(Acros社から入手可能、カタログ番号12380)である。別の適切なフルオロポリマーおよびフルオロ溶媒は、従来技術において既知であり、例えば、ペルフルオロポリマーのTeflon AF(登録商標) 1600もしくは2400(DuPont社)、またはFluoropel(登録商標)(Cytonix社)、あるいはペルフルオロ溶媒のFC 43(登録商標)(Acros社、No.12377)などがある。
【0099】
本発明のポリマーを含む半導体層は、少なくとも別の材料を追加的に含んでもよい。別の材料は、本発明の別のポリマー、半導体ポリマー、ポリマーバインダー、本発明のポリマーとは異なる有機小分子、カーボンナノチューブ、フラーレン誘導体、無機粒子(量子ドット、量子ロッド、量子トライポッド、TiO2、ZnOなど)、伝導性粒子(Au、Agなど)、ゲート誘電体について記載したものなどの絶縁体材料(PET、PSなど)であってもよいが、これらに限定されない。上述のように、半導電層は、1つ以上の本発明のポリマーの混合物とポリマーバインダーとから構成されていてもよい。本発明のポリマーのポリマーバインダーに対する比率は、5〜95パーセントと異なってもよい。好ましくは、ポリマーバインダーは、半結晶性ポリマー、例えばポリスチレン(PS)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、およびポリメチルメタクリレート(PMMA)である。この技法によって、電気的性能の低下を回避することができる(国際公開第2008/001123(A1)号を参照)。
【0100】
本発明のポリマーは、有機光起電(PV)デバイス(太陽電池)において有利に使用することができる。したがって、本発明は、本発明によるポリマーを含むPVデバイスを提供する。この構造のデバイスは、整流性も有するであろうことから、フォトダイオードと称することもできる。光応答性デバイスは、光で発電する太陽電池として、および光を測定または検出する光検出器としての用途を有する。
【0101】
PVデバイスは、
(a)陰極(電極)と、
(b)場合によっては、遷移層、例えばアルカリハロゲン化物、特にフッ化リチウムと、
(c)光活性層と、
(d)場合によっては、平滑化層と、
(e)陽極(電極)と、
(f)基板と、
をこの順番で含む。
【0102】
光活性層は、本発明のポリマーを含む。好ましくは、光活性層は、電子供与体としての本発明の共役ポリマーと、電子受容体としてのフラーレン、特に官能基化フラーレンPCBMなどの受容体材料から作成される。上述のように、光活性層は、ポリマーバインダーも含有してよい。式IIIの小分子のポリマーバインダーに対する比率は、5〜95パーセントと異なってもよい。好ましくは、ポリマーバインダーは、半結晶性ポリマー、例えばポリスチレン(PS)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、およびポリメチルメタクリレート(PMMA)である。
【0103】
ヘテロ接合太陽電池の場合、活性層は、好ましくは、本発明のポリマーとフラーレン、例えば[60]PCBM(=6,6−フェニル−C61−酪酸メチルエステル)または[70]PCBMとの質量比1:1〜1:3の混合物を含む。本発明で使用できるフラーレンは、さまざまなサイズ(1分子当たりの炭素原子数)であってよい。本明細書で使用するフラーレンという用語は、純炭素の種々のかご型分子を含み、これにはバックミンスターフラーレン(C60)および関連する「球状」フラーレン、ならびにカーボンナノチューブが含まれる。フラーレンは、例えばC20〜C1000の範囲の当該技術分野で既知のものから選択することができる。好ましくは、フラーレンは、C60〜C96の範囲から選択する。最も好ましくは、フラーレンは、C60〜C70、例えば、[60]PCBM、または[70]PCBMである。また、化学修飾されたフラーレンを使用することは、その修飾されたフラーレンが受容体型および電子移動度特性を保有するという条件で可能である。受容体材料は、あらゆる半導体ポリマーからなる群から選択された材料であってもよく、例えば、本発明のポリマー(ただしこのポリマーは、受容体型および電子移動度特性を保有する)、有機小分子、カーボンナノチューブ、無機粒子(量子ドット、量子ロッド、量子トライポッド、TiO2、ZnOなど)である。
【0104】
光活性層は、電子供与体としての本発明のポリマーと、電子受容体としてのフラーレン、特に官能基化フラーレンPCBMとから作成される。これら2つの成分を溶媒と混合して、溶液として、例えば、スピンコーティング法、ドロップキャスティング法、Langmuir−Blodgett(「LB」)法、インクジェット印刷法、および滴下法によって、平滑化層に塗布する。また、スキージ法または印刷法を用いて、このような光活性層でより広い面を被覆することもできる。典型的なトルエンの代わりに、分散剤、例えばクロロベンゼンも溶媒として好ましく使用される。これらの方法の中で、真空堆積法、スピンコーティング法、インクジェット印刷法、およびキャスティング法は、作業の容易さおよび費用の点から、特に好適である。
【0105】
スピンコーティング法、キャスティング法、およびインクジェット印刷法を用いて層を形成する場合には、適切な有機溶媒、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、アセトニトリル、アニソール、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、およびそれらの混合物に、組成物を濃度0.01〜90質量%で溶解または分散させることによって製造される溶液および/または分散液を用いて、コーティングを実施することができる。
【0106】
また、光起電(PV)デバイスは、より多くの太陽光スペクトルを吸収するために、互いの上部に加工された多接合太陽電池からなっていてもよい。そのような構造は、例えば、App. Phys. Let. 90, 143512 (2007), Adv. Funct. Mater. 16, 1897−1903 (2006)、および国際公開第2004/112161号に記載されている。
【0107】
いわゆる「タンデム太陽電池」は、
(a)陰極(電極)と、
(b)場合によっては、遷移層、例えばアルカリハロゲン化物、特にフッ化リチウムと、
(c)光活性層と、
(d)場合によっては、平滑化層と、
(e)中間電極(例えば、Au、Al、ZnO、TiO2など)と、
(f)場合によっては、エネルギー準位を一致させるためのさらなる電極と、
(g)場合によっては、遷移層、例えばアルカリハロゲン化物、特にフッ化リチウムと、
(h)光活性層と、
(i)場合によっては、平滑化層と、
(j)陽極(電極)と、
(k)基板と、
をこの順番で含む。
【0108】
また、PVデバイスは、例えば、米国特許第20070079867号および米国特許第20060013549号に記載されているように、繊維上に加工することもできる。
【0109】
それらの優れた自己組織化特性により、本発明のポリマーを含む材料または膜は、例えば米国特許第2003/0021913号に記載されているように、単独で、または別の材料とともに、LCDもしくはOLEDデバイス中の配向層において、または前記配向層として使用することができる。
【0110】
以下の実施例は、単に例示の目的で含めるものであって、請求項の範囲を制限するものではない。特に明記しない限り、全ての部および百分率は質量に基づく。
【0111】
質量平均分子量(Mw)および多分散度(Mw/Mn=PD)は、高温ゲル浸透クロマトグラフィ(HT−GPC)によって測定する[装置:GPC PL 220、Polymer laboratories社(英国、チャーチストレットン;現在のVarian社)、屈折率(RI)から応答を得る。クロマトグラフ条件:カラム:3本の「PLgel Olexis」カラム、Polymer laboratories社(英国、チャーチストレットン);平均粒径13μm(寸法300×8mm I.D.)、移動相:減圧蒸留により精製し、ブチルヒドロキシトルエン(BHT、200mg/l)により安定化させた1,2,4−トリクロロベンゼン、クロマトグラフ温度:150℃;移動相流量:1ml/分;溶質濃度:約1mg/ml;注入量:200μl;検出:RI。分子量較正手順:1,930,000Da〜5,050Daの分子量範囲にわたる、Polymer laboratories社(英国、チャーチストレットン)から入手した10種のポリスチレン較正標準物質一式、すなわち、PS1,930,000Da、PS1,460,000Da、PS1,075,000Da、PS560,000Da、PS330,000Da、PS96,000Da、PS52,000Da、PS30,300Da、PS10,100Da、PS5,050Daを用いて、相対的較正を行なう。多項式較正を用いて、分子を算出する。]。
【0112】
下記の実施例に示す全てのポリマー構造は、記載された重合手順により得られるポリマー生成物の理想化した表現である。2つを上回る成分を互いに共重合する場合、ポリマーにおける配列は、重合条件に応じて、交互またはランダムのいずれかであってよい。
【0113】
実施例
実施例1:ランダムコポリマー7の製造
【化93】

【0114】
三口フラスコ中で、10mlの水(あらかじめ脱気したもの)に溶解させた11.7gのリン酸カリウム(K3PO4)を、10.0gの1と、7.1gの4−ヘキシル−2−チエニルボロン酸ピナコールエステル2と、0.2gのトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート((t−Bu)3P・HBF4)と、0.1gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)とを100mlのテトラヒドロフランに加えた脱気溶液に添加する。この反応混合物を還流温度まで3時間加熱し、水で希釈してから、クロロホルムで抽出する。有機相を乾燥させ、蒸発させる。残留物をシリカゲル上で精製し、紫色/青色の固体として、7.5gの所望の生成物3を得る。

【化94】

【0115】
b)4を生じる3の臭素化を国際公開第2008000664号の実施例2cと同様に実施する。

【化95】

【0116】
c)三口フラスコ中で、5mlの水(あらかじめ脱気したもの)に溶解させた1.28gのリン酸カリウム(K3PO4)を、2.0gの4(0.8当量)と、0.17gの5,5’−ジブロモ−3,3’−ジヘキシル−[2,2’]ビチオフェニル(5、0.2当量)と、0.68gの2,5−チオフェンボロン酸ビス(ピナコール)エステル(6、1.0当量)と、30mgのトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート((t−Bu)3P・HBF4)と、46mgのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)とを20mlのテトラヒドロフランに加えた脱気溶液に添加する。この反応混合物を還流温度まで2時間加熱する。続いて16mgのブロモ−チオフェンを、20分後に21mgのチオフェン−ボロン酸ピナコールエステルを添加して、重合反応を停止させる。この反応混合物を室温まで冷却し、メタノール中に沈殿させる。残留物をペンタン、シクロヘキサン、およびテトラヒドロフランを用いたソックスレー抽出によって精製し、次にポリマーをクロロホルムで抽出して、1.1gのポリマー7の暗色粉末を得る。Mw=40,000、多分散度(PD)=1.7(HT−GPCにより測定)。
【0117】
実施例2〜14:ランダムコポリマー8〜20の製造
下記の第1表に示すポリマー8〜20(実施例2〜14)を、合成に用いるR基および/または2つの二臭化物の比率を変更して、実施例1と同様に製造する。全ての出発物質は、実施例1および国際公開第2008000664号に従って、またはこれらと同様に製造する。
【0118】
【表1】

【0119】
実施例15:ランダムコポリマー28の製造
【化96】

【0120】
a)シュレンクフラスコ中(不活性雰囲下)で、42mlのブチルリチウム(1.6M)を、13.15mlのジイソプロピルアミン(KOH上で乾燥させたもの)を加えた40mlの乾燥テトラヒドロフランに、およそ−4℃で滴下添加する。添加後、反応混合物を0℃まで1時間加熱する。次に、この反応混合物を−78℃まで冷却し、10gのヘキシル−チオフェン(21)を20分間かけて添加し、−78℃でさらに1時間攪拌する。次に、7mlの乾燥ジメチルホルムアミドを添加し、1時間攪拌する。室温まで加熱し、水を添加することによって反応を停止する。有機層をtert−ブチルメチルエーテル(TBME)で抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。得られる油は、精製せずに次の工程に使用する。
【0121】
b)41gの4−ヘキシル−チオフェン−2−カルバルデヒド(22)と17.72gの塩酸ヒドロキシルアミンとを150mlのDMFに加えた混合物を145℃まで、3時間加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物に水を添加し、tert−ブチルメチルエーテルで抽出する。有機層を水で洗浄し、乾燥させ、濃縮する。粗生成物を減圧蒸留によって精製し、19.12gの所望のニトリル23を得る。
【化97】

【0122】
c)21gのニトリル23を新たに調製したナトリウムt−アミレート(200mlのt−アミルアルコールと、6.3gのナトリウムと、10mgのFeCl3)および19.6gのジ−tert−アミルスクシネートと、還流下で反応させる。粗DPPをNMP/MeOHから沈殿させて、15.5gの所望の化合物24を得る。
【化98】

【0123】
d)4.69gのDPP24と、5.53gの炭酸カリウムと、9.6gの1−ヨード−2−エチル−ヘキシルとを100mlのジメチルホルムアミドに加えた溶液を120℃まで、一晩加熱する。この混合物を室温まで冷却し、濾過する。プレスケーキをメタノールで洗浄してから、ジクロロメタンに溶解させ、DMSO中に沈殿させて、所望の生成物(25)を得る。
【化99】

【0124】
e)26を生じる25の臭素化を国際公開第2008000664号の実施例2cと同様に実施する。
【化100】

【0125】
f)三口フラスコ中で、5mlの水(あらかじめ脱気したもの)に溶解させた0.35gのリン酸カリウム(K3PO4)を、0.5gの26(0.5当量)と、0.37gの5,5’−ジブロモ−3,3’−ジドデシル−[2,2’]ビチオフェニル(27、0.5当量)と、0.39gの2,5−チオフェンボロン酸ビス(ピナコール)エステル(6、1.0当量)と、8mgのトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート((t−Bu)3P・HBF4)と、12mgのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)を25mlのテトラヒドロフランに加えた脱気溶液に添加する。この反応混合物を還流温度まで、一晩加熱する。続いて9mgのブロモ−チオフェンを、20分後に12mgのチオフェン−ボロン酸ピナコールエステルを添加して、重合反応を停止させる。この反応混合物を室温まで冷却し、メタノール中に沈殿させる。残留物をペンタンおよびシクロヘキサンを用いたソックスレー抽出によって精製し、次にポリマー28をクロロホルムで抽出して、0.46gの暗色粉末を得る。Mw=54,000、多分散度=3.2(HT−GPCにより測定)。
【0126】
実施例16:ランダムコポリマー29の製造
下記の第2表に示すポリマー29(実施例16)を、合成に用いるR基および/または2つの二臭化物の比率を変更して、実施例15と同様に製造する。
【0127】
【表2】

【0128】
実施例17:ランダムコポリマー30の製造
【化101】

【0129】
三口フラスコ中で、4mlの水(あらかじめ脱気したもの)に溶解させた0.72gのリン酸カリウム(K3PO4)を、0.7gの4(0.5当量)と、0.51gの1(0.5当量)と、0.38gの2,5−チオフェンボロン酸ビス(ピナコール)エステル(6、1.0当量)と、16mgのトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート((t−Bu)3P・HBF4)と、25mgのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)とを35mlのテトラヒドロフランに加えた脱気溶液に添加する。この反応混合物を還流温度まで、一晩加熱する。続いて9mgのブロモ−チオフェンを、20分後に12mgのチオフェン−ボロン酸ピナコールエステルを添加して、重合反応を停止させる。この反応混合物を室温まで冷却し、メタノール中に沈殿させる。残留物をペンタンおよびシクロヘキサンンを用いたソックスレー抽出によって精製し、次にポリマー30をクロロホルムで抽出して、0.92gの暗色粉末を得る。Mw=36,000、多分散度=2.2(HT−GPCにより測定)。
【0130】
実施例18〜19:ランダムコポリマー31および32の製造
下記の第3表に示すポリマー31および32(実施例16および17)を、合成に用いるR基および/または2つの二臭化物の比率を変更して、実施例15と同様に製造する。
【0131】
【表3】

【0132】
実施例20:ランダムコポリマー35の製造
出発物質33および34を実施例1および実施例24と同様に製造する。
【化102】

【0133】
三口フラスコ中で、5mlの水(あらかじめ脱気したもの)に溶解させた0.26gのリン酸カリウム(K3PO4)を、0.75gの33(0.95当量)と、39.0mgの34(0.05当量)と、0.19gの2,5−チオフェンボロン酸ビス(ピナコール)エステル(6、1.05当量)と、7mgのトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート((t−Bu)3P・HBF4)と、14mgのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)とを25mlのテトラヒドロフランに加えた脱気溶液に添加する。この反応混合物を還流温度まで、2時間加熱する。続いて10mgのブロモ−チオフェンを、20分後に16mgのチオフェン−ボロン酸ピナコールエステルを添加して、重合反応を停止させる。この反応混合物を室温まで冷却し、メタノール中に沈殿させる。残留物をペンタンを用いたソックスレー抽出によって精製し、次にポリマー35をシクロヘキサンで抽出して、0.66gの暗色粉末を得る。Mw=38,600、多分散度=2.1(HT−GPCにより測定)。
【0134】
実施例21:ランダムコポリマー36の製造
下記の第4表に示すポリマー36(実施例21)を、合成に用いるR基および/または2つの二臭化物の比率を変更して、実施例20と同様に製造する。
【0135】
【表4】

【0136】
実施例22:コポリマー41の製造
【化103】

【0137】
a)三口フラスコ中で、30mlの水(あらかじめ脱気したもの)に溶解させた10.53gのリン酸カリウム(K3PO4)を、8.14gの5と、13gの2−チオフェンボロン酸ピナコールエステル37と、245mgのトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート((t−Bu)3P・HBF4)と、383mgのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)とを230mlのテトラヒドロフランに加えた脱気溶液に添加する。次に、この反応混合物を室温で1時間攪拌する。この反応混合物を水で希釈し、クロロホルムで抽出する。次に、有機相を乾燥させ、蒸発させて、所望の生成物38を得、これをシリカゲル上でさらに精製する。収量は8.1gである。

【化104】

【0138】
b)三口フラスコ中で、アルゴン下で8.1gの38を150mlのTHFに溶解させ、この混合物を−78℃まで冷却する。次に、13.2mlの2.5M ブチルリチウム(ヘキサン中)を滴下添加し、15分後に6.42gの2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサカルボラン39を滴下添加する。この反応混合物を0℃まで加熱し、0.5M 塩酸でクエンチし、生成物を塩化メチレンで抽出する。次に、有機相を乾燥させ、蒸発させて、所望の生成物40を得、これをシリカゲル上でさらに精製する。収量は9.4gである。

【化105】

【0139】
c)三口フラスコ中で、2mlの水(あらかじめ脱気したもの)に溶解させた1.41gのリン酸カリウム(K3PO4)を、2.0gの1と、1.66gの40と、25mgのトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート((t−Bu)3P・HBF4)と、51mgのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)とを25mlのテトラヒドロフランに加えた脱気溶液に添加する。この反応混合物を還流温度まで、2時間加熱する。続いて17mgのブロモ−チオフェンを、20分後に22mgのチオフェン−ボロン酸ピナコールエステルを添加して、重合反応を停止させる。この反応混合物を室温まで冷却し、メタノール中に沈殿させる。還流下での水−クロロホルム混合物中のNaCNによる処理および再沈殿の後、生成物41をTHFおよびクロロホルムを用いたソックスレー抽出によって精製する。クロロホルム抽出物の収量:86mg。Mw=28,000、多分散度=1.4(HT−GPCにより測定)。
【0140】
実施例23:ランダムコポリマー42の製造
【化106】

【0141】
三口フラスコ中で、4mlの水(あらかじめ脱気したもの)に溶解させた0.51gのリン酸カリウム(K3PO4)を、1.0gの4と、0.59gの40と、11mgのトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート((t−Bu)3P・HBF4)と、22mgのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)とを20mlのテトラヒドロフランに加えた脱気溶液に添加する。この反応混合物を還流温度まで、2時間加熱する。続いて15mgのブロモ−チオフェンを、20分後に19mgのチオフェン−ボロン酸ピナコールエステルを添加して、重合反応を停止させる。この反応混合物を室温まで冷却し、メタノール中に沈殿させる。残留物をペンタン、シクロヘキサン、およびテトラヒドロフランを用いたソックスレー抽出によって精製し、次にポリマー42をクロロホルムで抽出して、0.38gの暗色粉末を得る。Mw=39,800、多分散度=1.5(HT−GPCにより測定)。
【0142】
実施例24:ランダムコポリマー49の製造
【化107】

【0143】
a)228.06gの2−デシル−1−テトラデカノール43を484.51gの47% ヨウ化水素酸と混合し、この混合物を一晩還流させる。生成物をt−ブチル−メチルエーテルで抽出する。次に、有機相を乾燥させ、濃縮する。生成物をシリカゲルカラム上で精製して、211.54gの所望の化合物44(73%)を得る。

【化108】

【0144】
b)30.52gのニトリル45を、新たに調製したナトリウムt−アミレート(600mlのt−アミルアルコールと、10.27gのナトリウムと、30mgのFeCl3)および24.83gのジ−tert−アミルスクシネートと、還流下で反応させる。粗DPPをNMP/MeOHから沈殿させて、33.6gの所望の化合物46(90%)を得る。MS m/z:464。
【化109】

【0145】
c)33.55gのDPP46をまず1.27gのLiHを1300mlのDMFに加えたものと反応させ、次に、74.4gの2−デシル−1−テトラデシルヨウ化物44を100℃で滴下添加する。100℃で5時間経過後、反応混合物を水でクエンチし、生成物を塩化メチレンで抽出する。次に、有機相を乾燥させ、濃縮する。シリカゲル上カラムクロマトグラフィにより精製を実施し、35.1gの所望のDPP47(42.7%)を得る。

【化110】

【0146】
d)10.00gの47を200mlのクロロホルムに溶解させ、0℃まで冷却してから、2当量のN−ブロモスクシンイミドを1時間かけて少量ずつ添加する。反応完了後、混合物を水で洗浄する。有機相を抽出し、乾燥させ、濃縮する。次に、化合物をシリカゲルカラム上で精製して、式48のDPP誘導体の暗紫色粉末5.31g(47%)を得る。

【化111】

【0147】
e)三口フラスコ中で、3mlの水(あらかじめ脱気したもの)に溶解させた0.99gのリン酸カリウム(K3PO4)を、2.0gの48と、1.16gの40と、23mgのトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート((t−Bu)3P・HBF4)と、35mgのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)とを35mlのテトラヒドロフランに加えた脱気溶液に添加する。この反応混合物を還流温度まで1時間加熱する。続いて4mgのブロモ−チオフェンを、20分後に5mgのチオフェン−ボロン酸ピナコールエステルを添加して、重合反応を停止させる。この反応混合物を室温まで冷却し、メタノール中に沈殿させる。還流下での水−クロロホルム混合物中のNaCNによる処理および再沈殿の後、ポリマー49をTHFを用いて、続いてクロロホルムを用いて、ソックスレー抽出する。クロロホルム画分の蒸発により、0.25gの暗色粉末を得る。Mw=214,000、多分散度=2.5(HT−GPCにより測定)。
【0148】
実施例25:ランダムコポリマー51の製造
【化112】

【0149】
0.50gの4と、0.20gの5と、0.34gの50と、7.4mgのトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート((t−Bu)3P・HBF4)と、14.8mgのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)とを25mlのテトラヒドロフランに加えたものと、0.51gのリン酸カリウム(K3PO4)を4mlの水(あらかじめ脱気したもの)に溶解させたものとを使用する。1時間の還流後に15mgのブロモ−チオフェンを、30分後に21mgのチオフェン−ボロン酸ピナコールエステルを添加して、重合反応を停止させる。この反応混合物を室温まで冷却し、メタノール中に沈殿させる。残留物をシクロヘキサンおよびTHFを用いたソックスレー抽出によって精製し、次にポリマー51をクロロホルムで抽出して、0.29gの暗色粉末を得る。Mw=54,800、多分散度=3.1(HT−GPCにより測定)。
【0150】
実施例26:ランダムコポリマー52の製造
下記の第5表に示すポリマー52(実施例26)を、合成に用いる2つの二臭化物の比率を変更して、実施例25と同様に製造する。
【0151】
【表5】

【0152】
実施例27:ランダムコポリマー58の製造
【化113】

【0153】
a)三口フラスコ中で、110mlの水(あらかじめ脱気したもの)に溶解させた83.6gのリン酸カリウム(K3PO4)を、20gのチエニルボロン酸と、22.0gの2−ブロモチアゾールと、2.3gのトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート((t−Bu)3P・HBF4)と、3.6gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)とを350mlのテトラヒドロフランに加えた脱気溶液に添加する。この反応混合物を還流温度で一晩加熱する。反応混合物を室温まで冷却し、100mlの水を添加する。反応混合物をエチルアセテートで抽出し、減圧下で、有機層を乾燥させ、蒸発させる。これをヘキサン/エチルアセテートの勾配を使用する、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィでさらに精製する。8.0gの2−チオフェン−2−イル−チアゾール53を得た。スペクトルデータは、根岸クロスカップリング反応を用いた、文献に記載されているものと一致する(J. Jensen et al., Synthesis, 2001, 1, 128)。
【化114】

【0154】
b)文献において既知の手順を用いて、化合物54を得る(P. Chauvin et al., Bull. Soc. Chim. Fr. 1974, 9−10, 2099)。
【0155】
c)文献において既知の手順と同様に、化合物55を得る(A. D. Borthwick et al.; J. Chem. Soc, Perkin Trans 1, 1973; 2769)。
【化115】

【0156】
d)実施例24bと同様に、化合物56を得る。
【化116】

【0157】
e)実施例24cと同様に、化合物57を得る。
【化117】

【0158】
f)実施例24dと同様に、化合物58を得る。
【化118】

【0159】
f)0.2当量の5と、1.0当量の6と、0.8当量の57とを用いて、実施例1同様に、ポリマー58を得る。
【0160】
実施例28〜32:ランダムコポリマー59〜63の製造
下記の第6表に示すポリマー59〜63(実施例28〜32)を、R基および/または2つの二臭化物の比率を変更して、実施例1と同様に製造する。全ての出発物質は、実施例27および国際公開第2008000664号に従って、またはこれらと同様に製造する。
【表6】

【0161】
実施例33:ランダムコポリマー67の製造
【化119】

【0162】
a)ボロン酸エステル65のための出発物質64を国際公開第2008000664号の実施例2aに従って製造する。5.0gのジチエニル−DPP(64)と3.73gの2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキソボロランとを30mlのTHFに加えた溶液に、窒素下、−25℃で、新たに調製したLDA溶液(5.4mlのブチルリチウム(2.7M)と2.2mlのジイソプロピルアミンを20mlのTHF中に加えたものから)を15分かけて滴下添加する。得られる反応混合物を0℃で1時間攪拌した後、100mlの1M HClでクエンチする。生成物を2×50mlのTBMEで抽出し、混合有機層をブラインで2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒の蒸発後、残留物を20mlの塩化メチレンに溶解し、その後激しく攪拌した200mlのアセトンにゆっくりと添加する。沈殿物を濾過により回収し、アセトンで数回洗浄し、40℃の真空オーブンで乾燥させて、6.3gのピンクがかった紫色の粉末を得る。

【化120】

【0163】
b)公開されている臭素化(Higuchi H. et al; Bull. Chem. Soc. Jap., 1995,68; 8, 2363 − 2378)と同様に、化合物66を得る。
【化121】

【0164】
0.5当量の5と、1.0当量の65と、0.5当量の67とを用いて、実施例1と同様に、ポリマー67を得る。
【0165】
実施例34:ランダムコポリマー71の製造
【化122】

【0166】
a)20.1gの1と、16.75gの68と、0.33gのトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート((t−Bu)3P・HBF4)と、0.52gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)とを反応容器内でアルゴンで脱気する。400mlのテトラヒドロフランと、14.2gのリン酸カリウム(K3PO4)を40mlの水(あらかじめ脱気したもの)に溶解したものとを添加する。12時間の還流後、この反応混合物を室温まで冷却し、メタノール中に沈殿させる。フラッシュクロマトグラフィにより、青色粉末として表題化合物を得る(16.8g)。

【化123】

【0167】
b)10gの化合物69を100mlのクロロホルムに溶解する。0.02mlの過塩素酸を活性剤として添加する。3.0gのN−ブロモスクシンイミドを−20℃で少量ずつ添加する。この反応混合物をこの温度で3時間攪拌した後、室温に達するまで放置する。次に、この反応混合物を300mlの水および100mlのブラインで抽出する。有機相を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィによって精製して、青色粉末として、9.1gの表題化合物を得る。

【化124】

【0168】
c)1.0gの70と、0.1gの5と、0.34gの6と、15.0mgのトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート((t−Bu)3P・HBF4)と、24.0mgのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)を17.5mlのテトラヒドロフランに加えたものと、0.64gのリン酸カリウム(K3PO4)を4mlの水(あらかじめ脱気したもの)に溶解したものとを使用する。2時間の還流後に16mgのブロモ−チオフェンを、20分後に21mgのチオフェン−ボロン酸ピナコールエステルを添加して、重合反応を停止させる。この反応混合物を室温まで冷却し、メタノール中に沈殿させる。残留物をシクロヘキサンおよびTHFを用いたソックスレー抽出によって精製し、次にポリマーをクロロホルムで抽出して、0.18gの暗色粉末を得る。Mw=28,100、多分散度=2.2(HT−GPCにより測定)。
【0169】
実施例35:ランダムコポリマー72の製造
下記に示すポリマー72(実施例35)を、合成に用いる2つの二臭化物の比率を変更して、実施例34と同様に製造する。
【化125】

【表7】

【0170】
実施例36〜38:ランダムコポリマー75〜77の合成
【化126】

【0171】
a)15gの4と、9.26gの2と、0.22gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)と、0.17gのトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート((t−Bu)3P・HBF4)リガンドとを150mlのTHFに加えたものと、12.8gのリン酸カリウム(K3PO4)を15mlの水に加えたものとを用いて、実施例1の化合物3と同様に、化合物73を得る。14.8gの青色粉末が得られる。
【化127】

【0172】
b)74を生じる73の臭素化を、14.7gの73と3.6gのN−ブロモスクシンイミド(NBS)とを用いて、国際公開第2008000664号の実施例2cと同様に実施し、12.8gの青色粉末を得る。
【化128】

【0173】
c)下記の第7表に示すポリマー75〜77(実施例36〜38)を、合成に用いる2つの二臭化物5および74の比率を変更して、実施例1と同様に製造する。
【表8】

【0174】
応用例1:DPPランダムコポリマー7ベースの有機電界効果トランジスタ
全ての実験に、p−Siゲート(10cm)を有するボトムゲート型薄膜トランジスタ(TFT)構造を使用する。厚さ300nmの高品質の熱SiO2層が、単位面積当たりのキャパシタンスCi=32.6nF/cm2のゲート絶縁体として機能した。ソース電極およびドレイン電極は、フォトリソグラフィにより、ゲート酸化物上に直接パターニングする。幅W=10mmおよび可変長L=4、8、15、30mのチャネルを画定する、金のソース・ドレイン電極を使用する。有機半導体の堆積の前に、ヘキサジメチルシラザン(HMDS)を用いて、飽和シラン蒸気に160℃で2時間曝露することによって、あるいはスピン速度800rpm(1分当たりの回転数)で約1分間HMDSをスピンコーティングすることによって、あるいは基板を60℃で20分間、トルエン中のオクタデシルトリクロロシラン(OTS)の0.1M溶液で処理することによって、SiO2表面を誘導体化する。イソプロパノールで濯いだ後、基板を乾燥させる。オルト−ジクロロベンゼン中の0.5%(w/w)溶液として、実施例1で得られる式7のDPP誘導体をスピンコーティングあるいはドロップキャスティングすることによって、半導体薄膜を製造する。スピンコーティングは、周囲条件下、スピン速度1000rpm(1分当たりの回転数)で約60秒間実施する。デバイスを堆積時、および100℃で15分間乾燥させた後に評価する。
【0175】
オルト−ジクロロベンゼンにおけるトランジスタ性能
トランジスタ動作を自動トランジスタプローバ(TP−10)で測定する。飽和伝達特性の平方根への直線当てはめにより、乾燥後に、電界効果移動度1.0×10-2cm2/Vs、およびオン/オフ電流比1.8×105を判定することができる。閾値電圧は、8.2Vである。ポリマー7をポリマー10、12、15、16、18、19、20、28、29、30、31、32、35、41、42、49、51、52、71、72、75、76、および77に置き換えて、さらなる有機電界効果トランジスタを製造する。第9表を参照する。
【表9】

【0176】
この太陽電池は、以下の構造を有する:Al電極/LiF層/本発明の化合物を含む有機層/[ポリ(3,4−エチレンジオキシ−チオフェン)(PEDOT):ポリ(スチレンスルホン酸)(PSS)]/ITO電極/ガラス基板。この太陽電池は、PEDOT:PSSの層をガラス基板上の予めパターニングしたITO上にスピンコーティングすることによって作成する。その後、式7の化合物(1質量%):[60]PCBMまたは[70]PCBM(置換されたC60またはC70フラーレン)の1:1混合物をスピンコーティングする(有機層)。シャドーマスクを介して、高真空下でLiFおよびAlを昇華させる。
【0177】
太陽電池性能
太陽電池を太陽光シミュレータのもとで測定する。続いて、外部量子効率(EQE)グラフを用いて、AM1.5条件下での電流を推定する。この結果、推定総合効率4.2%に対して、Jsc=13.2mA/cm2、FF=0.53、およびVoc=0.60Vの値が得られる。ポリマー7をポリマー10、11、12、13、14、19、41、42、51、71、75、および76に置き換えて、さらなる太陽電池を製造する。第10表を参照する。
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

の1つ以上の(繰り返し)単位と、式
【化2】

の繰り返し単位から選択された少なくとも1つの(繰り返し)単位とを含むポリマー、

【化3】

の1つ以上の(繰り返し)単位を含むポリマー、または

【化4】

の(繰り返し)単位を含むポリマーであって、
式中、
Ar23は、式
【化5】

の基であり、
Ar30は、式
【化6】

の基であり、このとき
26およびR26’は、互いに独立して、C4−C18アルキル基、特にC4−C18アルキル基であり、
Aは、式
【化7】

【化8】

の基であり、
aは、0、または整数1もしくは2であり、
bは、0、または整数1もしくは2であり、
pは、0、または整数1もしくは2であり、yは、0または1であり、
qは、0、または整数1もしくは2であり、sは、0または1であり、
uは、整数1または2であり、tは、0または1であり、
vは、整数1または2であり、wは、0または1であり、
Ar21、Ar21’、Ar24、Ar24’、Ar25、Ar27、Ar29、Ar31、Ar31’、Ar38、Ar34、Ar36、Ar39、Ar1、およびAr1’は、互いに独立して、式
【化9】

の基であり、
Ar3およびAr3’は、互いに独立して、Ar1の意味を有するか、あるいは式
【化10】

の基であり、
Ar2、Ar2’、Ar26、Ar28、Ar33、Ar35、Ar37、Ar32、Ar32’、Ar22、およびAr22’は、互いに独立して、式
【化11】

の基であり、
1およびX2のうちの一方はNであり、他方はCHであり、
3およびX4のうちの一方はNであり、他方はCR3’であり、
1、R2、R24、およびR25は、同じであっても異なってもよく、これらは水素、C1−C100アルキル基、特にC6−C24アルキル基、C1−C8アルキル、C1−C8チオアルコキシ、および/またはC1−C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよいC6−C24アリール、特にフェニルまたは1−もしくは2−ナフチル、あるいはペンタフルオロフェニルから選択され、
3およびR3’は、互いに独立して、C1−C25アルキル基、特にC4−C25アルキルであり、これらは場合によっては、1つ以上の酸素原子で中断されていてもよく、
B、D、およびEは、互いに独立して、式
【化12】

または式Iの基であり、ただしB、D、およびEが式Iの基である場合、これらはAとは異なり、このとき
kは、1であり、
lは、0または1であり、
rは、0または1であり、
zは、0または1であり、
Ar4、Ar5、Ar6およびAr7は、互いに独立して、式
【化13】

の基であり、
このときX5およびX6のうちの一方はNであり、他方はCR14であり、
cは、整数1、2、または3であり、
dは、整数1、2、または3であり、
Ar8およびAr8’は、互いに独立して、式
【化14】

の基であり、X1およびX2は、上記に定義したとおりであり、
1’’およびR2’’は、同じであっても異なってもよく、これらは水素、C1−C36アルキル基、特にC6−C24アルキル基、C1−C8アルキル、C1−C8チオアルコキシ、および/またはC1−C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよいC6−C24アリール、特にフェニルまたは1−もしくは2−ナフチル、あるいはペンタフルオロフェニルから選択され、
14、R14’、R17、およびR17’は、互いに独立して、H、またはC1−C25アルキル基、特にC6−C25アルキルであり、これらは場合によっては、1つ以上の酸素原子で中断されていてもよく、このとき、A、B、D、およびEはそれぞれ異なる、ポリマー。
【請求項2】
Aが、式
【化15−1】

【化15−2】

[式中、X1、X2、X3、X4、R1、R2、およびR3は、請求項1に定義したとおりである]の基である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
B、D、およびEが、互いに独立して、式
【化16】

[式中、
5’およびX6’のうちの一方はNであり、他方はCR14またはCHであり、
15、R15’、R17、およびR17’は、互いに独立して、H、またはC1−C25アルキル基、特にC6−C25アルキルであり、これは場合によっては1つ以上の酸素原子で中断されていてもよく、R14は、C1−C25アルキル基、特にC6−C25アルキルであり、これは場合によっては1つ以上の酸素原子で中断されていてもよい]の基である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項4】
Bが、式
【化17−1】

【化17−2】

[式中、
1、X2、R1’’、およびR2’’は、請求項1に定義したとおりである]の基である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項5】

【化18】

[式中、
Aは、式
【化19】

の基であり、
1およびR2は、C8−C35アルキル基であり、
3は、C1−C18アルキル基であり、
Bは、式
【化20】

の基であり、
15は、C4−C18アルキル基であり、
Dは、式
【化21】

の基であり、
x=0.995〜0.005、y=0.005〜0.995、特にx=0.4〜0.9、y=0.6〜0.1であり、このときx+y=1である]の繰り返し単位を含む、請求項1に記載のポリマー。
【請求項6】

【化22】

[式中、
Aは、式Ia、Ib、Ic、Id、Ie、If、Ig、またはIhの基であり、
1およびR2は、C8−C35アルキル基であり、
3は、C4−C18アルキル基であり、
Bは、式IIa、IIb、IIc、IId、IIe、IIf、IIg、IIh、またはIIiの基、または式Ia、Ib、Ic、Id、Ie、If、またはIgの基であり、ただしBはAと異なり、
1’’およびR2’’は、C8−C35アルキル基であり、
1およびX2のうちの一方はNであり、他方はCHであり、
Dは、式
【化23】

の基であり、
x=0.995〜0.005、y=0.005〜0.995であり、このときx+y=1である]の繰り返し単位を含む、請求項1に記載のポリマー。
【請求項7】

【化24−1】

【化24−2】

【化24−3】

[式中、
24、R1、およびR1’’は、C8−C38アルキル基であり、
15、R15’、R3、およびR26は、C1−C18アルキル基、特にC4−C18アルキル基であり、
1’は、C8−C36アルキルであり、
3’は、C1−C18アルキル、特にC4−C18アルキル基であり、R1≠R1’および/またはR3≠R3’であり、
nは、4〜1000、特に4〜200、特に5〜100であり、
xは、0.005〜0.995、好ましくは0.01〜0.99であり、
yは、0.995〜0.005、好ましくは0.99〜0.01であり、このときm+n=1である]のポリマーである、請求項1に記載のポリマー。
【請求項8】
1およびR2は、(分枝鎖)C8−C36アルキル基である、請求項1、2、5、または6のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載のポリマーを含む、有機半導体材料、層、もしくは要素。
【請求項10】
請求項1から8までのいずれか1項に記載のポリマー、または請求項9に記載の有機半導体材料、層、もしくは要素を含む、半導体デバイス。
【請求項11】
有機光起電(PV)デバイス(太陽電池)、フォトダイオード、または有機電界効果トランジスタである、請求項10に記載の半導体デバイス。
【請求項12】
前記PVデバイスが、
(a)陰極(電極)と、
(b)場合によっては、遷移層、例えばアルカリハロゲン化物、特にフッ化リチウムと、
(c)光活性層と、
(d)場合によっては、平滑化層と、
(e)陽極(電極)と、
(f)基板と、
をこの順番で含む、請求項10に記載の半導体デバイス。
【請求項13】
有機半導体デバイスの製造のための方法であって、請求項1から8までのいずれか1項に記載のポリマーの有機溶媒中の溶液および/または分散液を適切な基板に塗布することと、前記溶媒を除去することとを含む方法。
【請求項14】
PVデバイス、フォトダイオード、または有機電界効果トランジスタにおける、請求項1から8までのいずれか1項に記載のポリマー、または請求項9に記載の有機半導体材料、層、もしくは要素の使用。
【請求項15】

【化25】

[式中、A、B、およびDは、請求項1に定義したとおりである]のコポリマーの製造のための方法であって、二ハロゲン化物、例えば二臭化物、または二塩化物、または二ヨウ化物、特に式
【化26】

に相当する二臭化物と、等モル量の式
【化27】

[式中、X11は、それぞれ独立して、−B(OH)2、−B(OY12
【化28】

であり、このときY1は、それぞれ独立して、C1−C10アルキル基であり、Y2は、それぞれ独立して、C2−C10アルキレン基、例えば−CY34−CY56−または−CY78−CY910−CY1112−であり、このときY3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、およびY12は、互いに独立して、水素、またはC1−C10アルキル基、特に−C(CH32C(CH32−、または−C(CH32CH2C(CH32−、−CH2C(CH32CH2−であり、Y13およびY14は、互いに独立して、水素またはC1−C10アルキル基である]に相当するジボロン酸もしくはジボロネートとを、溶媒中、触媒の存在下で反応させることを含む方法。

【公表番号】特表2012−506930(P2012−506930A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533679(P2011−533679)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063769
【国際公開番号】WO2010/049323
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】