説明

流量制御弁

【課題】第1及び第2ポートを通じて弁ボディを流通する流体の流量を高精度に制御する。
【解決手段】処理室37に接続される第1ポート12と真空ポンプ39に接続される第2ポート14とを有する弁ボディ16には、前記第1ポート12に臨む内壁面に第1弁体30が着座する第1弁座部32が形成され、前記第1弁座部32より半径外方向に第2弁体34が着座する第2弁座部36が形成されている。そして、ガイドボディ22の内部に設けられたピストン20を圧力流体によって変位させることにより、第2弁体34が第2弁座部36より離間して第1弁体30と第1弁座部32との間を通じて流体が流通し、駆動部24による駆動作用下に第1弁体30と第1弁座部32との間の離間距離を変化させることにより、前記第1ポート12から第2ポート14へと流通する流体の流量を制御している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体通路を開閉することにより前記流体通路を流通する流体の流量を制御することが可能な流量制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、半導体ウェハや液晶基盤等の処理装置においては、半導体ウェハや液晶基盤等を種々の処理を施す処理室に入れて、真空ポンプの作用下に真空状態として半導体ウェハの表面に成膜するための処理が行われている。この際、半導体ウェハの表面に形成される膜厚を一定に確保するために、前記処理室内の圧力を一定としている。
【0003】
一方、処理工程が終了した後、大気圧状態の前記処理室を再度真空ポンプにより排気する。その際、前記処理室の内壁面には半導体ウェハに成膜する際に使用されるガスにより副生成物が付着することがある。そこで、排気時に急激な圧力変動による副生成物の内壁面からの剥離等を阻止するため、前記処理室に通じる流体通路を開閉するバルブとは別体で流量制御弁が設けられ、前記流量制御弁を介して処理室内から排気される流量を制御しながら外部へと排気している(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−163136号公報
【特許文献2】特許第3330839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1及び2に係る従来技術においては、弁体を軸線方向に変位させて前記弁体と弁座との間を流通する流体の流量を制御する際、前記弁体を圧力流体による押圧作用下に変位させている。この構成では、前記弁体の軸線方向に沿った変位量を高精度に制御することが困難であり、それに伴って、前記弁体と弁座との間の離間距離によって制御される流体の流量制御を正確に行うことに難点がある。
【0006】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、弁ボディ内を流通する流体の流量を高精度に制御することが可能な流量制御弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明は、流体通路の上流側通路と下流側通路との間に配設され、前記流体通路を流通する流体の流量を制御する流量制御弁において、
前記流体通路の上流側及び下流側にそれぞれ接続される第1及び第2ポートを有する弁ボディと、
前記弁ボディに設けられ、電気信号によって回転駆動する駆動部と、
前記駆動部の回転駆動力を軸線方向に沿った直線運動へと変換する変換機構と、
前記変換機構を介して軸線方向に沿って変位自在に設けられ、且つ、前記弁ボディの第1弁座部に着座・離間自在に設けられる第1弁体と、
パイロット圧によって軸線方向に沿って変位するピストンに連結され、前記弁ボディの第2弁座部に着座する着座面にシール部材を有する第2弁体と、
前記駆動部の回転駆動量を検出する検出部と、
を備え、
前記第2弁体の変位作用下に前記第1ポートと第2ポートの連通状態の切り換えを行うと共に、前記第1弁体の変位作用下に前記第1ポートと第2ポートの間を流通する流体の流量を制御することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、パイロット圧によって第2弁体を第2弁座部から離間させることにより該第2弁体に装着されたシール部材による第1ポートと第2ポート間の遮断状態が解除され、第1弁体と第1弁座部との間の微小な隙間を通じて流体が流通する。そして、例えば、第1ポートに接続された処理室の圧力を予め設定された所望の圧力とするために、駆動部の駆動作用下に第1弁体を第1弁座部より所定間隔離間させるように変位させ、前記第1ポートから第2ポートへと流通する流体の流量を制御して前記処理室内の圧力を調整している。
【0009】
従って、第1弁体の軸線方向に沿った変位量が、検出部によって検出される駆動部の回転量に基づいて高精度に検出可能であり、且つ、処理室内の圧力と予め設定された圧力との差分に対応する電気信号を駆動部へと供給し、前記駆動部の駆動作用下に第1弁体を所定量だけ変位させることができるため、第1弁体の変位量を検出部における検出結果に基づいて制御することにより、前記第1弁体と第1弁座部との間から流通する流体の流量を高精度に制御し、前記処理室内の流体を第1ポートと第2ポートを介して排気して前記処理室内の圧力を所望の圧力とすることができる。
【0010】
また、第1弁体を、第2弁体の内部に変位自在に設け、前記第1弁体と第2弁体とをそれぞれ独立して変位自在に設けるとよい。これにより、前記第1及び第2弁体をそれぞれ別個に独立して変位させることが可能となるため、前記第1弁体の外側に設けられた第2弁体を第2弁座部より離間させて連通状態とした後に、前記第1弁体のみを軸線方向に沿って変位させて該第1弁体と第1弁座部との離間距離を制御することによって流体の流量制御を高精度に行うことができる。
【0011】
さらに、第1弁体を、変換機構に対して第1弁軸を介して連結し、前記第1弁軸を、前記第2弁体と前記ピストンとを連結する第2弁軸の内部に変位自在に配設するとよい。これにより、前記第1弁体が第1弁軸を介して第2弁体に対して軸線方向に沿って変位自在となるため、前記第1弁体と第2弁体とを常に同軸上に配置することができ、前記第1及び第2弁体をそれぞれ第1及び第2弁座部に対して確実に着座させることができる。
【0012】
さらにまた、弁ボディと第2弁体との間に、前記第2弁体を前記第2弁座部に着座させる方向に付勢するスプリングを設けるとよい。これにより、駆動部に供給されている電気信号が何らかの理由で停止して第1弁体の軸線方向への変位が不能になった場合においても、スプリングの弾発力によって第2弁体を第2弁座部へと着座させて第1ポートと第2ポートとの連通状態を遮断することができる。このように、流量制御弁では、駆動部の駆動動作が停止した際にも第2弁体によって確実に流体の連通状態を遮断可能である。
【0013】
またさらに、本発明は、流体通路の上流側通路と下流側通路との間に配設され、前記流体通路を流通する流体の流量を制御する流量制御弁において、
前記流体通路の上流側及び下流側にそれぞれ接続される第1及び第2ポートを有する弁ボディと、
前記弁ボディに設けられ、電気信号によって回転駆動する駆動部と、
前記駆動部に接続され、該駆動部の回転作用下に前記第1ポート又は第2ポートの内部で回動変位する回動弁と、
パイロット圧によって軸線方向に沿って変位するピストンに連結され、前記弁ボディの弁座部に着座する着座面にシール部材を有する弁体と、
前記駆動部の回転駆動量を検出する検出部と、
を備え、
前記弁体の変位作用下に前記第1ポートと第2ポートの連通状態の切り換えを行うと共に、前記回動弁の回動作用下に前記第1ポートと第2ポートの間を流通する流体の流量を制御することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、パイロット圧によって弁体を弁座部から離間させることにより該弁体に装着されたシール部材による第1ポートと第2ポート間の遮断状態が解除され、第1ポートと回動弁との間の微小な隙間を通じて流体が流通する。そして、例えば、第1ポートに接続された処理室の圧力を予め設定された所望の圧力とするために、駆動部の駆動作用下に回動弁を所定量だけ回動変位させ、前記第1ポートから第2ポートへと流通する流体の流量を制御して前記処理室内の圧力を調整している。
【0015】
従って、回動弁の回動量を検出部によって検出することにより、前記第1ポートと前記回動弁との間から流通する流体の流量を高精度に制御することが可能であり、そのため、処理室内の圧力と予め設定された圧力との差分に対応する電気信号を駆動部へと供給し、前記駆動部の駆動作用下に回動弁を所定量だけ変位させることができ、前記弁体と弁座部との間から流通する流体の流量を高精度に制御して前記処理室内の圧力を所望の圧力とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0017】
すなわち、第2弁体によって第1ポートと第2ポートとの連通状態を切り換え、第1弁体によって前記第1ポートと第2ポートとの間を流通する流体の流量を制御することができる。その際、第1弁体の軸線方向に沿った変位量を、検出部によって検出される駆動部の回転量に基づいて高精度に検出することが可能であるため、前記第1弁体と第1弁座部との間から流通する流体の流量を高精度に制御することができる。
【0018】
また、弁体の変位作用下に第1ポートと第2ポートとの連通状態を切り換え、前記回動弁を回動変位させることにより前記第1ポートと第2ポートとの間を流通する流体の流量を制御することができる。その際、前記回動弁の回動量を検出部によって検出することにより、前記第1ポートと前記回動弁との間から流通する流体の流量を高精度に制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に係る流量制御弁について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0020】
図1において、参照符号10は、本発明の第1の実施の形態に係る流量制御弁を示す。
【0021】
この流量制御弁10は、圧力流体が流通する第1及び第2ポート12、14を有する弁ボディ16と、前記弁ボディ16における圧力流体の連通状態を切り換える弁機構部18と、前記弁ボディ16に連結され、前記弁機構部18におけるピストン20が変位自在に設けられるガイドボディ22と、電気信号によって回転駆動する駆動部24と、前記駆動部24と弁機構部18とを接続すると共に、該駆動部24からの回転駆動力を直線運動へと変換する変換機構26とを備える。
【0022】
弁ボディ16は略円筒状に形成され、流量制御弁10の軸線上に形成されて下方に向かって開口した第1ポート12と、前記弁ボディ16の側部に第1ポート12と略直交して形成される第2ポート14と、前記第1ポート12と第2ポート14とを連通する連通室28と、前記第1ポート12と連通室28との間に形成され、弁機構部18における第1弁体30が着座する第1弁座部32と、前記弁機構部18の第2弁体34が着座する第2弁座部36とからなる。
【0023】
この第1ポート12は、例えば、半導体ウェハ等の処理装置における処理室37(例えば、チャンバ)に流体通路を介して接続され、一方、第2ポート14は、前記処理室37内の流体を排気するための真空ポンプ39に流体通路を介して接続されている。
【0024】
また、第1弁座部32の内周面は、第1ポート12側に向かって徐々に縮径する傾斜状に形成されている。
【0025】
ガイドボディ22の内部には、弁機構部18のピストン20が軸線方向に沿って変位自在に設けられるピストン室38が形成されている。前記ガイドボディ22の側部には、図示しない圧力流体供給源から圧力流体が供給されるパイロットポート40が形成され、前記パイロットポート40に供給される圧力流体(パイロットエア)がピストン室38の内部に導入されることにより、前記ピストン20が軸線方向に沿って変位する。
【0026】
また、ガイドボディ22の略中央部には、弁ボディ16側(矢印A方向)に向かって突出した突出部42が形成され、前記突出部42の内部空間には弁機構部18の第2弁体34が保持孔44を介して変位自在に保持されている。
【0027】
一方、ガイドボディ22の上部には、断面略U字状のケーシング46が連結され、前記ケーシング46の内部には、前記変換機構26が設けられている。
【0028】
弁機構部18は、弁ボディ16及びガイドボディ22の内部に軸線方向に沿って変位自在に保持される弁軸(第1弁軸)48と、前記弁軸48の一端部に連結され、弁ボディ16の第1弁座部32に着座する第1弁体30と、ガイドボディ22のピストン室38に設けられるピストン20と、前記ピストン20に連結されると共に、前記弁軸48を囲繞するように設けられる第2弁体34と、前記第2弁体34とガイドボディ22の端面との間に介装されるスプリング50を含む。
【0029】
弁軸48は、ケーシング46のガイド孔52にブッシュ54を介して軸線方向に沿って変位自在に保持されると共に、第2弁体34の挿通孔56の内部に保持されている。
【0030】
第1弁体30は、円盤状に形成され、弁軸48の一端部にボルト58を介して一体的に連結されている。そして、第1弁体30の外周面は、第1ポート12側に向かって徐々に縮径するように傾斜して形成されており、前記第1弁体30が第1弁座部32に着座した際に前記外周面が傾斜して形成された第1弁座部32に当接する。
【0031】
第2弁体34は、ガイドボディ22の保持孔44に軸線方向に沿って変位自在に保持されるシャフト部(第2弁軸)60と、前記シャフト部60の弁ボディ16側に形成され、半径外方向に拡径した筒状の拡径部62と、前記拡径部62よりさらに半径外方向に拡径すると共に、その端面が第2弁座部36に着座する筒状の弁体部64とからなる。なお、弁体部64の内周径は、第1ポート12の内周径より大きく形成されている。
【0032】
シャフト部60は軸線方向に沿って長尺な円筒状に形成され、その内部には挿通孔56を介して弁軸48が挿通され、軸線方向に沿って変位自在に支持されている。すなわち、このシャフト部60と弁軸48とは、同軸上となるように配設されているため、前記弁軸48に連結される第1弁体30と前記シャフト部60を有する第2弁体34とをそれぞれ第1弁座部32及び第2弁座部36に対して確実且つ正確に着座させることが可能となる。
【0033】
このシャフト部60が保持される保持孔44の内壁面と、ピストン20に形成された中心孔の内壁面には、環状溝を介してシール部材66が装着されているため、弁ボディ16の内部とピストン室38の内部の気密が確実に保持される。また、シャフト部60の端部にはピストン20が連結ナット68を介して連結されている。
【0034】
拡径部62の内部には、該拡径部62におけるシャフト部60側の内壁面と第1弁体30との間に蛇腹状の第1ベローズ70が伸縮自在に介装されると共に、弁体部64とガイドボディ22の端面との間にも同様に蛇腹状の第2ベローズ72が伸縮自在に介装されている。前記第2ベローズ72の内部にはスプリング50が内装され、その一端部がガイドボディ22の突出部42を囲繞してガイドボディ22の底部に着座している。そして、前記スプリング50の弾発力は第2弁体34を第2弁座部36側(矢印A方向)に向かって付勢している。
【0035】
弁体部64には、第2弁座部36と対向する端面に環状溝を介してOリング(シール部材)74が装着され、前記弁体部64が第2弁座部36に着座することにより、前記Oリング74が第2弁座部36に当接して第1ポート12と第2ポート14との連通状態が遮断される。なお、第2弁体34の弁体部64は、第1弁体30より半径外方向に拡径して形成されているため、前記第1弁体30を覆うように配設される。すなわち、前記第1弁体30が第1弁座部32に着座している際に、該第1弁体30は第2弁座部36に着座する第2弁体34によって囲繞される(図1参照)。
【0036】
また、ピストン20の外周面には、環状溝を介してピストンパッキン76が装着されると共に、軸線方向に所定間隔離間してウェアリング78が装着されている。これにより、前記ピストンパッキン76等によってピストン室38の内部の気密を好適に保持することができる。
【0037】
駆動部24は、例えば、ステッピングモータ等の回転駆動源80からなり、ケーシング46を閉塞するカバー部材82に設けられている。そして、駆動部24の内部には、例えば、ロータリエンコーダ等の検出部84が設けられ、前記駆動部24の回転角度若しくは回転数等の回転量を検出している。
【0038】
すなわち、検出部84によって検出された検出信号を前記駆動部24に接続された制御部(図示せず)に出力し、前記制御部によって回転駆動源80へと供給される電流量を制御することにより該回転駆動源80の回転量を制御することが可能となる。
【0039】
変換機構26は、ケーシング46の内部に設けられ、前記回転駆動源80の駆動軸86にカップリング部材88を介して接続されるボールねじ軸90と、前記ボールねじ軸90に対して変位自在に螺合される変位部材92とからなり、前記変位部材92のフランジ部94がボルト58を介して弁軸48の端部に接続されている。
【0040】
このボールねじ軸90は、駆動軸86に接続される一端部側がカバー部材82の内部に設けられた軸受96によって回転自在に保持されると共に、他端部側がケーシング46に設けられたブッシュ98を介して回転自在に保持されている。
【0041】
本発明の第1の実施の形態に係る流量制御弁10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。なお、図1に示されるように、第1及び第2弁体30、34が弁ボディ16の第1及び第2弁座部32、36にそれぞれ着座した弁閉状態を初期状態として説明する。
【0042】
このような初期状態では、第1弁体30の外周面が第1弁座部32の周面に着座すると共に、第2弁体34の弁体部64がスプリング50の弾発力によって第2弁座部36に着座し、前記弁体部64に装着されたOリング74が第2弁座部36に当接することにより、第1ポート12と第2ポート14との連通が遮断されている状態にある。
【0043】
先ず、第2ポート14に接続された真空ポンプ39を付勢することにより、前記真空ポンプ39の付勢作用下に第2ポート14の圧力が低下するため、それに伴って、連通室28及び第2ポート14の流体が排気される。その際、処理室37の内部の流体は、弁機構部18の第1及び第2弁体30、34によって第1ポート12と第2ポート14の連通が遮断されているため、前記流体が第1ポート12から第2ポート14へと流通することがない。
【0044】
次に、ガイドボディ22のパイロットポート40に対して図示しない圧力流体供給源より圧力流体(例えば、圧縮エア)が供給され、前記圧力流体がピストン室38の内部に導入されることにより、前記ピストン20が駆動部24側(矢印B方向)へと変位する。それに伴って、ピストン20に連結された第2弁体34が駆動部24側に向かって変位して弁体部64が第2弁座部36より離間する。
【0045】
これにより、図2に示されるように、弁体部64にOリング74が装着された第2弁体34による第2弁座部36の弁閉状態が解除され、圧力の高い処理室37から真空ポンプ39の付勢作用下に圧力の低くなっている連通室28及び第2ポート14へと流体が流通する。詳細には、前記流体は、第1弁体30の外周面と第1弁座部32との周面との間の隙間より微小流量だけ流通する。
【0046】
すなわち、前記第1弁体30と第1弁座部32との当接面には、微小な隙間が存在しているため、処理室37内の流体が、連通室28及び第2ポート14内の流体と圧力差によって前記隙間を介して第1ポート12から第2ポート14へと流通し、前記処理室37内の流体が微量だけ第2ポート14へと排気される。
【0047】
また、その際、処理室37内の圧力値が、該処理室37内の圧力を検出する圧力検出部(図示せず)によって常に検出され、前記圧力値が図示しない制御部へと出力されている。そして、前記処理室37内の圧力が予め設定された値となるように前記制御部より駆動部24の回転駆動源80に対して制御信号が出力される。
【0048】
これにより、前記回転駆動源80が前記制御信号に基づいて所定量だけ回転駆動して、回転駆動源80の回転駆動力がカップリング部材88を介してボールねじ軸90へと伝達されて前記ボールねじ軸90の回転作用下に変位部材92が駆動部24側(矢印B方向)に向かって軸線方向に変位する。
【0049】
そして、変位部材92に連結された弁軸48が矢印B方向へと変位し、前記弁軸48に連結された第1弁体30が第1ベローズ70を縮退させながら第1弁座部32より離間して第1ポート12と第2ポート14とが連通室28を介して連通した状態となる。その結果、処理室37内の流体が、真空ポンプ39の付勢作用下に圧力の低い第2ポート14側へと流通し、前記処理室37の内部の流体が連通室28を通じて第2ポート14へと排気される。
【0050】
すなわち、流量制御弁10による処理室37の排気初期段階において、第1弁体30を第1弁座部32から離間させることにより、処理室37内の流体を第1ポート12から連通室28及び第2ポート14へと微小流量ずつ徐々に排気するように制御すると共に、前記処理室37内の圧力が所望の圧力となるように第1弁体30が第1弁座部32より離間した際の変位量を制御している。
【0051】
このように、第2弁体34を第2弁座部36より離間させた後に、第1弁体30の変位量を駆動部24に設けられた検出部84によって制御することにより、第1弁体30と第1弁座部32の間の離間距離を制御して第1ポート12から第2ポート14へと流通する流体の流量を高精度に制御することができる。
【0052】
そのため、処理室37内の圧力を所望の値に高精度に維持することができると共に、前記第1弁体30と第2弁体34とを段階的に弁開状態として処理室37の内部の流体を第1ポート12から第2ポート14へと緩急をつけて排気することができ、弁開時に第1ポート12に接続された処理室37の内部に生じる急激な圧力変動を防止することができる。
【0053】
また、第2弁体34が第2弁座部36より離間した後に、制御部において予め設定された処理室37内の設定圧力と前記処理室37内の検出された圧力値を比較判断し、前記設定圧力と圧力値の差に基づいた制御信号を駆動部24に出力するフィードバック制御を行っている。これにより、前記制御信号に基づいて回転駆動源80が回転駆動し、第1弁体30と第1弁座部32との間の離間距離が制御されるため、前記処理室37から第1ポート12を通じて排気される流体の流量を高精度に制御することができる。
【0054】
その際、回転駆動源80の回転量を検出部84によって検出することにより、前記回転量に基づいて第1弁体30の軸線方向に沿った第1弁体30の変位量を確実且つ高精度に検出することができるため、安定した第1弁体30の変位を行うことができると共に前記第1弁体30の変位位置の再現性が確保される。
【0055】
反対に、第1弁体30及び第2弁体34によって第1ポート12と第2ポート14との連通状態が遮断された弁閉状態とする場合には、駆動部24の回転駆動源80に出力されている制御信号の極性を逆転させることにより、前記回転駆動源80が前記とは反対方向に回転駆動する。そして、前記回転駆動源80の回転作用下に変位部材92が弁ボディ16側(矢印A方向)に向かって変位し、第1弁体30が第1弁座部32に着座する(図2参照)。
【0056】
また、ピストン室38に供給されている圧力流体の供給を停止し、前記ピストン室38をパイロットポート40を通じて大気開放状態とすることによりピストン20がスプリング50の弾発力によって第2弁座部36側(矢印A方向)に向かって変位する。その結果、前記ピストン20に連結された第2弁体34の弁体部64が第2弁座部36に着座して、第1ポート12と第2ポート14との連通が遮断される(図1参照)。
【0057】
このように、前記流量制御弁10では、第1ポート12から第2ポート14への流体の排気を、前記排気の初期段階において第1弁体30と第1弁座部32との間の隙間を通じて行っているため、例えば、前記第1弁体30の当接面に弾性材料からなるシール部材を設けた場合に生じる前記シール部材と第1弁座部32との固着を防止することができる。そのため、第1弁体30が第1弁座部32に固着して離間しないという不具合を生じることがない。そのため、従来の流量制御弁において、弁体の着座面に装着されたシール部材が弁座に対して固着してしまった際に、急激な圧力変動によって生じていた飛び出し現象を防止することができる。
【0058】
また、駆動部24に供給されている電流の供給が何らかの原因で停止した場合にも、スプリング50の弾発力によって第2弁体34を第2弁座部36に着座させることにより、第1ポート12と第2ポート14の連通が遮断された弁閉状態とすることが可能である。これにより、駆動部24の駆動が何らかの原因で停止した際においても、処理室37内の流体が第1ポート12から第2ポート14へと排気されることを阻止できる。
【0059】
次に、第2の実施の形態に係る流量制御弁150を図4〜図6に示す。なお、上述した本実施の形態に係る流量制御弁10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0060】
この第2の実施の形態に係る流量制御弁150では、弁ボディ152における第1ポート12の内部に駆動部154の駆動作用下に開閉動作を行うスロットルバルブ156が設けられている点、前記第1ポート12の弁座部158に単一の弁体160が着座するように設けられている点で、第1の実施の形態に係る流量制御弁10と相違している。
【0061】
この流量制御弁150では、第1ポート12の内部に該第1ポート12の軸線と略直交するようにスロットルバルブ156の回動軸162が回動自在に保持され、前記回動軸162には円盤状のバルブプレート164が装着されている。回動軸162は、第1ポート12の壁部に設けられた一組の軸受166a、166bによって回動自在に保持されている。
【0062】
この場合、回動軸162は、第1ポート12の側部に設けられた駆動部154の駆動軸86に連結されている。なお、駆動部154には、該駆動部154の回転量を検出する検出部84が設けられている。
【0063】
さらに、金属製材料からなるバルブプレート164の直径は、第1ポート12の内周径に対して若干だけ小さな直径に形成され、駆動部154による回動軸162の回動作用下に前記バルブプレート164が回動変位することにより前記第1ポート12を開閉している。詳細には、図4に示されるように、バルブプレート164を略水平状態とすることにより、前記第1ポート12と連通室28との連通状態が遮断された弁開状態となり、反対に、前記バルブプレート164を略鉛直状態とすることにより、前記第1ポート12と連通室28とが連通した弁開状態となる(図6参照)。
【0064】
一方、第1ポート12に臨む弁ボディ152の内部には弁座部158が形成され、前記弁座部158には、ガイドボディ22の内部に設けられたピストン20に連結された弁軸48を介してプレート状の弁体160が着座自在に設けられている。
【0065】
このように構成される流量制御弁150では、先ず、図4に示されるスロットルバルブ156と弁体160によって第1ポート12と第2ポート14との連通が遮断された弁閉状態において、前記第2ポート14に接続された真空ポンプ39の付勢作用下に第2ポート14及び連通室28内の流体が排気される。その際、処理室37の内部の流体は、弁体160によって第1ポート12と第2ポート14の連通が遮断されているため、前記流体が第1ポート12から第2ポート14へと流通することがない。
【0066】
次に、図5に示されるように、ガイドボディ22のパイロットポート40に対して図示しない圧力流体供給源より圧力流体(例えば、圧縮エア)を供給することにより、前記ピストン20が駆動部154側(矢印B方向)へと変位して弁体160が弁座部158より離間する。
【0067】
これにより、Oリング74が装着された弁体160による弁座部158の弁閉状態が解除されるため、処理室37内の流体が、連通室28内の負圧作用下にバルブプレート164と第1ポート12の内壁面との間の隙間より微小流量だけ流通する。
【0068】
次に、駆動部154に対して図示しない制御部より制御信号が出力されることにより、前記駆動部154の駆動軸86が前記制御信号に基づいて所定量だけ回動駆動し、前記駆動軸86に連結された回動軸162が一体的に回動変位する。これにより、前記回動軸162に装着されたバルブプレート164が回動変位して第1ポート12の閉塞状態が解除され、前記回動軸162を支点として所定角度だけ回動したバルブプレート164と第1ポート12の内壁面との間を介して第1ポート12と第2ポート14とが連通した状態となる(図6参照)。
【0069】
その結果、処理室37の内部の流体が、第1ポート12から連通室28を通じて第2ポート14へと排気される。その際に、前記流体の流量がスロットルバルブ156の回動作用下に高精度に制御され、前記処理室37の内部を予め設定された所定圧力とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る流量制御弁の縦断面図である。
【図2】図1の流量制御弁において第2弁体のみが第2弁座部より離間した状態を示す縦断面図である。
【図3】図2の流量制御弁において第1弁体が第1弁座部より離間して第1ポートと第2ポートとが連通した状態を示す縦断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る流量制御弁の縦断面図である。
【図5】図4の流量制御弁において弁ボディの弁座部より弁体が離間した状態を示す縦断面図である。
【図6】図5の流量制御弁においてスロットルバルブのバルブプレートが所定角度だけ回動変位して第1ポートと第2ポートとが連通した状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0071】
10、150…流量制御弁 12…第1ポート
14…第2ポート 16、152…弁ボディ
18…弁機構部 20…ピストン
22…ガイドボディ 24、154…駆動部
26…変換機構 28…連通室
30…第1弁体 32…第1弁座部
34…第2弁体 36…第2弁座部
38…ピストン室 40…パイロットポート
46…ケーシング 48…弁軸
50…スプリング 64…弁体部
70…第1ベローズ 72…第2ベローズ
74…Oリング 80…回転駆動源
82…カバー部材 84…検出部
90…ボールねじ軸 92…変位部材
156…スロットルバルブ 158…弁座部
160…弁体 162…回動軸
164…バルブプレート 166a、166b…軸受

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体通路の上流側通路と下流側通路との間に配設され、前記流体通路を流通する流体の流量を制御する流量制御弁において、
前記流体通路の上流側及び下流側にそれぞれ接続される第1及び第2ポートを有する弁ボディと、
前記弁ボディに設けられ、電気信号によって回転駆動する駆動部と、
前記駆動部の回転駆動力を軸線方向に沿った直線運動へと変換する変換機構と、
前記変換機構を介して軸線方向に沿って変位自在に設けられ、且つ、前記弁ボディの第1弁座部に着座・離間自在に設けられる第1弁体と、
パイロット圧によって軸線方向に沿って変位するピストンに連結され、前記弁ボディの第2弁座部に着座する着座面にシール部材を有する第2弁体と、
前記駆動部の回転駆動量を検出する検出部と、
を備え、
前記第2弁体の変位作用下に前記第1ポートと第2ポートの連通状態の切り換えを行うと共に、前記第1弁体の変位作用下に前記第1ポートと第2ポートの間を流通する流体の流量を制御することを特徴とする流量制御弁。
【請求項2】
請求項1記載の流量制御弁において、
前記第1弁体は、前記第2弁体の内部に変位自在に設けられ、前記第1弁体と第2弁体とがそれぞれ独立して変位自在に設けられることを特徴とする流量制御弁。
【請求項3】
請求項1又は2記載の流量制御弁において、
前記第1弁体は、前記変換機構に対して第1弁軸を介して連結され、前記第1弁軸が、前記第2弁体と前記ピストンとを連結する第2弁軸の内部に変位自在に配設されることを特徴とする流量制御弁。
【請求項4】
請求項1記載の流量制御弁において、
前記弁ボディと第2弁体との間には、前記第2弁体を前記第2弁座部に着座させる方向に付勢するスプリングが設けられていることを特徴とする流量制御弁。
【請求項5】
流体通路の上流側通路と下流側通路との間に配設され、前記流体通路を流通する流体の流量を制御する流量制御弁において、
前記流体通路の上流側及び下流側にそれぞれ接続される第1及び第2ポートを有する弁ボディと、
前記弁ボディに設けられ、電気信号によって回転駆動する駆動部と、
前記駆動部に接続され、該駆動部の回転作用下に前記第1ポート又は第2ポートの内部で回動変位する回動弁と、
パイロット圧によって軸線方向に沿って変位するピストンに連結され、前記弁ボディの弁座部に着座する着座面にシール部材を有する弁体と、
前記駆動部の回転駆動量を検出する検出部と、
を備え、
前記弁体の変位作用下に前記第1ポートと第2ポートの連通状態の切り換えを行うと共に、前記回動弁の回動作用下に前記第1ポートと第2ポートの間を流通する流体の流量を制御することを特徴とする流量制御弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−155133(P2006−155133A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−343517(P2004−343517)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(000102511)SMC株式会社 (344)
【Fターム(参考)】