説明

校正基板用治具

【課題】 校正基板17をプローバ内の正確な位置に容易に設置して、検査作業を向上させる。
【解決手段】 校正基板用治具15は、そのベース板16を検査対象物と同じ形状に形成して、その表面に校正基板17を設けて構成されている。即ち、校正基板用治具15は、プローブ11の電気的特性を検査するための校正基板17を支持するための治具である。校正基板用治具15を検査対象物と同じ形状に形成することで、プローバへの設置を容易にした。校正基板17は校正基板用治具15の表面に埋め込んだ。校正基板17には位置決め用マーク21を備えた。この校正基板用治具15は半導体ウエハや液晶基板の検査に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置等の電気的特性を検査する際に使用される校正基板用治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ表面に形成されたICチップ等の半導体装置の電気的特性は、半導体ウエハをダイシングして各チップに分離する前に、プローブ針を使って検査される。この検査を正確に行うために、プローブ針自身の電気的特性を検査する必要がある。このため、プローブ針を校正基板の信号用電極パッドと接地用電極パッドとにそれぞれ接触させて、電気的特性が検査される。この校正基板の一例が特許文献1に提案されている。
【特許文献1】特開平06−236911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した従来の校正基板では、その校正基板をプローバに直接に設置してプローブ針を接触させる場合、プローバへの校正基板の設置が容易ではない。校正基板を正確に位置決めするのが容易でなく、その作業性が悪いと言う問題点がある。
【0004】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、校正基板をプローバ内の正確な位置に容易に設置することができる校正基板用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る校正基板用治具は、検査前にプローブ針の電気的特性を調整するための校正基板を支持する校正基板用治具であって、検査対象物と同じ形状に形成されて、その表面に校正基板を設けたことを特徴とする。上記校正基板は校正基板用治具の表面に埋め込んだり形成したりする。上記校正基板を校正基板用治具の表面の複数箇所に設ける場合もある。上記校正基板に位置決め用マークを備えることもある。検査対象物は、半導体ウエハや液晶基板である。
【発明の効果】
【0006】
以上のように、本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
【0007】
校正基板用治具を検査対象物と同じ形状に形成することにより、プローバに容易に装着することができ、その表面の校正基板を正確な位置に設置することができる。この結果、校正作業時の作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態に係る校正基板治具について、添付図面を参照しながら説明する。図1は本実施形態に係る校正基板用治具を示す平面図、図2は校正基板の例を示す斜視図、図3は本実施形態に係る校正基板用治具を示す断面図、図4は本実施形態に係る校正基板用治具を示す要部拡大断面図、図5は本実施形態に係る校正基板用治具の使用例を示す斜視図である。
【0009】
本実施形態に係る校正基板1は、図2に示すように構成されている。この校正基板1は、基板部2と、ショートパターン3と、オープンパターン4と、GSG標準抵抗パターン5とから構成されている。
【0010】
基板部2は、アルミナ板によって構成されている。この基板部2の上側面に、ショートパターン3、オープンパターン4及びGSG標準抵抗パターン5がそれぞれ設けられている。このGSG標準抵抗パターン5等の配設パターンは種々のものがある。基板部2上に多数のパターンを配設したものもある。検査対象等の種々の条件に応じて配設パターンが設定される。具体的には、接地側であるG電極パッド7と、信号側であるS電極パッド8と、これらG電極パッド7とS電極パッド8の間に配設された抵抗体9とが、種々の組み合わせパターンで基板部2の上側面に配設される。
【0011】
この校正基板1で電気的特性を検査する場合は、図2に示すように、プローブ11の2本の接地用プローブ針部12がGSG標準抵抗パターン5の2つのG電極パッド7にそれぞれ接触され、1本の信号用プローブ針部13がS電極パッド8に接触される。そして、接地用プローブ針部12と信号用プローブ針部13を介して高周波の信号が印加されて、電気的特性が測定される。
【0012】
この電気的特性を測定する場合は、校正基板をプローブ11のプローブ針部12,13に対して正確な位置に設置して行う必要があるが、このために、本実施形態では、図1、図3及び図4に示すように、校正基板用治具15を用いている。この校正基板用治具15は、プローブ針部12,13等のプローブ11の電気的特性を検査するための校正基板を支持するための治具である。校正基板用治具15は、検査対象物である半導体ウエハと同じ形状に形成されている。具体的には、半導体ウエハと同じ形状のベース板16と、このベース板16に設けられた校正基板17とから構成されている。ベース板16としては、ここでは検査対象物である半導体ウエハそのものが用いられている。このベース板16の中央には、校正基板17を埋め込むための嵌合凹部18が形成されている。校正基板17の表面には、上述のように、種々のパターンの電極パッド等が形成されている。この校正基板17は、上述した校正基板1とは異なるパターンの電極パッド等が形成されている。校正基板17の外周縁部には、後述する押えカバー22の開口部24の内周縁部が嵌合するための切り欠き20が形成されている。さらに、校正基板17の表面には、プローブ針部12,13に対して校正基板17を正確な位置に位置決めするための位置決め用マーク21が設けられている。
【0013】
校正基板17は、ベース板16の嵌合凹部18に嵌合された状態で、押えカバー22で固定されている。この押えカバー22は、ベース板16と同じ形状に形成されて、ベース板16の上側面を覆う部材である。この押えカバー22の中央に校正基板17とほぼ同じ形状及び寸法の開口部24が形成されている。さらに、この開口部24は、校正基板17の寸法よりも僅かに小さく形成されて、校正基板17の外周縁部の切り欠き20に嵌合するようになっている。この開口部24が切り欠き20に嵌合することで、嵌合凹部18に嵌合された校正基板17をベース板16側に固定している。押えカバー22の下側面には固定ピン25が設けられ、ベース板16の上側面にはこの固定ピン25が嵌合するピン穴26が設けられている。そして、これらが互いに嵌合して押えカバー22がベース板16に固定されて、構成基板17がベース板16側に埋め込まれて固定されている。
【0014】
以上のように構成された校正基板用治具15は、図5に示すように、プローバ11のチャックトップ28の上面に載置され、位置決め用マーク21で位置決めされて、プローブ針部12,13が校正基板17の電極パッドに接触されて検査が行われる。
【0015】
以上のように、校正基板用治具15を、検査対象物と同じ形状に形成されて、その表面に校正基板17を設けたので、校正基板17をプローバ内の正確な位置に容易に設置することができるようになる。この結果、検査作業時の作業性が向上する。
【0016】
また、校正基板17に位置決め用マーク21を設けたので、校正基板用治具15をチャックトップ28に設置した状態で、校正基板17をプローブ針部12,13に対して容易にかつ正確に位置決めすることができる。
【0017】
[変形例]
上記実施形態では、ベース板16の嵌合凹部18を校正基板17とほぼ同じ寸法に設定したが、大きさの異なる校正基板17を適宜埋め込むようにしてもよい。この場合、嵌合凹部18の寸法を大きめに設定しておき、種々の大きさの校正基板17を嵌合凹部18に嵌合する。押えカバー22の開口部24は各校正基板17の切り欠き20と同じ大きさに設定される。この結果、1つのベース板16に対して、種々の大きさの校正基板17と、各校正基板17の大きさに合わせた開口部24を備えた押えカバー22とを適宜組み込むことにより、種々のパターンの電極パッド等を備えた校正基板用治具15を提供することができる。この場合も、上記実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0018】
上記実施形態では、ベース板16の嵌合凹部18に嵌合した校正基板17を押えカバー22で固定したが、吸着して固定してもよい。この場合、図6に示すように、ベース板31の嵌合凹部32に、裏面まで通した吸着穴33を複数個設けて、チャックトップ28に設けられた吸着溝34と連結し、嵌合凹部32に嵌合した校正基板17を裏面側から吸引して固定する。この場合、上記実施形態と同様の作用、効果を奏することができると共に、校正基板17を嵌合凹部32に嵌合するだけで固定作業を必要としないため、電極パターン等の異なる校正基板用治具15を容易にかつ速やかに用意することができる。
【0019】
また、図7に示すように、校正基板36をベース板37の嵌合凹部38に嵌合した状態で、接着剤によって固定してもよい。この場合も、上記実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0020】
上記実施形態では、ベース板16に校正基板17を埋め込んだが、ベース板16に校正基板17を直接形成してもよい。この場合、校正基板17の基板部2は通常セラミック製であるため、ベース板16自体をセラミックで形成することになる。なお、電極パッド等が形成される表面のみをセラミックにしてもよい。この場合も、上記実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0021】
上記実施形態では、校正基板17をベース板16の中央の1ヶ所に設けたが、必要に応じて複数箇所に設けてもよい。この場合も、上記実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0022】
上記実施形態では、検査対象物として半導体ウエハを例に説明したが、液晶基板等の他の検査対象物でもよいことは言うまでもない。プローブで検査する必要のある検査対象物すべてに本発明を適用することができる。この場合も、上記実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る校正基板用治具を示す平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る校正基板の例を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る校正基板用治具を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る校正基板用治具を示す要部拡大断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る校正基板用治具の使用例を示す斜視図である。
【図6】本発明の第1変形例を示す要部拡大断面図である。
【図7】本発明の第2変形例を示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1:校正基板、2:基板部、3:ショートパターン、4:オープンパターン、5:GSG標準抵抗パターン、7:G電極パッド、8:S電極パッド、9:抵抗体、11:プローブ、12:接地用プローブ針部、13:信号用プローブ針部、15:校正基板用治具、16:ベース板、17:校正基板、18:嵌合凹部、20:切り欠き、21:位置決め用マーク、22:押えカバー、24:開口部、25:固定ピン、26:ピン穴。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブの電気的特性を検査するための校正基板を支持する校正基板用治具であって、
検査対象物と同じ形状に形成されて、その表面に校正基板を設けたことを特徴とする校正基板用治具。
【請求項2】
請求項1に記載の校正基板用治具において、
上記校正基板が表面に埋め込まれたことを特徴とする校正基板用治具。
【請求項3】
請求項1に記載の校正基板用治具において、
上記校正基板が表面に形成されたことを特徴とする校正基板用治具。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の校正基板用治具において、
上記校正基板が複数箇所に設けられたことを特徴とする校正基板用治具。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の校正基板用治具において、
上記校正基板が位置決め用マークを備えたことを特徴とする校正基板用治具。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の校正基板用治具において、
検査対象物が半導体ウエハであることを特徴とする校正基板用治具。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の校正基板用治具において、
検査対象物が液晶基板であることを特徴とする校正基板用治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−220505(P2006−220505A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−33415(P2005−33415)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(000153018)株式会社日本マイクロニクス (349)
【Fターム(参考)】