説明

構造本体部材への接合部材の係止構造

【課題】上側殻部材と下側殻部材とで一体の中空殻体を簡単に接続構成するもの。
【解決手段】上側殻部材と下側殻部材とを接続してなる構造本体部材の接続端面に、該上側殻部材と下側殻部材体の両面に亘って嵌合係止される接合部材を設けたことを特徴とする構造本体部材への接合部材の係止構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は上側殻部材と下側殻部材とを接続してなる構造本体部材の接続端面に、該上側殻部材と下側殻部材の両面に亘って嵌合係止される接合部材を設けた構造本体部材への接合部材の係止構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は、構造本体部材への接合部材の係止構造は、例えば、特許文献1、2に見られるように一体的な構造本体部1の端面にマグネット2を内装する収容筒3を取り付け固定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3822062号公報
【特許文献2】特開2003−190663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1、2に例示されるものは、構造本体部1の端面に収容筒3を取付けるのに、収容筒3を覆うように粘着テープなどでその都度取り付けるようにしていたので組み立てが面倒であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記の課題を解決するもので、まず第一に上側殻部材と下側殻部材とを接続してなる構造本体部材の接続端面に、該上側殻部材と下側殻部材に設けた鍔片を挟持して該両部材の両面に亘って嵌合係止される接合部材を設けたことを特徴とする構造本体部材への接合部材の係止構造にしたものである。
第二に、構造本体部材の接続端面に嵌合係止される接合部材の嵌合係止部に一対の弾性係合爪片を左右対称位置に設けたことを特徴とする構造にしたものである。
第三に、該接合部材の外側部に両端が開口された筒体部を設け、構造本体部材の接続端面に嵌合係止した時に筒体部両端の開口部が構造本体部で閉塞される構造にしたものである。
【発明の効果】
【0006】
上記構成により、第一に、上側殻部材と下側殻部材とを接続してなる構造本体部材の接続端面に、該上側殻部材と下側殻部材に設けた鍔片を挟持して該両部材の両面に亘って嵌合係止される接合部材を設けたことにより、組み立てが要領よく簡単にできて、且つ接合部材を組み付けた後の構造が頑丈にできる利点がある。
また、第二に一対の弾性爪片の構成で嵌入組み立てが容易であり、組み立て後の一体構造も不測な分解の恐れもなく安定的に図れる利点がある。また、弾性爪片を左右対称位置に設けたことにより組み立ての方向規制がなくて組み立てが効率化できる。
さらに、第三に、組み立て後には筒体部両端の開口が閉塞されるので、例えば筒体部に円柱形の棒状マグネットを内装して組み立てた場合には、マグネットの内装支持が確実にできる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る構造本体部材に接合部材を組み付けた平面図である。
【図2】本発明の上側殻部材の内側を示す平面図である。
【図3】本発明の上側殻部材の内側を示す斜視図である。
【図4】本発明の下側殻部材の内側を示す平面図である。
【図5】本発明の下側殻部材の内側を示す斜視図である。
【図6】本発明の接合部材を示す斜視図である。
【図7】本発明の接合部材を示す側面図である。
【図8】本発明の接合部材を示す正面図である。
【図9】本発明の構造本体部材に接合部材を組み付けた斜視図であろ。
【図10】本発明の構造本体部材に接合部材を組み付けた平断面図である。
【図11】本発明の構造本体部材に接合部材を組み付けた側断面図である。
【図12】本発明の円柱形の棒状マグネットの斜視図である。
【図13】本発明に係る接合部材の変形例を示す斜視図である。
【図14】本発明に係る接合部材の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る構造本体部材に接合部材を組み付けた平面図であり、符号Aは正三角形状に形成された上側殻部材1と下側殻部材2とを接続してなる構造本体部材であり、該構造本体部材Aの接続端面Xに、該上側殻部材1と下側殻部材2の両面に亘って嵌合係止される横長辺状の接合部材3を設けたものである。そして、これらの上側殻部材1と、下側殻部材2と、接合部材3は、合成樹脂製であり金型を用いて射出成形されるものである。
【0009】
図2、図3は本発明の上側殻部材の内側を示すものであり、上側殻部材1は正三角形状に蟹甲羅状の殻体に形成され、各片の中間に凹陥部1Aを切り欠き状に形成し、該凹陥部1Aの奥部に嵌入許容部1Bを構成し、嵌入許容部1Bの両側に固定状の係止爪1C、1Cと鍔片1D、1Dを設けてあり、これら係止爪1C、1Cと鍔片1D、1Dは嵌入許容部1Bの中央に対して左右対称に設けてあるものである。そして、上側殻部材1の三角片の各頂点部に輪状の接合用的部1Eと係止用突部1Fを設け、上側殻部材1の三角片外周に沿って縁部1Gを設けたものである。
図4、図5は本発明の下側殻部材の内側を示すものであり、下側殻部材2は三角形状に蟹甲羅状の殻体に形成され、各片の中間に凹陥部2Aを切り欠き状に形成し、該凹陥部2Aの奥部に嵌入許容部2Bを構成し、嵌入許容部2Bの両側に固定状の係止爪2C、2Cと鍔片2D、2Dを設けてあり、これら係止爪2C、2Cと鍔片2D、2Dは嵌入許容部2Bの中央に対して左右対称に設けてあるものである。そして、下側殻部材2の三角片の各頂点部に輪状の接合用的部2Eと係止用穴部2Fを設け、下側殻部材2の三角片外周に沿って縁部2Gを設けたものである。
【0010】
図6〜図8は、本発明の接合部材を示すものであり、上側殻部材1と下側殻部材2の凹陥部1A、2Aに陥没可能な接合部材3の本体リブ部3Aの内側部に上側殻部材1と下側殻部材2の嵌入許容部1B、2Bに嵌入される嵌入突部3Bと、該嵌入突部3Bの両側に、上側殻部材1と下側殻部材2の固定状の係止爪1C、1C、2C、2Cに係合する弾性爪片3C、3Cと、上側殻部材1と下側殻部材2の鍔片1D、1D、2D、2Dを摘むように圧着して挟持するスリット溝部3D、3Dが設けてあり、これら弾性爪片3C、3Cとスリット溝部3D、3Dは嵌入突部3Bの中央に対して左右対称に設けてあるものである。そして、本体リブ部3Aの外側部に両端を開口して横方向の通し孔3Eを形成された薄肉状の収容筒部3Fが一体的に設けられている。この薄肉状の収容筒部3Fの肉厚は、本発明においては0.2ミリに構成されていて通し孔3Eに後述する円柱状の棒状マグネット部材4を内装したときに、収容筒部3Fの肉厚の影響で磁石の吸着力が弱まらないようにされている。
【0011】
図9〜図11は、本発明の構造本体部材Aに接合部材3を組み付けた状態を示すものであり、上側殻部材1と下側殻部材2とを、お互いの正三角形が一致するように重ねると上側殻部材1の三角片の各頂点部に形成された輪状の接合用的部1Eと係止用突部1Fと、下側殻部材2の三角片の各頂点部に形成された輪状の接合用的部2Eと係止用穴部2Fとが合致する状態となり、これを更に上側殻部材1と下側殻部材2とが接近するように圧すると、接合的部1E、2Eが合致した状態で係止用突部1が係止用穴部2Fに圧入されて、且つ上側殻部材1と下側殻部材2の外周縁部1G、2Gが接当した状態となって該上側殻部材1と下側殻部材2の両者は圧着接合される。これにより、上側殻部材1と下側殻部材2とが隙間のない状態で一体的に接合されて中空殻体となる構造本体部材Aが構成される。
なお、中空殻体となる構造本体部材Aの中央位置の中空部分が内側に凹んで撓むような感じのある時には上側殻部材1と下側殻部材2のいずれか一方の内側若しくは両方部材の内側に、適宜に円形状のリブや直線上の骨格リブなどを一体的に形成するようにして、上側殻部材1と下側殻部材2を組み合わせた時にこれらのリブで受け止め支持して中空殻体を張りのある状態で頑丈に構成することができるものである。
【0012】
そして、この構造本体部材Aの凹陥部1A、2Aの端面Xに、接合部材3を嵌めるにあたって、鍔片1D、1D、2D、2Dがスリット溝部3D、3Dで摘むように圧着された状態に挟持されて、上側殻部材1と下側殻部材2との離脱方向への広がりを防止して両部材1、2の一体化を促進し、さらに押し込むと弾性爪片3C、3Cが内側に撓みながら固定爪片部1C、1C、2C、2Cを通過すると外側に押し戻されて、これにより弾性爪片3C、3Cが固定爪片1C、1C、2C、2Cに係合して、接合部材3が構造本体部材Aに一体的に接続構成される。
このときに、構造本体部材Aの凹陥部1A、2Aに構成される嵌入許容部1B、2Bの両側に固定状の係止爪1C、1C、2C、2Cと鍔片1D、1D、2D、2Dを設けてあり、これら係止爪1C、1C、2C、2Cと鍔片1D、1D、2D、2Dは嵌入許容部1B、2Bの中央に対して左右対称に設けてあり、構造本体部材Aの嵌入許容部1B、2Bに嵌入される接合部材3の弾性爪片3C、3Cとスリット溝部3D、3Dは嵌入突部3Bの中央に対して左右対称に設けてあるので、接合部材3の組み込みは上下左右にひっくり返しても嵌合状態は常に一定である利点があり、組み立て時に方向性や組み付け姿勢を確認する恐れがない。
このようにして、組み立てが要領よく簡単にできて、且つ接合部材を組み付けた後の構造が頑丈にできるものであり、一対の弾性爪片の構成で嵌入組み立てが容易であり、組み立て後の一体構造も不測な分解の恐れもなく安定的に図れる利点がある。
【0013】
また、接合部材3を組み込む前に、例えば、接合部材3の収納筒部3Fの通し孔3Eに円柱状の棒状マグネット部材4を軸方向回りに回転可能に挿入位置させる時には、接合部材3の収納筒部3Fの通し孔3Eに円柱状の棒状マグネット部材4を挿入位置させた状態で、構造本体部材Aに接続する。これにより棒状マグネット部材4の組み付けが容易にできる。
このときに、接合部材3の外側部に両端が開口された筒体部(収納筒部3Fの通し孔3E)を設けた構成であるが、構造本体部材Aの接続端面Xに接合部材3を嵌合係止した時には収納筒部3F両端の通し孔3Eの開口部が構造本体部の凹陥部1A、2A両側の壁に近接されて閉塞される構造にされているものである。したがって、接合部材3の組み付け後には収納筒部3F両端の通し孔3Eの開口が閉塞されるので、例えば収納筒部3Fに円柱形の棒状マグネット4を内装して組み付けた場合には、マグネット4の抜け出しを阻止して内装支持が確実にできる利点がある。
【0014】
そして、これらの上側殻部材1と下側殻部材2並びに接合部材3は、各々が樹脂製で金型成型されて量産化が可能であり、各々の部品を作成した後で、組み立て時の段階で磁力体である棒状マグネット部材4を挿入して組み立てるので、磁力の弊害が金型に及ぶことがない利点を有するものである。
図13、図14は、接合部材3の変形例3−1を示すもので、上側殻部材1と下側殻部材2の凹陥部1A、2Aに陥没可能な接合部材3−1の本体リブ部3A−1の内側部に上側殻部材1と下側殻部材2の嵌入許容部1B、2Bに嵌入される嵌入突部3B−1と、該嵌入突部3B−1の上側に、上側殻部材1と下側殻部材2の固定状の係止爪に係合する弾性爪片3C−1、3C−1と、該弾性爪片3C−1、3C−1を長手方向の上下に位置して弾性を持つように中間にすり割り溝3C−2を設けてある。そして、上側殻部材1と下側殻部材2の鍔片1D、1D、2D、2Dを摘むように圧着して挟持するスリット溝部3D−1、3D−1が設けられている。そして、本体リブ部3A−1の外側部に両端を開口して横方向の通し孔3E−1を形成された薄肉状の収容筒部3F−1が一体的に設けられている。
もちろんこの形状の弾性爪片3C−1、3C−1に応じて上側殻部材1と下側殻部材2の嵌入許容部1B、2Bの固定状の係止爪は変形構成されるものである。
【実施例】
【0015】
本発明の上側殻部材1と下側殻部材2とは、一辺の長さが5センチに設定された正三角形状の三辺構成のもので製作されているが、これを一辺の長さが5センチに設定された正四角形、正五角形、正六角形、正八角形などの多辺形状に応用できるものであり、これら正多角形の各辺に構成される凹陥部1A、2Aの構成は辺方向長さが2センチ程度にして同一に構成できるものであり、したがって、これら正多角形の各辺への接合部材3の取り付けは辺方向長さが2センチ程度にした同一構成のものが利用できるので、部品製造、部品管理が容易であり、同一規格と対称構成の採用により接合部材3の組み立てが効率的に遂行できる利点があるものであり、量産化コストの低減に寄与できる。
また、正三角形、正四角形、正五角形、正六角形、正八角形などの多角辺形状のものについて、一辺の長さが5センチに設定されたものを説明しているが、これを10センチに設定しても良く、その場合には正多角形の各辺に構成される凹陥部の構成、この凹陥部に接合される接合部材の大きさは多角辺形状の辺長さに応じて順次変化されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明の接続構成は、各種樹脂成形体の殻体接続構成に利用できるものであり、接続部材の収納筒部に磁力体を挿入位置させたときには磁力接続できる教育用の教材や知育部材として利用でき、産業用としては扉の接続、工事現場の仕切り壁の接続として利用でき、スポーツ用としては卓球競技用のフェンス柵部材の接続など各種に利用可能である。また収納筒部に衝撃音を発するような部材を入れた時にはマラカスなどのような音楽用の打撃音発生楽器などとして楽しむこともできるものである。
【符号の説明】
【0017】
A 構造本体部材
1 上側殻部材
2 下側殻部材
3 接合部材
4 棒状マグネット部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側殻部材と下側殻部材とを接続してなる構造本体部材の接続端面に、該上側殻部材と下側殻部材に設けた鍔片を挟持して該両部材の両面に亘って嵌合係止される接合部材を設けたことを特徴とする構造本体部材への接合部材の係止構造。
【請求項2】
構造本体部材の接続端面に嵌合係止される接合部材の嵌合係止部に一対の弾性係合爪片を左右対称位置に設けたことを特徴とする請求項1に記載の構造本体部材への接合部材の係止構造。
【請求項3】
接合部材の外側部に両端が開口された筒体部を設け、構造本体部材の接続端面に嵌合係止した時に筒体部両端の開口部が構造本体部で閉塞される構造にしたことを特徴とする請求項1、2に記載の構造本体部材への接合部材の係止構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−53424(P2012−53424A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211351(P2010−211351)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(307028220)アケボノ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】