説明

本人認証システム

【課題】
ICカードのセキュリティ性をより高めるべく、本人確認を行うことが可能な、本人認証システムを提供する。
【解決手段】
利用者により所持される認証タグと、前記認証タグの所有者に対して発行、付与されたICカードと、前記認証タグが所定の距離範囲内にあるとき、前記認証タグと通信を可能とする初期登録機と、前記初期登録機と独立した本人認証器を有し、前記初期登録機は、前記認証タグが前記所定の距離範囲内にある時、前記認証タグとの間で、暗号化通信を行い、相互間のペアリングを設定し、前記ペアリングの設定の際に生成される鍵情報を前記ICカードに記録し、更に、前記本人認証器は、所定の距離範囲に前記認証タグが位置づけられる際に、前記ICカードに記録した鍵情報を読み取り、前記鍵情報に基づき、前記設定されたペアリングを判定して、前記認証タグと前記ICカードを所持する利用者の本人認証を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本人認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
メモリ機能を有する所謂ICカードを利用して種々の取引決済、あるいは機器の機能制御等を行うシステムが社会システムとして広く普及している。
【0003】
かかるシステムの多くは、ICカードの記録情報を機器に読み込ませ、システムに保持している記録との一致を判定して当該ICカードが真正か否かを判定することが行われる。あるいは、ICカードを所持する所持者により入力されるパスワードを、ICカードの記録に対応するパスワードと比較して、当該ICカードが真正であるか否かを判定することが行われる。
【0004】
そして、ICカードが真正であると判定されるときに、取引の決済を可能にし、あるいは、機器の制御を可能とする。
【0005】
先行技術として、第一に非所有者、管理者以外の者による機器の使用を防止するため、一定の条件により機器の使用制限を行うシステムが知られている(特許文献1)。
【0006】
また、第二の技術として携帯電話の置き忘れ、盗難などによる無断使用を防止するために、所有者が該当の機器から離れる場合に所有者に警告するシステムを示される(特許文献2)。
【0007】
さらに、第三の技術として、ICカードを利用した通信相手とのペアリングを行うシステムを開示している(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9-233542号公報
【特許文献2】特開平11-88499号公報
【特許文献3】特開2008-270907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、上記従来のシステムにおいては、ICカードを所持する者が、当該ICカードが真正に付与された所有者であるか否かまで判定することは困難である。例えば、ICカードが盗難され、あるいは不正に複製されたものであるとき、またパスワードが他人に知られた時に、ICカードが使用される事態に対し、かかるICカードの不正使用を防止するには限界がある。
【0010】
したがって、本発明の目的は、ICカードのセキュリティ性をより高めるべく、本人確認を行うことが可能な、本人認証システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的に対応する本発明に従う本人認証システムは、利用者により所持される認証タグと、前記認証タグの所有者に対して発行、付与されたICカードと、前記認証タグが所定の距離範囲内にあるとき、前記認証タグと通信を可能とする初期登録機と、前記初期登録機と独立した本人認証器を有し、前記初期登録機は、前記認証タグが前記所定の距離範囲内にある時、前記認証タグとの間で、暗号化通信を行い、相互間のペアリングを設定し、前記ペアリングの設定の際に生成される鍵情報を前記ICカードに記録し、更に、前記本人認証器は、所定の距離範囲に前記認証タグが位置づけられる際に、前記ICカードに記録した鍵情報を読み取り、前記鍵情報に基づき、前記設定されたペアリングを判定して、前記認証タグと前記ICカードを所持する利用者の本人認証を行うことを特徴とする。
【0012】
前記本人認証システムの一態様として、更に前記本人認証器と関連して設けられる被制御対象を有し、前記本人認証器は、前記認証タグと前記ICカードを所持する利用者の本人認証は判定されるときに、前記被制御対象を制御可能とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
かかる本発明に従うシステムの適用により、種々の社会システムにおいてICカードのセキュリティ性が担保され、信頼性、安全性、利便性をより高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本人認証システムの構成例を説明する図である。
【図2】初期登録機の概念構成を示すブロック図である。
【図3】ICカードの構成例を示す図である。
【図4】初期登録機のペアリング機能部と、認証タグとICカードとの間のペアリングを行うための認証タグにおける機能部の構成例を示す図である。
【図5】本人認証のためのペアリング設定動作のシーケンスフロー図である。
【図6】ペアリング設定動作の際の信号フォーマットを示す図である。
【図7】M系列ヘッダを説明する図である。
【図8】本人認証器と、認証タグとのにおける本人認証を行う機能部の構成例を示す図である。
【図9】本人認証の動作のシーケンスフロー図である。
【図10】ICカードの利用をしない、本人認証システムの概念構成例システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面に従い実施例を説明する。なお、実施例の提示は、発明の理解を助けるためのものであり、発明の適用、保護の範囲がかかる実施例に限定されるものではない。
【0016】
図1は、ICカードをドアの解錠に利用するシステムを例にして、ICカードのセキュリティ性を高めるための、本発明に従う本人認証システムの構成例を説明する図である。
【0017】
利用者2Aは、腕等の身に付けることが可能 (ウェアラブル) な認証タグ2と、前記利用者2Aに対し発行、付与されたICカード3を所持している。図1の例では、携帯端末に認証タグ2の機能を備え、これを携帯している。
【0018】
図1Aは、初期登録機1と認証タグ2とを結び付けるペアリング動作を説明する図であり、初期登録機1は、認証タグ2との間でペアリングを登録する装置(ペアリング機)である。
【0019】
ペアリングの設定の際、初期登録機1に認証タグ2からペアリング要求信号が送られる(処理工程P1)。初期登録機1は、これに対して、所定の暗号化関数を用いて、前記ペアリング要求信号を暗号化する。この暗号化した結果の信号であるペアリング受諾信号をICカード3に送る(処理工程P2)。
【0020】
認証タグ2は、初期登録機1から送られるペアリング受諾信号を暗号鍵情報としてペアリング要求信号と共にメモリに記憶保持する。
【0021】
一方、初期登録機1は、ペアリング要求信号を、秘密鍵として利用者2Aに対して発行されている所定のICカード3のユーザメモリ領域に、書き込み登録する機能を有している(処理工程P2)。
【0022】
このように、初期登録機1とペアリングが行われた認証タグ2と、認証家庭に生成した秘密鍵情報を記録したICカード3を保持する利用者2Aに対して、図1Bに示す本人認証が成立したことを条件として、例えばドア4の開閉制御を行う。
【0023】
ドア4には、インターフォン5の近傍に、ICカード情報の読み取り機能を備える本人認証器5を具備している。
【0024】
図1Cに、かかる本人認証器5の拡大図を示す。
【0025】
利用者2Aが、施錠されているドア4を開くために、本人認証器5に近づくと、本人認証器5は、認証タグ2に記憶されているペアリング受諾信号を読み取る (処理工程P3)。
【0026】
一方、利用者2Aは、所持するIC カード3に記録されている秘密鍵としてペアリング要求信号を含む情報を本人認証器2に読み取らせる(処理工程P4) 。
【0027】
本人認証器2は、読み取った所定の秘密鍵を用いて、ペアリング受諾信号を復号する。この復号化の結果のペアリング要求信号が、認証タグ2から読みとったペアリング受諾信号と一致すると、利用者2Aが正しい本人であることの認証がされる。
【0028】
したがって、本人認証器5は、図示しない鍵機構部に制御信号を送りドア4を解錠可能にする(処理工程P5)。
【0029】
この様な本発明に従うシステムにより、ICカード3が、紛失、盗難により他人に使用される場合であっても、認証タグ2と共に存在しなければ、本人認証は行われない。
【0030】
これにより、ドア等の被制御対象のセキュリティが高められるとともに、ICカード単独ではその利用が意義を有しないので、ICカードに対するセキュリティも高めることが可能である。
【0031】
図2は、初期登録機1の概念構成を示すブロック図である。制御部11により制御される、初期登録機1と認証タグ2の間に設定されるペアリングの処理を行うペアリング機能部10と、ペアリング機能部10によるペアリング設定の際に生成される秘密鍵をICカード3に書き込む秘密情報書込機能部12を有している。
【0032】
さらに、ペアリング機能部10と認証タグ2との間の無線通信を行うためのアンテナ13、秘密情報書込機能部12とICカード3との無線通信を行うためのアンテナ14を有している。
【0033】
アンテナ13,14は、それぞれ送受共用アンテナであるので、送受信を切替えるためのアンテナ切替スイッチ(ANT SW)を通して、ペアリング機能部10及び秘密情報書込機能部12に接続される。
【0034】
図3は、ICカード3の構成例を示す図である。ICカード3は、プラスチティック等のカード本体にICチップ30が搭載されている。ICチップ30の構成を、図3の下側に拡大して示している。
【0035】
ICチップ30は、無電源であるのでループアンテナ31をICチップ30の給電部300に接続している。
【0036】
ループアンテナ31は、初期登録機1から送られる連続する搬送波を受信し、給電部300は、受信される搬送波を全波整流し、直流成分をコンデンサに蓄える。コンデンサに蓄えられる直流電圧成分でICチップ30の各機能部に給電することができる。
【0037】
ICチップ30は、更に全体機能を制御するコントローラ301、メモリ領域として、システム情報が書き込まれている読取専用のシステム情報エリア302と、ユーザ情報等が書き込まれる読出し、書込みが可能なユーザエリア303を有している。
【0038】
図4は、初期登録機1のペアリング機能部10と、認証タグ2と初期登録機1との間のペアリングを行うための認証タグ2における機能部20の構成例を示す図である。
【0039】
図5は、かかる機能部において実行される、本人認証のためのペアリング設定動作のシーケンスフロー図である。図6は、ペアリング設定動作の際の信号フォーマットを示す図である。
【0040】
かかる図5〜図6に従い、本人認証のためのペアリング設定動作を説明する。
【0041】
図5において、利用者2Aは、無線による信号授受が可能となる範囲、例えば半径5m内で、利用者2Aの所持する認証タグ2を初期登録機1に近付ける(ステップS1)。
【0042】
次いで、ペアリングスイッチ200をONとする(ステップS2)。同様に、初期登録機1のペアリング機能部10においてもペアリングスイッチ100がONにされる。
【0043】
ペアリングスイッチ200がONにされると、そのON信号が送信器201に出力され、送信器201ではそのON信号の入力に基づき呼出信号CAを生成し送出する(ステップS3)。
【0044】
初期登録機1側は、認証タグ2からの呼出信号CAを受信器101で受信し、認証タグ2に対して既にペアリングが設定されているか否かを判断する(ステップS4)。
【0045】
例えば、認証タグ2からの呼出信号CAの受信により、暗号化部102に受信したことを示す信号が出力され、暗号化部102がIDメモリ104にアクセスして認証タグ2とICメモリ3のIDが登録されているか否かを確認することにより既にペアリングされているかを判断する。
【0046】
既にペアリングされていれば、本シーケンスの処理は終了する。
【0047】
例えば、呼出信号CAが予めシステムに登録された認識タグ2の所有者の電話番号等を含むようにすれば、電話番号対応に、前記IDメモリ104にペアリングされているICカードの情報を登録することができる。
【0048】
これにより、呼出信号CAを送出した認証タグ2と初器登録機1との間で既にペアリングされているか否かが容易に判断できる。
【0049】
ペアリングされていない場合は(ステップS4、NO)、初期登録機1は、暗号化部102及び送信用メモリ105を介して、応答指示を送信器106に出力する。したがって、送信器106は、呼出信号CAに対する応答信号RSを生成して送信する。
【0050】
図6(A)及び(B)は、初期登録機1と認証タグ2間で送受信される呼出信号CAと応答信号RSのフォーマットの一例を示す図である。呼出信号CAは同期ビットとM系列ヘッダとともに送信され、応答信号RSも同様に同期ビットとM系列ヘッダともに送信される。呼出信号CAと応答信号RSのそれぞれは、間欠的に送出される。
【0051】
ここで、M系列ヘッダは、2のn乗から1を減じた長さを持つ1と0から成る符号で、n=5とする場合であれば、31ビットの信号である。
【0052】
図7(A)に示すように、M系列ヘッダとそれに続く独自符号信号(呼出信号CA or 応答信号RS)を組み合わせることにより、独自符号信号である呼出信号CAおよび応答信号RSを正しく受信することが可能になる。
【0053】
すなわち、図7(B)に示すように、受信信号中の、M系列ヘッダのみを受信器101(205)で、パルス圧縮信号(1/31の信号圧縮)に変換する。そして、それに続く独自符号信号の時間tの区間の信号を受信すればよい。
【0054】
図5に戻り、認証タグ2では、応答信号RSを受信器205で受信すると、 Nビットの乱数を発生する(ステップS6)。例えば、受信器205が応答信号RSを受信すると乱数発生部202に対して乱数発生を指示することにより、乱数発生部202において乱数を発生する。
【0055】
次いで、認証タグ2は、初期登録機1に対してペアリングを要求するためのペアリング要求信号Preqを、乱数発生部202において発生した乱数に基づき生成して、送信用メモリ203を通り、送信器201から送出する(ステップS7)。
【0056】
初期登録機1は、ペアリング要求信号Preqを受信器101で受信し、暗号化関数g を用いて暗号化部102でペアリング要求信号Preqを暗号化する(ステップS8)。
【0057】
したがって、暗号化信号Paccは、Pacc=g(Preq)で表される。
【0058】
次いで、初期登録機1は、暗号化された信号をペアリング受諾信号Paccとして認証タグ2に返信する(ステップS9)。暗号化されたペアリング受諾信号Paccは、送信用メモリ105を通して送信器106に出力され、送信器106から送信される。
【0059】
図6(C)及び(D)は、ペアリング中に認証タグ2と初期登録機1間で送信される信号のフォーマット例を示す図である。ペアリング要求信号Preqは、同期ビット及びM系列ヘッダとともに送信され、ペアリング受諾信号Paccも同期ビットとM系列ヘッダとともに送信される。
【0060】
M系列ヘッダと共にペアリング要求信号Preq及びペアリング受諾信号Paccを送出する理由は、は、先に図7により説明した、呼出信号CAと応答信号RSとの関係とM系列ヘッダの関係と同様である。
【0061】
図5に戻り、認証タグ2はペアリング受諾信号Paccを受信すると、復号化関数g−1を用いてペアリング受諾信号Paccを復号化する(ステップS10)。
【0062】
すなわち、ペアリング受諾信号Paccの復号は、次の式により行われる。
【0063】
g−1(Pacc)=g−1 (g(Preq))=Preq
そして、認証タグ2は復号化の結果Preqが、先に送信したペアリング要求信号Preqと一致することを確認する(ステップS11)。
【0064】
例えば、受信器205でペアリング受諾信号Paccを受信すると、復号化部206に出力されて復号化が行われ、受信用メモリ207に保存する。復号化部206は、送信用メモリ203に保存してあるペアリング要求信号Preqと、ペアリング受諾信号Paccを復号化した信号と一致するかを判断する。
【0065】
尚、一致しない場合は(ステップS11、NO)、正規のペアリング相手ではないために処理は終了する。
【0066】
送信したペアリング要求信号Preqと復号化したペアリング要求信号Preqとが一致すると(ステップS11、YES)、認証タグ2は、ペアリング確認信号Pokを送信する(ステップS12)。例えば、復号化部206で複号したペアリング要求信号Preqと、送信したペアリング要求信号Preqとの一致が確認されると、復号化部206から乱数発生部202及び送信用メモリ203を通して、送信器201にペアリング確認信号Pokを送る。
【0067】
したがって、送信器201からペアリング確認信号Pokが送出される。
【0068】
初期登録機1では、ペアリング確認信号Pokを受信すると、ペアリング要求信号Preqと、ペアリング受諾信号Paccを、それぞれIDメモリ104のメモリ領域104Bに相手IDを、メモリ領域104Aに自己IDを記憶する(ステップS13)。
【0069】
ついで、初期登録機1はペアリング完了信号Pendを返信する(ステップS14)。
【0070】
例えば、受信器101においてペアリング確認信号Pokを受信すると、暗号化部102と受信用メモリ103に出力する。暗号化部102は送信用メモリ105に記憶されたペアリング受諾信号Paccを読み出し、IDメモリ104に出力し、受信用メモリ103は記憶されたペアリング要求信号Preqを読み出してそれぞれIDメモリ104のIDメモリ104A,104Bに記憶する。
【0071】
このIDメモリ104に記憶されたペアリング要求信号Preqは、後に説明するように、ICカード3のユーザエリアに秘密鍵として転送記憶される。
【0072】
図6(E)及び(F)は、ペアリング完了時に送受信される信号のフォーマット例を示す図である。ペアリング確認信号Pokとペアリング完了信号Pendは、呼出信号CA等と同様に、同期ビット及びM系列ヘッダとともに送受信される。M系列ヘッダとペアリング確認信号Pok及びペアリング完了信号PendをM系列ヘッダに続き送信する意義は、先の図6(A)〜(D)について説明した通りであある。
【0073】
図5に戻り、認証タグ2はペアリング完了信号Pendを受信すると、ペアリング受諾信号Paccを秘密鍵としてIDメモリ204に記憶する(ステップS15)。
【0074】
例えば、送信用メモリ203から記憶されたペアリング要求信号Preqを読み出してIDメモリ204の領域204Aに出力し、復号化部206は受信用メモリ207に記憶されたペアリング受諾信号Paccを読み出してIDメモリ204の領域204Bに記憶する。
【0075】
ペアリング要求信号Preqとペアリング受諾信号Paccを認証タグ2に記憶することにより、ペアリング完了となる(ステップS16,S17)。
【0076】
ペアリングが完了すると、初期登録機1は、図3において説明したICカード3と通信を行い、ペアリングの際に生成されたペアリング要求信号Preqを秘密鍵としてICカード3のICチップ32のユーザエリア303に書き込みを行う(ステップS18)。
【0077】
以上により初期登録が完了し、その後の利用者2Aにより行われるドア4の開閉動作を以下に説明する。
【0078】
図8は、本人認証器5と、認証タグ2とのにおける本人認証を行う機能部の構成例を示す図である。
【0079】
図9は、かかる機能部において実行される、本人認証の動作のシーケンスフロー図である。
【0080】
図1B,1Cに示したように、利用者2Aは、本人認証器5と認証タグ2とが通信範囲になる様に、認証システムを適用するドア4に近づく(ステップS20)。
【0081】
図8において、初期登録機1とペアリングが設定されている認証タグ2は、本人認証器5に対して、サーチ信号SKIDを一定周期(例えば2秒毎)で送信器201から送出する(ステップS21)。
【0082】
これに対して、本人認証器5は、このサーチ信号SKIDを受信器501で受信可能となると、応答信号としてサーチ応答信号STIDを送信器502から返送する(ステップS22)。
【0083】
認証タグ2は、本人認証器5からのサーチ応答信号STIDを受けると、ID メモリ204に記憶している相手IDとしてのPaccを読み出し、送信用メモリ203を通して、送信器201から送出する(ステップS23)。
【0084】
本人認証器5は、認証タグ2から送られたID信号(Pacc)を受信器501で受信し(ステップS24)、暗号化部503とID比較部505に送る。ついで、本人認証器5は、ICカード読取器504により読取り取得したICカード2の情報のうちユーザエリア303(図2参照)に記録されている、秘密鍵であるペアリング要求信号Preqを暗号化部503に送る(ステップS25)。
【0085】
暗号化部503では、ICカード3から取得した秘密鍵Preqに対し、暗号化関数gを用いて、g(Preq)として暗号化する(ステップS26)。
【0086】
その暗号化結果を、ID比較部505に送る。ID比較部505は、暗号化部503で暗号化された結果と、認証タグ2から送られたID信号Paccと比較する(ステップS27)。
【0087】
この比較において、Pacc=g(Preq)であれば、ペアリングが初期登録されている正規の認証タグであることを確認する(ステップS27、YES)。
【0088】
正規の認証タグであることを確認すると、本人認証器5は、正規の認証タグを所持する利用者本人が確認されたとして、ドア鍵駆動制御を指示して(ステップS28)、ドアを解錠する(ステップS29)。
【0089】
上記のとおり、本発明において、本人認証器5は、ICカード3に記憶した鍵情報を用いて、認証タグ2の認証を行うことにより本人認証が行われるので、ICカード3が、盗難に会いあるいは、紛失した場合、認証タグ2のみでは本人認証が不可能であるので、より高いセキュリティ性を担保することが可能である。
【0090】
ここで、上記実施例においては、本人認証をドアの解錠制御に用いているが、本発明の適用は、かかる実施例に限定されるものではない。
【0091】
例えば、銀行、役所等の公的機関の窓口に本人認証装置を備えることにより、上記した本発明のシステム動作により、容易に本人認証を行うことが可能である。これにより公的機関の本人認証の事務手続きを簡単化でき、利用者にとっても利便性を高めることが可能である。
【0092】
さらに、ICカードとしてクレジット機能を備えることにより、予約した入場券、飛行機搭乗券等に基づく、イベント会場への入場、あるいは飛行機搭乗手続き等にも適用が可能である。
【0093】
ここで、先の実施例では、ICカードのセキュリティを高めることを一つの目的にして、ペアリング処理で生成された鍵情報をICカード3に記憶することを説明した。しかし、本人認証処理を主体とする場合は、必ずしもICカードの利用は必要でない。
【0094】
図10は、ICカードの利用をしない、本人認証システムの概念構成例システムを示す図である。
【0095】
初期登録機1と、本人認証器5が、インターネット、あるいはLAN等のネットワークNWを通して、認証センタ100に接続されている。
【0096】
初期登録機1と利用者2Aの認証タグ2との間で、先の実施例と同様に基本的に図5のシーケンスフローにおけると同様の処理によりペアリングが行われる。
【0097】
この際、生成された秘密鍵は、先の実施例と異なり、IC カードに記憶される代わりに、認証タグ2の情報と共に認証センタ100に送られ、登録される。
【0098】
ついで、利用者2Aは、本人認証器5と認証タグ2とが通信範囲になる様に、認証システムを適用するドア4に近づく。
【0099】
本人認証器5と認証タグ2との間で、先の実施例と同様に基本的に図9のシーケンスフローにおけると同様の処理により本人認証が行われるが、図10に示す実施例では、本人認証器5が、ペアリング処理の際に生成された秘密鍵等の情報を認証センタ100から取得する。
【0100】
かかる実施例に従えば、利用者2Aは、ウェアラブルな認証タグを身に付けて本人認証器との通信範囲内に入れば、所定の機能処理が可能となる。かかる特徴に基づき種々の対応のシステムの構築が可能である。
【0101】
例えば、本人認証を基本とした介護老人の見守りを行うシステムに適用が可能である。かかるシステムでは、所定の空間エリアに、ネットワークに接続される複数の本人認証器(アクセスポイント)を備え、それぞれの本人認証器で該当の介護老人の個々を識別しながらその所在を確認することができる。
【符号の説明】
【0102】
1 初期登録機
2 認証タグ
2A 利用者
3 ICカード
4 ドア
5 本人認証器
10 ペアリング機能部
20 認証タグの機能部構成

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者により所持される認証タグと、
前記認証タグの所有者に対して発行、付与されたICカードと、
前記認証タグが所定の距離範囲内にあるとき、前記認証タグと通信を可能とする初期登録機と、
前記初期登録機と独立した本人認証器を有し、
前記初期登録機は、前記認証タグが前記所定の距離範囲内にある時、前記認証タグとの間で、暗号化通信を行い、相互間のペアリングを設定し、前記ペアリングの設定の際に生成される鍵情報を前記ICカードに記録し、更に、
前記本人認証器は、所定の距離範囲に前記認証タグが位置づけられる際に、前記ICカードに記録した鍵情報を読み取り、前記鍵情報に基づき、前記設定されたペアリングを判定して、前記認証タグと前記ICカードを所持する利用者の本人認証を行う、
ことを特徴とする本人認証システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記本人認証器と関連して設けられる被制御対象を有し、
前記本人認証器は、前記認証タグと前記ICカードを所持する利用者の本人認証は判定されるときに、前記被制御対象を制御可能とすることを特徴とする本人認証システム。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記ICカードは、非接触で前記初期登録機及び本人認証器との間で前記鍵情報の送受を行うことを特徴とする本人認証システム。
【請求項4】
所定の距離範囲内で通信を可能とする初期登録機と認証タグとの間で、暗号化通信を行い、相互間のペアリングを設定し、
前記ペアリングの設定の際に生成される鍵情報をICカードに記録し、更に、
被制御対象と関連して設けられる本人認証器と所定の距離範囲に前記認証タグが位置づけられる際に、前記本人認証器に前記ICカードに記録した鍵情報を読み取らせ、
前記本人認証器は、前記鍵情報に基づき前記設定されたペアリングを判定して、前記認証タグと前記ICカードを所持する利用者の本人認証を行い、
前記本人認証が判定されるときに、前記本人認証器は、前記被制御対象に対する制御を可能とする、
ことを特徴とする本人認証方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−18262(P2011−18262A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163366(P2009−163366)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(509195571)株式会社WIDセンター (1)
【Fターム(参考)】