説明

有機系被処理物分解処理装置及びそれを使用した有機物の分解処理方法

【課題】 本発明は有機系処理物を燃焼させることなく、熱分解処理することを課題とする。
【解決手段】 反応器本体2内に投入口11から被処理物を投入し、分解ガス排出経路13の排ガス吸引手段16によって、磁気処理手段9によって磁気処理した空気を該本体2内に導入し、加熱手段4および/または着火手段6によって該被処理物を加熱して分解ガス化せしめる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックやゴムを材料とする製品の廃棄物、野菜くず、刈り取った草類、業務用または家庭用生ごみ等の有機系被処理物の分解処理装置および分解処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記有機系被処理物は焼却炉において焼却処理されていた。上記焼却処理においては排気中に煤塵が発生し、大気汚染の原因となる。上記煤塵は無機質であるから排気経路中に二次燃焼室を介在させて二次燃焼を行っても除去出来ない。したがって排気中の煤塵を除去するためにはサイクロン、集塵機等の煤塵捕集手段が不可欠である。更に焼却炉において有機系被処理物を焼却処理すると、炉内が高温になる。そのため焼却炉にあっては炉内に耐火レンガ、耐火キャスターを設備し、また内壁を二重にして水を通すウォータージャケット方式を採用する必要があり、高額な制作費用がかかる。
上記焼却炉における種々の問題点を解決するために、熱分解反応器内に有機系被処理物を投入し、貧酸素状態において燃焼させることなく熱分解してダイオキシン等の有害化合物を副生することなく処理する装置および方法が提供されている。
更に上記装置および方法に関しては、上記有機系被処理物の熱分解反応を促進するために、熱分解反応器内に磁気処理した空気を導入する装置および方法も提供されている。
【0003】
【特許文献1】特許第4008181号公報
【特許文献2】特開2006−247437号公報
【特許文献3】特開2006−349330号公報
【特許文献4】特開2007−296465号公報
【特許文献5】特開2004−195459号公報
【特許文献6】特開2008−101223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記磁気処理した空気によって熱分解反応器内の有機系被処理物を効率良く熱分解するためには、上記磁気処理した空気を効率良く上記有機系被処理物に接触させることが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するための手段として、反応器本体2の天面に密閉蓋付きの被処理物投入口11を配置し、下部には灰取り出し手段3と加熱手段4とを備え、更に下部から多孔塔体5を立設した熱分解反応器2と、該反応器本体2の下部に備えられている着火手段6と、該反応器本体に接続し、空気の磁気処理手段9および空気量調節手段8Gが介在している空気供給経路8と、該反応器本体2の上部に接続し、排ガス燃焼手段14Aと排ガス吸引手段16とを付設した分解ガス排出経路13とからなる有機系被処理物分解処理装置1を提供するものである。
上記反応器本体2の周壁2Aの内側には、所定の間隔を介して多孔板7が配置されていることが望ましく、更に上記空気供給経路8は、上記反応器本体2上部を通過したうえで、上記反応器本体2下部から該反応器本体2内へ空気を供給するように設定されていることが望ましい。また、上記反応器本体2の底部には、放射性鉱物および/または遠赤外線放射材料23が敷設されていることが望ましく、更に上記反応器本体2の被処理物投入口11の密閉蓋は、上下二段の二重構造にされ、下段の蓋11Bが閉じた状態でのみ上段の蓋11Aが開くことが出来るように設定されていることが望ましく、また更に上記分解ガス排出経路13には、排ガス燃焼位置で分解ガスに渦流を発生させるためのガイド手段14C、14Eが設けられていることが望ましい。
本発明においては、更に上記有機系被処理物分解処理装置1を使用して有機物を分解処理する方法が提供される。
即ち上記方法は、上記反応器本体2下部の加熱手段4によって該本体内を加熱する予備加熱工程、上記反応器本体2内に被処理物投入口11から被処理物を投入する被処理物投入工程、上記分解ガス排出経路13の排ガス吸引手段16を作動させ、上記空気供給経路8から上記反応器本体2内へ磁気処理した空気を吸引する空気供給工程、上記反応器本体2内に投入された被処理物に対して上記反応器本体2内下部に備えられている着火手段6および/または加熱手段4によって熱分解開始温度にまで加熱する熱分解開始工程、上記空気供給経路8からの反応器本体2内への空気供給量を上記空気量調節手段8Gによって調節制限して上記被処理物の燃焼を防ぎ、かつ排ガス吸引量と空気供給量とを、上記反応器本体2内が常時負圧となるように調節して上記被処理物を熱分解する熱分解工程、上記熱分解工程によって発生した分解ガスを排ガス吸引手段16によって分解ガス排出経路13に吸引し、該分解ガス排出経路13内で排ガス燃焼手段14Aによって可焼成分を燃焼させたうえで排出する分解ガス処理工程、以上の工程からなる。
上記方法においては、上記熱分解開始工程に先立って、上記反応器本体2内底部に灰24を入れておき、上記熱分解工程中に発生する有機物の液化物を上記灰24中に吸収させることが望ましい。
【0006】
(作用)
請求項1に記載の発明にあっては、被処理物投入口11から有機系被処理物分解処理装置1の本体2内に有機系被処理物を投入し、磁気処理手段9によって磁気処理した空気(磁化空気)を空気供給経路8から該反応器本体2内に導入すると、加熱手段4および/または着火手段6によって該被処理物を加熱すると、該被処理物は該磁化空気と速やかに反応し分解するが、該反応器本体2の下部から多孔塔体5が立設されているから、該磁化空気は該反応器本体2内に投入されている上記有機系被処理物の内側と外側とから該被処理物と効果的に接触し、該被処理物を加熱すれば、該被処理物が難燃性有機物を含んでいても効率良く空気に熱分解される。
上記被処理物は該反応器本体2の下部に備えられている着火手段6および/または加熱手段4によって、該被処理物が水分を含んでいる場合には該水分を除去されかつ加熱されるから、上記熱分解が起こる温度に速やかに達する。
また該反応器本体2の上部に接続する分解ガス排出経路13の排ガス吸引手段16によって上記被処理物の熱分解工程中に発生する分解ガスを該分解ガス排出経路13内に吸引すると共に上記空気供給経路8から該反応器本体2内に供給される空気量を、上記空気量調節手段8Gによって調節するから、該反応器本体2内を常時負圧になるように調節することが出来、該反応器本体2内は貧酸素状態となり、該反応器本体2内の被処理物は、殆んど燃焼することなく熱分解される。
このような被処理物の熱分解は焼却処理に比べると低温で行われる。
【0007】
上記熱分解工程中に発生する分解ガスは全く煤塵を含まず上記分解ガス排出経路13内に吸引されるが、該分解ガス排出経路13内において排ガス燃焼手段14Aによって含有する可燃成分、とくにダイオキシン等の有害可燃成分を燃焼除去されかつ脱臭される。
上記反応器本体2の下部には灰取り出し手段3が備えられているから、上記熱分解工程終了後、該反応器本体2の底部に蓄積した灰24を外部に取り出すことができる。この灰24は磁化灰であり、土壌改良剤等に有用である。
【0008】
請求項2の発明にあっては、上記反応器本体2の周壁2Aの内側に所定の間隔を介して多孔板7が配置されているから、該反応器本体2内に投入された被処理物と磁化空気との接触効率は更に上昇し、該被処理物の熱分解は更に円滑に行われる。
【0009】
請求項3の発明にあっては、上記空気供給経路8から該反応器本体2内に供給される磁化空気は、上記反応器本体2内上部を通過する該空気供給経路8部分を通過する間に加熱されるので、該反応器本体2内の被処理物の加熱効率が向上する。
【0010】
請求項4の発明にあっては、上記反応器本体2の底部に敷設されている放射性鉱物および/または遠赤外線放射材料23から放射される放射線および/または遠赤外線によって、該反応器本体2内の磁化空気は更に賦活され、該被処理物内の有機成分と反応し易くなる。
【0011】
請求項5の発明にあっては、上記被処理物投入口11の密閉蓋11A,11Bは上下二段の二重構造にされ、下段の蓋11Bが閉じた状態でのみ上段の蓋11Aが開くように設定されているから、該反応器本体2内の密閉性が確保され、熱分解工程中に外部から反応器本体2内に空気が侵入して被処理物の燃焼が起こったり、また高温の分解ガスが外部に漏洩する危険性が回避される。
【0012】
請求項6の発明にあっては、分解ガスは分解ガス排出経路13内で渦流となり、排ガス燃焼手段14Aからの火炎と混合して分解ガス中の可燃物や有害物の除去および脱臭が殆んど完全に行われる。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、有機系被処理物の熱分解処理を行なう場合に要するエネルギーが最低限となるように抑制され、従来の焼却炉では焼却出来ないような難燃性有機物質でも完全に熱分解が出来、また熱分解処理から発生する熱分解ガスは煤塵を含まず完全に無臭でありダイオキシン等の有害物を含まないので、煤塵捕集のためのサイクロンや集塵機も不要になり、熱分解ガスをボイラー等の熱源として再利用することも可能となる。また上記熱分解処理は低温で行われるので、反応器本体に耐火レンガ、耐火キャスター等を使用したり、ウォータージャケット構造を設定したりする必要がなくなり、一般の鋼板を使用することが可能であるから、装置の制作費も少額で済み、また装置の寿命も長くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明の一実施例を図1〜図9に示す。図示する分解処理装置1において、反応器本体2の最底部にはモーター3Aを備えたスクリューコンベヤー式の自動灰取り出し装置3が取り付けられており、該自動灰取り出し装置3はモーター3Aによって作動する。該モーター3Aは基台3B上に設置されている。該自動灰取り出し装置3の直上には加熱手段としてパイプヒーター4の複数本が並設されている。該パイプヒーター4は金属パイプ中に電導線を配設した構成を有する。該パイプヒーター4はパイプ中に水蒸気、あるいは後記する高温分解ガスが送通される構成のものであってもよい。
【0015】
上記パイプヒーター4の直上から導通孔を有する支板5Aを介して多孔塔体5が立設され、また該反応器本体2の側部には、該反応器本体2内の上記パイプヒーター4より上側に火炎を噴射する着火手段としてのオイルバーナー6が配置されている。図5に示すように該オイルバーナー6の火炎噴射口6Aは連絡部位において該反応器本体2内には該火炎噴射口6Aから噴射される火炎を該反応器本体2の中心部にまでガイドするガイド筒体6Bが横設されており、該ガイド筒体6Bのバーナー側の下半部には切り欠き6Cが設けられ、更に該ガイド筒体6Bには複数個の窓孔6Dが設けられている。
【0016】
更に該反応器本体2の周壁2Aの内側には所定の間隔(通常40mm〜50mm)を介して例えば格子状の多孔板7が配置されている。
該多孔板7は図6に示すように縦桟と横桟とからなるフレーム7Aによって裏面において支持されかつ上記所定の間隔を維持されている。
【0017】
該反応器本体2内に連絡する空気供給経路8の空気取り入れ側において、該反応器本体2からの高温が及ぼされないような位置に複数個の永久磁石または電磁石を内在する空気磁気処理手段である電気磁気処理筒9が介在され、そして該空気供給経路8は該空気磁気処理筒9の後段において該反応器本体2の外周上部を通過した上で該反応器本体2の外周下部に、該パイプヒーター4の直上の位置に二段に分岐して周設されている。該空気供給経路8の該反応器本体2外周上部通過部分はかくして空気加熱部分8Aとされ、該反応器本体2の下部において該パイプヒーター4の直上の位置に二段に分岐されて周設されている部分は空気排出口8Cの複数個が設けられている空気供給部分8Bとされている。
【0018】
上記空気排出口8Cは図7に示すように、該反応器本体2の周壁をコの字形に切り欠き、切り欠き部分を内側に斜めに折り曲げてガイド8Dとする。該ガイド8Dは分解処理によって発生した灰が該空気排出口8Cから空気供給経路8に侵入しないようにする機能と、該空気排出口8Cから反応器本体2内に導入される空気を斜め下方にガイドする機能とを有する。
該空気排出口8Cから該ガイド8Dによってガイドされ斜め下方に排出供給された空気は、該排出口8C直下において反応器本体2の周壁2Aに設けられている断面山形の拡散梁2Cによって該反応器本体2内に拡散される。
【0019】
上記二段の空気加熱部分8A、8Aは、図8に示すように連絡路8Eによって連絡され、下段の空気加熱部分8Aは上記二段の空気供給部分8B、8Bに連絡分配路8Fによってそれぞれ連絡する。そして該連絡分配路8Fにおいて下段の空気加熱部分8Aと、上段の空気供給部分8Bとの間には空気供給量調節バルブ8Gが介在されている。更に上段の空気加熱部分8A内において図8に示す空気取り入れ口8H接続部位の最下流に隔壁8Iが介設され、下段の空気加熱部分8A内において、連絡路8E接続部と連絡分配路8F接続部との間には隔壁8Jが介設されている。
【0020】
上記反応器本体2の天面には被処理物投入用ホッパー11が配置されており、該ホッパー11には上段に手動開き蓋11A、下段に自動開閉蓋11Bが配置され、上下二段の二重構造の蓋が付設されている。上記自動開閉蓋11Bはモーター12によって開閉されるが、該モーター12は上段の手動開閉蓋11Aが閉じている状態でのみ作動して該自動開閉蓋11Bを開くことが出来、また上記手動開閉蓋11Aの電磁ロック機構11Cは、該自動開閉蓋11Bが開いた状態でロックされ、閉じた状態でのみロック解除されて手動開閉蓋11Aを開くことができるように設定されている。
【0021】
該反応器本体2の上部において側面からは分解ガス排出経路13が差し出されており、該分解ガス排出経路13の基部13Aは分解ガス燃焼室14に接続しており、該分解ガス燃焼室14の側面から火炎を噴射する排ガス燃焼手段としてのオイルバーナー14Aが配置され、該分解ガス燃焼室14の上部には上記分解ガス排出経路13の垂直本体部13Bが接続されている。該分解ガス燃焼室14およびオイルバーナー14Aは支台14B上に設置されている。該分解ガス燃焼室14は図9に示すように両端周壁14C、14Cが円弧状に形成され、該オイルバーナー14Aの火炎噴射口14Dは若干内側および上側に傾斜して火炎を斜め上方かつ斜め内側に噴射するように設定され、更に火炎噴射方向をガイドするため該バーナー14Aの火炎噴射口14Dの両側にはガイド板14E、14Eが設置されている。
上記分解ガス排出経路13の垂直本体部13Bには排ガス吸引手段としての送風機16が挿着されており、該分解ガス排出経路13の上端排出口には多孔フィルタ17が被着されている。
【0022】
なお上記反応器本体2の前面には上下一対のロックハンドル19A、19Bを具備した蓋付点検口18A、18Bが設けられており、また上記反応器本体2の最底部の自動灰取り出し装置3の灰取り出し端には、蓋付灰取り出し口20Aを介して該反応器本体2に出入する灰受け台車20が設置されている。
更に上記自動灰取り出し装置3の両側には受け網21、21が張設され、該自動灰取り出し装置3の下側には網棚22が張設される。
処理に先立って、上記受け網21、21上には塊状の放射性鉱物および/または遠赤外線放射材料の塊状物23および該網棚22上には灰24が積載される。上記放射性鉱物とは、例えばトルマリン、モナザイト、パイロクロワ、ゼノタイム、ジルコンサンド等であり、上記遠赤外線放射材料とは、例えばアルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ、ジルコン、マグネシア、イットリア、コージライト、β−スポジューメン、ムライト、チタン酸アルミニウム等であり、放射性鉱物と遠赤外線放射材料とは混合されてもよく、また混合物を焼成一体化した焼成物とされてもよい。また灰24としては前回の分解処理で発生した灰、あるいは種々の有機物の焼却灰等が使用される。
【0023】
上記構成において、温度センサーTは図3に示すようにパイプヒーター4内(T1)、パイプヒーター4の上側(T2)、分解ガス排出経路13の基部13A内(T3)、および分解ガス燃焼室14内(T4)に配置されている。
そして該分解ガス排出経路13の基部13A内の温度が設定値以下になったことを温度センサーT3で感知すると、自動的に燃焼室14のオイルバーナー14Aの作動が停止するように設定する。そうすると被処理物処理が完了し、分解ガスが発生しないようになると、該分解ガス排出経路13の基部13A内の温度が低下するので、無人作業の場合でも被処理物処理の完了と共にオイルバーナー14Aの作動が自動的に停止するから、オイルバーナー14Aの燃料の節約ができる。
温度センサーT1はパイプヒーター4のON−OFFを司るセンサーであり、温度センサーT2はパイプヒーター4の上側部分の温度を表示するのみの機能を有する。
【0024】
更に上記有機系被処理物分解処理装置1にあっては、送風機16の作動を停止させると分解ガス燃焼室14のオイルバーナー14Aの作動も停止するように設定され、また該送風機16の作動が停止している場合には、該オイルバーナー14Aが作動しないように設定されている。また該オイルバーナー14AにはタイマーTMが付設されており、上記基部13Aの温度センサーT3の制御系統とは別の制御系統で、該オイルバーナー14A作動開始後該タイマーTM設定時間が経過した時に該オイルバーナー14Aが自動的に作動を停止するように設定されている。
【0025】
上記有機系被処理物分解処理装置1において、先ず予備加熱工程としてパイプヒーター4に通電して反応器本体2内を通常300℃〜600℃に加熱する。この場合、灰24として前回の分解処理で発生して該反応器本体2底部に蓄積した高温の灰を使用すれば、加熱効率が向上する。パイプヒーター4の温度は上記温度センサーT1によって測定し、設定温度(例えば300℃)に達したらパイプヒーター4の電導線への通電が停止するように設定する。
【0026】
次いで被処理物投入工程として、被処理物投入用ホッパー11の下段自動開閉蓋11Bが閉じた状態で上段手動開閉蓋11Aを開き、被処理物をホッパー11内に投入し、上段手動開閉蓋11Aを閉じかつ下段自動開閉蓋11Bを開いて該被処理物を反応器本体2内に投入する。更に該被処理物に水分が含まれている場合には、オイルバーナー6を作動させ、火炎を該反応器本体2内に噴射して該被処理物を加熱乾燥させる。前記したように、該オイルバーナー6からの火炎はガイド筒体6Bによって該反応器本体2の中心部にまでガイドされ、該被処理物に向けて散乱される。
【0027】
熱分解工程にあっては、上記オイルバーナー6による被処理物の加熱乾燥に先立って、あるいは加熱乾燥中、あるいは加熱乾燥後に前記分解ガス排出経路13の送風機16を作動させて該反応器本体2内への空気吸引を開始する。該空気は先ず空気磁気処理筒9に吸引され、該空気磁気処理筒9に内在されている磁石が形成する磁場内を通過する間に磁気処理され磁化される。上記空気磁気処理筒9内において、磁石の磁力は100000〜120000G(ガウス)に設定しておくことが望ましい。
上記磁化空気は図8に示すように前記空気供給経路8の空気取り入れ口8Hから空気加熱部分8A、8Aに吸引され、図8矢印に示すように該空気加熱部分8A、8A内を流動して加熱乾燥されてから該連絡分配路8Fを介して該空気供給部分8B、8Bに流入し、該空気供給部分8Bの空気排出口8Cから該反応器本体2内に導入される。この際前記したように、該磁化空気は図7に示すようにガイド8Dによって斜め下方にガイドされかつ拡散梁2Cによって該反応器本体2内に拡散され、その一部は図3に示すように該多孔塔体5の底部から支板5Aの導通孔を介して該多孔塔体5内に流入し、該多孔塔体5の多孔を介して該被処理物に該反応器本体2の中心部から該磁化空気を供給する。
同時に前記反応器本体2周壁内面と前記多孔板7との間の間隙にも該磁化空気が流入し、該磁化空気は該多孔板7から該被処理物の周辺部にも供給される。
【0028】
このようにして該磁化空気は高効率で該被処理物に接触し、該被処理物に含まれている有機物は上記パイプヒーター4および/またはオイルバーナー6による加熱によって該磁化空気中の活性化された酸素と効率良く反応し、熱分解ガス化される。
上記熱分解反応中、該被処理物の燃焼を防止するには、空気供給部分8B、8Bに吸引される磁化空気量を前記空気供給量調節バルブ8Gによって調節し、該反応器本体2内の圧力を終始負圧に維持して貧酸素状態に置き、該反応器本体2内温度を300℃〜600℃に保つことが必要である。かくして該反応器本体2内の圧力は900hPa〜1015hPa程度に保つことが望ましい。該反応器本体2内に圧力センサーを挿入し、該反応器本体2内の圧力を検出して調節バルブ8Gや送風機16を調節する圧力自動制御を適用してもよい。
【0029】
本実施例においては、該反応器本体2底部に放射性鉱物および/または遠赤外線放射材料の塊状物23が充填されているから、空気は地場のみならず、放射線および/または遠赤外線のマイナスイオン効果によっても活性化され、該被処理物中の有機物と極めて円滑に反応し、加熱分解処理反応は迅速に進むから、有機物は完全に分解ガス化されて全く残存しない状態となる。
【0030】
上記熱分解反応中に例えばプラスチック溶融物のような液化有機物は該反応器本体2内下部の灰24に吸収される。上記灰24は保温効果があるから、該灰24に吸収された液化物は該灰24の高温によって速やかに分解ガス化される。
上記灰24は、パイプヒーター4と同レベル高さから該レベルから5cm程度低いレベルの範囲内に蓄積しておくと、上記液化有機物の分解ガス化が円滑に行われる。
【0031】
上記熱分解工程中に発生する熱分解ガスは、該反応器本体2上部の分解ガス排出経路13の基部13Aに吸引され、分解ガス燃焼室14内へ導入される。該分解ガス燃焼室14内では前記したようにオイルバーナー14Aの火炎は若干内側寄りかつ上側寄りに傾斜して噴射されるので、該火炎および分解ガス燃焼室14内へ吸引された熱分解ガスは、図9に示すように該分解ガス燃焼室14内において若干内側寄りかつ上側寄りに誘導され、該分解ガス排出経路13の垂直本体部13Bの周りで該分解ガス燃焼室14端部の円弧状周壁14Cにもガイドされて渦流を形成しつつ該分解ガス燃焼室14の天板に当たり、下方へ向かう渦流となり、該垂直本体部13Bに下端から吸引される。
このようにして該分解ガス排出経路13から排出される分解ガスは煙もなく完全に無臭・無毒になる。
【0032】
被処理物が完全に分解され、これ以上分解ガスが発生しなくなると、前記したように分解ガス排出経路13内の温度が低下してくるので、該温度が設定値以下になると温度センサーT3からの信号で分解ガス燃焼室14のオイルバーナー14Aの作動が停止し、該オイルバーナー14Aへの燃料の無駄な供給がカットされる。
【0033】
上記熱分解工程が終了したら灰化した被処理物が該反応器本体2底部に蓄積するが、前記したように該灰は高温であるから、取り出すことなくそのまま次の分解処理に入る。
上記灰がある程度蓄積したら、スクリューコンベヤー式の自動灰取り出し装置3を作動させて灰を灰受け台車20に移し、外部に取り出す。
上記灰は磁化されており、土壌改良剤として極めて有用であり、上記灰によって改良された土壌で、野菜、果物等の植物を栽培すると、植物の生長が促進され、かつ味も良いものが得られる。
上記実施例は本発明を限定するものではなく、上記実施例で使用したガイド筒体6Bや多孔板7は必須のものではなく、また分解ガスとオイルバーナーとの混合ガスに渦流を生じさせる手段としては、分解ガス燃焼室14内にらせん状ガイドを設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明では有機系被処理物を少ないエネルギーによって煙や臭気、有害物の発生なく分解処理できるから、産業上利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】有機系被処理物分解処理装置の前側斜視図
【図2】有機系被処理物分解処理装置の後側斜視図
【図3】有機系被処理物分解処理装置の正断面説明図
【図4】有機系被処理物分解処理装置の背断面説明図
【図5】反応器本体内へ火炎を噴射する構成の説明図
【図6】多孔板背面図
【図7】空気排出口部分の説明図
【図8】空気供給経路の説明図
【図9】分解ガス燃焼室内の説明図
【符号の説明】
【0036】
1 有機系被処理物分解処理装置
2 反応器本体
2A 周壁
2C 拡散梁
3 灰取り出し装置
3A モーター
3B 基台
4 パイプヒーター
5 多孔塔体
5A 支板
6 オイルバーナー
6A 火炎噴射口
6B ガイド筒体
6C 切り欠き
6D 窓孔
7 多孔板
8 空気供給経路
8A 空気加熱部分
8B 空気供給部分
8C 空気排出口
8D ガイド
8E 連絡路
8F 連絡分配路
8G 空気供給量調節バルブ
8H 空気取り入れ口
8I 隔壁
8J 隔壁
9 電気磁気処理筒
11 被処理物投入用ホッパー
11A 手動開閉蓋
11B 自動開閉蓋
11C 電磁ロック機構
12 モーター
13 分解ガス排出経路
13A 基部
13B 垂直本体部
14 分解ガス燃焼室
14A オイルバーナー(排ガス燃焼手段)
14B 支台
14C 円弧状周壁
14D 火炎噴射口
14E ガイド板
16 送風機(排ガス吸引手段)
17 多孔フィルタ
18A 蓋付点検口
18B 蓋付点検口
19A ロックハンドル
19B ロックハンドル
20 灰受け台車
20A 蓋付灰取り出し口
21 受け網
22 網棚
23 放射性鉱物および/または遠赤外線放射材料の塊状物
24 灰
T 温度センサー
TM タイマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応器本体の天面に密閉蓋付きの被処理物投入口を配置し、下部には灰取り出し手段と加熱手段とを備え、更に下部から多孔塔体を立設した熱分解反応器と、
該反応器本体の下部に備えられている着火手段と、
該反応器本体に接続し、空気の磁気処理手段および空気量調節手段が介在している空気供給経路と、
該反応器本体の上部に接続し、排ガス燃焼手段と排ガス吸引手段とを付設した分解ガス排出経路と
からなることを特徴とする有機系被処理物分解処理装置。
【請求項2】
上記反応器本体の周壁の内側には、所定の間隔を介して多孔板が配置されている請求項1に記載の有機系被処理物分解処理装置。
【請求項3】
上記空気供給経路は、上記反応器本体上部を通過したうえで、上記反応器本体下部から該本体内へ空気を供給するように設定されている請求項1又は請求項2に記載の有機系被処理物分解処理装置。
【請求項4】
上記反応器本体の底部には、放射性鉱物および/または遠赤外線放射材料が敷設されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の有機系被処理物分解処理装置。
【請求項5】
上記反応器本体の被処理物投入口の密閉蓋は、上下二段の二重構造にされ、下段の蓋が閉じた状態でのみ上段の蓋が開くことが出来るように設定されている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の有機系被処理物分解処理装置。
【請求項6】
上記分解ガス排出経路には、排ガス燃焼位置で分解ガスに渦流を発生させるためのガイド手段が設けられている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の有機系被処理物分解処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の有機系被処理物分解処理装置を使用して有機物を分解処理する方法であって、
上記反応器本体下部の加熱手段によって該本体内を加熱する予備加熱工程、
上記反応器本体内に被処理物投入口から被処理物を投入する被処理物投入工程、
上記分解ガス排出経路の排ガス吸引手段を作動させ、上記空気供給経路から上記反応器本体内へ磁気処理した空気を吸引する空気供給工程、
上記反応器本体内に投入された被処理物に対して上記反応器本体内下部に備えられている着火手段および/または加熱手段によって熱分解開始温度にまで加熱する熱分解開始工程、
上記空気供給経路からの反応器本体内への空気供給量を上記空気量調節手段によって調節制限して上記被処理物の燃焼を防ぎ、かつ排ガス吸引量と空気供給量とを、上記反応器本体内が常時負圧となるように調節して上記被処理物を熱分解する熱分解工程、
上記熱分解工程によって発生した分解ガスを排ガス吸引手段によって分解ガス排出経路に吸引し、該分解ガス排出経路内で排ガス燃焼手段によって可焼成分を燃焼させたうえで排出する分解ガス処理工程、
以上の工程からなることを特徴とする有機物の分解処理方法。
【請求項8】
上記熱分解開始工程に先立って、上記反応器本体内底部に灰を入れておき、上記熱分解工程中に発生する有機物の液化物を上記灰中に吸収させる請求項7に記載の有機物の分解処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−5581(P2010−5581A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−170110(P2008−170110)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(508197446)グリーンテック株式会社 (1)
【Fターム(参考)】