説明

河川情報提供システム

【課題】
雨量、河川水位、及び河川映像等の河川情報をネットワークを介して提供可能なシステムを実現する。
【解決手段】
雨量観測所からの雨量データ、水位観測所から水位データを各々データベース化しこれらの情報を提供する河川情報サーバと WEB システム上で文書や画像等の情報提供を行うための WEB サーバ、さらに河川の映像監視を行う監視カメラを備える。この河川情報提供システムは、河川情報サーバよりデータを一定周期で取得し、そのデータを基に、クライアントヘ提供するブラウザ上の画面を最適化することで、現状の河川がどのような状態にあるか、容易に把握できる河川情報提供システムを構築した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川情報提供システムに関わり、特に河川の増水を通報するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、降雨、降雪等によって河川の水位が上昇し、洪水や浸水あるいは土砂災害等の被害が発生していた。このため、河川の要所毎の水位や上流の雨量を観測し、必要によって調整池への水の誘導や付近の民家の人々の避難の要否等を判断するための河川情報提供システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また例えば、図2に示す如く、Web サーバに1つまたは複数の河川毎、あるいは地域(監視エリア)毎に、(1)地図情報、(2)設置している水位観測所、雨量観測所、及び監視カメラ等の監視設備の位置と観測情報または映像情報、を記録しておき、Web サーバからネットワークを介してクライアント端末側の表示装置に地図上に各々の監視設備を表す図形(アイコン)を Web ブラウザの形式で表示し、クライアント端末の使用者が表示された地図上のアイコンを、入力装置を用いて指定する(例えば、入力装置として、マウス等のポインティングデバイスによって所望のアイコンをクリックする)ことによって、指定した監視設備の水位データ、雨量データ、または現在の河川の映像を表示する技術がある。
【0004】
図2は、従来の河川情報をネットワークを介してクライアント端末に表示装置の表示部に表示した画面の一例を示す図である。図2において、ネットワークブラウザの形式でブラウザ画面 200 がクライアント端末の表示装置の表示部に表示されている。地図情報表示部 201 には、地図情報と共に、地図上の対応する位置に設置されている監視設備がアイコン(水位観測所 203 、監視カメラ 204 )で表示され、かつ、水位観測所 203 それぞれについて、引出線で接続されて現在の水位情報 205 が表示される。なお、水位情報 205 内の各水位観測所203 の名前は、仮に“イ”、“ロ”、”ハ”、‥‥‥“リ”‥‥‥として表示いる。また、水位情報 205 内の水位は、例えば、ロ水位観測所の水位は、“ 0.70 m ”と表示されているが、観測地点の標準水位をゼロ m として、標準水位との差を単位“ m ”で表す。
このとき、標準水位より高い場合は符号表記無し(またはプラス記号を付記)で、低い場合はマイナス符号を付記して表示する。標準水位は、観測地点毎に過去のデータ等を基に決定する。
【0005】
また更に、地図情報表示部 201 には、地図上の対応する位置に設置されている雨量観測所を示すアイコン 206 が表示され、かつ、雨量観測所 206 それぞれについて、引出線で接続されて現在の雨量情報 207 が表示される。なお、雨量情報 207 内の各雨量観測所206 の名前は、仮に“a”、“b”、‥‥‥、“d”、‥‥‥として表示いる。また、雨量情報 206 内の雨量は、例えば、a 観測所の雨量は、“12 mm ”と表示されているが、現在まで観測された最新の情報を表示している。観測された 1 時間当たりの雨量の単位は、“ mm ”で表している。
【0006】
更に、地図情報表示部 201 の横の情報欄202 には、表示に対する各種の説明、操作等のためのツール、等が表示されている。例えば、欄 208 には現在表示している画面 201 の名称(例えば、地域名あるいは監視エリア名)が表示され、欄 209 には画面201 に表示している観測施設の種類(図2では、水位観測所、雨量観測所、監視カメラ)を表示している。
【0007】
なお、図2では、通常の地図情報(例えば、道路、鉄道、地名、橋梁、トンネル、閘門、主要施設、市街区、田畑、山林、湖沼、土地の高低、等の地図情報)は煩雑なため、できるだけ表示を省略している。しかし、使用者としては、観測所の位置と注目する場所との関連を知るため、自分の良く知っている場所(例えば、主要建物、交差点等の道路情報、踏切りや駅等の鉄道線路情報、等)目印となるようなものが表示されていると便利であろう。
【0008】
また、図2のようなブラウザ画面をネットワークを介して呼出す場合には、例えば、“河川情報提供システム”の総合案内のブラウザを呼出し、表示された地域の情報(例えば、地図表示あるいは地域名表示)の中から所望の地域を選択することによって実現できる。
図2において、表示された地図上の監視設備を表すアイコンをクライアント端末の使用者が入力装置を用いて指定することによって、指定した監視設備の監視データの表示画面に切替り、指定された監視設備の情報が画面上に表示される
【0009】
図3は、現在の河川の映像及び水位を表示する画面の一例を示す図である。ブラウザ画面 300 には、図2と同様に、画面 301 と情報欄302 とが表示される。画面 301 には、図2の画面 201 で指定した水位観測所203 に関連する監視カメラ 204 が取得した画像 305 を表示する画面303(画像は省略する)が表示される。画面 303 には、例えば、水位観測所の名前 306 と現在の水位、及び映像を取得した年月日時刻等の時間情報 307 が表示される。
更に、画面 301 には、当該水位観測所付近の地形の断面図 304 を模式的に表示する。断面図 304 には、現在の水位が視覚的描画されている。量水標 310 は、河川の川床から川岸に沿って配置し、川床に固定された水位の目盛が付された柱で、水面から出ている目盛を見て視覚的に水位を判断するために設けられている。
更に、情報欄 302 には、図2の画面201 の名称 208 の他に、水位観測所の名前を表示する欄 309 が追加される。
【0010】
【特許文献1】特開2002−269656号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の河川情報提供システムでは、現状の水位、雨量、監視映像等の情報を表示するのみで、例えば水位が警戒水位に達しているかどうかは、地図画面上の水位観測所のアイコンをクリックし、マニュアル的に検索する必要があった。
本発明の目的は、上記のような問題を解決し、河川の現状を容易に把握できる河川情報提供システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の河川情報提供システムは、雨量、河川水位、河川映像等の情報を Web 上に配信する河川情報提供システムにおいて、水位観測所、雨量観測所、監視カメラの設置位置を表示する地図表示画面が、河川の水位が平常時よりも上昇した場合、地図上の河川の表示色を変化させ、河川の水位変化を視覚的に知らせる。
【0013】
また、本発明の河川情報提供システムは、地図表示画面において、住所を入力または選択することで地図上の該当する住所の位置にマーク(アイコン)表示する。
【0014】
また、本発明の河川情報提供システムは、好ましくは、雨量、河川水位、河川映像等の情報を Web 上に配信する場合に、水位観測所付近の映像表示画面を、現在の映像を表示する画面と並べて、平常時または警戒時の画像を表示する。
また、平常時または警戒時の画像を使用者の操作により切替えて表示する。
また、好ましくは、雨量、河川水位、河川映像等の情報を Web 上に配信する場合に、水位や雨量が増加傾向にあるか減少傾向にあるかを判別できるように、分かり易くアイコンで表示する。
【0015】
また、本発明の河川情報提供システムは、好ましくは、警戒水位を検出した場合には、配信するブラウザ画面の映像表示画面を検出により表示している平常時の画像から警戒時の画像に切り替える。
【0016】
また、本発明の河川情報提供システムは、好ましくは、警戒水位を検出した場合には、配信するブラウザ画面の映像表示画面の現在表示している映像を、あらかじめ設定(プリセット設定)したカメラ位置および画角の画像に切替える。
【0017】
また、本発明の河川情報提供システムは、好ましくは、水位の変化を現在時間から過去の水位データと画像を一元化表示する。
【0018】
また、本発明の河川情報提供システムは、好ましくは、河川の全体をバードビュー表示し、川の各水位観測所の現在の画像および水位を一元化表示する。
また、好ましくは、上流の水位の影響が下流に及ぼすまでの時間を表示し、水位予測を使用者が把握し易いシステムを提供する。このとき、上流から下流を断面図で表し、水位や傾斜が一目で分かるように表示する。
【0019】
また、本発明の河川情報提供システムは、好ましくは、河川を対象とする災害情報をWeb 上で提供する河川情報提供システムであって、少なくとも水位、雨量の情報のいずれかを観測する観測所と、観測所が観測する位置を監視視野として撮像する撮像装置と、観測所が観測した観測情報を受信し、観測所及び観測時刻と関連付けて蓄積する河川情報サーバと、撮像装置が撮像する画像データを受信し、撮像装置と対応付けられた観測所と撮像装置及び撮像時刻と関連付けて蓄積する Web サーバと、撮像装置の撮像する画像データと河川情報サーバが送信する情報とを、 Web サーバに配信する通信手段と、観測所から送信する観測情報を河川情報サーバに配信する通信手段とを備え、Web サーバが、観測情報と上記画像データとをブラウザ画像として作成してインターネット等のネットワーク網に配信する。
【0020】
また、本発明の河川情報提供システムは、好ましくは、観測所が、あらかじめ設定された河川の上流または下流に設置された観測所の集合として定められた監視エリア毎の情報としてブラウザ画像が作成され、ブラウザ画面をインターネット等のネットワーク網に配信する。
【0021】
また、本発明の河川情報提供システムは、好ましくは、監視エリア毎の観測所のうち、河川の所定位置の水位を観測する水位観測所の観測する水位のいずれかが、あらかじめ定められた警戒水位に達した場合、Web サーバは、該当する観測所に関連付けされた撮像装置をあらかじめ定められた所定のプリセット位置になるように制御する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、河川の現状を容易に把握できる河川情報提供システムを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の河川情報システムでは、雨量、河川水位、河川映像等の情報を Web 上で提供し、提供される水位観測所付近の映像表示画面は、現在の映像を表示する画面と共に、平常時、警戒時の画像を切り替えて表示する。
更に、水位観測所毎に、観測された水位が警戒水位を超えたか否かを検出し、警戒水位を超えていると判定した場合には、画面に表示している平常時の画像をシステム側で警戒時の画像に切替える。
【0024】
更に、警戒水位時と判定した場合には、現在表示している映像が、検出された場所に関連付けられた監視カメラの設定が、あらかじめ設定(プリセット設定)したカメラ位置および画角に切替わって、切替わった画角で取得された画像をクライアント端末に表示する。
【0025】
更に、対象とする水位観測所で観測された水位の変化を、現在時間から過去の水位データとを画像と関連付けて一元化して表示する。
【0026】
更に、対象とする河川の領域をバードビュー(鳥瞰図)表示し、河川の各水位観測所の現在の画像および水位を一元化して表示する。
【0027】
本発明の一実施例を図1によって説明する。図1は、本発明の河川情報提供システムの一実施例の構成を示すブロック図である。100 は所定の河川の地域(監視エリア)を監視し、監視情報を河川情報として提供する河川情報提供システムである。101-1 〜 101-n は河川の要所毎に配置された監視カメラ( n は、自然数)、102 は LAN(Local Area Network )、103 は河川情報サーバ、104 は Web サーバ、105 はインターネット等のネットワーク網、106-1 〜106-k はクライアント端末(k は、自然数)、121 はテレメータ中継局、122-1 〜122-j はセンサ( j は、自然数)である。監視カメラ 101-1 〜101-n 、LAN 102 、河川情報サーバ 103 、Web サーバ 104 、センサ122-1 〜122-j 、及び中継局 121 で、1つまたは複数の監視エリアを監視する河川情報提供システム 100 を構成する。
【0028】
監視カメラ 101-1 〜101-n は、パン及びチルト機能、及びズーム機能を有するものを含む。
監視カメラ 101-1 〜101-n が、例えば、パン、チルト、及びズーム機能を有する場合には、クライアント端末 106-1 〜106-k のいずれかあるいは、Web サーバ 104 の制御によって、監視視野範囲を切替え可能である。また、監視カメラ 101-1 〜 101-n は、例えば、取得した画像を MPEG-2 等の形式等で圧縮符号化して LAN 103 を介して送信する Web カメラである。また、監視カメラ 101-1 〜 101-n は、例えば、取得した画像を MPEG-2 等の形式で圧縮符号化して LAN 103 を介して送信する Web エンコーダを備えている。
【0029】
例えば、河川情報サーバ 103 は、いずれかの水位観測所で観測された水位が、警戒水位に達したと判定した場合には、その水位観測所が警戒水位に達したことを Web サーバ 104 に通知する。これによって、Web サーバ 104 は、警戒水位に達した観測所に属する監視カメラに対して、LAN 102 を介して制御信号を送信する。制御信号を受信した監視カメラは、パン及びチルト機能、及びズーム機能を動作させ、あらかじめ登録された所定の監視視野範囲を撮像し、取得した画像を LAN 102 を介して Web サーバ104 に送信する。
【0030】
LAN 102 は、監視カメラ101-1 〜 101-n 、河川情報サーバ 103 、及び、Web サーバ 104 間を結合する。監視カメラ 101-1 〜101-n はそれぞれの撮像視野内を撮像し、取得した画像を LAN 102 を介して Web サーバ104 に送信する。なお、監視カメラ 101-1 〜 101-n 側では、監視カメラを特定するための識別情報、撮影時刻(年月日時間)を特定する情報、及び、撮影したときの監視カメラの設定情報を送信する画像に添付する。
これらの情報を画像と共に関連付けて記録することによって、Web サーバ 104 側で蓄積(記録)した画像が、どの監視カメラで、いつ、どんな状況で撮影したかを判別し、Web サーバ104 やクライアント端末側で、状況判断に利用できる。
【0031】
センサ 122-1 〜122-j は、観測所の所定の地点に設置され、例えば、水位計、雨量計、温度計、地震計等の気象現象の測定器、または、動き検出器、赤外センサ、マイク等の物体検知器、等である。
センサ 122-1 〜122-j が検出した情報は、テレメータ中継器 121 を介して、河川情報サーバ 103 に送られ、河川情報サーバ 103 はセンサの設置場所や検知時刻等に関連付けて検出された情報を記録する。センサ 122-1 〜 122-j とテレメータ中継器121 及び河川情報サーバ 103 とを結合する通信手段は、ネットワーク回線網等の専用回線網が望ましいが、有線でも良いし、無線でも光通信でも良い。
【0032】
また、例えば、センサ 122-1 〜122-j を LAN 102 と結合し、センサ 122-1 〜122-j が検出した情報を LAN 102 を介してテレメータ中継器 121 に送信し、テレメータ中継器 121 と河川情報サーバ 103 とを更に専用回線で結合しても良い。また、センサ 122-1 〜 122-j をテレメータ中継器121 とを結合し、テレメータ中継器 121 と LAN 102 とを結合し、テレメータ中継器 121 からセンサ 122-1 〜 122-j が検出した情報を河川情報サーバ 103 に送信しても良い。
【0033】
河川情報サーバ 103 は、水位観測所、雨量観測所、地震観測所、等から送信された情報(データ)をデータベース化し、Web サーバ 104 間とデータ通信を行う。データ通信は、例えば、図1では、LAN 102 を介して実現する。
河川情報サーバ 103 は、水位、雨量、震度、等の過去のデータ(警戒時、洪水時、火山活動時、等)の他、各観測所の位置情報及び高度情報、各観測所間の時間的な水位変化情報、雨量に伴う各水位観測所の水位の変化情報、等のデータベースを記録して、適宜出力することができる。
【0034】
河川情報サーバ 103 は、あらかじめ定められたプログラムに基づいて、所定のデータ処理を実行し、例えば、いずれかの水位観測所で観測された水位が、警戒水位に達したと判定した場合には、そのことを Web サーバ 104 に通知する。警戒水位や、危険水位に達したか否かを判断する条件(しきい値、等)は、あらかじめ監視システムの管理者が決定し、河川情報サーバ 103 に記録してあり、河川情報サーバ 103 は、次々と入力されたデータを常に比較等のデータ処理を実行することによって判断する。警戒水位や危険水位に達したか否かを判断する条件は、データの蓄積がない場合は、経験的に何か所定の条件を定め、またそれぞれの観測所毎に蓄積されたデータ等があれば、それらの蓄積されたデータを基に定める。
【0035】
Web サーバ104 は、河川情報提供システムが、インターネットにクライアント端末 106-1 〜 106-k を接続する不特定の一般者向けに、河川情報等の情報を提供するための WEB 画面(ブラウザ画面)を配信するためのサーバでもある。
上述のように、Web サーバ104 は、結合された河川情報サーバ 103 及び監視カメラ 101-1 〜101-n と LAN 102 を介して所定の時間間隔で通信し、得られた情報に基づいて、該当するブラウザ画面データ(例えば、html 文書)を変更(更新)する。
【0036】
監視カメラ 101-1 〜101-n からのリアルタイムの映像(ライブ映像)データは、Web サーバ 104 に送信される。Web サーバ 104 は、クライアント端末 106-1 〜106-k がそれぞれ要求してくる、所望のリアルタイムの河川映像(画像)の蓄積(記録)と、それぞれの観測所付近の平常時および警戒時の映像データを蓄積している。
【0037】
また WEB サーバ 104 は、河川情報サーバ 103 に対して、LAN 102 を介して情報提供の要求を一定周期で行い、河川データの情報収集を行う。これらのデータを基に、地図表示画面、映像表示画面、河川全体表示画面の樽築を行う。また、WEB サーバはクライアントからの要求に対して、インターネット経由で河川情報画面を提供する。
【0038】
なお、Web サーバ104 は、クライアント端末 106-1 〜 106-k に、記録した圧縮符号化形式(上述の実施例では、MPEG-2 )のままで配信しても良いが、その他、1度復号し、別の圧縮符号化形式(例えば、MPEG-4 、あるいは、JPEG( Joint Photographic Experts Group )、あるいは Motion JPEG 、等)に変換して配信しても良い。
【0039】
なお、上記図1の実施例では、河川データとして水位観測所での水位を観測する例について述べた。しかし、センサとして雨量計を設けた雨量観測所を備え、河川データとして、河川の水位とその流域の雨量との両方を提供するようにしても良い。
また、更に、河川情報の他、防災情報全般に対しそれぞれ必要なセンサを有する観測所を設け、例えば、以下の(1)〜(7)のような観測と観測情報の提供を行うシステムとしても良い。
(1)上述した水位観測所で観測した水位、(2)雨量観測所の雨量、花粉情報、等、気象観測所の観測データ、(3)地震観測所の震度、(4)大気観測所のダイオキシン類、排ガス、光化学スモッグ、酸性雨、等の大気中のガス濃度データ、(5)山火事等の火災情報、(6)津波情報、(7)火山情報。
【0040】
次に、本発明の河川情報提供システムにおいて、クライアント端末 106-1 〜 106-k の1つ(以下、クライアント端末 106-1 〜 106-k を代表してクライアント端末 106 と称する)が、河川情報を取得または閲覧する手順を図4〜図10を参照して説明する。図4〜図10は、本発明の河川情報提供システムにおいて、クライアント端末 106 の表示部に表示される画面の一実施例を示す図である。
【0041】
まず、クライアント端末 106 は、例えば、一般的なパソコン( PC:Personal Computer )を用いる。また、クライアント端末 106 として、携帯情報端末( PDA:Personal Digital Assistant )あるいは携帯電話を用いても良い。
使用者は、クライアント端末 106 の入力装置(例えば、キーボード、マウス等のポインティングデバイス、音声入力、等)を操作し、表示部に表示された画面に、河川情報提供システムのブラウザを呼出す。
一般的には、例えば、(1)日本国内全般の情報のブラウザ、(2)北海道地方、東北地方、関東地方、‥‥‥等の区分情報のブラウザ、(3)各都府県毎または北海道の支庁毎のブラウザ、(4)都府県または支庁内を更に細かく分けた地図のブラウザ、(5)各監視流域(各監視エリア)毎のブラウザが表示される。
上記ブラウザのホームページの URL(Uniform Resource Locator )等のインターネット上のアドレスが分かっていれば、上記(1)〜(5)あるいは、それ以外のブラウザに直接アクセスできる。
【0042】
まず、使用者は、(1)日本国内全般の情報のブラウザにアクセスし、クライアント端末 106 の表示部に日本全国の地図情報を表示する(図示しない)。そして、使用者は、(2)入力装置を用いて、所望の監視エリアを選択する。選択したことによって、図4に示すようなブラウザ画面 400 が表示され、ブラウザ画面 400 の中に該当する地方の地図情報と河川情報提供エリアを表示した画面 401 と情報ツール欄402 とが表示される。
画面 401 内に表示された地図上には、図1で説明した1つの Web サーバが管理する監視エリア毎に、枠 403-1 、403-2 、403-3 、及び 403-4 で囲まれて表示される。
【0043】
クライアント端末 106 の使用者は、ブラウザ画面 400 を見て、知りたい河川情報の監視エリアを囲んだ枠 403-1 、403-2 、403-3 、及び 403-4 内(枠を含む)の1つを選択(例えば、マウスでダブルクリック)する。これによって、例えば、枠 403-4 を選択すると、図5(後述)に示すブラウザ画面 200 が、クライアント端末 106 の表示部に表示される。
この操作は、例えば、情報ツール欄 402 内の欄 404 に表示された河川情報のエリア名から知りたい河川情報のエリア名を選択(マウス等でクリック)しても実現できる。
また、情報ツール欄 402 内には、画面401 に該当する地方の地図情報の名称が表示された欄 408 と、日本国内全体を表す地図を表示する画面 405 が表示される。使用者が、画面 405 内のいずれかの地域を選択(マウス等でクリック)すると、選択された地方のブラウザ画面に表示が切替わる。
【0044】
図5は、本発明の河川情報システムの表示画面の一実施例を示す図である。ブラウザ画面 500 内には、図4においてクライアント端末 106 で使用者が選択した監視ブロックの河川の地図情報を表示した画面 501 と情報ツール欄 502 が表示される。画面501 内の表示情報は、図2と同様であるので説明を省略する。
【0045】
また、情報ツール欄 502 には、図2と同様に、現在表示している画面 501 の名称(例えば、地域名あるいは監視エリア名)が欄 208 に表示される他、画面 501 に表示している観測施設の種類(図5では、水位観測所、雨量観測所、監視カメラ)を欄 509 に表示している。
【0046】
欄 509 の観測所の種類の左側には、チェックボックスが表示され、チェックをはずすと該当する種類の観測所の位置やデータが画面 501 に表示されなくなり、チェックを入れると画面 501 に表示される。これは、目的の観測項目以外は地図上では煩雑となって、使用者には探しにくくなるからである。
【0047】
更に、情報ツール欄 502 には、1つ上位の画面(図5の場合は、図4の画面 401 )510 が小さく表示され、使用者は、その中の今表示されているエリアの画像 501 と別のエリアを選択すると選択された別のエリアの画像に、画像 501 の表示が切替わる。例えば、図4の○△川上流のエリアが見たいときは、画面 510 内の○△川上流のエリアの枠内(図4の枠 403-3 内)を選択(マウス等でクリック)すると、そのエリアのブラウザ画面に、クライアント端末 106 の表示部の表示が切替わる(インターネット上の別のアドレスにアクセスされた状態である)。
この切替えは、欄 511 に表示された図4に表示される監視エリアの枠のリストのいずれかを選択することによっても実現できる。
また、画面 510 は、画面501 内にあっても良い。
【0048】
更に、情報ツール欄 502 には、画面501 に表示された地図上の位置を住所(または地名)で検索するため、住所を階層構造で指定できるようにした欄 512 を設けた。例えば、図5の欄 512 では、今、××町、×○市、△×町、□○△町、と表示されている。このリストは右側のスライダをマウス等で操作することによって上下方向にリスト表示が変わるようになっている。この表示の順番は、例えば、あいうえお順で並んでいる。
【0049】
図6に表示の切替えの一例を示す。図6は、本発明の河川情報システムの表示画面の一実施例のブラウザ画面の一部を示す図である。例えば、図5の欄 512 において使用者が、欄 602 内の△×町を選択すると、欄 512′に表示が切替わり、△×町内の地区名が欄 602′に示すように表示される。同時に、欄 512 においては、その分類の上位の地名の情報 601 が△△県と表示されたが、更に、その下位の地名(ただし、欄 602′の地名のすぐ上位の地名)が上位の地名の情報 603 として△×町というように表示される。
使用者が、例えば、情報 603 を選択すると、欄512 に切替り、情報 602 を選択するとそれより上位の地名リストに切替る。
使用者が、最終的にスライダの無い欄(例えば、欄 512′)で所望の地名を選択すると、例えば、図7に示すように、該当する地名の位置に旗等のアイコン 701 がブラウザ画面 700 の画面501 の地図上に表示され、使用者には、地名がどの位置かが分かる。
【0050】
なお、欄 602 または603 の地名リストは、現在表示されているブラウザ画面 500 の地図情報の表示画面 501 内にある地名だけが表示されても良いが、例えば、それ以外の地名を表示し、現在の画面上に無いことを示すために、表示色を区別するようにするようにしても良い。また、蓄積しているデータベース上の観測エリア外の場合も考えられるので、その場合は、更に、現在の画面と現在の画面ではないがデータベース上に存在する地名と区別する表示としても良い。また、データベース上に無い地名を選択した場合には、現在の表示画面のままで、データベースにその地名が無いことを字幕等で表示しても良い。
【0051】
また、データベース上にはあるが現在の表示画面に無い地名を選択した場合には、選択された地名に最もふさわしい監視エリアのブラウザ画面とあらかじめ関連付けしておき、その監視エリアのブラウザ画面に移動するようにしても良い。また、前のブラウザ画面に戻したいときは、ブラウザ画面の“戻る”アイコンを選択することで可能である。
【0052】
次に、本発明の別の実施例を図8によって説明する。図5の実施例と同様に、図8の実施例でも、水位観測所の情報を河川情報サーバ 103 が情報が入力される。そして、図8の実施例では、入力の都度水位観測所の情報を解析し、その観測所の水位が警戒水位であると判定すれば、その判定情報を Web サーバ 104 に送信し、その観測所の水位が危険水位であると判定すれば、その判定情報を Web サーバ104 に送信する。Web サーバ 104 は、その情報に基づいて、該当するブラウザ画面データ(例えば、html 文書)を更新する。例えば、ハ水位観測所の水位が警戒水位に達したとの情報に対応して、該当する観測所のアイコン 803 を点滅させ(表示を消したり表したりすることを所定間隔で繰返させ)、該当する河川の流域部分 850 を黄色表示させるようにブラウザ画面を更新する。また、危険水位であれば、赤色表示させるようにブラウザ画面を更新する。なお、表示色を変更する他、太さや形状を変えたり、点滅させたり、音を出力させるようにしても良い。
【0053】
また、本発明の別の実施例を、図9によって説明する。図9は、本発明の河川情報システムの表示画面の一実施例のブラウザ画面の一部を示す図である。図9は、図5における、ブラウザ画面 500 内の画面 501 内の引出線で接続されて現在の水位情報 205 に、更に、水位が増える傾向にあるのか減る傾向にあるのかの度合いを示す図形記号(アイコン)を表示したものである。この表示によって、現在は警戒水位だが、減水傾向にあるから大丈夫であるとか、現在は安全な水位だが、急激に増水する傾向なので注意が必要であるとかの判断をクライアント端末 106 を閲覧している使用者が知ることができる。なお、この増加傾向か減少傾向かの判定は、河川情報サーバ 103 があらかじめ組込まれた判定アルゴリズムにしたがって実行し、その結果を Web サーバ 104 に送信し、送信された情報によって、Web サーバ 104 が該当するブラウザ画面を更新する。
【0054】
図9において、(a) の水位情報803′は該当する観測所の水位が増加傾向にあることを示す図形記号(アイコン)901-1 を表示した例である。(b) の水位情報903-1 は該当する観測所の水位が横ばい傾向にあることを示すアイコン 901-2 を表示した例である。(c) の水位情報903-2 は該当する観測所の水位が減少傾向にあることを示すアイコン 901-3 を表示した例である。また、(d) 水位情報903-3 は該当する観測所の水位が急激な増加傾向にあることを、増加傾向を示すことを2つのアイコン901-4 で表わした例である。また、(e) は、(d) と同じことを2つの大きなアイコン 901-1 を並べた表示としたことによってより強調した表示としたものである。
もちろん、このほかの強調の方法としては、点滅(点滅の間隔を変えても良い)や目立つ配色での表示、音出力やアニメーション表示、等がある。
【0055】
次に、図5、図7、または、図8のブラウザ画面 500 、700 、または800 を見て、使用者が閲覧したい観測所のアイコンを選択(マウス等で、クリック)する。選択したことによって、例えば、図10に示すようなブラウザ画面 1000 が、クライアント端末の表示部に、ブラウザ画面 500 、700 、または800 に切替わって表示される。図10は、本発明の一実施例を示す図で、現在の河川の映像及び水位を表示する画面の一例である。ブラウザ画面 1000 には、画面 1001 と情報ツール欄1002 とが表示される。画面 1001 には、ブラウザ画面 500 、700 、または 800 で指定した水位観測所203 に関連付けられた監視カメラ 204 が取得した画像 305 を表示する画面303(画像は省略する)が表示される。
このとき、画面 1001 には、現在の対象観測所付近の河川の映像(あらかじめ対応づけられた監視カメラが取得したライブ映像)が画面 303 として、例えば、水位観測所の名前 306 と現在の水位、及び映像を取得した年月日時刻等の時間情報 307 が表示される。
【0056】
更に、画面 1001 には、平常時の水位(例えば、水位表示が 0.00 m )であったときに取得した画像 1005 を表示する画面 1003(画像は省略する)が表示される。画面 1003 には、例えば、水位観測所の名前 306 と平常時の画像であることを示すタブ 1011 、及び撮影した時間情報(例えば、年月日、時刻)1007 が表示される。水位、及び映像を取得した年月日時刻等の時間情報 307 が表示される。
【0057】
また、使用者が、通常時の画像ではなく、警戒時の画像を見たいという場合には、警戒時の画像のタブ 1012 を選択することによって、画像 1005 を切替え、警戒時の水位のときに取得した画像を表示し、撮影した時間情報を表示する。
【0058】
また、使用者が、通常時の画像や警戒時の画像ではなく、空からみた画像を見たいという場合には、空から見た画像のタブ 1013 を選択することによって、画像 1005 を切替え、空から見た画像を表示し、撮影した時間情報を表示する。なお、空から見た画像は、例えば、あらかじめヘリコプターや衛星で撮影した画像を撮影情報と共に Web サーバ 104 または河川情報 サーバ 103 に記録しておき、観測所や監視カメラと関連付けしておいても良いし、インターネット等のネットワークに結合して、航空写真または衛星写真を提供する Web サイトからリンクまたは配信等の手段で表示させることでも良い。
【0059】
更に、画面 1001 には、当該水位観測所付近の地形の断面図 304 を模式的に表示する。断面図 304 には、現在の水位が視覚的描画されている。
更に、情報ツール欄 1002 には、例えば、図5の画面 501 の名称 208 の他に、水位観測所の名前を表示する欄 309 が表示される。
また更に、情報ツール欄 1002 には、例えば、図5の画面 501 を縮小して表示した画面 1021 が水位観測所マップとして表示され、使用者は別の画像を画面 1001 に表示したい場合に、画面 1021 内の所望の観測所を選択(マウス等でクリック)することで、画面を切替えることができる。
同様の画面切替えは、欄 1022 を選択すると現在の観測所より1つ上流の観測所に切替えができ、欄 1023 を選択すると現在の観測所より1つ下流の観測所に切替えができる。もし、河川の分岐点付近の観測所であれば、更に対応する欄が表示され、河川の上流、下流に移動することができる。
【0060】
更に、図10において、使用者が、画像 305 をマウス等でクリックすると、図11に示すような別ウィンドウ 1100 が表示され、別ウィンドウ 1100 には、現在のライブ画像305 が画面 1101 内に表示され、更に所定時間遡った時刻に撮影した画像のリスト 1102 が表示される。このとき画面 1101 に表示されている時刻に相当するアイコンは、他のアイコンと異なる表示(例えば、色、形状、大きさ、修飾、等)となっている。
更に、別ウィンドウ 1100 内のリスト1102 の所望の時刻のアイコンを選択することにより、選択された時刻の画像を画面 1101 内に表示することができる。
上記の別ウィンドウの表示は、図10の画面 1001 が平常時の画像や警戒時の画像を表示している場合に、その画面をクリックしても実現できる。この場合、別ウィンドウが複数表示されていても良い。
【0061】
次に、図10と図12によって、本発明の別の実施例を説明する。
図10において、断面図 304 に付随した履歴アイコン1031 を選択(例えば、マウス等でクリック)することにより、図12に示すような別ウィンドウ 1200 が表示される。別ウィンドウ 1200 には、画面1201 が表示され、画面 1201 内には、過去に撮影した監視カメラの画像の縮小画像 1202-1 、1202-2 、‥‥‥、1202-7 が撮影時刻の順に並べて表示され、対応する時刻に観測された水位の棒グラフ等のグラフ 1203 が表示され、更に、撮影時刻 1204 とその時刻の水位の値1205 がそれぞれの時刻に対応してグラフ化され表示される。
なお、水位のグラフを折れ線グラフで表示するときは、表示されている時刻より細かくデータを反映し、あたかも曲線で水位の変化が推移するように表示することもできるので、棒グラフと折れ線グラフを両方表示しても良い。
【0062】
次に、図10と図13によって、本発明の別の実施例を説明する。
図10において、断面図 304 に付随した近況アイコン1032 を選択(例えば、マウス等でクリック)することにより、図13(a) 〜(d) に示すような画面に図10の断面図 304 が切替わって表示される。
図13(a) は、現在の時刻より3 時間前の水位を示す模式的な断面図 1301-1 を示す図である。断面図 1301-1 内には、現在時刻から遡った時間と遡った時間での水位を表示同時に表示する。図13(b) は 2 時間前、図13(c) は 1 時間前の断面図である。また、図13(d) は 現在の、断面図である。
【0063】
図13で説明した実施例において、遡る時間は任意に設定可能であるし、表示する単位も 1 時間単位ではなく、30 分毎、2 時間毎、12 時間毎、あるいは1 日毎、等任意に設定できる。
また、画面の切り替えはあらかじめ設定した時間間隔(例えば、1 秒毎)で自動的切替わるように設定しているが、使用者が、マウスをクリックしたなら次の表示に切替わるように設定してあっても良い。
【0064】
図10の断面図 304 及び図13(a) 〜 (d) の断面図において、更に、その観測地点での通常時の水位、警戒時の水位、及び危険時の水位の線 1033 を表示する。これによって、更に使用者は、河川状況が容易に把握することができる。
【0065】
次に、本発明の別の実施例を図7と図14によって説明する。図7において、使用者が、見たい雨量観測所を選択(例えば、マウス等でクリック)すると、図14に示すような該当する雨量観測所のデータを表示するブラウザ画面 1400 に切替わる。ブラウザ画面 1400 には、選択された雨量観測所の雨量速報データが表示される。表示は、グラフ 1401 と表1402 で示され、所定の時間周期分(例えば、30 時間分)が 1 画面に表示される。また、雨量は観測時点での雨量と累計雨量とが表示される。図14の実施例では、観測時点での雨量を棒グラフで表し、累計の雨量を折れ線グラフで表す。
また、表 1402 には、観測時刻1403 と観測年月日 1404 が表示され、前の周期時間及び後の周期時間のデータの表示切替えは、例えば、前切替えアイコン 1405 を選択すると表示されている雨量データより過去のページ画面が表示され、次切替えアイコン 1406 を選択すると表示されている雨量データより時間が経過したページ画面が表示される。
【0066】
次に、本発明の別の実施例を図5と図15によって説明する。図5において、使用者が、情報ツール欄 502 内のビューアイコン 520 を選択すると表示している河川情報の監視エリアについて、略横方向に河川が鳥瞰できるような表示画面にブラウザ画面が切替わる。図15は、その一実施例で、ブラウザ画面 1500 内に、該当する監視エリア(例えば、△□川)の鳥瞰画面 1501 が表示される。そして、横方向に対応する観測所の位置の上下方向に、それぞれの観測所に関連する監視カメラの取得した画像 1502 が縮小されて表示される。更にその上または下に並べて、標高差が分かる断面図と河川の水位を表示した画面 1503 が、観測所それぞれの位置と対応付けられて表示される。また年月日時間 1504 が表示され、現在の画面 1503 の取得された時刻が分かるようになっている。また、画面 1503 に対応するように各観測所の水位の値 1506 、観測所名 1508 が表示され、更に、水位最高河床高さから、それぞれの観測所まで河川水位の影響が出る(増水や減水効果が出る)までの予想時間 1507 が表示され、使用者の現状分析や今後の予想の助けになるようにしている。
【0067】
この結果、公共団体の関係者の場合には、状況を時間的に把握することができ、必要によっては閘門を開け調整池への分水や、付近の民家への避難勧告等の連絡の要否を迅速に判断することができる。
また、一般の人々にとっても、状況を時間的に把握することができ、自宅近所や避難場所、避難経路等の状況や予測を迅速に判断できるため、安全な避難や、避難の準備または待機を安心して行うことができる。
【0068】
また図15においても、近況アイコン 1505 を備えている。この近況アイコン 1505 は、図10と図13で説明した機能と同様の機能を備える。即ち、近況アイコン 1505 を選択することにより、図13と同様に、画像 1502 、画面 1503 、年月日時間 1504 、及び各観測所の水位の値 1506 の表示が、現在時刻から遡って、所定時間間隔で切替わる。
【0069】
次に、図1で説明した河川情報提供システムにおいて、監視カメラ 101-1 〜 101-n の少なくとも1つ以上は、
図1の実施例では、いずれかの水位観測所で観測された水位が、警戒水位以上になった場合には、Web サーバ 104 から、該当する観測所に属する監視カメラに制御信号を出力し、あらかじめ定められた所定の監視視野内(プリセット位置)の画像を取得するようにする。例えば、この所定の監視視野は、河川内に設けられた量水標 310 の目盛部分に合せる。例えば、監視カメラの中央部は、その監視位置での警戒水位の目盛部分に焦点が合うように制御し、監視視野は、量水標 310 の警戒水位から危険水位の目盛が見える範囲とする。また例えば、画像処理機能を備えた監視カメラあるいは、Web サーバである場合は、監視カメラあるいは Web サーバが河川の水面を自動的に認識し、パン及びチルト、及びズーム手段、及び合焦点手段を制御して監視視野を自動的に設定する。
【0070】
また本発明の他の実施例では、Web サーバ104 が警戒水位以上になった観測所があったと認識した場合には、所属する監視エリアの河川情報を得るためにアクセスしてきた(送信要求のあった)クライアント端末 106 に配信するブラウザ画面を、警戒水位以上になった観測所のブラウザ画面(例えば、図10)とし、画面 303 には現在のライブ画像を表示し、画面 1003 には、水位警戒時は予め蓄積保存してある警戒時の画像データをデフォルト表示する。このときのライブ映像の画面 303 には、あらかじめ設定されたプリセット位置の映像を表示する。
【0071】
次に、図16によって、Web サーバ104 が監視カメラ 101 を制御するための構成の一実施例を説明する。図16は、本発明の一実施例の河川情報提供システムの一部の構成を示すブロック図である。
1601 は、パン及びチルト機構、及びズーム機構を備える撮像装置である。1602 は、撮像装置 1601 を制御するための制御部、1603 は画像エンコーダ、1604 はスイッチングハブ( SWHUB )、1605 は操作器、1608 は操作器 1605 と結合した表示部、1606 は画像デコーダ、1607 はモニタ、1609 は LAN 等のネットワーク網である。
【0072】
撮像装置 1601 は、例えば、CCD( Charge Coupled Device )等の撮像素子を搭載した TV カメラ(テレビジョンカメラ)である。ネットワーク網 1609 は、画像エンコーダ 1603 と SWHUB 1604 間の通信に使用する。
【0073】
また、撮像装置 1601 、制御部 1602 、及び、画像エンコーダ 1603 で1組の監視カメラ 101 を構成し、SWHUB 1604 、操作器 1605(表示部 1608 を含む)、画像デコーダ 1606 、モニタ 1607 (表示部 1608 を含む)で Web サーバ 104 を構成している。また、Web サーバ 104 は図示しないネットワーク網 105 と結合している。
【0074】
図16のシステムは、少なくとも1組の監視カメラと1組の Web サーバとをネットワーク網 1609 で結合している。尚、Web サーバ 104 側には、監視カメラ 101 側の各監視場所を監視またはシステムを管理する管理者が存在する。
【0075】
図16では、監視カメラ 101 側と Web サーバ 104 側は、それぞれ1組しか示していないが、複数組あることが多く、また、監視カメラ側の構成において、撮像装置が複数組設置されている場合もあり、その場合には、制御部 1602 がそれら複数組の撮像装置が取得した画像のいずれかを選択してネットワーク網 1609 を介して Web サーバ 104 に送信する。
【0076】
図16において、撮像装置 1601は、制御部 1602 から指示された設定条件(視野方向、ズーム率、レンズ絞り、シャッタースピード、撮影時刻、等)で監視視野内を撮像し、撮像した画像を映像信号として画像エンコーダ 1603 に出力する。
画像エンコーダ 1603 は、入力された映像信号を MPEG-2 等のあらかじめ定められた圧縮方式の画像データに変換し、SWHUB 1604 に出力すると共に、操作器1605 から SWHUB 1604 を介して与えられる制御信号を制御部 1602 に出力する。制御部 1602 は、操作器 1605 から与えられた制御信号に応じて、撮像装置 1601 を制御する。
【0077】
SWHUB 1604 は、画像エンコーダ 1603 が出力した画像データを操作器1605 と画像デコーダ 1606 に出力する。画像デコーダ 1606 は、画像エンコーダ 1603 から SWHUB 1604 を介して送られる画像データ(圧縮映像)を復号して、モニタ 1607 が表示可能な形式の映像信号に変換し、モニタ 1607 に出力する。モニタ 1607 は入力された映像信号を元に、撮像装置 1601 が撮像した画像を表示する。
【0078】
操作器 1605 は、管理者からの指示をマンマシンインタフェース(図示しない、例えば、キーボード、マウス等のポインティングデバイス、マイク、専用操作パネル、等)を介して受け取り、撮像装置 1601 等、システムを維持、操作、及び管理する。
また操作器 1605 は、表示部 1608 に操作画面を表示する。例えば、操作器 1605 は、 SWHUB 1604 を介して送られた画像データを、ソフトウエア処理(画像処理)し、操作画面内に表示する。
【0079】
管理者は、操作器 1605 を用い、表示部 1608 の表示画面を見ながら、次のような操作を行う。
(1)管理者が所望の観測所に属する撮像装置 1601 を選択する。
(2)管理者がプリセット位置を選択する。例えば管理者が、該当する監視カメラを制御するためにマンマシンインタフェースを操作して、警戒時の水位のときに見たい監視視野に設定し、その条件をプリセット位置として、Web サーバ 104 の例えば、操作器 1605 内の記憶部に登録する。
以上の(1)と(2)を繰り返して、管理者はあらかじめ、すべての監視カメラのプリセット位置をあらかじめ登録する。
【0080】
なお、上記実施例では、Web サーバ104 内にプリセット位置を登録し、Web サーバ 104 が監視カメラ101 を制御したが、別に、カメラサーバを有し、例えば、LAN 102 と Web サーバ104 間にカメラサーバを備え、Web サーバ 104 からの指令により、カメラサーバが監視カメラを制御するようにしても良い。また、別の実施例として、カメラサーバを LAN 102 と監視カメラの間に備え、Web サーバ104 からの指令により、カメラサーバが監視カメラを制御するようにしても良い。このとき、監視カメラ複数台毎(例えば、15台毎、また例えば、30台毎)に1台のカメラサーバを用意しても良い。
【0081】
上述したように、本発明によれば、現在の映像と平常時の映像を一元表示することができる。
また平常時の映像はタブ等で切り替えて表示することが可能となる。
また、図15によって説明した実施例のように、河川全体(または、1つの監視エリア)をバードビュー表示(鳥瞰図で表示)し、河川の各水位観測所の現在の画像および水位を一元化表示することができる。このバードビュー画面によって、現在の河川(または、監視エリア)全体の水位状態を一目で把握することが可能となる。
【0082】
図17は、本発明の河川情報提供システムの別の実施例を説明するための図である。図17は、図1の構成の河川情報提供システムを複数結合し、より広いエリアの監視情報を提供するものである。
図17において、図1と同等の河川情報提供システム 101-1 、101-2 、‥‥‥、101-m( m は自然数)がそれぞれのWeb サーバ 104 を介して、HUB を備えた本サーバ1701 に結合されている。本サーバ 1701 は、それぞれ別系統の河川情報提供システムを結合して、ネットワーク網 105 を介して、クライアント端末 106-1 、‥‥‥、106-k に情報を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の河川情報提供システムの一実施例の構成を示すブロック図。
【図2】従来の河川情報システムの表示画面の一例を示す図。
【図3】従来の河川情報システムの表示画面の一例を示す図。
【図4】本発明の河川情報システムの表示画面の一実施例を示す図。
【図5】本発明の河川情報システムの表示画面の一実施例を示す図。
【図6】本発明の河川情報システムの表示画面の一実施例を示す図。
【図7】本発明の河川情報システムの表示画面の一実施例を示す図。
【図8】本発明の河川情報システムの表示画面の一実施例を示す図。
【図9】本発明の河川情報システムの表示画面の一実施例を示す図。
【図10】本発明の河川情報システムの表示画面の一実施例を示す図。
【図11】本発明の河川情報システムの表示画面の一実施例を示す図。
【図12】本発明の河川情報システムの表示画面の一実施例を示す図。
【図13】本発明の河川情報システムの表示画面の一実施例を示す図。
【図14】本発明の河川情報システムの表示画面の一実施例を示す図。
【図15】本発明の河川情報システムの表示画面の一実施例を示す図。
【図16】本発明の河川情報システムの一実施例の構成を示す図。
【図17】本発明の河川情報提供システムの一実施例の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0084】
100:河川情報提供システム、 101-1〜101-n:監視カメラ、 102:LAN、 103:河川情報サーバ、 104:Web サーバ、 105:ネットワーク網、 106-1〜106-k:クライアント端末、 121:テレメータ中継局、122-1〜122-j:センサ、 200:ブラウザ画面、 201:地図情報表示部、 202:情報欄、 203:水位観測所を示すアイコン、 204:監視カメラを示すアイコン、 205:水位情報、 206:雨量観測所を示すアイコン、 207:雨量情報、 208,209:欄、 300:ブラウザ画面、 301:画面、 302:情報欄、 303:画面、 304:断面図、 305:画像、 306:水位観測所の名前、 307:時間情報、 309:欄、 310:量水標、 400:ブラウザ画面、 401:画面、 402:情報ツール欄、403-1,403-2,403-3,403-4:枠、 404:監視エリア名表示コラム、 405:画面、 500:ブラウザ画面、 501:画面、 502:情報ツール欄、 509:欄、 510:画面、 511,512,512′:欄、 520:ビューアイコン、 601:情報、 602,602′:欄、 603:情報、 700,800:ブラウザ画面、 701:アイコン、 803:水位観測所を示すアイコン、 805:水位情報、 850:警戒または危険水位時の河川の一部流域、 1000:ブラウザ画面、 1001:画面、 1002:情報ツール欄、 1003:画面、 1005:画像、 1007:時間情報、 1011,1012,1013:タブ、 1021:画面、 1022,1023:欄、 1032:近況アイコン、 1033:線、 1100:別ウィンドウ、 1101:画面、 1102:リスト、 1200:別ウィンドウ、1201:画面、 1202-1〜1202-7:画像、 1203:棒グラフ、 1204:撮影時刻、 1205:雨量、 1301-1〜1301-4:断面図、 1400:ブラウザ画面、 1401:グラフ、 1402:表、 1403:観測時刻、 1404:観測年月日、 1405,1406:切替えアイコン、 1500:ブラウザ画面、 1501:画面、 1502:鳥瞰画面、 1503:画面、 1504:年月日時間、 1505:近況アイコン、 1506:水位の値、 1507:予想時間、 1508:観測所名、 1601:撮像装置、 1602:制御部、 1603:画像エンコーダ、1604:SWHUB、1605:操作器、 1606:画像デコーダ、 1607:モニタ、 1608:表示部、 1609:ネットワーク網。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川を対象とする災害情報を Web 上で提供する河川情報提供システムであって、
少なくとも水位、雨量の情報のいずれかを観測する観測所と、
上記観測所が観測する位置を監視視野として撮像する撮像装置と、
上記観測所が観測した観測情報を受信し、上記観測所及び観測時刻と関連付けて蓄積する河川情報サーバと、
上記撮像装置が撮像する画像データを受信し、上記撮像装置と対応付けられた観測所と上記撮像装置及び撮像時刻と関連付けて蓄積する Web サーバと、
上記撮像装置の撮像する画像データと上記河川情報サーバが送信する情報とを、上記 Web サーバに配信する通信手段と、
上記観測所から送信する観測情報を上記河川情報サーバに配信する通信手段とを備え、
上記 Web サーバが、上記観測情報と上記画像データとをブラウザ画像として作成してインターネット等のネットワーク網に配信することを特徴とする河川情報提供システム。
【請求項2】
請求項1記載の河川情報提供システムにおいて、
上記観測所が、あらかじめ設定された河川の上流または下流に設置された観測所の集合として定められた監視エリア毎の情報としてブラウザ画像が作成され、上記ブラウザ画面をインターネット等のネットワーク網に配信することを特徴とする河川情報提供システム。
【請求項3】
請求項1記載の河川情報提供システムにおいて、
上記監視エリア毎の観測所のうち、上記河川の所定位置の水位を観測する水位観測所の観測する水位のいずれかが、あらかじめ定められた警戒水位に達した場合、上記 Web サーバは、該当する観測所に関連付けされた撮像装置をあらかじめ定められた所定のプリセット位置になるように制御することを特徴とする河川情報提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−234654(P2006−234654A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−51106(P2005−51106)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】