説明

欠陥検査方法およびその装置

【課題】
試料全面を短時間で走査し,試料に熱ダメージを与えることなく微小な欠陥を検出することができるようにする。
【解決手段】
光源から発射されたパルスレーザをパルス分割し、パルス分割したパルスレーザを回転しながら一方向に移動している試料の表面に照射し、パルス分割されたパルスレーザが照射された試料からの反射光を検出し、反射光を検出した信号を処理して試料上の欠陥を検出し、検出した欠陥に関する情報を表示画面に出力する欠陥検査方法において、パルス分割したパルスレーザの光強度の重心位置をモニタし、モニタしたパルス分割されたパルスレーザの光強度の重心位置を調整するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は試料表面に存在する微小な欠陥を検査し,欠陥の種類および欠陥寸法を判定して出力する欠陥検査方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板や薄膜基板等の製造ラインにおいて,製品の歩留まりを維持・向上するために,半導体基板や薄膜基板等の表面に存在する欠陥の検査が行われている。欠陥検査の従来技術としては特開平9−304289号公報(特許文献1),特開2006−201179号公報(特許文献2),米国特許出願公開第2006/0256325号公報(特許文献3)などが知られている。これらは,微小な欠陥を検出するために試料表面上に数十μmの寸法に照明光を集光して照射し,欠陥からの散乱光を集光・検出し,数十nmから数μm以上の寸法の欠陥を検査する技術である。試料(検査対象物)を保持するステージを回転移動および並進移動させることにより,照明スポットが試料表面上をらせん状に走査し,試料全面が検査される。
【0003】
また,特許文献1および特許文献2では,欠陥からの散乱光の高角度に出射する成分と低角度に出射する成分を検出しその比によって欠陥の種類を分類する技術が述べられている。
【0004】
また,特許文献2では,欠陥からの散乱光の強度に基づいて,検出した欠陥の寸法を算出する技術が述べられている。
【0005】
また,特許文献3では,試料に与える熱ダメージを低減するため,検査対象面を検査中に照明光のパワー,あるいは照明スポットの走査速度,あるいは照明スポットの寸法を制御することが述べられている。より具体的には,試料に与える熱ダメージは照射する照明パワー密度と照射時間との積によって決まると仮定し,これが一定値を越えないように,走査中の試料上の半径位置に応じて照明光のパワー,あるいは照明スポットの走査速度,あるいは照明スポットの寸法を変化させることが述べられている。
【0006】
また,一方向に長いガウスビームで試料上の広い範囲を照明し,CCDなどの複数画素の検出器を用いて照明領域を一括に検出することで,短い時間で試料全面を検査する技術として,米国特許第6608676号公報(特許文献4)が知られている。
【0007】
また, 特許文献5では,短波長レーザ照明において,高出力レーザではパルス発光レーザが多く,この瞬間的な発光による試料の急激な温度上昇による,試料の熱ダメージを低減させるため,光路を分割,その光路長の違いを利用してパルスを分割することで試料のダメージを低減する手法が述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−304289号公報
【特許文献2】特開2006−201179号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/0256325号公報
【特許文献4】米国特許第6608676号公報
【特許文献5】特開2007−85958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
半導体等の製造工程で用いられる欠陥検査には,微小な欠陥を検出すること,検出した欠陥の寸法を高精度に計測すること,試料を非破壊で(あるいは試料を変質させること無く)検査すること,同一の試料を検査した場合に常に一定の検査結果(検出欠陥の個数,位置,寸法,欠陥種)が得られること,一定時間内に多数の試料を検査することなどが求められる。
【0010】
前記特許文献1,特許文献2,特許文献4に述べられた技術では,特に寸法20nm以下の微小な欠陥については,欠陥から発生する散乱光が極微弱となり,試料表面で発生する散乱光によるノイズ,検出器のノイズ,あるいは検出回路のノイズに欠陥信号が埋もれるため検出不可能となる。あるいは,これを避けるために照明パワーをあげた場合,照明光による試料の温度上昇が大きくなり,試料への熱ダメージが発生する。あるいは,これを避けるために試料の走査速度を低下させた場合,一定時間内に検査できる試料の面積あるいは試料の数が減少する。以上より,熱ダメージを避けつつ微小な欠陥を高速に検出することが困難であった。
【0011】
一方,特許文献3に述べられた技術は,試料上の半径位置に比例して照明パワーを変えることにより,前記従来技術と比較して試料中心付近での熱ダメージを低減すること,あるいは試料中心付近での熱ダメージを従来技術と同等に抑えつつ試料外周部での欠陥検出感度を向上すること,を狙うものであった。この技術は熱ダメージが照射パワー密度と照射時間との積に比例すると仮定したため,以下の問題があった。
【0012】
第一に,熱ダメージの見積りにおいて照明スポットからの熱拡散の影響を考慮していないため,特に照射時間の長い試料中心部における熱ダメージが現実より過大に見積られる。このため,試料中心部において必要以上に照明パワーを低下させることになり,欠陥検出感度が低下した。
【0013】
第二に,試料全面において熱ダメージを生じさせないためには,熱ダメージが最大となる試料中心部においてダメージが生じないことを基準として投入する照明パワーを規定する必要がある。しかし,回転走査では試料中心部において走査速度(線速度)が0であるため,計算上の照射時間が無限大に発散し,前記仮定では熱ダメージを定量的に見積ることができず,照明パワーを規定することが出来なかった。逆に,中心部で熱ダメージが起きないことを保証するためには,照明パワーを0にする必要があり,中心部の検査が不可能であった。
【0014】
第三に,パルスレーザの場合には,パルスの時間長さはおよそ15ps程度であることが多く,試料を回転させながら検査する方式において,試料を例えば1000rpm程度で回転させた場合,この15psの間に試料が移動する距離は0.23nm程度であり,光学分解能に対してはるかに小さい距離しか移動できない。このため,1回のパルス発光において照射される領域は,照明が照射されている位置の移動速度ではなく,ビームスポットの領域によってほぼ決定される。このため,瞬間的な温度上昇による試料に対するダメージは,試料の半径位置によって,ほとんど変化しない。
【0015】
また,特許文献5には光路を偏光ビームスプリッタによって複数に分割,この光をそれぞれ異なる光路長の光路に導き,この光路を通過する際の時間差によって再度この光を偏光ビームスプリッタに導いて光路を統合する際のパルスの到着するタイミングをずらすことでパルスを分割していた。しかし,この偏光ビームスプリッタによる光路の統合は,統合された光が異なる偏光方向をもってしまうため,直線偏光で照明するためには光強度の半分をビームトラップで遮光するという構成をとらざるをえなかった。このため,同一の光量を試料に照射するにはより,出力の大きいレーザ光源を必要とする。一般にレーザ光源で高出力を得るためには光を共振させる必要があるため,出力が大きくなるほどパルスの周波数が低くなる,すなわち1パルスあたりのパルスの波高値は大きくなる傾向がある。光強度の半分を失い,高出力のレーザを使わざるを得なくなるこの手法では多くの場合,光源自体の波高値自体が大きくなってしまい,十分な効果を得ることができなかった。
【0016】
更に特許文献5の方式では,ビームスポットを小さくすることが困難であった。それぞれ異なる光路を通った光が同一の場所を照明しなければ,それぞれの光路の照明が小さいビームスポットを形成したとしても,全体的に見れば大きなビームスポットとなってしまう。分割した光路を同一の光路に戻すためには,多数のミラーを必要とし,これを偏光ビームスプリッタで同一の光路に戻す際にビームの光軸の角度ずれが一般に発生する。このため,それぞれの光路を通った光は別の位置を照明し,結果として小ビームスポットを得ることができない。欠陥から得られる光量は単位面積あたりの光量で決定されるため,ビームスポットの拡大は欠陥検出性能を低下させていた。
【0017】
本発明の目的は、試料全面を短時間で走査し,試料に熱ダメージを与えることなく微小な欠陥を検出することができる欠陥検査方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は,光源から出射した光を,所望の光量にした後,光分岐手段により,光を複数に分岐させ,一方を一定の光路長をもつ遅延光路に導き,再度,光を共通の光路に戻す光統合手段を備え,この共通の光路に戻った後の光が再度,前記光分岐手段を通る構成とした,光分割手段と遅延光路と光統合手段よりなるパルス分割手段と,前記パルス分割手段を通過した後に,ビームを拡大させて,ビームの軸ずれの絶対量を大きく,各ビームの角度ばらつきは抑制する光軸調整手段と,その後段に配置する集光手段を備えることを特徴とする。
【0019】
また,本発明は,ビームを拡大する前に通過させるパルス分割手段による光学素子へのダメージを低減させるため,パルス分割手段全体を密閉した容器にいれ,容器内に窒素等の不活性ガスで満たすことを特徴とする。
【0020】
また,本発明は前記集光した光を試料上に照明し,その反射光および散乱光を光センサで検出し,センサで検出した光がパルス分割手段により発生する不均一なパルス強度のばらつきの影響を抑制するため,その発光強度をもとに,前記パルス分割手段で発生するパルスのばらつきを抑制するに十分な高周波信号除去回路を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明は前記高周波除去回路を通過した信号のうち,高周波帯域の信号値の大なるをもって欠陥を検出することを特徴とする。
【0022】
即ち、上記した課題を解決するために、本発明では、欠陥検査装置を、試料を載置して回転可能なテーブル手段と、パルスレーザを発射する光源手段と、該光源手段から発射されたパルスレーザをパルス分割し、該パルス分割したパルスレーザで前記テーブル手段に載置されている試料を照明する照明光学系手段と、該照明光学系手段によりパルス分割されたレーザで照明された前記試料からの反射光を検出する検出光学系手段と、前記反射光を検出した検出光学系手段からの出力信号を処理して前記試料上の欠陥を検出する信号処理手段と、該信号処理手段で処理した結果を表示画面に出力する出力手段とを備えて構成し、前記照明光学系手段は、前記光源手段から発射されたパルスレーザをパルス分割するパルス分割部と、該パルス分割部から出射したパルス分割されたパルスレーザの光強度の重心位置をモニタする第1のビームモニタ部と、該第1のビームモニタ部でモニタした前記パルス分割されたパルスレーザの光強度の重心位置を調整する光強度重心位置調整部と備えて構成した。
【0023】
また、上記した課題を解決するために、本発明では、光源から発射されたパルスレーザをパルス分割し、該パルス分割したパルスレーザを回転しながら一方向に移動している試料の表面に照射し、該パルス分割されたパルスレーザが照射された前記試料からの反射光を検出し、該反射光を検出した信号を処理して前記試料上の欠陥を検出し、該検出した欠陥に関する情報を表示画面に出力する欠陥検査方法において、前記パルス分割したパルスレーザの光強度の重心位置をモニタし、前記モニタしたパルス分割されたパルスレーザの光強度の重心位置を調整するようにした。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば,試料全面を短時間で走査し,試料に熱ダメージを与えることなく,微小な欠陥を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1A】本発明の実施例に係る欠陥検査装置の全体概略構成を示すブロック図である。
【図1B】アッテネータの構成を示すブロック図である。
【図1C】信号処理部の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例に係る検出部の配置および検出方向を示す検出部のブロック図である。
【図3A】パルス分割部の構成を示すブロック図である。
【図3B】パルス分割部の内部で各周回ごとに偏光ビームスプリッタ305を透過するパルスビームの振幅と反射されるパルスビームの振幅との関係を一覧にした図である。
【図4】本発明の実施例に係るパルス分割部の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施例に係るパルス分割部に入射するパルスレーザの光強度(a)と、図3(a)の構成のパルス分割部から出力された分割パルスビームの光強度(b)と、図4の構成のパルス分割部から出力された分割パルスビームの光強度(c)を示す図である。
【図6】本発明の実施例に係るビームモニタリング部を含む欠陥検査装置の照明部の概略構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施例に係る照明部の集光特性を示す図である。
【図8】本発明の実施例に係る検出部の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施例に係るアナログ処理部の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施例に係るデジタル処理部の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の実施例に係るパルス分割部の光学系を調整する手順を示すシーケンス図である。
【図12】本発明の実施例に係るミラーの角度と光束拡大部への入力ばらつきの関係を示すビームモニタリング部を含むパルス分割部のブロック図である。
【図13】本発明の実施例に係るミラーの角度のマニュアル設定を可能にするGUIを示す表示画面の正面図である。
【図14】本発明の実施例に係る試料の検出視野とその走査方法を示す試料の平面図である。
【図15】本発明の実施例に係る欠陥検査装置の変形例を示す欠陥検査装置の照明部の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態の概略構成を図1で説明する。照明部101,検出部102,試料Wを載置して回転して回転中心軸に直角な方向に可能なステージ103,信号処理部105,制御部53,表示部54,入力部55を備える。照明部101はレーザ光源2,アッテネータ3,出射光調整部4,パルス分割部8,光束拡大部5,偏光制御部6,照明集光制御部7を備える。レーザ光源2はパルス発振あるいは擬似連続発振レーザであり,典型的には発光時間は15ps以下であり,10ns毎の間隔でパルス状の光が出力される。また,レーザ光源2からはコリメートされたレーザ光が照射される。発射される光がコリメートされた光でないレーザ光源の場合,別途コリメータレンズを設け,照明をコリメートする。
【0027】
レーザ光源2から射出されたレーザ光ビームは,アッテネータ3で所望のビーム強度に調整され,出射光調整部4で所望のビーム位置,ビーム進行方向に調整され,パルス分割部8でパルス状のレーザ光の1つのパルスを時分割された複数のパルスに分割する。この光束は,光束拡大部5で光束を拡大するとともにパルス分割部で分割された各パルスの光束の方位ばらつきを低減し,偏光制御部6で所望の偏光状態に調整され,照明集光制御部7で所望の強度分布に調整され,試料Wの検査対象領域に照明される。本発明の特徴であるパルス分割部8は各光束拡大部5ではビームを拡大する一方,各時分割されたパルス光の光軸の角度方向のばらつきは照明集光制御部7での集光性能を低下させる。このため,パルス分割部の後段に光束拡大部5を備える構成にすることが重要である。
【0028】
試料上の照明形状は,熱に対するダメージを最小にするにはアスペクト比の高い矩形形状にすることが一般的である。このため,照明集光制御部7としては典型的には2組のアナモフィックプリズム71及び72で照明光束を整形したのち,集光レンズ73で照明する。また,集光レンズ73の代わりに回折光学素子を用いても良い。
【0029】
照明部101の光路中の反射ミラー33の位置と角度により試料表面に対する照明光の入射角(試料表面の法線方向に対する傾き角)が決められる。照明光の入射角は微小な欠陥の検出に適した角度に設定される。照明入射角が大きいほど,すなわち照明仰角(試料表面と照明光軸との成す角)が小さいほど,試料表面上の微小異物からの散乱光に対してノイズとなる試料表面の微小凹凸からの散乱光(ヘイズと呼ばれる)が弱まるため,微小な欠陥の検出に適する。このため,試料表面の微小凹凸らの散乱光が微小欠陥検出の妨げとなる場合には,照明光の入射角は75度以上(仰角15度以下)に設定される。
【0030】
一方,斜入射照明において照明入射角が小さいほど微小異物からの散乱光の絶対量が大きくなるため,欠陥からの散乱光量の不足が微小欠陥検出の妨げとなる場合には,照明光の入射角は60度以上75度以下(仰角15度以上30度以下)に設定される。また,斜入射照明を行う場合,照明部101の偏光制御部6における偏光制御により,照明の偏光をP偏光とすることで,その他の偏光と比べて試料表面上の欠陥からの散乱光が増加する。
【0031】
図示していないミラー31の駆動手段でミラー31を照明部101の光路中にミラー31を挿入することにより,照明光路が変更され,試料面に垂直な方向から照明光が照射される(垂直照明)。このとき,試料面上の照明強度分布は照明集光制御部7vにより,斜入射照明と同様に制御される。試料面の凹み状の欠陥(研磨キズや結晶材料における結晶欠陥)からの散乱光を得るには,試料表面に実質的に垂直に入射する垂直照明が適する。
【0032】
レーザ光源2としては,試料表面近傍の微小な欠陥を検出するには,試料内部に浸透しづらい波長として,短波長(波長355nm以下)の紫外または真空紫外のレーザビームを発振し,かつ出力2W以上の高出力のものが用いられる。出射ビーム径は1mm程度である。試料内部の欠陥を検出するには,試料内部に浸透しやすい波長として,可視あるいは赤外のレーザビームを発振するものが用いられる。
【0033】
図1Bに示すように、アッテネータ3は,第一の偏光板31と,照明光の光軸周りに回転可能な1/2波長板32と,第二の偏光板33とを備える。アッテネータ3に入射した光は,第一の偏光板31により直線偏光に変換され,1/2波長板32の遅相軸方位角に応じて偏光方向が任意の方向に回転され,第二の偏光板33を通過する。1/2波長板32の方位角を制御することで,光強度が任意の比率で減光される。アッテネータ3に入射する光の直線偏光度が十分高い場合は第一の偏光板31は必ずしも必要ない。アッテネータ3は入力信号と減光率との関係が事前に較正されたものを用いる。アッテネータ3として,グラデーション濃度分布を持つNDフィルタを用いることも可能である。
出射光調整部4は複数枚の反射ミラーを備える。ここでは二枚の反射ミラー41と42とで構成した場合の実施例を説明する。ここで,三次元の直交座標系(XYZ座標)を仮に定義し,反射ミラーへの入射光が+X方向に進行しているものと仮定する。第一の反射ミラー41は入射光を+Y方向に偏向するよう設置され(XY面内での入射・反射),第二の反射ミラー42は第一の反射ミラー41で反射した光を+Z方向に偏向するよう設置される(YZ面内での入射・反射)。各々の反射ミラー41と42とは平行移動とあおり角調整により,出射調整部4から出射する光の位置,進行方向(角度)が調整される。前記のように,第一の反射ミラー41の入射・反射面(XY面)と第二の反射ミラー42の入射・反射面(YZ面)が直交するような配置とすることで,出射調整部4から出射する光(+Z方向に進行)のXZ面内の位置,角度調整と,YZ面内の位置,角度調整とを独立に行うことができる。
【0034】
検出部102は,照明領域20から発する複数の方向の散乱光を検出するよう,複数配置される。検出部102の試料Wおよび照明領域20に対する配置を図8を用いて説明する。
【0035】
図8(a)に検出部102の配置の側面図を示す。照明領域20は図8(a)の紙面に対して垂直な方向に長い形状を有している。試料Wの法線に対して,検出部102による検出方向(検出開口の中心方向)のなす角を,検出天頂角と定義する。検出部102は,検出天頂角が45度以下の高角検出部102hと,検出天頂角が45度以上の低角検出部102lからなる。高角検出部102h,低角検出部102l各々は,各々の検出天頂角において多方位に散乱する散乱光をカバーするよう,複数の検出部からなる。
【0036】
図8(b)に,低角検出部102lの配置の平面図を示す。照明領域20は矢印で示した斜入射照明進行方向に沿って長い形状をしている。試料Wの表面と平行な平面内において,斜入射照明の進行方向と検出方向とのなす角を検出方位角と定義する。低角検出部102は,低角前方検出部102f,低角側方検出部102s,低角後方検出部102b,およびそれらと照明入射面に関して対称な位置にある低角前方検出部102f’,低角側方検出部102s’,低角後方検出部102b’を備える。低角前方検出部102fは検出方位角が0度以上60度以下,低角側方検出部102sは検出方位角が60度以上120度以下,低角後方検出部102bは検出方位角が120度以上180度以下に設置される。
【0037】
図8(c)に,高角検出部102hの配置の平面図を示す。高角検出部102は,高角前方検出部102f,高角側方検出部102s,高角後方検出部102b,および高角側方検出部102sと照明入射面に関して対称な位置にある高角側方検出部102s’を備える。高角前方検出部102fは検出方位角が0度以上45度以下,高角側方検出部102sは検出方位角が45度以上135度以下,高角後方検出部102bは検出方位角が135度以上180度以下に設置される。
【0038】
検出部102の具体的な構成を図2に示す。検出方位角90度の低角および高角の側方検出部102ls,102hs(図8(b)及び(c)参照)の構成を図2(a)に示す。照明領域20から発生する散乱光を対物レンズ201によって集光し,偏光フィルタ202通過させた後,結像レンズ203によって複数画素センサ204の受光面に導かれ,検出される。散乱光を効率良く検出するため,対物レンズ201の検出NAは0.3以上である。低角度検出部の場合,対物レンズ201の下端が試料面Wに干渉しないよう,必要に応じて対物レンズの下端を切り欠く。偏光フィルタ202は偏光板あるいは偏光ビームスプリッタからなり,任意の方向の直線偏光成分をカットするよう設置される。偏光板として,透過率80%以上のワイヤグリッド偏光板などが用いられる。楕円偏光を含む任意の偏光成分をカットする場合は,波長板と偏光板からなる偏光フィルタ202を設置する。
【0039】
複数画素センサ204は,複数の光検出画素が線状に並んだものである。高感度検出を行うため,量子効率が高く(30%以上の),光電変換後の電子を電気的に増幅可能なもの,また,高速化のため,複数がその信号を並列して読み出し可能なもの,また,検出ダイナミックレンジ確保のため,検出感度(電気的な増幅のゲイン)が電気的手段などにより短時間で容易に変更可能であるもの,が望ましい。これらを満たす光検出器として,マルチアノード光電子増倍管,アバランシェフォトダイオードアレイ,信号の並列読み出しが可能なリニアEMCCD(Electron Multiplying CCD),信号の並列読み出しが可能なリニアEBCCD(Electron Bombardment CCD),が用いられる。本実施例ではマルチアノード光電子増倍管を用いた構成を説明する。
【0040】
対物レンズ201および結像レンズ203によって,試料面の像が試料面共役面205に結像される。試料面に対して傾斜した結像するため,走査方向S1に関して,像高の大きい位置にある物体はデフォーカスにより複数画素センサ205の受光面に像を結ばずにボケるが,走査方向S1は照明領域20の寸法が短いため,像高の大きい位置にある物体は検出に影響を与えない。
【0041】
図2(b)に,低角および高角の前方および後方検出部102lf,102hf,102lb,102hbの構成を示す。照明領域20から発生する散乱光を対物レンズ201によって集光し,偏光フィルタ202通過させた後,結像レンズ203によって,試料面と共役な面に設置された回折格子206上に試料面の像(中間像)が結像される。回折格子206上に形成された試料面の像は,結像系207によって複数画素センサ204の受光面上に投影され,検出される。複数画素センサ204は,一方向に長い照明領域20の形状に合せ,画素の配列方向が照明領域20の像の長手方向に一致するよう,試料面に共役な面内に設置される。回折格子206は,結像レンズ203によって導かれ中間像を形成する光を回折格子206の表面の法線方向に回折させるため,結像レンズ203によって導かれ中間像を形成する光の光軸に沿った入射光のN次回折光が回折格子206の表面の法線方向に向かうよう,回折格子形状が形成されたものを用いる。回折効率を高めるため,ブレーズ回折格子が用いられる。
以上の構成をとり試料面に共役な面に複数画素センサ204を設置することで,試料面上のS1方向についてもピントのずれを抑えて広い範囲で有効視野を確保することができ,かつ光量ロスを少なく散乱光を検出することができる。
【0042】
信号処理部105は、図1Cに示すように、アナログ処理部51とデジタル処理部52とを備えている。アナログ処理部51について図9を用いて説明する。ここでは簡単のため複数の検出部102のうち検出部102a(図8の102lsに相当),102b(図8の102hsに相当)の二系統備えた場合のアナログ処理部51の構成について説明する。検出部102a,102b各々に備えられた検出器(図8の102ls及び102hs)から出力された信号電流500a,500bは,プリアンプ部501a,501bにより各々電圧に変換されて増幅される。該増幅されたアナログ信号は,さらにローパスフィルタ511a,511bにより後述するパルス分割部8による不均一パルスによる高周波のノイズ成分がカットされ,その後,ローパスフィルタ511a,511bのカットオフ周波数より高いサンプリングレートを備えたアナログ−デジタル変換部(A/D変換部)502a,502bで,デジタル信号に変換されて出力される。
【0043】
次に,信号処理部105を構成するデジタル処理部52について図10を用いて説明する。アナログ処理部51からの各々の出力信号は,デジタル処理部52において,ハイパスフィルター604a,604bの各々により欠陥信号603a,603bの各々が抽出され,欠陥判定部605に入力される。欠陥は照野20によりS1方向に走査されるため,欠陥信号の波形は照野20のS1方向の照度分布プロファイルを拡大縮小したものとなる。従って,ハイパスフィルター604a,604bの各々により,欠陥信号波形の含まれる周波数帯域を通し,ノイズが相対的に多く含まれる周波数帯域および直流成分をカットすることで,欠陥信号603a,603bのS/Nが向上する。各ハイパスフィルター604a,604bとしては,特定のカットオフ周波数を持ちその周波数以上の成分を遮断するよう設計されたハイパスフィルタ,あるいはバンドパスフィルタ,あるいは照明領域20の形状が反映された欠陥信号の波形と相似形を成すフィルタを用いる。
【0044】
欠陥判定部605は,ハイパスフィルター604a,604bの各々から出力された欠陥波形を含む信号の入力に対してしきい値処理を行い,欠陥の有無を判定する。即ち,欠陥判定部605には,複数の検出光学系からの検出信号にもとづく欠陥信号が入力されるので,欠陥判定部605は,複数の欠陥信号の和や加重平均に対してしきい値処理を行うか,または複数の欠陥信号に対してしきい値処理により抽出された欠陥群についてウェハの表面に設定された同一座標系でORやANDを取ることなどにより,単一の欠陥信号に基づく欠陥検出と比較して高感度の欠陥検査を行うことが可能となる。
【0045】
更に,欠陥判定部605は,欠陥が存在すると判定された箇所について,その欠陥波形と感度情報信号に基づいて算出されるウェハ内の欠陥位置を示す欠陥座標および欠陥寸法の推定値を,欠陥情報として制御部53に提供して表示部54などに出力する。欠陥座標は欠陥波形の重心を基準として算出される。欠陥寸法は欠陥波形の積分値あるいは最大値を元に算出される。
【0046】
さらに,アナログ処理部51からの各々の出力信号は,デジタル処理部52を構成するハイパスフィルター604a,604bに加えて,ローパスフィルター601a,601bの各々に入力され,ローパスフィルター601a,601bの各々において,ウェハ上の照明領域20における微小ラフネスからの散乱光量(ヘイズ)に対応する周波数の低い成分および直流成分が出力される。このようにローパスフィルター601a,601bの各々からの出力はヘイズ処理部606に入力されてヘイズ情報の処理が行われる。即ち,ヘイズ処理部605は,ローパスフィルター601a,601bの各々から得られる入力信号の大きさからウェハ上の場所ごとのヘイズの大小に対応する信号をヘイズ信号として出力する。また,微小ラフネスの空間周波数分布に応じてラフネスからの散乱光量の角度分布が変わるため,図8に示したように,互いに異なる方位,角度に設置された複数の検出部102の各検出器からのヘイズ信号をヘイズ処理部606への入力とすることで,ヘイズ処理部606からはそれらの強度比などから微小ラフネスの空間周波数分布に関する情報を得ることができる。
【0047】
パルス分割部8を,図3Aを用いて説明する。パルス分割部は312の密閉構造容器312に収められている。300は出射光調整部4から出射された照明光であり、コリメート光である。照明光300は,1/2波長板301により,偏光方向が偏光ビームスプリッタ302を通過するような偏光方向になるよう制御する。偏光ビームスプリッタ302を通過した照明光は、アパーチャ303を通過した後,1/2波長板304によって照明光が偏光ビームスプリッタ305で分岐するように偏光方向を制御し,305の偏光ビームスプリッタで特定の偏光方向の光が出射される。1/2波長板304によって,偏光方向が光の透過方向からθずれていた場合,出射される光の振幅強度は入力の光に対してcosθ倍になる。この出射した光に対して直交する偏光方向の光が偏光ビームスプリッタ305で分岐し,ミラー306および307で反射し,302の偏光ビームスプリッタに導かれる。
【0048】
305の偏光ビームスプリッタで分岐してミラー306に導かれる光の振幅は,304の偏光方向がθを用いてsinθで表される。この302の偏光ビームスプリッタに導かれた光は偏光ビームスプリッタ302で全反射し,1/2波長板304で偏光される。偏光ビームスプリッタ302で反射され,偏光ビームスプリッタ305に入射した光の振幅に対してsinθ倍された光の振幅が出射され,それ以外の光,すなわち,305への光の入射に対してcosθ倍された振幅をもつ光がミラー306方向に分岐する。
【0049】
このように,ミラー306,307を通る光は,当初,305へ入射された光のsinθの振幅をもち,次いで,
2周回目:sinθcosθ
3周回目:sinθcosθ
のように,周回毎に光強度が低下する。各周回毎の偏光ビームスプリッタ305からの出射光とミラー306の側に反射される光の光量の関係を図3Bに示す。
なお,ビームスプリッタでの光の分岐においてエネルギーは失われない。
【0050】
試料に対するダメージを最小にするためには,305を光束拡大部5の方向に分岐通過する光の強度の最大値を最小にすることが必要である。この最大値は最初に通過するパルスか,あるいは2回目のパルスである。そこで,この最初のパルスと2回目のパルスの光強度が同一になる条件が試料にダメージを与えない最良の条件であることがわかる。
【0051】
すなわち,
Cos θ=sinθ*sinθ
が条件となり,θは51°,振幅はおよそ入力の62%,エネルギーにして38.1%になることがわかる。逆に言えば,レーザ光源の出力を1/0.381=2.6倍にしても試料にダメージを与えないため,装置の感度を大幅に向上できることになる。更に3パルス目,4パルス目の光のエネルギーは,3パルス目で14.6%,4パルス目で6%と急激に減少する。
【0052】
次にパルス分割に必要な光路長について述べる。パルス状の光により,熱が上昇する現象を解析する場合,このパルスが例えば16ps程度とすれば,例えば試料がシリコンである場合を考えると88mm2/Sであり,熱の深さ方向の拡がりは数十nmと極めて表層にしか伝わらない。このため,熱の拡がりは一次元モデルで表すことが可能である。熱の深さ方向の拡がりは時間のおよそ0.5乗で伝わり,ピーク温度はこの拡がりに逆比例すると近似する。例えばパルスの強度が1/25,発光時間が25倍,すなわち400ps程度の時間を経過すると温度は1/5である。パルスの強度が同じで発光間隔が25倍であった場合には,温度はこれよりも大幅に低減する。400psに光の進む距離はおよそ12cmであるため,偏光ビームスプリッタ305から,ミラー306,307を経由して偏光ビームスプリッタまでの距離は12cm程度であれば良いことがわかる。
【0053】
308と309はそれぞれミラー306と307の位置を制御するために用いられる位置制御機構である。また,310と311は1/2波長板の回転角度を制御するための回転制御機構である。112はパルス分割部を外気と遮断するためのカバーであり,313からフィルタを通したドライエアを供給,314から排出する。ドライエアとしては窒素ガスや炭酸ガスなど,不活性ガスが望ましい。これにより,比較的小ビーム径で照明光を通すため,塵等がミラーに付着,化学反応をおこして光軸をずらすことを防止する。
【0054】
図3Aに示したパルス分割部に対して,更に強い光量を試料にダメージを与えずに照明するためにはより細かくパルスを分割する必要がある。この実施例を図4で示す。偏光ビームスプリッタ302から偏光ビームスプリッタ305を経由してミラー307に至るまでに使われる光学要素は図3Aに示したものと同じである。401はアパーチャ,402は1/2波長板,403は偏光ビームスプリッタ404と405はミラーである。偏光ビームスプリッタ305からミラー306,ミラー307を経由して,偏光ビームスプリッタ302に至る光路の光路長は図3のそれに対して3倍強長く設定する。
【0055】
一方,偏光ビームスプリッタ403からミラー405,ミラー404を経由して偏光ビームスプリッタ305に至る光路の光路長は図3のから偏光ビームスプリッタ305からミラー306,307を経由して偏光ビームスプリッタ302に至る光路の光路長と同程度の長さに設定する。なお,図4では図示していないが,各ミラー306,307,404,405には図3Aで説明した位置制御機構308及び309に相当するミラーの角度を調整するための位置制御機構が備えられており,また各1/2波長板304,402には,図3Aで説明したような角度を回転できるように角度制御機構が備えられている。
【0056】
図4の光路を設定した場合の分割されたパルスを図5に示す。光強度を最小にする1/2波長板の回転角は図3Aのパルス分割部と同様であり,θは51°である。図5(a)は光源の出力する光強度であり,図5(b)が図3Aに示した実施例におけるパルス分割部が出力する光強度である。図5(c)が図4で示したパルス分割部の実施例における光強度である。図5(c)における光強度の最大値は図5(a)の光強度の14.5%である。このように本発明によるパルス分割部は,均一な強度のパルスを得ることができず,時間毎にパルス強度の変化が発生してしまう。そこで,前述した511a,511bのローパスフィルタは,分割されたパルスの強度変化が発生する領域は通過しないよう遮断周波数を決定する。
【0057】
高調波の強度の不均一性は,はじめに入力したレーザ光源2から発射されたレーザの発振パルス周波数よりも高周波で発生するため,遮断周波数はレーザ光源2の発振パルス周波数よりも小さくすれば良い。また,この結果,ナイキストの定理より,AD変換部502a,502bのサンプリング周波数はこのレーザ光源2の発振パルス周波数の1/2以下で良い。
【0058】
光束拡大部5は二群以上のレンズ群を有し,入射する平行光束の直径を拡大する機能を持つ。図1Aには、凹レンズ501と凸レンズ502の組合せを備えるガリレオ型のビームエキスパンダの例を示す。光束拡大部5は二軸以上の並進ステージ(図示せず)上に設置され,所定のビーム位置と中心が一致するように位置調整が可能なように構成されている。また,光束拡大部5の光軸とパルス分割部8から偏向制御部6に至るビーム光軸が一致するように光束拡大部5全体のあおり角調整機能機構(図示せず)が備えられる。凹レンズ501と凸レンズ502の間隔を調整することにより,光束直径の拡大率を制御することが可能である(ズーム機構)。
【0059】
光束拡大部5によるビーム径の拡大倍率は10倍から20倍であり、光源2から出射した径1mmのビームが10mmから20mm程度に拡大される。このとき,パルス分割部8で1つのパルスを時分割したことによって発生する各分割したパルスの光軸の傾きは逆に1/10から1/20に減少する。たとえばパルス分割部8から出射した各分割したパルスの光軸の傾きのばらつきが100μrad程度とすると,光束拡大部5から出射する各分割したパルス光のばらつきは5〜10μradになる。
偏光制御部6は,1/2波長板61,1/4波長板62を備えて構成され,照明光の偏光状態を任意の偏光状態に制御する。
【0060】
照明部101の光路の途中において,出射光調整部4から出射した光、及びパルス分割部8から出射した光の状態を計測する照明光状態計測手段21について図6を用いて説明する。照明光状態計測手段21はビームモニタ22と23とを備えて構成される。ビームモニタ22は,出射光調整部4を通過した照明光の位置および角度(進行方向)を計測して出力する。ビームモニタ23は,パルス分割部8が出射する照明光の位置を計測して出力する。
【0061】
ビームモニタ22における照明光の位置計測は,照明光の光強度の重心位置を計測することによって行われる。具体的な位置計測手段としては,光位置センサ(PSD:Position Sensitive Detector)223,あるいはCCDセンサやCMOSセンサなどのイメージセンサが用いられ、出射光調整部4を通過した照明光の一部をハーフミラー221で分岐させ、更にこのハーフミラー221で分岐した出射光調整部4を通過した照明光の一部をハーフミラー222で分岐した光を検出する。ビームモニタ22における照明光の角度計測は前記位置計測手段より光源から遠く離れた位置に設置された光位置センサあるいはイメージセンサ224でフミラー222を透過した光を検出するによって行われる。ビームモニタ22において計測された照明光位置,照明光角度は制御部53に入力され,表示部55に表示される。照明光位置あるいは角度が所定の位置あるいは角度からずれていた場合は,前記出射光調整部4において所定の位置に戻るよう調整される。
【0062】
ビームモニタ23における照明光の位置計測は,パルス分割部8を通過した照明光の一部をハーフミラー231で分岐させ、この分岐させた光を集光光学系232または結像光学系233の何れかに光学系切替え手段234で切替えて、CCDセンサやCMOSセンサなどのイメージセンサ235で検出して照明光の光強度の重心位置を計測することによって行われる。
【0063】
パルス分割部8で光軸がずれると照明集光制御部7による試料上での集光が困難になる。これを図7を用いて説明する。図7では(a)の701および(b)の705はビームモニタ23で検出された二次元状の光量分布を示す。照明集光制御部7は2組のアナモフィックプリズム71および72と集光レンズ73を備えて構成されている。
【0064】
図7(c)には,パルス分割部8から光路の分岐なしに到達するパルス(最初の分割パルス)の光束702とパルス分割部8の分岐光路(偏光ビームスプリッタ305からミラー306、ミラー309、偏光ビームスプリッタ302を通り再び偏光ビームスプリッタ305に至る光路)を通った2回目の分割パルスの光束703で照明集光制御部7に入射する位置はほぼ同一であるが,照明集光制御部7を透過して試料Wへの入射角度が異なっている状態を示す。
【0065】
図7(d)には、照明集光制御部7に入射する最初の分割パルス706と2回目の分割パルス707との位置は異なっているが,照明集光制御部7を透過して試料Wへ入射する方向は同一である状態を示す。
【0066】
照明集光制御部7へ入射する光がコリメートされたビームであれば,図7(e)のプロファイル704と図7(f)の708のプロファイルとが示すように,試料上の集光状態は集光レンズ73の主面位置における光束のばらつきよりも集光レンズ73に入射する光束の角度ばらつきが試料W上で照明を集光するには重要である。たとえば,この分割されたそれぞれのパルス光のレンズへの入射角度の差がΔφであり,集光レンズ73の焦点距離がfであった場合,この2つの分割パルス光により照明される試料w上の位置は、ほぼf・Δφずれてしまう。したがって,Δφを小さくすることが重要である。たとえば光束拡大部5を出射する光のΔφが5μradであった場合,fが100mmであるとすれば,0.5μm程度のずれで集光することが可能である。
【0067】
ビームモニタ23は,Δφを観測する目的で設ける。ビームモニタ23の検出器はCCDセンサやCMOSセンサ等のイメージセンサ232を用い,このイメージセンサ232にコリメート光が集光光学系232を介して集光されるように設定すると,この得られる画像は試料面上のパターンに対して光束拡大部5の倍率分拡大されたものとほぼ等しい。このモードを集光撮影モードと呼ぶ。また,ビームモニタ23の検出器232には,光束拡大部5の入射直前の光束のパターンも結像光学系233を介して結像できるように、光学系切替え手段234で集光光学系232と結像光学系233とを切替え可能な構成にする。この光束パターンの像を撮像するモードを光束撮影モードと呼ぶ。
【0068】
ビームモニタ23は,光学系切替え手段234で集光光学系232と結像光学系233とをモード毎に切り替えてひとつの検出器232で撮像できるような構成について説明したが,それぞれの光学系と検出器との組合せを別個に備えて光路を分岐して同時に2つのモードを撮影できるようにしても良い。更に、光学系を工夫することにより、一つの検出器で同時に2つのモードを撮影できるようにしても良い。
【0069】
照明集光制御部7において調整された試料Wの表面上の照明強度分布は,垂直照明を行う照明集光制御部7vの光軸上の照明強度分布を照明強度分布モニタ24によって計測することによりモニタされる。照明強度分布モニタ24は、照明集光制御部7vの光軸上に配置したハーフミラー241で試料Wの表面からの反射光をレンズ242を介してCCDセンサやCMOSセンサなどのイメージセンサ243上に結像して画像として検出するものである。照明強度分布モニタ24で検出された照明強度分布の画像は制御部53において処理され,強度の重心位置,最大強度,最大強度位置,照明強度分布の幅,長さ(所定の強度以上あるいは最大強度値に対して所定の比率以上となる照明強度分布領域の幅,長さ)などが算出され,表示部において照明強度分布の輪郭形状,断面波形などと共に表示部55の画面上に表示される。
【0070】
ビームモニタ23を用いたミラー41,42,306,307の調整方法について図11を用いて述べる。ここでは,図3Aに示した構成における、まず1/2波長板301と304との回転角度を制御するための回転制御機構310と311をパルス分割部8に入射される光がすべて偏光ビームスプリッタ302および305で分岐をせずに出力される状態(A)に設定する(S1101)。ビームモニタ23を光束撮影モードにして光束パターンを撮影し(S1102),制御部53で輝点の重心位置を計算し(S1103),この結果をもとに光束が光束拡大部部5において光学系の中心位置を通るように出射光調整部4のミラー41,42を制御して光軸を自動的にあわせる(S1104)。このときのミラー41,42の角度は一般的に知られる幾何光学的な手法で容易に求めることができる。これを光束の重心位置が所望の位置に来るまで行う(S1105)。
次いで光学系切替え手段234で集光光学系232が検出器232の検出光軸上に位置するように調整して、ビームモニタ23を集光撮影モードに設定して撮影し(S1106),再び制御部53で輝点の重心位置を計算し(S1107),光束がビーム拡大部5の中央に入射する条件を維持したまま,集光モードにおいてビームが所定の位置に集光されるミラー41,42それぞれの制御値を算出し,この状態になるようにミラー41,42それぞれの角度を自動設定する(S1108)。このS1106からS1109までの操作を、光重心位置が所望の位置に来るまでくりかえす(S1109)。また,ミラー41,42それぞれの角度が設定された状態で制御部53で光学系切替え手段234を制御して結像光学系233により光束撮影モードで光束パターンを撮像し、また、集光光学系232により集光撮影モードで光束パターンを撮影する。撮影した光束パターンより,光束撮影モード,集光撮影モードそれぞれの光束の重心位置を求め記憶する(S1110)。 次いで,回転制御機構311を,すべての光が偏光ビームスプリッタ302を透過し偏光ビームスプリッタ305から分岐して,ミラー306,307で順次反射して再びビームスプリッタ302に至るモードに設定する(S1111)。この状態で制御部53で光学系切替え手段234を制御して集光光学系232と結像光学系233とを切替えて、結像光学系233によりビームモニタ23を再度光束撮影モードに設定して光束を撮影し(S1112),制御部53で輝点の重心位置を計算し(S1113),この結果をもとに,光束が状態Aの光束撮影モードのパターンと一致する,ミラー306と307の角度を算出し,この角度になるように位置制御機構308と309の角度を自動設定する(S1114)ことを、光重心位置が所望の位置に来るまで行う(S1115)。
【0071】
この角度も幾何光学的に求めることが可能である。なお,得られたパターンの総光量が期待値に対して低い場合はアパーチャ303の中心を光束が通過していない可能性が大きいため,輝点の重心位置が変化しない条件で,異なる角度設定を複数回試行し,最大の明度になる角度にミラー306と307を設定する。
【0072】
次いで,制御部53で光学系切替え手段234を制御して結像光学系233と集光光学系232とを切替えて、集光光学系232によりビームモニタ23を集光撮影モードに変更して,状態Aの集光撮影モードの光束を撮影し(S1116),光束の重心位置を算出し(S1117),S1110で算出した集光撮影モードの重心位置と一致するように,ミラー306と307の角度を算出し,この角度になるように位置制御機構308と309の角度を自動設定する(S1118)ことを、光重心位置が所望の位置に来るまで行う(S1119)。
図12にビームモニタ23の光束撮像モードにおいて光束拡大部5の入射部で,光束が定まった位置に入射されながら,角度が異なっている状態を示す。ミラー306において理想的なミラーの位置からΔθ1,ミラー307においてΔθ2ずれていた場合,光束拡大部5における理想的な光軸からのずれ量はΔθ1,Δθ2が微小であれば,所望の光軸位置からのずれ量であるΔyは以下の式で近似できる。
Δy=2((y1+x2)Δθ2−(x1+y1+x2)Δθ1)
光束撮影モードにおいては,このΔyに比例した距離が,重心位置のずれとして検出できる。
【0073】
ここで,x1はミラー306,307間の距離,y1はミラー307,偏光ビームスプリッタ302間の距離,x2は偏光ビームスプリッタ302からビーム拡大部までの距離である。
一方,集光撮影モードにした場合,所望の位置からのずれΔy2に比例した量が観察され,この値は以下の式で表される。
Δy2=Δθ2−Δθ1
よって,上記2つの式より,各ミラーのずれ量,Δθ1,Δθ2を算出して,所望の位置にミラーをセットすることができる。また,この式には近似がはいっている,あるいはx1,x2,y1の値の誤差などにより,完全に所望の光軸あわせができていない場合もあるため,再度,光束撮影モード,集光撮影モードにして所望の誤差範囲内になるまで調整を繰り返す。
【0074】
また,最後に回転制御機構311を,1回のパルス発光強度の最大値が最も小さくなる角度に設定し(S1120),光束撮影モード,集光撮影モードにして,光束を撮影,重心位置を算出し(S1121),S1110で算出した位置と異なっていた場合には,再度S111よりミラー位置をあわせる(S1122)。S1110で算出した光束位置と一致した場合にはこの光束の像を撮影し,この画像を保存する。
【0075】
また,GUIを介して,ビームモニタ23で検出したパターンを表示できるようにする。図13はこのGUI1300の一例であり,例えば表示部55に表示される。1301は光束撮影モード時にビームモニタ23で検出した画像,1302は集光撮影モード時にビームモニタ23で検出した画像であり,それぞれ,検出画像と制御部53に記憶させておいた任意の記録画像が同時に表示できる。 このとき、例えば保存画像と検出画像の色を変えることが望ましい。保存画像としては例えば,前回の調整画像や,回転制御機構311を駆動して1/2波長板301を透過した光がパルス分割されないモードに1/2波長板301を設定した際にビームモニタ23で取得されるパターン等として,これを基準に現在の調整状態を判断できるようにする。
【0076】
1303は調整のために用いるパラメータであり,ミラー306の角度,ミラー307の角度やレーザ光源2から出力されるレーザパワー,回転制御機構311で制御する1/2波長板301の角度等である。また,1304は保存画像の切り替え用のインターフェースであり,保存画像名を入力する。1305は自動調整ボタンであり,このボタンを外部入力インターフェース,例えばマウスやトラックボールでクリックすることで自動調整が行われる。
【0077】
典型的な試料の検査方法を図14に示す。(a)に示すように、試料Wに1401に示すような一方向に細長い光で照明を行う。(b)のように試料Wを回転させながら一方向に細長い照明光1401の位置試料Wの半径方向(S2の方向)に移動させることにより螺旋Tのように走査して試料全面の検査を行う。検査感度を向上させるには,照明のスポットサイズを狭くする必要があるが,スポットサイズは試料Wを回転させるステージのスピードが低い状態でも高スループットで検査を実現するためにはS1方向に線幅を狭くする必要があるが,S2方向には線幅を一般には拡大させる。このため,パルス分割部8で厳密に軸調整をする必要があるのは一方向のみである。
【0078】
一方,パルス分割部に小スポット光を入力すると,光強度の強いレーザではミラーや偏光ビームスプリッタなどの光学機器にダメージが発生しやすくなる。そこで,このダメージを小さくするには,照明スポットを一方向のみ拡大させ,パルス分割部に入力し,もう一方向をパルス分割の後に拡大させる方式がある。この実施例を図15に示す。
【0079】
図15では図1の検出系および処理系を省略した部分を示しており,光束拡大部がパルス分割部8の前後に分かれて,5A,5Bに分割されている。5Aは試料W面上のS2方向に対応する方向のみ光束を拡大させ,5BはS1方向に対応する方向のみ光束を拡大させる。このようにすることで,パルス分割部における光束の面積を拡大させ,光学部品の大パワーレーザによるダメージを軽減させる。S2方向は試料上でのビーム径が大きいため,角度方向のばらつきが多少あっても,この変動を受けることが少ないので問題がない。
【0080】
本実施例では,上記に示したように調整を行うことで試料面上において,特にS1方向に理想的なガウス分布に近づくようにするが,多数の異なる光路からの光を照明するため,必ずしも理想的なガウス分布にはならない。そこでビームモニタ23で撮影した,集光撮影モードのパターンを用いて試料面上でのプロファイルを推定し,信号処理のパラメータを変更することで,装置間の感度差や,再現性を確保する。試料面でのS1方向のプロファイルがp(x)とする。このとき,欠陥がS1方向のビームプロファイルに対して十分小さければ,時系列的に得られる欠陥に相当する欠陥判定部605の出力s(t)は,p(x)のプロファイルと一致する。p(x)時系列信号に変換した信号をPS(t)とおく。欠陥をノイズと最も分離するには,s(t)に対してPS(t)のプロファイルを畳み込めば良い。そこで,ビームモニタ23のプロファイルを用いてハイパスフィルタ604a,604bを形成する。このとき得られる欠陥信号の期待値はPS(t)の2乗の積分に比例し,このため,ビームモニタ23のプロファイルの変化により検出する信号強度が変化する。
【0081】
検査装置は欠陥の検出とともに,欠陥サイズを検出することも重要である。一般に照明波長に対して欠陥のサイズが十分小さい場合は,レイリー散乱領域であり,欠陥のサイズの6乗に散乱光量は比例する。このため,検出信号強度の6乗根をもとに欠陥のサイズを算出して,検出した欠陥のサイズとして出力する。しかし,ビームのプロファイルがパルス分割部8で変化する場合,レイリー散乱の6乗以外にPS(t)の2乗に対しても比例するため,これを正規化する必要がある。そこで,欠陥のサイズを(数1)のように算出する。
【0082】
【数1】

【0083】
ここでKは定数である。欠陥判定部605,606において,上記の式で欠陥のサイズを求めることにより,万一,パルス分割部8において光束の軸がずれた場合においても安定した欠陥の検出,およびサイズ判定を行うことができる。
この判定した欠陥のサイズの情報は、表示部55の画面上に表示される。
【符号の説明】
【0084】
2・・・光源 3・・・アッテネータ 4・・・出射光調整部 5・・・光束拡大部 6・・・偏光制御部 7・・・照明集光制御部 7v・・・照明集光制御部 22・・・ビームモニタ 23・・・ビームモニタ
53・・・制御部 54・・・表示部 55・・・入力部 101・・・照明部 102・・・検出部 103・・・ステージ部 105・・・信号処理部 120・・・照明光軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を載置して回転可能なテーブル手段と、
パルスレーザを発射する光源手段と、
該光源手段から発射されたパルスレーザをパルス分割し、該パルス分割したパルスレーザで前記テーブル手段に載置されている試料を照明する照明光学系手段と、
該照明光学系手段によりパルス分割されたパルスレーザで照明された前記試料からの反射光を検出する検出光学系手段と、
前記反射光を検出した検出光学系手段からの出力信号を処理して前記試料上の欠陥を検出する信号処理手段と、
該信号処理手段で処理した結果を表示画面に出力する出力手段とを備え、
前記照明光学系手段は、
前記光源手段から発射されたパルスレーザをパルス分割するパルス分割部と、
該パルス分割部から出射したパルス分割されたパルスレーザの光強度の重心位置をモニタする第1のビームモニタ部と、
該第1のビームモニタ部でモニタした前記パルス分割されたパルスレーザの光強度の重心位置を調整する光強度重心位置調整部と
を有することを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項2】
前記出力手段は前記第1のビームモニタ部でモニタしたパルス分割されたパルスレーザの像を前記表示画面に表示することを特徴とする請求項1記載の欠陥検査装置。
【請求項3】
前記照明光学系手段は、前記パルス分割部でパルス分割されたパルスレーザの光束の径を拡大する光束拡大部を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の欠陥検査装置。
【請求項4】
前記照明光学系手段は、前記光源手段から発射されたパルスレーザのビーム位置及びビーム進行方向を調整する出射光調整部と、該出射光調整部を透過して前記パルス分割部に入射するパルスレーザの位置及び角度をモニタする第2のビームモニタ部とを更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の欠陥検査装置。
【請求項5】
前記パルス分割部は、1対の偏光ビームスプリッタと1対の反射ミラーとを備えて構成され、前記光強度重心位置調整部で前記1対の反射ミラーの角度を調整するように構成されていることを特徴とする請求項3記載の欠陥検査装置。
【請求項6】
前記パルス分割部は波長板を更に備え、該波長板により前記光源手段から発射された1パルスのパルスビームで前記パルス分割部を通過した最初の分割パルスと2回目の分割パルスの振幅が調整可能に構成されていることを特徴とする請求項5記載の欠陥検査装置。
【請求項7】
前記照明光学系手段は、前記光束拡大部で光束の径を拡大されたパルス分割されたパルスレーザの偏光の状態を制御する偏向制御部と、該偏向制御部で偏光の状態を制御されたパルスレーザの光路を切替える光路切替部と、該光路切替部で光路を一方の側に切替えられた前記偏光の状態を制御されたパルスレーザを前記テーブル手段に載置された試料に対して斜め方向から照射する射方照明部と、前記光路切替部で光路を他方の側に切替えられた前記偏光の状態を制御されたパルスレーザを前記テーブル手段に載置された試料に対して高角度方向から照射する高角度照明部とを更に備えたことを特徴とする請求項5記載の欠陥検査装置。
【請求項8】
前記信号処理手段は、前記照明光学系手段により前記パルス分割された不均一な発光強度のパルスレーザで照明された前記試料からの反射光を検出した検出光学系手段からの出力信号に対して低域通過フィルタリングを行うフィルタリング部と、該フィルタリング部で低域通過フィルタリング処理された信号を処理して欠陥を抽出する欠陥抽出部とを有することを特徴とする請求項6記載の欠陥検査装置。
【請求項9】
光源から発射されたパルスレーザをパルス分割し、
該パルス分割したパルスレーザを回転しながら一方向に移動している試料の表面に照射し、
該パルス分割されたパルスレーザが照射された前記試料からの反射光を検出し、
該反射光を検出した信号を処理して前記試料上の欠陥を検出し、
該検出した欠陥に関する情報を表示画面に出力する欠陥検査方法であって、
前記パルス分割したパルスレーザの光強度の重心位置をモニタし、
前記モニタしたパルス分割されたパルスレーザの光強度の重心位置を調整する
ことを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項10】
前記モニタしたパルス分割されたパルスレーザの像を画面上に表示し、該画面上に表示されたパルス分割されたパルスレーザの像に基づいて該パルス分割されたパルスレーザの光強度の重心位置を調整することを特徴とする請求項9記載の欠陥検査方法。
【請求項11】
前記パルス分割したパルスレーザの光束の径を拡大して前記試料の表面に照射することを特徴とする請求項9又は10に記載の欠陥検査方法。
【請求項12】
前記光源から発射されたパルスレーザのビーム位置及びビーム進行方向を調整し、該ビーム位置及びビーム進行方向が調整されたパルスレーザをパルス分割する前に前記パルスレーザの位置及び角度をモニタすることを特徴とする請求項9又は10に記載の欠陥検査方法。
【請求項13】
前記パルス分割することを、1対の偏光ビームスプリッタと1対の反射ミラーとを備えて構成された光学系を用いて行い、前記光強度の重心位置を調整することを、前記1対の反射ミラーの角度を調整することにより行うことを特徴とする請求項11記載の欠陥検査方法。
【請求項14】
前記パルス分割することを、前記光源から発射された1パルスのパルスビームを分割した最初の分割パルスと2回目の分割パルスの振幅がほほ同じになるように調整することを特徴とする請求項13記載の欠陥検査方法。
【請求項15】
前記光束の径を拡大したパルス分割したパルスレーザの光路を切替えて、前記試料に対して斜め方向から照射する射方照明又は前記試料に対して高角度方向から照射する高角度照明の何れかの照明により前記パルス分割したパルスレーザを前記試料の表面に照射することを特徴とする請求項14に記載の欠陥検査方法。
【請求項16】
前記パルス分割された不均一な発光強度のパルスレーザで照明された前記試料からの反射光を検出した信号に対して低域通過フィルタリングを行い、該低域通過フィルタリング処理された信号を処理して欠陥を抽出することを特徴とする請求項14記載の欠陥検査方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−252841(P2011−252841A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128029(P2010−128029)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】