説明

案内経路探索装置、案内経路探索方法、案内経路探索プログラム、ナビゲーション装置

【課題】複数の経由地を案内する案内スケジュールを、それぞれの経由地での滞在時間を考慮して生成すること。
【解決手段】経由地指定手段22は、目的地に到達するまでに案内する複数の経由地を指定する。選択手段24は、事前に設定された目的地への到達時間までに複数の経由地を経由し、かつ、経由地に対して事前に設定された最大滞在時間以内で複数の経由地での滞在時間が最大となる案内スケジュールを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、案内経路探索装置、ナビゲーション装置および案内経路の探索方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の経由地を経由する案内経路を探索する経路探索の方法が開示されている。この特許文献1に開示される従来の経路探索の方法では、経路を探索するために設定された探索条件と、特定の経由地同士の依存関係とに基づいて複数の経由地の通過順序を決定し、その通過順序で複数の経由地を通過して目的地に至る経路を探索する。また、この特許文献1は、経路を探索するために設定される探索条件が、時間(所要時間の短さ)と、距離(走行距離の短さ)と、料金(通行料金の低さ)との中から選択される例を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−221647号公報(特許請求の範囲、段落0033〜0052など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この特許文献1に開示される従来の経路探索の方法を使用して探索された案内経路では、各経由地での滞在時間を考慮したプランを作成することは困難である。
【0005】
そのため、特許文献1に開示される従来の経路探索の方法を用いて多くの経由地を経由する案内経路を作成し、その案内経路にて誘導される場合には、ユーザは、各経由地で滞在時間を気にしなければならない。そのため、ユーザは、時間に追われるようにして各経由地において早目に出発することになる。また、ユーザは、各経由地において早目に出発する結果として、たとえばホテルなどの目的地に予定した到着時刻より早く到着してしまうことも有りえる。
【0006】
他にもたとえば、特許文献1に開示される従来の経路探索の方法を用いて余裕を見越して経由地を少なめに設定し、その案内経路にて誘導される場合には、ユーザは、各経由地において早目に出発する必要は無くなる。しかしながら、各経由地での適切な出発時刻などが解らないため、各経由地においてゆっくりと過ごしすぎて、経由地を少なめに設定したにもかかわらずホテルなどの目的地に予定よりも遅れて到着してしまうことが有りえる。
【0007】
本発明は、複数の経由地を回る案内スケジュールを、それぞれの経由地での滞在時間を考慮して生成する案内経路探索装置および案内経路の探索方法を得ることを目的とする。
【0008】
また、本発明は、複数の経由地での滞在時間を考慮して生成された案内スケジュールにて経路案内を行うナビゲーション装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る案内経路探索装置は、目的地に到達するまでに案内する複数の経由地を指定する経由地指定手段と、事前に設定された目的地への到達時刻までに複数の経由地を経由し、かつ、経由地に対して事前に設定された最大滞在時間以内で複数の経由地での滞在時間が最大となる案内スケジュールを選択する選択手段と、を有するものである。
【0010】
本発明に係る第二の案内経路探索装置は、目的地に到達するまでに案内する複数の経由地を指定する経由地指定手段と、複数の経由地の滞在時間帯を、それぞれの経由地について事前に指定される滞在時刻および滞在時間に基づいて決定する仮決定手段と、複数の経由地の滞在時間帯および経由地間の移動時間に基づいてその複数の経由地を経由する案内スケジュールが成立するか否かを判定する判定手段と、判定手段において複数の経由地を経由する案内スケジュールが成立しないと判断された場合に、少なくとも1つの経由地の滞在時間を減らす調整手段と、を有するものである。
【0011】
本発明に係る第三の案内経路探索装置は、目的地に到達するまでに案内する複数の経由地を指定する経由地指定手段と、複数の経由地を回る旅行の出発時刻から目的地への到着時刻までの旅行時間帯の範囲内においてそれぞれの経由地について事前に指定される滞在時間に基づいて、複数の経由地の滞在時間帯を決定する仮決定手段と、複数の経由地の滞在時間帯および経由地間の移動時間に基づいてその複数の経由地を経由する案内スケジュールが成立するか否かを判定する判定手段と、判定手段において複数の経由地を経由する案内スケジュールが成立しないと判断された場合に、少なくとも1つの経由地の滞在時間を減らす調整手段と、を有するものである。
【0012】
本発明に係る第四の案内経路探索装置は、目的地に到達するまでに案内する複数の経由地を指定する経由地指定手段と、複数の経由地を回る旅行の出発時刻から到着時刻までの旅行時間帯の範囲内においてそれぞれの経由地について事前に指定される滞在時間に基づいて、複数の経由地の滞在時間帯を決定する仮決定手段と、旅行時間帯の範囲内において経由地での滞在時間帯と経由地間の移動時間の他に空き時間があるか否かを判定する判定手段と、判定手段において空き時間があると判定された場合に、その空き時間の一部または全部を少なくとも1つの経由地の滞在時間に加算する調整手段と、を有するものである。
【0013】
本発明に係る上述した各案内経路探索装置は、上述したそれぞれの構成に加えて、調整手段によって調整された複数の経由地の案内スケジュールを表示する表示手段と、表示手段に表示されている案内スケジュールを変更するために操作される入力手段と、入力手段での変更操作に応じて案内スケジュールを変更し、その変更した案内スケジュールを表示手段に表示させる変更手段と、を有するものである。
【0014】
本発明に係る上述した各案内経路探索装置は、上述したそれぞれの構成に加えて、それぞれの経由地について事前に指定される滞在時刻および/または滞在時間は、経由地、経由地の種類、利用者、利用グループ、利用時期、および利用年齢のうちの少なくとも1つに応じて指定されているものである。
【0015】
本発明に係るナビゲーション装置は、現在の地点を示す値を繰り返し出力する現地位置更新手段と、現在の地点を示す値の地点を含む地図を、上述したいずれかの発明に係る案内経路探索装置にて生成された複数の経由地を含む案内スケジュールに基づく案内経路とともに表示する表示手段と、を有するものである。
【0016】
本発明に係る案内経路の探索方法は、目的地に到達するまでに案内する複数の経由地を指定するステップと、事前に設定された目的地への到達時刻までに複数の経由地を経由し、かつ、経由地に対して事前に設定された最大滞在時間以内で複数の経由地での滞在時間が最大となる案内スケジュールを選択するステップと、を有するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、複数の経由地を回る案内スケジュールを、それぞれの経由地での滞在時間を考慮して生成することができる。
【0018】
また、本発明では、複数の経由地での滞在時間を考慮して生成された案内スケジュールにて経路案内を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る車載ナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1中のハードディスクドライブの記憶内容の説明図である。
【図3】図3は、図2中の経由候補地探索データの一例を示す説明図である。
【図4】図4は、図2中のジャンル別経由地条件テーブルの一例を示す説明図である。
【図5】図5は、図1の車載ナビゲーション装置に実現される案内経路生成のための機能ブロックを示すブロック図である。
【図6】図6は、図5中の推奨経路生成部が実行する探索処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図7は、本発明の実施の形態1における複数の経由地の組み合わせ例を示す図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態1においてユーザが入力した発着条件に基づく時間軸を示す図である
【図9】図9は、図7に示す複数の経由地の中の案内時刻が指定されている経由地Aおよび経由地Bを発着条件に基づく時間軸上に載せた状態を示す図である。
【図10】図10は、図7に示すすべての経由地を、発着条件に基づく時間軸に載せた状態を示す図である。
【図11】図11は、図10に示す状態の後に、すべての経由地の滞在時間を減らした状態を示す図である。
【図12】図12は、図11に示す状態の後に、滞在時間同士が重なったままになっている経由地および経由地の滞在時間を減らした状態を示す図である。
【図13】図13は、実施の形態1における案内スケジュールの計算の一例を示す図である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態2に係る車載ナビゲーション装置に実現される案内経路生成のための機能ブロックを示すブロック図である。
【図15】図15は、推奨経路生成部が生成した推奨経路を表示する表示画面の一例を示す画面説明図である。
【図16】図16は、推奨経路生成部が生成した図15に示す推奨経路に喫茶店が経由地として追加された場合の、変更された推奨経路を表示する表示画面の一例を示す画面説明図である。
【図17】図17は、図16に示す推奨経路において喫茶店が滝に変更された場合の、変更された推奨経路を表示する表示画面の一例を示す画面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態に係る案内経路探索装置、ナビゲーション装置および案内経路の探索方法を、図面に基づいて説明する。ナビゲーション装置は、自動車、自動二輪、航空機などの車両に搭載する車載ナビゲーション装置を例として説明する。案内経路探索装置は、この車載ナビゲーション装置の構成の一部として説明する。案内経路の探索方法は、この車載ナビゲーション装置の動作の一部として説明する。
【0021】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る車載ナビゲーション装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0022】
車載ナビゲーション装置1は、プログラムを実行する中央処理装置(CPU:Central Processing
Unit)2と、実行中のプログラムやデータを記憶するRAM(Random Access Memory)3と、プログラムなどを記憶するハードディスクドライブ4と、表示データを表示する液晶モニタ5と、周辺機器が接続されるI/O(Input/Output)ポート6と、これらを接続するシステムバス7と、を有する。
【0023】
I/Oポート6には、液晶モニタ5の表示画面に重ねて配設され、押圧された部位を示す信号を出力するタッチパネル8と、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して現在の緯度経度の値を出力する現地位置更新手段としてのGPS受信機9と、FM波、光ビーコンあるいは電波ビーコンを受信してそれに含まれるVICS(Vehicle Information and Communication System)情報を出力するVICS受信機10とが接続される。VICS情報には、交通規制情報や渋滞情報などが含まれる。
【0024】
なお、液晶モニタ5は、I/Oポート6を介してシステムバス7に接続されていてもよい。また、I/Oポート6には、車両の速度に応じたパルスを出力する車速パルス発生器や、車両の移動方向を示すジャイロセンサなどが接続されていてもよい。
【0025】
図2は、図1中のハードディスクドライブ4の記憶内容の説明図である。
【0026】
ハードディスクドライブ4には、プログラム群と、データ群とが記憶される。ハードディスクドライブ4のプログラム群には、案内経路生成プログラム11と、経路誘導プログラム12とが含まれる。ハードディスクドライブ4のデータ群には、経由候補地探索データ13と、経由候補地登録データ14と、ジャンル別経由地条件テーブル15と、経路探索データ16と、経路探索条件データ17と、地図データ18とが含まれる。
【0027】
なお、経由候補地探索データ13、ジャンル別経由地条件テーブル15、経路探索データ16、地図データ18などは、車載ナビゲーション装置1に挿抜可能なコンピュータ読取可能な記録媒体に記録され、車載ナビゲーション装置1はこの記録媒体からこれらのデータを読み込むようにしてもよい。また、プログラム群とデータ群は、別々の記録媒体に記録されるようにしてもよい。
【0028】
経由候補地探索データ13は、経由候補地毎のレコードを有する。経由候補地探索データ13の経由候補地は、車載ナビゲーション装置1の出荷前などにおいて事前に登録されているものであり、たとえばレストラン、遊戯施設などが含まれる。
【0029】
図3は、図2中の経由候補地探索データ13の一例を示す説明図である。図3では、1行毎に各レコードの登録情報が示される。各経由候補地のレコードには、経由候補地の名称、ジャンル、休業日、営業時間などの経由候補地の属性情報、経由候補地の地点を示す値などが含まれる。たとえば、「○○デパート」という名称の宿泊施設には、ジャンルとして「デパート」が対応付けられ、休業日として「水」曜日が対応付けられ、営業時間として「10:00〜20:00」が対応付けられ、地点を示す値として「1224」が対応付けられる。
【0030】
なお、経由候補地探索データ13に登録される経由候補地の地点を示す値は、その経由候補地の緯度経度に基づく値であってもよいが、その緯度経度に基づく値と対応付けられている別の値、たとえばマップコード(登録商標)の値などであってもよい。また、経由候補地そのものの緯度経度に基づく値であってもよいが、たとえばその経由候補地と提携している駐車場などの経由候補地に関連する地点の緯度経度に基づく値であってもよい。
【0031】
経由候補地登録データ14は、ユーザにより登録された経由候補地毎の複数のレコードを有する。各経由候補地のレコードには、たとえば経由候補地の名称、ジャンル、休業日、営業時間などの登録された経由候補地の属性情報、登録された経由候補地の地点を示す値などが含まれる。
【0032】
ジャンル別経由地条件テーブル15は、ジャンル毎の複数のレコードを有する。ジャンルは、各経由候補地の属性情報の中の1つの情報である。ジャンルには、たとえばレストラン、名所、ホテルなどがある。
【0033】
図4は、図2中のジャンル別経由地条件テーブル15の一例を示す説明図である。図4では、1行毎に各レコードの登録情報が示される。各ジャンルのレコードには、ジャンルの名称、案内時刻、滞在可能時間などのジャンルの属性情報が含まれる。たとえば、ジャンル「レストラン」には、案内時刻として「13:00」が対応付けられ、滞在可能時間として「2時間」が対応付けられる。このジャンル毎の案内時刻および滞在可能時間が、この実施の形態1の各経由地について滞在条件となる。
【0034】
経路探索データ16は、複数のノード情報と、複数のリンク情報を有する。ノード情報は、交差点などの地点に関する情報であり、その地点の識別情報、その地点を示す値、そのノードに接続されているリンクの識別番号のリストなどで構成される。リンク情報は、ノード間を接続する道路などの経路に関する情報であり、その経路の識別情報、接続されるノードの識別番号のリストなどで構成される。
【0035】
経路探索条件データ17は、推奨経路を探索する際の探索条件を示すデータであり、たとえば最短距離、最短移動時間、一般道路優先、有料道路優先などの、複数の経路の中から1つを選択するための選択基準を示すデータである。なお、選択基準は、1つの基準項目のものに限定されるものではなく、複数の基準項目が組み合わされたものであってもよい。
【0036】
地図データ18は、たとえば日本全国、関東地方、東京都などの所定の地域の地図を、複数のドットからなる画像データにデータ化したものである。各ドットは輝度情報を有する。地図には、道路地図、住宅地図などがある。また、地図データ18は、地図データ18の各ドットの地点を示す値を有する。
【0037】
次に、以上のような構成を有する実施の形態1に係る車載ナビゲーション装置1の動作を説明する。
【0038】
車載ナビゲーション装置1が起動されると、中央処理装置2は、ハードディスクドライブ4に記憶されているプログラムをRAM3に読み込んで実行する。
【0039】
中央処理装置2が案内経路生成プログラム11を実行すると、車載ナビゲーション装置1には、案内経路を生成するための各種の機能ブロックが実現される。図5は、図1の車載ナビゲーション装置1に実現される案内経路生成のための機能ブロックを示すブロック図である。中央処理装置2が案内経路生成プログラム11を実行することで、車載ナビゲーション装置1には、経由候補地登録部21と、経由地選択部22と、発着条件設定部23と、推奨経路生成部24と、推奨経路保存部25とが実現される。
【0040】
経由候補地登録部21は、経由候補地を登録、修正あるいは削除するための表示データを液晶モニタ5へ出力する。これにより、液晶モニタ5には、経由候補地を登録、修正あるいは削除するための画面が表示される。そして、ユーザの操作に応じてタッチパネル8が生成する情報に基づいて、経由候補地登録部21は、新たな経由候補地を経由候補地登録データ14に登録したり、経由候補地登録データ14に登録されている経由候補地の情報を変更したり、登録されている経由候補地を経由候補地登録データ14から削除したりする。
【0041】
具体的にはたとえば、登録する経由候補地の名称、ジャンル、休業日、営業時間などの属性情報や、経由候補地の地点を示す画像が液晶モニタ5に表示され、ユーザの操作に応じてタッチパネル8から出力される画像上の操作位置情報に基づいて、経由候補地登録部21は、経由候補地の属性情報などを特定し、経由候補地登録データ14に新たなレコードを追加し、この追加したレコードにそれらの情報を格納する。なお、経由候補地登録データ14に登録される経由候補地の地点を示す値は、ユーザが直接その値を入力するようにしてもよいが、他にもたとえば、地図データ18をスクロール可能に液晶モニタ5に表示し、タッチパネル8から出力される操作情報に基づいてユーザが選択した地点を特定し、この特定した地点の地点を示す値で代用するようにしてもよい。
【0042】
経由地選択部22は、経由地指定手段として機能し、経由候補地探索データ13に予め登録されている経由候補地と経由候補地登録データ14にユーザが登録した経由候補地との中から、経由候補地を選択するための表示データを液晶モニタ5へ出力する。これにより、液晶モニタ5には、経由候補地を選択するための画面が表示される。
【0043】
そして、ユーザは、この液晶モニタ5の画面に応じてタッチパネル8を操作して所望の経由候補地を液晶モニタ5に表示させ、その所望の経由候補地を選択する。ユーザにより経由候補地が選択されると、経由地選択部22は、その経由候補地を経由地としてRAM3あるいはハードディスクドライブ4に記憶させる。
【0044】
なお、経由候補地は、複数選択することができる。複数の経由候補地が選択された場合には、RAM3あるいはハードディスクドライブ4には、その選択された複数の経由候補地が複数の経由地として記憶されることになる。
【0045】
経由地選択部22での経由地の選択が完了すると、発着条件設定部23は、出発地の地点および出発時刻、並びに、目的地の地点および到達時刻を入力するための表示データを液晶モニタ5へ出力する。これにより、液晶モニタ5には、これらを入力するための画面が表示される。そして、ユーザは、この液晶モニタ5の画面に応じてタッチパネル8を操作して、出発地の地点、出発時刻、目的地の地点および到達時刻を入力する。
【0046】
なお、この出発地の地点、出発時刻、目的地の地点および到達時刻が、この実施の形態1に係る発着条件となる。また、出発地の出発時刻から目的地への到達時刻が、複数の経由地を回る旅行の出発時刻から到着時刻までの旅行時間帯となる。
【0047】
なお、出発地の地点を示す値および目的地の地点を示す値は、ユーザが直接その値を入力するようにしてもよいが、他にもたとえば、地図データ18をスクロール可能に液晶モニタ5に表示し、タッチパネル8から出力される操作情報に基づいてユーザが選択した地点を特定し、この特定した地点の地点を示す値で代用するようにしてもよい。
【0048】
このように発着条件が指定されると、発着条件設定部23は、出発地の地点、出発時刻、目的地の地点および到達時刻を、発着条件としてRAM3あるいはハードディスクドライブ4に記憶させる。
【0049】
発着条件設定部23での発着条件の入力が完了すると、推奨経路生成部24は、ユーザにより選択された経由地を経由して、ユーザが入力した出発地から目的地に至る推奨経路の探索処理を開始する。図6は、図5中の推奨経路生成部24が実行する探索処理の流れを示すフローチャートである。
【0050】
推奨経路生成部24は、まず、仮決定手段として機能して、ユーザにより選択された経由地の中から、案内時刻が指定されている経由地(以下、案内時刻指定経由地と記載する。)を抽出し、時間軸上においてその案内時刻指定経由地の滞在時間帯を、出発地の出発時刻から目的地への到着時刻までの旅行時間帯上に載せる。このとき、各案内時刻指定経由地の滞在時間は、滞在可能時間とする。これにより、案内時刻指定経由地の滞在時間帯が仮に決定される(ステップS1)。なお、滞在時間帯とは、滞在開始時刻から滞在終了時刻までの期間のことをいう。
【0051】
次に、推奨経路生成部24は、判定手段として機能して、複数の案内時刻指定経由地の滞在時間帯同士が重なるか否かを判定する(ステップS2)。
【0052】
複数の案内時刻指定経由地の滞在時間帯同士が重なる場合には、推奨経路生成部24は、調整手段として機能して、案内時刻指定経由地の滞在時間を所定の割合あるいは所定の時間だけ減らす(ステップS3)。
【0053】
続けて、推奨経路生成部24は、滞在時間帯の重なりが解消されるか否かの判定を行う。滞在時間帯の重なりが解消されるか否かの判定は、たとえば削減処理の回数が所定の回数を超えたか否かに基づいて判定しても、十分な滞在時間を確保できなくなっているか否かに基づいて判定してもよい(ステップS4)。
【0054】
ステップS4において滞在時間帯の重なりが解消されないと判定した場合には、推奨経路生成部24は、現状では立ち寄れない案内時刻指定経由地があることをユーザに警告を行う。この警告は、たとえば液晶モニタ5に表示すればよい(ステップS5)。
【0055】
ステップS2の判断において、複数の案内時刻指定経由地の滞在時間同士が重ならない場合には、推奨経路生成部24は、仮決定手段として機能して、残りの経由地、すなわち案内時刻が指定されていない経由地(以下、案内時刻否指定経由地と記載する。)の滞在時間帯を、旅行時間帯上に載せる。このとき、各案内時刻否指定経由地の滞在時間は、滞在可能時間とする。これにより、案内時刻否指定経由地を含めたすべての経由地の滞在時間帯が仮に決定される。
【0056】
また、推奨経路生成部24は、経由地間の移動時間(つまり、移動の時間帯)を、旅行時間帯上に載せる。この経由地間の移動時間は、固定的な移動時間であっても、単に経由地間の距離のみに応じた移動時間であっても、経路探索データ16および経路探索条件データ17に基づいて探索した実際の案内経路での移動時間であってもよい(ステップS6)。
【0057】
そして、推奨経路生成部24は、判定手段として機能して、複数の経由地の滞在時間帯同士が重なるか否かを判定する(ステップS7)。
【0058】
複数の経由地の滞在時間帯同士が重なる場合には、推奨経路生成部24は、調整手段として機能して、すべての経由地の滞在時間を所定の割合あるいは所定の時間だけ減らしたり、重なっている経由地の滞在時間のみを所定の割合あるいは所定の時間だけ減らしたりする(ステップS8)。
【0059】
なお、推奨経路生成部24は、ステップS7において、複数の経由地の滞在時間帯同士が重なるか否かに替えて、複数の経由地を回ることができるか否かを判断し、回ることができないと判断した場合にステップS8へ進むようにしてもよい。
【0060】
その後、推奨経路生成部24は、滞在時間帯の重なりが解消されるか否かの判定を行う。滞在時間帯の重なりが解消されるか否かの判定は、たとえば削減処理の回数が所定の回数を超えたか否かに基づいて判定しても、十分な滞在時間を確保できなくなっているか否かに基づいて判定してもよい(ステップS9)。
【0061】
そして、ステップS9において滞在時間帯の重なりが解消されないと判定した場合には、推奨経路生成部24は、現状では立ち寄れない経由地があることをユーザに警告を行う。この警告は、たとえば液晶モニタ5に表示すればよい(ステップS10)。
【0062】
ステップS7の判断において、すべての経由地の滞在時間帯が重ならないと判断した場合には、推奨経路生成部24は、その経路を推奨経路とし、その推奨経路と各経由地での滞在時間帯を含めた案内スケジュールを生成する。推奨経路保存部25は、この推奨経路を含む案内スケジュールを、その推奨経路での経由地間の実際の案内経路とともに、RAM3あるいはハードディスクドライブ4に記憶させる。
【0063】
このように、推奨経路生成部24は、事前に設定された目的地への到達時刻までに複数の経由地を経由し、かつ、経由地に対して事前に設定された最大滞在時間以内で複数の経由地での滞在時間が最大となる案内スケジュールを選択する選択手段として機能する。
【0064】
なお、推奨経路の生成処理において経由地間の実際の案内経路の探索処理が完了していない場合には、推奨経路保存部25は、経路探索データ16および経路探索条件データ17に基づいて、経由地間の実際の案内経路を探索する。また、経路探索データ16および経路探索条件データ17などともに、VICS受信機10が受信した交通情報を利用してもよい。
【0065】
ところで、少なくとも1つの案内時刻否指定経由地を含む複数の経由地がユーザにより指定された場合、それら複数の経由地の経由順が互いに異なる複数の経由パターンが考えられる。そのような場合には、推奨経路生成部24は、たとえば、ステップS6においてそのすべての組み合わせの経由順の経由パターンについて案内スケジュールを生成し、ステップS7において複数の経由地の滞在時間同士の重なり時間が最も小さいものを1つ選択したり、最も経由地間の総移動時間あるいは出発時刻から到着時刻までの総旅行距離が短いものを1つ選択したり、ユーザに1つを選択させたりすればよい。
【0066】
複数の経由パターンが考えられる場合の他の処理としては、たとえば、推奨経路生成部24は、ステップS6においてはいずれか1つの経由順の経由パターンについての案内スケジュールを生成し、ステップS7〜S9の処理を所定回繰り返した後のステップS9の判断において複数の経由地の滞在時間帯同士が重なったままであると判断した場合には、他の経由順の経由パターンについての仮の案内スケジュールを生成し、その別の仮の案内スケジュールについてステップS7〜S9の処理を繰り返すようにしてもよい。この処理の場合、推奨経路生成部24は、経由地のすべての組み合わせについての仮案内スケジュールにおいて複数の経由地の滞在時間帯同士が重なったままであると判断したら、ステップS10の警告を行えばよい。なお、ステップS6において1つの経由順の経由パターンを選択する場合、たとえば出発地を出発してから複数の経由地を経由して目的地までに移動する総移動時間、総旅行距離などが短いものから順番に選択するようにすればよい。
【0067】
図7から図12は、以上の推奨経路生成部24による推奨経路の探索処理の一例を説明するための図である。
【0068】
図7は、本発明の実施の形態1における複数の経由地の組み合わせ例を示す図である。図7には、ユーザにより選択された4つの経由地A31,経由地B32,経由地C33,経由地D34が示される。経由地A31の案内時刻は、13:00であり、経由地A31の滞在可能時間は、2時間である。経由地B32の案内時刻は、15:00であり、経由地B32の滞在可能時間は、2時間である。経由地C33の案内時刻は、ジャンル別経由地条件テーブル15において未定義であり、経由地C33の滞在可能時間は、3時間である。経由地D34の案内時刻は、ジャンル別経由地条件テーブル15において未定義であり、経由地D34の滞在可能時間は、4時間である。したがって、経由地A31と経由地B32は、案内時刻指定経由地である。経由地C33と経由地D34は、案内時刻否指定経由地である。
【0069】
図8は、本発明の実施の形態1においてユーザが入力した発着条件に基づく旅行時間帯35を示す図である。出発地は自宅であり、出発時刻は9:00である。目的地はホテルであり、到着時刻は17:00である。
【0070】
このような4つの経由地A,B,C,Dおよび発着条件がユーザにより入力されると、推奨経路生成部24は、案内時刻指定経由地である経由地A31および経由地B32を、9:00から17:00までの旅行時間帯35上に載せる(図6のステップS1)。図9は、図7に示す複数の経由地の中の案内時刻が指定されている経由地A31および経由地B32の滞在時間帯を発着条件に基づく旅行時間帯35上に載せた状態を示す図である。この場合、経由地A31には12:00から14:00まで滞在し、且つ、経由地B32には14:00から16:00まで滞在することになるので、推奨経路生成部24は、2つの案内時刻指定経由地の滞在時間帯同士は重ならないと判断する(図6のステップS2)。
【0071】
ステップS2の判断において、2つの案内時刻指定経由地の滞在時間帯同士が重ならないので、推奨経路生成部24は、残りの2つ経由地、すなわち経由地C33および経由地D34の滞在時間帯を、旅行時間帯35上に載せる(図6のステップS6)。
【0072】
図10は、図7に示すすべての経由地31,32,33,34を、発着条件に基づく旅行時間帯35に載せた状態を示す図である。なお、図10は、経由地間の移動時間を考慮した図とはなっていない。図10の場合、経由地D34の滞在時間帯と経由地A31の滞在時間帯とが重なっている。また、経由地B32の滞在時間帯と経由地C33の滞在時間帯とが重なっている。
【0073】
図10の状態である場合には、図6のステップS7において複数の経由地の滞在時間帯同士が重なっていると判断されるので、推奨経路生成部24は、まず、すべての経由地31,32,33,34の滞在時間帯を所定の一定割合で減らす処理を行う(図6のステップS8)。
【0074】
図11は、図10に示す状態の後に、すべての経由地31,32,33,34の滞在時間を減らした状態を示す図である。図11では、4つの経由地31,32,33,34の滞在時間を4分の3に減らしている。ただし、減少後の滞在時間は、0.5時間未満の端数を切り捨てた値(0.5の整数倍)とされる。図11の場合、この処理によって、経由地D34の滞在時間帯と経由地A31の滞在時間帯とは、重ならなくなる。ただし、経由地B32の滞在時間帯と経由地C33の滞在時間帯とは重なったままである。
【0075】
その後、推奨経路生成部24は、図6のステップS7において、再度、複数の経由地の滞在時間帯同士が重なっているか否かの判定を行う。そして、経由地B32の滞在時間帯と経由地C33の滞在時間帯とが重なったままであるので、推奨経路生成部24は、再び、経由地の滞在時間を減らす処理を行う(図6のステップS8)。
【0076】
この場合、前回の滞在時間の減算処理によって、経由地D34の滞在時間帯と経由地A31の滞在時間帯とが重ならなくなっているので、推奨経路生成部24は、経由地B32の滞在時間および経由地C33の滞在時間のみを減らす。
【0077】
図12は、図11に示す状態の後に、経由地B32および経由地C33の滞在時間を減らした状態を示す図である。図12では、経由地B32の滞在時間および経由地C33の滞在時間を減らしている。図12の場合、この処理によって、経由地B32の滞在時間帯と経由地C33の滞在時間帯とが重ならなくなる。
【0078】
そして、推奨経路生成部24は、すべての経由地31,32,33,34の滞在時間同士が重なっていないので、再度、ステップS9およびステップS7の判断を繰り返し、生成した経路を推奨経路とする。
【0079】
なお、上述の説明では、出発地、経由地および目的地のうちの2地点間の移動時間帯を考慮していないが、地点間の移動時間帯については、上述の案内時間否指定経由地の滞在時間帯と同様にして旅行時間帯に載せるようにすればよい。ただし、経由地の滞在時間を短縮する場合には、地点間の移動時間は、予め計算などで得られたものであり、短縮できないので、経由地の滞在時間のみが短縮される。
【0080】
たとえば、経由地Aの案内時刻が13:00であり、経由地Aの滞在可能時間が2時間であり、経由地Bの案内時刻が15:00であり、経由地Bの滞在可能時間が2時間であり、経由地Cの滞在可能時間が1.5時間であり、経由地Dの滞在可能時間が1時間である場合において、経路パターンが経由地D−経由地A−経由地B−経由地Cであり、かつ、出発地−経由地D間の移動時間が1時間であり、経由地D−経由地A間の移動時間が1.5時間であり、経由地A−経由地B間の移動時間が1時間であり、経由地B−経由地C間の移動時間が0.5時間であり、経由地C−目的地間の移動時間が0.5時間であるときについて説明する。図13は、実施の形態1における案内スケジュールの計算の一例を示す図である。
【0081】
まず、図13(A)に示すように、推奨経路生成部24は、案内時刻を中心とした滞在時間分の長さで定められる案内時刻指定経由地の経由地A,Bの滞在時間帯を、仮に旅行時間帯に載せる。推奨経路生成部24は、これらの滞在時間帯は重ならないと判断し、経由地A,Bの滞在時間を短縮する処理をせずに次の処理に進む。
【0082】
次に、推奨経路生成部24は、図13(B)に示すように、案内時刻否指定経由地の経由地C,Dの滞在時間帯および各地点間の移動についての移動時間帯を、仮に旅行時間帯に載せる。なお、以下、出発地−経由地D間の移動をM1とし、経由地D−経由地A間の移動をM2とし、経由地A−経由地B間の移動をM3とし、経由地B−経由地C間の移動をM4とし、経由地C−目的地間の移動をM5とする。
【0083】
ここで、推奨経路生成部24は、連続する移動時間帯および案内時刻否指定経由地の滞在時間帯を1つの時間帯にして、仮に旅行時間帯に載せる。この例では、M1とDとM2の時間帯を1つの時間帯N1とし、M4とCとM5の時間帯を1つの時間帯N2とする。
【0084】
推奨経路生成部24は、出発時刻(=9時)と時間帯N1の長さ3.5時間とに基づき、時間帯N1と経由地Aの滞在時間帯NAとが重なると判断し、また、滞在時間帯NAの終了時刻と滞在時間帯NBの開始時刻とに基づき、滞在時間帯NAとM3の移動時間帯とが重なり、また、経由地Bの時間帯NBとM3の移動時間帯とが重なると判断し、滞在時間帯NBの終了時刻と目的地への到達時刻(=17時)とに基づき、滞在時間帯NBと時間帯N2が重なると判断する。
【0085】
そこで、推奨経路生成部24は、経由地A,B,C,Dでの滞在時間を4分の3に短縮する(ただし、0.5時間未満は切り捨てとし、短縮後の滞在時間は0.5時間の整数倍とする)。これにより、経由地Aの滞在時間は1.5時間とされ、経由地Bの滞在時間は1.5時間とされ、経由地Cの滞在時間は1時間とされ、経由地Dの滞在時間は1時間とされる。
【0086】
推奨経路生成部24は、図13(C)に示すように、経由地Aの滞在時間帯NAに案内時刻13:00が含まれる範囲内で経由地Aの滞在時間帯NAをスライドし、経由地Bの滞在時間帯NBに案内時刻15:00が含まれる範囲内で経由地Bの滞在時間帯NBをスライドする。これにより、時間帯N1と滞在時間帯NAとが重ならなくなり、滞在時間帯NAとM3の移動時間帯とが重ならなくなり、経由地Bの時間帯NBとM3の移動時間帯とが重ならなくなる。
【0087】
しかしながら、この状態でも、滞在時間帯NBの終了時刻と目的地への到達時刻と時間帯N2の長さとに基づき、滞在時間帯NBと時間帯N2が重なると判断される。このため、推奨経路生成部24は、図13(D)に示すように、関連する経由地B,Cでの滞在時間を4分の3に短縮する(ただし、0.5時間未満は切り捨てとし、短縮後の滞在時間は0.5時間の整数倍とする)。これにより、経由地Bの滞在時間は1時間とされ、経由地Cの滞在時間は0.5時間とされ、滞在時間帯NBと時間帯N2が重ならなくなる。
【0088】
このようにして、推奨経路生成部24は、地点間の移動時間帯を含めて、経由地での滞在時間帯を決定し、推奨経路保存部25は、これらの経由地に関する経路パターンおよび各時間帯を含む案内スケジュールをその経路パターンでの経由地間の案内経路データとともに、RAM3あるいはハードディスクドライブ4に記憶させる。
【0089】
以上の処理により、案内経路が生成される。中央処理装置2が経路誘導プログラム12を実行すると、車載ナビゲーション装置1には、経路誘導部が実現される。
【0090】
経路誘導部は、GPS受信機9から出力される現在の緯度経度の値を周期的に読み取る。そして、経路誘導部は、読み取った現在の緯度経度の値に基づいて、現在位置を含む所定のエリアの画像データを地図データ18から読み込み、この所定のエリアの画像データに現在位置のマークを重ねた画像データを液晶モニタ5へ出力する。液晶モニタ5には、現在位置のマークとその周辺の地図とが表示される。
【0091】
また、経路誘導部は、その表示エリア内となる案内経路が存在する場合には、その表示エリア内の部位を画像データに重ねる。これにより、液晶モニタ5には現在位置とともに案内経路が表示され、ユーザは、地図上で現在位置および案内経路を把握することができる。
【0092】
車両が移動すると、その移動に応じてGPS受信機9から出力される現在の緯度経度の値も変化する。経路誘導部は、現在位置のマークが液晶モニタ5に表示されつづけるように、上述の案内スケジュールおよび推奨経路のデータに基づいて、地図データ18から読み込むエリアを切り替える。また、経路誘導部は、この切り替えたエリア内の案内経路を液晶モニタ5に表示させる。
【0093】
したがって、ユーザは、現在位置のマークが案内経路上を移動するように車両を移動させることで、出発地から各経由地を経由して目的地まで到達する。なお、上述の例では、ユーザは、出発地の自宅から経由地D、経由地A、経由地Bおよび経由地Cをその順番に経由して目的地のホテルまで移動することができる。
【0094】
以上のように、この実施の形態1に係る車載ナビゲーション装置1では、ユーザが指定した発着条件の下で各経由地での滞在時間を最大限に確保した案内経路を生成し、この案内経路でユーザを誘導することができる。したがって、ユーザは、各経由地にできる限り長く滞在することができ、経由地での観光や食事などを満喫して一日を過ごすことができる。
【0095】
なお、この実施の形態1では、ジャンル別経由地条件テーブル15では、各経由地での滞在可能時間が各経由地での最長の滞在時間として設定され、推奨経路生成部24は、複数の経由地での滞在時間帯や経由地間の移動時間帯が重なったら経由地の滞在時間を減らしている。この他にもたとえば、ジャンル別経由地条件テーブル15に各経由地での最短の滞在時間を別途設定し、推奨経路生成部24は、各経由地での滞在時間がこの最短の滞在時間を下回らないように経由地の滞在時間を減らすようにしてもよい。これにより、各経由地での滞在時間が極端に短くなってしまうことを防止することができる。
【0096】
更に他にもたとえば、ジャンル別経由地条件テーブル15に各経由地での最短の滞在時間のみを設定し、推奨経路生成部24は、複数の経由地を経由しても余る空き時間を、少なくとも1つの経由地の滞在時間に加算するようにしてもよい。これにより、多くの経由地を回る案内経路を簡単な処理にて生成することができる。
【0097】
更に他にもたとえば、ジャンル別経由地条件テーブル15などに経由地の滞在時間を固定要否するフラグを設定し、推奨経路生成部24は、固定不要のフラグがついている経由地の滞在時間のみを調整するようにしてもよい。
【0098】
この実施の形態1では、ジャンル別経由地条件テーブル15において各経由地について1つの案内時刻が設定されている。この他にもたとえば、ジャンル別経由地条件テーブル15などにおいて各経由地について複数の案内時刻を設定できるようにしてもよい。これにより、案内時刻が指定されている経由地の案内時刻に自由度を持たせることができる。
【0099】
この実施の形態1では、推奨経路生成部24は、各経由地を仮に旅行時間帯に載せる場合に、案内時刻が滞在可能時間の真中の時刻となるようにしている。この他にもたとえば、推奨経路生成部24は、案内時刻から滞在が開始されるように、案内時刻が滞在可能時間の滞在開始時刻となるようにしてもよい。また、ジャンル別経由地条件テーブル15などにおいて案内時刻の替わりに各経由地の出発時刻を設定し、推奨経路生成部24は、この出発時刻に経由地から出発するように、出発時刻が滞在可能時間の滞在終了時刻となるようにしてもよい。
【0100】
この実施の形態1では、案内時刻および滞在可能時間は、ジャンル別経由地条件テーブル15においてジャンル毎に1組ずつ設定されている。この他にもたとえば、案内時刻および滞在可能時間は、運転手毎に1組ずつ設定されていても、乗員構成毎に1組ずつ設定されていても、季節毎に1組ずつ設定されていても、年齢毎に1組ずつ設定されていてもよい。また、それらの組み合わせ毎に1組ずつ設定されていてもよい。また、ジャンル別経由地条件テーブル15の案内時刻および滞在可能時間を、ユーザが更新できるようにしてもよい。
【0101】
この実施の形態1では、各経由地での案内時刻および滞在可能時間は、ジャンル別経由地条件テーブル15においてジャンル毎に設定されている。この他にもたとえば、経由候補地探索データ13などにおいて、経由地毎に案内時刻および滞在可能時間が設定されていてもよい。これにより、ジャンル単位ではなく、経由候補地単位で個別に案内時刻および滞在可能時間を設定することができる。また、ユーザが経由地毎に案内時刻および滞在可能時間を入力するようにしてもよい。
【0102】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る車載ナビゲーション装置1のハードウェア構成、ハードディスクドライブ4の記憶内容は、実施の形態1に係る車載ナビゲーション装置1と同様である。ただし、案内経路生成プログラム11の一部が変更されている。したがって、これらの構成については、実施の形態1と同じ符号を使用し、その説明を省略する。
【0103】
次に、以上のような構成を有する実施の形態2に係る車載ナビゲーション装置1の動作を説明する。
【0104】
中央処理装置2が案内経路生成プログラム11を実行すると、車載ナビゲーション装置1には、案内経路を生成するための各種の機能ブロックが実現される。
【0105】
図14は、本発明の実施の形態2に係る車載ナビゲーション装置1に実現される案内経路生成のための機能ブロックを示すブロック図である。中央処理装置2が案内経路生成プログラム11を実行することで、車載ナビゲーション装置1には、経由候補地登録部21と、経由地選択部22と、発着条件設定部23と、推奨経路生成部24と、経路修正部41と、推奨経路保存部25とが実現される。
【0106】
経由候補地登録部21は、経由候補地登録データ14を更新する。経由地選択部22は、経由候補地探索データ13および経由候補地登録データ14に基づいて、ユーザにより選択された複数の経由候補地を、複数の経由地としてRAM3あるいはハードディスクドライブ4に記憶させる。
【0107】
発着条件設定部23は、ユーザにより入力された出発地の地点および出発時刻、並びに、目的地の地点および到達時刻を発着条件としてRAM3あるいはハードディスクドライブ4に記憶させる。
【0108】
推奨経路生成部24は、ユーザにより選択された経由地を経由して、ユーザが入力した出発地から目的地に至る推奨経路を探索する。
【0109】
経路修正部41は、まず、推奨経路生成部24が生成した推奨経路を表示手段としての液晶モニタ5に表示させる。そして、ユーザがこの液晶モニタ5の画面に応じてタッチパネル8を操作すると、変更手段としての経路修正部41は、推奨経路生成部24が生成した推奨経路を、その操作に応じた経路へ更新する。また、推奨経路保存部25は、経路修正部41によって更新された推奨経路と、その推奨経路での経由地間の実際の案内経路とを、表示手段としての液晶モニタ5に表示させるとともに、RAM3あるいはハードディスクドライブ4に記憶させる。なお、この推奨経路に基づく経路誘導部の案内動作は、実施の形態1の経路誘導部の案内動作と同じであり、その説明を省略する。
【0110】
図15は、推奨経路生成部24が生成した推奨経路(経由パターン)を表示する表示画面の一例を示す画面説明図である。この推奨経路生成部24が生成した推奨経路では、出発地を9:00に出発した後、9:30から1.5時間、公園(第一経由地)に滞在し、11:50から1.5時間、レストラン(第二経由地)で昼食をとり、14:20から2時間、動物園(第三経由地)に滞在し、16:50に目的地に到着する。
【0111】
このような推奨経路が液晶モニタ5に表示されている状態で、ユーザが公園(第一経由地)とレストラン(第二経由地)との間に新たな経由地として喫茶店を追加すると、経路修正部41は、第一経由地を公園、第二経由地を喫茶店、第三経由地をレストラン、第四経由地を動物園とする新たな推奨経路を生成する。また、経路修正部41は、この新たな推奨経路での経由地間の移動時間を計算するとともに、ユーザが入力した発着条件を満たすように各経由地での滞在時間を見直して、新たな推奨経路を生成する。
【0112】
図16は、推奨経路生成部24が生成した図15に示す推奨経路に、喫茶店が経由地として追加された場合の、変更された推奨経路(経由パターン)を表示する表示画面の一例を示す画面説明図である。図16の例では、公園とレストランの間に喫茶店が追加されることで、公園での滞在時間が1.5時間から1時間に短縮され、レストランでの滞在時間が1.5時間から1時間に短縮され、動物園への到着時刻が14:20から14:30へ変更されている。
【0113】
また、図16に示す推奨経路が液晶モニタ5に表示されている状態で、ユーザが公園(第一経由地)とレストラン(第二経由地)との間から、喫茶店を削除すると、経路修正部41は、第一経由地を公園、第二経由地をレストラン、第三経由地を動物園とする新たな推奨経路を生成する。この経路は、図15に例示する推奨経路と同じものとなる。
【0114】
また、図16に示す推奨経路が液晶モニタ5に表示されている状態で、ユーザが第二経由地の喫茶店を滝へ変更すると、経路修正部41は、第一経由地を公園、第二経由地を滝、第三経由地をレストラン、第四経由地を動物園とする新たな推奨経路を生成する。
【0115】
図17は、図16に示す推奨経路において喫茶店が滝へ変更された場合の、変更された推奨経路(経由パターン)を表示する表示画面の一例を示す画面説明図である。図17の例では、喫茶店が滝へ変更されることで、レストランでの滞在時間が1時間から50分へ短縮され、動物園への到着時刻が14:30から14:40へ変更されている。
【0116】
以上のように、この実施の形態2に係る車載ナビゲーション装置1では、ユーザが指定した発着条件の下で各経由地での滞在時間を最大限に確保した案内経路を生成し、さらにその案内経路を適宜変更することができる。
【0117】
したがって、ユーザは、単に車載ナビゲーション装置1が探索した案内経路ではなく、自分でカスタマイズした納得のいく案内経路にて誘導されることになる。
【0118】
以上の各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変形、変更が可能である。
【0119】
たとえば、上記各実施の形態において、案内時刻は、その店舗などのジャンルの営業時間の典型値に基づいて設定されるようにしてもよい。また、案内時刻の設定がある場合、案内時刻の後の所定の時間は少なくとも滞在させる拘束条件を設けるようにしてもよい。
【0120】
上記各実施の形態では、案内経路を生成する案内経路探索装置は、それが生成した案内経路で誘導を行う車載ナビゲーション装置1に組み込まれている。この他にもたとえば、案内経路探索装置は、車載ナビゲーション装置とは別体のコンピュータ装置などにおいて実現されてもよい。さらにたとえば、その車載ナビゲーション装置と、それとは別体のコンピュータ装置とは、インターネット、無線通信網などのデータ通信網を介してデータ通信可能に接続されていてもよい。さらにたとえば、車載ナビゲーション装置とは別体のコンピュータ装置は、データ通信網を介して、車載ナビゲーション装置において選択された複数の経由地に関する情報を受信し、且つ、生成した案内経路を車載ナビゲーション装置へ送信するように構成されていてもよい。
【0121】
上記各実施の形態は、車載ナビゲーション装置1を例とするものである。本発明に係る案内経路探索装置、案内経路の探索方法およびナビゲーション装置は、この他にもたとえば、携帯電話端末、小型ノートコンピュータ装置、PDA(Personal Digital Assistants)装置などのポータブル情報装置などに適用することができる。さらに、本発明に係る案内経路探索装置および案内経路の探索方法については、デスクトップコンピュータなどの情報装置などに適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明に係る案内経路探索装置、ナビゲーション装置および案内経路の探索方法は、たとえば、自動車などの車両に搭載する車載ナビゲーション装置、歩行者用ナビゲーション装置、その他のナビゲーション装置などに利用することができる。
【符号の説明】
【0123】
1 車載ナビゲーション装置(ナビゲーション装置)
5 液晶モニタ(表示手段)
9 GPS受信機(現地位置更新手段)
15 ジャンル別経由地条件テーブル(滞在時刻、滞在時間、滞在条件)
22 経由地選択部(経由地指定手段)
24 推奨経路生成部(選択手段、仮決定手段、判定手段、調整手段)
41 経路修正部(変更手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地に到達するまでに案内する複数の経由地を指定する経由地指定手段と、
事前に設定された目的地への到達時刻までに上記複数の経由地を経由し、かつ、上記経由地に対して事前に設定された最大滞在時間以内で上記複数の経由地での滞在時間が最大となる案内スケジュールを選択する選択手段と、
を有することを特徴とする案内経路探索装置。
【請求項2】
目的地に到達するまでに案内する複数の経由地を指定する経由地指定手段と、
複数の経由地の滞在時間帯を、それぞれの経由地について事前に指定される滞在時刻および滞在時間に基づいて決定する仮決定手段と、
上記複数の経由地の滞在時間帯および経由地間の移動時間に基づいてその複数の経由地を経由する案内スケジュールが成立するか否かを判定する判定手段と、
上記判定手段において複数の経由地を経由する案内スケジュールが成立しないと判断された場合に、少なくとも1つの経由地の滞在時間を減らす調整手段と、
を有することを特徴とする案内経路探索装置。
【請求項3】
目的地に到達するまでに案内する複数の経由地を指定する経由地指定手段と、
複数の経由地を回る旅行の出発時刻から目的地への到着時刻までの旅行時間帯の範囲内においてそれぞれの経由地について事前に指定される滞在時間に基づいて、複数の経由地の滞在時間帯を決定する仮決定手段と、
上記複数の経由地の滞在時間帯および経由地間の移動時間に基づいてその複数の経由地を経由する案内スケジュールが成立するか否かを判定する判定手段と、
上記判定手段において複数の経由地を経由する案内スケジュールが成立しないと判断された場合に、少なくとも1つの経由地の滞在時間を減らす調整手段と、
を有することを特徴とする案内経路探索装置。
【請求項4】
目的地に到達するまでに案内する複数の経由地を指定する経由地指定手段と、
複数の経由地を回る旅行の出発時刻から到着時刻までの旅行時間帯の範囲内においてそれぞれの経由地について事前に指定される滞在時間に基づいて、複数の経由地の滞在時間帯を決定する仮決定手段と、
上記旅行時間帯の範囲内において経由地での滞在時間帯と経由地間の移動時間の他に空き時間があるか否かを判定する判定手段と、
上記判定手段において空き時間があると判定された場合に、その空き時間の一部または全部を少なくとも1つの経由地の上記滞在時間に加算する調整手段と、
を有することを特徴とする案内経路探索装置。
【請求項5】
前記調整手段によって調整された複数の経由地の案内スケジュールを表示する表示手段と、
上記表示手段に表示されている上記案内スケジュールを変更するために操作される入力手段と、
上記入力手段での変更操作に応じて上記案内スケジュールを変更し、その変更した案内スケジュールを上記表示手段に表示させる変更手段と、
を有することを特徴とする請求項1から4の中のいずれか1項記載の案内経路探索装置。
【請求項6】
前記それぞれの経由地について事前に指定される前記滞在時刻および/または前記滞在時間は、経由地、経由地の種類、利用者、利用グループ、利用時期、および利用年齢のうちの少なくとも1つに応じて指定されていることを特徴とする請求項2から4の中のいずれか1項記載の案内経路探索装置。
【請求項7】
現在の地点を示す値を繰り返し出力する現地位置更新手段と、
上記現在の地点を示す値の地点を含む地図を、請求項1から6の中のいずれか1項記載の案内経路探索装置にて生成された複数の経由地を含む案内スケジュールに基づく案内経路とともに表示する表示手段と、
を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
目的地に到達するまでに案内する複数の経由地を指定するステップと、
事前に設定された目的地への到達時刻までに上記複数の経由地を経由し、かつ、上記経由地に対して事前に設定された最大滞在時間以内で上記複数の経由地での滞在時間が最大となる案内スケジュールを選択するステップと、
を有することを特徴とする案内経路の探索方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−204111(P2010−204111A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99886(P2010−99886)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【分割の表示】特願2004−39335(P2004−39335)の分割
【原出願日】平成16年2月17日(2004.2.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】