液処理装置および液処理方法
【課題】 制御が容易で基板の搬送を簡単に行うことができ、また、従来の基板よりも大型の基板の液処理を行うための装置構成部材の仕様変更によって生ずる装置の大型化を抑制した液処理装置を提供する。
【解決手段】 ウエハWがロータ34に収納された状態で、Z軸リニア駆動機構29により、ロータ回転機構27および姿勢変換機構28を連結点Pが位置P2に移動するように上昇させ、位置P2においては、姿勢変換機構28を動作させて、ウエハWが水平保持から垂直保持の状態になるようにロータ回転機構27全体を90°回転させ、横姿勢の状態とする。次に、ロータ回転機構27全体が横姿勢の状態のまま、連結点Pが位置P3に移動するように、再びZ軸リニア駆動機構29を動作させてロータ回転機構27を上昇させる。連結点Pが位置P3に到達したら、次に、X軸リニア駆動機構30を動作させて、連結点Pの位置を位置P4まで水平移動させる。
【解決手段】 ウエハWがロータ34に収納された状態で、Z軸リニア駆動機構29により、ロータ回転機構27および姿勢変換機構28を連結点Pが位置P2に移動するように上昇させ、位置P2においては、姿勢変換機構28を動作させて、ウエハWが水平保持から垂直保持の状態になるようにロータ回転機構27全体を90°回転させ、横姿勢の状態とする。次に、ロータ回転機構27全体が横姿勢の状態のまま、連結点Pが位置P3に移動するように、再びZ軸リニア駆動機構29を動作させてロータ回転機構27を上昇させる。連結点Pが位置P3に到達したら、次に、X軸リニア駆動機構30を動作させて、連結点Pの位置を位置P4まで水平移動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハやLCD基板等の各種基板に対して所定の液処理や乾燥処理を施す液処理装置および液処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体デバイスの製造工程においては、基板としての半導体ウエハ(ウエハ)を所定の薬液や純水等の洗浄液によって洗浄し、ウエハからパーティクル、有機汚染物、金属不純物等のコンタミネーションを除去するウエハ洗浄装置や、窒素(N2)ガス等の不活性ガスや揮発性および親水性の高いIPA蒸気等によってウエハから液滴を取り除いてウエハを乾燥させるウエハ乾燥装置が使用されている。
【0003】
このような洗浄・乾燥装置としては、複数枚のウエハをバッチ式に処理するものが知られており、例えば、複数枚のウエハがその主面が略平行になるようにして収納された容器を洗浄・乾燥装置の所定位置に載置し、搬送機構を用いて容器内の複数のウエハを同時に取り出して、ウエハを保持する基板保持手段に移し替え、チャンバ内において基板保持手段に保持された基板に所定の液処理と乾燥処理を施した後に、再び搬送機構を用いて容器へウエハを搬送するという作業が行われる。
【0004】
例えば、図12に示すように、ウエハ洗浄室201を形成する処理チャンバ202を有し、ウエハWを保持可能かつ回転可能に設けられたロータ205を処理チャンバ202の前方側に形成されたウエハ搬入出口203から進退可能とし、ロータ205を処理チャンバ202から進出させた状態で、ロータ205と搬送アームのウエハチャック209a・209bとの間でウエハWの受け渡しが可能となっている構造を有するウエハ洗浄装置200が知られている。なお、図12における参照符号207はロータ205を進出退避させ回転させる駆動機構、208は回転軸、204は処理チャンバ202の蓋、206はロータ205の保持部材である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図12に示したウエハ洗浄装置200では、ウエハチャック209a・209bとロータ205の保持部材206とが互いに衝突しないように制御しなければならないことから、動作プログラム等が複雑なものとなってしまう問題がある。
【0006】
また、近年、半導体デバイスの微細高集積化や量産化に対応して、ウエハの大きさについては200mmφから300mmφへの大口径化が進んでおり、これに伴って、ウエハを保存、搬送等する収納容器としては、200mmφのウエハの場合にはウエハを立設状態で収納する収納容器が用いられていたが、300mmφウエハの場合には、大きさおよび重量が嵩むために、ウエハを水平状態で収納する収納容器が用いられるようになってきている。
【0007】
しかしながら、ウエハの液処理そのものは、従来と同様にウエハをほぼ垂直な状態として行うことが好ましい。従って、ウエハ洗浄装置200に限らず、従来、ウエハをほぼ垂直な状態に保持して搬送を行っていた装置においては、ウエハを水平状態と立設状態との間で姿勢変換する姿勢変換機構等を設けなければならなくなり、このためにウエハの搬送機構が複雑化するといった問題や、ウエハを取り扱う機構間でウエハを移し替える回数が増加することによってウエハの汚染や損傷が生じやすくなるといった問題が生ずる。
【0008】
また、従来の液処理装置の構造を変えることなく、ウエハの大きさに適合させてウエハを取り扱う各部の機構、部材等を大型化すると、液処理装置全体の大型化は避けられない。そのために、装置の構成を改良することによって、装置の大型化をできる限り抑制することが大きく望まれている。
【0009】
本発明はこのような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、制御が容易で、基板の搬送を簡単に行うことができる液処理装置を提供することを目的とする。また、本発明は、従来の基板よりも大型の基板の液処理を行うための装置構成部材の仕様変更によって生ずる装置の大型化を抑制した液処理装置を提供することを目的とする。さらに本発明は、このような液処理装置を用いた処理効率に優れた液処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点は、複数の基板を回転させながら所定の処理液を供給して液処理を行う液処理装置であって、
複数の基板を所定の間隔で略平行に保持する保持手段と、
前記保持手段に保持された基板を面内回転させるように前記保持手段を回転させる回転手段と、
前記保持手段および保持された複数の基板を収容するチャンバと、
前記保持手段を前記チャンバに進入/退出させるために前記チャンバに形成された搬入出口を閉塞する蓋体と、
基板を立設状態で保持した前記保持手段を前記チャンバに進入、退出させる基板移動機構と、
を具備し、
前記保持手段と前記回転手段と前記蓋体とは一体構造をなし、
前記基板移動機構は、
前記保持手段に保持された基板が水平状態または立設状態で維持されるように前記チャンバの外部において前記保持手段の姿勢を変換する姿勢変換機構と、
前記保持手段と前記姿勢変換機構とを高さ方向に移動させる昇降機構と、
前記保持手段と前記姿勢変換機構と前記昇降機構とを水平方向に移動させる水平移動機構と、
を有することを特徴とする液処理装置を提供する。
【0011】
また、本発明の第2の観点は、基板に所定の処理液を供給して液処理を行う液処理方法であって、
複数の基板を所定間隔で保持可能なロータに、所定枚数の基板を略水平姿勢で保持させる工程と、
前記ロータを上昇させながら、前記ロータに保持された前記所定枚数の基板が略立設状態となるように、前記ロータの姿勢を変換する工程と、
前記所定枚数の基板を略立設状態で保持したロータを水平方向にスライドさせて、前記ロータを処理チャンバに収容する工程と、
前記処理チャンバに収容されたロータを回転させながら、前記ロータに保持された基板に所定の処理液を供給して液処理を行う工程と、
を有することを特徴とする液処理方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の液処理装置によれば、基板を保持する保持手段と保持手段を回転させる回転手段と保持手段に保持された基板の液処理を行うチャンバを閉塞する蓋体とを一体的な構造としたことによって、液処理を行うチャンバ内への保持手段の進入、退出の制御が容易となるという効果が得られる。また、水平状態で基板が収納された容器と保持手段との間で基板の姿勢変換を行う機構を設ける必要がないために、基板の搬送過程を簡単なものとすることができる。これによって、基板に対しては機構間の移し替えによる損傷やパーティクル等の付着といった汚染を抑制して歩留まりを高めて品質を高く保持することが可能となるという効果が得られ、また、液処理装置内の構造を簡単なものとして液処理装置を小型化することができるという効果が得られる。
【0013】
さらに、基板を保持する保持手段を基板が水平状態または立設状態で保持できるように姿勢変換するという従来は行われていなかった方法を採用することによって、従来の液処理装置を大面積基板に対応させて単純に大型化した場合と比較すると、液処理装置全体の大型化を抑制して、コンパクトな液処理装置を実現することが可能となるという効果が得られる。
【0014】
なお、基板を保持する保持手段をチャンバ内に挿入した状態で、保持手段と回転手段とを連結する枢軸の周りをクランプレバーとクランプ受けにより固定、保持することにより、枢軸のぶれや振動を抑制して保持手段を安定に回転させることができ、こうして均質な液処理が可能となるという効果が得られ、また、保持部材や蓋体等に掛かる応力が低減されて、部品寿命が長期化されるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について具体的に説明する。本発明の液処理装置は、例えば、各種基板を被処理体とする洗浄処理装置や乾燥処理装置等に適用できる。そこで、本実施形態においては、半導体ウエハ(ウエハ)の搬入、洗浄、乾燥、搬出をバッチ式に一貫して行うように構成された洗浄処理装置に適用した場合について説明することとする。
【0016】
図1は本実施形態に係る洗浄処理装置1の外観を示す斜視図である。図1に示されるように、洗浄処理装置1は、複数枚のウエハWを収納可能なフープ(収納容器)Fを載置するためのフープステージ2a〜2cが設けられたフープ搬入出部2と、ウエハWに対して洗浄処理を実施する洗浄処理ユニット3と、フープ搬入出部2と洗浄処理ユニット3との間に設けられ、ウエハWの搬送を行うウエハ搬送ユニット4と、洗浄処理のための薬液を貯蔵等する薬液貯蔵ユニット5と、から主に構成されている。
【0017】
また、洗浄処理装置1に配設された各種の電動駆動機構や電子制御装置のための電源ボックス6と洗浄処理装置1を構成する各ユニットの温度制御を行うための温度制御ボックス7が洗浄処理ユニット3の上部に設けられており、ウエハ搬送ユニット4の上部には、洗浄処理装置1に設けられた各種の表示パネルを制御する表示ボックス9と、ウエハ搬送ユニット4に配設されたウエハ搬送機構16の制御装置が収納された搬送機構制御ボックス10が設けられている。また、薬液貯蔵ユニット5の上部には各ボックスからの熱排気を集めて排気する熱排気ボックス8が設けられている。
【0018】
図2に洗浄処理装置1の概略平面図を、図3に洗浄処理装置1の概略側面図を、図4に図3の概略側面図において一部の駆動機構を駆動させた状態を示した概略側面図をそれぞれ示す。ここで、図2〜図4においては、フープ搬入出部2、洗浄処理ユニット3、ウエハ搬送ユニット4、薬液貯蔵ユニット5のみを示し、洗浄処理ユニット3、ウエハ搬送ユニット4、薬液貯蔵ユニット5の上部に配設された電源ボックス6その他各種のボックス部については図示していない。また、後述するように、洗浄処理ユニット3は搬送部3aと洗浄部3bとに分けられるが、図3および図4においては、搬送部3aの概略構造が示されている。
【0019】
フープステージ2a〜2cに載置されるフープFは、ウエハWを複数枚、例えば25枚を所定間隔で主面が水平になるように収納することが可能となっており、フープFの一側面にはウエハWを搬入出するためのウエハ搬入出口が設けられている。フープFはウエハ搬入出口を開閉する蓋体11を有しており、この蓋体11は、後述する蓋体開閉機構15a〜15cによってフープFに脱着可能となっている。
【0020】
ウエハ搬送ユニット4とフープ搬入出部2との間の境界壁12には窓部12a〜12cが設けられており、フープFに形成されたウエハ搬入出口の外周部が窓部12a〜12cを閉塞し、また、蓋体11が蓋体開閉機構15a〜15cによって脱着可能な状態となるようにして、フープFはフープステージ2a〜2c上に載置される(図4参照)。
【0021】
境界壁12の内側(ウエハ搬送ユニット4側)には、窓部12a〜12cのそれぞれの位置に、窓部12a〜12cを開閉するシャッター13a〜13cとシャッター13a〜13cを昇降させる昇降機構14a〜14cとからなる蓋体開閉機構15a〜15cが配設されている。蓋体開閉機構15a〜15cは図示しない吸着パッド等の蓋体把持手段を有しており、これによりフープFの蓋体11をシャッター13a〜13cとともに昇降させることができるようになっている。
【0022】
フープFがフープステージ2a〜2cに載置されていないときには、シャッター13a〜13cが窓部12a〜12cを閉塞した状態にあり、外部からウエハ搬送ユニット4へのパーティクル等の侵入が防止されている。一方、ウエハWをフープFから搬出し、またはフープFへ搬入する際には、後述するウエハ搬送機構16の搬送アーム17a・17bがフープFにアクセスできるように、シャッター13a〜13cおよびフープFの蓋体11が蓋体開閉機構15a〜15cにより降下され、窓部12a〜12cは開口した状態とされる。
【0023】
ウエハ搬送ユニット4には、蓋体開閉機構15a〜15cのそれぞれに隣接して、フープF内のウエハWの枚数を計測するためのウエハ検査機構110が配設されている。このウエハ検査機構110は、例えば、赤外線レーザを用いた発信部と受信部を有する反射式光センサ111をモータ113を用いてガイド112に沿ってZ方向(鉛直方向)にスキャンさせながら、ウエハWの端面からの反射光を受信し、フープFに収納されたウエハWの枚数や収納状態、例えば、ウエハWが所定のピッチで略平行に1枚ずつ収納されているかどうか、2枚のウエハWが重なって収納されていないかどうか、ウエハWが段差ずれして斜めに収納されていないかどうか、ウエハWがフープF内の所定位置から飛び出していないかどうか等を検査することができるようになっている。
【0024】
なお、ウエハ搬送機構16にウエハ検査機構110を取り付けて、ウエハ検査機構110をウエハ搬送機構16とともに移動可能な構造とすれば、ウエハ検査機構110は1箇所のみの配設で済ませることが可能である。また、例えば、ウエハWの収納枚数を確認するセンサと、ウエハWの収納状態を検査するセンサを別に設けることもできる。さらに、ウエハ検査機構110を蓋体開閉機構15a〜15cに配設することも可能である。
【0025】
ウエハ搬送ユニット4には、清浄な空気をウエハ搬送ユニット4内に送風するためのフィルターファンユニット(FFU)24aが天井部に設けられており、このFFU24aからのダウンフローは、ウエハ搬送ユニット4の下部に設けられた図示しない排気口から排気される。なお、窓部12a〜12cが開口している状態では、FFU24aからのダウンフローの一部がフープF内に流れ込み、フープF内にパーティクル等が付着することが防止される。なお、FFU24aの下部に図示しないイオナイザを配設してウエハWの除電を行うこともできる。
【0026】
また、ウエハ搬送ユニット4にはウエハ搬送機構16が配設されており、ウエハ搬送機構16は、X方向に延在するガイドを具備するリニア駆動機構19と、ウエハWを保持する搬送アーム17a・17bと、搬送アーム17a・17bをそれぞれ保持する保持部18a・18bと、搬送アーム17a・17bおよび保持部18a・18bがそれぞれ配設されたスライド機構20a・20bと、スライド機構20a・20bが配置された回転自在なテーブル21と、テーブル21を回転させる回転機構22と、回転機構22から上の部分を昇降させる昇降機構23と、を有している。
【0027】
ウエハ搬送機構16においては、2系統の搬送アーム17a・17bを設けることによって、例えば、搬送アーム17aを未処理のウエハWを搬送するために用い、搬送アーム17bを洗浄処理済みのウエハWを搬送するために用いることができるようになっている。この場合には、例えば、1系統の搬送アームのみが配設されている場合と比較して、未処理のウエハWに付着していたパーティクル等が搬送アームに付着してさらに処理済みのウエハWに付着するといったことが有効に防止される。また、2系統の搬送アームを設けることで、洗浄処理ユニット3との間で処理済みのウエハWを受け取った直後に次の未処理のウエハWを受け渡すことができる。
【0028】
1個の搬送アーム17aは1枚のウエハWを搬送し、かつ、フープFに収納されている25枚のウエハWを一度に搬送可能なように、25個の搬送アーム17aが略平行に所定間隔で保持部18aに保持されており、25個の搬送アーム17bもまた略平行に所定間隔で保持部18bに保持されている。フープFまたは後述するロータ34と搬送アーム17a・17bとの間でウエハWの受け渡しを行う際には、搬送アーム17a・17bを所定距離ほど上下させる必要があるが、この搬送アーム17a・17bの昇降動作は昇降機構23より行うことができる。なお、保持部18a・18bに別途搬送アーム17a・17bを上下させる昇降機構を配設してもよい。
【0029】
搬送アーム17a・17bはスライド機構20a・20bによって保持部18a・18bともに搬送アーム17a・17bの長さ方向にスライド可能となっており、テーブル21は回転機構22によって水平面内で回転(図2に示すθ方向)可能に構成されている。また、搬送アーム17a・17bの高さは昇降機構23により調節可能であり、搬送アーム17a・17bは昇降機構23等とともにリニア駆動機構19によってX方向に移動可能である。こうして、搬送アーム17a・17bは、フープステージ2a〜2cに載置されたいずれのフープFおよびロータ34にもアクセスでき、こうしてフープステージ2a〜2cに載置されたフープFとロータ34との間で、ウエハWを水平状態として搬送することができるようになっている。
【0030】
従って、例えば、搬送アーム17aを未処理のウエハWを搬送するために用いるものとし、また、フープステージ2bに載置されたフープFから洗浄処理ユニット3に配設されたロータ34へ搬送する場合には、最初に搬送アーム17aがフープステージ2bに載置されたフープFにアクセスできるようにリニア駆動機構19を駆動させて搬送アーム17aをX方向に移動させる。次いで昇降機構23を駆動させて搬送アーム17aの高さを調節した後にスライド機構20aを動作させて搬送アーム17aおよび保持部18aをフープステージ2b側にスライドさせる。搬送アーム17aにウエハWを保持させて搬送アーム17aおよび保持部18aを元の位置に戻すことにより、フープFからウエハWが搬出された状態となる。
【0031】
次に、回転機構22を動作させてテーブル21を180°回転させつつ、リニア駆動機構19を駆動して搬送アーム17aがロータ34にアクセスできる状態とする。搬送アーム17aおよび保持部18aをロータ34側にスライドさせてウエハWをロータ34に受け渡し(図4参照)、再び搬送アーム17aおよび保持部18aを元の位置に戻せば、ウエハWのロータ34への搬送が終了する。
【0032】
なお、スライド機構20aを動作させて、搬送アーム17aおよび保持部18aをロータ34側にスライドさせ、ウエハWをロータ34に受け渡した状態は図4に示されている。また、フープF内のウエハWの高さ位置と、ロータ34においてウエハWが保持される高さ位置を合わせることで、昇降機構23による搬送アーム17a・17bの高さ合わせの工程を省略することも可能である。
【0033】
上述したウエハ搬送機構16においては、搬送アーム17a・17bがテーブル21の回転中心に対して点対称な位置に配設されているので、スライド機構20a・20bが伸張していない状態でテーブル21を回転させると、搬送アーム17a・17bがウエハWを保持した状態であっても、搬送アーム17a・17bが回転時に通過する軌跡の範囲を狭くすることができる。こうして、洗浄処理装置1ではウエハ搬送ユニット4が省スペース化されている。
【0034】
ウエハ搬送ユニット4と洗浄処理ユニット3とを仕切る境界壁25には、ウエハWの搬送のための窓部25aが形成され、この窓部25aは、昇降機構26bにより昇降自在となっているシャッター26aによって開閉される。シャッター26aは洗浄処理装置1においては、ウエハ搬送ユニット4側に設けられているが、洗浄処理ユニット3側に設けることもできる。ウエハ搬送ユニット4と洗浄処理ユニット3との間でのウエハWの搬送はこの窓部25aを介して行われる。
【0035】
なお、シャッター26aにより、ウエハ搬送ユニット4と洗浄処理ユニット3の雰囲気が分離できるようになっていることから、例えば、洗浄処理ユニット3において処理液が飛散し、または処理液の蒸気が拡散等した場合でも、ウエハ搬送ユニット4にまで汚染が拡大することが防止される。
【0036】
洗浄処理ユニット3は、搬送部3aと洗浄部3bから構成されており、搬送部3aの天井部分には、フィルターファンユニット(FFU)24bが配設されており、搬送部3a内にパーティクルを除去した清浄な空気等が送風されるようになっている。なお、FFU24bの下部に図示しないイオナイザを配設してウエハWの除電を行うこともできる。
【0037】
図2〜図4に示すように、搬送部3aには、ロータ回転機構27と、ロータ回転機構27の姿勢を制御する姿勢変換機構28と、ロータ回転機構27および姿勢変換機構28を垂直方向に移動させるZ軸リニア駆動機構29と、Z軸リニア駆動機構29を水平方向に移動させるX軸リニア駆動機構30と、姿勢変換機構28およびZ軸リニア駆動機構29から発生するパーティクルがロータ回転機構27側へ飛散してウエハWに付着等することを防止するためのカバー45と、X軸リニア駆動機構30から発生するパーティクルがロータ回転機構27側へ飛散してウエハWに付着等することを防止するためのカバー46と、が設けられている。
【0038】
また、洗浄部3bには、外側チャンバ71aと内側チャンバ71bとからなるチャンバ70と、内側チャンバ71bを洗浄するためのクリーニング機構90が配設されており、図示しない内側チャンバ71bのスライド機構と、クリーニング機構90のスライド機構もまた配設されている。
【0039】
図5はロータ回転機構27の概略構造を示した説明図であり、図5(a)はロータ回転機構27の断面図であり、図5(b)はロータ回転機構27を外側チャンバ71bに挿入した状態を示した正面図である。また、図6と図7に、洗浄部3bに配設されたチャンバ70にロータ34が挿入されている状態を示した断面図を示す。ここで、図6は内側チャンバ71bを外側チャンバ71aの外側に退避させた退避位置にある状態を、図7は内側チャンバ71bを外側チャンバ71aに収納した処理位置にある状態をそれぞれ示している。
【0040】
ロータ回転機構27は、ウエハWを所定間隔で保持可能なロータ34と、ロータ34に保持されたウエハWが面内回転するようにロータ34を回転させるモータ31aと、モータ31aとロータ34とを連結する枢軸50と、モータ31aと枢軸50とのモータ連結部31bと、枢軸50を囲繞する枢軸カバー32と、ロータ34を外側チャンバ71aに挿入した際にチャンバ71aに形成されたロータ搬入出口62cを閉塞する蓋体33と、を有しており、枢軸カバー32にはロータ34を外側チャンバ71aに挿入した際に外側チャンバ71aに配設されたクランプレバー76a・76bと嵌合するクランプ受け75a・75bが取り付けられている。
【0041】
外側チャンバ71aは、筒状体61aと、筒状体61aの端面に配設されたリング部材62a・62bと、リング部材62a・62bの内周面に配設されたシール機構63a・63bと、リング部材62aに設けられたクランプレバー76a・76bと、水平方向に多数の処理液吐出口54が形成され、筒状体61aに取り付けられた処理液吐出ノズル53と、処理液吐出ノズル53を収容するノズルケース57と、外側チャンバ71aの下部に設けられ、処理液を排出し、また排気をも行うことができる排気/排液管65aとを有している。なお、リング部材62aにおいてシール機構63aが配設された内周面が、ロータ34が進入/退出するためのロータ搬入出口62cとなっている。
【0042】
また、内側チャンバ71bは、筒状体61bと、筒状体61bの端面に配設されたリング部材66a・66bと、リング部材66a・66bの内周面にそれぞれ2箇所ずつ配設されシール機構67a・67bと、水平方向に多数の処理液吐出口56が形成され、筒状体61bに取り付けられた処理液吐出ノズル55と、処理液吐出ノズル55を収納したノズルケース58と、内側チャンバ71bの下部に設けられ、処理液を排出するとともに排気を行うことができる排気/排液管65bと、を有している。なお、リング部材66aにおいてシール機構67aが配設されている内周面が、内側チャンバ71bが処理位置にある場合のロータ34が進入/退出するためのロータ搬入出口66cとなっている。
【0043】
さらに、クリーニング機構90は、筒状体91と、筒状体91の一端面に取り付けられた円盤92aと、筒状体91の別の端面に取り付けられたリング部材92bと、筒状体91に取り付けられたガス供給ノズル93および排気管94と、を有し、円盤92aには洗浄液吐出ノズル73aと排気管73cが設けられている。
【0044】
まず、搬送部3aの構成要素から説明する。図4に示されるように、ロータ回転機構27は、ロータ34とウエハ搬送機構16との間でウエハWの移し替えを行う際には、ウエハWが水平状態で保持されるような姿勢(縦姿勢)に保持され、また、図5(b)および図6、図7に示すように、洗浄処理を行う際にはウエハWが立設状態で保持されるような姿勢(横姿勢)に変換して保持される。このようなロータ回転機構27の姿勢変換は、姿勢変換機構28、Z軸リニア駆動機構29、X軸リニア駆動機構30を用いて行われる。
【0045】
ロータ回転機構27の姿勢を制御する姿勢変換機構28は、回転機構42と回転機構42に取り付けられた枢軸41とを有しており、枢軸41はロータ回転機構27の枢軸カバー32に固定されている。また、Z軸リニア駆動機構29は、モータ43と、モータ43の回転駆動力と変位を姿勢変換機構28に伝える動力伝達部44と、ガイド47と、ガイド47を支持する支持体48と、を有している。姿勢変換機構28はガイド47に沿って移動できるようにガイド47と嵌合しており、モータ43を回転させるとこの回転駆動力と変位が動力伝達部44を介して姿勢変換機構28に伝えられ、姿勢変換機構28がロータ回転機構27とともにガイド47に沿ってZ方向(垂直方向)に所定距離移動することができるようになっている。
【0046】
なお、Z軸リニア駆動機構29としてモータ43の回転変位を直線変位に変換する機構を用いたが、このような機構に限定されるものではなく、例えば、モータ43の代わりに、エアーシリンダ等の直接に直線変位を生ずる駆動機構を用いても構わない。
【0047】
X軸リニア駆動機構30は、ガイド49と、図示しないモータと、モータに連結されたボールネジ39aと、ボールネジ39aに噛み合わされた噛み合わせ部材39bと、ガイド49に嵌合して噛み合わせ部材39bと支持体48とを連結する連結部材38と、を有している。モータを回転させることによってボールネジ39aが動作し、ボールネジ39aの動作に従って噛み合わせ部材39bはX方向に移動する。このとき、連結部材38が噛み合わせ部材39bと支持体48を連結していることから、連結部材38と支持体48もまた噛み合わせ部材39bとともにX方向に移動する。つまり、噛み合わせ部材39bがX方向に移動する際には、ロータ回転機構27と姿勢変換機構28とZ軸リニア駆動機構29が同時にX方向に移動するようになっている。なお、X軸リニア移動機構30のガイド49には、ロータ回転機構27が所定位置よりも洗浄部3b側へ進入しないように、図示しないストッパが設けられている。
【0048】
図8は、姿勢変換機構28とZ軸リニア駆動機構29とX軸リニア駆動機構30を用いて、ロータ回転機構27を移動させるときの形態の一例を示す説明図であり、図8(a)はロータ回転機構27における枢軸カバー32と姿勢変換機構28の枢軸41との連結点Pの移動軌跡を示したものであり、図8(b)〜(e)はそれぞれ連結点Pが位置P1〜P4にあるときのロータ回転機構27の状態(姿勢)を示している。さらに、図9は図8(b)〜(d)に示した位置P1〜P4におけるロータ回転機構27を重ねて示したものであり、ロータ回転機構27の移動に必要な空間を示した説明図である。
【0049】
ウエハWを保持したロータ34を外側チャンバ71aに挿入するために、枢軸カバー32が位置P1から位置P4へ移動するようにロータ回転機構27を移動させる場合を例として説明すると、まず、連結点Pが位置P1にあるときは、ロータ回転機構27はロータ34とウエハ搬送機構16との間でウエハWの受け渡しを行うことができる位置にあり、このとき、ロータ回転機構27は縦姿勢の状態にある。ウエハWがロータ34に収納された状態において、まず、Z軸リニア駆動機構29を動作させて、ロータ回転機構27および姿勢変換機構28を連結点Pが位置P2に移動するように上昇させる。位置P2においては、姿勢変換機構28を動作させて、ウエハWが水平保持から垂直保持の状態になるように、ロータ回転機構27全体を90°回転させ、ロータ回転機構27全体を横姿勢の状態とする。
【0050】
次に、ロータ回転機構27全体が横姿勢の状態のまま、連結点Pが位置P3に移動するように、再びZ軸リニア駆動機構29を動作させて、ロータ回転機構27を上昇させる。このように、ロータ回転機構27を上昇させるときの始点である位置P1と終点である位置P3の中間地点である位置P2でロータ回転機構27の姿勢変換を行うことによりスペース78・79を確保して、このスペース79に各種制御機器等を収納する等して有効に利用することで、洗浄処理装置1全体の大きさを小さくすることが可能となる。
【0051】
つまり、位置P1でロータ回転機構27の姿勢変換を行った場合には、スペース78を確保することができず、また、スペース79についても、その容積がチャンバ70側の狭い部分に制限される。一方、位置P3でロータ回転機構27の姿勢変換を行った場合には、FFU24bが取り付けられる天井の位置を高くしなければならず、洗浄処理装置1が大型化するが、位置P2でロータ回転機構27の姿勢変換を行うことで、このような問題が解決され、搬送部3aの占有容積を小さくして、洗浄処理装置1全体をコンパクトに構成することが可能となる。
【0052】
連結点Pが位置P3に到達したら、次に、X軸リニア駆動機構30を動作させて、連結点Pの位置を位置P4まで水平移動させる。連結点Pが位置P4にあるときには、ロータ34が外側チャンバ71aに挿入されて洗浄処理を行うことが可能となっており、こうして、ロータ34をウエハ搬送機構16との受渡位置から洗浄処理位置まで移動させることができる。
【0053】
なお、連結点Pが位置P4にあり、ロータ34が外側チャンバ71aに挿入された状態は、図6、図7に詳しく示されている。また、ウエハWの洗浄処理が終了した後には、連結点Pが位置P4から位置P1に移動するように、前述したロータ回転機構27の移動経路を逆にたどることで、ロータ34内のウエハWをウエハ搬送機構16に受け渡し可能となる位置まで、ロータ回転機構27を移動させることができることはいうまでもない。
【0054】
次に、ロータ回転機構27の構成要素について説明する。図10はロータ34の構造を示す斜視図であり、ロータ34は、所定の間隔をおいて配置された一対の円盤35a・35bと、ウエハWを保持するための溝等が所定間隔で形成された係止部材36aと、係止部材36aと同様に溝等が形成され開閉可能なホルダー36bと、ホルダー36bの開閉の可不可を制御するロックピン36cと、を有する。係止部材36aは、円盤35a・35bの外側からネジ止め等することで円盤35a・35b間に固定することができ、ウエハWは係止部材36aとホルダー36bの溝等に納められる。円盤35bの枢軸50への固定は、例えば、ネジ35cを用いて行うことができる。
【0055】
ホルダー36bの開閉を行うホルダー開閉機構80は、境界壁25の搬送部3a側に設けられており(図3、図4参照)、ホルダー開閉機構80は、ロックピン押圧シリンダ81と、ホルダー開閉シリンダ82と、を有している。ホルダー開閉機構80は、ロータ34と搬送アーム17a・17bとの間でウエハWの受け渡しが行われる位置において、ロックピン押圧シリンダ81およびホルダー開閉シリンダ82がそれぞれロックピン36cとホルダー36bにアクセスできるように、図3に示した退避位置と図4に示した処理位置との間で回転自在となっている。なお、境界壁25においてホルダー開閉機構80が設けられている部分にはカバー40が設けられており、ウエハ搬送ユニット4と洗浄処理ユニット3を隔離している。
【0056】
ロックピン36cは、例えば、通常の状態では円盤35aの外側に突出した状態にあり、この状態ではホルダー36bの開閉動作を行うことができないようになっている。一方、ロックピン押圧シリンダ81は、処理位置においてロックピン36cをロータ34の内部に押し込むことができる押圧機構を有しており、また、ホルダー開閉シリンダ82は円盤35aの外側においてホルダー36bにアクセスし、ホルダー36bを開閉するように動作する。こうして、ホルダー開閉機構80がロータ34にアクセスして、ロックピン押圧シリンダ81からの押圧力によってロックピン36cがロータ34の内側に向かって押し込まれた状態となっているときには、ホルダー36bがホルダー開閉シリンダ82によって開閉自在な状態となる。
【0057】
ホルダー36bが開かれた状態においては、ロータ34と搬送アーム17a・17bとの間でのウエハWの受け渡しが可能であり、一方、ホルダー36bが閉じた状態では、ロータ34内のウエハWはロータ34から外部に飛び出すことがない状態に保持される。
【0058】
上述したホルダー36b、ロックピン36c、ホルダー開閉機構80の形態に従ってホルダー36bを開く場合には、例えば、最初に退避位置にあるホルダー開閉機構80を処理位置に移動させてロータ34にアクセスさせ、ロックピン押圧シリンダ81によってロックピン36cがロータ34の内部に押し込まれた状態に保持する。この状態においてホルダー開閉シリンダ82を動作させてホルダー36bを開く。こうして、ウエハWの搬入出が可能となり、ウエハWの搬入出作業が終了したら、ホルダー36bを閉じた状態としたうえで、ロックピン押圧シリンダ81の押圧力を解除して、ロックピン36cが円盤35aから突出した状態、つまりホルダー36bにロックが掛かった状態に戻す。次いで、ホルダー開閉機構80を退避位置に戻せば、ウエハWの次処理に移行することが可能となる。
【0059】
ロータ回転機構27に一体的に設けられた蓋体33は、図6に示されるように内側チャンバ71bが退避位置にある場合には、ロータ34が外側チャンバ71aに挿入された際に、外側チャンバ71aのロータ搬入出口62cを閉塞し、蓋体33の側面とロータ搬入出口62cとの間隙部はシール機構63aによってシールされる。また、図7に示されるように内側チャンバ71bが処理位置にある場合には、蓋体33の側面は、さらに内側チャンバ71bの搬入出口66cを閉塞し、蓋体33の側面と搬入出口66cとの間隙部がシール機構67aによってシールされる。こうしてチャンバ70から処理液が搬送部3aに飛散することが防止される。なお、外側チャンバ71aのリング部材62aに形成されたロータ搬入出口62cは、図2に示すように蓋体62dによって開閉自在となっている。
【0060】
このように、蓋体33の側面を段差や勾配を設けない円筒状に形成し、またロータ搬入出口62c・66cを同じ径とすることにより、例えば、ロータ回転機構27を内側チャンバ71bに挿入する際に、誤ってオーバーランさせた場合にも、蓋体33とリング部材66aとの衝突を回避することができる。また、内側チャンバ71bを用いた液処理においては、蓋体33はシール機構63a・67aによりシールされることから、内側チャンバ71b内の雰囲気が搬送部3a側へ漏れるのを有効に防止することが可能となっている。
【0061】
なお、シール機構63a・67aとしては、図11(a)に示す非シール時においては断面略M字型を有し、図11(b)に示すようにシール時には、所定圧力の空気等を供給することによって中央の凹部が突出して山型となり、この頂点の部分が図示しない蓋体33等に対物することでシール機能が生ずるゴム製チューブ85を用いたものが好適に用いられる。シール機構63a・67aはリング部材62a・66aのロータ搬入出口62c・66cについて2箇所ずつ形成されており、シール性をより確かなものとしている。
【0062】
なお、ゴム製チューブ85は、リング部材62a・66aに形成された溝部86に嵌合されており、薬液による劣化や経時劣化によってゴム製チューブ85が使用不能となった場合には、ゴム製チューブ85のみの交換が可能である。ただし、リング部材62a・66aにゴム製チューブ85が嵌合された別のリング部材を取り付け、ゴム製チューブ85とこの別のリング部材とを一括して交換する構造としてもよい。
【0063】
このようなガス圧を用いたシール機構を用いた場合には、ゴム製チューブ85に供給するガス圧を大きくすることで、外側チャンバ71aや内側チャンバ71b内の処理圧力が高い場合にも良好なシール性を確保することが可能である。なお、図11に示したシール機構は、後述するシール機構63b・67bについても同様に用いられる。なお、空気圧を用いないゴム製シールリング等を用いることもできるが、この場合にはシール性の強弱を調節することができない。
【0064】
蓋体33のモータ31a側には、リング状の液受け33aが配置されており、液受け33aに流れ込んだ処理液は、強制的に排液されるようになっている。ウエハWの洗浄処理の終了後に蓋体33の側面や蓋体33の円盤35bとの対向面に処理液が付着している場合には、この付着した処理液がロータ34が外側チャンバ71aから退出するようにロータ回転機構27を水平方向にスライドさせ、さらにロータ回転機構27を横姿勢から縦姿勢に変換した際に、蓋体33の側面を伝って液滴となり、洗浄処理ユニット3の床面に落下するおそれがあるが、液受け33aを設けることにより、このような処理液の液滴の落下を防止することができる。
【0065】
蓋体33には、また、洗浄液吐出ノズル73bが設けられており、洗浄液吐出ノズル73bからは、円盤35bにおける蓋体33との対向面に所定の洗浄液を吐出し、また所定のガスを噴射することができるようになっている。外側チャンバ71aに設けられた処理液吐出ノズル53から吐出される純水等の洗浄液や窒素(N2)ガス等の乾燥ガス等は、円盤35bにおける蓋体33と対向する面には直接にはあたり難いために、従来は前段で使用された薬液が洗い流され難いという問題があったが、洗浄液吐出ノズル73bを設けることで、ウエハWの洗浄処理工程に合わせて、円盤35bの洗浄および乾燥を行うことができるようになっている。
【0066】
このように、ロータ34と蓋体33とモータ31aとを一体構造としたロータ回転機構27を用い、ロータ回転機構27の姿勢変換と移動を可能としたことから、ウエハ搬送機構16とロータ回転機構27との間でウエハWの姿勢を変換する機構を設ける必要がなく、これにより洗浄処理装置1におけるウエハWの搬送系が簡単なものとされ、洗浄処理装置1のフットプリントを小さくすることが可能となる。また、ロータ34の外側チャンバ71aへの進入、退出の制御が容易となり、ウエハWの移し替えの回数が少ないことから、ウエハWの損傷やパーティクル等の付着といった汚染も抑制される。さらに、ロータ34と蓋体33とが一体的に構成されていることから、ロータ34と蓋体33との上面との間の距離dを狭く設定して外側チャンバ71aと内側チャンバ71bの体積をともに小さくすることが可能となり、こうしてチャンバ70が小型化され、また、液処理の均一性が高められる。
【0067】
さて、ロータ回転機構27において、枢軸50と枢軸50を囲繞する枢軸カバー32との間には、枢軸50が回転可能となるようにベアリング32aが配設されており、枢軸50が蓋体33を貫通する部分は、チャンバ70から薬液等が枢軸50周りに進入しないようにシール構造が採られている。また、枢軸50と枢軸カバー32との摩擦部やモータ31aはパーティクル等の発生源となることから局所排気機構が設けられ、パーティクル等が搬送部3aに拡散しない構造となっている。
【0068】
枢軸カバー32には、長さ方向軸を中心としてほぼ点対称な位置に、クランプ受け75a・75bが配設されている。一方、外側チャンバ71aのリング部材62aには、クランプレバー76a・76bが配設されており、クランプレバー76a・76bは、図5(b)中の実線で示す動作位置と点線で示す退避位置の間で所定角度回転可能となっており、動作位置においてはクランプ受け75・75bに嵌合して枢軸カバー32を挟持することができるようになっている。
【0069】
クランプレバー76a・76bを動作位置で保持して枢軸カバー32を挟持することにより、例えば、モータ31aを駆動させてロータ34を回転させた際、特に、回転開始時や回転停止時、回転速度の切替時、回転方向の反転時等、ロータ34に大きな加速度が掛かるときに枢軸50に生ずるぶれや振動を抑制して、ロータ34を安定して回転させることが可能となる。また、一定速度でロータ34を回転させている場合においても、枢軸50の回転を安定させることができる。さらに、ロータ34の回転時のぶれの発生が抑えられることで、ロータ回転機構27の構成部材へ掛かる応力が低減され、部品寿命が長期化される。
【0070】
なお、前述したように、枢軸カバー32は姿勢変換機構28と連結され、姿勢変換機構28はZ軸リニア駆動機構29と嵌合し、Z軸リニア駆動機構29はX軸リニア駆動機構30と嵌合していることから、ロータ回転機構27は結果的にX軸リニア駆動機構30によって保持されているが、クランプレバー76a・76bを用いることで、液処理中のロータ回転機構27の外側チャンバ71aへの固定をより確実なものとすることができる。
【0071】
次に、洗浄部3bの構成要素について説明する。外側チャンバ71aを構成する筒状体61aに設けられた処理液吐出ノズル53には、薬液貯蔵ユニット5等の処理液供給源から純水やIPA、各種薬液といった処理液や窒素(N2)ガス等の乾燥ガスが供給されて、処理液吐出口54からロータ34に保持されたウエハWに向かって、これら処理液等を吐出することができるようになっている。また、処理液吐出ノズル53は、図6と図7では1本のみ示されているが、複数本配設することも可能であり、必ずしも筒状体61aの真上に設けなければならないものでもない。このことは、処理液吐出ノズル55についても同様である。
【0072】
筒状体61aはリング部材62b側の外径がリング部材62a側の外径よりも大きく設定された円錐状の形態を有しており、筒状体61aはリング部材62a側よりもリング部材62b側が低く位置するように勾配を設けて配設されている。従って、処理液吐出ノズル53からウエハWに向けて吐出された各種の処理液は、自然に筒状体61aの底面をリング部材62a側からリング部材62b側に流れて、排気/排液管65aを通して、ドレイン(外部)に排出されるようになっている。
【0073】
リング部材62aの外側下部には、ロータ回転機構27を搬出する際に蓋体33やシール機構63a等に付着していた洗浄液等がロータ搬入出口62cから液漏れすることを防止するために、液受け62eが設けられており、これにより、洗浄部3bを清浄に保つことができるようになっている。
【0074】
内側チャンバ71bを構成する筒状体61bは外側チャンバ71aの筒状体61aとは異なり、リング部材66a側とリング部材66b側とで同じ外径を有する円筒形状を有しており、水平に配設されている。このため、筒状体61bの下部には処理液の外部への排出を容易ならしめるために、筒状体61bから突出し所定の勾配を有する溝部69が形成されている。こうして、例えば、内側チャンバ71bが処理位置にあるときに、処理液吐出ノズル55からウエハWに向かって吐出された処理液は、溝部69を流れ、排気/排液管65bを通してドレインへ排出される。
【0075】
なお、処理液吐出ノズル55には、薬液貯蔵ユニット5等の処理液供給源から各種薬液が供給されて、処理液吐出口56からロータ34に保持されたウエハWに向かって、各種薬液を吐出することができるようになっている。また、処理液吐出ノズル55からは、クリーニング機構90を用いて内側チャンバ71bを洗浄する際に、純水等の洗浄液および窒素ガス等の乾燥ガスを吐出することができるようになっている。
【0076】
内側チャンバ71bが処理位置にある場合には、図7に示されるように、リング部材66aと蓋体33との間はシール機構67aによってシールされ、また、リング部材66bとリング部材62bとの間がシール機構63bによってシールされ、かつ、リング部材66bと円盤92aとの間がシール機構67bによってシールされるようになっている。こうして、内側チャンバ71bが処理位置にある場合には、筒状体61b、リング部材66a・66b、円盤92a、蓋体33によって処理室52が形成される。
【0077】
一方、内側チャンバ71bが退避位置にある状態では、リング部材66aとリング部材62bとの間がシール機構63bによってシールされ、かつ、リング部材66aと円盤92aとの間がシール機構67aによってシールされるようになっている。また、ロータ34が外側チャンバ71a内に挿入されている場合には、蓋体33とリング部材62aとの間がシール機構63aによってシールされているために、内側チャンバ71bが退避位置にあるときには、図6に示されるように、筒状体61a、リング部材62a・62b、円盤92a、内側チャンバ71bのリング部材66a、ロータ回転機構27の蓋体33から、外側チャンバ71aによる処理室51が形成される。
【0078】
内側チャンバ71bが退避位置にある状態では、上述のように外側チャンバ71a側で処理室51が形成されるとともに、リング部材66aと円盤92aとの間がシール機構67aによってシールされ、リング部材66bとリング部材92bとの間がシール機構67bによってシールされて、筒状体91の外周と筒状体61bの内周との間に狭い略筒状の洗浄処理室72が形成されるようになっている。筒状体91の複数箇所に設けられたガス供給ノズル93からは洗浄処理室72に向かって窒素ガスや空気等の乾燥ガスを噴射することが可能となっており、こうして、噴射された乾燥ガスは排気管94から回収可能である。
【0079】
従って、内側チャンバ71bを処理位置に移動させて、処理室52においてウエハWに所定の薬液を供給した洗浄処理を行った後に、内側チャンバ71bを退避位置に移動させれば、形成される処理室51においては引き続き、例えば、純水を用いた洗浄処理、乾燥ガスを用いた乾燥処理を行うことができる。一方、洗浄処理室72においては、処理液吐出ノズル55から洗浄処理室72内に洗浄液を吐出し、その後にガス供給ノズル93から窒素ガスや空気等の乾燥ガスを洗浄処理室72に噴射することで、内側チャンバ71bの内部を清掃して次のウエハWの薬液処理に備えることが可能となる。なお、ガス供給ノズル93から乾燥ガスを噴射する際に処理液吐出ノズル55からも乾燥ガスを噴射させることにより、処理液吐出ノズル55の乾燥を行うことができる。
【0080】
ところで、ロータ34が外側チャンバ71aに挿入された状態において、円盤35aの円盤92aと対向している面は、円盤35bの蓋体33と対向している面と同様に、処理液吐出ノズル55から吐出される洗浄液や乾燥ガスが直接にはあたり難いことから、円盤92aに設けられた洗浄液吐出ノズル73aから円盤35aを洗浄、乾燥するために、洗浄液や乾燥ガスが吐出可能となっている。なお、洗浄液吐出ノズル73aと前述した洗浄液吐出ノズル73bを用いて、処理室51・52を所定のガス雰囲気とするために所定のガス、例えば、酸素(O2)ガスや二酸化炭素(CO2)ガス等を吐出することが可能である。処理室51・52に供給されたガスは、排気/排液管65a・65bのみならず、円盤92aに設けられた排気管73cからも排気が可能である。
【0081】
次に、フープステージ2aに載置されたフープFをフープF1とし、フープステージ2bに載置されたフープFをフープF2として、これら2個のフープF1・F2に収納されたウエハWの洗浄処理を行う場合を例に、その洗浄処理工程について説明する。まず、25枚のウエハWが所定の間隔で平行に収納されたフープF1・F2を、フープF1・F2においてウエハWの出し入れを行うウエハ搬入出口が窓部12a・12bと対面するように、それぞれフープステージ2a・2bに載置する。
【0082】
最初にフープF1に収納されたウエハWを搬送するために、窓部12aを開口させてフープF1の内部とウエハ搬送ユニット4の内部が連通した状態とする。その後に、フープF1内のウエハWの枚数および収納状態の検査をウエハ検査機構110を用いて行う。ここで、ウエハWの収納状態に異常が検出された場合にはフープF1のウエハWについては処理を中断し、例えば、フープF2に収納されたウエハWの処理に移行する。
【0083】
フープF1内のウエハWの収納状態に異常が検出されなかった場合には、フープF1に収納された全てのウエハWを、ウエハ搬送機構16を動作させて搬送アーム17aに移し替え、リニア駆動機構19および回転機構22を動作させて、ウエハ搬送機構16を搬送アーム17aがロータ34にアクセスできる位置へ移動させる。昇降機構23により搬送アーム17aの高さ位置を調節し、窓部25aを開口した状態として、ウエハWを保持した搬送アーム17aをロータ34に挿入し、ホルダー開閉機構80を用いてホルダー36b等を操作し、ウエハWをロータ34に移し替える。
【0084】
ウエハWがロータ34に保持されたら、先に図8に示したロータ回転機構27の移動形態に従って、ロータ34が外側チャンバ71a内に挿入され、また、ロータ搬入出口62cに蓋体33が位置するように、Z軸リニア駆動機構29と姿勢変換機構28とX軸リニア駆動機構30を駆動させて、ロータ回転機構27を移動させる。ロータ回転機構27が所定位置に移動したら、クランプレバー76a・76bを退避位置から動作位置へ移動させて、クランプ受け75a・75bを挟み込み、枢軸カバー32を保持する。
【0085】
次いで、シール機構63aを動作させて蓋体33の側面とロータ搬入出口62cとの間隙部をシールし、内側チャンバ71bを処理位置に移動させて、蓋体33の側面とロータ搬入出口66cとの間隙部をシール機構67aを動作させてシールし、また、シール機構63b・67bを動作させて、リング部材62bとリング部材66bと円盤92aのそれぞれの間隙部をシールして、処理室52を形成する。なお、予め内側チャンバ71bを処理位置に移動させておき、ロータ34を内側チャンバ71b内に挿入して、蓋体33の側面とロータ搬入出口62c・66cとの間隙部を、シール機構63a・67aを動作させてシールしてもよい。
【0086】
処理室52が形成されたら、ロータ34を、モータ31aを駆動させることによって所定の速度で回転させつつ、処理液吐出ノズル55から所定の薬液をウエハWに供給し、薬液処理を行う。このとき枢軸カバー32がクランプレバー76a・76bにより保持されていることから、例えば、変速回転や逆回転等を行っても枢軸50のぶれが防止される。
【0087】
薬液処理の終了後は、シール機構63a以外のシール機構63b・67a・67bについて動作を解除して内側チャンバ71bを退避位置に移動させ、その後にシール機構63b・67a・67bをそれぞれ動作させて、リング部材62bとリング部材66aと円盤92aのそれぞれの間隙部をシールし、また、リング部材66bと円盤92bと間隙部をシールする。こうして形成される洗浄処理室72では、クリーニング機構90を用いた内側チャンバ71bの洗浄、乾燥処理を行い、次ロットのウエハWの処理のための準備を行う。一方、外側チャンバ71aによって形成される処理室51においては、ウエハWを回転させながら、処理液吐出ノズル53および洗浄液吐出ノズル73a・73bから純水を吐出して水洗処理を行い、次いで、例えば、窒素ガスによる乾燥処理を行う。
【0088】
このように洗浄処理ユニット3でのウエハWの処理が行われている間に、ウエハ搬送ユニット4においては、ウエハWを保持していない状態となったウエハ搬送機構16を、搬送アーム17aがフープステージ2bに載置されたフープF2にアクセスできるように移動させ、フープF1からウエハWを搬出した方法と同様の方法を用いて、搬送アーム17aにフープF2に収納されているウエハWを移し替え、搬送アーム17aが未処理のウエハWを保持した状態で、ウエハWを保持していない搬送アーム17bが窓部25aを介してロータ34にアクセスできる位置へ、ウエハ搬送機構16を移動させる。
【0089】
洗浄処理ユニット3において洗浄処理が終了した後には、シール機構63aの動作を解除し、また、クランプレバー76a・76bを退避位置へ移動させて枢軸カバー32の保持を解除して、ウエハWを保持したロータ回転機構27を、X軸リニア駆動機構30等を駆動させて、ウエハWを搬送アーム17a・17bとロータ34との間で受け渡し可能な位置へ戻す。
【0090】
ホルダー開閉機構80を処理位置に移動させて窓部25aを開口し、そして、最初に搬送アーム17bをロータ34にアクセスさせてホルダー36bを開き、ロータ34に保持されたウエハWを搬送アーム17bに移し替え、続いて搬送アーム17aがロータ34にアクセスできるように回転機構22を動作させてテーブル21を180°回転させ、搬送アーム17aに保持された未処理のウエハWをロータ34へ移し替える。
【0091】
ロータ34に保持されたフープF2の未処理のウエハWについては、前述したフープF1に収納されていたウエハWの洗浄処理と同様の工程により洗浄処理を施し、その後にウエハWを搬送アーム17a・17bとの間で受け渡し可能な位置まで移動させる。その間に、ウエハ搬送機構16については、搬送アーム17bがフープF1にアクセスできるように移動させ、洗浄処理を終了したウエハWをフープF1に移し替え、その後に、ウエハ搬送機構16を搬送アーム17bがロータ34にアクセスできる状態としておく。
【0092】
こうして、搬送アーム17bは洗浄処理が終了したフープF2のウエハWをロータ34から受け取り、このウエハWをフープF2に収納すれば、フープF1・F2に収納されたウエハWについての洗浄処理が終了する。なお、例えば、フープステージ2cにフープF3が配置されている場合については、フープF1のウエハWの処理が終了した後に、搬送アーム17aにフープF3に収容されたウエハWを移し替え、洗浄処理が終了したフープF2のウエハWをロータ34から搬出した後に、搬送アーム17aに保持されたウエハWをロータ34に移し替えることで、連続して所定の洗浄処理を行うことができる。
【0093】
以上、本発明の実施の形態について、本発明を洗浄処理装置に適用した場合について示したが、本発明の液処理装置は、例えば、所定の塗布液を塗布する塗布処理やエッチング処理等に適用することも可能である。また、ウエハWを保持するする手段であるロータがウエハWを保持することができる枚数にも制限はない。さらに、チャンバとして二重構造を有する場合を例に説明したが、チャンバは1個でもよく、また、三重構造であってもよい。なお、基板としては半導体ウエハを例に挙げたが、これに限らず、液晶表示装置(LCD)用基板等、他の基板の処理にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の一実施形態に係る洗浄処理装置を示す斜視図。
【図2】図1記載の洗浄処理装置の平面図。
【図3】図1記載の洗浄処理装置の側面図。
【図4】図1記載の洗浄処理装置の別の側面図。
【図5】ロータ回転機構の構造を示した断面図および正面図。
【図6】ロータをチャンバに挿入した状態の一形態を示す断面図。
【図7】ロータをチャンバに挿入した状態の別の形態を示す断面図。
【図8】ロータ回転機構の移動形態を示した説明図。
【図9】ロータ回転機構の移動形態を示した別の説明図。
【図10】ロータの構造を示す斜視図。
【図11】シール機構の非シール時とシール時の状態を示した説明図。
【図12】従来のウエハ洗浄装置の一実施形態を示す説明図。
【符号の説明】
【0095】
1;洗浄処理装置
2;フープ搬入出部
3;洗浄処理ユニット
4;ウエハ搬送ユニット
5;薬液貯蔵ユニット
6;電源ボックス
16;ウエハ搬送機構
27;ロータ回転機構
28;姿勢変換機構
29;Z軸リニア駆動機構
30;X軸リニア駆動機構
31a;モータ
32;枢軸カバー
33;蓋体
33a;液受け
34;ロータ
50;枢軸
63a・63b;シール機構
67a・67b;シール機構
71a;外側チャンバ
71b;内側チャンバ
75a・75b;クランプ受け
76a・76b;クランプレバー
F;フープ
W;半導体ウエハ(基板)
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハやLCD基板等の各種基板に対して所定の液処理や乾燥処理を施す液処理装置および液処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体デバイスの製造工程においては、基板としての半導体ウエハ(ウエハ)を所定の薬液や純水等の洗浄液によって洗浄し、ウエハからパーティクル、有機汚染物、金属不純物等のコンタミネーションを除去するウエハ洗浄装置や、窒素(N2)ガス等の不活性ガスや揮発性および親水性の高いIPA蒸気等によってウエハから液滴を取り除いてウエハを乾燥させるウエハ乾燥装置が使用されている。
【0003】
このような洗浄・乾燥装置としては、複数枚のウエハをバッチ式に処理するものが知られており、例えば、複数枚のウエハがその主面が略平行になるようにして収納された容器を洗浄・乾燥装置の所定位置に載置し、搬送機構を用いて容器内の複数のウエハを同時に取り出して、ウエハを保持する基板保持手段に移し替え、チャンバ内において基板保持手段に保持された基板に所定の液処理と乾燥処理を施した後に、再び搬送機構を用いて容器へウエハを搬送するという作業が行われる。
【0004】
例えば、図12に示すように、ウエハ洗浄室201を形成する処理チャンバ202を有し、ウエハWを保持可能かつ回転可能に設けられたロータ205を処理チャンバ202の前方側に形成されたウエハ搬入出口203から進退可能とし、ロータ205を処理チャンバ202から進出させた状態で、ロータ205と搬送アームのウエハチャック209a・209bとの間でウエハWの受け渡しが可能となっている構造を有するウエハ洗浄装置200が知られている。なお、図12における参照符号207はロータ205を進出退避させ回転させる駆動機構、208は回転軸、204は処理チャンバ202の蓋、206はロータ205の保持部材である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図12に示したウエハ洗浄装置200では、ウエハチャック209a・209bとロータ205の保持部材206とが互いに衝突しないように制御しなければならないことから、動作プログラム等が複雑なものとなってしまう問題がある。
【0006】
また、近年、半導体デバイスの微細高集積化や量産化に対応して、ウエハの大きさについては200mmφから300mmφへの大口径化が進んでおり、これに伴って、ウエハを保存、搬送等する収納容器としては、200mmφのウエハの場合にはウエハを立設状態で収納する収納容器が用いられていたが、300mmφウエハの場合には、大きさおよび重量が嵩むために、ウエハを水平状態で収納する収納容器が用いられるようになってきている。
【0007】
しかしながら、ウエハの液処理そのものは、従来と同様にウエハをほぼ垂直な状態として行うことが好ましい。従って、ウエハ洗浄装置200に限らず、従来、ウエハをほぼ垂直な状態に保持して搬送を行っていた装置においては、ウエハを水平状態と立設状態との間で姿勢変換する姿勢変換機構等を設けなければならなくなり、このためにウエハの搬送機構が複雑化するといった問題や、ウエハを取り扱う機構間でウエハを移し替える回数が増加することによってウエハの汚染や損傷が生じやすくなるといった問題が生ずる。
【0008】
また、従来の液処理装置の構造を変えることなく、ウエハの大きさに適合させてウエハを取り扱う各部の機構、部材等を大型化すると、液処理装置全体の大型化は避けられない。そのために、装置の構成を改良することによって、装置の大型化をできる限り抑制することが大きく望まれている。
【0009】
本発明はこのような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、制御が容易で、基板の搬送を簡単に行うことができる液処理装置を提供することを目的とする。また、本発明は、従来の基板よりも大型の基板の液処理を行うための装置構成部材の仕様変更によって生ずる装置の大型化を抑制した液処理装置を提供することを目的とする。さらに本発明は、このような液処理装置を用いた処理効率に優れた液処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点は、複数の基板を回転させながら所定の処理液を供給して液処理を行う液処理装置であって、
複数の基板を所定の間隔で略平行に保持する保持手段と、
前記保持手段に保持された基板を面内回転させるように前記保持手段を回転させる回転手段と、
前記保持手段および保持された複数の基板を収容するチャンバと、
前記保持手段を前記チャンバに進入/退出させるために前記チャンバに形成された搬入出口を閉塞する蓋体と、
基板を立設状態で保持した前記保持手段を前記チャンバに進入、退出させる基板移動機構と、
を具備し、
前記保持手段と前記回転手段と前記蓋体とは一体構造をなし、
前記基板移動機構は、
前記保持手段に保持された基板が水平状態または立設状態で維持されるように前記チャンバの外部において前記保持手段の姿勢を変換する姿勢変換機構と、
前記保持手段と前記姿勢変換機構とを高さ方向に移動させる昇降機構と、
前記保持手段と前記姿勢変換機構と前記昇降機構とを水平方向に移動させる水平移動機構と、
を有することを特徴とする液処理装置を提供する。
【0011】
また、本発明の第2の観点は、基板に所定の処理液を供給して液処理を行う液処理方法であって、
複数の基板を所定間隔で保持可能なロータに、所定枚数の基板を略水平姿勢で保持させる工程と、
前記ロータを上昇させながら、前記ロータに保持された前記所定枚数の基板が略立設状態となるように、前記ロータの姿勢を変換する工程と、
前記所定枚数の基板を略立設状態で保持したロータを水平方向にスライドさせて、前記ロータを処理チャンバに収容する工程と、
前記処理チャンバに収容されたロータを回転させながら、前記ロータに保持された基板に所定の処理液を供給して液処理を行う工程と、
を有することを特徴とする液処理方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の液処理装置によれば、基板を保持する保持手段と保持手段を回転させる回転手段と保持手段に保持された基板の液処理を行うチャンバを閉塞する蓋体とを一体的な構造としたことによって、液処理を行うチャンバ内への保持手段の進入、退出の制御が容易となるという効果が得られる。また、水平状態で基板が収納された容器と保持手段との間で基板の姿勢変換を行う機構を設ける必要がないために、基板の搬送過程を簡単なものとすることができる。これによって、基板に対しては機構間の移し替えによる損傷やパーティクル等の付着といった汚染を抑制して歩留まりを高めて品質を高く保持することが可能となるという効果が得られ、また、液処理装置内の構造を簡単なものとして液処理装置を小型化することができるという効果が得られる。
【0013】
さらに、基板を保持する保持手段を基板が水平状態または立設状態で保持できるように姿勢変換するという従来は行われていなかった方法を採用することによって、従来の液処理装置を大面積基板に対応させて単純に大型化した場合と比較すると、液処理装置全体の大型化を抑制して、コンパクトな液処理装置を実現することが可能となるという効果が得られる。
【0014】
なお、基板を保持する保持手段をチャンバ内に挿入した状態で、保持手段と回転手段とを連結する枢軸の周りをクランプレバーとクランプ受けにより固定、保持することにより、枢軸のぶれや振動を抑制して保持手段を安定に回転させることができ、こうして均質な液処理が可能となるという効果が得られ、また、保持部材や蓋体等に掛かる応力が低減されて、部品寿命が長期化されるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について具体的に説明する。本発明の液処理装置は、例えば、各種基板を被処理体とする洗浄処理装置や乾燥処理装置等に適用できる。そこで、本実施形態においては、半導体ウエハ(ウエハ)の搬入、洗浄、乾燥、搬出をバッチ式に一貫して行うように構成された洗浄処理装置に適用した場合について説明することとする。
【0016】
図1は本実施形態に係る洗浄処理装置1の外観を示す斜視図である。図1に示されるように、洗浄処理装置1は、複数枚のウエハWを収納可能なフープ(収納容器)Fを載置するためのフープステージ2a〜2cが設けられたフープ搬入出部2と、ウエハWに対して洗浄処理を実施する洗浄処理ユニット3と、フープ搬入出部2と洗浄処理ユニット3との間に設けられ、ウエハWの搬送を行うウエハ搬送ユニット4と、洗浄処理のための薬液を貯蔵等する薬液貯蔵ユニット5と、から主に構成されている。
【0017】
また、洗浄処理装置1に配設された各種の電動駆動機構や電子制御装置のための電源ボックス6と洗浄処理装置1を構成する各ユニットの温度制御を行うための温度制御ボックス7が洗浄処理ユニット3の上部に設けられており、ウエハ搬送ユニット4の上部には、洗浄処理装置1に設けられた各種の表示パネルを制御する表示ボックス9と、ウエハ搬送ユニット4に配設されたウエハ搬送機構16の制御装置が収納された搬送機構制御ボックス10が設けられている。また、薬液貯蔵ユニット5の上部には各ボックスからの熱排気を集めて排気する熱排気ボックス8が設けられている。
【0018】
図2に洗浄処理装置1の概略平面図を、図3に洗浄処理装置1の概略側面図を、図4に図3の概略側面図において一部の駆動機構を駆動させた状態を示した概略側面図をそれぞれ示す。ここで、図2〜図4においては、フープ搬入出部2、洗浄処理ユニット3、ウエハ搬送ユニット4、薬液貯蔵ユニット5のみを示し、洗浄処理ユニット3、ウエハ搬送ユニット4、薬液貯蔵ユニット5の上部に配設された電源ボックス6その他各種のボックス部については図示していない。また、後述するように、洗浄処理ユニット3は搬送部3aと洗浄部3bとに分けられるが、図3および図4においては、搬送部3aの概略構造が示されている。
【0019】
フープステージ2a〜2cに載置されるフープFは、ウエハWを複数枚、例えば25枚を所定間隔で主面が水平になるように収納することが可能となっており、フープFの一側面にはウエハWを搬入出するためのウエハ搬入出口が設けられている。フープFはウエハ搬入出口を開閉する蓋体11を有しており、この蓋体11は、後述する蓋体開閉機構15a〜15cによってフープFに脱着可能となっている。
【0020】
ウエハ搬送ユニット4とフープ搬入出部2との間の境界壁12には窓部12a〜12cが設けられており、フープFに形成されたウエハ搬入出口の外周部が窓部12a〜12cを閉塞し、また、蓋体11が蓋体開閉機構15a〜15cによって脱着可能な状態となるようにして、フープFはフープステージ2a〜2c上に載置される(図4参照)。
【0021】
境界壁12の内側(ウエハ搬送ユニット4側)には、窓部12a〜12cのそれぞれの位置に、窓部12a〜12cを開閉するシャッター13a〜13cとシャッター13a〜13cを昇降させる昇降機構14a〜14cとからなる蓋体開閉機構15a〜15cが配設されている。蓋体開閉機構15a〜15cは図示しない吸着パッド等の蓋体把持手段を有しており、これによりフープFの蓋体11をシャッター13a〜13cとともに昇降させることができるようになっている。
【0022】
フープFがフープステージ2a〜2cに載置されていないときには、シャッター13a〜13cが窓部12a〜12cを閉塞した状態にあり、外部からウエハ搬送ユニット4へのパーティクル等の侵入が防止されている。一方、ウエハWをフープFから搬出し、またはフープFへ搬入する際には、後述するウエハ搬送機構16の搬送アーム17a・17bがフープFにアクセスできるように、シャッター13a〜13cおよびフープFの蓋体11が蓋体開閉機構15a〜15cにより降下され、窓部12a〜12cは開口した状態とされる。
【0023】
ウエハ搬送ユニット4には、蓋体開閉機構15a〜15cのそれぞれに隣接して、フープF内のウエハWの枚数を計測するためのウエハ検査機構110が配設されている。このウエハ検査機構110は、例えば、赤外線レーザを用いた発信部と受信部を有する反射式光センサ111をモータ113を用いてガイド112に沿ってZ方向(鉛直方向)にスキャンさせながら、ウエハWの端面からの反射光を受信し、フープFに収納されたウエハWの枚数や収納状態、例えば、ウエハWが所定のピッチで略平行に1枚ずつ収納されているかどうか、2枚のウエハWが重なって収納されていないかどうか、ウエハWが段差ずれして斜めに収納されていないかどうか、ウエハWがフープF内の所定位置から飛び出していないかどうか等を検査することができるようになっている。
【0024】
なお、ウエハ搬送機構16にウエハ検査機構110を取り付けて、ウエハ検査機構110をウエハ搬送機構16とともに移動可能な構造とすれば、ウエハ検査機構110は1箇所のみの配設で済ませることが可能である。また、例えば、ウエハWの収納枚数を確認するセンサと、ウエハWの収納状態を検査するセンサを別に設けることもできる。さらに、ウエハ検査機構110を蓋体開閉機構15a〜15cに配設することも可能である。
【0025】
ウエハ搬送ユニット4には、清浄な空気をウエハ搬送ユニット4内に送風するためのフィルターファンユニット(FFU)24aが天井部に設けられており、このFFU24aからのダウンフローは、ウエハ搬送ユニット4の下部に設けられた図示しない排気口から排気される。なお、窓部12a〜12cが開口している状態では、FFU24aからのダウンフローの一部がフープF内に流れ込み、フープF内にパーティクル等が付着することが防止される。なお、FFU24aの下部に図示しないイオナイザを配設してウエハWの除電を行うこともできる。
【0026】
また、ウエハ搬送ユニット4にはウエハ搬送機構16が配設されており、ウエハ搬送機構16は、X方向に延在するガイドを具備するリニア駆動機構19と、ウエハWを保持する搬送アーム17a・17bと、搬送アーム17a・17bをそれぞれ保持する保持部18a・18bと、搬送アーム17a・17bおよび保持部18a・18bがそれぞれ配設されたスライド機構20a・20bと、スライド機構20a・20bが配置された回転自在なテーブル21と、テーブル21を回転させる回転機構22と、回転機構22から上の部分を昇降させる昇降機構23と、を有している。
【0027】
ウエハ搬送機構16においては、2系統の搬送アーム17a・17bを設けることによって、例えば、搬送アーム17aを未処理のウエハWを搬送するために用い、搬送アーム17bを洗浄処理済みのウエハWを搬送するために用いることができるようになっている。この場合には、例えば、1系統の搬送アームのみが配設されている場合と比較して、未処理のウエハWに付着していたパーティクル等が搬送アームに付着してさらに処理済みのウエハWに付着するといったことが有効に防止される。また、2系統の搬送アームを設けることで、洗浄処理ユニット3との間で処理済みのウエハWを受け取った直後に次の未処理のウエハWを受け渡すことができる。
【0028】
1個の搬送アーム17aは1枚のウエハWを搬送し、かつ、フープFに収納されている25枚のウエハWを一度に搬送可能なように、25個の搬送アーム17aが略平行に所定間隔で保持部18aに保持されており、25個の搬送アーム17bもまた略平行に所定間隔で保持部18bに保持されている。フープFまたは後述するロータ34と搬送アーム17a・17bとの間でウエハWの受け渡しを行う際には、搬送アーム17a・17bを所定距離ほど上下させる必要があるが、この搬送アーム17a・17bの昇降動作は昇降機構23より行うことができる。なお、保持部18a・18bに別途搬送アーム17a・17bを上下させる昇降機構を配設してもよい。
【0029】
搬送アーム17a・17bはスライド機構20a・20bによって保持部18a・18bともに搬送アーム17a・17bの長さ方向にスライド可能となっており、テーブル21は回転機構22によって水平面内で回転(図2に示すθ方向)可能に構成されている。また、搬送アーム17a・17bの高さは昇降機構23により調節可能であり、搬送アーム17a・17bは昇降機構23等とともにリニア駆動機構19によってX方向に移動可能である。こうして、搬送アーム17a・17bは、フープステージ2a〜2cに載置されたいずれのフープFおよびロータ34にもアクセスでき、こうしてフープステージ2a〜2cに載置されたフープFとロータ34との間で、ウエハWを水平状態として搬送することができるようになっている。
【0030】
従って、例えば、搬送アーム17aを未処理のウエハWを搬送するために用いるものとし、また、フープステージ2bに載置されたフープFから洗浄処理ユニット3に配設されたロータ34へ搬送する場合には、最初に搬送アーム17aがフープステージ2bに載置されたフープFにアクセスできるようにリニア駆動機構19を駆動させて搬送アーム17aをX方向に移動させる。次いで昇降機構23を駆動させて搬送アーム17aの高さを調節した後にスライド機構20aを動作させて搬送アーム17aおよび保持部18aをフープステージ2b側にスライドさせる。搬送アーム17aにウエハWを保持させて搬送アーム17aおよび保持部18aを元の位置に戻すことにより、フープFからウエハWが搬出された状態となる。
【0031】
次に、回転機構22を動作させてテーブル21を180°回転させつつ、リニア駆動機構19を駆動して搬送アーム17aがロータ34にアクセスできる状態とする。搬送アーム17aおよび保持部18aをロータ34側にスライドさせてウエハWをロータ34に受け渡し(図4参照)、再び搬送アーム17aおよび保持部18aを元の位置に戻せば、ウエハWのロータ34への搬送が終了する。
【0032】
なお、スライド機構20aを動作させて、搬送アーム17aおよび保持部18aをロータ34側にスライドさせ、ウエハWをロータ34に受け渡した状態は図4に示されている。また、フープF内のウエハWの高さ位置と、ロータ34においてウエハWが保持される高さ位置を合わせることで、昇降機構23による搬送アーム17a・17bの高さ合わせの工程を省略することも可能である。
【0033】
上述したウエハ搬送機構16においては、搬送アーム17a・17bがテーブル21の回転中心に対して点対称な位置に配設されているので、スライド機構20a・20bが伸張していない状態でテーブル21を回転させると、搬送アーム17a・17bがウエハWを保持した状態であっても、搬送アーム17a・17bが回転時に通過する軌跡の範囲を狭くすることができる。こうして、洗浄処理装置1ではウエハ搬送ユニット4が省スペース化されている。
【0034】
ウエハ搬送ユニット4と洗浄処理ユニット3とを仕切る境界壁25には、ウエハWの搬送のための窓部25aが形成され、この窓部25aは、昇降機構26bにより昇降自在となっているシャッター26aによって開閉される。シャッター26aは洗浄処理装置1においては、ウエハ搬送ユニット4側に設けられているが、洗浄処理ユニット3側に設けることもできる。ウエハ搬送ユニット4と洗浄処理ユニット3との間でのウエハWの搬送はこの窓部25aを介して行われる。
【0035】
なお、シャッター26aにより、ウエハ搬送ユニット4と洗浄処理ユニット3の雰囲気が分離できるようになっていることから、例えば、洗浄処理ユニット3において処理液が飛散し、または処理液の蒸気が拡散等した場合でも、ウエハ搬送ユニット4にまで汚染が拡大することが防止される。
【0036】
洗浄処理ユニット3は、搬送部3aと洗浄部3bから構成されており、搬送部3aの天井部分には、フィルターファンユニット(FFU)24bが配設されており、搬送部3a内にパーティクルを除去した清浄な空気等が送風されるようになっている。なお、FFU24bの下部に図示しないイオナイザを配設してウエハWの除電を行うこともできる。
【0037】
図2〜図4に示すように、搬送部3aには、ロータ回転機構27と、ロータ回転機構27の姿勢を制御する姿勢変換機構28と、ロータ回転機構27および姿勢変換機構28を垂直方向に移動させるZ軸リニア駆動機構29と、Z軸リニア駆動機構29を水平方向に移動させるX軸リニア駆動機構30と、姿勢変換機構28およびZ軸リニア駆動機構29から発生するパーティクルがロータ回転機構27側へ飛散してウエハWに付着等することを防止するためのカバー45と、X軸リニア駆動機構30から発生するパーティクルがロータ回転機構27側へ飛散してウエハWに付着等することを防止するためのカバー46と、が設けられている。
【0038】
また、洗浄部3bには、外側チャンバ71aと内側チャンバ71bとからなるチャンバ70と、内側チャンバ71bを洗浄するためのクリーニング機構90が配設されており、図示しない内側チャンバ71bのスライド機構と、クリーニング機構90のスライド機構もまた配設されている。
【0039】
図5はロータ回転機構27の概略構造を示した説明図であり、図5(a)はロータ回転機構27の断面図であり、図5(b)はロータ回転機構27を外側チャンバ71bに挿入した状態を示した正面図である。また、図6と図7に、洗浄部3bに配設されたチャンバ70にロータ34が挿入されている状態を示した断面図を示す。ここで、図6は内側チャンバ71bを外側チャンバ71aの外側に退避させた退避位置にある状態を、図7は内側チャンバ71bを外側チャンバ71aに収納した処理位置にある状態をそれぞれ示している。
【0040】
ロータ回転機構27は、ウエハWを所定間隔で保持可能なロータ34と、ロータ34に保持されたウエハWが面内回転するようにロータ34を回転させるモータ31aと、モータ31aとロータ34とを連結する枢軸50と、モータ31aと枢軸50とのモータ連結部31bと、枢軸50を囲繞する枢軸カバー32と、ロータ34を外側チャンバ71aに挿入した際にチャンバ71aに形成されたロータ搬入出口62cを閉塞する蓋体33と、を有しており、枢軸カバー32にはロータ34を外側チャンバ71aに挿入した際に外側チャンバ71aに配設されたクランプレバー76a・76bと嵌合するクランプ受け75a・75bが取り付けられている。
【0041】
外側チャンバ71aは、筒状体61aと、筒状体61aの端面に配設されたリング部材62a・62bと、リング部材62a・62bの内周面に配設されたシール機構63a・63bと、リング部材62aに設けられたクランプレバー76a・76bと、水平方向に多数の処理液吐出口54が形成され、筒状体61aに取り付けられた処理液吐出ノズル53と、処理液吐出ノズル53を収容するノズルケース57と、外側チャンバ71aの下部に設けられ、処理液を排出し、また排気をも行うことができる排気/排液管65aとを有している。なお、リング部材62aにおいてシール機構63aが配設された内周面が、ロータ34が進入/退出するためのロータ搬入出口62cとなっている。
【0042】
また、内側チャンバ71bは、筒状体61bと、筒状体61bの端面に配設されたリング部材66a・66bと、リング部材66a・66bの内周面にそれぞれ2箇所ずつ配設されシール機構67a・67bと、水平方向に多数の処理液吐出口56が形成され、筒状体61bに取り付けられた処理液吐出ノズル55と、処理液吐出ノズル55を収納したノズルケース58と、内側チャンバ71bの下部に設けられ、処理液を排出するとともに排気を行うことができる排気/排液管65bと、を有している。なお、リング部材66aにおいてシール機構67aが配設されている内周面が、内側チャンバ71bが処理位置にある場合のロータ34が進入/退出するためのロータ搬入出口66cとなっている。
【0043】
さらに、クリーニング機構90は、筒状体91と、筒状体91の一端面に取り付けられた円盤92aと、筒状体91の別の端面に取り付けられたリング部材92bと、筒状体91に取り付けられたガス供給ノズル93および排気管94と、を有し、円盤92aには洗浄液吐出ノズル73aと排気管73cが設けられている。
【0044】
まず、搬送部3aの構成要素から説明する。図4に示されるように、ロータ回転機構27は、ロータ34とウエハ搬送機構16との間でウエハWの移し替えを行う際には、ウエハWが水平状態で保持されるような姿勢(縦姿勢)に保持され、また、図5(b)および図6、図7に示すように、洗浄処理を行う際にはウエハWが立設状態で保持されるような姿勢(横姿勢)に変換して保持される。このようなロータ回転機構27の姿勢変換は、姿勢変換機構28、Z軸リニア駆動機構29、X軸リニア駆動機構30を用いて行われる。
【0045】
ロータ回転機構27の姿勢を制御する姿勢変換機構28は、回転機構42と回転機構42に取り付けられた枢軸41とを有しており、枢軸41はロータ回転機構27の枢軸カバー32に固定されている。また、Z軸リニア駆動機構29は、モータ43と、モータ43の回転駆動力と変位を姿勢変換機構28に伝える動力伝達部44と、ガイド47と、ガイド47を支持する支持体48と、を有している。姿勢変換機構28はガイド47に沿って移動できるようにガイド47と嵌合しており、モータ43を回転させるとこの回転駆動力と変位が動力伝達部44を介して姿勢変換機構28に伝えられ、姿勢変換機構28がロータ回転機構27とともにガイド47に沿ってZ方向(垂直方向)に所定距離移動することができるようになっている。
【0046】
なお、Z軸リニア駆動機構29としてモータ43の回転変位を直線変位に変換する機構を用いたが、このような機構に限定されるものではなく、例えば、モータ43の代わりに、エアーシリンダ等の直接に直線変位を生ずる駆動機構を用いても構わない。
【0047】
X軸リニア駆動機構30は、ガイド49と、図示しないモータと、モータに連結されたボールネジ39aと、ボールネジ39aに噛み合わされた噛み合わせ部材39bと、ガイド49に嵌合して噛み合わせ部材39bと支持体48とを連結する連結部材38と、を有している。モータを回転させることによってボールネジ39aが動作し、ボールネジ39aの動作に従って噛み合わせ部材39bはX方向に移動する。このとき、連結部材38が噛み合わせ部材39bと支持体48を連結していることから、連結部材38と支持体48もまた噛み合わせ部材39bとともにX方向に移動する。つまり、噛み合わせ部材39bがX方向に移動する際には、ロータ回転機構27と姿勢変換機構28とZ軸リニア駆動機構29が同時にX方向に移動するようになっている。なお、X軸リニア移動機構30のガイド49には、ロータ回転機構27が所定位置よりも洗浄部3b側へ進入しないように、図示しないストッパが設けられている。
【0048】
図8は、姿勢変換機構28とZ軸リニア駆動機構29とX軸リニア駆動機構30を用いて、ロータ回転機構27を移動させるときの形態の一例を示す説明図であり、図8(a)はロータ回転機構27における枢軸カバー32と姿勢変換機構28の枢軸41との連結点Pの移動軌跡を示したものであり、図8(b)〜(e)はそれぞれ連結点Pが位置P1〜P4にあるときのロータ回転機構27の状態(姿勢)を示している。さらに、図9は図8(b)〜(d)に示した位置P1〜P4におけるロータ回転機構27を重ねて示したものであり、ロータ回転機構27の移動に必要な空間を示した説明図である。
【0049】
ウエハWを保持したロータ34を外側チャンバ71aに挿入するために、枢軸カバー32が位置P1から位置P4へ移動するようにロータ回転機構27を移動させる場合を例として説明すると、まず、連結点Pが位置P1にあるときは、ロータ回転機構27はロータ34とウエハ搬送機構16との間でウエハWの受け渡しを行うことができる位置にあり、このとき、ロータ回転機構27は縦姿勢の状態にある。ウエハWがロータ34に収納された状態において、まず、Z軸リニア駆動機構29を動作させて、ロータ回転機構27および姿勢変換機構28を連結点Pが位置P2に移動するように上昇させる。位置P2においては、姿勢変換機構28を動作させて、ウエハWが水平保持から垂直保持の状態になるように、ロータ回転機構27全体を90°回転させ、ロータ回転機構27全体を横姿勢の状態とする。
【0050】
次に、ロータ回転機構27全体が横姿勢の状態のまま、連結点Pが位置P3に移動するように、再びZ軸リニア駆動機構29を動作させて、ロータ回転機構27を上昇させる。このように、ロータ回転機構27を上昇させるときの始点である位置P1と終点である位置P3の中間地点である位置P2でロータ回転機構27の姿勢変換を行うことによりスペース78・79を確保して、このスペース79に各種制御機器等を収納する等して有効に利用することで、洗浄処理装置1全体の大きさを小さくすることが可能となる。
【0051】
つまり、位置P1でロータ回転機構27の姿勢変換を行った場合には、スペース78を確保することができず、また、スペース79についても、その容積がチャンバ70側の狭い部分に制限される。一方、位置P3でロータ回転機構27の姿勢変換を行った場合には、FFU24bが取り付けられる天井の位置を高くしなければならず、洗浄処理装置1が大型化するが、位置P2でロータ回転機構27の姿勢変換を行うことで、このような問題が解決され、搬送部3aの占有容積を小さくして、洗浄処理装置1全体をコンパクトに構成することが可能となる。
【0052】
連結点Pが位置P3に到達したら、次に、X軸リニア駆動機構30を動作させて、連結点Pの位置を位置P4まで水平移動させる。連結点Pが位置P4にあるときには、ロータ34が外側チャンバ71aに挿入されて洗浄処理を行うことが可能となっており、こうして、ロータ34をウエハ搬送機構16との受渡位置から洗浄処理位置まで移動させることができる。
【0053】
なお、連結点Pが位置P4にあり、ロータ34が外側チャンバ71aに挿入された状態は、図6、図7に詳しく示されている。また、ウエハWの洗浄処理が終了した後には、連結点Pが位置P4から位置P1に移動するように、前述したロータ回転機構27の移動経路を逆にたどることで、ロータ34内のウエハWをウエハ搬送機構16に受け渡し可能となる位置まで、ロータ回転機構27を移動させることができることはいうまでもない。
【0054】
次に、ロータ回転機構27の構成要素について説明する。図10はロータ34の構造を示す斜視図であり、ロータ34は、所定の間隔をおいて配置された一対の円盤35a・35bと、ウエハWを保持するための溝等が所定間隔で形成された係止部材36aと、係止部材36aと同様に溝等が形成され開閉可能なホルダー36bと、ホルダー36bの開閉の可不可を制御するロックピン36cと、を有する。係止部材36aは、円盤35a・35bの外側からネジ止め等することで円盤35a・35b間に固定することができ、ウエハWは係止部材36aとホルダー36bの溝等に納められる。円盤35bの枢軸50への固定は、例えば、ネジ35cを用いて行うことができる。
【0055】
ホルダー36bの開閉を行うホルダー開閉機構80は、境界壁25の搬送部3a側に設けられており(図3、図4参照)、ホルダー開閉機構80は、ロックピン押圧シリンダ81と、ホルダー開閉シリンダ82と、を有している。ホルダー開閉機構80は、ロータ34と搬送アーム17a・17bとの間でウエハWの受け渡しが行われる位置において、ロックピン押圧シリンダ81およびホルダー開閉シリンダ82がそれぞれロックピン36cとホルダー36bにアクセスできるように、図3に示した退避位置と図4に示した処理位置との間で回転自在となっている。なお、境界壁25においてホルダー開閉機構80が設けられている部分にはカバー40が設けられており、ウエハ搬送ユニット4と洗浄処理ユニット3を隔離している。
【0056】
ロックピン36cは、例えば、通常の状態では円盤35aの外側に突出した状態にあり、この状態ではホルダー36bの開閉動作を行うことができないようになっている。一方、ロックピン押圧シリンダ81は、処理位置においてロックピン36cをロータ34の内部に押し込むことができる押圧機構を有しており、また、ホルダー開閉シリンダ82は円盤35aの外側においてホルダー36bにアクセスし、ホルダー36bを開閉するように動作する。こうして、ホルダー開閉機構80がロータ34にアクセスして、ロックピン押圧シリンダ81からの押圧力によってロックピン36cがロータ34の内側に向かって押し込まれた状態となっているときには、ホルダー36bがホルダー開閉シリンダ82によって開閉自在な状態となる。
【0057】
ホルダー36bが開かれた状態においては、ロータ34と搬送アーム17a・17bとの間でのウエハWの受け渡しが可能であり、一方、ホルダー36bが閉じた状態では、ロータ34内のウエハWはロータ34から外部に飛び出すことがない状態に保持される。
【0058】
上述したホルダー36b、ロックピン36c、ホルダー開閉機構80の形態に従ってホルダー36bを開く場合には、例えば、最初に退避位置にあるホルダー開閉機構80を処理位置に移動させてロータ34にアクセスさせ、ロックピン押圧シリンダ81によってロックピン36cがロータ34の内部に押し込まれた状態に保持する。この状態においてホルダー開閉シリンダ82を動作させてホルダー36bを開く。こうして、ウエハWの搬入出が可能となり、ウエハWの搬入出作業が終了したら、ホルダー36bを閉じた状態としたうえで、ロックピン押圧シリンダ81の押圧力を解除して、ロックピン36cが円盤35aから突出した状態、つまりホルダー36bにロックが掛かった状態に戻す。次いで、ホルダー開閉機構80を退避位置に戻せば、ウエハWの次処理に移行することが可能となる。
【0059】
ロータ回転機構27に一体的に設けられた蓋体33は、図6に示されるように内側チャンバ71bが退避位置にある場合には、ロータ34が外側チャンバ71aに挿入された際に、外側チャンバ71aのロータ搬入出口62cを閉塞し、蓋体33の側面とロータ搬入出口62cとの間隙部はシール機構63aによってシールされる。また、図7に示されるように内側チャンバ71bが処理位置にある場合には、蓋体33の側面は、さらに内側チャンバ71bの搬入出口66cを閉塞し、蓋体33の側面と搬入出口66cとの間隙部がシール機構67aによってシールされる。こうしてチャンバ70から処理液が搬送部3aに飛散することが防止される。なお、外側チャンバ71aのリング部材62aに形成されたロータ搬入出口62cは、図2に示すように蓋体62dによって開閉自在となっている。
【0060】
このように、蓋体33の側面を段差や勾配を設けない円筒状に形成し、またロータ搬入出口62c・66cを同じ径とすることにより、例えば、ロータ回転機構27を内側チャンバ71bに挿入する際に、誤ってオーバーランさせた場合にも、蓋体33とリング部材66aとの衝突を回避することができる。また、内側チャンバ71bを用いた液処理においては、蓋体33はシール機構63a・67aによりシールされることから、内側チャンバ71b内の雰囲気が搬送部3a側へ漏れるのを有効に防止することが可能となっている。
【0061】
なお、シール機構63a・67aとしては、図11(a)に示す非シール時においては断面略M字型を有し、図11(b)に示すようにシール時には、所定圧力の空気等を供給することによって中央の凹部が突出して山型となり、この頂点の部分が図示しない蓋体33等に対物することでシール機能が生ずるゴム製チューブ85を用いたものが好適に用いられる。シール機構63a・67aはリング部材62a・66aのロータ搬入出口62c・66cについて2箇所ずつ形成されており、シール性をより確かなものとしている。
【0062】
なお、ゴム製チューブ85は、リング部材62a・66aに形成された溝部86に嵌合されており、薬液による劣化や経時劣化によってゴム製チューブ85が使用不能となった場合には、ゴム製チューブ85のみの交換が可能である。ただし、リング部材62a・66aにゴム製チューブ85が嵌合された別のリング部材を取り付け、ゴム製チューブ85とこの別のリング部材とを一括して交換する構造としてもよい。
【0063】
このようなガス圧を用いたシール機構を用いた場合には、ゴム製チューブ85に供給するガス圧を大きくすることで、外側チャンバ71aや内側チャンバ71b内の処理圧力が高い場合にも良好なシール性を確保することが可能である。なお、図11に示したシール機構は、後述するシール機構63b・67bについても同様に用いられる。なお、空気圧を用いないゴム製シールリング等を用いることもできるが、この場合にはシール性の強弱を調節することができない。
【0064】
蓋体33のモータ31a側には、リング状の液受け33aが配置されており、液受け33aに流れ込んだ処理液は、強制的に排液されるようになっている。ウエハWの洗浄処理の終了後に蓋体33の側面や蓋体33の円盤35bとの対向面に処理液が付着している場合には、この付着した処理液がロータ34が外側チャンバ71aから退出するようにロータ回転機構27を水平方向にスライドさせ、さらにロータ回転機構27を横姿勢から縦姿勢に変換した際に、蓋体33の側面を伝って液滴となり、洗浄処理ユニット3の床面に落下するおそれがあるが、液受け33aを設けることにより、このような処理液の液滴の落下を防止することができる。
【0065】
蓋体33には、また、洗浄液吐出ノズル73bが設けられており、洗浄液吐出ノズル73bからは、円盤35bにおける蓋体33との対向面に所定の洗浄液を吐出し、また所定のガスを噴射することができるようになっている。外側チャンバ71aに設けられた処理液吐出ノズル53から吐出される純水等の洗浄液や窒素(N2)ガス等の乾燥ガス等は、円盤35bにおける蓋体33と対向する面には直接にはあたり難いために、従来は前段で使用された薬液が洗い流され難いという問題があったが、洗浄液吐出ノズル73bを設けることで、ウエハWの洗浄処理工程に合わせて、円盤35bの洗浄および乾燥を行うことができるようになっている。
【0066】
このように、ロータ34と蓋体33とモータ31aとを一体構造としたロータ回転機構27を用い、ロータ回転機構27の姿勢変換と移動を可能としたことから、ウエハ搬送機構16とロータ回転機構27との間でウエハWの姿勢を変換する機構を設ける必要がなく、これにより洗浄処理装置1におけるウエハWの搬送系が簡単なものとされ、洗浄処理装置1のフットプリントを小さくすることが可能となる。また、ロータ34の外側チャンバ71aへの進入、退出の制御が容易となり、ウエハWの移し替えの回数が少ないことから、ウエハWの損傷やパーティクル等の付着といった汚染も抑制される。さらに、ロータ34と蓋体33とが一体的に構成されていることから、ロータ34と蓋体33との上面との間の距離dを狭く設定して外側チャンバ71aと内側チャンバ71bの体積をともに小さくすることが可能となり、こうしてチャンバ70が小型化され、また、液処理の均一性が高められる。
【0067】
さて、ロータ回転機構27において、枢軸50と枢軸50を囲繞する枢軸カバー32との間には、枢軸50が回転可能となるようにベアリング32aが配設されており、枢軸50が蓋体33を貫通する部分は、チャンバ70から薬液等が枢軸50周りに進入しないようにシール構造が採られている。また、枢軸50と枢軸カバー32との摩擦部やモータ31aはパーティクル等の発生源となることから局所排気機構が設けられ、パーティクル等が搬送部3aに拡散しない構造となっている。
【0068】
枢軸カバー32には、長さ方向軸を中心としてほぼ点対称な位置に、クランプ受け75a・75bが配設されている。一方、外側チャンバ71aのリング部材62aには、クランプレバー76a・76bが配設されており、クランプレバー76a・76bは、図5(b)中の実線で示す動作位置と点線で示す退避位置の間で所定角度回転可能となっており、動作位置においてはクランプ受け75・75bに嵌合して枢軸カバー32を挟持することができるようになっている。
【0069】
クランプレバー76a・76bを動作位置で保持して枢軸カバー32を挟持することにより、例えば、モータ31aを駆動させてロータ34を回転させた際、特に、回転開始時や回転停止時、回転速度の切替時、回転方向の反転時等、ロータ34に大きな加速度が掛かるときに枢軸50に生ずるぶれや振動を抑制して、ロータ34を安定して回転させることが可能となる。また、一定速度でロータ34を回転させている場合においても、枢軸50の回転を安定させることができる。さらに、ロータ34の回転時のぶれの発生が抑えられることで、ロータ回転機構27の構成部材へ掛かる応力が低減され、部品寿命が長期化される。
【0070】
なお、前述したように、枢軸カバー32は姿勢変換機構28と連結され、姿勢変換機構28はZ軸リニア駆動機構29と嵌合し、Z軸リニア駆動機構29はX軸リニア駆動機構30と嵌合していることから、ロータ回転機構27は結果的にX軸リニア駆動機構30によって保持されているが、クランプレバー76a・76bを用いることで、液処理中のロータ回転機構27の外側チャンバ71aへの固定をより確実なものとすることができる。
【0071】
次に、洗浄部3bの構成要素について説明する。外側チャンバ71aを構成する筒状体61aに設けられた処理液吐出ノズル53には、薬液貯蔵ユニット5等の処理液供給源から純水やIPA、各種薬液といった処理液や窒素(N2)ガス等の乾燥ガスが供給されて、処理液吐出口54からロータ34に保持されたウエハWに向かって、これら処理液等を吐出することができるようになっている。また、処理液吐出ノズル53は、図6と図7では1本のみ示されているが、複数本配設することも可能であり、必ずしも筒状体61aの真上に設けなければならないものでもない。このことは、処理液吐出ノズル55についても同様である。
【0072】
筒状体61aはリング部材62b側の外径がリング部材62a側の外径よりも大きく設定された円錐状の形態を有しており、筒状体61aはリング部材62a側よりもリング部材62b側が低く位置するように勾配を設けて配設されている。従って、処理液吐出ノズル53からウエハWに向けて吐出された各種の処理液は、自然に筒状体61aの底面をリング部材62a側からリング部材62b側に流れて、排気/排液管65aを通して、ドレイン(外部)に排出されるようになっている。
【0073】
リング部材62aの外側下部には、ロータ回転機構27を搬出する際に蓋体33やシール機構63a等に付着していた洗浄液等がロータ搬入出口62cから液漏れすることを防止するために、液受け62eが設けられており、これにより、洗浄部3bを清浄に保つことができるようになっている。
【0074】
内側チャンバ71bを構成する筒状体61bは外側チャンバ71aの筒状体61aとは異なり、リング部材66a側とリング部材66b側とで同じ外径を有する円筒形状を有しており、水平に配設されている。このため、筒状体61bの下部には処理液の外部への排出を容易ならしめるために、筒状体61bから突出し所定の勾配を有する溝部69が形成されている。こうして、例えば、内側チャンバ71bが処理位置にあるときに、処理液吐出ノズル55からウエハWに向かって吐出された処理液は、溝部69を流れ、排気/排液管65bを通してドレインへ排出される。
【0075】
なお、処理液吐出ノズル55には、薬液貯蔵ユニット5等の処理液供給源から各種薬液が供給されて、処理液吐出口56からロータ34に保持されたウエハWに向かって、各種薬液を吐出することができるようになっている。また、処理液吐出ノズル55からは、クリーニング機構90を用いて内側チャンバ71bを洗浄する際に、純水等の洗浄液および窒素ガス等の乾燥ガスを吐出することができるようになっている。
【0076】
内側チャンバ71bが処理位置にある場合には、図7に示されるように、リング部材66aと蓋体33との間はシール機構67aによってシールされ、また、リング部材66bとリング部材62bとの間がシール機構63bによってシールされ、かつ、リング部材66bと円盤92aとの間がシール機構67bによってシールされるようになっている。こうして、内側チャンバ71bが処理位置にある場合には、筒状体61b、リング部材66a・66b、円盤92a、蓋体33によって処理室52が形成される。
【0077】
一方、内側チャンバ71bが退避位置にある状態では、リング部材66aとリング部材62bとの間がシール機構63bによってシールされ、かつ、リング部材66aと円盤92aとの間がシール機構67aによってシールされるようになっている。また、ロータ34が外側チャンバ71a内に挿入されている場合には、蓋体33とリング部材62aとの間がシール機構63aによってシールされているために、内側チャンバ71bが退避位置にあるときには、図6に示されるように、筒状体61a、リング部材62a・62b、円盤92a、内側チャンバ71bのリング部材66a、ロータ回転機構27の蓋体33から、外側チャンバ71aによる処理室51が形成される。
【0078】
内側チャンバ71bが退避位置にある状態では、上述のように外側チャンバ71a側で処理室51が形成されるとともに、リング部材66aと円盤92aとの間がシール機構67aによってシールされ、リング部材66bとリング部材92bとの間がシール機構67bによってシールされて、筒状体91の外周と筒状体61bの内周との間に狭い略筒状の洗浄処理室72が形成されるようになっている。筒状体91の複数箇所に設けられたガス供給ノズル93からは洗浄処理室72に向かって窒素ガスや空気等の乾燥ガスを噴射することが可能となっており、こうして、噴射された乾燥ガスは排気管94から回収可能である。
【0079】
従って、内側チャンバ71bを処理位置に移動させて、処理室52においてウエハWに所定の薬液を供給した洗浄処理を行った後に、内側チャンバ71bを退避位置に移動させれば、形成される処理室51においては引き続き、例えば、純水を用いた洗浄処理、乾燥ガスを用いた乾燥処理を行うことができる。一方、洗浄処理室72においては、処理液吐出ノズル55から洗浄処理室72内に洗浄液を吐出し、その後にガス供給ノズル93から窒素ガスや空気等の乾燥ガスを洗浄処理室72に噴射することで、内側チャンバ71bの内部を清掃して次のウエハWの薬液処理に備えることが可能となる。なお、ガス供給ノズル93から乾燥ガスを噴射する際に処理液吐出ノズル55からも乾燥ガスを噴射させることにより、処理液吐出ノズル55の乾燥を行うことができる。
【0080】
ところで、ロータ34が外側チャンバ71aに挿入された状態において、円盤35aの円盤92aと対向している面は、円盤35bの蓋体33と対向している面と同様に、処理液吐出ノズル55から吐出される洗浄液や乾燥ガスが直接にはあたり難いことから、円盤92aに設けられた洗浄液吐出ノズル73aから円盤35aを洗浄、乾燥するために、洗浄液や乾燥ガスが吐出可能となっている。なお、洗浄液吐出ノズル73aと前述した洗浄液吐出ノズル73bを用いて、処理室51・52を所定のガス雰囲気とするために所定のガス、例えば、酸素(O2)ガスや二酸化炭素(CO2)ガス等を吐出することが可能である。処理室51・52に供給されたガスは、排気/排液管65a・65bのみならず、円盤92aに設けられた排気管73cからも排気が可能である。
【0081】
次に、フープステージ2aに載置されたフープFをフープF1とし、フープステージ2bに載置されたフープFをフープF2として、これら2個のフープF1・F2に収納されたウエハWの洗浄処理を行う場合を例に、その洗浄処理工程について説明する。まず、25枚のウエハWが所定の間隔で平行に収納されたフープF1・F2を、フープF1・F2においてウエハWの出し入れを行うウエハ搬入出口が窓部12a・12bと対面するように、それぞれフープステージ2a・2bに載置する。
【0082】
最初にフープF1に収納されたウエハWを搬送するために、窓部12aを開口させてフープF1の内部とウエハ搬送ユニット4の内部が連通した状態とする。その後に、フープF1内のウエハWの枚数および収納状態の検査をウエハ検査機構110を用いて行う。ここで、ウエハWの収納状態に異常が検出された場合にはフープF1のウエハWについては処理を中断し、例えば、フープF2に収納されたウエハWの処理に移行する。
【0083】
フープF1内のウエハWの収納状態に異常が検出されなかった場合には、フープF1に収納された全てのウエハWを、ウエハ搬送機構16を動作させて搬送アーム17aに移し替え、リニア駆動機構19および回転機構22を動作させて、ウエハ搬送機構16を搬送アーム17aがロータ34にアクセスできる位置へ移動させる。昇降機構23により搬送アーム17aの高さ位置を調節し、窓部25aを開口した状態として、ウエハWを保持した搬送アーム17aをロータ34に挿入し、ホルダー開閉機構80を用いてホルダー36b等を操作し、ウエハWをロータ34に移し替える。
【0084】
ウエハWがロータ34に保持されたら、先に図8に示したロータ回転機構27の移動形態に従って、ロータ34が外側チャンバ71a内に挿入され、また、ロータ搬入出口62cに蓋体33が位置するように、Z軸リニア駆動機構29と姿勢変換機構28とX軸リニア駆動機構30を駆動させて、ロータ回転機構27を移動させる。ロータ回転機構27が所定位置に移動したら、クランプレバー76a・76bを退避位置から動作位置へ移動させて、クランプ受け75a・75bを挟み込み、枢軸カバー32を保持する。
【0085】
次いで、シール機構63aを動作させて蓋体33の側面とロータ搬入出口62cとの間隙部をシールし、内側チャンバ71bを処理位置に移動させて、蓋体33の側面とロータ搬入出口66cとの間隙部をシール機構67aを動作させてシールし、また、シール機構63b・67bを動作させて、リング部材62bとリング部材66bと円盤92aのそれぞれの間隙部をシールして、処理室52を形成する。なお、予め内側チャンバ71bを処理位置に移動させておき、ロータ34を内側チャンバ71b内に挿入して、蓋体33の側面とロータ搬入出口62c・66cとの間隙部を、シール機構63a・67aを動作させてシールしてもよい。
【0086】
処理室52が形成されたら、ロータ34を、モータ31aを駆動させることによって所定の速度で回転させつつ、処理液吐出ノズル55から所定の薬液をウエハWに供給し、薬液処理を行う。このとき枢軸カバー32がクランプレバー76a・76bにより保持されていることから、例えば、変速回転や逆回転等を行っても枢軸50のぶれが防止される。
【0087】
薬液処理の終了後は、シール機構63a以外のシール機構63b・67a・67bについて動作を解除して内側チャンバ71bを退避位置に移動させ、その後にシール機構63b・67a・67bをそれぞれ動作させて、リング部材62bとリング部材66aと円盤92aのそれぞれの間隙部をシールし、また、リング部材66bと円盤92bと間隙部をシールする。こうして形成される洗浄処理室72では、クリーニング機構90を用いた内側チャンバ71bの洗浄、乾燥処理を行い、次ロットのウエハWの処理のための準備を行う。一方、外側チャンバ71aによって形成される処理室51においては、ウエハWを回転させながら、処理液吐出ノズル53および洗浄液吐出ノズル73a・73bから純水を吐出して水洗処理を行い、次いで、例えば、窒素ガスによる乾燥処理を行う。
【0088】
このように洗浄処理ユニット3でのウエハWの処理が行われている間に、ウエハ搬送ユニット4においては、ウエハWを保持していない状態となったウエハ搬送機構16を、搬送アーム17aがフープステージ2bに載置されたフープF2にアクセスできるように移動させ、フープF1からウエハWを搬出した方法と同様の方法を用いて、搬送アーム17aにフープF2に収納されているウエハWを移し替え、搬送アーム17aが未処理のウエハWを保持した状態で、ウエハWを保持していない搬送アーム17bが窓部25aを介してロータ34にアクセスできる位置へ、ウエハ搬送機構16を移動させる。
【0089】
洗浄処理ユニット3において洗浄処理が終了した後には、シール機構63aの動作を解除し、また、クランプレバー76a・76bを退避位置へ移動させて枢軸カバー32の保持を解除して、ウエハWを保持したロータ回転機構27を、X軸リニア駆動機構30等を駆動させて、ウエハWを搬送アーム17a・17bとロータ34との間で受け渡し可能な位置へ戻す。
【0090】
ホルダー開閉機構80を処理位置に移動させて窓部25aを開口し、そして、最初に搬送アーム17bをロータ34にアクセスさせてホルダー36bを開き、ロータ34に保持されたウエハWを搬送アーム17bに移し替え、続いて搬送アーム17aがロータ34にアクセスできるように回転機構22を動作させてテーブル21を180°回転させ、搬送アーム17aに保持された未処理のウエハWをロータ34へ移し替える。
【0091】
ロータ34に保持されたフープF2の未処理のウエハWについては、前述したフープF1に収納されていたウエハWの洗浄処理と同様の工程により洗浄処理を施し、その後にウエハWを搬送アーム17a・17bとの間で受け渡し可能な位置まで移動させる。その間に、ウエハ搬送機構16については、搬送アーム17bがフープF1にアクセスできるように移動させ、洗浄処理を終了したウエハWをフープF1に移し替え、その後に、ウエハ搬送機構16を搬送アーム17bがロータ34にアクセスできる状態としておく。
【0092】
こうして、搬送アーム17bは洗浄処理が終了したフープF2のウエハWをロータ34から受け取り、このウエハWをフープF2に収納すれば、フープF1・F2に収納されたウエハWについての洗浄処理が終了する。なお、例えば、フープステージ2cにフープF3が配置されている場合については、フープF1のウエハWの処理が終了した後に、搬送アーム17aにフープF3に収容されたウエハWを移し替え、洗浄処理が終了したフープF2のウエハWをロータ34から搬出した後に、搬送アーム17aに保持されたウエハWをロータ34に移し替えることで、連続して所定の洗浄処理を行うことができる。
【0093】
以上、本発明の実施の形態について、本発明を洗浄処理装置に適用した場合について示したが、本発明の液処理装置は、例えば、所定の塗布液を塗布する塗布処理やエッチング処理等に適用することも可能である。また、ウエハWを保持するする手段であるロータがウエハWを保持することができる枚数にも制限はない。さらに、チャンバとして二重構造を有する場合を例に説明したが、チャンバは1個でもよく、また、三重構造であってもよい。なお、基板としては半導体ウエハを例に挙げたが、これに限らず、液晶表示装置(LCD)用基板等、他の基板の処理にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の一実施形態に係る洗浄処理装置を示す斜視図。
【図2】図1記載の洗浄処理装置の平面図。
【図3】図1記載の洗浄処理装置の側面図。
【図4】図1記載の洗浄処理装置の別の側面図。
【図5】ロータ回転機構の構造を示した断面図および正面図。
【図6】ロータをチャンバに挿入した状態の一形態を示す断面図。
【図7】ロータをチャンバに挿入した状態の別の形態を示す断面図。
【図8】ロータ回転機構の移動形態を示した説明図。
【図9】ロータ回転機構の移動形態を示した別の説明図。
【図10】ロータの構造を示す斜視図。
【図11】シール機構の非シール時とシール時の状態を示した説明図。
【図12】従来のウエハ洗浄装置の一実施形態を示す説明図。
【符号の説明】
【0095】
1;洗浄処理装置
2;フープ搬入出部
3;洗浄処理ユニット
4;ウエハ搬送ユニット
5;薬液貯蔵ユニット
6;電源ボックス
16;ウエハ搬送機構
27;ロータ回転機構
28;姿勢変換機構
29;Z軸リニア駆動機構
30;X軸リニア駆動機構
31a;モータ
32;枢軸カバー
33;蓋体
33a;液受け
34;ロータ
50;枢軸
63a・63b;シール機構
67a・67b;シール機構
71a;外側チャンバ
71b;内側チャンバ
75a・75b;クランプ受け
76a・76b;クランプレバー
F;フープ
W;半導体ウエハ(基板)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を回転させながら所定の処理液を供給して液処理を行う液処理装置であって、
複数の基板を所定の間隔で略平行に保持する保持手段と、
前記保持手段に保持された基板を面内回転させるように前記保持手段を回転させる回転手段と、
前記保持手段および保持された複数の基板を収容するチャンバと、
前記保持手段を前記チャンバに進入/退出させるために前記チャンバに形成された搬入出口を閉塞する蓋体と、
基板を立設状態で保持した前記保持手段を前記チャンバに進入、退出させる基板移動機構と、
を具備し、
前記保持手段と前記回転手段と前記蓋体とは一体構造をなし、
前記基板移動機構は、
前記保持手段に保持された基板が水平状態または立設状態で維持されるように前記チャンバの外部において前記保持手段の姿勢を変換する姿勢変換機構と、
前記保持手段と前記姿勢変換機構とを高さ方向に移動させる昇降機構と、
前記保持手段と前記姿勢変換機構と前記昇降機構とを水平方向に移動させる水平移動機構と、
を有することを特徴とする液処理装置。
【請求項2】
水平状態で基板が収納された容器の搬入出を行う容器搬入出部と、前記容器搬入出部に載置された容器と前記保持手段との間で基板の搬送を行う基板搬送機構と、をさらに具備し、
前記基板移動機構は、前記保持手段を、前記基板搬送機構と前記保持手段との間で基板の受け渡しが行われる基板受渡位置と前記保持手段に保持された基板の液処理が行われる処理位置との間で移動させることを特徴とする請求項1に記載の液処理装置。
【請求項3】
前記姿勢変換機構は、前記基板受渡位置と前記処理位置との間の高さ位置で一時停止した前記保持手段の姿勢を変換することを特徴とする、請求項2に記載の液処理装置。
【請求項4】
前記姿勢変換機構は、前記基板受渡位置よりも高い姿勢変換位置で前記保持手段を姿勢変換させ、前記水平移動機構は前記姿勢変換位置よりもさらに高い前記処理位置と同じ高さ位置で前記保持手段を水平移動させることを特徴とする、請求項2に記載の液処理装置。
【請求項5】
前記蓋体に付着した処理液を回収する液受け部が前記蓋体に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の液処理装置。
【請求項6】
前記チャンバは、固定された外側チャンバと、処理位置と退避位置との間でスライド可能な内側チャンバと、からなる二重構造を有し、
前記外側チャンバは、前記保持手段が前記外側チャンバに進入、退出するために前記外側チャンバに形成された第1の搬入出口と、前記第1の搬入出口に設けられた第1のシール機構とを有し、
前記内側チャンバは、前記保持手段が前記内側チャンバに進入、退出するために前記内側チャンバに形成された第2の搬入出口と、前記第2の搬入出口に設けられた第2のシール機構とを有し、
前記保持手段が前記内側チャンバ内に収納された際に、前記蓋体の側面と前記第1の搬入出口との間が前記第1のシール機構によりシールされ、前記蓋体の側面と前記第2の搬入出口との間が前記第2のシール機構によりシールされることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の液処理装置。
【請求項7】
前記第1の搬入出口の内径と前記第2の搬入出口の内径とが同径であることを特徴とする請求項6に記載の液処理装置。
【請求項8】
前記蓋体に前記保持手段に所定の処理液またはガスを供給する処理液供給機構が配設されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の液処理装置。
【請求項9】
基板に所定の処理液を供給して液処理を行う液処理方法であって、
複数の基板を所定間隔で保持可能なロータに、所定枚数の基板を略水平姿勢で保持させる工程と、
前記ロータを上昇させながら、前記ロータに保持された前記所定枚数の基板が略立設状態となるように、前記ロータの姿勢を変換する工程と、
前記所定枚数の基板を略立設状態で保持したロータを水平方向にスライドさせて、前記ロータを処理チャンバに収容する工程と、
前記処理チャンバに収容されたロータを回転させながら、前記ロータに保持された基板に所定の処理液を供給して液処理を行う工程と、
を有することを特徴とする液処理方法。
【請求項10】
前記ロータの姿勢を変換する工程は、前記基板を略水平姿勢で保持させる工程が行なわれる位置と、前記ロータに保持された基板に所定の処理液を供給して液処理を行う工程が行なわれる位置と、の間の高さ位置で行なわれることを特徴とする、請求項9に記載の液処理方法。
【請求項11】
前記ロータに前記所定枚数の基板を収容する工程は、
前記ロータとして、所定間隔で配置された2枚の板部材と、前記板部材の間に架設され、基板を所定間隔で保持する保持部を有する係止部材と、前記板部材に取り付けられ、前記係止部材の保持部に基板を保持させる際に開かれるホルダーと、前記ホルダーをロックするロック機構と、を備えたものを用いて、
前記ロック機構を解除して前記ホルダーを開き、前記所定枚数の基板が略水平姿勢で前記係止部材の保持部に保持されるように前記所定枚数の基板を前記ロータの内部へ搬入し、前記ホルダーを閉じて前記ロック機構により前記ホルダーをロックすることによって行われることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の液処理方法。
【請求項12】
前記ロック機構を解除して前記ホルダーを開く操作は、
前記ロック機構として、前記板部材に設けられ、前記板部材から突起した状態では前記ホルダーを閉じた状態でロックし、前記板部材側に押し込まれることによって前記ホルダーを開閉することができるようになるピン部材を有するものを用い、
前記ピン部材にアクセスして前記ピン部材を前記板部材側に押し込むロック解除部材によって前記ピン部材による前記ホルダーのロック状態を解除し、前記ピン部材が前記板部材側に押し込まれた状態で前記ホルダーにアクセスして前記ホルダーの開閉駆動を行うホルダー駆動部材によって前記ホルダーを開くことによって行われることを特徴とする請求項11に記載の液処理方法。
【請求項13】
前記ロータを前記処理チャンバに収容する工程は、
前記ロータと前記処理チャンバに設けられた前記ロータの搬入出口を開閉する蓋体とが一体であるものを用いて、
前記ロータを前記処理チャンバ内に収容するとともに、前記処理チャンバのロータ搬入出口と前記蓋体との間を液密にシールすることによって、前記処理チャンバを密閉することを特徴とする請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の液処理方法。
【請求項14】
前記ロータを前記処理チャンバに収容する工程は、
前記処理チャンバとして、固定された外側チャンバと前記外側チャンバの内外で移動自在な内側チャンバとからなる二重構造を有するものを用いて、
前記内側チャンバを前記外側チャンバに収容した後に前記ロータを前記内側チャンバに収容し、前記蓋体と前記外側チャンバのロータ搬入出口との間および前記蓋体と前記内側チャンバのロータ搬入出口との間をそれぞれ液密にシールすることを特徴とする請求項13に記載の液処理方法。
【請求項15】
前記ロータに保持された基板に所定の処理液を供給して液処理を行う工程は、
最初に前記内側チャンバに収容された前記ロータに保持された基板に所定の処理液を供給して液処理を施し、その後に前記内側チャンバを前記外側チャンバの外に退避させて前記ロータが前記外側チャンバに収容された状態として前記ロータに保持された基板に別の処理液を供給して液処理を施すことを特徴とする請求項14に記載の液処理方法。
【請求項1】
複数の基板を回転させながら所定の処理液を供給して液処理を行う液処理装置であって、
複数の基板を所定の間隔で略平行に保持する保持手段と、
前記保持手段に保持された基板を面内回転させるように前記保持手段を回転させる回転手段と、
前記保持手段および保持された複数の基板を収容するチャンバと、
前記保持手段を前記チャンバに進入/退出させるために前記チャンバに形成された搬入出口を閉塞する蓋体と、
基板を立設状態で保持した前記保持手段を前記チャンバに進入、退出させる基板移動機構と、
を具備し、
前記保持手段と前記回転手段と前記蓋体とは一体構造をなし、
前記基板移動機構は、
前記保持手段に保持された基板が水平状態または立設状態で維持されるように前記チャンバの外部において前記保持手段の姿勢を変換する姿勢変換機構と、
前記保持手段と前記姿勢変換機構とを高さ方向に移動させる昇降機構と、
前記保持手段と前記姿勢変換機構と前記昇降機構とを水平方向に移動させる水平移動機構と、
を有することを特徴とする液処理装置。
【請求項2】
水平状態で基板が収納された容器の搬入出を行う容器搬入出部と、前記容器搬入出部に載置された容器と前記保持手段との間で基板の搬送を行う基板搬送機構と、をさらに具備し、
前記基板移動機構は、前記保持手段を、前記基板搬送機構と前記保持手段との間で基板の受け渡しが行われる基板受渡位置と前記保持手段に保持された基板の液処理が行われる処理位置との間で移動させることを特徴とする請求項1に記載の液処理装置。
【請求項3】
前記姿勢変換機構は、前記基板受渡位置と前記処理位置との間の高さ位置で一時停止した前記保持手段の姿勢を変換することを特徴とする、請求項2に記載の液処理装置。
【請求項4】
前記姿勢変換機構は、前記基板受渡位置よりも高い姿勢変換位置で前記保持手段を姿勢変換させ、前記水平移動機構は前記姿勢変換位置よりもさらに高い前記処理位置と同じ高さ位置で前記保持手段を水平移動させることを特徴とする、請求項2に記載の液処理装置。
【請求項5】
前記蓋体に付着した処理液を回収する液受け部が前記蓋体に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の液処理装置。
【請求項6】
前記チャンバは、固定された外側チャンバと、処理位置と退避位置との間でスライド可能な内側チャンバと、からなる二重構造を有し、
前記外側チャンバは、前記保持手段が前記外側チャンバに進入、退出するために前記外側チャンバに形成された第1の搬入出口と、前記第1の搬入出口に設けられた第1のシール機構とを有し、
前記内側チャンバは、前記保持手段が前記内側チャンバに進入、退出するために前記内側チャンバに形成された第2の搬入出口と、前記第2の搬入出口に設けられた第2のシール機構とを有し、
前記保持手段が前記内側チャンバ内に収納された際に、前記蓋体の側面と前記第1の搬入出口との間が前記第1のシール機構によりシールされ、前記蓋体の側面と前記第2の搬入出口との間が前記第2のシール機構によりシールされることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の液処理装置。
【請求項7】
前記第1の搬入出口の内径と前記第2の搬入出口の内径とが同径であることを特徴とする請求項6に記載の液処理装置。
【請求項8】
前記蓋体に前記保持手段に所定の処理液またはガスを供給する処理液供給機構が配設されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の液処理装置。
【請求項9】
基板に所定の処理液を供給して液処理を行う液処理方法であって、
複数の基板を所定間隔で保持可能なロータに、所定枚数の基板を略水平姿勢で保持させる工程と、
前記ロータを上昇させながら、前記ロータに保持された前記所定枚数の基板が略立設状態となるように、前記ロータの姿勢を変換する工程と、
前記所定枚数の基板を略立設状態で保持したロータを水平方向にスライドさせて、前記ロータを処理チャンバに収容する工程と、
前記処理チャンバに収容されたロータを回転させながら、前記ロータに保持された基板に所定の処理液を供給して液処理を行う工程と、
を有することを特徴とする液処理方法。
【請求項10】
前記ロータの姿勢を変換する工程は、前記基板を略水平姿勢で保持させる工程が行なわれる位置と、前記ロータに保持された基板に所定の処理液を供給して液処理を行う工程が行なわれる位置と、の間の高さ位置で行なわれることを特徴とする、請求項9に記載の液処理方法。
【請求項11】
前記ロータに前記所定枚数の基板を収容する工程は、
前記ロータとして、所定間隔で配置された2枚の板部材と、前記板部材の間に架設され、基板を所定間隔で保持する保持部を有する係止部材と、前記板部材に取り付けられ、前記係止部材の保持部に基板を保持させる際に開かれるホルダーと、前記ホルダーをロックするロック機構と、を備えたものを用いて、
前記ロック機構を解除して前記ホルダーを開き、前記所定枚数の基板が略水平姿勢で前記係止部材の保持部に保持されるように前記所定枚数の基板を前記ロータの内部へ搬入し、前記ホルダーを閉じて前記ロック機構により前記ホルダーをロックすることによって行われることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の液処理方法。
【請求項12】
前記ロック機構を解除して前記ホルダーを開く操作は、
前記ロック機構として、前記板部材に設けられ、前記板部材から突起した状態では前記ホルダーを閉じた状態でロックし、前記板部材側に押し込まれることによって前記ホルダーを開閉することができるようになるピン部材を有するものを用い、
前記ピン部材にアクセスして前記ピン部材を前記板部材側に押し込むロック解除部材によって前記ピン部材による前記ホルダーのロック状態を解除し、前記ピン部材が前記板部材側に押し込まれた状態で前記ホルダーにアクセスして前記ホルダーの開閉駆動を行うホルダー駆動部材によって前記ホルダーを開くことによって行われることを特徴とする請求項11に記載の液処理方法。
【請求項13】
前記ロータを前記処理チャンバに収容する工程は、
前記ロータと前記処理チャンバに設けられた前記ロータの搬入出口を開閉する蓋体とが一体であるものを用いて、
前記ロータを前記処理チャンバ内に収容するとともに、前記処理チャンバのロータ搬入出口と前記蓋体との間を液密にシールすることによって、前記処理チャンバを密閉することを特徴とする請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の液処理方法。
【請求項14】
前記ロータを前記処理チャンバに収容する工程は、
前記処理チャンバとして、固定された外側チャンバと前記外側チャンバの内外で移動自在な内側チャンバとからなる二重構造を有するものを用いて、
前記内側チャンバを前記外側チャンバに収容した後に前記ロータを前記内側チャンバに収容し、前記蓋体と前記外側チャンバのロータ搬入出口との間および前記蓋体と前記内側チャンバのロータ搬入出口との間をそれぞれ液密にシールすることを特徴とする請求項13に記載の液処理方法。
【請求項15】
前記ロータに保持された基板に所定の処理液を供給して液処理を行う工程は、
最初に前記内側チャンバに収容された前記ロータに保持された基板に所定の処理液を供給して液処理を施し、その後に前記内側チャンバを前記外側チャンバの外に退避させて前記ロータが前記外側チャンバに収容された状態として前記ロータに保持された基板に別の処理液を供給して液処理を施すことを特徴とする請求項14に記載の液処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−344980(P2006−344980A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−168288(P2006−168288)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【分割の表示】特願2000−381717(P2000−381717)の分割
【原出願日】平成12年12月15日(2000.12.15)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【分割の表示】特願2000−381717(P2000−381717)の分割
【原出願日】平成12年12月15日(2000.12.15)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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