説明

毛除去装置

【課題】効果的な毛除去を行い得る毛除去装置を提供する。
【解決手段】皮膚表面から皮膚内に伸長する毛嚢内にある複数の毛を皮膚領域から同時に除去するための装置において、アプリケータ(18、46´)と、照射光の光源(12)と、前記照射光の光源から前記アプリケータの表面まで延在し、所定の波長の照射光をほぼ通過させる光路(16、114)とを備え、前記照射光は、前記アプリケータの表面を通過して前記皮膚表面に至り、680nmから1200nmの波長と、10J/cmから200J/cmの作用力とを有し、前記照射光の前記皮膚領域上での持続時間が、50μsから200msであるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照射光により毛を除去する方法及び装置に関する。関する。
【背景技術】
【0002】
余分な毛(多毛症)及び/又は不要な毛は、皮膚及び美容上、一般に見られる問題であり、例えば、男性型多毛症(即ち、アンドロゲンのようなホルモンに起因する過剰な毛)のような遺伝、悪性、又は、内分泌による病気により生ずる。
【0003】
毛は、脱毛ワックス、脱毛クリーム、及び勿論、剃ることを含む多数の技術を使用して一時的に除去することができる。これと代替的に、電解質を使用して毛を恒久的に除去することもできる。この方法は、電流を運ぶ針を毛嚢に刺すことを伴い、痛みがあり、効率が悪く且つ時間がかかることが多い。
【0004】
毛を除去するため、レーザ光線を使用するような光を利用する方法も使用されている。例えば、米国特許第4,388,924号には、レーザを使用して個々の毛嚢を照射することが記載されている。この方法において、毛の根部分を加熱する結果、局部的な血管に凝固が生じ、毛嚢が破壊されて、このため、毛が抜ける。米国特許第5,226,907号に記載されたような関連する技術は、最初に、対象とする領域に光吸収物質を付与することにより毛嚢を破壊することを含み、この光吸収物質が毛嚢の少なくとも途中まで移動し、余分な光吸収物質を除去することと、次に、その領域を照射して、その物質、従って毛嚢を加熱し、その毛嚢を破壊することとを含むものである。
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,388,924号
【特許文献2】米国特許第5,226,907号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の従来技術には、多数の問題点がある。第一に、個々の毛嚢を照射する技術は時間がかかり、このため、極めて狭い領域から、又はその内部に数本の毛しか無い領域から毛を除去する場合以外に一般に実際的ではない。また、この方法は、特に、毛嚢に針状の要素を刺して、毛の再成長を防止するために破壊しなければならない拡張部分及び根又は乳頭に光エネルギが達し易いようにする場合、痛みを伴う。照射源をこの毛嚢内に挿入しない場合、その毛嚢の必要とされる部分に十分なエネルギを得ることは難しく、このため、その周囲の組織を著しく損傷させることなく、従って、患者に痛み及び損傷を与えがに、その毛嚢を破壊することはできない。
【0007】
後者の特許の技術は、所定の領域内にある多数の毛を同時に除去することを可能にする点で有利であるが、この技術の場合、その乳頭を破壊するため、光吸収物質、即ち発色団を毛嚢内に十分に深く入れることは難しい。更に、この技術の結果、治療される領域内の表皮及びその他の皮膚層に相当量のエネルギが付与され且つ吸収されて、毛根又は毛嚢の乳頭に達するエネルギが著しく少なくなる。
【0008】
毛嚢が完全に破壊され、このため、恒久的に、又は少なくとも長期間に亙り、特に、表皮及びその領域内の皮膚のその他の層を損傷させる虞れを伴わずに、毛を除去することは困難となる。
【0009】
このため、その領域内の表皮の損傷を最小にして、これにより、患者の苦痛を最小にし、また、その治療に伴う有害な副作用を最小にしつつ、光エネルギが拡張部分及び根元に又はある領域内にある毛嚢の根に達するのを促進する、毛を除去するための改良に係る技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記に従い、本発明は、その毛の各々が皮膚の表面から皮膚内部に伸長する毛嚢内にある、複数の毛を皮膚領域から同時に除去する方法及び装置を提供するものである。この技術は、その皮膚領域内で皮膚に接触するようにアプリケータを配置することと、選択された波長及び選択された光量の照射光を所定の時間、そのアプリケータを通じて皮膚領域に付与することとを含む。このアプリケータは皮膚の表面に押し付けて、これにより、アプリケータからその毛嚢の乳頭までの距離を短くし、その毛嚢の破壊を容易にすることが好ましい。更に、本発明は、その皮膚領域に照射光を付与する間、及び/又はその前に皮膚領域の皮膚表面を選択した深さまで冷却することを含む。これにより、皮膚領域の皮膚表面を損傷させることなく、選択された深さまで毛嚢の乳頭を著しく加熱することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
好適な実施の形態の場合、このアプリケータは、その皮膚領域内の皮膚表面を選択された深さまで冷却するために利用され、その選択された深さは、皮膚の表皮層(即ち、皮膚表面に最も近い皮膚層)の深さに少なくとも等しいことが好ましい。アプリケータによる冷却は、例えば、皮膚表面と接触したアプリケータの少なくとも表面を冷却することにより行われ、その冷却は、皮膚を照射する前、及び照射中の双方にて行われることが好ましい。好適な実施の形態の場合、このアプリケータの冷却は、冷却流体をアプリケータに通すことにより行われる。更に、その皮膚領域が略選択された深さまで冷却される迄、この皮膚表面の照射は行わないことが好ましい。最も好ましい実施の形態の場合、この冷却は、照射前及び照射中の双方にて行われ、選択された光量及び所定の露光時間(即ち、照射の時間間隔)は、次のように選択される。即ち、選択された深さまでの皮膚領域内の皮膚の加熱程度が精々、最小程度である一方、選択された深さよりも深い毛及び毛嚢が十分に加熱され、毛嚢を取り巻く組織を著しく損傷させることなく、少なくとも毛及び毛嚢が損傷させるように選択する。好適な照射の時間間隔は2乃至100msである。また、アプリケータは、その皮膚領域に付与される照射光を収束させ、これにより、毛嚢の表皮の照射を更に促進し得るような設計であることが好ましい。好適な実施の形態の場合、該アプリケータは、皮膚表面と接触した凸面を有しており、その凸面に略均一な圧力を付与して、下側の皮膚表面を変形させるようにする。代替的な実施の形態の場合、アプリケータは、皮膚領域内に皮膚の折り畳み部分を形成し、また、その折り畳み部分の略両側部に照射光を付与するような設計とされる。例えば、アプリケータは、皮膚表面と接触するその表面に形成されたスロットを有し、皮膚領域の少なくとも一部がそのスロット内に吸引され、スロットの少なくとも両側部から皮膚領域に照射光が付与されるようにすることができる。
【0012】
また、アプリケータと上記皮膚領域内の皮膚表面との間にて、屈折率が略適合した状態を保つことも望ましい。かかる屈折率の適合は、屈折率が適合した物質層をアプリケータと皮膚領域内の皮膚表面との間に設け且つ/又は、少なくとも皮膚領域と接触した表面について、皮膚表面と略適合した屈折率を有する材料でアプリケータを製造することにより達成される。
【0013】
毛の除去を容易にするため、照射前に皮膚領域内の毛を剃ることができる。しかしながら、照射前に皮膚領域内の毛を脱毛処置することが好ましい。脱毛処置したとき、その脱毛処置した毛嚢に、照射に使用される選択された波長の光線を優先的に吸収する物質(即ち、発色団)を充填することにより、その毛嚢の破壊を促進することができる。更に、毛を一時的にのみ除去したい場合、その領域を予め剃ることが好ましく、また、この領域に発色団を付与することにより、数週間の期間に亙り、比較的苦痛なく行うことができる。この発色団は、数ミリメートル、即ち、皮脂線の略深さまで毛嚢内に入り込む。次に、アプリケータを通じてその皮膚領域を低レベルで照射すれば、毛嚢を破壊させることなく、毛が破壊される。
【0014】
上記に従い、毛を除去するために使用するのに適したアプリケータは、照射光をアプリケータに付与するための入口と、皮膚領域内の皮膚に接触し得る形状とされた表面と、該入口から該表面までの光路(この光路は選択の波長の光線に対し略透過性である)と、光線が皮膚を貫通してアプリケータから去るとき、その照射光を収束させる、光路内に設けられた要素と、表面温度よりも低い温度までその表面を冷却する何らかの手段とを含むことができる。上述したように、この表面は、皮膚領域内の皮膚表面の屈折率に略適合するが、その屈折率以下でない屈折率を有する材料から成るものであることが好ましい。好適な実施の形態の場合、照射光を収束させる要素はレンズであり、また、冷却手段は冷却水が通るように、その表面付近に形成された通路である。一つの実施の形態の場合、皮膚と接触したアプリケータの表面は、凸型の形状をしている一方、代替的な実施の形態の場合、その表面にはスロットが形成され、光路がそのスロットの少なくとも両側部に達している。また、該アプリケータは、その皮膚領域の少なくとも一部をスロット内に吸引する手段を備え、この吸引手段は、負圧を付与する要素を有することが好ましい。
【0015】
本発明の上記及びその他の目的及び特徴並びに有利な点は、添付図面に図示した本発明の好適な実施の形態に関する、以下のより具体的な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の各実施形態を説明する。
図1を参照すると、一例としてのレーザ利用の毛除去装置10は、例えば、照射の場を発生させる1つ以上のレーザを含むことのできる光源12を備えている。該光源12は、一連のビーム操作光学素子14に光学的に結合される一方、該光学素子は、光ファイバケーブル16(又は、その他の光ファイバ装置)を介して照射装置又はアプリケータ18に結合することができる。毛の除去治療を行う間、光源が、電圧電流供給源19により作動されて、光学素子14及び光ファイバ16を通じて照射装置又はアプリケータ18に光ビームを供給する。次に、患者22の領域20(例えば、患者の身体における領域20の位置に対応して、台25、椅子又はその他の適当な位置決め要素の位置に配置される)に光の場を供給し、その結果、領域20から毛が除去される。所望の領域が治療されたならば、照射装置を矢印27で示すように患者22に沿って簡単に動かして、後続の領域の治療に使用することができる。
【0017】
光の場の空間且つ時間特性により毛を除去する過程の効率が決まり、所望であるならば、毛の除去装置10の各種の構成要素に設けられた一連の制御装置24、26、28を使用して、これら特性の一部を調節することができる。例えば、電源に設けられた制御装置24を使用して、レーザの出力供給源の電圧、電流及びスイッチング速度のようなパラメータを調節することで照射の場における光の強さ及びパルスの反復速度を制御することができる。波長及びパルスの持続時間のような、場のその他の特性は、光源12の構成要素(例えば、格子、ミラー又はフィルタの位置、シャッター、又はパルス発生手段)を調節する制御装置26により変更可能である。しかしながら、好適な実施の形態の場合、波長は調節しない。同様に、制御装置28を使用して、変調光学素子14を調節し、モードの質、ビームの直径、光ファイバ16と照射の場との結合といった、光の特性を制御することが可能となる。全ての制御装置は手で調節可能である。この装置は、手で作動させ(即ち、レーザを作動させ)、又は代替的に、装置10に接続された足踏みペダル30を使用して作動させることができる。
【0018】
代替的な実施の形態において、光源、結合光学素子、照射装置は、単一の携帯型の装置内に収容することができる。この場合、光源は、照射装置に直接的に結合され、また、ダイオードレーザのアレーとして小型の外部電源から給電されることが好ましい。この光学装置のコンパクトな性質のため、より制御可能で、操作可能な装置となり、更に、光ファイバの給電装置は不要となる。
【0019】
その周囲の組織を損傷させることなく、照射された毛嚢を効率良く破壊するため、この装置10及び照射装置18により供給される照射の場は、光により生じてその毛嚢に付与される熱量を最大にする一方、その周囲の皮膚の損傷の程度を少なくする設計とされる。例えば、十分な光エネルギを毛嚢上の幾つかの「標的」領域に供給して、これらの領域に供給された照射光の結果、その毛嚢が完全に及び局部的に破壊されるようにすることが好ましい。
【0020】
治療前に、毛嚢の照射を促進し得るように治療すべき領域を剃ることができる。これ代替的に、以下に説明するように、その領域内の毛を脱毛処置して、領域20に発色団を付与し、空の毛嚢内にその発色団が入り込むようにする。次に、照射前に、その皮膚表面から余分な発色団を除去することができる。治療前に、皮膚表面の一部に麻酔薬を噴射し又は塗布し、また、治療後に、患者を局部的な抗生物質の塗り薬で治療することができる。
【0021】
機械的構造
次に、図2A及び図2Bを参照すると、毛除去装置のアプリケータ又は照射装置18は、領域20内にある毛嚢40に照射の場38を供給することを可能にする。図2Aに図示するように、この照射の場38は、1本以上の繊維又は光ファイバの束を収容する光ファイバケーブル16(又はその他の光ファイバ装置)を使用して、照射装置18に供給することができる。この場合、導波管から出た後に、照射の場38は、典型的に空間的に分散され、平凸型レンズ42を使用して集め且つ大まかにコリメートさせることが好ましい。これと代替的に、図2Bに図示するように、例えば、1つ以上の反射ミラー44を使用して照射の場を照射装置に供給してもよい。このことは、レンズ42に衝突する前に照射の場38を略コリメートさせることを可能にする。レンズ42の焦点距離及び照射の場のモードの質に対応して、この場は、例えば、図面に図示した平凸型レンズを使用して集光することが好ましい。この光学素子を通過した後、そのビームは、皮膚領域20と接触する位置に配置されたレンズ、又は接触装置46に衝突する。この接触装置46の光学的及び機械的性質は、光線を皮膚領域(供給された照射場38となる)と効率的に結合し得るように選択され、また、接触装置の熱特性は、その皮膚領域から熱を効率良く結合し得るように選択される。供給されたならば、その照射の場を使用して、毛嚢40を照射し、加熱し、次に破壊させる。更に、この接触装置46は、照射領域の表面的な皮膚層(即ち、表皮)に光を結合し且つ加熱するために使用される。これにより、毛嚢の深い部分に保持された光吸収性色素(即ち、メラニン)を照射し且つ選択的に加熱して、その毛嚢を恒久的に破壊する一方、同時に、有害となる虞れのある光及び熱エネルギをその上の皮膚層外に伝達する。このように、患者を著しく苦痛を与えたり又は損傷させることなく、多数の毛嚢を破壊し、毛をその皮膚領域から恒久的に除去することができる。除去された毛嚢は、最終的に身体により除去される。
【0022】
レンズ42及び接触装置46は、冷却水及び純粋な気体(即ち、レンズ上の凝固を防止する窒素)のような流体が出入りするための入口50及び出口52の双方を有するハウジング48内に配置されることが好ましい。例えば、接触装置46を冷却するために、流体を使用することができる一方、その接触装置が皮膚の表面を冷却する。これと代替的に、ハウジング48は、接触装置46の温度を正確に制御し得るように電子的に制御される冷却装置を含めることができる。冷却手段が使用されるとき、その皮膚の表面層又は表皮の温度は、4乃至15℃まで低下する。更に、この場合、その表皮が十分に冷却するように、照射前に短時間(例えば、約1秒)置くことが好ましい。図2Bに破線で示したように、外部ケーシング39又は図2Aに図示したような光結合ハウジング37を使用して、光供給手段をハウジング48に接続することができる。
【0023】
次に、図3Aを参照すると、好ましくは、毛嚢40の基部付近にて照射の場を収束させ得るように接触装置46をレンズの形状に形成することが好ましい。光を収束させるためには、接触装置は、照射波長に対して光学的に透明であり、好ましくは、f数がf/1.0以下であり、焦点距離が約0.5乃至2cmの範囲にある両凸型又は平凸型レンズの形状であることが好ましい。接触装置の表面形状を制御すれば、収束した光の場38′が毛嚢の各種の標的部分を同時に照射して、効率的に破壊させることが可能となる。典型的に、照射した毛嚢の軸の各々は、直径が約75μmであり、毛嚢全体では約200μmの直径となる。接触装置46を通過した後、光の場38′は皮膚層(厚さが例えば、0.1mm)の表皮56を通じて収束され、毛嚢40の乳頭54付近の真皮58内に集光されることが好ましい。真皮の厚さは、身体全体にて著しく異なるため、乳頭は表面にある(例えば、瞼及び陰嚢内)が、大部分の対象領域(例えば、顔、わきの下及び足)の場合、乳頭は表皮面の下方約4乃至7mmの深さにある。乳頭の下方、数10分の1mmの位置には、神経脈管の束60があり、この神経脈管の束60は、毛のマトリックス(乳頭内に位置して、毛の軸55を形成する急速に成長する角質化細胞の領域)の代謝及びその他の必要性に対応する。該マトリックス、乳頭、及び対応する血管束、並びに毛嚢の中心付近の拡張部分は、照射し且つ破壊すべき毛嚢の標的部分となる。これらの領域を照射する間に、光の場をパルス状にし、その照射パルスの持続時間を十分に短く保ち、選択的な光熱分解の原理に従い、毛嚢の各々を取り巻く真皮の小さい領域(典型的に、約0.2mm以内)だけが局部的に損傷されるようにする。この損傷程度は、隣接する毛嚢間の距離(典型的に、1乃至4mm)の1/2以下であることが好ましい。この値よりも著しく大きいならば、光よる損傷の結果、3度の火傷が生じる虞れがある。
【0024】
光を収束させる機能を提供することに加えて、凸型の面62を有する接触装置46は、接触中、皮膚を効果的に圧縮することを可能にする。この接触装置の面62付近にある真皮58が圧縮されることで、この領域と乳頭との間の距離が短くなる。加えられる力に対応して、この距離は、数mmまで短くすることができる。光の場38′は、真皮を通って伝播される間に散乱され、これに対応して減衰されるため、皮膚の圧縮の結果、より多くの光が毛嚢の深い部分に向けられ、乳頭をより効率良く光で加熱することができる。更に、患者の血圧よりも高い圧力を使用して接触装置により真皮を圧縮すれば、光を吸収する血液は照射された領域から押し出される(治療中、加圧された領域の皮膚が白くなることで認識される)。これにより、その光場の吸収効果が低下し、毛嚢の標的領域に一層効率良く光を供給することができる。凸面を有する接触装置を使用して加えられた圧力は、血液を皮膚領域から比較的均一に変位させることとなる。このため、この形状を有する接触装置は、完全に血液が存在しない訳ではない中心部分を有する領域を生じさせる、平坦な装置であることが好ましい。
【0025】
別の実施の形態において、接触装置は、ばね負荷式の形態にてハウジング内に取り付け、その装置が調節可能な圧力にて皮膚の表面に押し付けられるようにすることができる。更に、この実施の形態において、ばね機構をセンサ及び読み取り装置に取り付けて、皮膚の表面に加わる正確な圧力を正確に監視し且つ/又は制御することが可能である。
該接触装置46は、皮膚に押し付けられたならば、照射光を表皮内に且つ表皮外に結合することを可能にする。次に、図3Bを参照すると、接触装置46の屈折率(nCD)は、表皮56の屈折率(nEP)(約1.55)に略適合したものでなければならない。一方の屈折媒体(即ち、接触装置)から別の媒体(表皮)まで進む光は、屈折率の差の二乗に等しい程度だけ、その2つの領域を分離させる境界面57にて反射されるため、屈折率が略適合すれば、照射の場を皮膚内に効率的に結合させることが可能となる。このようにして、屈折率が約1.5又は多少より大きい材料から成る接触装置は、入射する照射の場が表皮/接触装置の境界面57にて最小程度、反射されることを可能にする(図面で矢印64により図示)。
【0026】
同様に、図面に矢印66で示すように、真皮内の光の場は、拡散反射により表皮に向けて後方に散乱される。これらの後方散乱の場は、表皮が不要に加熱されることに寄与するが、屈折率が適合した接触装置46を使用すれば、皮膚外に容易に結合させることができる。このことは、真皮内の毛嚢の標的箇所を効果的に照射することを可能にしつつ、光に起因する表皮56の損傷を最小にする。好適な実施の形態において、屈折率が略適合したものにするためには、接触装置は、サファイヤ(nCD=1.7)、溶融シリカ(nCD=1.5)、又は同様に光学的に透明なガラス又はプラスチックのような高密度の材料で出来たものであることが好ましい。皮膚に入る収束場を提供し、また、図示するような接触装置の凸型の形状とするためには、屈折率が僅かに大きいため、望ましい収束場を促進するサファイヤを使用することが有利である。
【0027】
次に、図3Cを参照すると、表皮から熱を伝達するためには、接触装置46は、皮膚の熱伝導率と同様の高い熱伝導率(kCD)を有する材料で出来たものであることが更に好ましい。このことは、熱を表皮56から接触装置/表皮の境界面57を横断するように接触装置46内に効率的に伝達することを可能にする(図面に矢印68で示すように)。更に、境界面57にて生ずる局部的な加熱効果を最小にし、これにより、照射した表皮の熱による損傷又は負傷を少なくするために高熱伝導率でなければならない。以下に説明するように、このことは、接触装置が冷却しているときに特に重要なことである。理想的には、接触装置の熱特性及び照射を開始する前に接触装置が皮膚に接している時間により、表皮付近の加熱程度は最小になるが、毛嚢の乳頭付近(図面に領域70として図示)に付与される熱には殆ど影響は無い。高熱伝導率を有する材料には、サファイヤ(30℃にて、C軸線に沿って、KCD=0.083カロリー・sec-1・cm-2・℃・cm-1)、溶融シリカ(30℃にて、C軸線に沿って、KCD=0.026カロリー・sec-1・cm-2・℃・cm-1)、及びその他の高密度ガラス及びプラスチックが含まれる。
【0028】
更に、接触装置/表皮の境界面57における光の特性(即ち、後方散乱光の透過)及び光特性(即ち、熱伝導特性)の双方を向上させるためには、接触装置46及び表皮の屈折率と同様の屈折率を有するローション、水又は油のような局所的液体及び軟膏を皮膚に塗ることが望ましい。例えば、表皮(n=1.55)及びサファイヤ(n=1.7)の屈折率の範囲の屈折率を有する油を塗ることにより、その境界面における光の反射効果は最小となり、これにより、接触装置から皮膚領域内に、光をより効率的に伝達し、また、皮膚領域からの後方散乱光をより効率良く伝達することが可能となる。また、液体は、皮膚からサファイヤ内に伝導することにより、熱を効率良く伝達し、これにより、表皮の損傷又は負傷の程度を軽減することができる。
【0029】
光の特性
皮膚内の光の場を照射する時間且つ空間的な強さの分布により、毛嚢の標的となる領域内に付与される熱の量が最終的に決まる。このため、これらの特性は、毛の除去過程を最適にし得るように選択し且つ/又は調節することができる。特に、毛の除去過程に影響する特性は、パルスエネルギ、パルスの持続時間、反復速度(即ち、後続のパルス間の時間)、波長、エネルギ、露光箇所の寸法、皮膚に入るときのビームの収束度、及び光のパルスモードの形態(即ち、空間的広がり程度及び均一さ)を含む。こうした特性は、照射すべき毛及び皮膚内に存在する色素に対応するように選択することができる。パラメータの各々は、照射直後の各標的箇所における温度が約80乃至120℃の範囲まで上昇するように調節することが好ましい。毛嚢をこの温度まで加熱すれば、恒久的な損傷が生じ、その後に除去することができる。
【0030】
次に、図4を参照すると、照射の場の波長は、標的箇所(即ち、毛の軸、拡張部分、マトリックス及び乳頭)内に存在する自然の色素(即ち、メラニン)と共鳴するようなものを選択する。図面に図示したメラニン、水、ヘモグロビン及び酸化ヘモグロビンの吸収スペクトルは、異なる波長の照射光に対するこうした化合物の吸収能力を示す。吸収程度が少ないことは、特定の波長における光は吸収媒体内により深く貫入することを示す。一般に、標的領域を選択的に加熱するためには、照射の場の波長は、基本的に、約200乃至1200nmの光を吸収するメラニンの吸収スペクトルに適合するように選択する。これと逆に、波長は、水及びヘモグロビンのような皮膚内に含まれる化合物の吸収スペクトルと非適合状態であるようにする。680乃至1200nmの範囲(この範囲は、図面に矢印70で表示)の波長を有する光は、メラニンにより効果的に吸収される一方、ヘモグロビン及び水により比較的透過され、このため、かかる光は、白又は僅かに褐色の皮膚により取り囲まれた有色素の毛を選択的に加熱するために使用することができる。特に、680乃至900nm又は1000乃至1200nmの範囲の光であることが好ましく、それは、この照射光はメラニンにより強力に吸収されるが、950nm付近にて水中に存在するバンド及び酸化ヘモグロビンには吸収されないからである。その毛嚢中に含まれるメラニンが少ない患者の場合(例えば、赤褐色又はライトブラウンの毛)、メラニンの吸収率がより高いため、この領域内の波長はより短いことが好ましい。更に、吸収以外のその他の光減衰効果、例えば、照射光の散乱も又、波長に依存し、光の場の波長を選択するときに考慮すべきである。例えば、人間の皮膚において、光の貫入程度の一部は伝達散乱率(μs)により決まり、この値は、より長い波長のとき真皮内で散乱するため、小さくなる。1000nmにて照射する場合、このμsは約10cm-1である。このため、この波長のとき、屈折率が略適合した媒体から皮膚内に伝達される光は、皮膚の表面の約1mmの深さにて最大の強さに達する。
【0031】
680乃至1200nmの好適な範囲内で、可視光又は近赤外線光を発生させる光源は、ダイオード(λ=800−1000nm)、ネオジム:YAG及びネオジム:YLF(λ=1064乃至1053nm)、チタン:サファイヤ及び赤外線色素(λ=700乃至1000nm)、ルビー(λ=694nm)及びアレクサンダー石(λ=700乃至850nm)レーザ、ルビー、ネオジム:YAGを含む。ダイオードレーザ(特に、ダイオードレーザの特定のアレー)は市販されており、また、十分な種類が用意され且つ小規模で製造することができる点で、このダイオードレーザの使用が好ましい。この型式の光源は、コンパクトな毛除去装置に組み込むことができる一方、この毛除去装置は、毛を除去する過程中、操作者が容易に操作可能なものである。
【0032】
光のパルスの持続時間は、毛嚢の加熱程度を変化させ得るように制御することができる。次に、図5Aを参照すると、波形74、74′で示した光パルスは、短時間にて毛嚢を加熱することを可能にする持続時間76、76′を有することが好ましい。このパルス幅は、光のパルス間に熱伝導性を変化させ、よって、毛嚢及びその極く周りの真皮を損傷させる程度を変化させ得るよう制御される。殆ど損傷しないため、毛は再生される一方、ひどく損傷させれば、照射領域に傷跡が残る可能性がある。パルス持続時間76、76′は、約2ms乃至約100msの範囲であることが好ましい。
【0033】
正確なパルスの持続時間は、拡散時間t、拡散距離d、及び熱伝導率kに関する熱拡散等式に略従った皮膚内の熱の拡散により決まる。これは、IEEE J.Quant.Electron.QE−21(12)、1471−1481(1984)にウェルチ(Welch)A.J.が発表した「レーザで照射した組織の熱応答性(The thermal response laser-irradiated tissue)」に記載されており、t=d2/4k(kは、人間の真皮の場合、約1.3×10-3cm2/秒)である。レーザパルス中に表皮から熱を回収するのに必要に時間は、約2msであり、典型的な200μmの毛の毛嚢の場合、熱の弛緩時間は約40msである。数100ミリ秒よりも長く露光する場合、その露光期間中、過剰に多量の熱拡散が生じる。毛嚢の標的領域が非効率的に破壊され、また、真皮が過度に損傷され、或いはその双方が生じる結果となる。更に、表皮内のメラニンの大部分(約2/3)は表皮の下方部分にあるため、表皮の加熱は主としてそのより深い部分にて行われ、接触装置46により除去するためには、この熱がその表面に達することが必要とされる場合がある。このため、この時間は少なくとも2msであるため、これは、示唆される最小のパルス時間であり、表皮の損傷を最小にするためには、より長い時間、好ましくは少なくとも5msの時間とすることが示唆される。更に、利用されるレーザに対応して、パルスの各々は図5Aに示すような単一の連続パルスとし、又はより短い持続時間の間隔の狭いパルス列の形態とすることができ、その間隔の狭いパルス間のスペースは5msよりも遥かに短くする。
【0034】
所定の作用力を得るためには、光の場の強さはパルスの持続時間に反比例する。このように、このパルスの持続時間が約10μs以下であるとき、光の強さはより増大し、その周囲の皮膚領域に対し望ましくない損傷モードを生じさせる。更に、短いパルスの結果、毛嚢内に熱による局部的な「爆発」が生じ、これにより皮膚に機械的な損傷が生じる。特に好適な実施の形態の場合、パルスは、約2乃至100msの持続時間、又はパルス幅を有する。この時間中、熱拡散は約0.05乃至0.3mmの距離に亙って生じる。この距離に制限される損傷の結果、その周囲の皮膚が殆ど又は全く損傷されずに、照射された毛の毛嚢が主として破壊される。
【0035】
適正に設定され且つ調節可能な持続時間を有する光のパルスは、公知の技術を利用して、発生させることができる。例えば、電子又は音響光学Qスイッチング装置を使用して光の場のキャビティ内変調を行うことにより、典型的にガウスの形状をした時間プロファイルを有するパルスを発生させることが可能となる。しかしながら、こうした方法を使用して形成されたパルスは、典型的に極めて短く、その持続時間はマイクロ秒以下の範囲である。ルビー、アレクサンダー石、チタン:サファイア、又はネオジム:YAGレーザは、典型的に、0.1乃至10msのパルスの持続時間領域内の高エネルギのパルスであるから、これらの閃光ランプの励起により発生された通常モードのパルスであることが好ましい。これと代替的に、例えば、機械的シャッタ又は電子光学ゲートを使用して、レーザにより放出された、連続的(即ち、時間に対応する)光の場を外部から変調することができる。外部の方法を使用する変調により、パルス幅を数百マイクロ秒から数百ミリ秒まで容易に変化させることが可能となる。外部変調を利用して発生されたパルスは、「四角の波」の時間的プロファイル(図5Aに図示)を有し、これは対象とする領域に対してより均一な光の場を付与することを可能にする。しかしながら、現在の実施の形態には、この外部変調法は使用されない。
【0036】
接触装置を使用して、光のパルスを供給するとき、接触装置が皮膚の表面に接触する時点とパルスが到達する時間との間に時間的な遅れがあることが好ましい。このことは、照射する前に、表皮層56の全体を著しく冷却し、これにより、その損傷閾値を大きくことを可能にする。このように表皮の痛み及び損傷が軽減され、照射中、接触装置46の冷却を続けることで、更に最小となり、表皮からの熱の除去を続けることができる。しかしながら、毛嚢、特にその拡張部分及び乳頭を損傷させようとする箇所を低レベルで加熱することは、照射前及び/又は照射中に行われる冷却による影響は受けない。
【0037】
更に、光パルス間の持続時間(図5Aに矢印78で表示)は、照射された領域に付与される熱の総量及びその平均速度を制御し得るように調節することができる。毛嚢を破壊するために、繰り返し照射する必要があるならば、この時間は、一定であり、数秒乃至数百ミリ秒の範囲にあることが好ましい。これと代替的に、「単一ショット」の照射の場合、この時間間隔は、作業者により選択的に制御される。この場合、対象とする領域に単一のレーザショットを供給して、次に、作業者が損傷の有無についてその領域を検査する。更なる照射が必要とされるならば、その領域を追加的にレーザショットを行うことができる。さもなければ、その照射装置は、移動させて、別の領域の治療に使用される。
【0038】
光の場の空間の広さは、単一のレーザショットにより多数の毛嚢に照射し得るように選択する。更に、ビーム半径Rが増大するに伴い、散乱のため皮膚内のビーム軸線に沿った減衰程度が低下するから、より大きいスポット寸法であることが好ましい。このように、面積の広いビームは、光線を深い標的箇所までより効率的に供給することを可能にする。
【0039】
次に、図5Bを参照すると、皮膚の表面における照射ビームの空間プロファイル82の幅80は、照射しようとする標的の深さ程度であることが好ましく、また、その深さよりも遥かに深いことが好ましい。ビームの直径は、少なくとも8mmであることが最も好ましい。光の場の面積は、約0.5乃至2cm2であることが好ましく、0.75乃至1cm2の範囲であることが最も好ましい。このビームは収斂することが好ましいため、この空間プロファイルは、真皮内の光の散乱により画成された深さにてくびれ部分に達する前の深さを関数として縮小するものとする。図5Bに図示するように、ビームの直径を横断する強さは、略均一な光の場を提供し得るように略一定であることが好ましい。
【0040】
次に、図6を参照すると、照射後、皮膚の深さ(即ち、x軸)を関数とする光線の強さの分布(即ち、図面でy軸)がモンテカルロ系のコンピュータシュミレーションを使用して計算される。この分布状態は、ビームの空間プロファイル、皮膚と接触した媒体の光学的性質の関数である。プロットしたデータは、コンピュータシュミレーションに基づくものであり、従って近似値に過ぎないものであるが、x軸の単位は1目盛り当り約500μmであると推定される。第一の曲線90は、空気中で800nmの光の小さいコリメートされたスポットから発生される光の場に関して、皮膚の深さに依存する特性を示すものである。この場合、この光の強さの大部分は、光の表面付近に分布しており(x軸に沿った「0」点で表示)、その強さは、より深い箇所で急激に低下する。空気から生じるより大きいコリメートスポット(曲線92)は、皮膚の深さに依存する強さがより均一に分布しているが、この光の大部分は、依然として皮膚の表面付近に集中している。屈折率が1.5の材料から大きいコリメートされた光スポットを供給する(曲線94)結果、皮膚の最初の1mm等における光の強さは、比較的均一となる。より深い深さでは、この強さは、比較的遅い時間定数と共に低下し始める。最後に、好適な実施の形態において、n=1.5の屈折率の材料からの空間的に収斂する大きい光の場は、皮膚表面における強さが皮膚内に略1mm進んだ後に最大値まで増大する。次に、この強さは、曲線94で示したものよりも遅い時間定数にて皮膚の深さの関数として減衰する。このように、この型式の場を使用して、毛嚢の標的箇所を効果的に加熱し、皮膚表面の加熱程度を少なくし、これにより熱による皮膚の損傷を軽減することができる。
【0041】
照射レーザが好適な値よりも小さい直径のビームを発生させる場合、照射装置に供給される前にそのビームを拡張させることが必要となる。これは、例えば、最初にその放出されたビームを拡張し、次に、その放出された光をコリメートさせる形態とされた2つのレンズ系のような、従来の望遠鏡式光学素子で行うことができる。これと代替的に、図2Aに図示するように、照射の場は、光ファイバ内に結合して、その後に、照射装置に供給することもできる。この場合、そのファイバの導波管の性質のため、発生される場は当然に分散され、次に、コリメートレンズにより集光される。レンズがファイバ先端から変位することで照射ビームのプロファイルを所望の程度まで大きくすることができる。
【0042】
光の場の作用力は、患者の色素の程度に従って異なったものといる必要があり、各パルスに対して約10乃至200J/cm2の範囲であることが好ましい。より黒い毛の患者はより明るい毛の患者よりも小さい作用力でよい。約1msの持続時間のパルスに対する照射の場のパルスの作用力は30乃至50J/cm2の範囲であることが最も好ましい。本明細書に記載したように、全ての場合、この作用力は、標的領域を約80乃至120℃の所望の温度まで加熱し得るように調節される。しかしながら、パルスの持続時間が長くなれば、この作用力の程度を大きくし、長いパルス間の熱伝導に起因する効率的でない、毛嚢の加熱を補償することができる。照射する光の場の波長が好適なスペクトル領域(即ち、680乃至900nm又は1000乃至1200nm)の範囲にない場合、毛嚢を所望の温度に加熱するためには、光の作用力を増大又は減少させることが必要となる。更に、レーザ出力が所望の光の作用力以下である場合、皮膚を照射する前に個々のパルスを増幅しなければならない。この目的に、外部の光キャビティのような光増幅器を使用することができる。
【0043】
以下の表1には、毛の除去に使用される光の場の好適なパラメータが示してある。各パラメータの値は、対象とする領域の毛の量、毛の色素の程度、患者のその周囲の皮膚の色素に依存する。
【0044】
【表1】

【0045】
次の例に関して以下に本発明を更に説明する。
実施例
本発明による毛の除去装置の効率を実証するため、パルスの持続時間270μs及び光の作用力40J/cm2、71J/cm2、160J/cm2でλ=694nmのルビーレーザの通常のモードからの光を使用して生体外でイヌの黒い毛の皮膚を照射した。
【0046】
このビームの空間的広さのため(皮膚の表面にて直径8mm)、単一のレーザショットで約100本の毛に照射することができた。この照射後、皮膚領域の各々を組織学的に検査した。検査の結果、作用力が最大のとき、真皮の損傷が生じ、これは、皮膚の傷痕と一致するたことが明らかとなり、最大の作用力の光を利用して熱損傷させる方法は、毛には選択されるべきでないことが分かる。一方、より小さい作用力のとき、特に、40J/cm2のとき、毛嚢の局部的な損傷が観察され、毛嚢の間の隣接する皮膚領域又は真皮に何ら顕著な損傷は生じなかった。
【0047】
別個の検査において、照射した毛内部の温度上昇は、色素の程度に依存することを明らかにするため、本明細書に記載した毛の除去方法を使用して、色の異なる間の新しい毛及び皮膚の標本に照射した。全ての実験の光源は、上述したルビーレーザとした。放出された光は、最初に、694nmという大きい反射性を有するように被覆された幾つかのミラーを収容する密閉型のビーム操作装置内に結合し、次に、図2Bに図示したものと同様の照射装置に供給した。この照射装置は、水冷式のプレキシガラスハウジングの基端に配置された5cmの平凸レンズを含む。1cmの焦点距離レンズの形状とされたサファイア接触装置をその接触装置の末端に配置し、凸側が皮膚に接触して、上述したように、照射中に、圧縮し得るようにした。冷却した(4℃)の接触装置を患者の皮膚領域に押し付けることにより、直径8mmのビームで人間の皮膚を照射し、次に、単一のレーザショットを行った。各ショットは、典型的に、同時に約10本の毛を照射した。
【0048】
赤から黒の範囲に亙る毛の色を有する、大人の患者6名の皮膚及び毛に照射して、その結果を観察した。各患者において、各々が10cm2の面積を有する8つの治療箇所に照射した。乳頭の破壊を監視するため、レーザ光を照射する前に箇所1乃至4を脱毛処置する一方、箇所5乃至8は、照射する前に剃った。次に、光作用力を28J/cm2、42J/cm2又は57J/cm2の何れかとして各箇所を照射した。照射後1カ月及び3カ月(ある患者の場合、1年)毎に治療後の患者を検査して観察した。図7に示した照射領域(即ち、領域A乃至C)の写真から理解されるように、剃ったが治療しなかった領域(領域D)と比べて、全ての場合、3カ月後の毛の再成長は、最小であり、又は全く観察されず、毛嚢が恒久的に損傷されたことを明確に示す。図面において、箇所A乃至Cは、レーザからのエネルギを低下させて治療した。27J/cm2の作用力で治療した領域Cにて除去された毛は、比較的少ないことが明らかである。対照領域である領域Dは、領域A乃至Cを治療した日と同日に剃った。更に、治療した箇所から得た組織学的標本から、毛嚢のみが損傷されて、その周りの真皮は略保存されていることが分かった。剃って照射しなかった対照箇所と比べて、レーザで治療した箇所全ての対象物において統計上、実質的に毛は無くなっていた。1年後、瘢痕を残すことなく、毛は略恒久的に無くなっていた。
【0049】
毛及び皮膚の標本に関する、時間に依存する温度特性を測定することを許容する別個の実験をパルス式光熱ラジオメトリー(PPTR)装置を使用して行った。これらの試験において、毛嚢を加熱するが、破壊はしないエネルギを有する光パルスを提供すべく、低作用力の上述のルビーレーザを使用した。このレーザからの出力を人間の毛及び皮膚の標本に収束させて、均一な励起の場が提供されるようにした。増幅した、液体窒素冷却式のHgCdTe検出器を内蔵するニューイングランドリサーチ・インコーポレーテッド(New England Research,Inc.)の黒体放射線検出器を使用して、標本に関して、標本の時間に依存する温度特性を監視し、また、ジャンテック・インコーポレーテッド(Gentec,Inc.)のレーザエネルギメータを使用して照射パルスを監視した。次に、その双方の検出器からの出力を補償した0−10Mhzの直流結合式の前置増幅器で増幅し、その後に、データの記録及び記憶のためにデジタルオシロスコープに伝達した。
【0050】
各種タイプの皮膚及び赤/ブロンドから黒に至る毛の色を有する患者8名について実験した。一般に、PPTRの結果から、694nmにて照射した後、黒い毛はより明るい褐色の毛の場合よりもより急速に温度が上昇し、また、その双方の標本は赤/ブロンドの毛と比べてより急速な温度上昇を示すことが分かった。更に、照射後、タイプIIの皮膚は、タイプIII又はタイプIVの皮膚よりも温度上昇速度が遅かった。
【0051】
次に、図8A乃至図8Cを参照すると、黒い毛及び白い皮膚の患者について行った特別な実験例において、PPTR装置を使用して測定した、時間に依存する曲線から、濡れた毛及び乾燥した黒い毛の双方は、照射後400msにて、基準温度23℃から約7℃及び約72℃の温度上昇を示し(図8A及び図8B)、一方その周囲の皮膚(図8C)の温度上昇は1℃以下であることが分かる。濡れた毛における温度上昇、及び時間に依存するその破壊の特徴のかかる差は、熱効果(例えば、濡れた毛の方が熱容量が大きいこと)に起因すると考えられる。
【0052】
次に、図9を参照すると、全ての場合、濡れた及び乾燥した毛の毛嚢における正規化した温度上昇(即ち、温度上昇対レーザパルスエネルギの比)は、皮膚で測定されたものよりも著しく大きく、本発明の方法を使用して毛嚢が選択的に加熱されたことを示す。以下の表2には、この研究における各患者の毛及び皮膚のタイプが記載されている。この表に掲げた患者の番号は、図9の患者の番号に対応するものである。
【0053】
【表2】

【0054】
その他の実施の形態
図10Aには、領域20が、本発明に従って治療する前に単に剃るのではなくて、脱毛処置された、本発明の代替的な実施の形態が図示されている。次に、空の毛嚢内に入り込んでその毛嚢を充填する流体を含む、発色団を含む流体溶液又は懸濁液100を皮膚領域20に塗布することができる。流体/発色団の毛嚢内への「毛管作用」は望ましいものであり、また、例えば、表面活性剤又は溶剤を使用する等して、流体と皮膚との間の表面張力を小さくすることでその毛管作用を増大させることができる。次に、洗浄、拭き取り、又は擦り取りにより余剰な流体/発色団を皮膚表面から除去することができる。照射中、毛嚢内の発色団100が光を吸収し且つ毛嚢自体のメラニンの加熱と共に加熱されて、その毛嚢を著しく加熱し、毛の再成長を防止するのに必要なように、拡張部分及び乳頭を含むその部分を破壊させることができる。このように、発色団は、照射に使用される1つ又は複数の波長の光を吸収しなければならない。適当な発色団は、炭素粒子の懸濁液を含み、又はメチレン青又はインドシアニン緑のような色素を含むことができる。リポソームの形態のメラニン自体を使用してもよい。この発色団は毛嚢内にしか入らないため、この技術は、毛嚢の損傷を最大にする一方、その周囲の組織の損傷は最小に止め、この理由のため、ブロンド、赤、薄い褐色又はその他の明るい色の毛の者に対して、本発明を実施する好適な方法である。上述した相違点を除いて、本発明のこの実施の形態は、接触装置46の冷却、領域20内の皮膚の変形、好適な照射光を含んで、前の実施の形態について説明したものと同一の方法で作用するが、その唯一の例外は、発色団を使用するとき、低周波数が使用可能な点である。
【0055】
図10Bには、皮膚の折り畳み部分の両側部を同時に照射し得るように、接触装置又はアプリケータ46´が改変された、本発明の別の代替的な実施の形態が図示されている。これは、毛嚢の深い部分に供給される光の量を更に増大させる。図10Bにおいて、接触装置は、例えば、アプリケータ表面の形成された開口部又はスロット110を有しており、例えば、スロット110の頂部に達する線112に負圧又は吸引力を加えることにより、皮膚の領域20をこのアプリケータ内に吸引することができる。スロット110内の皮膚は折り畳み部分113となるようにされる。照射光は、光ファイバ束114を通じて付与し、この光ファイバ束はその照射光を分割して、その光をスロット110の両側部のレンズ116に付与する。冷却水は、線118を通じてレンズ116の表面の上を流れることができる。これと代替的に、その間の皮膚領域を掴むか、又はその他の適当な手段により形成された皮膚の折り畳み部分の両側部に、例えば、図2A及び図2Bに示したものと同様の2つのアプリケータを配置することができる。
【0056】
上述した実施の形態に関して説明したように、皮膚を折り畳むことの有利な点は、両側部から皮膚の比較的薄い部分に照射光が付与されるようにする点である。このように、所定の毛嚢の乳頭は、その毛嚢が位置するスロット110の側部におけるレンズ116からのみならず、そのスロットの両側部に設けられたレンズ116からも光を受け取ることができる。このように、表面のエネルギを増大させることなく、毛嚢の各々の乳頭に付与されるエネルギが増大し、これにより、痛み及び損傷が少ない状態で毛の除去を容易に行うことができる。スロット110を比較的狭く形成することにより、圧力はスロットの両側部にて皮膚に付与され、その皮膚はスロット壁の間で圧縮される。このようにして、血液を除去し、また皮膚表面から乳頭への距離を短くすることを含む、表面を圧縮することに伴う有利な点は、本発明のこの実施の形態によっても実現される。また、折り畳み部分を形成し得るように掴むことで皮膚に圧力が加わることになる。
【0057】
また、短期間の毛の除去のために、本発明の教示事項を利用することも可能であり、該装置は、例えば、多分、1週間乃至2週間、剃り効果を持続する剃刀として機能する。これは、「剃る」べき領域に流体/発色団を付与することで行われる。その領域は、脱毛処置以外の従来の技術を利用して剃ることが好ましい。
【0058】
この場合、その発色団は、例えば、皮脂腺のレベルまでのように、毛嚢内に数mmしか入り込むことができない。次に、余剰な発色団を除去し、本発明の接触装置を比較的低レベルの光線と共に利用して、その発色団を加熱し、皮膚又は毛嚢の何れかを著しく損傷させることなく、発色団により取り巻かれた毛を破壊することができる。
【0059】
更に、好適な実施の形態について、接触装置46を冷却するためのものとして冷却水を示したが、これは、本発明を限定するものではなく、その他の冷却技術を利用することも可能である。例えば、冷却目的のために接触装置の上方に低温の気体又は液体を流すか、或いは使用前に接触装置を十分に冷却して、冷却媒体をその上を通すことなく、冷却機能を続行し得るようにしてもよい。また、当該技術分野で公知のその他の冷却技術を利用することも可能である。
【0060】
その他の実施の形態は以下の請求の範囲に記載されている。例えば、接触装置は冷却することなく、又はアプリケータを使用することなく、表皮を冷却させることができる(例えば、極低温により)。アプリケータを利用しない場合、照射光、は適当な光学素子を通った後に、対象とする領域に直接、付与される。
【0061】
このように、本発明は好適な実施の形態に関して具体的に図示し且つ上述したが、上記の形態及び細部、並びにその他の変更は、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに当業者が為し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明によるレーザ利用の毛除去装置の斜視図である。
【図2A】本発明の毛除去装置と共に使用するのに適した照射装置又はアプリケータの断面図であり、このアプリケータは、光ファイバ又は光ファイバ束及びミラー組立体からの光をそれぞれ受け取る。
【図2B】本発明の毛除去装置と共に使用するのに適した照射装置又はアプリケータの断面図であり、このアプリケータは、光ファイバ又は光ファイバ束及びミラー組立体からの光をそれぞれ受け取る。
【図3A】毛を含む皮膚領域と直接、接触した照射装置の接触装置の分解断面図である。
【図3B】接触装置/表皮の境界面領域における後方散乱光の場を示す切欠き断面図である。
【図3C】境界面領域における熱の透過状態を示す切欠き断面図である。
【図4】メラニン、ヘモグロビン、酸素付与ヘモグロビン及び水の光吸収スペクトルを示すプロット図である。
【図5A】毛を除去する過程中で採用される時間及び空間プロファイル並びに好適な光の場の図である。
【図5B】毛を除去する過程中で採用される時間及び空間プロファイル並びに好適な光の場の図である。
【図6】異なる光の場に対する皮膚の深さを関数とする、コンピュータ計算による光の強さのプロット図である。
【図7】本発明の毛除去方法に従って治療した後、3カ月目の患者の皮膚領域を示す写真である。
【図8A】照射後における、乾燥した黒い毛、濡れた黒い毛、黒い毛の見本を取り巻く生体の皮膚に関する、時間に対応した温度を示すオシロスコープの線図である。
【図8B】照射後における、乾燥した黒い毛、濡れた黒い毛、黒い毛の見本を取り巻く生体の皮膚に関する、時間に対応した温度を示すオシロスコープの線図である。
【図8C】照射後における、乾燥した黒い毛、濡れた黒い毛、黒い毛の見本を取り巻く生体の皮膚に関する、時間に対応した温度を示すオシロスコープの線図である。
【図9】異なる患者8名の乾燥した毛(DH)、濡れた毛(WH)、及び皮膚(S)の標本に関して、レーザパルスエネルギを関数とする、温度上昇を示すプロット図である。
【図10A】照射前に脱毛処置を行い、空になった毛嚢に発色団を充填した、本発明の代替的な実施の形態の実施に使用される、本発明のアプリケータの部分断面図である。
【図10B】毛の除去に使用される代替的な実施の形態のアプリケータの断面図である。
【符号の説明】
【0063】
10 毛除去装置
12 光源
16 光ファイバケーブル
18 照射装置
42 レンズ
46 接触装置
46´ アプリケータ
50 冷却水の入口
52 冷却水の出口
110 スロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚表面から皮膚内に伸長する毛嚢内にある複数の毛を皮膚領域から同時に除去するための装置であって、
アプリケータ(18、46´)と、
照射光の光源(12)と、
前記照射光の光源から前記アプリケータの表面まで延在し、所定の波長の照射光をほぼ通過させる光路(16、114)と、
を備え、
前記照射光は、前記アプリケータの表面を通過して前記皮膚表面に至り、680nmから1200nmの波長と、10J/cmから200J/cmの作用力とを有し、
前記照射光の前記皮膚領域上での持続時間は、50μsから200msである装置。
【請求項2】
前記照射光の前記皮膚領域上での持続時間が、5msから200msである装置。
【請求項3】
皮膚表面から皮膚内に伸長する毛嚢内にある複数の毛を皮膚領域から同時に除去するための装置であって、
アプリケータ(18、46´)と、
照射光の光源(12)と、
前記照射光の光源から前記アプリケータの表面まで延在し、所定の波長の照射光をほぼ通過させる光路(16、114)と、
を備え、
前記照射光は、前記アプリケータの表面を通過して前記皮膚表面に至り、
前記装置は、前記アプリケータの表面の温度を前記皮膚領域の温度以下に冷却する冷却手段(50、52、118)を更に備えた装置。
【請求項4】
前記冷却手段(50、52、118)は、前記アプリケータが所定の深さに渡って圧接された前記皮膚領域を照射光が過熱するのを防止し、かつ前記皮膚領域内の皮膚が前記所定の深さを越えて加熱されることを阻害しないだけ、前記アプリケータの表面を冷却し、前記アプリケータの表面の温度を前記皮膚領域の温度以下にする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記冷却手段(50、52、118)は、前記アプリケータ(18、46´)の近傍に配置された通路であり、前記通路の中を冷却水が流通するようにした請求項3又4に記載の装置。
【請求項6】
前記照射光は、680nmから1200nm、望ましくは680nmから900nmの波長と、10J/cmから200J/cmの作用力とを有し、前記照射光の前記皮膚領域上での持続時間は、2msから200msである請求項1、3、4、5のいずれか一つに記載の装置。
【請求項7】
少なくとも前記アプリケータ(18、46´)の表面は、前記皮膚領域内の前記皮膚表面の屈折率とほぼ一致する屈折率を有する材料から形成されている請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の装置。
【請求項8】
前記アプリケータ(18、46´)は、毛が除去されるべき前記皮膚領域内の前記皮膚表面と接触するのに適した表面を備えている請求項1から請求項7のいずれか一つに記載の装置。
【請求項9】
皮膚表面から皮膚内に伸長する毛嚢内にある複数の毛を皮膚領域から同時に除去するための装置であって、
毛が除去されるべき前記皮膚領域内の前記皮膚表面と接触するのに適した表面を備えたアプリケータ(18、46´)と、
照射光の光源(12)と、
前記照射光の光源から前記アプリケータの表面まで延在し、所定の波長の照射光をほぼ通過させる光路(16、114)と、
を備え、
前記照射光は、前記アプリケータの表面を通過して前記皮膚表面に至り、
少なくとも前記アプリケータ(18、46´)の表面は、前記皮膚領域内の前記皮膚表面の屈折率とほぼ等しい屈折率を有する材料から形成されている装置。
【請求項10】
前記光路に設けられた要素(42、46、116)を更に備え、前記要素は、前記アプリケータの表面を通過して前記アプリケータから放射された前記照射光を収斂させる請求項1から請求項9のいずれか一つに記載の装置。
【請求項11】
皮膚表面から皮膚内に伸長する毛嚢内にある複数の毛を皮膚領域から同時に除去するための装置であって、
毛が除去されるべき前記皮膚領域内の前記皮膚表面と接触するのに適した表面を備えたアプリケータ(18、46´)と、
照射光の光源(12)と、
前記照射光の光源から前記アプリケータの表面まで延在し、所定の波長の照射光をほぼ通過させる光路(16、114)と、
を備え、
前記照射光は、前記アプリケータの表面を通過して前記皮膚表面に至り、
前記装置は、前記光路に設けられた要素(42、46、116)を更に備え、
前記要素は、前記アプリケータの表面を通過して前記アプリケータから放射された前記照射光を収斂させる装置。
【請求項12】
前記要素は、レンズである請求項10又は請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記照射光は、680nmから1200nm、望ましくは680nmから900nmの波長と、10J/cmから200J/cmの作用力とを有し、前記照射光の前記皮膚領域上での持続時間は、2msから200msである請求項9から請求項12のいずれか一つに記載の装置。
【請求項14】
ハウジング(48)を更に備え、前記アプリケータの表面は、前記ハウジング上に配置され、凸形状の表面を有し、前記光路(16、114)は、前記ハウジングを通って前記照射光の光源から前記アプリケータの表面まで延在している請求項1から請求項13のいずれか一つに記載の装置。
【請求項15】
前記アプリケータ(46´)の表面には、スロット(110)が形成され、前記光路(114)は、少なくとも前記スロットの両側まで延び、前記スロット内に少なくとも前記皮膚領域の一部分(113)を位置決めするための位置決め手段を備えた請求項1から請求項14のいずれか一つに記載の装置。
【請求項16】
前記位置決め手段は、前記スロットに負圧を与える手段を備えた請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記照射光の光源は、レーザである請求項1から請求項16のいずれか一つに記載の装置。
【請求項18】
皮膚表面から皮膚内に伸長する毛嚢内にある複数の毛を皮膚領域から同時に除去する方法を実行するために用いられるのに適した装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジングに照射光を伝播するトランスミッタと、
前記ハウジング上に配置され、凸形状を有し、前記皮膚領域内の前記皮膚表面に圧接されるのに適した表面と、
前記ハウジングを通って前記トランスミッタから前記表面まで延在し、所定の波長の照射光をほぼ通過させる光路と、
前記光路内に配置され、前記表面を通過して前記アプリケータから放射された前記照射光を収斂させる要素と、
前記表面を前記皮膚領域の温度より低い温度に冷却する冷却手段と
を備えた装置。
【請求項19】
前記ハウジング上に配置され且つ前記皮膚領域内の前記皮膚表面に圧接されるのに適した前記表面には、スロットが形成され、前記光路は、前記スロット内において少なくとも前記スロットの両側まで延在し、前記皮膚領域の一部を前記スロット内に位置決めする位置決め手段を備えた請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記位置決め手段は、前記スロットに負圧を与える手段を備える請求項19に記載の装置。
【請求項21】
少なくとも前記アプリケータの表面は、前記皮膚領域内の前記皮膚表面の屈折率とほぼ等しい屈折率を有する材料から形成されている請求項18、19、20のいずれか一つに記載の装置。
【請求項22】
前記要素は、レンズである請求項18から請求項21のいずれか一つに記載の装置。
【請求項23】
前記冷却手段は、前記アプリケータ(18、46´)の近傍に配置された通路であり、前記通路の中を冷却水が流通するようにした請求項18から請求項21のいずれか一つに記載の装置。
【請求項24】
皮膚表面から皮膚内に伸長する毛嚢内にある複数の毛を皮膚領域から同時に除去するための装置であって、
前記皮膚領域内の複数の毛を有する前記皮膚表面の一部に圧接されるのに適したアプリケータであって、前記皮膚表面と接触する表面と、前記表面を冷却する冷却機構を備え、前記冷却機構は、前記アプリケータが所定の深さに渡って圧接された前記皮膚領域を照射光が過熱するのを防止し、かつ前記皮膚領域内の皮膚が前記所定の深さを越えて加熱されることを阻害しないだけ、前記アプリケータの表面を冷却し、前記アプリケータの表面の温度を前記皮膚領域の温度以下にするアプリケータと、
照射光の光源と、
前記照射光が前記アプリケータを通過して前記皮膚領域に至るように、前記照射光の光源から前記アプリケータに照射光を与える手段と
を備えた装置。
【請求項25】
前記照射光の光源からの照射光は、680nmから1200nmの波長と、10J/cmから200J/cmの作用力と、50μsから200msのパルスの持続時間を有する請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記冷却手段は、前記アプリケータ(18、46´)の近傍に配置された通路であり、前記通路の中を冷却水が流通するようにした請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記アプリケータは、前記皮膚表面と接触する表面を有し、前記アプリケータの表面には、スロットが形成され、前記照射光を与える手段は、前記アプリケータ内で少なくとも前記スロットの両側まで延在する光路を備え、前記アプリケータは、前記皮膚領域の一部を、前記スロットの前記両側の間に位置決めする位置決め手段を備えた請求項24から請求項26のいずれか一つに記載の装置。
【請求項28】
前記照射光の前記皮膚領域上での持続時間は、2msから100msである請求項1及び請求項3から請求項28のいずれか一つに記載の装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【公開番号】特開2006−51388(P2006−51388A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−311144(P2005−311144)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【分割の表示】特願平8−523673の分割
【原出願日】平成8年1月31日(1996.1.31)
【出願人】(500117314)ザ ゼネラル ホスピタル コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】