説明

治療用組織拡張デバイスおよび関連方法

柔軟な側壁を持つ管腔内や柔軟な膜内の開口に位置づけることができるデバイスである。デバイスは、開口を画成または管側壁を形成している対向部分をデバイス平面内で外方に拡張または付勢する。この外方への付勢により、開口または側壁の対向部分はデバイス平面に垂直な方向に引かれ、並置または接触させられる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟な側壁を有する管(vessel)の内腔内または柔軟な膜の開口内に位置づけ可能なデバイスに関するものである。このデバイスは、開口を画成している、または管側壁を形成している対向部分を、デバイスの平面内で外方に拡張すなわち付勢するものである。当該外方への付勢によって、開口または側壁の対向部分はデバイス平面に垂直な方向において内方に引かれ、並置または接触させられる。
【背景技術】
【0002】
弾力のある膜、特に筋組織など生きている組織は、傷(defects)、疾患(disorders)または疾病(diseases)などを被り、組織を貫いて、または組織内に好ましからぬ開口や空洞が形成されてしまうことがある。柔軟な側壁を有する弾力のある管は人体の全体にわたって広く見られるものであり、例えば組織への血液の移送・分配や、消化器系および泌尿器系からの廃棄物(waste matter)の運搬など、様々な生体機能を果たしている。また、管は括約筋を用いて管を通じた物質の流れを制御し、一方向弁を内蔵することによって流体の逆流を阻止することもある。弁は、また管自体でさえも、傷、疾患あるいは異常を被ることで正確に機能することができなくなってしまうことがある。重要な筋組織や血管の様々な疾患のいくつかを以下に例示する。
【0003】
僧帽弁不全症(Mitral Valve Incompetence)
図1に示すように、左房室弁すなわち僧帽弁2は二尖(2リーフレット)弁であり、心臓10の左心室8と左心房6との間のオリフィス4に位置している。酸素を豊富に含む血液は、肺から肺静脈を通って左心房6を流れ、僧帽弁2を通過して左心室8に流れ込む。血液はここで大動脈16に圧送され、さらに身体に分配される。僧帽弁2はリーフレット18および20を有し、これらが互いに並置状態となっていることで、リーフレットに平行な弁の面がリーフレット間に画成される。僧帽弁2は一方向弁であって、リーフレット18および20が弁平面22に垂直な方向に互いに離れるよう移動することで左心室8内への流入が許容される。そして、大動脈16を通じて血液を圧送するための左心室8の収縮時に、左心室8内に生じる圧力上昇に応じて、互いに近接(また、「癒合」として知られている)する。健常な弁においては、リーフレットは通常互いにシール(癒合)し、左心房6を通じた肺への逆流が阻止される。しかし疾患のある僧帽弁では、リーフレットは左心房内への脱出(prolapse)を生じさせ、血液の逆流を許してしまう。
【0004】
心臓内の種々の弁の中でも、僧帽弁は最も疾患を被り易く、二尖弁が不全となることで僧帽弁のシールが不完全なものとなる。これにより、左心室の収縮に応じ、血液の左心房への逆流が許されてしまう。疾患のある弁のリーフレットは傷や短縮化を被ったものであり、これらが弁不全の一つの原因である。その他の原因としては、腱索(脱出を防ぐためにリーフレット自由端に付いた腱索)の異常伸張や、リウマチ性心疾患に伴う収縮(retraction)、硬直(rigidity)および変形(deformity)などがある。
【0005】
僧帽弁交換の成功率が低いことから、二尖弁不全は心臓切開手術を要する僧帽弁の修復によって処置されることが好ましい。この処置は非常に侵襲性(invasive)が高く、心臓を停止させるとともに患者に心肺バイパスを施すことを必要とし、かつ、しばしば術後合併症を引き起こすものである。
【0006】
静脈弁不全(Venous Valve Incompetence)
図2に示すように、ヒトの循環系の静脈24は26および28で示すような一方向弁のシステムを有しており、2つのリーフレット30および32を具えている。これらは、心拍間での末端部への血液の逆流を阻止しながら、末端部から心臓へ戻る血液の流れを促進するべく作動する。また静脈弁26および28は協働して、循環系の静脈側から心臓へ戻る血液のポンピングを助ける筋肉の動きを許容する。様々な筋肉34の収縮が静脈の収縮を生じさせる傾向があり、これが血液を静脈から流出させる。静脈弁26および28は、弁26が閉じたままとなっているときに弁28が開くように協働し、心臓に戻る一方向への流れのみが許容される。
【0007】
静脈は、それらの弁の構造および機能の欠陥に関連する様々な疾病に罹ることがあり、これは弁不全として知られている。弁不全は拡張蛇行静脈(varicose veins)の原因となるほか、弁リーフレットが厚くかつ収縮することによって血液の逆流を阻止し得なくなる慢性静脈不全の原因ともなる。これらの状態の双方とも、非常な不快感をもたらすほか、水腫(edema)、紅班(erythema)、皮膚炎(dermatitis)、皮膚の潰瘍(skin ulceration)および小胞炎(cellulitis)をもたらし得るものである。
【0008】
小嚢性動脈瘤(Arterial Saccular Aneurysms)
図3に示すように、小嚢性動脈瘤36は、身体の動脈40の分岐部38に発生する動脈壁42の袋状形成物であって、動脈枝40間の分岐点44から外方に延在する。動脈瘤36は動脈40との連結部をなす径が減少した頸部46を有しており、ドーム48によってキャップされている。動脈瘤の形成過程で、頸部46の部位には動脈内弾性板が見られなくなり、壁42は薄く脆くなり、結合組織が平滑筋細胞に取って代わる。動脈瘤はドーム48の部位で破れやすく、この結果出血が生じる。
【0009】
脳血管の小嚢性動脈瘤の破裂は、これに伴う死亡率が高く(破裂の第1日で10%以内、3ヶ月内では25%)、また初期の大出血を生き延びた者でも重大な神経障害を被ることから、特に深刻である。
【0010】
卵円孔開存症(Patent Foramen Ovale)
図1に示すように、孔(foramen)3は心臓の左右心房(それぞれ、符号6および7)間の筋肉組織の開口である。この開口は、誕生前に母体と胎児との間で血液の流れを許容するために存在している。誕生後には、孔3は通常閉塞されて心房を分離し、乳児の心臓が血液の圧送を行えるようになる。卵円孔開存症は、誕生後にも孔が閉塞されない心臓の欠陥であり、心房間の血液の漏洩を許してしまう。この欠陥は、肺塞栓(pulmonary embolism)および卒中(stroke)の危険を高めるものとなる。
【0011】
心耳(Atrial Appendage)
図1Bは図1における1B−1B線に沿った部分断面図であり、左心房6から延在して肺動脈幹9に隣接する心耳5を示している。心耳5はほぼヒトの親指の寸法であり、どのような有用な機能を果たすものかは判っていない。しかしこれは血栓の形成の原因であり、非リウマチ性心房細動ないしは不整脈に伴う発作の90%の原因はこれにあると考えられている。脳梗塞の危険性は、心耳5を左心房6に対して閉じることで大きく低減される。
【0012】
心房および心室中隔欠損症(Atrial and Ventricular Septal Defects)
図1Cに示される心房中隔欠損症は、左心房6および右心房7を分離する中隔すなわち壁15の開口13に特徴がある。同様に、心室中隔欠損症は、左心室8および右心室11を分離する中隔19の開口17に特徴がある。かかる開口は心房間または心室間の血液の流れを許してしまう。
【0013】
処置しない場合には、心房中隔欠損は右心室にストレスを与え、張させることで弱めてしまう。肺もまた充血することになり、この結果、肺高血圧症や、不整脈および卒中につながる凝血をも引き起こし得る。心室中隔欠損も右心室にストレスを与え、これもまた、充血、肺高血圧症、血栓、卒中および不整脈につながる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
よって、筋肉組織内の開口や、柔軟で弾力のある側壁を持つ管に関連した疾患および異常を治すのに用いることができるとともに、安全で最低限の侵襲的手法に適用可能とすることで患者に与える衝撃を減らし、かつ術後合併症を最小限にすることのできるデバイスおよび方法が要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、筋肉組織などの膜の開口内や、柔軟な側壁を持つ管の内腔内に位置づけることのできる付勢デバイスに関連する。このデバイスは、その平面において第1の対向側壁部分を互いに外方に付勢する一方、デバイスの平面に実質的に垂直な方向において第2の対向側壁部分を互いに近づくよう引くものである。付勢デバイスはカテーテルを通して開口または管腔内に挿入可能である。好適実施形態では、デバイスは、共通端点から延在する弾力性のある柔軟な一対の脚部を具えている。脚部は、それらが互いに近づいて位置することでカテーテル内に摺動嵌入する第1形状と、互いに離隔した関係に位置づけられる第2形状とに弾性変形可能である。
【0016】
第1および第2のアンカー基体が、共通端点から離れた部位において各脚部の長さ方向に沿って好ましく配置されている。アンカー基体は脚部に取り付けられた複数のフィラメント状部材から形成されている。アンカー基体は複数のフィラメント状部材間に複数の間隙を画成している。各脚部上のアンカー基体は、脚部が管内で第2形状を取るときに、第1の対向側壁部に係合する。このとき、脚部が第1対向側壁部を外方に付勢することで第2側壁部が内方に引かれる。
【0017】
他の実施形態では、本発明は弾性のある柔軟な一対の脚部を具え、該脚部が第1および第2の共通端点で互いに結合する対向端を有することで、閉ループを形成している。脚部は、それらが互いに近づいて位置することでカテーテル内に摺動嵌入する第1形状と、互いに離隔した関係に位置づけられる第2形状とに弾性変形可能である。
【0018】
第1および第2のアンカー基体が、各脚部の長さ方向に沿って、ループを横切るよう互いに対向して好ましく配置されている。それらのアンカー基体も脚部に取り付けられた複数のフィラメント状部材から形成され、複数のフィラメント状部材が複数の間隙を画成している。各脚部上のアンカー基体は、脚部が管内で第2形状を取るときに、第1の対向側壁部に係合する。脚部が第1対向側壁部を外方に付勢することで、第2側壁部が内方に引かれる。
【0019】
本発明に係るデバイスはシュラウドを含み、これは脚部セグメントを覆うとともに、脚部セグメント間をつなぐ中心層を提供可能である。シュラウドは、好ましくは織り交ぜ状にしたフィラメント状部材から形成され、生きている組織の内側への伸び(ingrowth)を促進するマトリクスを提供して、組織に対してデバイスが固定されるようにする。また、シュラウドは組織を組織に付けるための基体を提供し、管または開口が永久的にシールされるようにする。
【0020】
本発明はまた、本発明に係る付勢デバイスを用いることによって、卵円孔開存症、心耳、心房および心室中隔欠損症、逆流僧帽弁、小嚢性動脈瘤を含む障害および欠陥や、柔軟な側壁を有する管に関連するその他の障害を治療する方法を含む。該方法は、
(A)例えば弁の開口面、小嚢性動脈瘤の頸部または左右心房間の開口など、管または開口内に付勢デバイスの脚部を位置づけるステップ、および
(B)互いに離隔している関係にある脚部を付勢し、脚部が開口または管の第1対向部を外方に付勢するようにすることで、例えば弁のリーフレット、動脈瘤の頸部、または開口を形成している対向側部などの側壁部が互いに並置される方向に引かれるようにするステップ、
を具える。
【0021】
弁の治療時には、脚部は弁の面と同一平面上に位置づけられる。アンカー基体がある場合には、前記方法はさらに、アンカー基体を開口または管の第1対向部に係合させて、弁の開口面または小嚢性動脈瘤の頸部にデバイスを位置づけるステップを具える。
【0022】
一形態では、本発明は開口または管の対向側壁部を付勢して並置させるためのデバイスを提供する。
【0023】
他の形態では、本発明は管を通る流体またはその他の物質の流れを制御するためのデバイスを提供する。
【0024】
さらに他の形態では、本発明は管または開口を通る流体の流れを止めるためのデバイスを提供する。
【0025】
他の形態では、本発明は、開口を形成している壁部または管の部分間の治癒反応(healing reaction)を促進することで開口または管をシールするためのデバイスを提供する。
【0026】
さらに他の形態では、本発明は、最低限の侵襲技術を通じてヒトの身体に移植することができるデバイスを提供する。
【0027】
他の形態では、本発明は、僧帽弁不全を矯正するのに用いることができるデバイスを提供する。
【0028】
他の形態では、本発明は、静脈弁不全を矯正するのに用いることができるデバイスを提供する。
【0029】
さらに他の形態では、本発明は、小嚢性動脈瘤を治療するのに用いることができるデバイスを提供する。
【0030】
さらなる形態では、本発明は、卵円孔開存を矯正するのに用いることができるデバイスを提供する。
【0031】
他の形態では、本発明は、心房および心室中隔欠損を矯正するのに用いることができるデバイスを提供する。
【0032】
他の形態では、本発明は、心耳を閉じるのに用いることができるデバイスを提供する。
【0033】
さらに他の形態では、本発明は、開口または管の対向側壁部を付勢して並置させるための方法を提供する。
【0034】
他の形態では、本発明は管を通る流体の流れを制御するための方法を提供する。
【0035】
これらの、およびその他の目的および利点は、図面および好適実施形態の詳細な説明を考察することで明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
図4は本発明に係る付勢デバイス50の一実施形態を示す。付勢デバイスは弾性のある柔軟な一対の脚部52および54を具え、これらは共通の端点56から延在している。脚部52および54は、生きている組織と適合性があり、比較的高い降伏応力を持つニチノールなどの金属から好ましく形成され、後述するようにデバイスを正確に機能させるための弾性付勢特性を備えている。ステンレス鋼、チタンおよびエルジロイなどのその他の金属を用いることも可能である。脚部を形成するためにポリエステル、ポリプロピレン、およびポリテトラフルオロエチレンなどのポリマーが用いられてもよい。
【0037】
共通端点から離れた部位において、アンカー基体58および60が各脚部52および54の長さ方向に沿って配置されている。図4Aに詳細に示すように、アンカー基体58は複数のフィラメント状部材62で形成され(詳細には示されていないがアンカー基体60についても同じ)、好ましくは編んで織り交ぜた状態とすることで複数のフィラメント状部材62間に複数の間隙64を画成している。フィラメント状部材62のデニールおよび織り交ぜの密度を調整することで、生きている組織がアンカー基体58および60内に群生(intergrowth)するのを促進するよう寸法づけた間隙64が生成されるようにする。これにより、デバイス50を、それが挿入される管の側壁に対して有機的に取り付けることができる。ここでは、60デニールを持ち、1インチ当たり120ピックで編んだポリエステル製モノフィラメントが好ましく、これによって0.004インチのオーダで交差する寸法を持つ間隙を得ることができる。60デニールのマルチフィラメントを用い、より対応したカバー性が生成されるようにしてもよい。これは、デバイスの供給時などスペースが限られている場合に有用である。
【0038】
細胞の伸長をさらに促進するために、トロンビン(thrombin)、コラーゲン、ヒルロン(hyluron)またはVEGfなど多数の成長因子でフィラメント状部材62を被覆することも可能である。これらは血液凝固や、生きている組織と不活性な物質との一体化を促進する。さらに、デバイスの残部をタキソール(Taxol)、ラパマイシン(Rapamycin)およびラパミューン(Rapamune)などの抗増殖性物質の薬剤で被覆し、すべての増殖に対するバリアとして作用させるとともに、生きている組織の不所望の部位での接着を妨害するようにすることができる。
【0039】
ヒトへの移植物として長期にわたり適切に用いることができるという観点から、フィラメント状部材62にはポリエステルが好ましい材料である。他の高分子材料を用いることも可能であり、これにはポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレンおよびナイロンが含まれる。フィラメント状部材を形成するのに金属を用いることも可能であり、ヒトの組織と適合性があり、かつ高い放射線不透過性(radiopacity)を持つことから、特に金が好ましい。金製のフィラメントが、フィラメント状部材を構成するものと、それらの間の間隙にあるものとのいずれかであれば、放射線不透過性(radiopaque)のマーカとして働くので、移植の過程および移植後にデバイス50の位置および向きを見るために蛍光透視法技術およびX線技術を用いることが可能となる。フィラメント状部材62に対して、または脚部52および54に対して選択的に、所定のパターンで金のコーティング66を施してもよい。これにより、デバイス50の向きおよび位置の決定を明瞭かつ迅速に行うことができるようになる。
【0040】
アンカー基体58および60を脚部に取り付ける目的で、脚部52および54に対しフィラメント状部材62を溶接、接着または織り交ぜることができる。アンカー基体は実用上のいかなる形状であってよく、図4に示すような平坦な形状とするほか、図5および図6に示すように、脚部52および54のまわりに同軸に配された円筒状、チューブ状もしくはスリーブ状とすることもできる。
【0041】
生きている組織に対しデバイス50を初期固定するために、共通端点56から離れた部位で脚部52および54にフック68を配設することができる。好ましくは、フック68は各脚部52および54上でアンカー基体58および60と同一の場所に配置され、デバイス50が移植される管の側壁と係合するために脚部から外方に延在する突起を具える。フック68は側壁と係合することでデバイス50を所定位置に固定してこれを機能させ、アンカー基体58および60が管の生きている組織と一体化するための時間を提供する。
【0042】
付勢デバイス50は、脚部52および54が互いに近づいて位置することでカテーテルのルーメンを通って摺動可能とする第1形状と、脚部が互いに離隔した関係に位置づけられている図4に示す第2形状とに弾性変形可能である。好ましくは、脚部52および54は、外から作用する拘束力(カテーテル内にデバイス50があるときに生じるものなど)がないときに、互いに離隔している形状を取るよう弾性的に付勢されている。これにより、後述のようにカテーテルから解放された位置において、当該弾性付勢力の作用下でデバイスを拡張させ、管の側壁に係合させることが可能となる。
【0043】
図5は本発明の他の実施形態に係る付勢デバイス70を示している。デバイス70はそれぞれ2つのセグメントでなる脚部52および54を有する。セグメント72および74は共通端点56において互いに接続され、互いに角度をなすよう方向づけられており、脚部52および54のそれぞれの第1セグメントをなしている。セグメント72および74にそれぞれ接続されているセグメント76および78が第2セグメントをなしている。セグメント76および78は実質的に平行に延在しており、脚部が図示の離隔形状にあるときには互いに離隔した関係となっている。図5Aに示すように、デバイス70はフック68および符号58で示すようなアンカー基体を有している。アンカー基体58は管状のスリーブ状に組み込み(braide)または織り込み(weave)されたフィラメント状部材62で形成され、これは生きている組織にあるデバイス70に対して生きている細胞が食い込んで行くのを促進するための間隙64を形成している。アンカー基体60についても同様であるので、これについては詳細には示していない。再び図5を参照するに、脚部セグメント72および74は、共通端点56の部位に位置づけられる応力緩和ループ80によって互いに接続されている。応力緩和ループ80は所定の曲率半径82を有し、その形状によって、脚部が互いに近接する形状に変形するときの脚部セグメント72および74の応力が低減される。
【0044】
図6は本発明のさらに他の実施形態に係る付勢デバイス80を示している。ここでは、共通端点56で互いに一体となるよう接続されるのではなく、脚部52および54が溶接部86によって互いに溶接されている。
【0045】
図7、図8および図9は、それぞれ、本発明のさらなる実施形態に係る付勢デバイス88、90および92を示している。図7の実施形態に係る付勢デバイス88はそれぞれ3つのセグメントに分かれた脚部52および54を有している。第1セグメント94および96は第1共通端点98において互いに接続されている。第2セグメント100および102は、それぞれ、第1セグメント94および96の端部に接続され、互いに離隔した関係を持って平行な向きとなっている。アンカー基体58および60とフック68とが、第2脚部セグメント100および102に適切に配置される。第3脚部セグメント104および106は、それぞれ、第2セグメント100および102に接続され、第2共通端点108において互いに接続されて一体となっている。脚部セグメント94、96、100、102、104および106が一体となって閉ループ110を形成する。
【0046】
図8の実施形態に係る付勢デバイス90は傾いた向きをなす脚部セグメント112および114を有し、これらは共通端点116において互いに接続されている。共通端点116の部位には所定の半径120をもつ応力緩和ループ118があり、脚部セグメント112および114を結合させている。平行な向きの脚部セグメント122および124が、それぞれ、角度をなすよう方向づけられているセグメント112および114の端部に接続されている。アンカー基体126および128が、それぞれ、平行な向きの脚部セグメント122および124に配置されるとともに、フック130もアンカー基体とともに配置されている。角度をなすよう方向づけられた他の一対の脚部セグメント132および134がそれぞれ、平行に方向づけられたすセグメント122および124から延在している。傾いた向きをなす脚部セグメント132および134は、他の共通端点136の部位で例えば溶接により互いに接続され、これによって閉ループ123が形成される。
【0047】
図9は、それぞれ、本発明の他の実施形態に係る付勢デバイス92を示している。図9の実施形態に係る付勢デバイス90は角度をなすよう方向づけられた脚部セグメント140および142を有し、これらは共通端点144において、例えば溶接により互いに結合している。平行に方向づけられた脚部セグメント146および148が、それぞれ、角度をなすよう方向づけられたセグメント140および142から延在している。アンカー基体150および152が、それぞれ、平行に方向づけられた脚部セグメント146および148に配置されるとともに、フック154もアンカー基体とともに配置されている。傾いた向きをなす第2の脚部セグメント156および158がそれぞれ、角度をなすよう方向づけられたセグメント122および124から延在し、これらが第2の共通端点160の部位で互いに接続されることによって、閉ループ162が形成される。
【0048】
図10〜図15に示すように、付勢デバイスの周囲に符号188、190および192で示す種々実施形態のシュラウドを配置することが有効である。シュラウドの特定の形態、構造および形状は、作用させる付勢デバイスの特定の機能に従う。符号88、90および92で示す実施形態の付勢デバイスがそれぞれ符号188、190および192で示す実施形態のシュラウドを具えたものが例示されているが、いずれの実施形態のシュラウドであっても、いずれの実施形態のデバイスに対しても使用可能であることを理解すべきであり、符号50、70および84で示した実施形態(図4〜図6参照)も含むし、特別に例示しない他の実施形態のデバイスに対しても使用可能である。
【0049】
シュラウド188、190および192は、インターレース状のフィラメント状部材194を適切に具え、これは付勢デバイスの周囲にある。フィラメント状部材のインターレースは織り(weaving)、編み(knitting)または組み(braiding)によって作ることができる。また、フィラメント状部材がフェルトなどの不織構造を具えていてもよい。広い範囲にわたって多数の孔をもつ連続した柔軟な膜を用いてシュラウドが形成されていてもよい。
【0050】
生きている組織に移植を企図する場合、フィラメント状部材はポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ナイロン、ポリプロピレンなどの生体適合性のある材料から形成される。また、フィラメント状部材がステンレス鋼などの金属で形成されていてもよいし、ニチノール、チタンおよびステンレス鋼の合金(chronochromeなど)、エルジロイおよびMP35Nなど、身体内で加熱されたときに所定形状に拡張する形状記憶金属形成されていてもよい。シュラウドを形成するフィラメント状部材としては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸およびHCAなどの生体吸収性材料を用いることも可能である。同様に、連続膜シュラウドの候補となる材料としては、発泡ポリテトラフルオロエチレン(expanded polytetrafluoroethylene)や、シリコーン膜、ポリウレタンおよびレーザ穴あけ加工したチューブ(後述)などが挙げられる。
【0051】
材料の選択はシュラウドの機能によって決定される。例えば、心耳などの空洞、または中隔欠損などの組織内の開口、または動脈瘤の基底部における血管などの管を恒久的にシールする目的で、治癒および生きている組織の内側への伸び(ingrowth)を促進するべくシュラウドを用いる場合には、積極的な治癒反応を促進するポリエステルが好ましい材料である。前述したように、フィラメント状部材は、血液凝固および細胞増殖を促進するトロンビン、コラーゲン、ヒルロンまたは成長因子で被覆されていてもよい。
【0052】
しかしながら、例えば管を通る流れを制御するための抑制デバイスとしてシュラウドを作用させる場合には、ポリテトラフルオロエチレンなどの材料が好ましい。異物が管に蓄積されてこれを閉塞してしまうことを許容しないからである。
【0053】
図10は付勢デバイス88(図7参照)に対するシュラウド188の実施形態を示す。シュラウド188は、脚部セグメント94〜106の周りでフィラメント状部材194を巻きつけることにより取り付けられる。また、脚部セグメントがフィラメント状部材で編み交ぜ(interbraid)または織り交ぜ(interweave)されたものとすることもできる。図11に最もよく示されているように、単一の中心層196が脚部セグメント94〜106により形成されるループ100をつないでいる。シュラウド188によって例示される単一の中心層の実施形態は、開口または管をシールすべき場合に好ましいものである。単一の中心層196によってマトリクスが提供され、これが生きている細胞の群生(intergrowth)を促進し、開口または管の両側が付勢デバイス88によって中心層196に対し並置されると、開口または管の両側が結合するからである。
【0054】
図12は他の実施形態のシュラウド190を示し、これは付勢デバイス90(図8参照)上に配置されるものである。シュラウド190は、織り、組みまたは編みによって脚部セグメント112、114、122、124、132および134を囲む管状スリーブ198に形成されたフィラメント状部材194により好ましく作成されている。図13に示す断面図がスリーブ198と脚部セグメントとの関係を最もよく示している。管状スリーブの形態のシュラウド190を用いるのは、血管内の弁不全を矯正するのに有効である。
付勢デバイスにシュラウドがないとすると、血流に露出する脚部セグメントが血栓形成の中心となり、これが剥れると卒中を引き起こし得る。シュラウド190によってマトリクスが提供され、そのマトリクス上に血液細胞が付着可能となり、やがては生きている細胞内で付勢デバイスを密閉するものとなる。そのように密閉することで、デバイスの脚部はもはや凝結反応を生じさせるものではなくなるので、血液凝固および卒中の恐れを最小化ないしは排除することができる。
【0055】
図14は実質的に形状適合した袋(form fitting bag)200をなすシュラウド192を示し、その内部に付勢デバイス92(図9も参照)が封入される。袋200は、付勢デバイス92を形成する脚部セグメントにより画成される閉ループ162に架かっている。袋200は、図15に最もよく示されるように、デバイス92の対向側部に離隔した関係で位置づけられる2つの中心層202および204を提供する。
【0056】
デバイスの使用の例示
本発明に係るデバイスの種々の使用例を以下に説明する。示される特定の実施形態やその適用に関する特定の使用は、何らの限定を宣明するものでもなく、示唆するものでもないことを理解されたい。
【0057】
実施例1
僧帽弁の修復
図16は弾性変形した形状のスリーブ198形態のシュラウド190内に収納される付勢デバイス90を示し、脚部セグメント112、122および132が脚部セグメント114、124および134の近くに位置することで、デバイス90がカテーテル166のルーメン164内で嵌合摺動可能となっている。図8の形状であるとすると、デバイス90は弾性的に付勢され、脚部セグメント112、122および132が脚部セグメント114、124および134と離隔した関係となる。カテーテル166から解放されるとデバイス90はこの離隔形状となるが、カテーテルが拘束力を作用させることで、脚部セグメントが弾性変形した近接形状に保持される。デバイスのこの弾性によって、カテーテルを介し脈管系を通じてデバイスを移送し、移植すべき部位に位置づけることが可能となり、外傷を生じる侵襲的な外科手術を伴うことがない。次に、本発明に係るデバイスは、公知の方法、例えばプッシュロッドを用いてカテーテルから解放され、離隔形状をとり、それが位置づけられた管の柔軟な側壁を付勢する。
【0058】
図1、図1Aおよび図17は逆流を生じさせる僧帽弁を修復するべく心臓10内に位置づけたデバイス90を示している。デバイス90はその脚部エレメント112、114、122、124、132および134を展張させた状態にあり、弁2の平面22と実質的に同一平面となしている。「弁の平面」が意味しているところは、並置された状態にある2つのリーフレット18および20を有する二尖僧帽弁の斜視図を示す図17に最もよく表されており、平面22はリーフレットに平行なものとして破線で示されている。図1Aに最もよく示されているように、アンカー基体126および128およびフック130が筋肉環(muscular annulus)の対向部分168および170(ここからリーフレット18および20が伸びている)と係合するよう、デバイス90が位置づけられている。デバイス90は、筋肉環部分168および170を弁平面22内で外方に付勢するよう、寸法づけられ、かつばね定数を有している。僧帽弁2は柔軟な側壁を有する管として作用するので、対向する環部分168および170を外方に付勢することで、図17に示すように、リーフレットは弁平面22に直交する方向に互いに引き寄せられる。リーフレット18および20が互いに近接することで、それらは左心房8からの背圧が加わるときに効果的にシールを行えるようになる。よって、血液は大動脈16(図1)を通って身体の残部に向かうように強制され、僧帽弁2の機能不全に起因した左心室6から肺への逆流が生じない。僧帽弁の修復のためのデバイス90の寸法としては、長さは約1〜2インチ、拡張直径は30〜40mmの範囲とすることができる。デバイスが僧帽弁を伸ばすのに効果的な付勢力を表すばね定数の範囲は2〜3lbs/inchである。ばね定数はデバイスを構成する材料の弾性率により決定され、同様に脚部の面積慣性モーメント(the area moment of inertia)もその断面形状および面積によって定まる。シュラウドスリーブ200によって、デバイス90が血栓形成の中心となることが阻止されるとともに、デバイス90を最終的に包み込むことになる血液細胞の食い込み(ingrowth)が許容されることに注意すべきである。
【0059】
実施例2
静脈弁の修復
図2および図2Aは静脈24内に移植される本発明に係る付勢デバイス90を示し、これは自制できない(incontinent)静脈弁26の修復に有効なものである。僧帽弁の修復と同様に、カテーテル166(図10参照)から出ると、デバイス90は静脈24内で脚部セグメントを弁26の平面22と同一平面に展張する。図2Aに示すように、リーフレット30および32の部位における静脈24の対向部分174および176にアンカー基体126および128が係合し、対向する静脈部分を外方に付勢することで、弁リーフレット30および32は弁26の平面22に直交する方向に互いに引き寄せられる。図2に示すように、リーフレット18および20が互いに近接するよう位置づけることで、筋肉34により静脈24内に矢印175で示すように背圧が作用するとき、リーフレット18および20はむしろ効果的にシールを行えるようになる。自制できない他方の弁が修復されることによって、血液は矢印177で示すように望ましい方向に静脈24内を流れることになる。
【0060】
実施例3
小嚢性動脈瘤の修復
図3および図3Aは小嚢性動脈瘤に位置づけられるデバイス90を示す。デバイス90はカテーテルから出て展張し、動脈瘤36の頸部46にアンカー基体126および128を位置づける。アンカー基体126および128は頸部46の対向部分178および180に係合し、これらを外方に付勢することで、頸部の対向部分182および184をデバイス90の平面に直交する方向に互いに引き寄せる。動脈瘤36の頸部46に対するデバイス90の付勢作用によって、図3に示すように頸部が締め付けられ、動脈瘤への血液の流入が減る。これによりドーム48の圧力が減少し、頸部46に停滞領域を提供して凝固を促進し、ついには動脈瘤をシールすることでその破裂を防止することができる。好ましくは、デバイス90は単一の中心層196をなす実施形態のシュラウド188を有する。中心層196はマトリクスを提供し、マトリクス内に頸部の対向部分182および184から細胞が成長してゆくことで、動脈瘤を恒久的にシールして循環系から分離することができる。
【0061】
シュラウドに関して好ましい材料としては、モノフィラメントおよびマルチフィラメントのポリエステルの糸が挙げられ、これは積極的な治癒効果を促進する。また、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレンおよび発泡ポリテトラフルオロエチレンなども挙げられる。また、チタン、ニチノール、ステンレス鋼、プラチナおよびエルジロイなどの金網を用いることも可能である。シリコーン膜およびポリウレタンで形成した不織膜を、特に穴あけ加工したチューブ(後述)形状としたものも、本発明に適用可能である。必要に応じ、トロンビン、コラーゲン、ヒルロン(hyluron)および他の成長因子でシュラウドを被覆し、内部への細胞の伸び(ingrowth)や血液凝固を促進することも可能であり、あるいは、タキソール、ラパマイシン、ラパミューンなどの抗増殖性物質の薬剤で被覆することで、内成長を阻止し、および組織の接着が禁止されるようにすることも可能である。
【0062】
実施例4
心耳の閉鎖
図1Bは肺動脈幹9に隣接して左心房6に位置する心耳5を示す。この心耳5を効果的に閉鎖するために、図18に示すように、例えば符号88で示す付勢デバイスを心耳5に挿入することができ、心耳を心房内に潰すことで、卒中につながる血液凝固が発生する原因と考えられる心耳を除去する。付勢デバイス88をカテーテルを介して挿入することで、この心臓欠陥を強制するための侵襲的技術の適用を最小限にすることができる。
【0063】
実施例5
卵円孔開存症および中隔欠損症の治療
卵円孔開存症(図1の符号3)や心房および心室中隔欠損(図1Cの符号13および17)など、血液の異常な流れを許容してしまうような心臓の筋肉組織内の開口に関連した欠陥は、その開口に本発明に係る付勢デバイスを挿入することで治療可能である。カテーテルを用いて付勢デバイスを挿入し、ここから解放すると、付勢デバイスが展張する。これは、脚部セグメントの弾性付勢力によって、または、加熱により所定形状に展張する形状記憶金属の特有の性質によって行われる。付勢デバイスは筋肉組織を伸ばし、対向部分を並置させて互いに接触させ、あるいは、組織が成長して開口を恒久的にシールできるようにするシュラウド層の対向側部に接触させる。
【0064】
実施例6
流体の流れの制御
血液以外の流体を導く食道、尿道およびその他の管にも障害が生じ得る。例えば、胃食道逆流の一因として、食道と胃との間の下部食道括約筋の安静状態(resting tone)の減退(decrease)がある。下部食道括約筋が胃酸の食道への流入を許し、これを損傷してしまうことで、通常「胸焼け」として知られている不快感を生じさせる。漏れを生じさせる括約筋は、その径内に本発明に係る付勢デバイスを位置づけてこれを伸ばすことで締め付けることができ、これにより安静時の開口サイズを減らして胃酸の逆流を防ぐことができる。
【0065】
尿道括約筋内に付勢デバイスを位置づけることで、膀胱失調(bladder incontinence)を治療することも可能である。デバイスの剛性を調整することで、制御された方法での尿の流れを許容し、望ましくない漏れを阻止することが可能となる。
【0066】
本発明に係るデバイスを受胎調節法に用いることもできる。女性に対しては、付勢デバイスをファローピウス管に移植してこれを閉鎖することで、子宮への卵の通過を阻止することができる。この移植は卵管結紮術(tubal ligation)より侵襲性が少なく、付勢デバイスがある条件下で除去可能であると考えられることから、元に戻すことも可能である。
【0067】
同様に、男性に対しては、付勢デバイスを輸精管内に位置づけることで、睾丸からの精子の通過を効果的に阻止することができる。
【0068】
上述し、図面に示された種々の実施形態に係る付勢デバイスは、効果的なものであればガイドワイヤを通じて供給可能である。図19および図20は供給のためにガイドワイヤ206に適合した実施形態の2例による付勢デバイス90を示す。図19に示すように、付勢デバイス90はラグ208を有する。ラグ208は付勢デバイスの中心線からオフセットして取り付けられてガイドワイヤ206に係合し、デバイス90がガイドワイヤ206上を摺動して正確かつ簡便に位置されるようにする。図20においては、デバイス90が開口210を有しており、この例では開口はデバイスの中心線に沿って位置づけられている。開口210はガイドワイヤ206を受容し、ガイドワイヤによって形成される経路に沿ってデバイスが正確に摺動できるようにする。
【0069】
本発明に係るデバイスを、柔軟な壁の管内または柔らかい組織にあいた開口内に、取り外し可能に位置づけるのに適したものとすることが可能である。図21および図22は、本発明に係る取り外し可能な実施形態のデバイス212を示す。デバイス212は分離可能な2つの要素を具え、これらは例えば上側部分214および下側部分216から形成されたものとすることができる。上側部分214はセグメント218を有し、セグメント218には下側部分216から延在する相互嵌合セグメント222を受容するためのボア220が設けられている。セグメント222は摩擦、または接着または相互ロックすなわちデテント手段によってボア220内に保持可能であり、これによって図21に示すように上側部分214および下側部分216が互いに保持される。しかし図22に示すように、所定の十分な力を作用させることで、上側部分214と下側部分216とを分離することができる。デバイス212の上側部分214および下側部分216の各々には、枝部(barb)224が好ましく設けられている。除去可能とした実施形態について、枝部224はデバイス212に関し互いに内向きとなっている。図23に示すように、かかる枝部の向きによって、上側部分214および下側部分216の双方が互いに結合し、両部分が同一方向に移動している間、管226その他の柔軟な組織内でのデバイス212の運動が阻止される。しかし図24に示すように、上側部分214および下側部分216を互いに分離させようとして矢印228で示す反対方向に移動すると、枝部224はもはや運動に抵抗する力を提供できなくなるが、それらは内向きとなっているので、柔らかい組織上を摺動し、上側部分214および下側部分216が互いに分離して当初移植が行われた管または組織から除去することができる。
【0070】
他の例として、本発明に係る付勢デバイスを薄肉のチューブで形成することも可能である。チューブは好ましくはニチノールやエルジロイなどの形状記憶金属で作成されるが、ステンレス鋼やチタンなど高弾性および高耐力をもつ他の金属で作成することも可能である。
【0071】
図25および図26は薄肉のチューブ232で形成した実施形態に係る付勢デバイス230を示す。図25に示すように、互いに対向するチューブ壁236にはスロット234が形成されている。スロットをレーザ切断により形成することもできるし、またソーまたはナイフブレードで形成することも可能である。チューブのまわりのスロット234から90度離れた部位には、さらにV形状の切り込みが対向して形成されている。デバイス230はチューブ232を外方に拡張することで準備され、これにより、図26に示すようにスロット234が開き、スロット間のチューブ壁236がセグメント240をなして、デバイスが移植される管または組織に係合し、これを付勢または拡張させる。チューブ232の拡張は、好ましくは加熱しながら主軸に対して行われ、これによって図26で示す拡張形状にデバイスが付勢される。チューブを形成している材料の可撓性および弾性により、デバイスを変形させて実質的にチューブ形状に戻すことが可能であり、これによってカテーテル内で摺動させることができ、カテーテルから解放されたときに図26に示す形状に拡張する。あるいは、デバイスが通常の形状として図25に示すチューブ形状を有し、移植後にバルーンにより外方に降伏拡張させるようにすることも可能である。V形状の切り込み238はセグメント240から外方に延在するフックを形成し、そのフックが柔らかい組織に係合することで、先に述べた実施形態と同様、デバイスを所定位置に固定することが可能となる。チューブは、チューブ壁236により画成されるボア244によって、正確な位置づけを行うためにガイドワイヤ206により簡便に案内可能である。
【0072】
図27および図28は他の実施形態のデバイス246を示し、これはチューブ248で形成されている。チューブ248は複数のスロット250を有し、これらのスロットは、好ましくはチューブ壁252の対向側部に非対称に形成される。すなわちスロットはチューブ壁252の周囲に等しく分布していない。スロットを非対称に分布させることで、チューブを平坦な形状に拡張させ、図29に最もよく示されているように、スロット領域に隣接する領域252bが引き離されたときに、チューブの対向するスロット側部252aがともに引かれる。チューブ248が拡張したときに細かく錯綜したパターンが形成されるよう、スロット250が構成され、相互接続され、および形状が定められていてもよい。そのパターンによって細胞の内側への伸び(ingrowth)を促進するマトリクスが形成されるようにしてもよく、あるいは、そのパターンが管または組織の開口を外方に付勢するための剛性および強度を提供する格子構造を備えていてもよい。
【0073】
図30Aおよび図30Bは、特に卵円孔開存症を治療するのに適した好ましい付勢デバイス300を示す。図30Aに示すように、デバイス300は複数の脚部セグメントを具えるフレーム305を含んでいる。第1のセットである傾いた脚部セグメント310および312は第1カラー部材314に弾性的に接続されている。第2のセットである脚部セグメント316および318は、脚部セグメント310および312に、外方に傾けて取り付けられる。脚部セグメント310および312は第3のセットである脚部セグメント320および322に取り付けられている。脚部セグメント320および322は脚部セグメント316および318の取り付けポイントから内方に傾き、第2カラー部材324に弾性的に接続されている。フレーム305を越えて延在する左心房アンカー326および右心房アンカー338が設けられ、卵円孔が画成する開口内にデバイスを固定する。好適実施形態では、図30Aに示すように、左心房アンカー326は、第1カラー部材の方向に脚部セグメント316および318と同じ広がりを持つよう設けられ、第1カラー部材314に近い方の端部にフック部分317が形成されている。右心房アンカー326は、第2カラー部材から離れる方向に脚部セグメント320および322の端部と同じ広がりを持つよう設けられている。左心房アンカー326および右心房アンカー328の双方はフレーム305を越えて延在している。図31Aおよび図31Bに示すように、左心房アンカーは好ましくはニチノール製ワイヤ(不図示)上のタンタル製コイル329で被覆され、これにより放射線容量(radiocapacity)が向上する。さらに、第1カラー部材314および第2カラー部材324がタンタル製マーカまたはタンタル製コーティングを好ましく含むようにすることで、放射線容量が向上する。
【0074】
他の実施形態では、図30Bに示すように、脚部セグメント310および312は、フック状端部から離れて位置する左心房アンカー326の部分に取り付けられ、さらに、例えば溶接によって、右心房アンカー328の外方延在の近傍で脚部セグメント320および322に取り付けられる。
【0075】
一実施形態では、付勢デバイスのフレーム305は、図30Cに示すように、上述と同様に作成され、構成されたシュラウド322で覆われている。シュラウドは治癒および生きている組織の内側への伸びを促進することで、空洞を恒久的にシールするものである。好ましい材料としては、積極的な治癒反応を促進するポリエステルが挙げられる。上述したように、フィラメント状部材は、血液凝固および細胞増殖を促進するトロンビン、コラーゲン、ヒルロンまたは成長因子で被覆されていてもよい。
【0076】
付勢デバイスは弾性変形可能であり、これによりデバイスをカテーテルのルーメンを通じて摺動させることができる。例えば、脚部セグメント316および318が互いに近づくよう付勢されると、フレーム305の幅が狭くなるので、第1カラー部材314および第2カラー部材324は反対の方向に押しやられる。付勢デバイス300がカテーテルから出ると、フレーム305は所定幅に拡張する。デバイス300の配置を容易にするために、第1カラー部材314および第2カラー部材324の中心を通してガイドワイヤが送給可能である。
【0077】
卵円孔開存症を治療するする際、例えば、デバイス300が挿入されるカテーテルチューブの末端は、右心房から左心房の方向に、卵円孔により画成される開口を通って伸ばされ、カテーテルの末端が左心房内に僅かに延在しているようにされる。例えばプッシュチューブを用いてデバイス300をカテーテルの末端から押し出し、左心房アンカー314のフック部分317が開口を周囲の左心房組織に係合し、かつ右心房アンカー324が開口に隣接する右心房組織に対して押圧されるようにする。デバイス300が開口から出るとフレーム305の幅が広がり、開口周囲の組織を拡張する。
【0078】
本発明に係る付勢デバイスは、柔軟な側壁を持つ管内の変形や組織内の開口を修復したり、管を通る流体の流れを制御したりするために広い用途をもつ物品である。そして本発明に係る付勢デバイスは、循環系やその他の身体内の系の障害を治療または修復するのに用いることも可能である。これらは最小限の侵襲的な外科手術を用いて行われるので、患者に不要な傷を負わせることがない。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】左心房、左心室およびそれらの間で血流を制御する僧帽弁を強調したヒト心臓の部分断面図である。
【図1A】図1の1A−1A線に沿って取った断面図であり、僧帽弁の面内に位置づけられる本発明に係る付勢デバイスを示している。
【図1B】図1の1B−1B線に沿って取った部分断面図であり、心耳を示している。
【図1C】ヒト心臓の部分断面図であり、左右心室および心房を示している。
【図2】循環系の静脈の部分断面図である。
【図2A】図2の2A−2A線に沿って取った断面図であり、静脈弁内に位置づけられる本発明に係る付勢デバイスを示している。
【図3】小嚢性動脈瘤のある動脈分岐部の断面図である。
【図3A】図3の3A−3A線に沿って取った断面図であり、小嚢性動脈瘤の頸部内に位置づけられる本発明に係る付勢デバイスを示している。
【図4】本発明に係る付勢デバイスの実施形態の平面図である。
【図4A】図4のデバイスの設計の詳細を示すために図4の破線円部4Aを拡大して示す平面図である。
【図5】本発明に係る付勢デバイスの実施形態の平面図である。
【図5A】図5のデバイスの設計の詳細を示すために図5の破線円部5Aを拡大して示す平面図である。
【図6】本発明に係る付勢デバイスの実施形態の平面図である。
【図7】本発明に係る付勢デバイスの実施形態の平面図である。
【図8】本発明に係る付勢デバイスの実施形態の平面図である。
【図9】本発明に係る付勢デバイスの実施形態の平面図である。
【図10】本発明に係る付勢デバイスの実施形態の平面図である。
【図11】図10の11−11線に沿って取った図10の実施形態の付勢デバイスの断面図である。
【図12】本発明に係る付勢デバイスの実施形態の平面図である。
【図13】図12の13−13線に沿って取った図12の実施形態の付勢デバイスの断面図である。
【図14】本発明に係る付勢デバイスの実施形態の平面図である。
【図15】図14の15−15線に沿って取った図14の実施形態の付勢デバイスの断面図である。
【図16】身体内の管に供給を行うためにカテーテル内にある本発明に係る付勢デバイスを示している一部破断斜視図である。
【図17】弁内に位置づけられる本発明に係る付勢デバイスの破断斜視図である。
【図18】心耳に位置づけられる本発明に係る付勢デバイスの部分破断斜視図である。
【図19】ガイドワイヤによって供給するのに適した付勢デバイスの斜視図である。
【図20】ガイドワイヤによって供給するのに適した付勢デバイスの他の実施形態を示す斜視図である。
【図21】本発明に係る付勢デバイスを取り外し可能にした実施形態を示す平面図である。
【図22】本発明に係る付勢デバイスを取り外し可能にした実施形態を示す平面図である。
【図23】柔軟な組織から取り外される図21のデバイスを示している。
【図24】柔軟な組織から取り外された図21のデバイスを示している。
【図25】チューブから用意されるようにした付勢デバイスの別の実施形態を示す斜視図である。
【図26】チューブから用意されるようにした付勢デバイスの別の実施形態を示す斜視図である。
【図27】チューブから用意されるようにした付勢デバイスの他の実施形態を示す斜視図である。
【図28】チューブから用意されるようにした付勢デバイスの他の実施形態を示す斜視図である。
【図29】図28の29−29線に沿って取った端面図である。
【図30A】付勢デバイスの他の実施形態のフレームを示す図である。
【図30B】付勢デバイスの他の実施形態のフレームを示す図である。
【図30C】付勢デバイスの他の実施形態のフレームを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟な側壁によって画成される身体の開口内に位置づけ可能な付勢デバイスであって、該デバイスはカテーテルを通じた挿入に適するよう折り畳まれた第1形状を有するとともに、前記カテーテルから解放されたときに自動的に第2形状に拡張可能であり、
前記拡張を通じて前記開口の対向側部上の前記側壁の対向部分にそれぞれ係合して拡張させるための少なくとも第1および第2の側壁係合部材と、
該第1および第2の側壁係合部材間に接続される拡張および収縮可能な少なくとも1つの結合部材であって、収縮した形状となることで、カテーテル内への挿入のために前記側壁係合部材が互いに近接するよう位置づけ、前記付勢デバイスの前記カテーテルからの解放に応じて拡張することで、前記側壁係合部材を離隔させて前記開口の対向側部上の前記側壁の対向部分と実質的同一平面に接触させ、前記対向側壁を拡張させる当該結合部材と
を具えた付勢デバイス。
【請求項2】
前記側壁係合部材には、前記側壁に係合して前記側壁に前記側壁係合部材を取り付けるためのアンカー機構が設けられている請求項1の付勢デバイス。
【請求項3】
前記アンカー機構は複数のフィラメント状部材を織り交ぜて形成したアンカー基体であり、前記複数のフィラメント状部材間に複数の間隙が形成されている請求項2の付勢デバイス。
【請求項4】
前記複数の間隙は前記アンカー基体上への生きている組織の内側への伸びを促進する寸法となっている請求項3の付勢デバイス。
【請求項5】
前記フィラメント状部材は、トロンビン、コラーゲン、ヒルロンおよび多数の成長因子の少なくとも1つで被覆されている請求項3の付勢デバイス。
【請求項6】
前記アンカー機構以外の前記デバイスの部分が抗増殖性薬品で被覆されている請求項2の付勢デバイス。
【請求項7】
前記抗増殖性薬品がタキソール、ラパマイシンおよびラパミューンの少なくとも1つである請求項6の付勢デバイス。
【請求項8】
前記フィラメント状部材がポリマーでなる請求項3の付勢デバイス。
【請求項9】
前記フィラメント状部材が金属でなる請求項3の付勢デバイス。
【請求項10】
前記ポリマーがポリエステル、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレンおよびナイロンの少なくとも1つである請求項8の付勢デバイス。
【請求項11】
前記金属が金である請求項9の付勢デバイス。
【請求項12】
前記前記アンカー機構は前記側壁係合部材の各々から外方に延在する少なくとも1つまたは複数のフックで形成されている請求項2の付勢デバイス。
【請求項13】
前記第1および第2側壁係合部材の各々は前記側壁と係合する細長い脚部セグメントを含み、前記少なくとも1つの結合部材が前記第1および第2側壁部材を実質的同一平面の関係に維持する請求項1の付勢デバイス。
【請求項14】
前記結合部材および前記第1および第2側壁係合部材の少なくとも一方の少なくとも一部をシュラウドが囲んでいる請求項1の付勢デバイス。
【請求項15】
前記シュラウドは前記デバイスが封入されるよう形状適合した袋をなしている請求項1の付勢デバイス。
【請求項16】
前記シュラウドがポリマーで形成されている請求項14の付勢デバイス。
【請求項17】
前記シュラウドが金属で形成されている請求項14の付勢デバイス。
【請求項18】
前記ポリマーがポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびシリコーンの少なくとも1つである請求項16の付勢デバイス。
【請求項19】
前記金属が形状記憶合金およびステンレス鋼合金の少なくとも1つである請求項17の付勢デバイス。
【請求項20】
前記シュラウドがトロンビン、コラーゲン、ヒルロンおよび多数の成長因子の少なくとも1つで被覆されている請求項14の付勢デバイス。
【請求項21】
前記第1および第2側壁係合部材が同一平面上にある請求項1の付勢デバイス。
【請求項22】
前記結合部材が応力緩和ループである請求項1の付勢デバイス。
【請求項23】
前記応力緩和ループが所定の曲率半径を有している請求項22の付勢デバイス。
【請求項24】
前記フィラメント状部材が放射線不透過性材料でなる請求項3の付勢デバイス。
【請求項25】
前記放射線不透過性材料は金、バリウムおよびチタンからなる群から選択されている請求項24の付勢デバイス。
【請求項26】
前記フィラメント状部材に放射線不透過コーティングが施されている請求項3の付勢デバイス。
【請求項27】
前記アンカー基体の各々の前記フィラメント状部材がともに組み込まれて、前記第1および第2側壁係合部材と同軸に位置づけられるチューブを形成している請求項3の付勢デバイス。
【請求項28】
柔軟な側壁によって画成される身体の開口内に位置づけ可能な付勢デバイスであって、該デバイスはカテーテルを通じた挿入に適するよう折り畳まれた第1形状を有するとともに、前記カテーテルから解放されたときに自動的に第2形状に拡張可能であり、
第1カラーに取り付けられた少なくとも1つの脚部セグメントと、
第2カラーに取り付けられた少なくとも1つの脚部セグメントと、
第1アンカー部材と、
第2アンカー部材と
を具えた付勢デバイス。
【請求項29】
前記第1および第2カラーを通してガイドワイヤが挿入可能である請求項28の付勢デバイス。
【請求項30】
前記第1および第2カラーの少なくとも一方が放射線不透過性材料でなる請求項28の付勢デバイス。
【請求項31】
前記放射線不透過性材料は金、バリウムおよびチタンからなる群から選択されている請求項30の付勢デバイス。
【請求項32】
前記第1アンカー部材および前記第2アンカー部材の少なくとも一方は複数のフィラメント状部材を織り交ぜて形成したアンカー基体であり、複数の間隙が前駆フィラメント状部材間に形成されている請求項28の付勢デバイス。
【請求項33】
前記フィラメント状部材がトロンビン、コラーゲン、ヒルロンおよび多数の成長因子の少なくとも1つで被覆されている請求項32の付勢デバイス。
【請求項34】
前記第1および第2アンカー機構以外の前記デバイスの部分が抗増殖性薬品で被覆されている請求項28の付勢デバイス。
【請求項35】
前記抗増殖性薬品がタキソール、ラパマイシンおよびラパミューンの少なくとも1つである請求項34の付勢デバイス。
【請求項36】
前記フィラメント状部材がポリマーでなる請求項32の付勢デバイス。
【請求項37】
前記フィラメント状部材が金属でなる請求項32の付勢デバイス。
【請求項38】
前記ポリマーがポリエステル、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレンおよびナイロンの少なくとも1つである請求項36の付勢デバイス。
【請求項39】
前記金属が金である請求項37の付勢デバイス。
【請求項40】
前記第1アンカー部材および第2アンカー部材の少なくとも一方の少なくとも一部が組織係合フックを具えている請求項28の付勢デバイス。
【請求項41】
前記第1アンカー部材が左心房に係合するものである請求項28の付勢デバイス。
【請求項42】
前記第2アンカー部材が前記柔軟な側壁に係合するものである請求項28の付勢デバイス。
【請求項43】
シュラウドをさらに具えた請求項28の付勢デバイス。
【請求項44】
前記シュラウドが前記脚部セグメントの少なくとも1つを囲んでいる請求項28の付勢デバイス。
【請求項45】
前記シュラウドがポリマーで形成されている請求項43の付勢デバイス。
【請求項46】
前記シュラウドが金属で形成されている請求項43の付勢デバイス。
【請求項47】
前記ポリマーがポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびシリコーンの少なくとも1つである請求項45の付勢デバイス。
【請求項48】
前記金属が形状記憶合金およびステンレス鋼合金の少なくとも1つである請求項46の付勢デバイス。
【請求項49】
前記シュラウドがトロンビン、コラーゲン、ヒルロンおよび多数の成長因子の少なくとも1つで被覆されている請求項43の付勢デバイス。
【請求項50】
少なくとも前記第1アンカーの少なくとも一部がタンタル製のコイルで覆われている請求項28の付勢デバイス。
【請求項51】
少なくとも第1および第2の側壁係合部材と、該第1および第2の側壁係合部材間に接続される拡張および収縮可能な少なくとも1つの結合部材とを具えた付勢デバイスを、柔軟な側壁によって画成される身体の開口内に位置づける工程と、
第1対向側部を前記デバイスの平面内で外方に互いに広げる一方、第2対向側部を前記デバイスの平面に実質的に垂直な方向に引くことで並置または接触させる工程と
を具えた組織拡張方法。
【請求項52】
前記付勢デバイスを前記開口内に固定する工程をさらに具えた請求項51の方法。
【請求項53】
前記柔軟な側壁は弁の側壁である請求項51の方法。
【請求項54】
前記弁は僧帽弁である請求項53の方法。
【請求項55】
前記弁は静脈弁である請求項53の方法。
【請求項56】
前記柔軟な側壁は動脈瘤の側壁である請求項51の方法。
【請求項57】
前記動脈瘤は小嚢性動脈瘤である請求項56の方法。
【請求項58】
前記柔軟な側壁は心耳の側壁である請求項51の方法。
【請求項59】
前記柔軟な側壁は卵円孔の側壁である請求項51の方法。
【請求項60】
前記柔軟な側壁は食道の側壁である請求項51の方法。
【請求項61】
前記柔軟な側壁は尿道の側壁である請求項51の方法。
【請求項62】
前記柔軟な側壁は胃の側壁である請求項51の方法。
【請求項63】
前記柔軟な側壁はファローピウス管の側壁である請求項51の方法。
【請求項64】
前記柔軟な側壁は輸精管の側壁である請求項51の方法。
【請求項65】
前記柔軟な側壁は筋肉組織、上皮組織、神経組織および結合組織の少なくとも1つである請求項51の方法。
【請求項66】
前記デバイスはカテーテルを用いて前記開口内に位置決めされる請求項51の方法。
【請求項67】
柔軟な側壁によって画成される身体の開口を閉鎖する方法であって、
身体の開口の対向側部にある前記側壁の第1部分および第2部分を接触させる工程と、
前記側壁の前記第1対向部分および第2対向部分を互いに外方に同時に拡張する工程と、
前記第1および第2側壁部分の前記拡張を継続して前記側壁の前記第1部分および第2部分間にある対向領域を引き寄せることで、前記身体の開口を閉鎖する工程と
を具えた方法。
【請求項68】
前記側壁の前記第1および第2対向部分間に広がる平面内で前記身体の開口を横切ってフィラメント状部材のウェブを配置する工程と、
前記側壁の前記第1および第2対向部分間にある前記側壁の前記対向領域を互いに引き寄せて前記フィラメント状部材のウェブに接触させる工程と
を含む請求項67の方法。
【請求項69】
前記柔軟な側壁は弁の側壁である請求項67の方法。
【請求項70】
前記弁は僧帽弁である請求項69の方法。
【請求項71】
前記弁は静脈弁である請求項69の方法。
【請求項72】
前記柔軟な側壁は動脈瘤の側壁である請求項67の方法。
【請求項73】
前記動脈瘤は小嚢性動脈瘤である請求項67の方法。
【請求項74】
前記柔軟な側壁は心耳の側壁である請求項67の方法。
【請求項75】
前記柔軟な側壁は卵円孔の側壁である請求項67の方法。
【請求項76】
前記柔軟な側壁は食道の側壁である請求項67の方法。
【請求項77】
前記柔軟な側壁は尿道の側壁である請求項67の方法。
【請求項78】
前記柔軟な側壁は胃の側壁である請求項67の方法。
【請求項79】
前記柔軟な側壁はファローピウス管の側壁である請求項67の方法。
【請求項80】
前記柔軟な側壁は輸精管の側壁である請求項67の方法。
【請求項81】
前記柔軟な側壁は筋肉組織、上皮組織、神経組織および結合組織の少なくとも1つである請求項67の方法。
【請求項82】
前記デバイスはカテーテルを用いて前記開口内に位置決めされる請求項51の方法。
【請求項83】
柔軟な側壁によって画成される身体の開口内に位置し、前記側壁の第1および第2対向領域からそれぞれ延在して間に開口平面を画成する一対の対向弁リーフレットにより形成される弁を閉鎖する方法であって、
前記一対の対向弁リーフレット間の前記開口平面にフィラメント状部材のウェブを配置する工程と、
前記側壁の対向側部にそれぞれある前記側壁の2つの対向部分を、前記開口平面と実質的に同一の広がりを持つ平面内で接触させる工程と、
前記側壁の前記2つの対向部分を互いに外方に同時に拡張する工程と、
前記拡張を継続して前記側壁の前記第1および第2対向領域を前記開口平面に向けて内向きに引き、前記対抗弁リーフレットがともに前記フィラメント状ウェブに向かって移動するようにする工程と
を具えた方法。
【請求項84】
前記弁は一方向弁である請求項83の方法。
【請求項85】
前記弁は僧帽弁である請求項83の方法。
【請求項86】
前記弁は静脈弁である請求項83の方法。

【図1】
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【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【図4A】
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【図5】
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【図5A】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30A】
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【図30B】
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【図30C】
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【公表番号】特表2007−501093(P2007−501093A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533224(P2006−533224)
【出願日】平成16年5月19日(2004.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/015734
【国際公開番号】WO2004/103209
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(505432706)シーキャント メディカル エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】