波長選択性偏光変換素子、照明光学系、光学ユニット及び画像投射装置
【課題】光の利用効率が低下を抑えつつ、コンパクトな構成で、無偏光光を偏光方向及び波長領域が異なる複数の光成分を生成する波長選択性偏光変換素子を実現する。
【解決手段】波長選択性偏光変換素子106は、それぞれ入射した光を互いに異なる偏光方向を有する2つの偏光成分に分離する複数の偏光分離面13と、それぞれ各偏光分離面からの2つの偏光成分のうち一方の偏光成分の偏光方向を他方の偏光成分の偏光方向に一致させる複数の位相板3と、複数の偏光分離面よりも光入射側又は複数の偏光分離面と複数の位相板との間に配置され、それぞれ入射した光を互いに異なる2つの波長領域成分に分離するダイクロイック面23とを有する。
【解決手段】波長選択性偏光変換素子106は、それぞれ入射した光を互いに異なる偏光方向を有する2つの偏光成分に分離する複数の偏光分離面13と、それぞれ各偏光分離面からの2つの偏光成分のうち一方の偏光成分の偏光方向を他方の偏光成分の偏光方向に一致させる複数の位相板3と、複数の偏光分離面よりも光入射側又は複数の偏光分離面と複数の位相板との間に配置され、それぞれ入射した光を互いに異なる2つの波長領域成分に分離するダイクロイック面23とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射した光から偏光方向及び波長領域が異なる2つの光成分を生成する波長選択性偏光変換素子及びこれを備えた照明光学系、光学ユニット及び画像投射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる3板式のプロジェクタ(画像投射装置)では、光源からの白色光を3つの色光成分(例えば、赤光成分、緑光成分及び青光成分)に色分解して3つの液晶パネル等の画像形成素子に導く。
【0003】
3板式プロジェクタにおいて、色分解光学系での色分解を可能とするために、光源からの白色無偏光光を偏光方向が互いに異なる2つの波長成分(例えば、緑のP偏光と、赤及び青のS偏光)を生成する照明光学系を有するものが、特許文献1に開示されている。この照明光学系では、光源からの白色無偏光を、偏光プリズムの偏光分離面で赤及び緑のS偏光と青のP偏光とに分離し、さらに1/2波長板でP偏光のS偏光に変換する。そして、赤、緑及び青のS偏光は偏光変換ダイクロイックミラーに入射し、ここで緑のS偏光のみがP偏光に変換されて、緑のP偏光と赤及び青のS偏光が色分解光学系に向かう。
【0004】
偏光変換ダイクロイックミラーは、光入射側から順に、ダイクロイック面と1/4波長板とミラー面とを有する。ダイクロイック面は、緑のS偏光を透過させるとともに赤及び青のS偏光を反射する。1/4波長板は、ダイクロイック面を透過した緑のS偏光がミラー面での反射の前後でこれを2回通過することで、該緑のS偏光をP偏光に変換する。これにより、偏光変換ダイクロイックミラーから、緑のP偏光と赤及び青のS偏光が射出する。
【特許文献1】特開2000−9933号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1にて開示された照明光学系では、偏光変換ダイクロイックミラーに入射する赤光成分、緑光成分及び青光成分を、予め偏光プリズムと1/2波長板によってすべてS偏光に揃えておく必要がある。このように偏光プリズムと1/2波長板を介して偏光変換ダイクロイックミラーに導くことにより、光源からの光の利用効率が低下する。また、光源からの光が偏光プリズムと偏光変換ダイクロイックミラーで反射する構成であるため、照明光学系の設計自由度が制限されるとともに大型化し易い。
【0006】
本発明は、光の利用効率が低下を抑えつつ、コンパクトな構成で、無偏光光を偏光方向及び波長領域が異なる複数の光成分を生成できるようにした波長選択性偏光変換素子及びこれを備えた照明光学系、光学ユニット及び画像投射装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としての波長選択性偏光変換素子は、それぞれ入射した光を互いに異なる偏光方向を有する2つの偏光成分に分離する複数の偏光分離面と、それぞれ各偏光分離面からの2つの偏光成分のうち一方の偏光成分の偏光方向を他方の偏光成分の偏光方向に一致させる複数の位相板と、複数の偏光分離面よりも光入射側又は複数の偏光分離面と複数の位相板との間に配置され、それぞれ入射した光を互いに異なる2つの波長領域成分に分離するダイクロイック面とを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の他の側面としての波長選択性偏光変換素子は、第1の方向に沿って配置された複数の偏光分離面と、第1の方向に沿って配置された複数のダイクロイック面と、第1の方向に沿って配置された複数の位相板とを有し、複数の偏光分離面と複数のダイクロイック面とによって、白色の無偏光状態の光束を、S偏光の第1色光とS偏光の第2色光とP偏光の第3色光とを束ねた複数の第1光束と、P偏光の第1色光とP偏光の第2色光とS偏光の第3色光とを束ねた複数の第2光束とに分割する。そして、複数の位相板によって、第1光束及び第2光束のうち一方の光束の偏光方向を他方の偏光方向に一致させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の他の側面としての波長選択性偏光変換素子は、光入射側から順に、第1の方向に沿って配置された複数の第1光学面と、第1の方向に沿って配置された複数の第2光学面と、第1の方向に沿って配置された複数の1/2位相板とを有する。第1光学面及び第2光学面のうち一方が偏光分離面、他方がダイクロイック面である。そして、複数の1/2位相板が、第1の方向に沿って配置された複数の第2光学面のうち1つおきの第2光学面に対応して配置されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の側面としての照明光学系は、光源からの光を複数の光束に分割するレンズアレイと、該レンズアレイからの複数の光束が入射する上記波長選択性偏光変換素子と、該波長選択性偏光変換素子からの複数の光束を被照明面上にて重ね合わせるコンデンサーレンズとを有することを特徴とする。
【0011】
また、上記照明光学系と、該照明光学系からの前記複数の光束に含まれる2つ光成分を互いに波長が異なる3つの光成分に分離して3つの画像形成素子に導き、該3つの画像形成素子からの前記3つの光成分を合成する色分解合成光学系と、該色分解合成光学系からの合成光を投射する投射光学系とを有することを特徴とする光学ユニットも本発明の他の側面を構成する。
【0012】
さらに、上記光学ユニットを有する画像投射装置及び画像投射装置と画像供給装置とを有する画像表示システムも本発明の他の側面を構成する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コンパクトな構成でありながらも、光を効率良く利用でき、無偏光光から互いに偏光方向が異なる2つの波長領域成分を生成できる波長選択性偏光変換素子を実現できる。このため、この波長選択性偏光変換素子を用いた照明光学系、光学ユニット及び画像投射装置によって、光源からの光を効率良く利用した明るい画像を投射することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0015】
まず、図18には、実施例1の波長選択性偏光変換素子(以下、ダイクロイック偏光変換アレイ)を用いるプロジェクタ(画像投射装置)の光学ユニットの構成を示している。なお、以下の説明において、Rは赤(赤色光)、Gは緑(緑色光)、Bは青(青色光)を意味する。赤色光、緑色光、青色光それぞれは、第1色光、第2色光、第3色光と表現してもよい。
【0016】
101は、白色(ほぼ白色)の無偏光状態の光束を出射する超高圧水銀放電管(白色の無偏光状態の光束を出射する光源であれば他の光源であってもよい)等の光源、102は光源101からの光束を平行光束化するリフレクタである。光源101及びリフレクタ102は、光源ランプとして一体で光学ユニットに対して交換可能であり、それ自体は光学ユニットを構成しない。
【0017】
103は第1のレンズアレイ、104は第2のレンズアレイ、106は実施例のダイクロイック偏光変換アレイである。107はコンデンサーレンズである。第1のレンズアレイ103〜コンデンサーレンズ107により照明光学系が構成される。
【0018】
117はダイクロイックミラーである。108はRB用偏光ビームスプリッタ(以下、RB用PBSという)、109はG用偏光ビームスプリッタ(以下、G用PBSという)である。110,111,112はそれぞれ、G,R,B用の反射型画像形成素子であり、反射型液晶表示素子により構成されている。なお、本実施例では、液晶表示素子を画像形成素子として用いる場合について説明するが、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)を画像形成素子として用いてもよい。
【0019】
画像形成素子110〜112は、駆動回路150に接続されている。駆動回路150には、パーソナルコンピュータ、DVDプレーヤ、テレビチューナ等の画像供給装置160が接続されている。画像供給装置160からの画像信号が入力された駆動回路150は、該画像信号に応じて各画像形成素子を駆動し、各色用の原画を形成させる。画像供給装置160とプロジェクタとにより画像表示システムが構成される。
【0020】
113,114,115はそれぞれ、G,R,B用の1/2位相板である。116は色合成プリズムである。118投射レンズである。
【0021】
光源101からリフレクタ102を介して照明光学系に入射した白色無偏光は、第1のフライアイレンズ103によって複数の光束に分割される。該複数の光束は、第2のフライアイレンズ104を介してダイクロイック偏光変換アレイ106に入射する。
【0022】
ダイクロイック偏光変換アレイ106は、第1のレンズアレイ103で集光される光束の集光位置又はその近傍に配置されている。
【0023】
ダイクロイック偏光変換アレイ106は、本実施例では、入射した白色無偏光光から、RのP偏光(Rp)とBGのS偏光(BGs)とからなる偏光方向が異なる2つの波長領域成分(2つの光成分)を生成して射出する。ダイクロイック偏光変換アレイ106の詳しい構成及び光学作用については後述する。
【0024】
ダイクロイック偏光変換アレイ106から射出した複数の光束は、コンデンサーレンズ107を介してダイクロイックミラー117に向かう。コンデンサーレンズ107は、該複数の光束を、被照明面としての3つの画像形成素子110〜112上にて重ね合わせる役割を有する。
【0025】
ダイクロイックミラー117は、コンデンサーレンズ107からの光のうちG光(Gs)を透過して、R光(Rp)及びB光(Bs)を反射することで、これらG光とR光及びB光を分離する。
【0026】
ただし、ダイクロイック偏光変換アレイ106のうち後述するダイクロイック膜(ダイクロイック面)と偏光分離膜(偏光分離面)とは、実際には、図18のダイクロイックミラー117の面に対して光軸AXLに対して90°ねじれた関係を有する。これによりダイクロイックミラーに対しては各色光の偏光状態が入れ替わる。つまり、ダイクロイックミラー117に入射した光は、GのP偏光(Gp)と、RのS偏光(Rs)及びBのP偏光(Bp)とに分離される。G光は、G用PBS109を透過し、1/2位相板113を通過してG用画像形成素子110に入射する。G用画像形成素子110にて原画に応じて変調及び反射されたG光は、1/2位相板113を再度通過してS偏光としてG用PBS109に入射し、該G用PBS109で反射して色合成プリズム116に導かれる。
【0027】
また、ダイクロイックミラー117を透過したR光は、RB用PBS108で反射し、1/2位相板114を通過してR用画像形成素子111に入射する。R用画像形成素子111にて原画に応じて変調及び反射されたR光は、1/2位相板114を再度通過してP偏光としてRB用PBS108に入射し、該RB用PBS108を透過して色合成プリズム116に入射する。
【0028】
ダイクロイックミラー117を透過したB光は、RB用PBS108を透過し、1/2位相板115を通過してB用画像形成素子112に入射する。B用画像形成素子112にて原画に応じて変調及び反射されたB光は、1/2位相板115を再度通過してS偏光としてRB用PBS108に入射し、該RB用PBS108で反射して色合成プリズム116に導かれる。
【0029】
色合成プリズム116は、入射したG光を反射し、R光及びB光を透過することでこれらを合成し、投射レンズ(投射光学系)118に向けて射出する。投射レンズ118は、該合成光を不図示のスクリーン等の被投射面に投射する。なお、ダイクロイックミラー117から色合成プリズム116までの光学素子によって色分解合成光学系が構成される、
このように、ダイクロイック偏光変換アレイ106と、ダイクロイックミラー117と、RB用PBS108とによって、光源101からの白色無偏光光(白色の無偏光状態の光束)を波長領域及び偏光方向が異なる3つの光成分に分離することができる。
【0030】
図1には、上記光学ユニットにて用いられているダイクロイック偏光変換アレイ106の構成を示している。
【0031】
図中の1は偏光分離アレイ部(第1の素子部)であり、2はダイクロイックアレイ部(第2の素子部)である。3はダイクロイックアレイ部2の射出面側に設けられた1/2位相板であり、4は偏光分離アレイ部1の入射面側に設けられた遮光マスクである。なお、図には、偏光分離アレイ部1とダイクロイックアレイ部2とが分離された状態で示されているが、実際にはこれらは接着等によって一体化されて1つの素子として取り扱われる。本実施例のダイクロイック偏光変換アレイは、光入射側から順に、偏光分離膜(偏光分離面)13、ダイクロイック膜(ダイクロイック面)23及び1/2位相板(1/2位相差板)3が配置されたダイクロイック偏光変換アレイである。
【0032】
ここで、偏光分離膜(偏光分離面)13、ダイクロイック膜(ダイクロイック面)23及び1/2位相板(1/2位相差板)3は、光入射方向(図中の左側から右側)に直交する方向(第1の方向、図中の上下方向)に沿って複数個ずつ配置されている。また、偏光分離膜(偏光分離面)13、ダイクロイック膜(ダイクロイック面)23それぞれは、光入射方向に対しても、光入射方向に直交する方向(第1の方向)に対しても傾いて(45度傾いて)配置されている。1/2位相板(1/2位相差板)は、光入射方向と直交するように(光入射方向と直交する方向に対して平行に)配置されている。
【0033】
また、偏光分離膜(偏光分離面)、ダイクロイック膜(ダイクロイック面)は、膜構造に限らず微細な周期構造体によって構成されていても構わないし、勿論その他の構成であっても構わない。また、1/2位相板(位相差板)は、板状の素子では無く、膜でも(単層膜でも多層膜でも)構わないし、前述と同様に微細な周期構造体によって構成されていても構わない。
【0034】
偏光分離アレイ部1は、入射面11と該入射面11に平行な射出面12とを有する。入射面11と射出面12との間には、それぞれ入射面11に対して45°の角度をなす複数の偏光分離膜13と複数の反射膜14が光入射方向(図の左側から右側)に対して直交する方向(第1の方向)に交互に、かつ互いに平行に設けられている。入射面11のうち複数の偏光分離膜13に入射する光が通る複数のスリット状の開口領域C以外の各領域には、遮光マスク4が貼り付けられている。ここで、遮光マスク4は、前述の1/2位相板と同様に、光入射方向に直交する方向(第1の方向、図中の上下方向)に沿って複数個配置されている。更に、これらの遮光マスクそれぞれは、光入射方向に直交する方向(第1の方向)に対して平行に配置されている。
【0035】
ダイクロイックアレイ部2は、入射面21と該入射面21に平行な射出面22とを有する。入射面21と射出面22との間には、入射面21に対して45°の角度をなす複数のダイクロイック膜23が、光入射方向に対して直交する方向に複数設けられている。射出面22には、複数のダイクロイック膜23を透過した光が射出する複数のスリット状の開口領域Dと、複数のダイクロイック膜23で反射した光が射出する複数のスリット状の開口領域Eとがあり、各開口領域Eには1/2位相板3が貼り付けられている。この構成により、複数のダイクロイック膜23は、複数の偏光分離膜13と複数の位相板3との間に配置される。
【0036】
偏光分離アレイ部1における偏光分離膜13と反射膜14間のピッチbと、ダイクロイックアレイ部2におけるダイクロイック膜23間のピッチaは互いに等しい。そして、偏光分離アレイ部1の射出面12のうち偏光分離膜13を透過した光が射出するスリット状の開口領域Bと、ダイクロイックアレイ部2の入射面21におけるこの光が入射するスリット状の開口領域Aとは、互いに対向するように近接している。また、偏光分離アレイ部1の射出面12のうち偏光分離膜13で反射した光が射出するスリット状の開口領域Fと、ダイクロイックアレイ部2の入射面21におけるこの光が入射するスリット状の開口領域Hも、互いに対向するように近接している。
【0037】
偏光分離アレイ部1の偏光分離膜13は、入射した光を互いに異なる偏光方向を有する2つの偏光成分に分離する機能を有する。具体的には、偏光分離膜13は、入射した光のうちP偏光を透過して、S偏光を反射する特性を有する。このため、反射膜14は、S偏光を反射することになる。
【0038】
また、ダイクロイックアレイ部2のダイクロイック膜23は、入射した光を互いに異なる2つの波長領域成分に分離する。具体的には、ダイクロイック膜23は、図5に示すように、入射した光のうちR光を透過し、BとGの光を反射する特性を有する。
【0039】
1/2位相板3は、各偏光分離膜13からの2つの偏光成分のうち一方の偏光成分の偏光方向を他方の偏光成分の偏光方向に一致させる。本実施例では、1/2位相板3は、スリット開口領域Eの長手方向に対して45°の方向に進相軸を傾けて設けられている。これにより、1/2位相板3は、P偏光として入射した光の偏光方向を90度回転させてS偏光として、S偏光として入射した光の偏光方向を90度回転させてP偏光として射出する。
【0040】
次に、図2〜図4を用いてダイクロイック偏光変換アレイ106の光学作用について説明する。
【0041】
図2において、Wnは白色無偏光光を示す。白色無偏光光Wnは、まず偏光分離アレイ部1の偏光分離膜13でP偏光の白色光WpとS偏光の白色光Wsとに分離される。偏光分離膜13を透過したP偏光の白色光Wpは、偏光分離アレイ部1の射出面12の開口領域Bから射出する。一方、偏光分離膜13で反射したS偏光の白色光Wsは反射膜14で反射して、P偏光の白色光Wpと同方向に向かい、該P偏光の白色光Wpが射出した開口領域Fの隣の開口領域Fから射出する。
【0042】
図3において、P偏光の白色光Wpは、ダイクロイックアレイ部2にその入射面21における開口領域Aから入射し、ダイクロイック膜23でP偏光の赤光RpとP偏光の青緑光BGpとに分離される。ダイクロイック膜23を透過したP偏光の赤光Rpは、ダイクロイックアレイ部2の射出面22における開口領域Dから射出する。一方、ダイクロイック膜23で反射したP偏光の青緑光BGpは、その隣のダイクロイック膜23で反射してP偏光の赤光Rpと同方向に向かう。そして、ダイクロイックアレイ部2の射出面22におけるP偏光の赤光Rpが射出した開口領域Dの隣の開口領域Eから射出し、1/2位相板3を透過することでS偏光の青緑光BGsとなる。
【0043】
また、図4に示すように、S偏光の白色光Wsは、P偏光の白色光Wpとは異なる開口領域Hからダイクロイックアレイ部2に入射する。そして、ダイクロイック膜23でS偏光の赤光RsとS偏光の青緑光BGsとに分離される。ダイクロイック膜23を透過したS偏光の赤光Rsは、ダイクロイックアレイ部の射出面22の開口領域Eから射出し、1/2位相板3を透過することでP偏光の赤光Rpとなる。ダイクロイック膜23で反射したS偏光の青緑光BGsは、その隣のダイクロイック膜23で反射してS偏光の赤光Rsと同方向に向かい、それが射出する開口領域Eの隣の開口領域Dから射出する。
【0044】
以上の図2〜4で説明したように、S偏光の青色光(第1色光)とS偏光の緑色光(第2色光)とP偏光の赤色光(第3色光)とを1つの光束(第1光束)として開口領域Dに入射させる。その結果、それぞれの色光は、開口領域Dに入射する前の偏光状態を保ったまま(第1光束として合成された際の偏光状態を保ったまま)で、この波長選択性偏光変換素子から出射する。
【0045】
次に、1/2位相板(位相差板、波長板)が配置された開口領域Eには、P偏光の青色光(第1色光)とP偏光の緑色光(第2色光)とS偏光の赤色光(第3色光)とが一つの光束(第2光束)として入射する。その結果、これらの色光(第2光束)は1/2位相板の作用によって偏光方向が90度回転させられて、S偏光の青色光(第1色光)とS偏光の緑色光(第2色光)とP偏光の赤色光(第3色光)に変換されて、波長選択性偏光変換素子から出射する。すなわち、開口領域D及びEに入射する直前の段階で、開口領域Dに入射する光束(第1光束)と、開口領域Eに入射する光束(第2光束)とは、それぞれ互いに偏光方向が異なる(90度異なる、直交する)3つの色光を合成した光束に変換されている。ここで、開口領域D或いはEに入射する2つの光束(第1光束、第2光束)のうち一方に対して(1/2位相板の作用によって)90度の位相差を与えることによって、その2つの光束の偏光方向を色光毎に一致させている。
【0046】
以上のようにして、白色無偏光光WnからP偏光の赤光RpとS偏光の青緑光BGsとが生成される。そして、本実施例のダイクロイック偏光変換アレイ106によって、光源101からの光を効率良く利用することができる。
【0047】
この実施例1においては、青色光(第1色光)及び緑色光(第2色光)をS偏光に変換し、赤色光(第3色光)をP偏光に変換したがその限りでは無い。S偏光やP偏光を入れ換えても構わないし、また青色光のみをS偏光とし、緑色光及び赤色光の2つの色光をP偏光としても構わない。また、ここで言うS偏光、P偏光とは、偏光変換素子が持つ偏光分離面に対するS偏光、P偏光のことである。
【0048】
なお、近年ではフィルム素子により同様な作用を有する素子が考案されているが、本実施例のダイクロイック偏光変換アレイ106は、ガラスをベース部材として構成することができるので、高輝度のプロジェクタにおいて高い熱的耐久性を発揮する。
【0049】
また、1/2位相板3としては、一般にはフィルムを延伸したものが用いられるが、熱的耐久性を高めるために、いわゆるサブ波長構造を有する格子で構成してもよい。
【0050】
この実施例1においては、光入射側から順に、第1の方向(照明光学系の光軸を横切る方向でもよい)に沿って配置された複数の遮光マスク(遮光部材)、複数の偏光分離面(第1光学面)、複数のダイクロイック面(第2光学面)、1/2位相板を配置している。
【0051】
ここで、光入射側に配置されている複数の偏光分離面(第1光学面)は、複数の反射面と交互に配置されている。そして、光出射側に配置されているダイクロイック面(第2光学面)は、反射面を挟まずに連続してダイクロイック面(第2光学面)のみが配置されている。そして、遮光マスク(遮光部材)と1/2位相板は、前述の複数の反射面に対応する位置、すなわち偏光分離面(第1光学面が存在しない位置)に対応する位置に配置されている。
【0052】
言い換えると、遮光マスク(遮光部材)と1/2位相板は、第1の方向に沿って配置された複数のダイクロイック面(第2光学面)のうち1つおきのダイクロイック面に対応する位置に配置されている。つまり、ある位置に配置されたダイクロイック面の光出射側に1/2位相板が配置されている場合、そのダイクロイック面に隣接する2つのダイクロイック面の光出射側には1/2位相板が配置されていないこととなる。もちろん、光出射側に1/2位相板が配置されていないダイクロイック面に隣接するダイクロイック面の光出射側には1/2位相板が配置されていることとなる。
【0053】
また、この実施例1においては、光入射側に配置された第1光学面が偏光分離面であり、光出射側に配置された第2光学面がダイクロイック面であるが、勿論偏光分離面とダイクロイック面の順番は逆であっても構わない(実施例3等)。すなわち、ダイクロイック面を第1光学面(光入射側に配置された光学面)として反射面と交互に配置し、そのダイクロイック面(第1光学面)よりも光出射側に、連続して(反射面を挟まずに)複数の偏光分離面(第2光学面)を配置してもよい。
【実施例2】
【0054】
図6には、本発明の実施例2であるダイクロイック偏光変換アレイを示す。本実施例は、実施例1のダイクロイック偏光変換アレイ106に対して1/2位相板3が設けられている開口領域が異なる。これにより、本実施例のダイクロイック偏光変換アレイ106Aは、赤のS偏光と青緑のP偏光とを生成する。その他の構成については実施例1のダイクロイック偏光変換アレイ106と同じである。実施例1と共通する構成要素には、実施例1と同符号を付す。また、本実施例のダイクロイック偏光変換アレイ106Aは、実施例1で説明したプロジェクタの光学ユニットと同様の(ただし、偏光方向の違いにより偏光ビームスプリッタでの反射と透過の関係が異なる)光学ユニットに用いられる。
【0055】
図7〜図9を用いて本実施例のダイクロイック偏光変換アレイ106Aの光学作用について説明する。
【0056】
図7において、白色無偏光光Wnは、まず偏光分離アレイ部1の偏光分離膜(偏光分離面)13でP偏光の白色光WpとS偏光の白色光Wsとに分離される。偏光分離膜13を透過したP偏光の白色光Wpは、偏光分離アレイ部1の射出面12の開口領域Bから射出する。一方、偏光分離膜13で反射したS偏光の白色光Wsは反射膜14で反射して、P偏光の白色光Wpと同方向に向かい、該P偏光の白色光Wpが射出した開口領域Fの隣の開口領域Fから射出する。
【0057】
図8において、P偏光の白色光Wpは、ダイクロイックアレイ部2にその入射面21における開口領域Aから入射し、ダイクロイック膜(ダイクロイック面)23でP偏光の赤光RpとP偏光の青緑光BGpとに分離される。ダイクロイック膜23を透過したP偏光の赤光Rpは、ダイクロイックアレイ部2の射出面22における開口領域Dから射出し、1/2位相板3を透過することでS偏光の赤光Rsとなる。
【0058】
一方、ダイクロイック膜23で反射したP偏光の青緑光BGpは、その隣のダイクロイック膜23で反射してP偏光の赤光Rpと同方向に向かう。そして、ダイクロイックアレイ部2の射出面22におけるP偏光の赤光Rpが射出した開口領域Dの隣の開口領域Eから射出する。
【0059】
また、図9に示すように、S偏光の白色光Wsは、P偏光の白色光Wpとは異なる開口領域Hからダイクロイックアレイ部2に入射する。そして、ダイクロイック膜23でS偏光の赤光RsとS偏光の青緑光BGsとに分離される。ダイクロイック膜23を透過したS偏光の赤光Rsは、ダイクロイックアレイ部の射出面22の開口領域Eから射出する。また、ダイクロイック膜23で反射したS偏光の青緑光BGsは、その隣のダイクロイック膜23で反射してS偏光の赤光Rsと同方向に向かい、それが射出する開口領域Eの隣の開口領域Dから射出する。そして、1/2位相板3を透過することでP偏光の青緑光BGpとなる。
【0060】
以上のようにして、白色無偏光光WnからS偏光の赤光RsとP偏光の青緑光BGpとが生成される。そして、本実施例のダイクロイック偏光変換アレイ106Aによって、光源101からの光を効率良く利用することができる。
【実施例3】
【0061】
図10には、本発明の実施例3であるダイクロイック偏光変換アレイを示す。本実施例のダイクロイック偏光変換アレイ106Bも、実施例1で説明したプロジェクタの光学ユニットと同じ光学ユニットに用いられる。
【0062】
図中の31はダイクロイックアレイ部(第1の素子部)であり、32は偏光分離アレイ部(第2の素子部)である。33は偏光分離アレイ部32の射出面側に設けられた1/2位相板であり、34はダイクロイックアレイ部31の入射面側に設けられた遮光マスクである。なお、図には、ダイクロイックアレイ部31と偏光分離アレイ部32とが分離された状態で示されているが、実際にはこれらは接着等によって一体化されて1つの素子として取り扱われる。本実施例のダイクロイック偏光変換アレイは、光入射側から順に、ダイクロイック膜(ダイクロイック面)43、偏光分離膜(偏光分離面)53及び1/2位相板33が配置されたダイクロイック偏光変換アレイである。
【0063】
ダイクロイックアレイ部31は、入射面41と該入射面41に平行な射出面42とを有する。入射面41と射出面42との間には、それぞれ入射面11に対して45°の角度をなす複数のダイクロイック膜43が光入射方向(図の左側から右側)に対して直交する方向に互いに平行に設けられている。入射面41のうち複数のダイクロイック膜43に入射する光が通る複数のスリット状の開口領域以外の各領域には、遮光マスク34が貼り付けられている。
【0064】
偏光分離アレイ部32は、入射面51と該入射面51に平行な射出面52とを有する。入射面51と射出面22との間には、入射面51に対して45°の角度をなす複数の偏光分離膜53が光入射方向に対して直交する方向に複数設けられている。射出面52には、複数の偏光分離膜53を透過した光が射出する複数のスリット状の開口領域Dと、複数のダイクロイック膜53で反射した光が射出する複数のスリット状の開口領域Eとがあり、各開口領域Eには1/2位相板33が貼り付けられている。この構成により、複数のダイクロイック膜23は、複数の偏光分離膜13よりも光入射側に配置される。
【0065】
ダイクロイックアレイ部31におけるダイクロイック膜43間のピッチeと偏光分離アレイ部32における偏光分離膜53間のピッチfとは互いに等しい。そして、ダイクロイックアレイ部31の射出面42のうちダイクロイック膜43を透過した光が射出するスリット状の開口領域Bと、偏光分離アレイ部32の入射面51におけるこの光が入射するスリット状の開口領域Aとは、互いに対向するように近接している。また、ダイクロイックアレイ部31における射出面42のうちダイクロイック膜43で反射した光が射出するスリット状の開口領域Fと、偏光分離アレイ部32の入射面51におけるこの光が入射するスリット状の開口領域Hも、互いに対向するように近接している。
【0066】
偏光分離アレイ部1の射出面12のうち偏光分離膜13で反射した光が射出するスリット状の開口領域Fと、ダイクロイックアレイ部2の入射面21におけるこの光が入射するスリット状の開口領域Hも、互いに対向するように近接している。
【0067】
ダイクロイックアレイ部31のダイクロイック膜43は、入射した光を互いに異なる2つの波長領域成分に分離する。具体的には、ダイクロイック膜33は、図5に示すように、入射した光のうちR光を透過し、BとGの光を反射する特性を有する。
【0068】
また、偏光分離アレイ部32の偏光分離膜53は、入射した光を互いに異なる偏光方向を有する2つの偏光成分に分離する機能を有する。具体的には、偏光分離膜53は、入射した光のうちP偏光を透過して、S偏光を反射する特性を有する。
【0069】
また、1/2位相板33は、各偏光分離膜53からの2つの偏光成分のうち一方の偏光成分の偏光方向を他方の偏光成分の偏光方向に一致させる。本実施例では、1/2位相板33は、スリット開口領域Eの長手方向に対して45°の方向に進相軸を傾けて設けられている。これにより、1/2位相板33は、S偏光として入射した光の偏光方向を90度回転させてP偏光として射出する。
【0070】
次に、図11〜図13を用いてダイクロイック偏光変換アレイ106の光学作用について説明する。
【0071】
図11において、Wnは白色無偏光光を示す。白色無偏光光Wnは、ダイクロイックアレイ部31の入射面41における開口領域からダイクロイックアレイ部31に入射し、ダイクロイック膜43で無偏光の赤光Rnと無偏光の青緑光BGnとに分離される。ダイクロイック膜43を透過した無偏光の赤光Rnは、ダイクロイックアレイ部31の射出面42における開口領域Bから射出する。また、ダイクロイック膜43で反射した無偏光の青緑光BGnは、その隣のダイクロイック膜43で再び反射して、無偏光の赤光Rnと同方向に向かう。そして、無偏光の赤光Rnが射出する開口領域Bの隣の開口領域Fから射出する。
【0072】
図12において、無偏光の赤光Rnは、偏光分離アレイ部32の入射面51における開口領域Aから偏光分離アレイ部32に入射し、偏光分離膜53でP偏光の赤光RpとS偏光の赤光Rsとに分離される。偏光分離膜53を透過したP偏光の赤光Rpは、偏光分離アレイ部32の射出面52における開口領域Dから射出する。一方、偏光分離膜53で反射したS偏光の赤光Rsは、その隣の偏光分離膜53で再び反射し、P偏光の赤光Rpと同方向に向かう。そして、P偏光の赤光Rpが射出する開口領域Dの隣の開口領域Eから射出し、1/2位相板33を透過することでP偏光の赤光Rpとなる。
【0073】
また、図13において、無偏光の青緑光BGnは、赤光Rnとは異なる開口領域Hから偏光分離アレイ部32に入射し、偏光分離膜53でP偏光の青緑光BGpとS偏光の青緑光BGsとに分離される。偏光分離膜53を透過したP偏光の青緑光BGpは、射出面52における開口領域Eから射出し、1/2位相板33を透過することでS偏光の青緑光BGsとなる。また、偏光分離膜53で反射したS偏光の青緑光BGsは、その隣の偏光分離膜53で再び反射し、P偏光の青緑光BGpと同方向に向かい、P偏光の青緑光BGpが射出する開口領域Eの隣の開口領域Dから射出する。
【0074】
以上のようにして、白色無偏光光WnからP偏光の赤光RpとS偏光の青緑光BGsとが生成される。そして、本実施例のダイクロイック偏光変換アレイ106Bによって、光源101からの光を効率良く利用することができる。
【0075】
なお、以上の実施例では、互いに異なる偏光方向を有する赤光と青緑光を生成する場合について説明したが、ダイクロイック偏光変換アレイに設けるダイクロイック膜の特性によって、分離される色光とその偏光方向との組み合わせは任意である。
【実施例4】
【0076】
図14には、本発明の実施例4であるダイクロイック偏光変換アレイを示している。この実施例のダイクロイック偏光変換アレイ106Dは、実施例1(〜3)にて説明した偏光分離アレイ部とダイクロイックアレイ部とを接合するのではなく、はじめから一体の素子として製作される。光学作用は、実施例1のダイクロイック偏光変換アレイ106と同じである。
【0077】
本実施例のダイクロイック偏光変換アレイ106Dの製造方法について簡単に説明する。まず、図15に示すように、1枚のガラス基板の同一面上に偏光分離膜部PBとダイクロイック膜部DCとを特定方向(第1の方向)に交互に形成した基板71を用意する。また、他の1枚のガラス基板の同一面上に反射膜部RFとダイクロイック膜部DCとを上記特定方向に交互に形成した基板72を用意する。
【0078】
これら基板71,72を、図16に示すように、偏光分離膜部PB(又は反射膜部RF)とダイクロイック膜部DCの位置が、図中の垂直方向Vから見て半ピッチずれるように基板71と基板72とを交互に貼り合わせる(重ね合わせる)。
【0079】
そして、これを図16中の点線に沿って、重ね合わせ方向に対して45°の方向にカットする。ここで、膜部PB,RF,DMの幅は、各基板の厚さkの2倍に設定している。
これにより、実施例1(〜3)と同様の光学作用を有するダイクロイック偏光変換アレイを容易に製作することができる。
【実施例5】
【0080】
図17には、本発明の実施例5であるダイクロイック偏光変換アレイを示している。このダイクロイック偏光変換アレイ106Eは、偏光分離アレイ部81の偏光分離膜91とダイクロイックアレイ部82のダイクロイック膜92とが、光入射方向において互いに反対向きに傾くように配置されている。すなわち、偏光分離膜91とダイクロイック膜92とが90°をなすように配置されている。光学作用は、実施例1のダイクロイック偏光変換アレイ106と同じである。
【0081】
このような構成にすると、分離した光成分のずれ量(図1のΔ、図11のΔ′)が小さくなる(Δ′<Δ)ので、光学ユニットが大型化することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施例1であるダイクロイック偏光変換アレイの構成を示す断面図。
【図2】実施例1のダイクロイック偏光変換アレイの光学作用を示す断面図。
【図3】実施例1のダイクロイック偏光変換アレイの光学作用を示す断面図。
【図4】実施例1のダイクロイック偏光変換アレイの光学作用を示す断面図。
【図5】上記ダイクロイック偏光変換アレイで用いられているダイクロイック膜の特性を示す図。
【図6】本発明の実施例2であるダイクロイック偏光変換アレイの構成を示す断面図。
【図7】実施例2のダイクロイック偏光変換アレイの光学作用を示す断面図。
【図8】実施例2のダイクロイック偏光変換アレイの光学作用を示す断面図。
【図9】実施例2のダイクロイック偏光変換アレイの光学作用を示す断面図。
【図10】本発明の実施例3であるダイクロイック偏光変換アレイの構成を示す断面図。
【図11】実施例3のダイクロイック偏光変換アレイの光学作用を示す断面図。
【図12】実施例3のダイクロイック偏光変換アレイの光学作用を示す断面図。
【図13】実施例3のダイクロイック偏光変換アレイの光学作用を示す断面図。
【図14】本発明の実施例4であるダイクロイック偏光変換アレイの構成を示す断面図。
【図15】実施例4のダイクロイック偏光変換アレイの製作方法を説明する図。
【図16】実施例4のダイクロイック偏光変換アレイの製作方法を説明する図。
【図17】本発明の実施例5であるダイクロイック偏光変換アレイの構成を示す断面図。
【図18】実施例1のダイクロイック偏光変換アレイを用いたプロジェクタの構成を示す図。
【符号の説明】
【0083】
1,32 偏光分離アレイ部
2,31 ダイクロイックアレイ部
3,33 1/2位相板
4,34 遮光マスク
13,53 偏光分離膜
14 反射膜
23,43 ダイクロイック膜
106〜106D ダイクロイック偏光変換アレイ
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射した光から偏光方向及び波長領域が異なる2つの光成分を生成する波長選択性偏光変換素子及びこれを備えた照明光学系、光学ユニット及び画像投射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる3板式のプロジェクタ(画像投射装置)では、光源からの白色光を3つの色光成分(例えば、赤光成分、緑光成分及び青光成分)に色分解して3つの液晶パネル等の画像形成素子に導く。
【0003】
3板式プロジェクタにおいて、色分解光学系での色分解を可能とするために、光源からの白色無偏光光を偏光方向が互いに異なる2つの波長成分(例えば、緑のP偏光と、赤及び青のS偏光)を生成する照明光学系を有するものが、特許文献1に開示されている。この照明光学系では、光源からの白色無偏光を、偏光プリズムの偏光分離面で赤及び緑のS偏光と青のP偏光とに分離し、さらに1/2波長板でP偏光のS偏光に変換する。そして、赤、緑及び青のS偏光は偏光変換ダイクロイックミラーに入射し、ここで緑のS偏光のみがP偏光に変換されて、緑のP偏光と赤及び青のS偏光が色分解光学系に向かう。
【0004】
偏光変換ダイクロイックミラーは、光入射側から順に、ダイクロイック面と1/4波長板とミラー面とを有する。ダイクロイック面は、緑のS偏光を透過させるとともに赤及び青のS偏光を反射する。1/4波長板は、ダイクロイック面を透過した緑のS偏光がミラー面での反射の前後でこれを2回通過することで、該緑のS偏光をP偏光に変換する。これにより、偏光変換ダイクロイックミラーから、緑のP偏光と赤及び青のS偏光が射出する。
【特許文献1】特開2000−9933号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1にて開示された照明光学系では、偏光変換ダイクロイックミラーに入射する赤光成分、緑光成分及び青光成分を、予め偏光プリズムと1/2波長板によってすべてS偏光に揃えておく必要がある。このように偏光プリズムと1/2波長板を介して偏光変換ダイクロイックミラーに導くことにより、光源からの光の利用効率が低下する。また、光源からの光が偏光プリズムと偏光変換ダイクロイックミラーで反射する構成であるため、照明光学系の設計自由度が制限されるとともに大型化し易い。
【0006】
本発明は、光の利用効率が低下を抑えつつ、コンパクトな構成で、無偏光光を偏光方向及び波長領域が異なる複数の光成分を生成できるようにした波長選択性偏光変換素子及びこれを備えた照明光学系、光学ユニット及び画像投射装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としての波長選択性偏光変換素子は、それぞれ入射した光を互いに異なる偏光方向を有する2つの偏光成分に分離する複数の偏光分離面と、それぞれ各偏光分離面からの2つの偏光成分のうち一方の偏光成分の偏光方向を他方の偏光成分の偏光方向に一致させる複数の位相板と、複数の偏光分離面よりも光入射側又は複数の偏光分離面と複数の位相板との間に配置され、それぞれ入射した光を互いに異なる2つの波長領域成分に分離するダイクロイック面とを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の他の側面としての波長選択性偏光変換素子は、第1の方向に沿って配置された複数の偏光分離面と、第1の方向に沿って配置された複数のダイクロイック面と、第1の方向に沿って配置された複数の位相板とを有し、複数の偏光分離面と複数のダイクロイック面とによって、白色の無偏光状態の光束を、S偏光の第1色光とS偏光の第2色光とP偏光の第3色光とを束ねた複数の第1光束と、P偏光の第1色光とP偏光の第2色光とS偏光の第3色光とを束ねた複数の第2光束とに分割する。そして、複数の位相板によって、第1光束及び第2光束のうち一方の光束の偏光方向を他方の偏光方向に一致させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の他の側面としての波長選択性偏光変換素子は、光入射側から順に、第1の方向に沿って配置された複数の第1光学面と、第1の方向に沿って配置された複数の第2光学面と、第1の方向に沿って配置された複数の1/2位相板とを有する。第1光学面及び第2光学面のうち一方が偏光分離面、他方がダイクロイック面である。そして、複数の1/2位相板が、第1の方向に沿って配置された複数の第2光学面のうち1つおきの第2光学面に対応して配置されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の側面としての照明光学系は、光源からの光を複数の光束に分割するレンズアレイと、該レンズアレイからの複数の光束が入射する上記波長選択性偏光変換素子と、該波長選択性偏光変換素子からの複数の光束を被照明面上にて重ね合わせるコンデンサーレンズとを有することを特徴とする。
【0011】
また、上記照明光学系と、該照明光学系からの前記複数の光束に含まれる2つ光成分を互いに波長が異なる3つの光成分に分離して3つの画像形成素子に導き、該3つの画像形成素子からの前記3つの光成分を合成する色分解合成光学系と、該色分解合成光学系からの合成光を投射する投射光学系とを有することを特徴とする光学ユニットも本発明の他の側面を構成する。
【0012】
さらに、上記光学ユニットを有する画像投射装置及び画像投射装置と画像供給装置とを有する画像表示システムも本発明の他の側面を構成する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コンパクトな構成でありながらも、光を効率良く利用でき、無偏光光から互いに偏光方向が異なる2つの波長領域成分を生成できる波長選択性偏光変換素子を実現できる。このため、この波長選択性偏光変換素子を用いた照明光学系、光学ユニット及び画像投射装置によって、光源からの光を効率良く利用した明るい画像を投射することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0015】
まず、図18には、実施例1の波長選択性偏光変換素子(以下、ダイクロイック偏光変換アレイ)を用いるプロジェクタ(画像投射装置)の光学ユニットの構成を示している。なお、以下の説明において、Rは赤(赤色光)、Gは緑(緑色光)、Bは青(青色光)を意味する。赤色光、緑色光、青色光それぞれは、第1色光、第2色光、第3色光と表現してもよい。
【0016】
101は、白色(ほぼ白色)の無偏光状態の光束を出射する超高圧水銀放電管(白色の無偏光状態の光束を出射する光源であれば他の光源であってもよい)等の光源、102は光源101からの光束を平行光束化するリフレクタである。光源101及びリフレクタ102は、光源ランプとして一体で光学ユニットに対して交換可能であり、それ自体は光学ユニットを構成しない。
【0017】
103は第1のレンズアレイ、104は第2のレンズアレイ、106は実施例のダイクロイック偏光変換アレイである。107はコンデンサーレンズである。第1のレンズアレイ103〜コンデンサーレンズ107により照明光学系が構成される。
【0018】
117はダイクロイックミラーである。108はRB用偏光ビームスプリッタ(以下、RB用PBSという)、109はG用偏光ビームスプリッタ(以下、G用PBSという)である。110,111,112はそれぞれ、G,R,B用の反射型画像形成素子であり、反射型液晶表示素子により構成されている。なお、本実施例では、液晶表示素子を画像形成素子として用いる場合について説明するが、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)を画像形成素子として用いてもよい。
【0019】
画像形成素子110〜112は、駆動回路150に接続されている。駆動回路150には、パーソナルコンピュータ、DVDプレーヤ、テレビチューナ等の画像供給装置160が接続されている。画像供給装置160からの画像信号が入力された駆動回路150は、該画像信号に応じて各画像形成素子を駆動し、各色用の原画を形成させる。画像供給装置160とプロジェクタとにより画像表示システムが構成される。
【0020】
113,114,115はそれぞれ、G,R,B用の1/2位相板である。116は色合成プリズムである。118投射レンズである。
【0021】
光源101からリフレクタ102を介して照明光学系に入射した白色無偏光は、第1のフライアイレンズ103によって複数の光束に分割される。該複数の光束は、第2のフライアイレンズ104を介してダイクロイック偏光変換アレイ106に入射する。
【0022】
ダイクロイック偏光変換アレイ106は、第1のレンズアレイ103で集光される光束の集光位置又はその近傍に配置されている。
【0023】
ダイクロイック偏光変換アレイ106は、本実施例では、入射した白色無偏光光から、RのP偏光(Rp)とBGのS偏光(BGs)とからなる偏光方向が異なる2つの波長領域成分(2つの光成分)を生成して射出する。ダイクロイック偏光変換アレイ106の詳しい構成及び光学作用については後述する。
【0024】
ダイクロイック偏光変換アレイ106から射出した複数の光束は、コンデンサーレンズ107を介してダイクロイックミラー117に向かう。コンデンサーレンズ107は、該複数の光束を、被照明面としての3つの画像形成素子110〜112上にて重ね合わせる役割を有する。
【0025】
ダイクロイックミラー117は、コンデンサーレンズ107からの光のうちG光(Gs)を透過して、R光(Rp)及びB光(Bs)を反射することで、これらG光とR光及びB光を分離する。
【0026】
ただし、ダイクロイック偏光変換アレイ106のうち後述するダイクロイック膜(ダイクロイック面)と偏光分離膜(偏光分離面)とは、実際には、図18のダイクロイックミラー117の面に対して光軸AXLに対して90°ねじれた関係を有する。これによりダイクロイックミラーに対しては各色光の偏光状態が入れ替わる。つまり、ダイクロイックミラー117に入射した光は、GのP偏光(Gp)と、RのS偏光(Rs)及びBのP偏光(Bp)とに分離される。G光は、G用PBS109を透過し、1/2位相板113を通過してG用画像形成素子110に入射する。G用画像形成素子110にて原画に応じて変調及び反射されたG光は、1/2位相板113を再度通過してS偏光としてG用PBS109に入射し、該G用PBS109で反射して色合成プリズム116に導かれる。
【0027】
また、ダイクロイックミラー117を透過したR光は、RB用PBS108で反射し、1/2位相板114を通過してR用画像形成素子111に入射する。R用画像形成素子111にて原画に応じて変調及び反射されたR光は、1/2位相板114を再度通過してP偏光としてRB用PBS108に入射し、該RB用PBS108を透過して色合成プリズム116に入射する。
【0028】
ダイクロイックミラー117を透過したB光は、RB用PBS108を透過し、1/2位相板115を通過してB用画像形成素子112に入射する。B用画像形成素子112にて原画に応じて変調及び反射されたB光は、1/2位相板115を再度通過してS偏光としてRB用PBS108に入射し、該RB用PBS108で反射して色合成プリズム116に導かれる。
【0029】
色合成プリズム116は、入射したG光を反射し、R光及びB光を透過することでこれらを合成し、投射レンズ(投射光学系)118に向けて射出する。投射レンズ118は、該合成光を不図示のスクリーン等の被投射面に投射する。なお、ダイクロイックミラー117から色合成プリズム116までの光学素子によって色分解合成光学系が構成される、
このように、ダイクロイック偏光変換アレイ106と、ダイクロイックミラー117と、RB用PBS108とによって、光源101からの白色無偏光光(白色の無偏光状態の光束)を波長領域及び偏光方向が異なる3つの光成分に分離することができる。
【0030】
図1には、上記光学ユニットにて用いられているダイクロイック偏光変換アレイ106の構成を示している。
【0031】
図中の1は偏光分離アレイ部(第1の素子部)であり、2はダイクロイックアレイ部(第2の素子部)である。3はダイクロイックアレイ部2の射出面側に設けられた1/2位相板であり、4は偏光分離アレイ部1の入射面側に設けられた遮光マスクである。なお、図には、偏光分離アレイ部1とダイクロイックアレイ部2とが分離された状態で示されているが、実際にはこれらは接着等によって一体化されて1つの素子として取り扱われる。本実施例のダイクロイック偏光変換アレイは、光入射側から順に、偏光分離膜(偏光分離面)13、ダイクロイック膜(ダイクロイック面)23及び1/2位相板(1/2位相差板)3が配置されたダイクロイック偏光変換アレイである。
【0032】
ここで、偏光分離膜(偏光分離面)13、ダイクロイック膜(ダイクロイック面)23及び1/2位相板(1/2位相差板)3は、光入射方向(図中の左側から右側)に直交する方向(第1の方向、図中の上下方向)に沿って複数個ずつ配置されている。また、偏光分離膜(偏光分離面)13、ダイクロイック膜(ダイクロイック面)23それぞれは、光入射方向に対しても、光入射方向に直交する方向(第1の方向)に対しても傾いて(45度傾いて)配置されている。1/2位相板(1/2位相差板)は、光入射方向と直交するように(光入射方向と直交する方向に対して平行に)配置されている。
【0033】
また、偏光分離膜(偏光分離面)、ダイクロイック膜(ダイクロイック面)は、膜構造に限らず微細な周期構造体によって構成されていても構わないし、勿論その他の構成であっても構わない。また、1/2位相板(位相差板)は、板状の素子では無く、膜でも(単層膜でも多層膜でも)構わないし、前述と同様に微細な周期構造体によって構成されていても構わない。
【0034】
偏光分離アレイ部1は、入射面11と該入射面11に平行な射出面12とを有する。入射面11と射出面12との間には、それぞれ入射面11に対して45°の角度をなす複数の偏光分離膜13と複数の反射膜14が光入射方向(図の左側から右側)に対して直交する方向(第1の方向)に交互に、かつ互いに平行に設けられている。入射面11のうち複数の偏光分離膜13に入射する光が通る複数のスリット状の開口領域C以外の各領域には、遮光マスク4が貼り付けられている。ここで、遮光マスク4は、前述の1/2位相板と同様に、光入射方向に直交する方向(第1の方向、図中の上下方向)に沿って複数個配置されている。更に、これらの遮光マスクそれぞれは、光入射方向に直交する方向(第1の方向)に対して平行に配置されている。
【0035】
ダイクロイックアレイ部2は、入射面21と該入射面21に平行な射出面22とを有する。入射面21と射出面22との間には、入射面21に対して45°の角度をなす複数のダイクロイック膜23が、光入射方向に対して直交する方向に複数設けられている。射出面22には、複数のダイクロイック膜23を透過した光が射出する複数のスリット状の開口領域Dと、複数のダイクロイック膜23で反射した光が射出する複数のスリット状の開口領域Eとがあり、各開口領域Eには1/2位相板3が貼り付けられている。この構成により、複数のダイクロイック膜23は、複数の偏光分離膜13と複数の位相板3との間に配置される。
【0036】
偏光分離アレイ部1における偏光分離膜13と反射膜14間のピッチbと、ダイクロイックアレイ部2におけるダイクロイック膜23間のピッチaは互いに等しい。そして、偏光分離アレイ部1の射出面12のうち偏光分離膜13を透過した光が射出するスリット状の開口領域Bと、ダイクロイックアレイ部2の入射面21におけるこの光が入射するスリット状の開口領域Aとは、互いに対向するように近接している。また、偏光分離アレイ部1の射出面12のうち偏光分離膜13で反射した光が射出するスリット状の開口領域Fと、ダイクロイックアレイ部2の入射面21におけるこの光が入射するスリット状の開口領域Hも、互いに対向するように近接している。
【0037】
偏光分離アレイ部1の偏光分離膜13は、入射した光を互いに異なる偏光方向を有する2つの偏光成分に分離する機能を有する。具体的には、偏光分離膜13は、入射した光のうちP偏光を透過して、S偏光を反射する特性を有する。このため、反射膜14は、S偏光を反射することになる。
【0038】
また、ダイクロイックアレイ部2のダイクロイック膜23は、入射した光を互いに異なる2つの波長領域成分に分離する。具体的には、ダイクロイック膜23は、図5に示すように、入射した光のうちR光を透過し、BとGの光を反射する特性を有する。
【0039】
1/2位相板3は、各偏光分離膜13からの2つの偏光成分のうち一方の偏光成分の偏光方向を他方の偏光成分の偏光方向に一致させる。本実施例では、1/2位相板3は、スリット開口領域Eの長手方向に対して45°の方向に進相軸を傾けて設けられている。これにより、1/2位相板3は、P偏光として入射した光の偏光方向を90度回転させてS偏光として、S偏光として入射した光の偏光方向を90度回転させてP偏光として射出する。
【0040】
次に、図2〜図4を用いてダイクロイック偏光変換アレイ106の光学作用について説明する。
【0041】
図2において、Wnは白色無偏光光を示す。白色無偏光光Wnは、まず偏光分離アレイ部1の偏光分離膜13でP偏光の白色光WpとS偏光の白色光Wsとに分離される。偏光分離膜13を透過したP偏光の白色光Wpは、偏光分離アレイ部1の射出面12の開口領域Bから射出する。一方、偏光分離膜13で反射したS偏光の白色光Wsは反射膜14で反射して、P偏光の白色光Wpと同方向に向かい、該P偏光の白色光Wpが射出した開口領域Fの隣の開口領域Fから射出する。
【0042】
図3において、P偏光の白色光Wpは、ダイクロイックアレイ部2にその入射面21における開口領域Aから入射し、ダイクロイック膜23でP偏光の赤光RpとP偏光の青緑光BGpとに分離される。ダイクロイック膜23を透過したP偏光の赤光Rpは、ダイクロイックアレイ部2の射出面22における開口領域Dから射出する。一方、ダイクロイック膜23で反射したP偏光の青緑光BGpは、その隣のダイクロイック膜23で反射してP偏光の赤光Rpと同方向に向かう。そして、ダイクロイックアレイ部2の射出面22におけるP偏光の赤光Rpが射出した開口領域Dの隣の開口領域Eから射出し、1/2位相板3を透過することでS偏光の青緑光BGsとなる。
【0043】
また、図4に示すように、S偏光の白色光Wsは、P偏光の白色光Wpとは異なる開口領域Hからダイクロイックアレイ部2に入射する。そして、ダイクロイック膜23でS偏光の赤光RsとS偏光の青緑光BGsとに分離される。ダイクロイック膜23を透過したS偏光の赤光Rsは、ダイクロイックアレイ部の射出面22の開口領域Eから射出し、1/2位相板3を透過することでP偏光の赤光Rpとなる。ダイクロイック膜23で反射したS偏光の青緑光BGsは、その隣のダイクロイック膜23で反射してS偏光の赤光Rsと同方向に向かい、それが射出する開口領域Eの隣の開口領域Dから射出する。
【0044】
以上の図2〜4で説明したように、S偏光の青色光(第1色光)とS偏光の緑色光(第2色光)とP偏光の赤色光(第3色光)とを1つの光束(第1光束)として開口領域Dに入射させる。その結果、それぞれの色光は、開口領域Dに入射する前の偏光状態を保ったまま(第1光束として合成された際の偏光状態を保ったまま)で、この波長選択性偏光変換素子から出射する。
【0045】
次に、1/2位相板(位相差板、波長板)が配置された開口領域Eには、P偏光の青色光(第1色光)とP偏光の緑色光(第2色光)とS偏光の赤色光(第3色光)とが一つの光束(第2光束)として入射する。その結果、これらの色光(第2光束)は1/2位相板の作用によって偏光方向が90度回転させられて、S偏光の青色光(第1色光)とS偏光の緑色光(第2色光)とP偏光の赤色光(第3色光)に変換されて、波長選択性偏光変換素子から出射する。すなわち、開口領域D及びEに入射する直前の段階で、開口領域Dに入射する光束(第1光束)と、開口領域Eに入射する光束(第2光束)とは、それぞれ互いに偏光方向が異なる(90度異なる、直交する)3つの色光を合成した光束に変換されている。ここで、開口領域D或いはEに入射する2つの光束(第1光束、第2光束)のうち一方に対して(1/2位相板の作用によって)90度の位相差を与えることによって、その2つの光束の偏光方向を色光毎に一致させている。
【0046】
以上のようにして、白色無偏光光WnからP偏光の赤光RpとS偏光の青緑光BGsとが生成される。そして、本実施例のダイクロイック偏光変換アレイ106によって、光源101からの光を効率良く利用することができる。
【0047】
この実施例1においては、青色光(第1色光)及び緑色光(第2色光)をS偏光に変換し、赤色光(第3色光)をP偏光に変換したがその限りでは無い。S偏光やP偏光を入れ換えても構わないし、また青色光のみをS偏光とし、緑色光及び赤色光の2つの色光をP偏光としても構わない。また、ここで言うS偏光、P偏光とは、偏光変換素子が持つ偏光分離面に対するS偏光、P偏光のことである。
【0048】
なお、近年ではフィルム素子により同様な作用を有する素子が考案されているが、本実施例のダイクロイック偏光変換アレイ106は、ガラスをベース部材として構成することができるので、高輝度のプロジェクタにおいて高い熱的耐久性を発揮する。
【0049】
また、1/2位相板3としては、一般にはフィルムを延伸したものが用いられるが、熱的耐久性を高めるために、いわゆるサブ波長構造を有する格子で構成してもよい。
【0050】
この実施例1においては、光入射側から順に、第1の方向(照明光学系の光軸を横切る方向でもよい)に沿って配置された複数の遮光マスク(遮光部材)、複数の偏光分離面(第1光学面)、複数のダイクロイック面(第2光学面)、1/2位相板を配置している。
【0051】
ここで、光入射側に配置されている複数の偏光分離面(第1光学面)は、複数の反射面と交互に配置されている。そして、光出射側に配置されているダイクロイック面(第2光学面)は、反射面を挟まずに連続してダイクロイック面(第2光学面)のみが配置されている。そして、遮光マスク(遮光部材)と1/2位相板は、前述の複数の反射面に対応する位置、すなわち偏光分離面(第1光学面が存在しない位置)に対応する位置に配置されている。
【0052】
言い換えると、遮光マスク(遮光部材)と1/2位相板は、第1の方向に沿って配置された複数のダイクロイック面(第2光学面)のうち1つおきのダイクロイック面に対応する位置に配置されている。つまり、ある位置に配置されたダイクロイック面の光出射側に1/2位相板が配置されている場合、そのダイクロイック面に隣接する2つのダイクロイック面の光出射側には1/2位相板が配置されていないこととなる。もちろん、光出射側に1/2位相板が配置されていないダイクロイック面に隣接するダイクロイック面の光出射側には1/2位相板が配置されていることとなる。
【0053】
また、この実施例1においては、光入射側に配置された第1光学面が偏光分離面であり、光出射側に配置された第2光学面がダイクロイック面であるが、勿論偏光分離面とダイクロイック面の順番は逆であっても構わない(実施例3等)。すなわち、ダイクロイック面を第1光学面(光入射側に配置された光学面)として反射面と交互に配置し、そのダイクロイック面(第1光学面)よりも光出射側に、連続して(反射面を挟まずに)複数の偏光分離面(第2光学面)を配置してもよい。
【実施例2】
【0054】
図6には、本発明の実施例2であるダイクロイック偏光変換アレイを示す。本実施例は、実施例1のダイクロイック偏光変換アレイ106に対して1/2位相板3が設けられている開口領域が異なる。これにより、本実施例のダイクロイック偏光変換アレイ106Aは、赤のS偏光と青緑のP偏光とを生成する。その他の構成については実施例1のダイクロイック偏光変換アレイ106と同じである。実施例1と共通する構成要素には、実施例1と同符号を付す。また、本実施例のダイクロイック偏光変換アレイ106Aは、実施例1で説明したプロジェクタの光学ユニットと同様の(ただし、偏光方向の違いにより偏光ビームスプリッタでの反射と透過の関係が異なる)光学ユニットに用いられる。
【0055】
図7〜図9を用いて本実施例のダイクロイック偏光変換アレイ106Aの光学作用について説明する。
【0056】
図7において、白色無偏光光Wnは、まず偏光分離アレイ部1の偏光分離膜(偏光分離面)13でP偏光の白色光WpとS偏光の白色光Wsとに分離される。偏光分離膜13を透過したP偏光の白色光Wpは、偏光分離アレイ部1の射出面12の開口領域Bから射出する。一方、偏光分離膜13で反射したS偏光の白色光Wsは反射膜14で反射して、P偏光の白色光Wpと同方向に向かい、該P偏光の白色光Wpが射出した開口領域Fの隣の開口領域Fから射出する。
【0057】
図8において、P偏光の白色光Wpは、ダイクロイックアレイ部2にその入射面21における開口領域Aから入射し、ダイクロイック膜(ダイクロイック面)23でP偏光の赤光RpとP偏光の青緑光BGpとに分離される。ダイクロイック膜23を透過したP偏光の赤光Rpは、ダイクロイックアレイ部2の射出面22における開口領域Dから射出し、1/2位相板3を透過することでS偏光の赤光Rsとなる。
【0058】
一方、ダイクロイック膜23で反射したP偏光の青緑光BGpは、その隣のダイクロイック膜23で反射してP偏光の赤光Rpと同方向に向かう。そして、ダイクロイックアレイ部2の射出面22におけるP偏光の赤光Rpが射出した開口領域Dの隣の開口領域Eから射出する。
【0059】
また、図9に示すように、S偏光の白色光Wsは、P偏光の白色光Wpとは異なる開口領域Hからダイクロイックアレイ部2に入射する。そして、ダイクロイック膜23でS偏光の赤光RsとS偏光の青緑光BGsとに分離される。ダイクロイック膜23を透過したS偏光の赤光Rsは、ダイクロイックアレイ部の射出面22の開口領域Eから射出する。また、ダイクロイック膜23で反射したS偏光の青緑光BGsは、その隣のダイクロイック膜23で反射してS偏光の赤光Rsと同方向に向かい、それが射出する開口領域Eの隣の開口領域Dから射出する。そして、1/2位相板3を透過することでP偏光の青緑光BGpとなる。
【0060】
以上のようにして、白色無偏光光WnからS偏光の赤光RsとP偏光の青緑光BGpとが生成される。そして、本実施例のダイクロイック偏光変換アレイ106Aによって、光源101からの光を効率良く利用することができる。
【実施例3】
【0061】
図10には、本発明の実施例3であるダイクロイック偏光変換アレイを示す。本実施例のダイクロイック偏光変換アレイ106Bも、実施例1で説明したプロジェクタの光学ユニットと同じ光学ユニットに用いられる。
【0062】
図中の31はダイクロイックアレイ部(第1の素子部)であり、32は偏光分離アレイ部(第2の素子部)である。33は偏光分離アレイ部32の射出面側に設けられた1/2位相板であり、34はダイクロイックアレイ部31の入射面側に設けられた遮光マスクである。なお、図には、ダイクロイックアレイ部31と偏光分離アレイ部32とが分離された状態で示されているが、実際にはこれらは接着等によって一体化されて1つの素子として取り扱われる。本実施例のダイクロイック偏光変換アレイは、光入射側から順に、ダイクロイック膜(ダイクロイック面)43、偏光分離膜(偏光分離面)53及び1/2位相板33が配置されたダイクロイック偏光変換アレイである。
【0063】
ダイクロイックアレイ部31は、入射面41と該入射面41に平行な射出面42とを有する。入射面41と射出面42との間には、それぞれ入射面11に対して45°の角度をなす複数のダイクロイック膜43が光入射方向(図の左側から右側)に対して直交する方向に互いに平行に設けられている。入射面41のうち複数のダイクロイック膜43に入射する光が通る複数のスリット状の開口領域以外の各領域には、遮光マスク34が貼り付けられている。
【0064】
偏光分離アレイ部32は、入射面51と該入射面51に平行な射出面52とを有する。入射面51と射出面22との間には、入射面51に対して45°の角度をなす複数の偏光分離膜53が光入射方向に対して直交する方向に複数設けられている。射出面52には、複数の偏光分離膜53を透過した光が射出する複数のスリット状の開口領域Dと、複数のダイクロイック膜53で反射した光が射出する複数のスリット状の開口領域Eとがあり、各開口領域Eには1/2位相板33が貼り付けられている。この構成により、複数のダイクロイック膜23は、複数の偏光分離膜13よりも光入射側に配置される。
【0065】
ダイクロイックアレイ部31におけるダイクロイック膜43間のピッチeと偏光分離アレイ部32における偏光分離膜53間のピッチfとは互いに等しい。そして、ダイクロイックアレイ部31の射出面42のうちダイクロイック膜43を透過した光が射出するスリット状の開口領域Bと、偏光分離アレイ部32の入射面51におけるこの光が入射するスリット状の開口領域Aとは、互いに対向するように近接している。また、ダイクロイックアレイ部31における射出面42のうちダイクロイック膜43で反射した光が射出するスリット状の開口領域Fと、偏光分離アレイ部32の入射面51におけるこの光が入射するスリット状の開口領域Hも、互いに対向するように近接している。
【0066】
偏光分離アレイ部1の射出面12のうち偏光分離膜13で反射した光が射出するスリット状の開口領域Fと、ダイクロイックアレイ部2の入射面21におけるこの光が入射するスリット状の開口領域Hも、互いに対向するように近接している。
【0067】
ダイクロイックアレイ部31のダイクロイック膜43は、入射した光を互いに異なる2つの波長領域成分に分離する。具体的には、ダイクロイック膜33は、図5に示すように、入射した光のうちR光を透過し、BとGの光を反射する特性を有する。
【0068】
また、偏光分離アレイ部32の偏光分離膜53は、入射した光を互いに異なる偏光方向を有する2つの偏光成分に分離する機能を有する。具体的には、偏光分離膜53は、入射した光のうちP偏光を透過して、S偏光を反射する特性を有する。
【0069】
また、1/2位相板33は、各偏光分離膜53からの2つの偏光成分のうち一方の偏光成分の偏光方向を他方の偏光成分の偏光方向に一致させる。本実施例では、1/2位相板33は、スリット開口領域Eの長手方向に対して45°の方向に進相軸を傾けて設けられている。これにより、1/2位相板33は、S偏光として入射した光の偏光方向を90度回転させてP偏光として射出する。
【0070】
次に、図11〜図13を用いてダイクロイック偏光変換アレイ106の光学作用について説明する。
【0071】
図11において、Wnは白色無偏光光を示す。白色無偏光光Wnは、ダイクロイックアレイ部31の入射面41における開口領域からダイクロイックアレイ部31に入射し、ダイクロイック膜43で無偏光の赤光Rnと無偏光の青緑光BGnとに分離される。ダイクロイック膜43を透過した無偏光の赤光Rnは、ダイクロイックアレイ部31の射出面42における開口領域Bから射出する。また、ダイクロイック膜43で反射した無偏光の青緑光BGnは、その隣のダイクロイック膜43で再び反射して、無偏光の赤光Rnと同方向に向かう。そして、無偏光の赤光Rnが射出する開口領域Bの隣の開口領域Fから射出する。
【0072】
図12において、無偏光の赤光Rnは、偏光分離アレイ部32の入射面51における開口領域Aから偏光分離アレイ部32に入射し、偏光分離膜53でP偏光の赤光RpとS偏光の赤光Rsとに分離される。偏光分離膜53を透過したP偏光の赤光Rpは、偏光分離アレイ部32の射出面52における開口領域Dから射出する。一方、偏光分離膜53で反射したS偏光の赤光Rsは、その隣の偏光分離膜53で再び反射し、P偏光の赤光Rpと同方向に向かう。そして、P偏光の赤光Rpが射出する開口領域Dの隣の開口領域Eから射出し、1/2位相板33を透過することでP偏光の赤光Rpとなる。
【0073】
また、図13において、無偏光の青緑光BGnは、赤光Rnとは異なる開口領域Hから偏光分離アレイ部32に入射し、偏光分離膜53でP偏光の青緑光BGpとS偏光の青緑光BGsとに分離される。偏光分離膜53を透過したP偏光の青緑光BGpは、射出面52における開口領域Eから射出し、1/2位相板33を透過することでS偏光の青緑光BGsとなる。また、偏光分離膜53で反射したS偏光の青緑光BGsは、その隣の偏光分離膜53で再び反射し、P偏光の青緑光BGpと同方向に向かい、P偏光の青緑光BGpが射出する開口領域Eの隣の開口領域Dから射出する。
【0074】
以上のようにして、白色無偏光光WnからP偏光の赤光RpとS偏光の青緑光BGsとが生成される。そして、本実施例のダイクロイック偏光変換アレイ106Bによって、光源101からの光を効率良く利用することができる。
【0075】
なお、以上の実施例では、互いに異なる偏光方向を有する赤光と青緑光を生成する場合について説明したが、ダイクロイック偏光変換アレイに設けるダイクロイック膜の特性によって、分離される色光とその偏光方向との組み合わせは任意である。
【実施例4】
【0076】
図14には、本発明の実施例4であるダイクロイック偏光変換アレイを示している。この実施例のダイクロイック偏光変換アレイ106Dは、実施例1(〜3)にて説明した偏光分離アレイ部とダイクロイックアレイ部とを接合するのではなく、はじめから一体の素子として製作される。光学作用は、実施例1のダイクロイック偏光変換アレイ106と同じである。
【0077】
本実施例のダイクロイック偏光変換アレイ106Dの製造方法について簡単に説明する。まず、図15に示すように、1枚のガラス基板の同一面上に偏光分離膜部PBとダイクロイック膜部DCとを特定方向(第1の方向)に交互に形成した基板71を用意する。また、他の1枚のガラス基板の同一面上に反射膜部RFとダイクロイック膜部DCとを上記特定方向に交互に形成した基板72を用意する。
【0078】
これら基板71,72を、図16に示すように、偏光分離膜部PB(又は反射膜部RF)とダイクロイック膜部DCの位置が、図中の垂直方向Vから見て半ピッチずれるように基板71と基板72とを交互に貼り合わせる(重ね合わせる)。
【0079】
そして、これを図16中の点線に沿って、重ね合わせ方向に対して45°の方向にカットする。ここで、膜部PB,RF,DMの幅は、各基板の厚さkの2倍に設定している。
これにより、実施例1(〜3)と同様の光学作用を有するダイクロイック偏光変換アレイを容易に製作することができる。
【実施例5】
【0080】
図17には、本発明の実施例5であるダイクロイック偏光変換アレイを示している。このダイクロイック偏光変換アレイ106Eは、偏光分離アレイ部81の偏光分離膜91とダイクロイックアレイ部82のダイクロイック膜92とが、光入射方向において互いに反対向きに傾くように配置されている。すなわち、偏光分離膜91とダイクロイック膜92とが90°をなすように配置されている。光学作用は、実施例1のダイクロイック偏光変換アレイ106と同じである。
【0081】
このような構成にすると、分離した光成分のずれ量(図1のΔ、図11のΔ′)が小さくなる(Δ′<Δ)ので、光学ユニットが大型化することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施例1であるダイクロイック偏光変換アレイの構成を示す断面図。
【図2】実施例1のダイクロイック偏光変換アレイの光学作用を示す断面図。
【図3】実施例1のダイクロイック偏光変換アレイの光学作用を示す断面図。
【図4】実施例1のダイクロイック偏光変換アレイの光学作用を示す断面図。
【図5】上記ダイクロイック偏光変換アレイで用いられているダイクロイック膜の特性を示す図。
【図6】本発明の実施例2であるダイクロイック偏光変換アレイの構成を示す断面図。
【図7】実施例2のダイクロイック偏光変換アレイの光学作用を示す断面図。
【図8】実施例2のダイクロイック偏光変換アレイの光学作用を示す断面図。
【図9】実施例2のダイクロイック偏光変換アレイの光学作用を示す断面図。
【図10】本発明の実施例3であるダイクロイック偏光変換アレイの構成を示す断面図。
【図11】実施例3のダイクロイック偏光変換アレイの光学作用を示す断面図。
【図12】実施例3のダイクロイック偏光変換アレイの光学作用を示す断面図。
【図13】実施例3のダイクロイック偏光変換アレイの光学作用を示す断面図。
【図14】本発明の実施例4であるダイクロイック偏光変換アレイの構成を示す断面図。
【図15】実施例4のダイクロイック偏光変換アレイの製作方法を説明する図。
【図16】実施例4のダイクロイック偏光変換アレイの製作方法を説明する図。
【図17】本発明の実施例5であるダイクロイック偏光変換アレイの構成を示す断面図。
【図18】実施例1のダイクロイック偏光変換アレイを用いたプロジェクタの構成を示す図。
【符号の説明】
【0083】
1,32 偏光分離アレイ部
2,31 ダイクロイックアレイ部
3,33 1/2位相板
4,34 遮光マスク
13,53 偏光分離膜
14 反射膜
23,43 ダイクロイック膜
106〜106D ダイクロイック偏光変換アレイ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ入射した光を互いに異なる偏光方向を有する2つの偏光成分に分離する複数の偏光分離面と、
それぞれ前記各偏光分離面からの2つの偏光成分のうち一方の偏光成分の偏光方向を他方の偏光成分の偏光方向に一致させる複数の位相板と、
前記複数の偏光分離面よりも光入射側又は前記複数の偏光分離面と前記複数の位相板との間に配置され、それぞれ入射した光を互いに異なる2つの波長領域成分に分離する複数のダイクロイック面とを有することを特徴とする波長選択性偏光変換素子。
【請求項2】
第1の方向に沿って配置された複数の偏光分離面と、
前記第1の方向に沿って配置された複数のダイクロイック面と、
前記第1の方向に沿って配置された複数の位相板と、
を有する波長選択性偏光変換素子であって、
前記複数の偏光分離面と前記複数のダイクロイック面とによって、白色の無偏光状態の光束を、S偏光の第1色光とS偏光の第2色光とP偏光の第3色光とを束ねた複数の第1光束と、P偏光の第1色光とP偏光の第2色光とS偏光の第3色光とを束ねた複数の第2光束とに分割し、
前記複数の位相板によって、前記第1光束及び前記第2光束のうち一方の光束の偏光方向を他方の偏光方向に一致させることを特徴とする波長選択性偏光変換素子。
【請求項3】
前記光入射側から順に、
前記複数の偏光分離面及び該偏光分離面で反射された光を反射する複数の反射膜を有する第1の素子部と、
前記複数のダイクロイック面及び前記複数の位相板を有する第2の素子部とにより構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の波長選択性偏光変換素子。
【請求項4】
前記光入射側から順に、
前記複数のダイクロイック面を有する第1の素子部と、
前記複数の偏光分離面及び前記複数の位相板を有する第2の素子部とにより構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の波長選択性偏光変換素子。
【請求項5】
光の入射方向に対して、前記複数の偏光分離面と前記複数のダイクロイック面とが互いに反対向きに傾いていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の波長選択性偏光変換素子。
【請求項6】
前記偏光分離面と前記ダイクロイック面とが同一面上にて第1の方向に交互に形成された基板を、該基板の厚さ方向に、互いに前記第1の方向に位置をずらして重ねることにより構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の波長選択性偏光変換素子。
【請求項7】
光入射側から順に、
第1の方向に沿って配置された複数の第1光学面と、
前記第1の方向に沿って配置された複数の第2光学面と、
前記第1の方向に沿って配置された複数の1/2位相板と、
を有する波長選択性偏光変換素子であって、
前記第1光学面及び第2光学面のうち一方が偏光分離面、他方がダイクロイック面であって、
前記複数の1/2位相板が、前記第1の方向に沿って配置された複数の第2光学面のうち1つおきの第2光学面に対応して配置されていることを特徴とする波長選択性偏光変換素子。
【請求項8】
光源からの光を複数の光束に分割するレンズアレイと、
該レンズアレイからの複数の光束が入射する請求項1から7のいずれか1つに記載の波長選択性偏光変換素子と、
該波長選択性偏光変換素子からの複数の光束を被照明面にて重ね合わせるコンデンサーレンズとを有することを特徴とする照明光学系。
【請求項9】
請求項8に記載の照明光学系と、
該照明光学系からの互いに偏光方向が異なる2つの波長領域成分を互いに波長が異なる3つの光成分に分離して3つの画像形成素子に導き、該3つの画像形成素子からの前記3つの光成分を合成する色分解合成光学系と、
該色分解合成光学系からの合成光を投射する投射光学系とを有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項10】
請求項9に記載の光学ユニットを有することを特徴とする画像投射装置。
【請求項11】
請求項10に記載の画像投射装置と、
該画像投射装置に画像信号を入力する画像供給装置とを有することを特徴とする画像表示システム。
【請求項1】
それぞれ入射した光を互いに異なる偏光方向を有する2つの偏光成分に分離する複数の偏光分離面と、
それぞれ前記各偏光分離面からの2つの偏光成分のうち一方の偏光成分の偏光方向を他方の偏光成分の偏光方向に一致させる複数の位相板と、
前記複数の偏光分離面よりも光入射側又は前記複数の偏光分離面と前記複数の位相板との間に配置され、それぞれ入射した光を互いに異なる2つの波長領域成分に分離する複数のダイクロイック面とを有することを特徴とする波長選択性偏光変換素子。
【請求項2】
第1の方向に沿って配置された複数の偏光分離面と、
前記第1の方向に沿って配置された複数のダイクロイック面と、
前記第1の方向に沿って配置された複数の位相板と、
を有する波長選択性偏光変換素子であって、
前記複数の偏光分離面と前記複数のダイクロイック面とによって、白色の無偏光状態の光束を、S偏光の第1色光とS偏光の第2色光とP偏光の第3色光とを束ねた複数の第1光束と、P偏光の第1色光とP偏光の第2色光とS偏光の第3色光とを束ねた複数の第2光束とに分割し、
前記複数の位相板によって、前記第1光束及び前記第2光束のうち一方の光束の偏光方向を他方の偏光方向に一致させることを特徴とする波長選択性偏光変換素子。
【請求項3】
前記光入射側から順に、
前記複数の偏光分離面及び該偏光分離面で反射された光を反射する複数の反射膜を有する第1の素子部と、
前記複数のダイクロイック面及び前記複数の位相板を有する第2の素子部とにより構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の波長選択性偏光変換素子。
【請求項4】
前記光入射側から順に、
前記複数のダイクロイック面を有する第1の素子部と、
前記複数の偏光分離面及び前記複数の位相板を有する第2の素子部とにより構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の波長選択性偏光変換素子。
【請求項5】
光の入射方向に対して、前記複数の偏光分離面と前記複数のダイクロイック面とが互いに反対向きに傾いていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の波長選択性偏光変換素子。
【請求項6】
前記偏光分離面と前記ダイクロイック面とが同一面上にて第1の方向に交互に形成された基板を、該基板の厚さ方向に、互いに前記第1の方向に位置をずらして重ねることにより構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の波長選択性偏光変換素子。
【請求項7】
光入射側から順に、
第1の方向に沿って配置された複数の第1光学面と、
前記第1の方向に沿って配置された複数の第2光学面と、
前記第1の方向に沿って配置された複数の1/2位相板と、
を有する波長選択性偏光変換素子であって、
前記第1光学面及び第2光学面のうち一方が偏光分離面、他方がダイクロイック面であって、
前記複数の1/2位相板が、前記第1の方向に沿って配置された複数の第2光学面のうち1つおきの第2光学面に対応して配置されていることを特徴とする波長選択性偏光変換素子。
【請求項8】
光源からの光を複数の光束に分割するレンズアレイと、
該レンズアレイからの複数の光束が入射する請求項1から7のいずれか1つに記載の波長選択性偏光変換素子と、
該波長選択性偏光変換素子からの複数の光束を被照明面にて重ね合わせるコンデンサーレンズとを有することを特徴とする照明光学系。
【請求項9】
請求項8に記載の照明光学系と、
該照明光学系からの互いに偏光方向が異なる2つの波長領域成分を互いに波長が異なる3つの光成分に分離して3つの画像形成素子に導き、該3つの画像形成素子からの前記3つの光成分を合成する色分解合成光学系と、
該色分解合成光学系からの合成光を投射する投射光学系とを有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項10】
請求項9に記載の光学ユニットを有することを特徴とする画像投射装置。
【請求項11】
請求項10に記載の画像投射装置と、
該画像投射装置に画像信号を入力する画像供給装置とを有することを特徴とする画像表示システム。
【図17】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図18】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図18】
【公開番号】特開2009−3037(P2009−3037A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−161918(P2007−161918)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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