液晶パネル及び液晶パネル製造装置
【課題】局部的な強度低下を防止し、また偏光板の不用意な剥離を抑止できる液晶パネルを提供する。
【解決手段】液晶パネル350は、相互に貼り合わされて相互の間に液晶が封入された一対の基板セル351a、351bよりなり、各基板セル351a、351bの外面には、それぞれ偏光板352a、352bが貼り付けられ、基板セル351aの一側が基板セル351bの一側よりも突出し、その突出部351aaの内面には液晶パネル駆動用の接続端子353が形成され、偏光板352aを突出部351aaの外面にまで延在させる。また、各偏光板352a、352bにおける周縁の端面352aa、352baが各基板セル351a、351bに向けて断面先細りとなっている。
【解決手段】液晶パネル350は、相互に貼り合わされて相互の間に液晶が封入された一対の基板セル351a、351bよりなり、各基板セル351a、351bの外面には、それぞれ偏光板352a、352bが貼り付けられ、基板セル351aの一側が基板セル351bの一側よりも突出し、その突出部351aaの内面には液晶パネル駆動用の接続端子353が形成され、偏光板352aを突出部351aaの外面にまで延在させる。また、各偏光板352a、352bにおける周縁の端面352aa、352baが各基板セル351a、351bに向けて断面先細りとなっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相互に貼り合わされて相互の間に液晶が封入された一対の基板セルの各外面に偏光板が貼り付けられてなる液晶パネル、及び、相互に貼り合わされて相互の間に液晶が封入されたガラス製の一対の基板セルを複数隣接して有するとともに、両面に偏光板が貼り付けられてなるガラス基板を、分断してその液晶パネルを複数得る液晶パネル製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ガラス基板の分断方法としては、分断装置の載物台上に真空吸着等の手段にてガラス基板を固定し、ガラス基板の片面側に、その外周部が超硬合金、ダイヤモンド等の硬質部材で形成されたホイール状のカッターにより、一種の亀裂であるスクライブ(以下「亀裂」と記すことがある)と呼ばれる線状の条痕を施し、反対面側よりプレス、又は転動ローラ等の押圧手段によりスクライブ線に沿って加圧し、ガラス基板のスクライブ溝に発生した、基板面に対して垂直方向のクラックを進展させて切断する、いわゆるスクライブ方法が一般的である。
【0003】
近年液晶表示素子及びこれに類する表示機器では、製品を安価に製造する目的で、予め表面にITO膜等の透明電極、絶縁膜及び配向膜などの薄膜類が形成された大版のガラス基板素材を、所望の寸法形状に分断する方法が採られる。この成膜層(以下「成膜」と記すことがある)が形成されたガラス基板の分断においては、従来のガラス基板のスクライブ方法では起こり得なかった様々な問題が生ずる。例えば、成膜面側にスクライブを施そうとすればスクライブ線付近の成膜が破壊され、微粒子状の粉塵となって飛散し、品質不良の原因となる。また、成膜形成されていない反対側の面にスクライブする方法では、成膜面が切断装置の載物台上に接触することにより成膜に傷や変形が生ずる。
【0004】
このような不都合に対し、成膜形成済みの大版ガラス基板を所定の寸法で短冊状にスクライブする場合の従来例がある(例えば特許文献1)。成膜形成面と反対側のガラス面にスクライブを施す方法によって上記の不都合の解決を図る内容である。
【0005】
図52を用いて従来例について説明する。ガラス基板101は片面に成膜102が形成されており、図示せぬ真空等の吸着手段により載物台である定盤103上面に、成膜102が上側の状態で固定されている。定盤103には所定の間隔で、直線状の開口部104が設けられており、スクライブすなわち亀裂を形成するための亀裂形成手段であるスクライブ手段105は、開口部104に沿って移動し、ガラス基板101の下面にスクライブを施す。押し出し手段106は、位置決め手段107と共に、ガラス基板101を所定の位置に導く、エアーシリンダー等の手段であり、先端に押し出しピン110が配設され、位置決め手段107先端にも位置決めピン111が配設されている。押さえ手段109は、ガラス基板101を、その成膜面側から定盤103の上面に荷重を加え、押さえつけるための手段である。
【0006】
次に作用について説明する。点線で示すa点に定盤103が位置するとき、ガラス基板101が図示せぬ搬送装置によって載置された後、やはり図示せぬ制御手段からの位置合わせ信号により、位置決め手段107先端の位置決めピン111が定盤103面上に下降する。次に、押し出し手段106先端の押し出しピン110が伸長し、定盤103上のガラス基板101が位置決めピン111に当たるまで、図の矢印方向に移動させ、ガラス基板101の切断位置と開口部104との位置合わせを行う。次に前記の制御手段が、ガラス基板101の定盤103への吸着を指示すると共に、押さえ手段109をスクライブ位置に移動してガラス基板101上面に押し圧力を印加した後、スクライブ手段105に指示し、ガラス基板101下面にスクライブを施す。スクライブの間隔毎、すなわち開口部104のピッチ毎にスクライブ手段105が移動し、スクライブを繰り返す。定盤103に形成された開口部104より、ガラス基板101下面からスクライブする方法であるため、スクライブ手段105のスクライブ荷重に対し、吸着手段によってガラス基板101を定盤103に吸着固定する力のみでは十分ではなく、これを補う目的で、ガラス基板成膜面側より押さえ手段109によって、下方向への荷重を印加する。
【0007】
しかしながら、上記従来例によるスクライブ方法(分断方法)及びスクライブ装置(分断装置)は、主として大版ガラスに保護膜を形成したガラス基板の分断を想定しているが、ITO膜等の薄膜類の形成されたガラス基板においては、下面側よりのスクライブ荷重とバランスさせるための図52の109に示すような錘状の一般的な荷重印加による押さえ手段では、押さえ手段自体の荷重により薄膜が破壊されてしまう、という問題があった。
【0008】
また、液晶表示素子のさらなる低価格化を目的として、ガラス基板分断後に行っていた偏光板、保護シートなどのフィルム類の貼り合わせなども、大版ガラス素材の状態で形成したものを分断する方法が試みられている。偏光板は、従来は液晶セル製造工程の最後に、上下ガラス基板外面に貼り付ける方法が一般的であり、ガラス基板との位置合わせや作業工程簡素化の面で低価格化の阻害要因となっていた。
【0009】
ITO膜等の薄膜類では成膜層の厚さは数μm以内であるが、偏光板等のフィルム層の場合は10μm〜0.6mm程度の厚さとなる。このようなフィルム層が形成されたガラス基板のスクライブにおいては成膜面側から直接スクライブすることは不可能である。上記従来例に示される分断方法及び分断装置ではスクライブ後の切断工程でフィルム層の存在によって切断が不可能である。
【0010】
一方従来、特に、5インチサイズ程度までの中小型の液晶パネルを製造する場合は、先ず相互に貼り合わせた大型のガラス基板を分断して短冊状のガラス基板を採取し、次いでこの短冊状のガラス基板に液晶の注入及び封止等の所定処理を施し、これを更に所定のパネルサイズのセルに細かく分断してセル単品を複数成形し、その後各セル単品毎に偏光板を貼り付けて液晶パネルを複数得るという手法が一般的であった。
【0011】
ここで、この従来の手法を用いて得た液晶パネルについて、図53に基づき説明しておく。図53は従来の液晶パネルの外観を示す斜視図であって、(a)は表面側を、(b)は裏面側をそれぞれ示している。この液晶パネル550は、相互に貼り合わされて相互の間に液晶が封入された一対の基板セル551a、551bよりなり、一方の基板セル551aの一側が他方の基板セル551bの一側よりも突出し、その突出部551aaの内面には液晶パネル駆動用の接続端子553が形成されている。また、各基板セル551a、551bの外面には、表示領域(不図示)を覆うようにそれぞれ偏光板552a、552bが貼り付けられている。これら各偏光板552a、552bは、光源からの光を透過させて表示を行ういわゆるバックライト型の液晶表示装置に適用される液晶パネルの場合、相互の大きさがほぼ同じであって、丁度基板セル551a、551bを挟んで対向配置される。
【0012】
ところで、上記の従来の手法では、セル単品毎に個別に偏光板を貼り付ける必要があるため、生産効率が極めて悪いという問題がある。たとえ専用の装置を用いて貼り付けを行うにしても、特に静電気の影響から偏光板1枚当たりの処理速度の高速化が制約される(一般には少なくとも8秒〜10秒程度を要す)ため、高い生産量(液晶パネルの個数)の確保という市場要求に対しては、多数の偏光板を同時並行して処理するために多数の装置が必要となって設備投資が大幅に嵩み、ひいては最終製品である液晶パネルのコストアップにつながるという問題が生じる。
【0013】
このような問題を回避する手法として、所定位置に分断用の切れ目を設けた偏光板をプラスチック基板に貼り付け、その後その切れ目を目安にプラスチック基板を分断して液晶パネルを複数得るという液晶パネルの製造方法がある(例えば、特許文献2)。この手法によれば、分断する前の基板に偏光板を貼り付けるので、偏光板の貼り付け工数そのものは格段に削減でき、大幅な設備投資をすることなく生産効率を向上させることができる。
【特許文献1】特開平11−64834号公報(主に明細書)
【特許文献2】特開平6−342139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、上記の手法では以下の問題点がある。第1に、偏光板自体はポリビニルアルコールを三酢酸セルロースでサンド或いはアクリル系樹脂でコーティングしたもので、その厚さが0.2mm〜0.6mm程度の薄いフィルム状であることから、その偏光板に切れ目が設けられると、不用意な負荷によってその切れ目部分が変形し易く、最終的に偏光板の撓みや破損を引き起こすおそれがある。特に基板への貼り付けの際は、その撓みや破損を抑えつつ、更に基板の所定位置に切れ目が位置するよう適切に貼り付ける必要があるため、相当の精度を有する装置を準備しなければならず、液晶パネルのコスト抑制に対して決して有利とはいえない。
【0015】
第2に、基板を分断する際に必ず偏光板自体も分断される(切れ目に沿って分断される場合でも、切れ目の両端に存在する偏光板が分断される)が、特に基板として脆性を有するガラス基板が適用された場合、基板と偏光板相互の性質が全く異なるため、何らかの工夫を施して分断しなければ、ガラス基板が不適正な位置で割損したり、或いは偏光板が不用意に剥離したり等する。つまり、品位を損なわずに分断することは極めて困難であり、この分断手法に関して課題が残る。なお、特許文献2では、基板として偏光板と同質系統であるプラスチック基板が適用されているため、その分断手法に関して特段考慮されていないのは当然といえる。
【0016】
一方、図53に示す従来の液晶パネルでは、基板セル551a、551b個々の厚さが薄い(例えばガラス製の場合、0.4mm〜0.7mm程度)ことから、特に突出部551aaでは強度が低い状況下にあると言える。従って、液晶パネルの搬送時や液晶表示装置への組み込み時に、不用意にぶつけたり落下させたりすると、突出部551aaでの割損や変形、或いは突出部551aaの角での欠損が生じるため、極めて慎重な取り扱いが要求される。
【0017】
また、近年偏光板そのものの機能が増えつつあり、偏光板は様々な光学特性を有するシートが積層されて構成されている。そのため、基板セルに貼り付けられている偏光板の周縁には、バリ、カエリ等が生じている場合が多々あり、これによって液晶表示装置への組み付けが困難となったり、偏光板が基板セルから不用意に剥がれてしまったりする。更に、偏光板の外面に剥離可能な保護用のフィルムが偏光板と一体的に積層されている場合、液晶パネルの搬送時や液晶表示装置への組み込み時に、そのフィルムが偏光板から不用意に剥離して、偏光板自身にキズをつけるという問題もある。
【0018】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、局部的な強度低下を防止し、また偏光板の不用意な剥離を抑止できる液晶パネルを提供することにあり、これと併せて、液晶パネルの生産効率を向上させるべく、偏光板が貼り付けられたガラス基板を分断して複数の液晶パネルを得る液晶パネル製造装置において、品位を損なわずに分断して上記の液晶パネルを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、相互に貼り合わされて相互の間に液晶が封入された一対の基板セルの各外面に偏光板が貼り付けられてなる液晶パネルにおいて、前記一方の基板セルの少なくとも一側が前記他方の基板セルの少なくとも一側よりも突出しており、その突出部の内面に液晶パネル駆動用の接続端子が形成され、前記突出部の外面に前記偏光板が延在していることを特徴とする。
【0020】
また、前記各偏光板の周縁が前記各基板セルの周縁の内側1mm以内に存していることを特徴とする。
【0021】
また本発明は、相互に貼り合わされて相互の間に液晶が封入された一対の基板セルの各外面に偏光板が貼り付けられてなる液晶パネルにおいて、前記各偏光板における周縁の端面が前記各基板セルに向けて断面先細りとなっていることを特徴とする。
【0022】
また、前記各端面が前記各基板セルの外面に対して90°より大きく135°以下に傾斜していることを特徴とする。
【0023】
また、前記各偏光板の外面に剥離可能な保護用のフィルムが前記各偏光板と一体的に積層されていることを特徴とする。
【0024】
また本発明は、相互に貼り合わされて相互の間に液晶が封入されたガラス製の一対の基板セルを複数隣接して有するとともに、両面に偏光板が貼り付けられてなるガラス基板を、分断して上記構成の液晶パネルを複数得る液晶パネル製造装置において、前記偏光板の一部を帯状に除去して前記ガラス基板を帯状に表出させるガラス基板表出手段と、該ガラス基板表出手段によって表出した前記ガラス基板の帯状領域に沿って分断用の亀裂を形成する亀裂形成手段と、を備え、前記亀裂に沿って前記ガラス基板を分断することを特徴とする。
【0025】
また、前記ガラス基板表出手段は、前記偏光板にレーザを照射するレーザ照射機構であることを特徴とする。
【0026】
また、前記亀裂形成手段は、前記レーザの照射によって加熱された前記ガラス基板の帯状領域に急冷用の気体を噴射する気体噴射機構であることを特徴とする。
【0027】
また、前記ガラス基板表出手段は、前記偏光板の一部を切削して除去する切削機構であることを特徴とする。
【0028】
また、前記切削機構は、前記偏光板の一部を帯状に削り取る刃物で構成されていて、その刃先の断面形状がコの字状、台形状、半円状、或いは円形のいずれかであることを特徴とする。
【0029】
また、前記切削機構は、所定間隔で対向配置され前記偏光板の一部を帯状に切断する第1、第2の刃物と、該第1、第2の刃物の間に配置され前記第1、第2の刃物によって切断された前記偏光板の帯状部分を前記ガラス基板から掻き取る第3の刃物と、から構成されたことを特徴とする。
【0030】
また、前記所定間隔が1mm〜3mmの範囲内に設定されたことを特徴とする。
【0031】
また、前記第1、第2の刃物は、同軸状に一体化した一対のホイールカッターであって、その刃先角度が30°〜90°の範囲内に設定されたことを特徴とする。
【0032】
また、前記第1、第2の刃物を構成するホイールカッターの直径が、5mm〜10mmの範囲内に設定されたことを特徴とする。
【0033】
また、前記第1、第2の刃物は、前記偏光板に対して切断が進行する方向にのみ相対的に移動可能な刃物であって、その切断進行方向に向けて順に切り込み深さが小さい複数の刃先をそれぞれ有することを特徴とする。
【0034】
また、前記第1、第2の刃物の刃先が、前記ガラス基板と接触しないように設定されたことを特徴とする。
【0035】
また、前記切削機構を構成する刃物には、除去された前記偏光板が付着しないようにコーティング処理が施されたことを特徴とする。
【0036】
また、前記亀裂形成手段は、ホイールカッターであることを特徴とする。
【0037】
また、前記ガラス基板表出手段と前記亀裂形成手段を選択的に動作させる作動機構を備えたことを特徴とする。
【0038】
また、前記作動機構は、前記切削機構を構成する刃物の進行方向が前記亀裂と交差しないような順序で前記ガラス基板表出手段と前記亀裂形成手段を動作させることを特徴とする。
【0039】
また、前記作動機構は、前記ガラス基板表出手段のみを動作させて第1の前記帯状領域を形成した後、この第1の帯状領域と直交する方向に前記ガラス基板表出手段及び前記亀裂形成手段を動作させて第2の前記帯状領域及び第1の前記亀裂を形成し、その後前記第1の帯状領域に沿って前記亀裂形成手段のみを動作させて第2の前記亀裂を形成するように動作させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
本発明の液晶パネルでは、突出部は偏光板で補強されることになり、強度が向上する。また、偏光板はその端面が不用意に引っ掛けられことがなくなり、その剥離を防止できる。
【0041】
また、本発明の液晶パネル製造装置では、基板セル同士の境界上に沿って先ず偏光板が帯状に除去され、これにより表出したガラス基板の帯状領域に沿って次に分断用の亀裂が形成された後、この亀裂に沿ってガラス基板が分断されることで、液晶パネルをなす基板セルが得られることになる。つまり、品位を損なわずに分断することが可能となり、しかも、ガラス基板へ偏光基板を貼り付ける際に格別な装置は不要で、生産効率も向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態であるガラス基板の分断方法及び分断装置、並びに液晶パネル及び液晶パネルの製造装置について、順に図面を参照しながら詳述する。なお、発明の実施の形態を説明するための各図面において、同一機能を有するものは極力同一記号を付し、重複の説明は省略する。
【0043】
先ず、本発明の第1実施形態であるガラス基板の分断方法について説明する。図1〜図3は本発明の第1実施形態であるガラス基板の分断方法を示す。図1(a)はガラス基板における成膜の除去状況を示す概略側面図、図1(b)は図1(a)を左方向より見た正面図を示す。図2は図1の詳細な作用を説明する内容であり、図3はガラス基板におけるスクライブ(亀裂)の形成状況を示す。なお、ここでいう成膜とは、オーバーコート膜、透明電極などの薄膜から、これよりも厚い偏光板などのフィルムや樹脂膜、保護膜などをいう。
【0044】
図1において、1は成膜1aが形成されたガラス基板であり、2は成膜1aの一部を帯状に切削、剥離、除去してガラス基板1を表出させるためのガラス基板表出手段を構成する彫刻刀のような剥離カッター、3はガラス基板を載置、固定する載物台である。剥離カッター2は、図1(b)に示すように断面が開口角θの略V字状を成しており、その先端刃部を成膜1aの下面、すなわちガラス基板1のガラス表面に当接しかつガラス基板に押圧した状態で、ガラス基板1上面と平行に、図1(a)の左から右方向に移動させることにより、成膜1aが剥離カッター2の先端刃部の略V字形状に沿って、図1(a)に示す剥離屑1bのように切断、剥離、除去される。剥離カッター2のガラス基板への押圧力は成膜1aの厚み、材質により調整する。この値は、厚さが数十μm位までの樹脂等の成膜の場合1N(ニュートン)以内であるが、0.5mm程度のフィルムでは数十Nとなる。
【0045】
図1(a)において剥離カッター2とガラス基板1の表面とが成す最適な切り込み角度αは、成膜1aの厚み、材質に応じて調整し、最適な値に設定して成膜の剥離を行う。剥離カッター2とその刃部先端とが成す角度βは、通常はおよそ90°で良いが、成膜1aが十数μmの薄い膜の場合、厚みのあるフィルム層の場合など、成膜の厚み、材質に応じて最も良好な剥離が行われるよう調整する。
【0046】
図1(a)の剥離カッター2による成膜1aの切断、剥離状態の詳細を図2に示す。剥離カッター2は最も簡単には厚みtの板状材料を断面が図1(b)の角度θを成す略V字状に曲げ、図2に示す様に刃部先端全域に逃げ角γを形成しV字状の彫刻刀のような切れ刃を構成する。
【0047】
図3は剥離カッター2により剥離された剥離溝5に、亀裂形成手段を構成するホイール状のスクライブカッター4を下方に押圧転動させ、スクライブ条痕(亀裂)5aを形成する状態を示す。亀裂形成手段であるスクライブ手段4には、先端部がダイヤモンド、超硬合金等で形成されたカッターホイール4aが支持軸4bにより回転自在に軸支されている。ホイールカッター4aの先端角度は、ガラス基板の厚みや材質に応じて60°〜140°程度に広く使い分けられるため、カッターホイール4aがガラス基板1表面にスクライブ条痕5aを施す際に、成膜1aに干渉するなどの影響を及ぼさぬように剥離溝部5の形状寸法を確保できるように、図1(b)に示す剥離カッター2の開口角θの大きさを設定する。
【0048】
図4(a)は本発明の第2実施形態の分断方法を示す図であり、第1実施形態を説明した図1に対し図2(b)の剥離カッターの断面形状のみが異なっている。図4(a)の第2実施形態と第1実施形態との相違点は剥離カッター12の先端刃部の開口形状がV字状でなく、ガラス基板表面に接する部分が図4(a)に示すR1の半径の円弧形状を成している点である。第2実施形態の特徴は、剥離カッター12の先端刃部断面が円弧形状であるために、図3で示した剥離溝5の底部の幅、すなわちガラス基板露出部(帯状領域)の幅が第1実施形態に比較してより広く確保でき、カッターホイール4aの先端位置合わせに余裕が生ずること、また剥離カッター先端刃部への押圧力が第1実施形態のように1点に集中しない形状であるため、剥離カッター12の先端刃部の切れ味が長持ちすること、等である。先端刃部の大きさR1及び開口角は第1実施形態と同じくカッターホイール4aの先端角度、成膜1aの厚みを考慮し、適正に設定する。その他の作用及びスクライブ形成については第1実施形態と同一なので省略する。
【0049】
図4(b)は本発明の第3実施形態の分断方法を示す。第3実施形態は第2実施形態の特徴をより積極的に進めた内容であり、剥離カッター22の先端刃部の断面形状はガラス基板1表面に接する幅L1の直線部と、成膜1aを切断する開口角θ1の斜辺部とで構成される。両者の接点部は、成膜1aの切断、剥離を良好に行うため及び剥離カッター22先端刃部の切断刃寿命を延ばすため、二つの小円弧r2でつなぐ。第3実施形態は第2実施形態に比較し、剥離溝5の底部の幅をL1で設定するので剥離溝の寸法設定が容易であることを特徴とする。先端刃部の形状、寸法となるL1及びθ1の設定は、カッターホイール4aの先端角度、成膜層1aの厚みを考慮し、適正に設定するという点は第2実施形態と同様である。その他の作用及びスクライブ形成についても第1実施形態と同一なので省略する。
【0050】
図5及び図6は本発明の第4実施形態の分断方法を示す。図5(a)は第4実施形態におけるガラス基板1上の成膜1aを2枚の対向する平板状カッター32及び32'によって切断する状態を示す側面図、図5(b)は図5(a)を矢印方向から見た正面図である。本実施形態ではスクライブする際のカッターホイール4a先端部をガラス基板1のガラス面に当接させるための成膜1aの剥離溝の形成を2枚のカッターを略平行状態に配列させて成膜1aに当接した状態で、図5(a)の矢印方向に移動させ、成膜1aを切断する。2枚のカッター32及び32'の例として図5(a)に示すような側面形状を成し、成膜1aの厚み、材質に応じた最適角度、例えば20°〜50°の範囲で切断角εが設定されるように配設し、矢印方向にガラス基板1に圧接状態で平行移動し、成膜1aを切断する。図5(b)に示すように2枚のカッター32及び32’は第3実施形態と同様、ガラス基板1をスクライブする際にカッターホイール先端部が成膜1aに干渉しない範囲で、カッター間隔L2及び傾き角θ2を設定する。
【0051】
第4実施形態においては2枚の平板カッター32及び32’によって成膜1aを切断した後も、成膜1aは図5(b)に示す剥離屑1bの状態で残っており、後工程で1b部を剥離、除去する必要がある。その手段の具体例としては第3実施形態の図4(b)で紹介した、断面が台形状又はコの字形状で、底部幅L1が図5(b)のL2と同一もしくは若干少な目の寸法形状を有する剥離カッターにより剥離、除去する。第4実施形態では切断と剥離が別工程となるが、第1〜第3実施形態に比較し成膜1aをシャープに切断することが可能であり、1mm〜2mmの厚みの大きな成膜の切断の場合でも切断面の切断品質が良好である。又、図6に示すような、周知の市販のカッター刃32bを用いることにより、カッターを安価に調達できることが特徴である。
【0052】
図7は本発明の第5実施形態の分断方法を示す。第4実施形態を発展させた内容であり、図5のカッター32を図7のカッター42に変更した点以外は第4実施形態の切断、剥離、スクライブの方法と同一内容である。従って図7の左又は右側面図は図5(b)と同一であるので省略する。第1〜第4実施形態はカッターの移動方向の一方向にのみ、成膜1aの切断、剥離が可能であるのに対し、本実施形態では切断カッター42の側面形状を図7に示すような形状にすることによって切断方向の変更に対してカッターの配設を変更することなく、図7における左右両方向への切断が可能であることを特徴とする。カッター42における切断角ε1,ε2は成膜1aの厚み、材質に最適な切削条件が得られる数値に設定する。カッター42の往復双方で切断する場合は通常ε1,ε2を同一に設定する。剥離屑1bの剥離、除去は第4実施形態と同様な方法により左右方向別々に行う。
【0053】
図8は本発明の第6実施形態の分断方法を示す。本実施形態では剥離カッター52はカッター刃52aと保持部52bとにより構成される。本実施形態のカッター刃52aは上記第1〜第5実施形態の分断法で用いられる成膜1aの切断、剥離用カッターの何れもがカッター刃52aに応用可能である。保持部52bは成膜1aの切断、剥離の作業の際にカッター刃52aを保持する、いわゆる柄の役割を果たすとともに、保持部52bの長さ寸法や、断面形状を所定寸法の矩形形状等に統一し、標準化することによって、剥離カッター52を治具や装置に固定して成膜の切断、剥離を行う場合、第1〜第5実施形態のカッターの全てを同一の治具や装置に差し替えて使用することができる。
【0054】
また、保持部52bを適度な弾性を有する弾性体、例えばジュラコン、デルリン等の樹脂やさらに柔軟な弾性を有するシリコンゴムやニトリルゴムなどのゴム類、場合によっては木材等の材料で形成することにより、剥離する成膜層の厚みや硬さのばらつき等が発生した場合でも保持部52bの弾性作用により切断剥離抵抗のばらつきを吸収する効果があり、本実施形態の技術を応用した分断装置を製作する場合にも安全機構として応用できる。なお、このような剥離カッター52に与えられる弾性作用は、後述の第9実施形態で述べるコイルバネ77a、77b(図15、図17参照)の作用を活用しても構わない。
【0055】
第1〜第6実施形態で使用する、成膜1aの切断、剥離用カッターの刃部は一般的な炭素工具鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼等の材料を、必要に応じて熱処理などの硬化処理を施したものを用いるが、材質や厚みの異なる様々な成膜1aを適切に切断、剥離可能なものであるならば前記材料に限定されるものではない。また、本実施形態の成膜1aの切断、剥離用カッターは第1〜第5実施形態に示した断面形状を長尺状に形成することにより、先端刃部を再研磨し繰り返し使用することでカッター刃の長寿命化を実現可能としている。
【0056】
図9は本発明の第7実施形態の分断方法を示す。本実施形態の分断方法では、スクライブの前工程としての成膜1aの剥離除去は前記第1〜第6実施形態の何れでも良い。すなわち第1〜第6実施形態においては図3に示すように、切断、剥離、除去によって成膜1aに剥離溝5を形成し、剥離溝5の底部1c、すなわちガラス基板1の帯状領域にスクライブ手段4を押圧転動させ、スクライブ条痕5aを施す分断方法であった。第7実施形態ではガラス基板の成膜面と反対側の面にスクライブして分断する。
【0057】
図9に示すように、ガラス基板1は載物台3に図示せぬ真空吸着等の固定手段により固定されている。載物台3にはスクライブ手段4がガラス基板1の下面側よりスクライブするための長穴3aが形成されている。本実施形態は、第1〜第6実施形態で説明した方法によりガラス基板1上に形成された剥離溝5の底部1cの鉛直方向直下の反対側面にスクライブ条痕5cを形成する方法である。
【0058】
スクライブ工程の後のガラス基板の分断工程では、スクライブ条痕を施した反対側面より加圧し、スクライブ条痕のクラックを進行させてガラス基板を分断する。成膜1aに形成された剥離溝5の底部1cにスクライブする方法の場合、スクライブ後の分断工程でスクライブ面と反対面より加圧、切断する必要があり、例えばガラス基板のスクライブ側、すなわち成膜面を直接定盤面に載置し、上側よりプレスや転動車輪により荷重を印加し切断する方法では切断時の加圧により、載物台上と接する成膜層が破壊、変形を生じる恐れがあるが、第7実施形態の分断方法によれば剥離溝5の形状寸法に合わせた板状プレス治具又は転動ローラによる押圧を図9の剥離溝底部1cに矢印B方向に集中的に加圧して、スクライブ条痕5cを垂直方向に進展させ、分断が可能であり、成膜1aに加圧することも接触することもなくガラス基板の分断が可能である。
【0059】
図10〜図13は本発明の第8実施形態の分断方法の内容を示す。本実施形態は主として樹脂フィルム等の、0.05mm〜2mm程度の比較的厚みのある成膜が形成されたガラス基板において、スクライブ前の成膜剥離の切削、剥離を良好に行うために配慮したもので、第1実施形態及び第2実施形態に使用した剥離カッターの利点を組み合わせ、丸棒状材料から第1実施形態又は第2実施形態の先端刃部形状を形成し、より良好な成膜の剥離を行うことを目的とする。
【0060】
図10は本実施形態に使用する剥離カッター62の正面図及び側面図を示す。超硬合金あるいは炭素工具鋼等の丸棒状の材料に、剥離カッターとして加工を施す。d1は丸棒材料素材の外径であり、剥離する成膜の厚みにより適正寸法のものを使用するが通常5mm〜10mmのものを使用する。Fは外周d1の一部を図10のように外周に平行にカットし、他の部分の加工の基準面及び第6実施形態で説明した、図8に示す保持部52bと同様の役割を持たせる目的のフラット保持部である。剥離カッター62の全長L3は剥離カッターの保持具や装置により決定するが、本実施形態では35mmの設定とした。図10正面図に示すように剥離カッター62の端面部より開口角θnの断面略V字状の剥離用刃部を長さL4に形成する。θnの値については後に詳述する。刃部長L4は、剥離する成膜の材質、厚みにより決定する寸法で5mmないし10mmとするが、本実施形態では7mmとしている。図のi部より右側の、刃部溝後端部は半径R3の緩やかな円弧形状の溝とし、剥離された線状の剥離屑1bを円滑に排除する機能を持たせる。本実施形態ではR3を38mmとしている。断面V字状の刃部の底部の形状R4の値も成膜の材質、厚み及びスクライブカッターの寸法により0.5mm〜1mm程度の寸法範囲に設定する。本実施形態ではR4を0.5mmとしている。刃部先端は成膜を残さず剥離除去する工夫が必要であり、先端角はθ7、θ8の2段構成に形成する。図10及び図13のt1は刃部先端からθ7とθ8の境界線までの長さであり、詳細は図12のC方向矢視図に示す。本実施形態ではt1を0.3mm、θ7を30°、θ8を40°に設定している。t1を0.3mm程度の微少寸法に設定することにより、実質的な先端角θ7を30°と少な目に設定し剥離切削性を良好に確保しながら刃部先端のt1部のみ先端角θ8を40°に設定し、剥離カッター62の刃部先端の強度を確保する効果を目的としている。
【0061】
次に第8実施形態の作用効果について図示内容中心に説明する。図11は剥離カッター62によりガラス基板1上の成膜1aを剥離除去している状態を示す。ガラス基板に対する剥離カッターの配置角度θ9は剥離切削におけるすくい角に相当し、成膜の厚み、材質により35°〜45°の範囲で適正値を設定する。本実施形態では厚み1mmのゴム系成膜の剥離切削において43°に設定し、良好な剥離結果を得た。また図11は剥離カッター62がH方向に移動し、成膜1aを切断、剥離する状態を示すが、剥離後の剥離屑1bは図10にGで示す円弧形状溝に沿って円滑に排除される。剥離カッター62の鉛直下方向、すなわちガラス基板1の表面下方への押圧力は1〜40N程度で良く、大きな押圧力を加えると成膜下のガラス表面にキズが発生し、スクライブ工程で悪影響が発生する。
【0062】
図10のθnについて、剥離カッター62正面図の拡大図である図12により説明する。θ3は剥離カッター62の先端刃部の切れ刃を構成する開口角であり、スクライブカッター先端角度に応じて50°〜140°に設定する。θ4は先端刃部より3mm〜10mm奥側に入った位置の開口角であり、θ3に対し3°〜6°の範囲で小さく設定する。θ4の値をθ3より小さく設定する理由と効果について図13により説明する。図13は図12のカッター62の切れ刃部の任意の位置m−n部を上方より見た断面図である。θ4をθ3より小さく設定することにより、剥離カッター62がK方向に進行して成膜1aを切断剥離する際、切削方向に対しδ2の角度を形成する。このδ2の存在は切削理論における、いわゆるせん断角を大きくする役割を担い、成膜の切断、剥離を良好にする。実験の結果、1mm厚の樹脂製成膜においてδ2が無い場合すなわちθ3とθ4を同一角度に設定した場合に比べ、格段に切削剥離の作業性及び切削品質の向上が確認された。本実施形態では例えばθ4を80°としたときはθ3を84°、すなわちθ4を4°小さく設定した場合が最も成膜の切削性が良好であり、前記のようにθ3に対しθ4を3°〜6°の範囲で小さく設定すればほぼ同様の良好な切削品質が得られた。なお、剥離カッター先端開口角θ3に対し奥部のθ4の開口角を小さく設定することにより得られる切削性の向上は成膜の厚みが0.5mm以上で材質が樹脂やゴム系の場合に顕著に確認された。
【0063】
なお、図10におけるδ1は刃部先端が剥離カッター62外周に対し直角にならず、図の下方内側にわずかに傾斜した形状となることを示しており、θ3をθ4に対し小さく設定することにより結果的にδ1が発生することを意味する。また、図12におけるθ5,θ6は刃部先端付近をC方向より見た断面図であり、例えばθ3を84°、θ4を80°に設定した場合、図10及び図12にてθ7を30°、θ8を40°とした場合でもθ5は約22°、θ6は約31°となることを意味する。
【0064】
剥離カッター62の材質は前記のように超硬合金や、炭素工具鋼など熱処理可能な材料を加工後に先端刃部のみ熱処理する、あるいは全体を熱処理するなど何れの方法でも良い。また第8実施形態は成膜の剥離カッターの形状と剥離方法に特徴を持たせた内容であり、剥離後のスクライブ工程は第1実施形態に代表される方法もしくは第7実施形態の方法の何れでも可能である。
【0065】
次に本発明の第9実施形態として第1〜第8実施形態の分断方法を応用した分断装置を説明する。図14は上記第1〜第8実施形態の分断方法を用いた分断装置の正面方向の説明図である。66は下方にスクライブカッター及び/又は剥離カッターを具備するとともにスクライブカッター及び剥離カッターを、図示せぬ周知の油圧、空圧又はバネ力等の押圧手段によりガラス基板1に対し所定の荷重で押圧しながら、周知のボールスライド等からなるガイドレール67に沿って図の左右方向に平行移動するスクライブユニットであり、図14の例においてはタイミングベルト65にスクライブユニット66の一部が固定され、図示せぬモーター等の駆動手段によりプーリ64が回転し、プーリ64に張架されているタイミングベルト65の移動によって、ガイドレール67に沿って必要量移動する。スクライブユニット66の駆動手段は、図の説明ではタイミングベルトによる方法を示したが、ボールネジ等周知の移動手段とこれを駆動するモーター及び制御装置による駆動方法でも良い。
【0066】
本体部60、載物台63及び支持台63aは一体に構成され、載物台63には図の上下方向に適切な配置で吸着孔が設けられ、図示せぬ真空吸着等の固定手段によってガラス基板1を載物台63上面に固定する。載物台63及び支持台63aは本体部60内に格納されている回転駆動手段によって、図14の上方又は下方から見て90°回転可能である。移動ブロック200は本体部60上をコの字状にまたぐユニット全体であり、左右一対のボールネジ68及びガイド69により、図示せぬモーター等の駆動手段及び制御手段により本体部60に対し、図14の前後方向に所定量移動可能な構成となっている。以上説明のように本実施形態の分断装置はスクライブユニット66の摺動移動と載物台63が90°回転する構成によって、ガラス基板1にX−Y方向に格子状にスクライブを施すことが可能である。
【0067】
図15は図14におけるスクライブユニット66の構造を詳細に示したものである。71はユニット基板であり、図14のタイミングベルト65及びガイドレール67に係合され、スクライブユニット66全体が摺動移動する。74はユニット基板71とスクライブ基板75を結合する結合部であり、結合部74の後面部74bはユニット基板71背面よりボルト等にてユニット基板71と一体固定されている。結合部74の前面部74a及び後面部74bは、図示の蟻溝又はドブテイルなどと呼ばれる摺動手段、又はボールスライド等の周知のスライド手段により、前面部74aと一体固定されているスクライブ基板75とともに上下方向に摺動移動可能となっており、図示せぬコイルバネの張力により、結合部74の前面部74aと、これと一体結合されたスクライブ基板75を、ユニット基板71に対し常時上方向に引き上げている。上方向への引き上げのストッパーはユニット基板71にマイクロメータ固定ブロック73を介して固定されたマイクロメータネジ72の先端部である。マイクロメータネジ72はスクライブ基板75のユニット全体の上下方向位置を、後述の剥離手段やスクライブ手段の先端の上下位置を微調整し、適切な位置に固定する役割を行う。
【0068】
スクライブ基板75には回転軸83によって略L字形状の剥離ブロック81とスクライブブロック82が同軸で回転自在に軸支されている。同じくスクライブ基板75に固定された支持ブロック76には先端にフック状の引っかけ部を有する調整ネジ76a及び76bがネジ嵌合されており、それぞれのフック状の引っかけ部と、剥離ブロック81のアーム上方にネジ固定されているバネ掛けネジ78b及びスクライブブロック82のアーム上方に同じくネジ固定されているバネ掛けネジ78aとはコイルバネ77a及び77bにより張架されている。この構造により、剥離ブロック81及びスクライブブロック82は回転軸83を支点として、図15の右方向前面から見て常に反時計方向に回転する力がかかっている。すなわち剥離手段202とスクライブ手段14は常に下方に押し下げられた状態となっている。前記反時計方向回転のストッパーは剥離ブロック81及びスクライブブロック82の上方向アーム部にネジ嵌合にて係設されたストッパーネジ80a及び80b先端が、スクライブ基板75に固定されたストッパー兼押圧手段79に配設された先端部79a及び79bに当接することで果たされる。剥離手段202及びスクライブ手段14の下方への押圧荷重はスクライブ手段14が約10〜20N程度、剥離手段202が1〜40N程度と異なるためそれぞれの適正荷重に対応するコイルバネ77a及び77bの張力を設定する。張力の微調整は調整ネジ76a及び76bの支持ブロック76へのねじ込み量にて行う。84は成膜面検出手段であり、周知のリニアスケールや差動トランス等の電気的検出手段により先端検出部と一体のスピンドルの伸長によりガラス基板の成膜面の上下位置を、図示せぬ信号ケーブルを介して電気信号として検出する。成膜面の検出手段84の先端84aはナイロン、テフロン(登録商標)等の樹脂製転動車輪で構成され、検出部の測定力も0.2N(ニュートン)以下の低目に設定され、成膜1a表面にキズ、変形が発生せぬよう工夫されている。図16(a)は図15の剥離ブロック81、スクライブブロック82、ガラス基板表出手段である剥離手段202、スクライブ手段14及び成膜面検出手段84などの要部を上方より見た平面図であり、成膜検出手段84,剥離手段202及びスクライブ手段14が同一線上に配設されることによってスクライブユニット66の1回の移動により成膜1aの剥離及びガラス基板1上面のスクライブの双方を同時に行うことが可能であることを示している。
【0069】
次に本発明の第9実施形態の分断装置の動作及び作用を説明する。図17は図14に示す分断装置においてスクライブユニット66が左端待機位置にある状態、すなわち成膜面検出手段84の検出先端84a、剥離手段202及びスクライブ手段14が何れもガラス基板1上面より外れた位置にある状態の正面図を示す。この状態で剥離ブロック81及びスクライブブロック82はコイルバネ77a及び77bの張力により回転軸83を支点に反時計方向に回転力を与えられているが、ストッパーネジ80a及び80bの先端部がストッパー兼押圧手段79の先端部79a及び79bに当接した状態で反時計方向回転のストッパーを成し、静止状態にある。分断装置としての動作はまず最初の移動命令信号によりスクライブユニット66が図17のM矢印方向に移動する。成膜面検出手段84の検出先端84aが剥離ブロック81の右方向への移動にともなってガラス基板1に乗り上げると成膜1aの表面位置を検出し、ストッパー兼押圧手段79に内蔵されているエアーシリンダーが伸長し、先端部79aがストッパーネジ80aを規定量だけ押し、剥離手段202先端が、ガラス基板1の成膜1aの厚みを検出手段84の検出結果に基づいて補正し、ガラス表面位置に達するように制御される。スクライブユニット66が図17のL5寸法だけ移動すると、剥離手段202が成膜1aの切断、剥離を開始する。スクライブユニット66がさらに図17のL6寸法だけ移動するとスクライブ手段14先端のカッターホイール14aが、成膜1aの剥離された後のガラス基板1上面に乗り上げる。スクライブブロック82にはコイルバネ77bの張力によって反時計方向回転力が働いており、この作用によりカッターホイール14a先端には下方に所定の押し下げ力が働いている。この押し下げ力によってガラス基板1の表面をスクライブする。図18は剥離手段202が成膜1aの剥離を、スクライブ手段14が剥離後の露出されたガラス基板1の上面をスクライブしている状態を示す。前述のようにスクライブ手段14の先端のカッターホイール14aは検出手段先端84aと同様な転動車輪を構成しており、剥離手段202のようにガラス基板1の表面位置を予め検出し、カッターホイール14aの先端の上下位置を調整する必要はなく、転動車輪状のカッターホイール14aが下方に押し圧状態で移動することによってガラス基板1上面にスクライブを施すことが可能である。したがって図18の状態ではスクライブブロック82を時計方向に回転駆動するストッパー兼押圧手段79の先端部79bは動作していない。
【0070】
なお、図17及び図18に示す85は粉塵除去手段の例であり、例えば軟質性の樹脂やゴム製のホースのような、スクライブユニット66と共に、フレキシブルに移動可能であり粉塵除去手段85の開口部を剥離手段202及びスクライブ手段14の近傍に配設し、真空など負圧供給手段によって剥離やスクライブ後の粉塵を除去するものであるが、発生する粉塵の大きさや量によっては噴射空気のような正圧供給手段を用いることも有効である。剥離後の成膜は第8実施形態で説明した、図10のGのような剥離手段202に設けた除去手段により除去可能であるが、微細な剥離屑の除去には剥離手段202の直後付近にブラシ状の除去装置を設けても良い。
【0071】
図18においてスクライブユニット66がさらに移動し検出手段84の検出先端84aが成膜1a上面位置より下方に外れるとスクライブ工程終了の信号を発する。この時点より予め入力された検出先端84aと剥離手段202先端との距離、すなわち図17に示すL5寸法を越えるだけ、スクライブユニット66が移動し、剥離が完了した後ストッパー兼押圧手段79の先端部79aが図示せぬ制御手段によりエアーシリンダーをさらに伸長し、剥離手段202をガラス基板1表面より上方に離した状態に制御する。スクライブ手段14も同様な制御が必要となるが、剥離手段と同様、図17に示す検出先端84aとカッターホイール14aとの距離L6分だけスクライブユニット66を移動後上方に開放する方法も可能であるが、スクライブ実行中はストッパー兼押圧手段79の先端部79bとストッパーネジ先端80bとは離れており、スクライブが完了してカッターホイール14aがガラス基板1の上面より下方に外れると同時にコイルバネ77bの張力により先端部79bと、ストッパーネジ先端80bは接触する。これを電気的接点のON信号に用いてエアーシリンダーを伸長させ、スクライブ手段14をガラス基板上方に開放することも可能である。後者の方が技術的には簡便である。以上のように成膜1aの剥離と、剥離後のガラス基板1表面へのスクライブが完了後、剥離手段202及びスクライブ手段14がガラス基板に干渉せぬように上方に押し上げた状態で駆動手段スクライブユニット66を待機位置まで戻す。図14で説明した移動ブロック200が図14の前後方向に必要量だけ移動し、再度剥離及びスクライブを繰り返す。このようにして成膜が形成されたガラス基板1を所望の間隔に短冊状にスクライブすることが可能である。さらに図14で説明した載物台63を90°回転後同様な工程を施すことにより、成膜ガラス基板の格子状のスクライブが可能である。
【0072】
また、成膜ガラス基板に格子状に成膜剥離及びスクライブを施す手段として、図14の説明で述べたように、スクライブユニット66が図14の左右方向に、移動ブロック200が図14の前後方向に移動することを利用しても可能であり、更に載物台63が図14の前後方向に移動する構造とすることでも可能である。この場合、図14のスクライブユニット66下端のスクライブ手段と剥離手段が一体でガラス基板面に対して90°旋回する構成とする必要がある。具体的には、後述の第18〜第21実施形態を示す図41に記載の移動ユニット410のような構成である。図41の移動ユニット410における430は偏光板を切断する2枚の対向するホイールカッターであるが、これを1枚のスクライブ用カッターホイールに、460を剥離手段に置き換えた一体構成とすることで、前記90°旋回する機能を付与することが可能であり、更に180°旋回可能な機能を持たせることで、X、Yの各方向の往復両方向に成膜剥離及びスクライブを施すことが可能となる。
【0073】
剥離手段202とスクライブ手段14は、剥離及びスクライブの開始、終了のタイミングがそれぞれ異なり、剥離及びスクライブ終了後スクライブユニット66が待機位置に戻る際、剥離手段202とスクライブ手段14がガラス基板に接触、干渉せぬよう、上方に持ち上げて開放する必要があるため、ストッパー兼押圧手段79に内蔵され、図示せぬ制御手段により伸長の量及びタイミングを制御するエアーシリンダーも剥離ブロック用の先端部79aとスクライブブロック用の先端部79bに2箇所それぞれ分けて配設する必要がある。第9実施形態では図18に示すように剥離手段202は第1実施形態で紹介した剥離カッターをカッター止めネジ86で剥離ブロックに固定する方法としたが、第1〜第6実施形態及び第8実施形態で説明した分断方法に用いた剥離カッターの何れもが本実施形態の分断装置に応用可能である。剥離手段202の先端位置は成膜1a剥離の際、ガラス基板1の表面位置に正確に配置させることが必要となるが、ストッパーネジ80a及び80bのねじ込み量によりそれぞれの先端の上下方向位置を適正な状態に調整する。最も微細な位置調整を要するのは剥離手段202先端の上下方向位置であり、剥離工程に入る直前にガラス基板1のガラス上面位置に導くことが必要であり、この微調整は最後に前記マイクロメータネジ72の調整によって正確に調整する。ナット203はストッパーネジ80のねじ込み量調整後に固定するためのものである。また、第9実施形態では図18に示すように剥離ブロック81の形成された溝に剥離手段202をねじ止めにて固定する構成としたが、剥離手段のガラス基板面に対する切り込み角度の調整に関する構成の具体例として図示しないが、剥離ブロック81の水平方行アームの中央よりやや剥離手段202寄り付近を回転軸を介して回転する構造に分割し半固定状態の構成として、剥離手段202が成膜1aを剥離する角度を適正値に調整した後クランプ手段により固定する機構を設けることで実現可能である。
【0074】
次に本発明の第10実施形態の分断装置について説明する。第9実施形態では図16(a)に示す様に剥離手段202とスクライブ手段14をスクライブユニットの移動方向に対して同一線上に配置し、スクライブユニットの1回の移動で成膜剥離とスクライブを同時に行う方法であったが、第10実施形態は剥離手段202とスクライブ手段14を短冊状にスクライブする間隔に合わせて配設する方法である。本実施形態における剥離ブロック81'とスクライブブロック82’の平面上の位置関係は図16(b)に示す。短冊状にスクライブする際のスクライブユニットの進行方向が図16(b)の矢印方向とすれば剥離ブロック81’は進行方向先端側に設置し最初に剥離工程が実施される構成としなければならない。剥離手段202とスクライブ手段14の間隔S1は、スペーサ204の厚みを調整するなどの方法により短冊状にスクライブするピッチ間隔に合わせる。スクライブユニットの1回の移動により成膜剥離とスクライブの双方を行う点は第9実施形態と同一であるが、成膜剥離が完了した溝にスクライブユニットがピッチ分だけ移動してスクライブする内容が相違点である。大版状のガラス基板を所定のピッチでスクライブする際、第9実施形態に比較しスクライブユニットの移動が2工程分余計に必要となるが、第9実施形態との比較では分断装置をスクライブユニット移動方向に伸長する必要がなく、分断装置を幅方向にコンパクトに設計することが可能である。また剥離手段202の進行方向より後部に適切な剥離屑除去手段を、スペース面で余裕をもって設置することが可能であり、スクライブ時に剥離溝に残る剥離屑の影響を受けにくいことも特徴である。分断装置としてのその他の基本的な構成は第9実施形態とほぼ同一なので省略する。
【0075】
本発明による第11実施形態であるガラス基板の分断方法及び分断装置について図19により説明する。第9実施形態では剥離カッターの先端を剥離工程の最初に正確にガラス基板のガラス上面位置に配設する手段として電気的信号を検出する検出手段を剥離手段前方に設け、成膜上面位置を検出してプログラマブルコントロールその他の制御手段にて成膜厚みを補正し、剥離手段先端をガラス基板上面位置に導く方法を紹介したが、成膜1aが1mm以上の厚みの場合では、厚み寸法のばらつき等の影響により剥離手段先端がガラス基板表面より上側位置に導かれた場合、成膜の剥離が不十分で剥離溝底部に除去されぬ成膜が残ったり、逆にガラス基板表面より下方に導かれた場合は剥離初段先端がガラス基板端面に当たり、甚だしい場合はスクライブユニットを破損するなどの問題が懸念される。特にガラス基板1の端部、すなわち成膜1aの剥離開始時にこのようなトラブルが発生しやすい。第11実施形態はこの種の問題解決手段に関するもので、分断の対象となる大版のガラス基板の外周に逃げ部(成膜不要部)を形成し、ガラス基板切断の際、この成膜不要部を捨て去ることを前提として問題の解決手段としている。図19(a)に示す方法は、原材料である大版ガラス基板端面部に成膜を形成しない逃げ部Sを形成しておく。Sの寸法は成膜の厚みや分断装置の制御能力によっても必要量が異なるが、例えば2〜10mmに設定する。剥離手段先端はS寸法の範囲内で先ずS部のガラス表面に剥離手段先端を当接させてスクライブユニットを移動させる方法であり、剥離カッター先端のコントロールのばらつきをS寸法の範囲内で吸収し、ガラス基板表面に確実に当接させた後、成膜部の外端より余裕を持って成膜剥離が可能である。図19(b)に示す方法は逃げ部Sの成膜を予め除去することはせずに、剥離手段先端がガラス基板下方へ1〜40N程度の押圧力を設定した状態で成膜剥離を行うことを利用したものであり、剥離手段先端が図の左端の成膜ガラスの外端部付近より成膜剥離を開始し、剥離手段先端は図のR5のような軌跡を描いてS’の範囲でガラス基板表面に達する。図の斜線部を施した部分は成膜の一部が残るため、このS’の部分を逃げ部としてガラス基板切断の際捨て去る。図19(b)で説明の工程をY方向スクライブとすれば先にX方向の剥離及びスクライブを施して剥離溝5を形成した後90°回転させて格子状に同様な剥離及びスクライブを行う様子を示している。本実施形態においてはガラス基板を格子状にスクライブする場合は(a)、(b)双方共に外周全域に逃げ部S又はS'を設ける必要がある。S1,S2は短冊状にスクライブする場合のピッチ間隔を示し、通常は同一寸法を設定する。
【0076】
なお、第11実施形態の内容は上記した分断方法と分断装置の双方に適用される。成膜ガラスのスクライブ方法において、極端な場合手作業にて成膜を剥離手段にて剥離するケースでも、スクライブ及び切断前の大版状のガラス基板の外周端部の成膜の剥離残りが発生する問題が存在し、第11実施形態で説明した外周に成膜不要部を設ける手段はこの問題を解決する。また、分断装置としては、第9実施形態で説明した剥離手段先端を剥離開始時にガラス基板のガラス面位置に導く方法として、検出手段により成膜表面位置を検出して成膜厚み量を補正し、剥離開始時の剥離手段先端の上下方向位置決めを行う方法は、成膜の厚みのばらつきが大きい場合では精度の面で実現が困難になる。この問題の解決手段としても第11実施形態の様に、ガラス基板外周に成膜不要部を設ける前提とすれば、分断装置の設計、構成の負担が大幅に軽減される。
【0077】
図20は本発明の第12実施形態の分断装置の原理を示す説明図であり、図9で説明した前記第7実施形態の分断方法を分断装置に適用させたものである。本実施形態の分断装置は、図20(a)に示すように載物台3にはガラス基板1を、図示せぬ真空等の負圧供給手段により固定するための複数の負圧供給経路209が適切な配置で設けられているとともに、スクライブ手段4がガラス基板1下面側よりスクライブするための長穴3aがスクライブするピッチに対応した間隔で設けられている。本実施形態の分断装置では、ガラス基板1の成膜1aを剥離除去する剥離手段と、スクライブ手段4のそれぞれの先端が、進行方向より見て鉛直方向線上に位置し一体で移動し、剥離手段が形成する剥離溝5の直下にスクライブ5cが形成される。本実施形態の場合、スクライブの後のガラス基板分断工程において成膜剥離溝5に沿って切断する必要があるため、図20(a)のようにスクライブ手段4先端のカッターホイール4aは前述の様に進行方向より見て剥離溝5鉛直方向直下に配置させる必要があるが、図の前後方向であるカッター移動方向にはそれほど厳密な位置合わせを必要としない。ガラス基板のスクライブではガラスの厚みにもよるが、10N以上の荷重を印加してスクライブする必要があり、ガラス基板下方よりスクライブする分断装置ではスクライブ手段4の押し上げ力によってガラス基板1が載物台3に設けた吸着手段から外れる恐れがあり、これを防止する手段として図20(a)に示す荷重のバランス車輪205を剥離手段の移動方向に対して後方直近位置に配設する。荷重バランス車輪205は先端がスクライブ手段4の先端のカッターホイール4aとほぼ同一な寸法形状の、ポリウレタンゴム等の軟質材からなる回転自在の転動車輪であり、ガラス基板1を載物台3に安定的に固定するために、スクライブ荷重P1とバランスの取れる押圧加重P2を印加しながら剥離手段の直後に位置させ、剥離手段を追う形で移動する。錘状の荷重印加手段により成膜面に直接荷重を印加してガラス基板の固定力のバランスを保つ方法では保護膜が破壊したり傷ついたりする恐れがあるが、本実施形態ではガラス基板下面側のスクライブと同時に上面に剥離手段により施された成膜面剥離後の剥離溝底部に荷重バランス車輪を必要な印加荷重を加え押圧転動させることにより、成膜1aには全く接触せず、キズ等の心配が無くガラス基板を安定的に固定した状態でスクライブが可能である。なお、図20(a)では剥離手段を省略して描いている。
【0078】
スクライブ後のガラス切断(分断)はスクライブを施した反対面側より荷重を印加し、スクライブ部のクラックを進展させる方法で行う。このため、第9〜第11実施形態では成膜の剥離溝5の底部にスクライブを施し、成膜面裏側より荷重を印加し切断する。これに対し第12実施形態ではガラス基板下面にスクライブを施すと同時にスクライブ直上位置の成膜を剥離して断面が必要な寸法形状の剥離溝を形成することにより、図20(b)に示すようにスクライブ条痕5cの直上位置の剥離溝5に適切な寸法のウレタン等の樹脂又は金属からなる線材207を載置し、先端に線材と適度に勘合する凹状溝を有する回転コロ206を50〜200Nの荷重P3を線材を介して印加し、押圧転動させることにより、ガラス基板の上下反転を全く行うことなく、ガラス基板の成膜剥離、スクライブ及び切断が可能な分断装置を提供できる。208は分断時使用するクッション材である。本実施形態はスクライブ後のガラス切断を、分断装置に切断機能を付加した、スクライブ及び切断の一体装置としてまとめることも可能であるし、分断装置にてスクライブした後、切断装置にて切断しても良い。本実施形態はガラス基板のスクライブ、さらには分断に至るまでガラス基板の装置への固定を含め、各工程での条件面で成膜面に接触、加圧などを行う必要が全くなく、成膜品質の維持、保護が可能であることを特徴とする。さらに回転コロ206の代わりに剥離溝5の底部と位置的に整合する板状プレス部材で切断しても良い。
【0079】
図21及び図22に本発明の第13実施形態を示す。本実施形態の特徴は、原則的に成膜剥離工程とスクライブ工程は別工程とし、後工程のスクライブの際、図22の載物台の突起部13aにてガラス基板の成膜側を受けて支えるための不要部11cを成膜側に形成する点にある。
【0080】
図21は液晶表示装置などの製品に使う製品部と不要部の分離を前提とした成膜11aの剥離を説明した内容である。図22は図21で成膜11aを剥離除去した後にガラス基板の反対面側の剥離溝の直下(図22の上下関係で示すと直上)にスクライブを施す方法及び状態を示したものである。
【0081】
本実施形態の作用等について図示内容を基に説明する。ガラス基板11は片面に成膜11aが形成された上記実施形態と同様のものである。載物台3にはガラス基板11を真空等の負圧供給手段によって固定する吸入経路6が所定のピッチ配置で複数形成されている。ガラス基板11の一端面であるA端面を基準に不要部11c、製品部11dの幅方向の必要寸法に対応したピッチ間隔で図示せぬ剥離カッターにより剥離溝15を形成して行く。剥離溝15の形成方法は第1及び第2の実施の形態と同様であるので詳しい説明は省略する。不要部11cの寸法はガラス基板や成膜11aの厚み、製品部11dの寸法及び図22に示す吸入経路16の寸法に関連する強度的条件によって必要寸法を設定する。不要部11は最終的には廃棄する部分なので必要最小限にとどめたいが、ガラス基板のブレイク(分断)工程でスクライブ形成面の反対面側より荷重をかけて切断する場合にガラス基板11厚みとの比で小さくしすぎると切断が困難となる場合があるのでその点も考慮し、かつ後工程で説明する図22の載物台突起部13aの必要最小限寸法以上に確保して寸法設定する。製品部11dの寸法は液晶表示装置などの製品サイズに必要に応じて仕上げ代を加えて設定する。
【0082】
図22は図21に示した剥離工程の後にガラス基板11を上下に反転させて載物台13に固定し、剥離面と反対側の面にスクライブを施す方法及び内容を説明したものである。本実施形態においてスクライブを行うための載物台13は図21に図示した載物台3とは異なるもので、剥離工程により形成した不要部の寸法及びピッチ間隔に対応した位置に突起部13a及び凹部13bが図示のように交互に配設されている。突起部13aの上面は同一高さであり、成膜11aが剥離除去された図21の不要部11cの成膜面側を受けて支持固定する。固定方法は吸入経路16により従来方法と同一の負圧供給手段にて行う。この状態で図22の上下関係で言えばガラス基板11に形成された剥離溝15の直上位置にスクライブカッター4によってスクライブ条痕を形成して行く。剥離溝15の直上位置にスクライブを施す方法としてはA端面を基準に、周知の光学式センサー等の検出手段又は突当式治具、ボールネジや又はサーボモータによるタイミングベルト等によるスクライブカッター4の駆動手段、及び数値制御式等のコントロール手段の組合せによって、図21に示す剥離溝11aの形成位置に対応したガラス基板反対面の所望の位置にスクライブを施すことは容易である。凹部13bは製品部11dの成膜部が載物台に接触してキズ発生や破損することを防止するためのものである。
【0083】
本実施形態ではガラス基板の成膜面と反対側の面にスクライブを施すので、スクライブ工程で成膜の影響を何ら受けることなく、スクライブが可能である。また、スクライブ面と反対側面の成膜はスクライブ条痕に対応した位置が溝状に剥離されているので、ガラス基板のブレイク工程においても成膜層の存在の影響を受けない。さらに本実施形態の上記説明では先ず成膜剥離工程を行い、しかるのちにスクライブを実施する方法として説明したが、前述のように剥離溝15aとスクライブ条痕15aの形成位置を前記コントロール手段により制御することは容易であるので、図22に示すスクライブ工程を先に行うことも可能である。
【0084】
本発明の第14実施形態について図23を基に説明する。第3実施形態の前記説明では片面成膜のガラス基板の成膜剥離及びスクライブについて説明したが、本実施形態は両面に成膜が形成された場合の分断方法である。ガラス基板21に不要部21c及び製品部21dを形成する点は第3実施形態と同様である。これらと寸法的に対応する突起部23a及び凹部23bを設けた載物台23を剥離、スクライブの双方の工程で使用する。成膜剥離の際、図23に示す突起部23a及び凹部23bが形成された載物台23を用いて両面に成膜が形成されたガラス基板の成膜剥離を先ず片面側に、次いでガラス基板21を反転させて反対面側に順次行う。両面の剥離溝形成部位及びスクライブ形成部位の上下関係を鉛直方向に揃えることはA端面を基準に前記コントロール手段を用いて容易に実現可能である。本実施形態においては片面毎の成膜剥離を両面済ませた後に片面毎のスクライブを行うことも可能であり、また片面側の成膜剥離とスクライブ形成を済ませた後に反対面側の両工程を行う方法も可能である。
【0085】
以上詳細に説明したように、上記の実施形態によれば、成膜の一部を亀裂形成に必要な量だけ帯状に除去しつつ、表出したガラス基板の帯状領域に沿って分断用の亀裂が形成されるので、オーバーコート膜、透明電極などの薄膜から、偏光板などのフィルムや樹脂膜、保護膜など1〜2mmの厚さを有する成膜に至るまでの、あらゆる種類の成膜が形成されたガラス基板について、成膜の存在に影響されることなく、ガラス基板を分断することが可能な分断方法及び分断装置を提供できる。なお、上記各実施形態に基づき具体的に説明した内容に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【0086】
続いて、本発明の液晶パネル及び液晶パネルの製造装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。先ず、本発明の第15実施形態である液晶パネルについて詳述する。図24は第15実施形態の液晶パネルの外観を示す斜視図であって、(a)は表面側を、(b)は裏面側をそれぞれ示し、図25はその液晶パネルの縦断面図である。
【0087】
この液晶パネル350は、相互に貼り合わされて相互の間に液晶が封入された一対の基板セル351a、351b(ここで、基板セル351aはTFT基板であって、以下「TFT基板セル」と記すことがあり、基板セル351bはカラーフィルタ基板であって、以下「カラーフィルタ基板セル」と記すことがある)よりなり、TFT基板セル351aの一側がカラーフィルタ基板セル351bの一側よりも突出し、その突出部351aaの内面には液晶パネル駆動用の接続端子353が形成されている。この接続端子353には、液晶パネル350が液晶表示装置に搭載された状態で電気的な信号を受け取って液晶パネル350を点灯させるための、FPC(Flexible Printed Circuit)や、COG(Chip On Glass)が接続される。
【0088】
また、この液晶パネル350は、バックライト型の液晶表示装置に適用されるものであり、各基板セル351a、351bの外面には、ほぼ全域に亘ってそれぞれ偏光板352a、352b(ここで、偏光板352aはTFT基板セル351a側のものであって、以下「TFT側偏光板セル」と記すことがあり、偏光板352bはカラーフィルタ基板セル351b側のものであって、以下「カラーフィルタ側偏光板セル」と記すことがある)が貼り付けられている。ここで、各偏光板352a、352bに要求される機能から見れば、各偏光板352a、352bは、表示領域(不図示)を覆うこと、すなわち相互の大きさがほぼ同じで、丁度基板セル351a、351bを挟んで対向配置されることで十分であるが、本発明の液晶パネル350では、敢えてTFT側偏光板セル352aを突出部351aaの外面にまで延在させている。この理由を以下に説明する。
【0089】
液晶パネル350を構成する基板セル351a、351b個々の厚さは、例えばガラス製の場合、0.4mm〜0.7mm程度と非常に薄いため、相互に貼り合わされて表示領域を包含した重畳領域では厚さが2倍になって強度が増す反面、突出部351aaはTFT基板セル351a単体の厚さのままで強度が低い状況下にあると言える。一方で、TFT側偏光板セル352aの厚さは0.2mm〜0.6mm程度あるため、この厚さを活用して突出部351aaを補強するという狙いで、TFT側偏光板セル352aを突出部351aaの外面にまで延在させているわけである。これにより、突出部351aaは強度が増し、搬送時や液晶表示装置への組み込み時に、不用意にぶつけたり落下させたりしても、突出部351aaでの割損や変形、或いは突出部351aaの角での欠損が生じ難くなる。
【0090】
なお、TFT側偏光板セル352aの縁から突出部351aaの縁までの距離h(図25参照)、すなわち外側にガラスが表出している幅は、1mm以内で十分突出部351aaの強度を補償できる。この表出幅は、その他各偏光板352a、352bの縁に対する基板セル351a、351bの縁においても同様である。
【0091】
また、各偏光板352a、352bにおける周縁の端面352aa、352baが各基板セル351a、351bに向けて断面先細りとなっている。具体的には、これら端面352aa、352baは、詳細は後述する液晶パネル製造装置400のレーザ照射機構420や切削機構460により形成されるものであって、傾斜面や曲面である。これにより、各偏光板352a、352bは、液晶パネル350の搬送時や液晶表示装置への組み込み時に、その端面352aa、352ba(特に角部)が不用意に引っ掛けられことがなくなり、剥離は防止される。なお、各偏光板352a、352bの外面にこれと一体的に保護用のフィルムが積層されている場合、同様に各偏光板352a、352bからのフィルムの剥離防止に対して効果がある。
【0092】
ここで、各端面352aa、352baの好適な態様について述べる。各端面352aa、352baの好適な態様を見極めるにあたり、代表的に、詳細は後述する第18実施形態の液晶パネル製造装置400を用い、切削機構460の刃物461の刃先形状を種々変更(具体的には、図32(a)に示すコの字状断面や、図32(b)に示す台形状断面の刃物)して、偏光板352a、352bや基板セル351a、351bに与える影響を調査した結果を図26に示す。
【0093】
図26は、図25に示す偏光板352a、352bにおける周縁の端面の傾斜角度g(刃物461の側刃の立ち上がり角度)に対する諸特性、すなわち偏光板352a、352bや基板セル351a、351bに与える影響の度合いを模式的に表した図である。傾斜角度gとしては、90°〜135°強を選定し、諸特性としては、突出部351aaの強度、偏光板352a、352bの三角州状欠け、保護用のフィルムの剥離、及び、基板セル351a、351bと偏光板352a、352b間を接着していた接着剤の残存という4項目を選定し、それぞれの傾斜角度gに対し各項目について、良好、普通、及び不良の3基準で判定している。図26に示すように、いずれの項目でも普通以上を満足するには、傾斜角度gが90°より大きく135°以下の範囲であり、この範囲で各端面352aa、352baが傾斜している状態が好適と言える。
【0094】
なお、この調査により判明した好適条件は、端面352aa、352baが傾斜面の場合に適用されるものであるが、端面352aa、352baについては、各基板セル351a、351bに向けて断面先細りとなっている限り、曲面であっても構わないのは勿論である。また、基板セル351a、351bの材質については、ガラスに限るわけでもなく、更に、偏光板352a、352bを貼り付ける段階については、生産効率を望まなければ、個々の基板セル351a、351bに分断した後に、所定のサイズにカットされた偏光板352a、352bを貼り付けることでもよい。
【0095】
引き続き、上記したような液晶パネル350の製造に好適な液晶パネル製造装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、具体的に液晶パネル350を製造する手順については、最後に述べる。
【0096】
先ず、本発明の第16実施形態の液晶パネル製造装置について説明する。図27は第16実施形態の液晶パネル製造装置の外観を示す概略斜視図、図28はガラス基板の要部拡大図である。図27に示すように、液晶パネル製造装置400は、概略、上面に偏光板302を貼り付けた短冊状のガラス基板301が載置される載物台であるベッド(不図示)と、このベッドの上方で水平移動可能な移動ユニット410とから構成されている。その移動ユニット410には、下方に向けて突出するように、レーザ照射機構420、分断用のホイールカッター430、及び距離センサ440が搭載されていて、これらは移動ユニット410と一体となって移動する。
【0097】
レーザ照射機構420は、一般の加工機に用いられるCO2レーザ装置であって、高出力のレーザを照射するものである。ホイールカッター430は、後述するようにガラス基板301に分断用の亀裂を形成するもので、その直径u1は2.5mm程度、その刃先角度w1は120〜150°程度の鈍角となっていて(図29参照)、ガラス基板301に対して一定の押圧力を付与すべくスプリングバネやエアバネ(不図示)を介して移動ユニット410に支持されている。距離センサ440は、ベッド上に載置されたガラス基板301上の偏光板302の上面の変位を検出する接触式のセンサであって、レーザ照射機構420及びホイールカッター430と偏光板302の上面との距離を一定に保つよう制御することに活用される。このような制御を行っているのは、レーザ照射機構420に対してはレーザの焦点を安定させ、一方ホイールカッター430に対しては押圧力をより安定させるためである。これらを搭載する移動ユニット410の移動速度としては、ホイールカッター430の移動速度として適正な200〜500mm/秒程度が設定されているが、もちろん、この速度においてレーザ照射機構420のレーザ出力は十分に対応できる。
【0098】
次に、上記の液晶パネル製造装置400の動作について説明する。図27に示すように、移動ユニット410が、ガラス基板301におけるセル同士の境界上を矢印Dの方向に移動していくが、その際、先ずレーザ照射機構420が、偏光板302に向けてレーザを照射しながらホイールカッター430よりも先行して移動していく。これにより、レーザが照射された偏光板302の一部分は熱によって順次溶融して除去され、ガラス基板301が帯状に表出して帯状領域11が形成されていく。そのレーザ照射機構420に後続してその帯状領域311に沿ってホイールカッター430が移動していき、分断用の亀裂312(以下、「スクライブ」と記すことがある)を形成していく(図28参照)。
【0099】
このようにして、ガラス基板301におけるセル同士の境界上に亀裂312が形成され、その後必要に応じてガラス基板301に負荷を与えると、この亀裂312に沿ってガラス基板301が簡単に分断され、液晶パネルが得られる。なお、ガラス基板301に負荷を与えるまでもなく、亀裂312が形成されると同時にそれが進展して分断される場合もあるが、亀裂312に沿って分断されることに変わりはない。また、実際には、生産効率を考慮して、複数あるセル同士の境界全てに対して、移動ユニット410を水平移動させて、上記した液晶パネル製造装置400の動作を順次繰り返し、更に、ガラス基板301を上下反転させてガラス基板301の裏面にもホイールカッター430によりスクライブした後、分断することになる。仮に、その裏面にも偏光板302が貼り付けられている場合は、上記した液晶パネル製造装置400の動作を行う。
【0100】
このように液晶パネル製造装置400は、偏光板302が貼り付けられたガラス基板301であっても、ガラス基板301が不適正な位置で割損したり、或いは偏光板302が不用意に剥離したりすることがないため、効率よく品位の優れた液晶パネルを得ることに対して極めて有効である。
【0101】
なお、レーザ照射機構420としてCO2レーザ装置を適用しているがこれに限らないし、ホイールカッター430の形状寸法も上記に限定される訳ではない。また、距離センサ440としても接触式のセンサに限らず、非接触式のものであっても構わない。
【0102】
次に、本発明の第17実施形態の液晶パネル製造装置について、図30に基づき説明する。なお、図中で図27〜図29と同じ名称で同じ機能を果たす部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。後述する第18〜第21実施形態においても同様とする。第17実施形態の特徴は、第16実施形態におけるホイールカッター430を気体噴射機構450に置き換えた点にある。図30に示すように、移動ユニット410には、レーザ照射機構420の後段に、ガラス基板301の帯状領域311に向けて気体を噴射するノズル451を有した気体噴射機構450が備えられている。このノズル451から噴射される気体としては、圧縮空気や不活性ガス(例えば窒素ガス)が適用される。
【0103】
このような液晶パネル製造装置400の動作は、上記した第16実施形態のものと基本的には同じであるが、スクライブが形成される態様において異なる。これを以下に説明する。レーザ照射機構420から照射されたレーザは、偏光板302の一部を加熱溶融させて除去すると同時に、それによって表出したガラス基板301の帯状領域311も加熱していて、この帯状領域311は高温になる。そして、その高温状態の帯状領域311は、後続して移動してきた気体噴射機構450のノズル451から噴射された気体により急激に冷却されて熱収縮し、クラックが生じる。本実施形態では、このクラックを分断用の亀裂312として活用する。
【0104】
次に、本発明の第18実施形態の液晶パネル製造装置について、図31、図32に基づき説明する。第18実施形態の特徴は、第16実施形態におけるレーザ照射機構420を切削機構460に置き換えた点にある。図31に示すように、移動ユニット410には、ホイールカッター430の前段に、偏光板302に対して所定の角度で突出する刃物461で構成される切削機構460が備えられている。
【0105】
このような液晶パネル製造装置400の動作は、上記した第16実施形態のものと基本的には同じであるが、偏光板302の一部を除去する態様において異なる。これを以下に説明する。切削機構460が、ガラス基板301におけるセル同士の境界上を移動していくと、偏光板302は刃物461によって彫刻刀のように削り取られ、ガラス基板301が帯状に表出して帯状領域311が形成されていく。ここで、削り取られた偏光板302の切屑302aは刃物461に沿って除去される。
【0106】
このような切削機構460によれば、簡単に帯状領域311を形成することができ、しかもその切削機構460が機械的な構成で足りることから、切り込み量の管理やメンテナンスを容易に行える。
【0107】
ここで、刃物461の刃先形状について、その一例を図32に基づき説明する。図32(a)に示すように、断面形状がコの字状の刃物であると、偏光板302を一定の幅で削り取ることができ、表出したガラス基板301の帯状領域311の幅も安定する。また、図32(b)に示すように、台形状断面の刃物であると、上記したコの字状断面の刃物と同様の作用が生じることに加え、ガラス基板301上に残される偏光板302の切断面が斜面となるため、その偏光板302が不用意に剥離することは少なくなる。しかも、削り取られた偏光板302の切屑302aに与える刃物461からの摩擦抵抗が事実上減少するので、その切屑302aは円滑に刃物461に沿って除去される。
【0108】
また、図32(c)に示すように、半円状断面の刃物であると、上記した刃物と同様の作用が生じることに加え、切屑302aに与える刃物461からの摩擦抵抗がより減少するし、更に刃物461自体の製作が容易に行えるという利点が生じる。ただし、帯状領域311の表出度合いが減少する点に注意が必要である。また、図32(d)に示すように、円形断面の刃物であると、上記した半円状断面の刃物と同様の作用が生じることに加え、刃先を軸回転させる回転機構を付与することによって、刃先全周を切削に使用することができ、刃物461の寿命向上につながる。ただし、切屑302aを排出する機構を付与する必要がある。
【0109】
次に、本発明の第19実施形態の液晶パネル製造装置について、図33〜図36に基づき説明する。第19実施形態の特徴は、第18実施形態における切削機構460を変形した点にある。図33に示すように、移動ユニット410には、ホイールカッター430の前段に切削機構460が備えられているが、この切削機構460は、図34、図35に示すように、所定間隔vで対向配置され各々1つの刃先を有する一対の刃物462、463と、これら刃物462、463同士の間の下部に配置された刃物464とから構成されている。ここで、刃物464は所定間隔vと同一の幅を有しており、刃物462、463同士を所定間隔vで一定に保つ役割を果たしている。また、刃物462、463同士の間の上部には、刃物464と同様に所定間隔vと同一の幅を有した支持部材465が配置されていて、この支持部材465は移動ユニット410に支持されている。これら刃物462、463、464、及び支持部材465は、刃物交換を踏まえてビスやリベット等によって一体化されている。
【0110】
このような液晶パネル製造装置400の動作は、上記した第18実施形態のものと基本的には同じであるが、偏光板302の一部を除去する態様において若干異なる。これを以下に説明する。図33、図36に示すように、切削機構460が、ガラス基板301におけるセル同士の境界上をガラス基板301の短辺方向(図中で矢印Dの方向)に移動していくと、先ず刃物462、463によって偏光板302が帯状に切断されていく。次いで、その切断された偏光板302の帯状部分は、刃物464によってガラス基板301から掻き取られて切屑302aとなり、刃物464に沿って除去されていく。これと同時に、ガラス基板301が帯状に表出して帯状領域311が形成されていく。
【0111】
このような切削機構460によれば、上記した第18実施形態の効果と同様の効果が得られることはもちろんであるが、特に複数の刃物を組み合わせて切削機構460が構成されるため、例えば、ガラス基板301の帯状領域311の幅を変更したい場合は、単に刃物464のみを交換すれば達成でき、また、個別に刃物が劣化した場合は、その刃物のみを単独に交換できる。つまり、帯状領域311の幅の多様化に対して対応がし易く、また刃物自体のランニングコストの低減に対して有効である。
【0112】
次に、本発明の第20実施形態の液晶パネル製造装置について、図37に基づき説明する。第20実施形態の特徴は、第19実施形態における一対の刃物462、463の形状を変形し、偏光板302に対しての切断抵抗を抑止するように図った点にある。第19実施形態における刃物462、463のような各1つの刃先では、偏光板302が厚い場合、必然的にその刃先が負担する切断負荷が大きくなる、言い換えれば、偏光板302に対しての切断抵抗が大きくなることから、切断中に偏光板302が変形したり、切断の終端部で三角州状の欠けが生じたりするような問題を誘発する。そこで本実施形態では、図37に示すように、刃物462’、463’各々には、切断進行方向(図中で矢印Dの方向)に向けて順に切り込み深さが小さい複数の刃先を設けている(図では2つづつ)。このようにすれば、1つの刃先が負担する切断負荷が小さくなるため、偏光板302に対しての切断抵抗も小さくなって上記のような問題も誘発され難くなる。
【0113】
次に、本発明の第21実施形態の液晶パネル製造装置について、図38、図39に基づき説明する。第21実施形態の特徴は、第19実施形態における一対の刃物462、463をホイールカッターに置き換えた点にある。図38に示すように、移動ユニット410には、ホイールカッター430の前段に切削機構460が備えられているが、この切削機構460には、図34、図35に示した一対の刃物462、463の代わりに、図39に示すように、所定間隔vで同軸状に対向配置された一対のホイールカッター466、467を備えている。このようにすれば、偏光板302に対しての切断抵抗をより抑えることができる。ここで、ホイールカッター466、467の刃先角度w2は、切り込み深さを確保しつつ、ガラス基板301上に残される偏光板302の切断部からの不用意な剥離を防止する観点から、30〜90°の鋭角となっている。またその直径u2は、回転軸の設置スペースや高速切断化のための周速の確保、更に自身の強度確保といった点を考慮して、5mm〜10mmとなっている。
【0114】
ここで、その他第18〜第21実施形態に共通する事項について、以下に補足しておく。本発明の液晶パネル製造装置400によれば、偏光板302の一部を刃物やホイールカッターによって帯状に切削除去していく訳であるが、その際に、刃物等がガラス基板301まで到達すると、刃物等の刃先が欠損したり、ガラス基板301上にキズが生じたりするおそれがある。特にこのキズはガラス基板301における予定しない割損や品位低下を招いてしまうため好ましくない。一方、ガラス基板301と偏光板302との間には、実際には、両者を貼り付けている微小な厚さを有する接着層が存在している。そこで、これら刃物等の刃先がガラス基板301に到達しないようその接着層内に収まるように初期設定され、更に切削中は位置センサ440によりモニタ制御されている。またその代替策としては、刃物材料として偏光板302より硬くガラス基板301より軟らかい材質のものを用いることでもよい。
【0115】
また、ガラス基板301の帯状領域311の幅については、液晶パネルにおける偏光板302の有効領域を確保することや、品位を損なわず容易に分断用の亀裂312を形成することを踏まえて、1mm〜3mmの範囲内、好ましくは1mm〜2.5mmの範囲内が適正である。従って、これを再現するように、刃物等の寸法を設定する必要があるが、特に第19〜第21実施形態では、一対の刃物462、463やホイールカッター466、467間の所定間隔vをその範囲内に設定することで容易に達成できる。
【0116】
更に、切削された偏光板302の切屑302aを刃物等に停滞させることなく円滑に除去する観点から、刃物等にはその切屑2aが付着しないようテフロン(登録商標)やダイヤモンド等のコーティング処理が施されている。これによって、その刃物等の寿命も向上する。
なお、本発明の液晶パネル製造装置は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。例えば、ガラス基板301と偏光板302とを貼り付けている接着剤については限定はなく、アクリル系やシリコン系の一般の接着剤が適用できるが、特に第19〜第21実施形態では、偏光板302を刃物465によって掻き取ることから、製品レベルで問題のない程度に接着強度を適度に保持しつつ、掻き取り易いものを選定することが好ましい。また、偏光板302の表面に保護用のラミネートフィルムが貼り付けられていてもよく、製品出荷時時にそれを剥がすことによって、表面に付着した溶融物やガラス分断用のカレット(細かいガラス片)を取り除くことができるので好ましい。また、上記の実施形態では、移動ユニット410がベッドに対して移動するようになっているが、ガラス基板301を載置したベッドの方が移動するようになっていても構わない。
【0117】
次に、このような液晶パネル製造装置400を用い、具体的に上記の液晶パネル350を製造する手順について、図面を参照しながら詳述する。図40は液晶パネル350の素材となるガラス基板の外観を示す斜視図、図41はそのガラス基板に対する液晶パネル製造装置の概略側面図、図42はその液晶パネル製造装置を動作させた後のガラス基板の縦断面図である。また、図43はそのガラス基板の外観を示す斜視図であって、(a)はTFT側を、(b)はカラーフィルタ側での分断位置をそれぞれ示している。なおここでは、代表的に、第18実施形態の液晶パネル製造装置400を用い(図31参照)、切削機構460の刃物461として刃先形状が台形状断面のもの(図32(b)参照)を適用する。
【0118】
先ず、液晶パネル350の素材として、相互に貼り合わされた一対のTFT基板301a、カラーフィルタ基板301bからなるガラス基板301を準備する。このガラス基板301は、格子状に分割配置すなわち隣接配置された複数のTFT基板セル51a及びカラーフィルタ基板セル51bが形成されており、各一対のTFT基板セル51a、カラーフィルタ基板セル51b間には液晶が封入されている。また、TFT基板301a、カラーフィルタ基板301bの各外面には、全てのTFT基板セル51a、を覆うように、それぞれTFT側偏光板302a、カラーフィルタ側偏光板302bが貼り付けられている(図40参照)。これらTFT側偏光板302a、カラーフィルタ側偏光板302bの各外面には、保護用のフィルムが積層されている。
【0119】
次いで、このガラス基板301をTFT基板301a側が上になるように液晶パネル製造装置400のベッド上にセットし、移動ユニット410が、隣接するTFT基板セル351a同士の平行な境界U1、U2・・・(図43参照)のうち、境界U1上を、ガラス基板301の端から端まで一方向(図31、18中で矢印Dの方向)に移動していく。これにより、TFT側偏光板302aが刃物461によって削り取られ、TFT基板301aが帯状に表出して帯状領域311a(図42参照)が形成されていく。これに後続して、その帯状領域311aに沿ってホイールカッター430が移動し、スクライブ312a(図42参照)が形成されていく。
【0120】
その後、ガラス基板301を水平面内で平行移動させ、順次境界U2、U3・・・に対して上記の動作を繰り返し、次いで、ガラス基板301を水平面内で90°回転させ、今度は境界U1、U2・・・と直角な境界Q1、Q2・・・(図43参照)に対して上記の動作を繰り返し、スクライブ312b(図43参照)が形成される。
【0121】
次に、ガラス基板301を反転させて、今度はカラーフィルタ基板301bに対して上記の動作を繰り返すわけであるが、この動作は、TFT基板301aに対する動作とは若干異なる。つまり、上記の境界U1、U2・・・に対向するカラーフィルタ基板セル351b同士の境界V1、V2・・・(図43参照)とともに、TFT基板セル351aに突出部351aaを形成すべく、その境界V1、V2・・・と平行に各々所定距離隔てて境界W1、W2・・・(図43参照)が設定されている。そして、境界V1、W1、V2、W2・・・と交互で順に、ガラス基板301の端から端まで一方向(図31、図41中で矢印Dの方向)に移動していく。
【0122】
これにより、カラーフィルタ側偏光板302bが刃物461によって削り取られ、カラーフィルタ基板301bが帯状に表出して帯状領域311c、311d(図42参照)が交互に形成されていく。これに後続して、その帯状領域311c、311dに沿ってホイールカッター430が移動し、スクライブ312c、312d(図42参照)が形成されていく。
【0123】
その後、ガラス基板301を水平面内で90°回転させ、上記の境界Q1、Q2・・・に対向するカラーフィルタ基板セル351b同士の境界T1、T2・・・(図43参照)に対して上記の動作を繰り返し、スクライブ312e(図43参照)が形成される。
【0124】
そして、必要に応じてガラス基板301に負荷を与えることで、各スクライブ312a〜312eに沿って、一対のTFT基板セル351a、カラーフィルタ基板セル351b毎に分断される。その際、カラーフィルタ基板301b(フィルタ側偏光板302bも含む)におけるスクライブ312dとスクライブ312dとの間に存する部分354(図42ではハッチング部)は、不要部分として除去される。これにより、TFT基板セル351aに突出部351aaが形成されるわけである。最後に、この突出部351aaの内面に設けられた接続端子353にCOGやFPCを接続し、液晶パネル350が完成する(図24参照)。
【0125】
このようにして完成した液晶パネル350においては、突出部351aaを含むTFT基板セル351aの外面ほぼ全域に亘ってTFT側偏光板セル352aが、他方フィルタ基板セル351bの外面ほぼ全域に亘ってカラーフィルタ側偏光板セル352bがそれぞれ貼り付けられた状態になっている。
【0126】
また、各TFT側偏光板セル352a、カラーフィルタ側偏光板セル352bにおける周縁の端面352aa、352baは、刃物461の側刃の立ち上がり角度が反映されて、傾斜面に切断され、更に、各TFT基板セル351a、カラーフィルタ基板セル351bの外面における周縁の表出幅は、刃物461における下刃の幅のほぼ半分が反映されている。つまり、刃物461の形状寸法を調整することで、液晶パネルの強度や偏光板の耐剥離性に対し、上記したような好適な状態に簡単にし得る。
【0127】
なお、第18実施形態以外の他の実施形態による液晶パネル製造装置400を用いても、上記と同様の手順で液晶パネル350を得ることは勿論可能である。
【0128】
ところで、このように大版のガラス基板より液晶パネルを切り出す場合、横方向(Y方向)及び縦方向(Y方向)の両方向に対して前述の分断動作を行う必要があるが、順序によっては次のような問題が発生する。その様相について、図44〜図48を参照しながら説明する。先ず、図44に示すように、偏光板302が貼り付けられたガラス基板301に対してX方向の分断を施す場合、ガラス基板表出手段としての切削機構460である例えば刃物461にホイールカッター430を後続させた移動ユニット410をX方向に移動させ、偏光板302の剥離除去とスクライブを同時に行う。すると偏光板302を剥離して帯状領域311が形成されると同時に、その帯状領域311上の中央にスクライブライン(分断を行うための亀裂)312が形成される。次に、X方向と直角なY方向も同様に、図45に示すように、刃物461にホイールカッター430を後続させた移動ユニット410をY方向に移動させ、偏光板302の剥離除去とスクライブを同時に行う。この分断では、スクライブを行うホイールカッター430に先行して刃物461を走行させるため、従来のガラス分断工程のみの場合とほぼ同様の処理時間で偏光板付のガラス基板の分断を行えることになる。
【0129】
ただし、図46に示すように、先に形成されたX方向のスクライブライン312に直交するY方向に刃物461を移動させる場合、ガラス基板301上の帯状領域311に押さえつけた刃物461の先端がスクライブで生じたガラスの段差(スクライブライン312)と直角に衝突する。これにより、図47に示すように、分断のクロス部となるパネルエッジの欠け315が生じたり、図48に示すように、刃物461の先端の欠け461aが発生したりする。そのため、刃物461の寿命が短くなることによるランニングコストの増加や、液晶パネル350の品位の低下を引き起こす。従って、偏光板312の剥離除去を行う際には、刃物461が先に形成されたスクライブライン312を通過せずに、すなわち交差せずに走行することが望ましいといえる。
【0130】
そこで、このような問題を解決する分断方法について、図49〜図51を参照しながら以下に説明する。先ず、図49に示すように、スクライブ用のホイールカッター430を退避させ、ガラス基板301のX方向に対して、偏光板剥離用の刃物461のみをガラス基板301に押し当ててX方向に移動させる。つまり、この第1回目のX方向の移動では、偏光板302の剥離除去を行って帯状領域311が形成されるが、この帯状領域311に対しては、スクライブライン312の形成は行わない。
【0131】
続いて図50に示すように、ガラス基板301のY方向に対して前述のように偏光板剥離とスクライブを同時に行う。つまり、帯状領域311及びスクライブライン312の形成が行われる。この場合、偏光板302の剥離除去を行う箇所、すなわち第1回目のX方向への移動で形成された帯状領域311には、スクライブライン312が存しないため、刃物461の先端がスクライブライン312に衝突することなく、スムーズに偏光板301を剥離することができる。
【0132】
最後に図51に示すように、今度は刃物461を退避させ、第1回目のX方向への移動で形成された帯状領域311にホイールカッター430のみを走行(第2回目のX方向への移動)させることによって、ガラス基板301のX方向に対してスクライブ施してスクライブライン312を形成し、分断を行う。このように、X方向、Y方向、X方向の順序で分断を行うことにより、若干の処理時間の増大は発生してしまうが、刃物寿命を大幅に延ばすことができるとともに、液晶パネルの品位も高めることができる。
【0133】
なお、分断の処理時間に余裕があれば、偏光板302の剥離除去の動作のみを先にX方向とY方向の両方に施して、両方向全てに帯状領域311を形成し、その後、スクライブのみを行うようにしてもよい。さらに、偏光板の剥離除去のみを行う装置とスクライブのみを行う装置に分割し、個別に処理が行えることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明のガラス基板の分断方法、ガラス基板の分断装置、液晶パネル、及び液晶パネル製造装置は、液晶表示機器に関連する技術分野において有用とされる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】図1は本発明の第1実施形態であるガラス基板の分断方法における成膜の除去状況を示す概略図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図2】図2は図1(a)の拡大図である。
【図3】図3は第1実施形態における亀裂(スクライブ)の形成状況を示す概略正面図である。
【図4】図4は本発明の第2、3実施形態の分断方法における成膜の除去を説明する概略正面図である。
【図5】図5は本発明の第4実施形態の分断方法における成膜の除去を説明する概略図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図6】図6は第4実施形態の他の例を示す概略側面図である。
【図7】図7は本発明の第5実施形態の分断方法における成膜の除去を説明する概略正面図である。
【図8】図8は本発明の第6実施形態の分断方法における成膜の除去を説明する概略側面図である。
【図9】図9は本発明の第7実施形態の分断方法における亀裂の形成状況を示す概略正面図である。
【図10】図10は本発明の第8実施形態の分断方法におけるカッターの外観図である。
【図11】図11は第8実施形態における成膜の除去を説明する概略側面図である。
【図12】図12は第8実施形態におけるカッターの正面詳細図である。
【図13】図13は図12におけるm−n断面図である。
【図14】図14は本発明の第9実施形態であるガラス基板の分断装置の正面図である。
【図15】図15は第9実施形態の分断装置における亀裂形成手段(スクライブユニット)の斜視図である。
【図16】図16は本発明の第9、10実施形態の分断装置を上方から見た平面図である。
【図17】図17は第9実施形態の分断装置における成膜除去の動作前の状態を示す正面平面図である。
【図18】図18は第9実施形態の分断装置における成膜除去の動作中の状態を示す正面平面図である。
【図19】図19は本発明の第11実施形態であるガラス基板の分断方法及びその装置における成膜除去の原理を説明する概略図である。
【図20】図20は本発明の第12実施形態であるガラス基板の分断方法及びその装置における成膜除去及び亀裂形成を説明する概略図である。
【図21】図21は本発明の第13実施形態であるガラス基板の分断方法における成膜除去の状態を示す断面図である。
【図22】図22は第13実施形態の分断方法における亀裂形成の状態を示す断面図である。
【図23】図23は本発明の第14実施形態の分断方法における成膜除去及び亀裂形成の状態を示す断面図である。
【図24】図24は本発明の第15実施形態である液晶パネルの外観を示す斜視図である。
【図25】図25は第15実施形態の液晶パネルの縦断面図である。
【図26】図26は第15実施形態の液晶パネルにおける偏光板の端面角度に対する諸特性を模式的に表した図である。
【図27】図27は本発明の第16実施形態である液晶パネル製造装置の外観を示す概略斜視図である。
【図28】図28はガラス基板の要部拡大図である。
【図29】図29は分断用のホイールカッターを示す外観図である。
【図30】図30は本発明の第17実施形態の液晶パネル製造装置の外観を示す概略斜視図である。
【図31】図31は本発明の第18実施形態の液晶パネル製造装置の外観を示す概略斜視図である。
【図32】図32は第3実施形態の液晶パネル製造装置における刃物形状の一例を示す外観斜視図である。
【図33】図33は本発明の第19実施形態の液晶パネル製造装置の外観を示す概略斜視図である。
【図34】図34は第19実施形態の液晶パネル製造装置における刃物の外観を示す概略斜視図である。
【図35】図35は図34の刃物の分解斜視図である。
【図36】図36は第19実施形態の液晶パネル製造装置における動作を説明する断面図である。
【図37】図37は本発明の第20実施形態の液晶パネル製造装置における刃物を示す断面図である。
【図38】図38は本発明の第21実施形態の液晶パネル製造装置の外観を示す概略斜視図である。
【図39】図39は第21実施形態の液晶パネル製造装置における刃物を示す外観図である。
【図40】図40は本発明の液晶パネルの素材となるガラス基板の外観を示す斜視図である。
【図41】図41は図40のガラス基板に対する液晶パネル製造装置の一例を示す概略側面図である。
【図42】図42は図41の液晶パネル製造装置を動作させた後のガラス基板の縦断面図である。
【図43】図43は図41の液晶パネル製造装置を動作させた後のガラス基板の外観を示す斜視図である。
【図44】図44は本発明の液晶パネル製造装置におけるX方向への動作中の状態を示す斜視図である。
【図45】図45は本発明の液晶パネル製造装置におけるY方向への動作中の状態を示す斜視図である。
【図46】図46は本発明の液晶パネル製造装置におけるY方向への動作中の状態を示す縦断面図である。
【図47】図47は図44〜図46の液晶パネル製造装置の動作により得られた液晶パネルの外観斜視図である。
【図48】図48は図44〜図46の液晶パネル製造装置の動作に用いられた刃物の外観斜視図である。
【図49】図49は本発明の液晶パネル製造装置において好適な動作を示す一例であって、第1回目のX方向への動作中の状態を示す斜視図である。
【図50】図50は図49の液晶パネル製造装置の動作後のY方向への動作中の状態を示す斜視図である。
【図51】図51は図50の液晶パネル製造装置の動作後の第2回目のX方向への動作中の状態を示す斜視図である。
【図52】図52は従来のガラス基板の分断装置の一例を示す正面図である。
【図53】図53は従来の液晶パネルの外観を示す斜視図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、相互に貼り合わされて相互の間に液晶が封入された一対の基板セルの各外面に偏光板が貼り付けられてなる液晶パネル、及び、相互に貼り合わされて相互の間に液晶が封入されたガラス製の一対の基板セルを複数隣接して有するとともに、両面に偏光板が貼り付けられてなるガラス基板を、分断してその液晶パネルを複数得る液晶パネル製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ガラス基板の分断方法としては、分断装置の載物台上に真空吸着等の手段にてガラス基板を固定し、ガラス基板の片面側に、その外周部が超硬合金、ダイヤモンド等の硬質部材で形成されたホイール状のカッターにより、一種の亀裂であるスクライブ(以下「亀裂」と記すことがある)と呼ばれる線状の条痕を施し、反対面側よりプレス、又は転動ローラ等の押圧手段によりスクライブ線に沿って加圧し、ガラス基板のスクライブ溝に発生した、基板面に対して垂直方向のクラックを進展させて切断する、いわゆるスクライブ方法が一般的である。
【0003】
近年液晶表示素子及びこれに類する表示機器では、製品を安価に製造する目的で、予め表面にITO膜等の透明電極、絶縁膜及び配向膜などの薄膜類が形成された大版のガラス基板素材を、所望の寸法形状に分断する方法が採られる。この成膜層(以下「成膜」と記すことがある)が形成されたガラス基板の分断においては、従来のガラス基板のスクライブ方法では起こり得なかった様々な問題が生ずる。例えば、成膜面側にスクライブを施そうとすればスクライブ線付近の成膜が破壊され、微粒子状の粉塵となって飛散し、品質不良の原因となる。また、成膜形成されていない反対側の面にスクライブする方法では、成膜面が切断装置の載物台上に接触することにより成膜に傷や変形が生ずる。
【0004】
このような不都合に対し、成膜形成済みの大版ガラス基板を所定の寸法で短冊状にスクライブする場合の従来例がある(例えば特許文献1)。成膜形成面と反対側のガラス面にスクライブを施す方法によって上記の不都合の解決を図る内容である。
【0005】
図52を用いて従来例について説明する。ガラス基板101は片面に成膜102が形成されており、図示せぬ真空等の吸着手段により載物台である定盤103上面に、成膜102が上側の状態で固定されている。定盤103には所定の間隔で、直線状の開口部104が設けられており、スクライブすなわち亀裂を形成するための亀裂形成手段であるスクライブ手段105は、開口部104に沿って移動し、ガラス基板101の下面にスクライブを施す。押し出し手段106は、位置決め手段107と共に、ガラス基板101を所定の位置に導く、エアーシリンダー等の手段であり、先端に押し出しピン110が配設され、位置決め手段107先端にも位置決めピン111が配設されている。押さえ手段109は、ガラス基板101を、その成膜面側から定盤103の上面に荷重を加え、押さえつけるための手段である。
【0006】
次に作用について説明する。点線で示すa点に定盤103が位置するとき、ガラス基板101が図示せぬ搬送装置によって載置された後、やはり図示せぬ制御手段からの位置合わせ信号により、位置決め手段107先端の位置決めピン111が定盤103面上に下降する。次に、押し出し手段106先端の押し出しピン110が伸長し、定盤103上のガラス基板101が位置決めピン111に当たるまで、図の矢印方向に移動させ、ガラス基板101の切断位置と開口部104との位置合わせを行う。次に前記の制御手段が、ガラス基板101の定盤103への吸着を指示すると共に、押さえ手段109をスクライブ位置に移動してガラス基板101上面に押し圧力を印加した後、スクライブ手段105に指示し、ガラス基板101下面にスクライブを施す。スクライブの間隔毎、すなわち開口部104のピッチ毎にスクライブ手段105が移動し、スクライブを繰り返す。定盤103に形成された開口部104より、ガラス基板101下面からスクライブする方法であるため、スクライブ手段105のスクライブ荷重に対し、吸着手段によってガラス基板101を定盤103に吸着固定する力のみでは十分ではなく、これを補う目的で、ガラス基板成膜面側より押さえ手段109によって、下方向への荷重を印加する。
【0007】
しかしながら、上記従来例によるスクライブ方法(分断方法)及びスクライブ装置(分断装置)は、主として大版ガラスに保護膜を形成したガラス基板の分断を想定しているが、ITO膜等の薄膜類の形成されたガラス基板においては、下面側よりのスクライブ荷重とバランスさせるための図52の109に示すような錘状の一般的な荷重印加による押さえ手段では、押さえ手段自体の荷重により薄膜が破壊されてしまう、という問題があった。
【0008】
また、液晶表示素子のさらなる低価格化を目的として、ガラス基板分断後に行っていた偏光板、保護シートなどのフィルム類の貼り合わせなども、大版ガラス素材の状態で形成したものを分断する方法が試みられている。偏光板は、従来は液晶セル製造工程の最後に、上下ガラス基板外面に貼り付ける方法が一般的であり、ガラス基板との位置合わせや作業工程簡素化の面で低価格化の阻害要因となっていた。
【0009】
ITO膜等の薄膜類では成膜層の厚さは数μm以内であるが、偏光板等のフィルム層の場合は10μm〜0.6mm程度の厚さとなる。このようなフィルム層が形成されたガラス基板のスクライブにおいては成膜面側から直接スクライブすることは不可能である。上記従来例に示される分断方法及び分断装置ではスクライブ後の切断工程でフィルム層の存在によって切断が不可能である。
【0010】
一方従来、特に、5インチサイズ程度までの中小型の液晶パネルを製造する場合は、先ず相互に貼り合わせた大型のガラス基板を分断して短冊状のガラス基板を採取し、次いでこの短冊状のガラス基板に液晶の注入及び封止等の所定処理を施し、これを更に所定のパネルサイズのセルに細かく分断してセル単品を複数成形し、その後各セル単品毎に偏光板を貼り付けて液晶パネルを複数得るという手法が一般的であった。
【0011】
ここで、この従来の手法を用いて得た液晶パネルについて、図53に基づき説明しておく。図53は従来の液晶パネルの外観を示す斜視図であって、(a)は表面側を、(b)は裏面側をそれぞれ示している。この液晶パネル550は、相互に貼り合わされて相互の間に液晶が封入された一対の基板セル551a、551bよりなり、一方の基板セル551aの一側が他方の基板セル551bの一側よりも突出し、その突出部551aaの内面には液晶パネル駆動用の接続端子553が形成されている。また、各基板セル551a、551bの外面には、表示領域(不図示)を覆うようにそれぞれ偏光板552a、552bが貼り付けられている。これら各偏光板552a、552bは、光源からの光を透過させて表示を行ういわゆるバックライト型の液晶表示装置に適用される液晶パネルの場合、相互の大きさがほぼ同じであって、丁度基板セル551a、551bを挟んで対向配置される。
【0012】
ところで、上記の従来の手法では、セル単品毎に個別に偏光板を貼り付ける必要があるため、生産効率が極めて悪いという問題がある。たとえ専用の装置を用いて貼り付けを行うにしても、特に静電気の影響から偏光板1枚当たりの処理速度の高速化が制約される(一般には少なくとも8秒〜10秒程度を要す)ため、高い生産量(液晶パネルの個数)の確保という市場要求に対しては、多数の偏光板を同時並行して処理するために多数の装置が必要となって設備投資が大幅に嵩み、ひいては最終製品である液晶パネルのコストアップにつながるという問題が生じる。
【0013】
このような問題を回避する手法として、所定位置に分断用の切れ目を設けた偏光板をプラスチック基板に貼り付け、その後その切れ目を目安にプラスチック基板を分断して液晶パネルを複数得るという液晶パネルの製造方法がある(例えば、特許文献2)。この手法によれば、分断する前の基板に偏光板を貼り付けるので、偏光板の貼り付け工数そのものは格段に削減でき、大幅な設備投資をすることなく生産効率を向上させることができる。
【特許文献1】特開平11−64834号公報(主に明細書)
【特許文献2】特開平6−342139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、上記の手法では以下の問題点がある。第1に、偏光板自体はポリビニルアルコールを三酢酸セルロースでサンド或いはアクリル系樹脂でコーティングしたもので、その厚さが0.2mm〜0.6mm程度の薄いフィルム状であることから、その偏光板に切れ目が設けられると、不用意な負荷によってその切れ目部分が変形し易く、最終的に偏光板の撓みや破損を引き起こすおそれがある。特に基板への貼り付けの際は、その撓みや破損を抑えつつ、更に基板の所定位置に切れ目が位置するよう適切に貼り付ける必要があるため、相当の精度を有する装置を準備しなければならず、液晶パネルのコスト抑制に対して決して有利とはいえない。
【0015】
第2に、基板を分断する際に必ず偏光板自体も分断される(切れ目に沿って分断される場合でも、切れ目の両端に存在する偏光板が分断される)が、特に基板として脆性を有するガラス基板が適用された場合、基板と偏光板相互の性質が全く異なるため、何らかの工夫を施して分断しなければ、ガラス基板が不適正な位置で割損したり、或いは偏光板が不用意に剥離したり等する。つまり、品位を損なわずに分断することは極めて困難であり、この分断手法に関して課題が残る。なお、特許文献2では、基板として偏光板と同質系統であるプラスチック基板が適用されているため、その分断手法に関して特段考慮されていないのは当然といえる。
【0016】
一方、図53に示す従来の液晶パネルでは、基板セル551a、551b個々の厚さが薄い(例えばガラス製の場合、0.4mm〜0.7mm程度)ことから、特に突出部551aaでは強度が低い状況下にあると言える。従って、液晶パネルの搬送時や液晶表示装置への組み込み時に、不用意にぶつけたり落下させたりすると、突出部551aaでの割損や変形、或いは突出部551aaの角での欠損が生じるため、極めて慎重な取り扱いが要求される。
【0017】
また、近年偏光板そのものの機能が増えつつあり、偏光板は様々な光学特性を有するシートが積層されて構成されている。そのため、基板セルに貼り付けられている偏光板の周縁には、バリ、カエリ等が生じている場合が多々あり、これによって液晶表示装置への組み付けが困難となったり、偏光板が基板セルから不用意に剥がれてしまったりする。更に、偏光板の外面に剥離可能な保護用のフィルムが偏光板と一体的に積層されている場合、液晶パネルの搬送時や液晶表示装置への組み込み時に、そのフィルムが偏光板から不用意に剥離して、偏光板自身にキズをつけるという問題もある。
【0018】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、局部的な強度低下を防止し、また偏光板の不用意な剥離を抑止できる液晶パネルを提供することにあり、これと併せて、液晶パネルの生産効率を向上させるべく、偏光板が貼り付けられたガラス基板を分断して複数の液晶パネルを得る液晶パネル製造装置において、品位を損なわずに分断して上記の液晶パネルを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、相互に貼り合わされて相互の間に液晶が封入された一対の基板セルの各外面に偏光板が貼り付けられてなる液晶パネルにおいて、前記一方の基板セルの少なくとも一側が前記他方の基板セルの少なくとも一側よりも突出しており、その突出部の内面に液晶パネル駆動用の接続端子が形成され、前記突出部の外面に前記偏光板が延在していることを特徴とする。
【0020】
また、前記各偏光板の周縁が前記各基板セルの周縁の内側1mm以内に存していることを特徴とする。
【0021】
また本発明は、相互に貼り合わされて相互の間に液晶が封入された一対の基板セルの各外面に偏光板が貼り付けられてなる液晶パネルにおいて、前記各偏光板における周縁の端面が前記各基板セルに向けて断面先細りとなっていることを特徴とする。
【0022】
また、前記各端面が前記各基板セルの外面に対して90°より大きく135°以下に傾斜していることを特徴とする。
【0023】
また、前記各偏光板の外面に剥離可能な保護用のフィルムが前記各偏光板と一体的に積層されていることを特徴とする。
【0024】
また本発明は、相互に貼り合わされて相互の間に液晶が封入されたガラス製の一対の基板セルを複数隣接して有するとともに、両面に偏光板が貼り付けられてなるガラス基板を、分断して上記構成の液晶パネルを複数得る液晶パネル製造装置において、前記偏光板の一部を帯状に除去して前記ガラス基板を帯状に表出させるガラス基板表出手段と、該ガラス基板表出手段によって表出した前記ガラス基板の帯状領域に沿って分断用の亀裂を形成する亀裂形成手段と、を備え、前記亀裂に沿って前記ガラス基板を分断することを特徴とする。
【0025】
また、前記ガラス基板表出手段は、前記偏光板にレーザを照射するレーザ照射機構であることを特徴とする。
【0026】
また、前記亀裂形成手段は、前記レーザの照射によって加熱された前記ガラス基板の帯状領域に急冷用の気体を噴射する気体噴射機構であることを特徴とする。
【0027】
また、前記ガラス基板表出手段は、前記偏光板の一部を切削して除去する切削機構であることを特徴とする。
【0028】
また、前記切削機構は、前記偏光板の一部を帯状に削り取る刃物で構成されていて、その刃先の断面形状がコの字状、台形状、半円状、或いは円形のいずれかであることを特徴とする。
【0029】
また、前記切削機構は、所定間隔で対向配置され前記偏光板の一部を帯状に切断する第1、第2の刃物と、該第1、第2の刃物の間に配置され前記第1、第2の刃物によって切断された前記偏光板の帯状部分を前記ガラス基板から掻き取る第3の刃物と、から構成されたことを特徴とする。
【0030】
また、前記所定間隔が1mm〜3mmの範囲内に設定されたことを特徴とする。
【0031】
また、前記第1、第2の刃物は、同軸状に一体化した一対のホイールカッターであって、その刃先角度が30°〜90°の範囲内に設定されたことを特徴とする。
【0032】
また、前記第1、第2の刃物を構成するホイールカッターの直径が、5mm〜10mmの範囲内に設定されたことを特徴とする。
【0033】
また、前記第1、第2の刃物は、前記偏光板に対して切断が進行する方向にのみ相対的に移動可能な刃物であって、その切断進行方向に向けて順に切り込み深さが小さい複数の刃先をそれぞれ有することを特徴とする。
【0034】
また、前記第1、第2の刃物の刃先が、前記ガラス基板と接触しないように設定されたことを特徴とする。
【0035】
また、前記切削機構を構成する刃物には、除去された前記偏光板が付着しないようにコーティング処理が施されたことを特徴とする。
【0036】
また、前記亀裂形成手段は、ホイールカッターであることを特徴とする。
【0037】
また、前記ガラス基板表出手段と前記亀裂形成手段を選択的に動作させる作動機構を備えたことを特徴とする。
【0038】
また、前記作動機構は、前記切削機構を構成する刃物の進行方向が前記亀裂と交差しないような順序で前記ガラス基板表出手段と前記亀裂形成手段を動作させることを特徴とする。
【0039】
また、前記作動機構は、前記ガラス基板表出手段のみを動作させて第1の前記帯状領域を形成した後、この第1の帯状領域と直交する方向に前記ガラス基板表出手段及び前記亀裂形成手段を動作させて第2の前記帯状領域及び第1の前記亀裂を形成し、その後前記第1の帯状領域に沿って前記亀裂形成手段のみを動作させて第2の前記亀裂を形成するように動作させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
本発明の液晶パネルでは、突出部は偏光板で補強されることになり、強度が向上する。また、偏光板はその端面が不用意に引っ掛けられことがなくなり、その剥離を防止できる。
【0041】
また、本発明の液晶パネル製造装置では、基板セル同士の境界上に沿って先ず偏光板が帯状に除去され、これにより表出したガラス基板の帯状領域に沿って次に分断用の亀裂が形成された後、この亀裂に沿ってガラス基板が分断されることで、液晶パネルをなす基板セルが得られることになる。つまり、品位を損なわずに分断することが可能となり、しかも、ガラス基板へ偏光基板を貼り付ける際に格別な装置は不要で、生産効率も向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態であるガラス基板の分断方法及び分断装置、並びに液晶パネル及び液晶パネルの製造装置について、順に図面を参照しながら詳述する。なお、発明の実施の形態を説明するための各図面において、同一機能を有するものは極力同一記号を付し、重複の説明は省略する。
【0043】
先ず、本発明の第1実施形態であるガラス基板の分断方法について説明する。図1〜図3は本発明の第1実施形態であるガラス基板の分断方法を示す。図1(a)はガラス基板における成膜の除去状況を示す概略側面図、図1(b)は図1(a)を左方向より見た正面図を示す。図2は図1の詳細な作用を説明する内容であり、図3はガラス基板におけるスクライブ(亀裂)の形成状況を示す。なお、ここでいう成膜とは、オーバーコート膜、透明電極などの薄膜から、これよりも厚い偏光板などのフィルムや樹脂膜、保護膜などをいう。
【0044】
図1において、1は成膜1aが形成されたガラス基板であり、2は成膜1aの一部を帯状に切削、剥離、除去してガラス基板1を表出させるためのガラス基板表出手段を構成する彫刻刀のような剥離カッター、3はガラス基板を載置、固定する載物台である。剥離カッター2は、図1(b)に示すように断面が開口角θの略V字状を成しており、その先端刃部を成膜1aの下面、すなわちガラス基板1のガラス表面に当接しかつガラス基板に押圧した状態で、ガラス基板1上面と平行に、図1(a)の左から右方向に移動させることにより、成膜1aが剥離カッター2の先端刃部の略V字形状に沿って、図1(a)に示す剥離屑1bのように切断、剥離、除去される。剥離カッター2のガラス基板への押圧力は成膜1aの厚み、材質により調整する。この値は、厚さが数十μm位までの樹脂等の成膜の場合1N(ニュートン)以内であるが、0.5mm程度のフィルムでは数十Nとなる。
【0045】
図1(a)において剥離カッター2とガラス基板1の表面とが成す最適な切り込み角度αは、成膜1aの厚み、材質に応じて調整し、最適な値に設定して成膜の剥離を行う。剥離カッター2とその刃部先端とが成す角度βは、通常はおよそ90°で良いが、成膜1aが十数μmの薄い膜の場合、厚みのあるフィルム層の場合など、成膜の厚み、材質に応じて最も良好な剥離が行われるよう調整する。
【0046】
図1(a)の剥離カッター2による成膜1aの切断、剥離状態の詳細を図2に示す。剥離カッター2は最も簡単には厚みtの板状材料を断面が図1(b)の角度θを成す略V字状に曲げ、図2に示す様に刃部先端全域に逃げ角γを形成しV字状の彫刻刀のような切れ刃を構成する。
【0047】
図3は剥離カッター2により剥離された剥離溝5に、亀裂形成手段を構成するホイール状のスクライブカッター4を下方に押圧転動させ、スクライブ条痕(亀裂)5aを形成する状態を示す。亀裂形成手段であるスクライブ手段4には、先端部がダイヤモンド、超硬合金等で形成されたカッターホイール4aが支持軸4bにより回転自在に軸支されている。ホイールカッター4aの先端角度は、ガラス基板の厚みや材質に応じて60°〜140°程度に広く使い分けられるため、カッターホイール4aがガラス基板1表面にスクライブ条痕5aを施す際に、成膜1aに干渉するなどの影響を及ぼさぬように剥離溝部5の形状寸法を確保できるように、図1(b)に示す剥離カッター2の開口角θの大きさを設定する。
【0048】
図4(a)は本発明の第2実施形態の分断方法を示す図であり、第1実施形態を説明した図1に対し図2(b)の剥離カッターの断面形状のみが異なっている。図4(a)の第2実施形態と第1実施形態との相違点は剥離カッター12の先端刃部の開口形状がV字状でなく、ガラス基板表面に接する部分が図4(a)に示すR1の半径の円弧形状を成している点である。第2実施形態の特徴は、剥離カッター12の先端刃部断面が円弧形状であるために、図3で示した剥離溝5の底部の幅、すなわちガラス基板露出部(帯状領域)の幅が第1実施形態に比較してより広く確保でき、カッターホイール4aの先端位置合わせに余裕が生ずること、また剥離カッター先端刃部への押圧力が第1実施形態のように1点に集中しない形状であるため、剥離カッター12の先端刃部の切れ味が長持ちすること、等である。先端刃部の大きさR1及び開口角は第1実施形態と同じくカッターホイール4aの先端角度、成膜1aの厚みを考慮し、適正に設定する。その他の作用及びスクライブ形成については第1実施形態と同一なので省略する。
【0049】
図4(b)は本発明の第3実施形態の分断方法を示す。第3実施形態は第2実施形態の特徴をより積極的に進めた内容であり、剥離カッター22の先端刃部の断面形状はガラス基板1表面に接する幅L1の直線部と、成膜1aを切断する開口角θ1の斜辺部とで構成される。両者の接点部は、成膜1aの切断、剥離を良好に行うため及び剥離カッター22先端刃部の切断刃寿命を延ばすため、二つの小円弧r2でつなぐ。第3実施形態は第2実施形態に比較し、剥離溝5の底部の幅をL1で設定するので剥離溝の寸法設定が容易であることを特徴とする。先端刃部の形状、寸法となるL1及びθ1の設定は、カッターホイール4aの先端角度、成膜層1aの厚みを考慮し、適正に設定するという点は第2実施形態と同様である。その他の作用及びスクライブ形成についても第1実施形態と同一なので省略する。
【0050】
図5及び図6は本発明の第4実施形態の分断方法を示す。図5(a)は第4実施形態におけるガラス基板1上の成膜1aを2枚の対向する平板状カッター32及び32'によって切断する状態を示す側面図、図5(b)は図5(a)を矢印方向から見た正面図である。本実施形態ではスクライブする際のカッターホイール4a先端部をガラス基板1のガラス面に当接させるための成膜1aの剥離溝の形成を2枚のカッターを略平行状態に配列させて成膜1aに当接した状態で、図5(a)の矢印方向に移動させ、成膜1aを切断する。2枚のカッター32及び32'の例として図5(a)に示すような側面形状を成し、成膜1aの厚み、材質に応じた最適角度、例えば20°〜50°の範囲で切断角εが設定されるように配設し、矢印方向にガラス基板1に圧接状態で平行移動し、成膜1aを切断する。図5(b)に示すように2枚のカッター32及び32’は第3実施形態と同様、ガラス基板1をスクライブする際にカッターホイール先端部が成膜1aに干渉しない範囲で、カッター間隔L2及び傾き角θ2を設定する。
【0051】
第4実施形態においては2枚の平板カッター32及び32’によって成膜1aを切断した後も、成膜1aは図5(b)に示す剥離屑1bの状態で残っており、後工程で1b部を剥離、除去する必要がある。その手段の具体例としては第3実施形態の図4(b)で紹介した、断面が台形状又はコの字形状で、底部幅L1が図5(b)のL2と同一もしくは若干少な目の寸法形状を有する剥離カッターにより剥離、除去する。第4実施形態では切断と剥離が別工程となるが、第1〜第3実施形態に比較し成膜1aをシャープに切断することが可能であり、1mm〜2mmの厚みの大きな成膜の切断の場合でも切断面の切断品質が良好である。又、図6に示すような、周知の市販のカッター刃32bを用いることにより、カッターを安価に調達できることが特徴である。
【0052】
図7は本発明の第5実施形態の分断方法を示す。第4実施形態を発展させた内容であり、図5のカッター32を図7のカッター42に変更した点以外は第4実施形態の切断、剥離、スクライブの方法と同一内容である。従って図7の左又は右側面図は図5(b)と同一であるので省略する。第1〜第4実施形態はカッターの移動方向の一方向にのみ、成膜1aの切断、剥離が可能であるのに対し、本実施形態では切断カッター42の側面形状を図7に示すような形状にすることによって切断方向の変更に対してカッターの配設を変更することなく、図7における左右両方向への切断が可能であることを特徴とする。カッター42における切断角ε1,ε2は成膜1aの厚み、材質に最適な切削条件が得られる数値に設定する。カッター42の往復双方で切断する場合は通常ε1,ε2を同一に設定する。剥離屑1bの剥離、除去は第4実施形態と同様な方法により左右方向別々に行う。
【0053】
図8は本発明の第6実施形態の分断方法を示す。本実施形態では剥離カッター52はカッター刃52aと保持部52bとにより構成される。本実施形態のカッター刃52aは上記第1〜第5実施形態の分断法で用いられる成膜1aの切断、剥離用カッターの何れもがカッター刃52aに応用可能である。保持部52bは成膜1aの切断、剥離の作業の際にカッター刃52aを保持する、いわゆる柄の役割を果たすとともに、保持部52bの長さ寸法や、断面形状を所定寸法の矩形形状等に統一し、標準化することによって、剥離カッター52を治具や装置に固定して成膜の切断、剥離を行う場合、第1〜第5実施形態のカッターの全てを同一の治具や装置に差し替えて使用することができる。
【0054】
また、保持部52bを適度な弾性を有する弾性体、例えばジュラコン、デルリン等の樹脂やさらに柔軟な弾性を有するシリコンゴムやニトリルゴムなどのゴム類、場合によっては木材等の材料で形成することにより、剥離する成膜層の厚みや硬さのばらつき等が発生した場合でも保持部52bの弾性作用により切断剥離抵抗のばらつきを吸収する効果があり、本実施形態の技術を応用した分断装置を製作する場合にも安全機構として応用できる。なお、このような剥離カッター52に与えられる弾性作用は、後述の第9実施形態で述べるコイルバネ77a、77b(図15、図17参照)の作用を活用しても構わない。
【0055】
第1〜第6実施形態で使用する、成膜1aの切断、剥離用カッターの刃部は一般的な炭素工具鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼等の材料を、必要に応じて熱処理などの硬化処理を施したものを用いるが、材質や厚みの異なる様々な成膜1aを適切に切断、剥離可能なものであるならば前記材料に限定されるものではない。また、本実施形態の成膜1aの切断、剥離用カッターは第1〜第5実施形態に示した断面形状を長尺状に形成することにより、先端刃部を再研磨し繰り返し使用することでカッター刃の長寿命化を実現可能としている。
【0056】
図9は本発明の第7実施形態の分断方法を示す。本実施形態の分断方法では、スクライブの前工程としての成膜1aの剥離除去は前記第1〜第6実施形態の何れでも良い。すなわち第1〜第6実施形態においては図3に示すように、切断、剥離、除去によって成膜1aに剥離溝5を形成し、剥離溝5の底部1c、すなわちガラス基板1の帯状領域にスクライブ手段4を押圧転動させ、スクライブ条痕5aを施す分断方法であった。第7実施形態ではガラス基板の成膜面と反対側の面にスクライブして分断する。
【0057】
図9に示すように、ガラス基板1は載物台3に図示せぬ真空吸着等の固定手段により固定されている。載物台3にはスクライブ手段4がガラス基板1の下面側よりスクライブするための長穴3aが形成されている。本実施形態は、第1〜第6実施形態で説明した方法によりガラス基板1上に形成された剥離溝5の底部1cの鉛直方向直下の反対側面にスクライブ条痕5cを形成する方法である。
【0058】
スクライブ工程の後のガラス基板の分断工程では、スクライブ条痕を施した反対側面より加圧し、スクライブ条痕のクラックを進行させてガラス基板を分断する。成膜1aに形成された剥離溝5の底部1cにスクライブする方法の場合、スクライブ後の分断工程でスクライブ面と反対面より加圧、切断する必要があり、例えばガラス基板のスクライブ側、すなわち成膜面を直接定盤面に載置し、上側よりプレスや転動車輪により荷重を印加し切断する方法では切断時の加圧により、載物台上と接する成膜層が破壊、変形を生じる恐れがあるが、第7実施形態の分断方法によれば剥離溝5の形状寸法に合わせた板状プレス治具又は転動ローラによる押圧を図9の剥離溝底部1cに矢印B方向に集中的に加圧して、スクライブ条痕5cを垂直方向に進展させ、分断が可能であり、成膜1aに加圧することも接触することもなくガラス基板の分断が可能である。
【0059】
図10〜図13は本発明の第8実施形態の分断方法の内容を示す。本実施形態は主として樹脂フィルム等の、0.05mm〜2mm程度の比較的厚みのある成膜が形成されたガラス基板において、スクライブ前の成膜剥離の切削、剥離を良好に行うために配慮したもので、第1実施形態及び第2実施形態に使用した剥離カッターの利点を組み合わせ、丸棒状材料から第1実施形態又は第2実施形態の先端刃部形状を形成し、より良好な成膜の剥離を行うことを目的とする。
【0060】
図10は本実施形態に使用する剥離カッター62の正面図及び側面図を示す。超硬合金あるいは炭素工具鋼等の丸棒状の材料に、剥離カッターとして加工を施す。d1は丸棒材料素材の外径であり、剥離する成膜の厚みにより適正寸法のものを使用するが通常5mm〜10mmのものを使用する。Fは外周d1の一部を図10のように外周に平行にカットし、他の部分の加工の基準面及び第6実施形態で説明した、図8に示す保持部52bと同様の役割を持たせる目的のフラット保持部である。剥離カッター62の全長L3は剥離カッターの保持具や装置により決定するが、本実施形態では35mmの設定とした。図10正面図に示すように剥離カッター62の端面部より開口角θnの断面略V字状の剥離用刃部を長さL4に形成する。θnの値については後に詳述する。刃部長L4は、剥離する成膜の材質、厚みにより決定する寸法で5mmないし10mmとするが、本実施形態では7mmとしている。図のi部より右側の、刃部溝後端部は半径R3の緩やかな円弧形状の溝とし、剥離された線状の剥離屑1bを円滑に排除する機能を持たせる。本実施形態ではR3を38mmとしている。断面V字状の刃部の底部の形状R4の値も成膜の材質、厚み及びスクライブカッターの寸法により0.5mm〜1mm程度の寸法範囲に設定する。本実施形態ではR4を0.5mmとしている。刃部先端は成膜を残さず剥離除去する工夫が必要であり、先端角はθ7、θ8の2段構成に形成する。図10及び図13のt1は刃部先端からθ7とθ8の境界線までの長さであり、詳細は図12のC方向矢視図に示す。本実施形態ではt1を0.3mm、θ7を30°、θ8を40°に設定している。t1を0.3mm程度の微少寸法に設定することにより、実質的な先端角θ7を30°と少な目に設定し剥離切削性を良好に確保しながら刃部先端のt1部のみ先端角θ8を40°に設定し、剥離カッター62の刃部先端の強度を確保する効果を目的としている。
【0061】
次に第8実施形態の作用効果について図示内容中心に説明する。図11は剥離カッター62によりガラス基板1上の成膜1aを剥離除去している状態を示す。ガラス基板に対する剥離カッターの配置角度θ9は剥離切削におけるすくい角に相当し、成膜の厚み、材質により35°〜45°の範囲で適正値を設定する。本実施形態では厚み1mmのゴム系成膜の剥離切削において43°に設定し、良好な剥離結果を得た。また図11は剥離カッター62がH方向に移動し、成膜1aを切断、剥離する状態を示すが、剥離後の剥離屑1bは図10にGで示す円弧形状溝に沿って円滑に排除される。剥離カッター62の鉛直下方向、すなわちガラス基板1の表面下方への押圧力は1〜40N程度で良く、大きな押圧力を加えると成膜下のガラス表面にキズが発生し、スクライブ工程で悪影響が発生する。
【0062】
図10のθnについて、剥離カッター62正面図の拡大図である図12により説明する。θ3は剥離カッター62の先端刃部の切れ刃を構成する開口角であり、スクライブカッター先端角度に応じて50°〜140°に設定する。θ4は先端刃部より3mm〜10mm奥側に入った位置の開口角であり、θ3に対し3°〜6°の範囲で小さく設定する。θ4の値をθ3より小さく設定する理由と効果について図13により説明する。図13は図12のカッター62の切れ刃部の任意の位置m−n部を上方より見た断面図である。θ4をθ3より小さく設定することにより、剥離カッター62がK方向に進行して成膜1aを切断剥離する際、切削方向に対しδ2の角度を形成する。このδ2の存在は切削理論における、いわゆるせん断角を大きくする役割を担い、成膜の切断、剥離を良好にする。実験の結果、1mm厚の樹脂製成膜においてδ2が無い場合すなわちθ3とθ4を同一角度に設定した場合に比べ、格段に切削剥離の作業性及び切削品質の向上が確認された。本実施形態では例えばθ4を80°としたときはθ3を84°、すなわちθ4を4°小さく設定した場合が最も成膜の切削性が良好であり、前記のようにθ3に対しθ4を3°〜6°の範囲で小さく設定すればほぼ同様の良好な切削品質が得られた。なお、剥離カッター先端開口角θ3に対し奥部のθ4の開口角を小さく設定することにより得られる切削性の向上は成膜の厚みが0.5mm以上で材質が樹脂やゴム系の場合に顕著に確認された。
【0063】
なお、図10におけるδ1は刃部先端が剥離カッター62外周に対し直角にならず、図の下方内側にわずかに傾斜した形状となることを示しており、θ3をθ4に対し小さく設定することにより結果的にδ1が発生することを意味する。また、図12におけるθ5,θ6は刃部先端付近をC方向より見た断面図であり、例えばθ3を84°、θ4を80°に設定した場合、図10及び図12にてθ7を30°、θ8を40°とした場合でもθ5は約22°、θ6は約31°となることを意味する。
【0064】
剥離カッター62の材質は前記のように超硬合金や、炭素工具鋼など熱処理可能な材料を加工後に先端刃部のみ熱処理する、あるいは全体を熱処理するなど何れの方法でも良い。また第8実施形態は成膜の剥離カッターの形状と剥離方法に特徴を持たせた内容であり、剥離後のスクライブ工程は第1実施形態に代表される方法もしくは第7実施形態の方法の何れでも可能である。
【0065】
次に本発明の第9実施形態として第1〜第8実施形態の分断方法を応用した分断装置を説明する。図14は上記第1〜第8実施形態の分断方法を用いた分断装置の正面方向の説明図である。66は下方にスクライブカッター及び/又は剥離カッターを具備するとともにスクライブカッター及び剥離カッターを、図示せぬ周知の油圧、空圧又はバネ力等の押圧手段によりガラス基板1に対し所定の荷重で押圧しながら、周知のボールスライド等からなるガイドレール67に沿って図の左右方向に平行移動するスクライブユニットであり、図14の例においてはタイミングベルト65にスクライブユニット66の一部が固定され、図示せぬモーター等の駆動手段によりプーリ64が回転し、プーリ64に張架されているタイミングベルト65の移動によって、ガイドレール67に沿って必要量移動する。スクライブユニット66の駆動手段は、図の説明ではタイミングベルトによる方法を示したが、ボールネジ等周知の移動手段とこれを駆動するモーター及び制御装置による駆動方法でも良い。
【0066】
本体部60、載物台63及び支持台63aは一体に構成され、載物台63には図の上下方向に適切な配置で吸着孔が設けられ、図示せぬ真空吸着等の固定手段によってガラス基板1を載物台63上面に固定する。載物台63及び支持台63aは本体部60内に格納されている回転駆動手段によって、図14の上方又は下方から見て90°回転可能である。移動ブロック200は本体部60上をコの字状にまたぐユニット全体であり、左右一対のボールネジ68及びガイド69により、図示せぬモーター等の駆動手段及び制御手段により本体部60に対し、図14の前後方向に所定量移動可能な構成となっている。以上説明のように本実施形態の分断装置はスクライブユニット66の摺動移動と載物台63が90°回転する構成によって、ガラス基板1にX−Y方向に格子状にスクライブを施すことが可能である。
【0067】
図15は図14におけるスクライブユニット66の構造を詳細に示したものである。71はユニット基板であり、図14のタイミングベルト65及びガイドレール67に係合され、スクライブユニット66全体が摺動移動する。74はユニット基板71とスクライブ基板75を結合する結合部であり、結合部74の後面部74bはユニット基板71背面よりボルト等にてユニット基板71と一体固定されている。結合部74の前面部74a及び後面部74bは、図示の蟻溝又はドブテイルなどと呼ばれる摺動手段、又はボールスライド等の周知のスライド手段により、前面部74aと一体固定されているスクライブ基板75とともに上下方向に摺動移動可能となっており、図示せぬコイルバネの張力により、結合部74の前面部74aと、これと一体結合されたスクライブ基板75を、ユニット基板71に対し常時上方向に引き上げている。上方向への引き上げのストッパーはユニット基板71にマイクロメータ固定ブロック73を介して固定されたマイクロメータネジ72の先端部である。マイクロメータネジ72はスクライブ基板75のユニット全体の上下方向位置を、後述の剥離手段やスクライブ手段の先端の上下位置を微調整し、適切な位置に固定する役割を行う。
【0068】
スクライブ基板75には回転軸83によって略L字形状の剥離ブロック81とスクライブブロック82が同軸で回転自在に軸支されている。同じくスクライブ基板75に固定された支持ブロック76には先端にフック状の引っかけ部を有する調整ネジ76a及び76bがネジ嵌合されており、それぞれのフック状の引っかけ部と、剥離ブロック81のアーム上方にネジ固定されているバネ掛けネジ78b及びスクライブブロック82のアーム上方に同じくネジ固定されているバネ掛けネジ78aとはコイルバネ77a及び77bにより張架されている。この構造により、剥離ブロック81及びスクライブブロック82は回転軸83を支点として、図15の右方向前面から見て常に反時計方向に回転する力がかかっている。すなわち剥離手段202とスクライブ手段14は常に下方に押し下げられた状態となっている。前記反時計方向回転のストッパーは剥離ブロック81及びスクライブブロック82の上方向アーム部にネジ嵌合にて係設されたストッパーネジ80a及び80b先端が、スクライブ基板75に固定されたストッパー兼押圧手段79に配設された先端部79a及び79bに当接することで果たされる。剥離手段202及びスクライブ手段14の下方への押圧荷重はスクライブ手段14が約10〜20N程度、剥離手段202が1〜40N程度と異なるためそれぞれの適正荷重に対応するコイルバネ77a及び77bの張力を設定する。張力の微調整は調整ネジ76a及び76bの支持ブロック76へのねじ込み量にて行う。84は成膜面検出手段であり、周知のリニアスケールや差動トランス等の電気的検出手段により先端検出部と一体のスピンドルの伸長によりガラス基板の成膜面の上下位置を、図示せぬ信号ケーブルを介して電気信号として検出する。成膜面の検出手段84の先端84aはナイロン、テフロン(登録商標)等の樹脂製転動車輪で構成され、検出部の測定力も0.2N(ニュートン)以下の低目に設定され、成膜1a表面にキズ、変形が発生せぬよう工夫されている。図16(a)は図15の剥離ブロック81、スクライブブロック82、ガラス基板表出手段である剥離手段202、スクライブ手段14及び成膜面検出手段84などの要部を上方より見た平面図であり、成膜検出手段84,剥離手段202及びスクライブ手段14が同一線上に配設されることによってスクライブユニット66の1回の移動により成膜1aの剥離及びガラス基板1上面のスクライブの双方を同時に行うことが可能であることを示している。
【0069】
次に本発明の第9実施形態の分断装置の動作及び作用を説明する。図17は図14に示す分断装置においてスクライブユニット66が左端待機位置にある状態、すなわち成膜面検出手段84の検出先端84a、剥離手段202及びスクライブ手段14が何れもガラス基板1上面より外れた位置にある状態の正面図を示す。この状態で剥離ブロック81及びスクライブブロック82はコイルバネ77a及び77bの張力により回転軸83を支点に反時計方向に回転力を与えられているが、ストッパーネジ80a及び80bの先端部がストッパー兼押圧手段79の先端部79a及び79bに当接した状態で反時計方向回転のストッパーを成し、静止状態にある。分断装置としての動作はまず最初の移動命令信号によりスクライブユニット66が図17のM矢印方向に移動する。成膜面検出手段84の検出先端84aが剥離ブロック81の右方向への移動にともなってガラス基板1に乗り上げると成膜1aの表面位置を検出し、ストッパー兼押圧手段79に内蔵されているエアーシリンダーが伸長し、先端部79aがストッパーネジ80aを規定量だけ押し、剥離手段202先端が、ガラス基板1の成膜1aの厚みを検出手段84の検出結果に基づいて補正し、ガラス表面位置に達するように制御される。スクライブユニット66が図17のL5寸法だけ移動すると、剥離手段202が成膜1aの切断、剥離を開始する。スクライブユニット66がさらに図17のL6寸法だけ移動するとスクライブ手段14先端のカッターホイール14aが、成膜1aの剥離された後のガラス基板1上面に乗り上げる。スクライブブロック82にはコイルバネ77bの張力によって反時計方向回転力が働いており、この作用によりカッターホイール14a先端には下方に所定の押し下げ力が働いている。この押し下げ力によってガラス基板1の表面をスクライブする。図18は剥離手段202が成膜1aの剥離を、スクライブ手段14が剥離後の露出されたガラス基板1の上面をスクライブしている状態を示す。前述のようにスクライブ手段14の先端のカッターホイール14aは検出手段先端84aと同様な転動車輪を構成しており、剥離手段202のようにガラス基板1の表面位置を予め検出し、カッターホイール14aの先端の上下位置を調整する必要はなく、転動車輪状のカッターホイール14aが下方に押し圧状態で移動することによってガラス基板1上面にスクライブを施すことが可能である。したがって図18の状態ではスクライブブロック82を時計方向に回転駆動するストッパー兼押圧手段79の先端部79bは動作していない。
【0070】
なお、図17及び図18に示す85は粉塵除去手段の例であり、例えば軟質性の樹脂やゴム製のホースのような、スクライブユニット66と共に、フレキシブルに移動可能であり粉塵除去手段85の開口部を剥離手段202及びスクライブ手段14の近傍に配設し、真空など負圧供給手段によって剥離やスクライブ後の粉塵を除去するものであるが、発生する粉塵の大きさや量によっては噴射空気のような正圧供給手段を用いることも有効である。剥離後の成膜は第8実施形態で説明した、図10のGのような剥離手段202に設けた除去手段により除去可能であるが、微細な剥離屑の除去には剥離手段202の直後付近にブラシ状の除去装置を設けても良い。
【0071】
図18においてスクライブユニット66がさらに移動し検出手段84の検出先端84aが成膜1a上面位置より下方に外れるとスクライブ工程終了の信号を発する。この時点より予め入力された検出先端84aと剥離手段202先端との距離、すなわち図17に示すL5寸法を越えるだけ、スクライブユニット66が移動し、剥離が完了した後ストッパー兼押圧手段79の先端部79aが図示せぬ制御手段によりエアーシリンダーをさらに伸長し、剥離手段202をガラス基板1表面より上方に離した状態に制御する。スクライブ手段14も同様な制御が必要となるが、剥離手段と同様、図17に示す検出先端84aとカッターホイール14aとの距離L6分だけスクライブユニット66を移動後上方に開放する方法も可能であるが、スクライブ実行中はストッパー兼押圧手段79の先端部79bとストッパーネジ先端80bとは離れており、スクライブが完了してカッターホイール14aがガラス基板1の上面より下方に外れると同時にコイルバネ77bの張力により先端部79bと、ストッパーネジ先端80bは接触する。これを電気的接点のON信号に用いてエアーシリンダーを伸長させ、スクライブ手段14をガラス基板上方に開放することも可能である。後者の方が技術的には簡便である。以上のように成膜1aの剥離と、剥離後のガラス基板1表面へのスクライブが完了後、剥離手段202及びスクライブ手段14がガラス基板に干渉せぬように上方に押し上げた状態で駆動手段スクライブユニット66を待機位置まで戻す。図14で説明した移動ブロック200が図14の前後方向に必要量だけ移動し、再度剥離及びスクライブを繰り返す。このようにして成膜が形成されたガラス基板1を所望の間隔に短冊状にスクライブすることが可能である。さらに図14で説明した載物台63を90°回転後同様な工程を施すことにより、成膜ガラス基板の格子状のスクライブが可能である。
【0072】
また、成膜ガラス基板に格子状に成膜剥離及びスクライブを施す手段として、図14の説明で述べたように、スクライブユニット66が図14の左右方向に、移動ブロック200が図14の前後方向に移動することを利用しても可能であり、更に載物台63が図14の前後方向に移動する構造とすることでも可能である。この場合、図14のスクライブユニット66下端のスクライブ手段と剥離手段が一体でガラス基板面に対して90°旋回する構成とする必要がある。具体的には、後述の第18〜第21実施形態を示す図41に記載の移動ユニット410のような構成である。図41の移動ユニット410における430は偏光板を切断する2枚の対向するホイールカッターであるが、これを1枚のスクライブ用カッターホイールに、460を剥離手段に置き換えた一体構成とすることで、前記90°旋回する機能を付与することが可能であり、更に180°旋回可能な機能を持たせることで、X、Yの各方向の往復両方向に成膜剥離及びスクライブを施すことが可能となる。
【0073】
剥離手段202とスクライブ手段14は、剥離及びスクライブの開始、終了のタイミングがそれぞれ異なり、剥離及びスクライブ終了後スクライブユニット66が待機位置に戻る際、剥離手段202とスクライブ手段14がガラス基板に接触、干渉せぬよう、上方に持ち上げて開放する必要があるため、ストッパー兼押圧手段79に内蔵され、図示せぬ制御手段により伸長の量及びタイミングを制御するエアーシリンダーも剥離ブロック用の先端部79aとスクライブブロック用の先端部79bに2箇所それぞれ分けて配設する必要がある。第9実施形態では図18に示すように剥離手段202は第1実施形態で紹介した剥離カッターをカッター止めネジ86で剥離ブロックに固定する方法としたが、第1〜第6実施形態及び第8実施形態で説明した分断方法に用いた剥離カッターの何れもが本実施形態の分断装置に応用可能である。剥離手段202の先端位置は成膜1a剥離の際、ガラス基板1の表面位置に正確に配置させることが必要となるが、ストッパーネジ80a及び80bのねじ込み量によりそれぞれの先端の上下方向位置を適正な状態に調整する。最も微細な位置調整を要するのは剥離手段202先端の上下方向位置であり、剥離工程に入る直前にガラス基板1のガラス上面位置に導くことが必要であり、この微調整は最後に前記マイクロメータネジ72の調整によって正確に調整する。ナット203はストッパーネジ80のねじ込み量調整後に固定するためのものである。また、第9実施形態では図18に示すように剥離ブロック81の形成された溝に剥離手段202をねじ止めにて固定する構成としたが、剥離手段のガラス基板面に対する切り込み角度の調整に関する構成の具体例として図示しないが、剥離ブロック81の水平方行アームの中央よりやや剥離手段202寄り付近を回転軸を介して回転する構造に分割し半固定状態の構成として、剥離手段202が成膜1aを剥離する角度を適正値に調整した後クランプ手段により固定する機構を設けることで実現可能である。
【0074】
次に本発明の第10実施形態の分断装置について説明する。第9実施形態では図16(a)に示す様に剥離手段202とスクライブ手段14をスクライブユニットの移動方向に対して同一線上に配置し、スクライブユニットの1回の移動で成膜剥離とスクライブを同時に行う方法であったが、第10実施形態は剥離手段202とスクライブ手段14を短冊状にスクライブする間隔に合わせて配設する方法である。本実施形態における剥離ブロック81'とスクライブブロック82’の平面上の位置関係は図16(b)に示す。短冊状にスクライブする際のスクライブユニットの進行方向が図16(b)の矢印方向とすれば剥離ブロック81’は進行方向先端側に設置し最初に剥離工程が実施される構成としなければならない。剥離手段202とスクライブ手段14の間隔S1は、スペーサ204の厚みを調整するなどの方法により短冊状にスクライブするピッチ間隔に合わせる。スクライブユニットの1回の移動により成膜剥離とスクライブの双方を行う点は第9実施形態と同一であるが、成膜剥離が完了した溝にスクライブユニットがピッチ分だけ移動してスクライブする内容が相違点である。大版状のガラス基板を所定のピッチでスクライブする際、第9実施形態に比較しスクライブユニットの移動が2工程分余計に必要となるが、第9実施形態との比較では分断装置をスクライブユニット移動方向に伸長する必要がなく、分断装置を幅方向にコンパクトに設計することが可能である。また剥離手段202の進行方向より後部に適切な剥離屑除去手段を、スペース面で余裕をもって設置することが可能であり、スクライブ時に剥離溝に残る剥離屑の影響を受けにくいことも特徴である。分断装置としてのその他の基本的な構成は第9実施形態とほぼ同一なので省略する。
【0075】
本発明による第11実施形態であるガラス基板の分断方法及び分断装置について図19により説明する。第9実施形態では剥離カッターの先端を剥離工程の最初に正確にガラス基板のガラス上面位置に配設する手段として電気的信号を検出する検出手段を剥離手段前方に設け、成膜上面位置を検出してプログラマブルコントロールその他の制御手段にて成膜厚みを補正し、剥離手段先端をガラス基板上面位置に導く方法を紹介したが、成膜1aが1mm以上の厚みの場合では、厚み寸法のばらつき等の影響により剥離手段先端がガラス基板表面より上側位置に導かれた場合、成膜の剥離が不十分で剥離溝底部に除去されぬ成膜が残ったり、逆にガラス基板表面より下方に導かれた場合は剥離初段先端がガラス基板端面に当たり、甚だしい場合はスクライブユニットを破損するなどの問題が懸念される。特にガラス基板1の端部、すなわち成膜1aの剥離開始時にこのようなトラブルが発生しやすい。第11実施形態はこの種の問題解決手段に関するもので、分断の対象となる大版のガラス基板の外周に逃げ部(成膜不要部)を形成し、ガラス基板切断の際、この成膜不要部を捨て去ることを前提として問題の解決手段としている。図19(a)に示す方法は、原材料である大版ガラス基板端面部に成膜を形成しない逃げ部Sを形成しておく。Sの寸法は成膜の厚みや分断装置の制御能力によっても必要量が異なるが、例えば2〜10mmに設定する。剥離手段先端はS寸法の範囲内で先ずS部のガラス表面に剥離手段先端を当接させてスクライブユニットを移動させる方法であり、剥離カッター先端のコントロールのばらつきをS寸法の範囲内で吸収し、ガラス基板表面に確実に当接させた後、成膜部の外端より余裕を持って成膜剥離が可能である。図19(b)に示す方法は逃げ部Sの成膜を予め除去することはせずに、剥離手段先端がガラス基板下方へ1〜40N程度の押圧力を設定した状態で成膜剥離を行うことを利用したものであり、剥離手段先端が図の左端の成膜ガラスの外端部付近より成膜剥離を開始し、剥離手段先端は図のR5のような軌跡を描いてS’の範囲でガラス基板表面に達する。図の斜線部を施した部分は成膜の一部が残るため、このS’の部分を逃げ部としてガラス基板切断の際捨て去る。図19(b)で説明の工程をY方向スクライブとすれば先にX方向の剥離及びスクライブを施して剥離溝5を形成した後90°回転させて格子状に同様な剥離及びスクライブを行う様子を示している。本実施形態においてはガラス基板を格子状にスクライブする場合は(a)、(b)双方共に外周全域に逃げ部S又はS'を設ける必要がある。S1,S2は短冊状にスクライブする場合のピッチ間隔を示し、通常は同一寸法を設定する。
【0076】
なお、第11実施形態の内容は上記した分断方法と分断装置の双方に適用される。成膜ガラスのスクライブ方法において、極端な場合手作業にて成膜を剥離手段にて剥離するケースでも、スクライブ及び切断前の大版状のガラス基板の外周端部の成膜の剥離残りが発生する問題が存在し、第11実施形態で説明した外周に成膜不要部を設ける手段はこの問題を解決する。また、分断装置としては、第9実施形態で説明した剥離手段先端を剥離開始時にガラス基板のガラス面位置に導く方法として、検出手段により成膜表面位置を検出して成膜厚み量を補正し、剥離開始時の剥離手段先端の上下方向位置決めを行う方法は、成膜の厚みのばらつきが大きい場合では精度の面で実現が困難になる。この問題の解決手段としても第11実施形態の様に、ガラス基板外周に成膜不要部を設ける前提とすれば、分断装置の設計、構成の負担が大幅に軽減される。
【0077】
図20は本発明の第12実施形態の分断装置の原理を示す説明図であり、図9で説明した前記第7実施形態の分断方法を分断装置に適用させたものである。本実施形態の分断装置は、図20(a)に示すように載物台3にはガラス基板1を、図示せぬ真空等の負圧供給手段により固定するための複数の負圧供給経路209が適切な配置で設けられているとともに、スクライブ手段4がガラス基板1下面側よりスクライブするための長穴3aがスクライブするピッチに対応した間隔で設けられている。本実施形態の分断装置では、ガラス基板1の成膜1aを剥離除去する剥離手段と、スクライブ手段4のそれぞれの先端が、進行方向より見て鉛直方向線上に位置し一体で移動し、剥離手段が形成する剥離溝5の直下にスクライブ5cが形成される。本実施形態の場合、スクライブの後のガラス基板分断工程において成膜剥離溝5に沿って切断する必要があるため、図20(a)のようにスクライブ手段4先端のカッターホイール4aは前述の様に進行方向より見て剥離溝5鉛直方向直下に配置させる必要があるが、図の前後方向であるカッター移動方向にはそれほど厳密な位置合わせを必要としない。ガラス基板のスクライブではガラスの厚みにもよるが、10N以上の荷重を印加してスクライブする必要があり、ガラス基板下方よりスクライブする分断装置ではスクライブ手段4の押し上げ力によってガラス基板1が載物台3に設けた吸着手段から外れる恐れがあり、これを防止する手段として図20(a)に示す荷重のバランス車輪205を剥離手段の移動方向に対して後方直近位置に配設する。荷重バランス車輪205は先端がスクライブ手段4の先端のカッターホイール4aとほぼ同一な寸法形状の、ポリウレタンゴム等の軟質材からなる回転自在の転動車輪であり、ガラス基板1を載物台3に安定的に固定するために、スクライブ荷重P1とバランスの取れる押圧加重P2を印加しながら剥離手段の直後に位置させ、剥離手段を追う形で移動する。錘状の荷重印加手段により成膜面に直接荷重を印加してガラス基板の固定力のバランスを保つ方法では保護膜が破壊したり傷ついたりする恐れがあるが、本実施形態ではガラス基板下面側のスクライブと同時に上面に剥離手段により施された成膜面剥離後の剥離溝底部に荷重バランス車輪を必要な印加荷重を加え押圧転動させることにより、成膜1aには全く接触せず、キズ等の心配が無くガラス基板を安定的に固定した状態でスクライブが可能である。なお、図20(a)では剥離手段を省略して描いている。
【0078】
スクライブ後のガラス切断(分断)はスクライブを施した反対面側より荷重を印加し、スクライブ部のクラックを進展させる方法で行う。このため、第9〜第11実施形態では成膜の剥離溝5の底部にスクライブを施し、成膜面裏側より荷重を印加し切断する。これに対し第12実施形態ではガラス基板下面にスクライブを施すと同時にスクライブ直上位置の成膜を剥離して断面が必要な寸法形状の剥離溝を形成することにより、図20(b)に示すようにスクライブ条痕5cの直上位置の剥離溝5に適切な寸法のウレタン等の樹脂又は金属からなる線材207を載置し、先端に線材と適度に勘合する凹状溝を有する回転コロ206を50〜200Nの荷重P3を線材を介して印加し、押圧転動させることにより、ガラス基板の上下反転を全く行うことなく、ガラス基板の成膜剥離、スクライブ及び切断が可能な分断装置を提供できる。208は分断時使用するクッション材である。本実施形態はスクライブ後のガラス切断を、分断装置に切断機能を付加した、スクライブ及び切断の一体装置としてまとめることも可能であるし、分断装置にてスクライブした後、切断装置にて切断しても良い。本実施形態はガラス基板のスクライブ、さらには分断に至るまでガラス基板の装置への固定を含め、各工程での条件面で成膜面に接触、加圧などを行う必要が全くなく、成膜品質の維持、保護が可能であることを特徴とする。さらに回転コロ206の代わりに剥離溝5の底部と位置的に整合する板状プレス部材で切断しても良い。
【0079】
図21及び図22に本発明の第13実施形態を示す。本実施形態の特徴は、原則的に成膜剥離工程とスクライブ工程は別工程とし、後工程のスクライブの際、図22の載物台の突起部13aにてガラス基板の成膜側を受けて支えるための不要部11cを成膜側に形成する点にある。
【0080】
図21は液晶表示装置などの製品に使う製品部と不要部の分離を前提とした成膜11aの剥離を説明した内容である。図22は図21で成膜11aを剥離除去した後にガラス基板の反対面側の剥離溝の直下(図22の上下関係で示すと直上)にスクライブを施す方法及び状態を示したものである。
【0081】
本実施形態の作用等について図示内容を基に説明する。ガラス基板11は片面に成膜11aが形成された上記実施形態と同様のものである。載物台3にはガラス基板11を真空等の負圧供給手段によって固定する吸入経路6が所定のピッチ配置で複数形成されている。ガラス基板11の一端面であるA端面を基準に不要部11c、製品部11dの幅方向の必要寸法に対応したピッチ間隔で図示せぬ剥離カッターにより剥離溝15を形成して行く。剥離溝15の形成方法は第1及び第2の実施の形態と同様であるので詳しい説明は省略する。不要部11cの寸法はガラス基板や成膜11aの厚み、製品部11dの寸法及び図22に示す吸入経路16の寸法に関連する強度的条件によって必要寸法を設定する。不要部11は最終的には廃棄する部分なので必要最小限にとどめたいが、ガラス基板のブレイク(分断)工程でスクライブ形成面の反対面側より荷重をかけて切断する場合にガラス基板11厚みとの比で小さくしすぎると切断が困難となる場合があるのでその点も考慮し、かつ後工程で説明する図22の載物台突起部13aの必要最小限寸法以上に確保して寸法設定する。製品部11dの寸法は液晶表示装置などの製品サイズに必要に応じて仕上げ代を加えて設定する。
【0082】
図22は図21に示した剥離工程の後にガラス基板11を上下に反転させて載物台13に固定し、剥離面と反対側の面にスクライブを施す方法及び内容を説明したものである。本実施形態においてスクライブを行うための載物台13は図21に図示した載物台3とは異なるもので、剥離工程により形成した不要部の寸法及びピッチ間隔に対応した位置に突起部13a及び凹部13bが図示のように交互に配設されている。突起部13aの上面は同一高さであり、成膜11aが剥離除去された図21の不要部11cの成膜面側を受けて支持固定する。固定方法は吸入経路16により従来方法と同一の負圧供給手段にて行う。この状態で図22の上下関係で言えばガラス基板11に形成された剥離溝15の直上位置にスクライブカッター4によってスクライブ条痕を形成して行く。剥離溝15の直上位置にスクライブを施す方法としてはA端面を基準に、周知の光学式センサー等の検出手段又は突当式治具、ボールネジや又はサーボモータによるタイミングベルト等によるスクライブカッター4の駆動手段、及び数値制御式等のコントロール手段の組合せによって、図21に示す剥離溝11aの形成位置に対応したガラス基板反対面の所望の位置にスクライブを施すことは容易である。凹部13bは製品部11dの成膜部が載物台に接触してキズ発生や破損することを防止するためのものである。
【0083】
本実施形態ではガラス基板の成膜面と反対側の面にスクライブを施すので、スクライブ工程で成膜の影響を何ら受けることなく、スクライブが可能である。また、スクライブ面と反対側面の成膜はスクライブ条痕に対応した位置が溝状に剥離されているので、ガラス基板のブレイク工程においても成膜層の存在の影響を受けない。さらに本実施形態の上記説明では先ず成膜剥離工程を行い、しかるのちにスクライブを実施する方法として説明したが、前述のように剥離溝15aとスクライブ条痕15aの形成位置を前記コントロール手段により制御することは容易であるので、図22に示すスクライブ工程を先に行うことも可能である。
【0084】
本発明の第14実施形態について図23を基に説明する。第3実施形態の前記説明では片面成膜のガラス基板の成膜剥離及びスクライブについて説明したが、本実施形態は両面に成膜が形成された場合の分断方法である。ガラス基板21に不要部21c及び製品部21dを形成する点は第3実施形態と同様である。これらと寸法的に対応する突起部23a及び凹部23bを設けた載物台23を剥離、スクライブの双方の工程で使用する。成膜剥離の際、図23に示す突起部23a及び凹部23bが形成された載物台23を用いて両面に成膜が形成されたガラス基板の成膜剥離を先ず片面側に、次いでガラス基板21を反転させて反対面側に順次行う。両面の剥離溝形成部位及びスクライブ形成部位の上下関係を鉛直方向に揃えることはA端面を基準に前記コントロール手段を用いて容易に実現可能である。本実施形態においては片面毎の成膜剥離を両面済ませた後に片面毎のスクライブを行うことも可能であり、また片面側の成膜剥離とスクライブ形成を済ませた後に反対面側の両工程を行う方法も可能である。
【0085】
以上詳細に説明したように、上記の実施形態によれば、成膜の一部を亀裂形成に必要な量だけ帯状に除去しつつ、表出したガラス基板の帯状領域に沿って分断用の亀裂が形成されるので、オーバーコート膜、透明電極などの薄膜から、偏光板などのフィルムや樹脂膜、保護膜など1〜2mmの厚さを有する成膜に至るまでの、あらゆる種類の成膜が形成されたガラス基板について、成膜の存在に影響されることなく、ガラス基板を分断することが可能な分断方法及び分断装置を提供できる。なお、上記各実施形態に基づき具体的に説明した内容に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【0086】
続いて、本発明の液晶パネル及び液晶パネルの製造装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。先ず、本発明の第15実施形態である液晶パネルについて詳述する。図24は第15実施形態の液晶パネルの外観を示す斜視図であって、(a)は表面側を、(b)は裏面側をそれぞれ示し、図25はその液晶パネルの縦断面図である。
【0087】
この液晶パネル350は、相互に貼り合わされて相互の間に液晶が封入された一対の基板セル351a、351b(ここで、基板セル351aはTFT基板であって、以下「TFT基板セル」と記すことがあり、基板セル351bはカラーフィルタ基板であって、以下「カラーフィルタ基板セル」と記すことがある)よりなり、TFT基板セル351aの一側がカラーフィルタ基板セル351bの一側よりも突出し、その突出部351aaの内面には液晶パネル駆動用の接続端子353が形成されている。この接続端子353には、液晶パネル350が液晶表示装置に搭載された状態で電気的な信号を受け取って液晶パネル350を点灯させるための、FPC(Flexible Printed Circuit)や、COG(Chip On Glass)が接続される。
【0088】
また、この液晶パネル350は、バックライト型の液晶表示装置に適用されるものであり、各基板セル351a、351bの外面には、ほぼ全域に亘ってそれぞれ偏光板352a、352b(ここで、偏光板352aはTFT基板セル351a側のものであって、以下「TFT側偏光板セル」と記すことがあり、偏光板352bはカラーフィルタ基板セル351b側のものであって、以下「カラーフィルタ側偏光板セル」と記すことがある)が貼り付けられている。ここで、各偏光板352a、352bに要求される機能から見れば、各偏光板352a、352bは、表示領域(不図示)を覆うこと、すなわち相互の大きさがほぼ同じで、丁度基板セル351a、351bを挟んで対向配置されることで十分であるが、本発明の液晶パネル350では、敢えてTFT側偏光板セル352aを突出部351aaの外面にまで延在させている。この理由を以下に説明する。
【0089】
液晶パネル350を構成する基板セル351a、351b個々の厚さは、例えばガラス製の場合、0.4mm〜0.7mm程度と非常に薄いため、相互に貼り合わされて表示領域を包含した重畳領域では厚さが2倍になって強度が増す反面、突出部351aaはTFT基板セル351a単体の厚さのままで強度が低い状況下にあると言える。一方で、TFT側偏光板セル352aの厚さは0.2mm〜0.6mm程度あるため、この厚さを活用して突出部351aaを補強するという狙いで、TFT側偏光板セル352aを突出部351aaの外面にまで延在させているわけである。これにより、突出部351aaは強度が増し、搬送時や液晶表示装置への組み込み時に、不用意にぶつけたり落下させたりしても、突出部351aaでの割損や変形、或いは突出部351aaの角での欠損が生じ難くなる。
【0090】
なお、TFT側偏光板セル352aの縁から突出部351aaの縁までの距離h(図25参照)、すなわち外側にガラスが表出している幅は、1mm以内で十分突出部351aaの強度を補償できる。この表出幅は、その他各偏光板352a、352bの縁に対する基板セル351a、351bの縁においても同様である。
【0091】
また、各偏光板352a、352bにおける周縁の端面352aa、352baが各基板セル351a、351bに向けて断面先細りとなっている。具体的には、これら端面352aa、352baは、詳細は後述する液晶パネル製造装置400のレーザ照射機構420や切削機構460により形成されるものであって、傾斜面や曲面である。これにより、各偏光板352a、352bは、液晶パネル350の搬送時や液晶表示装置への組み込み時に、その端面352aa、352ba(特に角部)が不用意に引っ掛けられことがなくなり、剥離は防止される。なお、各偏光板352a、352bの外面にこれと一体的に保護用のフィルムが積層されている場合、同様に各偏光板352a、352bからのフィルムの剥離防止に対して効果がある。
【0092】
ここで、各端面352aa、352baの好適な態様について述べる。各端面352aa、352baの好適な態様を見極めるにあたり、代表的に、詳細は後述する第18実施形態の液晶パネル製造装置400を用い、切削機構460の刃物461の刃先形状を種々変更(具体的には、図32(a)に示すコの字状断面や、図32(b)に示す台形状断面の刃物)して、偏光板352a、352bや基板セル351a、351bに与える影響を調査した結果を図26に示す。
【0093】
図26は、図25に示す偏光板352a、352bにおける周縁の端面の傾斜角度g(刃物461の側刃の立ち上がり角度)に対する諸特性、すなわち偏光板352a、352bや基板セル351a、351bに与える影響の度合いを模式的に表した図である。傾斜角度gとしては、90°〜135°強を選定し、諸特性としては、突出部351aaの強度、偏光板352a、352bの三角州状欠け、保護用のフィルムの剥離、及び、基板セル351a、351bと偏光板352a、352b間を接着していた接着剤の残存という4項目を選定し、それぞれの傾斜角度gに対し各項目について、良好、普通、及び不良の3基準で判定している。図26に示すように、いずれの項目でも普通以上を満足するには、傾斜角度gが90°より大きく135°以下の範囲であり、この範囲で各端面352aa、352baが傾斜している状態が好適と言える。
【0094】
なお、この調査により判明した好適条件は、端面352aa、352baが傾斜面の場合に適用されるものであるが、端面352aa、352baについては、各基板セル351a、351bに向けて断面先細りとなっている限り、曲面であっても構わないのは勿論である。また、基板セル351a、351bの材質については、ガラスに限るわけでもなく、更に、偏光板352a、352bを貼り付ける段階については、生産効率を望まなければ、個々の基板セル351a、351bに分断した後に、所定のサイズにカットされた偏光板352a、352bを貼り付けることでもよい。
【0095】
引き続き、上記したような液晶パネル350の製造に好適な液晶パネル製造装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、具体的に液晶パネル350を製造する手順については、最後に述べる。
【0096】
先ず、本発明の第16実施形態の液晶パネル製造装置について説明する。図27は第16実施形態の液晶パネル製造装置の外観を示す概略斜視図、図28はガラス基板の要部拡大図である。図27に示すように、液晶パネル製造装置400は、概略、上面に偏光板302を貼り付けた短冊状のガラス基板301が載置される載物台であるベッド(不図示)と、このベッドの上方で水平移動可能な移動ユニット410とから構成されている。その移動ユニット410には、下方に向けて突出するように、レーザ照射機構420、分断用のホイールカッター430、及び距離センサ440が搭載されていて、これらは移動ユニット410と一体となって移動する。
【0097】
レーザ照射機構420は、一般の加工機に用いられるCO2レーザ装置であって、高出力のレーザを照射するものである。ホイールカッター430は、後述するようにガラス基板301に分断用の亀裂を形成するもので、その直径u1は2.5mm程度、その刃先角度w1は120〜150°程度の鈍角となっていて(図29参照)、ガラス基板301に対して一定の押圧力を付与すべくスプリングバネやエアバネ(不図示)を介して移動ユニット410に支持されている。距離センサ440は、ベッド上に載置されたガラス基板301上の偏光板302の上面の変位を検出する接触式のセンサであって、レーザ照射機構420及びホイールカッター430と偏光板302の上面との距離を一定に保つよう制御することに活用される。このような制御を行っているのは、レーザ照射機構420に対してはレーザの焦点を安定させ、一方ホイールカッター430に対しては押圧力をより安定させるためである。これらを搭載する移動ユニット410の移動速度としては、ホイールカッター430の移動速度として適正な200〜500mm/秒程度が設定されているが、もちろん、この速度においてレーザ照射機構420のレーザ出力は十分に対応できる。
【0098】
次に、上記の液晶パネル製造装置400の動作について説明する。図27に示すように、移動ユニット410が、ガラス基板301におけるセル同士の境界上を矢印Dの方向に移動していくが、その際、先ずレーザ照射機構420が、偏光板302に向けてレーザを照射しながらホイールカッター430よりも先行して移動していく。これにより、レーザが照射された偏光板302の一部分は熱によって順次溶融して除去され、ガラス基板301が帯状に表出して帯状領域11が形成されていく。そのレーザ照射機構420に後続してその帯状領域311に沿ってホイールカッター430が移動していき、分断用の亀裂312(以下、「スクライブ」と記すことがある)を形成していく(図28参照)。
【0099】
このようにして、ガラス基板301におけるセル同士の境界上に亀裂312が形成され、その後必要に応じてガラス基板301に負荷を与えると、この亀裂312に沿ってガラス基板301が簡単に分断され、液晶パネルが得られる。なお、ガラス基板301に負荷を与えるまでもなく、亀裂312が形成されると同時にそれが進展して分断される場合もあるが、亀裂312に沿って分断されることに変わりはない。また、実際には、生産効率を考慮して、複数あるセル同士の境界全てに対して、移動ユニット410を水平移動させて、上記した液晶パネル製造装置400の動作を順次繰り返し、更に、ガラス基板301を上下反転させてガラス基板301の裏面にもホイールカッター430によりスクライブした後、分断することになる。仮に、その裏面にも偏光板302が貼り付けられている場合は、上記した液晶パネル製造装置400の動作を行う。
【0100】
このように液晶パネル製造装置400は、偏光板302が貼り付けられたガラス基板301であっても、ガラス基板301が不適正な位置で割損したり、或いは偏光板302が不用意に剥離したりすることがないため、効率よく品位の優れた液晶パネルを得ることに対して極めて有効である。
【0101】
なお、レーザ照射機構420としてCO2レーザ装置を適用しているがこれに限らないし、ホイールカッター430の形状寸法も上記に限定される訳ではない。また、距離センサ440としても接触式のセンサに限らず、非接触式のものであっても構わない。
【0102】
次に、本発明の第17実施形態の液晶パネル製造装置について、図30に基づき説明する。なお、図中で図27〜図29と同じ名称で同じ機能を果たす部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。後述する第18〜第21実施形態においても同様とする。第17実施形態の特徴は、第16実施形態におけるホイールカッター430を気体噴射機構450に置き換えた点にある。図30に示すように、移動ユニット410には、レーザ照射機構420の後段に、ガラス基板301の帯状領域311に向けて気体を噴射するノズル451を有した気体噴射機構450が備えられている。このノズル451から噴射される気体としては、圧縮空気や不活性ガス(例えば窒素ガス)が適用される。
【0103】
このような液晶パネル製造装置400の動作は、上記した第16実施形態のものと基本的には同じであるが、スクライブが形成される態様において異なる。これを以下に説明する。レーザ照射機構420から照射されたレーザは、偏光板302の一部を加熱溶融させて除去すると同時に、それによって表出したガラス基板301の帯状領域311も加熱していて、この帯状領域311は高温になる。そして、その高温状態の帯状領域311は、後続して移動してきた気体噴射機構450のノズル451から噴射された気体により急激に冷却されて熱収縮し、クラックが生じる。本実施形態では、このクラックを分断用の亀裂312として活用する。
【0104】
次に、本発明の第18実施形態の液晶パネル製造装置について、図31、図32に基づき説明する。第18実施形態の特徴は、第16実施形態におけるレーザ照射機構420を切削機構460に置き換えた点にある。図31に示すように、移動ユニット410には、ホイールカッター430の前段に、偏光板302に対して所定の角度で突出する刃物461で構成される切削機構460が備えられている。
【0105】
このような液晶パネル製造装置400の動作は、上記した第16実施形態のものと基本的には同じであるが、偏光板302の一部を除去する態様において異なる。これを以下に説明する。切削機構460が、ガラス基板301におけるセル同士の境界上を移動していくと、偏光板302は刃物461によって彫刻刀のように削り取られ、ガラス基板301が帯状に表出して帯状領域311が形成されていく。ここで、削り取られた偏光板302の切屑302aは刃物461に沿って除去される。
【0106】
このような切削機構460によれば、簡単に帯状領域311を形成することができ、しかもその切削機構460が機械的な構成で足りることから、切り込み量の管理やメンテナンスを容易に行える。
【0107】
ここで、刃物461の刃先形状について、その一例を図32に基づき説明する。図32(a)に示すように、断面形状がコの字状の刃物であると、偏光板302を一定の幅で削り取ることができ、表出したガラス基板301の帯状領域311の幅も安定する。また、図32(b)に示すように、台形状断面の刃物であると、上記したコの字状断面の刃物と同様の作用が生じることに加え、ガラス基板301上に残される偏光板302の切断面が斜面となるため、その偏光板302が不用意に剥離することは少なくなる。しかも、削り取られた偏光板302の切屑302aに与える刃物461からの摩擦抵抗が事実上減少するので、その切屑302aは円滑に刃物461に沿って除去される。
【0108】
また、図32(c)に示すように、半円状断面の刃物であると、上記した刃物と同様の作用が生じることに加え、切屑302aに与える刃物461からの摩擦抵抗がより減少するし、更に刃物461自体の製作が容易に行えるという利点が生じる。ただし、帯状領域311の表出度合いが減少する点に注意が必要である。また、図32(d)に示すように、円形断面の刃物であると、上記した半円状断面の刃物と同様の作用が生じることに加え、刃先を軸回転させる回転機構を付与することによって、刃先全周を切削に使用することができ、刃物461の寿命向上につながる。ただし、切屑302aを排出する機構を付与する必要がある。
【0109】
次に、本発明の第19実施形態の液晶パネル製造装置について、図33〜図36に基づき説明する。第19実施形態の特徴は、第18実施形態における切削機構460を変形した点にある。図33に示すように、移動ユニット410には、ホイールカッター430の前段に切削機構460が備えられているが、この切削機構460は、図34、図35に示すように、所定間隔vで対向配置され各々1つの刃先を有する一対の刃物462、463と、これら刃物462、463同士の間の下部に配置された刃物464とから構成されている。ここで、刃物464は所定間隔vと同一の幅を有しており、刃物462、463同士を所定間隔vで一定に保つ役割を果たしている。また、刃物462、463同士の間の上部には、刃物464と同様に所定間隔vと同一の幅を有した支持部材465が配置されていて、この支持部材465は移動ユニット410に支持されている。これら刃物462、463、464、及び支持部材465は、刃物交換を踏まえてビスやリベット等によって一体化されている。
【0110】
このような液晶パネル製造装置400の動作は、上記した第18実施形態のものと基本的には同じであるが、偏光板302の一部を除去する態様において若干異なる。これを以下に説明する。図33、図36に示すように、切削機構460が、ガラス基板301におけるセル同士の境界上をガラス基板301の短辺方向(図中で矢印Dの方向)に移動していくと、先ず刃物462、463によって偏光板302が帯状に切断されていく。次いで、その切断された偏光板302の帯状部分は、刃物464によってガラス基板301から掻き取られて切屑302aとなり、刃物464に沿って除去されていく。これと同時に、ガラス基板301が帯状に表出して帯状領域311が形成されていく。
【0111】
このような切削機構460によれば、上記した第18実施形態の効果と同様の効果が得られることはもちろんであるが、特に複数の刃物を組み合わせて切削機構460が構成されるため、例えば、ガラス基板301の帯状領域311の幅を変更したい場合は、単に刃物464のみを交換すれば達成でき、また、個別に刃物が劣化した場合は、その刃物のみを単独に交換できる。つまり、帯状領域311の幅の多様化に対して対応がし易く、また刃物自体のランニングコストの低減に対して有効である。
【0112】
次に、本発明の第20実施形態の液晶パネル製造装置について、図37に基づき説明する。第20実施形態の特徴は、第19実施形態における一対の刃物462、463の形状を変形し、偏光板302に対しての切断抵抗を抑止するように図った点にある。第19実施形態における刃物462、463のような各1つの刃先では、偏光板302が厚い場合、必然的にその刃先が負担する切断負荷が大きくなる、言い換えれば、偏光板302に対しての切断抵抗が大きくなることから、切断中に偏光板302が変形したり、切断の終端部で三角州状の欠けが生じたりするような問題を誘発する。そこで本実施形態では、図37に示すように、刃物462’、463’各々には、切断進行方向(図中で矢印Dの方向)に向けて順に切り込み深さが小さい複数の刃先を設けている(図では2つづつ)。このようにすれば、1つの刃先が負担する切断負荷が小さくなるため、偏光板302に対しての切断抵抗も小さくなって上記のような問題も誘発され難くなる。
【0113】
次に、本発明の第21実施形態の液晶パネル製造装置について、図38、図39に基づき説明する。第21実施形態の特徴は、第19実施形態における一対の刃物462、463をホイールカッターに置き換えた点にある。図38に示すように、移動ユニット410には、ホイールカッター430の前段に切削機構460が備えられているが、この切削機構460には、図34、図35に示した一対の刃物462、463の代わりに、図39に示すように、所定間隔vで同軸状に対向配置された一対のホイールカッター466、467を備えている。このようにすれば、偏光板302に対しての切断抵抗をより抑えることができる。ここで、ホイールカッター466、467の刃先角度w2は、切り込み深さを確保しつつ、ガラス基板301上に残される偏光板302の切断部からの不用意な剥離を防止する観点から、30〜90°の鋭角となっている。またその直径u2は、回転軸の設置スペースや高速切断化のための周速の確保、更に自身の強度確保といった点を考慮して、5mm〜10mmとなっている。
【0114】
ここで、その他第18〜第21実施形態に共通する事項について、以下に補足しておく。本発明の液晶パネル製造装置400によれば、偏光板302の一部を刃物やホイールカッターによって帯状に切削除去していく訳であるが、その際に、刃物等がガラス基板301まで到達すると、刃物等の刃先が欠損したり、ガラス基板301上にキズが生じたりするおそれがある。特にこのキズはガラス基板301における予定しない割損や品位低下を招いてしまうため好ましくない。一方、ガラス基板301と偏光板302との間には、実際には、両者を貼り付けている微小な厚さを有する接着層が存在している。そこで、これら刃物等の刃先がガラス基板301に到達しないようその接着層内に収まるように初期設定され、更に切削中は位置センサ440によりモニタ制御されている。またその代替策としては、刃物材料として偏光板302より硬くガラス基板301より軟らかい材質のものを用いることでもよい。
【0115】
また、ガラス基板301の帯状領域311の幅については、液晶パネルにおける偏光板302の有効領域を確保することや、品位を損なわず容易に分断用の亀裂312を形成することを踏まえて、1mm〜3mmの範囲内、好ましくは1mm〜2.5mmの範囲内が適正である。従って、これを再現するように、刃物等の寸法を設定する必要があるが、特に第19〜第21実施形態では、一対の刃物462、463やホイールカッター466、467間の所定間隔vをその範囲内に設定することで容易に達成できる。
【0116】
更に、切削された偏光板302の切屑302aを刃物等に停滞させることなく円滑に除去する観点から、刃物等にはその切屑2aが付着しないようテフロン(登録商標)やダイヤモンド等のコーティング処理が施されている。これによって、その刃物等の寿命も向上する。
なお、本発明の液晶パネル製造装置は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。例えば、ガラス基板301と偏光板302とを貼り付けている接着剤については限定はなく、アクリル系やシリコン系の一般の接着剤が適用できるが、特に第19〜第21実施形態では、偏光板302を刃物465によって掻き取ることから、製品レベルで問題のない程度に接着強度を適度に保持しつつ、掻き取り易いものを選定することが好ましい。また、偏光板302の表面に保護用のラミネートフィルムが貼り付けられていてもよく、製品出荷時時にそれを剥がすことによって、表面に付着した溶融物やガラス分断用のカレット(細かいガラス片)を取り除くことができるので好ましい。また、上記の実施形態では、移動ユニット410がベッドに対して移動するようになっているが、ガラス基板301を載置したベッドの方が移動するようになっていても構わない。
【0117】
次に、このような液晶パネル製造装置400を用い、具体的に上記の液晶パネル350を製造する手順について、図面を参照しながら詳述する。図40は液晶パネル350の素材となるガラス基板の外観を示す斜視図、図41はそのガラス基板に対する液晶パネル製造装置の概略側面図、図42はその液晶パネル製造装置を動作させた後のガラス基板の縦断面図である。また、図43はそのガラス基板の外観を示す斜視図であって、(a)はTFT側を、(b)はカラーフィルタ側での分断位置をそれぞれ示している。なおここでは、代表的に、第18実施形態の液晶パネル製造装置400を用い(図31参照)、切削機構460の刃物461として刃先形状が台形状断面のもの(図32(b)参照)を適用する。
【0118】
先ず、液晶パネル350の素材として、相互に貼り合わされた一対のTFT基板301a、カラーフィルタ基板301bからなるガラス基板301を準備する。このガラス基板301は、格子状に分割配置すなわち隣接配置された複数のTFT基板セル51a及びカラーフィルタ基板セル51bが形成されており、各一対のTFT基板セル51a、カラーフィルタ基板セル51b間には液晶が封入されている。また、TFT基板301a、カラーフィルタ基板301bの各外面には、全てのTFT基板セル51a、を覆うように、それぞれTFT側偏光板302a、カラーフィルタ側偏光板302bが貼り付けられている(図40参照)。これらTFT側偏光板302a、カラーフィルタ側偏光板302bの各外面には、保護用のフィルムが積層されている。
【0119】
次いで、このガラス基板301をTFT基板301a側が上になるように液晶パネル製造装置400のベッド上にセットし、移動ユニット410が、隣接するTFT基板セル351a同士の平行な境界U1、U2・・・(図43参照)のうち、境界U1上を、ガラス基板301の端から端まで一方向(図31、18中で矢印Dの方向)に移動していく。これにより、TFT側偏光板302aが刃物461によって削り取られ、TFT基板301aが帯状に表出して帯状領域311a(図42参照)が形成されていく。これに後続して、その帯状領域311aに沿ってホイールカッター430が移動し、スクライブ312a(図42参照)が形成されていく。
【0120】
その後、ガラス基板301を水平面内で平行移動させ、順次境界U2、U3・・・に対して上記の動作を繰り返し、次いで、ガラス基板301を水平面内で90°回転させ、今度は境界U1、U2・・・と直角な境界Q1、Q2・・・(図43参照)に対して上記の動作を繰り返し、スクライブ312b(図43参照)が形成される。
【0121】
次に、ガラス基板301を反転させて、今度はカラーフィルタ基板301bに対して上記の動作を繰り返すわけであるが、この動作は、TFT基板301aに対する動作とは若干異なる。つまり、上記の境界U1、U2・・・に対向するカラーフィルタ基板セル351b同士の境界V1、V2・・・(図43参照)とともに、TFT基板セル351aに突出部351aaを形成すべく、その境界V1、V2・・・と平行に各々所定距離隔てて境界W1、W2・・・(図43参照)が設定されている。そして、境界V1、W1、V2、W2・・・と交互で順に、ガラス基板301の端から端まで一方向(図31、図41中で矢印Dの方向)に移動していく。
【0122】
これにより、カラーフィルタ側偏光板302bが刃物461によって削り取られ、カラーフィルタ基板301bが帯状に表出して帯状領域311c、311d(図42参照)が交互に形成されていく。これに後続して、その帯状領域311c、311dに沿ってホイールカッター430が移動し、スクライブ312c、312d(図42参照)が形成されていく。
【0123】
その後、ガラス基板301を水平面内で90°回転させ、上記の境界Q1、Q2・・・に対向するカラーフィルタ基板セル351b同士の境界T1、T2・・・(図43参照)に対して上記の動作を繰り返し、スクライブ312e(図43参照)が形成される。
【0124】
そして、必要に応じてガラス基板301に負荷を与えることで、各スクライブ312a〜312eに沿って、一対のTFT基板セル351a、カラーフィルタ基板セル351b毎に分断される。その際、カラーフィルタ基板301b(フィルタ側偏光板302bも含む)におけるスクライブ312dとスクライブ312dとの間に存する部分354(図42ではハッチング部)は、不要部分として除去される。これにより、TFT基板セル351aに突出部351aaが形成されるわけである。最後に、この突出部351aaの内面に設けられた接続端子353にCOGやFPCを接続し、液晶パネル350が完成する(図24参照)。
【0125】
このようにして完成した液晶パネル350においては、突出部351aaを含むTFT基板セル351aの外面ほぼ全域に亘ってTFT側偏光板セル352aが、他方フィルタ基板セル351bの外面ほぼ全域に亘ってカラーフィルタ側偏光板セル352bがそれぞれ貼り付けられた状態になっている。
【0126】
また、各TFT側偏光板セル352a、カラーフィルタ側偏光板セル352bにおける周縁の端面352aa、352baは、刃物461の側刃の立ち上がり角度が反映されて、傾斜面に切断され、更に、各TFT基板セル351a、カラーフィルタ基板セル351bの外面における周縁の表出幅は、刃物461における下刃の幅のほぼ半分が反映されている。つまり、刃物461の形状寸法を調整することで、液晶パネルの強度や偏光板の耐剥離性に対し、上記したような好適な状態に簡単にし得る。
【0127】
なお、第18実施形態以外の他の実施形態による液晶パネル製造装置400を用いても、上記と同様の手順で液晶パネル350を得ることは勿論可能である。
【0128】
ところで、このように大版のガラス基板より液晶パネルを切り出す場合、横方向(Y方向)及び縦方向(Y方向)の両方向に対して前述の分断動作を行う必要があるが、順序によっては次のような問題が発生する。その様相について、図44〜図48を参照しながら説明する。先ず、図44に示すように、偏光板302が貼り付けられたガラス基板301に対してX方向の分断を施す場合、ガラス基板表出手段としての切削機構460である例えば刃物461にホイールカッター430を後続させた移動ユニット410をX方向に移動させ、偏光板302の剥離除去とスクライブを同時に行う。すると偏光板302を剥離して帯状領域311が形成されると同時に、その帯状領域311上の中央にスクライブライン(分断を行うための亀裂)312が形成される。次に、X方向と直角なY方向も同様に、図45に示すように、刃物461にホイールカッター430を後続させた移動ユニット410をY方向に移動させ、偏光板302の剥離除去とスクライブを同時に行う。この分断では、スクライブを行うホイールカッター430に先行して刃物461を走行させるため、従来のガラス分断工程のみの場合とほぼ同様の処理時間で偏光板付のガラス基板の分断を行えることになる。
【0129】
ただし、図46に示すように、先に形成されたX方向のスクライブライン312に直交するY方向に刃物461を移動させる場合、ガラス基板301上の帯状領域311に押さえつけた刃物461の先端がスクライブで生じたガラスの段差(スクライブライン312)と直角に衝突する。これにより、図47に示すように、分断のクロス部となるパネルエッジの欠け315が生じたり、図48に示すように、刃物461の先端の欠け461aが発生したりする。そのため、刃物461の寿命が短くなることによるランニングコストの増加や、液晶パネル350の品位の低下を引き起こす。従って、偏光板312の剥離除去を行う際には、刃物461が先に形成されたスクライブライン312を通過せずに、すなわち交差せずに走行することが望ましいといえる。
【0130】
そこで、このような問題を解決する分断方法について、図49〜図51を参照しながら以下に説明する。先ず、図49に示すように、スクライブ用のホイールカッター430を退避させ、ガラス基板301のX方向に対して、偏光板剥離用の刃物461のみをガラス基板301に押し当ててX方向に移動させる。つまり、この第1回目のX方向の移動では、偏光板302の剥離除去を行って帯状領域311が形成されるが、この帯状領域311に対しては、スクライブライン312の形成は行わない。
【0131】
続いて図50に示すように、ガラス基板301のY方向に対して前述のように偏光板剥離とスクライブを同時に行う。つまり、帯状領域311及びスクライブライン312の形成が行われる。この場合、偏光板302の剥離除去を行う箇所、すなわち第1回目のX方向への移動で形成された帯状領域311には、スクライブライン312が存しないため、刃物461の先端がスクライブライン312に衝突することなく、スムーズに偏光板301を剥離することができる。
【0132】
最後に図51に示すように、今度は刃物461を退避させ、第1回目のX方向への移動で形成された帯状領域311にホイールカッター430のみを走行(第2回目のX方向への移動)させることによって、ガラス基板301のX方向に対してスクライブ施してスクライブライン312を形成し、分断を行う。このように、X方向、Y方向、X方向の順序で分断を行うことにより、若干の処理時間の増大は発生してしまうが、刃物寿命を大幅に延ばすことができるとともに、液晶パネルの品位も高めることができる。
【0133】
なお、分断の処理時間に余裕があれば、偏光板302の剥離除去の動作のみを先にX方向とY方向の両方に施して、両方向全てに帯状領域311を形成し、その後、スクライブのみを行うようにしてもよい。さらに、偏光板の剥離除去のみを行う装置とスクライブのみを行う装置に分割し、個別に処理が行えることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明のガラス基板の分断方法、ガラス基板の分断装置、液晶パネル、及び液晶パネル製造装置は、液晶表示機器に関連する技術分野において有用とされる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】図1は本発明の第1実施形態であるガラス基板の分断方法における成膜の除去状況を示す概略図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図2】図2は図1(a)の拡大図である。
【図3】図3は第1実施形態における亀裂(スクライブ)の形成状況を示す概略正面図である。
【図4】図4は本発明の第2、3実施形態の分断方法における成膜の除去を説明する概略正面図である。
【図5】図5は本発明の第4実施形態の分断方法における成膜の除去を説明する概略図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図6】図6は第4実施形態の他の例を示す概略側面図である。
【図7】図7は本発明の第5実施形態の分断方法における成膜の除去を説明する概略正面図である。
【図8】図8は本発明の第6実施形態の分断方法における成膜の除去を説明する概略側面図である。
【図9】図9は本発明の第7実施形態の分断方法における亀裂の形成状況を示す概略正面図である。
【図10】図10は本発明の第8実施形態の分断方法におけるカッターの外観図である。
【図11】図11は第8実施形態における成膜の除去を説明する概略側面図である。
【図12】図12は第8実施形態におけるカッターの正面詳細図である。
【図13】図13は図12におけるm−n断面図である。
【図14】図14は本発明の第9実施形態であるガラス基板の分断装置の正面図である。
【図15】図15は第9実施形態の分断装置における亀裂形成手段(スクライブユニット)の斜視図である。
【図16】図16は本発明の第9、10実施形態の分断装置を上方から見た平面図である。
【図17】図17は第9実施形態の分断装置における成膜除去の動作前の状態を示す正面平面図である。
【図18】図18は第9実施形態の分断装置における成膜除去の動作中の状態を示す正面平面図である。
【図19】図19は本発明の第11実施形態であるガラス基板の分断方法及びその装置における成膜除去の原理を説明する概略図である。
【図20】図20は本発明の第12実施形態であるガラス基板の分断方法及びその装置における成膜除去及び亀裂形成を説明する概略図である。
【図21】図21は本発明の第13実施形態であるガラス基板の分断方法における成膜除去の状態を示す断面図である。
【図22】図22は第13実施形態の分断方法における亀裂形成の状態を示す断面図である。
【図23】図23は本発明の第14実施形態の分断方法における成膜除去及び亀裂形成の状態を示す断面図である。
【図24】図24は本発明の第15実施形態である液晶パネルの外観を示す斜視図である。
【図25】図25は第15実施形態の液晶パネルの縦断面図である。
【図26】図26は第15実施形態の液晶パネルにおける偏光板の端面角度に対する諸特性を模式的に表した図である。
【図27】図27は本発明の第16実施形態である液晶パネル製造装置の外観を示す概略斜視図である。
【図28】図28はガラス基板の要部拡大図である。
【図29】図29は分断用のホイールカッターを示す外観図である。
【図30】図30は本発明の第17実施形態の液晶パネル製造装置の外観を示す概略斜視図である。
【図31】図31は本発明の第18実施形態の液晶パネル製造装置の外観を示す概略斜視図である。
【図32】図32は第3実施形態の液晶パネル製造装置における刃物形状の一例を示す外観斜視図である。
【図33】図33は本発明の第19実施形態の液晶パネル製造装置の外観を示す概略斜視図である。
【図34】図34は第19実施形態の液晶パネル製造装置における刃物の外観を示す概略斜視図である。
【図35】図35は図34の刃物の分解斜視図である。
【図36】図36は第19実施形態の液晶パネル製造装置における動作を説明する断面図である。
【図37】図37は本発明の第20実施形態の液晶パネル製造装置における刃物を示す断面図である。
【図38】図38は本発明の第21実施形態の液晶パネル製造装置の外観を示す概略斜視図である。
【図39】図39は第21実施形態の液晶パネル製造装置における刃物を示す外観図である。
【図40】図40は本発明の液晶パネルの素材となるガラス基板の外観を示す斜視図である。
【図41】図41は図40のガラス基板に対する液晶パネル製造装置の一例を示す概略側面図である。
【図42】図42は図41の液晶パネル製造装置を動作させた後のガラス基板の縦断面図である。
【図43】図43は図41の液晶パネル製造装置を動作させた後のガラス基板の外観を示す斜視図である。
【図44】図44は本発明の液晶パネル製造装置におけるX方向への動作中の状態を示す斜視図である。
【図45】図45は本発明の液晶パネル製造装置におけるY方向への動作中の状態を示す斜視図である。
【図46】図46は本発明の液晶パネル製造装置におけるY方向への動作中の状態を示す縦断面図である。
【図47】図47は図44〜図46の液晶パネル製造装置の動作により得られた液晶パネルの外観斜視図である。
【図48】図48は図44〜図46の液晶パネル製造装置の動作に用いられた刃物の外観斜視図である。
【図49】図49は本発明の液晶パネル製造装置において好適な動作を示す一例であって、第1回目のX方向への動作中の状態を示す斜視図である。
【図50】図50は図49の液晶パネル製造装置の動作後のY方向への動作中の状態を示す斜視図である。
【図51】図51は図50の液晶パネル製造装置の動作後の第2回目のX方向への動作中の状態を示す斜視図である。
【図52】図52は従来のガラス基板の分断装置の一例を示す正面図である。
【図53】図53は従来の液晶パネルの外観を示す斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に貼り合わされて相互の間に液晶が封入された一対の基板セルの各外面に偏光板が貼り付けられてなる液晶パネルにおいて、
前記一方の基板セルの少なくとも一側が前記他方の基板セルの少なくとも一側よりも突出しており、その突出部の内面に液晶パネル駆動用の接続端子が形成され、前記突出部の外面に前記偏光板が延在していることを特徴とする液晶パネル。
【請求項2】
前記各偏光板の周縁が前記各基板セルの周縁の内側1mm以内に存していることを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項3】
相互に貼り合わされて相互の間に液晶が封入された一対の基板セルの各外面に偏光板が貼り付けられてなる液晶パネルにおいて、
前記各偏光板における周縁の端面が前記各基板セルに向けて断面先細りとなっていることを特徴とする液晶パネル。
【請求項4】
前記各端面が前記各基板セルの外面に対して90°より大きく135°以下に傾斜していることを特徴とする請求項3に記載の液晶パネル。
【請求項5】
前記各偏光板の外面に剥離可能な保護用のフィルムが前記各偏光板と一体的に積層されていることを特徴とする請求項4に記載の液晶パネル。
【請求項6】
相互に貼り合わされて相互の間に液晶が封入されたガラス製の一対の基板セルを複数隣接して有するとともに、両面に偏光板が貼り付けられてなるガラス基板を、分断して請求項1又は3に記載の液晶パネルを複数得る液晶パネル製造装置において、
前記偏光板の一部を帯状に除去して前記ガラス基板を帯状に表出させるガラス基板表出手段と、該ガラス基板表出手段によって表出した前記ガラス基板の帯状領域に沿って分断用の亀裂を形成する亀裂形成手段と、を備え、前記亀裂に沿って前記ガラス基板を分断することを特徴とする液晶パネル製造装置。
【請求項7】
前記ガラス基板表出手段は、前記偏光板にレーザを照射するレーザ照射機構であることを特徴とする請求項6に記載の液晶パネル製造装置。
【請求項8】
前記亀裂形成手段は、前記レーザの照射によって加熱された前記ガラス基板の帯状領域に急冷用の気体を噴射する気体噴射機構であることを特徴とする請求項7に記載の液晶パネル製造装置。
【請求項9】
前記ガラス基板表出手段は、前記偏光板の一部を切削して除去する切削機構であることを特徴とする請求項6に記載の液晶パネル製造装置。
【請求項10】
前記切削機構は、前記偏光板の一部を帯状に削り取る刃物で構成されていて、その刃先の断面形状がコの字状、台形状、半円状、或いは円形のいずれかであることを特徴とする請求項9に記載の液晶パネル製造装置。
【請求項11】
前記切削機構は、所定間隔で対向配置され前記偏光板の一部を帯状に切断する第1、第2の刃物と、該第1、第2の刃物の間に配置され前記第1、第2の刃物によって切断された前記偏光板の帯状部分を前記ガラス基板から掻き取る第3の刃物と、から構成されたことを特徴とする請求項9に記載の液晶パネル製造装置。
【請求項12】
前記所定間隔が1mm〜3mmの範囲内に設定されたことを特徴とする請求項11に記載の液晶パネル製造装置。
【請求項13】
前記第1、第2の刃物は、同軸状に一体化した一対のホイールカッターであって、その刃先角度が30°〜90°の範囲内に設定されたことを特徴とする請求項11又は12に記載の液晶パネル製造装置。
【請求項14】
前記第1、第2の刃物を構成するホイールカッターの直径が、5mm〜10mmの範囲内に設定されたことを特徴とする請求項13に記載の液晶パネル製造装置。
【請求項15】
前記第1、第2の刃物は、前記偏光板に対して切断が進行する方向にのみ相対的に移動可能な刃物であって、その切断進行方向に向けて順に切り込み深さが小さい複数の刃先をそれぞれ有することを特徴とする請求項11又は12に記載の液晶パネル製造装置。
【請求項16】
前記第1、第2の刃物の刃先が、前記ガラス基板と接触しないように設定されたことを特徴とする請求項11、12、14のいずれかに記載の液晶パネル製造装置。
【請求項17】
前記切削機構を構成する刃物には、除去された前記偏光板が付着しないようにコーティング処理が施されたことを特徴とする請求項10〜12、14のいずれかに記載の液晶パネル製造装置。
【請求項18】
前記亀裂形成手段は、ホイールカッターであることを特徴とする請求項10〜12、14のいずれかに記載の液晶パネル製造装置。
【請求項19】
前記ガラス基板表出手段と前記亀裂形成手段を選択的に動作させる作動機構を備えたことを特徴とする請求項18に記載の液晶パネル製造装置。
【請求項20】
前記作動機構は、前記切削機構を構成する刃物の進行方向が前記亀裂と交差しないような順序で前記ガラス基板表出手段と前記亀裂形成手段を動作させることを特徴とする請求項19に記載の液晶パネル製造装置。
【請求項21】
前記作動機構は、前記ガラス基板表出手段のみを動作させて第1の前記帯状領域を形成した後、この第1の帯状領域と直交する方向に前記ガラス基板表出手段及び前記亀裂形成手段を動作させて第2の前記帯状領域及び第1の前記亀裂を形成し、その後前記第1の帯状領域に沿って前記亀裂形成手段のみを動作させて第2の前記亀裂を形成するように動作させることを特徴とする請求項20に記載の液晶パネル製造装置。
【請求項1】
相互に貼り合わされて相互の間に液晶が封入された一対の基板セルの各外面に偏光板が貼り付けられてなる液晶パネルにおいて、
前記一方の基板セルの少なくとも一側が前記他方の基板セルの少なくとも一側よりも突出しており、その突出部の内面に液晶パネル駆動用の接続端子が形成され、前記突出部の外面に前記偏光板が延在していることを特徴とする液晶パネル。
【請求項2】
前記各偏光板の周縁が前記各基板セルの周縁の内側1mm以内に存していることを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項3】
相互に貼り合わされて相互の間に液晶が封入された一対の基板セルの各外面に偏光板が貼り付けられてなる液晶パネルにおいて、
前記各偏光板における周縁の端面が前記各基板セルに向けて断面先細りとなっていることを特徴とする液晶パネル。
【請求項4】
前記各端面が前記各基板セルの外面に対して90°より大きく135°以下に傾斜していることを特徴とする請求項3に記載の液晶パネル。
【請求項5】
前記各偏光板の外面に剥離可能な保護用のフィルムが前記各偏光板と一体的に積層されていることを特徴とする請求項4に記載の液晶パネル。
【請求項6】
相互に貼り合わされて相互の間に液晶が封入されたガラス製の一対の基板セルを複数隣接して有するとともに、両面に偏光板が貼り付けられてなるガラス基板を、分断して請求項1又は3に記載の液晶パネルを複数得る液晶パネル製造装置において、
前記偏光板の一部を帯状に除去して前記ガラス基板を帯状に表出させるガラス基板表出手段と、該ガラス基板表出手段によって表出した前記ガラス基板の帯状領域に沿って分断用の亀裂を形成する亀裂形成手段と、を備え、前記亀裂に沿って前記ガラス基板を分断することを特徴とする液晶パネル製造装置。
【請求項7】
前記ガラス基板表出手段は、前記偏光板にレーザを照射するレーザ照射機構であることを特徴とする請求項6に記載の液晶パネル製造装置。
【請求項8】
前記亀裂形成手段は、前記レーザの照射によって加熱された前記ガラス基板の帯状領域に急冷用の気体を噴射する気体噴射機構であることを特徴とする請求項7に記載の液晶パネル製造装置。
【請求項9】
前記ガラス基板表出手段は、前記偏光板の一部を切削して除去する切削機構であることを特徴とする請求項6に記載の液晶パネル製造装置。
【請求項10】
前記切削機構は、前記偏光板の一部を帯状に削り取る刃物で構成されていて、その刃先の断面形状がコの字状、台形状、半円状、或いは円形のいずれかであることを特徴とする請求項9に記載の液晶パネル製造装置。
【請求項11】
前記切削機構は、所定間隔で対向配置され前記偏光板の一部を帯状に切断する第1、第2の刃物と、該第1、第2の刃物の間に配置され前記第1、第2の刃物によって切断された前記偏光板の帯状部分を前記ガラス基板から掻き取る第3の刃物と、から構成されたことを特徴とする請求項9に記載の液晶パネル製造装置。
【請求項12】
前記所定間隔が1mm〜3mmの範囲内に設定されたことを特徴とする請求項11に記載の液晶パネル製造装置。
【請求項13】
前記第1、第2の刃物は、同軸状に一体化した一対のホイールカッターであって、その刃先角度が30°〜90°の範囲内に設定されたことを特徴とする請求項11又は12に記載の液晶パネル製造装置。
【請求項14】
前記第1、第2の刃物を構成するホイールカッターの直径が、5mm〜10mmの範囲内に設定されたことを特徴とする請求項13に記載の液晶パネル製造装置。
【請求項15】
前記第1、第2の刃物は、前記偏光板に対して切断が進行する方向にのみ相対的に移動可能な刃物であって、その切断進行方向に向けて順に切り込み深さが小さい複数の刃先をそれぞれ有することを特徴とする請求項11又は12に記載の液晶パネル製造装置。
【請求項16】
前記第1、第2の刃物の刃先が、前記ガラス基板と接触しないように設定されたことを特徴とする請求項11、12、14のいずれかに記載の液晶パネル製造装置。
【請求項17】
前記切削機構を構成する刃物には、除去された前記偏光板が付着しないようにコーティング処理が施されたことを特徴とする請求項10〜12、14のいずれかに記載の液晶パネル製造装置。
【請求項18】
前記亀裂形成手段は、ホイールカッターであることを特徴とする請求項10〜12、14のいずれかに記載の液晶パネル製造装置。
【請求項19】
前記ガラス基板表出手段と前記亀裂形成手段を選択的に動作させる作動機構を備えたことを特徴とする請求項18に記載の液晶パネル製造装置。
【請求項20】
前記作動機構は、前記切削機構を構成する刃物の進行方向が前記亀裂と交差しないような順序で前記ガラス基板表出手段と前記亀裂形成手段を動作させることを特徴とする請求項19に記載の液晶パネル製造装置。
【請求項21】
前記作動機構は、前記ガラス基板表出手段のみを動作させて第1の前記帯状領域を形成した後、この第1の帯状領域と直交する方向に前記ガラス基板表出手段及び前記亀裂形成手段を動作させて第2の前記帯状領域及び第1の前記亀裂を形成し、その後前記第1の帯状領域に沿って前記亀裂形成手段のみを動作させて第2の前記亀裂を形成するように動作させることを特徴とする請求項20に記載の液晶パネル製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
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【図18】
【図19】
【図20】
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【図26】
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【図29】
【図30】
【図31】
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【図34】
【図35】
【図36】
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【図39】
【図40】
【図41】
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【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【公開番号】特開2008−116969(P2008−116969A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−293341(P2007−293341)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【分割の表示】特願2003−542101(P2003−542101)の分割
【原出願日】平成14年11月5日(2002.11.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(000124362)シチズンセイミツ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【分割の表示】特願2003−542101(P2003−542101)の分割
【原出願日】平成14年11月5日(2002.11.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(000124362)シチズンセイミツ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】
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