説明

案内プログラム

【課題】ユーザが表示された交差点画像と真の現在地とのズレに違和感を抱いてしまうこと。
【解決手段】複数の交差点が現在地の接近先として求められる場合、接近先に関連する全ての関連交差点画像11a、11bは、並べて表示される。他方、1つの交差点が現在地の接近先として求められる場合、接近先に関連する関連交差点画像11aは、単独で表示される。2つの交差点が現在地の接近先として求められる場合、誤差半径Rと距離閾値Laとの和が接近距離Daよりも大きく、かつ、誤差半径Rと距離閾値Lbとの和が接近距離Dbよりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差点画像を表示するための案内プログラムに関し、特に、車載機器や携帯機器等にインストールされ又は組み込まれるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術として、地図から交差点画像を生成して交差点画像を並べて表示する装置が知られている(特許文献1参照)。また、操縦アーム(道路図)を基地ユニットから遠隔ユニットに送信して操縦アーム(道路図)を遠隔ユニットで表示するシステムが知られている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−227970号公報(図7及び図8)
【特許文献2】特表平10−502174号公報(図1並びに図6乃至図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、地図データベースを持たない装置(本欄では、他用途装置という)で簡易なナビゲーション機能を実現することが試みられている。例えば、緯度経度に対応付けられた交差点画像は、インターネットを介して提供可能である。すなわち、この交差点画像をメモリに記憶することが可能である。しかも、GPS受信機を他用途装置に接続することも可能である。したがって、ユーザは、交差点画像を記憶するメモリを他用途装置に挿入すれば、現在地に対応する交差点画像を得られる。
【0004】
ところが、地図データベースを持たない装置では、GPS受信機の精度をマップマッチング処理で補うことはできない。つまり、ユーザが表示された交差点画像と真の現在地とのズレに違和感を抱くという課題があった。もちろん、地図データベースを持つ装置であっても、GPS受信機の精度がマップマッチング処理で補うことができない程度に悪化しうるので、同様の課題は生じうる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る案内プログラムは、交差点と交差点画像とを関連付けて記憶する記憶媒体及び現在地を得るためのセンサに接続可能なコンピュータに対して、複数の交差点が現在地の接近先として求められる場合、表示装置に対して前記接近先に関連する全ての関連交差点画像を表示させるための案内処理を実行させる。本発明における字句の解釈は、次のとおりである。
【0006】
「交差点」とは、道路が交差する地点である。また、地点は、緯度経度等で表現される。
【0007】
「交差点画像」とは、交差点の形状を少なくとも示す。交差点の形状以外には、交差点での進行方向等がある。
【0008】
「関連付け」る作業は、交差点画像を提供する事業者又は交差点画像を利用するユーザによって行われる。しかも、交差点は、距離閾値に関連付けられてもよい。
【0009】
「記憶媒体」は、携帯可能であって、交差点と交差点画像とを関連付けて記憶するための装置であれば足りる。例えば、半導体メモリや携帯型ハードディスクなどがある。
【0010】
「現在地」とは、「センサ」の出力値から得られる移動体の地点であり、真の移動体の地点とは異なり得る。また、地点は、緯度経度等で表現される。
【0011】
「センサ」として、GPS受信機や車両に設けられたセンサ(車速センサ等)などがある。
【0012】
「接続される」とは、無線によって接続されること又は有線によって接続されることである。
【0013】
「コンピュータ」は、CPU、RAMやI/Oなどのハードウエア要素を備え、この要素とプログラムと協働によって演算機能・制御機能を実現する。また、「コンピュータ」は、車載機器(例えば、カーオーディオやカーテレビ等)又は携帯機器(例えば、携帯電話やPDAなど)に設けられている。
【0014】
「現在地」とは、一時点において「センサ」の出力値から得られる移動体の位置である。
【0015】
「現在地の接近先」は、例えば、「交差点に関連付けられる距離閾値、現在地と交差点との間の距離及び前記センサが有する誤差半径を用いて求め」られる。
【0016】
「全ての関連交差点画像を表示させる」は、「関連交差点画像」を同時に又は順番に表示するものであればよい。例えば、「全ての関連交差点画像を並べて表示させる」ことや関連交差点画像を1つずつ交互に表示させること等がある。
【0017】
「車載機器」とは、車両に搭載されコンピュータを内蔵する機器である。例えば、オーディオ装置、テレビ受信装置、カメラ画像表示装置やカーナビゲーション装置などがある。
【0018】
「携帯機器」とは、コンピュータを内蔵する携帯可能な機器である。例えば、PDA、携帯電話やノードパソコン等がある。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、接近先に関連する全ての関連交差点画像を表示することによって、表示された関連交差点画像に対する違和感をユーザに抱かせないという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を実施するための最良の形態(以下、本実施の形態という)は、図1乃至図6で示される。本実施の形態では、本発明に係る案内プログラムは、カーオーディオに組み込まれる。
【0021】
<表示例>本実施の形態に係る表示例は、図1及び図2で示される。カーオーディオ10では、複数の交差点が現在地の接近先として求められる場合、接近先に関連する全ての関連交差点画像11a、11bは、並べて表示される(図1)。他方、1つの交差点が現在地の接近先として求められる場合、接近先に関連する関連交差点画像(以下、関連交差点という)11aは、単独で表示される(図2)。
【0022】
<接近先の概念>本実施の形態に係る接近先の概念は、図3で示される。距離Rは、測位に係る誤差半径である(以下、誤差半径Rという)。誤差半径Rは、公知の概念である(例えば、特開1994−148307号公報)。また、誤差半径Rは、交差点に依存せず、一定である。
【0023】
距離Daは、現在地Pcと交差点Paとの間の距離である(以下、接近距離Daという)。また、距離Dbは、現在地Pcと交差点Pbとの間の距離である(以下、接近距離Dbという)。現在地Pcは、演算によって求まる地点であり、真の現在地Prとは異なる。
【0024】
距離Laは、交差点Paに関連付けられた距離閾値である(以下、距離閾値Laという)。また、距離Lbは、交差点Pbに関連付けられた距離閾値である(以下、距離閾値Lbという)。距離閾値は、交差点規模に応じて異なる値となる。
【0025】
誤差半径Rと距離閾値Laとの和が接近距離Daよりも大きい場合(R+La>Da)、交差点Paは、接近先である。他方、誤差半径Rと距離閾値Laとの和が接近距離Da以下である場合(R+La≦Da)、交差点Paは、接近先ではない。
【0026】
誤差半径Rと距離閾値Lbとの和が接近距離Dbよりも大きい場合(R+Lb>Db)、交差点Pbは、接近先である。他方、誤差半径Rと距離閾値Lbとの和が接近距離Db以下である場合(R+Lb≦Db)、交差点Pbは、接近先ではない。
【0027】
つまり、2つの交差点が現在地の接近先として求められる場合、誤差半径Rと距離閾値Laとの和が接近距離Daよりも大きく、かつ、誤差半径Rと距離閾値Lbとの和が接近距離Dbよりも大きい。
【0028】
<ハードウエア構成について>本実施の形態に係るカーオーディオのハードウエア構成は、図4で示される。
【0029】
カーオーディオ10は、少なくともコンピュータ21を備える。コンピュータ21には、記憶媒体(例えば、SDカードやコンパクトフラッシュ(登録商標)など)22及びGPS受信機23がバスを介して接続される。コンピュータ21は、I/O、ROM、CPUやRAMなどの要素からなる。I/Oには、操作装置(例えば、リモートコントローラや釦など)24、表示装置25、スピーカ26及び車両センサ(例えば、車速センサや回転数センサ等)27が接続されている。ROMには、BIOS等の基本プログラムの他に、本発明に係る案内プログラム及び誤差半径Rが記憶される。案内プログラムは、起動時にRAMに展開されて、CPUによって実行される。
【0030】
記憶媒体22には、交差点P、距離閾値L及び交差点画像11が関連付けて記憶されている(図5参照)。本実施の形態では、ユーザは、交差点P、距離閾値L及び交差点画像11をインターネットサイトからダウンロードして、これらを記憶媒体22に保存する。
【0031】
GPS受信機23は、現在地を得るための装置である。すなわち、GPS受信機23での出力値は、車両センサ27での出力値とともに、現在地を演算するために用いられる。これらの出力値は、RAMに記憶される。
【0032】
<処理について>本実施の形態に係る処理(以下、本処理という)は、CPUがRAMに展開された案内プログラムを実行すると、実現する。
【0033】
本処理の前提として、現在地は、RAMに記憶される。すなわち、GPS受信機23での出力値及び車両センサ27での出力値が現在地演算プログラム(周知)に渡される。現在地は、演算結果として戻ってくる。しかも、交差点P、距離閾値L及び交差点画像11は、記憶媒体22からRAMに展開される。また、誤差半径Rは、起動時にROMからRAMに展開される。
【0034】
本処理は、図6で示される。接近距離演算処理では、交差点P及び現在地PcがRAMからCPUのレジスタ(以下、レジスタという)に読み出され、演算結果である接近距離Dは、交差点PとともにRAMに記憶される(S1)。すなわち、交差点Paが読み出される場合、接近距離Daは、交差点PaとともにRAMに記憶される。また、交差点Pbが読み出される場合、接近距離Dbは、交差点PbとともにRAMに記憶される。
【0035】
比較距離演算処理では、誤差半径R及び距離閾値LがRAMからレジスタに読み出され、演算結果である比較距離(L+R)は、レジスタに記憶される(S2)。すなわち、交差点Pが交差点Paであれば、比較距離(La+R)が、レジスタに記憶される。また、交差点Pが交差点Pbであれば、比較距離(Lb+R)が、レジスタに記憶される。
【0036】
比較処理では、接近距離D及び比較距離(L+R)が比較され、比較結果がレジスタに記憶される(S3)。すなわち、接近距離Da及び比較距離(La+R)が比較される。また、接近距離Db及び比較距離(Lb+R)が比較される。
【0037】
S3での比較結果が、比較距離(L+R)が接近距離Dよりも大きいことを示していれば(S3の「<」)、交差点リストアップ処理が実行される(S4)。すなわち、交差点Pは、RAMの特定領域に転記される。
【0038】
他方、S3での比較結果が、比較距離(L+R)が接近距離D以下であることを示していれば(S3の「≧」)、交差点リストアップ処理が実行されない。すなわち、交差点Pは、RAMの特定領域に転記されない。
【0039】
S1乃至S4の処理が実行されると、S1乃至S4の処理は全ての交差点について実行されたか否かが判定される(S5)。
【0040】
S5で全ての交差点について実行されたとの判定がなされないと(S5の「No」)、S1乃至S4の処理が再び実行される。
【0041】
他方、S5で全ての交差点について実行されたとの判定がなされると(S5の「Yes」)、転記された交差点の数は複数か否かが判定される(S6)。
【0042】
S6で転記された交差点の数は複数であるとの判定がなされると(S6の「Yes」)、並列表示処理が実行される(S7)。すなわち、表示装置25に対して各交差点に関連する交差点画像11を並べて表示させる旨の制御命令が出力される。この制御命令が出力されると、転記された複数の交差点Pに対応する各交差点画像11は、表示装置25に転送される。表示装置25は、交差点画像11を並べて表示する(図1参照)。
【0043】
他方、S6で転記された交差点の数は複数ではないとの判定がなされると(S6の「Yes」)、通常表示処理が実行される(S8)。すなわち、交差点数が1であれば、表示装置25に対して1つの交差点画像11を表示させる旨の制御命令が出力される。この制御命令が出力されると、転記された1つの交差点Pに対応する交差点画像11は、表示装置25に転送される。表示装置25は、1つの交差点画像11を表示する(図2参照)。また、交差点数が0であれば、表示装置25に対して交差点画像11を表示させる旨の制御命令が出力されない。
【0044】
<本実施の形態における効果>演算された現在地Pcと真の現在地Prとが異なる場合、現在地Pcの接近先を交差点Pa及び交差点Pbの何れかに特定することができない。この場合、交差点Paに関連する関連交差点画像11a及び交差点Pbに関連する関連交差点画像11bは、並べて表示される。したがって、演算された現在地Pcと真の現在地Prとが異なる場合であっても、ユーザは、表示される関連交差点画像11に対して違和感を抱かない。
【0045】
<変形例>本処理の対象となる交差点の数は、本処理の前に削減されてもよい。具体的には、記憶媒体22に記憶される各交差点は、誤差半径R(100m)及び削減用距離閾値(300m)の和(400m)で定義される範囲内にあれば、本処理の対象となる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、車載機器や携帯機器などに有用であり、より具体的には、カーオーディオや携帯電話等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施の形態に係る並列表示の例を示す図
【図2】本実施の形態に係る通常表示の例を示す図
【図3】本実施の形態に係る接近先の概念を示す図
【図4】本実施の形態に係る案内プログラムを実行するためのハードウエア構成を示す図
【図5】本実施の形態に係る各データの構造を示す図
【図6】本実施の形態における処理の流れを示すフロー図
【符号の説明】
【0048】
11 交差点画像
21 コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点と交差点画像とを関連付けて記憶する記憶媒体及び現在地を得るためのセンサに接続可能なコンピュータに対して、
複数の交差点が現在地の接近先として求められる場合、表示装置に対して前記接近先に関連する全ての関連交差点画像を表示させるための処理を実行させるための案内プログラム。
【請求項2】
前記処理が、前記表示装置に対して全ての関連交差点画像を並べて表示させるための処理である、請求項1の案内プログラム。
【請求項3】
前記コンピュータに対して、さらに、
前記接近先を、交差点に関連付けられる距離閾値、現在地と交差点との間の距離及び前記センサが有する誤差半径を用いて求めるための処理を実現させる、請求項1又は請求項2の案内プログラム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかの案内プログラムが組み込まれた車載機器。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3の何れかの案内プログラムが組み込まれた携帯機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−261734(P2008−261734A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−104793(P2007−104793)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】