説明

洗浄方法、プログラム、コンピュータ記憶媒体、洗浄装置及び剥離システム

【課題】環状のフレームの内側に配置されて、当該フレームとテープにより保持された状態の被処理基板の接合面を適切に洗浄する。
【解決手段】洗浄装置は、被処理ウェハWを保持するウェハ保持部130と、被処理ウェハWの接合面Wを覆う供給面141を備えた洗浄治具140とを有している。洗浄治具140には、隙間142に溶剤を供給する溶剤供給部150と、隙間142にリンス液を供給するリンス液供給部151と、隙間142に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部152とが設けられている。溶剤供給部150からの溶剤は表面張力と遠心力により接合面W上を拡散し、リンス液供給部151からのリンス液は溶剤と混合されつつ、表面張力と遠心力により接合面W上を拡散し、不活性ガス供給部152からの不活性ガスによって接合面Wが乾燥されて、当該接合面Wが洗浄される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合基板から剥離された被処理基板が環状のフレームの内側に配置されて、フレームの表面と被処理基板の非接合面に貼り付けられたテープにより保持された状態で、当該被処理基板の接合面を洗浄する洗浄方法、プログラム、コンピュータ記憶媒体、洗浄装置及び剥離システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば半導体デバイスの製造プロセスにおいて、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」とする)の大口径化が進んでいる。また、実装などの特定の工程において、ウェハの薄型化が求められている。例えば大口径で薄いウェハを、そのまま搬送したり、研磨処理すると、ウェハに反りや割れが生じる恐れがある。このため、例えばウェハを補強するために、例えば支持基板であるウェハやガラス基板にウェハを貼り付けることが行われている。そして、このようにウェハと支持基板が接合された状態でウェハの研磨処理等の所定の処理が行われた後、ウェハと支持基板が剥離される。
【0003】
かかるウェハと支持基板の剥離は、例えば剥離装置を用いて行われる。剥離装置は、例えばウェハを保持する第1ホルダーと、支持基板を保持する第2ホルダーと、ウェハと支持基板との間に液体を噴射するノズルとを有している。そして、この剥離装置では、ノズルから接合されたウェハと支持基板との間に、当該ウェハと支持基板との間の接合強度より大きい噴射圧、好ましくは接合強度より2倍以上大きい噴射圧で液体を噴射することにより、ウェハと支持基板の剥離が行われている(特許文献1)。その後、これらウェハの接合面と支持基板の接合面をそれぞれ洗浄して、ウェハと支持基板の剥離処理は終了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−167724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ウェハは薄型化されているため、ウェハは環状のダイシングフレームの内側に配置され、ダイシングフレームの表面とウェハの非接合面にダイシングテープにより貼り付けられて保持される場合がある。すなわち、ウェハと支持基板を剥離した後、接合面が洗浄されるウェハは、ダイシングフレーム及びダイシングテープに保持されている場合がある。
【0006】
上述したウェハの接合面の洗浄には、例えばウェハと支持基板を接合する接着剤の溶剤が用いられる。そしてウェハの洗浄中、ウェハの接合面上に供給された溶剤はウェハとダイシングフレームとの間のダイシングテープ上に流入する。そうすると、ダイシングテープが溶剤によって損傷を被る場合がある。かかる場合、ダイシングテープはウェハを適切に保持することができなくなり、当該ウェハの搬送や後続の処理に支障をきたす。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、環状のフレームの内側に配置されて、当該フレームとテープにより保持された状態の被処理基板の接合面を適切に洗浄することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明は、被処理基板と支持基板が接着剤で接合された重合基板を剥離した後、剥離された被処理基板が環状のフレームの内側に配置されて、前記フレームの表面と被処理基板の非接合面に貼り付けられたテープにより保持された状態で、当該被処理基板の接合面を洗浄する洗浄方法であって、被処理基板の接合面上に前記接着剤の溶剤を供給するための洗浄治具の供給面が前記接合面を覆い、且つ前記供給面と前記接合面との間の距離が所定の距離となるように、前記洗浄治具を被処理基板に対向して配置する配置工程と、その後、前記供給面と前記接合面との間に前記溶剤を供給し、当該供給された溶剤を表面張力によって前記接合面上に拡散させる洗浄工程と、を有することを特徴としている。なお、被処理基板の接合面とは重合基板の被処理基板において支持基板と接合される面をいい、被処理基板の非接合面とは重合基板の被処理基板において支持基板と接合されていない面をいう。また、本発明における所定の距離とは、洗浄治具の供給面と被処理基板の接合面との間を溶剤が表面張力によって拡散できる距離をいう。
【0009】
本発明によれば、洗浄治具の供給面と被処理基板の接合面との間に供給された接着剤の溶剤は、表面張力によって供給面と接合面との間を拡散する。すなわち、溶剤は、被処理基板の接合面のみに拡散し、被処理基板とフレームとの間のテープ上に流入することはない。したがって、溶剤によるテープの損傷を抑制しつつ、被処理基板の接合面を適切に洗浄することができる。なお、本発明では、溶剤は被処理基板の接合面以外に拡散しないため、当該溶剤の供給量も少量に抑えることができ、溶剤のコストを低廉化することもできる。
【0010】
前記洗浄工程において、前記溶剤が前記接合面に拡散した後、前記供給面と前記接合面との間に前記溶剤のリンス液を供給してもよい。
【0011】
前記洗浄工程において、前記洗浄治具と被処理基板を相対的に回転させてもよい。
【0012】
前記洗浄工程において、前記供給面と前記接合面と間で拡散した溶剤を吸引してもよい。
【0013】
前記洗浄工程は前記接合面が鉛直上方を向いた状態で行われ、当該洗浄工程において、被処理基板と前記フレームとの間の前記テープに向けて気体を供給してもよい。
【0014】
前記洗浄工程は前記接合面が鉛直上方を向いた状態で行われ、当該洗浄工程において、被処理基板と前記フレームとの間のテープ上に充填液を充填してもよい。
【0015】
前記洗浄工程は前記接合面が鉛直下方を向いた状態で行われてもよい。
【0016】
前記洗浄方法は、前記洗浄工程の後、前記供給面と前記接合面との間に不活性ガスを供給して、当該接合面を乾燥させる乾燥工程を有していてもよい。
【0017】
前記乾燥工程において、前記洗浄治具を加熱してもよい。
【0018】
被処理基板と前記フレームとの間のテープ上には、環状の保護テープが設けられていてもよい。
【0019】
前記保護テープは、前記溶剤に対する耐食性を有していてもよい。この前記溶剤に対する耐食性を有する保護テープとしては、例えばフッ素系樹脂が用いられる。
【0020】
別な観点による本発明によれば、前記洗浄方法を洗浄装置によって実行させるために、当該洗浄装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムが提供される。
【0021】
また別な観点による本発明によれば、前記プログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が提供される。
【0022】
さらに別な観点による本発明は、被処理基板と支持基板が接着剤で接合された重合基板を剥離した後、剥離された被処理基板が環状のフレームの内側に配置されて、前記フレームの表面と被処理基板の非接合面に貼り付けられたテープにより保持された状態で、当該被処理基板の接合面を洗浄する洗浄装置であって、被処理基板を保持する基板保持部と、被処理基板の接合面を覆う供給面を備えた洗浄治具と、前記供給面と前記接合面との間に前記接着剤の溶剤を供給する溶剤供給部と、前記供給面が前記接合面を覆い、且つ前記供給面と前記接合面との間の距離が所定の距離となるように、前記洗浄治具を前記基板保持部に保持された被処理基板に対向して配置する配置工程と、その後、前記供給面と前記接合面との間に前記溶剤を供給し、当該供給された溶剤を表面張力によって前記接合面上に拡散させる洗浄工程とを実行するように、前記基板保持部、前記洗浄治具及び前記溶剤供給部を制御する制御部と、を有することを特徴としている。
【0023】
前記洗浄装置は、前記供給面と前記接合面との間に前記溶剤のリンス液を供給するリンス液供給部を有し、前記制御部は、前記洗浄工程において、前記溶剤が前記接合面に拡散した後、前記供給面と前記接合面との間に前記リンス液を供給するように、前記リンス液供給部を制御してもよい。
【0024】
前記洗浄装置は、前記洗浄治具と、前記基板保持部に保持された被処理基板とを相対的に回転させる回転機構を有していてもよい。
【0025】
前記洗浄装置は、前記供給面と前記接合面との間で拡散した溶剤を吸引する吸引部を有していてもよい。
【0026】
前記洗浄治具は前記基板保持部に保持された被処理基板の鉛直上方に配置され、前記洗浄装置は、被処理基板と前記フレームとの間の前記テープに向けて気体を供給する気体供給部を有していてもよい。
【0027】
前記洗浄治具は前記基板保持部に保持された被処理基板の鉛直上方に配置され、前記洗浄装置は、被処理基板と前記フレームとの間のテープ上に充填液を充填する充填液供給部を有していてもよい。
【0028】
前記洗浄治具は前記基板保持部に保持された被処理基板の鉛直上方に配置されていてもよい。
【0029】
前記洗浄治具はメッシュ板であってもよい。
【0030】
前記洗浄装置は、前記供給面と前記接合面との間に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部を有し、前記制御部は、前記洗浄工程の後、前記供給面と前記接合面との間に不活性ガスを供給して当該接合面を乾燥させる乾燥工程を実行するように、前記不活性ガス供給部を制御してもよい。
【0031】
前記洗浄装置は、前記洗浄治具を加熱させる加熱機構を有し、前記制御部は、前記乾燥工程において前記洗浄治具を加熱するように、前記加熱機構を制御してもよい。
【0032】
前記基板保持部は、前記テープを介して被処理基板を保持する第1の保持部と、前記テープの外側において前記フレームの表面を保持する第2の保持部とを有していてもよい。
【0033】
前記洗浄装置は、前記基板保持部に被処理基板を受け渡すための受渡アームを有し、前記受渡アームは、被処理基板が取り付けられた前記フレームを保持するフレーム保持部を有していてもよい。
【0034】
被処理基板と前記フレームとの間のテープ上には、環状の保護テープが設けられていてもよい。
【0035】
前記保護テープは、前記溶剤に対する耐食性を有していてもよい。
【0036】
また別な観点による本発明は、前記洗浄装置を備えた剥離システムであって、重合基板を被処理基板と支持基板に剥離する剥離装置と、前記剥離装置で剥離された被処理基板を洗浄する前記洗浄装置と、前記剥離装置で剥離された支持基板を洗浄する他の洗浄装置と、を備えた剥離処理ステーションと、前記剥離処理ステーションに対して、被処理基板、支持基板又は重合基板を搬入出する搬入出ステーションと、前記剥離処理ステーションと前記搬入出ステーションとの間で、被処理基板、支持基板又は重合基板を搬送する搬送装置と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、環状のフレームの内側に配置されて、当該フレームとテープにより保持された状態の被処理基板の接合面を適切に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本実施の形態にかかる剥離システムの構成の概略を示す平面図である。
【図2】ダイシングフレームとダイシングテープに保持された重合ウェハの縦断面図である。
【図3】ダイシングフレームとダイシングテープに保持された重合ウェハの平面図である。
【図4】剥離装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図5】第1の保持部、第2の保持部及び第3の保持部の構成の概略を示す縦断面図である。
【図6】第2の保持部の構成の概略を示す平面図である。
【図7】第1の鉛直移動部の構成の概略を示す平面図である。
【図8】洗浄装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図9】洗浄治具の構成の概略を示す縦断面図である。
【図10】洗浄装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図11】受渡アームの構成の概略を示す側面図である。
【図12】搬送装置の構成の概略を示す側面図である。
【図13】第1の搬送アームの構成の概略を示す平面図である。
【図14】第2の搬送アームの構成の概略を示す平面図である。
【図15】第1の保持部、第2の保持部及び第3の保持部で重合ウェハを保持した様子を示す説明図である。
【図16】第1の鉛直移動部によって第3の保持部外周部を鉛直下方に移動させる様子を示す説明図である。
【図17】第2の鉛直移動部によって第3の保持部を鉛直下方に移動させる様子を示す説明図である。
【図18】被処理ウェハと支持ウェハを剥離した様子を示す説明図である。
【図19】洗浄装置において被処理ウェハを洗浄する様子を示した説明図であり、(a)は洗浄治具を所定の位置に配置した様子を示し、(b)は溶剤供給部から供給面と接合面との間の隙間に溶剤が供給される様子を示し、(c)は上記隙間に溶剤が拡散した様子を示し、(d)はリンス液供給部から上記隙間にリンス液が供給される様子を示し、(e)は上記隙間に混合液が拡散した様子を示し、(f)は不活性ガス供給部から上記隙間に不活性ガスが供給される様子を示す。
【図20】他の実施の形態にかかる洗浄治具の構成の概略を示す縦断面図である。
【図21】他の実施の形態にかかる洗浄治具の構成の概略を示す平面図である。
【図22】他の実施の形態にかかる洗浄治具を用いて溶剤を拡散させる様子を示す説明図である。
【図23】他の実施の形態にかかる洗浄装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図24】他の実施の形態にかかる洗浄装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図25】他の実施の形態にかかる洗浄治具の構成の概略を示す縦断面図である。
【図26】他の実施の形態にかかる洗浄治具(メッシュ板)の構成の概略を示す平面図である。
【図27】他の実施の形態にかかる洗浄治具(メッシュ板)を用いて溶剤を拡散させる様子を示す説明図である。
【図28】他の実施の形態にかかる洗浄装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図29】他の実施の形態にかかる洗浄装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図30】他の実施の形態にかかる洗浄装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図31】他の実施の形態にかかる洗浄治具を用いて溶剤を拡散させる様子を示す説明図である。
【図32】他の実施の形態にかかる洗浄治具の構成の概略を示す縦断面図である。
【図33】他の実施の形態にかかる洗浄装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図34】他の実施の形態にかかる剥離システムの構成の概略を示す平面図である。
【図35】第2の搬送装置の構成の概略を示す側面図である。
【図36】搬送アームの構成の概略を示す平面図である。
【図37】第2の洗浄装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図38】第2の洗浄装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図39】第1の保持部及び第2の保持部から搬送アームに被処理ウェハを受け渡す様子を示す説明図である。
【図40】搬送アームからウェハ保持部に被処理ウェハを受け渡す様子を示す説明図である。
【図41】他の実施の形態において、被処理ウェハとダイシングフレームとの間の段部のダイシングフレーム上に保護テープが設けられた様子を示す縦断面図である。
【図42】他の実施の形態において、被処理ウェハとダイシングフレームとの間の段部のダイシングフレーム上に保護テープが設けられた様子を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる剥離システム1の構成の概略を示す平面図である。
【0040】
剥離システム1では、図2及び図3に示すように被処理基板としての被処理ウェハWと支持基板としての支持ウェハSとが接着剤Gで接合された重合基板としての重合ウェハTを、被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離する。以下、被処理ウェハWにおいて、接着剤Gを介して支持ウェハSと接合される面を「接合面W」といい、当該接合面Wと反対側の面を「非接合面W」という。同様に、支持ウェハSにおいて、接着剤Gを介して被処理ウェハWと接合される面を「接合面S」といい、当該接合面Sと反対側の面を「非接合面S」という。被処理ウェハWは、製品となるウェハであって、例えば接合面Wに複数の電子回路が形成されている。また被処理ウェハWは、例えば非接合面Wが研磨処理され、薄型化(例えば厚みが50μm)されている。支持ウェハSは、被処理ウェハWの径と同じ径を有し、当該被処理ウェハWを支持するウェハである。なお、本実施の形態では、支持基板としてウェハを用いた場合について説明するが、例えばガラス基板等の他の基板を用いてもよい。
【0041】
重合ウェハTには、ダイシングフレームFとダイシングテープPが取り付けられている。ダイシングフレームFは、平面視において略矩形状を有し、且つ内側に重合ウェハTの外周部に沿った開口部が形成された環状形状を有している。そして重合ウェハTは、ダイシングフレームFの内側の開口部に配置される。なおダイシングフレームFには、例えばステンレス鋼が用いられる。またダイシングテープPは、ダイシングフレームFの表面Fと被処理ウェハWの非接合面Wに貼り付けられている。こうして、重合ウェハTはダイシングフレームFとダイシングテープPに保持されている。なお、ダイシングテープPは、製作の都合上、ダイシングフレームFの表面Fの端部までは貼り付けられておらず、ダイシングテープPの厚みの分だけ、ダイシングフレームFの外周部においてダイシングテープPとの間に段差Bが存在している。
【0042】
そして剥離システム1において、重合ウェハTは、ダイシングフレームFとダイシングテープPに保持された状態で、被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離される。また、剥離された被処理ウェハWは、ダイシングフレームFとダイシングテープPに保持された状態で搬送され、後続の処理、例えば接合面Wの洗浄が行われる。
【0043】
剥離システム1は、図1に示すように例えば外部との間で複数の被処理ウェハWと複数の重合ウェハTをそれぞれ収容可能なカセットC、Cが搬入出される第1の搬入出ステーション10と、外部との間で複数の被処理ウェハSを収容可能なカセットCが搬入出される第2の搬入出ステーション11と、重合ウェハTを被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離する剥離装置12と、剥離された被処理ウェハWを洗浄する洗浄装置13と、剥離システム1内で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送する搬送装置14とを有している。第1の搬入出ステーション10、第2の搬入出ステーション11、剥離装置12及び洗浄装置13は、搬送装置14の周囲に例えば平面視反時計回転方向においてこの順に並ぶように配置されている。
【0044】
第1の搬入出ステーション10には、カセット載置台20が設けられている。カセット載置台20には、例えば2つのカセット載置板21が設けられている。カセット載置板21は、Y方向(図1中の左右方向)に並べて配置されている。これらのカセット載置板21には、剥離システム1の外部に対してカセットC、Cを搬入出する際に、カセットC、Cを載置することができる。このように第1の搬入出ステーション10は、複数の被処理ウェハWと複数の重合ウェハTを保有可能に構成されている。なお、これら被処理ウェハWと重合ウェハTは、それぞれダイシングフレームFとダイシングテープPに保持されている。また、第1の搬入出ステーション10において、カセット載置板21の個数は、本実施の形態に限定されず任意に決定することができる。
【0045】
第2の搬入出ステーション11には、カセット載置台30が設けられている。カセット載置台30には、例えば1つのカセット載置板31が設けられている。カセット載置板31には、剥離システム1の外部に対してカセットCを搬入出する際に、カセットCを載置することができる。このように第2の搬入出ステーション11は、複数の支持ウェハSを保有可能に構成されている。また、カセット載置板31に隣接してX方向正方向(図1中の上方向)側には、被処理ウェハWの表裏面を反転させる反転装置32が配置されている。
【0046】
次に、上述した剥離装置12の構成について説明する。剥離装置12は、図4に示すように処理容器40を有している。処理容器40の側面には、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。なお、処理容器40内には、搬送装置14が設置された領域からの雰囲気が流入するようになっている。また、被処理ウェハWと重合ウェハTは、それぞれダイシングフレームFとダイシングテープPに保持されている。
【0047】
処理容器40の底面には、当該処理容器40の内部の雰囲気を吸引する吸気口41が形成されている。吸気口41には、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置42に連通する吸気管43が接続されている。
【0048】
処理容器40の内部には、被処理ウェハWを下面で吸着保持する第1の保持部50と、ダイシングフレームFの表面Fを吸着保持する第2の保持部51と、支持ウェハSを上面で載置して保持する第3の保持部52とが設けられている。第1の保持部50と第2の保持部51はそれぞれ第3の保持部52の上方に設けられ、第1の保持部50は第3の保持部52と対向するように配置されている。すなわち、処理容器40の内部では、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で、重合ウェハTに剥離処理が行われる。
【0049】
第1の保持部50は、図5に示すように略平板形状を有している。第1の保持部50の内部には、ダイシングテープPを介して被処理ウェハWの非接合面Wを吸着保持するための吸引管60が設けられている。吸引管60は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。
【0050】
また、第1の保持部50の内部には、被処理ウェハWを加熱する加熱機構61が設けられている。加熱機構61には、例えばヒータが用いられる。
【0051】
第2の保持部51は、第1の保持部50の外周部において当該第1の保持部50と一体に設けられている。すなわち、第2の保持部51は、ダイシングテープPの外側に配置されている。また、第2の保持部51には例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)が接続され、第2の保持部51はダイシングテープPの外側においてダイシングフレームFの表面Fを吸着保持することができる。なお、図6に示すように、第2の保持部51は複数個所、例えば4箇所に設けられている。4つの第2の保持部51は、ダイシングフレームFの各辺に等間隔に配置されている。
【0052】
ここで、上述したようにダイシングフレームFの外周部には、ダイシングテープPとの間に段差Bが存在している。このため、第1の保持部50でダイシングフレームFを吸着保持しようとすると、当該第1の保持部50とダイシングフレームFとの間に段差Bによる隙間が生じる。すなわち、第1の保持部50はダイシングフレームFを直接吸着保持することができない。かかる場合、ダイシングフレームFが固定されないので、第1の保持部50によって被処理ウェハWを適切に保持されない。この点、本実施の形態では、第2の保持部51によってダイシングフレームFが吸着保持されるので、第1の保持部50によって被処理ウェハWも適切に保持される。
【0053】
第3の保持部52は、図5に示すように略平板形状を有している。第3の保持部52の内部には、支持ウェハSを吸着保持するための吸引管70が設けられている。吸引管70は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。なお、第3の保持部52は、弾性体である例えばアルミニウムが用いられる。
【0054】
また、第3の保持部52の内部には、支持ウェハSを加熱する加熱機構71が設けられている。加熱機構71には、例えばアルミニウムからなるヒータが用いられる。
【0055】
図4に示すように第1の保持部50の上面には、当該第1の保持部50を支持する支持板80が設けられている。支持板80は、処理容器40の天井面に支持されている。なお、本実施の形態の支持板80を省略し、第1の保持部50は処理容器40の天井面に当接して支持されてもよい。
【0056】
第3の保持部52の下方には、第3の保持部52及び支持ウェハSを鉛直方向及び水平方向に移動させる移動機構90が設けられている。移動機構90は、第3の保持部52を保持し、且つ第3の保持部52の外周部のみを鉛直方向に移動させる第1の鉛直移動部91と、第1の鉛直移動部91を保持し、且つ第1の鉛直移動部91と第3の保持部52を鉛直方向に移動させる第2の鉛直移動部92と、第1の鉛直移動部91、第2の鉛直移動部92及び第3の保持部52を水平方向に移動させる水平移動部93とを有している。第1の鉛直移動部91、第2の鉛直移動部92、水平移動部93は、鉛直方向に上からこの順で配置されている。
【0057】
第1の鉛直移動部91は、第3の保持部52の外周部を円環状に鉛直方向に移動させる複数、例えば6つのシリンダ100と、第3の保持部52の中央部を支持する支持柱101と、シリンダ100と支持柱101を支持する支持板102とを有している。図7に示すように6つのシリンダ100は、支持板102と同一円周上に等間隔に配置されている。また、これらシリンダ100は、第3の保持部52の外周部に対応する位置に配置されている。支持柱101は、支持板102の中央部であって、第3の保持部52の中央部に対応する位置に配置されている。すなわち、シリンダ100によって第3の保持部52の外周部が鉛直下方に移動する際、当該第3の保持部52の中央部の鉛直方向の位置が変化しないように、支持柱101が配置されている。
【0058】
第2の鉛直移動部92は、図4に示すように支持板102を昇降させる駆動部110と、支持板102を支持する支持部材111とを有している。駆動部110は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有している。また、支持部材111は、鉛直方向に伸縮自在に構成され、支持板102と水平移動部93との間に例えば3箇所に設けられている。
【0059】
水平移動部93は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有し、第1の鉛直移動部91、第2の鉛直移動部92及び第3の保持部52を水平方向に移動させることができる。
【0060】
なお、第3の保持部52の下方には、重合ウェハT又は支持ウェハSを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられている。昇降ピンは第3の保持部52に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、第3の保持部52の上面から突出可能になっている。
【0061】
次に、上述した洗浄装置13の構成について説明する。洗浄装置13は、図8に示すように処理容器120を有している。処理容器120の側面には、被処理ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。なお、処理容器120内には内部の雰囲気を清浄化するためのフィルタ(図示せず)が設けられている。また、被処理ウェハWは、ダイシングフレームFとダイシングテープPに保持されている。
【0062】
処理容器120内の中央部には、基板保持部としてのウェハ保持部130が設けられている。ウェハ保持部130は、図9に示すようにダイシングテープPを介して被処理ウェハWを保持して回転させる第1の保持部としてのスピンチャック131と、ダイシングフレームFの表面Fを吸着保持する第2の保持部としての吸着パッド132とを有している。
【0063】
スピンチャック131は水平な上面を有し、当該上面には例えばダイシングテープPを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。またスピンチャック131は、少なくとも被処理ウェハWを覆うよう設けられている。そして吸引口からの吸引により、ダイシングテープPを介して被処理ウェハWをスピンチャック131上に吸着保持できる。また被処理ウェハWは、その接合面Wが上方を向くようにスピンチャック131に吸着保持される。
【0064】
吸着パッド132は、スピンチャック131の外周部上に設けられている。すなわち、吸着パッド132は、ダイシングテープPの外側に配置されている。また、吸着パッド132には例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)が接続され、吸着パッド132はダイシングテープPの外側においてダイシングフレームFの表面Fを吸着保持することができる。なお、図10に示すように、吸着パッド132は複数個所、例えば8箇所に設けられている。
【0065】
ここで、上述したようにダイシングフレームFの外周部には、図9に示すようにダイシングテープPとの間に段差Bが存在している。このため、スピンチャック131でダイシングフレームFを吸着保持しようとすると、当該スピンチャック131とダイシングフレームFとの間に段差Bによる隙間が生じる。すなわち、スピンチャック131はダイシングフレームFを直接吸着保持することができない。かかる場合、ダイシングフレームFが固定されないので、スピンチャック131によって被処理ウェハWを適切に保持されない。この点、本実施の形態では、吸着パッド132によってダイシングフレームFが吸着保持されるので、ウェハ保持部130によって被処理ウェハWも適切に保持される。
【0066】
ウェハ保持部130の下方には、図8に示すように例えばモータなどを備えた回転機構としてのチャック駆動部133が設けられている。スピンチャック131は、チャック駆動部133により所定の速度に回転できる。また、チャック駆動部133には、例えばシリンダなどの昇降駆動源が設けられており、スピンチャック131は昇降自在になっている。
【0067】
ウェハ保持部130の周囲には、被処理ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ134が設けられている。カップ134の下面には、回収した液体を排出する排出管135と、カップ134内の雰囲気を真空引きして排気する排気管136が接続されている。
【0068】
ウェハ保持部130の上方には、被処理ウェハWの接合面Wを洗浄するための洗浄治具140が設けられている。洗浄治具140は、ウェハ保持部130に保持された被処理ウェハWに対向して配置されている。
【0069】
洗浄治具140は、図9に示すように略円板形状を有している。洗浄治具140の下面には、少なくとも被処理ウェハWの接合面Wを覆うように供給面141が形成されている。なお、本実施の形態においては、供給面141と接合面Wはほぼ同じ大きさである。
【0070】
洗浄治具140の中央部には、供給面141と接合面Wとの間の隙間142に接着剤Gの溶剤、例えばシンナーを供給する溶剤供給部150と、隙間142に溶剤のリンス液を供給するリンス液供給部151と、隙間142に不活性ガス、例えば窒素ガスを供給する不活性ガス供給部152とが設けられている。溶剤供給部150、リンス液供給部151、不活性ガス供給部152は、洗浄治具140の内部において合流し、洗浄治具140の供給面141に形成された供給口153に連通している。すなわち、溶剤供給部150から供給口153までの溶剤の流路、リンス液供給部151から供給口153までのリンス液の流路、不活性ガス供給部152から供給口153までの不活性ガスの流路は、それぞれ洗浄治具140の厚み方向に貫通している。なお、リンス液には接着剤Gの主溶媒の成分に応じて種々の液が用いられ、例えば純水やIPA(イソプロピルアルコール)が用いられる。また、リンス液の乾燥を促進させるため、リンス液には揮発性の高い液を用いるのが好ましい。
【0071】
溶剤供給部150には、内部に溶剤を貯留する溶剤供給源154に連通する供給管155が接続されている。供給管155には、溶剤の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群156が設けられている。リンス液供給部151には、内部にリンス液を貯留するリンス液供給源157に連通する供給管158が接続されている。供給管158には、リンス液の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群159が設けられている。不活性ガス供給部152には、内部に不活性ガスを貯留する不活性ガス供給源160に連通する供給管161が接続されている。供給管161には、溶剤の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群162が設けられている。
【0072】
図8に示すように処理容器120の天井面であって、洗浄治具140の上方には、洗浄治具140を鉛直方向及び水平方向に移動させる移動機構170が設けられている。移動機構170は、洗浄治具140を支持する支持部材171と、支持部材171を支持し、洗浄治具140を鉛直方向及び水平方向に移動させるための治具駆動部172とを有している。
【0073】
また処理容器120の内部には、図10及び図11に示すように搬送装置14からウェハ保持部130に被処理ウェハWを受け渡すための受渡アーム180を有している。受渡アーム180は、ダイシングフレームFの外周部を保持できるように円環形状を有している。受渡アーム180の下面には、フレーム保持部181が複数個所、例えば4箇所に設けられている。フレーム保持部181には例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)が接続され、フレーム保持部181は被処理ウェハWが取り付けられたダイシングフレームFを吸着保持することができる。
【0074】
受渡アーム180は、一対の伸縮部材182、182に支持されている。伸縮部材182は、水平方向(図10中のX方向)に伸縮自在に構成されている。また伸縮部材182は、図10中のY方向に延伸する支持部材183に支持されている。支持部材183の両端部には、当該支持部材183を鉛直方向に昇降させる昇降機構184が設けられている。昇降機構184には、例えばシリンダ等が用いられる。かかる構成により、受渡アーム180は、水平方向に移動自在であると共に、鉛直方向に昇降自在に構成されている。
【0075】
次に、上述した搬送装置14の構成について説明する。搬送装置14は、図12に示すように重合ウェハT又は被処理ウェハWを保持して搬送する第1の搬送アーム190と、支持ウェハSを保持して搬送する第2の搬送アーム191を有している。なお、第1の搬送アーム190で搬送される重合ウェハTと被処理ウェハWは、それぞれダイシングフレームFとダイシングテープPに保持されている。
【0076】
第1の搬送アーム190は、図13に示すように先端が2本の先端部192a、192aに分岐したアーム部192と、このアーム部192と一体に形成され、且つアーム部192を支持する支持部193とを有している。アーム部192の各先端部192aには、ダイシングフレームF又はダイシングテープPを介して重合ウェハT又は被処理ウェハWを吸着して保持する吸着パッド194が設けられている。第1の搬送アーム190は、このアーム部192上に重合ウェハT又は被処理ウェハWを水平に保持することができる。
【0077】
第2の搬送アーム191は、図14に示すように支持ウェハSよりも大きい径の略3/4円環状に構成されたアーム部195と、このアーム部195と一体に形成され、且つアーム部195を支持する支持部196とを有している。アーム部195には、内側に向かって突出し、支持ウェハSの角部を保持する保持部197が例えば4箇所に設けられている。第2の搬送アーム191は、この保持部197上に支持ウェハSを水平に保持することができる。
【0078】
搬送アーム190、191の基端部には、図12に示すようにアーム駆動部198が設けられている。このアーム駆動部198により、各搬送アーム190、191は独立して水平方向に移動できる。これら搬送アーム190、191とアーム駆動部198は、基台199に支持されている。基台199の下面には、シャフト200を介して回転駆動部201が設けられている。この回転駆動部201により、基台199及び搬送アーム190、191はシャフト200を中心軸として回転でき、且つ昇降できる。
【0079】
以上の剥離システム1には、図1に示すように制御部250が設けられている。制御部250は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、剥離システム1における被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、剥離システム1における後述の剥離処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部250にインストールされたものであってもよい。
【0080】
次に、以上のように構成された剥離システム1を用いて行われる被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理方法について説明する。
【0081】
先ず、複数枚の重合ウェハTを収容したカセットCと空のカセットCが、第1の搬入出ステーション10の所定のカセット載置板21に載置される。また空のカセットCが、第2の搬入出ステーション11の所定のカセット載置板31に載置される。その後、搬送装置14の第1の搬送アーム190によりカセットC内の重合ウェハTが取り出され、剥離装置12に搬送される。このとき、重合ウェハTは、ダイシングフレームFとダイシングテープPに保持され、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で搬送される。
【0082】
剥離装置12に搬入された重合ウェハTは、第3の保持部52に吸着保持される。その後、図15に示すように移動機構90の第2の鉛直移動部92により第3の保持部52を上昇させて、第1の保持部50と第3の保持部52で重合ウェハTを挟み込んで保持する。このとき、第1の保持部50によりダイシングテープPを介して被処理ウェハWの非接合面Wが吸着保持されると共に、第2の保持部51にダイシングフレームFの表面Fが吸着保持され、また第3の保持部52に支持ウェハSの非接合面Sが吸着保持される。
【0083】
その後、加熱機構61、71によって重合ウェハTが所定の温度、例えば200℃に加熱される。そうすると、重合ウェハT中の接着剤Gが軟化する。
【0084】
続いて、加熱機構61、71によって重合ウェハTを加熱して接着剤Gの軟化状態を維持しながら、図16に示すように移動機構90の第1の鉛直移動部91によって第3の保持部52の外周部のみを円環状に鉛直下方に移動させる。すなわち、シリンダ100によって第3の保持部52の外周部が鉛直下方に移動する際、第3の保持部52の中央部が支持柱101に支持され、当該第3の保持部52の中央部の鉛直方向の位置が変化しない。
【0085】
かかる場合、第3の保持部52に保持された支持ウェハSが、その外周部から中心部に向けて第1の保持部50及び第2の保持部51に保持された被処理ウェハWから連続的に剥離される。ここで、上述したように被処理ウェハWの接合面Wには電子回路が形成されているため、被処理ウェハWと支持ウェハSを一度に剥離しようとすると、接合面W、Sに多大な荷重がかかり、接合面W上の電子回路が損傷を被るおそれがある。この点、本実施の形態では、外周部から中心部に向けて支持ウェハSが被処理ウェハWから連続的に剥離されるので、接合面W、Sに大きな荷重がかからない。したがって、電子回路の損傷を抑制することができる。
【0086】
その後、被処理ウェハWの中心部と支持ウェハSの中心部のみが接着した状態で、図17に示すように第2の鉛直移動部92によって第3の保持部52全体を鉛直下方に移動させる。そして、支持ウェハSの外周部が鉛直下方に撓んだ状態で、支持ウェハSが被処理ウェハWから剥離される。その後、図18に示すように第1の鉛直移動部91によって第3の保持部52と支持ウェハSの外周部が鉛直上方に移動され、当該第3の保持部52と支持ウェハSが平坦化される。こうして、第1の保持部50及び第2の保持部51に保持された被処理ウェハWと、第3の保持部52に保持された支持ウェハSとが剥離される。
【0087】
その後、剥離装置12で剥離された被処理ウェハWは、搬送装置14の第1の搬送アーム190によって反転装置32に搬送され、当該反転装置32において被処理ウェハWの表裏面が反転される。すなわち、被処理ウェハWの接合面Wが上方に向けられる。その後、被処理ウェハWは、搬送装置14の第1の搬送アーム190によって洗浄装置13に搬送される。なお、剥離装置12から搬出され洗浄装置13に搬入される被処理ウェハWは、ダイシングフレームFとダイシングテープPに保持されている。
【0088】
一方、剥離装置12で剥離された支持ウェハSは、搬送装置14の第2の搬送アーム191によって第2の搬入出ステーション11のカセットCに搬送される。その後、支持ウェハSは、第2の搬入出ステーション11から外部に搬出され回収される。なお、支持ウェハSが第2の搬入出ステーション11に搬送されるタイミングは、任意に設定できる。支持ウェハSの搬送は、例えば被処理ウェハWを反転装置32に搬送する前であってもよいし、反転装置32において被処理ウェハWの表裏面の反転中であってもよいし、被処理ウェハWを洗浄装置13に搬送した後であってもよい。
【0089】
洗浄装置13に搬入された被処理ウェハWは、搬送装置14の第1の搬送アーム190から受渡アーム180に受け渡される。続いて、受渡アーム180によって、被処理ウェハWはウェハ保持部130に受け渡され保持される。具体的には、被処理ウェハWはダイシングテープPを介してスピンチャック131に吸着保持される。同時に、ダイシングフレームFの表面Fは吸着パッド132に吸着保持される。続いて、移動機構170によって洗浄治具140の水平方向の位置を調整すると共に、図19(a)に示すように洗浄治具140を所定の位置まで下降させる。このとき、洗浄治具140の供給面141と被処理ウェハWの接合面Wとの間の所定の距離Qは、後述するように供給面141と接合面Wとの間の隙間142において、接着剤Gの溶剤が表面張力によって拡散できる距離になっている。
【0090】
その後、スピンチャック131によって被処理ウェハWを回転させながら、図19(b)に示すように溶剤供給源154から溶剤供給部150に溶剤Lを供給する。溶剤Lは、供給口153から供給面141と接合面Wとの間の隙間142に供給され、当該隙間142において溶剤Lの表面張力と被処理ウェハWの回転による遠心力により、被処理ウェハWの接合面W上を拡散する。こうして、図19(c)に示すように、隙間142において溶剤Lが被処理ウェハWの接合面Wの全面に供給される。
【0091】
その後、被処理ウェハWの接合面Wを溶剤Lに浸した状態を所定の時間、例えば数分間維持する。そうすると、接合面Wに残存していた接着剤G等の不純物が溶剤Lによって除去される。
【0092】
その後、スピンチャック131による被処理ウェハWの回転を引き続き行った状態で、図19(d)に示すように洗浄治具140を所定の位置、すなわち隙間142にリンス液Rを供給できる位置まで上昇させる。続いて、リンス液供給源157からリンス液供給部151にリンス液Rを供給する。リンス液Rは、供給口153から隙間142に供給されて溶剤Lと混合されつつ、当該隙間142において表面張力と遠心力により、被処理ウェハWの接合面W上を拡散する。こうして、図19(e)に示すように、隙間142において溶剤Lとリンス液Rとの混合液Cが、被処理ウェハWの接合面Wの全面に供給される。
【0093】
その後、スピンチャック131による被処理ウェハWの回転を引き続き行った状態で、図19(f)に示すように洗浄治具140を所定の位置まで下降させる。そして、不活性ガス供給部160から不活性ガス供給部152と供給口153を介して隙間142に、不活性ガスが供給される。不活性ガスは、隙間142に充填されていた混合液Cを当該隙間142の外部に押し流す。こうして、隙間142の混合液Cが除去される。
【0094】
なお、上述したように隙間142に不活性ガスを供給する際に洗浄治具140を下降させるのは、隙間142の鉛直方向の距離を小さくして不活性ガスの流速を速くするためである。これによって、隙間142の混合液Cを迅速に除去することができる。また、不活性ガスによって押し流された混合液Cは、被処理ウェハWとダイシングフレームFとの間の段部AのダイシングテープP上に流入する可能性もあるが、この場合であっても混合液C中の溶剤Lは希釈されているため、ダイシングテープPが損傷を被ることはない。
【0095】
隙間142の混合液Cが除去された後も、スピンチャック131による被処理ウェハWの回転と、隙間142への不活性ガスの供給を引き続き行う。そして、被処理ウェハWの接合面Wが乾燥される。こうして、洗浄装置13において被処理ウェハWの接合面Wが洗浄される。
【0096】
その後、洗浄装置13で洗浄された被処理ウェハWは、搬送装置14の第1の搬送アーム190によって第1の搬入出ステーション10のカセットCに搬送される。その後、被処理ウェハWは、第1の搬入出ステーション10から外部に搬出され回収される。こうして、剥離システム1における一連の被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理が終了する。
【0097】
以上の実施の形態の洗浄装置13によれば、洗浄治具140の供給面141と被処理ウェハWの接合面Wとの間の隙間142に供給された接着剤Gの溶剤Lは、溶剤Lの表面張力と被処理ウェハWの回転で生じる遠心力によって隙間142を拡散する。このとき、溶剤Lは表面張力と遠心力の2つの外力がかかるので、隙間142を効率よく拡散できる。また、溶剤Lは、被処理ウェハWの接合面Wのみに拡散し、被処理ウェハWとダイシングフレームFとの間の段部AのダイシングテープP上に流入することはない。したがって、溶剤LによるダイシングテープPの損傷を抑制しつつ、被処理ウェハWの接合面Wを適切に洗浄することができる。また、本実施の形態では、溶剤Lは被処理ウェハWの接合面W以外に拡散しないため、当該溶剤Lの供給量も少量に抑えることができ、溶剤Lのコストを低廉化することもできる。
【0098】
また、被処理ウェハWの接合面Wを洗浄する際、隙間142に溶剤Lを供給した後、当該隙間142にリンス液Rを供給するので、当該リンス液Rによって接合面W上の接着剤Gを除去でき、被処理ウェハWの接合面Wをより適切に洗浄することができる。また、隙間142ではリンス液Rによって溶剤Lが希釈されるので、溶剤Lとリンス液Rの混合液Cが被処理ウェハWとダイシングフレームFとの間の段部AのダイシングテープP上に流入しても、当該ダイシングテープPが損傷を被るのを抑制することができる。
【0099】
さらに、被処理ウェハWの接合面Wを洗浄する際、隙間142にリンス液Rを供給した後、当該隙間142に不活性ガスを供給するので、被処理ウェハWの接合面Wを適切に乾燥させることができる。
【0100】
以上の実施の形態の洗浄治具140の外周部には、図20及び図21に示すように供給面141と接合面Wとの間の隙間142の溶剤Lや混合液Cを吸引するための吸引部300が設けられていてもよい。吸引部300は、洗浄治具140の厚み方向に貫通して設けられている。また吸引部300は、洗浄治具140と同一円周上に等間隔に複数、例えば8箇所に配置されている。各吸引部300には、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置301に連通する吸気管302が接続されている。なお、洗浄治具140のその他の構成は、上記実施の形態の洗浄治具140の構成と同様であるので説明を省略する。また、洗浄治具140の供給口153と吸引部300の形状や配置は、本実施の形態に限定されず、種々の形態を取り得る。例えば供給口153と吸引部300は、平面視においてスリット状の細長形状を有していてもよい。
【0101】
かかる場合、図22に示すように、溶剤供給部150を介して供給口153から供給面141と接合面Wとの間の隙間142に溶剤Lが供給されると、吸引部300によって隙間142の溶剤Lの吸引が行われる。そうすると、溶剤Lは、被処理ウェハWとダイシングフレームFとの間の段部AのダイシングテープP上に流入しない。その後、隙間142にリンス液Rを供給し、さらに隙間142に不活性ガスを供給する際にも、吸引部300による吸引を継続して行う。そうすると、溶剤Lとリンス液Rとの混合液Cも、段部AのダイシングテープP上に流入しない。したがって、本実施の形態では、被処理ウェハWとダイシングフレームFとの間の段部AのダイシングテープP上に溶剤Lや混合液Cが流入するのを確実に抑制できるので、ダイシングテープPが損傷を被るのを抑制することができる。
【0102】
ここで、段部Aに一旦溶剤Lや混合液Cが流入すると、これら溶剤Lや混合液Cは段部Aから流出し難くなる。このため、段部Aは乾燥し難く、被処理ウェハWの接合面Wを洗浄するのに時間がかかる。この点、本実施の形態では、段部Aに溶剤Lや混合液Cが流入しないので、接合面Wの洗浄を迅速に行うことができる。
【0103】
なお、段部Aに溶剤Lや混合液Cが流入するのを抑制する方法は、本実施の形態に限定されず、種々の方法を取り得る。例えば図23に示すように洗浄装置13は、段部Aに気体、例えば乾燥空気や不活性ガスを供給する気体供給部310を有していてもよい。かかる場合、被処理ウェハWの接合面Wを洗浄する際、スピンチャック131によって被処理ウェハWを回転させながら、気体供給部310から気体を供給することで、当該段部Aに溶剤Lや混合液Cが流入するのを抑制することができる。したがって、ダイシングテープPが損傷を被るのを抑制することができ、また接合面Wの洗浄を迅速に行うことができる。なお、気体供給部310は、図示の例のように複数設けられていてもよい。
【0104】
また、例えば図24に示すように洗浄装置13は、段部Aに充填液Kを供給する充填液供給部320を有していてもよい。充填液Kには、ダイシングテープPに損傷を与えない材料が用いられ、ダイシングテープPの種類に応じて決定される。また、被処理ウェハWを洗浄後の段部Aの乾燥を促進するため、充填液Kには揮発性の高い液を用いるのが好ましい。かかる場合、被処理ウェハWの接合面Wを洗浄する際、スピンチャック131によって被処理ウェハWを回転させながら、充填液供給部320から供給された充填液Kで段部Aが充填される。そうすると、溶剤Lや混合液Cが被処理ウェハWの接合面Wの外部に流出しても、段部Aにおいて、この溶剤Lや混合液Cは充填液Kに希釈される。したがって、ダイシングテープPが損傷を被るのを抑制することができる。
【0105】
以上の実施の形態の洗浄治具140の内部には、図25に示すように加熱機構330が設けられていてもよい。加熱機構330には、例えばヒータが用いられる。かかる場合、被処理ウェハWの接合面Wを洗浄して隙間142の混合液Cを不活性ガスによって除去した後、接合面Wを乾燥させる際、加熱機構330によって洗浄治具140を加熱させる。そうすると、この熱が接合面Wに伝わり、当該接合面Wを迅速に乾燥させることができる。なお、加熱機構330は。洗浄治具140の外部に設けてもよい。
【0106】
以上の実施の形態の洗浄治具140は略平板形状を有していたが、図26に示すように洗浄治具としてメッシュ板340を用いてもよい。メッシュ板140は、少なくとも被処理ウェハWの接合面Wを覆う大きさを有し、本実施の形態においては、メッシュ板140と被処理ウェハWはほぼ同じ大きさである。また、メッシュ板340には、複数の開口部341が形成されている。
【0107】
かかる場合、洗浄治具140の内部に形成された溶剤供給部150、リンス液供給部151、不活性ガス供給部152に代えて、図27に示すように溶剤供給部として溶剤ノズル342、リンス液供給部としてリンス液ノズル343、不活性ガス供給部として不活性ガスノズル344がそれぞれ用いられる。これら溶剤ノズル342、リンス液ノズル343、不活性ガスノズル344は、メッシュ板340の上方に配置されている。溶剤ノズル342には、上述した溶剤供給源154に連通する供給管155が接続される。リンス液ノズル343には、上述したリンス液供給源157に連通する供給管158が接続される。不活性ガスノズル344には、上述した不活性ガス供給源160に連通する供給管161が接続される。なお、本実施の形態では、これら溶剤ノズル342、リンス液ノズル343、不活性ガスノズル344は別々に設けられていたが、1つのノズルから溶剤L、リンス液R、不活性ガスを供給するようにしてもよい。
【0108】
そして、被処理ウェハWの接合面Wを洗浄する際には、スピンチャック131によって被処理ウェハWを回転させながら、溶剤ノズル342からメッシュ板340と接合面Wとの間の隙間345に溶剤Lが供給され、溶剤Lは隙間345において表面張力と遠心力により接合面W上を拡散する。このとき、メッシュ板340を用いているので表面張力が大きく、接合面Wが溶剤Lに浸された状態を形成し易い。その後、リンス液ノズル343から隙間345にリンス液Rが供給され、リンス液Rは溶剤Lと混合されつつ、隙間345において表面張力と遠心力により被処理ウェハWの接合面W上を拡散する。その後、不活性ガスノズル344から隙間345に不活性ガスが供給され、不活性ガスによって隙間345の混合液Cが除去され、さらに接合面Wが乾燥される。こうして、本実施の形態においても、被処理ウェハWの接合面Wを適切に洗浄することができる。
【0109】
なお、本実施の形態のようにメッシュ板340を用いる場合、隙間345の溶剤Lや混合液Cを吸引するための吸引部(図示せず)を設けてもよい。吸引部には、例えば被処理ウェハWの径方向に移動自在のスキャンノズルが用いられる。
【0110】
以上の実施の形態の洗浄治具140には、溶剤供給部150、リンス液供給部151、不活性ガス供給部152が設けられていたが、溶剤供給部、リンス液供給部、不活性ガス供給部は種々の形態を取り得る。例えば図28に示すように、溶剤供給部150、リンス液供給部151を洗浄治具140の内部に設け、隙間142に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部350を洗浄治具140の外部に設けてもよい。不活性ガス供給部350には、上述した不活性ガス供給源160に連通する供給管161が接続される。あるいは、これら溶剤供給部、リンス液供給部、不活性ガス供給部をすべて洗浄治具140の外部に設けてもよい。いずれの場合でも、被処理ウェハWの接合面Wを適切に洗浄することができる。
【0111】
以上の実施の形態の洗浄装置13において、図29に示すように洗浄治具140を省略してもよい。かかる場合、溶剤L、リンス液R、不活性ガスを供給する供給ノズル360と、溶剤L、リンス液R(混合液C)を吸引する吸引ノズル361が、ウェハ保持部130の上方に設けられている。そして、スピンチャック131によって被処理ウェハWを回転させながら、供給ノズル360から被処理ウェハW上に溶剤L、リンス液R、不活性ガスを供給し、且つ吸引ノズル361から被処理ウェハW上の溶剤L、リンス液R(混合液C)を吸引する。本実施の形態でも、被処理ウェハWの接合面Wを適切に洗浄することができる。
【0112】
以上の実施の形態の洗浄装置13では、洗浄治具140はウェハ保持部130の上方に配置されていたが、図30に示すように洗浄治具140とウェハ保持部130の上下位置を反対にしてもよい。すなわち、洗浄治具140をウェハ保持部130の下方に配置してもよい。
【0113】
かかる場合、洗浄治具140は、その供給面141が上方を向くように配置される。また、洗浄治具140の下方には、例えばモータやシリンダなどの昇降駆動源などを備えた治具駆動部370が設けられている。洗浄治具140は、治具駆動部370により昇降自在になっている。なお、洗浄治具140の構成は、上記実施の形態の洗浄治具140と同様であるので説明を省略する。
【0114】
ウェハ保持部130は、スピンチャック131に保持された被処理ウェハWの接合面Wが下方を向くように配置される。また、スピンチャック131を回転且つ昇降させるチャック駆動部133は、ウェハ保持部130の上方に設けられ、処理容器120の天井面に取り付けられている。
【0115】
被処理ウェハWの接合面Wを洗浄する際、被処理ウェハWの接合面Wを洗浄する際には、スピンチャック131によって被処理ウェハWを回転させながら、図31に示すように溶剤供給部150から洗浄治具140と接合面Wとの間の隙間142に溶剤Lが供給され、溶剤Lは隙間142において表面張力と遠心力により接合面W上を拡散する。その後、リンス液供給部151から隙間142にリンス液Rが供給され、リンス液Rは溶剤Lと混合されつつ、隙間142において表面張力と遠心力により被処理ウェハWの接合面W上を拡散する。その後、不活性ガス供給部152から隙間142に不活性ガスが供給され、不活性ガスによって隙間142の混合液Cが除去され、さらに接合面Wが乾燥される。このとき、溶剤Lや混合液Cが隙間142の外部に流出しても、これら溶剤Lや混合液Cは下方に落下する。すなわち、溶剤Lや混合液Cが被処理ウェハWとダイシングフレームFとの間の段部AのダイシングテープPに流入することはない。このため、ダイシングテープPが損傷を被るのを抑制することができ、また接合面Wの洗浄を迅速に行うことができる。したがって、洗浄治具140とウェハ保持部130の上下位置を反対にした場合でも、被処理ウェハWの接合面Wを適切に洗浄することができる。しかも、被処理ウェハWはその接合面Wが下方を向くようにスピンチャック131に保持されるので、剥離装置12で剥離された被処理ウェハWの表裏面を反転する必要がない。このため、反転装置32を省略することができる。
【0116】
なお、隙間142への溶剤Lとリンス液Rの供給を図19に示したように接合面Wが上方を向いた状態で行い、その後被処理ウェハWの表裏面を反転させて、隙間142への不活性ガスの供給を図31に示したように接合面Wが下方を向いた状態で行ってもよい。かかる場合、溶剤Lとリンス液Rによって上方を向いた状態の接合面W上の不純物が適切に除去される。その後、不活性ガスによって下方を向いた状態の接合面Wが乾燥されるが、このとき隙間142の混合液Cが段部Aに流入するのを抑制することができる。
【0117】
上記実施の形態のように洗浄治具140がウェハ保持部130の下方に配置された場合でも、図32に示すように洗浄治具140の外周部に吸引部300を設けてもよい。なお、吸引部300の構成は、上記実施の形態の吸引部300の構成と同様であるので説明を省略する。かかる場合、被処理ウェハWの接合面Wを洗浄する際、吸引部300から隙間142の溶剤Lや混合液Cを吸引することができるので、被処理ウェハWとダイシングフレームFとの間の段部AのダイシングテープPに、溶剤Lや混合液Cが流入するのを抑制することができる。しかも、吸引部300の下方から溶剤Lや混合液Cを吸引するので、当該溶剤Lや混合液Cにかかる重力の分、吸引部300からの吸引力を小さくすることができ、負圧発生装置301にかかる負荷を低減することができる。
【0118】
さらに、このように洗浄治具140がウェハ保持部130の下方に配置された場合において、図33に示すように洗浄治具140を省略してもよい。かかる場合、スピンチャック131の下方には、被処理ウェハWの接合面Wに溶剤Lを供給する溶剤ノズル380、接合面Wにリンス液Rを供給するリンス液ノズル381、接合面Wに不活性ガスを供給する不活性ガスノズル382が設けられる。なお、本実施の形態では、これら溶剤ノズル380、リンス液ノズル381、不活性ガスノズル382は別々に設けられていたが、1つのノズルから溶剤L、リンス液R、不活性ガスを供給するようにしてもよい。
【0119】
そして、被処理ウェハWの接合面Wを洗浄する際には、スピンチャック131によって被処理ウェハWを回転させながら、溶剤ノズル380から接合面Wに溶剤Lが供給され、溶剤Lは遠心力により接合面W上を拡散する。その後、リンス液ノズル381から接合面Wにリンス液Rが供給され、リンス液Rは溶剤Lと混合されつつ、遠心力により接合面W上を拡散する。その後、不活性ガスノズル382から接合面Wに不活性ガスが供給され、不活性ガスによって接合面W上の混合液Cが除去され、さらに接合面Wが乾燥される。こうして、本実施の形態においても、被処理ウェハWの接合面Wを適切に洗浄することができる。
【0120】
以上の実施の形態の洗浄装置13では、スピンチャック131によって被処理ウェハWを回転させていたが、洗浄治具140を回転させてもよい。かかる場合、洗浄装置13には、洗浄治具140を回転させるための回転機構(図示せず)が設けられる。あるいは、洗浄治具140とスピンチャック131に保持された被処理ウェハWを共に回転させてもよい。いずれの場合でも、洗浄治具140と被処理ウェハWを相対的に回転させることによって、溶剤Lや混合液Cは遠心力により被処理ウェハWの接合面W上を拡散することができる。
【0121】
なお、このような洗浄治具140と被処理ウェハWの相対的な回転を停止して、表面張力のみで溶剤Lや混合液Cを拡散させてもよい。
【0122】
以上の実施の形態の洗浄装置13では、被処理ウェハWの接合面Wを洗浄するために溶剤L、リンス液R、不活性ガスを用いていたが、例えば溶剤Lが高い揮発性を有する場合には、リンス液Rと不活性ガスを省略することもできる。
【0123】
以上の実施の形態の重合ウェハTの剥離処理は、上記剥離システム1と異なる剥離システムで行ってもよい。
【0124】
例えば図34に示すように剥離システム400は、外部との間で複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTをそれぞれ収容可能なカセットC、C、Cが搬入出される搬入出ステーション410と、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTに対して所定の処理を施す各種処理装置を備えた剥離処理ステーション411と、剥離処理ステーション411に隣接する後処理ステーション412との間で被処理ウェハWの受け渡しを行うインターフェイスステーション413とを一体に接続した構成を有している。なお、本実施の形態においても、被処理ウェハWと重合ウェハTは、それぞれダイシングフレームFとダイシングテープPに保持されている。
【0125】
搬入出ステーション410と剥離処理ステーション411は、X方向(図34中の上下方向)に並べて配置されている。これら搬入出ステーション410と剥離処理ステーション411との間には、ウェハ搬送領域414が形成されている。インターフェイスステーション413は、剥離処理ステーション411のY方向負方向側(図34中の左方向側)に配置されている。インターフェイスステーション413のX方向正方向側(図34中の上方向側)には、後処理ステーション412に受け渡す前の被処理ウェハWを検査する検査装置415が配置されている。また、インターフェイスステーション413を挟んで検査装置415の反対側、すなわちインターフェイスステーション413のX方向負方向側(図34中の下方向側)には、検査後の被処理ウェハWを洗浄する検査後洗浄装置416が配置されている。
【0126】
搬入出ステーション410には、カセット載置台420が設けられている。カセット載置台420には、複数、例えば3つのカセット載置板421が設けられている。カセット載置板421は、Y方向(図34中の左右方向)に一列に並べて配置されている。これらのカセット載置板421には、剥離システム1の外部に対してカセットC、C、Cを搬入出する際に、カセットC、C、Cを載置することができる。このように搬入出ステーション410は、複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTを保有可能に構成されている。なお、カセット載置板421の個数は、本実施の形態に限定されず、任意に決定することができる。また、搬入出ステーション410に搬入された複数の重合ウェハTには予め検査が行われており、正常な被処理ウェハWを含む重合ウェハTと、欠陥のある被処理ウェハWを含む重合ウェハTとに判別されている。
【0127】
ウェハ搬送領域414には、第1の搬送装置430が配置されている。第1の搬送装置430は、例えば鉛直方向、水平方向(Y方向、X方向)及び鉛直軸周りに移動自在な2本の搬送アームを有している。これら2本の搬送アームは、上記実施の形態における重合ウェハT又は被処理ウェハWを保持して搬送する第1の搬送アーム190と、支持ウェハSを保持して搬送する第2の搬送アーム191とそれぞれ同様の構成を有している。第1の搬送装置430は、ウェハ搬送領域414内を移動し、搬入出ステーション410と剥離処理ステーション411との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送できる。
【0128】
剥離処理ステーション411は、重合ウェハTを被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離する剥離装置12を有している。剥離装置12のY方向負方向側(図34中の左方向側)には、剥離された被処理ウェハWを洗浄する第1の洗浄装置13が配置されている。剥離装置12と第1の洗浄装置13との間には、第2の搬送装置440が設けられている。また、剥離装置12のY方向正方向側(図24中の右方向側)には、剥離された支持ウェハSを洗浄する他の洗浄装置としての第2の洗浄装置441が配置されている。このように剥離処理ステーション411には、第1の洗浄装置13、第2の搬送装置440、剥離装置12、第2の洗浄装置441が、インターフェイスステーション413側からこの順で並べて配置されている。なお、剥離装置12は、上記実施の形態の剥離システム1における剥離装置12と同様の構成を有する。また、第1の洗浄装置13も剥離システム1における洗浄装置13と同様の構成を有するが、第2の洗浄装置441と区別するため、便宜上、第1の洗浄装置13と呼称する。
【0129】
検査装置415では、剥離装置12により剥離された被処理ウェハW上の接着剤Gの残渣の有無が検査される。また、検査後洗浄装置416では、検査装置415で接着剤Gの残渣が確認された被処理ウェハWの洗浄が行われる。この検査後洗浄装置416は、被処理ウェハWの接合面Wを洗浄する接合面洗浄部416a、被処理ウェハWの非接合面Wを洗浄する非接合面洗浄部416b、被処理ウェハWを上下反転させる反転部416cを有している。なお、接合面洗浄部416aと非接合面洗浄部416bは、第1の洗浄装置13と同様の構成を有する。
【0130】
インターフェイスステーション413には、Y方向に延伸する搬送路450上を移動自在な第3の搬送装置451が設けられている。第3の搬送装置451は、鉛直方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、剥離処理ステーション411、後処理ステーション412、検査装置415及び検査後洗浄装置416との間で被処理ウェハWを搬送できる。
【0131】
なお、後処理ステーション412では、剥離処理ステーション411で剥離された被処理ウェハWに所定の後処理を行う。所定の後処理としては、例えば被処理ウェハW上のデバイスの電気的特性の検査を行う処理などが行われる。
【0132】
次に、上述した第2の搬送装置440の構成について説明する。第2の搬送装置440は、図35に示すように被処理ウェハWを保持して搬送する搬送アーム460を有している。なお、搬送アーム460で搬送される被処理ウェハWは、ダイシングフレームFとダイシングテープPに保持されている。
【0133】
搬送アーム460は、図36に示すように先端が2本の先端部460a、460aに分岐した形状を有している。搬送アーム460には、ダイシングフレームF(又はダイシングテープP)を介して被処理ウェハWを吸着して保持する吸着パッド461が設けられている。これにより搬送アーム460は、当該搬送アーム460上に被処理ウェハWを水平に保持することができる。
【0134】
搬送アーム460は、図35に示すように支持アーム462に支持されている。支持アーム462は、第1の駆動部463に支持されている。この第1の駆動部463により、支持アーム462は水平軸周りに回動自在であり、且つ水平方向に伸縮できる。第1の駆動部463の下方には、第2の駆動部464が設けられている。この第2の駆動部464により、第1の駆動部463は鉛直軸周りに回転自在であり、且つ鉛直方向に昇降できる。
【0135】
なお、第3の搬送装置451は、上述した第2の搬送装置440と同様の構成を有している。但し、第3の搬送装置451の第2の駆動部464は、図34に示した搬送路450に取り付けられ、第3の搬送装置451は搬送路450上を移動可能になっている。
【0136】
次に、上述した第2の洗浄装置441の構成について説明する。第1の洗浄装置13は、図37に示すように処理容器470を有している。処理容器470の側面には、支持ウェハSの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0137】
処理容器470内の中央部には、支持ウェハSを保持して回転させるスピンチャック480が設けられている。スピンチャック480は、水平な上面を有し、当該上面には、例えば支持ウェハSを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、支持ウェハSをスピンチャック480上に吸着保持できる。
【0138】
スピンチャック480の下方には、例えばモータなどを備えたチャック駆動部481が設けられている。スピンチャック480は、チャック駆動部481により所定の速度に回転できる。また、チャック駆動部481には、例えばシリンダなどの昇降駆動源が設けられており、スピンチャック480は昇降自在になっている。
【0139】
スピンチャック480の周囲には、支持ウェハSから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ482が設けられている。カップ482の下面には、回収した液体を排出する排出管483と、カップ482内の雰囲気を真空引きして排気する排気管484が接続されている。
【0140】
図38に示すようにカップ482のX方向負方向(図38中の下方向)側には、Y方向(図38中の左右方向)に沿って延伸するレール490が形成されている。レール490は、例えばカップ482のY方向負方向(図38中の左方向)側の外方からY方向正方向(図38中の右方向)側の外方まで形成されている。レール490には、アーム491が取り付けられている。
【0141】
アーム491には、図37及び図38に示すように支持ウェハSに洗浄液、例えば有機溶剤を供給する洗浄液ノズル492が支持されている。アーム491は、図38に示すノズル駆動部493により、レール490上を移動自在である。これにより、洗浄液ノズル492は、カップ482のY方向正方向側の外方に設置された待機部494からカップ482内の支持ウェハSの中心部上方まで移動でき、さらに当該支持ウェハS上を支持ウェハSの径方向に移動できる。また、アーム491は、ノズル駆動部493によって昇降自在であり、洗浄液ノズル492の高さを調節できる。
【0142】
洗浄液ノズル492には、例えば2流体ノズルが用いられる。洗浄液ノズル492には、図37に示すように当該洗浄液ノズル492に洗浄液を供給する供給管500が接続されている。供給管500は、内部に洗浄液を貯留する洗浄液供給源501に連通している。供給管500には、洗浄液の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群502が設けられている。また、洗浄液ノズル492には、当該洗浄液ノズル492に不活性ガス、例えば窒素ガスを供給する供給管503が接続されている。供給管503は、内部に不活性ガスを貯留する不活性ガス供給源504に連通している。供給管503には、不活性ガスの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群505が設けられている。そして、洗浄液と不活性ガスは洗浄液ノズル492内で混合され、当該洗浄液ノズル492から支持ウェハSに供給される。なお、以下においては、洗浄液と不活性ガスを混合したものを単に「洗浄液」という場合がある。
【0143】
なお、スピンチャック480の下方には、支持ウェハSを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられていてもよい。かかる場合、昇降ピンはスピンチャック480に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、スピンチャック480の上面から突出可能になっている。そして、スピンチャック480を昇降させる代わりに昇降ピンを昇降させて、スピンチャック480との間で支持ウェハSの受け渡しが行われる。
【0144】
また、第2の洗浄装置441において、スピンチャック480の下方には、支持ウェハSの裏面、すなわち非接合面Sに向けて洗浄液を噴射するバックリンスノズル(図示せず)が設けられていてもよい。このバックリンスノズルから噴射される洗浄液によって、支持ウェハSの非接合面Sと支持ウェハSの外周部が洗浄される。
【0145】
次に、以上のように構成された剥離システム400を用いて行われる被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理方法について説明する。
【0146】
先ず、複数枚の重合ウェハTを収容したカセットC、空のカセットC、及び空のカセットCが、搬入出ステーション410の所定のカセット載置板421に載置される。第1の搬送装置430によりカセットC内の重合ウェハTが取り出され、剥離処理ステーション411の剥離装置12に搬送される。このとき、重合ウェハTは、ダイシングフレームFとダイシングテープPに保持され、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で搬送される。
【0147】
剥離装置12に搬入された重合ウェハTは、被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離される。この剥離装置12における被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離方法は、上記実施の形態で説明した方法と同様であるので説明を省略する。
【0148】
その後、剥離装置12で剥離された被処理ウェハWは、第2の搬送装置440によって第1の洗浄装置13に搬送される。ここで、第2の搬送装置440による被処理ウェハWの搬送方法について説明する。なお、被処理ウェハWは、ダイシングフレームFとダイシングテープPに保持されている。
【0149】
図39に示すように支持アーム462を伸長させて、搬送アーム460を第1の保持部50に保持された被処理ウェハWの下方に配置する。その後、搬送アーム460を上昇させ、第1の保持部50における吸引管60からの被処理ウェハWの吸引を停止する。そして、第1の保持部50から搬送アーム460に被処理ウェハWが受け渡される。
【0150】
次に図40に示すように、支持アーム462を回動させて搬送アーム460を第1の洗浄装置13のウェハ保持部130の上方に移動させると共に、搬送アーム460を反転させて被処理ウェハWを下方に向ける。このとき、ウェハ保持部130をカップ134よりも上方まで上昇させて待機させておく。その後、搬送アーム460からウェハ保持部130に被処理ウェハWが受け渡され吸着保持される。
【0151】
このようにウェハ保持部130に被処理ウェハWが吸着保持されると、ウェハ保持部130を所定の位置まで下降させる。続いて、洗浄治具140によって被処理ウェハWの接合面Wが洗浄される。なお、この第1の洗浄装置13における被処理ウェハWの接合面Wの洗浄方法は、上記実施の形態で説明した方法と同様であるので説明を省略する。
【0152】
ここで、上述したように搬入出ステーション410に搬入された複数の重合ウェハTには予め検査が行われており、正常な被処理ウェハWを含む重合ウェハTと欠陥のある被処理ウェハWを含む重合ウェハTとに判別されている。
【0153】
正常な重合ウェハTから剥離された正常な被処理ウェハWは、第1の洗浄装置13で接合面Wが洗浄された後、第3の搬送装置451によって検査装置415に搬送される。なお、この第3の搬送装置451による被処理ウェハWの搬送は、上述した第2の搬送装置440による被処理ウェハWの搬送とほぼ同様であるので説明を省略する。
【0154】
検査装置415においては、被処理ウェハWの接合面Wにおける接着剤Gの残渣の有無が検査される。検査装置415において接着剤Gの残渣が確認された場合、被処理ウェハWは第3の搬送装置451により検査後洗浄装置416の接合面洗浄部416aに搬送され、接合面洗浄部416aで接合面Wが洗浄される。接合面Wが洗浄されると、被処理ウェハWは第3の搬送装置451によって反転部416cに搬送され、反転部416cにおいて上下方向に反転される。なお、接着剤Gの残渣が確認されなかった場合には、被処理ウェハWは接合面洗浄部416aに搬送されることなく反転部416cにて反転される。
【0155】
その後、反転された被処理ウェハWは、第3の搬送装置451により再び検査装置415に搬送され、非接合面Wの検査が行われる。そして、非接合面Wにおいて接着剤Gの残渣が確認された場合、被処理ウェハWは第3の搬送装置451によって非接合面洗浄部416cに搬送され、非接合面Wの洗浄が行われる。次いで、洗浄された被処理ウェハWは、第3の搬送装置451によって後処理ステーション412に搬送される。なお、検査装置415で接着剤Gの残渣が確認されなかった場合には、被処理ウェハWは非接合面洗浄部416bに搬送されることなくそのまま後処理ステーション412に搬送される。
【0156】
その後、後処理ステーション412において被処理ウェハWに所定の後処理が行われる。こうして、被処理ウェハWが製品化される。
【0157】
一方、欠陥のある重合ウェハTから剥離された欠陥のある被処理ウェハWは、第1の洗浄装置13で接合面Wが洗浄された後、第1の搬送装置430によって搬入出ステーション410のカセットCに搬送される。その後、欠陥のある被処理ウェハWは、搬入出ステーション410から外部に搬出され回収される。
【0158】
剥離装置12で剥離された被処理ウェハWに上述した処理が行われている間、当該剥離装置12で剥離された支持ウェハSは、第1の搬送装置430によって第2の洗浄装置441に搬送される。
【0159】
第2の洗浄装置441に搬入された支持ウェハSは、スピンチャック480に吸着保持される。その後、スピンチャック480を所定の位置まで下降させる。続いて、アーム491によって待機部494の洗浄液ノズル492を支持ウェハSの中心部の上方まで移動させる。その後、スピンチャック480によって支持ウェハSを回転させながら、洗浄液ノズル492から支持ウェハSの接合面Sに洗浄液を供給する。供給された洗浄液は遠心力により支持ウェハSの接合面Sの全面に拡散されて、当該支持ウェハSの接合面Sが洗浄される。
【0160】
その後、第2の洗浄装置441で洗浄された支持ウェハSは、第1の搬送装置430によって搬入出ステーション410のカセットCに搬送される。その後、支持ウェハSは、搬入出ステーション410から外部に搬出され回収される。こうして、剥離システム400における一連の被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理が終了する。
【0161】
以上の実施の形態の剥離システム400によれば、剥離装置12において重合ウェハTを被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離した後、第1の洗浄装置13において、剥離された被処理ウェハWを洗浄すると共に、第2の洗浄装置441において、剥離された支持ウェハSを洗浄することができる。このように本実施の形態によれば、一の剥離システム400内で、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離から被処理ウェハWの洗浄と支持ウェハSの洗浄までの一連の剥離処理を効率よく行うことができる。また、第1の洗浄装置13と第2の洗浄装置441において、被処理ウェハWの洗浄と支持ウェハSの洗浄をそれぞれ並行して行うことができる。さらに、剥離装置12において被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離する間に、第1の洗浄装置13と第2の洗浄装置441において別の被処理ウェハWと支持ウェハSを処理することもできる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離を効率よく行うことができ、剥離処理のスループットを向上させることができる。
【0162】
また、このように一連のプロセスにおいて、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離から被処理ウェハWの後処理まで行うことができるので、ウェハ処理のスループットをさらに向上させることができる。
【0163】
以上の実施の形態の剥離システム400において、剥離装置12で加熱された被処理ウェハWを所定の温度に冷却する温度調節装置(図示せず)が設けられていてもよい。かかる場合、被処理ウェハWの温度が適切な温度に調節されるので、後続の処理をより円滑に行うことができる。
【0164】
また、以上の実施の形態では、後処理ステーション412において被処理ウェハWに後処理を行い製品化する場合について説明したが、本発明は、例えば3次元集積技術で用いられる被処理ウェハを支持ウェハから剥離する場合にも適用することができる。なお、3次元集積技術とは、近年の半導体デバイスの高集積化の要求に応えた技術であって、高集積化した複数の半導体デバイスを水平面内で配置する代わりに、当該複数の半導体デバイスを3次元に積層する技術である。この3次元集積技術においても、積層される被処理ウェハの薄型化が求められており、当該被処理ウェハを支持ウェハに接合して所定の処理が行われる。
【0165】
以上の実施の形態において、図41に示すように被処理ウェハWとダイシングフレームFとの間の段部AのダイシングテープP上には、環状の保護テープDが設けられていてもよい。すなわち、保護テープDは、平面視においてダイシングテープPの露出部分が存在しないように設けられる。なお、保護テープDには、接着剤Gの溶剤Lに対して耐食性を有する材料が用いられ、例えばテフロン(登録商標)などのフッ素系樹脂が用いられる。
【0166】
保護テープDは、重合ウェハTをダイシングフレームFにマウントする前に設けられてもよいし、重合ウェハTをダイシングフレームFにマウントする際に設けられてもよい。重合ウェハTのマウント前に保護テープDを設ける場合、例えば予めダイシングテープP上の所定の位置に保護テープDが貼り付けられたものを、ダイシングフレームFと重合ウェハTに貼り付ける。また重合ウェハTのマウントの際に保護テープDを設ける場合、例えば保持部材(図示せず)によって保護テープDを保持して、被処理ウェハWとダイシングフレームFとの間の段部AのダイシングテープP上に貼り付けてもよいし、あるいは例えば被処理ウェハWとダイシングフレームFとの間の段部AのダイシングテープP上に保護材料を塗布して保護テープDを設けてもよい。
【0167】
かかる場合、洗浄装置13において被処理ウェハWを洗浄する際、溶剤供給部150を介して供給口153から供給面141と接合面Wとの間の隙間142に溶剤Lが供給されて、当該溶剤Lが被処理ウェハWとダイシングフレームFとの間の段部Aに流入しても、保護テープDによって溶剤LによるダイシングテープPの損傷を抑制することができる。
【0168】
また、保護テープDが溶剤Lに対して耐食性を有するので、溶剤LによるダイシングテープPの損傷をより確実に抑制することができる。なお、例えば保護テープDが溶剤Lに対する耐食性を有しない場合でも、段部Aに流入した溶剤LがダイシングテープPに接触しなければよい。すなわち、保護テープDが溶剤Lによって腐食しても、当該溶剤LがダイシングテープPの表面に達しなければよい。
【0169】
以上の実施の形態において、図42に示すように保護テープDは、被処理ウェハWとダイシングフレームFとの間の段部AのダイシングテープPを覆いつつ、さらにダイシングフレームFを覆うように設けられていてもよい。かかる場合、溶剤LがダイシングフレームFを汚染するのを抑制することができる。また、被処理ウェハWに対する処理が終了した後、ダイシングテープPから保護テープDを剥がし易くできる。
【0170】
なお、発明者らが鋭意検討した結果、洗浄装置13において被処理ウェハWを洗浄する際、接着剤Gの溶剤Lにイソドデカン又はメンタンを使用した場合、当該溶剤LによってダイシングテープPが劣化しないことが分かった。また、イソドデカン又はメンタンの溶剤Lによって、被処理ウェハWの接合面Wを十分に洗浄できることも確認されている。したがって、この溶剤Lを用いた場合、ダイシングテープPが露出していても、すなわち例えば上述した保護テープDを省略しても、溶剤LによるダイシングテープPの損傷を抑制しつつ、被処理ウェハWを適切に洗浄することができる。
【0171】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0172】
1 剥離システム
10 第1の搬入出ステーション
11 第2の搬入出ステーション
12 剥離装置
13 洗浄装置(第1の洗浄装置)
14 搬送装置
130 ウェハ保持部
131 スピンチャック
132 吸着パッド
133 チャック駆動部
140 洗浄治具
141 供給面
142 隙間
150 溶剤供給部
151 リンス液供給部
152 不活性ガス供給部
153 供給口
180 受渡アーム
181 フレーム保持部
250 制御部
300 吸引部
310 気体供給部
320 充填液供給部
330 加熱機構
340 メッシュ板
400 剥離システム
410 搬入出ステーション
411 剥離処理ステーション
414 ウェハ搬送領域
430 第1の搬送装置
440 第2の搬送装置
441 第2の洗浄装置
A 段部
D 保護テープ
F ダイシングフレーム
G 接着剤
K 充填液
L 溶剤
P ダイシングテープ
R リンス液
S 支持ウェハ
T 重合ウェハ
W 被処理ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板と支持基板が接着剤で接合された重合基板を剥離した後、剥離された被処理基板が環状のフレームの内側に配置されて、前記フレームの表面と被処理基板の非接合面に貼り付けられたテープにより保持された状態で、当該被処理基板の接合面を洗浄する洗浄方法であって、
被処理基板の接合面上に前記接着剤の溶剤を供給するための洗浄治具の供給面が前記接合面を覆い、且つ前記供給面と前記接合面との間の距離が所定の距離となるように、前記洗浄治具を被処理基板に対向して配置する配置工程と、
その後、前記供給面と前記接合面との間に前記溶剤を供給し、当該供給された溶剤を表面張力によって前記接合面上に拡散させる洗浄工程と、を有することを特徴とする、洗浄方法。
【請求項2】
前記洗浄工程において、前記溶剤が前記接合面に拡散した後、前記供給面と前記接合面との間に前記溶剤のリンス液を供給することを特徴とする、請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項3】
前記洗浄工程において、前記洗浄治具と被処理基板を相対的に回転させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の洗浄方法。
【請求項4】
前記洗浄工程において、前記供給面と前記接合面と間で拡散した溶剤を吸引することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項5】
前記洗浄工程は前記接合面が鉛直上方を向いた状態で行われ、
当該洗浄工程において、被処理基板と前記フレームとの間の前記テープに向けて気体を供給することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項6】
前記洗浄工程は前記接合面が鉛直上方を向いた状態で行われ、
当該洗浄工程において、被処理基板と前記フレームとの間のテープ上に充填液を充填することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項7】
前記洗浄工程は前記接合面が鉛直下方を向いた状態で行われることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項8】
前記洗浄工程の後、前記供給面と前記接合面との間に不活性ガスを供給して、当該接合面を乾燥させる乾燥工程を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項9】
前記乾燥工程において、前記洗浄治具を加熱することを特徴とする、請求項8に記載の洗浄方法。
【請求項10】
被処理基板と前記フレームとの間のテープ上には、環状の保護テープが設けられていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項11】
前記保護テープは、前記溶剤に対する耐食性を有することを特徴とする、請求項10に記載の洗浄方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずかに記載の洗浄方法を洗浄装置によって実行させるために、当該洗浄装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。
【請求項14】
被処理基板と支持基板が接着剤で接合された重合基板を剥離した後、剥離された被処理基板が環状のフレームの内側に配置されて、前記フレームの表面と被処理基板の非接合面に貼り付けられたテープにより保持された状態で、当該被処理基板の接合面を洗浄する洗浄装置であって、
被処理基板を保持する基板保持部と、
被処理基板の接合面を覆う供給面を備えた洗浄治具と、
前記供給面と前記接合面との間に前記接着剤の溶剤を供給する溶剤供給部と、
前記供給面が前記接合面を覆い、且つ前記供給面と前記接合面との間の距離が所定の距離となるように、前記洗浄治具を前記基板保持部に保持された被処理基板に対向して配置する配置工程と、その後、前記供給面と前記接合面との間に前記溶剤を供給し、当該供給された溶剤を表面張力によって前記接合面上に拡散させる洗浄工程とを実行するように、前記基板保持部、前記洗浄治具及び前記溶剤供給部を制御する制御部と、を有することを特徴とする、洗浄装置。
【請求項15】
前記供給面と前記接合面との間に前記溶剤のリンス液を供給するリンス液供給部を有し、
前記制御部は、前記洗浄工程において、前記溶剤が前記接合面に拡散した後、前記供給面と前記接合面との間に前記リンス液を供給するように、前記リンス液供給部を制御することを特徴とする、請求項14に記載の洗浄装置。
【請求項16】
前記洗浄治具と、前記基板保持部に保持された被処理基板とを相対的に回転させる回転機構を有することを特徴とする、請求項14又は15に記載の洗浄装置。
【請求項17】
前記供給面と前記接合面との間で拡散した溶剤を吸引する吸引部を有することを特徴とする、請求項14〜16のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項18】
前記洗浄治具は前記基板保持部に保持された被処理基板の鉛直上方に配置され、
被処理基板と前記フレームとの間の前記テープに向けて気体を供給する気体供給部を有することを特徴とする、請求項14〜17のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項19】
前記洗浄治具は前記基板保持部に保持された被処理基板の鉛直上方に配置され、
被処理基板と前記フレームとの間のテープ上に充填液を充填する充填液供給部を有することを特徴とする、請求項14〜17のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項20】
前記洗浄治具は前記基板保持部に保持された被処理基板の鉛直上方に配置されていることを特徴とする、請求項14〜17のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項21】
前記洗浄治具はメッシュ板であることを特徴とする、請求項14〜20のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項22】
前記供給面と前記接合面との間に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部を有し、
前記制御部は、前記洗浄工程の後、前記供給面と前記接合面との間に不活性ガスを供給して当該接合面を乾燥させる乾燥工程を実行するように、前記不活性ガス供給部を制御することを特徴とする、請求項14〜21のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項23】
前記洗浄治具を加熱させる加熱機構を有し、
前記制御部は、前記乾燥工程において前記洗浄治具を加熱するように、前記加熱機構を制御することを特徴とする、請求項22に記載の洗浄装置。
【請求項24】
前記基板保持部は、前記テープを介して被処理基板を保持する第1の保持部と、前記テープの外側において前記フレームの表面を保持する第2の保持部とを有することを特徴とする、請求項14〜23のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項25】
前記基板保持部に被処理基板を受け渡すための受渡アームを有し、
前記受渡アームは、被処理基板が取り付けられた前記フレームを保持するフレーム保持部を有することを特徴とする、請求項14〜24のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項26】
被処理基板と前記フレームとの間のテープ上には、環状の保護テープが設けられていることを特徴とする、請求項14〜25のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項27】
前記保護テープは、前記溶剤に対する耐食性を有することを特徴とする、請求項26に記載の洗浄装置。
【請求項28】
請求項14〜27のいずれかに記載の洗浄装置を備えた剥離システムであって、
重合基板を被処理基板と支持基板に剥離する剥離装置と、前記剥離装置で剥離された被処理基板を洗浄する前記洗浄装置と、前記剥離装置で剥離された支持基板を洗浄する他の洗浄装置と、を備えた剥離処理ステーションと、
前記剥離処理ステーションに対して、被処理基板、支持基板又は重合基板を搬入出する搬入出ステーションと、
前記剥離処理ステーションと前記搬入出ステーションとの間で、被処理基板、支持基板又は重合基板を搬送する搬送装置と、を有することを特徴とする、剥離システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2013−33925(P2013−33925A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−100857(P2012−100857)
【出願日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】