説明

歯科用補綴物計測加工システム

【課題】非接触で口腔内から患者、歯科医師の負担を軽減させながら直接歯科用補綴物の三次元形状データを取得して、正確な歯科補綴物を製造する。
【解決手段】被写口腔内物を静止的に撮影する画像データ化手段、計測時に被計測物の三次元形状が計測可能な状態で前記画像データ化手段の位置が固定された固定部位を持ち口腔内に挿入可能な大きさを持つ支持体、前記画像データ化手段で得られた撮影情報から、被写口腔内物の三次元形状を得る三次元形状取得手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内から直接三次元形状情報を取得し、当該三次元形状情報に基づいて、補綴物等を製造するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
CAD/CAMを用いた歯科補綴物の加工製造は、コンピュータ、計測機器等の性能の向上により、精度の高い補綴物を製造することが可能となったが、依然として自動計測に際し、口腔内から凹状の歯型を有する印象を採り、この印象から凸模型を形成して、この凸模型の表面形状を自動計測してデータ化し、加工用ブロックを加工して補綴物を製造する手法を採る場合が多い。
印象材の口腔内への適用は、患者にとって、感触的に好ましくなく、また、歯科医、歯科技工士にとっても手間がかかる作業であった。
【0003】
特開2000−74635号では、歯の形状を非接触で口腔内から直接取得するプローブが提案されている。これは、レーザ光を口腔内の計測部位へ照射してその照射光と反射光の経路間の角度に基づいた三角測量手法を用いて、非接触的に口腔内物の形状を測定する手法が開示されている。この手法は、国際公開WO2009/139110でも紹介されている様に、予め酸化チタン等を含む溶液を歯に塗布して、反射光を明確に得ることが必要とされていることが記載されている。
【0004】
又、国際公開WO2009−113068では、レーザ光を被写口腔内物に走査するように照射してこの反射戻り光の位相のずれを利用して中間スクリーンに多重の干渉縞を形成してこの干渉縞の特徴から、被写体間の距離を測定するコノスコープ手法を用いたものであって、口腔内から直接非接触で口腔内形状物の三次元形状を計測することが記載されている。
特開2000−74635号、国際公開WO2009−113068号は、いずれも手持ち型の計測機器であるが、イメージスキャナの様に複数の繰り返し往復走査中や、一群の光ビームを形成してその三角測量角度を移動させる手法は、プローブをしっかり固定する必要がある。
【0005】
他方、特開2003−148934号公報には、多数の画像を撮影する主にビデオカメラを使用して、写真測量で三次元データを形成し、更に三次元モーフィング補正により、正確な補綴物を得ることが開示されている。
多数の画像を撮影するため、上記先行技術と同様、長い時間、半固定的な撮影が必要であり、途中で動かないよう、被写体となる患者は、我慢が強いられる。
【0006】
これらは、いずれも手持ち型で、自由度がある計測器にも捉えられるが、測定するための時間が長いため、その間、患者及び医師は揺動を生じてはならないという制約が化せられる場合が多い。
【0007】
この様な制約を解消するために、特表2004−519289号では、マウスピース型の実験機器にセンサと照明を装着してこれをマウスピースの外周で移動させながら計測する手法が開示され、
特表2004−502137号公報では、口腔外にセンサ付のロボット等で駆動可能なガイド体を形成し、これを直接口の中に入れ、口腔内を移動しながらセンサによって、口腔内情報を計測する手法が開示されている。
これらの手法は、据え置き固定型であり、手持ち型に比べ、安定した、センサの駆動が可能となるため、モアレ、写真測量、干渉分光、ステレオカメラ等様々なセンサが利用できるが、機器としては、大がかりで、口腔内に機器を固定的に配置する為、患者に一定の負担を強いるものとなる。
【0008】
据え置き固定タイプと上記先行技術に示される手持ち型の計測器は、口腔内で、直接口腔内物の表面を三次元計測するものであるが、多数の画像の取得、形状計測のための走査期間の固定、患者の負担を強いる機器の口腔内への導入といった、実用的に困難な点が多い等の点から、特開2002−224143号公報、特開2004−237104号公報で示されるような、印象模型の計測を併記したものが依然として多い。
【0009】
特開2002−224143号公報は、三次元計測後の補綴部位の歯牙の計測データと、予め健康な状態の歯牙を三次元形状にて計測して、これを見本として、加工用データを計測し、補綴物を得ることが記載されており、特開2004−237104号公報には、予め口腔内の状態を3Dカメラ、CTスキャンで計測して三次元形状データを形成し、この三次元形状データに予め作成された人工歯データを組み合わせて仮想義歯を形成し、この仮想義歯に基づいて、加工用ブロックの加工と、データに対応する人工歯の配置により、義歯を製造することが記載されているが、口腔内の情報を取得する具体的手法は示されておらず、確かにデータ処理については、その他にも様々な提案がされているが、上述した口腔内を直接計測する先行技術が、その取り扱いにおいて未だ十分ではないため、印象模型を用いず、口腔内から直接口腔内情報を取得して、様々な補綴物を製造するといった手法は、未だ実用性において不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開WO2009−113068号公報
【特許文献2】国際公開WO2009−139110号公報
【特許文献3】特開2000−74635号公報
【特許文献4】特開2003−148934号公報
【特許文献5】特開2004−519284号公報
【特許文献6】特開2004−502137号公報
【特許文献7】特開2002−224143号公報
【特許文献8】特開2004−237104号公報
【特許文献9】特開2004−283594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように口腔内を直接三次元計測する手法には、いわゆる手持ちタイプ、口腔内へ固定据え置くタイプ等が提案されているが、いずれも、計測の為の負担が大きいことから、これらの負担を解消し、口腔内を直接三次元計測する歯科用補綴物の製造方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記に鑑み本発明は、口腔内を静止画的に画像データ化する画像データ化手段、被計測物の三次元形状を計測可能な状態として前記画像データ化手段が設置され、且つ口腔に配置可能な大きさを持つ支持体、前記画像データ化手段で得られた撮影情報から、被写口腔内物の三次元形状を得る三次元形状取得手段により、口腔内に手動で挿入した距離空間が規定された状態で配置した画像データ化手段により三次元データ取得可能な画像を得、当該画像から得られた被写体の座標をデジタル処理によって仮想的に補綴物形状を得ることができるデータを形成し、これをコンピュータのモニター上に表示可能とすると共に、加工データ化して、補綴物を作成することができ、口腔内形状を患者、医療当事者のいずれにも負担が無い状態で、得ることが出来、歯科補綴物の製造を短時間で、且つ精度良く製造することを実現した。
【0013】
本発明における画像データ化手段は、例えばシャッターを押したタイミングで、撮影画面が取り込まれる程度のものを示すものであって、静止画像、又は、一つの画像の前後に複数の連写的な画像が取り込まれてもよい。この様な複数の画像の取り込み、所定の時間後に、撮影を行う機能の追加等は、いわゆるシャッター操作の際の手ぶれを防止する場合に好適な態様となる。又、一般的にカメラ、携帯電話で用いられている手ぶれ防止機能を組み合わせてもよい場合もある。ビデオカメラ等の動画撮影機器を用いた場合は、動画の中から静止画を選ぶ場合もあり、最終的に静止画がえられれば、特に限定されない。
【0014】
本発明における、被計測物の三次元形状が計測可能な状態で前記画像データ化手段が設置され、且つ口腔に配置可能な大きさを持つ支持体、は、静止画を利用した三次元座標の取得可能な状態を計測部位に配置するものであって、三次元座標取得手法によって相違するが、例えば、一つのカメラを支持して、これを移動させ、複数の写真を撮る場合は、撮影の条件であって、移動距離、移動方向、移動位置が数値として表示できるような移動を行い得る構造を取り得るものであり、例えば棒状の支持体を長手方向に所定間隔毎に撮影していくもの等が示され得る。この構成により、計測が出来ない部位を極力抑えることができる。又、これを2地点で固定したステレオカメラは、座標取得の際、計算量を少なくする点と、カメラの位置が固定されている点で有効である。
【0015】
ステレオカメラによる三次元座標データ取得の際は、取得演算が、カメラ同志の水平、垂直位置の関係で一定の間隔、全てのカメラがそれぞれが特定の方向を向いている状態を少なくとも撮影の際、形成されていることである。特に至近距離での撮影を行う場合は、
画角を狭くし、お互いに向き合う方向に角度をもって設置されても良い。画角を狭くして撮影した場合(標準範囲のレンズ(50°〜25°)も含む。更にそれ以下15°以下の望遠レンズ状態でも良い場合もある。)は、交差する範囲も小さくなるが、画素単位で、負担する撮影面積も小さくなるため、共通点の把握やその推定が、より正確さを増すことから、精度の高い補綴物の作成を可能とする場合がある。
次に位置を変えながら撮影していき、それぞれのカメラの位置における画像データの座標をワールド座標に変換して、前の撮影の際に得られたワールド座標のデータと現時点でのワールド座標データを連結して、3次元形状を表す3次元座標データを形成する。この場合のカメラはアクテイブに移動させることが好ましく、連続した撮影を行いピンぼけの画像データを排除しながら処理を好ましくはリアルタイムでおこなうことが好ましい。
【0016】
連写的とは連続した自動撮影を示し、単写とは、手動によるシャッター操作を示し、得られる画像対は、1枚だけではなく、連続したシャッター操作による複数の画像データ対を含む場合もある。
ここで示す画像対は、視差画像が得られる関係の状態であればよく、2枚以上も示す場合もある。
撮影した複数の画像座標データから、共通点座標をワールド座標で得て、これを蓄積しながら、コンピュータモニター上のワールド座標表示上にプロットしていき、所定の間隔でワイヤーフレームモデル化するなどCG(Computer Graphics)表示することで、撮影されていない場所がわかり、プローブをその部位へ移動させて撮影することで、オクルージョンを解消した口腔内の3次元モデルが形成可能となる。
ここで「計測時」とは、撮影するタイミングであって、その前後で、移動しても良いことを示す物である。本発明では、例えばステレオカメラであれば、画像データ化手段が口腔内に挿入され、歯と一定の間隔をもって手動配置されることで、三次元計測形状が測定可能ということを示している。手動配置は、揺動を伴うが、カメラの配置が固定された支持体であれば、たとえ揺動しても、画像が通常通りに明確であれば、その写真の範囲で三次元座標データが取得できる。
【0017】
画像データ化手段としてのカメラは、今般携帯電話に使用されている縦横高さ寸法が、好ましくは10mm以内か、より小さいカメラモジュールが使用されることで、デンタルミラーにより近い大きさを実現可能とする。尚、至近距離撮影をする場合、レンズは、10mm以下又は、25mm迄の距離で被写界深度の範囲となるようなものが好ましい。 更に本発明は、前記画像データ化手段で得られた撮影情報から、被写口腔内物の三次元形状を得る三次元形状取得手段により、いわば、画像データ化手段から得られた画像情報を分析して三次元距離の測定を行う受動的計測が好ましい。
その他、モアレのような、等高線模様を被写体に投影し、これを瞬間的に取得する静止画として、取り込んで、この等高線模様の三次元座標を検出する方法であっても、当該構成を支持体に計測時固定的に配置しても良い。
【0018】
本発明は、少なくとも、1乃至複数の画像データ化手段により撮影された静止画像、又は位置を変えて撮影された複数の静止画像に被写体に相当する歯牙損失部位、又は、欠落部位が含まれる状態で三次元計測可能に撮影されればよく、写真測量法等、位置決めが支持体上で設定される場合もある。
本発明における傾き情報検出手段は、傾きセンサー又は加速度センサーのようなマイクロチップが、好ましいが、これに限らず、撮影画像から、傾き抽出を行うソフトウエア処理、GPSセンサのような位置決めセンサの組み合わせ等であってもよい。
本発明の計測時のタイミングは、歯科医が任意のタイミングで撮影が行われてもよく、
更にカメラの方向を傾きセンサで計測し、垂直、水平又は、計測手段に応じた最適な角度となったとき、LEDの表示、モニター画面の表示を知らせて、操作者が、これを感知しシャッターを押すものであってもよく、傾斜センサが最適な状態の信号を出力したタイミングで、シャッターを押すものであっても良い。
【0019】
本発明は、画像データ化手段が支持体に設置される場合、例えば歯列の側面撮影の場合は、撮影者が支持体を持って、口腔内に画像データ化手段を配置する際、画像データ化手段が常に垂直状態を保つ、いわゆるがん灯の様な構成にしてもよい。
尚、本発明は、このような傾きセンサーを要しない場合もある。
即ち、本発明は、複数の撮影画像座標からワールド座標への変換を行う手段を取り入れることで、撮影画像が傾いたり、反転しても、良い場合がある。
ワールド座標への変換は、三角法等の公知手法を用いればよい。このように、ワールド座標への変換工程を採用することで、カメラの撮影姿勢を問題とすることがなく、アクテイブにカメラを動かして、距離を求めることができる画像対を複数形成して、補綴部位周辺の3次元座標を容易に取得できる。ワールド座標に変換することで、1回の撮影で生じるオクルージョン部位を、更にプローブを移動させてアクテイブ化し、連続した撮影を行うことで、解消させることができる。その際、画面上に、3次元形状が得られ、例えばCG化して表示し、どの部分が未測定かをモニターで確認しながら、プローブの移動を行い、撮影していない部位の効果的な撮影が可能となる。
【0020】
口腔内撮影に基づくワックスアップレス手法による歯科補綴物の製造手法について、

本発明では、口腔内の歯の形状を直接形状計測をするだけでなく、欠落した歯牙部分から、隣在歯によって得られる最大豊隆部、対合歯との関係から得られる歯高値、等の仮想補綴物形成の為のパラメータを得るだけでも十分利用が可能である。
即ち、口腔内で撮影された隣接歯と補綴部位の三次元座標検出可能な静止画、対合歯の三次元検出可能な静止画を前記画像データ化手段で撮影し、前記静止画より、仮想補綴物形状形成に必要な数値データを抽出すると共に、前記データに対応して、咬合面、支台歯面の三次元座標を検出し、前記数値データと三次元座標から仮想補綴物形状を取得する工程又は手段を組み合わせることで、口腔内の歯が欠落した部位から模型の製造を全くせず、仮想補綴物をコンピュータ上に形成した後、直接加工装置でブロックの加工を可能とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、瞬間的な連写的、単写的な撮影により、三次元形状データが得られる手段を、半固定的な状態又は、手持ち型に近い状態での使用即ちプローブ構成の使用とし、より至近距離からの撮影をすることで、患者、歯科医師、医療従事者に負担を与えず、正確な口腔内情報が得られ、更に欠落部及びその周辺から、仮想的歯科補綴物から歯科用補綴物を効率よく製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例を示すブロック図。
【図2】本発明の一実施例を示す図。
【図3】本発明の実施例を説明する為の図。
【図4】本発明の実施例を説明する為の図。
【図5】本発明の他の実施例を示す図。
【図6】本発明の他の実施例を示す図。
【図7】本発明の他の実施例を示す図。
【図8】本発明の他の実施例を示す図。
【図9】本発明の他の実施例を示す図。
【図10】本発明の他の実施例を説明する図。
【図11】本発明の他の実施例を示す図。
【図12】本発明の他の実施例を示す図。
【図13】本発明の他の実施例を示す図。
【図14】本発明の他の実施例を説明する為の図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、天然支台、インプラント支台に対するクラウン、インレー、義歯、オンレー等の歯科補綴物の製造に足りる情報を、口腔内から得る為のものであって、歯科補綴物が、クラウンであれば、側面、及び上面からの撮影した2組のステレオ画像によって、三次元データを取得する。インレーの場合は、その方向のみの一組の画像で足りる。
場合によっては、一組毎に立体座標を取得し、2つの立体座標間の整合性をとって結合し、口腔内情報を形成する。
立体座標間の整合性は、例えば、支台歯、インレー用の加工部を基準とした座標変換を行い、それぞれの撮影時の撮影角度及び撮影距離を調整した上で結合することで得ることが出来る。即ち、手持ち型、又は半固定的な状態であるため、撮影角度、距離が異なる場合は、支台歯等の加工部分の一部を中心座標として変換する。
この中心座標に他の画像を重ね合わせ、距離を調整し、撮影角度が一致するような演算を行う。また、両方の傾きセンサーの値から、直行関係を形成するため座標値を調整する場合もある。又、複数の撮影画像座標から三角法などの既知の手法によりワールド座標への変換をしてもよい。
撮影角度の調整も同様に画像上で処理され、患者に負担を強いることがない。
本発明で示す半固定型とは、例えば手持ち型に、口腔内の他の歯牙と接触して一時的に撮影カメラと歯列の距離を固定する為の固定支持具を併せ備えるもの等が例示される。
半固定により、垂直、水平が保たれ、撮影角度、撮影距離の補正も容易となる。
当該半固定により、その固定具と口腔内の接点を、中心座標とする場合もある。
【0024】
図4は、クラウンを例えばステレオ撮影を用いて三次元計測する際の、座標取得の一例を示す。
101は、支台歯であって、歯科医が補綴物を装着するために天然歯を整形して形成される。21A、21Bが隣接歯、21Cが歯肉の部分である。102は、撮影用カメラの撮影画像であり、撮影画面が投影される平面に座標を付した模式的表示である。103は、撮影用カメラの撮影画像であり、104は、撮影カメラの撮影画像で3台のカメラで構成されている。いずれも同じ構成を有しており、例えば一般的なデジタルカメラのカメラモジュールを垂直水平に配置して形成される。 fは、焦点距離であり、同じ撮影用カメラを用いて同じ値とすることが好ましい。
【0025】
図4で示す実施例は、3台の撮影カメラを用いているが、必ずしも3台必要とするのではなく、少なくとも、撮影画面102と撮影画面104の水平方向に2つかまたは、撮影画面103と撮影画面104の垂直方向の2つの組み合わせが有ればよい。
尚、3つの画像データ化手段を支持体に配置固定した場合も、それぞれ垂直および水平の関係のカメラの組み合わせで、得られた三次元座標データのいずれか好ましい方、又は、座標ごとの平均処理を施して、より正確な座標が得ても良い場合もある。
本発明では、口腔内の限られた空間を撮影対象とする為、水平、垂直のいずれかでは、カメラの撮影範囲を示すウィンドウに入る主要な被写物が異なる場合があるため、互いに補完して、十分な撮影ウィンドウを確保する事が出来る点で、図4でしめすカメラ配置が好適である。
102P、103P、104Pは、支台歯表面の点101Pを撮影した際の座標であり、
それぞれの座標を102P(xa,ya)、103P(xb、yb)、104P(xc、yc)で示す。
【0026】
水平関係に基づく撮影画面102の座標102Pと撮影画面104の座標104Pより

目的とする座標101P(x、y、z)を得る式は、

x=Tb(xa+xc)/2(xa-xc) y=Tb(ya+yc)/2(xa-xc)
z=Tbf/(xa-xc)
(xa-xc:水平の視差 Tb:撮影画面102の中心点oaと撮影画面104の中心点ocの距離)
垂直関係に基づく撮影画面103の座標103Pと撮影画面104の座標104Pより

目的とする座標101P(x、y、z)を得る式は、

x=Ta(xb+xc)/2(xb-xc) y=Ta(yb+yc)/2(xb-xc)
z=Taf/(yb-yc)
(yb-yc:垂直の視差 Ta:撮影画面103の中心点obと撮影画面104の中心点ocの距離である。)
【0027】
両者は、実際は異なる場合もあるが、いずれかを選択するか、一方の撮影では、撮影されなかった部位を補う目的にいづれかを用いても良く、口腔内では、近距離計測となるため、3つの映像手段を組み合わせて使用する方が好ましい。
画像データ化手段の構成配置については、例えば、新技術コミュニケーションズ発行 光三次元計測:吉澤徹著、1998年に記載された計測手法を好適に利用している。
この原理は2つのカメラ構成によるものであるが、これを一つとした場合でも、同様であり、いわゆる写真測量的手法となる。
即ち、一つのカメラで102の部位で撮影、次に104の部位で写すとそれぞれ得られた写真画より上述の座標が得られる。
更に、104から横へスライドして105の位置でカメラ撮影をすれば、104の写真画像と105での写真画像から同様の座標が得られると共に、104の写真画では、計測できない部分の立体座標を取得できる。このカメラの移動ができれば、見えない部分の撮影が可能となると共に、更に広範囲の座標が得られる。
尚、この場合、座標101Pを設定することについて、歯の色、歯の光反射性等で位置が認識出来ない場合は、予め、線、点の影を表面に投影して位置決めをしたり、認識しやすいように、酸化チタン粉末を含む溶液を撮影部位に塗布しても良い。
【0028】
更に、撮影画面上に、基準点が設けられれば、そこから等間隔の位置を設定して、演算用の位置座標を求めることもできる。図4の場合は、例えば、支台歯101の上部平面周辺に設定することが可能である。
又、一枚のステレオ写真では、隠れて見えない部位が生じるが、その際は、カメラの角度を変えて見える角度で繰り返し撮影する場合がある。その際、基準に対する角度を予め設定しておき、角度が変わった場合の写真図から得られた、X、Y、Z座標値で補正しても良い。
本発明は、少なくとも、補綴物の仮想形状が得られればよいことから、反対側面の撮影は、必ずしも必要がない場合が多い。次に、上面からの撮影を行う、撮影位置は、互いに直角位置で等距離であることが好ましいが、補正可能であれば、特に垂直でなくても良い場合もある。
【0029】
3D表示

前記表示部で表示された画像を、右眼用画像と左眼用画像に変換する画像変換手段、前記画像変換手段で変換された右眼用画像と左眼用画像をスクリーン、液晶モニター等に表示する3D表示手段、前記3D表示手段で出力される画像に対し、右眼に対して右眼用画像を出力し、左眼に対して左眼画像を出力する出力調整部を更に設けることで、歯科治療における治療用データ、インフォームドコンセントの際の説明データ、歯牙データベース等として使用される。
通常のコンピュータの平面モニタで観察される仮想空間上の補綴物は、あくまで平面であるため、現実感、審美において十分とは言い難いものがあり、補綴物作成後の調整量も多くなるのに対し、3D表示は、立体的表示として空間上に浮かび上がるように見ることができ、より現実的な形状が観察でき、特に欠落部の状態及びその周辺を3Dで観察することで、製作する物の目視観察による的確な調整が可能となり、補綴物のより適合性の高い形状を得ることが出来る。
【0030】
画像変換手段における右眼用画像は、前記画像データ化手段のひとつの静止画像であって、右眼に対応するものであれば良く、左眼用画像も同様である。
また、それぞれ右眼用、左眼用としての画像を形成しても良い。
これらの画像は、交互に表示部から表示されるが、画像のちらつきが無い程度の速度で交互に表示されればよい。
その際、これらの画像にはそれぞれ、異なる偏光性を備えた画像とする場合や、左眼用画像と右眼用画像を分けて表示する。直線偏光方式、アナグリフ方式、カラーフィルタ方式,偏光フィルタ方式,液晶シャッタ方式といった、偏光した画像を表示する
偏光した画像を表示する手段として、液晶ディスプレイを用いて、右眼画像、左眼画像をそれぞれの出力を1ドットライン毎に出力し、各ドットラインの出力に対し偏光方向が互いに90度異なる偏光フィルタを通過させ、それぞれ異なる方向に偏光した右眼画像、左眼画像を出力する手法がコンピュータのディスプレーを用いる場合が好ましい態様となる。
【0031】
本発明における出力調整部は、例えば、3Dメガネといわれる眼鏡タイプのもの、あるいは、表示部表面に装着されるもの等が例示され、少なくとも、左眼用画像は、左眼で、右眼用画像は、右眼で見れる状況が形成されればよく、そのような表示を行うものであれば良い。
【実施例1】
【0032】
図1(a)は、本発明の一実施例を示すブロック図である。
1は、画像データ化手段であり、非接触で口腔内から直接撮影データを得るものであって、例えば、視差を利用したステレオ画像手法、照明にスリットを組み合わせたモアレ手法、写真測量等、少なくとも静止画像を取得してこの画像解析が主な処理手法になるものが例示される。
画像データ化手段1は、主に補綴部位を撮影するが、例えば、総入れ歯のような義歯の場合、
口腔内の全ての歯列を一回で撮影できない場合は、画像内に目印を設けてこれをつなぎ合わせるパノラマ写真状に撮影されても良い。
その他、球面鏡の反射光をカメラで撮影することで、広角度な画像が得られる場合もある。
【0033】
この広角度画像は、座標も湾曲するため、これを補正し、直交座標系に変換できる範囲で適用され得る。
広角度画像は、パッシブなステレオ視による形状計測に用いられることが好ましい場合があり、歯列等を短い撮影で3次元形状計測する場合に好ましい場合もある。
画像データ化手段は、至近距離状態での撮影を行うことが好ましい場合もあり、いわゆる接写により、部分的な3次元座標をえていく。口腔内にカメラを挿入して撮影することにおいて、歯からの距離は、数十ミリ程度で、画角を狭めて撮影を行い、共通点が得られるピントがあった領域を共通座標化して、これをつなぎ合わせることで、精度の高い3次元座標データを具えた口腔内情報を得て、この情報に基づいて、ブロックの加工を行う等の操作を行う。更に、歯肉部、等歯周辺の形状を計測して、義歯床における歯肉接合面の形状データを得る。

2は、傾き情報検出手段であり、傾きセンサ、加速度センサ等、画像データ化手段の撮影状態を示す様な電気信号等を出力するマイクロチップが例示される。
傾き情報検出手段2は、画像データ化手段を設置して口腔内に配置される支持体の傾き状態を電気信号等で出力するものである。
【0034】
3は、三次元座標取得手段であり、画像データ化手段で得られた画像から、三次元座標を取得する手段で、三次元計測手法により相違するがステレオカメラの場合は、後段に示す演算が行われる。
4は調整手段であり、三次元座標取得手段3で得られた三次元座標値に対し、傾き情報検出手段2で得られた傾きX方向、Y方向、Z方向の値で校正のような調整をし、調整された三次元座標データは、必要に応じ、座標間を線又は面で補完して確認のためモニター上に仮想補綴物が作成表示されてもよい。
5は、加工用データ形成手段であり、後段の加工手段6の加工仕様に沿った、加工用データを形成する。三次元座標取得手段3、調整手段4及び加工用データ形成手段5は、主に一つの演算処理用マイクロコンピュータによる処理が行われるが歯科医院で、計測のみが行われ、遠隔地で加工が行われる場合は、三次元座標取得手段3及び調整手段4と加工用データ形成手段5及び加工手段6が別々となる場合もある。
【0035】
6は、加工手段であり、長石、珪石、陶磁器材料、ハイドロキシアパタイト、αーTCP、ジルコニア、アルミナ、ガラス状セラミックス等のセラミックス材、レジン材、レジン材とセラミックス材の複合材により形成される加工用ブロック、カッター、ミル等の研削、切削加工具で加工して補綴物を製造するものや、自動築成、三次元プリンタ等のラピッドプロトタイプの加工装置等、CAD/CAM装置、NC加工装置が例示される。
【0036】
次に図1(a)で示す実施例の動作について説明する。
画像データ化手段1と、傾き情報検出手段2は、例えば同一の支持部材に設置された状態の支持体として、口腔内に挿入され、測定対象部位の近傍に手動で配置し、手ぶれを生じさせない状態で、ピントを合わせを行い撮影する。又は、同じ部位を複数枚撮影した上で、ピントの合った一枚を選ぶなどして撮影された1乃至複数の静止画像は、有線又は無線で三次元座標取得手段3に送信される。
画像データ化手段1が補綴物部位を撮影する場合は、位置決め用に動画を表示するモニターを併せて備える場合もある。
この撮影と同時に、画像データ化手段1の撮影方向を検出する傾き情報検出手段2が傾きデータを調整手段4に有線、無線で出力する。
【0037】
画像データ化手段1と、傾き情報検出手段2の出力情報は、無線で出力する場合、画像情報が一般的で、JPEG、GIF等に圧縮可能であることから容量が小さい為、携帯電話を介して出力することが好ましい場合もある。その他、FD、MO、CD、SDカード、USBメモリ等のメデイアを利用して配送する場合もある。
画像データ化手段1から送信されてきた画像を三次元座標取得手段3で三次元座標値に変換し、調整手段4に出力する。
調整手段4は、三次元情報取得手段3からの三次元座標値を、傾き情報検出手段2の傾き値で校正する等の調整をして、調整された三次元座標データを加工用データ形成手段5に送信する。
【0038】
加工用データ形成手段5は、三次元座標データを加工手段6での加工のためのデータに変換すると共に、コンピュータモニター上に仮想歯科補綴物を表示し、更に調整可能な状態を設定する場合もある。
加工手段6は、加工用データ形成手段5から送られてきた加工用データに基づいて、補綴物を製造する。製造された補綴物は、歯科医と歯科技工部が離れている場合は、宅配、郵送等で、歯科医に配送される。
本発明では、患者の口腔内に画像データ化手段を手動で又は半固定的に挿入して短時間で直接口腔内の撮影を行えば、その後は、コンピュータの画像解析により加工用の三次元データが得られることから、模型を作成しなくてすむ等、患者、歯科医双方に負担がかからない歯科補綴物の計測加工システムが実現可能である。
尚、傾き情報検出手段2及び調整手段4は、得られる画像からでも、傾きが算出できる場合があり、不要な場合もあり、この場合は、図1(b)で示す構成であっても良い。
図1(b)の場合は、上述した動作であって、 傾き情報検出手段2及び調整手段4を除いた動作となる。加工用データ形成手段は7、加工手段は8で示したが、動作は上述と同様であり、符号のみを変えたものである。
【0039】
図2は、本発明の具体的形態を含む実施例を示すものである。
10は、支持体の一例を示すものであり、カメラが三次元測定可能に配置された計測支持部11と、手動操作の為の把持部12の組み合わせよりなる。
図3に支持体10の具体的構成例を示した。
図3(a)で301は、計測支持部であり、好ましくは同一仕様で同じ設定がされたカメラ302と303が水平に固定接続されている。カメラ302、303は、携帯電話、デジタルカメラで用いられる小型カメラモジュールが例示されるが、イメージセンサはそのまま用いられるものの、至近距離の撮影を行う為に、焦点距離が口腔内カメラ程度かそれよりも短いレンズが採用されることが好ましい。シャッターを押せば映像が1乃至複数、場合によっては連写的にキャプチャーされる程度であればよく、同一の焦点距離を備えており、把持部12の長手方向に平行に配置固定されている。
310は、傾きセンサーであり、加速度センサとも呼ばれる。チップ状のセンサであり、例えば、GP1S36J0000F シャープ社製のようなマイクロチップ状の傾きセンサが例示される。配置部位は、計測支持部の形状、配置によって、1乃至複数個が、適当な部位に配置されればよい。
【0040】
この傾きセンサ310は、例えば、図3(c)の様に3つのカメラを用いる場合は、カメラ画像での補整が出来る場合やワールド座標に変換する場合があるため、不要になる場合もある。
大きさは、患者の負担を抑える為にデンタルミラー程度か一回り程度大きいくらいが好ましく、全体的に曲面及び球面で形成されることが好ましい。 13は、映像を外部で処理する為の伝達部であり、外部モニタに接続される。尚、把持部12にシャッターを備え付けても良いが、手ぶれ等の揺動を伴う場合は、外部に設定しても良い。304は、照明用光源であり、計測部位の歯牙表面が認識できるような光源が用いられる。305は、例えば、縞模様、点列模様等計測ポイントを指示する模様を口腔内に映し出すためのスリットを介したポインタであり、測定しようとする部位の三次元座標を検出する部位が撮影により抽出困難な場合ポインタ的役割を発揮することも可能である。
照明用光源304及びポインタ305は、外部別体で構成されても良く、計測支持部に設置しない場合もあり、不要になる場合もある。
【0041】

図3(b)は、図3(a)が水平方向へカメラを配置したのに対し、垂直方向に配置したものである。(a)と(b)は、口腔内の測定部位によって適宜選択使用される場合があるが、その際は、計測前に垂直状態から水平状態、又はその逆に回動可能に形成されても良い。
図3(c)は、3つのカメラを用いた構成であって、左右側面からの撮影を可能とするため一つのカメラを上下に移動させることを可能とした実施例である。
カメラ306aは、当該プローブが、歯列の左右の側面を撮影する際に、移動させることで、垂直、水平両方での三次元計測が可能となる。
307は、摺動するためのガイド孔であり、このガイド孔に沿って、撮影用カメラ306aは、移動する。
12は、把持部であり、操作者が使用する際の把持部となる部分である。308は、摺動ボタンであり、摺動ボタンが長手方向に摺動可能に、ガイド孔309が形成されている。摺動ボタン308は、撮影カメラ306aと連動しており、摺動ボタン308をガイド孔309に沿って移動させると、撮影カメラ306aも連動してガイド孔307に沿って移動する。尚、撮影用カメラ306aを摺動可能とせず固定としても良く、左右配置を変えたものを2つ容易しても良い場合もある。
【0042】
図2及び図3(c)において、
13は、伝送部であって、カメラのシャッタのオンオフ信号、撮影カメラの映像信号を表示演算ユニット14へ伝送するためのケーブルである。尚、本発明は静止画の伝送に係り、無線手段を用いてもよい。
14は、表示演算ユニットであって、伝送されてきた画像データを表示し、場合によっては、三次元データを作成するための携帯型モニター、携帯電話等で形成されている。
15は、表示部であって、液晶パネル等で形成され、撮影された口腔内写真を表示、演算後の三次元データの同期表示等がなされる。
15a、15b、15cは、表示部15に表示された口腔内画像であって、ステレオ表示状態で表示されている。
15dは、傾きセンサ310で検出された傾きのx軸成分、y軸成分、z軸成分を表示したものである。
図2では、歯の咬合面表面に形成された補綴物装着用凹部1Bを含む咬合面1Aを図3(c)で示すカメラ306aから306cで撮影した表示部15の表示画面の一例を示した。
それぞれ、XY座標が示されており、同一の表示であって、カメラの位置が相違する為これが視差となって、撮影した咬合面のXY座標位置がずれている。
尚、演算後、仮想モードで、計測部位の三次元表示がされてもよい場合もある。
【0043】
16は、撮影オンオフボタンであり、シャッター等で形成され、これを押すことで、図3(c)で示す撮影カメラ306a、306b及び、306cは、同時に撮影を行うための例えば押しボタンである。その他、表示部15がタッチパネル方式であれば、指、専用ペン等の接触によるものであっても良い場合もある。
図3(e)は、一つのカメラを移動させて三次元計測を行う場合の一構成例である。
計測支持部301上に1つのカメラ311を装着したものであり、把持部12のスライド用孔312に沿って平行に移動可能とするように形成されたものである。
その他、傾きセンサ、照明、ポインタ等を備えたものであってもよい。
このスライド用孔312を所定の移動距離毎にカメラ311は、写真を撮影をしていき、
例えば、311と311aとの間で、撮影された2枚の写真から被写体の立体座標を取得し、次に311aと311bとの間で撮影された2枚の写真から異なる部位、311のカメラでは写らず、311aと311bの両方のカメラで写った部分の立体座標を取得することができる。
【0044】
カメラ311の移動は、遠隔操作による自動駆動、タイマー設定により、数秒間隔で、自動的に移動しながら撮影する機構を備えたものが例示される。
なるべく把持部の位置が変わらない様にいするため、自動的な移動撮影が好ましい場合もある。
尚、カメラ311が固定された場合、把持部12を持って撮影するが、この場合、口腔内に位置決めを行う半固定具を用いて、平行乃至垂直移動を行わせてもよい。
図2において、
18は、コンピュータであり、パーソナルコンピュータ等が例示され、表示演算ユニット4では、十分な処理が行われない場合、補助的に用いられる場合もある。
コンピュータ18は、その他必要な場合にUSB、赤外線、無線等で示される接続用ケーブル17を介して接続して用いられる場合や、後段の加工装置19へ、加工用三次元データの伝送を行う為に用いられる場合もある。
コンピュータ18は、単独で必要とされる場合の他、表示演算ユニット14がその機能を併せ持つ場合は、不要となる場合もある。
又、コンピュータ18又は、同等の機能がある場合の表示演算ユニット14は、インターネット等のネットワークを用いて計測装置をもつ歯科医と補綴物を加工製造する技工所をデータ転送によって接続関係を形成することも可能である。
【0045】
この場合、歯科医が発信するのは、3枚の通常使用されるjpeg、GIF、BMP、TIFF等の様式に変換可能な写真画面であり、技工所で三次元データを抽出すればよいことから、歯科医の作業は、簡単なメール程度であるため、手間がかからないシステムを形成することができる。メールではなく、撮影すると歯科医はなにもせずそのまま、複数の写真が技工所へ送信されてもよく、よりシステムの簡素化が図れる場合もある。
19は、加工装置であり、CAD/CAM装置に例示されるものであって、コンピュータ18から送られてくる三次元加工データに基づいて、セラミックスブロックを研削、切削加工を行う為のものである。図2では、その一部を示している。
20は、加工用ブロックであり、セラミックス又はセラミックスとレジンの複合材より形成される。
21は、加工用ミルで、ドリルが回転しながら、先端部及び側面部を加工用ブロックに押し当てて研削切削する。22は、加工用ブロック20が装着固定される為の装着部である。図2の加工装置の構成は、商品名CADIM(登録商標)(アドバンス社製)の加工部を略式的に示している。
【0046】
図2及び図3(b)で示す実施例の動作について説明する。
図2及び図3(b)で示す把持部12を持ち、計測部位へ移動する。上面のみであれば、計測支持部11が計測対象となる歯を計測する部分に持って行き撮影オンオフボタン16を押す。
撮影オンオフボタン16が押されると、撮影用カメラは、撮影画像を瞬間的に形成する。その際フラッシュ又は、常時照明を行う照明用光源304が、撮影部位を照らし出す場合もある。
ここで表示部15には、伝送部13を介して伝送された画像が表示されている場合を示す。この場合の画像は、測定部位の咬合面1A及び補綴部位1Bの表面である。
表示部15に映し出された3つの画像から、共通する部位を求め、その部位の図4で示す手法で三次元座標を演算により求めていき、全体の三次元形状データを求める。当該三次元座標値は、少なくとも共通の計測点が、複数の写真で確認できれば、図4で示す動作原理により演算にて得られる。又、図3で示すポインタ305による点模様又は、縞模様を計測点として使用すると、精度良く三次元座標が得られる。
【0047】
尚、本発明では、歯の特定の点を2枚以上の画像で識別する為、この特定の点を認識する必要があるが、歯表面は、歯の色や唾液等で、乱反射しやすいため。直射光を避け、例えばドーム内で反射光を利用するドーム照明や、スライドガラス等のフィルタを介した照明を用いても良い場合もある。
共通点の求め方についての一例を示す。
写真画像の共通部位を特定するため、写真Aの特定の部位の範囲画素に対し、対応する写真Bの範囲画素を特定し、それぞれの範囲画素の輝度を求める手段、
写真Aの範囲画素の輝度の差分を取り、差分値パターンを設定する手段、写真Bの範囲画素の輝度の差分を取り、差分値パターンを設定する手段、写真Aの差分値パターンと写真Bの差分値パターンを比較して、一致、又は近似している時は、そこを共通点と設定する手段、一致していないときは、写真Bの範囲画素を移動させて、同様の比較を行う手段、よりなり構成を例示する。範囲画素は、一つの共通点して設定できる範囲である。差分は、輝度の変化量を示すことから、輝度が一様に見えても、その変化量により相違する場合がある為、一つの写真の特定の点(範囲画素)の差分を取って、差分値パターンを形成し、この差分値パターンを他の写真画像上の差分パターンと比較することで、共通点を決定する。
【0048】
差分値パターンとは、一つの画素輝度値と隣接する画素輝度値の差の値を順次求めていき、これをつなぎ合わせることで、得られる場合の他、差分値と差分値の差分、即ち2回差分をとり、これらの2回差分の値を繋ぎあわせたものもしめされ、2回以上の差分値をとり、両画像の共通部位の特定を行っても良く、その場合は、基準点として用いて他の方向から撮影した3次元座標との共通座標を得る場合に用いても良い場合もある。
即ち、画像上の画素輝度の比較一致では、部位の特定は、困難であっても、差分値は、前後の変化パターンであるため、両画像で比較一致が容易となるのである。
範囲画素は、一例であり、画像の座標上で、例えばx軸方向又はy軸方向で、差分値を連結して輝度差分連結データRを形成する手段、当該輝度差分連結データを他の画像でも、同じ方向で(即ち、先に得た輝度差分連結データRとx軸方向、y軸方向、又は同じ傾きを持った方向)輝度差分連結データLを形成する手段、前記の輝度差分連結データRと、輝度差分連結データL内で、同じ連結パターンをもつ部分を検出し、この共通パターンから、共通点を選択する手段による組み合わせ構成も例示される。この差分により、同じ条件で撮影された多少方向が異なる写真は、写真の写る範囲は異なるもののおおよそ同じ輝度を持つ画像であることに着目したものであり、同じ輝度の変化パターンを求めて、そのパターンが同じ、又はある程度尾同じ部位を共通部位として設定して、3次元座標を得ることで、精度の高い3次元座標データが得られるのである。
この差分により、隣接部の輝度の変化の割合が得られるが、これを更に差分することで、2つの画像を照合して共通点を取る場合に好ましい態様となる場合がある。
【0049】
更に別の面で、歯列を介して反対側面の写真が必要な場合は、摺動部308を操作して、撮影用カメラ306aを上下に摺動させて調整してもよい 。
三次元データが得られた場合、更に、これを仮想構築してインレー、クラウン等の歯科補綴物をコンピュータ18等に出力して表示し、必要に応じ再度調整した後、加工用データに変換する。
加工用データは、更に加工装置19に伝送され、装着部に加工用ブロック20に対してを研削、切削加工する。
このように、患者及び歯科医療従事者に負担をあたえず、三次元計測加工が行うことができるのである。
【0050】
又、本発明は、複数の静止映像画像で形成される為に、画像が二次元で容量が少ないことから、健康な状態での歯及び歯列を三次元形状座標取得可能な状態で容易に一般パーソナルコンピュータで容易に保管できることから図5で示す様な加工手法もとることができる。
図5(a)において、402は、う蝕前の歯の形状を示し、この測定時点で、ステレオ画像として少なくとも3枚の画像を保存する。
更に必要に応じ対合歯401のステレオ画像も撮影保存する。
う蝕の治療後、図5(b)で示す様に補綴物の必要な状態となる補綴部位403を含む咬合面404を写真撮影する。撮影した画像例を図5(c)に示す。404aが咬合面画像、403aが加工された補綴部位を示す画像である。
【0051】
更に以前撮影しておいた画像を呼び出して、これを三次元画像として座標を得て、う蝕前の仮想三次元の歯牙形状を表示する。図5(d)の402aがう蝕前の仮想咬合面である。
これと、治療の必要な歯牙の三次元形状の咬合面画像404aを図5(d)で示すように重ね合わせると、補綴物全体の形状405が得られる。
この補綴物形状405を加工装置19に伝送し、加工用ブロック20を研削、切削加工をし補綴物23を得る。
尚、本実施例では、健康なときの歯牙データを記録するとしたが、これに限らず、対合歯のデータを記録し、又は治療時の対合歯401のデータを記録し、これを用いて咬合面を形成しても良い。
【0052】
本発明は、直接口腔内を形状計測して、補綴物を製造する方法であることから、ワックス模型を作成しないワックスアップレス手法において、より好適に使用される。
そこで、本発明の他の実施例を図6を参照して詳細に説明する。
図6(a)は、支台歯又はインプラント支台歯504が歯肉部505表面から露出した状態の口腔内部を示す。
この状態で、図2、図3で示す支持体を口腔内に挿入して撮影する。
501a及び501bは、対合歯501に隣接する対合歯である。
502及び503は、隣接歯を示している。
撮影した写真画像であって、3次元座標をえるための画像は、図6(a)の場面、図6(b)の場面、図6(c)の場面であり、それぞれステレオ画像として複数枚撮影される。
【0053】
この写真を用いて、仮想補綴物作成の為の要部として、隣接歯502と503の最大豊隆部間の距離となる仮想補綴物の最大豊隆部の直径P1、及び歯高値P2を得る。
歯高値P2は、対合歯501の咬合面からと歯肉505の表面までの距離を抽出すればよいが、対合歯を要しなくても、隣接歯502と503の咬合面を結ぶ高さから、歯肉505表面までの距離を示しても良い。
この場合、1枚の平面画像からもその値が求められ、そのまま仮想補綴物形状を形成する為に用いられても良いが、更に奥行きデータ、即ちy座標を得ることで、上面からの撮影画像とのマッチングが容易となる場合もある。
【0054】
図6(b)は、上面から撮影した状態を示す。この状態で、歯幅値P3座標が取得できる。この値も、一つの平面座標で足りるものであるが、z値を求めることで、より精度の高い歯幅値P3が得られる。
更に支台歯の表面形状P8及びマージンラインPMが得られる。マージンラインPMは、着色を施すなどのマーカー処理をして、写り易い前処理を施しても良い。
図6(c)は、対合歯の咬合面を示すものであって、主に対合歯501の咬合面の三次元形状P4を図3で示すカメラにて撮影して得る。
仮想補綴物は、最大豊隆部(直径P1の円周)から支台歯の歯肉部505からの高さP5、支台歯の上面の直径P6、支台歯の底面の直径P7、支台歯の表面形状P8及びマージンラインPMの値に基づいて形成される。
尚、支台歯の表面形状は、3次元座標データに基づいて復元された表面形状P8とマージンラインPMで決定可能であるが、もともと支台歯は、歯科医が形成したものであるので、その他の数値のみでも決定する場合もある。
静止画による受動的な三次元形状測定の場合、二次元画像から得られる値は、そのまま使用し、咬合面、支台歯面は、ステレオ画像により三次元的に取得して、これを利用することで、処理データが少なく、短時間で、適当な仮想補綴物をコンピュータのモニター上に作成できる。
【0055】
本発明は、補綴物データを二次元画像で大量に記憶しておくことが出来るため、これをデータベース化しておき、復元時、三次元形状に変換して仮想既成モデルとし、これと、仮想補綴物を比較し、最も近似する仮想既成モデルを決定しても良い。
図6(d)は、コンピュータ18又は表示部15の画面506を示し、小ウィンドウ506aに表示された507が、例えばP1からP8及びPMに基づいて仮想的に補綴物を作成した際の仮想補綴物である。
尚、P1からP8及びPMが常に全てが必要とは限らず、適宜選択的に計測使用される場合もある。
508がデータベース表示であり、補綴物の典型的な形状に係るデータが蓄積され、更に個々のデータに対応した形状の半加工ブロックが用意されている。
仮想既成モデルは、データと対応して予め加工用ブロックを切削研削加工して形成されており、決定されて表示された仮想既成モデル509を図6(d)の小ウィンドウ506bで示すように仮想的に形成した補綴物の仮想補綴物507に重ね合わせた状態を表示しても良い。
小ウィンドウ506bで示す仮想補綴物507とデータベース508から決定された既成補綴物形状509を重ね合わせた状態図において、その差510(実線と点線との間)を加工することで、より短い加工時間で仮想補綴物507に対応する補綴物を形成できるのである。
尚、ワックスアップレスに限らずとも、補綴物形成の要部は8カ所程度までであることから、これを二次元データと、三次元データの組み合わせにおいて容易に仮想補綴物が作成できる。
【0056】
本実施例によれば、複数の二次元静止画像から得られる二次元座標データと三次元座標データからそれぞれ仮想補綴物を構成する要素が取得できる為、処理時間が短縮できる歯科補綴物の製造を可能とすると共に、データベースから近似模型を検索するキーワードが容易に得られ、歯科医、患者に負担が少ない歯科用補綴物の製造が可能となる。
【0057】
図7に他の実施例を示し説明する。
本実施例は、インターネット等のネットワーク回線、又は携帯電話回線網を使用して計測と加工を切り離したシステムを示す。図7中、他の実施例と同じ構成を示すものについては、同一の番号を付して説明を省略した。
601は、ネットワーク回線であり、インターネット、イントラネット、エクストラネット、携帯電話網等を示す。
602、603は、インターネットの場合はプロバイダであり、携帯電話の場合は中継局等を示す。
604は、表示演算ユニット14とプロバイダ602を接続するネットワーク用伝送路、607は、プロバイダ603と技工所サーバ606を接続するネットワーク用伝送路であり、いずれも電話回線、光回線、LANケーブル等の有線網又は無線LAN等で構成される。
【0058】
608は、技工所サーバと、加工装置19を接続する有線ケーブルで、USBケーブル、パラレルケーブル、シリアルケーブル等で形成されている。
613は、ユーザ用携帯電話、614は、技工所用携帯電話であって、無線による携帯電話網615(途中中継局等は省略)で接続される。
605a、605b、605cは、伝送用写真であり、それぞれ視差を備えた三次元形状データ用写真である。送信枚数は。撮影の具合による3の倍数になる場合もある。
606は、技工所サーバであり、技工所で、送信されてきた写真画像から三次元座標データを算出し、加工用データに変換するためのものである。
【0059】
609は、配送経路であり、郵送、宅配、持参等、完成した補綴物を歯科医等に届ける手段である。
610は、支持体10とユーザ用携帯電話613を接続する伝送体であって、USB等の有線ケーブル、赤外線、電波、無線等で形成されている。
611は、支持体10と表示演算ユニット14を接続する伝送体であって、同様にUSB等の有線ケーブル、赤外線、電波、無線等で形成されている。
612は、技工所用携帯電話614と技工所サーバ606を接続する伝送路であり、USB等の有線ケーブル、赤外線、電波、無線等の他、SDメモリ、USBメモリ、等も使用可能である。
【0060】
本実施例の動作を説明する。
支持体10を把持して口腔内に直接挿入し、計測支持部11に固定されたカメラ群により咬合面1Aの補綴部位1Bの表面をステレオ状態で撮影する。
得られた写真605a、605b、605c及び傾きセンサが出力した傾き情報を伝送体610を介してユーザ用携帯電話613に送信する。
又はこれらの写真を伝送体611を介して表示演算ユニット14へ送信する。
両者のいずれかを選択すれば良いが、場合によっては、携帯電話の表示画面を用いれば、表示演算ユニット14を不要とする場合や、携帯電話のボタンがシャッター代わりとなる場合もあり、ユーザの費用的負担は低減される。又、表示演算ユニット14は、静止画を取り込むまで、動画状態で、口腔内を表示し得るものであり、スムーズな動きを期待する場合は、両方接続し、支持体10が補綴部位の撮影位置決めまで、表示演算ユニットで、口腔内を観察し、撮影オンオフボタン16を押して静止画を取り込み、ピンぼけ、ぶれがないかどうかを表示部15で確認した後、ユーザ用携帯電話613を介して、写真605a、605b、605c及び傾きセンサが出力した傾き情報を送信しても良い。
【0061】
ネットワーク回線601を用いた場合、写真605a、605b、605c及び傾きセンサが出力した傾き情報は、表示演算ユニット14からネットワーク用伝送路604、プロバイダ602、ネットワーク回線601、プロバイダ603を介して技工所サーバ606に送信される。
写真605a、605b、605cをユーザ用携帯電話613へ送信する場合は、
表示演算ユニット14から、赤外線、電波等の既成の伝送手段、SDカード等のメデイアを用いて、伝送する他、表示演算ユニット14を用いず、支持体10の伝送路をUSB仕様として、直接携帯電話に接続し、携帯電話から、シャッター信号を送信して、直接携帯電話に写真画を取り込んでも良い場合もある。
【0062】
また、携帯電話によって、撮影された写真をみることが出来ることから、ピントや手ぶれが有るかどうか確認が出来、更に手軽な形となり、又、支持体10を必要とするだけとなることから、歯科医の負担はより低減される。
技工所サーバ606は、送信されてきた3枚の写真から三次元データを算出し、仮想的補綴物形状に基づいた加工用データに変換し、加工装置19に伝送する。
加工装置19は、この加工データに基づいて、加工用ブロック20を加工用治具である加工用ミル21によって研削、切削加工を施して、補綴物23を加工製造する。
加工製造された補綴物23は、配送経路609を経て、歯科医等のユーザに送信される。
本実施例は、歯科医等のユーザがインターネット、携帯電話を用いて計測写真を送信し、技工所は、この写真を用いて、補綴物を加工して、歯科医へ配送するシステムを示しており、口腔内から直接印象材などを用いて型どりをすることなく、単に支持体を持って、写真をとりこれを技工所へ送信すればよい点で、歯科医の負担は今までになく低減されることとなる。
【0063】
次に本発明の他の実施例を図8を参照して詳細に説明する。
801は、コンピュータ用のモニターであり、主に液晶ディスプレー、プロジェクターで構成されている。
モニター801は、例えば、図8(b)で示すようなプロジェクター方式であれば、左眼用画像と右眼画像を2台のプロジェクター810と811を用いて、、鏡と同じ反射特性を有するスクリーン809に投影する。左眼用画像は、偏光軸方向が例えば45度となるような内部の偏光板の偏光駆動を行い、右眼用画像は、例えば135度とねるような偏光駆動を行いながらスクリーンに出力する。
モニター801が、液晶デイスプレーの場合、例えば液晶表示画面の1ドットライン毎に、左眼用と右眼用の画像を交互に並べ、1ライン毎に右眼用又は左眼用の偏光方向が90度変化する例えば25μmのセロファンからなる液晶フィルタ等を設置して構成されている。
【0064】
802は、メガネタイプの3D表示具であり、803は、左眼用偏光透過部、804は、右眼用偏光透過部である。左眼用偏光透過部803は、モニター801が表示する左眼用の画像のみを通過させ、右眼用偏光透過部804は、モニター801が表示する右眼用の画像のみを通過させる偏光フィルターで形成されている。
図8(b)は、図8(a)で示すモニター801の代わりに、2台のプロジェクター810、811とスクリーン809を用いて表示する手法を示す。
左のプロジェクター810は、左眼画像を出力し、右のプロジェクター811は右眼の画像を出力する。スクリーン809の表面は、アルミニウム等の金属粉末等で被覆したいわゆるシルバースクリーンが好適に用いられる。
図8(c)は、モニター801の表示表面に接続又は、所定の距離を置いて配置する偏光フィルターユニット805を示すものであり、806は、左眼用フィルターであり、モニター801が出力する左眼用画像のみを通過させる。807は、右眼用フィルタであり、モニター801が出力する右眼用画像のみを通過させる。
フィルターユニット805は、メガネの様に装着せず、左眼画像を左眼に右眼画像を右眼にそれぞれ通過させようとするものであり、中央に遮蔽板808をフィルター面に垂直に設置しても良い。
フィルターユニット805は、モニター805前面に置いて用いるものであり、見る方向によって、完全に左右の画像が、分離できるものでは無いが、使用態様によって、十分に使用可能となり、遮蔽板808を用いなくても良い場合もある。
【0065】
次に図8でしめす実施例の動作を説明する。
本発明は、複数のカメラで同時に歯牙等を撮影し、その際、個々のカメラの撮影画像には、互いに視差ができるため、その個々の画像をそれぞれ、左眼用画像、右眼用画像として用いても良い。これら両画像を、ドットライン状に分解し、モニター801が、左眼画像と右眼画像を一ドットライン毎に表示させる様に調整する。
右眼用画像が表示されるドットライン上には、偏光方向が90度変化している。
モニター801が左眼画像及び右眼画像が一ドットライン毎に出力した表示は、3D表示具802で、左眼用偏光透過部803を介して左眼用画像801aが通過して左眼用画像のみが左眼に入力される。右眼用偏光透過部804を介して右眼用画像801bが通過して、右眼用画像のみが右眼に入力され、3D表示具802を装着した者は、立体的な像を見ている状態となる。
【0066】
この状態は、撮影した口腔内の3D表示であり、更に、撮影データに基づいて3次元座標データが得られると共に、3次元座標を持つ仮想的な補綴物形状が形成される。
これを、補綴物形状の座標を撮影用カメラの撮影位置に基づいた座標にそれぞれ変換して、左眼用画像データ及び右眼用画像データを作製して上記と同様にモニター801を用いて表示する。
3D表示具802を装着した者は、口腔内の3D表示と仮想的に形成された3次元補綴物の3D表示を見ていることとなり、更に両者が、装着された状態、又は、装着後の咬合状態を3D表示で見ることが出来るため、実際の装着時の調整を予め行うことができ、その調整に基づく補綴物製造を可能とする。これは、特にワックスアップレスによる、3次元仮想補綴物データに基づく、加工用ブロックの加工して補綴物を製造する方法において、より正確な補綴物の製造を実現する。
【0067】
次に本発明の他の実施例を図9、図10を参照して詳細に説明する。
図9は、計測される対象物について、予め作製された3次元座標データを蓄積したデータベースの一例である。90D1は、目的とする補綴物を装着する部位の継続形状を予め、複数用意し、コンピュータのデータベースに登録したものであり、90D2は、目的とする補綴物の形状を予め複数用意し、同じくコンピュータのデータベース上に登録したものである。
図9(a)でしめすデータベース90D1は、ワックスアップレス手法等で、補綴物を作製するために、口腔内からデータを入手し、これを補綴物作成の為に用いる場合、予め口腔内からのデータと、これに補完したデータにより様々な形状を記憶してデータベース化したものである。
900は、一つの仮想口腔内部の登録した第1基準仮想データであり、好ましくは、ID記号が付されている。第1仮想データ900は、3次元データの集合体であるが、これを使用者が選択しやすいように3次元的に表示した3次元表示リストである。901は、第2基準仮想データである。902は、3次元斜視図であり、903は、3次元側面図であり、904は、3次元上面図である。これは、3次元座標データでは、見えないデータの構造を使用者がわかりやすい状態にするためリスト表示しているものである。ここでは、2つの仮想データを示したがこれはより多数有ることが好ましい。当該仮想データは、基準データとして使用される
【0068】
図9(b)で示すデータベース90D2は、製造しようとする補綴物の形状を予め登録したものであって、905は、作製しようとする補綴物模型を予め口腔内から検出して形成された3次元座標データバースの一つの例である。
906は、一つの3次元座標データの、所定の方向から、見た場合の仮想3次元表示である。
907は、仮想斜視図、908は、仮想側面、909は仮想上面、910は、仮想底面を示す図であり、実測3次元データと比較するために、歯高値データ908a、歯幅値データ909a、マージン直径データ910aがキーワードとして設定登録されており、
対応する実測値データと比較検索され、一番近似するデータを基準データとして使用するものである。
このような表示は、必ずしも必要ではなく、実際は、データとして比較され、もっとも近似的な仮想データが選択される。
この場合の近似とは、例えば図9(a)の最大豊隆部の直径903a、歯高値903bであり、この値が近い仮想データが選択される。
【0069】
図10は、図9で示した仮想3次元形状データを蓄積したデータベース90D1を用いて3次元データ処理した場合の一実施例を示す。
図9でしめすデータベースを検索するタイミングは、少なくとも1枚の写真図に基づいた検索で足りる場合がある。例えば、903でしめす写真図から得られる、歯高903b、補綴物の最大豊隆部の直径を示す値903b及び隣接歯の形状、上面写真図904から見た支台歯のマージンラインの大きさから、近似3次元データを検索する。
このように、平面データから近似3次元形状データを検索することで、より処理の迅速化が図れる。
【0070】
図10(a)は、実際写真画像から算出した3次元データに基づいて構成された実測仮想データを示す。
実測仮想データ911は、撮影により生じる死角部分を備え、更に口腔内の状況により精度が低下する部分に対して選択された基準仮想データ911Sを選択してこれと比較し、その差を求めていき、死角により撮影されなかった部分、或いは、口腔内状況により正確に計測されなかった部分を基準データ911Sを参照して補完するものである。
912は、実測第1隣接歯3次元データであり、913は、実測第23次元データであり、914は、実測3次元支台歯データである。
915は、作製しようとする補綴物の差大豊隆部の直径であり、916は、支台歯914の直径に相当する。
この実測値915、914から、図9(a)でしめす仮想データベースから近似したデータを探す。
【0071】
検索結果得られた仮想データを図10(b)にしめす。
実測第1隣接歯データ912と基準第1隣接歯データ912S、実測第2隣接歯データ913と基準第2隣接歯データ913S、実測支台歯データ914と基準実測歯データ914Sが比較される。
917、918、919、920は、死角による実測不可能領域であり、この場合、基準データ911の該当する領域のデータ917S、918S、919S、920Sが参照され補完される。
921は、実測仮想歯肉データであり、これらの歯牙に関連する領域までのデータが基準仮想歯肉データ921Sとして、予め記録されているが、この部位は、近似データとして使用される場合とされない場合がある。
図10(c)は、実測第1隣接歯3次元データと、基準第1隣接歯3次元データを重ね合わせた状態のa−a’断面図である。
実測第1隣接歯データ912と基準第1隣接歯データ912Sとの間に差Lが生じるが、この差Lが大幅に違う場合は、基準データを優先させたり、死角により実測が出来ない領域917S’は、そのまま基準データ917S’が補完され、又は、差Lの値と滑らかな曲線を得るための演算補完され、補綴物作製用の加工データが形成される。
【0072】
本発明では、少なくとも2つの写真画像から、共通点に対する3次元座標を求めて、被写体の3次元形状を認識するものであるが、3次元座標が算出され、計測部位の状態が代表的数値であって、第9図で示したデータベースで登録されたキーワードに相当する部位の値が算出されたタイミングで、図9で示すデータベースから、口腔内部位に相当するデータを検索し、検索して得られた基準データに基づいて各部の3次元データを上述のように決定していっても良く、より短時間で、補綴物を得るに適した口腔内データを算出可能とする。
【0073】
次に本願発明の他の実施例を図11を参照して詳細に説明する。
図11は、口腔内の歯列の上面と側面を同時に撮影可能とするための撮影用プローブの一例を示す。図10(a)は、プローブを上面方向から見た斜視図であり、図10(b)は、裏面から見た斜視図である。
1001は、上面用支持部、1002は側面用支持部であり、両者は、好ましくは、直角又は座標を得やすい状態の角度で配置固定されており、上面支持部1001の端部から、把持部1003が延びている。
把持部1003は、更に外部モニター機器と電気リード線で接続されている場合があるが、本実施例は、複数枚の写真画像程度のデータであるので、これを無線で外部モニターに伝送したり、SDカードのような小型メデイアに記録してもよい場合もある。
ピント合わせは、自動で行われても良いが、その為の機械的メカニズムが必要となるため、一つのカメラから複数枚の写真を自動的にとりこんで、その中から、ピントのあった画像を選ぶものであっても良い。
【0074】
1004は、上面カメラRであり、1005は上面カメラLである。構成は同じデジタルカメラであり、分解能は高いほうが好ましい。
1006は、照明であり、白色LED等が、スライドガラスを介した状態等で、照射されている。
1007は、側面カメラRであり、1008は、側面カメラLであり、1009は、照明部であって、上面部と同様の構成を有する。
図11(c)は、実際に口腔内の計測部位に本実施例のプローブを宛がって撮影した場合の説明図であり、当該図から、ワックスアップレスで必要とする情報を一度に撮影でき、又、別々に撮影する場合、プローブの位置で得られた座標を統一する必要がないものである。
当該支持部材が直交して配置されていることから、カメラの位置は、必然的に直交座標内に据え置かれており、座標変換等の処理を要せず、容易に3次元座標が得られると共に、カメラ配置周辺の色を非反射色として、乱反射を防いだ構成とすることも可能である。
【0075】
次に本発明の他の実施例を図12を参照して詳細に説明する。
001は、至近撮影画像取得手段であり、複数のカメラであって、例えば、被写界深度が浅い部分で数十mmの範囲で設定されたレンズをそれぞれ具えた同一の撮影手段を、1乃至複数個、平板状に又は、所定の角度を具えて固定的に又は、半固定的に装着された撮影面を具えた撮影部材によって、撮影された複数の画像を取得する手段である、
ここで用いられるカメラは、高分解能であることが好ましく、0.3〜10メガピクセル程度例示されるが、口腔内に挿入されるプローブの先端または、先端に近い部位に配置されることから、小型であることが好ましいことから、より小さく且つ高分解能であるものが例示され既製品では、1メガピクセル前後が、好ましいが、今後より高分解能で、且つ、小型化されたカメラがでれば、本発明はそれを好適に使用する。
又、レンズとイメージセンサを分離してカスタムにカメラを形成する場合も同様に、構文可能で、小型であることが好ましい。半固定とは、一つのカメラを移動可能に形成することで、決まった方向に移動する構成を意味するものである。
【0076】
又、撮影は、連続して撮影し、複数の撮影画像から手ぶれ、ピントの合っていない撮影画像を削除する手法が好ましい。これは例えば1秒間に30枚の動画レベルから、1枚までが例示されるが、動画の場合は、分解能が限られてしまう場合があるため、一度の撮影で数枚から数十枚程度得られれば良い場合もある。
尚、被写界深度が浅い画像の場合、周辺がピンぼけするものがあるが、この場合は、
画像中で、画像が明確な範囲のみでの距離画像を得てもよい。
即ち、ピンぼけの割合が例えば6割あっても、4割を距離画像として採用することで、短時間での測定を可能とする。明確な画像の割合は、大きければ大きいほどよいが、1割以上であれば、利用は可能である。

002は、選択手段であり、前記一度の撮影で得られた画像データから一対の撮影画像対を選択するものであり、手ぶれ、ピンぼけは、既知のエッジ検出ソフトウエアを用いて、そのエッジの検出度合いによって判断する手法等が採られる。
この選択手段の採用によりカメラの固定した状態での撮影を行わず。動かしながら、撮影していき、その中からピンぼけ、手ぶれのない画像対を検出する。被写界深度が浅い状態で、ピントがぼけた画像であっても、一部に明確な画像範囲があるものは、その部分だけを使用すればよい。
【0077】
オートフォーカス手段の利用も可能であるが、その場合、自動焦点設定の間、静止しながらの撮影となるものであってもよい。
003は、補正手段であり、カメラキャリブレーションソフトウエアなどで形成され、レンズによる画像の歪み、画像周辺と、中心との明るさの調整等をおこなう手段であり、距離取得用画像に変換する手段である。
004は、撮影画像座標設定手段であり、補正手段003で補正された撮影画像に座標値を設定するためのものであり、複数の画像に対して同一の部位に中心点を持つ直交のxy座標などの共通座標を設定することが好ましい。
005は、共通撮影範囲設定手段であり、至近撮影画像取得手段001で得られた複数の撮影画像の撮影範囲で、共通する範囲を設定する手段である。
これは、例えば、それぞれの画像の輪郭、特徴部位を抽出し、重ね合わせることで、共通範囲を設定するためのものである。これは、後段の共通点を決定する手段の処理速度を速める為におこなうものであって、処理速度に問題がなければ、共通撮影範囲をこの時点で設定しなくてもよい場合もある。又、至近撮影の場合は、輪郭等が検出されない場合があるため、後段で共通範囲を決定しても良い場合もある。
【0078】
006は、共通点決定手段であり、いわゆるブロックマッチング手法、サブピクセル推定手法を用いて、複数の画像であって、共通範囲上の共通点を特定する為の手段である。
共通点決定手段006は、まず、一つの画像上の一つの点を基準点として、この基準点に相当する点が他の画像上で検索し、決定する。検索は、主に輝度値であり、カラー画像であれば、三原色毎に行われても良い。輝度値の一致は、おおよその範囲での一致であればよく、検索点と参照点の輝度値の差又はその2乗値が一番小さくなる点を推定するサブピクセル推定手法により、より精度の高い共通点を探すことが好ましい。
こおで示す参照点、共通点で示す点は、一つの画素を示す他複数の画素を示す場合もあり、複数の画素の場合は、平均輝度値を用いるものが例示される。
007は、共通座標設定手段であり、共通点決定手段006で推定的に又は確定的に得られた共通点のそれぞれの画像座標値から、いわゆるワールド座標値を求めるものである。
【0079】
ワールド座標値を得る手法としては、既知の三角法等を用いれば良く、必要に応じ、8点アルゴリズム等、複数の共通点を求め、それぞれの画像座標値から、基礎行列等のアルゴリズムを決定する手法を用いてもよい。
008は、結合手段であり、先に形成された3次元座標データを一時記録手段008から読み出して、これと、現時点で形成された3次元共通座標データとを結合する手段である。結合は、先のデータとおおよそ共通する座標群を見つけて、この座標群を一致させて結合する手法が例示される。
009は、一時記憶手段であり、先の結合手段で結合して得られた共通三次元座標データを一時的に記憶しておく、デジタルメモリ、その他のデジタルメデイアが例示される。
010は、加工データ形成手段であり、前記結合手段008で得られた結合データを加工用のデータに変換するためのもので、当該データは、コンピュータモニター上に表示されていき順次結合されていくデータが表示され、CAM加工用に補綴物の加工データを形成する。結合データが画面表示されていくことで、未計測部分が表示でき、その部分を補完することが可能となる。
【0080】
次に動作を説明する。
至近撮影画像取得手段001によりカメラ対を口腔内の被撮影部分に対し、先端に複数のカメラが装着されたプローブを手で持ちながら、至近距離で連続撮影する。撮影は、連続撮影によって、移動させながら又は、静止させながら行われ、複数の画像対が選択手段002へ出力される(0a)。
選択手段002は、入力されてくる画像データのエッジ検出処理を施して、その値から、手ぶれ状態を把握し、ピンぼけ、手ぶれがない画像を選択し、補正手段002へ出力する(0b)。
補正手段002でキャリブレーション処理が施され、距離画像に補正された後、撮影画像座標設定手段003へ距離画像対を出力する(0c)。
入力された、複数枚の距離画像対に対し、座標が設定され、共通撮影範囲設定手段005へ出力される(0d)。
【0081】
共通撮影範囲設定手段005は、画像対から、共通する撮影範囲を検出設定して、その範囲を画像を共通点決定手段006へ出力する(0e)。
この共通範囲が設定された画像対の一つの画像を参照画像として、参照点を設定し、この参照点に一致又は近似する点を他の画像から順次、単位点ごとこに輝度値を日かkすうることで検出する。
一致、又は近似すると推定した点が得られた場合これを共通点として次の参照点について同様の操作を行い、共通点を決定し、これを繰り返していき、各画像の共通点の画像座標を得て、これを共通座標設定手段007へ出力する(0f)。
共通座標設定手段007では、各画像データ上における共通点の画像座標をワールド座標に変換して、結合手段008へ出力する(0g)。
結合手段008に入力されたワールド座標データは、その前に処理されたワールド座標データを一時記憶手段009から読み取り(0i)、共通座標部分に基づいて結合される。
結合されたワールド座標データは、一時記録手段009に一時的に重ね書きするように記録され(0h)、更に加工データ形成手段010に出力される(0j)。
【0082】
加工データ形成手段010は、得られたワールド座標データを実際3次元表示しながら、計測されていない領域が無くなり、補綴物が形成できる状態までの形状データが得られる
まで、蓄積され、その後、CAM用の加工パスデータに変換処理する。この加工データに基づいて、セラミックス、レジン、及ぶおれらの複合材により形成されるブロックを加工したり、ラピッドプロトタイプによる造形処理により補綴物を得る。
本発明は、至近接写により、撮影範囲を限定することで、精度の高い座標データを得ることができる。
【0083】
次に本発明の他の実施例に係る具体的構成例を図13を参照して詳細に説明する。
図13の(a)において、
110は、カメラユニットであって、同じCCD又はCMOSカメラを互いの方向へ所定の角度を施して、設置したものである。カメラユニット110の個々のカメラA111a、カメラB111bは、例えば1M(100万)ピクセル、程度かそれ以上の分解能を持つものが好ましいが、加工程度により、1Mピクセル以下でも良い場合もある。
112aは、カメラ111aの至近接写用のレンズ、であって、112bは、カメラ111bの至近接写用のレンズである。いずれも焦点距離が、短かく、ピンホールレンズや接写可能なレンズが、適用され、1乃至複数のレンズが使用されてもよい。又、拡大レンズを用いてもキャリブレーション可能な範囲で良い場合もある。
113は、照明光出力部であり、カメラユニット周辺に沿って、出力部が形成されている。照明光出力部113の表面には、プラスチック、ガラス等の透光性部材が装着されている。
【0084】
114は、光源であり、主に、LEDで形成されるが、導光路に基づく光路長があるため減衰を考慮して高出力なものが選択される。
115は、導光路であり、光源114の出力光を照明光出力部113に伝達数Rためのものであり、内部は、光を反射する部材でおおわれていることが好ましい。
照明光出力部113は、導光路115内の光源114の発光を外部へ出力する部分であり、デジタル画像を撮影すると、画面の周辺が暗くなることを補償できるものである。
又、LEDの光の輪郭が測定面に反射して受光することを回避させる照明光出力部113は、磨りガラス状の透光性部材や、透明な透光性部材を用いることができるが、その分光の損失が生じる為、透明なものが好ましい場合もある。
尚、照明光出力部113は、このような、間接的光源の利用だけでなく、直接、照明光を照射する手段を用いるものであっても良く、光源が生体の照射面に形成される輪郭等も、共通点の目安を取得する部位と成り得る場合がある。
【0085】
116は、本体先端部であり、本体把持部117と一体的に形成され、中央に押しボタン型のスイッチ118が形成されている。
本体先端部116と本体把持部117は、硬質なプラスチックで形成されており、軽量で持ち運びに優れた形状が好ましい。
119は、電気リード線であって、外部へ画像データを送信したり、電力を供給したりするためのものである。電気リード線119は、USBケーブル等の汎用性ケーブルが使用されても良く、又、無線送受信可能な場合は、不要な場合もある。

120は、インジケータであり、表示により、動作状態を示すものであって、例えば、撮影がされている期間を発光することで、表示したり、ピンぼけ状態とピントが合った状態、或いは、被写界深度範囲にあることを発光、色、強度等で示そうとする表示体であり、LEDの他、液晶パネル等、表示可能な素子を用いてもよい。
【0086】
121は、センサ用光源であり、周囲側面が覆われており、いわゆるスポットライト状の出力が行われるようにすることが好ましい。
被写体との距離を計測する為の出力であり、予め狭い角度で発散的に出力する光を出力するためのものである。この出力光の広がりは、被写体との距離と対応した関係が接待されており、被写体との距離をスポットライト状に映し出された光の直径、面積等を測定して、距離が得られるような、光源が利用される。
【0087】
図13の(a)に示された実施例の動作を説明する。
本体把持部117を持って、カメラユニット110の部分を歯牙へ接近させる。カメラユニット110のピントがあった時点で、撮影を開始する。
光源114は、常時、又は撮影時出力を行うと、導光路115を介して、カメラユニット110の周囲の照明光出力部より照明光を出力する。
照明光は、白色、その他、白色に近い色に調整された出力であっても良い。
常時照射する場合は、高出力LEDを採用するため、消費電力が大きくなるため、フラッシュランプの様な照明であっても良い。
ピントが合った時点とは、カメラ111a、111bが、オートフォーカスであれば、自動的にピントがあった状態で、実行されるが、オートフォーカスでない場合は、
【0088】
例えば、図14でしめすようにカメラユニット110、撮影部位に接近させていく、センサ光源121の出力が、撮影面に円弧を描く為、その円弧の直径又は面積等を測定し、被写体までの距離が予め計測された関係に基づき、計測され、その距離が、被写界深度に入ると自動的に撮影を開始し、インジケータ120が、その旨の発光(色、強度を変えた)を行う。
又、自動的に撮影されない場合は、スイッチ118、その他のシャッターを押すことで、撮影が開始される。
撮影は、一回でピントが、手ぶれがない画像が撮影されればよいが、連写することで、複数の撮影が行われて、その中から、画像が選ばれても良い。
本体把持部117を手でもって、図14の(a)で示すように、本体先端部116のカメラユニット110を接写しながら、図14(b)で示すように、移動させてゆく、その際も、被写界深度にあった距離であって、少なくともピントのあった所定の範囲である場合は、連写が続けられ、画像データが内部メモリに蓄積される。内部メモリに蓄積される場合の他、電気リード線119を介して外部記憶装置に記憶される場合もある。
【0089】
照明光出力部113からの照明は、撮影のタイミングで出力する場合や、常時出力するものであってもよい。尚、
連写は、少なくとも、手ぶれとピンぼけがない画像を選択抽出できる早さであれば良く、動画レベルで、1秒間に30枚程度であってもよく、分解能を得る場合などそれ以下の枚数であっても良く、枚数が多いとメモリを大幅に消費することから、メモリ容量に応じて適宜選択される。
又、拡大レンズの使用してもよく、狭い面積を撮影するものであっても良い。
カメラユニット110は、所定角度で、互いの方向に傾いているが、その状態で両者の共通した撮影部位を図14(a)のH21で示した。
【0090】

図14(a)の共通撮影部位H21から、それぞれ、共通点Mを検出する。共通点Mは、どちらかの画像から選択されたMに対し、他の画像において、その角度に基づいた範囲を、その照度に基づいて決定する。
本願発明は、この照度値の撮影負担を、小さくするため、近接した撮影を行う。
即ち、CCD、CMOS画素の集合体であるイメージセンサ部の大きさに対し撮影面積を小さくすることで、画素が負担する範囲を小さくして、分解能を向上させると共に至近接写可能なカメラ構造により、更に精度の高い計測を可能とする。

得られる写真画像は、レンズによる歪みを是正したり、必要に応じ、光量の補正をおこなうキャリブレーション手段を通過させる。キャリブレーション手段は、OPEN-CVの様な、ソフトウエアを組み合わせ利用することで、実現させても良い。
【0091】
従って、一回の撮影で得られる3次元データの範囲は、10mm×10mmであれば、一画素の撮影範囲は、100万画素(1Mピクセル)程度を用いるとすると数十μm×数十μmであり、ブロックマッチングの際の比較する1ブロックも同様の値となって、共通点の決定における座標の精度を向上させることができる。
次にブロックマッチング操作をおこなう。例えば水平なカメラ関係であれば、y軸に沿った比較による一致又は、SSD SADのように、基準ブロック画素と、比較ブロック画素の差分をとっていき、必要に応じて2乗してその最小値を放物線を描いて、その最小値をとり、その最小値の比較画面におけるブロックを共通点とするサブピクセル推定をしても良い場合もある。
ブロック単位は、2×2、3×3〜で精度を求める場合は、より小さい方が好ましい場合もある。参照画像からのブロックの決定は、隣接するブロックを検出してマッチング処理を行う他、少なくとも、加工精度が得られるデータが得られればよいことから、一つおき、又は、複数ブロックを飛び越して選択し、マッチング操作をおこなってもよい。
【0092】
再現された3次元データの連結は、スプライン曲線等を用いた曲線補完処理でも足り、時間短縮と、リアルタイム処理を可能とする場合もある。
少なくとも、加工データが得られる精度のブロック選択がされればよく、又、加工までにいかず、撮影と同時に、画面上に3次元画像を再現する場合は、ブロックをさらに飛び越してマッチング処理をおこなうことで、リアルタイムな画像表示を可能とする。
共通点Mが得られた後、この共通点Mをワールド座標等の共通座標へ変換する。
共通座標への変換手法は、カメラの透視投影行列を用いたアルゴリズムの利用による公知の手法が用いられても良い。
尚、共通点のワールド座標値を複数点得ることで既存の8点アルゴリズム等による基礎行列を算出し、この基礎行列を用いて三角法等の既知の撮影画像座標をワールド座標へ変換するアルゴリズムを形成し、それぞれの撮影画像での共通点の座標に基づいてワールド座標上での共通点座標を求めても良い。
【0093】
このように一回の撮影から口腔内の一部の領域(図14、H21)のワールド座標データが得られた後、次の画像データ対から例えば、図14のH22の範囲からワールド座標データを得て、H23の領域へ移行して、それぞれの形状をワールド座標化する。。
ワールド座標化した3次元データ面、H21、H22を、その共通する部位の座標を比較近似してつなぎ合わせてゆくことで、歯の3次元形状データを得る。又、歯以外の歯周部等も同様の手法で、3次元化可能である。
尚、口腔内のテクスチャは、接写することで、その凹凸が画像の特徴として利用される場合もあり、更に、回折光学素子の利用によるパターン投影、照明の方向、種類によって、そのマッチングに供する特徴が得られる場合もある。また同じ部位をなぞるように接写して画像化し、同部位の3次元データを加算平均することで、より精度が向上する場合もある。
【0094】
本発明は、パッシブなステレオ方式を採用することも可能であるが、接写し連写することから、図14(b)で示すように歯面2H上をおおよその至近距離でアクテイブに移動させて、形状計測も可能であり、口腔内カメラ的な使用も可能とすることから、本発明では好適な実施態様となる。
本発明におけるピンぼけ画像を解消する手法として、図13(b)を参照する。
センサ用光源121は、指向角が、5度前後から、それ以上の角度を持つ、出力光を、側面を黒い遮蔽物で遮蔽した状態で出力することで、スポットライト化する。LED光は、直進性があるため、照射距離121aと円形の照射面121bの面積が略対応する(照射距離が長くなると照射面の面積が広くなる)ことから、あらかじめその関係をデータ化し、距離を測定する際、照射して、その直径、面積を測り、被写界深度範囲であるかないかを識別し、範囲である場合は、インジケータ120の光を点滅させたり、異なる色の表示をさせたりしても良く、利用者が、そのインジケータ表示により、状態を把握し、カメラ位置を調整しながら、アクテイブに口腔内を撮影しても良い。
又、当該照射面121bの計測により、被写界深度範囲に、プローブがあることを自動的に検出すると、連写が始まるようにしておくことで、シャッターを押す動作を無くして、手ぶれの一要因を解消させてもよい。照射面121bは、照射される部位の凹凸により、面積の算出が困難な場合は、その輪郭の数点を検出して、得られる推定した円の直径、面積を計算するものであってもよい。
【0095】
センサ用光源121は、必要に応じて装着されれば良く、又、パターン光源として使用しても良い。即ち、本実施例は、接写状態に近い至近距離であるため、指向角度の狭いLED等を用いれば、いろいろなスリットを用いて、測定面に光学的模様を形成することが出来るからである。
尚、外部モニターは、3次元座標が得られると同時に、画面上にCG表示していくことで、未完部分をみながら、カメラユニットの位置を操作するものであってもよい。
【0096】

又、その際の、画像のみを記録して、その他は削除しても良い。尚、このようなセンサ光源を用いなくても、得られる対の画像データから、容易に検出できる特徴部位を検出して、そこから、共通点を求めて、その座標を求めても良い場合もあるが、接写の場合は、センサ用光源の利用が適当になる場合がある。

尚、オートフォーカスタイプのカメラモジュールの使用の際は、一つの撮影毎に、多少の静止時間が必要となるが、連写手法との組み合わせによりおおよそアクテイブな操作となる場合もある。
【0097】
図13(c)は、本発明の他の実施例であり、一つのイメージセンサを4に分けて、それぞれを独立のイメージセンサとして複眼的に使用したものである。
図13(a)と同じ、構成の部分は、同じ番号を付して説明を省略した、
122aから122dは、レンズ123a〜123dを装着したレンズ体であり、それぞれ内向きに傾斜している。傾斜することで、より、狭い範囲を3次元用に撮影する場合は適当であるが、平面状であってもよく、共通点の検出を容易にするものである。
また、内部で反射鏡、反射プリズムなどの反射回数を少なくすることで、キャリブレーションを複雑にしないで済むようにする手法も採用することが可能である。
図面中124a及び124cは、第1反射部材であり、プリズム、鏡で形成され、入射光を次の第2反射部材へ、歪みを抑えた状態で反射させる為のものである。
【0098】
第1反射部材は、レンズ部材と対応していることから、図では、2つしか表示していないが、4つあり、それぞれのレンズ部材と対応することから、レンズ部材123aに対しては、124a、レンズ部材123cに対しては、第1反射部材124cがそれぞれ対応しており、図示しないが、レンズ部材123bには第1反射部材124b、レンズ部材123dには、第1反射部材124dがそれぞれ対応している。
125は、第2反射部材であり、第1反射部材124と同様の鏡、プリズムが用いられており、入射光を、イメージセンサの該当エリアへ、反射させるものである。
第2反射部材125a〜125dも同様に4つ、それぞれ第1反射部材124a〜124dと対応して配置されている。
126はイメージセンサであり、正方形状等4等分しやすいものが用いられている。
図13(c)に範囲を区切った状態を示した。それぞれ、第2反射部材の反射光を受光するために、等分で仕切られて使用される。
仕切りは、必要ない場合もあり、イメージセンサ126の出力するデータで区切るソフトウエア式提供が好ましい。
【0099】
本実施例の照明も、一つのLEDやむぎ球等のアナログ照明等による光源114を導光路115を介して、レンズ部材の周辺に形成された照射部127から、照明光を、測定部位へ照射する構成を有する。
本実施例は、最大4つのカメラによる、3次元形状計測を行う構成であり、一対のカメラを選択して、撮影画像より共通点を検出し、3次元座標を得て、4つのカメラを用いた場合は、少なくとも4通りの組み合わせで得られた、同じ共通点を得て、加算平均するなどしてより精度の高い座標を得てもよい。
場合によっては、4つの領域のうち3つ又は2つを使用してもよい場合もある。

【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、瞬間に近い状態でデータを取得し、このデータをコンピュータ処理を施して、補綴物データが得られることから、手軽な口腔内情報の取得と、データ量の縮小化に伴う、手軽な補綴物の作成ができ、瞬間的な計測により、患者の負担を軽減し、歯科医療分野で従事者の手間を省くことができる。
【符号の説明】
【0101】
1 画像データ化手段
2 傾き情報検出手段
3 三次元座標取得手段
4 調整手段
5、7 加工用データ形成手段
6、8 加工手段
10 支持体
11 計測支持部
12 把持部
13 伝送部
14 表示演算ユニット
15 表示部
16 撮影オンオフボタン
17 接続用ケーブル
18 コンピュータ
19 加工装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内で被写体に対し至近接写手段を用いて静止画的に1乃至複数の画像データを連写又は単写して得る画像データ化手段、被計測物の三次元形状を計測可能な状態として前記画像データ化手段が設置され、且つ口腔に配置可能な大きさを持つ支持体、前記画像データ化手段で得られた画像データから、被写口腔内物の三次元形状を得る三次元形状取得手段、を有する歯科用補綴物計測加工システム。
【請求項2】
前記至近接写手段の至近接写距離が、5mm〜20mmの範囲であり請求項1に記載の歯科用補綴物計測加工システム。
【請求項3】
前記支持体の画像データ化手段の固定部位には傾き情報を検出する傾き情報検出手段、前記傾き情報検出手段の傾き情報出力に基づき前記三次元形状取得手段の三次元データを調整する調整手段を備えている請求項1に記載の歯科用補綴物計測加工システム。
【請求項4】
前記三次元形状取得手段で得られたデータに基づいて、加工用ブロックを加工して歯科補綴物を製造加工する加工手段を含む請求項1に記載の歯科用補綴物製造システム。
【請求項5】
前記画像データ化手段で得られた映像を表示する表示部、及び前記画像データ化手段の撮影開始停止を行うスイッチング手段が前記支持体と別体で形成され、その間を有線又は無線で接続される請求項1に記載の歯科用補綴物製造システム。
【請求項6】
口腔内で撮影された隣接歯と補綴部位の三次元座標検出可能な静止画、対合歯の三次元検出可能な静止画を前記画像データ化手段で撮影し、前記静止画より、仮想補綴物形状形成に必要な数値データを抽出すると共に、前記データに対応して、咬合面、支台歯面の三次元座標を検出し、前記数値データと三次元座標から仮想補綴物形状を取得する請求項1に記載の歯科用補綴物製造システム。
【請求項7】
前記表示部で表示された画像を、一方向画像と多方向用画像に変換する画像変換手段、前記画像変換手段で変換された一方向画像と多方向画像を表示する3D表示手段、前記3D表示手段で出力される画像に対し、右眼に対して一方向画像を出力し、左眼に対して多方向画像を出力する出力調整部を更に設けた請求項5に記載の歯科用補綴物製造システム。
【請求項8】
目的とする補綴物に対応する3次元形状データを複数蓄積したデータベースを用意し、
前記三次元形状取得手段で得られるデータに近似した形状を前記データベースから検索する検索手段、前記検索手段で得られたデータ上で、前記三次元形状取得手段で得られた実測データを補完演算する請求項1に記載の歯科用補綴物製造システム。
【請求項9】
前記補完演算は、前記データベースで得られた近似形状に対して、前記実測データの補完を行う請求項8に記載の歯科用補綴物製造システム。
【請求項10】
前記支持体は、2つの画像データ形成手段を互いに直角状態で配置する形状を有してなる請求項1に記載の歯科用補綴物製造システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−16573(P2012−16573A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63525(P2011−63525)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000126757)株式会社アドバンス (60)
【Fターム(参考)】