液体塗布装置及び液体塗布方法並びにインプリントシステム
【課題】インクジェット方式による基板への機能性液の打滴が最適化され、好ましい微細パターンを形成し得る液体塗布装置及び方法並びにインプリントシステムを提供する。
【解決手段】ノズル(51)がマトリクス配置されたヘッド(24)を用いたレジスト塗布装置(12)において、基板(20)の搬送方向(y方向)と直交するx方向の標準の打滴ピッチPdをノズルの折り返しピッチとし、x方向の最小ノズル間ピッチPnの単位でx方向の打滴ピッチを変更する。また、y方向について、最小打滴周期のm倍(mは2以上の整数)を標準の打滴周期として、最小打滴周期の単位でディレイ時間を設定する。シリアル方式では、y方向に沿って並べられた複数のノズルを切り換えることでy方向の打滴間隔を変更することができ、x方向に走査する際の打滴タイミングを変更することで、x方向の打滴間隔を変更することができる。
【解決手段】ノズル(51)がマトリクス配置されたヘッド(24)を用いたレジスト塗布装置(12)において、基板(20)の搬送方向(y方向)と直交するx方向の標準の打滴ピッチPdをノズルの折り返しピッチとし、x方向の最小ノズル間ピッチPnの単位でx方向の打滴ピッチを変更する。また、y方向について、最小打滴周期のm倍(mは2以上の整数)を標準の打滴周期として、最小打滴周期の単位でディレイ時間を設定する。シリアル方式では、y方向に沿って並べられた複数のノズルを切り換えることでy方向の打滴間隔を変更することができ、x方向に走査する際の打滴タイミングを変更することで、x方向の打滴間隔を変更することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体塗布装置及び液体塗布方法並びにインプリントシステムに係り、特に、インクジェット方式により基板等の媒体上に機能性を有する液体を付与する液体付与技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路の微細化、高集積化に伴い、基板上に微細構造を形成するための技術として、基板上に塗布したレジスト(UV硬化性樹脂)に転写すべき所望の凹凸パターンが形成されたスタンパを押し当てた状態でUV光を照射してレジストを硬化させ、スタンパを基板上のレジストから分離(離型)することで、スタンパに形成された微細パターン基板(レジスト)へ転写するインプリントリソグラフィが知られている。
【0003】
特許文献1,2は、インクジェット方式を用いて基板にインプリント材の液体を付与するシステムを開示している。特許文献1,2に記載のシステムは、一定量の液体を基板上に分配する際にパターンやインプリント材(レジスト)の揮発量に応じて打滴密度や打滴量を変更して打滴量を最適化し、スループットの向上、残渣厚の均一化を図る旨が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−502157号公報
【特許文献2】特開2009−88376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1,2に係る技術はどのような打滴配置が好ましいものであるかについて、そのアルゴリズムを開示するのみであり、理想的な打滴密度や打滴量を実現するためのハードウエア等の具体的な構成は開示されていない。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、インクジェット方式による基板への機能性液の打滴が最適化され、好ましい微細パターンを形成し得る液体塗布装置及び液体塗布方法並びにインプリントシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る液体塗布装置は、基板上に機能性を有する液体を打滴するための複数のノズルを具備するヘッドと、前記基板と前記ヘッドとを相対的に移動させる相対移動手段と、所定の打滴周期で前記ヘッドを動作させて前記液体を前記基板上に離散的に着弾させる打滴制御手段と、前記相対移動手段の移動方向と直交するx方向について、前記基板上の打滴間隔を可変させるx方向打滴間隔可変手段と、前記相対移動手段の移動方向と平行のy方向について、前記基板上の打滴間隔を可変させるy方向打滴間隔可変手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数のノズルを具備するヘッドと前記基板とを相対的に移動させ、所定の打滴周期で前記ヘッドを動作させて前記基板上に機能性を有する液体を離散的に着弾させる液体塗布装置において、x方向の打滴間隔を可変させるx方向打滴間隔可変手段と、y方向の打滴間隔を可変させるy方向打滴間隔可変手段と、を備えたので、該液体の打滴間隔をx方向及びy方向のそれぞれについて変更することができ、該基板上における液体の配置の最適化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るパターン転写装置の概略構成図
【図2】ヘッドの構造例を示す平面透視図
【図3】ライン型ヘッドの構成例を示す平面透視図
【図4】液滴吐出素子の立体的構成を示す断面図
【図5】図1に示すパターン転写装置の制御系を示す要部ブロック図
【図6】図5に示す制御系におけるヘッドドライバーの構成例を示すブロック図
【図7】x方向のノズル配置と打滴配置との関係を説明する図
【図8】打滴クロックと打滴タイミングとの関係を説明する図
【図9】液滴吐出素子のマトリクス配置の他の態様を示す平面図
【図10】図9に示すヘッドの供給流路の構造を示す平面透視図
【図11】図10に示すヘッドの立体構造を示す断面図
【図12】本発明の第2の実施形態に係るパターン転写装置に適用されるヘッドの構造及び打滴配置変更制御を説明する図
【図13】図12に示すヘッドの変形例を説明する図
【図14】本発明の第3の実施形態に係るパターン転写装置の全体構成を示す斜視図
【図15】図14に示すヘッドの変形例を説明する図
【図16】図14に示すパターン転写装置に適用される駆動信号生成部の概略構成を示すブロック図
【図17】図16に示す駆動信号生成部の他の態様を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0011】
〔第1の実施形態〕
(全体構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係るパターン転写装置の概略構成図である。同図に示すパターン転写装置10は、シリコンや石英ガラスの基板20上にレジスト(UV硬化性樹脂)を塗布するレジスト塗布部12と、基板20上に塗布されたレジストに所望のパターンを転写するパターン転写部14と、基板20を搬送する搬送部22と、を備えて構成される。
【0012】
搬送部22は、例えばベルトなどの搬送手段を含んで構成され、基板20を搬送手段の表面に保持しつつ、該基板20をレジスト塗布部12からパターン転写部14に向かう方向(以下、「y方向」又は「基板搬送方向」、「副走査方向」という。)に搬送を行う。なお、基板20を移動させる代わりに、レジスト塗布部12やパターン転写部14を移動させるように構成してもよい。
【0013】
レジスト塗布部12は、複数のノズル(図1中不図示、図2に符号51で図示)が形成されるインクジェットヘッド(ヘッド)24を備え、各ノズルからレジスト溶液を液滴として吐出することにより、基板20の表面(レジスト塗布面)にレジスト溶液の塗布を行う。
【0014】
ヘッド24は、y方向と直交するx方向(以下、「基板幅方向」、「主走査方向」ということもある。)の基板20の最大幅Wm(図2参照)にわたって複数のノズルを配列した長尺のフルラインヘッドとして構成される。ヘッド24をx方向に移動させることなく、基板搬送方向(副走査方向)について基板20とヘッド24を相対的に移動させる動作を1回行うだけで基板20上の所望位置に液滴を配置することができ、レジストの塗布速度の高速化を図ることができる。
【0015】
パターン転写部14は、基板20上のレジストに転写すべき所望の凹凸パターンが形成されたスタンパ(型)26と、UV光を照射するUV照射装置28と、を備え、レジストが塗布された基板20の表面にスタンパ26を押し当てた状態で、UV照射装置28からUV光照射を行い、基板20上のレジストを硬化させることにより、基板20上のレジストに対してパターン転写を行う。
【0016】
スタンパ26は、UV照射装置28から照射されるUV光を透過可能な光透過性材料から構成される。光透過性材料としては、例えば、ガラス、石英、サファイア、透明プラスチック(例えば、アクリル樹脂、硬質塩化ビニールなど)を使用することができる。これにより、スタンパ26の上方(基板20とは反対側)に配置されるUV照射装置28からUV光照射が行われたとき、スタンパ26で遮られることなく基板20上のレジストにUV光が照射され、該レジストを硬化させることができる。
【0017】
スタンパ26は、図1の上下方向(矢印線により図示した方向)に移動可能に構成されており、基板20の表面に対してスタンパ26のパターン形成面が略平行となる状態を維持しながら下方に移動して、基板20の表面全体に略同時に接触するように押し当てられ、パターン転写が行われる。
【0018】
(ヘッドの構成)
次に、ヘッド24の構造について説明する。図2は、ヘッド24の構造例を示す平面透視図である。また、図3(a),(b)は、ヘッド24の他の構造例を示す平面透視図であり、図4は、液滴吐出素子の立体的構成を示す断面図(図2中、A−A線に沿う断面図)である。
【0019】
基板20上に形成されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド24におけるノズル間ピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド24は、図2に示すように、液滴の吐出孔であるノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数の液滴吐出素子53を千鳥でマトリクス状に(二次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(x方向)に沿って並ぶように投影されるノズル群におけるノズル間隔(投影ノズル間ピッチ)の高密度化を達成している。
【0020】
x方向に基板20の全幅に対応する長さにわたり一列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図2の構成に代えて、図3(a)に示すように、複数のノズル51が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール(ヘッドチップ)24’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで基板20の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよいし、図3(b)に示すように、短尺のヘッドモジュール24”を一列に並べてラインヘッドを構成してもよい。図3(b)では、x方向と直交しない斜めの列方向に沿って並べられた複数のノズルをまとめて、一本の線で図示している。
【0021】
図2に示すように、各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部にノズル51と供給口54が設けられている。図4に示すように、各圧力室52は供給口54を介して共通流路55と連通されている。
【0022】
圧力室52の天面を構成する振動板56には、下部電極57A及び上部電極(個別電極)57の間に圧電体58Aがはさまれた構造を有する圧電素子58が接合されており、上部電極57Bと下部電極57Aに駆動電圧を印加することによって圧電素子58が変形して圧力室52内の液体が加圧され、当該圧力室52に連通するノズル51から液滴が吐出される。液滴が吐出されると、共通流路55から供給口54を通って新しい液体が圧力室52に供給される。なお、振動板56に金属材料が用いられる場合は、振動板56と下部電極57Aとを兼用して、共通電極とすることも可能である。
【0023】
本例では、ヘッド24に設けられたノズル51から吐出させる液滴の吐出力発生手段として圧電素子58を適用したが、圧力室52内にヒータを備え、ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用して液滴を吐出させるサーマル方式を適用することも可能である。
【0024】
かかる構造を有する液滴吐出素子53を図2に示す如く、x方向に沿う行方向及びx方向に対して直交しない一定の角度を有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
【0025】
即ち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿って液滴吐出素子53を一定のピッチdで複数配列する構造により、x方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPnはd×cosθとなり、x方向については、各ノズル51が一定のピッチPnで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
【0026】
(制御系の説明)
図5は、パターン転写装置10の制御系を示すブロック図である。同図に示すように、パターン転写装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、メモリ74、モータドライバー76、ヒータドライバー78、打滴制御部80、バッファメモリ82、ヘッドドライバー84等を備えている。
【0027】
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくるレジスト溶液の配置(塗布分布)を表すデータを受信するインターフェース部である。通信インターフェース70としては、USB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェース、或いは、セントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
【0028】
システムコントローラ72は、通信インターフェース70、メモリ74、モータドライバー76、ヒータドライバー78等の各部を制御する制御部である。システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、ホストコンピュータ86との間の通信制御、メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88やヒータ89を制御する制御信号を生成する。
【0029】
メモリ74は、データの一時記憶領域、及びシステムコントローラ72が各種の演算を行うときの作業領域として使用される記憶手段である。通信インターフェース70を介して入力されたレジスト溶液の配置を表すデータはパターン転写装置10に取り込まれ、一旦メモリ74に記憶される。メモリ74としては、半導体素子からなるメモリの他、ハードディスクなどの磁気媒体を用いることができる。
【0030】
プログラム格納部90には、パターン転写装置10の制御プログラムが格納される。システムコントローラ72はプログラム格納部90に格納されている制御プログラムを適宜読み出し、制御プログラムを実行する。プログラム格納部90はROMやEEPROMなどの半導体メモリを用いてもよいし、磁気ディスクなどを用いてもよい。外部インターフェースを備え、メモリカードやPCカードを用いてもよい。もちろん、これらの記憶媒体のうち、複数の記憶媒体を備えてもよい。
【0031】
モータドライバー76は、システムコントローラ72からの指示に従ってモータ88を駆動するドライバー(駆動回路)である。モータ88には、図1の搬送部22を駆動するためのモータやスタンパ26を上下動させるためのモータが含まれる。
【0032】
ヒータドライバー78は、システムコントローラ72からの指示に従ってヒータ89を駆動するドライバーである。ヒータ89には、パターン転写装置10の各部に設けられた温度調節用のヒータが含まれる。
【0033】
打滴制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、メモリ74内のレジスト溶液の配置データから打滴制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した打滴制御信号をヘッドドライバー84に供給する制御部である。打滴制御部80において所要の信号処理が施され、該打滴データに基づいてヘッドドライバー84を介してヘッド24から打滴されるレジスト溶液の打滴量、打滴位置、ヘッド24打滴タイミングの制御が行われる。これにより、所望のレジスト溶液の液滴の配置(分布)が実現される。詳細は後述するが、本例に示すパターン転写装置10に適用される駆動方式は、すべての圧電素子に共通の駆動波形を準備しておき、圧電素子ごとに設けられたスイッチ素子をオンオフさせて、圧電素子ごとに駆動波形を印加するか否かを切り換えている。また、駆動波形は3段階の打滴量に対応する波形要素を具備し、ノズルごと、打滴タイミングごとに波形要素を適宜選択して打滴量を可変させている。
【0034】
打滴制御部80にはバッファメモリ82が備えられており、打滴制御部80における打滴データ処理時に打滴データやパラメータなどのデータがバッファメモリ82に一時的に格納される。なお、図5では、バッファメモリ82は打滴制御部80に付随する態様で示されているが、メモリ74と兼用することも可能である。また、打滴制御部80とシステムコントローラ72とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
【0035】
ヘッドドライバー84は、打滴制御部80から与えられる打滴データに基づいてヘッド24の圧電素子58(図4参照)を駆動するための駆動信号を生成し、圧電素子58に生成した駆動信号を供給する。ヘッドドライバー84にはヘッド24の駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
【0036】
(駆動信号生成部の説明)
図6は、圧電素子58に供給される駆動信号を生成する駆動信号生成部の構成例を示すブロック図である。かかる駆動信号生成部は、図5の打滴制御部80及びヘッドドライバー84の機能を実現するブロックである。
【0037】
図6に示す駆動信号生成部100は、ヘッドコントローラ102から伝送されるデジタル形式の波形信号に基づいてアナログ形式の波形信号(駆動波形)を生成する波形生成部104と、該駆動波形を電圧増幅及び電流増幅する増幅部(AMP)106と、を具備している。ヘッドコントローラ102から伝送されるシリアル形式の印字データは、クロック信号に同期してクロック信号とともにシフトレジスタ108へ伝送される。駆動波形生成部104によって生成される駆動波形は、複数の波形要素が含まれる(図8参照)。この複数の波形要素の中から一つ又は複数の波形要素を選択することで、レジスト溶液の打滴量を段階的に変更することが可能となっている。
【0038】
シフトレジスタ108に記憶された印字データは、ラッチ信号に基づいてラッチ回路110へラッチされる。ラッチ回路110にラッチされた信号はレベル変換回路112においてスイッチIC114を構成するスイッチ素子116を駆動可能な所定の電圧に変換される。このレベル変換回路112の出力信号によってスイッチ素子116のオンオフが制御することで、複数の波形要素の中から少なくとも1つの波形要素が選択されて打滴量が決められ、ヘッドコントローラ102から送出されるセレクト信号及びイネーブル信号によって駆動される圧電素子58(ノズル51)が選択される。
【0039】
上述した構成を有するパターン転写装置10は、基板20がレジスト塗布部12に搬送されると、ヘッド24の各ノズルから液体(レジスト溶液)が液滴として打滴され、基板20上にレジストが所定の分布に従って塗布される。続いて、レジストが塗布された基板20がパターン転写部14に搬送されると、基板20上のレジストにスタンパ26が押し当てられ、UV照射装置28からUV光が照射される。これにより、基板20上のレジストは硬化する。そして、基板20上のレジストからスタンパ26が分離(離型)されることにより、基板20上のレジストには所定の微細パターンが転写される。
【0040】
本実施形態のパターン転写装置10では、レジスト塗布部12において基板20上にレジストを塗布する際、基板20上で隣接する他の液滴のいずれとも合一しないように、離散的にレジスト溶液の塗布が行われる。
【0041】
すなわち、x方向の隣接ノズル(x方向の距離が最短となるノズル)から同じ打滴タイミングで打滴を行わないように各ノズルの打滴が制御され、y方向についても、連続する打滴タイミングでy方向の隣接ノズル(y方向の距離が最短となるノズル)から打滴を行わないように各ノズルの打滴が制御される。
【0042】
(x方向における打滴配置の説明)
次に、レジスト溶液のx方向における打滴配置(打滴ピッチ)について説明する。図7(a)〜(c)は、ノズル配置とx方向の打滴配置との関係を説明する図である。図7(a)はマトリクス配置されたノズル51(圧力室52)を模式的に表しており、図示の都合により、図2よりもノズル数を少なくしている。また、図7(b)はx方向に沿って並ぶように投影されたノズル群を表し、図7(c)はレジスト溶液(黒塗りの丸で図示)の打滴位置を表している。
【0043】
図7(a)に示すように、列方向に沿って一列に並ぶノズル51は、1つの共通流路(支流)55と連通している。例えば、図中左側のノズル群51Aは左側の共通流路55Aと連通し、図中右側のノズル群51Bは右側の共通流路55Bと連通している。また、図7(b)に示す投影ノズル群におけるノズル間ピッチ(x方向における最小ノズル間ピッチ)はPnとなっている。
【0044】
図7(c)に示すように、レジスト溶液のx方向における標準の打滴ピッチPdは、ノズル51のマトリクス配列の折り返し周期であり、Pd=(一列のノズル群に含まれるノズル数)×Pnとなっている。すなわち、同じ共通流路55と連通するノズルから同時に液滴を打滴するとクロストークが発生して、打滴量や打滴方向に変化を生じさせることがあり得る。したがって、同じ共通流路と連通するノズルから同時に打滴を行わないことで、クロストークを効果的に防止し得る。
【0045】
また、x方向の打滴ピッチPdは、x方向の最小ノズル間ピッチPnの単位で微調整ができるように構成されている。例えば、図7における左から2番目のノズル群51Bでは使用するノズルを投影ノズル群における1ノズル右のノズルに変更し、左から3番目のノズル群では使用ノズルを投影ノズル群における2ノズル右のノズルに変更する。このようにして、左からi番目のノズル群では使用するノズルを投影ノズル群における(i−1)ノズル右のノズルに変更することで、打滴ピッチPd’を標準の打滴ピッチPdよりも大きくすることができる。このようにしてレジスト溶液のx方向における打滴ピッチPdをx方向の最小ノズル間ピッチPn単位で(Pnの正の整数倍ごとに)変更することで、x方向におけるレジスト液滴の粗密を適宜変更することが可能となる。
【0046】
一方、標準の打滴ピッチPdよりも打滴ピッチを小さくする場合には、x方向の隣接打滴位置にレジスト溶液を打滴するノズルは、y方向に圧力室52が隣接していないノズルが選択される。すなわち、x方向の最小打滴ピッチPdminは、x方向の最小ノズル間ピッチPnの2倍以上となる。y方向(圧力室52の短辺方向)に隣接するノズルから同時に打滴を行うと、当該隣接ノズルと連通する二つの圧力室52を区画している壁に変形が生じて機械的なクロストークが発生する。かかるクロストークの発生は、打滴量や打滴方向の変化を生じさせることがあり得るので、y方向に隣接する隣接するノズルから同時に打滴を行わないように構成することで、当該機械的クロストークを防止し得る。
【0047】
(y方向における打滴配置の説明)
次に、y方向の打滴配置について説明する。図8は、打滴クロックと打滴タイミングとの関係を示す説明図である。y方向の最小打滴ピッチは打滴クロックの周期と基板20の搬送速度とにより決められる。本例に示すパターン転写装置10は、標準の打滴クロックの周期をさらに分割して、標準の打滴クロック間においても打滴ができるように構成されている。すなわち、標準の打滴周期は、最小打滴周期のm倍(但し、mは2以上の整数)となっており、最小打滴周期の単位で遅延時間を決めることができる。
【0048】
図8に示す例では、標準の打滴クロックの周期を3分割して、標準の打滴タイミングから1/3打滴周期遅れたタイミングと、標準の打滴タイミングから2/3打滴周期遅れたタイミングに打滴することができる。
【0049】
例えば、標準の打滴タイミングにおいて、ノズル1,2,4から打滴が実行され、ノズル1,2,4の打滴が実行されたタイミングから1/3打滴周期遅れたタイミングでノズル3の打滴が実行される。さらに、ノズル4は、標準の打滴タイミングよりも1/3打滴周期早いタイミングで2回目の打滴が実行される。
【0050】
かかる構成によれば、y方向の最小打滴ピッチ未満のピッチで、y方向の打滴ピッチを変更することができ、y方向についてもレジスト溶液の粗密を適宜変更することが可能となる。なお、ノズル1〜4の駆動波形に違いは、一回の動作におけるレジスト溶液の打滴量の違いである。図8に示す例では、ノズル1とノズル3の打滴量よりもノズル2の打滴量とノズル4の二回目の打滴量は大きく、ノズル2の打滴量とノズル4の2回目の打滴量よりもノズル4の一回目の打滴量は大きくなっている。
【0051】
この打滴ピッチの変更は、レジスト溶液の配置(塗布分布)のデータに基づいて行われる。すなわち、レジスト溶液のパターンデータに応じて、標準よりも多く液滴を必要とする場合は、打滴ピッチが小さくなるように変更され、レジスト溶液はより密に塗布される。一方、標準よりも液滴量を必要としない場合は、打滴ピッチが大きくなるように変更され、レジスト溶液はより疎に塗布される。打滴ピッチの変更に対応して、レジスト溶液の打滴量を上記のように変えてもよい。
【0052】
上記の如く構成されたパターン転写装置10によれば、レジスト液滴を打滴するノズルがマトリクス配置されたヘッドを用いて、x方向ついて最小ノズル間ピッチを超える標準の打滴ピッチにより、y方向について最小打滴周期を超える標準の打滴周期により、離散的にレジスト溶液を配置するレジスト塗布部12において、同じ打滴タイミングで打滴を行うノズルのx方向における間隔をx方向の最小ノズル間ピッチPnの単位で変更するように使用されるノズルを変更してx方向の打滴ピッチが変更され、標準の打滴タイミングから最小打滴周期の単位のディレイ時間設定することで打滴タイミングを変更してy方向の打滴ピッチが変更されるので、基板上に塗布されるレジスト溶液の粗密によりレジスト溶液の塗布量が最適化され、濡れ性の向上、残渣厚のばらつきが低減化される。
【0053】
また、x方向及びy方向について独立の打滴ピッチを変更するこができるので、一部のみについて液体の配置密度を高密度化することができる。
【0054】
さらに、複数のノズル(チャンネル)の中から選択的に打滴に使用されるノズルを切り換えるように構成されるので、ノズルの使用頻度を下げることができ、ヘッドの長寿命化が期待できる。
【0055】
なお、図2に図示したノズル配置に代わり、図9に示すノズル配置を適用してもよい。図9は、の他のマトリクス配置を示す平面図であり、レジスト溶液が打滴される面から見た図である。同図に示すヘッドモジュール224は、x方向と所定の角度γをなす行方向V、及びy方向と角度αをなす列方向Wに沿って、複数のノズル51がマトリクス状に配置されている。図3(b)に示すように、ヘッドモジュール224をx方向につなぎ合わせてフルライン型のヘッドが構成される。
【0056】
図10は、図9に示すヘッドモジュール224の内部構造を示す平面透視図である。同図に示すように、図中の列方向Wに沿うノズル群ごとに、それぞれのノズル群をはさんで供給側流路255Aと、回収側流路255Bが設けられている。列方向Wに沿って設けられた供給側流路255Aは供給側本流255Cから分岐した支流路となっており、供給側本流255Cは図示せぬ供給接続口を介して図示せぬ供給タンクに接続される。また、回収側流路255Bは、回収側本流255Dから分岐した支流路となっており、回収側本流255Dは図示せぬ接続口を介して図示せぬ回収タンクに接続される。
【0057】
図11は、ヘッドモジュール224内部の流路構造を示す断面図である。同図における符号252は圧力室、256は振動板、258は圧電素子である。図11に示すヘッドモジュール224は、圧電素子258の可動空間を確保しつつ、圧電素子258の周囲を封止するカバープレート259が具備されている。また、図示は省略するが、カバープレート259の上方に供給液室及び回収液室が形成され、それぞれ不図示の連通路を介して供給側本流255C、回収側本流255Dに連結されている。
【0058】
供給側流路255Aから個別供給路254Aを介して圧力室252へ供給されたレジスト溶液は、ノズル流路を通ってノズル251から打滴される。また、打滴されない余剰液はノズル流路から個別回収路245Bを介して回収側流路255Bに回収される。
【0059】
かかる流路構造を有するヘッドモジュール224は、2列のノズル列が1本の個別供給路を兼用する構造を有しているので、同時に打滴されるノズルのx方向の最小打滴ピッチを「4ノズル列分のx方向の距離」とすることで、同じ個別供給流路と連通するノズルから同時に打滴が行われず、クロストークを効果的に防止し得る。
【0060】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係るパターン転写装置(レジスト塗布部)について説明する。本例に示すパターン転写装置は、x方向に沿って複数のノズル351が並べられたノズル行(ノズル群)が一列だけ設けられたヘッド324を具備している。図12(a)に示すヘッド324におけるノズル351の配置ピッチはPnであり、このときのx方向における打滴ピッチPdはx方向のノズル間ピッチPnと同一である。
【0061】
ヘッド324を備えたパターン転写装置は、ヘッド324をxy平面内で回転させる回転機構を備え、図12(b)に示すように、ヘッド324をxy平面内で回転させることでx方向の打滴ピッチをPdからPd’(<Pn)へ変更できるように構成されている。ヘッド324の回転角度をδとすると、Pd’=Pn×cosδ(但し、0°<δ<90°)となる。
【0062】
図13は、2つ(複数の)ヘッドモジュール324’をx方向につなぎ合わせて1つの長尺ヘッドを構成する態様が模式的に図示されている。かかる態様では、それぞれのヘッドモジュール324’を回転させるとともに、ヘッドモジュール324’のつなぎ部分における打滴ピッチがPd’になるように、いずれかのヘッドモジュール324’をx方向にΔxだけ移動させる必要がある。もちろん、両方のヘッドをx方向に移動させてもよい。
【0063】
すなわち、複数のヘッドモジュール324’をx方向につなぎ合わせて長尺ヘッドを構成する態様では、ヘッドモジュール324’ごとにxy平面内において回転させる回転機構が備えられるとともに、隣接するヘッドモジュール間のx方向の相対的な距離を可変させるx方向移動機構が備えられる。
【0064】
y方向の打滴ピッチは、上述した打滴タイミングの変更により対応することができる。すなわち、ヘッドモジュール324’を回転させることで、y方向の打滴位置がずれてしまうので、回転によりy方向の打滴位置がずれたノズルは打滴タイミングが変更される。また、y方向の打滴ピッチを変更する場合にも打滴タイミングが変更される。
【0065】
かかる第2実施形態によれば、x方向に沿って複数のノズル351が並べられてノズル群が一つだけ設けられた構造を有するヘッド324を具備するパターン転写装置において、ヘッド324をxy平面内で回転可能に構成することで、x方向の打滴ピッチPdをx方向のノズル間ピッチPnからPn×cosδ(但し、0°<δ<90°)へ変更することが可能なり、所望のレジスト溶液の分布が実現される。したがって、基板上に塗布されるレジスト溶液の粗密によりレジスト溶液の塗布量が最適化される。
【0066】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態に係るパターン転写装置(レジスト塗布部)について説明する。本例に示すパターン転写装置は、基板のx方向の長さ(幅)に満たない短尺ヘッドを、x方向に走査させながらx方向の打滴を行うシリアル型ヘッドを備えている。
【0067】
図14は、シリアル型ヘッド424を備えたパターン転写装置410の全体構成を示す斜視図である。同図に示すパターン転写装置410は、y方向について複数のノズルがな並べられたノズル群を1つ又は複数備えたヘッド424と、ヘッド424を支持するキャリッジ423と、キャリッジ423に支持されたヘッド424をx方向に走査させるx方向移動機構425Aと、基板420をy方向に移動させるy方向移動機構425Bと、ヘッド424をxy平面内で回転させるヘッド回転機構421と、ヘッド424と基板420とをx方向及びy方向と直交するz方向へ相対的に移動させるz方向移動機構427と、ヘッド424と基板420が接触しないようにヘッド424のz方向における位置を規制するストッパー429と、を備えている。ヘッド424のノズル配列は、図11に図示したヘッド324と同一であり、図11のx方向とy方向と入れ換えた関係となっている。
【0068】
図14に示すパターン転写装置410は、x方向にヘッド424を走査させながら基板420のx方向についてレジスト溶液の打滴が実行され、1回のx方向への打滴が終了すると、基板420をy方向へ所定量(1回のx方向への打滴によりレジスト溶液を塗布可能な領域のy方向における長さ)移動させて、次の領域についてx方向の打滴が実行される。この動作を繰り返して基板420の全面にわたってレジスト溶液が塗布される。
【0069】
また、y方向の打滴ピッチを変更するときはヘッド424を所定量回転させる。なお、基板420をxy平面内で回転させる基板回転機構を備え、ヘッド424を回転させる代わりに基板420を回転させてもよい。
【0070】
図15は、2つの短尺ヘッド424A,424Bを備えた場合のヘッド部分を取り出して図示した斜視図である。かかる構成は、図14に示す構成に第2のヘッド424Bを含む構成を付加したものである。すなわち、第1のヘッド424Aは第1のキャリッジ423Aに支持され、第1のヘッド424Aをxy平面内で回転させる第1のヘッド回転機構421Aを備えている。また、第2のヘッド424Bは、第2のキャリッジ423Bに支持され、y方向移動機構422によりy方向に移動可能に構成され、第2のヘッド回転機構421Bによりxy平面内で回転可能に構成されている。すなわち、図15に示す構成は、図13に示す構成に対応しており、図13中上側のヘッドモジュール324’は第1のヘッド424Aに対応し、下側のヘッドモジュール324’は第2のヘッド424Bに対応している。
【0071】
図14及び図15に示した構成は、打滴タイミングを変更することでx方向の打滴ピッチを変更することができる。打滴タイミングの変更は図6に示した駆動信号生成部100を適用可能である。なお、図6に示した駆動信号生成部100は、ノズルごとに駆動波形を準備する必要がなく、ヘッド全体(複数のヘッドモジュールを備える態様ではヘッドモジュール全体)に共通の駆動波形を準備すればよいので、駆動波形を記憶しておくメモリを大幅に節約することができる。一方、図6に示す駆動信号生成部100は打滴クロックの周期を短くするには限界がある。
【0072】
そこで、本例のようにノズルが少ない場合には、ノズルごとに駆動波形を準備しておき、ノズルごとの駆動波形にディレイデータを付加するように構成することで、高速化を図ることが可能となる。
【0073】
図16は、高速化を狙った駆動信号生成部400の概略構成を示すブロック図である。同図に示す駆動信号生成部400は、ノズルごとの駆動波形を生成する波形生成部404と、x方向の打滴ピッチを変更する際のディレイ時間をノズルごとに算出するディレイデータ生成部405と、ディレイデータ生成部405により生成されたディレイ時間を駆動波形データに加算する加算部407と、デジタル形式の駆動波形データをアナログ形式に変換するD/Aコンバータ409と、アナログ形式の駆動波形に電圧増幅処理及び電流増幅処理を施す増幅部406と、を備えている。
【0074】
打滴データに基づいて、スイッチIC414のスイッチ素子416をオンオフさせることで各ノズルに対応する圧電素子58を動作させると、所望のノズルからレジスト溶液が打滴される。かかる構成は、ノズルごと(チャンネルごと)に駆動波形とディレイ時間を持っているので、図6に図示した構成よりも打滴周期を短くすることが可能である。
【0075】
また、図17に示すように複数のアナログ波形(WAVE1〜3)を準備しておき、イネーブル信号によって複数のアナログ波形の中から1つを選択するように構成してもよい。
【0076】
かかる構成を有する第3実施形態では、y方向に沿って並べられたノズルの一部のみを使用し、走査ごとに使用されるノズルを切り換えることが可能である。かかるノズルの選択切換は上述した制御系におけるノズル切換を利用することができる。このように、複数のノズルの中から一部のノズルのみを使用し、かつ、使用されるノズルを順次切り換えることで、ヘッドの寿命をより長くすることができる。
【0077】
なお、本例では、レジスト溶液によるパターンを形成するためのパターン転写装置を例に挙げて説明したが、本発明は、インクジェット方式により基板上にレジスト溶液を離散的に配置して、基板上にレジスト溶液による所定の分布を形成する液体塗布装置として構成することも可能である。
【0078】
以上、本発明のパターン転写装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよい。
【0079】
<付記>
上記に詳述した実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書では以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
【0080】
(発明1):基板上に機能性を有する液体を打滴するための複数のノズルを具備するヘッドと、前記基板と前記ヘッドとを相対的に移動させる相対移動手段と、所定の打滴周期で前記ヘッドを動作させて前記液体を前記基板上に離散的に着弾させる打滴制御手段と、前記相対移動手段の移動方向と直交するx方向について、前記基板上の打滴間隔を可変させるx方向打滴間隔可変手段と、前記相対移動手段の移動方向と平行のy方向について、前記基板上の打滴間隔を可変させるy方向打滴間隔可変手段と、を備えたことを特徴とする。
【0081】
本発明によれば、複数のノズルを具備するヘッドと前記基板とを相対的に移動させ、所定の打滴周期で前記ヘッドを動作させて前記基板上に機能性を有する液体を離散的に着弾させる液体塗布装置において、x方向の打滴間隔を可変させるx方向打滴間隔可変手段と、y方向の打滴間隔を可変させるy方向打滴間隔可変手段と、を備えたので、該液体の打滴間隔をx方向及びy方向のそれぞれについて変更することができ、該基板上における液体の配置の最適化が可能である。
【0082】
本発明における「機能性を有する液体」とは、基板上に微細パターンを形成し得る機能性材料の成分を含有する液体であり、その一例としてレジスト溶液が挙げられる。
【0083】
本発明におけるヘッドの一例として、ノズルと連通する液室と、液室内の液を加圧する加圧手段と、液室へ液体を供給する供給流路と、液室と供給流路との間に設けられる供給口(絞り部)と、を具備する態様が挙げられる。
【0084】
(発明2):発明1に記載の液体塗布装置において、前記ヘッドは、前記x方向に沿う行方向及び前記x方向と角度θをなす斜めの列方向、又は前記x方向と所定の角度γ(但し、0<γ<90°)をなす方向に沿う行方向及び前記y方向と所定の角度α(但し、0<α<90°)をなす方向に沿う列方向について前記複数のノズルがマトリクス状に並べられた構造を有し、前記打滴制御手段は、前記x方向打滴間隔可変手段を含み、前記x方向打滴間隔可変手段は、使用されるノズルを切り換えて、前記複数のノズルを前記x方向に並ぶように投影した投影ノズル群におけるノズル間隔のn倍(但し、nは正の整数)の単位で、基板上のx方向における打滴間隔を可変させることを特徴とする。
【0085】
かかる態様によれば、x方向について使用されるノズルを切り換えることで打滴ピッチを変更することができ、液体の配置が最適化される。
【0086】
かかる態様において、x方向について打滴配置を離散的にする態様として、ノズルのマトリクス配置の折り返しピッチをx方向の標準の打滴ピッチとする態様が挙げられる。
【0087】
(発明3):発明1又は2に記載の液体塗布装置において、前記複数のノズルのそれぞれと連通する液室に液を供給する供給流路を複数備え、前記打滴制御手段は、同一の打滴タイミングで、異なる供給流路から液の供給を受ける液室と連通するノズルから液体を打滴するように前記ヘッドを動作させることを特徴とする。
【0088】
かかる態様によれば、同一のタイミングで駆動されるノズルにおけるクロストークが防止され、好ましい液体の打滴が実行される。
【0089】
(発明4):発明1乃至3のいずれかに記載の液体塗布装置において、前記打滴制御手段は、同一の打滴タイミングで、x方向の最小ノズル間隔を超えるx方向の間隔を有する複数のノズルから液体を打滴するように前記ヘッドを動作させることを特徴とする。
【0090】
かかる態様によれば、x方向の最隣接ノズルから同時に打滴を行わないことで、機械的なクロストークが防止され、好ましい液体の打滴が実行される。
【0091】
(発明5):発明1に記載の液体塗布装置において、前記ヘッドは、x方向に前記複数のノズルが並べられた構造を有し、前記x方向打滴間隔可変手段は、前記ヘッドをxy平面内で回転させる回転手段を含むことを特徴とする。
【0092】
かかる態様によれば、x方向に沿って複数のノズルが並べられたノズル群が1つのみでも、ヘッドをxy平面内で回転させることでx方向の打滴間隔を変更することができる。
【0093】
(発明6):発明1に記載の液体塗布装置において、前記ヘッドは、x方向に前記複数のノズルが並べられた構造を有するサブヘッドをx方向につなげた構造を有し、前記x方向打滴間隔可変手段は、前記サブヘッドのそれぞれをxy平面内で回転させるサブヘッド回転手段と、各サブヘッドの少なくとも1つをx方向に移動させるx方向移動手段とを含むことを特徴とする。
【0094】
複数のサブヘッドをx方向につなぎ合わせた構造を有するヘッドでは、各サブヘッドを回転させることで、1つのサブヘッド内におけるx方向の打滴間隔を変更することができ、さらにサブヘッド間のx方向における位置を調整することで、ヘッド全体としてx方向の打滴間隔を調整し得る。
【0095】
(発明7):発明1乃至6のいずれかに記載の液体塗布装置において、前記打滴制御手段は、前記基板上に液滴を離散的に着弾させるように最小打滴周期のm倍以上(但し、mは2以上の整数)の周期で前記ヘッドを動作させるとともに、前記y方向打滴制御手段を含み、前記y方向打滴間隔可変手段は、最小打滴周期以上、最小打滴周期の(m−1)倍以下の遅延時間を最小打滴周期を最小単位として生成する遅延時間生成手段を含み、前記遅延時間生成手段により生成された遅延時間を用いて前記ヘッドの駆動タイミングを遅らせて、y方向における打滴間隔を前記最小打滴周期の単位で可変させることを特徴とする。
【0096】
かかる態様によれば、打滴制御によってy方向の打滴間隔を最小打滴周期の単位で可変させることができ、好ましい液体の配置が実現される。
【0097】
(発明8):発明1に記載の液体塗布装置において、前記ヘッドをx方向に走査させる走査手段と、前記相対移動手段は、y方向に前記ヘッドと前記基板とを相対的に移動させ、前記ヘッドは、y方向に沿って複数のノズルが並べられたノズル群を少なくとも1つ具備し、前記y方向打滴間隔可変手段は、前記ヘッドをxy内で回転させる回転手段を含むことを特徴とする。
【0098】
かかるシリアル方式では、ヘッドを平面内で回転させることでx方向の打滴間隔を変更することができ、好ましい液体の配置が実現される。
【0099】
y方向に沿って並べられた複数のノズルの中から一部のノズルを選択し、該選択されるノズルをx方向の走査ごとに切り換えるように構成すると、ノズルの使用頻度を下げることができ、ヘッドの長寿命化を実現し得る。
【0100】
(発明9):発明8に記載の液体塗布装置において、前記ヘッドは、y方向に前記複数のノズルが並べられた構造を有するサブヘッドをy方向につなげた構造を有し、前記y方向打滴間隔可変手段は、前記サブヘッドのそれぞれをxy平面内で回転させるサブヘッド回転手段と、各サブヘッドの少なくとも1つをy方向に移動させるy方向移動手段とを含むことを特徴とする。
【0101】
かかる態様において、複数のサブヘッドの一部をy方向に移動させてもよいし、複数のサブヘッドのすべてをy方向に移動させてもよい。
【0102】
(発明10):発明8又は9に記載の液体塗布装置において、前記打滴制御手段は、前記基板上に液滴を離散的に着弾させるように最小打滴周期のm倍以上(但し、mは2以上の整数)の周期で前記ヘッドを動作させるとともに、前記x方向打滴制御手段を含み、前記x方向打滴間隔可変手段は、最小打滴周期以上最小打滴周期の(m−1)倍以下の遅延時間を最小打滴周期の単位で生成する遅延時間生成手段を含み、前記x方向打滴間隔可変手段により遅延時間を用いて前記ヘッドの駆動タイミングを遅らせて、x方向における打滴間隔を前記最小打滴周期の単位で可変させることを特徴とする。
【0103】
かかる態様によれば、シリアル方式において、打滴制御によってx方向の打滴間隔を最小打滴周期の単位で可変させることができ、好ましい液体の配置が実現される。
【0104】
(発明11):基板上に機能性を有する液体を打滴するための複数のノズルを具備するヘッドと前記基板とを相対的に移動させ、所定の打滴周期で前記ヘッドを動作させて前記基板上に前記液体を離散的に着弾させる液体塗布方法において、前記相対移動方向と直交するx方向について、前記基板上の打滴間隔を可変させるx方向打滴間隔可変工程と、前記相対方向と平行のy方向について、前記基板上の打滴間隔を可変させるy方向打滴間隔可変工程と、を含むことを特徴とする液体塗布方法。
【0105】
マトリクス配置されたヘッドを用いる場合には、x方向について数ノズルおきのノズルを同時に駆動させてx方向について液体を離散的に配置させる態様が好ましい。
【0106】
(発明12):基板上に機能性を有する液体を打滴するための複数のノズルを具備するヘッドと、前記基板と前記ヘッドとを相対的に移動させる相対移動手段と、所定の打滴周期で前記ヘッドを動作させて前記液体を前記基板上に離散的に着弾させる打滴制御手段と、前記相対移動手段の移動方向と直交するx方向について、前記基板上の打滴間隔を可変させるx方向打滴間隔可変手段と、前記相対移動手段の移動方向と平行のy方向について、前記基板上の打滴間隔を可変させるy方向打滴間隔可変手段と、前記基板に塗布された液体を硬化させる硬化手段と、前記硬化手段により硬化させた液体、又は前記硬化手段により硬化させている途中の液体に凹凸パターンが形成された型を押し当てて、当該凹凸パターンを転写する転写手段と、を備えたことを特徴とするインプリント装置。
【0107】
本発明によれば、x方向及びy方向について独立して液体の打滴間隔を変更することができるので、液滴の配置が最適化される。したがって、濡れ性の向上し、かつ、残渣厚のばらつきが低減化され、基板上に好ましい微細パターンを形成し得る。
【0108】
本発明は、サブミクロンの微細パターンを形成するナノインプリントリソグラフィに特に好適である。
【符号の説明】
【0109】
10,410…パターン転写装置、12…レジスト塗布部、14…パターン転写部、20…基板、22…搬送部、224,324,424…ヘッド、26…スタンパ、51,251…ノズル、72…システムコントローラ、80…打滴制御部、100,400…駆動信号生成部、421…ヘッド回転機構、422…y方向移動機構、423…キャリッジ、425A…x方向移動機構、425B…y方向移動機構、427…z方向移動機構
【技術分野】
【0001】
本発明は液体塗布装置及び液体塗布方法並びにインプリントシステムに係り、特に、インクジェット方式により基板等の媒体上に機能性を有する液体を付与する液体付与技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路の微細化、高集積化に伴い、基板上に微細構造を形成するための技術として、基板上に塗布したレジスト(UV硬化性樹脂)に転写すべき所望の凹凸パターンが形成されたスタンパを押し当てた状態でUV光を照射してレジストを硬化させ、スタンパを基板上のレジストから分離(離型)することで、スタンパに形成された微細パターン基板(レジスト)へ転写するインプリントリソグラフィが知られている。
【0003】
特許文献1,2は、インクジェット方式を用いて基板にインプリント材の液体を付与するシステムを開示している。特許文献1,2に記載のシステムは、一定量の液体を基板上に分配する際にパターンやインプリント材(レジスト)の揮発量に応じて打滴密度や打滴量を変更して打滴量を最適化し、スループットの向上、残渣厚の均一化を図る旨が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−502157号公報
【特許文献2】特開2009−88376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1,2に係る技術はどのような打滴配置が好ましいものであるかについて、そのアルゴリズムを開示するのみであり、理想的な打滴密度や打滴量を実現するためのハードウエア等の具体的な構成は開示されていない。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、インクジェット方式による基板への機能性液の打滴が最適化され、好ましい微細パターンを形成し得る液体塗布装置及び液体塗布方法並びにインプリントシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る液体塗布装置は、基板上に機能性を有する液体を打滴するための複数のノズルを具備するヘッドと、前記基板と前記ヘッドとを相対的に移動させる相対移動手段と、所定の打滴周期で前記ヘッドを動作させて前記液体を前記基板上に離散的に着弾させる打滴制御手段と、前記相対移動手段の移動方向と直交するx方向について、前記基板上の打滴間隔を可変させるx方向打滴間隔可変手段と、前記相対移動手段の移動方向と平行のy方向について、前記基板上の打滴間隔を可変させるy方向打滴間隔可変手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数のノズルを具備するヘッドと前記基板とを相対的に移動させ、所定の打滴周期で前記ヘッドを動作させて前記基板上に機能性を有する液体を離散的に着弾させる液体塗布装置において、x方向の打滴間隔を可変させるx方向打滴間隔可変手段と、y方向の打滴間隔を可変させるy方向打滴間隔可変手段と、を備えたので、該液体の打滴間隔をx方向及びy方向のそれぞれについて変更することができ、該基板上における液体の配置の最適化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るパターン転写装置の概略構成図
【図2】ヘッドの構造例を示す平面透視図
【図3】ライン型ヘッドの構成例を示す平面透視図
【図4】液滴吐出素子の立体的構成を示す断面図
【図5】図1に示すパターン転写装置の制御系を示す要部ブロック図
【図6】図5に示す制御系におけるヘッドドライバーの構成例を示すブロック図
【図7】x方向のノズル配置と打滴配置との関係を説明する図
【図8】打滴クロックと打滴タイミングとの関係を説明する図
【図9】液滴吐出素子のマトリクス配置の他の態様を示す平面図
【図10】図9に示すヘッドの供給流路の構造を示す平面透視図
【図11】図10に示すヘッドの立体構造を示す断面図
【図12】本発明の第2の実施形態に係るパターン転写装置に適用されるヘッドの構造及び打滴配置変更制御を説明する図
【図13】図12に示すヘッドの変形例を説明する図
【図14】本発明の第3の実施形態に係るパターン転写装置の全体構成を示す斜視図
【図15】図14に示すヘッドの変形例を説明する図
【図16】図14に示すパターン転写装置に適用される駆動信号生成部の概略構成を示すブロック図
【図17】図16に示す駆動信号生成部の他の態様を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0011】
〔第1の実施形態〕
(全体構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係るパターン転写装置の概略構成図である。同図に示すパターン転写装置10は、シリコンや石英ガラスの基板20上にレジスト(UV硬化性樹脂)を塗布するレジスト塗布部12と、基板20上に塗布されたレジストに所望のパターンを転写するパターン転写部14と、基板20を搬送する搬送部22と、を備えて構成される。
【0012】
搬送部22は、例えばベルトなどの搬送手段を含んで構成され、基板20を搬送手段の表面に保持しつつ、該基板20をレジスト塗布部12からパターン転写部14に向かう方向(以下、「y方向」又は「基板搬送方向」、「副走査方向」という。)に搬送を行う。なお、基板20を移動させる代わりに、レジスト塗布部12やパターン転写部14を移動させるように構成してもよい。
【0013】
レジスト塗布部12は、複数のノズル(図1中不図示、図2に符号51で図示)が形成されるインクジェットヘッド(ヘッド)24を備え、各ノズルからレジスト溶液を液滴として吐出することにより、基板20の表面(レジスト塗布面)にレジスト溶液の塗布を行う。
【0014】
ヘッド24は、y方向と直交するx方向(以下、「基板幅方向」、「主走査方向」ということもある。)の基板20の最大幅Wm(図2参照)にわたって複数のノズルを配列した長尺のフルラインヘッドとして構成される。ヘッド24をx方向に移動させることなく、基板搬送方向(副走査方向)について基板20とヘッド24を相対的に移動させる動作を1回行うだけで基板20上の所望位置に液滴を配置することができ、レジストの塗布速度の高速化を図ることができる。
【0015】
パターン転写部14は、基板20上のレジストに転写すべき所望の凹凸パターンが形成されたスタンパ(型)26と、UV光を照射するUV照射装置28と、を備え、レジストが塗布された基板20の表面にスタンパ26を押し当てた状態で、UV照射装置28からUV光照射を行い、基板20上のレジストを硬化させることにより、基板20上のレジストに対してパターン転写を行う。
【0016】
スタンパ26は、UV照射装置28から照射されるUV光を透過可能な光透過性材料から構成される。光透過性材料としては、例えば、ガラス、石英、サファイア、透明プラスチック(例えば、アクリル樹脂、硬質塩化ビニールなど)を使用することができる。これにより、スタンパ26の上方(基板20とは反対側)に配置されるUV照射装置28からUV光照射が行われたとき、スタンパ26で遮られることなく基板20上のレジストにUV光が照射され、該レジストを硬化させることができる。
【0017】
スタンパ26は、図1の上下方向(矢印線により図示した方向)に移動可能に構成されており、基板20の表面に対してスタンパ26のパターン形成面が略平行となる状態を維持しながら下方に移動して、基板20の表面全体に略同時に接触するように押し当てられ、パターン転写が行われる。
【0018】
(ヘッドの構成)
次に、ヘッド24の構造について説明する。図2は、ヘッド24の構造例を示す平面透視図である。また、図3(a),(b)は、ヘッド24の他の構造例を示す平面透視図であり、図4は、液滴吐出素子の立体的構成を示す断面図(図2中、A−A線に沿う断面図)である。
【0019】
基板20上に形成されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド24におけるノズル間ピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド24は、図2に示すように、液滴の吐出孔であるノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数の液滴吐出素子53を千鳥でマトリクス状に(二次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(x方向)に沿って並ぶように投影されるノズル群におけるノズル間隔(投影ノズル間ピッチ)の高密度化を達成している。
【0020】
x方向に基板20の全幅に対応する長さにわたり一列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図2の構成に代えて、図3(a)に示すように、複数のノズル51が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール(ヘッドチップ)24’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで基板20の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよいし、図3(b)に示すように、短尺のヘッドモジュール24”を一列に並べてラインヘッドを構成してもよい。図3(b)では、x方向と直交しない斜めの列方向に沿って並べられた複数のノズルをまとめて、一本の線で図示している。
【0021】
図2に示すように、各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部にノズル51と供給口54が設けられている。図4に示すように、各圧力室52は供給口54を介して共通流路55と連通されている。
【0022】
圧力室52の天面を構成する振動板56には、下部電極57A及び上部電極(個別電極)57の間に圧電体58Aがはさまれた構造を有する圧電素子58が接合されており、上部電極57Bと下部電極57Aに駆動電圧を印加することによって圧電素子58が変形して圧力室52内の液体が加圧され、当該圧力室52に連通するノズル51から液滴が吐出される。液滴が吐出されると、共通流路55から供給口54を通って新しい液体が圧力室52に供給される。なお、振動板56に金属材料が用いられる場合は、振動板56と下部電極57Aとを兼用して、共通電極とすることも可能である。
【0023】
本例では、ヘッド24に設けられたノズル51から吐出させる液滴の吐出力発生手段として圧電素子58を適用したが、圧力室52内にヒータを備え、ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用して液滴を吐出させるサーマル方式を適用することも可能である。
【0024】
かかる構造を有する液滴吐出素子53を図2に示す如く、x方向に沿う行方向及びx方向に対して直交しない一定の角度を有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
【0025】
即ち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿って液滴吐出素子53を一定のピッチdで複数配列する構造により、x方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPnはd×cosθとなり、x方向については、各ノズル51が一定のピッチPnで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
【0026】
(制御系の説明)
図5は、パターン転写装置10の制御系を示すブロック図である。同図に示すように、パターン転写装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、メモリ74、モータドライバー76、ヒータドライバー78、打滴制御部80、バッファメモリ82、ヘッドドライバー84等を備えている。
【0027】
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくるレジスト溶液の配置(塗布分布)を表すデータを受信するインターフェース部である。通信インターフェース70としては、USB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェース、或いは、セントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
【0028】
システムコントローラ72は、通信インターフェース70、メモリ74、モータドライバー76、ヒータドライバー78等の各部を制御する制御部である。システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、ホストコンピュータ86との間の通信制御、メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88やヒータ89を制御する制御信号を生成する。
【0029】
メモリ74は、データの一時記憶領域、及びシステムコントローラ72が各種の演算を行うときの作業領域として使用される記憶手段である。通信インターフェース70を介して入力されたレジスト溶液の配置を表すデータはパターン転写装置10に取り込まれ、一旦メモリ74に記憶される。メモリ74としては、半導体素子からなるメモリの他、ハードディスクなどの磁気媒体を用いることができる。
【0030】
プログラム格納部90には、パターン転写装置10の制御プログラムが格納される。システムコントローラ72はプログラム格納部90に格納されている制御プログラムを適宜読み出し、制御プログラムを実行する。プログラム格納部90はROMやEEPROMなどの半導体メモリを用いてもよいし、磁気ディスクなどを用いてもよい。外部インターフェースを備え、メモリカードやPCカードを用いてもよい。もちろん、これらの記憶媒体のうち、複数の記憶媒体を備えてもよい。
【0031】
モータドライバー76は、システムコントローラ72からの指示に従ってモータ88を駆動するドライバー(駆動回路)である。モータ88には、図1の搬送部22を駆動するためのモータやスタンパ26を上下動させるためのモータが含まれる。
【0032】
ヒータドライバー78は、システムコントローラ72からの指示に従ってヒータ89を駆動するドライバーである。ヒータ89には、パターン転写装置10の各部に設けられた温度調節用のヒータが含まれる。
【0033】
打滴制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、メモリ74内のレジスト溶液の配置データから打滴制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した打滴制御信号をヘッドドライバー84に供給する制御部である。打滴制御部80において所要の信号処理が施され、該打滴データに基づいてヘッドドライバー84を介してヘッド24から打滴されるレジスト溶液の打滴量、打滴位置、ヘッド24打滴タイミングの制御が行われる。これにより、所望のレジスト溶液の液滴の配置(分布)が実現される。詳細は後述するが、本例に示すパターン転写装置10に適用される駆動方式は、すべての圧電素子に共通の駆動波形を準備しておき、圧電素子ごとに設けられたスイッチ素子をオンオフさせて、圧電素子ごとに駆動波形を印加するか否かを切り換えている。また、駆動波形は3段階の打滴量に対応する波形要素を具備し、ノズルごと、打滴タイミングごとに波形要素を適宜選択して打滴量を可変させている。
【0034】
打滴制御部80にはバッファメモリ82が備えられており、打滴制御部80における打滴データ処理時に打滴データやパラメータなどのデータがバッファメモリ82に一時的に格納される。なお、図5では、バッファメモリ82は打滴制御部80に付随する態様で示されているが、メモリ74と兼用することも可能である。また、打滴制御部80とシステムコントローラ72とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
【0035】
ヘッドドライバー84は、打滴制御部80から与えられる打滴データに基づいてヘッド24の圧電素子58(図4参照)を駆動するための駆動信号を生成し、圧電素子58に生成した駆動信号を供給する。ヘッドドライバー84にはヘッド24の駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
【0036】
(駆動信号生成部の説明)
図6は、圧電素子58に供給される駆動信号を生成する駆動信号生成部の構成例を示すブロック図である。かかる駆動信号生成部は、図5の打滴制御部80及びヘッドドライバー84の機能を実現するブロックである。
【0037】
図6に示す駆動信号生成部100は、ヘッドコントローラ102から伝送されるデジタル形式の波形信号に基づいてアナログ形式の波形信号(駆動波形)を生成する波形生成部104と、該駆動波形を電圧増幅及び電流増幅する増幅部(AMP)106と、を具備している。ヘッドコントローラ102から伝送されるシリアル形式の印字データは、クロック信号に同期してクロック信号とともにシフトレジスタ108へ伝送される。駆動波形生成部104によって生成される駆動波形は、複数の波形要素が含まれる(図8参照)。この複数の波形要素の中から一つ又は複数の波形要素を選択することで、レジスト溶液の打滴量を段階的に変更することが可能となっている。
【0038】
シフトレジスタ108に記憶された印字データは、ラッチ信号に基づいてラッチ回路110へラッチされる。ラッチ回路110にラッチされた信号はレベル変換回路112においてスイッチIC114を構成するスイッチ素子116を駆動可能な所定の電圧に変換される。このレベル変換回路112の出力信号によってスイッチ素子116のオンオフが制御することで、複数の波形要素の中から少なくとも1つの波形要素が選択されて打滴量が決められ、ヘッドコントローラ102から送出されるセレクト信号及びイネーブル信号によって駆動される圧電素子58(ノズル51)が選択される。
【0039】
上述した構成を有するパターン転写装置10は、基板20がレジスト塗布部12に搬送されると、ヘッド24の各ノズルから液体(レジスト溶液)が液滴として打滴され、基板20上にレジストが所定の分布に従って塗布される。続いて、レジストが塗布された基板20がパターン転写部14に搬送されると、基板20上のレジストにスタンパ26が押し当てられ、UV照射装置28からUV光が照射される。これにより、基板20上のレジストは硬化する。そして、基板20上のレジストからスタンパ26が分離(離型)されることにより、基板20上のレジストには所定の微細パターンが転写される。
【0040】
本実施形態のパターン転写装置10では、レジスト塗布部12において基板20上にレジストを塗布する際、基板20上で隣接する他の液滴のいずれとも合一しないように、離散的にレジスト溶液の塗布が行われる。
【0041】
すなわち、x方向の隣接ノズル(x方向の距離が最短となるノズル)から同じ打滴タイミングで打滴を行わないように各ノズルの打滴が制御され、y方向についても、連続する打滴タイミングでy方向の隣接ノズル(y方向の距離が最短となるノズル)から打滴を行わないように各ノズルの打滴が制御される。
【0042】
(x方向における打滴配置の説明)
次に、レジスト溶液のx方向における打滴配置(打滴ピッチ)について説明する。図7(a)〜(c)は、ノズル配置とx方向の打滴配置との関係を説明する図である。図7(a)はマトリクス配置されたノズル51(圧力室52)を模式的に表しており、図示の都合により、図2よりもノズル数を少なくしている。また、図7(b)はx方向に沿って並ぶように投影されたノズル群を表し、図7(c)はレジスト溶液(黒塗りの丸で図示)の打滴位置を表している。
【0043】
図7(a)に示すように、列方向に沿って一列に並ぶノズル51は、1つの共通流路(支流)55と連通している。例えば、図中左側のノズル群51Aは左側の共通流路55Aと連通し、図中右側のノズル群51Bは右側の共通流路55Bと連通している。また、図7(b)に示す投影ノズル群におけるノズル間ピッチ(x方向における最小ノズル間ピッチ)はPnとなっている。
【0044】
図7(c)に示すように、レジスト溶液のx方向における標準の打滴ピッチPdは、ノズル51のマトリクス配列の折り返し周期であり、Pd=(一列のノズル群に含まれるノズル数)×Pnとなっている。すなわち、同じ共通流路55と連通するノズルから同時に液滴を打滴するとクロストークが発生して、打滴量や打滴方向に変化を生じさせることがあり得る。したがって、同じ共通流路と連通するノズルから同時に打滴を行わないことで、クロストークを効果的に防止し得る。
【0045】
また、x方向の打滴ピッチPdは、x方向の最小ノズル間ピッチPnの単位で微調整ができるように構成されている。例えば、図7における左から2番目のノズル群51Bでは使用するノズルを投影ノズル群における1ノズル右のノズルに変更し、左から3番目のノズル群では使用ノズルを投影ノズル群における2ノズル右のノズルに変更する。このようにして、左からi番目のノズル群では使用するノズルを投影ノズル群における(i−1)ノズル右のノズルに変更することで、打滴ピッチPd’を標準の打滴ピッチPdよりも大きくすることができる。このようにしてレジスト溶液のx方向における打滴ピッチPdをx方向の最小ノズル間ピッチPn単位で(Pnの正の整数倍ごとに)変更することで、x方向におけるレジスト液滴の粗密を適宜変更することが可能となる。
【0046】
一方、標準の打滴ピッチPdよりも打滴ピッチを小さくする場合には、x方向の隣接打滴位置にレジスト溶液を打滴するノズルは、y方向に圧力室52が隣接していないノズルが選択される。すなわち、x方向の最小打滴ピッチPdminは、x方向の最小ノズル間ピッチPnの2倍以上となる。y方向(圧力室52の短辺方向)に隣接するノズルから同時に打滴を行うと、当該隣接ノズルと連通する二つの圧力室52を区画している壁に変形が生じて機械的なクロストークが発生する。かかるクロストークの発生は、打滴量や打滴方向の変化を生じさせることがあり得るので、y方向に隣接する隣接するノズルから同時に打滴を行わないように構成することで、当該機械的クロストークを防止し得る。
【0047】
(y方向における打滴配置の説明)
次に、y方向の打滴配置について説明する。図8は、打滴クロックと打滴タイミングとの関係を示す説明図である。y方向の最小打滴ピッチは打滴クロックの周期と基板20の搬送速度とにより決められる。本例に示すパターン転写装置10は、標準の打滴クロックの周期をさらに分割して、標準の打滴クロック間においても打滴ができるように構成されている。すなわち、標準の打滴周期は、最小打滴周期のm倍(但し、mは2以上の整数)となっており、最小打滴周期の単位で遅延時間を決めることができる。
【0048】
図8に示す例では、標準の打滴クロックの周期を3分割して、標準の打滴タイミングから1/3打滴周期遅れたタイミングと、標準の打滴タイミングから2/3打滴周期遅れたタイミングに打滴することができる。
【0049】
例えば、標準の打滴タイミングにおいて、ノズル1,2,4から打滴が実行され、ノズル1,2,4の打滴が実行されたタイミングから1/3打滴周期遅れたタイミングでノズル3の打滴が実行される。さらに、ノズル4は、標準の打滴タイミングよりも1/3打滴周期早いタイミングで2回目の打滴が実行される。
【0050】
かかる構成によれば、y方向の最小打滴ピッチ未満のピッチで、y方向の打滴ピッチを変更することができ、y方向についてもレジスト溶液の粗密を適宜変更することが可能となる。なお、ノズル1〜4の駆動波形に違いは、一回の動作におけるレジスト溶液の打滴量の違いである。図8に示す例では、ノズル1とノズル3の打滴量よりもノズル2の打滴量とノズル4の二回目の打滴量は大きく、ノズル2の打滴量とノズル4の2回目の打滴量よりもノズル4の一回目の打滴量は大きくなっている。
【0051】
この打滴ピッチの変更は、レジスト溶液の配置(塗布分布)のデータに基づいて行われる。すなわち、レジスト溶液のパターンデータに応じて、標準よりも多く液滴を必要とする場合は、打滴ピッチが小さくなるように変更され、レジスト溶液はより密に塗布される。一方、標準よりも液滴量を必要としない場合は、打滴ピッチが大きくなるように変更され、レジスト溶液はより疎に塗布される。打滴ピッチの変更に対応して、レジスト溶液の打滴量を上記のように変えてもよい。
【0052】
上記の如く構成されたパターン転写装置10によれば、レジスト液滴を打滴するノズルがマトリクス配置されたヘッドを用いて、x方向ついて最小ノズル間ピッチを超える標準の打滴ピッチにより、y方向について最小打滴周期を超える標準の打滴周期により、離散的にレジスト溶液を配置するレジスト塗布部12において、同じ打滴タイミングで打滴を行うノズルのx方向における間隔をx方向の最小ノズル間ピッチPnの単位で変更するように使用されるノズルを変更してx方向の打滴ピッチが変更され、標準の打滴タイミングから最小打滴周期の単位のディレイ時間設定することで打滴タイミングを変更してy方向の打滴ピッチが変更されるので、基板上に塗布されるレジスト溶液の粗密によりレジスト溶液の塗布量が最適化され、濡れ性の向上、残渣厚のばらつきが低減化される。
【0053】
また、x方向及びy方向について独立の打滴ピッチを変更するこができるので、一部のみについて液体の配置密度を高密度化することができる。
【0054】
さらに、複数のノズル(チャンネル)の中から選択的に打滴に使用されるノズルを切り換えるように構成されるので、ノズルの使用頻度を下げることができ、ヘッドの長寿命化が期待できる。
【0055】
なお、図2に図示したノズル配置に代わり、図9に示すノズル配置を適用してもよい。図9は、の他のマトリクス配置を示す平面図であり、レジスト溶液が打滴される面から見た図である。同図に示すヘッドモジュール224は、x方向と所定の角度γをなす行方向V、及びy方向と角度αをなす列方向Wに沿って、複数のノズル51がマトリクス状に配置されている。図3(b)に示すように、ヘッドモジュール224をx方向につなぎ合わせてフルライン型のヘッドが構成される。
【0056】
図10は、図9に示すヘッドモジュール224の内部構造を示す平面透視図である。同図に示すように、図中の列方向Wに沿うノズル群ごとに、それぞれのノズル群をはさんで供給側流路255Aと、回収側流路255Bが設けられている。列方向Wに沿って設けられた供給側流路255Aは供給側本流255Cから分岐した支流路となっており、供給側本流255Cは図示せぬ供給接続口を介して図示せぬ供給タンクに接続される。また、回収側流路255Bは、回収側本流255Dから分岐した支流路となっており、回収側本流255Dは図示せぬ接続口を介して図示せぬ回収タンクに接続される。
【0057】
図11は、ヘッドモジュール224内部の流路構造を示す断面図である。同図における符号252は圧力室、256は振動板、258は圧電素子である。図11に示すヘッドモジュール224は、圧電素子258の可動空間を確保しつつ、圧電素子258の周囲を封止するカバープレート259が具備されている。また、図示は省略するが、カバープレート259の上方に供給液室及び回収液室が形成され、それぞれ不図示の連通路を介して供給側本流255C、回収側本流255Dに連結されている。
【0058】
供給側流路255Aから個別供給路254Aを介して圧力室252へ供給されたレジスト溶液は、ノズル流路を通ってノズル251から打滴される。また、打滴されない余剰液はノズル流路から個別回収路245Bを介して回収側流路255Bに回収される。
【0059】
かかる流路構造を有するヘッドモジュール224は、2列のノズル列が1本の個別供給路を兼用する構造を有しているので、同時に打滴されるノズルのx方向の最小打滴ピッチを「4ノズル列分のx方向の距離」とすることで、同じ個別供給流路と連通するノズルから同時に打滴が行われず、クロストークを効果的に防止し得る。
【0060】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係るパターン転写装置(レジスト塗布部)について説明する。本例に示すパターン転写装置は、x方向に沿って複数のノズル351が並べられたノズル行(ノズル群)が一列だけ設けられたヘッド324を具備している。図12(a)に示すヘッド324におけるノズル351の配置ピッチはPnであり、このときのx方向における打滴ピッチPdはx方向のノズル間ピッチPnと同一である。
【0061】
ヘッド324を備えたパターン転写装置は、ヘッド324をxy平面内で回転させる回転機構を備え、図12(b)に示すように、ヘッド324をxy平面内で回転させることでx方向の打滴ピッチをPdからPd’(<Pn)へ変更できるように構成されている。ヘッド324の回転角度をδとすると、Pd’=Pn×cosδ(但し、0°<δ<90°)となる。
【0062】
図13は、2つ(複数の)ヘッドモジュール324’をx方向につなぎ合わせて1つの長尺ヘッドを構成する態様が模式的に図示されている。かかる態様では、それぞれのヘッドモジュール324’を回転させるとともに、ヘッドモジュール324’のつなぎ部分における打滴ピッチがPd’になるように、いずれかのヘッドモジュール324’をx方向にΔxだけ移動させる必要がある。もちろん、両方のヘッドをx方向に移動させてもよい。
【0063】
すなわち、複数のヘッドモジュール324’をx方向につなぎ合わせて長尺ヘッドを構成する態様では、ヘッドモジュール324’ごとにxy平面内において回転させる回転機構が備えられるとともに、隣接するヘッドモジュール間のx方向の相対的な距離を可変させるx方向移動機構が備えられる。
【0064】
y方向の打滴ピッチは、上述した打滴タイミングの変更により対応することができる。すなわち、ヘッドモジュール324’を回転させることで、y方向の打滴位置がずれてしまうので、回転によりy方向の打滴位置がずれたノズルは打滴タイミングが変更される。また、y方向の打滴ピッチを変更する場合にも打滴タイミングが変更される。
【0065】
かかる第2実施形態によれば、x方向に沿って複数のノズル351が並べられてノズル群が一つだけ設けられた構造を有するヘッド324を具備するパターン転写装置において、ヘッド324をxy平面内で回転可能に構成することで、x方向の打滴ピッチPdをx方向のノズル間ピッチPnからPn×cosδ(但し、0°<δ<90°)へ変更することが可能なり、所望のレジスト溶液の分布が実現される。したがって、基板上に塗布されるレジスト溶液の粗密によりレジスト溶液の塗布量が最適化される。
【0066】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態に係るパターン転写装置(レジスト塗布部)について説明する。本例に示すパターン転写装置は、基板のx方向の長さ(幅)に満たない短尺ヘッドを、x方向に走査させながらx方向の打滴を行うシリアル型ヘッドを備えている。
【0067】
図14は、シリアル型ヘッド424を備えたパターン転写装置410の全体構成を示す斜視図である。同図に示すパターン転写装置410は、y方向について複数のノズルがな並べられたノズル群を1つ又は複数備えたヘッド424と、ヘッド424を支持するキャリッジ423と、キャリッジ423に支持されたヘッド424をx方向に走査させるx方向移動機構425Aと、基板420をy方向に移動させるy方向移動機構425Bと、ヘッド424をxy平面内で回転させるヘッド回転機構421と、ヘッド424と基板420とをx方向及びy方向と直交するz方向へ相対的に移動させるz方向移動機構427と、ヘッド424と基板420が接触しないようにヘッド424のz方向における位置を規制するストッパー429と、を備えている。ヘッド424のノズル配列は、図11に図示したヘッド324と同一であり、図11のx方向とy方向と入れ換えた関係となっている。
【0068】
図14に示すパターン転写装置410は、x方向にヘッド424を走査させながら基板420のx方向についてレジスト溶液の打滴が実行され、1回のx方向への打滴が終了すると、基板420をy方向へ所定量(1回のx方向への打滴によりレジスト溶液を塗布可能な領域のy方向における長さ)移動させて、次の領域についてx方向の打滴が実行される。この動作を繰り返して基板420の全面にわたってレジスト溶液が塗布される。
【0069】
また、y方向の打滴ピッチを変更するときはヘッド424を所定量回転させる。なお、基板420をxy平面内で回転させる基板回転機構を備え、ヘッド424を回転させる代わりに基板420を回転させてもよい。
【0070】
図15は、2つの短尺ヘッド424A,424Bを備えた場合のヘッド部分を取り出して図示した斜視図である。かかる構成は、図14に示す構成に第2のヘッド424Bを含む構成を付加したものである。すなわち、第1のヘッド424Aは第1のキャリッジ423Aに支持され、第1のヘッド424Aをxy平面内で回転させる第1のヘッド回転機構421Aを備えている。また、第2のヘッド424Bは、第2のキャリッジ423Bに支持され、y方向移動機構422によりy方向に移動可能に構成され、第2のヘッド回転機構421Bによりxy平面内で回転可能に構成されている。すなわち、図15に示す構成は、図13に示す構成に対応しており、図13中上側のヘッドモジュール324’は第1のヘッド424Aに対応し、下側のヘッドモジュール324’は第2のヘッド424Bに対応している。
【0071】
図14及び図15に示した構成は、打滴タイミングを変更することでx方向の打滴ピッチを変更することができる。打滴タイミングの変更は図6に示した駆動信号生成部100を適用可能である。なお、図6に示した駆動信号生成部100は、ノズルごとに駆動波形を準備する必要がなく、ヘッド全体(複数のヘッドモジュールを備える態様ではヘッドモジュール全体)に共通の駆動波形を準備すればよいので、駆動波形を記憶しておくメモリを大幅に節約することができる。一方、図6に示す駆動信号生成部100は打滴クロックの周期を短くするには限界がある。
【0072】
そこで、本例のようにノズルが少ない場合には、ノズルごとに駆動波形を準備しておき、ノズルごとの駆動波形にディレイデータを付加するように構成することで、高速化を図ることが可能となる。
【0073】
図16は、高速化を狙った駆動信号生成部400の概略構成を示すブロック図である。同図に示す駆動信号生成部400は、ノズルごとの駆動波形を生成する波形生成部404と、x方向の打滴ピッチを変更する際のディレイ時間をノズルごとに算出するディレイデータ生成部405と、ディレイデータ生成部405により生成されたディレイ時間を駆動波形データに加算する加算部407と、デジタル形式の駆動波形データをアナログ形式に変換するD/Aコンバータ409と、アナログ形式の駆動波形に電圧増幅処理及び電流増幅処理を施す増幅部406と、を備えている。
【0074】
打滴データに基づいて、スイッチIC414のスイッチ素子416をオンオフさせることで各ノズルに対応する圧電素子58を動作させると、所望のノズルからレジスト溶液が打滴される。かかる構成は、ノズルごと(チャンネルごと)に駆動波形とディレイ時間を持っているので、図6に図示した構成よりも打滴周期を短くすることが可能である。
【0075】
また、図17に示すように複数のアナログ波形(WAVE1〜3)を準備しておき、イネーブル信号によって複数のアナログ波形の中から1つを選択するように構成してもよい。
【0076】
かかる構成を有する第3実施形態では、y方向に沿って並べられたノズルの一部のみを使用し、走査ごとに使用されるノズルを切り換えることが可能である。かかるノズルの選択切換は上述した制御系におけるノズル切換を利用することができる。このように、複数のノズルの中から一部のノズルのみを使用し、かつ、使用されるノズルを順次切り換えることで、ヘッドの寿命をより長くすることができる。
【0077】
なお、本例では、レジスト溶液によるパターンを形成するためのパターン転写装置を例に挙げて説明したが、本発明は、インクジェット方式により基板上にレジスト溶液を離散的に配置して、基板上にレジスト溶液による所定の分布を形成する液体塗布装置として構成することも可能である。
【0078】
以上、本発明のパターン転写装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよい。
【0079】
<付記>
上記に詳述した実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書では以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
【0080】
(発明1):基板上に機能性を有する液体を打滴するための複数のノズルを具備するヘッドと、前記基板と前記ヘッドとを相対的に移動させる相対移動手段と、所定の打滴周期で前記ヘッドを動作させて前記液体を前記基板上に離散的に着弾させる打滴制御手段と、前記相対移動手段の移動方向と直交するx方向について、前記基板上の打滴間隔を可変させるx方向打滴間隔可変手段と、前記相対移動手段の移動方向と平行のy方向について、前記基板上の打滴間隔を可変させるy方向打滴間隔可変手段と、を備えたことを特徴とする。
【0081】
本発明によれば、複数のノズルを具備するヘッドと前記基板とを相対的に移動させ、所定の打滴周期で前記ヘッドを動作させて前記基板上に機能性を有する液体を離散的に着弾させる液体塗布装置において、x方向の打滴間隔を可変させるx方向打滴間隔可変手段と、y方向の打滴間隔を可変させるy方向打滴間隔可変手段と、を備えたので、該液体の打滴間隔をx方向及びy方向のそれぞれについて変更することができ、該基板上における液体の配置の最適化が可能である。
【0082】
本発明における「機能性を有する液体」とは、基板上に微細パターンを形成し得る機能性材料の成分を含有する液体であり、その一例としてレジスト溶液が挙げられる。
【0083】
本発明におけるヘッドの一例として、ノズルと連通する液室と、液室内の液を加圧する加圧手段と、液室へ液体を供給する供給流路と、液室と供給流路との間に設けられる供給口(絞り部)と、を具備する態様が挙げられる。
【0084】
(発明2):発明1に記載の液体塗布装置において、前記ヘッドは、前記x方向に沿う行方向及び前記x方向と角度θをなす斜めの列方向、又は前記x方向と所定の角度γ(但し、0<γ<90°)をなす方向に沿う行方向及び前記y方向と所定の角度α(但し、0<α<90°)をなす方向に沿う列方向について前記複数のノズルがマトリクス状に並べられた構造を有し、前記打滴制御手段は、前記x方向打滴間隔可変手段を含み、前記x方向打滴間隔可変手段は、使用されるノズルを切り換えて、前記複数のノズルを前記x方向に並ぶように投影した投影ノズル群におけるノズル間隔のn倍(但し、nは正の整数)の単位で、基板上のx方向における打滴間隔を可変させることを特徴とする。
【0085】
かかる態様によれば、x方向について使用されるノズルを切り換えることで打滴ピッチを変更することができ、液体の配置が最適化される。
【0086】
かかる態様において、x方向について打滴配置を離散的にする態様として、ノズルのマトリクス配置の折り返しピッチをx方向の標準の打滴ピッチとする態様が挙げられる。
【0087】
(発明3):発明1又は2に記載の液体塗布装置において、前記複数のノズルのそれぞれと連通する液室に液を供給する供給流路を複数備え、前記打滴制御手段は、同一の打滴タイミングで、異なる供給流路から液の供給を受ける液室と連通するノズルから液体を打滴するように前記ヘッドを動作させることを特徴とする。
【0088】
かかる態様によれば、同一のタイミングで駆動されるノズルにおけるクロストークが防止され、好ましい液体の打滴が実行される。
【0089】
(発明4):発明1乃至3のいずれかに記載の液体塗布装置において、前記打滴制御手段は、同一の打滴タイミングで、x方向の最小ノズル間隔を超えるx方向の間隔を有する複数のノズルから液体を打滴するように前記ヘッドを動作させることを特徴とする。
【0090】
かかる態様によれば、x方向の最隣接ノズルから同時に打滴を行わないことで、機械的なクロストークが防止され、好ましい液体の打滴が実行される。
【0091】
(発明5):発明1に記載の液体塗布装置において、前記ヘッドは、x方向に前記複数のノズルが並べられた構造を有し、前記x方向打滴間隔可変手段は、前記ヘッドをxy平面内で回転させる回転手段を含むことを特徴とする。
【0092】
かかる態様によれば、x方向に沿って複数のノズルが並べられたノズル群が1つのみでも、ヘッドをxy平面内で回転させることでx方向の打滴間隔を変更することができる。
【0093】
(発明6):発明1に記載の液体塗布装置において、前記ヘッドは、x方向に前記複数のノズルが並べられた構造を有するサブヘッドをx方向につなげた構造を有し、前記x方向打滴間隔可変手段は、前記サブヘッドのそれぞれをxy平面内で回転させるサブヘッド回転手段と、各サブヘッドの少なくとも1つをx方向に移動させるx方向移動手段とを含むことを特徴とする。
【0094】
複数のサブヘッドをx方向につなぎ合わせた構造を有するヘッドでは、各サブヘッドを回転させることで、1つのサブヘッド内におけるx方向の打滴間隔を変更することができ、さらにサブヘッド間のx方向における位置を調整することで、ヘッド全体としてx方向の打滴間隔を調整し得る。
【0095】
(発明7):発明1乃至6のいずれかに記載の液体塗布装置において、前記打滴制御手段は、前記基板上に液滴を離散的に着弾させるように最小打滴周期のm倍以上(但し、mは2以上の整数)の周期で前記ヘッドを動作させるとともに、前記y方向打滴制御手段を含み、前記y方向打滴間隔可変手段は、最小打滴周期以上、最小打滴周期の(m−1)倍以下の遅延時間を最小打滴周期を最小単位として生成する遅延時間生成手段を含み、前記遅延時間生成手段により生成された遅延時間を用いて前記ヘッドの駆動タイミングを遅らせて、y方向における打滴間隔を前記最小打滴周期の単位で可変させることを特徴とする。
【0096】
かかる態様によれば、打滴制御によってy方向の打滴間隔を最小打滴周期の単位で可変させることができ、好ましい液体の配置が実現される。
【0097】
(発明8):発明1に記載の液体塗布装置において、前記ヘッドをx方向に走査させる走査手段と、前記相対移動手段は、y方向に前記ヘッドと前記基板とを相対的に移動させ、前記ヘッドは、y方向に沿って複数のノズルが並べられたノズル群を少なくとも1つ具備し、前記y方向打滴間隔可変手段は、前記ヘッドをxy内で回転させる回転手段を含むことを特徴とする。
【0098】
かかるシリアル方式では、ヘッドを平面内で回転させることでx方向の打滴間隔を変更することができ、好ましい液体の配置が実現される。
【0099】
y方向に沿って並べられた複数のノズルの中から一部のノズルを選択し、該選択されるノズルをx方向の走査ごとに切り換えるように構成すると、ノズルの使用頻度を下げることができ、ヘッドの長寿命化を実現し得る。
【0100】
(発明9):発明8に記載の液体塗布装置において、前記ヘッドは、y方向に前記複数のノズルが並べられた構造を有するサブヘッドをy方向につなげた構造を有し、前記y方向打滴間隔可変手段は、前記サブヘッドのそれぞれをxy平面内で回転させるサブヘッド回転手段と、各サブヘッドの少なくとも1つをy方向に移動させるy方向移動手段とを含むことを特徴とする。
【0101】
かかる態様において、複数のサブヘッドの一部をy方向に移動させてもよいし、複数のサブヘッドのすべてをy方向に移動させてもよい。
【0102】
(発明10):発明8又は9に記載の液体塗布装置において、前記打滴制御手段は、前記基板上に液滴を離散的に着弾させるように最小打滴周期のm倍以上(但し、mは2以上の整数)の周期で前記ヘッドを動作させるとともに、前記x方向打滴制御手段を含み、前記x方向打滴間隔可変手段は、最小打滴周期以上最小打滴周期の(m−1)倍以下の遅延時間を最小打滴周期の単位で生成する遅延時間生成手段を含み、前記x方向打滴間隔可変手段により遅延時間を用いて前記ヘッドの駆動タイミングを遅らせて、x方向における打滴間隔を前記最小打滴周期の単位で可変させることを特徴とする。
【0103】
かかる態様によれば、シリアル方式において、打滴制御によってx方向の打滴間隔を最小打滴周期の単位で可変させることができ、好ましい液体の配置が実現される。
【0104】
(発明11):基板上に機能性を有する液体を打滴するための複数のノズルを具備するヘッドと前記基板とを相対的に移動させ、所定の打滴周期で前記ヘッドを動作させて前記基板上に前記液体を離散的に着弾させる液体塗布方法において、前記相対移動方向と直交するx方向について、前記基板上の打滴間隔を可変させるx方向打滴間隔可変工程と、前記相対方向と平行のy方向について、前記基板上の打滴間隔を可変させるy方向打滴間隔可変工程と、を含むことを特徴とする液体塗布方法。
【0105】
マトリクス配置されたヘッドを用いる場合には、x方向について数ノズルおきのノズルを同時に駆動させてx方向について液体を離散的に配置させる態様が好ましい。
【0106】
(発明12):基板上に機能性を有する液体を打滴するための複数のノズルを具備するヘッドと、前記基板と前記ヘッドとを相対的に移動させる相対移動手段と、所定の打滴周期で前記ヘッドを動作させて前記液体を前記基板上に離散的に着弾させる打滴制御手段と、前記相対移動手段の移動方向と直交するx方向について、前記基板上の打滴間隔を可変させるx方向打滴間隔可変手段と、前記相対移動手段の移動方向と平行のy方向について、前記基板上の打滴間隔を可変させるy方向打滴間隔可変手段と、前記基板に塗布された液体を硬化させる硬化手段と、前記硬化手段により硬化させた液体、又は前記硬化手段により硬化させている途中の液体に凹凸パターンが形成された型を押し当てて、当該凹凸パターンを転写する転写手段と、を備えたことを特徴とするインプリント装置。
【0107】
本発明によれば、x方向及びy方向について独立して液体の打滴間隔を変更することができるので、液滴の配置が最適化される。したがって、濡れ性の向上し、かつ、残渣厚のばらつきが低減化され、基板上に好ましい微細パターンを形成し得る。
【0108】
本発明は、サブミクロンの微細パターンを形成するナノインプリントリソグラフィに特に好適である。
【符号の説明】
【0109】
10,410…パターン転写装置、12…レジスト塗布部、14…パターン転写部、20…基板、22…搬送部、224,324,424…ヘッド、26…スタンパ、51,251…ノズル、72…システムコントローラ、80…打滴制御部、100,400…駆動信号生成部、421…ヘッド回転機構、422…y方向移動機構、423…キャリッジ、425A…x方向移動機構、425B…y方向移動機構、427…z方向移動機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に機能性を有する液体を打滴するための複数のノズルを具備するヘッドと、
前記基板と前記ヘッドとを相対的に移動させる相対移動手段と、
所定の打滴周期で前記ヘッドを動作させて前記液体を前記基板上に離散的に着弾させる打滴制御手段と、
前記相対移動手段の移動方向と直交するx方向について、前記基板上の打滴間隔を可変させるx方向打滴間隔可変手段と、
前記相対移動手段の移動方向と平行のy方向について、前記基板上の打滴間隔を可変させるy方向打滴間隔可変手段と、
を備えたことを特徴とする液体塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体塗布装置において、
前記ヘッドは、前記x方向に沿う行方向及び前記x方向と角度θをなす斜めの列方向、又は前記x方向と所定の角度γ(但し、0<γ<90°)をなす方向に沿う行方向及び前記y方向と所定の角度α(但し、0<α<90°)をなす方向に沿う列方向について前記複数のノズルがマトリクス状に並べられた構造を有し、
前記打滴制御手段は、前記x方向打滴間隔可変手段を含み、
前記x方向打滴間隔可変手段は、使用されるノズルを切り換えて、前記複数のノズルを前記x方向に並ぶように投影した投影ノズル群におけるノズル間隔のn倍(但し、nは正の整数)の単位で、基板上のx方向における打滴間隔を可変させることを特徴とする液体塗布装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液体塗布装置において、
前記複数のノズルのそれぞれと連通する液室に液を供給する供給流路を複数備え、
前記打滴制御手段は、同一の打滴タイミングで、異なる供給流路から液の供給を受ける液室と連通するノズルから液体を打滴するように前記ヘッドを動作させることを特徴とする液体塗布装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の液体塗布装置において、
前記打滴制御手段は、同一の打滴タイミングで、x方向の最小ノズル間隔を超えるx方向の間隔を有する複数のノズルから液体を打滴するように前記ヘッドを動作させることを特徴とする液体塗布装置。
【請求項5】
請求項1に記載の液体塗布装置において、
前記ヘッドは、x方向に前記複数のノズルが並べられた構造を有し、
前記x方向打滴間隔可変手段は、前記ヘッドをxy平面内で回転させる回転手段を含むことを特徴とする液体塗布装置。
【請求項6】
請求項1に記載の液体塗布装置において、
前記ヘッドは、x方向に前記複数のノズルが並べられた構造を有するサブヘッドをx方向につなげた構造を有し、
前記x方向打滴間隔可変手段は、前記サブヘッドのそれぞれをxy平面内で回転させるサブヘッド回転手段と、各サブヘッドの少なくとも1つをx方向に移動させるx方向移動手段とを含むことを特徴とする液体塗布装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の液体塗布装置において、
前記打滴制御手段は、前記基板上に液滴を離散的に着弾させるように最小打滴周期のm倍以上(但し、mは2以上の整数)の周期で前記ヘッドを動作させるとともに、前記y方向打滴制御手段を含み、
前記y方向打滴間隔可変手段は、最小打滴周期以上、最小打滴周期の(m−1)倍以下の遅延時間を、最小打滴周期を最小単位として生成する遅延時間生成手段を含み、前記遅延時間生成手段により生成された遅延時間を用いて前記ヘッドの駆動タイミングを遅らせて、y方向における打滴間隔を前記最小打滴周期の単位で可変させることを特徴とする液体塗布装置。
【請求項8】
請求項1に記載の液体塗布装置において、
前記ヘッドをx方向に走査させる走査手段と、
前記相対移動手段は、y方向に前記ヘッドと前記基板とを相対的に移動させ、
前記ヘッドは、y方向に沿って複数のノズルが並べられたノズル群を少なくとも1つ具備し、
前記y方向打滴間隔可変手段は、前記ヘッドをxy平面内で回転させる回転手段を含むことを特徴とする液体塗布装置。
【請求項9】
請求項8に記載の液体塗布装置において、
前記ヘッドは、y方向に前記複数のノズルが並べられた構造を有するサブヘッドをy方向につなげた構造を有し、
前記y方向打滴間隔可変手段は、前記サブヘッドのそれぞれをxy平面内で回転させるサブヘッド回転手段と、各サブヘッドの少なくとも1つをy方向に移動させるy方向移動手段とを含むことを特徴とする液体塗布装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の液体塗布装置において、
前記打滴制御手段は、前記基板上に液滴を離散的に着弾させるように最小打滴周期のm倍以上(但し、mは2以上の整数)の周期で前記ヘッドを動作させるとともに、前記x方向打滴制御手段を含み、
前記x方向打滴間隔可変手段は、最小打滴周期以上最小打滴周期の(m−1)倍以下の遅延時間を最小打滴周期の単位で生成する遅延時間生成手段を含み、
前記x方向打滴間隔可変手段により遅延時間を用いて前記ヘッドの駆動タイミングを遅らせて、x方向における打滴間隔を前記最小打滴周期の単位で可変させることを特徴とする液体塗布装置。
【請求項11】
基板上に機能性を有する液体を打滴するための複数のノズルを具備するヘッドと前記基板とを相対的に移動させ、所定の打滴周期で前記ヘッドを動作させて前記基板上に前記液体を離散的に着弾させる液体塗布方法において、
前記相対移動方向と直交するx方向について、前記基板上の打滴間隔を可変させるx方向打滴間隔可変工程と、
前記相対方向と平行のy方向について、前記基板上の打滴間隔を可変させるy方向打滴間隔可変工程と、
を含むことを特徴とする液体塗布方法。
【請求項12】
基板上に機能性を有する液体を打滴するための複数のノズルを具備するヘッドと、
前記基板と前記ヘッドとを相対的に移動させる相対移動手段と、
所定の打滴周期で前記ヘッドを動作させて前記液体を前記基板上に離散的に着弾させる打滴制御手段と、
前記相対移動手段の移動方向と直交するx方向について、前記基板上の打滴間隔を可変させるx方向打滴間隔可変手段と、
前記相対移動手段の移動方向と平行のy方向について、前記基板上の打滴間隔を可変させるy方向打滴間隔可変手段と、
前記基板に塗布された液体を硬化させる硬化手段と、
前記硬化手段により硬化させた液体、又は前記硬化手段により硬化させている途中の液体に凹凸パターンが形成された型を押し当てて、当該凹凸パターンを転写する転写手段と、
を備えたことを特徴とするインプリントシステム。
【請求項1】
基板上に機能性を有する液体を打滴するための複数のノズルを具備するヘッドと、
前記基板と前記ヘッドとを相対的に移動させる相対移動手段と、
所定の打滴周期で前記ヘッドを動作させて前記液体を前記基板上に離散的に着弾させる打滴制御手段と、
前記相対移動手段の移動方向と直交するx方向について、前記基板上の打滴間隔を可変させるx方向打滴間隔可変手段と、
前記相対移動手段の移動方向と平行のy方向について、前記基板上の打滴間隔を可変させるy方向打滴間隔可変手段と、
を備えたことを特徴とする液体塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体塗布装置において、
前記ヘッドは、前記x方向に沿う行方向及び前記x方向と角度θをなす斜めの列方向、又は前記x方向と所定の角度γ(但し、0<γ<90°)をなす方向に沿う行方向及び前記y方向と所定の角度α(但し、0<α<90°)をなす方向に沿う列方向について前記複数のノズルがマトリクス状に並べられた構造を有し、
前記打滴制御手段は、前記x方向打滴間隔可変手段を含み、
前記x方向打滴間隔可変手段は、使用されるノズルを切り換えて、前記複数のノズルを前記x方向に並ぶように投影した投影ノズル群におけるノズル間隔のn倍(但し、nは正の整数)の単位で、基板上のx方向における打滴間隔を可変させることを特徴とする液体塗布装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液体塗布装置において、
前記複数のノズルのそれぞれと連通する液室に液を供給する供給流路を複数備え、
前記打滴制御手段は、同一の打滴タイミングで、異なる供給流路から液の供給を受ける液室と連通するノズルから液体を打滴するように前記ヘッドを動作させることを特徴とする液体塗布装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の液体塗布装置において、
前記打滴制御手段は、同一の打滴タイミングで、x方向の最小ノズル間隔を超えるx方向の間隔を有する複数のノズルから液体を打滴するように前記ヘッドを動作させることを特徴とする液体塗布装置。
【請求項5】
請求項1に記載の液体塗布装置において、
前記ヘッドは、x方向に前記複数のノズルが並べられた構造を有し、
前記x方向打滴間隔可変手段は、前記ヘッドをxy平面内で回転させる回転手段を含むことを特徴とする液体塗布装置。
【請求項6】
請求項1に記載の液体塗布装置において、
前記ヘッドは、x方向に前記複数のノズルが並べられた構造を有するサブヘッドをx方向につなげた構造を有し、
前記x方向打滴間隔可変手段は、前記サブヘッドのそれぞれをxy平面内で回転させるサブヘッド回転手段と、各サブヘッドの少なくとも1つをx方向に移動させるx方向移動手段とを含むことを特徴とする液体塗布装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の液体塗布装置において、
前記打滴制御手段は、前記基板上に液滴を離散的に着弾させるように最小打滴周期のm倍以上(但し、mは2以上の整数)の周期で前記ヘッドを動作させるとともに、前記y方向打滴制御手段を含み、
前記y方向打滴間隔可変手段は、最小打滴周期以上、最小打滴周期の(m−1)倍以下の遅延時間を、最小打滴周期を最小単位として生成する遅延時間生成手段を含み、前記遅延時間生成手段により生成された遅延時間を用いて前記ヘッドの駆動タイミングを遅らせて、y方向における打滴間隔を前記最小打滴周期の単位で可変させることを特徴とする液体塗布装置。
【請求項8】
請求項1に記載の液体塗布装置において、
前記ヘッドをx方向に走査させる走査手段と、
前記相対移動手段は、y方向に前記ヘッドと前記基板とを相対的に移動させ、
前記ヘッドは、y方向に沿って複数のノズルが並べられたノズル群を少なくとも1つ具備し、
前記y方向打滴間隔可変手段は、前記ヘッドをxy平面内で回転させる回転手段を含むことを特徴とする液体塗布装置。
【請求項9】
請求項8に記載の液体塗布装置において、
前記ヘッドは、y方向に前記複数のノズルが並べられた構造を有するサブヘッドをy方向につなげた構造を有し、
前記y方向打滴間隔可変手段は、前記サブヘッドのそれぞれをxy平面内で回転させるサブヘッド回転手段と、各サブヘッドの少なくとも1つをy方向に移動させるy方向移動手段とを含むことを特徴とする液体塗布装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の液体塗布装置において、
前記打滴制御手段は、前記基板上に液滴を離散的に着弾させるように最小打滴周期のm倍以上(但し、mは2以上の整数)の周期で前記ヘッドを動作させるとともに、前記x方向打滴制御手段を含み、
前記x方向打滴間隔可変手段は、最小打滴周期以上最小打滴周期の(m−1)倍以下の遅延時間を最小打滴周期の単位で生成する遅延時間生成手段を含み、
前記x方向打滴間隔可変手段により遅延時間を用いて前記ヘッドの駆動タイミングを遅らせて、x方向における打滴間隔を前記最小打滴周期の単位で可変させることを特徴とする液体塗布装置。
【請求項11】
基板上に機能性を有する液体を打滴するための複数のノズルを具備するヘッドと前記基板とを相対的に移動させ、所定の打滴周期で前記ヘッドを動作させて前記基板上に前記液体を離散的に着弾させる液体塗布方法において、
前記相対移動方向と直交するx方向について、前記基板上の打滴間隔を可変させるx方向打滴間隔可変工程と、
前記相対方向と平行のy方向について、前記基板上の打滴間隔を可変させるy方向打滴間隔可変工程と、
を含むことを特徴とする液体塗布方法。
【請求項12】
基板上に機能性を有する液体を打滴するための複数のノズルを具備するヘッドと、
前記基板と前記ヘッドとを相対的に移動させる相対移動手段と、
所定の打滴周期で前記ヘッドを動作させて前記液体を前記基板上に離散的に着弾させる打滴制御手段と、
前記相対移動手段の移動方向と直交するx方向について、前記基板上の打滴間隔を可変させるx方向打滴間隔可変手段と、
前記相対移動手段の移動方向と平行のy方向について、前記基板上の打滴間隔を可変させるy方向打滴間隔可変手段と、
前記基板に塗布された液体を硬化させる硬化手段と、
前記硬化手段により硬化させた液体、又は前記硬化手段により硬化させている途中の液体に凹凸パターンが形成された型を押し当てて、当該凹凸パターンを転写する転写手段と、
を備えたことを特徴とするインプリントシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−194278(P2011−194278A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60919(P2010−60919)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]