説明

有機半導体化合物を含む組成物

本発明は、有機半導体(OSC)と湿潤剤を含む新規な組成物、有機電子(OE)素子、特に、有機光(OPV)電池および有機発光ダイオード(OLED)素子の調製のためのインクとしてのそれらの使用、新規な組成物を使用するOE素子の製造方法、このような方法と組成物から調製されるOE素子、特に、OLED素子およびOPV電池に関する。1%の揮発性界面活性剤を含むOE素子の効率は、100cd/mで、13.5cd/Aであった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機半導体(OSC)と湿潤剤を含む新規な組成物、有機電子(OE)素子の、特に、有機光(OPV)電池およびOLED素子の調製のための導電性インクとしてのそれらの使用、新規な調合物を使用するOE素子の製造方法およびこのような方法と組成物から調製されるOE素子およびOPV電池に関する。
【0002】
背景と先行技術
OFETまたはOPV電池等のOE素子、特に、フレキシブル素子を製造する際には、インクジェット印刷、ロールトーロール印刷、スロット−ダイコーティングまたはフレキソグラフィック/グラビア印刷等の印刷またはコーティング技術が、OSC層に適用するために使用される。OSCとして有益なほとんどの現在の有機化合物の低い溶解度に基づいて、これらの技術は大量の溶媒の使用を必要とする。溶媒の脱湿潤と乾燥フィルムの平坦性を増加するために、界面活性剤を使用することができる。これらの添加剤は、低分子量を有する低分子OSCまたはポリマーOSCに関して、特に、必要とされる。通常の界面活性剤または湿潤剤の使用は、たとえば、WO2009/049744に開示されている。しかしながら、明白な実施例は、言及されていない。大部分のOSC材料の低い溶解度に基づいて、必要とされる界面活性剤の量は、インク調合物中のOSC材料の量に関連して高いものとなっている。
【0003】
US 5,326,672は、改善された線解像度を得るためにレジスト構造のすすぎを調節するための揮発性界面活性剤の使用を開示している。しかしながら、揮発性界面活性剤を含む組成物は、表面に任意の成分を適用するためには使用されず、現像されたレジストパターンをすすぐために使用される。如何なるOSC材料を含む組成物も、開示されていない。
【0004】
さらに、電気および電子部品を清浄化するための揮発性界面活性剤が、EP 1760140 B1に開示されている。しかしながら、EP 1760140 B1は、これらの湿潤剤を表面上に任意の層を適用するための組成物に使用することを示唆していない。
【0005】
JP 2003-128941Aは、向上した抵抗性を得る光硬化調合物の調製を検討している。JP 2003-128941Aの教示によれば、フォトレジスト層を適用するための水エマルジョンは、環境改善を提供することを目的として使用し得る。如何なるOSC材料を含む組成物も、開示されていない。
【0006】
JP 5171117Aは、エマルジョンを形成するための粘着性アクリル樹脂と反応性界面活性剤への揮発性界面活性剤の添加に関する。組成物は、ウエハー加工中にテープを形成するために使用される。如何なるOSC材料を含む組成物も、開示されていない。
【0007】
先行技術では、揮発性界面活性剤または湿潤剤は、湿潤剤を含む組成物を適用する前に形成される層もしくはすすぎ工程後に適用される層の粘着を改善するために使用される。しかしながら、OSC材料の分野では、通常の界面活性剤で形成される層の粘着は、重要ではない。さらに、WO2009/049744に記載されるとおりのOE素子は、有用な効率と寿命を示す。しかしながら、効率、寿命と酸化あるいは水に対する感受性等のOSC層の性質を改善することは長年の要望である。
【0008】
したがって、高い性能と長い寿命と水あるいは酸化に対する低い感受性を有する高効率のOE素子の製造を可能とするOE素子、特に、薄膜トランジスタ、ダイオード、OLED表示装置およびOPV電池の調製のために適するOSCを含む流体を有することが望ましい。本発明の一つの目的は、このような改善された流体を提供することである。別の目的は、このような流体からOE素子を調製する改善された方法を提供することである。別の目的は、このような流体から得られる改善されたOE素子を提供することである。さらなる目的は、以下の説明から、当業者には直ちに明らかとなる。
【0009】
驚くべきことに、本発明の方法、材料および素子を提供することにより、特に、揮発性湿潤剤を含む組成物を使用するOE素子の製造方法を提供することにより、これらの目的を達成することができ、上記問題を解決することができることが、見出された。
【0010】
発明の要約
本発明は、一以上の有機半導体化合物(OSC)、一以上の有機溶媒および組成物の表面張力を減少する一以上の添加剤(湿潤剤)を含む組成物であって、前記湿潤剤は、揮発性であり、有機半導体化合物と化学的に反応することができないことを特徴とする、組成物に関する。
【0011】
本発明は、さらに、ここに記載されたとおりの調合物の、OE素子の調製のための、特に、薄膜トランジスタ、ダイオード、OLED素子および剛性あるいは柔軟性光(OPV)電池および素子のコーティングまたは印刷インクとしての使用に関する。
【0012】
本発明は、さらに、以下の工程を含む有機電子(OE)素子の製造方法にも関する。
【0013】
a)ここに記載されたとおりの組成物を基板上に堆積し、フィルムまたは層を形成すること、
b)揮発性である溶媒および任意の湿潤剤を除去すること。
【0014】
本発明は、さらに、ここに記載されたとおりの調合物からおよび/またはプロセスにより調製されるOE素子に関する。
【0015】
OE素子は、限定するものではないが、有機電界効果トランジスタ(OFET)、集積回路(IC)、薄膜トランジスタ(TFT)、無線周波数同定(RFID)タグ、有機発光ダイオード(OLED)、有機発光トランジスタ(OLET)、エレクトロルミネセンス表示素子、有機光〈OPV)電池、有機太陽電池(O-SC)、フレキシブルOPVおよびO-SC、有機レーザーダイオード(O-laser)、有機集積回路(O-IC)、照明素子、センサー素子、電極材料、光伝導体、光検査器、電子写真記録素子、コンデンサー、電荷注入層、ショットキーダイオード、表面平坦化層、帯電防止フィルム、伝導性基板、伝導性パターン、光伝導体、電子写真素子、有機記憶素子、バイオセンサーおよびバイオチップである。
【0016】
好ましい具体例によれば、本発明は、有機発光ダイオード(OLED)を提供する。OLED素子は、たとえば、医療照明目的のための照明、情報伝達素子として、ビジュアルサイン伝達素子として、および表示装置に使用することができる。表示装置はパッシブマトリックスドライビング、アクチブマトリックスドライビングのトータルマトリックスアドレッシングを使用して対処することができる。透明OLEDは、光学的に透明な電極を使用することにより製造することができる。フレキシブルOLEDは、フレキシブルな基板の使用により入手することができる。
【0017】
本発明の組成物、方法および素子は、OE素子とその生産効率に驚くべき改善を提供する。予期せざることに、OE素子の性能、寿命および効率は、これらの素子が本発明の組成物を使用することにより達成されると、改善することができる。さらに、本発明の組成物は、驚くべき高い水準のフィルム形成性を提供する。特に、フィルムの均一性と品質を改善することができる。さらに、本発明は、多層素子のより良好な印刷解像度を可能とする。
【0018】
発明の詳細な説明
一以上のOSC化合物を含むOSC材料の永久的なドーピングを回避することを目的として、湿潤剤は、揮発性であって、OSC化合物と化学的に反応することができない化合物より成る群から選ばれる。特に、それらは、OSC材料に永久的なドーピング効果を有さない化合物から選択される(たとえば、酸化によるか、さもなくばOSCと化学的に反応する)。したがって、調合物は、好ましくは、イオン性生成物を形成することによりOSC材料と反応する、酸化剤、プロトン酸もしくはルイス酸等の添加剤を含んではならない。
【0019】
たとえば、酸化剤、ルイス酸、プロトン性無機酸もしくは非揮発性プロトン性カルボン酸の添加剤を調合物に添加することも容認できる。しかしながら、調合物中のこれら添加剤の合計濃度は、そこで、5重量%未満、好ましくは、2.5重量%未満、より好ましくは、0.5重量%未満、最も好ましくは、0.1重量%未満である。しかしながら、好ましくは、調合物は、これらの群から選ばれるドーパントを含まない。
【0020】
このように、湿潤剤は、OSC材料に永久的にドープしないように選ばれ、加工後(ここで、加工は、たとえば、基板上にOSC材料を堆積すること、それの層もしくはフィルムを形成することを意味する)にOSC材料から除去され、および/または、たとえば、永久的なドーピングにより引き起こされるOSC特性に関する顕著な影響を回避するに十分に低い濃度で存在する。さらに、好ましくは、湿潤剤は、OSC材料またはそれを含むフィルムもしくは層と化学的に結合しない。
【0021】
好ましい湿潤剤は、OSC材料を酸化しないか、さもなくばこれらの材料と化学的に反応しない化合物より成る群から選ばれる。ここで使用される用語「酸化する」および「化学的に反応する」は、調合物とOE素子の製造、貯蔵、輸送および/または使用のために使用される条件下でOSC材料と湿潤剤との可能な酸化反応もしくは他の化学反応を指す。
【0022】
湿潤剤は、揮発性化合物より成る群から選択される。ここで使用される用語「揮発性」は、OSC材料がOE素子の基板上に堆積された後で、OSC材料もしくはOE素子を顕著には損傷しない条件下(温度および/または減圧等)で、試薬が、蒸発によって、有機半導体材料から除去することができることを意味している。
【0023】
好ましくは、これは、湿潤剤が、使用される圧力で、非常に、好ましくは、大気圧(1013hPa)で、350℃<、より好ましくは、300℃≦、最も好ましくは、250℃≦の沸点または昇華温度を有する。蒸発は、たとえば、熱および/または減圧を適用するにより加速することもできる。
【0024】
好ましい湿潤剤は、非芳香族化合物である。さらに好ましくは、湿潤剤は、非イオン性化合物である。特に、有用な湿潤剤は、35mN/m以下の、好ましくは、30mN/m以下の、より好ましくは、25mN/m以下の表面張力を含む。表面張力は、FTA(First Ten Angstrom)125接触角度計を使用して、25℃で測定することができる。方法の詳細は、Roger P. Woodward, Ph.D.「Surface Tension Measurements Using the Drop Shape Method”.First Ten Angstrom」により公開されたとおりのFirst Ten Angstromから入手することができる。好ましくは、ペンダントドロップ法が、表面張力を測定するために使用されることができる。
【0025】
粗い評価をする目的に対して、ハンセン溶解度パラメーター:A User’s Handbook, Second Edition, C. M. Hansen (2007), Taylor and Francis Group, LLC (HSPiP manual)で解説された式によるハンセン溶解度パラメーターを使用して表面張力を計算することができる。
【0026】
表面張力=0.0146x(2.28xδH+δH+δH)xMVol0.2
ここで、
は、分散寄与であり、
Hpは、極性寄与であり、
は、水素結合寄与であり、
MVolは、モル体積である。
【0027】
ハンセン溶解度パラメーターは、Hanson and Abbot et al.により供給される実践ハンセン溶解度パラメーター(HSPiP)プログラム(2rd edition)により測定することができる。
【0028】
本発明の特別な側面によれば、添加剤は、少なくとも0.01、好ましくは、少なくとも0.1、好ましくは、少なくとも0.5、より好ましくは、少なくとも5、より好ましくは、少なくとも10、最も好ましくは、少なくとも20の相対蒸発速度(酢酸ブチル=100)を含み得る。相対蒸発速度は、DIN 53170:2009-08により測定することができる。
【0029】
粗い評価をする目的に対して、ここで言及されるHSPiPプログラムをもつハンセン溶解度パラメーターを使用して相対蒸発速度を計算することができる。
【0030】
予期せざる効果は、少なくとも100g/mol、特に、少なくとも150g/mol、より好ましくは、少なくとも180g/mol、最も好ましくは、少なくとも200g/molの分子量を含む湿潤剤により達成することができる。
【0031】
酸化しないか、またはさもなくばOSC材料と化学的に反応しない適切で好ましい湿潤剤は、シロキサン、アルカン、アミン、アルケン、アルキン、アルコールおよび/またはこれら化合物のハロゲン化誘導体より成る基から選ばれる。さらに、フルオロエーテル、フルオロエステルおよび/またはフルオロケトンを使用することもできる。より好ましくは、これらの化合物は、6〜20個の炭素原子、特に、8〜16個の炭素原子を有するメチルシロキサン、C-C14アルカン、C-C14アルケン、C-C14アルキン、7〜14個の炭素原子を有するアルコール、7〜14個の炭素原子を有するフルオロエーテル、7〜14個の炭素原子を有するフルオロエステル、7〜14個の炭素原子を有するフルオロケトンから選ばれる。最も好ましい湿潤剤は、8〜14個の炭素原子を有するメチルシロキサンである。
【0032】
7〜14個の炭素原子を有する有用で好ましいアルカンは、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、3-メチルヘプタン、4-エチルヘプタン、5-プロピルデカン、トリメチルシクロヘキサンおよびデカリンを含む。
【0033】
7〜14個の炭素原子を有するハロゲン化アルカンは、1-クロロヘプタン、1,2-ジクロロオクタン、テトラフルオロオクタン、デカフルオロドデカン、パーフルオロノナン、1,1,1-トリフルオロメチルデカンおよびパーフルオロメチルデカリンを含む。
【0034】
7〜14個の炭素原子を有する有用で好ましいアルケンは、ヘプテン、オクテン、ノネン、1-デセン、4-デセン、ウンデセン、ドデセン、トリデセン、テトラデセン、3-メチルヘプテン、4-エチルヘプテン、5-プロピルデセンおよびトリメチルシクロヘキセンを含む。
【0035】
7〜14個の炭素原子を有するハロゲン化アルケンは、1-クロロヘプテン、1,2-ジクロロオクテン、テトラフルオロオクテン、デカフルオロドデセン、パーフルオロノネンおよび1,1,1-トリフルオロメチルデセンを含む。
【0036】
7〜14個の炭素原子を有する有用で好ましいアルキンは、ヘプチン、オクチン、ノニン、1-デシン、4-デシン、ウンデシン、ドデシン、トリデシン、テトラデシン、3-メチルヘプチン、4-エチルヘプチン、5-プロピルデシンおよびトリメチルシクロヘキシンを含む。
【0037】
7〜14個の炭素原子を有するハロゲン化アルキンは、1-クロロヘプチン、1,2-ジクロロオクチン、テトラフルオロオクチン、デカフルオロドデシン、パーフルオロノニンおよび1,1,1-トリフルオロメチルデシンを含む。
【0038】
7〜14個の炭素原子を有する有用で好ましいアルコールは、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オル、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、3-メチルヘプタノール、4-エチルヘプタノール5-プロピルデカノール、トリメチルシクロヘキサノールおよびヒドロキシルデカリンを含む。
【0039】
7〜14個の炭素原子を有するハロゲン化アルカノールは、1-クロロヘプタノール、1,2-ジクロロオクタノール、テトラフルオロオクタノール、デカフルオロドデカノール、パーフルオロノナノール、1,1,1-トリフルオロメチルデカノールおよび2-トリフルオロメチル-1-ヒドロキシデカリンを含む。
【0040】
4〜15個の炭素原子を有するアミンは、ヘキシルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジブチルアミン、ピペラジン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、3-メチルヘプチルアミン、4-エチルヘプチルアミン、5-プロピルデシルアミン、トリメチルシクロヘキシルアミンを含む。
【0041】
4〜15個の炭素原子を有するハロゲン化アミンは、1-クロロヘプチルアミン、1,2-ジクロロオクチルアミン、テトラフルオロオクチルアミン、デカフルオロドデシルアミン、パーフルオロノニルアミンおよび1,1,1-トリフルオロメチルデシルアミン、パーフルオロトリブチルアミンおよびパーフルオロトリペンチルアミンを含む。
【0042】
7〜14個の炭素原子を有する有用で好ましいフルオロエーテルは、3-エトキシ-1,1,1,2,3,4,4,5,5,6,6,6ドデカフルオロ-2-トリフルオロメチル-ヘキサン、3-プロポキシ-1,1,1,2,3,4,4,5,5,6,6,6ドデカフルオロ-2-トリフルオロメチル-ヘキサン、3-エトキシ-1,1,1,2,3,4,4,5,5,6,6,6,7,7,7テトラデカフルオロ-2-トリフルオロメチル-ヘプタン、3-エトキシ-1,1,1,2,3,4,4,5,5デカフルオロ-2-トリフルオロメチル-ペンタンおよび3-プロポキシ-1,1,1,2,3,4,4,5,5,5デカフルオロ-2-トリフルオロメチル-ペンタンを含む。
【0043】
7〜14個の炭素原子を有する有用で好ましいフルオロエステルは、3-(1,1,1,2,3,4,4,5,5,6,6,6ドデカフルオロ-2-トリフルオロメチル-ヘキシル)エタノエート、3-(1,1,1,2,3,4,4,5,5,5,6,6,6ドデカフルオロ-2-トリフルオロメチル-ヘキシル)プロパノエート、3-(1,1,1,2,3,4,4,5,5,6,6,6,7,7,7テトラデカフルオロ-2-トリフルオロメチル-ヘプチル)エタノエート、3-(1,1,1,2,3,4,4,5,5,5デカフルオロ-2-トリフルオロメチル-ペンチル)エタノエートおよび3-(1,1,1,2,3,4,4,5,5,5デカフルオロ-2-トリフルオロメチル-ペンチル)プロパノエートを含む。
【0044】
7〜14個の炭素原子を有する有用で好ましいフルオロケトンは、3-(1,1,1,2,3,4,4,5,5,6,6,6ドデカフルオロ-2-トリフルオロメチル-ヘキシル)エチルケトン、3-(1,1,1,2,3,4,4,5,5,5,6,6,6ドデカフルオロ-2-トリフルオロメチル-ヘキシル)プロピルケトン、3-(1,1,1,2,3,4,4,5,5,6,6,6,7,7,7テトラデカフルオロ-2-トリフルオロメチル-ヘプチル)エチルケトン、3-(1,1,1,2,3,4,4,5,5,5デカフルオロ-2-トリフルオロメチル-ペンチル)エチルケトンおよび3-(1,1,1,2,3,4,4,5,5,5 デカフルオロ-2-トリフルオロメチル-ペンチル)プロピルケトンを含む。
【0045】
有用で好ましいシロキサンは、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサンおよびテトラデカメチルヘキサシロキサンを含む。
【0046】
湿潤剤として有用な化合物の例は、表1に開示される。提供された相対蒸発速度(RER)と表面張力値は、ここで言及したとおりのHanson and Abbot et al.により提供されるHSPiPプログラムを有するハンセン溶解度パラメーターを使用して、計算される。
【0047】
表1:好ましい湿潤剤
【表1−1】

【表1−2】

【0048】
は、分散寄与であり、
は、極性寄与であり、
は、水素結合寄与であり
MVolは、モル体積である。
【0049】
好ましくは、組成物は、5重量%以下の、特に、3重量%以下の湿潤剤を含む。より好ましくは、組成物は、0.01〜4重量%の、最も、好ましくは、0.1〜1重量%の湿潤剤を含む。
【0050】
溶媒は、好ましくは、トルエン、o-、m-あるいはp-キシレン、トリメチルベンゼン(たとえば、1,2,3-、1,2,4-および1,3,5-トリメチルベンゼン)、テトラリン、他のモノ-、ジ-、トリ-およびテトラアルキルベンゼン(たとえば、ジエチルベンゼン、メチルクメン、テトラメチルベンゼン等)等の芳香族炭化水素、芳香族エーテル(たとえば、アニソール、アルキルアニソール、たとえば、2,3および4メチルアニソールのアイソマー、2,3-、2,4-、2,5-、2,6-、3,4-および3,5ジメチルアニソールのアイソマー)、ナフタレン誘導体、アルキルナフタレン誘導体(たとえば、1-および2-メチルナフタレン)、ジ-およびテトラヒドロナフタレン誘導体より成る群から選ばれる。また、好ましいのは、芳香族エステル(たとえば、アルキルベンゾエート)、芳香族ケトン(たとえば、アセトフェノン、プロピオフェノン)、アルキルケトン(たとえば、シクロヘキサノン)、複素環式溶媒(たとえば、チオフェン、モノ-、ジ-およびトリアルキルチオフェン、2-アルキルチアゾール、ベンゾチアゾール等、ピリジン)、ハロゲンアリーレンおよびアニリン誘導体より成る群から選ばれる。これらの溶媒は、ハロゲン原子を含んでもよい。
【0051】
特に、好ましいものは:3-フルロ-トリフルオロメチルベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、ジオキサン、トリフルオロメトキシベンゼン、4-フルオロ-ベンゼントリフルオリド、3-フルオロピリジン、トルエン、2-フルオロトルエン、2-フルオロ-ベンゼントリフルオリド、3-フルオロトルエン、ピリジン、4-フルオロトルエン、2,5-ジフルオロトルエン、1-クロロ-2,4-ジフルオロベンゼン、2-フルオロピリジン、3-クロロフルオロベンゼン、1-クロロ-2,5-ジフルオロベンゼン、4-クロロフルオロベンゼン、クロロベンゼン、2-クロロフルオロベンゼン、p-キシレン、m-キシレン、o-キシレン、2,6-ルチジン、2-フルオロ-m-キシレン、3-フルオロ-o-キシレン、2-クロロフルオロベンゼントリフルオリド、ジメチルホルムアミド、2-クロロ-6-フルオロトルエン、2-フルオロアニソール、アニソール、2,3-ジメチルピラジン、ブロモベンゼン、4-フルオロアニソール、3-フルロアニソール、3-トリフルオロメチルアニソール、2-メチルアニソール、フェネトール、ベンゼンジオキソール、4-メチルアニソール、3-メチルアニソール、4-フルオロ-3-メチルアニソール、1,2-ジクロロベンゼン、2-フルロベンゼンニトリル、4-フルオロベラトール、2,6-ジメチルアニソール、アニリン、3-フルオロベンゼンニトリル、2,5-ジメチルアニソール、3,4-ジメチルアニソール、2,4-ジメチルアニソール、ベンゼンニトリル、3,5-ジメチルアニソール、N,N-ジメチルアニリン、1-フルオロ-3,5-ジメトキシベンゼン、フェニルアセテート、N-メチルアニリン、メチルベンゾエート、N-メチルピロリドン、モルホリン、1,2-ジヒドロナフタレン、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、o-トルニトリル、ベラトール、エチルベンゾエート、N,N-ジエチルアニリン、プロピルベンゾエート、1-メチルナフタレン、ブチルベンゾエート、2-メチルビフェニル、2-フェニルピリジンまたは2,2’-ビトリルである。
【0052】
特に、好ましいのは、芳香族炭化水素、特に、トルエン、ジメチルベンゼン(キシレン)、トリメチルベンゼン、テトラリンおよびメチルナフタレン、芳香族エーテル、特に、アニソールおよび芳香族エステル、特に、メチルベンゾエートである。
【0053】
これらの溶媒は、2、3以上の混合物として使用することができる。
【0054】
好ましくは、溶媒は、使用される圧力で、非常に好ましくは、大気圧(1013hPa)で、<300℃、より好ましくは、≦250℃、最も好ましくは、200℃≦の沸点または昇華温度を有する。蒸発は、たとえば、熱および/または減圧を適用することにより加速することもできる。
【0055】
驚くべき効果は、類似する沸点を有する揮発性成分を含む組成物により達成することができる。好ましくは、湿潤剤と有機溶媒の沸点の差は、−50℃〜50℃の範囲、より好ましくは、−30℃〜30℃の範囲、最も好ましくは、−20℃〜20℃の範囲である。
【0056】
通常、有機溶媒は、少なくとも28mN/mの、好ましくは、少なくとも30mN/mの、より好ましくは、少なくとも32mN/mの、最も好ましくは、35mN/mの表面張力を含むことができる。
【0057】
本発明の特別な側面によれば、有機溶媒と湿潤剤の表面張力の差は、好ましくは、少なくとも1mN/mの、より好ましくは、少なくとも5mN/mの、最も好ましくは、少なくとも10mN/mの表面張力である。
【0058】
好ましくは、溶媒は、少なくとも0.01、特に、少なくとも0.1、特に、少なくとも0.5、より好ましくは、少なくとも5、より好ましくは、少なくとも10、最も好ましくは、少なくとも20の相対蒸発速度(酢酸ブチル=100)を含み得る。相対蒸発速度は、DIN 53170:2009-08により測定することができる。
【0059】
予期せざる改善は、類似する相対蒸発速度(酢酸ブチル=100)を有する溶媒と湿潤剤とを含む組成物により達成することができる。好ましくは、湿潤剤と有機溶媒の相対蒸発速度(酢酸ブチル=100)の差は、−20〜20の範囲、より好ましくは、−10〜10の範囲である。本発明の好ましい具体例によれば、有機溶媒の相対蒸発速度(酢酸ブチル=100)に対する湿潤剤の相対蒸発速度(酢酸ブチル=100)の比は、230:1〜1:230、特に、20:1〜1:20、より好ましくは、5:1〜1:5の範囲であり得る。
【0060】
本発明の組成物は、特に、少なくとも70重量%、好ましくは、少なくとも80重量%、より好ましくは、少なくとも90重量%の有機溶媒を含み得る。
【0061】
好ましくは、溶媒は、好ましくは、同じ加工工程で、湿潤剤とともにOSC材料を含む被覆または印刷層から蒸発され得るように選択されねばならない。溶媒と揮発性添加物を除去するために使用される加工温度は、有機発光材料および/または電荷輸送材料が損なわれないように選択されねばならない。好ましくは、堆積加工温度は、室温(RT;約25℃)〜135℃、より好ましくは、RT〜80℃である。
【0062】
OSC化合物は、当業者に知られ、文献に記載された標準的な材料から選ぶことができる。OSCは、モノマー化合物(ポリマーまたは巨大分子と比べて「低分子」と呼ばれる)、ポリマー化合物またはモノマー化合物とポリマー化合物の何れか一方か両者から選ばれる一以上の化合物を含む混合物、分散液もしくはブレンドであり得る。
【0063】
本発明の一つの好ましい具体例によれば、OSCは、モノマー化合物から選ばれ、結晶度において顕著な変化を達成することが、より容易である。
【0064】
本発明の側面によれば、OSCは、好ましくは、共役芳香族分子であり、好ましくは、縮合あるいは非縮合であり得る少なくとも三つの芳香族環を含む。非縮合環は、たとえば、結合基、単結合またはスピロ結合を介して連結される。好ましいモノマーOSC化合物は、5-、6-あるいは7員芳香族環より成る群から選ばれる一以上の環を含み、より好ましくは、5-あるいは6-員芳香族環だけを含む。材料は、混合物、分散液およびブレンド等のモノマー、オリゴマーもしくはポリマーであってよい。
【0065】
各々の芳香族環は、Se、Te、P、Si、B、As、N、OもしくはS、好ましくは、N、OもしくはSから選ばれる一以上のヘテロ原子を随意に含む。
【0066】
芳香族環は、随意に、アルキル、アルコキシ、ポリアルコキシ、チオアルキル、アシル、アリールあるいは置換アリール基、ハロゲン、特に、フッ素、シアノ、ニトロまたは随意に置換された二級あるいは三級アミンもしくは-N(R)(R)で表されるアリールアミン(RとRは、互いに独立してHを示す)、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたアリール、アルコキシもしくはポリアルコキシ基で随意に置換されてよい。ここで、Rおよび/またはRは、アルキルまたはアリールを示し、これらは、随意にフッ素化されてもよい。
【0067】
好ましい環は、随意に縮合し、または随意に、-C(T)=C(T)-、-C≡C-、-N(R)-、-N=N-、-(R)C=N-、-N=C(R)-等の共役結合基により連結され、ここで、TとTは、互いに独立して、H、Cl、F、-C≡N-もしくは低級アルキル基、好ましくは、C1−4アルキル基であり、Rは、H、随意に置換されたアルキルもしくは随意に置換されたアリールをしめす。Rがアルキルまたはアリールであると、これらは、随意にフッ素化されてよい。
【0068】
好ましいOSC化合物は、テトラセン、クリセン、ペンタセン、ピレン、ペリレン、コロネン等の縮合芳香族炭化水素もしくは前記それらの可溶性置換誘導体;p-クオーターフェニル(p-4P)、p-キンケフェニル(p-5P)、p-セクシフェニル(p-6P)等のオリゴマーパラ置換フェニレンもしくは前記それらの可溶性置換誘導体;ポリアセン、ポリフェニレン、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリインデノフルオレン、これらの共役炭化水素ポリマーのオリゴマーを含む共役炭化水素ポリマー;ポリ(3-置換チオフェン)、ポリ(3,4-ビス置換チオフェン)、ポリセレノフェン、ポリ(3-置換セレノフェン)、ポリ(3,4-ビス置換セレノフェン)、ポリベンゾチオフェン、ポリイソチアナフタレン、ポリ(N-置換ピロール)、ポリ(3-置換ピロール)、ポリ(3,4-ビス置換ピロール)、ポリフラン、ポリピリジン、ポリ1,3,4-オキサジアゾール、ポリイソチアナフタレン、ポリ(N-置換アニリン)、ポリ(2-置換アニリン)、ポリ(3-置換アニリン)、ポリ(2,3-ビス置換アニリン)、ポリアズレン、ポリピレンポリベンゾフラン、ポリインドール、ポリピリダジン、随意に置換されたポリトリフェニルアミン等のポリトリアリールアミン等の共役ヘテロ環ポリマー;ピラゾリン化合物;ベンジリデン化合物;スチルベン化合物;トリアジン; 置換メタロあるいはメタルフリーポルフィン、フタロシアニン、フルオロフタロシアニン、ナフタロシアニンあるいはフルオロナフタロシアニン;C60およびC70フラーレンあるいはその誘導体; N,N'-ジアルキル、置換ジアルキル、ジアリールもしくは置換ジアリール-1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドおよびフッ素誘導体; N,N'-ジアルキル、置換ジアルキル、ジアリールもしくは置換ジアリール3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸ジイミド;バソフェナントロリン;ジフェノキノン; 1,3,4-オキサジアゾール;11,11,12,12-テトラシアノナフト-2,6-キノジメタン;α, α'-ビス(ジチエノ[3,2-b:2',3'-d]チオフェン); 2,8-ジアルキル、置換ジアルキル、ジアリールもしくは置換ジアリールアントラジチオフェン; 2,2'-ビベンゾ[1,2-b:4,5-b']ジチオフェンから選ばれる低分子(すなわち、モノマー化合物)、ポリマー、オリゴマーおよびそれらの誘導体を含む。好ましい化合物は、上記リストからのものと、可溶性であるそれらの誘導体である。
【0069】
特に、好ましいOSC材料は、たとえば、US 6,690,029、WO 2005/055248 A1またはWO 2008/107089 A1に記載されたとおりの、6,13-ビス(トリアルキルシリルエチニル)ペンタセンあるいはその誘導体、5,11-ビス(トリアルキルシリルエチニル)アントラジチオフェン等の置換ポリアセンである。さらに、好ましいOSC材料は、ポリ(3-置換チオフェン)、非常に、好ましくは、ポリ(3-アルキルチオフェン)(P3AT)であり、ここで、アルキル基は、好ましくは、直鎖であり、好ましくは、1〜12個の、最も、好ましくは、4〜10個のC原子を有し、たとえば、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)である。
【0070】
特に、好ましいポリマーOSC化合物は、チオフェン-2,5-ジイル、3-置換チオフェン-2,5-ジイル、随意に置換されたチエノ[2,3-b]チオフェン-2,5-ジイル、随意に置換されたチエノ[3,2-b]チオフェン-2,5-ジイル、セレノフェン-2,5-ジイル、3-置換セレノフェン-2,5-ジイル、随意に置換されたインデノフルオレン、随意に置換されたフェナントレンおよび随意に置換されたトリアリールアミンより成る群から選ばれる一以上の反復単位を含むポリマーまたはコポリマーである。
【0071】
本発明の組成物は、0.01〜20重量%の、好ましくは、0.1〜15重量%の、より好ましくは、0.2〜10重量%の、最も好ましくは、0.25〜5重量%のOSC材料または対応するブレンドを含み得る。パーセントデータは、溶媒または溶媒混合物の100%に関する。組成物は、1以上の、好ましくは、1、2、3または3超のOSC化合物を含む。
【0072】
ここで使用される有機半導体化合物は、純粋成分か2以上の成分の混合物の何れかであり、少なくとも一つは半導体特性を有さねばならない。しかしながら、混合物の使用の場合には、各成分が半導性を有する必要はない。したがって、たとえば、不活性低分子量化合物を、半導性ポリマーとともに使用することができる。同様に、不活性マトリックスまたはバインダーとして機能する非伝導性ポリマーを一以上の低分子量化合物または半導性を有するさらなるポリマーとともに使用することも可能である。本出願の目的のために、潜在的に混合された非伝導性成分は、光電子的に活性のない、不活性で、パッシブな化合物を意味するものと解される。
【0073】
さらに随意に予め混合された物質を含むポリマー有機半導体が好ましい。ポリマー有機半導体の分子量Mは、好ましくは、10,000g/mol超、より好ましくは、50,000〜2,000,000g/mol超、最も好ましくは、100,000〜1、000,000g/mol超である。
【0074】
本発明の目的のために、ポリマー有機半導体は、特に、(i)有機溶媒に可溶性である、EP 0443861、WO 94/20589、WO 98/27136、EP 1025183、WO 99/24526、DE 19953806およびEP 0964045に開示された置換ポリ-p-アリーレンビニレン(PAV)、(ii)有機溶媒に可溶性である、EP 0842208、WO 00/22027、WO 00/22026、DE 19846767、WO 00/46321、WO 99/54385およびWO 00155927に開示された置換ポリフルオレン(PF)、(iii)有機溶媒に可溶性である、EP 0707020、WO 96/17036、WO 97/20877、WO 97/31048、WO 97/39045およびWO 031020790に開示された置換ポリスピロビフルオレン(PSF)、(iv)有機溶媒に可溶性である、WO 92/18552、WO 95/07955、EP 0690086、EP 0699699およびWO 03/099901に開示された置換ポリ-パラ-フェニレン(PPP)あるいは-ビフェニレン、(v)有機溶媒に可溶性である、WO 05/014689に開示された置換ポリジヒドロフェナントレン(PDHP)、(vi)有機溶媒に可溶性である、WO 04/041901およびWO 04/113412に開示された置換ポリ-トランス-インデノフルオレンおよびポリ-シス-インデノフルオレン(PIF)、(vii)有機溶媒に可溶性である、DE 102004020298に開示された置換ポリフェナントレン、(viii)有機溶媒に可溶性である、EP 1028136およびWO 95/05937に開示された置換ポリチオフェン(PT)、(ix)有機溶媒に可溶性である、T. Yamamoto et at., J. Am. Chem. Soc. 1994, 116, 4832に開示されたポリピリジン(PPy)、(x)有機溶媒に可溶性である、V. Gelling et at., Polym. Prepr. 2000, 41, 1770に開示されたポリピロール、(xi)たとえば、WO 02/077060に記載された一以上の(i)〜(x)のクラスからの構造単位を有する可溶性コポリマー、(xii)有機溶媒に可溶性である、Proc. of ICSM '98, Part I & II (in: Synth. Met 1999, 101/102) に開示された共役ポリマー、(xiii)R. C. Penwell et al., J. Polym. Sci., Macromol Rev. 1978, 13, 63-160に開示された置換および非置換ポリビニルカルバゾール(PVK)、(xiv)たとえば、JP 2000/072722に開示された置換あるいは非置換トリアリールアミンポリマー、(xv)たとえば、M. A. Abkowitz and M. Stolka, Synth. Met. 1996, 78, 333に開示された置換あるいは非置換ポリシリレンおよびポリゲルミレン、および(xvi)たとえば、EP 1245659、WO 03/001616、WO 03/018653、WO 03/022908、WO 03/080687、EP 1311138、WO 031102109、WO 04/003105、WO 04/015025、DE 102004032527および既に引用したいくつかの明細書に開示された燐光単位を含む可溶性ポリマーを意味するものと解される。
【0075】
本発明のさらなる具体例によれば、本発明の有機半導体化合物は、好ましくは、5000g/mol以下の、好ましくは、2000g/mol以下の分子量を有する。
【0076】
本発明の特別な具体例によれば、OSCは、たとえば、OFETの半導体チャンネルでの活性チャンネル材料としてまたは有機整流ダイオードの層要素として使用することができる。
【0077】
OFET素子の場合、OFET層は、活性チャンネル材料としてOSCを含み、n-またはp-型OSCであってよい。半導体チャンネルは、同じ型の、すなわち、n-またはp-型何れかの二以上のOSC化合物の複合材料であってもよい。さらに、p-型チャンネルOSC化合物は、OSC層のドーピング効果のためのn-型OSC化合物と混合されてよい。多層半導体が使用されてもよい。たとえば、OSCは、絶縁体界面近くに固有に存在してもよく、高度にドープされた領域は、固有層の次に追加的に被覆されることができる。
【0078】
好ましいOSC化合物は、1x10−5cm−1−1超の、より好ましくは、1x10cm−1−1超のFET移動度を有する。
【0079】
特に、好ましいポリマーOSC化合物は、式P1〜P7から選ばれる一以上の反復単位を含む。
【化1−1】

【化1−2】

【0080】
式中、
nは、>1の整数であり、好ましくは、10〜1,000であり、
Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、F、Cl、Br、I、CN、1〜40個のC原子を有する直鎖、分岐あるいは環状アルキル基(1以上のC原子は、O-および/またはS-原子が、互いに直接結合しないように、随意に、O、S、O-CO、CO-O、O-CO-O、CR=CRもしくはC≡Cで置き代えられてよく、また、1以上の水素原子は、F、Cl、Br、IもしくはCNで置き代えられてよい。)であるか、または、1以上の非芳香族基Rにより非置換であるか、置換される4〜20個の環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基であり;ここで、一以上のRは、互いに、および/またはそれらが付属する環とともにモノ-あるいはポリ環状脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよく、
は、出現毎に同一であるか異なり、F、Cl、Br、I、CN、Sn(R00、Si(R00もしくはB(R00、1〜25個のC原子を有する直鎖、分岐あるいは環状アルキル基(1以上のC原子は、O-および/またはS-原子が、互いに直接結合しないように、随意に、O、S、O-CO、CO-O、O-CO-O、CR=CR、C≡C-で置き代えられてよく、また、1以上の水素原子は、随意に、F、Cl、Br、IもしくはCNで置き代えられてよい。)であるか、または、Rは、1以上の非芳香族基Rにより置換あるいは非置換である4〜20個の環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基であり;ここで、一以上の基Rは、互いに、および/またはRとともに環構造を形成してもよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、F、Cl、CN、1〜12個のC原子を有するアルキル基、または4〜10個の環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基であり
00は、出現毎に同一であるか異なり、H、1〜20個のC原子を有する脂肪族もしくは芳香族炭化水素基であって、ここで、二個の基R00は、それらが付属するヘテロ原子(Sn、SiもしくはB)とともに環構造を形成してもよく、
rは、0、1、2、3または4であり、
sは、0、1、2、3、4または5であり、
ここで、式P1〜P5中のRは、好ましくは、Hではない。
【0081】
特に、好ましいモノマーOSC化合物は、たとえば、US 6,690,029、WO 2005/055248 A1もしくはUS 7,385,221に開示されたビス(トリアルキルシリルエチニル)オリゴアセンあるいはビス(トリアルキルシリルエチニル)ヘテロアセン等のペンタセン、テトラセンもしくはアントラセンあるいはそのヘテロ環誘導体等の置換オリゴアセンより成る群から選ばれる。
【0082】
特に、好ましいOSC化合物は、式M1(ポリアセン)から選ばれる。
【化2】

【0083】
式中、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12は、夫々、同一であるか異なり、互いに独立して、水素;随意に置換されたC−C40カルビルもしくはヒドロカルビル基;随意に置換されたC−C40アルコキシ基;随意に置換されたC−C40アリールオキシ基;随意に置換されたC−C40アルキルアリールオキシ基;随意に置換されたC−C40アルコキシカルボニル基;随意に置換されたC−C40アリールオキシカルボニル基;シアノ基(-CN);カルバモイル基(-C(=O)NH);ハロホルミル基(-C(=O)-X、Xはハロゲン原子である);ホルミル基(-C(=O)-H);イソシアノ基;イソシアネート基;チオシアネート基もしくはチオイソシアネート基;随意に置換されたアミノ基;ヒドロキシ基;ニトロ基、CF基;ハロゲン基(Cl、Br、F);もしくは随意に置換されたシリルあるいはアルキニルシリル基であってよく、
ここで、独立した各対のRとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10は、随意に、架橋(クロスブリッジ)して、酸素原子、硫黄原子もしくは式-N(R)-(ここで、Rは、水素原子もしくは随意に置換された炭化水素基である)により介在されてもよい飽和あるいは不飽和C-C40環を形成し、環は、随意に置換されてもよく、および、ポリアセン骨格の一以上の炭素原子は、N、P、As、O、S、SeおよびTeから選ばれる一以上のヘテロ原子により随意に置換されてもよく、
およびポリアセンの隣接する環位置上に配置する独立した任意の二以上の置換基R〜R12は、O、Sもしくは-N(R)(ここで、Rは、上記に定義されるとおりである。)により随意に介在されてもよいさらなる飽和あるいは不飽和C-C40環もしくはポリアセンに縮合する芳香族環構造を随意に形成し、および、ここで、nは、0、1、2、3または4、好ましくは、0、1または2、最も、好ましくは、0または2であり、ポリアセン化合物は、ペンタセン化合物(n=2ならば)もしくは「偽ペンタセン」化合物(n=0ならば)であることを意味する。
【0084】
非常に、好ましいのは、式M1aの化合物(置換ポリアセン)である。
【化3】

【0085】
式中、
、R、R、R、R、R、R、R10、R15、R16、R17は、夫々、独立して、同一であるか異なり、互いに独立して、H;随意に置換されたC−C40カルビルもしくはヒドロカルビル基;随意に置換されたC−C40アルコキシ基;随意に置換されたC−C40アリールオキシ基;随意に置換されたC−C40アルキルアリールオキシ基;随意に置換されたC−C40アルコキシカルボニル基;随意に置換されたC−C40アリールオキシカルボニル基;シアノ基(-CN);カルバモイル基(-C(=O)NH);ハロホルミル基(-C(=O)-X、Xはハロゲン原子である);ホルミル基(-C(=O)-H);イソシアノ基;イソシアネート基;チオシアネート基もしくはチオイソシアネート基;随意に置換されたアミノ基;ヒドロキシ基;ニトロ基、CF基;ハロゲン基(Cl、Br、F);もしくは随意に置換されたシリル基であり、およびAは、珪素またはゲルマニウムであり、および
ここで、独立した各対のRとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10、R15とR16およびR16とR17は、随意に、互いに架橋(クロスブリッジ)して、酸素原子、硫黄原子もしくは式-N(R)-の基により、随意に、介在されてもよい飽和あるいは不飽和C-C40環を形成し、ここで、Rは、水素原子もしくは炭化水素基であるか、随意に置換され、
および、ポリアセン骨格の一以上の炭素原子は、N、P、As、O、S、SeおよびTeから選ばれるヘテロ原子により随意に置換されてもよい。
【0086】
さらに、好ましいものは、式M1bの化合物(置換ヘテロアセン)である。
【化4】

【0087】
式中、
、R、R、R、R15、R16、R17は、夫々、独立して、同一であるか異なり、互いに独立して、H;随意に置換されたC−C40カルビルもしくはヒドロカルビル基;随意に置換されたC−C40アルコキシ基;随意に置換されたC−C40アリールオキシ基;随意に置換されたC−C40アルキルアリールオキシ基;随意に置換されたC−C40アルコキシカルボニル基;随意に置換されたC−C40アリールオキシカルボニル基;シアノ基(-CN);カルバモイル基(-C(=O)NH);ハロホルミル基(-C(=O)-X、Xはハロゲン原子である);ホルミル基(-C(=O)-H);イソシアノ基;イソシアネート基;チオシアネート基もしくはチオイソシアネート基;随意に置換されたアミノ基;ヒドロキシ基;ニトロ基、CF基;ハロゲン基(Cl、Br、F);もしくは随意に置換されたシリルあるいはアルキニルシリル基であり、およびAは、シリコンもしくはゲルマニウムであり、
ここで、独立した各対のRとR、RとR、R15とR16およびR16とR17は、随意に、互いに架橋(クロスブリッジ)して、酸素原子、硫黄原子もしくは式-N(R)-の基により、随意に、介在されてもよい飽和あるいは不飽和C-C40環を形成し、ここで、Rは、水素原子もしくは炭化水素基であるか、随意に置換され、および
ポリアセン骨格の一以上の炭素原子は、N、P、As、O、S、SeおよびTeから選ばれる一以上のヘテロ原子により随意に置換されてもよい。
【0088】
特に、好ましいものは、副式M1bの化合物であり、ここで、少なくとも一つの対RとRおよびRとRは、互いに架橋(クロスブリッジ)して、酸素原子、硫黄原子もしくは式-N(R)-の基により、随意に、介在されてもよい飽和あるいは不飽和C-C40環を形成し、ここで、Rは、水素原子もしくは炭化水素基であるか、随意に置換される。
【0089】
特に、好ましいものは、副式M1b1(シリルエチニル化ヘテロアセン)である。
【化5】

【0090】
式中、
およびYの一つは、-CH=または=CH-であり、他は-X-であり、
およびYの一つは、-CH=または=CH-であり、他は-X-であり、
Xは、-O-、-S-、-Se-または-NR’’’-であり、
R’は、H、F、Cl、Br、I、CN、1〜20個、好ましくは、1〜8個のC原子を有する随意にフッ素化あるいは過フッ素化された直鎖あるいは分岐アルキルもしくはアルコキシ基、随意にフッ素化あるいは過フッ素化された6〜30個のC原子を有するアリール、好ましくは、CもしくはCOR’’’’であり、ここで、R’’’’は、H、随意にフッ素化された1〜20個のC原子を有するアルキル、2〜30個、好ましくは、5〜20個のC原子を有する随意にフッ素化されたアリールであり、
R’’は、複数出現の場合に、互いに独立して、1〜20個、好ましくは、1〜8個のC原子を有する環状、直鎖あるいは分岐アルキルもしくはアルコキシ基であって、随意にフッ素かあるいは過フッ素化してよく、好ましくは、SiR’’は、トリアルキルシリルであり、
R’’’は、Hまたは1〜10個のC原子を有する環状、直鎖あるいは分岐アルキルであり、
mは、0または1であり、
oは、0または1である。
【0091】
特に、好ましいのは、mとoが0であり、および/またはXがSであり、および/またはR’が、Fである式M1b1の化合物である。
【0092】
好ましい具体例では、式M1b1の化合物が提供され、以下の式のアンチ-およびシン-アイソマーの混合物として使用される。
【化6】

【0093】
ここで、X、R、R’、R’’、mおよびoは、互いに独立して、式M1b1で与えられる意味の一つもしくはここで与えられる好ましい意味の一つを有し、Xは、好ましくは、Sであり、mとoは、好ましくは、0である。
【0094】
ここで使用される用語「カルビル」は、非炭素原子を含まない少なくとも一つの炭素原子(-C≡C-等の)か、N、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGe等の少なくとも一つの非炭素原子と随意に結合した炭素原子(たとえば、カルボニル基等)の何れかを含む任意の一価または多価有機基部分を示す。用語「ヒドロカルビル」は、追加的に一以上のH原子を含み、随意に、たとえば、N、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGe等の一以上のヘテロ原子を含むカルビル基を示す。3個以上のC原子鎖を含むカルビルもしくはヒドロカルビル基は、直鎖、分岐および/またはスピロおよび/または縮合環を含む環状であってもよい。
【0095】
好ましいカルビルおよびヒドロカルビル基は、夫々、随意に置換され、さらに、1〜40個の、好ましくは、1〜25個の、より好ましくは、1〜18個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシおよびアルコキシカルボニルオキシ、さらに、随意に置換され、6〜40個の、好ましくは、6〜25個のC原子を有するアリールもしくはアリールオキシ、さらに、夫々、随意に置換され、6〜40個の、好ましくは、7〜40個のC原子を有するアルキルアリールオキシ、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシおよびアリールオキシカルボニルオキシを含み、これらすべての基は、特に、N、O、S、P、Si、Se、As、TeおよびGeから選ばれる一以上のヘテロ原子を随意に、含む。
【0096】
カルビルもしくはヒドロカルビル基は、飽和あるいは非飽和非環状基または飽和あるいは非飽和非環状基であってよい。非飽和非環状あるいは環状基は、好ましくは、特に、アリール、アルケニルおよびアルキニル基(特に、エチニル)である。C-C40カルビルもしくはヒドロカルビル基が非環状であると、基は、直鎖あるいは分岐であってよい。C-C40カルビルもしくはヒドロカルビル基は、たとえば、C-C40アルキル基、C-C40アルケニル基、C-C40アルキニル基、C-C40アリル基、C-C40アルキルジエニル基、C-C40ポリエニル基、C-C18アリール基、C-C40アルキルアリール基、C-C40アリールアルキル基、C-C40シクロアルキル基、C-C40シクロアルケニル基等である。前記基のなかで好ましいものは、夫々、C-C20アルキル基、C-C20アルケニル基、C-C20アルキニル基、C-C20アリル基、C-C20アルキルジエニル基、C-C12アリール基およびC-C20ポリエニル基である。炭素原子を有する基とヘテロ原子を有する基の組み合わせも、たとえば、シリル基、好ましくは、トリアルキルシリル基で置換されたアルキニル基、好ましくは、エチニル基等も含まれる。
【0097】
アリールおよびヘテロアリールは、好ましくは、縮合環を含んでもよく、随意に一以上の基Lで置換される25個までのC原子を有する1、2あるいは3環状芳香族もしくは複素環式芳香族基を示し、ここで、Lは、ハロゲンまたは1〜12個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニルもしくはアルコキシカルボニルであり、一以上のH原子は、FまたはClで置き代えられてよい。
【0098】
特に、好ましいアリールおよびヘテロアリールは、フェニルであり、さらに、一以上のCH基は、N、ナフタレン、チオフェン、セレノフェン、チエノチオフェン、ジチエノチオフェン、フルオレンおよびオキサゾールで置き代えられてよく、これらすべては、非置換であるか、上記に定義のとおりのLで一あるいは多置換され得る。
【0099】
上記式および副式中で、特に、好ましい置換基R、RおよびR1−17は、非置換であるか、F、Cl、BrまたはIで一あるいは多置換される1〜20個のC原子を有する直鎖、分岐あるいは環状アルキルから選ばれ、ここで、一以上の隣接しないCH基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように、各場合に互いに独立して、-O-、-S-、-NR-、-SiR-、-CX=CX2-もしくは-C≡C-で置き代えられてよいか、または、1〜30個のC原子を有する随意に置換されたアリールもしくはヘテロアリール基であり、RおよびRは、互いに独立してHもしくは1〜12個のC原子を有するアルキルであり、XおよびXは、互いに独立してH、F、ClもしくはCNである。
【0100】
15−17およびR”は、好ましくは、C-C40アルキル基、好ましくは、C-Cアルキル基、最も好ましくは、メチル、エチル、n-プロピルあるいはイソプロピル、C-C40アリール基、好ましくは、フェニル、C-C40アリールアルキル基、C-C40アルコキシ基またはC-C40アリールアルキルオキシ基から選ばれる同一か異なる基であり、これらすべての基は、随意に、たとえば、一以上のハロゲン原子で置換される。好ましいR15−17およびR”は、夫々独立して、随意に置換されたC-C12アルキル基、より好ましくは、C-Cアルキル基、最も好ましくは、C-Cアルキル基たとえばイソプロピルおよび随意に置換されたC-C10アリール基、好ましくは、フェニルから選ばれる。さらに好ましいのは、式-SiR1516のシリル基であり、ここで、R15は、上記に定義のとおりであり、R16は、Si原子と一緒になって環状シリルアルキル基を形成し、好ましくは、1〜8個のC原子を有する。
【0101】
一つの好ましい具体例では、すべてのR15−17またはすべてのR”は、同一の基であり、たとえば、同一の随意に置換されたアルキル基、たとえば、トリイソプロピルシリルである。より好ましいすべてのR15−17またはすべてのR”は、同一の基であり、随意に置換されたC-C10アルキル基、より好ましくは、C-Cアルキル基、最も好ましくは、C-Cアルキル基である。この場合に好ましいアルキル基はイソプロピルである。
【0102】
好ましい-SiR151617およびSiR”は、限定するものではないが、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、ジメチルエチルシリル、ジエチルメチルシリル、ジメチルプロピルシリル、ジメチルイソプロピルシリル、ジプロピルメチルシリル、ジイソプロピルメチルシリル、ジプロピルエチルシリル、ジイソプロピルエチルシリル、ジエチルイソプロピルシリル、トリイソプロピルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、トリフェニルシリル、ジフェニルイソプロピルシリル、ジイソプロピルフェニルシリル、ジフェニルエチルシリル、ジエチルフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェノキシシリル、ジメチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリル、メチルメトキシフェノキシシリル等を含み、ここで、アルキル、アリールもしくはアルコキシ基は、随意に置換される。
【0103】
本発明の好ましい具体例によれば、OSC材料は、有機発光材料および/または電荷輸送材料である。有機発光材料および電荷輸送材料は、当業者に知られ、文献に記載される標準的材料から選ぶことができる。本発明の有機発光材料は、400〜700nmの範囲のλmaxで発光する材料を意味する。
【0104】
適切な燐光発光化合物は、特に、好ましくは、可視域で適切な励起により発光し、加えて、20より大きい原子番号、好ましくは、38〜84の原子番号、より好ましくは、56〜80の原子番号を有する少なくとも一つの原子を含む。使用される燐光発光エミッターAは、好ましくは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユウロピウムを含み、特に、イリジウムまたは白金を含む化合物である。
【0105】
特に、好ましい有機燐光化合物は、式(1)〜(4)の化合物である。
【化7】

【0106】
式中、
DCyは、出現毎に同一であるか異なり、それを介して環状基が金属に結合する、少なくとも一つのドナー原子、好ましくは、窒素、カルベンの形態の炭素もしくは燐を含む環状基であり、順に一以上の置換基R16を有してよく;基DCyとCCyは、共有結合を介して互いに結合し;
CCyは、出現毎に同一であるか異なり、それを介して環状基が金属に結合する炭素原子を含む環状基であり、順に一以上の置換基R18を有してよく;
Aは、出現毎に同一であるか異なり、モノアニオン性二座キレートリガンド、好ましくは、ジケトンリガンドであり;
DCyは、出現毎に同一であるか異なり、それを介して環状基が金属に結合する、少なくとも一つのドナー原子、好ましくは、窒素、カルベンの形態の炭素もしくは燐を含む環状基であり、順に一以上の置換基R18を有してよく、基DCyとCCyは、共有結合を介して互いに結合し、
CCyは、出現毎に同一であるか異なり、それを介して環状基が金属に結合する炭素原子を含む環状基であり、順に一以上の置換基R18を有してよく
Aは、出現毎に同一であるか異なり、モノアニオン性二座キレートリガンド、好ましくは、ジケトンリガンドであり、
18は、出現毎に同一であるか異なり、F、Cl、Br、I、NO、CN、1〜20個の炭素原子を有する直鎖、分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(1以上の隣接しないCH基は、-O-、-S-、-NR19-、-CONR19-、-CO-O、-C=O-、-CH=CH-もしくは-C≡C-で置き代えられてよく、また、1以上の水素原子は、Fで置き代えられてよい。)、または、1以上の非芳香族基R18により置換されてよい4〜14個の炭素原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基であり、ここで、同じ環上もしくは二個の異なる環上何れかの複数の置換基R18は、順に、一緒になって、モノ-あるいはポリ環状脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよく;
19は、出現毎に同一であるか異なり、1〜20個の炭素原子を有する直鎖、分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(1以上の隣接しないCH基は、-O-、-S-、-CO-O、-C=O-、-CH=CH-もしくは-C≡C-で置き代えられてよく、また、1以上の水素原子は、Fで置き代えられてよい。)または、1以上の非芳香族基R18により置換されてよい4〜14個の炭素原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基である。
【0107】
複数の基R18間の環構造の形成は、ブリッジが、DCyとCCyとの間に存在してもよいことを意味する。さらに、複数の基R18間の環構造の形成は、ブリッジが、2または3個のリガンドCCy-DCyとの間に、または1または2個のリガンドCCy-DCyとリガンドAとの間に存在してもよく、多座配位もしくはポリポダルリガンド系をなすことを意味する。
【0108】
上記に記載されたエミッターの例は、WO00/70655、WO01/41512、WO02/02714、WO02/15645、EP 1191613、EP 1191612、EP 1191614、WO04/081017、WO05/033244、WO05/042550、WO05/113563、WO06/008069、WO06/061182、WO06/081973およびDE102008027005で明らかにされる。一般的に、燐光OLEDのために先行技術にしたがって使用され、また、有機エレクトロルミネッセンス素子分野で当業者に知られるすべての燐光錯体が適切であり、当業者は、進歩性を要することなくさらなる燐光錯体を使用することができる。特に、どの燐光錯体がどの発光色で発光するかは当業者に知られている。
【0109】
好ましい燐光化合物の例は、次の表に示される。
【化8−1】

【化8−2】

【化8−3】

【化8−4】

【化8−5】

【化8−6】

【化8−7】

【化8−8】

【化8−9】

【化8−10】

【化8−11】

【化8−12】

【化8−13】

【化8−14】

【化8−15】

【化8−16】

【化8−17】

【化8−18】

【化8−19】

【0110】
好ましいドーパントは、モノスチリルアミン、ジスチリルアミン、トリスチリルアミン、テトラスチリルアミン、スチリルホスフィン、スチリルエーテルおよびアリールアミンのクラスから選択される。モノスチリルアミンは、1個の置換あるいは非置換スチリル基と、少なくとも1個の、好ましくは、芳香族アミンを含む化合物を意味するものと解される。ジスチリルアミンは、2個の置換あるいは非置換スチリル基と少なくとも1個の、好ましくは、芳香族アミンを含む化合物を意味するものと解される。トリスチリルアミンは、3個の置換あるいは非置換スチリル基と少なくとも1個の、好ましくは、芳香族アミンを含む化合物を意味するものと解される。テトラスチリルアミンは、4個の置換あるいは非置換スチリル基と少なくとも1つの、好ましくは、芳香族アミンを含む化合物を意味するものと解される。スチリル基は、特に好ましくは、スチルベンであり、さらに置換されていてもよい。対応するホスフィンとエーテルはアミンと同様に定義される。本発明の目的のためにアリールアミンもしくは芳香族アミンは、窒素に直接結合した3個の置換あるいは非置換芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を含む。これら芳香族もしくは複素環式芳香族環構造の少なくとも1個は、好ましくは、縮合環構造、好ましくは、少なくとも14個の芳香族環原子を有する縮合環構造である。それらの好ましい例は、芳香族アントラセンアミン、芳香族アントラセンジアミン、芳香族ピレンアミン、芳香族ピレンジアミン、芳香族クリセンアミンもしくは芳香族クリセンジアミンである。芳香族アントラセンアミンは、一個のジアリールアミノ基が、アントラセンに直接、好ましくは、9-位で結合する化合物を意味するものと解される。芳香族アントラセンジアミンは、二個のジアリールアミノ基が、アントラセンに直接、好ましくは、9.10-位で結合する化合物を意味するものと解される。芳香族ピレンアミン、ピレンジアミン、クリセンアミンおよびクリセンジアミンは、同様に定義され、ここで、ジアリールアミノ基は、好ましくは、ピレンに、1位もしくは1.6-位で結合する。さらに好ましいドーパントは、たとえば、WO 06/122630にしたがうインデノフルオレンアミンあるいはインデノフルオレンジアミン、たとえば、WO 08/006449にしたがうベンゾインデノフルオレンアミンあるいはベンゾインデノフルオレンジアミン、および、たとえば、WO 07/140847にしたがうジベンゾインデノフルオレンアミンあるいはジベンゾインデノフルオレンジアミンから選択される。スチリルアミンのクラスからのドーパントの例は、置換あるいは非置換トリスチルベンアミンまたは、WO 06/000388、WO 06/058737、WO 06/000389、WO 07/065549およびWO 07/115610に記載されるドーパントである。さらに好ましいものは、DE102008035413に開示された縮合炭化水素である。
【0111】
適切なドーパントは、さらに、次の表に示される構造と、JP 06/001973、WO04/047499、WO06/098080、WO07/065678、US2005/0260442およびWO04/092111に開示されたこれらの構造の誘導体である。
【化9】

【0112】
発光層の混合物中のドーパントの割合は、0.1〜50.0重量%の間、好ましくは、0.5〜20.0重量%の間、特に、好ましくは、1.0〜10.0重量%の間である。対応して、ホスト材料の割合は、50.0〜99.9重量%の間、好ましくは、80.0〜99.5重量%の間、特に、好ましくは、90.0〜99.0重量%の間である。
【0113】
この目的のための適切なホスト材料は、種々の物質のクラスからの材料である。好ましいホスト材料は、オリゴアリーレン(たとえば、EP 676461に記載されるとおりの2,2’,7,7’-テトラフェニルスピロビフルオレンもしくはジナフチルアントラセン)、特に、縮合芳香族基を含むオリゴアリーレン、オリゴアリーレンビニレン(たとえば、DPVBiもしくはEP 676461にしたがうスピロ-DPVBi)、ポリポダル金属錯体(たとえば、WO 04/081017にしたがう)、正孔伝導化合物(たとえば、WO 04/058911にしたがう)、電子伝導化合物、特に、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド等(たとえば、WO 05/084081およびWO 05/084082にしたがう)、アトロプ異性体(たとえば、WO 06/048268にしたがう)、ボロン酸誘導体(たとえば、WO 06/177052にしたがう)またはベンズアントラセン(たとえば、WO 08/1452398にしたがう)のクラスから選択される。適切なホスト材料は、さらに、上記記載される本発明のベンゾ[c]フェナントレン化合物でもある。本発明の化合物とは別に、特に、好ましいホスト材料は、ナフタレン、アントラセン、ベンゾアントラセンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体、オリゴアリーレンビニレン、ケトン、ホスフィンオキシドおよびスルホキシドのクラスから選ばれる。本発明のベンゾ[c]フェナントレン化合物とは別に、非常に、特に、好ましいホスト材料は、アントラセン、ベンゾアントラセンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体クラスから選ばれる。本発明の目的のために、オリゴアリーレンは、少なくとも三個のアリールもしくはアリーレン基が互いに結合する化合物を意味するものと解される。
【0114】
適切なホスト材料は、さらに、次の表に示される材料と、WO04/018587、WO08/006449、US5935721、US2005/0181232、JP2000/273056、EP681019、US2004/0247937およびUS2005/0211958に開示されたこれらの材料の誘導体である。
【化10】

【0115】
本発明の目的のために、正孔注入層は、アノードに直接隣接する層である。本発明の目的のために、正孔輸送層は、正孔注入層と発光層との間に位置する層である。それらは、電子受容体化合物、たとえば、F-TCNQであり、EP1476881もしくはEP1596445に記載された化合物でドープされることが好ましい。
【0116】
本発明の材料とは別に、本発明の有機エレクトロルミネセンス素子の正孔注入もしくは正孔輸送層で、または電子注入もしくは電子輸送層で使用することができる適切な電荷輸送材料は、たとえば、Y. Shirota et al., Chem. Rev. 2007, 107(4), 953-1010に開示された化合物または先行技術によりこれらの層に使用される他の材料である。
【0117】
本発明のエレクトロルミネッセンス素子の正孔注入もしくは正孔輸送層中で使用することができる好ましい正孔輸送材料は、インデノフルオレンアミンと誘導体(たとえば、WO06/122630もしくはWO06/100896にしたがう)、EP1661888に開示されたアミン誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体(たとえば、WO01/049806にしたがう)、縮合芳香族環構造をもつアミン誘導体(たとえば、US 5,061,569にしたがう)、WO 95/09147に開示されたアミン誘導体、モノベンゾインデノフルオレンアミン(たとえば、WO WO08/006449にしたがう)もしくはジベンゾインデノフルオレンアミン(たとえば、WO 07/140847にしたがう)である。適切である正孔注入もしくは正孔輸送材料は、さらに、JP 2001/226331、EP676461、EP650955、WO01/049806、US4780536、WO98/30071、EP891121、EP1661888、JP 2006/253445、EP 650955、WO 06/073054およびUS5061569に開示されたとおりの上記に示す化合物の誘導体である。
【0118】
適切な正孔輸送もしくは正孔注入材料は、さらに、たとえば、以下の表に示される材料である。
【化11】

【0119】
本発明のエレクトロルミネッセンス素子で使用することができる適切な電子輸送もしくは電子注入材料は、さらに、たとえば、以下の表に示される材料である。適切な電子輸送もしくは電子注入材料は、さらに、JP2000/053957、WO03/060956、WO04/028217およびWO04/080975に開示され、上記に示される化合物の誘導体である。
【化12】

【0120】
本発明による化合物のために適切なマトリックス材料は、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシドおよびスルホン(たとえば、WO04/013080、WO04/093207、WO06/005627もしくはDE102008033943にしたがう)、トリアリールアミン、カルバゾール誘導体、たとえば、CBP(N.N-ビスカルバゾリルビフェニル)もしくはWO 05/039246、US2005/0069729、JP 2004/288381、EP1205527もしくはWO 08/086851に開示されたカルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体(たとえばWO07/063754もしくはWO08/056746にしたがう)、アザカルバゾール(たとえば、EP1617710、EP1617711、EP1731584、JP 2005/347160にしたがう)、バイポーラーマトリックス材料(たとえば、WO 07/137725にしたがう)、シラン(たとえば、WO05/111172にしたがう)、アザボロールもしくはボロン酸エステル(たとえば、WO 06/117052にしたがう)、トリアジン誘導体(たとえば、DE 102008036982、WO07/063754もしくはWO08/056746したがう)、亜鉛錯体(たとえば、DE102007053771にしたがう)である。
【0121】
さらに好ましいのは、前混合された低分子量、オリゴマー、樹状、直鎖あるいは分岐および/またはポリマー有機および/または有機金属半導体を含む非伝導性、電気伝導性不活性ポリマー(マトリックスポリマー;不活性ポリマーバインダー)でもある。好ましくは、組成物は、0.5〜10重量%の不活性ポリマーバインダーを含んでよい。
【0122】
随意に、OSC組成物は、一以上の有機バインダー、好ましくは、たとえば、WO2005/055248 A1に記載されたとおりのレオロジー特性を調整するためのポリマーバインダーを含み、特に、有機バインダーは、1,000Hzで3.3以下の低誘電率を有し、非常に、好ましくは、OSC化合物に対するバインダーの割合は、20:1〜1:20、好ましくは、10:1〜1:10、より好ましくは、5:1〜1:5の重量比を有する。
【0123】
バインダーは、たとえば、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリビニルシンナメート、ポリ(4-ビニルビフェニル)もしくはポリ(4-メチルスチレン)またはそれらのブレンドから選ばれる。バインダーは、たとえば、ポリ-アリールアミン、ポリフルオレン、ポリチオフェン、ポリスピロビフルオレン、置換ポリビニレンフェニレン、ポリカルバゾールもしくはポリスチルベンまたはそれらのコポリマーから選ばれる半導体バインダーであってもよい。
【0124】
本発明の組成物は、表面活性化合物、潤滑剤、分散剤、疎水化剤、接着剤、流動性改善剤、消泡剤、脱気剤、反応性もしくは非反応性であってよい希釈剤、補助剤、染料あるいは顔料、感光剤、安定化剤、ナノ粒子もしくは抑制剤等の一以上のさらなる成分を追加的に含んでもよい。しかしながら、これらのさらなる成分は、酸化するものではないかさもなくばOSCと化学的に反応することができないことができないか、または、OSCに関して電気的なドープ効果を有さない必要がある。
【0125】
本発明の組成物は、有機電子素子(OE)、たとえば、OFET等のトランジスタもしくはダイオード等の有機光電池(OPV)素子あるいは太陽電池等の調製のために使用することができる。
【0126】
特に、好ましいOE素子は、OFETである。本発明の好ましいOFETは、以下の成分を含む。:
−随意に、基板(1)、
−ゲート電極(2)、
−誘電材料(3)を含む絶縁層、
−OSC層(4)、
−電源とドレーン電極(5)、
−随意に、一以上の保護または不活性化層(6)。
【0127】
図1Aは、基板(1)、ゲート電極(2)、誘電材料層(3)(ゲート絶縁層として知られる)、OSC層(4)およびソースおよびドレーン(S/D)電極(5)および随意の不活性化もしくは保護層(6)を含む本発明の典型的な底部ゲート(BG)、頂部接触(TC)OFET素子を、例示的および図解的に示す。
【0128】
図1Aの素子は、基板(1)上にゲート電極(2)を堆積する工程、ゲート電極(2)と基板(1)上に誘電層(3)を堆積する工程、誘電層(3)上にOSC層(4)を堆積する工程、OSC層(4)上にS/D電極(5)を堆積する工程、随意に、S/D電極(5)とOSC層(4)上に不活性化もしくは保護層(6)を堆積する工程を含むプロセスにより調製することができる。
【0129】
図1Bは、基板(1)、ゲート電極(2)、誘電層(3)、S/D電極(5)、OSC層(4)および随意の不活性化もしくは保護層(6)を含む本発明の典型的な底部ゲート(BG)、底部接触(BC)OFET素子を、例示的および図解的に示す。
【0130】
図1Bの素子は、基板(1)上にゲート電極(2)を堆積する工程、ゲート電極(2)と基板(1)上に誘電層(3)を堆積する工程、誘電層(3)上にS/D電極(5)を堆積する工程、S/D電極(4)と誘電層(3)上にOSC層(4)を堆積する工程、随意に、OSC層(4)上に不活性化もしくは保護層(6)を堆積する工程を含むプロセスにより調製することができる。
【0131】
図2は、基板(1)、ソースおよびドレーン電極(5)、OSC層(4)、誘電層(3)およびゲート電極(2)および随意の不活性化もしくは保護層(6)を含む本発明の典型的な頂上ゲート(TG)OFET素子を、例示的および図解的に示す。
【0132】
図2の素子は、基板(1)上にS/D電極(5)を堆積する工程、S/D電極(4)と基板(1)上にOSC層(4)を堆積する工程、OSC層(4)上に誘電層(3)を堆積する工程、誘電層(3)上にゲート電極(2)を堆積する工程、随意に、ゲート電極(2)と誘電層(3)上に不活性化もしくは保護層(6)を堆積する工程を含むプロセスにより調製することができる。
【0133】
図1A、1Bおよび2に記載された素子中の不活性化もしくは保護層(6)は、後にその上に提供されるかもしれないさらなる層および/または周囲の影響からOSC層およびS/Dまたはゲート電極を保護する目的を有する。
【0134】
ソースとドレーン電極(5)との間の間隔は、図1A、1Bおよび2において二重の矢に示されるとおり、チャンネル領域である。
【0135】
OPV電池での使用のための調合物の場合に、調合物は、好ましくは、p-型半導体およびn-型半導体または受容体と供与材料を、好ましくは、含むか、より好ましくは、本質的にそれらから成り、非常に、好ましくは、それらのみから成る。この型の好ましい材料は、たとえば、WO94/05045 A1に開示されたとおりのPCBM[(6,6)-フェニルC61-ブチル酸メチルエステル]等のC60あるいはC70フラーレンもしくは変性C60分子をもつポリ(3-置換チオフェン)もしくはP3ATのブレンドまたは混合物であり、ここで、フラーレンに対するP3ATの重量比は、好ましくは、2:1〜1:2、より好ましくは、1.2:1〜1:1.2である。
【0136】
図3および図4は、本発明の典型的で好ましいOPV素子を、例示的および図解的に示す。(Waldauf et al., Appl. Phys. Lett. 89, 233517(2006)も参照。)
図3に示されたOPV素子は、好ましくは、以下を含む;
−低仕事関数の電極(31)(たとえば、アルミニウム等の金属)および高仕事関数の電極(32)(たとえば、ITO)、その一つは透明である。
【0137】
−電極(31、32)の間に位置する正孔輸送材料および電子輸送材料、好ましくは、OSC材料から選ばれる層(33)(「活性層」とも呼ぶ)であって、活性層は、たとえば、pおよびn型半導体の二層もしくは二個の区別された層またはブレンドあるいは混合物として存在することができ、
−随意な伝導性ポリマー層(34)、たとえばPEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホネート)であり、活性層(33)と高仕事関数の電極(32)との間に位置し、正孔のためのオーム接点を提供する高仕事関数の電極の仕事関数を変更する、
−活性層(33)に面する低仕事関数の電極(31)側面上の随意の被覆(35)(たとえば、LiF)であり、電子のためのオーム接点を提供する。
【0138】
図4に示された逆OPV素子は、好ましくは、以下を含む;
−低仕事関数の電極(41)(たとえば、金等の金属)および高仕事関数の電極(42)(たとえば、ITO)、そのうちの一つは透明である。
【0139】
−電極(41、42)の間に位置する正孔輸送材料および電子輸送材料、好ましくは、OSC材料から選ばれる層(43)(「活性層」とも呼ぶ)であって、活性層は、たとえば、pおよびn型半導体の二層もしくは二個の区別された層またはブレンドあるいは混合物として存在することができ、
−随意な伝導性ポリマー層(44)、たとえばPEDOT:PSSであり、活性層(43)と低仕事関数の電極(41)との間に位置し、電子のためのオーム接点を提供する、
−活性層(43)に面する高仕事関数の電極(42)側面上の随意の被覆(45)(たとえば、TiO)であり、正孔のためのオーム接点を提供する。
【0140】
正孔輸送ポリマーは、たとえば、ポリチオフェンである。電子輸送材料は、たとえば、亜鉛酸化物もしくはセレン酸カドミニウム等の無機材料、フラーレン誘導体(たとえば、PCBM等)もしくはポリマー(Coakley, K. M. and McGehee, M. D. Chem. Mater. 2004, 16, 453参照。)等の有機材料である。二層がブレンドであるならば、随意のアニーリング工程が素子性能を最適化するために必要であるかもしれない。
【0141】
OE素子の調製プロセス中には、OSC層が、基板上に堆積され、存在する任意の揮発性添加剤とともに溶媒が除去され、フィルムまたは層を形成する。
【0142】
種々の物質が、OE素子の製造のために使用されてよく、たとえば、ガラス、ITO被覆ガラス、PEDOT、PANI等を含む前被覆層をもつITOガラスまたはプラスチック、好ましいプラスチック材料、たとえば、アルキル樹脂、アルキルエステル、ベンゾシクロブテン、ブタジエン-スチレン、セルロース、酢酸セルロース、エポキシド、エポキシポリマー、エチレン-クロロトリフルオロエチレン、エチレン-テトラフルオロ-エチレン、ガラス繊維強化プラスチック、フルオロカーボンポリマー、ヘキサフルオロプロピレンビニリデン-フッ素ポリマー、高密度ポリエチレン、パリレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアラミド、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリケトン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリビニルクロライド、シリコンゴム、シリコーンおよびITOをもつ柔軟フィルムまたは他の伝導性層およびVitexフィルム等のバリアー層である。
【0143】
好ましい基板材料は、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミドおよびポリエチレンテレフタレートである。基板は、上記材料で被覆された任意のプラスチック材料、金属もしくはガラスであってよい。基板は、良好なパターン解像度を確保するために、好ましくは、均一であってよい。電荷移動性を向上するために、基板は、押し出し、拡張、摩擦もしくは有機半導体の配向を誘起する光化学技術により、均一に、あらかじめ整列されてもよい。
【0144】
電極は、噴霧、浸漬、ウェブ-、スピン-コーティング等の液体被覆により、もしくは真空堆積によりもしくは気相堆積法により堆積することもできる。適切な電極材料と堆積方法は、当業者に知られている。適切な電極材料は、限定するものではないが、無機もしくは有機材料、または二個の複合材料を含む。適切な伝導性または電極材料の例は、ポリアニリン、ポリピロール、PEDOTもしくはドープ共役ポリマー、グラファイトもしくはAu、Ag、Cu、Al、Nあるいはそれらの混合物等の金属粒子のさらなる分散液またはペースト、Cu、Cr、Pt/Pd等のスパッター被覆あるいは蒸発金属またはインジウム錫酸化物(ITO)等の金属酸化物である。有機金属前駆体も、液相からの堆積に使用されてよい。
【0145】
OSC層の堆積は、当業者に知られ、文献に記載された標準的な方法により達成することができる。適切で好ましい堆積方法は、液体コーティングおよび印刷技術を含む。非常に、好ましい堆積方法は、限定するものではないが、浸漬コーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、エアロゾルジェット、インクジェット印刷、ノズル印刷、活版印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、ドクターブレードコーティング、ローラー印刷、逆ローラー印刷、オフセット印刷、フレキソグラフィック印刷、ウェブ印刷、スプレー被覆、浸漬被覆、カーテンコーティング、ブラシコーティング、スロット−ダイコーティングおよびパッド印刷を含む。グラビア印刷、フレキソグラフィック印刷およびインクジェット印刷が最も好ましい。
【0146】
特別な側面によれば、絶縁層は、本発明のOEの特別な型を達成するために、基板上に堆積することができる。好ましくは、絶縁層は、溶液加工により、より好ましくは、一以上の有機溶媒中で随意に架橋可能である誘電体材料の溶液を使用して、堆積される。好ましくは、誘電体材料を堆積するために使用される溶媒は、OSC材料を堆積するために使用される溶媒に直交し、逆の場合も同様である。
【0147】
スピンコーティングが堆積方法として使用されると、OSCまたは誘電体材料は、たとえば、30秒間、たとえば、1000〜2000rpmで回転され、0.5〜1.5μmの典型的な層厚をもつ層を得る。スピンコーティング後に、フィルムは、高温で加熱して、残留する揮発性溶媒をすべて除去することができる。
【0148】
架橋可能な誘電体が使用されるならば、たとえば、X線、UVあるいは可視光照射等の電子ビームあるいは電磁気照射(化学線)への曝露により、堆積後に、好ましくは、架橋される。たとえば、化学線照射は、50nm〜700nm、好ましくは、200〜450nm、より好ましくは、300〜400mの波長を有するものを使用することができる。適切な照射量は、典型的には、25〜3,000mJ/cmの範囲である。適切な照射源は、水銀、水銀/キセノン、水銀/ハロゲンおよびキセノンランプ、アルゴンあるいはキセノンレーザー源、X線あるいは電子ビームを含む。化学線照射への曝露は、曝露された領域で誘電体材料の架橋可能基での架橋反応を引き起こすだろう。たとえば、架橋可能基の吸収帯外側の波長を有する光源を使用することおよび架橋可能材料に放射感光性光増感剤を添加することも可能である。
【0149】
随意に、誘電体材料層は、照射曝露後、たとえば、70℃〜130℃の温度で、1〜30分間、好ましくは、1〜10分間アニールされる。高温でのアニール工程は、誘電体材料の架橋可能基の光照射への曝露により誘起される架橋反応を完成するために使用することができる。
【0150】
溶媒と任意の揮発性伝導性添加物の除去は、好ましくは、蒸発により、たとえば、堆積層を高温度および/または減圧に、好ましくは、50℃〜200℃、より好ましくは、60℃〜135℃で曝露することにより達成される。
【0151】
OSC層の厚さは、好ましくは、1nm〜50μm、特に、2nm〜1000nm、より好ましくは、3nm〜500nmである。有機発光材料および/または電荷輸送材料を含む好ましい層は、2〜150nmの範囲の厚さを有することができる。
【0152】
ここで記載されるとおりの材料と方法に加えて、OE素子とその成分は、当業者に知られ、文献に記載された標準的材料と標準的方法から調製することができる。
【0153】
本発明の前記具体例に対する変形が、本発明の範囲内でなされ得ることは明らかだろう。本明細書に開示された各特長は、特に断らない限り、同じ、均等で類似の目的に役立つ代替の特徴に置き代えられてよい。したがって、特に断らない限り、開示された各特長は、一般的な一連の均等で類似の特徴の単なる一例である。
【0154】
本明細書に開示されたすべての特長は、これらの特長および/または工程の少なくともいくつかが互いに相反する組み合わせを除いて、任意の組み合わせで結合されてよい。特に、好ましい本発明の特長は、本発明のすべての側面に適用可能であり、任意の組み合わせで使用されてよい。同様に、非本質的な組み合わせで記載される特徴は、別々に(組み合わさずに)組み合わされてよい。
【0155】
上記記載の、特に、好ましい具体例の多くの特徴は、それ自身発明性があり、本発明の具体例の単なる部分でないことは明らかであろう。これらと特徴に加えてまたは特許請求された任意の代替物に対して独立した保護が追及されてよい。
【0156】
明らかに他に示されない限り、ここでの用語の複数形は単数形を含むものとして解されるべきであり、逆もそうである。
【0157】
本明細書の特許請求の範囲と発明の詳細な説明において、「含む」という用語は、「含むが限定されない」ことを意味し、他の成分を排除することを意図していない。
【0158】
用語「ポリマー」は、ホモポリマーおよびコポリマー、たとえば、統計的、交互またはブロックコポリマーを含む。さらに、ここで使用される用語「ポリマー」は、オリゴマーおよびデンドリマーを含む。M. Fischer and F. Voegtle, Angew. Chem., Int. Ed. 1999, 38, 885に記載されたとおり、デンドリマーは、さらなる分岐モノマーが、規則的な方法で、所与の樹状構造を付加される多官能性コア基から成る典型的分岐巨大分子化合物である。
【0159】
用語「共役ポリマー」は、その骨格(あるいは主鎖)中に、主にsp−混成のまたは随意にsp混成の炭素原子を含み、ヘテロ原子により置き代えられてもよく、介在するσ結合を横切って互いに一つのΠ軌道の相互作用を可能とするポリマーを意味する。最も簡単な場合には、これは、たとえば、交互炭素-炭素(あるいは炭素-ヘテロ原子)単結合および多重結合(たとえば、二重あるいは三重)をもつ骨格であるが、1,3-フェニレン等の単位をもつポリマーを含まない。「主に」は、これに関連して、共役中断を生じてもよい、自然に(同時に)生起する欠陥をもつポリマーが、なお、共役ポリマーとみなされることを意味している。この意味で、骨格が、たとえば、アリールアミン、アリールホスフィンおよび/またはある種のヘテロ環(すなわち、N-、O-、P-またはS-原子を介する共役)および/または金属有機錯体(すなわち、金属原子を介する共役)等の単位を含むポリマーも含まれる。用語「共役結合基」は、sp−混成のまたはsp混成の炭素原子またはヘテロ原子から成る二個の環(通常、芳香族環)を連結する基を意味する。「IUPAC Compendium of Chemical terminology, Electronic version」を参照されたい。
【0160】
他に断らなければ、分子量は、数平均分子量Mまたは重量平均分子量Mとして与えられ、他に断らなければ、ポリスチレン標準に対するゲル透過クロマトグラフ(GPC)により測定される。
【0161】
重合度(n)は、数平均重合度を意味し、他に断らなければ、n=M/Mとして与えられ、ここで、Mは、単反復単位の分子量である。
【0162】
用語「低分子」は、モノマー、すなわち、非ポリマー化合物を意味する。
【0163】
他に断らなければ、固体のパーセンテージは、重量パーセント(wt%)であり、液体(たとえば、溶媒混合物中等)のパーセンテージまたは比は、体積パーセント(vol%)であり、すべての温度は、摂氏(℃)である。
【0164】
他に断らなければ、パーセントまたはppmで与えられる、伝導性添加物等の混合物成分の濃度と割合は、溶媒を含む調合物全体に関する。
【0165】
本発明は、今や、以下の例を参照してより詳細に説明されるが、単に例示するだけのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0166】
ここに記載された全てのプロセスは、先行技術に記載され、当業者によく知られた公知技術と標準的な設備を使用して実行することができる。たとえば、光照射工程では、商業的に入手可能なUVランプとフォトマスクを使用することができ、アニーリング工程は、オーブン中またはホットプレート上で使用することがでる。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1A】図1Aは頂部接点(TC)OFETの構造を示す。
【図1B】図1Bは底部接点(BC)OFET素子の構造を示す。
【図2】図2は頂上ゲート(TG)OFET素子の構造を示す。
【図3】図3はOPV素子の構造を示す。
【図4】図4は逆OPV素子の構造を示す。
【図5】図5は湿潤剤を有する素子Aの移動度を示す。
【図6】図6は湿潤剤を有しない素子Aの移動度を示す。
【図7】図7は印刷時の即時のしわを示す。
【図8】図8は印刷時の即時のしわを示す。
【図9】図9は印刷時の即時のしわを示す。
【図10】図10は印刷時の即時のしわを示す。
【図11】図11は印刷時の即時のしわを示す。
【図12】図12は印刷時の即時のしわを示す。
【図13】図13は印刷時の即時のしわを示す。
【図14】図14は印刷時の即時のしわを示す。
【図15】図15は印刷時の即時のしわを示す。
【図16】図16は印刷時の即時のしわを示す。
【図17】図17は使用された素子のレイアウトを示す。
【図18】図18は試料Aのエレクトロルミネセンスを示す。
【図19】図19は試料Bのエレクトロルミネセンスを示す。
【図20】図20は、実質的な効率の改善が見られることを示す。
【図21】図21は試料Cのエレクトロルミネセンスを示す。
【図22】図22は試料Dのエレクトロルミネセンスを示す。
【図23】図23は試料Cのフォトルミネセンスにより評価されたものを示す。
【図24】図24は試料Dのフォトルミネセンスにより評価されたものを示す。
【図25】図25は、揮発性界面活性剤を有する素子だけが、測定されることができることを示す。
【図26】図26は試料Eのエレクトロルミネセンスを示す。
【図27】図271は試料Fのエレクトロルミネセンスを示す。
【図28】図28は試料Eのフォトルミネセンスにより評価されたものを示す。
【図29】図29は試料Fのフォトルミネセンスにより評価されたものを示す。
【図30】図30は、揮発性界面活性剤を有する素子だけが、測定されることができることを示す。
【0168】

例1(トランジスタ例)
化合物Aは、以下のアイソマーの混合物である。
【化13】

【0169】
化合物Aとその調製は、(サポート情報を含めて)S. Subramanian, J. Anthony et al., J. Am. Chem. Soc. 2008, 130, 2706-2707に開示されている。
【0170】
第1のOFET素子(「素子A」)が、以下のとおり製造された:
TeonexQ65FAフィルム(DuPont Teijin Filmsから入手可能)が、脱イオン水中で洗浄された。約40nmの厚さの金ソースドレーン電極が、20ミクロン幅で、1000ミクロン長の平行平板形状に蒸発された。基板は、メタノールで洗浄され、吹きつけ乾燥された。電極は、イソプロピルアルコールからのスピンコーティグと70℃、3分間のホットプレート上の過剰分の蒸発によるLisicon M001(Merck Chemicalsから商業的に入手可能)SAM処理で処理された。
【0171】
OSC調合物は、1.6部の化合物Aと97部のテトラリン中の0.4部の72,000Mのポリ-4-メチルスチレンと1部の揮発性界面活性剤/湿潤助剤(ドデカメチルペンタシロキサン)を溶解し、0.45μmのPTFEカートリジフィルターで溶液をろ過することにより製造された。
【0172】
OSC調合物は、次いで、Dimatix DMP2800プリンターを使用して、いくつかの異なるブロックパターンで(1200μx300μ、1200μx600μ、1200μx900μ、1200μx1200μ、1200μx200μ)、ソースドレーン電極上にインクジェット印刷された。
【0173】
印刷されたOSC層は、次いで、80℃で5分間アニールされた。
【0174】
フッ素ポリマーLisicon D139(9%固形物、Merck Chemicalsら商業的に入手可能)が素子上のOSC層上にスピンされ、100℃で2分間アニールされ、約1ミクロン厚の誘電性フィルムを得た。
【0175】
最後に40nm厚の金ゲート電極アレーが、存在するソースドレーン電極構造を覆うように誘電体層上に蒸発される。
【0176】
素子Aのトランスファーとストレス測定が、Keithley 4200を使用してなされた。トランジスタトランスファー特性とその線形性と飽和移動度が、図5(湿潤剤を有する素子A)に示される。点線は、ある数のACストレス後の移動度を示す。
【0177】
比較例1
参照として、第2のOFET素子(「素子B」)が、上記素子Aに対して記載されるのと同じ方法で製造されたが、ここで、OSC調合物は、湿潤剤を使用することなく、1.6部の化合物Aと98部のテトラリン中の0.4部の72,000Mのポリ-4-メチルスチレンを溶解し、0.45μmのPTFEカートリジフィルターで溶液をろ過することにより製造された。トランジスタトランスファー特性とその線形性と飽和移動度が図6(湿潤剤を有しない素子B)に示される。点線は、ある数のACストレス後の移動度を示す。
【0178】
二個の素子のトランスファー曲線を比較すると、素子A(湿潤剤を有するOSC)は、素子B(湿潤剤を有さないOSC)と比べて、わずかにより低い移動度を有する。しかしながら、ある数のACストレス後には、ソース/ドレーン電極とゲート電極両者に適用されたACパルス、トランスファー曲線の形状および素子Bの移動度は、劇的に悪化するが、素子Aの移動度は、ストレス前と同じままである。
【0179】
これらの結果は、OSC調合物中での湿潤剤の使用が、有機トランジスターのACストレスの影響を減じることができることを示している。
【0180】
特別な理論に拘束されるつもりはないが、湿潤剤は、理想的な方法で、電荷輸送に対して、OSC分子とポリマー相とを再配列することを助けるものと推測される。
【0181】
例2〜9と比較例2と3
印刷インクが、式107の燐光化合物と式141をもつホスト材料とを、1:4の重量比(燐光化合物107:ホスト材料141)で混合し、メチルベンゾエート(MB)中で得られた混合物を溶解することによって調製される。OLED化合物の濃度は、約1.6重量%である。
【化14】

【化15】

【0182】
OLEDインクが、印刷に先立って基板上にスピンコートされたPEDOT層とHIL−012層を含むPENプラスチック基板(50mm幅)上にFlexiproof100プリンターを使用してフレキソ印刷された。
【0183】
18mmの正方形が、50単位(距離に関連;使用されるプリンターの設定)のプレート圧と80単位の刷りローラー圧で、アニロックスを使用して印刷された。引き続き印刷物は、ホットプレート上で100℃で1時間乾燥された。フィルム形成は、Hg蒸気ランプからのUV照射で光学顕微鏡下目視することにより評価された。倍率は2倍であった。
【0184】
異なる実験の詳細は、湿潤剤のないものと、1重量%水準の添加された湿潤剤を選択されたもの(例2〜9)とともに、表2で提供された。結果は図に示すとおりである。
【0185】
表2
【表2−1】

【表2−2】

【0186】
図は、比較例が、印刷時の即時のしわを示すことを明らかに証明している。これに対して、驚くべきことに、揮発性湿潤剤のコンセプトは、高いフィルム品質と均一性を提供する。
【0187】
例2と3では、揮発性湿潤剤は、溶媒より低いBptとより高いRERを有する。例の結果の比較は、湿潤剤が、溶媒の蒸発と比べてややあまりにも迅速に蒸発したことを示す。
【0188】
例4と5では、揮発性湿潤剤のRERとBptは、溶媒のRERとBptより低い。したがって、結果は、例2と3の結果よりもほんのわずかより良好に達成された。
【0189】
例6と7では、揮発性湿潤剤は、溶媒より低いBptとより高いRERを有する。しかしながら、シロキサンが、アルキンに代えて使用された。したがって、結果は、例2と3の結果より良好に達成された。
【0190】
例8と9では、シロキサンが、使用された。さらに、RERと沸点は、溶媒のRERとBptと類似する。したがって、最高の結果が達成された。
【0191】
例に関しては、シロキサン化合物を含む組成物は、アルコールを含む組成物よりも良好なフィルム形成性を示す。
【0192】
例10
揮発性界面活性剤の有無によるスピンコートOLED調合物の比較
印刷インクは、燐光化合物(TEG−021;Merck KGaA)と2個のホスト材料(TMM−080とTMM−102;Merck KGaA)を一緒に混合し、これらをメチルベンゾエートに溶解することにより調製された(濃度:TEG−021:0.5重量%、TMM−080:1重量%およびTMM−102:1重量%)。例は、二つの部分に分割された。一方には1重量%の追加的なドデシルペンタシロキサンが添加された。使用された素子のレイアウトは、図17に示される。
【0193】
PEDOT(AI4083特級)とHIL−012−026(Merck KGaA;メシチレン中0.5%固形物で予め溶解。)は、ITOの4画素構造でカバーされた予めパターン化されたガラス基板(30mm幅)上にスピンコートされた。次いで、OLEDインクが、これらの基板上にスピンコートされた。次いで、Ba/Alカソードが、素子上にスパッターされ、得られた素子は、次いで、封入された。図18と19は、二個の試料のエレクトロルミネセンスを示す。
【0194】
見て取ることができるように、追加的な揮発性界面活性剤を有する試料は、実質的に改善された湿潤性を示し、改善された平滑化作用を生じる。これら材料の色点は、非常に類似していた。試料A:0.310/0.619CIEx/y座標。試料B:0.312/0.630CIEx/y座標。これらの素子の効率が、測定された。
【0195】
図20から見て取ることができるように、この例では、実質的な効率の改善が見られる。揮発性界面活性剤のない素子の効率は、1000cd/mでは測定することができなかった。揮発性界面活性剤を1%含む素子の効率は、1000cd/mで、2.7cd/Aであった。
【0196】
11
揮発性界面活性剤の有無によるインクジェットOLED調合物の比較
例10で使用された同じ印刷インクが、調製された。試料は、二つの部分に分割された。一方には1%の追加的なドデシルペンタシロキサンが添加された。使用された素子のレイアウトは、図17に示される。
【0197】
PEDOT(AI4083特級)とHIL−012−026(Merck KGaA;メシチレン中0.5%固形物で予め溶解。)は、ITOの4画素構造でカバーされた予めパターン化されたガラス基板(30mm幅)にスピンコートされた。次いで、OLEDインクは、DimatixDMP2800シリーズプリンターを使用して、これらの基板上にスピンコートされた。2mmx2mmの正方形ITOが、 2.2mmx2,2mm正方形パターンを使用して印刷された。25ミクロン間隔の液滴が、液滴間に適用された。素子は、次いで、180℃で30分間乾燥された。
【0198】
次いで、Ba/Alカソードが、素子上にスパッターされ、得られた素子は、次いで、封入された。図21と22は、二個の試料のエレクトロルミネセンスを示す。図23と24は、フォトルミネセンスにより評価されたものである。
【0199】
見て取ることができるように、追加的な揮発性界面活性剤をもつ試料は、実質的に改善された湿潤性を示し、改善された平滑化作用を生じる。これら材料の色点は非常に類似していた。試料C:0.300/0.612CIEx/y座標。試料D:0.315/0.636CIEx/y座標。これらの素子の効率が測定された。
【0200】
図25から見て取ることができるように、揮発性界面活性剤を有する素子だけが、測定されることができ、これは、揮発性界面活性剤のない素子からの不均一な光出力のためである。揮発性界面活性剤湿潤剤を1%含む素子の効率は、1000cd/mで、3.8cd/Aであった。
【0201】
例12
揮発性界面活性剤の有無によるフレキソ印刷OLED調合物の比較
例10で使用された同じ印刷インクが、調製された。試料は、二つの部分に分割された。一方には、1重量%の追加的なドデシルペンタシロキサンが添加された。使用された素子のレイアウトは、図17に示される。
【0202】
PEDOT(AI4083特級)とHIL−012−026(Merck KGaA;メシチレン中0.5%固形物で予め溶解。)は、ITOの4画素構造でカバーされた予めパターン化されたガラス基板(30mm幅)にスピンコートされた。次いで、OLEDインクは、NisshaS15angstromeフレキソ印刷プリンターを使用して、これらの基板上にスピンコートされた。素子は、次いで、180℃で30分間乾燥された。次いで、Ba/Alカソードが、素子上にスパッターされ、得られた素子は、次いで、封入された。図26と27は、二個の試料のエレクトロルミネセンスを示す。図28と29は、フォトルミネセンスにより評価されたものである。
【0203】
見て取ることができるように、追加的な揮発性界面活性剤をもつ試料は、実質的に改善された湿潤性を示す。揮発性界面活性剤がないと、インクは、貧弱なフィルム形成性を示す。これら材料の色点は非常に異なっている。試料E:0.189/0.204CIEx/y座標。試料F:0.310/0.637CIEx/y座標。色の相違の理由は、HIL層のライトアップだけである。これらの素子の効率が測定された。
【0204】
図30から見て取ることができるように、揮発性界面活性剤を有する素子だけが、測定されることができたが、これは、揮発性界面活性剤のない素子だけの正孔注入層ライトアップのためである。揮発性界面活性剤を1%含む素子の効率は、1000cd/mで、13.5cd/Aであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一以上の有機半導体化合物(OSC)、一以上の有機溶媒および組成物の表面張力を減少する一以上の添加剤(湿潤剤)を含む組成物であって、前記湿潤剤は、揮発性であり、有機半導体化合物と化学的に反応することができないことを特徴とする、組成物。
【請求項2】
前記湿潤剤は、非芳香族化合物および/または非イオン性化合物であることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記湿潤剤は、メチルシロキサン、C-C14アルカン、C-C14アルケン、C-C14アルキン、7〜14個の炭素原子を有するアルコール、7〜14個の炭素原子を有するフルオロエーテル、7〜14個の炭素原子を有するフルオロエステル、7〜14個の炭素原子を有するフルオロケトンから選ばれることを特徴とする、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
前記有機溶媒は、芳香族化合物であることを特徴とする、請求項1〜3何れか一項記載の組成物。
【請求項5】
前記有機溶媒は、芳香族炭化水素、アニソール、アルキルアニソール、ナフタレン誘導体、アルキルナフタレン、ジヒドロフェナントレン誘導体、テトラヒドロナフタレン誘導体、芳香族エステル、芳香族ケトン、アルキルケトン、複素環式芳香族溶媒、ハロゲンアリール、アニリン誘導体およびこれらの化合物の混合物より成る群から選ばれることを特徴とする、請求項1〜4何れか一項記載の組成物。
【請求項6】
有機半導体化合物は、有機発光材料および/または電荷輸送材料であることを特徴とする、請求項1〜5何れか一項記載の組成物。
【請求項7】
有機半導体化合物は、2000g/mol以下の分子量を有することを特徴とする、請求項1〜6何れか一項記載の組成物。
【請求項8】
有機半導体化合物は、以下の式から選ばれる一以上の反復単位を含むことを特徴とする、請求項1〜7何れか一項記載の組成物。
【化1】

(式中、
nは、>1の整数であり、好ましくは、10〜1,000であり、
Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、F、Cl、Br、I、CN、1〜40個のC原子を有する直鎖、分岐あるいは環状アルキル基(1以上のC原子は、O-および/またはS-原子が、互いに直接結合しないように、随意に、O、S、O-CO、CO-O、O-CO-O、CR=CRもしくはC≡Cで置き代えられてよく、また、1以上の水素原子は、随意に、F、Cl、Br、IもしくはCNで置き代えられてよい。)であるか、または、1以上の非芳香族基Rにより非置換であるか置換される4〜20個の環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基であり、ここで、一以上の置換基Rは、互いに、および/またはそれらが付属する環とともにモノ-あるいはポリ環状脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよく、
は、出現毎に同一であるか異なり、F、Cl、Br、I、CN、Sn(R00、Si(R00もしくはB(R00、1〜25個のC原子を有する直鎖、分岐あるいは環状アルキル基(1以上のC原子は、O-および/またはS-原子が、互いに直接結合しないように、随意に、O、S、O-CO、CO-O、O-CO-O、CR=CRもしくはC≡Cで置き代えられてよく、また、1以上の水素原子は、随意に、F、Cl、Br、IもしくはCNで置き代えられてよい。)であるか、または、Rは、1以上の非芳香族基Rにより置換あるいは非置換である4〜20個の環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基であり、ここで、一以上の基Rは、互いに、および/またはRとともに環構造を形成してもよく、
は、出現毎に同一であるか異なり、H、F、Cl、CN、1〜12個のC原子を有するアルキル基、または4〜10個の環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基であり、
00は、出現毎に同一であるか異なり、Hまたは1〜20個のC原子を有する脂肪族もしくは芳香族炭化水素基であって、ここで、二個の基R00は、それらが付属するヘテロ原子(Sn、SiもしくはB)とともに環構造を形成してもよく、
rは、0、1、2、3または4であり、
sは、0、1、2、3、4または5である。)
【請求項9】
有機半導体化合物は、以下の式の化合物であることを特徴とする、請求項1〜7何れか一項記載の組成物。
【化2】

( 式中、
、R、R、R、R、R、R、R10、R15、R16、R17は、夫々、独立して、同一であるか異なり、互いに独立して、H;随意に置換されたC−C40カルビルもしくはヒドロカルビル基;随意に置換されたC−C40アルコキシ基;随意に置換されたC−C40アリールオキシ基;随意に置換されたC−C40アルキルアリールオキシ基;随意に置換されたC−C40アルコキシカルボニル基;随意に置換されたC−C40アリールオキシカルボニル基;シアノ基(-CN);カルバモイル基(-C(=O)NH);ハロホルミル基(-C(=O)-X、Xはハロゲン原子である);ホルミル基(-C(=O)-H);イソシアノ基;イソシアネート基;チオシアネート基もしくはチオイソシアネート基;随意に置換されたアミノ基;ヒドロキシル基;ニトロ基、CF基;ハロゲン基(Cl、Br、F);もしくは随意に置換されたシリル基であり、およびAは、珪素またはゲルマニウムであり、および
ここで、独立した各対のRとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10、R15とR16およびR16とR17は、随意に、互いに架橋(クロスブリッジ)して、酸素原子、硫黄原子もしくは式-N(R)-の基により、随意に、介在されてもよいC-C40飽和あるいは不飽和環を形成し、ここで、Rは、水素原子もしくは炭化水素基であるか、随意に置換され;および
ポリアセン骨格の一以上の炭素原子は、N、P、As、O、S、SeおよびTeから選ばれるヘテロ原子により随意に置換されてもよい。)
【請求項10】
有機半導体化合物は、以下の式の化合物であることを特徴とする、請求項1〜7何れか一項記載の組成物。
【化3】

(式中、YおよびYの一つは、-CH=または=CH-であり、他は-X-であり、
およびYの一つは、-CH=または=CH-であり、他は-X-であり、
Xは、-O-、-S-、-Se-または-NR’’’-であり、
R’は、H、F、Cl、Br、I、CN、随意にフッ素化あるいは過フッ素化した1〜20個のC原子を有する直鎖あるいは分岐アルキルもしくはアルコキシ基、随意にフッ素化あるいは過フッ素化した6〜30個のC原子を有するアリールまたはCOR’’’’であり、ここで、R’’’’は、H、随意にフッ素化した1〜20個のC原子を有するアルキル、随意にフッ素化した2〜30個のC原子を有するアリールであり、
R’’は、複数出現の場合に、互いに独立して、1〜20個、好ましくは、1〜8個のC原子を有する環状、直鎖あるいは分岐アルキルもしくはアルコキシ基であって、それらのすべては、随意にフッ素化あるいは過フッ素化してよく、
R’’’は、Hまたは1〜10個のC原子を有する環状、直鎖あるいは分岐アルキルであり、
mは、0または1であり、
oは、0または1である。)
【請求項11】
有機半導体化合物は、発光し、さらに、38超の原子番号を有する少なくとも一つの原子を含む有機燐光化合物であることを特徴とする、請求項1〜10何れか一項記載の組成物。
【請求項12】
燐光化合物は、式(1)〜(4)の化合物であることを特徴とする、請求項11記載の組成物。
【化4】

(式中、
DCyは、出現毎に同一であるか異なり、それを介して環状基が金属に結合する、少なくとも一つのドナー原子、好ましくは、窒素、カルベンの形態の炭素もしくは燐を含む環状基であり、順に一以上の置換基R18を有してよく、基DCyとCCyは、共有結合を介して互いに結合し、
CCyは、出現毎に同一であるか異なり、それを介して環状基が金属に結合する炭素原子を含む環状基であり、順に一以上の置換基R18を有してよく
Aは、出現毎に同一であるか異なり、モノアニオン性二座キレートリガンド、好ましくは、ジケトンリガンドであり、
18は、出現毎に同一であるか異なり、F、Cl、Br、I、NO、CN、1〜20個の炭素原子を有する直鎖、分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(1以上の隣接しないCH基は、-O-、-S-、-NR19-、-CONR19-、-CO-O、-C=O-、-CH=CH-もしくは-C≡C-で置き代えられてよく、また、1以上の水素原子は、Fで置き代えられてよい。)、または、1以上の非芳香族基R18により置換されてよい4〜14個の炭素原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基であり、ここで、同じ環上もしくは二個の異なる環上何れかの複数の置換基R18は、順に、一緒になって、モノ-あるいはポリ環状脂肪族もしくは芳香族環構造を形成してもよく;
19は、出現毎に同一であるか異なり、1〜20個の炭素原子を有する直鎖、分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(1以上の隣接しないCH基は、-O-、-S-、-CO-O、-C=O-、-CH=CH-もしくは-C≡C-で置き代えられてよく、また、1以上の水素原子は、Fで置き代えられてよい。)または、1以上の非芳香族基R18により置換されてよい4〜14個の炭素原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基である。)
【請求項13】
組成物は、少なくとも一つの不活性ポリマーバインダーを含むことを特徴とする、請求項1〜12何れか一項記載の組成物。
【請求項14】
請求項1〜13何れか一項記載の組成物の、OE素子調製のためのコーティングまたはインク印刷としての使用。
【請求項15】
請求項1〜13何れか一項記載の組成物から製造されるOE素子。
【請求項16】
有機発光ダイオード(OLED)、有機電界効果トランジスタ(OFET)または有機光電池(OPV)素子であることを特徴とする請求項15記載のOE素子。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公表番号】特表2013−516052(P2013−516052A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545116(P2012−545116)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007131
【国際公開番号】WO2011/076324
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】