説明

注意喚起装置

【課題】運転者が気づくべき対象物を、より確実に気づかせることができる注意喚起装置を提供する。
【解決手段】注意喚起装置1は、自車両の周囲の障害物に関して運転者に注意を喚起する注意喚起装置であって、障害物を検知する注意対象検出部13と、注意対象検出部13により検知された障害物の、自車両のフロントガラス面における視認領域の周辺に対して、自車両の外部からウォッシャー液を噴出させて強調する噴出制御ECU21を備える。この装置によれば、自車両の外部からのウォッシャー液の噴出による強調表示を行なうことにより、例えば運転席から見える外部風景や、車室内に入射する外部光線の影響によって強調度合いが薄れることが無くなるため、運転者が気づくべき対象物を、より確実に気づかせることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両の周囲の障害物に関して運転者に注意を喚起する注意喚起装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車両の走行に影響を与える障害物の存在を運転者に通知する装置が提案されている。例えば、下記の特許文献1には、フロントガラスにおける歩行者等の障害物の位置に、運転者に対して注意を促すための光線をフロントガラスに対して車室内から投射して強調する運転支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−62762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に記載の発明では、車室内からの光線の投射による強調表示を行っている。車室内からの光線の投射の場合、運転席から見える外部風景や、車室内に入射する外部光線の影響によって強調度合いが薄れることがあり、運転者が気づくべき対象物が気づかれない状況になってしまうおそれがある。
【0005】
そこで本発明は、運転者が気づくべき対象物を、より確実に気づかせることができる注意喚起装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者は、上記した目的を達成するため鋭意検討し、運転者が気づくべき対象物を、より確実に気づかせることができる注意喚起装置を発明した。
【0007】
即ち、本発明に係る注意喚起装置は、自車両の周囲の障害物に関して運転者に注意を喚起する注意喚起装置であって、障害物を検知する検知手段と、検知手段により検知された障害物の、自車両のフロントガラス面における視認領域の周辺に対して、自車両の外部から噴出物を噴出して強調する噴出手段を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る注意喚起装置は、検知手段により検知された障害物の、自車両のフロントガラス面における視認領域の周辺に対して、噴出手段が自車両の外部から噴出物を噴出して強調する。このように、自車両の外部からの噴出物の噴出による強調表示を行なうことにより、例えば運転席から見える外部風景や、車室内に入射する外部光線の影響によって強調度合いが薄れることが無くなるため、運転者が気づくべき対象物を、より確実に気づかせることが可能になる。
【0009】
また、噴出手段は、雨天時に視認領域に対して、噴出物として空気を噴出するのも好ましい。これにより、雨天時にフロントガラスに雨滴が付着する状況になっても、視認領域には噴出物として空気が噴出されて雨滴が除去されるため、運転者が気づくべき対象物を雨天時でも確実に気づかせることが可能になる。
【0010】
また、注意喚起装置は、自車両の外部の状況に応じて、噴出物の粘度を変更する変更手段を更に備えるのも好ましい。自車両の外部の状況に応じて噴出物の粘度が変更されることにより、視認領域の周辺に対して噴出された噴出物のフロントガラスにおける噴出形状を崩れ難くすることができるため、運転者が気づくべき対象物を、より確実に気づかせることが可能になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、運転者が気づくべき対象物を、より確実に気づかせることができる注意喚起装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る注意喚起装置の構成概略図である。
【図2】フロントガラス面におけるウォッシャー液の模様の具体例を示す説明図である。
【図3】フロントガラス面におけるウォッシャー液の模様の具体例を示す説明図である。
【図4】フロントガラスが受ける雨量とウォッシャー液の粘度との関係を示すグラフである。
【図5】フロントガラスが受ける風圧とウォッシャー液の粘度との関係を示すグラフである。
【図6】ウォッシャー液の液温と粘度との関係を示す表である。
【図7】注意喚起装置で実行される注意喚起処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
(1)注意換気装置の構成
まず、図1を用いて、本発明の実施形態に係る注意喚起装置の構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る注意喚起装置1の構成概略図である。注意喚起装置1は、自動車等の車両(以下、自車両という。)に取り付けられて、自車両の周囲の障害物に関してドライバー(運転者)に注意を喚起することを目的として、液状のウォッシャー液(即ち、噴出物としての洗浄液)又は空気(噴出物)をフロントガラスに噴射する装置である。
【0015】
ここで、注意喚起装置1は、アイポイント検出センサ11(視点検出手段)、視線方向検出センサ12(視線検出手段)、注意対象検出部13(検知手段)、雨滴センサ14(雨天検出手段)、ワイパー動作センサ15(拭き取り動作検出手段)、風圧計16(風圧検出手段)、噴出制御ECU21(噴出手段)、噴出位置変更装置31(位置制御手段)、噴出形状変更装置32(形状制御手段)、噴出色変更装置33(変更手段)、エアー噴出装置34(空気噴出手段)、及びワイパー装置35(拭き取り動作手段)を備えている。
【0016】
アイポイント検出センサ11は、車室内に設置されてドライバーを撮影して画像処理を行う監視カメラを用いて、ドライバーのアイポイント(即ち、瞳の位置)を検出するセンサである。
【0017】
視線方向検出センサ12は、上記のカメラを用いて、ドライバーの視線方向を検出するセンサである。
【0018】
注意対象検出部13は、アイポイント検出センサ11によるアイポイントの検出結果や、視線方向検出センサ12による視線方向の検出結果や、赤外線による自車両の周囲画像の撮影結果や、ミリ波レーダによる周囲物体の検出結果に基づいて、自車両の周囲の障害物を、ドライバーが注意すべき対象として検知する演算部である。注意対象検出部13は、PCSシステム131(Pre−Crash Safty。即ち、衝突回避支援)と、ACCシステム132(Adaptive Cruise Control。即ち、車間距離制御)とに接続されている。
【0019】
なお、自車両の周囲の障害物の検知は、PCSシステム131及びACCシステム132によって行なわれ、注意対象検出部13は、これらのシステムにより検出された注意対象情報に基づいて、注意対象としての障害物は検知されたか否かを判定する。注意対象情報とは、上記のアイポイントからの上記の視線方向で視認できるフロントガラス面における注意対象が存在する位置及び方向や、注意対象の大きさや、注意対象の重要度等を含む、注意対象に関する情報である。また、注意対象検出部13は、この注意対象情報に基づいて、自車両のドライバーがこの注意対象に対して行なうべき運転行動の緊急性を数値化して決定する。
【0020】
雨滴センサ14は、自車両のフロントガラスに雨滴が付着しているか否かを判定することによって現時点で雨天時であるか否かを判断し、雨天時であると判断した場合には自車両のフロントガラスが受ける雨量を計測するセンサである。
【0021】
ワイパー動作センサ15は、ワイパー装置35が動作しているか否かを判定することによって、ワイパー装置35の動作状態を検出するセンサである。
【0022】
風圧計16は、自車両のフロントガラスが受ける風圧を計測することによって、計測された風圧は所定の風圧よりも高い状態であるか否かを判定する計測装置である。ここでは、風圧計16を用いて風圧を計測する構成とするが、風圧の代わりに風速や自車両の車速を計測してこれに基づいて判定を行う構成としてもよい。
【0023】
噴出制御ECU21は、注意対象検出部13により検知された障害物の、ドライバーから見えるフロントガラス面における位置(視認領域)の周辺に対して、自車両の外部からウォッシャー液(特に晴天時)や空気(特に雨天時)を噴出して強調するよう、ウォッシャー液の噴出元、空気の噴出元、噴出位置変更装置31、噴出形状変更装置32、噴出色変更装置33、エアー噴出装置34、及びワイパー装置35を制御する電子制御装置である。噴出制御ECU21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(RandomAccess Memory)等からなるマイクロコンピュータを主要構成部品とするユニットである。
【0024】
噴出位置変更装置31は、噴出制御ECU21によって制御されて、フロントガラスにおける、自車両の外部からウォッシャー液を噴出する位置を変更する装置である。通常、ウォッシャー液が噴出される位置は、障害物のフロントガラス面における視認領域(即ち、アイポイント及び障害物を結ぶ直線と、フロントガラスの外側表面とが交わる領域)の周辺である。
【0025】
噴出形状変更装置32は、噴出制御ECU21によって制御されて、フロントガラスに自車両の外部からウォッシャー液を噴出する際に施される模様の形状(即ち、図柄)を変更する装置である。通常、ウォッシャー液を噴出する際に施される模様は、障害物のフロントガラス面における視認領域を囲む輪状(即ち、リング状)模様である。フロントガラス面におけるウォッシャー液の模様の具体例については、後述する。
【0026】
噴出色変更装置33は、噴出制御ECU21によって制御されて、フロントガラスに自車両の外部から噴出するウォッシャー液の色の決定や変更を行う装置である。通常、ウォッシャー液の色としては黄色が選択されるが、後述するように緊急性が高い場合は赤色が選択される。
【0027】
また、噴出色変更装置33は、噴出制御ECU21によって制御されて、自車両の外部の状況に応じてウォッシャー液の粘度の決定や変更を行なう。通常、ウォッシャー液の粘度は常温(例えば20℃)の場合の粘度が選択されるが、後述するようにワイパー装置35が動作している場合は、常温の場合の粘度よりも高い粘度が選択される。自車両の外部の状況の判断や検出や計測は、雨滴センサ14やワイパー動作センサ15や風圧計16等によって行なわれる。自車両の外部の状況(例えば雨量や風圧やウォッシャー液の液温)に応じて変更される粘度の具体例については、後述する。
【0028】
エアー噴出装置34は、噴出制御ECU21によって制御されて、噴出物として空気を噴出する装置である。これによって、フロントガラス上に噴出されたウォッシャー液等を吹き飛ばすことが可能になる。また、エアー噴出装置34は、噴出制御ECU21によって制御されて、雨天時に上記の視認領域に対して、噴出物として空気を噴出する。これによって、フロントガラス上に付着した雨滴を吹き飛ばすことが可能になる。雨天時であるか否かの判断は、上記の雨滴センサ14によって行なわれる。
【0029】
ワイパー装置35は、噴出制御ECU21によって制御されて作動することによって、フロントガラスに噴出されたウォッシャー液を拭き取るためのワイパ部である。ワイパー装置35が作動することによってウォッシャー液が拭き取られると、フロントガラスは洗浄されてクリアーな状態になる。
【0030】
(2)フロントガラス面におけるウォッシャー液の模様の具体例
次に、図2及び図3を用いて、フロントガラス面におけるウォッシャー液の模様の具体例について説明する。図2及び図3は、フロントガラス面におけるウォッシャー液の模様の具体例を示す説明図である。
【0031】
まず、第一の具体例として、図2に示されるように、注意対象検出部13により検知された障害物としての人Pの、フロントガラスG面における視認領域Z(即ち、アイポイント及び人Pを結ぶ直線と、フロントガラスGの外側表面とが交わる領域)の周辺に対して、視認領域Zを囲む輪状模様Rになるように、赤色(又は黄色)の顔料によって着色されたウォッシャー液が噴出されている。
【0032】
また、第二の具体例として、図3に示されるように、注意対象検出部13により検知された障害物としての人Pの、フロントガラスG面における視認領域Zを含む円状領域Cを除く、全ての領域に対して、赤色(又は黄色)の顔料によって着色されたウォッシャー液が噴出されている。これによって、障害物としての人P以外はドライバーにとって見え難くなるため、人Pに対するドライバーの運転の際の集中度が高められる。
【0033】
(3)自車両の外部の状況とウォッシャー液の粘度との関係
次に、図4及び図5を用いて、自車両の外部の状況とウォッシャー液の粘度との関係について説明する。図4は、雨滴センサ14によって計測されたフロントガラスGが受ける雨量と、噴出色変更装置33によって決定されるウォッシャー液の粘度との関係を示すグラフである。また、図5は、風圧計16によって計測されたフロントガラスGが受ける風圧と、噴出色変更装置33によって決定されるウォッシャー液の粘度との関係を示すグラフである。
【0034】
まず、図4を用いて、雨滴センサ14によって計測されたフロントガラスGが受ける雨量と、噴出色変更装置33によって決定されるウォッシャー液の粘度との関係を説明する。縦軸Vはウォッシャー液の粘度の高さを示し、横軸Rは計測された雨量の多さを示している。雨量がゼロの場合に粘度は最も低く、雨量が多くなるほど粘度が高く決定される。雨量が多くなるほど粘度が高く決定されることにより、ウォッシャー液のフロントガラスGにおける噴出形状を(例え雨や風があっても)崩れ難くすることができるため、ドライバーが気づくべき対象物を、より確実に気づかせることが可能になる。
【0035】
次に、図5を用いて、風圧計16によって計測されたフロントガラスGが受ける風圧と、噴出色変更装置33によって決定されるウォッシャー液の粘度との関係を説明する。縦軸Vはウォッシャー液の粘度の高さを示し、横軸Rは計測された風圧の高さを示している。風圧がゼロの場合に粘度は最も低く、風圧が高くなるほど粘度が高く決定される。風圧が高くなるほど粘度が高く決定されることにより、ウォッシャー液のフロントガラスGにおける噴出形状を(例え雨や風があっても)崩れ難くすることができるため、ドライバーが気づくべき対象物を、より確実に気づかせることが可能になる。
【0036】
(4)ウォッシャー液の液温と粘度との関係
次に、図6を用いて、ウォッシャー液の液温と粘度との関係について説明する。図6は、ウォッシャー液の液温と粘度との関係を示す表である。図6に示されるように、液温が0℃の場合は粘度は1.792cPであり、液温が10℃の場合は粘度は1.307cPであり、液温が20℃の場合は粘度は1.002cPであり、液温が30℃の場合は粘度は0.797cPである。即ち、液温が高くなるほど粘度が低くなる。
【0037】
通常、ウォッシャー液の粘度は常温(例えば20℃)の場合の粘度が選択されるが、後述するようにワイパー装置35が動作している場合は、常温の場合の粘度よりも高い粘度が噴出色変更装置33によって選択される。このとき、噴出色変更装置33は、常温の場合の粘度よりも高い粘度のウォッシャー液を用いるために、例えばウォッシャー液を冷却する処理を行って液温を低下させればよい。
【0038】
(5)注意喚起処理の流れ
次に、図7を用いて、注意喚起装置1で実行される注意喚起処理(注意喚起方法)の流れについて、説明する。図7は、注意喚起装置1で実行される注意喚起処理の流れを示すフローチャートである。図7のフローチャートに示される処理は、主として噴出制御ECU21によって行われるものであり、注意喚起装置1の電源がオンされてからオフされるまでの間、所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0039】
まず、アイポイント検出センサ11が、車室内に設置されてドライバーを撮影して画像処理を行う監視カメラを用いて、ドライバーのアイポイント(即ち、瞳の位置)を検出する(ステップS01)。このとき、視線方向検出センサ12が、上記のカメラを用いて、ドライバーの視線方向を検出する。次に、注意対象検出部13が、アイポイント検出センサ11によるアイポイントの検出結果や、視線方向検出センサ12による視線方向の検出結果や、赤外線による自車両の周囲画像の撮影結果や、ミリ波レーダによる周囲物体の検出結果に基づいて、注意対象としての障害物は検知されたか否かを判定する(ステップS02)。注意対象としての障害物は検知されなかったと判定された場合は、一連の処理は終了する。一方、注意対象としての障害物は検知されたと判定された場合は、後述のステップS03に移行する。
【0040】
ステップS03では、注意対象検出部13が、PCSシステム131及びACCシステム132により検出された注意対象情報を取得する。注意対象情報とは、上記のアイポイントからの上記の視線方向で視認できるフロントガラスG面における注意対象が存在する位置及び方向や、注意対象の大きさや、注意対象の重要度等を含む、注意対象に関する情報である。次に、ワイパー動作センサ15が、ワイパー装置35が動作中であるか否かを判定することによって、ワイパー装置35の動作状態を検出する(ステップS04)。ここでは、雨滴センサ14によって現時点で雨天時であると判断された場合には、ワイパー装置35が動作しているとする。ワイパー装置35は動作していないと判定された場合は、後述のステップS05に移行する。一方、ワイパー装置35は動作中であると判定された場合は、後述のステップS11に移行する。
【0041】
ステップS05では、風圧計16が、自車両のフロントガラスGが受ける風圧を計測することによって、計測された風圧は所定の風圧よりも高い状態であるか否かを判定する。計測された風圧は所定の風圧よりも高い状態であると判定された場合は、後述のステップS11に移行する。一方、計測された風圧は所定の風圧以下の状態であると判定された場合は、後述のステップS06に移行する。
【0042】
ステップS06では、注意対象検出部13が、上記の注意対象情報に基づいて、自車両のドライバーがこの注意対象に対して行なうべき運転行動の緊急性を数値化して決定することによって、決定された緊急性は所定の緊急性よりも高い状態であるか否かを判定する。決定された緊急性は所定の緊急性以下の状態であると判定された場合は、後述のステップS21に移行する。一方、決定された緊急性は所定の緊急性よりも高い状態であると判定された場合は、後述のステップS07に移行する。
【0043】
ステップS07では、噴出色変更装置33が、ウォッシャー液の色として赤色を選択し、噴出制御ECU21が、障害物のフロントガラスG面における視認領域の周辺に対して、この赤色のウォッシャー液を噴出するよう、ウォッシャー液の噴出元を制御する。これにより、赤色のウォッシャー液が、自車両の外部からフロントガラスGに噴出される。そして、後述のステップS08に移行する。
【0044】
ステップS21では、噴出色変更装置33が、ウォッシャー液の色として黄色を選択し、噴出制御ECU21が、障害物のフロントガラスG面における視認領域の周辺に対して、この黄色のウォッシャー液を噴出するよう、ウォッシャー液の噴出元を制御する。これにより、黄色のウォッシャー液が、自車両の外部からフロントガラスGに噴出される。そして、後述のステップS08に移行する。
【0045】
ステップS08では、エアー噴出装置34が、ウォッシャー液がフロントガラスGに噴出されてから認識のための所要時間(即ち、ドライバーが気づくべき対象物が認識されるために必要な所定の時間)経過後に、噴出物として空気を噴出する。これによって、フロントガラスG上に噴出されたウォッシャー液等が吹き飛ばされる。そして、一連の処理は終了する。
【0046】
ステップS11では、注意対象検出部13が、上記の注意対象情報に基づいて、自車両のドライバーがこの注意対象に対して行なうべき運転行動の緊急性を数値化して決定することによって、決定された緊急性は所定の緊急性よりも高い状態であるか否かを判定する。決定された緊急性は所定の緊急性以下の状態であると判定された場合は、後述のステップS31に移行する。一方、決定された緊急性は所定の緊急性よりも高い状態であると判定された場合は、後述のステップS12に移行する。
【0047】
ステップS12では、噴出色変更装置33が、ウォッシャー液の色として赤色を選択した上で上記したウォッシャー液の冷却処理を行って粘度を高めてから、噴出制御ECU21が、障害物のフロントガラスG面における視認領域Zの周辺に対して、この高粘性の赤色のウォッシャー液を噴出するよう、ウォッシャー液の噴出元を制御する。これにより、高粘性の赤色のウォッシャー液が、自車両の外部からフロントガラスGに噴出される。そして、後述のステップS13に移行する。ここで、高粘性の赤色のウォッシャー液を噴出する所定時間前に、エアー噴出装置34が、上記の視認領域Zに対して、噴出物として空気を噴出するのが好ましい。これによって、視認領域Zにおける雨滴が吹き飛ばされて、ドライバーが気づくべき対象物を雨天時でも確実に注視させて気づかせることが可能になる。
【0048】
ステップS31では、噴出色変更装置33が、ウォッシャー液の色として黄色を選択した上で上記したウォッシャー液の冷却処理を行って粘度を高めてから、噴出制御ECU21が、障害物のフロントガラスG面における視認領域Zの周辺に対して、この高粘性の黄色のウォッシャー液を噴出するよう、ウォッシャー液の噴出元を制御する。これにより、高粘性の黄色のウォッシャー液が、自車両の外部からフロントガラスGに噴出される。そして、後述のステップS13に移行する。ここで、高粘性の黄色のウォッシャー液を噴出する所定時間前に、エアー噴出装置34が、上記の視認領域Zに対して、噴出物として空気を噴出するのが好ましい。これによって、視認領域Zにおける雨滴が吹き飛ばされて、ドライバーが気づくべき対象物を雨天時でも確実に注視させて気づかせることが可能になる。
【0049】
ステップS13では、自車両の周囲の障害物が、ドライバーが注意すべき対象としてドライバーによって認知されるまで、噴出制御ECU21が、ワイパー装置35の動作を停止させる。ドライバーがこの注意対象を認知したか否かの判定は、アイポイント検出センサ11によるアイポイントの検出結果や、視線方向検出センサ12による視線方向の検出結果に基づいて、注意対象検出部13が行なう。そして、自車両の周囲の障害物が、ドライバーが注意すべき対象としてドライバーによって認識されたと判定されると、噴出制御ECU21が、ワイパー装置35を作動させる(ステップS14)。これによって、フロントガラスG上に噴出されたウォッシャー液が拭き取られる。そして、一連の処理は終了する。
【0050】
(6)注意喚起装置による作用及び効果
上記したように、注意喚起装置1は、注意対象検出部13により検知された障害物の、自車両のフロントガラスG面における視認領域Zの周辺に対して、噴出制御ECU21が自車両の外部からウォッシャー液を噴出させて障害物を強調する(ステップS07,ステップS12,ステップS21,ステップS31)。このように、自車両の外部からのウォッシャー液の噴出による強調表示を行なうことにより、例えば運転席から見える外部風景や、車室内に入射する外部光線の外部影響によって強調度合いが薄れることが無くなるため、ドライバーが気づくべき対象物を、より確実に注視させて容易に気づかせることが可能になる。
【0051】
また、雨天時にフロントガラスGに雨滴が付着する状況になっても、視認領域Zには噴出物として空気が噴出されて雨滴が除去されるため(ステップS12,ステップS31)、ドライバーが気づくべき対象物を雨天時でも確実に注視させて気づかせることが可能になる。
【0052】
また、ワイパー装置35は動作中であると判定された状況(ステップS02のYES)や、計測された風圧は所定の風圧よりも高い状態であると判定された状況(ステップS05のYES)ではウォッシャー液の粘度が高められる(ステップS12,ステップS31)といったように、自車両の外部の外乱状況に応じてウォッシャー液の粘度が変更される。これにより、視認領域Zの周辺に対して噴出されたウォッシャー液のフロントガラスGにおける噴出形状を(例え雨や風があっても)崩れ難くすることができるため、ドライバーが気づくべき対象物を、より確実に注視させて気づかせることが可能になる。
【0053】
(7)変形例
上記の実施例では、ウォッシャー液を着色する色として赤色や黄色を用いる構成としたが、運転者が気づくべき対象物を確実に気づかせることができる色であれば特に限定されず、例えば蛍光色を用いる構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によれば、運転者が気づくべき対象物を、より確実に気づかせることができる注意喚起装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0055】
1…注意喚起装置、11…アイポイント検出センサ、12…視線方向検出センサ、13…注意対象検出部、14…雨滴センサ、15…ワイパー動作センサ、16…風圧計、21…噴出制御ECU、31…噴出位置変更装置、32…噴出形状変更装置、33…噴出色変更装置、34…エアー噴出装置、35…ワイパー装置、131…PCSシステム、132…ACCシステム、C…円状領域、G…フロントガラス、P…人、R…輪状模様、Z…視認領域。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の周囲の障害物に関して運転者に注意を喚起する注意喚起装置であって、
前記障害物を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知された前記障害物の、前記自車両のフロントガラス面における視認領域の周辺に対して、前記自車両の外部から噴出物を噴出して強調する噴出手段を備えることを特徴とする注意換気装置。
【請求項2】
前記噴出手段は、雨天時に前記視認領域に対して、前記噴出物として空気を噴出することを特徴とする、請求項1に記載の注意換気装置。
【請求項3】
前記自車両の外部の状況に応じて、前記噴出物の粘度を変更する変更手段を更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の注意換気装置。


【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−208465(P2010−208465A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56440(P2009−56440)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】