説明

樹脂封止装置

【課題】自動的に確実に金型をクリーニング可能とする。
【解決手段】生産用フレームを収納するフレーム供給部110と、該生産用フレームを樹脂封止するための生産用樹脂を供給する樹脂供給部116と、該生産用フレームと該生産用樹脂とが配置されて樹脂封止が行われる金型118と、を有する樹脂封止装置100において、前記フレーム供給部110は、該金型118を清浄にするために使用されるダミーフレームを収納する専用マガジン110Zを有し、前記樹脂供給部116には、該金型118を清浄にするために使用されるクリーニング用樹脂が前記生産用樹脂とは別の位置116Zに配置され、予め設定した樹脂封止回数で、前記生産用フレームを前記ダミーフレームに、前記生産用樹脂を前記クリーニング用樹脂に、それぞれ切り換えて樹脂封止を行うように制御する装置制御部140を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップを搭載した生産用フレームを樹脂封止する樹脂封止装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂封止装置では、その運転に伴って金型表面に封止材料である樹脂(生産用樹脂と称する)が付着物として堆積することにより、高品質な樹脂封止が阻害される場合がある。そこで、定期的に又は不定期にこれら金型表面の付着物を取り除くために、金型表面のクリーニングが必要となる。このため、例えば、特許文献1に記載の樹脂封止装置においては、生産用樹脂とは色又は反射率の異なるクリーニング用樹脂と、生産用フレーム(半導体チップが搭載されたフレーム)とは異なるダミーフレーム(半導体チップが搭載されていない金型クリーニングのためのフレーム)とを用いて金型クリーニングすることが提案されている。
【0003】
特許文献1では、兼用の樹脂供給手段であるシュートの樹脂通路の特定箇所で、樹脂の色又は反射率の違いをカメラで認識し、クリーニング樹脂の判別に従いダミーフレームの供給を行うことで、金型クリーニングの自動化を可能としている。なお、特許文献1では、生産用フレームの代わりに、金型クリーニング用にダミーフレームを用いるので、半導体チップを無駄にせず、低コストで金型をクリーニングすることができる。
【0004】
【特許文献1】特開昭59−119736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1で、生産用樹脂とクリーニング用樹脂とは色又は反射率が異なる必要があるので、生産用樹脂とクリーニング用樹脂とに対して制約が大きい。逆に言えば、上記視覚的な差異が明確でないと、特許文献1では金型のクリーニングを実行することは困難となる。
【0006】
又、特許文献1では、生産用樹脂とクリーニング用樹脂とがシュートを兼用している。このため、実際にシュートから金型へ供給される樹脂の供給量がずれた際に、カメラで観測した生産用樹脂とクリーニング用樹脂の供給順序と、実際の生産用樹脂とクリーニング用樹脂の供給順序とがずれてしまうこととなる。その場合には、生産用フレームをクリーニング用樹脂で樹脂封止する場合もあり、生産用フレームを無駄にしてしまうこととなる。同様に、ダミーフレームを生産用樹脂で樹脂封止する場合もあり、生産用フレームから生産された成形品に、ダミーフレームによる成形品を混入させるおそれがでてくる。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するべくなされたものであって、自動的に確実に金型をクリーニング可能とする樹脂封止装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、生産用フレームを収納するフレーム供給部と、該生産用フレームを樹脂封止するための生産用樹脂を供給する樹脂供給部と、該生産用フレームと該生産用樹脂とが配置されて樹脂封止が行われる金型と、を有する樹脂封止装置において、前記フレーム供給部は、該金型を清浄にするために使用されるダミーフレームを収納する専用マガジンを有し、前記樹脂供給部に、該金型を清浄にするために使用されるクリーニング用樹脂が前記生産用樹脂とは別の位置に配置され、予め設定した樹脂封止回数で、前記生産用フレームを前記ダミーフレームに、前記生産用樹脂を前記クリーニング用樹脂に、それぞれ切り換えて樹脂封止を行うように制御する制御手段を備えることで、上記課題を解決するものである。
【0009】
このように、樹脂供給部でクリーニング用樹脂と生産用樹脂とは別の位置に配置されることで、クリーニング用樹脂と生産用樹脂とは明確に区別できるので、クリーニング用樹脂と生産用樹脂とが視覚的に差異を持つ必要はない。このため、クリーニング用樹脂は金型クリーニングに最適な樹脂を選択して使用することができる。
【0010】
又、フレーム供給部において、ダミーフレームは専用のマガジンに収納されているので、ダミーフレームと生産用フレームとの区別は明確となる。同時に、ダミーフレームの装填も間違えずに容易に実施することができる。このため、生産用フレームを無駄に使用することなく、金型クリーニングにかかる費用を高価にせずに実施することができる。
【0011】
更に、金型クリーニングは予め設定した樹脂封止回数で切り換えて行うので、金型のクリーニングのし忘れを防止でき、且つ手動でのクリーニングのための金型の運転停止を行う必要がなくわずらわしさを解消でき、樹脂封止装置の合理的な運転を実現できる。すなわち、金型クリーニングによる生産性の低下を最小限にすることが可能である。同時に、樹脂封止を高品質に保つことができる。
【0012】
なお、本発明は、フレーム供給部に収納された生産用フレームを、樹脂供給部の生産用樹脂を用いて金型により樹脂封止を行う樹脂封止方法において、前記フレーム供給部に該金型を清浄にするために使用されるダミーフレームを収納する専用マガジンを備え、前記樹脂供給部に、該金型を清浄にするために使用されるクリーニング用樹脂を前記生産用樹脂とは別の位置に配置させて、予め設定した樹脂封止回数で、前記生産用フレームを前記ダミーフレームに、前記生産用樹脂を前記クリーニング用樹脂に、それぞれ切り換えて樹脂封止を行うことを特徴とする樹脂封止方法によっても実現することができる。
【0013】
又、樹脂供給部に、更に、前記金型への生産用樹脂の付着を低減するための離型樹脂が前記生産用樹脂とは別の位置に配置されている場合には、前記制御手段は、前記ダミーフレームに対して、前記クリーニング用樹脂を所定回数使用し、次に前記離型樹脂を所定回数用いて、更に前記生産用樹脂を所定回数用いた後に、前記ダミーフレームから前記生産用フレームに切り換えて該生産用樹脂を用いての樹脂封止を再開することができる。すなわち、クリーニング用樹脂による金型クリーニングが終了したのちに離型樹脂を適用するので、長期間に亘り金型への生産用樹脂の付着を防止することができる。従って、長期間に亘り樹脂封止を高品質に保つことができる。その際に、離型樹脂での処理の後の所定の回数はダミーフレームを使用して樹脂封止を行うので、高価な生産用フレームを無駄にすることなく、樹脂封止の品質を確認した上で、生産用フレームによる樹脂封止を再開することができる。
【0014】
なお、本発明は、前記樹脂供給部に、更に、前記金型への生産用樹脂の付着を低減するための離型樹脂を前記生産用樹脂とは別の位置に配置させて、前記ダミーフレームに対して、前記クリーニング用樹脂を所定回数使用し、次に前記離型樹脂を所定回数用いることを特徴とする樹脂封止方法、及び、更に前記ダミーフレームに対して、前記生産用樹脂を所定回数用いた後に、前記生産用フレームに該生産用樹脂を用いての樹脂封止を再開可能とすることを特徴とする樹脂封止方法によっても実現することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明を適用することにより、自動的に確実に金型をクリーニング可能とする樹脂封止装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態の一例について詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明の実施形態に係わる樹脂封止装置の装置機構部全体を表わす模式図、図2は同じく装置制御部を示す模式図、図3は同じく金型の自動クリーニングを説明する動作フロー図、である。
【0018】
最初に、本発明の実施形態に係わる樹脂封止装置の概略構成について、図1、図2を用いて説明する。なお、「生産用フレーム」は半導体チップが搭載されたリードフレーム或いは基板を示し、「ダミーフレーム」は半導体チップが搭載されていないリードフレーム或いは基板を示す。又、「生産用樹脂」は生産用フレームに適用された際には半導体チップを樹脂封止するために用いられる樹脂をいい、「クリーニング用樹脂」はダミーフレームに適用して、金型表面に付着した生産用樹脂を除去するために用いられる樹脂をいう。
【0019】
樹脂封止装置100は、図1に示す如く、装置機構部102を備えて、生産用フレームを収納するフレーム供給部110と、生産用フレームを樹脂封止するための生産用樹脂を供給する樹脂供給部116と、生産用フレームと生産用樹脂とが配置されて樹脂封止が行われる金型118(本実施形態では4つの金型118A、118B、118C、118D)と、を有する。このため、樹脂封止装置100は、フレーム供給部110に収納された生産用フレームを、樹脂供給部116の生産用樹脂を用いて金型118により樹脂封止を行うことができる。なお、樹脂封止装置100は、金型118以外の構成要素を兼用とする、いわゆるマルチプレスを構成している。ここで、フレーム供給部110は、金型118を清浄にするために使用されるダミーフレームを収納する専用マガジン110Zを有する。そして、樹脂供給部116に、金型118を清浄にするために使用されるクリーニング用樹脂が生産用樹脂とは別の位置116Zに配置される。
【0020】
更に、樹脂封止装置100は、図2に示す如く、装置機構部102を制御するための制御手段である装置制御部140を備える。装置制御部140は、予め設定した樹脂封止回数で、生産用フレームをダミーフレームに、生産用樹脂をクリーニング用樹脂に、それぞれ切り換えて樹脂封止を行うように制御する。
【0021】
以下、樹脂封止装置100の各構成要素について詳細に説明をする。
【0022】
樹脂封止装置100の装置機構部102は、図1に示す如く、主に、ベース108上に設けられたフレーム供給部110と、樹脂供給部116と、金型118と、成形品収納部132と、を有する。
【0023】
フレーム供給部110には、図1に示す如く、複数のマガジン110A〜110Dが備えられて、生産用フレームが収納される。本実施形態では、生産用フレームは、金型118A〜118D毎に異なるので、その収納位置が区別されている。このため、この位置の違いにより金型118A〜118Dと生産用フレームとの対応関係が装置制御部140で判別される。なお、マガジン110A〜110Dとは別に、ダミーフレームを収納する専用マガジン110Zも備えられている。
【0024】
生産用フレーム或いはダミーフレーム(フレームと総称する)は、図示せぬ搬送ハンドによってマガジン110A〜110D或いは専用マガジン110Zから引出され、旋回テーブル112上に搬送される。旋回テーブル112は、載せられたフレームの向きを整えて、プレヒータ部114にフレームを配列させる。プレヒータ部114は、配列されたフレームを特定の温度に上昇させ保持する機能を有する。
【0025】
樹脂供給部116において、図1に示す如く、樹脂封止に用いられるタブレット状の生産用樹脂、クリーニング用樹脂、及び離型樹脂(タブレット樹脂と総称する)とが供給される。なお、生産用樹脂は樹脂供給部116の位置116Aに配置されているが、クリーニング用樹脂及び離型樹脂は樹脂供給部116の生産用樹脂とは別の位置116Zに配置されている。そして、位置116Zにおいて、クリーニング用樹脂と離型樹脂とは互いに位置を相違させて配置されている。この位置の相異で、クリーニング用樹脂か離型樹脂かが装置制御部140で判別される。なお、離型樹脂は、クリーニング用樹脂で金型118から生産用樹脂の付着を剥離して清浄にした後に、金型表面に生産用樹脂の再付着をしにくくするワックス効果を持たせるために用いられる樹脂である。
【0026】
供給されるタブレット樹脂とフレームは、ベース108上のX方向の全体に亘って敷設されているX方向ガイド122上のローダ124によって搬送される(ローダ124は4つの金型118A〜118Dに兼用)。搬送されるタブレット樹脂とフレームは、金型118にセットされる。
【0027】
金型118は、図1に示す如く、4つの金型118A〜118Dを備えている。本実施形態では、金型118A〜118Dに使用される生産用フレームが異なる。このため、格納位置の相異から生産用フレームを識別して、その位置に応じた金型118A〜118Dに供給されて、複数種類の成形品の樹脂封止が行われる。このため、樹脂封止装置100をコンパクトに保ちながら、高価格とならずに、少量多品種の成形品を生産することができる。
【0028】
金型118は、図示せぬ上型と下型とから構成されている。金型118では、固定された上型に対して下型が可動し、下型が上型に密着することで、被成形品を樹脂封止するための密閉空間(キャビティと称する)を構成する。又、金型118は、金型118の所定の位置にセットされたタブレット樹脂をプランジャで溶融した状態で押し出して、樹脂流路を介して、キャビティに溶融状態のタブレット樹脂を導入する構成(トランスファーモールド成形のための構造として公知)を備えている。金型118の温度は変更可能であるが、本実施形態では金型118は、樹脂の種類を問わず、一定の温度に保たれている。しかし、樹脂の種類によって硬化温度が異なる場合には、樹脂に合わせて金型118の温度を調整する。
【0029】
アンローダ126は、図1に示す如く、X方向ガイド122上でX方向に可動し、金型118で成形されたフレーム(成形品と称する)を取り出し、冷却ステージ128上に移動させる。冷却ステージ128に成形品は所定の時間配置されて冷却される。冷却された成形品は、ゲートブレーク部130に移動されて、成形品の不要部分(カル部と称する)が切り離される(ゲートブレークされる)。そして、カル部が切り離された成形品は収納ステージ部133に移動され、収納ローダ134を用いて成形品収納部132のマガジン132A〜132Dに収納される。ここで、ダミーフレームが適用された成形品については、ダミーフレームが専用マガジン110Zから引出されたことから装置制御部140がフレームを判別し、マガジン132A〜132Dとは異なる専用マガジン132Zに収納されて、破棄されることとなる。
【0030】
樹脂封止装置100の装置機構部102は、図2に示す如く、制御手段である装置制御部140で制御される。即ち、装置制御部140は、装置機構部102を構成するフレーム供給部110、樹脂供給部116、金型118、ローダ124、アンローダ126、成形品収納部132、収納ステージ部133、収納ローダ134等を制御することができる。すなわち、装置制御部140は、各生産用フレームとダミーフレームの格納位置の違いと、生産用樹脂とクリーニング用樹脂及び離型樹脂との配置位置の違いとを認識し、装置制御部140は、金型118A〜118Dの選択、金型118における樹脂封止条件、成形品の収納位置を間違えることなく制御することができる。
【0031】
又、装置制御部140は、上述の如く、予め設定した樹脂封止回数SH1で、生産用フレームをダミーフレームに、生産用樹脂をクリーニング用樹脂に、それぞれ切り換えて樹脂封止を行うように制御する。その際に、装置制御部140は、ダミーフレームに対して、クリーニング用樹脂を所定回数SH2使用し、次に離型樹脂を所定回数SH3用いて、更に生産用樹脂を所定回数SH4用いた後に、ダミーフレームから生産用フレームに切り換えて生産用樹脂を用いて生産の樹脂封止を再開することができる。所定回数SH2には、金型118へ付着した生産用樹脂を完全に剥離できる回数が設定され、所定回数SH3には、金型118へ十分なワックス効果を持たせる回数が設定され、所定回数SH4には、金型118の封止の品質が十分に確かめられる回数が設定される。なお、これらの樹脂封止回数SH1〜SH4は、装置制御部140において金型118A〜118D毎に予め設定可能である。
【0032】
次に、樹脂封止装置100における自動クリーニング動作の一例について、図3を用いて説明する。なお、ここでは、説明の便宜上、金型118Aのみがクリーニング対象となり、クリーニングを行うものとする。
【0033】
最初に、樹脂封止装置100が起動すると、金型118の自動クリーニング機能を使用するという設定を装置制御部140が確認する(読み込む)(ステップS2)。ここでは、自動クリーニング動作を説明する関係上、自動クリーニング機能を使用することとなる。なお、オペレータは、当然に自動クリーニング機能を使用しないことも選択することができる。その際には、予め定めた樹脂封止回数SH1で、装置制御部140は、装置制御部140に接続された図示しない表示装置などを介して、オペレータにクリーニング時期を知らせて、クリーニングを促すようにすることができる。
【0034】
自動クリーニング機能の使用を決定後、フレーム供給部110のマガジン110Aに収納されている生産用フレームと樹脂供給部116の位置116Aの生産用樹脂を用いて、成形品の生産を行う(ステップS4)。
【0035】
具体的には、装置制御部140は、搬送ハンドがマガジン110A〜110Dから生産用フレームを引出すように制御する。装置制御部140の制御により、引出された生産用フレームは旋回テーブル112、プレヒータ部114を介して、ローダ124により金型118に搭載される。同時に、装置制御部140は、ローダ124により樹脂供給部116の位置116Aから生産用樹脂を移動させ、金型118に搭載させる。装置制御部140の制御により、金型118を構成する上型と下型との位置の移動及び、上型と下型とで構成されるキャビティ内の減圧を行い、生産用フレームが生産用樹脂で樹脂封止される。樹脂封止された成形品は、装置制御部140の制御により、アンローダ126で冷却ステージ128を介してゲートブレーク部130に移動される。ゲートブレークされた成形品は、アンローダ126によって収納ステージ部133に置かれ、収納ローダ134によってマガジン132A〜132Dに収納されるように、装置制御部140によって制御される。以上の工程を繰り返して、成形品を生産(樹脂封止)する。このとき、装置制御部140において各金型118A〜118Dにおける樹脂封止回数(生産ショット回数)を計測しておく。
【0036】
各金型118A〜118Dについて予め設定した樹脂封止回数(設定生産ショット回数)SH1となったかどうかを判断する(ステップS6)。
【0037】
そして、予め設定した樹脂封止回数(設定生産ショット回数)SH1となった金型118Aについては、フレーム供給部110の専用マガジン110Zに収納されているダミーフレームと樹脂供給部116の位置116Zのクリーニング用樹脂を用いて、クリーニングのための封止条件で、金型118Aを制御し、クリーニング作業を実行する(ステップS8、S10)。
【0038】
具体的には、装置制御部140は、搬送ハンドが専用マガジン110Zからダミーフレームを引出すように制御する。装置制御部140の制御により、引出されたダミーフレームは旋回テーブル112、プレヒータ部114を介して、ローダ124により金型118Aに搭載される。同時に、装置制御部140は、ローダ124により樹脂供給部116の位置116Zからクリーニング用樹脂を移動させ、金型118Aに搭載させる。装置制御部140の制御により、金型118Aを構成する上型と下型との位置の移動及び、上型と下型とで構成されるキャビティ内の減圧を行い、ダミーフレームがクリーニング用樹脂で樹脂封止される。樹脂封止された成形品は、装置制御部140の制御により、アンローダ126で冷却ステージ128を介してゲートブレーク部130に移動される。ゲートブレークされた成形品は、アンローダ126によって収納ステージ部133に置かれ、収納ローダ134によってマガジン132Zに収納されるように、装置制御部140によって制御される。以上の工程を繰り返して、クリーニング作業を行う。このとき、装置制御部140において金型118Aにおける樹脂封止回数(クリーニングショット回数)を計測しておく。なお、該当しない金型118B〜118Dについては、生産用フレームと生産用樹脂を用いて、成形品の生産を行う。
【0039】
金型118Aについてダミーフレームとクリーニング用樹脂を用いた樹脂封止回数が予め設定した所定の回数(設定クリーニングショット回数)SH2となったかどうかを判断する(ステップS12)。
【0040】
そして、金型118Aにおける樹脂封回数が所定の回数(設定クリーニングショット回数)SH2となったならば、フレーム供給部110の専用マガジン110Zに収納されているダミーフレームと樹脂供給部116の位置116Bの離型樹脂を用いて、離型作業に適した封止条件で、金型118Aを制御し、離型作業を実行する(ステップS14、S16)。
【0041】
具体的には、装置制御部140は、搬送ハンドが専用マガジン110Zからダミーフレームを引出すように制御する。装置制御部140の制御により、引出されたダミーフレームは旋回テーブル112、プレヒータ部114を介して、ローダ124により金型118Aに搭載される。同時に、装置制御部140は、ローダ124により樹脂供給部116の位置116Zから離型樹脂を移動させ、金型118Aに搭載させる。装置制御部140の制御により、金型118Aを構成する上型と下型との位置の移動及び、上型と下型とで構成されるキャビティ内の減圧を行い、ダミーフレームが離型樹脂で樹脂封止される。樹脂封止された成形品は、装置制御部140の制御により、アンローダ126で冷却ステージ128を介してゲートブレーク部130に移動される。ゲートブレークされた成形品は、アンローダ126によって収納ステージ部133に置かれ、収納ローダ134によってマガジン132Zに収納されるように、装置制御部140によって制御される。以上の工程を繰り返して、離型作業を行う。このとき、装置制御部140において金型118Aにおける樹脂封止回数(離型ショット回数)を計測しておく。なお、該当しない金型118B〜118Dについては、生産用フレームと生産用樹脂を用いて、成形品の生産を行う。
【0042】
金型118Aについてダミーフレームと離型樹脂を用いた樹脂封止回数が予め設定した所定の回数(設定離型ショット回数)SH3となったかどうかを判断する(ステップS18)。
【0043】
そして、金型118Aにおける樹脂封止回数が所定の回数(設定離型ショット回数)SH3となったならば、フレーム供給部110の専用マガジン110Zに収納されているダミーフレームと樹脂供給部116の位置116Aの生産用樹脂を用いて、成形品の生産に適した封止条件で、金型118Aを制御し、樹脂封止(ダミーショット)を実行する(ステップS20、S22)。
【0044】
具体的には、装置制御部140は、搬送ハンドが専用マガジン110Zからダミーフレームを引出すように制御する。装置制御部140の制御により、引出されたダミーフレームは旋回テーブル112、プレヒータ部114を介して、ローダ124により金型118Aに搭載される。同時に、装置制御部140は、ローダ124により樹脂供給部116の位置116Aから生産用樹脂を移動させ、金型118Aに搭載させる。装置制御部140の制御により、金型118Aを構成する上型と下型との位置の移動及び、上型と下型とで構成されるキャビティ内の減圧を行い、ダミーフレームが生産用樹脂で樹脂封止される。樹脂封止された成形品は、装置制御部140の制御により、アンローダ126で冷却ステージ128を介してゲートブレーク部130に移動される。ゲートブレークされた成形品は、アンローダ126によって収納ステージ部133に置かれ、収納ローダ134によってマガジン132Zに収納されるように、装置制御部140によって制御される。以上の工程を繰り返して、ダミーショットを行う。このとき、装置制御部140において金型118Aにおける樹脂封止回数(ダミーショット回数)を計測しておく。なお、該当しない金型118B〜118Dについては、生産用フレームと生産用樹脂を用いて、成形品の生産を行う。
【0045】
金型118Aについてダミーフレームと生産用樹脂を用いた樹脂封止回数が予め設定した所定の回数(設定ダミーショット回数)SH4となったかどうかを判断する(ステップS24)。
【0046】
そして、金型118Aにおける樹脂封回数が所定の回数(設定ダミーショット回数)SH4となったならば、装置制御部140は、オペレータに自動生産を再開するかの確認を求める(ステップS26)。
【0047】
オペレータが自動生産を選択すると、生産用フレームと生産用樹脂を用いて、成形品の生産に適した封止条件で、金型118Aを制御し、生産を再開する(ステップS28)。このとき、装置制御部140において、再び金型118Aにおける樹脂封止回数を計測しておく。なお、該当しない金型118B〜118Dについては、生産用フレームと生産用樹脂を用いて、成形品の生産を行う。
【0048】
オペレータが自動生産を選択しない場合には、金型118Aの動作を停止させることとなる(ステップS30)(即ち、装置制御部140は、自動生産の再開と金型118の動作の停止とを切り替える切り替え手段ともいえる)。そのあと、オペレータによって生産を再開させる(ステップS32)。このとき、装置制御部140において、再び金型118Aにおける樹脂封止回数を計測しておく。なお、該当しない金型118B〜118Dについては、生産用フレームと生産用樹脂を用いて、成形品の生産を行う。
【0049】
ここでは、樹脂封止装置100の稼動の停止を記載していないが、オペレータの判断に従い、任意のステップで樹脂封止装置100の稼動の停止することができる。又、上記説明では金型118Aについてのみであったが、各金型118B〜118Dは他の金型の生産状況に関係なく、設定された最適な樹脂封止回数で互いに独立して自動クリーニングを行うことができる。
【0050】
このように、樹脂供給部116でクリーニング用樹脂と生産用樹脂とは別の位置に配置されているので、クリーニング用樹脂と生産用樹脂とは明確に区別できるので、クリーニング用樹脂と生産用樹脂とが視覚的に差異を持つ必要はない。このため、クリーニング用樹脂は金型クリーニングに最適な樹脂を選択して使用することができる。
【0051】
又、フレーム供給部110において、ダミーフレームは専用のマガジン110Zに収納されているので、ダミーフレームと生産用フレームとの区別は明確となる。同時に、ダミーフレームへの装填も間違えずに容易に実施することができる。このため、生産用フレームを無駄に使用することなく、金型クリーニングにかかる費用を高価にせずに実施することができる。
【0052】
更に、金型クリーニングは予め設定した樹脂封止回数(設定生産ショット回数)SH1で切り換えて行うので、金型118のクリーニングのし忘れを防止でき、且つ手動でのクリーニングのための金型118の運転停止を行う必要がなくわずらわしさを解消でき、樹脂封止装置の合理的な運転を実現できる。すなわち、金型クリーニングによる生産性の低下を最小限にすることが可能である。同時に、樹脂封止を高品質に保つことができる。
【0053】
又、クリーニング用樹脂による金型クリーニングが終了したのちに離型樹脂を適用するので、長期間に亘り金型118への生産用樹脂の付着を防止することができる。すなわち、長期間に亘り樹脂封止を高品質に保つことができる。その際に、離型樹脂での処理の後の所定の回数はダミーフレームを使用して、樹脂封止を行うので、高価な生産用フレームを無駄にすることなく、樹脂封止の品質を確認した上で、生産用フレームによる生産を再開することができる。
【0054】
又、ダミーフレームが適用された成形品については、マガジン132A〜132Dとは異なる専用マガジン132Zに収納される。このため、生産用フレームが適用された成形品に、クリーニング作業、離型作業、ダミーショット時の成形品が混入することなく、確実に破棄されることとなる。
【0055】
即ち、本発明を適用することにより、生産用樹脂とクリーニング用樹脂とに視覚的な制約を設けることなく、自動的に確実に金型118をクリーニング可能とする樹脂封止装置100を提供することが可能となる。
【0056】
本発明について本実施形態を挙げて説明したが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。即ち本発明の要旨を逸脱しない範囲においての改良並びに設計の変更が可能なことは言うまでも無い。
【0057】
例えば、本実施形態においては、金型は4つであったが、3つ以下であっても、5つ以上であってもよい。
【0058】
又、本実施形態においては、4つの金型118A〜118Dが全て異なっていたが、本発明はこれに限定されず、全ての金型が同一の形状で、同一の生産用フレームが適用されてもよい。
【0059】
又、本実施形態においては、フレーム及びタブレット樹脂の位置の相異から封止条件や成形品の収納位置を決定していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、搬送ハンドによってフレームが搬送される際に、画像認識手段であるカメラで、フレームの所定の位置を認識することで、ダミーフレームと生産用フレームとの違いや生産用フレームの種類を判別し、その情報をフレーム及びタブレット樹脂の位置の相異と併せて、装置制御部140で封止条件や成形品の収納位置を決定するようにしてもよい。その際には、生産用フレームを無駄にすることなく、より確実に金型をクリーニングすることができる。
【0060】
又、本実施形態においては、クリーニング用樹脂と離型樹脂とを別々に用意したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、離型樹脂を用いなくてもよいし、クリーニング用樹脂として、離型樹脂のワックス効果を同時に持たせたものを用いてもよい。
【0061】
又、本実施形態においては、クリーニング用樹脂と離型樹脂とを樹脂供給部116の位置116Zの異なる位置に配置させたが、明確に位置を分けなくてもよい。クリーニング用樹脂と離型樹脂とが、生産用樹脂とは異なる位置に配置されることで、生産用樹脂とは明確に区別がなされて、生産用フレームを無駄にすることがないからである。
【0062】
又、本実施形態においては、位置116Aと位置116Zとを図1に示す如く、平面的に相異させたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図1で紙面垂直方向に相違させてもよい。
【0063】
更に、樹脂封止はトランスファーモールドによる樹脂封止に限られず、複数の金型が用いられるその他の樹脂封止にも適用することができる。又、ローダとアンローダとは兼用されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態に係わる樹脂封止装置の装置機構部全体を表わす模式図
【図2】同じく装置制御部を示す模式図
【図3】同じく金型の自動クリーニングを説明する動作フロー図
【符号の説明】
【0065】
100…樹脂封止装置
102…装置機構部
110…フレーム供給部
110A、110B、110C、110D、110Z、132A、132B、132C、132D、132Z…マガジン
112…旋回テーブル
114…プレヒータ部
116…樹脂供給部
116A、116Z…位置
118、118A、118B、118C、118D…金型
122…X方向ガイド
124…ローダ
126…アンローダ
128…冷却ステージ
130…ゲートブレーク部
132…成形品収納部
133…収納ステージ部
134…収納ローダ
140…装置制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産用フレームを収納するフレーム供給部と、該生産用フレームを樹脂封止するための生産用樹脂を供給する樹脂供給部と、該生産用フレームと該生産用樹脂とが配置されて樹脂封止が行われる金型と、を有する樹脂封止装置において、
前記フレーム供給部は、該金型を清浄にするために使用されるダミーフレームを収納する専用マガジンを有し、
前記樹脂供給部に、該金型を清浄にするために使用されるクリーニング用樹脂が前記生産用樹脂とは別の位置に配置され、
予め設定した樹脂封止回数で、前記生産用フレームを前記ダミーフレームに、前記生産用樹脂を前記クリーニング用樹脂に、それぞれ切り換えて樹脂封止を行うように制御する制御手段を備えることを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記樹脂供給部に、更に、前記金型への生産用樹脂の付着を低減するための離型樹脂が前記生産用樹脂とは別の位置に配置されている
ことを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項3】
フレーム供給部に収納された生産用フレームを、樹脂供給部の生産用樹脂を用いて金型により樹脂封止を行う樹脂封止方法において、
前記フレーム供給部に該金型を清浄にするために使用されるダミーフレームを収納する専用マガジンを備え、
前記樹脂供給部に、該金型を清浄にするために使用されるクリーニング用樹脂を前記生産用樹脂とは別の位置に配置させて、
予め設定した樹脂封止回数で、前記生産用フレームを前記ダミーフレームに、前記生産用樹脂を前記クリーニング用樹脂に、それぞれ切り換えて樹脂封止を行う
ことを特徴とする樹脂封止方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記樹脂供給部に、更に、前記金型への生産用樹脂の付着を低減するための離型樹脂を前記生産用樹脂とは別の位置に配置させて、
前記ダミーフレームに対して、前記クリーニング用樹脂を所定回数使用し、次に前記離型樹脂を所定回数用いる
ことを特徴とする樹脂封止方法。
【請求項5】
請求項4において、
更に前記ダミーフレームに対して、前記生産用樹脂を所定回数用いた後に、前記生産用フレームに該生産用樹脂を用いての樹脂封止を再開可能とする
ことを特徴とする樹脂封止方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−67899(P2010−67899A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234862(P2008−234862)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】