説明

洗浄装置

【課題】水平に連続回転する2台のロータリー洗浄装置間で、洗浄ノズルの干渉を避ける洗浄ノズル移動手段を備えることにより、直接容器を受渡し可能とした洗浄装置を提供する。
【解決手段】連続回転する回転体の一定半径の円周上で等ピッチに支えられた倒立容器の開口部を通し、容器の内側に向かって上方に洗浄水を噴出し、容器の内部を洗浄する複数の洗浄ノズルを備えた2台のロータリー洗浄装置(洗浄装置1、洗浄装置2とする)間で、容器の間隔ピッチ速度を同調して容器を受渡しするとき、洗浄装置1の洗浄ノズルを保持する回転体の外周を駆動カムとして洗浄装置2の洗浄ノズルを移動させる洗浄ノズルの移動手段を備えることにより、洗浄ノズル間の干渉を避けるようにした洗浄装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料等の容器の内部を洗浄する洗浄装置に関し、特に水平に連続回転する2台のロータリー洗浄装置間で、洗浄ノズルの干渉を避ける洗浄ノズル移動手段を備えることにより、直接容器を受渡し可能とした洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料用の容器は、取り扱いが容易で、個性的な外観デザインが選択可能な熱可塑性プラスチック容器(PETボトル)が好んで採用されるようになってきている。しかし、熱可塑性プラスチック容器は高温で軟化するので、硝子びんのように飲料充填後加熱殺菌することができない。従って熱可塑性プラスチック容器は、軟化点以下の温度の殺菌剤水溶液で十分に殺菌し、無菌の洗浄水で洗浄する必要があり、殺菌・洗浄設備は大型になる傾向がある。
【0003】
PETボトルの飲料液充填設備は、消毒洗浄装置、仕上洗浄装置、充填装置がクリーンチャンバーの中に設置され、空のPETボトルは1列に整列して、消毒洗浄、仕上洗浄、充填、キャピングの工程を経て、飲料液は容器に充填密封された後、クリーンチャンバーから外へ送り出される。特許文献1に示すように(図10)、これらの洗浄、充填処理を連続で行うため、通常、容器の送り速度を揃えたロータリー処理装置が用いられる。即ち、図10において、容器洗浄設備01には容器反転装置012A、012B、薬液(殺菌)洗浄装置(リンサー)07、07、仕上げ洗浄装置08と4台の接続ホイール09が設置されて、仕上げ洗浄が終わった容器が充填装置02、キャッピング装置03へ送られる。04はキャップ滅菌装置である。このように、多くの機能装置をレイアウトするために広い設置面積と広いクリーンチャンバーが必要である。
【0004】
【特許文献1】特開2001−240189号公報(図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の洗浄装置は、複数のリンサー間の容器受け渡しを複数の接続ホイールで行っているため、受け渡し接続のためにリンサーの洗浄の角度範囲が減少し、リンサーの外径が大きくなるので、機能装置が多く、設備のレイアウトが長大になり、広い設置面積と広いクリーンチャンバーが必要である。
本発明は、接続ホイールが不要なリンサー間の容器受け渡しと、容器受け渡し時点で、上流側のリンサーのノズルと下流側のリンサーの洗浄ノズルとが干渉しない構成とすることにより、機能装置の数量を減らして、レイアウト面積を縮小し、小型のクリーンチャンバーに収まるような、コスト低減した容器洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の問題点に対し、本発明は以下の各手段により課題の解決を図る。
(1) 第1の手段の洗浄装置は、連続回転する回転体の一定半径の円周上で等ピッチに支えられた倒立容器の開口部を通し、容器の内側に向かって上方に洗浄水を噴出し、容器の内部を洗浄する複数の洗浄ノズルを備えた2台のロータリー洗浄装置(洗浄装置1、洗浄装置2とする)間で、容器の間隔ピッチ速度を同調して容器を受渡しするとき、洗浄装置1の洗浄ノズルを保持する回転体の外周を駆動カムとして洗浄装置2の洗浄ノズルを移動させる洗浄ノズルの移動手段を備えることにより、洗浄ノズル間の干渉を避けるようにしたことを特徴とする。
【0007】
(2) 第2の手段の洗浄装置は、上記(1)の洗浄装置において、洗浄装置2の洗浄ノズルの移動手段は、ノズルの噴出方向が垂直上方に向いたまま回転体の半径方向に移動可能な洗浄ノズルと、相対する洗浄装置1の回転体の外周の駆動カムと、洗浄ノズルに外嵌するカムフォロワと、前記洗浄ノズルが元の位置に戻るように作用する復元ばねとにより構成され、前記カムフォロワが前記駆動カムに当接することにより洗浄装置2の洗浄ノズルが直線移動することを特徴とする。
【0008】
(3) 第3の手段の洗浄装置は、上記(2)の洗浄装置において、洗浄装置2のノズルの噴出方向が垂直上方に向いたまま回転体の半径方向に移動可能な洗浄ノズルの移動手段は、洗浄ノズルに取付けられた水平方向の洗浄水を通す中空案内軸と、該中空案内軸と平行に一体に取付けられた回り止め用中実軸と、回転体に取付けられ中空案内軸と中実軸が移動可能に挿入される水平方向の穴が明けられ前記中空案内軸が挿入されることにより洗浄水が塞がれるような開閉弁を形成する通路を有する案内ブロックと、により構成されていることを特徴とする。
【0009】
(4) 第4の手段の洗浄装置は、上記(1)の洗浄装置において、洗浄装置2の洗浄ノズルの移動手段は、洗浄装置2の回転体に設けられた垂直方向の回転軸を中心に回転可能なアームと、該アームに取付けられた洗浄ノズルと、洗浄装置1の回転体の外周の駆動カムと、洗浄ノズルに外嵌するカムフォロワと、前記洗浄ノズルが元の位置に戻るように作用する復元ばねと、により構成され、前記洗浄ノズルに外嵌するカムフォロワが前記駆動カムに当接することにより洗浄装置2の洗浄ノズルが回転移動することを特徴とする。
【0010】
(5) 第5の手段の洗浄装置は、上記(1)の洗浄装置において、洗浄装置2の洗浄ノズルの移動手段は、洗浄装置2の回転体の下側に設けられた回転体接線方向の水平回転軸を中心に回転可能なアームと、該アームに取付けられた洗浄ノズルと、洗浄装置1の回転体の外周の駆動カムと、洗浄ノズルに取付けられたカムフォロワと、前記洗浄ノズルが元の位置に戻るように作用する復元ばねとにより構成され、前記カムフォロワが前記駆動カムに当接することにより洗浄ノズルが傾斜移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係わる発明は上記第1の手段の洗浄装置であり、洗浄装置1、洗浄装置2の間で容器を受渡しするとき、洗浄装置2の洗浄ノズルを移動させて、同一容器の位置で洗浄ノズル間の干渉を避け、直接容器の受け渡しができるようにしているので、洗浄装置間の転送スターホイールが不要となり、連続的に洗浄可能であるので洗浄が止まっている区間が減り、より小型の洗浄装置でも従来と同じ洗浄時間を保持することができる。また、スターホイール数を減らすことができるので、洗浄区間の設備レイアウトが短縮でき、設備コストを低減できる。
【0012】
請求項2に係わる発明は上記第2の手段の洗浄装置であり、上記第1の手段の洗浄装置2の洗浄ノズル移動手段が、相対する洗浄装置1の回転体の外周に押されて、半径方向に直線移動する構成のものであるので、カムフォロワーはノズルに外嵌した簡単な構成となり、複雑な構造のカム装置が不要となる効果がある。
請求項3に係わる発明は上記第3の手段の洗浄装置であり、上記第2の手段の洗浄装置2の洗浄ノズルが半径方向に移動するとき、洗浄水の通路を塞ぐ開閉弁を形成しているので、洗浄・停止のためノズルを開閉する特別の集合開閉弁や制御機能が不要となる。
【0013】
請求項4に係わる発明は上記第4の手段の洗浄装置であり、上記第1の手段の洗浄装置2の洗浄ノズルの移動手段が、相対する洗浄装置1の回転体の外周に押されて、洗浄装置2の洗浄ノズルが回転体に設けられた回転軸周りに回転可能なアームを介して回動する簡単な構成のものであるので、上記第2の手段と同様な効果がある。
請求項5に係わる発明は上記第5の手段の洗浄装置であり、上記第1の手段の洗浄装置2の洗浄ノズルの移動手段が、相対する洗浄装置1の回転体の外周に押されて、洗浄ノズルが内側に傾いて洗浄ノズル間の干渉を避ける構成のものであり、上記第2の手段と同様な効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、飲料等の容器の内部を洗浄する洗浄装置であって、水平に連続回転する複数のロータリー洗浄装置間で容器の間隔ピッチ速度を同調して直接容器を受渡し、その受け渡し位置での洗浄ノズルの干渉を避けるために、片方の洗浄ノズルが移動できるようにした洗浄装置であり、従来方式のロータリー洗浄装置間に設置されている複数の受け渡し用転送ホイールを省くことができる。この洗浄ノズルの干渉を避けるための洗浄ノズル移動手段を3通りの実施形態について構成と作用を以下に説明する。
(第1の実施の形態)
【0015】
この実施形態の、洗浄装置間で直接容器を受渡す洗浄装置の洗浄ノズル移動手段は、片方の洗浄ノズルをロータリー洗浄装置の回転体の半径方向に直線移動させて洗浄ノズル同士の干渉を避ける方法であり、その構成と作用を図に基づいて説明する。図1は2台の洗浄装置間の容器受け渡し部を説明する上面平面図、図2は図1の洗浄装置1と洗浄装置2間の容器受け渡し部を示すA−A断面側面図、図3は図1の洗浄装置2の洗浄位置に戻った洗浄ノズルを示すB−B断面側面図、図4は図3の洗浄ノズルを方向Cから見た平面図、図5は図4のD−D断面図である。
【0016】
図1の左側に洗浄装置1、右側に洗浄装置2が示してある。洗浄装置1も洗浄装置2もそれぞれ水平に連続回転する回転体3と回転体8を有するロータリー洗浄装置である。洗浄装置1の回転体3には、一定半径の円周上で等ピッチに支えられた複数のグリッパ5と同グリッパ5が倒立した容器7をグリップしたときの容器7の中心線の下方延長垂線に一致するように複数の洗浄ノズル15が設置され、同様に、洗浄装置2の回転体8には、一定半径の円周上で等ピッチに支えられた複数のグリッパ6と同グリッパ6が倒立した容器7をグリップしたときの容器7の中心線の下方延長垂線に一致するように複数の洗浄ノズル31が設置されている。
【0017】
容器7はPETボトルであり、空の容器7が洗浄装置1に受け渡される前に、図示しない倒立転回装置により180度転回され倒立状態で連続供給される。グリッパ5は、対になったグリップアーム11とグリップアーム12と、回転体3に固定されたセンタリングピン13と、同じく回転体3に固定された一対のグリッパ軸17、17と、グリッパ5に容器7をグリップする力を与える圧縮ばね14とで構成される。圧縮ばね14の押し力は容器7の首部が軽くグリッパ5に押し込める程度に比較的小さく、容器7の重量は主にグリップアーム11、12の先端で容器7のフランジを支えるようになっている。センタリングピン13はグリッパ5が容器7をグリップしたときに、グリップアーム11、12との間に僅かな隙間を持たせて、容器7をセンタリング保持の状態にする。
【0018】
グリッパ6は、対になったグリップアーム21とグリップアーム22と、回転体8に固定された一対のグリッパ軸23、23と、グリップアーム21に固設された軸26と軸26回りに回転可能なカムフォロワ25と、グリッパ6に容器7をグリップする力を与える圧縮ばね27と、噛み合いピン24と、で構成される。噛み合いピン24は軸方向移動を拘束されるが、周方向は移動自由で、グリップアーム21がグリッパ軸23回りに回転したとき、グリップアーム21、22に形成された円弧歯車と噛み合ってグリップアーム21と、グリップアーム22を互いに対称に反対方向に回転させる作用を有する。グリッパ6のグリップアーム21とグリップアーム22の先端で、容器7の首部を摩擦力で支えなければならないので、圧縮ばね27は比較的大きな圧縮力を持つ必要がある。
【0019】
洗浄装置2には外部固定部材41に固設したグリッパ開用カム10が設けられ、洗浄装置2の回転体8が回転し、グリッパ6が洗浄装置1との受け渡し位置に近づいたとき、グリップアーム21のカムフォロワ25がグリッパ開用カム10に係合してグリッパ6の先端を開き、洗浄装置1と洗浄装置2の容器7の移動円弧が接した位置(図1のA−Aの位置)でグリッパ開用カム10とカムフォロワ25の係合が解かれ、容器7の首部はグリッパ6にグリップされ、洗浄装置1と洗浄装置2が回転移動して、容器7の移動円弧が接点を離れるとき、容器7はグリッパ5から抜き取られ、洗浄装置2の容器7の移動円弧に移される(容器7の移動の軌跡は図1に太い1点鎖線で示す)。
【0020】
洗浄装置1の複数の洗浄ノズル15は、回転体3と複数の結合部材18で同心に結合されたノズル回転体9に取付けられ、上述のように、洗浄装置1の回転体3の一定半径の円周上で等ピッチに支えられた複数のグリッパ5が倒立した容器7をグリップしたときの容器7の中心線の下方延長垂線に一致するように設置されている。洗浄ノズル15はグリッパ5に支えられた倒立した容器7の開口部を通し、容器7の内側に向かって下方から洗浄水を噴出し、容器7の内部を洗浄する。ノズル回転体9の外周円筒面は洗浄装置2の洗浄ノズル31のカムフォロワ34を駆動する外周カム9aを形成している。洗浄水は、配管19、継手16を介して洗浄ノズル15に供給可能となっている。
【0021】
洗浄装置2の複数の洗浄ノズル31は、回転体8と複数の結合部材39で同心に結合されたノズル回転体38に、回転体8に支えられた複数のグリッパ6が倒立した容器7をグリップしたときの容器7の中心線の下方延長垂線に洗浄ノズル31の中心線が一致するように、案内ブロック35と中空案内軸33とを介して取付けられる。但し、容器7の中心線と洗浄ノズル31の中心線が一致するのは、案内ブロック35の穴に嵌装した中空案内軸33が、案内ブロック35から押し出されて、回り止め軸45によって止められる位置においてである(図3、及び図4に示す位置)。回り止め軸45の一端は、中空案内軸33と一体のブラケット46に固定され、他端は、案内ブロック35のガイド孔35bに進退可能に案内されている。回り止め軸45は中空案内軸33のストッパと同時に、洗浄ノズル31の回り止めの役割を有している。37は中空案内軸33を押し出す方向に力を加える圧縮ばねである。32は中空案内軸33を洗浄ノズル31に締結する袋ナットである。圧縮ばね37の一端を支持するボルト42が、パッキン36を介して案内ブロック35に固定されている。
【0022】
洗浄装置1と洗浄装置2の容器7の移動円弧が近づくと、洗浄装置1の外周カム9aがカムフォロワ34に接し、カムフォロワ34を介して洗浄ノズル31を洗浄装置2の中心方向に押し出し、洗浄ノズル31と洗浄ノズル15との干渉が避けられる(洗浄ノズル31が干渉を避けて移動した位置を図2に示し、洗浄ノズル31の中心移動の軌跡を図1に太い2点鎖線で示している)。
【0023】
図3に示すように、洗浄水はノズル回転体38に明けられた水通路38aから案内ブロック35に明けられた水通路35aを通って案内ブロック35内に入り、次いで中空案内軸33の水通路33aから洗浄ノズル31へ、洗浄ノズル31はグリッパ6に支えられた倒立した容器7の開口部を通し、容器7の内側に向かって下方から洗浄水を噴出し、容器7の内部を洗浄する。
【0024】
カムフォロワ34が外周カム9aに押されて洗浄ノズル31が洗浄装置2の中心方向に押し出され、中空案内軸33が図2に示す位置に移動したときは、洗浄ノズル31の噴出方向が容器7の口から外れるが、案内ブロック35の水通路35aは中空案内軸33によって閉じられ、洗浄水の供給が止められ、不要な洗浄水の噴出を止めることができる。洗浄装置1、2が回転し、カムフォロワ34が外周カム9aから離れると、中空案内軸33は圧縮ばね37の力で洗浄水噴出位置に復元し、容器7の内部洗浄が始まる。
【0025】
洗浄ノズル15、又は、洗浄ノズル31で倒立した容器7内を噴射洗浄するとき、容器口が充分広いときは、洗浄ノズルは固定位置でも洗浄水の排水は問題無いが、容器口が充分広くないとき、排水が噴射側の洗浄水噴射の邪魔にならぬようにするため、洗浄ノズルの先端を容器7の首長さを超える寸法だけ容器7内に挿入することが望ましいが、この場合は、従来から知られている洗浄ノズル毎にカムによる昇降手段、或いは、個々の洗浄ノズルにそれぞれエアシリンダ等のアクチュエータ手段を設けて制御することにより、その目的に対応することができる。

(第2の実施の形態)
【0026】
この実施の形態の、洗浄装置間で直接容器を受渡す洗浄装置の洗浄ノズル移動手段は、片方の洗浄ノズルをロータリー洗浄装置の回転体の半径方向に回転移動させて洗浄ノズル同士の干渉を避ける方法であり、その構成と作用を図に基づいて説明する。図6は第2の実施の形態に係る2台の洗浄装置間の容器受け渡し部を説明する上面平面図、図7は図6のE−F−G−H断面を示す側面図である。
【0027】
図6において、下側の洗浄ノズル31aの位置は、第1の実施の形態の図3に示すグリッパ6が容器7をグリップしたときの容器7の中心線と一致する位置と同じ位置であり、上側の洗浄ノズル31bの位置は、洗浄装置1の洗浄ノズル15との干渉を避けて洗浄装置2の中心方向に退避した位置を示している。図6及び図7において51は回転体、48は回転体51に固設されたノズル支え板で、ノズル支え板48は図示しないグリッパ6と同じ数、同じピッチ角度、一定半径位置に設置される。
【0028】
52は先端に洗浄ノズル31を固設したノズルレバーであり、ノズルレバー52はノズル支え板48に固設した洗浄水通路ジョイント53を回転軸として回転可能で、水通路ジョイント53とで洗浄水通路を連通するジョイントを形成する。54は座金55を介してノズルレバー52が抜けることを防止するナット、57は洗浄水通路ジョイント53をノズル支え板48に取付けるナット、56は洗浄水配管58の配管継手、61、61はOリングシールである。また、59は戻しばねで、戻しばね59はノズルレバー52の端部に設けられたばね掛け62と回転体51に設けられたばね掛け49の間に引張力を付勢して掛けられている。48aはノズルレバー52が戻しばね59で引き戻されたときに、洗浄ノズル31が正しい位置、即ち、グリッパ6が容器7をグリップしたときの容器7の中心線と一致する位置に止まるようにするためのストッパーである。
【0029】
洗浄装置1と洗浄装置2の容器7の移動円弧が近づくと、カムフォロワ34が洗浄装置1の外周カム9aに接し、カムフォロワ34を介し、洗浄ノズル31とノズルレバー52が回転移動し、洗浄ノズル31は洗浄装置2の中心方向に押し出され、洗浄ノズル31と洗浄ノズル15との干渉が避けられる。洗浄ノズル31が干渉を避けて移動した位置を図6に示している。この位置で、水通路53aと水通路52aは、不通の状態となっている。図6の下側の洗浄ノズル31aの位置では、洗浄水は洗浄水通路ジョイント53の水通路53aへ供給され、孔53b及びノズルレバー52の水通路52aを通って洗浄ノズル31へ、洗浄ノズル31はグリッパ6に支えられた倒立した容器7の開口部から容7器の内側に向かって下方から洗浄水を噴出し、容器7の内部を洗浄する。

(第3の実施の形態)
【0030】
この実施の形態の、洗浄装置間で直接容器を受渡す洗浄装置の洗浄ノズル移動手段は、片方の洗浄ノズルをロータリー洗浄装置の回転体の半径方向に傾けて移動させ、洗浄ノズル同士の干渉を避ける方法であり、その構成と作用を図に基づいて説明する。図8は第3の実施の形態に係る2台の洗浄装置間の容器受け渡し部を説明する側面図、図9は図8のJ−J断面を示す側面図である。
【0031】
図8において、洗浄ノズル31の位置は、洗浄装置1と洗浄装置2のグリップした容器7の中心線軌道ラインが接する位置の断面で、洗浄装置1の洗浄ノズル15との干渉を避けて洗浄装置2の中心方向に傾いて退避した場合の位置を示している。洗浄ノズル31が直立したと仮定したときの位置は、図示しない第1の実施の形態と同じグリッパ6が容器7をグリップしたときの容器7の中心線と一致する位置であり、図8においては、洗浄装置1の洗浄ノズル15と完全に重なる位置である。
【0032】
図8及び図9において51は回転体、68は回転体51に固設されたノズル支台で、ノズル支台68は図示しないグリッパ6と同じ数、同じピッチ角度、一定半径位置に設置される。67は洗浄水通路を兼ねた回転台で、回転台67には上端部に洗浄ノズル31が固設されている。回転台67はノズル支台68に固設した洗浄水通路ジョイント72を回転軸として回転可能で、洗浄水通路ジョイント72とで洗浄水通路を連通するジョイントを形成する。73は洗浄水通路ジョイント72が回転台67から抜けることを防止するナット、74は洗浄水通路ジョイント72をノズル支台68に取付けるナット、76は洗浄水配管77の配管継手、75、75はOリングシールである。
【0033】
洗浄ノズル31には切り割り隙間を有する支え環64が嵌装され、ボルトでこの切り割り隙間を狭めるように締め付けて取付けられる。支え環64にはカムフォロワ65の軸が設けられ、この軸にカムフォロワ65が回転自在に取付けられている。回転台67とノズル支台68とにばね受け78、79が取付けられ、このばね受け78、79の間に戻しばね69が圧縮力を付勢して設置され、洗浄ノズル31を正立の位置、即ち、グリッパ6が容器7をグリップしたときの容器7の中心線と一致する位置に押し出す。71は洗浄ノズル31が正立の位置に止まるようにするためのストッパである。
【0034】
洗浄装置1と洗浄装置2の容器7の移動円弧が近づくと、カムフォロワ65が洗浄装置1の外周カム9aに接し、カムフォロワ65が押され、洗浄ノズル31と回転台67が洗浄水通路ジョイント72を軸にして回転移動し、洗浄ノズル31は洗浄装置2の中心方向に傾き、洗浄ノズル31と洗浄ノズル15との干渉が避けられる(洗浄ノズル31が干渉を避けて移動した位置を図8に示している。)洗浄水は洗浄水通路ジョイント72の水通路72aへ供給され、回転台67の水通路67a、67bを通って洗浄ノズル31へ送られ、洗浄ノズル31はグリッパ6に支えられた倒立した容器7の開口部から容器7の内側に向かって下方から洗浄水を噴出し、容器7の内部を洗浄する。図8及び図9の状態では、孔72bは水通路67aとは不通となっている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る2台の洗浄装置間の容器受け渡し部を説明する上面平面図である。
【図2】図1の洗浄装置1と洗浄装置2間の容器受け渡し部を示すのA−A断面側面図である。
【図3】図1の洗浄装置2の洗浄位置に戻った洗浄ノズルのを示すB−B断面側面図である。
【図4】図3の洗浄ノズルを方向Cから見た平面図である。
【図5】図4のD−D断面図である。
【0036】
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る2台の洗浄装置間の容器受け渡し部を説明する上面平面図である。
【図7】図6のE−F−G−H断面を示す側面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る2台の洗浄装置間の容器受け渡し部を説明する側面図である。
【図9】図8のJ−J断面を示す側面図である。
【図10】従来の洗浄装置のレイアウトを示す平面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 洗浄装置
2 洗浄装置
3 回転体
5 グリッパ
6 グリッパ
7 容器
8 回転体
9 ノズル回転体
9a 外周カム
10 グリッパ開用カム
15 洗浄ノズル
【0038】
23 グリッパ軸
25 カムフォロワ
31 洗浄ノズル
33 中空案内軸
34 カムフォロワ
35 案内ブロック
37 圧縮ばね
【0039】
45 回り止め軸
48 ノズル支え板
48a ストッパ
51 回転体
52 ノズルレバー
53、72 洗浄水通路ジョイント
59 戻しばね
64 支え環
65 カムフォロワ
67 回転台
68 ノズル支台
69 戻しばね
71 ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続回転する回転体の一定半径の円周上で等ピッチに支えられた倒立容器の開口部を通し、容器の内側に向かって上方に洗浄水を噴出し、容器の内部を洗浄する複数の洗浄ノズルを備えた2台のロータリー洗浄装置(洗浄装置1、洗浄装置2とする)間で、容器の間隔ピッチ速度を同調して容器を受渡しするとき、洗浄装置1の洗浄ノズルを保持する回転体の外周を駆動カムとして洗浄装置2の洗浄ノズルを移動させる洗浄ノズルの移動手段を備えることにより、洗浄ノズル間の干渉を避けるようにしたことを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載する洗浄装置において、洗浄装置2の洗浄ノズルの移動手段は、ノズルの噴出方向が垂直上方に向いたまま回転体の半径方向に移動可能な洗浄ノズルと、相対する洗浄装置1の回転体の外周の駆動カムと、洗浄ノズルに外嵌するカムフォロワと、前記洗浄ノズルが元の位置に戻るように作用する復元ばねとにより構成され、前記カムフォロワが前記駆動カムに当接することにより洗浄装置2の洗浄ノズルが直線移動することを特徴とする洗浄装置。
【請求項3】
請求項2に記載する洗浄装置において、洗浄装置2のノズルの噴出方向が垂直上方に向いたまま回転体の半径方向に移動可能な洗浄ノズルの移動手段は、洗浄ノズルに取付けられた水平方向の洗浄水を通す中空案内軸と、該中空案内軸と平行に一体に取付けられた回り止め用中実軸と、回転体に取付けられ中空案内軸と中実軸が移動可能に挿入される水平方向の穴が明けられ前記中空案内軸が挿入されることにより洗浄水が塞がれるような開閉弁を形成する通路を有する案内ブロックと、により構成されていることを特徴とする洗浄装置。
【請求項4】
請求項1に記載する洗浄装置において、洗浄装置2の洗浄ノズルの移動手段は、洗浄装置2の回転体に設けられた垂直方向の回転軸を中心に回転可能なアームと、該アームに取付けられた洗浄ノズルと、洗浄装置1の回転体の外周の駆動カムと、洗浄ノズルに外嵌するカムフォロワと、前記洗浄ノズルが元の位置に戻るように作用する復元ばねと、により構成され、前記洗浄ノズルに外嵌するカムフォロワが前記駆動カムに当接することにより洗浄装置2の洗浄ノズルが回転移動することを特徴とする洗浄装置。
【請求項5】
請求項1に記載する洗浄装置において、洗浄装置2の洗浄ノズルの移動手段は、洗浄装置2の回転体の下側に設けられた回転体接線方向の水平回転軸を中心に回転可能なアームと、該アームに取付けられた洗浄ノズルと、洗浄装置1の回転体の外周の駆動カムと、洗浄ノズルに取付けられたカムフォロワと、前記洗浄ノズルが元の位置に戻るように作用する復元ばねとにより構成され、前記カムフォロワが前記駆動カムに当接することにより洗浄ノズルが傾斜移動することを特徴とする洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−54686(P2007−54686A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−239919(P2005−239919)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【出願人】(505193313)三菱重工食品包装機械株式会社 (146)
【Fターム(参考)】