構造材、接続構造体及び構造材の接続方法
【課題】 一対のフランジの外側主面からはみ出すようにスプライスプレートをあてがうことなく、高い接続強度をもって構造材どうしを接続することを可能にする。
【解決手段】 H型鋼ないしI型鋼としての構造材100は、本体部をなすウェブ1、フランジ2、3の他に、接続用フランジ11を有している。本体部には、長手方向一端部においてウェブ1の幅方向一端縁の側に切り欠き部9が形成されている。切り欠き部9に面するウェブ1の部分の幅方向端縁に、接続用フランジ11が連続している。接続用フランジ11には、好ましくは、ボルト挿通用の孔6が形成される。同一に構成される構造材100どうしの接続を、接続用フランジ11どうしを重ねて接続することにより、達成することができる。
【解決手段】 H型鋼ないしI型鋼としての構造材100は、本体部をなすウェブ1、フランジ2、3の他に、接続用フランジ11を有している。本体部には、長手方向一端部においてウェブ1の幅方向一端縁の側に切り欠き部9が形成されている。切り欠き部9に面するウェブ1の部分の幅方向端縁に、接続用フランジ11が連続している。接続用フランジ11には、好ましくは、ボルト挿通用の孔6が形成される。同一に構成される構造材100どうしの接続を、接続用フランジ11どうしを重ねて接続することにより、達成することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、H型鋼を一例とするフランジとウェブとを有する構造材、当該構造材を接続してなる接続構造体、及び構造材の接続方法に関し、特に構造材どうしの接続を、ウェブの両端からはみ出す部材を用いることなく達成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
フランジとウェブとを有する構造材の代表例であるH型断面形状を有する鋼材、即ちH型鋼は、建設資材等、様々な分野で多用されている。中でも山留材と称されるH型鋼は、主として仮設工事に使用されるために、山留材メーカは、長さ等の寸法、ボルト本数、ボルト孔開け位置などを規格化した規格品を幾種類も保有し、汎用リース鋼材としてユーザに提供している。かかる山留材の構造は、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
図24は、従来技術による2本の山留材200,201の接続部分を示す斜視図である。2本の山留材200,201は互いに同一に構成されるので、両者の間で同一の部分については同一の符号を付している。山留材200,201の各々は、ウェブ51、フランジ52、53、エンドプレート54、及びリブプレート55を有している。一方向に延在するフランジ52及び53は、同方向に延在するウェブ51の幅方向端縁の一方と他方とにそれぞれ連続しており、それによってH型の断面形状を実現している。H型の断面形状をなすウェブ51及びフランジ52、53は、例えば熱間引き抜きによって一体的に形成される。
【0004】
ウェブ51及びフランジ52、53の長手方向端縁には、エンドプレート54が溶接により連続している。更に、エンドプレート54とウェブ51の端縁近傍とには、リブプレート55が溶接により連続している。リブプレート55は、フランジ52とフランジ53との間の中心にあって、且つこれらフランジ52、53に平行に配置されている。
【0005】
フランジ52、53は、ウェブ51とともにH型断面形状を形成することにより、長手方向の対称軸Qを含む何れの平面に垂直な(ベクトルとしての)曲げモーメントに対しても、曲げ剛性を高める機能を果たしている。曲げ剛性が高められることにより、曲げ変形が低く抑えられるとともに曲げ強度が高められる。エンドプレート54は、2本の山留材200、201どうしを接続するためにボルト60で締結される接続板として機能する。さらにエンドプレート54は、ウェブ51及びフランジ52、53の間の変形を抑制する機能をも果たしている。リブプレート55は、エンドプレート54とウェブ51及びフランジ52、53との間の連結を補強する機能を果たす。さらにリブプレート55は、2本の山留材200、201の間に作用する対称軸Q方向引張り力に対するエンドプレート54の変形抵抗を高める機能をも果たす。
【0006】
2本の山留材200、201のエンドプレート54どうしを突き合わせた状態で、エンドプレート54どうしの締結、スプライスプレート(splice plate;添え継ぎ板)70の締結、及びスプライスプレート71の締結を行うことにより、これらの山留材200及び201は互いに接続される。双方のエンドプレート54には、対応する位置にボルト孔が形成されており、これらのボルト孔にボルト60を挿通しナット締めすることにより、エンドプレート54どうしが締結される。
【0007】
フランジ52及び53にはボルト孔56が形成されており、スプライスプレート70及び71の対応する位置にもボルト孔が形成されている。2本の山留材200、201のフランジ52の上に接続部を覆うようにスプライスプレート70を重ね、各フランジ52とスプライスプレート70とに形成されているボルト孔にボルト73を挿通しナット締めすることにより、各フランジ52とスプライスプレート70とが締結される。同様に、2本の山留材200、201のフランジ53の上に接続部を覆うようにスプライスプレート71を重ね、各フランジ53とスプライスプレート71とに形成されているボルト孔に、ボルト73を挿通しナット締めすることにより、各フランジ53とスプライスプレート71とが締結される。このように山留材200、201は、建設現場等において、現場の必要に応じて適宜接続することが可能なように形成されている。
【0008】
山留材の代表的な用途として、腹起(はらおこし)材、切梁材など、山留め(「土留め(どどめ)」とも称される)を目的とした仮設鋼材としての利用が挙げられる。図25は、山留材200、201を腹起材として利用した例を示す平面図である。山留めを行う場合には、土留め(どどめ)壁151と腹起材との間には、乾式裏込め材90が挿入される。土留め壁151は、掘削により出来上がる土壁150を覆う壁材であり、例えば鋼矢板である。乾式裏込め材90は、例えば特許文献2に開示されるように、土留め壁151が土壁150から受ける側圧を腹起材に伝えるために、それらの間に挿入されるものである。乾式裏込め材90には楔が設けられており、この楔を抜き差しすることにより、乾式裏込め材90の本体の厚さを変えることができる。乾式裏込め材90は、それにより、土留め壁151と腹起材との間に押圧力をもって挿入することができるようになっている。
【0009】
しかしながら、従来の山留材200、201の接続部では、スプライスプレート70、71及びボルト73の頭部が、フランジ52、53の外側にはみ出すこととなる。このため、スプライスプレート70,71が配設される山留材200、201の接続部と土留め壁151との間に乾式裏込め材90を安定して挿入することが困難であるという問題点があった。また、接続部と土留め壁151との間の間隔に比べて、山留材200、201の大半を占める接続部以外の部分と土留め壁151との間の間隔は広くなるので、多くの乾式裏込め材90に余分のスペーサ91を介挿する必要があり、余分のコストと手間とを要するという問題点があった。
【0010】
更に、土留め壁151とスプライスプレート70との間の間隔が狭いために、土留め壁151側にあるスプライスプレート70を締結するためのボルト73の取り付けが容易でなく、しかもインパクトレンチが使用できないために締め付けも容易でないという問題点があった。すなわち、腹起材として使用される山留材200、201を接続するための作業に手間を要するという問題点があった。
【0011】
図26は、山留材200、201を切梁材として利用した例を示す正面図である。切梁材は、腹起材に直交して配設されることにより、自身の長手方向の圧縮力により腹起材を支持する部材である。ビルディングなどの建設現場では、土台部分及び地下部分を形成するために、建設作業の早期において地面が底深く掘削される。掘削された空洞を包囲する四方の側壁に山留めを施すためには、互いに直交する二方向に沿って格子をなすように切梁材が空洞内に配設される。さらに、空洞の底に突き立てられた多数の支持杭に支持されることにより、格子が鉛直方向に幾重にも積み重ねられる。その結果、空洞内にはあたかもビルディングの骨組みであるかのように仮設部材が組み上げられる。
【0012】
格子をなす切梁材が交差する部分では、下部切梁材としての山留材203と上部切梁材としての山留材201とが、L型鋼片80、コ字型の接続部材81及びナット82により締結される。この場合に、山留材200、201の接続部にはスプライスプレート70、71及びボルト73の頭部がフランジ52、53の外側にはみ出しているため、これらのはみ出し部が下部切梁材及びL型鋼片80と干渉しないようにする必要がある。すなわち、上部切梁材と下部切梁材との交差部を外れるように、山留材200、201の接続部の位置を割り付ける必要がある。このように接続部の配置に制限があるため、切梁材を架設する工程が複雑なものとなり、手間を要するという問題点があった。また、空中高く架設される山留材200、201を互いに接続するために、下方に向いたフランジ53にスプライスプレート71を添わせてボルト73で締結するという作業を高所で行うのは容易ではないという問題点があった。
【0013】
山留材の他の用途として、桟橋、構台などの仮設の橋梁を構築することを目的とした仮設鋼材としての利用が挙げられる。しかしながら、図27に例示する根太材160、161としての利用には、山留材200、201は適しないという問題点があった。支柱164の上に受け桁(大引材)163を介して架設される根太材160、161は、受け桁163の断面中央において突き合わせる必要がある。山留材200、201の接続部の強度は、接続部以外の部分の強度に比べて低いため、山留材200、201を仮に根太材として利用する場合にも、それらの接続部を受け桁163の上に配置する必要がある。
【0014】
しかし、支柱164は杭打ち機などにより地盤に打設されるものであるため、支柱164が設置される位置には、設計上の位置からある程度のずれが生じるのが通常である。山留材200、201は寸法が規格化されているので、支柱164の打設位置のずれをも吸収して、その接続部を支柱164の真上に配置することは困難であった。更に、山留材200、201の接続部には、はみ出し部があるため、山留材200、201の接続部を支柱164の真上に配置するのは、そもそも適切ではない。このため、設計寸法よりも定尺の長いH型鋼材の母材を施工現場へ搬入し、打設された支柱164どうしの間隔を実測し、この実測値に合うように施工現場でガス溶断等により母材を切断して根太材160、161として用いるという作業が行われていた。
【0015】
すなわち、根太材160、161を架設する作業に手間を要すると共に、母材の溶断によりスクラップが発生するという問題点があった。もしも、山留材200、201の接続部の強度を、接続部以外の部分の強度から大きくは劣らない程度ないしそれ以上に高めることができれば、接続部の位置を支柱164の真上に制限することなく山留材200、201を根太材160、161として利用することが可能となる。それにより、根太材160、161の架設作業の効率を高めることができると共に、スクラップの発生という問題点も解消することができる。
【0016】
仮設を主目的とした山留材200、201に限らず、ビルディング等の建築物の永久的な鉄骨或いは杭材に利用されるH型鋼においても、接続部にはスプライスプレートが用いられ、ボルト締結又は溶接による接続が行われる。従って、これらの永久部材においても、山留材200、201と同様の問題が存する。
【0017】
また、H型鋼に限らず、T型鋼、L型鋼、その他のウェブとフランジとを有する鋼製の構造材、更には鋼製のものに限らず、一般の金属、プラスチック、木材、ガラス、セラミクスその他を材料とし、ウェブとフランジとを有する構造材においても、同様の問題が存する。
【特許文献1】特開平2−120441号公報(図8及び図11)
【特許文献2】特公昭62−291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、ウェブとフランジとを本体部に有する構造材について、ウェブの幅方向の本体部両端からはみ出す部材を用いることなく、高い接続強度をもって構造材どうしを接続することを可能にする構造材、接続構造体、及び構造材の接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ウェブと当該ウェブに連続するフランジとを本体部として備える構造材であって、当該本体部には、長手方向一端部において前記ウェブの幅方向一端縁の側に切り欠き部が形成されており、前記構造材は、前記フランジを第1フランジとして、前記切り欠き部に面する前記ウェブの幅方向端縁に、前記ウェブに交差するように連続している第2フランジを更に備えているものである。
【0020】
この構成によれば、ウェブと第1フランジとを含む本体部の長手方向一端部において、ウェブの幅方向一端側に切り欠き部が形成されており、切り欠き部に面するウェブの幅方向端縁に、ウェブに交差するように第2フランジが連続している。このため、互いに同一ないし対として構成される一方構造材と他方構造材との接続を、第2フランジどうしを重ねて接続することにより達成することができる。それにより、例えばスプライスプレートのようなウェブの幅方向の本体部両端からはみ出す部材を用いることなく、高い接続強度をもって構造材どうしを接続することができる。
【0021】
なお、「連続」とは、例えば、金属材における一体引き抜きや溶接、プラスチック材やセラミクス材における一体成型や接着、木材における一木切り出しや接着などの代表的な形態のほか、ボルト締め、木ねじ止め等をも含めて、何らかの手段により互いに連続となるように固定された形態を幅広く包含するものである。また、「A部材がB部材の端縁に連続」とは、A部材がB部材の端縁、即ち端面を覆うように連続する形態のほか、A部材がB部材の端縁を挟む一対の主面の一方に連続する形態、及び双方の主面に分離して連続する形態をも包含する。
【0022】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の構造材であって、前記第1フランジが、前記ウェブの幅方向他端側の端縁に連続しているものである。
【0023】
この構成によれば、第1フランジがウェブの幅方向他端側の端縁に連続しているので、汎用性有る構造材について、第1フランジの外側主面からはみ出すようにスプライスプレート等の部材を用いることなく、高い接続強度をもって構造材どうしを接続することができる。
【0024】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の構造材であって、前記本体部が前記長手方向一端部を除く部分において断面H型であるものである。
【0025】
この構成によれば、本体部が長手方向一端部を除く部分において断面H型であるので、最も汎用性の高い構造材について、一対の第1フランジの外側主面からはみ出すようにスプライスプレート等の部材を用いることなく、高い接続強度をもって構造材どうしを接続することができる。
【0026】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の構造材であって、前記本体部が前記長手方向一端部を除く部分において断面I型であるものである。
【0027】
この構成によれば、本体部が長手方向一端部を除く部分において断面I型であるので、汎用性の高い構造材について、一対の第1フランジの外側主面からはみ出すようにスプライスプレート等の部材を用いることなく、高い接続強度をもって構造材どうしを接続することができる。
【0028】
請求項5記載の発明は、請求項2記載の構造材であって、前記本体部が前記長手方向一端部を除く部分において断面C型であるものである。
【0029】
この構成によれば、本体部が長手方向一端部を除く部分において断面C型であるので、汎用性の高い構造材について、一対の第1フランジの外側主面からはみ出すようにスプライスプレート等の部材を用いることなく、高い接続強度をもって構造材どうしを接続することができる。
【0030】
請求項6記載の発明は、請求項2ないし5の何れかに記載の構造材であって、前記第1フランジが、前記切り欠き部に面する前記本体部の長手方向の端縁である長手方向内側端縁が投影された部分において他の部分より厚くなっているものである。
【0031】
この構成によれば、ウェブの幅方向他端側の端縁に連続する第1フランジが、本体部の長手方向内側端縁が投影された部分において、厚くなっているので、接続構造体の曲げモーメントに対する中立軸が、当該部分に接近する方向に移動する。その結果、曲げモーメントに対する接続構造体の強度が高められる。
【0032】
請求項7記載の発明は、請求項2ないし6の何れかに記載の構造材であって、前記切り欠き部に面する前記本体部の長手方向の端縁である長手方向内側端縁と、当該長手方向内側端縁が投影された前記第1フランジの部分との間に設けられた第1板材を更に備え、当該第1板材は、前記第1フランジと前記ウェブと前記第2フランジとに連続しているものである。
【0033】
この構成によれば、本体部の長手方向内側端縁と当該端縁が投影された第1フランジの部分との間に第1板材が設けられ、しかも当該第1板材が第1フランジとウェブと第2フランジとに連続しているので、構造材どうしが接続されたときに、接続構造体の剛性が高められる。それにより、接続断面における曲げモーメント及びねじり外力に対する接続構造体の強度が高められる。
【0034】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7の何れかに記載の構造材であって、前記第2フランジは、前記切り欠き部に面する前記本体部の長手方向の端縁である長手方向内側端縁を超えて延長され且つ前記ウェブに連続する長手方向延長部を有するものである。
【0035】
この構成によれば、第2フランジが長手方向延長部を有するので、構造材どうしが接続されたときに、接続構造体の剛性が高められる。それにより、接続断面における曲げモーメント、ねじり外力及び引張り外力に対する接続構造体の強度が高められる。
【0036】
請求項9記載の発明は、請求項1ないし8の何れかに記載の構造材であって、前記切り欠き部に面する前記本体部の長手方向の端縁である長手方向内側端縁に、前記本体部に交差するように連続し、且つ前記第2フランジに連続する第2板材を更に備えるものである。
【0037】
この構成によれば、本体部に交差し長手方向内側端縁に連続するとともに第2フランジに連続する第2板材が設けられるので、構造材どうしが接続されたときに、接続構造体の剛性が高められる。それにより、接続断面における曲げモーメント及びねじり外力に対する接続構造体の強度が更に高められる。
【0038】
請求項10記載の発明は、請求項1ないし9の何れかに記載の構造材であって、前記切り欠き部に面しない前記本体部の長手方向の端縁である長手方向外側端縁に、前記本体部に交差するように連続し、且つ前記第2フランジに連続する第3板材を更に備えるものである。
【0039】
この構成によれば、本体部に交差し長手方向外側端縁に連続すると共に、第2フランジに連続する第3板材が設けられるので、構造材どうしが接続されたときに、接続構造体の剛性が高められる。それにより、接続断面における曲げモーメント及びねじり外力に対する接続構造体の強度が一層高められる。また、請求項9記載の構成と請求項10記載の構成とを同時に備える構造材については、互いに同一ないし対として構成される一方構造材と他方構造材との接続を、一方の第2板材と他方の第3板材とを重ねて接続するとともに、一方の第3板材と他方の第2板材とを重ねて接続することにより達成することができる。それにより、更に高い接続強度をもって構造材どうしを接続することができる。
【0040】
請求項11記載の発明は、接続構造体であって、第1構造材としての請求項1ないし10の何れかに記載の構造材と、第2構造材としての請求項1ないし10の何れかに記載の構造材と、を備え、前記第1構造材の前記第2フランジと前記第2構造材の前記第2フランジとが重ね合わされて互いに接続されているものである。
【0041】
この構成によれば、1組の本発明の構造材どうしが、第2フランジどうしを重ねて接続することにより接続されている。このため、各構造材のウェブの幅方向の本体部両端からはみ出す部材を用いることなく、高い接続強度をもって構造材どうしが接続された接続構造体が実現する。
【0042】
請求項12記載の発明は、構造材の接続方法であって、第1構造材として、請求項1ないし10の何れかに記載の構造材を準備する工程と、第2構造材として、請求項1ないし10の何れかに記載の構造材を準備する工程と、前記第1構造材の前記第2フランジと前記第2構造材の前記第2フランジとを重ね合わせて互いに接続する工程と、を備えるものである。
【0043】
この構成によれば、1組の本発明の構造材どうしの接続が、接続用フランジどうしを重ねて接続することにより達成される。このため、各構造材のウェブの幅方向の本体部両端からはみ出す部材を要することなく、高い接続強度をもって構造材どうしを接続することができる。
【発明の効果】
【0044】
以上のように本発明によれば、ウェブとフランジとを本体部に有する構造材について、例えばスプライスプレートのようなウェブの幅方向の本体部両端からはみ出す部材を用いることなく、高い接続強度をもって構造材どうしを接続することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。本発明の構造材は、特定の断面形状を有するものに限定されず、且つ特定の材料を有するものにも限定されず、ウェブ及びこれに連続するフランジを有する構造材一般に適用可能であるが、最も応用範囲の広いH型鋼ないしI型鋼として具体化された構造材から説明する。なお、以下の図面において、互いに対応する部分には、同一の形状ではなくとも同一の符号を付すものとする。
【0046】
図1は、本発明の一実施の形態による構造材の長手方向一端部の構成図である。図1(a)は当該構造材の長手方向一端部の斜視図であり、図1(b)は図1(a)のA−A切断線に沿った同断面図である。この構造材100は、H型鋼ないしI型鋼として具体化されており、本体部をなすウェブ1、フランジ2、3の他に、接続用フランジ11を有している。構造材100の長手方向に延在するフランジ2及び3は、同方向に延在するウェブ1の幅方向端縁の一方と他方とにそれぞれ連続しており、それによってH型ないしI型の断面形状を形成している。フランジ2及び3は、本発明の第1フランジの実施の形態に該当し、接続用フランジ11は、本発明の第2フランジの実施の形態に該当する。
【0047】
H型ないしI型の断面形状をなすウェブ1及びフランジ2、3は、例えば熱間引き抜きによって一体的に形成されるものであっても良く、溶接によって互いに連続するように形成されるものであっても良い。溶接は、例えば、フランジ2及び3の内側主面と、ウェブ1の幅方向端縁とが接触する形態で行われると良い。或いは、フランジ2及び3の各々が、2枚のフランジ片に分割され、各フランジ片の外側主面がウェブ1の幅方向端縁と同一平面となるように、これらのフランジ片の外周端縁とウェブ1の一対の主面とが接触する形態で溶接が行われても良い。
【0048】
当分野において、H型鋼は、フランジ2,3の幅に該当する全幅と、フランジ2,3の外側主面間の距離に該当する全高とが、略同一のもの、或いは全幅が全高よりも大きいものを意味する。これに対して、I型鋼は、幅よりも全高が略同一の範囲を超えて大きいものを意味する。従って、図1以下の図において、H型鋼ないしI型鋼として描かれる構造材は、全幅が全高さに比較して略同一ないし大きく設定されると、H型鋼に該当し、全高が全幅に比べて略同一の範囲を超えて大きく設定されると、I型鋼に該当する。有用性の高いH型鋼ないしI型鋼のうち、H型鋼は最も汎用性の高い鋼材である。中でも、全幅と全高が同一に設定されたH型鋼は最も広く利用されている。既に述べた山留材は、全幅と全高が同一のH型鋼の一例に該当する。
【0049】
構造材100の本体部には、長手方向一端部においてウェブ1の幅方向一端縁の側に切り欠き部9が形成されている。より特定的には、本体部の長手方向一端縁から長手方向所定長にわたって、フランジ3からウェブ1の所定深さにわたる部分が切り欠かれており、それによりウェブ1は端部付近において段差を有している。切り欠き部9に面する本体部の長手方向の端縁(即ち端面)を、長手方向内側端縁26と称する。また、切り欠き部9に面しない本体部の長手方向の端縁(即ち端面)を、長手方向外側端縁27と称する。長手方向内側端縁26は、ウェブ1及びフランジ3の切除された部分の長手方向端縁であり、長手方向外側端縁27は、ウェブ1の切除されない部分及びフランジ2の長手方向端縁である。
【0050】
更に、切り欠き部9に面するウェブ1の幅方向端縁に沿って、ウェブ1に交差するように接続用フランジ11が連続している。接続用フランジ11は、フランジ2、3と同一幅に形成され、フランジ2、3と平行に対向するように配設されている。すなわち、フランジ3と接続用フランジ11とは、平行な段差面を形成している。フランジ2の外側主面(図1における底面)を基準とした接続用フランジ11の外側主面の高さ(「段差高」と仮称する)は、フランジ3の外側主面の高さ(上記「全高」に該当する)の1/2倍に設定されている。
【0051】
ウェブ1と接続用フランジ11とは、例えば溶接によって互いに連続するように形成される。溶接は、例えば、接続用フランジ11の内側主面と、切り欠き部9に面するウェブ1の幅方向端縁とが接触する形態で行われると良い。或いは、接続用フランジ11が、2枚のフランジ片に分割され、各フランジ片の外側主面が切り欠き部9に面するウェブ1の幅方向端縁と同一平面となるように、これらのフランジ片の外周端縁とウェブ1の一対の主面とが接触する形態で溶接が行われても良い。
【0052】
接続用フランジ11には、締結用のボルトを挿通するための孔6が形成されている。また同じく、長手方向外側端縁27の付近において、締結用のボルトを挿通するための孔6がウェブ1及びフランジ2に形成されている。更に、長手方向内側端縁26の付近においても、締結用のボルトを挿通するための孔6がウェブ1及びフランジ3に形成されている。なお、後述するようにフランジ2及び3に形成された孔6にはボルトを挿通することなく、構造材100どうしを接続することが可能である。
【0053】
図2は、構造材100どうしを接続してなる接続構造体の正面図である。互いに接続される構造材の一方と他方とを区別するために、便宜上、一方を構造材100とし、他方を構造材101とする。構造材100及び101は、一方の接続用フランジ11の外側主面と他方の接続用フランジ11の外側主面とが互いに当接し、即ち1組の接続用フランジ11どうしが重ね合わされ、一方の長手方向内側端縁26と他方の長手方向外側端縁27とが互いに当接ないし向き合った状態で接続される。図2の例では、1組の接続用フランジ11どうしは溶接により接続されており、長手方向内側端縁26と長手方向外側端縁27との間も溶接により接続されている。これにより、構造材100及び101の接続部の強度を、非接続部の強度と同等ないしそれ以上の強度とすることが可能となる。
【0054】
図3に示すように、溶接に代えてボルト締めにより構造材100及び101を接続することも可能である。図3の例では、互いに重ね合わされる1組の接続用フランジ11が、孔6に挿通されたボルト15により締結されている。また、長手方向内側端縁26と長手方向外側端縁27とが互いに当接ないし向き合った状態で接続される1組のウェブ1が、ウェブ1の一方主面(図3の手前側)及び他方主面(図3の裏側)にそれぞれ接触するように添えられたスプライスプレート17を通じて接続されている。1対のスプライスプレート17は、スプライスプレート17及びウェブ1に形成されている孔6に挿通されたボルト16によりウェブ1に締結されている。それにより、構造材100及び101の接続部の強度を、非接続部の強度に比して、大きく劣らない程度、ないしそれ以上の強度とすることが可能となる。特に、ボルト16として高力ボルト(ハイテンションボルト)を使用することにより、一対のウェブ1と一対のスプライスプレート17とが摩擦により一体化するので、引張り外力等に対する接続部の強度を高めることができる。
【0055】
なお、ボルト16による締結は、例えば図3に例示するように、ボルト16に螺合するナットを用いた締結である。本明細書ではボルト及びナットの組を用いた締結をも、「ボルト締め」或いは「ボルトによる締結」と称している。
【0056】
図3に例示するように、構造材100及び101がボルト16により接続される場合には、図24を参照しつつ従来の山留材の接続方法について説明したように、所定の目的での使用に供された後に接続を解除し、構造材100及び101を再利用に供することも可能となる。図2に例示した溶接による接続、図3に例示したボルト締めによる接続の何れの接続形態を採用する場合であっても、フランジ2及び3の外側主面にスプライスプレートをあてがうことなく、構造材100と構造材101とを接続することが可能となる。即ち、フランジ2及び3の外側主面から外方にはみ出す部材を設けることなく、構造材100及び101を互いに接続することが可能となる。
【0057】
図4に構造材102として例示するように、フランジ2のうち、長手方向内側端縁26に対向する部分、言い換えると長手方向内側端縁26が投影された部分は、他の部分より厚く形成されるのが望ましい。図4の例では、フランジ2を厚くするために、増肉用の板材である増肉板13が例えば溶接によりフランジ2の内側主面に固着されている。フランジ2が長手方向内側端縁26に対向する部分は、構造材100及び101が互いに接続されたときに、長手方向の軸Pに垂直な曲げモーメントMの印加にともなって大きな応力が作用する部分に該当する。この部分において、フランジ2の増肉板13は、接続構造体の接続部の曲げ変形における中立軸をフランジ2の側に引き寄せることにより、接続構造体のウェブ1における強度負担を軽減させることに効率的に寄与する。
【0058】
図5に構造材104として例示するように、長手方向内側端縁26と、当該長手方向内側端縁26が投影されたフランジ2の部分との間に、板材14が設けられるのが望ましい。当該板材14は、本発明の第1板材の実施の形態に該当する。板材14は、例えば溶接により接続用フランジ11、ウェブ1及びフランジ2に連続するように設けられる。また、板材14は、ウェブ1の両主面(図5において手前側の主面と裏側の主面)に連続するように、1対設けられる。板材14は、補強材の一種であるいわゆるスティフナ(Stiffener)として機能するものである。すなわち、構造材100及び101が互いに接続されたときに、板材14によって、切り欠き部9の内縁断面、即ち長手方向内側端縁26におけるねじり剛性を高めることができ、それにより、接続断面における曲げモーメント及びねじり外力に対する接続構造体の強度が効率的に高められる。
【0059】
また、図5に示すように、接続用フランジ11は、長手方向内側端縁26を超えて延長され、しかもウェブ1に連続する長手方向延長部5を有するのが更に望ましい。構造材100及び101が互いに接続されたときに、長手方向延長部5によって接続構造体の接続部付近の応力状態の均質化を図ることができ、それによって接続部の曲げ、ねじり、引張り強度を高めることに効率的に寄与する。
【0060】
更に、図6に構造材105として例示するように、本体部の長手方向内側端縁26に連続するように接続用内側板材4を設け、本体部の長手方向外側端縁27、並びに長手方向外側端縁27と同一面をなす接続用フランジ11の端縁に連続するように接続用外側板材12を設けるのが、更に望ましい。接続用内側板材4は、本発明の第2板材の実施の形態に該当し、接続用外側板材12は、本発明の第3板材の実施の形態に該当する。図6に示すように接続用内側板材4は、接続用フランジ11にも連続する。接続用内側板材4及び接続用外側板材12は、何れもその主面が長手方向の軸Pに直交するように配置される。
【0061】
図6では、接続用内側板材4は、長手方向内側端縁26を覆うようにウェブ1及びフランジ3に連続している。これに対して、板材14と同様に、接続用内側板材4を2枚に分割し、それぞれの主面が長手方向内側端縁26と同一平面となるように、それぞれをウェブ1の両側に配置しても良い。このとき、2枚に分割された接続用内側板材4の外周端縁が、ウェブ1の主面、フランジ3の内側主面、接続用フランジ11又は長手方向延長部5の主面に接して連続する。
【0062】
同様に、接続用外側板材12を2枚に分割し、それぞれの主面が長手方向外側端縁27及び接続用フランジ11の端面と同一平面となるように、それぞれをウェブ1の両側に配置しても良い。このとき、2枚に分割された接続用外側板材12の外周端縁が、ウェブ1の主面、フランジ2の内側主面、接続用フランジ11の主面に接して連続する。
【0063】
接続用板材4及び12は何れも、構造材どうしが接続されたときに、接続構造体の剛性を高めるのに寄与する。それにより、接続断面における曲げモーメント及びねじり外力に対する接続構造体の強度が更に高められる。即ち、接続用板材4及び12は、何れかが単独に設けられた場合であっても、板材14と同様に補強材としての役割を果たす。
【0064】
更に、接続用板材4及び12の双方が設けられる場合には、1組の接続用フランジ11どうしを重ねて接続し、一方の接続用内側板材4と他方の接続用外側板材12とを重ねて接続することにより、1組の構造材105どうしの接続を達成することが可能となる。それにより、更に高い接続強度をもって構造材どうしを接続することができる。一方の接続用内側板材4と他方の接続用外側板材12との接続は、例えば溶接により実現することが可能である。
【0065】
図6に例示するように、接続用内側板材4及び接続用外側板材12の何れにもボルト挿通用の孔6が形成されるのが望ましい。それにより、一方の接続用内側板材4と他方の接続用外側板材12とを、ボルト締めによって接続することが可能となる。
【0066】
図4〜図6を参照しつつ述べた増肉板13、板材14、長手方向延長部5、接続用内側板材4及び接続用外側板材12は、何れも接続構造体の接続部の強度の応力性状を均質化することに寄与する。
【0067】
図7は、同一に構成される構造材106及び107を接続してなる接続構造体の斜視図である。この構造材106及び107は、図1に例示した構造材100を基本としつつ、図4に例示した増肉板13、図5に例示した板材14及び長手方向延長部5、並びに図6に例示した接続用内側板材4及び接続用外側板材12の何れをも備えるものである。図7の例では、構造材106及び107は、接続用フランジ11どうしがボルト15で締結され、一方の接続用内側板材4と他方の接続用外側板材12とが、平面視コ字型の補強材20を介してボルト22により締結される。すなわち、互いに当接する一方の接続用内側板材4と他方の接続用外側板材12とが、補強材20によって挟まれた上で、補強材20に形成されている孔21、接続用内側板材4に形成されている孔6、及び接続用外側板材12に形成されている孔6にボルト22が挿通され、ナット23を締め上げることにより、接続用内側板材4及び接続用外側板材12が締結されている。
【0068】
形状及び材料が適切に設定された補強材20が用いられるならば、接続構造体にとって最も強度が問題となるウェブ1の主面に垂直な曲げモーメントMに対する強度に関して、構造材106及び107の接続部は、構造材106及び107の非接続部以上の強度を発揮することとなる。長手方向の軸Pに沿った引張りの外力に対する接続部の強度を非接続部以上の強度とするためには、1組の接続用フランジ11どうしを締結するボルト15として高力ボルト(ハイテンションボルト)を用いるのが望ましい。
【0069】
図8に例示するように、フランジ2の外側主面(図8における底面)を基準とした接続用フランジ11の外側主面の高さ、すなわち段差高は、フランジ3の外側主面の高さ、すなわち全高の1/2倍以外の値に設定することも可能である。図8(a)に例示する構造材108では、段差高は全高の1/2よりも高く設定されている。これに対して、図8(b)に例示する構造材110では、段差高は全高の1/2よりも低く設定されている。例えば、段差高が全高の2/3倍である構造材108の接続相手として、段差高が全高の1/3倍である構造材110を選択すると、図8(a)及び図8(b)に例示するように、一方のフランジ2の外側主面と他方のフランジ3の外側主面とが同一平面(いわゆる「面一」(つらいち))となる接続構造体が実現する。
【0070】
また、図9に構造材112として例示するように、一般に切り欠き部9によってウェブ1に形成される段差は、複数段からなるものであっても良い。図9の例では、段差が2段であって、切り欠き部9に面するウェブ1の段差を有する幅方向端縁に、接続用フランジ11A及び11Bが設けられている。例えば、各段差高が全高の2/3倍、及び1/3倍である場合には、互いに同一に構成される構造材112及び113どうしを、一方の接続用フランジ11Aと他方の接続用フランジ11Bとが接触する形態で接続することができ、しかも、一方のフランジ2の外側主面と他方のフランジ3の外側主面とを同一平面とすることができる。
【0071】
構造材100〜113は以上に示した構成を有するので、例えば図10に構造材100及び101を用いた例を示すように、根太材としての利用にも適する。構造材100及び101の接続部の位置を支柱164の上方に制限する必要がないので、定尺の構造材100及び101を、切断等の加工を施すことなくそのまま根太材として使用することができる。
【0072】
更に図11に例示するように、構造材100〜113を用いることにより、全高の異なる構造材どうしを容易に接続することが可能となる。図11(a)は、全高が低く段差高が全高の1/2倍である構造材100と、全高が高く段差高も高い構造材108とを接続した接続構造体を例示している。段差高を適切に選択することにより、一方のフランジ2の外側主面と他方のフランジ3の外側主面とを同一平面とすることも可能となる。
【0073】
図11(b)は、図11(a)の接続構造体に対比すべき従来の接続構造体を例示している。図11(b)に例示するように、従来においては、全高の異なるH型鋼(I型鋼であっても良い)170及び171を接続するために、一方のH型鋼170として、全高が長手方向に沿って変化する特殊な構造材が用いられていた。このような接続は、例えば建築、土木構造物の骨組み部材としての鉄骨の梁や柱に用いられている。全高と全幅とが同一に設定されるH型鋼の一例として断面形状が規格化されている山留材では、そもそも図11(b)に例示する形態で、全高の異なるものどうしを接続することすらできなかった。これに対して、図11(a)に例示するように、構造材100〜113を用いる場合には、何ら特殊な構造材を用いることなく全高の異なる構造材を接続することが可能となる。構造材100等を山留材として利用する場合においても、全高の異なる山留材を簡単に接続することが可能となる。
【0074】
図12に例示する構造材114及び115は、何れも断面T字型のT型鋼として具体化されている。構造材114と構造材115とは互いに接続相手となるべき対を構成する。図12(a)は構造材114の長手方向一端部の斜視図であり、図12(b)は図12(a)のB−B切断線に沿った構造材114の断面図であり、図12(c)は、構造材115の長手方向一端部の斜視図である。
【0075】
構造材114は、本体部をなすウェブ1、フランジ3に加えて、接続用フランジ11を有している。構造材114の長手方向に延在するフランジ3は、同方向に延在するウェブ1の幅方向端縁の一方に連続しており、それによってT型の断面形状を形成している。T型の断面形状をなすウェブ1及びフランジ3は、例えば熱間引き抜きによって一体的に形成される。
【0076】
構造材114の本体部には、長手方向一端部においてウェブ1の幅方向一端縁の側に切り欠き部9が形成され、切り欠き部9に面するウェブ1の幅方向端縁に、ウェブ1に交差するように接続用フランジ11が連続している。すなわち構造材114は、構造材100から、あたかもフランジ2を除去した構造をなしている。同様に、構造材115は、構造材101から、あたかもフランジ3を除去した構造をなしている。
【0077】
構造材100〜113と同様に、双方の接続用フランジ11どうしを重ねて接続することにより、構造材114と115との接続を達成することができる。それにより、構造材100〜113の接続と同様に、ウェブ1の幅方向の本体部両端からはみ出す部材を用いることなく、高い接続強度をもって、構造材114と115との接続を達成することができる。
【0078】
一方の長手方向内側端縁26と他方の長手方向外側端縁27とは互いに当接ないし向き合う。従って、一方の長手方向内側端縁26と他方の長手方向外側端縁27とを溶接することによりウェブ1どうしを接続することが可能であり、スプライスプレート17を用いてウェブ1どうしを接続することも可能である。それにより、構造材100〜113の接続と同様に、ウェブ1の幅方向の本体部両端からはみ出す部材を用いることなく、更に高い接続強度をもって、構造材114と115との接続を達成することができる。
【0079】
図13は別の構造材116を例示している。図13(a)は構造材116の長手方向一端部の斜視図であり、図13(b)は図13(a)のC−C切断線に沿った構造材116の断面図である。図13が示すように構造材116は、図12に例示した構造材114を、あたかも長手方向の軸の周りに3方向放射状に配置した構造を有している。すなわち、構造材116は、本体部をなすウェブ1A〜1C及びフランジ3A〜3Cに加えて、接続用フランジ11A〜11Cを有している。これらは互いに一体的に連結している。ウェブ1Bとウェブ1Cとは同一平面上にあり、ウェブ1Aはこれらに直交している。構造材116に対となる構造材は、図12に例示した構造材115を、あたかも長手方向の軸の周りに3方向放射状に配置した構造を有するものとなる(図示略)。
【0080】
構造材100〜115と同様に、双方の接続用フランジ11どうしを重ねて接続することにより、構造材116と対をなす構造材との接続を達成することができる。それにより、構造材100〜115の接続と同様に、ウェブ1の幅方向の本体部両端からはみ出す部材を用いることなく、高い接続強度をもって、構造材116と対をなす構造材との接続を達成することができる。また、一方の長手方向内側端縁26と他方の長手方向外側端縁27とを当接ないし対向させた状態で、構造材116と対をなす構造材との接続を達成することができる。
【0081】
図14に別の構造材118とこれに対となるべき構造材119とを例示する。図14(a)は構造材118の長手方向一端部の斜視図であり、図14(b)は図14(a)のD−D切断線に沿った構造材118の断面図である。また、図14(c)は構造材118と対をなす構造材119の長手方向一端部の斜視図である。図14が示すように、構造材118は、断面形状がT型ではなくL型である点を除いて、図12に示した構造材114と同様の構造を有している。同様に構造材119は、断面形状の相違を除いて、図12に示した構造材115と同様の構造を有している。
【0082】
L型の断面形状をなすウェブ1及びフランジ3は、例えば熱間引き抜きによって一体的に形成されるものであっても良く、溶接によって互いに連続するように形成されるものであっても良い。溶接は、例えば、フランジ3の内側主面と、ウェブ1の幅方向端縁とが接触する形態で行われると良い。或いは、フランジ3の外側主面がウェブ1の幅方向端縁と同一平面となるように、フランジ3の外周端縁とウェブ1の一方主面とが接触する形態で溶接が行われても良い。
【0083】
ウェブ1と接続用フランジ11とは、例えば溶接によって互いに連続するように形成される。溶接は、例えば、接続用フランジ11の内側主面と、切り欠き部9に面するウェブ1の幅方向端縁とが接触する形態で行われると良い。或いは、接続用フランジ11の外側主面が切り欠き部9に面するウェブ1の幅方向端縁と同一平面となるように、接続用フランジ11の外周端縁とウェブ1の一方主面とが接触する形態で溶接が行われても良い。
【0084】
従って、構造材100〜117と同様に、双方の接続用フランジ11どうしを重ねて接続することにより、構造材118と構造材119との接続を達成することができる。それにより、構造材100〜117の接続と同様に、ウェブ1の幅方向の本体部両端からはみ出す部材を用いることなく、高い接続強度をもって、構造材118と構造材119との接続を達成することができる。また、一方の長手方向内側端縁26と他方の長手方向外側端縁27とを当接ないし対向させた状態で、構造材118と構造材119とを接続することができる。
【0085】
図15に別の構造材120とこれに対となるべき構造材121とを例示する。図15(a)は構造材120の長手方向一端部の斜視図であり、図15(b)は図15(a)のE−E切断線に沿った構造材120の断面図である。また、図15(c)は構造材120と対をなす構造材121の長手方向一端部の斜視図である。図15が示すように、構造材120は、断面形状がH型ないしI型ではなくコ字型(或いはC型)である点を除いて、図1に示した構造材100と同様の構造を有している。同様に構造材121は、断面形状の相違を除いて、図1に示した構造材101と同様の構造を有している。
【0086】
従って、構造材100〜119と同様に、双方の接続用フランジ11どうしを重ねて接続することにより、構造材120と構造材121との接続を達成することができる。それにより、構造材100〜119の接続と同様に、ウェブ1の幅方向の本体部両端からはみ出す部材を用いることなく、高い接続強度をもって、構造材120と構造材121との接続を達成することができる。また、一方の長手方向内側端縁26と他方の長手方向外側端縁27とを当接ないし対向させた状態で、構造材120と構造材121とを接続することができる。
【0087】
構造材は、以上に例示したものの他、図16に例示するような様々な断面形状を採り得る。図16(a)に例示する構造材は、ハット(帽子)型の断面形状を有しており、1対のウェブ1A、1B、及びフランジ2A、2B、3を有している。図16(b)に例示する構造材は、オメガ(Ω)型の断面形状を有しており、ウェブ1A〜1C、及びフランジ2A、2B、3を有している。図16(c)に例示する構造材は、Z型の断面形状を有しており、ウェブ1及びフランジ2,3を有している。また、図16(d)に例示する構造材は、略L型の断面形状を有しており、ウェブ1及びフランジ2,3を有している。
【0088】
図16(e)に例示する構造材は、S型の断面形状を有しており、ウェブ1,1A,1B、及びフランジ2,3を有している。図16(f)に例示する構造材は、山形の断面形状を有しており、ウェブ1A、1B、及びフランジ2A、2B、3を有している。図16(g)に例示する構造材は、変形H型ないし変形I型の断面形状を有しており、ウェブ1A、及びフランジ2,3を有している。図16(g)の例では、フランジ2に比べてフランジ3は幅が狭くなっている。
【0089】
図16(h)に例示する構造材は、変形H型ないし変形I型の断面形状を有しており、ウェブ1及びフランジ2,3を有している。図16(h)の例では、ウェブ1は、フランジ2及び3の幅方向中心からずれた位置に設けられている。図16(i)に例示する構造材は、変形T型の断面形状を有しており、ウェブ1及びフランジ3を有している。図16(i)の例では、ウェブ1は、フランジ3の幅方向中心からずれた位置に設けられている。
【0090】
図16(j)に例示する構造材は、台型の断面形状を有しており、1対のウェブ1A及び1B、及びフランジ2,3を有している。図16(j)の例では、フランジ3はフランジ2よりも幅が狭くなっている。図16(k)に例示する構造材は、傾斜H型ないし傾斜I型の断面形状を有しており、ウェブ1及びフランジ2,3を有している。図16(l)に例示する構造材は、図13に示した構造材116の変形であり、1本の断面T型の構造材と2本の傾斜T型の構造材とが、長手方向に沿った軸の周りに放射状に配置された構造を有している。即ち、図16(l)に例示する構造材は、ウェブ1A〜1C、及びフランジ3A〜3Cを有しており、ウェブ1A〜1Cは幅方向端部において互いに連続している。
【0091】
図17に別の構造材122とこれに対となるべき構造材123とを例示する。図17(a)は構造材122の長手方向一端部の斜視図であり、図17(b)は構造材123の長手方向一端部の斜視図である。図17が示すように、構造材122及び123は、図16(f)に示した山形の断面形状を有している。構造材122及び123においても、切り欠き部9に面するウェブ1A及び1Bの幅方向端縁に、接続用フランジ11が連続している。
【0092】
従って、構造材100〜121と同様に、双方の接続用フランジ11どうしを重ねて接続することにより、構造材122と構造材123との接続を達成することができる。それにより、構造材100〜121の接続と同様に、ウェブ1A及び1Bの幅方向の本体部両端、すなわちフランジ2A、2B、3の外側主面からはみ出す部材を用いることなく、高い接続強度をもって、構造材122と構造材123との接続を達成することができる。また、一方の長手方向内側端縁26と他方の長手方向外側端縁27とを当接ないし対向させた状態で、構造材122と構造材123とを接続することができる。
【0093】
図18に別の構造材124とこれに対となるべき構造材125とを例示する。図18(a)は構造材124及び125の長手方向一端部の斜視図であり、図18(b)は図18(a)のF−F切断線に沿った構造材124の断面図である。図18が示すように、構造材124及び125は、矩形の断面形状を有している。構造材124及び125においても、切り欠き部9に面するウェブ1A及び1Bの幅方向端縁に、接続用フランジ11が連続している。
【0094】
従って、構造材100〜123と同様に、双方の接続用フランジ11どうしを重ねて接続することにより、構造材124と構造材125との接続を達成することができる。それにより、構造材100〜123の接続と同様に、ウェブ1A及び1Bの幅方向の本体部両端、すなわちフランジ2、3の外側主面からはみ出す部材を用いることなく、高い接続強度をもって、構造材124と構造材125との接続を達成することができる。また、一方の長手方向内側端縁26と他方の長手方向外側端縁27とを当接ないし対向させた状態で、構造材124と構造材125とを接続することができる。
【0095】
図19に別の構造材126とこれに対となるべき構造材127とを例示する。図19(a)は構造材126及び127の長手方向一端部の斜視図であり、図19(b)は構造材126及び127を接続して成る接続構造体の斜視図である。図19に示すように、構造材126及び127は、接続用フランジ11が、ウェブ1A及び1Bの外側主面の外方に延長されて突出する幅方向延長部31及び32を有する点において、図18に示した構造材124及び125とは異なっている。幅方向延長部31及び32には、好ましくはボルト挿通用の孔6が形成される。構造材126及び127の接続は、図19(b)に示すように、幅方向延長部31及び32を互いに重ね合わせ、ボルト15で締結することにより、取り外し可能に容易に達成することができる。また、ボルト15を用いることなく、溶接により接続を達成する場合においても、幅方向延長部31及び32を容易に溶接することが可能となる。
【0096】
図20に別の構造材128とこれに対となるべき構造材129とを例示する。図20は構造材128及び129を接続して成る接続構造体の正面図である。図20に示すように、構造材128及び129は、接続用フランジ11の主面が、ウェブ1の主面の法線Vの周りに回転することにより、長手方向の軸Pに対して平行ではなく傾斜している点において、図1に示した構造材100及び101とは異なっている。このように、接続用フランジ11の主面は、フランジ2及び3の主面とは必ずしも平行でなくても良い。この場合においても、図20に示すように、接続用フランジ11どうしを重ねて接続し、一方の長手方向内側端縁26と他方の長手方向外側端縁27とを当接ないし向き合わせて、構造材128及び129を接続することが可能である。
【0097】
図21に別の構造材130を例示する。図21は構造材130の長手方向一端部の斜視図である。図21が示すように、構造材130は、接続用フランジ11の幅が、フランジ2及び3の幅よりも狭くなっている点において、図1に示した構造材100及び101とは異なっている。このように、接続用フランジ11の寸法形状は、フランジ2及び3の寸法形状とは必ずしも一致していなくても良い。この場合においても、図2に示したように、接続用フランジ11どうしを重ねて接続し、一方の長手方向内側端縁26と他方の長手方向外側端縁27とを当接ないし向き合わせて、1組の構造材どうしを接続することが可能である。
【0098】
図22に別の構造材132とこれに対となるべき構造材133とを例示する。図22は構造材132及び133を接続して成る接続構造体の正面図である。図22が示すように、構造材132及び133は、長手方向内側端縁26及び27の面が、ウェブ1の主面の法線Vの周りに回転することにより、長手方向の軸Pに対して垂直ではなく傾斜している点において、図1に示した構造材100及び101とは異なっている。このように、長手方向内側端縁26及び27は、長手方向の軸Pとは必ずしも垂直でなくても良い。この場合においても、図22に示すように、接続用フランジ11どうしを重ねて接続し、一方の長手方向内側端縁26と他方の長手方向外側端縁27とを当接ないし向き合わせて、構造材132及び133を接続することが可能である。
【0099】
図23に別の構造材134を例示する。図23は構造材134の長手方向一端部の斜視図である。図23に示すように、接続用フランジ11の主面が、長手方向の軸Pの周りに回転することにより、フランジ2及び3の主面に対して平行ではなく傾斜している点において、図1に示した構造材100及び101とは異なっている。この場合においても、図2に示したように、接続用フランジ11どうしを重ねて接続し、一方の長手方向内側端縁26と他方の長手方向外側端縁27とを当接ないし向き合わせて、1組の構造材どうしを接続することが可能である。
【0100】
図1〜図23を参照しつつ説明した各構造材100〜134は、鋼材を材料とするものとした。これに対し、各構造材100〜134は、鋼材に限らない一般の金属材料、木材、プラスチック、ガラス、セラミクス、繊維強化プラスチック等の複合材料、その他、様々な材料で形成することが可能である。また、ボルト15、16、22による締結が、ナットを用いることなく、孔6等にネジ山を形成しておき、当該ネジ山にボルト15、16、22が螺合することにより達成されても良い。更に、材料が例えばプラスチック或いは木材である場合には、ボルト15、16、22の代わりに、木ねじを用いたり、溶接の代わりに接着剤を用いたりすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の一実施の形態による構造材の構成を示す図である。
【図2】図1の構造材を接続してなる接続構造体の正面図である。
【図3】図1の構造材を接続してなる接続構造体の別の例の正面図である。
【図4】本発明の別の実施の形態による構造材の斜視図である。
【図5】本発明の更に別の実施の形態による構造材の斜視図である。
【図6】本発明の更に別の実施の形態による構造材の斜視図である。
【図7】本発明の更に別の実施の形態による構造材を接続してなる接続構造体の斜視図である。
【図8】本発明の更に別の実施の形態による構造材の正面図である。
【図9】本発明の更に別の実施の形態による構造材の正面図である。
【図10】本発明の各実施の形態による構造材の利点を示す説明図である。
【図11】本発明の各実施の形態による構造材の利点を示す説明図である。
【図12】本発明の更に別の実施の形態による構造材の構成を示す図である。
【図13】本発明の更に別の実施の形態による構造材の構成を示す図である。
【図14】本発明の更に別の実施の形態による構造材の構成を示す図である。
【図15】本発明の更に別の実施の形態による構造材の構成を示す図である。
【図16】本発明の様々な実施の形態による構造材の断面形状を示す断面図である。
【図17】本発明の更に別の実施の形態による構造材の斜視図である。
【図18】本発明の更に別の実施の形態による構造材の構成を示す図である。
【図19】本発明の更に別の実施の形態による構造材の構成を示す図である。
【図20】本発明の更に別の実施の形態による構造材を接続してなる接続構造体の正面図である。
【図21】本発明の更に別の実施の形態による構造材の斜視図である。
【図22】本発明の更に別の実施の形態による構造材を接続してなる接続構造体の正面図である。
【図23】本発明の更に別の実施の形態による構造材の斜視図である。
【図24】従来技術による2本の山留材を接続してなる接続構造体の斜視図である。
【図25】従来技術による山留材を腹起材として利用した例を示す平面図である。
【図26】従来技術による山留材を切梁材として利用した例を示す正面図である。
【図27】従来技術によるH型鋼を根太材として利用した例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0102】
1 ウェブ 2,3 フランジ(第1フランジ)
4 接続用内側板材(第2板材) 5 長手方向延長部
6 孔 9 切り欠き部
11 接続用フランジ(第2フランジ) 12 接続用外側板材(第3板材)
13 増肉板 14 板材(第1板材)
15,16,22 ボルト 17 スプライスプレート
20 補強材 26 長手方向内側端縁
27 長手方向外側端縁 100〜134 構造材
【技術分野】
【0001】
本発明は、H型鋼を一例とするフランジとウェブとを有する構造材、当該構造材を接続してなる接続構造体、及び構造材の接続方法に関し、特に構造材どうしの接続を、ウェブの両端からはみ出す部材を用いることなく達成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
フランジとウェブとを有する構造材の代表例であるH型断面形状を有する鋼材、即ちH型鋼は、建設資材等、様々な分野で多用されている。中でも山留材と称されるH型鋼は、主として仮設工事に使用されるために、山留材メーカは、長さ等の寸法、ボルト本数、ボルト孔開け位置などを規格化した規格品を幾種類も保有し、汎用リース鋼材としてユーザに提供している。かかる山留材の構造は、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
図24は、従来技術による2本の山留材200,201の接続部分を示す斜視図である。2本の山留材200,201は互いに同一に構成されるので、両者の間で同一の部分については同一の符号を付している。山留材200,201の各々は、ウェブ51、フランジ52、53、エンドプレート54、及びリブプレート55を有している。一方向に延在するフランジ52及び53は、同方向に延在するウェブ51の幅方向端縁の一方と他方とにそれぞれ連続しており、それによってH型の断面形状を実現している。H型の断面形状をなすウェブ51及びフランジ52、53は、例えば熱間引き抜きによって一体的に形成される。
【0004】
ウェブ51及びフランジ52、53の長手方向端縁には、エンドプレート54が溶接により連続している。更に、エンドプレート54とウェブ51の端縁近傍とには、リブプレート55が溶接により連続している。リブプレート55は、フランジ52とフランジ53との間の中心にあって、且つこれらフランジ52、53に平行に配置されている。
【0005】
フランジ52、53は、ウェブ51とともにH型断面形状を形成することにより、長手方向の対称軸Qを含む何れの平面に垂直な(ベクトルとしての)曲げモーメントに対しても、曲げ剛性を高める機能を果たしている。曲げ剛性が高められることにより、曲げ変形が低く抑えられるとともに曲げ強度が高められる。エンドプレート54は、2本の山留材200、201どうしを接続するためにボルト60で締結される接続板として機能する。さらにエンドプレート54は、ウェブ51及びフランジ52、53の間の変形を抑制する機能をも果たしている。リブプレート55は、エンドプレート54とウェブ51及びフランジ52、53との間の連結を補強する機能を果たす。さらにリブプレート55は、2本の山留材200、201の間に作用する対称軸Q方向引張り力に対するエンドプレート54の変形抵抗を高める機能をも果たす。
【0006】
2本の山留材200、201のエンドプレート54どうしを突き合わせた状態で、エンドプレート54どうしの締結、スプライスプレート(splice plate;添え継ぎ板)70の締結、及びスプライスプレート71の締結を行うことにより、これらの山留材200及び201は互いに接続される。双方のエンドプレート54には、対応する位置にボルト孔が形成されており、これらのボルト孔にボルト60を挿通しナット締めすることにより、エンドプレート54どうしが締結される。
【0007】
フランジ52及び53にはボルト孔56が形成されており、スプライスプレート70及び71の対応する位置にもボルト孔が形成されている。2本の山留材200、201のフランジ52の上に接続部を覆うようにスプライスプレート70を重ね、各フランジ52とスプライスプレート70とに形成されているボルト孔にボルト73を挿通しナット締めすることにより、各フランジ52とスプライスプレート70とが締結される。同様に、2本の山留材200、201のフランジ53の上に接続部を覆うようにスプライスプレート71を重ね、各フランジ53とスプライスプレート71とに形成されているボルト孔に、ボルト73を挿通しナット締めすることにより、各フランジ53とスプライスプレート71とが締結される。このように山留材200、201は、建設現場等において、現場の必要に応じて適宜接続することが可能なように形成されている。
【0008】
山留材の代表的な用途として、腹起(はらおこし)材、切梁材など、山留め(「土留め(どどめ)」とも称される)を目的とした仮設鋼材としての利用が挙げられる。図25は、山留材200、201を腹起材として利用した例を示す平面図である。山留めを行う場合には、土留め(どどめ)壁151と腹起材との間には、乾式裏込め材90が挿入される。土留め壁151は、掘削により出来上がる土壁150を覆う壁材であり、例えば鋼矢板である。乾式裏込め材90は、例えば特許文献2に開示されるように、土留め壁151が土壁150から受ける側圧を腹起材に伝えるために、それらの間に挿入されるものである。乾式裏込め材90には楔が設けられており、この楔を抜き差しすることにより、乾式裏込め材90の本体の厚さを変えることができる。乾式裏込め材90は、それにより、土留め壁151と腹起材との間に押圧力をもって挿入することができるようになっている。
【0009】
しかしながら、従来の山留材200、201の接続部では、スプライスプレート70、71及びボルト73の頭部が、フランジ52、53の外側にはみ出すこととなる。このため、スプライスプレート70,71が配設される山留材200、201の接続部と土留め壁151との間に乾式裏込め材90を安定して挿入することが困難であるという問題点があった。また、接続部と土留め壁151との間の間隔に比べて、山留材200、201の大半を占める接続部以外の部分と土留め壁151との間の間隔は広くなるので、多くの乾式裏込め材90に余分のスペーサ91を介挿する必要があり、余分のコストと手間とを要するという問題点があった。
【0010】
更に、土留め壁151とスプライスプレート70との間の間隔が狭いために、土留め壁151側にあるスプライスプレート70を締結するためのボルト73の取り付けが容易でなく、しかもインパクトレンチが使用できないために締め付けも容易でないという問題点があった。すなわち、腹起材として使用される山留材200、201を接続するための作業に手間を要するという問題点があった。
【0011】
図26は、山留材200、201を切梁材として利用した例を示す正面図である。切梁材は、腹起材に直交して配設されることにより、自身の長手方向の圧縮力により腹起材を支持する部材である。ビルディングなどの建設現場では、土台部分及び地下部分を形成するために、建設作業の早期において地面が底深く掘削される。掘削された空洞を包囲する四方の側壁に山留めを施すためには、互いに直交する二方向に沿って格子をなすように切梁材が空洞内に配設される。さらに、空洞の底に突き立てられた多数の支持杭に支持されることにより、格子が鉛直方向に幾重にも積み重ねられる。その結果、空洞内にはあたかもビルディングの骨組みであるかのように仮設部材が組み上げられる。
【0012】
格子をなす切梁材が交差する部分では、下部切梁材としての山留材203と上部切梁材としての山留材201とが、L型鋼片80、コ字型の接続部材81及びナット82により締結される。この場合に、山留材200、201の接続部にはスプライスプレート70、71及びボルト73の頭部がフランジ52、53の外側にはみ出しているため、これらのはみ出し部が下部切梁材及びL型鋼片80と干渉しないようにする必要がある。すなわち、上部切梁材と下部切梁材との交差部を外れるように、山留材200、201の接続部の位置を割り付ける必要がある。このように接続部の配置に制限があるため、切梁材を架設する工程が複雑なものとなり、手間を要するという問題点があった。また、空中高く架設される山留材200、201を互いに接続するために、下方に向いたフランジ53にスプライスプレート71を添わせてボルト73で締結するという作業を高所で行うのは容易ではないという問題点があった。
【0013】
山留材の他の用途として、桟橋、構台などの仮設の橋梁を構築することを目的とした仮設鋼材としての利用が挙げられる。しかしながら、図27に例示する根太材160、161としての利用には、山留材200、201は適しないという問題点があった。支柱164の上に受け桁(大引材)163を介して架設される根太材160、161は、受け桁163の断面中央において突き合わせる必要がある。山留材200、201の接続部の強度は、接続部以外の部分の強度に比べて低いため、山留材200、201を仮に根太材として利用する場合にも、それらの接続部を受け桁163の上に配置する必要がある。
【0014】
しかし、支柱164は杭打ち機などにより地盤に打設されるものであるため、支柱164が設置される位置には、設計上の位置からある程度のずれが生じるのが通常である。山留材200、201は寸法が規格化されているので、支柱164の打設位置のずれをも吸収して、その接続部を支柱164の真上に配置することは困難であった。更に、山留材200、201の接続部には、はみ出し部があるため、山留材200、201の接続部を支柱164の真上に配置するのは、そもそも適切ではない。このため、設計寸法よりも定尺の長いH型鋼材の母材を施工現場へ搬入し、打設された支柱164どうしの間隔を実測し、この実測値に合うように施工現場でガス溶断等により母材を切断して根太材160、161として用いるという作業が行われていた。
【0015】
すなわち、根太材160、161を架設する作業に手間を要すると共に、母材の溶断によりスクラップが発生するという問題点があった。もしも、山留材200、201の接続部の強度を、接続部以外の部分の強度から大きくは劣らない程度ないしそれ以上に高めることができれば、接続部の位置を支柱164の真上に制限することなく山留材200、201を根太材160、161として利用することが可能となる。それにより、根太材160、161の架設作業の効率を高めることができると共に、スクラップの発生という問題点も解消することができる。
【0016】
仮設を主目的とした山留材200、201に限らず、ビルディング等の建築物の永久的な鉄骨或いは杭材に利用されるH型鋼においても、接続部にはスプライスプレートが用いられ、ボルト締結又は溶接による接続が行われる。従って、これらの永久部材においても、山留材200、201と同様の問題が存する。
【0017】
また、H型鋼に限らず、T型鋼、L型鋼、その他のウェブとフランジとを有する鋼製の構造材、更には鋼製のものに限らず、一般の金属、プラスチック、木材、ガラス、セラミクスその他を材料とし、ウェブとフランジとを有する構造材においても、同様の問題が存する。
【特許文献1】特開平2−120441号公報(図8及び図11)
【特許文献2】特公昭62−291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、ウェブとフランジとを本体部に有する構造材について、ウェブの幅方向の本体部両端からはみ出す部材を用いることなく、高い接続強度をもって構造材どうしを接続することを可能にする構造材、接続構造体、及び構造材の接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ウェブと当該ウェブに連続するフランジとを本体部として備える構造材であって、当該本体部には、長手方向一端部において前記ウェブの幅方向一端縁の側に切り欠き部が形成されており、前記構造材は、前記フランジを第1フランジとして、前記切り欠き部に面する前記ウェブの幅方向端縁に、前記ウェブに交差するように連続している第2フランジを更に備えているものである。
【0020】
この構成によれば、ウェブと第1フランジとを含む本体部の長手方向一端部において、ウェブの幅方向一端側に切り欠き部が形成されており、切り欠き部に面するウェブの幅方向端縁に、ウェブに交差するように第2フランジが連続している。このため、互いに同一ないし対として構成される一方構造材と他方構造材との接続を、第2フランジどうしを重ねて接続することにより達成することができる。それにより、例えばスプライスプレートのようなウェブの幅方向の本体部両端からはみ出す部材を用いることなく、高い接続強度をもって構造材どうしを接続することができる。
【0021】
なお、「連続」とは、例えば、金属材における一体引き抜きや溶接、プラスチック材やセラミクス材における一体成型や接着、木材における一木切り出しや接着などの代表的な形態のほか、ボルト締め、木ねじ止め等をも含めて、何らかの手段により互いに連続となるように固定された形態を幅広く包含するものである。また、「A部材がB部材の端縁に連続」とは、A部材がB部材の端縁、即ち端面を覆うように連続する形態のほか、A部材がB部材の端縁を挟む一対の主面の一方に連続する形態、及び双方の主面に分離して連続する形態をも包含する。
【0022】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の構造材であって、前記第1フランジが、前記ウェブの幅方向他端側の端縁に連続しているものである。
【0023】
この構成によれば、第1フランジがウェブの幅方向他端側の端縁に連続しているので、汎用性有る構造材について、第1フランジの外側主面からはみ出すようにスプライスプレート等の部材を用いることなく、高い接続強度をもって構造材どうしを接続することができる。
【0024】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の構造材であって、前記本体部が前記長手方向一端部を除く部分において断面H型であるものである。
【0025】
この構成によれば、本体部が長手方向一端部を除く部分において断面H型であるので、最も汎用性の高い構造材について、一対の第1フランジの外側主面からはみ出すようにスプライスプレート等の部材を用いることなく、高い接続強度をもって構造材どうしを接続することができる。
【0026】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の構造材であって、前記本体部が前記長手方向一端部を除く部分において断面I型であるものである。
【0027】
この構成によれば、本体部が長手方向一端部を除く部分において断面I型であるので、汎用性の高い構造材について、一対の第1フランジの外側主面からはみ出すようにスプライスプレート等の部材を用いることなく、高い接続強度をもって構造材どうしを接続することができる。
【0028】
請求項5記載の発明は、請求項2記載の構造材であって、前記本体部が前記長手方向一端部を除く部分において断面C型であるものである。
【0029】
この構成によれば、本体部が長手方向一端部を除く部分において断面C型であるので、汎用性の高い構造材について、一対の第1フランジの外側主面からはみ出すようにスプライスプレート等の部材を用いることなく、高い接続強度をもって構造材どうしを接続することができる。
【0030】
請求項6記載の発明は、請求項2ないし5の何れかに記載の構造材であって、前記第1フランジが、前記切り欠き部に面する前記本体部の長手方向の端縁である長手方向内側端縁が投影された部分において他の部分より厚くなっているものである。
【0031】
この構成によれば、ウェブの幅方向他端側の端縁に連続する第1フランジが、本体部の長手方向内側端縁が投影された部分において、厚くなっているので、接続構造体の曲げモーメントに対する中立軸が、当該部分に接近する方向に移動する。その結果、曲げモーメントに対する接続構造体の強度が高められる。
【0032】
請求項7記載の発明は、請求項2ないし6の何れかに記載の構造材であって、前記切り欠き部に面する前記本体部の長手方向の端縁である長手方向内側端縁と、当該長手方向内側端縁が投影された前記第1フランジの部分との間に設けられた第1板材を更に備え、当該第1板材は、前記第1フランジと前記ウェブと前記第2フランジとに連続しているものである。
【0033】
この構成によれば、本体部の長手方向内側端縁と当該端縁が投影された第1フランジの部分との間に第1板材が設けられ、しかも当該第1板材が第1フランジとウェブと第2フランジとに連続しているので、構造材どうしが接続されたときに、接続構造体の剛性が高められる。それにより、接続断面における曲げモーメント及びねじり外力に対する接続構造体の強度が高められる。
【0034】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7の何れかに記載の構造材であって、前記第2フランジは、前記切り欠き部に面する前記本体部の長手方向の端縁である長手方向内側端縁を超えて延長され且つ前記ウェブに連続する長手方向延長部を有するものである。
【0035】
この構成によれば、第2フランジが長手方向延長部を有するので、構造材どうしが接続されたときに、接続構造体の剛性が高められる。それにより、接続断面における曲げモーメント、ねじり外力及び引張り外力に対する接続構造体の強度が高められる。
【0036】
請求項9記載の発明は、請求項1ないし8の何れかに記載の構造材であって、前記切り欠き部に面する前記本体部の長手方向の端縁である長手方向内側端縁に、前記本体部に交差するように連続し、且つ前記第2フランジに連続する第2板材を更に備えるものである。
【0037】
この構成によれば、本体部に交差し長手方向内側端縁に連続するとともに第2フランジに連続する第2板材が設けられるので、構造材どうしが接続されたときに、接続構造体の剛性が高められる。それにより、接続断面における曲げモーメント及びねじり外力に対する接続構造体の強度が更に高められる。
【0038】
請求項10記載の発明は、請求項1ないし9の何れかに記載の構造材であって、前記切り欠き部に面しない前記本体部の長手方向の端縁である長手方向外側端縁に、前記本体部に交差するように連続し、且つ前記第2フランジに連続する第3板材を更に備えるものである。
【0039】
この構成によれば、本体部に交差し長手方向外側端縁に連続すると共に、第2フランジに連続する第3板材が設けられるので、構造材どうしが接続されたときに、接続構造体の剛性が高められる。それにより、接続断面における曲げモーメント及びねじり外力に対する接続構造体の強度が一層高められる。また、請求項9記載の構成と請求項10記載の構成とを同時に備える構造材については、互いに同一ないし対として構成される一方構造材と他方構造材との接続を、一方の第2板材と他方の第3板材とを重ねて接続するとともに、一方の第3板材と他方の第2板材とを重ねて接続することにより達成することができる。それにより、更に高い接続強度をもって構造材どうしを接続することができる。
【0040】
請求項11記載の発明は、接続構造体であって、第1構造材としての請求項1ないし10の何れかに記載の構造材と、第2構造材としての請求項1ないし10の何れかに記載の構造材と、を備え、前記第1構造材の前記第2フランジと前記第2構造材の前記第2フランジとが重ね合わされて互いに接続されているものである。
【0041】
この構成によれば、1組の本発明の構造材どうしが、第2フランジどうしを重ねて接続することにより接続されている。このため、各構造材のウェブの幅方向の本体部両端からはみ出す部材を用いることなく、高い接続強度をもって構造材どうしが接続された接続構造体が実現する。
【0042】
請求項12記載の発明は、構造材の接続方法であって、第1構造材として、請求項1ないし10の何れかに記載の構造材を準備する工程と、第2構造材として、請求項1ないし10の何れかに記載の構造材を準備する工程と、前記第1構造材の前記第2フランジと前記第2構造材の前記第2フランジとを重ね合わせて互いに接続する工程と、を備えるものである。
【0043】
この構成によれば、1組の本発明の構造材どうしの接続が、接続用フランジどうしを重ねて接続することにより達成される。このため、各構造材のウェブの幅方向の本体部両端からはみ出す部材を要することなく、高い接続強度をもって構造材どうしを接続することができる。
【発明の効果】
【0044】
以上のように本発明によれば、ウェブとフランジとを本体部に有する構造材について、例えばスプライスプレートのようなウェブの幅方向の本体部両端からはみ出す部材を用いることなく、高い接続強度をもって構造材どうしを接続することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。本発明の構造材は、特定の断面形状を有するものに限定されず、且つ特定の材料を有するものにも限定されず、ウェブ及びこれに連続するフランジを有する構造材一般に適用可能であるが、最も応用範囲の広いH型鋼ないしI型鋼として具体化された構造材から説明する。なお、以下の図面において、互いに対応する部分には、同一の形状ではなくとも同一の符号を付すものとする。
【0046】
図1は、本発明の一実施の形態による構造材の長手方向一端部の構成図である。図1(a)は当該構造材の長手方向一端部の斜視図であり、図1(b)は図1(a)のA−A切断線に沿った同断面図である。この構造材100は、H型鋼ないしI型鋼として具体化されており、本体部をなすウェブ1、フランジ2、3の他に、接続用フランジ11を有している。構造材100の長手方向に延在するフランジ2及び3は、同方向に延在するウェブ1の幅方向端縁の一方と他方とにそれぞれ連続しており、それによってH型ないしI型の断面形状を形成している。フランジ2及び3は、本発明の第1フランジの実施の形態に該当し、接続用フランジ11は、本発明の第2フランジの実施の形態に該当する。
【0047】
H型ないしI型の断面形状をなすウェブ1及びフランジ2、3は、例えば熱間引き抜きによって一体的に形成されるものであっても良く、溶接によって互いに連続するように形成されるものであっても良い。溶接は、例えば、フランジ2及び3の内側主面と、ウェブ1の幅方向端縁とが接触する形態で行われると良い。或いは、フランジ2及び3の各々が、2枚のフランジ片に分割され、各フランジ片の外側主面がウェブ1の幅方向端縁と同一平面となるように、これらのフランジ片の外周端縁とウェブ1の一対の主面とが接触する形態で溶接が行われても良い。
【0048】
当分野において、H型鋼は、フランジ2,3の幅に該当する全幅と、フランジ2,3の外側主面間の距離に該当する全高とが、略同一のもの、或いは全幅が全高よりも大きいものを意味する。これに対して、I型鋼は、幅よりも全高が略同一の範囲を超えて大きいものを意味する。従って、図1以下の図において、H型鋼ないしI型鋼として描かれる構造材は、全幅が全高さに比較して略同一ないし大きく設定されると、H型鋼に該当し、全高が全幅に比べて略同一の範囲を超えて大きく設定されると、I型鋼に該当する。有用性の高いH型鋼ないしI型鋼のうち、H型鋼は最も汎用性の高い鋼材である。中でも、全幅と全高が同一に設定されたH型鋼は最も広く利用されている。既に述べた山留材は、全幅と全高が同一のH型鋼の一例に該当する。
【0049】
構造材100の本体部には、長手方向一端部においてウェブ1の幅方向一端縁の側に切り欠き部9が形成されている。より特定的には、本体部の長手方向一端縁から長手方向所定長にわたって、フランジ3からウェブ1の所定深さにわたる部分が切り欠かれており、それによりウェブ1は端部付近において段差を有している。切り欠き部9に面する本体部の長手方向の端縁(即ち端面)を、長手方向内側端縁26と称する。また、切り欠き部9に面しない本体部の長手方向の端縁(即ち端面)を、長手方向外側端縁27と称する。長手方向内側端縁26は、ウェブ1及びフランジ3の切除された部分の長手方向端縁であり、長手方向外側端縁27は、ウェブ1の切除されない部分及びフランジ2の長手方向端縁である。
【0050】
更に、切り欠き部9に面するウェブ1の幅方向端縁に沿って、ウェブ1に交差するように接続用フランジ11が連続している。接続用フランジ11は、フランジ2、3と同一幅に形成され、フランジ2、3と平行に対向するように配設されている。すなわち、フランジ3と接続用フランジ11とは、平行な段差面を形成している。フランジ2の外側主面(図1における底面)を基準とした接続用フランジ11の外側主面の高さ(「段差高」と仮称する)は、フランジ3の外側主面の高さ(上記「全高」に該当する)の1/2倍に設定されている。
【0051】
ウェブ1と接続用フランジ11とは、例えば溶接によって互いに連続するように形成される。溶接は、例えば、接続用フランジ11の内側主面と、切り欠き部9に面するウェブ1の幅方向端縁とが接触する形態で行われると良い。或いは、接続用フランジ11が、2枚のフランジ片に分割され、各フランジ片の外側主面が切り欠き部9に面するウェブ1の幅方向端縁と同一平面となるように、これらのフランジ片の外周端縁とウェブ1の一対の主面とが接触する形態で溶接が行われても良い。
【0052】
接続用フランジ11には、締結用のボルトを挿通するための孔6が形成されている。また同じく、長手方向外側端縁27の付近において、締結用のボルトを挿通するための孔6がウェブ1及びフランジ2に形成されている。更に、長手方向内側端縁26の付近においても、締結用のボルトを挿通するための孔6がウェブ1及びフランジ3に形成されている。なお、後述するようにフランジ2及び3に形成された孔6にはボルトを挿通することなく、構造材100どうしを接続することが可能である。
【0053】
図2は、構造材100どうしを接続してなる接続構造体の正面図である。互いに接続される構造材の一方と他方とを区別するために、便宜上、一方を構造材100とし、他方を構造材101とする。構造材100及び101は、一方の接続用フランジ11の外側主面と他方の接続用フランジ11の外側主面とが互いに当接し、即ち1組の接続用フランジ11どうしが重ね合わされ、一方の長手方向内側端縁26と他方の長手方向外側端縁27とが互いに当接ないし向き合った状態で接続される。図2の例では、1組の接続用フランジ11どうしは溶接により接続されており、長手方向内側端縁26と長手方向外側端縁27との間も溶接により接続されている。これにより、構造材100及び101の接続部の強度を、非接続部の強度と同等ないしそれ以上の強度とすることが可能となる。
【0054】
図3に示すように、溶接に代えてボルト締めにより構造材100及び101を接続することも可能である。図3の例では、互いに重ね合わされる1組の接続用フランジ11が、孔6に挿通されたボルト15により締結されている。また、長手方向内側端縁26と長手方向外側端縁27とが互いに当接ないし向き合った状態で接続される1組のウェブ1が、ウェブ1の一方主面(図3の手前側)及び他方主面(図3の裏側)にそれぞれ接触するように添えられたスプライスプレート17を通じて接続されている。1対のスプライスプレート17は、スプライスプレート17及びウェブ1に形成されている孔6に挿通されたボルト16によりウェブ1に締結されている。それにより、構造材100及び101の接続部の強度を、非接続部の強度に比して、大きく劣らない程度、ないしそれ以上の強度とすることが可能となる。特に、ボルト16として高力ボルト(ハイテンションボルト)を使用することにより、一対のウェブ1と一対のスプライスプレート17とが摩擦により一体化するので、引張り外力等に対する接続部の強度を高めることができる。
【0055】
なお、ボルト16による締結は、例えば図3に例示するように、ボルト16に螺合するナットを用いた締結である。本明細書ではボルト及びナットの組を用いた締結をも、「ボルト締め」或いは「ボルトによる締結」と称している。
【0056】
図3に例示するように、構造材100及び101がボルト16により接続される場合には、図24を参照しつつ従来の山留材の接続方法について説明したように、所定の目的での使用に供された後に接続を解除し、構造材100及び101を再利用に供することも可能となる。図2に例示した溶接による接続、図3に例示したボルト締めによる接続の何れの接続形態を採用する場合であっても、フランジ2及び3の外側主面にスプライスプレートをあてがうことなく、構造材100と構造材101とを接続することが可能となる。即ち、フランジ2及び3の外側主面から外方にはみ出す部材を設けることなく、構造材100及び101を互いに接続することが可能となる。
【0057】
図4に構造材102として例示するように、フランジ2のうち、長手方向内側端縁26に対向する部分、言い換えると長手方向内側端縁26が投影された部分は、他の部分より厚く形成されるのが望ましい。図4の例では、フランジ2を厚くするために、増肉用の板材である増肉板13が例えば溶接によりフランジ2の内側主面に固着されている。フランジ2が長手方向内側端縁26に対向する部分は、構造材100及び101が互いに接続されたときに、長手方向の軸Pに垂直な曲げモーメントMの印加にともなって大きな応力が作用する部分に該当する。この部分において、フランジ2の増肉板13は、接続構造体の接続部の曲げ変形における中立軸をフランジ2の側に引き寄せることにより、接続構造体のウェブ1における強度負担を軽減させることに効率的に寄与する。
【0058】
図5に構造材104として例示するように、長手方向内側端縁26と、当該長手方向内側端縁26が投影されたフランジ2の部分との間に、板材14が設けられるのが望ましい。当該板材14は、本発明の第1板材の実施の形態に該当する。板材14は、例えば溶接により接続用フランジ11、ウェブ1及びフランジ2に連続するように設けられる。また、板材14は、ウェブ1の両主面(図5において手前側の主面と裏側の主面)に連続するように、1対設けられる。板材14は、補強材の一種であるいわゆるスティフナ(Stiffener)として機能するものである。すなわち、構造材100及び101が互いに接続されたときに、板材14によって、切り欠き部9の内縁断面、即ち長手方向内側端縁26におけるねじり剛性を高めることができ、それにより、接続断面における曲げモーメント及びねじり外力に対する接続構造体の強度が効率的に高められる。
【0059】
また、図5に示すように、接続用フランジ11は、長手方向内側端縁26を超えて延長され、しかもウェブ1に連続する長手方向延長部5を有するのが更に望ましい。構造材100及び101が互いに接続されたときに、長手方向延長部5によって接続構造体の接続部付近の応力状態の均質化を図ることができ、それによって接続部の曲げ、ねじり、引張り強度を高めることに効率的に寄与する。
【0060】
更に、図6に構造材105として例示するように、本体部の長手方向内側端縁26に連続するように接続用内側板材4を設け、本体部の長手方向外側端縁27、並びに長手方向外側端縁27と同一面をなす接続用フランジ11の端縁に連続するように接続用外側板材12を設けるのが、更に望ましい。接続用内側板材4は、本発明の第2板材の実施の形態に該当し、接続用外側板材12は、本発明の第3板材の実施の形態に該当する。図6に示すように接続用内側板材4は、接続用フランジ11にも連続する。接続用内側板材4及び接続用外側板材12は、何れもその主面が長手方向の軸Pに直交するように配置される。
【0061】
図6では、接続用内側板材4は、長手方向内側端縁26を覆うようにウェブ1及びフランジ3に連続している。これに対して、板材14と同様に、接続用内側板材4を2枚に分割し、それぞれの主面が長手方向内側端縁26と同一平面となるように、それぞれをウェブ1の両側に配置しても良い。このとき、2枚に分割された接続用内側板材4の外周端縁が、ウェブ1の主面、フランジ3の内側主面、接続用フランジ11又は長手方向延長部5の主面に接して連続する。
【0062】
同様に、接続用外側板材12を2枚に分割し、それぞれの主面が長手方向外側端縁27及び接続用フランジ11の端面と同一平面となるように、それぞれをウェブ1の両側に配置しても良い。このとき、2枚に分割された接続用外側板材12の外周端縁が、ウェブ1の主面、フランジ2の内側主面、接続用フランジ11の主面に接して連続する。
【0063】
接続用板材4及び12は何れも、構造材どうしが接続されたときに、接続構造体の剛性を高めるのに寄与する。それにより、接続断面における曲げモーメント及びねじり外力に対する接続構造体の強度が更に高められる。即ち、接続用板材4及び12は、何れかが単独に設けられた場合であっても、板材14と同様に補強材としての役割を果たす。
【0064】
更に、接続用板材4及び12の双方が設けられる場合には、1組の接続用フランジ11どうしを重ねて接続し、一方の接続用内側板材4と他方の接続用外側板材12とを重ねて接続することにより、1組の構造材105どうしの接続を達成することが可能となる。それにより、更に高い接続強度をもって構造材どうしを接続することができる。一方の接続用内側板材4と他方の接続用外側板材12との接続は、例えば溶接により実現することが可能である。
【0065】
図6に例示するように、接続用内側板材4及び接続用外側板材12の何れにもボルト挿通用の孔6が形成されるのが望ましい。それにより、一方の接続用内側板材4と他方の接続用外側板材12とを、ボルト締めによって接続することが可能となる。
【0066】
図4〜図6を参照しつつ述べた増肉板13、板材14、長手方向延長部5、接続用内側板材4及び接続用外側板材12は、何れも接続構造体の接続部の強度の応力性状を均質化することに寄与する。
【0067】
図7は、同一に構成される構造材106及び107を接続してなる接続構造体の斜視図である。この構造材106及び107は、図1に例示した構造材100を基本としつつ、図4に例示した増肉板13、図5に例示した板材14及び長手方向延長部5、並びに図6に例示した接続用内側板材4及び接続用外側板材12の何れをも備えるものである。図7の例では、構造材106及び107は、接続用フランジ11どうしがボルト15で締結され、一方の接続用内側板材4と他方の接続用外側板材12とが、平面視コ字型の補強材20を介してボルト22により締結される。すなわち、互いに当接する一方の接続用内側板材4と他方の接続用外側板材12とが、補強材20によって挟まれた上で、補強材20に形成されている孔21、接続用内側板材4に形成されている孔6、及び接続用外側板材12に形成されている孔6にボルト22が挿通され、ナット23を締め上げることにより、接続用内側板材4及び接続用外側板材12が締結されている。
【0068】
形状及び材料が適切に設定された補強材20が用いられるならば、接続構造体にとって最も強度が問題となるウェブ1の主面に垂直な曲げモーメントMに対する強度に関して、構造材106及び107の接続部は、構造材106及び107の非接続部以上の強度を発揮することとなる。長手方向の軸Pに沿った引張りの外力に対する接続部の強度を非接続部以上の強度とするためには、1組の接続用フランジ11どうしを締結するボルト15として高力ボルト(ハイテンションボルト)を用いるのが望ましい。
【0069】
図8に例示するように、フランジ2の外側主面(図8における底面)を基準とした接続用フランジ11の外側主面の高さ、すなわち段差高は、フランジ3の外側主面の高さ、すなわち全高の1/2倍以外の値に設定することも可能である。図8(a)に例示する構造材108では、段差高は全高の1/2よりも高く設定されている。これに対して、図8(b)に例示する構造材110では、段差高は全高の1/2よりも低く設定されている。例えば、段差高が全高の2/3倍である構造材108の接続相手として、段差高が全高の1/3倍である構造材110を選択すると、図8(a)及び図8(b)に例示するように、一方のフランジ2の外側主面と他方のフランジ3の外側主面とが同一平面(いわゆる「面一」(つらいち))となる接続構造体が実現する。
【0070】
また、図9に構造材112として例示するように、一般に切り欠き部9によってウェブ1に形成される段差は、複数段からなるものであっても良い。図9の例では、段差が2段であって、切り欠き部9に面するウェブ1の段差を有する幅方向端縁に、接続用フランジ11A及び11Bが設けられている。例えば、各段差高が全高の2/3倍、及び1/3倍である場合には、互いに同一に構成される構造材112及び113どうしを、一方の接続用フランジ11Aと他方の接続用フランジ11Bとが接触する形態で接続することができ、しかも、一方のフランジ2の外側主面と他方のフランジ3の外側主面とを同一平面とすることができる。
【0071】
構造材100〜113は以上に示した構成を有するので、例えば図10に構造材100及び101を用いた例を示すように、根太材としての利用にも適する。構造材100及び101の接続部の位置を支柱164の上方に制限する必要がないので、定尺の構造材100及び101を、切断等の加工を施すことなくそのまま根太材として使用することができる。
【0072】
更に図11に例示するように、構造材100〜113を用いることにより、全高の異なる構造材どうしを容易に接続することが可能となる。図11(a)は、全高が低く段差高が全高の1/2倍である構造材100と、全高が高く段差高も高い構造材108とを接続した接続構造体を例示している。段差高を適切に選択することにより、一方のフランジ2の外側主面と他方のフランジ3の外側主面とを同一平面とすることも可能となる。
【0073】
図11(b)は、図11(a)の接続構造体に対比すべき従来の接続構造体を例示している。図11(b)に例示するように、従来においては、全高の異なるH型鋼(I型鋼であっても良い)170及び171を接続するために、一方のH型鋼170として、全高が長手方向に沿って変化する特殊な構造材が用いられていた。このような接続は、例えば建築、土木構造物の骨組み部材としての鉄骨の梁や柱に用いられている。全高と全幅とが同一に設定されるH型鋼の一例として断面形状が規格化されている山留材では、そもそも図11(b)に例示する形態で、全高の異なるものどうしを接続することすらできなかった。これに対して、図11(a)に例示するように、構造材100〜113を用いる場合には、何ら特殊な構造材を用いることなく全高の異なる構造材を接続することが可能となる。構造材100等を山留材として利用する場合においても、全高の異なる山留材を簡単に接続することが可能となる。
【0074】
図12に例示する構造材114及び115は、何れも断面T字型のT型鋼として具体化されている。構造材114と構造材115とは互いに接続相手となるべき対を構成する。図12(a)は構造材114の長手方向一端部の斜視図であり、図12(b)は図12(a)のB−B切断線に沿った構造材114の断面図であり、図12(c)は、構造材115の長手方向一端部の斜視図である。
【0075】
構造材114は、本体部をなすウェブ1、フランジ3に加えて、接続用フランジ11を有している。構造材114の長手方向に延在するフランジ3は、同方向に延在するウェブ1の幅方向端縁の一方に連続しており、それによってT型の断面形状を形成している。T型の断面形状をなすウェブ1及びフランジ3は、例えば熱間引き抜きによって一体的に形成される。
【0076】
構造材114の本体部には、長手方向一端部においてウェブ1の幅方向一端縁の側に切り欠き部9が形成され、切り欠き部9に面するウェブ1の幅方向端縁に、ウェブ1に交差するように接続用フランジ11が連続している。すなわち構造材114は、構造材100から、あたかもフランジ2を除去した構造をなしている。同様に、構造材115は、構造材101から、あたかもフランジ3を除去した構造をなしている。
【0077】
構造材100〜113と同様に、双方の接続用フランジ11どうしを重ねて接続することにより、構造材114と115との接続を達成することができる。それにより、構造材100〜113の接続と同様に、ウェブ1の幅方向の本体部両端からはみ出す部材を用いることなく、高い接続強度をもって、構造材114と115との接続を達成することができる。
【0078】
一方の長手方向内側端縁26と他方の長手方向外側端縁27とは互いに当接ないし向き合う。従って、一方の長手方向内側端縁26と他方の長手方向外側端縁27とを溶接することによりウェブ1どうしを接続することが可能であり、スプライスプレート17を用いてウェブ1どうしを接続することも可能である。それにより、構造材100〜113の接続と同様に、ウェブ1の幅方向の本体部両端からはみ出す部材を用いることなく、更に高い接続強度をもって、構造材114と115との接続を達成することができる。
【0079】
図13は別の構造材116を例示している。図13(a)は構造材116の長手方向一端部の斜視図であり、図13(b)は図13(a)のC−C切断線に沿った構造材116の断面図である。図13が示すように構造材116は、図12に例示した構造材114を、あたかも長手方向の軸の周りに3方向放射状に配置した構造を有している。すなわち、構造材116は、本体部をなすウェブ1A〜1C及びフランジ3A〜3Cに加えて、接続用フランジ11A〜11Cを有している。これらは互いに一体的に連結している。ウェブ1Bとウェブ1Cとは同一平面上にあり、ウェブ1Aはこれらに直交している。構造材116に対となる構造材は、図12に例示した構造材115を、あたかも長手方向の軸の周りに3方向放射状に配置した構造を有するものとなる(図示略)。
【0080】
構造材100〜115と同様に、双方の接続用フランジ11どうしを重ねて接続することにより、構造材116と対をなす構造材との接続を達成することができる。それにより、構造材100〜115の接続と同様に、ウェブ1の幅方向の本体部両端からはみ出す部材を用いることなく、高い接続強度をもって、構造材116と対をなす構造材との接続を達成することができる。また、一方の長手方向内側端縁26と他方の長手方向外側端縁27とを当接ないし対向させた状態で、構造材116と対をなす構造材との接続を達成することができる。
【0081】
図14に別の構造材118とこれに対となるべき構造材119とを例示する。図14(a)は構造材118の長手方向一端部の斜視図であり、図14(b)は図14(a)のD−D切断線に沿った構造材118の断面図である。また、図14(c)は構造材118と対をなす構造材119の長手方向一端部の斜視図である。図14が示すように、構造材118は、断面形状がT型ではなくL型である点を除いて、図12に示した構造材114と同様の構造を有している。同様に構造材119は、断面形状の相違を除いて、図12に示した構造材115と同様の構造を有している。
【0082】
L型の断面形状をなすウェブ1及びフランジ3は、例えば熱間引き抜きによって一体的に形成されるものであっても良く、溶接によって互いに連続するように形成されるものであっても良い。溶接は、例えば、フランジ3の内側主面と、ウェブ1の幅方向端縁とが接触する形態で行われると良い。或いは、フランジ3の外側主面がウェブ1の幅方向端縁と同一平面となるように、フランジ3の外周端縁とウェブ1の一方主面とが接触する形態で溶接が行われても良い。
【0083】
ウェブ1と接続用フランジ11とは、例えば溶接によって互いに連続するように形成される。溶接は、例えば、接続用フランジ11の内側主面と、切り欠き部9に面するウェブ1の幅方向端縁とが接触する形態で行われると良い。或いは、接続用フランジ11の外側主面が切り欠き部9に面するウェブ1の幅方向端縁と同一平面となるように、接続用フランジ11の外周端縁とウェブ1の一方主面とが接触する形態で溶接が行われても良い。
【0084】
従って、構造材100〜117と同様に、双方の接続用フランジ11どうしを重ねて接続することにより、構造材118と構造材119との接続を達成することができる。それにより、構造材100〜117の接続と同様に、ウェブ1の幅方向の本体部両端からはみ出す部材を用いることなく、高い接続強度をもって、構造材118と構造材119との接続を達成することができる。また、一方の長手方向内側端縁26と他方の長手方向外側端縁27とを当接ないし対向させた状態で、構造材118と構造材119とを接続することができる。
【0085】
図15に別の構造材120とこれに対となるべき構造材121とを例示する。図15(a)は構造材120の長手方向一端部の斜視図であり、図15(b)は図15(a)のE−E切断線に沿った構造材120の断面図である。また、図15(c)は構造材120と対をなす構造材121の長手方向一端部の斜視図である。図15が示すように、構造材120は、断面形状がH型ないしI型ではなくコ字型(或いはC型)である点を除いて、図1に示した構造材100と同様の構造を有している。同様に構造材121は、断面形状の相違を除いて、図1に示した構造材101と同様の構造を有している。
【0086】
従って、構造材100〜119と同様に、双方の接続用フランジ11どうしを重ねて接続することにより、構造材120と構造材121との接続を達成することができる。それにより、構造材100〜119の接続と同様に、ウェブ1の幅方向の本体部両端からはみ出す部材を用いることなく、高い接続強度をもって、構造材120と構造材121との接続を達成することができる。また、一方の長手方向内側端縁26と他方の長手方向外側端縁27とを当接ないし対向させた状態で、構造材120と構造材121とを接続することができる。
【0087】
構造材は、以上に例示したものの他、図16に例示するような様々な断面形状を採り得る。図16(a)に例示する構造材は、ハット(帽子)型の断面形状を有しており、1対のウェブ1A、1B、及びフランジ2A、2B、3を有している。図16(b)に例示する構造材は、オメガ(Ω)型の断面形状を有しており、ウェブ1A〜1C、及びフランジ2A、2B、3を有している。図16(c)に例示する構造材は、Z型の断面形状を有しており、ウェブ1及びフランジ2,3を有している。また、図16(d)に例示する構造材は、略L型の断面形状を有しており、ウェブ1及びフランジ2,3を有している。
【0088】
図16(e)に例示する構造材は、S型の断面形状を有しており、ウェブ1,1A,1B、及びフランジ2,3を有している。図16(f)に例示する構造材は、山形の断面形状を有しており、ウェブ1A、1B、及びフランジ2A、2B、3を有している。図16(g)に例示する構造材は、変形H型ないし変形I型の断面形状を有しており、ウェブ1A、及びフランジ2,3を有している。図16(g)の例では、フランジ2に比べてフランジ3は幅が狭くなっている。
【0089】
図16(h)に例示する構造材は、変形H型ないし変形I型の断面形状を有しており、ウェブ1及びフランジ2,3を有している。図16(h)の例では、ウェブ1は、フランジ2及び3の幅方向中心からずれた位置に設けられている。図16(i)に例示する構造材は、変形T型の断面形状を有しており、ウェブ1及びフランジ3を有している。図16(i)の例では、ウェブ1は、フランジ3の幅方向中心からずれた位置に設けられている。
【0090】
図16(j)に例示する構造材は、台型の断面形状を有しており、1対のウェブ1A及び1B、及びフランジ2,3を有している。図16(j)の例では、フランジ3はフランジ2よりも幅が狭くなっている。図16(k)に例示する構造材は、傾斜H型ないし傾斜I型の断面形状を有しており、ウェブ1及びフランジ2,3を有している。図16(l)に例示する構造材は、図13に示した構造材116の変形であり、1本の断面T型の構造材と2本の傾斜T型の構造材とが、長手方向に沿った軸の周りに放射状に配置された構造を有している。即ち、図16(l)に例示する構造材は、ウェブ1A〜1C、及びフランジ3A〜3Cを有しており、ウェブ1A〜1Cは幅方向端部において互いに連続している。
【0091】
図17に別の構造材122とこれに対となるべき構造材123とを例示する。図17(a)は構造材122の長手方向一端部の斜視図であり、図17(b)は構造材123の長手方向一端部の斜視図である。図17が示すように、構造材122及び123は、図16(f)に示した山形の断面形状を有している。構造材122及び123においても、切り欠き部9に面するウェブ1A及び1Bの幅方向端縁に、接続用フランジ11が連続している。
【0092】
従って、構造材100〜121と同様に、双方の接続用フランジ11どうしを重ねて接続することにより、構造材122と構造材123との接続を達成することができる。それにより、構造材100〜121の接続と同様に、ウェブ1A及び1Bの幅方向の本体部両端、すなわちフランジ2A、2B、3の外側主面からはみ出す部材を用いることなく、高い接続強度をもって、構造材122と構造材123との接続を達成することができる。また、一方の長手方向内側端縁26と他方の長手方向外側端縁27とを当接ないし対向させた状態で、構造材122と構造材123とを接続することができる。
【0093】
図18に別の構造材124とこれに対となるべき構造材125とを例示する。図18(a)は構造材124及び125の長手方向一端部の斜視図であり、図18(b)は図18(a)のF−F切断線に沿った構造材124の断面図である。図18が示すように、構造材124及び125は、矩形の断面形状を有している。構造材124及び125においても、切り欠き部9に面するウェブ1A及び1Bの幅方向端縁に、接続用フランジ11が連続している。
【0094】
従って、構造材100〜123と同様に、双方の接続用フランジ11どうしを重ねて接続することにより、構造材124と構造材125との接続を達成することができる。それにより、構造材100〜123の接続と同様に、ウェブ1A及び1Bの幅方向の本体部両端、すなわちフランジ2、3の外側主面からはみ出す部材を用いることなく、高い接続強度をもって、構造材124と構造材125との接続を達成することができる。また、一方の長手方向内側端縁26と他方の長手方向外側端縁27とを当接ないし対向させた状態で、構造材124と構造材125とを接続することができる。
【0095】
図19に別の構造材126とこれに対となるべき構造材127とを例示する。図19(a)は構造材126及び127の長手方向一端部の斜視図であり、図19(b)は構造材126及び127を接続して成る接続構造体の斜視図である。図19に示すように、構造材126及び127は、接続用フランジ11が、ウェブ1A及び1Bの外側主面の外方に延長されて突出する幅方向延長部31及び32を有する点において、図18に示した構造材124及び125とは異なっている。幅方向延長部31及び32には、好ましくはボルト挿通用の孔6が形成される。構造材126及び127の接続は、図19(b)に示すように、幅方向延長部31及び32を互いに重ね合わせ、ボルト15で締結することにより、取り外し可能に容易に達成することができる。また、ボルト15を用いることなく、溶接により接続を達成する場合においても、幅方向延長部31及び32を容易に溶接することが可能となる。
【0096】
図20に別の構造材128とこれに対となるべき構造材129とを例示する。図20は構造材128及び129を接続して成る接続構造体の正面図である。図20に示すように、構造材128及び129は、接続用フランジ11の主面が、ウェブ1の主面の法線Vの周りに回転することにより、長手方向の軸Pに対して平行ではなく傾斜している点において、図1に示した構造材100及び101とは異なっている。このように、接続用フランジ11の主面は、フランジ2及び3の主面とは必ずしも平行でなくても良い。この場合においても、図20に示すように、接続用フランジ11どうしを重ねて接続し、一方の長手方向内側端縁26と他方の長手方向外側端縁27とを当接ないし向き合わせて、構造材128及び129を接続することが可能である。
【0097】
図21に別の構造材130を例示する。図21は構造材130の長手方向一端部の斜視図である。図21が示すように、構造材130は、接続用フランジ11の幅が、フランジ2及び3の幅よりも狭くなっている点において、図1に示した構造材100及び101とは異なっている。このように、接続用フランジ11の寸法形状は、フランジ2及び3の寸法形状とは必ずしも一致していなくても良い。この場合においても、図2に示したように、接続用フランジ11どうしを重ねて接続し、一方の長手方向内側端縁26と他方の長手方向外側端縁27とを当接ないし向き合わせて、1組の構造材どうしを接続することが可能である。
【0098】
図22に別の構造材132とこれに対となるべき構造材133とを例示する。図22は構造材132及び133を接続して成る接続構造体の正面図である。図22が示すように、構造材132及び133は、長手方向内側端縁26及び27の面が、ウェブ1の主面の法線Vの周りに回転することにより、長手方向の軸Pに対して垂直ではなく傾斜している点において、図1に示した構造材100及び101とは異なっている。このように、長手方向内側端縁26及び27は、長手方向の軸Pとは必ずしも垂直でなくても良い。この場合においても、図22に示すように、接続用フランジ11どうしを重ねて接続し、一方の長手方向内側端縁26と他方の長手方向外側端縁27とを当接ないし向き合わせて、構造材132及び133を接続することが可能である。
【0099】
図23に別の構造材134を例示する。図23は構造材134の長手方向一端部の斜視図である。図23に示すように、接続用フランジ11の主面が、長手方向の軸Pの周りに回転することにより、フランジ2及び3の主面に対して平行ではなく傾斜している点において、図1に示した構造材100及び101とは異なっている。この場合においても、図2に示したように、接続用フランジ11どうしを重ねて接続し、一方の長手方向内側端縁26と他方の長手方向外側端縁27とを当接ないし向き合わせて、1組の構造材どうしを接続することが可能である。
【0100】
図1〜図23を参照しつつ説明した各構造材100〜134は、鋼材を材料とするものとした。これに対し、各構造材100〜134は、鋼材に限らない一般の金属材料、木材、プラスチック、ガラス、セラミクス、繊維強化プラスチック等の複合材料、その他、様々な材料で形成することが可能である。また、ボルト15、16、22による締結が、ナットを用いることなく、孔6等にネジ山を形成しておき、当該ネジ山にボルト15、16、22が螺合することにより達成されても良い。更に、材料が例えばプラスチック或いは木材である場合には、ボルト15、16、22の代わりに、木ねじを用いたり、溶接の代わりに接着剤を用いたりすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の一実施の形態による構造材の構成を示す図である。
【図2】図1の構造材を接続してなる接続構造体の正面図である。
【図3】図1の構造材を接続してなる接続構造体の別の例の正面図である。
【図4】本発明の別の実施の形態による構造材の斜視図である。
【図5】本発明の更に別の実施の形態による構造材の斜視図である。
【図6】本発明の更に別の実施の形態による構造材の斜視図である。
【図7】本発明の更に別の実施の形態による構造材を接続してなる接続構造体の斜視図である。
【図8】本発明の更に別の実施の形態による構造材の正面図である。
【図9】本発明の更に別の実施の形態による構造材の正面図である。
【図10】本発明の各実施の形態による構造材の利点を示す説明図である。
【図11】本発明の各実施の形態による構造材の利点を示す説明図である。
【図12】本発明の更に別の実施の形態による構造材の構成を示す図である。
【図13】本発明の更に別の実施の形態による構造材の構成を示す図である。
【図14】本発明の更に別の実施の形態による構造材の構成を示す図である。
【図15】本発明の更に別の実施の形態による構造材の構成を示す図である。
【図16】本発明の様々な実施の形態による構造材の断面形状を示す断面図である。
【図17】本発明の更に別の実施の形態による構造材の斜視図である。
【図18】本発明の更に別の実施の形態による構造材の構成を示す図である。
【図19】本発明の更に別の実施の形態による構造材の構成を示す図である。
【図20】本発明の更に別の実施の形態による構造材を接続してなる接続構造体の正面図である。
【図21】本発明の更に別の実施の形態による構造材の斜視図である。
【図22】本発明の更に別の実施の形態による構造材を接続してなる接続構造体の正面図である。
【図23】本発明の更に別の実施の形態による構造材の斜視図である。
【図24】従来技術による2本の山留材を接続してなる接続構造体の斜視図である。
【図25】従来技術による山留材を腹起材として利用した例を示す平面図である。
【図26】従来技術による山留材を切梁材として利用した例を示す正面図である。
【図27】従来技術によるH型鋼を根太材として利用した例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0102】
1 ウェブ 2,3 フランジ(第1フランジ)
4 接続用内側板材(第2板材) 5 長手方向延長部
6 孔 9 切り欠き部
11 接続用フランジ(第2フランジ) 12 接続用外側板材(第3板材)
13 増肉板 14 板材(第1板材)
15,16,22 ボルト 17 スプライスプレート
20 補強材 26 長手方向内側端縁
27 長手方向外側端縁 100〜134 構造材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブと当該ウェブに連続するフランジとを本体部として備える構造材であって、
当該本体部には、長手方向一端部において前記ウェブの幅方向一端縁の側に切り欠き部が形成されており、
前記構造材は、前記フランジを第1フランジとして、前記切り欠き部に面する前記ウェブの幅方向端縁に、前記ウェブに交差するように連続している第2フランジを更に備える構造材。
【請求項2】
前記第1フランジは、前記ウェブの幅方向他端側の端縁に連続している請求項1記載の構造材。
【請求項3】
前記本体部が前記長手方向一端部を除く部分において断面H型である請求項2記載の構造材。
【請求項4】
前記本体部が前記長手方向一端部を除く部分において断面I型である請求項2記載の構造材。
【請求項5】
前記本体部が前記長手方向一端部を除く部分において断面C型である請求項2記載の構造材。
【請求項6】
前記第1フランジは、前記切り欠き部に面する前記本体部の長手方向の端縁である長手方向内側端縁が投影された部分において他の部分より厚くなっている請求項2ないし5の何れかに記載の構造材。
【請求項7】
前記切り欠き部に面する前記本体部の長手方向の端縁である長手方向内側端縁と、当該長手方向内側端縁が投影された前記第1フランジの部分との間に設けられた第1板材を更に備え、
当該第1板材は、前記第1フランジと前記ウェブと前記第2フランジとに連続している請求項2ないし6の何れかに記載の構造材。
【請求項8】
前記第2フランジは、前記切り欠き部に面する前記本体部の長手方向の端縁である長手方向内側端縁を超えて延長され且つ前記ウェブに連続する長手方向延長部を有する請求項1ないし7の何れかに記載の構造材。
【請求項9】
前記切り欠き部に面する前記本体部の長手方向の端縁である長手方向内側端縁に、前記本体部に交差するように連続し、且つ前記第2フランジに連続する第2板材を更に備える請求項1ないし8の何れかに記載の構造材。
【請求項10】
前記切り欠き部に面しない前記本体部の長手方向の端縁である長手方向外側端縁に、前記本体部に交差するように連続し、且つ前記第2フランジに連続する第3板材を更に備える請求項1ないし9の何れかに記載の構造材。
【請求項11】
第1構造材としての請求項1ないし10の何れかに記載の構造材と、
第2構造材としての請求項1ないし10の何れかに記載の構造材と、を備え、
前記第1構造材の前記第2フランジと前記第2構造材の前記第2フランジとが重ね合わされて互いに接続されている接続構造体。
【請求項12】
第1構造材として、請求項1ないし10の何れかに記載の構造材を準備する工程と、
第2構造材として、請求項1ないし10の何れかに記載の構造材を準備する工程と、
前記第1構造材の前記第2フランジと前記第2構造材の前記第2フランジとを重ね合わせて互いに接続する工程と、を備える構造材の接続方法。
【請求項1】
ウェブと当該ウェブに連続するフランジとを本体部として備える構造材であって、
当該本体部には、長手方向一端部において前記ウェブの幅方向一端縁の側に切り欠き部が形成されており、
前記構造材は、前記フランジを第1フランジとして、前記切り欠き部に面する前記ウェブの幅方向端縁に、前記ウェブに交差するように連続している第2フランジを更に備える構造材。
【請求項2】
前記第1フランジは、前記ウェブの幅方向他端側の端縁に連続している請求項1記載の構造材。
【請求項3】
前記本体部が前記長手方向一端部を除く部分において断面H型である請求項2記載の構造材。
【請求項4】
前記本体部が前記長手方向一端部を除く部分において断面I型である請求項2記載の構造材。
【請求項5】
前記本体部が前記長手方向一端部を除く部分において断面C型である請求項2記載の構造材。
【請求項6】
前記第1フランジは、前記切り欠き部に面する前記本体部の長手方向の端縁である長手方向内側端縁が投影された部分において他の部分より厚くなっている請求項2ないし5の何れかに記載の構造材。
【請求項7】
前記切り欠き部に面する前記本体部の長手方向の端縁である長手方向内側端縁と、当該長手方向内側端縁が投影された前記第1フランジの部分との間に設けられた第1板材を更に備え、
当該第1板材は、前記第1フランジと前記ウェブと前記第2フランジとに連続している請求項2ないし6の何れかに記載の構造材。
【請求項8】
前記第2フランジは、前記切り欠き部に面する前記本体部の長手方向の端縁である長手方向内側端縁を超えて延長され且つ前記ウェブに連続する長手方向延長部を有する請求項1ないし7の何れかに記載の構造材。
【請求項9】
前記切り欠き部に面する前記本体部の長手方向の端縁である長手方向内側端縁に、前記本体部に交差するように連続し、且つ前記第2フランジに連続する第2板材を更に備える請求項1ないし8の何れかに記載の構造材。
【請求項10】
前記切り欠き部に面しない前記本体部の長手方向の端縁である長手方向外側端縁に、前記本体部に交差するように連続し、且つ前記第2フランジに連続する第3板材を更に備える請求項1ないし9の何れかに記載の構造材。
【請求項11】
第1構造材としての請求項1ないし10の何れかに記載の構造材と、
第2構造材としての請求項1ないし10の何れかに記載の構造材と、を備え、
前記第1構造材の前記第2フランジと前記第2構造材の前記第2フランジとが重ね合わされて互いに接続されている接続構造体。
【請求項12】
第1構造材として、請求項1ないし10の何れかに記載の構造材を準備する工程と、
第2構造材として、請求項1ないし10の何れかに記載の構造材を準備する工程と、
前記第1構造材の前記第2フランジと前記第2構造材の前記第2フランジとを重ね合わせて互いに接続する工程と、を備える構造材の接続方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2006−299737(P2006−299737A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−126348(P2005−126348)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【出願人】(503167994)株式会社大三 (2)
【出願人】(504145320)国立大学法人福井大学 (287)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【出願人】(503167994)株式会社大三 (2)
【出願人】(504145320)国立大学法人福井大学 (287)
【Fターム(参考)】
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