説明

洗浄剤組成物

【課題】皮膚(頭皮を含む)に対する刺激が緩和で高いマイルド性を有すると共に、すすぎ時のさっぱり感を有する洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】(A)炭素数12〜18の脂肪酸塩と、(B)両性界面活性剤及び/又は半極性界面活性剤と、(C)ポリグリセリンモノアルキルエーテルとを含有する洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚(頭皮を含む)に対する刺激が緩和で高いマイルド性を有すると共に、すすぎ時のさっぱり感を有する洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗浄剤としての基本性能である洗浄力や起泡性を損なうことなく、皮膚や頭髪に対して刺激が少なく、かつすすぎ時にぬるつきが少なく、さっぱりした使用感を与える洗浄剤が望まれていた。泡立ちの良さとすすぎ時のさっぱり感という点から、日本では、高級脂肪酸塩が消費者の嗜好性の点で活用されてきた。しかしながら、高級脂肪酸塩は、必要以上の皮脂が取り去られ、皮膚がつっぱりを生じたり、カサカサになるという不具合点があった。
【0003】
これに対して、マイルド性の高いアミドプロピルベタイン等の両性界面活性剤の併用が提案されているが(特許文献1:特開2002−167324号公報参照)、これらの組成物において、マイルド性が満足できる十分量の両性界面活性剤を配合すると、すすぎ時にぬるつきが生じるという不具合があった。
【0004】
低刺激性界面活性剤を使用することによる皮膚へのマイルド性や洗浄後のうるおい感の向上を図った洗浄剤組成物が提案されているが(特許文献2:特開平3−153798号公報参照)、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩等に比べそのマイルド性は高いものの、使用頻度の高い皮膚洗浄剤としては未だ十分でない。
【0005】
特定の低刺激性界面活性剤と、特定のHLBのノニオン界面活性剤とを組み合わせることで蛋白変性率を低減し、皮膚刺激性を減少させた洗浄剤組成物が提案されている(特許文献3:特開昭61−272294号公報参照、特許文献4:特開昭61−272297号公報参照)。しかしながら、使用性の点から重要な起泡性が十分ではなく、また、すすぎ時のぬるつきが残り、さっぱりしないという点で満足のいくものではなかった。
【0006】
特定の低刺激性界面活性剤と、イセチオネート型アニオン界面活性剤と、特定のノニオン界面活性剤とを組み合わせることで、低刺激性と起泡力、泡質のクリーミィ感の両立を図る技術が提案されている(特許文献5:特開平5−86397号公報参照)。しかしながら、すすぎ時にぬるつきが生じ、すすぎ時の肌感触が良好でないという問題があった。
【0007】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル型ノニオン界面活性剤と、アミドエーテルカルボン酸塩とを組み合せることで、低刺激性と洗浄性の両立を図った洗浄剤組成物が提案されている(特許文献6:特開平8−239688号公報)。しかしながら、使用性の点から重要な起泡性が十分ではなく、またすすぎ時のぬるつきのなさに関しても満足のいくものではなかった。
【0008】
高級脂肪酸塩にポリグリセリン脂肪酸エステルと、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステルとを組み合わせることで、起泡力を損なわずに、経日保存安定性を向上した洗浄剤組成物が提案されている(特許文献7:特開2005−139071号公報参照)。しかしながら、高級脂肪酸塩の中でも、対イオンがカリウムやナトリウムとした場合には、アルカリ性の組成物中、経日でこれらのエステル類が加水分解することにより、皮膚への刺激低減効果が十分発揮できず、さらに液状の洗浄剤組成物においては、常温保存においてpHが低下することにより、組成物がゲル化する等の問題があった。
【0009】
アニオン界面活性剤と、両性界面活性剤及び半極性界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤と、POEアルキルエーテルと、特定のカチオン性高分子との組み合わせにより、マイルド性と泡性能、すすぎ性能を両立させた洗浄剤組成物が提案されている(特許文献8:特開2004−35524号公報)。しかしながら、近年は、目的に応じて、種々のすすぎ感触が求められてきており、例えば、POEアルキルエーテルを用いた場合は、すすぎ時のつるつるした感触は良好なものの、さっぱり感が好みの人にとっては必ずしも満足のいくものではなかった。以上のことから、皮膚(頭皮を含む)に対する刺激が緩和で高いマイルド性を有すると共に、すすぎ時のさっぱり感を有する洗浄剤組成物が望まれていた。
【0010】
【特許文献1】特開2002−167324号公報
【特許文献2】特開平3−153798号公報
【特許文献3】特開昭61−272294号公報
【特許文献4】特開昭61−272297号公報
【特許文献5】特開平5−86397号公報
【特許文献6】特開平8−239688号公報
【特許文献7】特開2005−139071号公報
【特許文献8】特開2004−35524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、皮膚(頭皮を含む)に対する刺激が緩和で高いマイルド性を有すると共に、すすぎ時のさっぱり感を有する洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、(A)炭素数12〜18の脂肪酸塩と、(B)両性界面活性剤及び/又は半極性界面活性剤と、(C)ポリグリセリンモノアルキルエーテルとを用いることにより、皮膚(頭皮を含む)に対する刺激が緩和で高いマイルド性を有することと、すすぎ時のさっぱり感とを両立する洗浄剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0013】
従って、本発明は
[1](A)炭素数12〜18の脂肪酸塩と、(B)両性界面活性剤及び/又は半極性界面活性剤と、(C)ポリグリセリンモノアルキルエーテルとを含有する洗浄剤組成物、
[2]さらに、(D)カチオン基を有する高分子化合物を含有する[1]記載の洗浄剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、皮膚(頭皮を含む)に対する刺激が緩和で高いマイルド性を有すると共に、すすぎ時のさっぱり感を有する洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の(A)成分は炭素数12〜18の脂肪酸塩であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。炭素数12〜18の脂肪酸塩としては、通常の洗浄剤組成物に用いられるものであれば特に制限されず用いることができる。具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の炭素数12〜18の飽和及び不飽和脂肪酸、これらの混合物であるヤシ油脂肪酸、硬化ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、硬化パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸及び硬化牛脂脂肪酸等の塩が挙げられ、塩としてはカリウム塩、ナトリウム塩、トリエタノールアミン塩及びアンモニウム塩等が挙げられる。炭素数12〜18の脂肪酸塩としては、そのものを配合してもよく、洗浄剤組成物中に脂肪酸とアルカリをそれぞれ別々に配合して、中和して用いてもよい。
【0016】
(A)炭素数12〜18の脂肪酸塩の配合量は、剤型にもより異なるが、洗浄剤組成物中2〜95質量%が好ましい。液状の場合は、5〜30質量%が好ましい。配合量が2質量%未満だと、起泡性が十分でない場合があり、95質量%を超えると洗浄剤組成物の粘度が上がる等の製造性が低下する場合がある。
【0017】
パルミチン酸(C16)、ステアリン酸(C18)、オレイン酸(C18)等の炭素数16〜18の飽和及び不飽和脂肪酸の塩である炭素数16以上の脂肪酸塩が、(A)成分全量に対して10質量%以上にすることにより、皮膚刺激をさらに抑制する。
【0018】
本発明の(B)成分は両性界面活性剤及び/又は半極性界面活性剤であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。両性界面活性剤及び/又は半極性界面活性剤としては、通常の洗浄剤に用いられるものであれば特に制限されない。両性界面活性剤としては、イミダゾリン型、(アミドアミン型)、アミドアミノ酸塩、カルボベタイン型(アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン)、スルホベタイン型(アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン)、ホスホベタイン型が挙げられ、半極性界面活性剤としては、アシル第3級アミンオキシド、アシル第3級ホスフォンオキシド等が挙げられる。
【0019】
イミダゾリン型として、ヤシ油アルキル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等、アルキルベタインとして、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等、アルキルアミドベタインとして、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が挙げられる。
【0020】
アルキルスルホベタインとして、ヤシ油脂肪酸ジメチルスルホプロピルベタイン等、アルキルヒドロキシスルホベタインとして、ラウリルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、ホスホベタイン型として、ラウリルヒドロキシホスホベタイン等が挙げられる。
【0021】
アシル第3級アミンオキシドとしては、ラウリルジメチルアミンオキシド等、アシル第3級ホスフォンオキシドとしては、ラウリルジメチルホスフォンオキシド等が挙げられる。
【0022】
この中でも、カルボベタイン型、アシル第3級アミンオキシドが好ましく、安定性の点からは脱塩処理したものが好ましい。
【0023】
(B)両性界面活性剤及び/又は半極性界面活性剤の配合量は、洗浄剤組成物中0.5〜20質量%が好ましく、より好ましくは1〜10質量%である。0.5質量%未満だと皮膚(頭皮も含む)に対する刺激緩和の効果が十分でない場合があり、20質量%を超えると組成物の泡のクリーミィ性に欠ける場合がある。
【0024】
本発明の(C)成分はポリグリセリンモノアルキルエーテルであり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。ポリグリセリンモノアルキルエーテルとしては、下記一般式(1)で表されるものが挙げられる。
1−(OCH2CH(OH)CH2n−OH (1)
(式中、R1は炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、n=3〜20の整数を示す。ポリグリセリンモノアルキルエーテルはグリセリン重合度に分布を持っており、nはそれらの重量平均値である。)
1としては、ラウリル基、パリミチル基、ステアリル基が好ましく、nは4〜10が好ましい。
【0025】
ポリグリセリンモノアルキルエーテルの中でも、重量平均HLB値は8〜16が好ましい。HLBが8未満であると、起泡力が悪くなり、HLBが16を超えると、すすぎの改善効果が十分に発揮できない場合がある。
【0026】
なお、HLBとは、親水性と親油性のバランスを示す指標であり、本発明HLB値は全て下記式(2)に示す式で算出したものである。
HLB=7+11.7log(Mw/Mo) (2)
(Mw:親水部の原子量の和、Mo:親油部の原子量の和)
(参考文献「油脂化学便覧」改訂第二版 日本油化学協会編)
【0027】
好ましいポリグリセリンモノアルキルエーテルとしては、具体的に、テトラグリセリンモノラウリルエーテル(HLB=10)、ヘキサグリセリンモノラウリルエーテル(HLB=12)、オクタグリセリンモノラウリルエーテル(HLB=13)、デカグリセリンモノラウリルエーテル(HLB=14)、ヘキサグリセリンモノパルミチルエーテル(HLB=10)、デカグリセリンモノステアリルエーテル(HLB=12)、ジグリセリンモノラウリルエーテル(HLB=7)等が挙げられる。
【0028】
ポリグリセリンモノアルキルエーテルの調製方法は特に限定されず、例えば、簡単な方法で、安価にポリグリセリンアルキルエーテルを製造する方法として、アルコール又はフェノールに、アルカリ物質の存在下で、1−クロロ−2,3−プロパンジオールを反応させる方法(特開2002−80416号公報)が挙げられる。
【0029】
(C)ポリグリセリンモノアルキルエーテルの配合量は、洗浄剤組成物中0.5〜10質量%が好ましく、より好ましくは1〜5質量%である。配合量が0.5質量%未満だとすすぎ時のさっぱり感の効果が不十分となる場合があり、10質量%を超えて配合してもそれ以上効果は向上しない。
【0030】
本発明の洗浄剤組成物には、(D)カチオン基を有する高分子化合物(カチオン性ポリマー)を配合することが好ましい。(D)成分を配合することにより、カチオン基を有する高分子化合物が皮膚へ吸着し、さらに界面活性剤モノマー等の刺激物質の皮膚内侵入を阻害することから、皮膚への刺激が緩和で高いマイルド性を高めた洗浄剤組成物を得ることができ、同時に、泡質もさらに向上する。
【0031】
(D)カチオン基を有する高分子化合物は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができ、具体的には、カチオン化セルロース、カチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル四級アンモニウム塩のホモポリマー、四級化ポリビニルピロリドン誘導体、ポリグリコールポリアミン縮合物、ジアルキルジアリルアンモニウム塩/アクリルアミド共重合体、ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体、アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルエチレントリアミン共重合体(米国サンドス社製カルタレチン)、特開昭53−139734号公報、特開昭60−36407号公報に記載されているカチオン性ポリマー等が挙げられる。特に、ジアルキルジアリルアンモニウム塩/アクリルアミド共重合体、カチオン化セルロース、カチオン化セルロース誘導体、カチオン化グアーガム、カチオン化グアーガム誘導体が好ましい。
【0032】
(D)カチオン基を有する高分子化合物の配合量は、洗浄剤組成物中0.01〜3質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜1質量%である。0.01質量%未満だとマイルド性向上効果が乏しくなる場合があり、3質量%を超えると洗浄後にべたつきが生じ、使用感を損なう場合がある。
【0033】
本発明の洗浄剤組成物には、上記成分の他、任意成分の1種又は2種以上を本発明の効果を妨げない範囲で適宜配合することができる。任意成分としては、例えば、N−アシルカルボン酸塩等の(A)成分以外のアニオン界面活性剤、(C)成分以外のノニオン界面活性剤、高級アルコール、シリコーン油等の油分、ラノリン誘導体、蛋白誘導体、(D)成分以外の水溶性高分子化合物、アクリル樹脂分散液、ビタミン等の薬剤、殺菌剤、防腐剤、pH調製剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、紫外線吸収剤、動植物抽出物又はその誘導体、色素、香料、顔料、無機粉体、ナイロン、ポリエチレン等のポリマー水不溶性粉体等が挙げられる。なお、これら任意成分の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量配合することができる。
【0034】
(C)成分以外のノニオン界面活性剤としては、通常の洗浄剤に用いられるものであれば特に制限されず、ポリオキシアルキレン付加型ノニオン界面活性剤、モノ又はジエタノールアミド型ノニオン界面活性剤、糖系ノニオン界面活性剤、グリセリン系ノニオン界面活性剤等を使用することができる。
【0035】
ポリオキシアルキレン付加型ノニオン界面活性剤には、1種のポリオキシアルキレン付加型と2種以上のポリオキシアルキレン付加型があり、前者としてポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、後者としてポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレンラウリルエーテル等が挙げられる。
【0036】
モノ又はジエタノールアミド系ノニオン界面活性剤としては、ラウリン酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、N−ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド等が挙げられる。
【0037】
糖系ノニオン界面活性剤としては、糖エーテル系であるアルキルサッカライド系ノニオン界面活性剤、糖アミド系ノニオン界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル系ノニオン界面活性剤、ショ糖脂肪酸エステル系ノニオン界面活性剤等が挙げられる。アルキルサッカライド系ノニオン界面活性剤としては、下記一般式(3)で表されるものが挙げられる。
2−O−(R3O)r−(G)s (3)
(式中、R2は炭素数6〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル、アルケニル又はアルキルフェニル基、R3は炭素数2〜4のアルキレン基、Gは炭素数5〜6の還元糖を示し、rは0〜10、sは1〜10の数を示す。)
【0038】
糖アミド系ノニオン界面活性剤としては、N−メチルラウリルグルカミド等のN−メチルアルキルグルカミドが挙げられる。ソルビタン脂肪酸エステル系ノニオン界面活性剤としては、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。ショ糖脂肪酸エステル系ノニオン界面活性剤としては、ラウリン酸ショ糖エステル、モノステアリン酸ショ糖エステル、POPモノステアリン酸ショ糖エステル等が挙げられる。
【0039】
グリセリン系ノニオン界面活性剤としては、セスキオレイン酸グリセリン、ポリオキシエチレングリセリルモノステアレート等のモノグリセリン脂肪酸エステル系ノニオン界面活性剤、モノイソステアリン酸ポリグリセリル等の脂肪酸エステル型ポリグリセリン系ノニオン界面活性剤が挙げられる。
【0040】
上記任意成分として使用される香料組成物の香料原料は、特開2002−128658号公報の[0027]〜[0045]記載のリストを引用することにより本明細書の開示の一部とされる。
【0041】
洗浄剤組成物の性状は、特に限定されるものではなく、例えば、ペースト状、ゲル状、液体状、固体状等の剤型とすることができる。また、可溶化系、乳化系、粉体分散系等が挙げられる。本発明の洗浄剤組成物は、上記必須成分、水及び任意成分を常法に基づいて得ることができ、調製する装置としては、剪断力と全体混合できる複数の攪拌羽根、例えば、プロペラ、タービン、ディスパー等を備えた撹拌装置が好ましく、アジホモミキサー、逆流ミキサー、ハイブロッドミキサー等が好適に用いられる。
【0042】
本発明の洗浄組成物は、皮膚(頭皮を含む)用が好ましく、ボディソープ、洗顔ソープ、ハンドソープ、シャンプー、頭皮シャンプー等に用いることができるが、皮膚(頭皮を含む)に対するマイルド性、すすぎ時のさっぱり感を有することから、ボディソープ、洗顔ソープ等に好適である。また、特に敏感肌に対して好適である。
【0043】
本発明の洗浄剤組成物は、通常の容器に収容される。容器としては、例えば、ポンプ容器、チューブ、フォーマー容器、袋状容器等が挙げられる。フォーマー容器を使用する場合は、該洗浄剤組成物の粘度は5℃において、100mPa・s以下に、さらに好ましくは50mPa・s以下に調整することが、泡形成性の点から好ましい。また、フォーマー容器は、ポンプ式でも、スクイーズ式でも特に限定されないが、内容物を通過させて泡を形成させる多孔質体は100メッシュ以上、好ましくは200メッシュがよく、その枚数も2枚以上が泡形成性の点から好ましい。より具体的には、特開平7−315463号公報及び特開平8−230961号公報に記載されたフォーマー容器を好適に使用することができる。
【実施例】
【0044】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%、比率は質量比を示し、実施例記載の成分量は全て純分換算である。実施例及び比較例中で使用した香料A〜Dは、特開2002−309291号公報の表8〜14に記載された香料組成物A〜Dである。
【0045】
[実施例1〜6、比較例1〜5]
表1〜3に示す配合組成の洗浄剤組成物を常法により調製し、皮膚(頭皮を含む)に対する刺激のなさ(マイルド性)、すすぎ時のさっぱり感を下記方法により評価した。結果を表中に示す。
【0046】
[皮膚(頭皮も含む)への刺激のなさ(マイルド性)]
女性10名(専門パネラー)が洗浄剤組成物を皮膚(頭皮を含む)に使用後、下記基準で洗浄後の刺激のなさ(マイルド性)を官能で評価した。結果をパネラー10名の平均値で示す。
〈評価基準〉
5点:非常に良い
4点:かなりよい
3点:ややよい
2点:悪い
1点:非常に悪い
【0047】
[すすぎ時のさっぱり感]
女性10名(専門パネラー)が洗浄剤組成物を皮膚(頭皮を含む)に使用後、下記基準基準ですすぎ時のさっぱり感を官能で評価した。結果をパネラー10名の平均値で示す。
〈評価基準〉
5点:非常に良い
4点:かなりよい
3点:ややよい
2点:悪い
1点:非常に悪い
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
【表3】

【0051】
実施例1〜6の結果より、得られた洗浄剤組成物は、いずれも皮膚に対して刺激が緩和で高いマイルド性を有すると共に、すすぎ時のさっぱり感の良好な組成物であった。なお、比較例1〜2は皮膚に対する刺激のなさでは良好なものの、すすぎ時のさっぱり感に乏しく、使用感の悪いものであった。比較例3〜4は実施例1〜6と比べてさっぱり感に乏しく、また皮膚への刺激のなさでは、満足のいくものではなかった。比較例5は、マイルド性は高いものの、実施例1〜6と比較してさっぱり感の乏しいものであった。本発明の範囲となる実施例1〜6は、本発明の範囲外となる比較例1〜5に比べ、皮膚(頭皮を含む)に対して低刺激であり、さらにすすぎ時にさっぱり感を有した使用感の良いものであった。
【0052】
なお、表中で*を付したものは下記市販品を使用した。
*1 ソフダゾリン LPB(川研ファインケミカル(株))
*2 アモーゲン S(第一工業製薬(株))
*3 オバゾリン AHS−103(東邦化学工業(株))
*4 オバゾリン 552(東邦化学工業(株))
*5 アロモックス DM12D−W(ライオン化学(株))
*6 カヤクリルレジン M−50(日本化薬(株))
*7 レオガード GPS(ライオン化学(株))
*8 ジャガー C−14S(三晶(株))
*9 SY−DP9(阪本薬品工業(株))
*10 NIKKOL MGS−A(日光ケミカルズ(株))
*11 EMALEX−611(日本エマルション(株))
【0053】
下記組成に従って実施例7〜14の洗浄剤組成物を各製剤の常法に準じて調製した。これらの洗浄剤組成物について、上記実施例1〜6と同様に皮膚(頭皮を含む)に対する刺激のなさ(マイルド性)、すすぎ時のさっぱり感を評価したところ、いずれも上記実施例1〜6と同様に皮膚(頭皮を含む)に対する刺激のなさ、及びすすぎ時のさっぱり感に優れていた。
【0054】
[実施例7]
液体洗浄剤組成物
組成 %
ラウリン酸カリウム 5
ミリスチン酸カリウム 8
パルミチン酸カリウム 2
テトラグリセリンモノラウリルエーテル 1
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 2
(エナジコールL−30B、ライオン化学(株)製)
N−ラウロイル−β−アラニン 1
ラウリン酸モノエタノールアミド 3
(アミゾール LME、川研ファインケミカル(株)製)
塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体 0.1
(70/30)(カヤクリルレジンM−50、日本化薬(株)製)
ヒドロキシエチルセルロース 0.2
(メトローズ60SH−10000、信越化学工業(株)製)
プロピレングリコール 10
グリセリン 5
エデト酸ナトリウム 0.2
エチレングリコールジステアレート 3
ローズヒップエキス(一丸ファルコス(株)製) 0.05
香料A 0.3
黄色4号 適量
水酸化カリウム pH10に調整量
精製水 残部
合計(%) 100.0
【0055】
[実施例8]
デオドラント及び殺菌用液体洗浄剤組成物(皮膚及び毛髪用)
組成 %
ラウリン酸カリウム 7
ミリスチン酸カリウム 10
パルミチン酸カリウム 3
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 4
ヘキサグリセリンモノラウリルエーテル 1
POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 2
カチオン化セルロース(レオガードGPS、ライオン化学(株)製) 0.1
スメクタイト(ベンゲルFW、豊順鉱業(株)製) 0.3
アクリル酸アルキル共重合体エマルション 1.2
(レオアールMS−200、ライオン化学(株)製)
ヘキシレングリコール 1
プロピレングリコール 10
1,3−ブチレングリコール 4
エタノール 0.5
メチルパラベン 0.1
プロピルパラベン 0.1
油溶性甘草エキス 2
イソプロピルメチルフェノール 0.1
ピロクトン オラミン 0.1
(オクトピロックス、クラリアント・ジャパン(株)製)
l−メントール 0.3
エデト酸 0.3
シリコーンエマルション 2
(BY22−020、東レ・ダウコーニング(株)製)
スチレン重合体エマルション 1
(サイビノール PE−21、サイデン化学(株)製)
香料B 1
青色403号 適量
水酸化カリウム pH10に調整量
精製水 残部
合計(%) 100.0
【0056】
[実施例9]
クリーム状洗浄剤組成物
組成 %
ステアリン酸 8
パルミチン酸 8
ミリスチン酸 14
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 2
(ソフタゾリンCPB、川研ファインケミカル(株)製)
ヘキサグリセリンモノミリスチルエーテル 3
塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体 0.3
(マーコート550、Calgon社製)
グリセリン 15
PEG4000 5
ソルビトール 5
精製ラノリン 0.5
オレンジ油 1
高重合ポリエチレングリコール 0.5
(ポリオックスWSR−N750、ユニオン・カーバイド社製)
コエンザイムQ10 1
カミツレエキス 0.5
クニピアF(クニミネ工業(株)製) 0.3
酸化チタン(平均粒子径0.25μm、ルチル型) 1
グンジョウ(平均粒子径0.3〜2μm) 0.05
ベンガラ(平均粒子径0.03μm) 0.05
ナイロン末(平均粒子径100μm) 0.05
エデト酸四ナトリウム四水塩 0.3
香料C 1
水酸化カリウム pH8に調整量
精製水 残部
合計(%) 100.0
【0057】
[実施例10]
クレンジングジェル組成物
組成 %
ミリスチン酸トリエタノールアミン 6
ラウリルジメチルアミンオキシド 1
ヘキサグリセリンモノラウリルエーテル 3
N−ラウロイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム 2
ヤシ油脂肪酸トリエタノールアミド 3
ジメチルポリシロキサン 2
(SH200−30cs、東レ・ダウコーニング(株)製)
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.5
(メトローズHPMC 60SH4000、信越化学工業(株)製)
アクリル酸アルキル共重合体エマルション 0.2
(レオアールMS−200、ライオン化学(株)製)
塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体 0.2
(マーコートS、Calgon社製)
エラグ酸 0.1
ラポナイトXLG(日本シリカ(株)製) 0.3
ポリエチレン末(平均粒径100μm) 0.3
香料D 1
トリエタノールアミン pH9に調整量
精製水 残部
合計(%) 100.0
【0058】
[実施例11]
フォーマー容器充填用液体洗浄剤組成物
組成 %
ヤシ油脂肪酸カリウム 10
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 5
デカグリセリンモノステアリルエーテル 1
塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体 0.03
(70/30)(カヤクリルレジンM−50、日本化薬(株)製)
プロピレングリコール 20
キイチゴエキス(丸善製薬(株)製) 1
ホホバ油 1
エデト酸 0.1
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.1
香料A 1
水酸化カリウム pH10に調整量
精製水 残部
合計(%) 100.0
なお、フォーマー容器特開平7−315463号公報に記載されたフォーマー容器に収容した。
【0059】
[実施例12]
毛髪用マイルド液体洗浄剤組成物
組成 %
ラウリン酸トリエタノールアミン 5
2−ラウリル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン 5
デカグリセリンモノステアリルエーテル 3
POE(3)ラウリル硫酸ナトリウム 5
ラウリルジメチルアミンオキシド 1
N−ラウロイル−L−グルタミン酸カリウム 1
シリコーンエマルション 1.5
(BY22−020、東レ・ダウコーニング(株)製)
塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体 0.3
(50/50)(カヤクリルレジンM−50、日本化薬(株)製)
グリセリン 5
ヘキシレングリコール 1
エチレングリコールジステアレート 1.5
ローズマリーエキス(ローズマリー水、丸善製薬(株)製) 1
安息香酸ナトリウム 1
クエン酸 0.5
香料B 1
精製水 残部
合計(%) 100.0
【0060】
[実施例13]
固形石鹸組成物
組成 %
パーム/ヤシ油脂肪酸ナトリウム(パーム/ヤシ油脂肪酸=65/35) 80
ラウリルヒドロキシスルホベタイン 3
(ソフダゾリンAHS−103、東邦化学(株)製)
オクタグリセリンモノパルミチルエーテル 2
塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体 0.3
(30/70)(カヤクリルレジンM−N、日本化薬(株)製)
ヒマワリ油 1
高重合ポリエチレングリコール 0.3
(ポリオックスWSR−N750、ユニオン・カーバイド社製)
エデト酸四ナトリウム四水塩 0.1
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.1
塩化ナトリウム 0.2
二酸化チタン 0.2
香料C 1
精製水 残部
合計(%) 100.0
【0061】
[実施例14]
透明石鹸組成物
組成 %
パーム油脂肪酸ナトリウム 32
パーム核油脂肪酸ナトリウム 14
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 2
テトラグリセリンモノラウリルエーテル 2
塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体 0.3
(50/50)(カヤクリルレジンM−50、日本化薬(株)製)
白糖 10
グリセリン 10
プロピレングリコール 2
エタノール 5
ラウリン酸ジエタノールアミド 3
エデト酸二ナトリウム 0.2
塩化ナトリウム 0.2
香料D 1
精製水 残部
合計(%) 100.0


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)炭素数12〜18の脂肪酸塩と、(B)両性界面活性剤及び/又は半極性界面活性剤と、(C)ポリグリセリンモノアルキルエーテルとを含有する洗浄剤組成物。
【請求項2】
さらに、(D)カチオン基を有する高分子化合物を含有する請求項1記載の洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2007−146029(P2007−146029A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−343506(P2005−343506)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】