説明

液晶表示用電極基板の製造方法および液晶表示装置

【課題】TFT素子側電極基板の上面にカラーフィルタを形成する方法において、着色層及び遮光膜のパターニングする製造工程数が削減され、生産効率の良い液晶表示用電極基板の製造方法及び液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】液晶表示装置用電極基板の製造方法は、TFT素子形成電極基板40の保護膜13,49にスルーホール51を形成し、印刷方式で、保護膜上に撥インキ物を含んだ着色層14を転写し、インクジェット方式で、遮光膜27を形成し、スルーホールを介して画素配線43と通電接続した透明導電膜よりなる画素電極18を形成する製造方法であって、前記撥インキ物を含んだ着色層は、その焼成前に不良の着色層の基板を選別し、該TFT素子形成電極基板上から不良の着色層のみを剥離し、除去する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置用電極基板に関するものであり、特に、アクティブマトリックス型液晶表示装置に用いられる電極基板の製造方法、及び、その製造方法により製造された液晶表示装置用電極基板を用いた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は、従来のアクティブマトリックス型液晶表示装置(9)に用いられた薄膜トランジスタ素子(TFT)側電極基板(5)の一部分を模式的に示した断面図である。
【0003】
図6に示す前記TFT素子側電極基板(5)は、透明基板(11)の片面上にTFT素子(12)、画素電極(18)、配向膜(16)が形成されたものである。
【0004】
図7は、従来のアクティブマトリックス型液晶表示装置の一例の一部分を模式的に示した断面図である。
【0005】
図7に示すように、この液晶表示装置(9)は、薄膜トランジスタ素子(以下TFT素子)側電極基板(5)と、電極基板(6)、液晶(3)、スペーサ(8)で構成されている。前記電極基板(6)は、透明基板(21)の片面上にカラーフィルタの機能を有する着色層(14)と、対向するTFT素子(12)を隠蔽するための遮光膜(27)と、透明導電膜(22)、配向膜(23)が形成されたものである。従来の液晶表示装置(9)は、TFT素子側電極基板(5)と、電極基板(6)とをスペーサ(8)を挟み対向させ、該ギャップ内に液晶(3)を封入した構造である。
【0006】
図7に示す従来のアクティブマトリクス型液晶表示装置の典型的な構造は、図上側のTFT素子側電極基板5と、配線部分とを隠蔽する遮光膜およびカラーフィルタを持つ電極基板6とを、対向させる構造が広く採用されている。しかしながら、互いに対向する両電極基板5、6の貼り合わせずれが発生するため、その貼り合わせ精度に相当する分だけ遮光膜の幅を大きく設計する必要があり、従ってカラーフィルタの画素の面積が狭くなり、開口率が低下するという問題があった。この問題を解決するため、例えば、TFT素子側電極基板(5)上にカラーフィルタの機能を有する層を形成することで開口率を向上する方法が提案されている(特許文献4参照)。
【0007】
しかしながら、前記のTFT素子側電極基板にカラーフィルタを形成する方法では、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色を3回に分けてパターニングし、さらにブラックマトリックスもパターニングするため、工程数が多くなって、歩留まりが悪く、せっかく形成したTFT素子側電極基板が生かされないなど、効率が極めて良くない等の問題がある。
【0008】
以下に公知文献を記す。
【特許文献1】特開2004−272282号公報
【特許文献2】特開2003−5168号公報
【特許文献3】特開2002−55363号公報
【特許文献4】特開2001−117085号公報
【特許文献5】特開2001−5038号公報
【特許文献6】特開2000−29069号公報
【特許文献7】特開平09−820251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、TFT素子側電極基板の上面にカラーフィルタを形成する方法において、赤(R)、緑(G)、青(B)の着色層及びブラックマトリックスの遮光膜のパターニングするための製造工程が、工程数が多くならずに、歩留が低下せず、使用するTFT素子側電極基板が消耗しない製造方法であって、生産効率の良い液晶表示用電極基板の製造方法及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係る発明は、液晶表示装置用電極基板の製造方法において、
(a)透明基板の片面上に、少なくとも薄膜トランジスタ素子(TFT)、ゲート配線、ソース配線、画素配線、及び補助容量部が形成された薄膜トランジスタ素子(TFT)形成電極基板の薄膜トランジスタ素子(TFT)側上に保護膜を形成し、
(b)前記補助容量部上の保護膜に、前記画素配線を露出させる所定のパターンのスルーホールを形成し、
(c)前記保護膜上に、印刷方式で、所定のパターンの撥インキ物を含んだ着色層を転写し、検査および修正して、良品のみを焼成してカラーフィルタの着色層を形成し、
(d)インクジェット方式で、遮光膜を形成し、検査および修正して、良品のみを焼成して遮光膜のブラックマトリックスとし、
(e)薄膜トランジスタ素子(TFT)側上の全面に、ITO膜を付け、焼成してITO膜の透明導電膜を形成し、
(f)前記透明導電膜を所定の形状にパターニングして、前記スルーホールを介して画素配線と電気的に接続した透明導電膜よりなる画素電極を形成する液晶表示装置用電極基板を製造することを特徴とする液晶表示装置用電極基板の製造方法である。
【0011】
本発明の請求項2に係る発明は、前記所定のパターンの撥インキ物を含んだ着色層は、その焼成前に不良の着色層の基板を選別し、該薄膜トランジスタ素子(TFT)形成電極基板上から不良の着色層のみを剥離し、除去する工程を含むことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置用電極基板の製造方法である。
【0012】
本発明の請求項3に係る発明は、前記遮光膜は、その焼成前に不良の遮光膜の基板を選別し、該薄膜トランジスタ素子(TFT)形成電極基板上から不良の遮光膜のみを剥離し、除去する工程を含むことを特徴とする請求項1、又は2記載の液晶表示装置用電極基板の製造方法である。
【0013】
本発明の請求項4に係る発明は、薄膜トランジスタ素子(TFT)側の電極基板と電極基板とを対向させ、両電極間のギャップ内に液晶を封入した液晶表示装置において、請求項1乃至3のいずれか1項記載の液晶表示装置用電極基板の製造方法を用いて製造した液晶表示装置用電極基板を用いたことを特徴とする液晶表示装置である。
【0014】
本発明では、液晶表示装置用電極板を製造する際に、TFT素子側電極基板の表面に、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の撥インキ物を含んだカラーフィルタを印刷方式で作成した後、パターン不良のカラーフィルタを取り除き、良品の印刷されたカラーフィルタ付きTFT素子側電極基板を使用し、撥インキ物を含んだカラーフィルタの着色層の周
辺にインキジェット印刷で高絶縁性のブラックマトリックスの遮光膜を形成する製造方法である。
【0015】
上記工程では、取り除いたパターン不良のカラーフィルタは、焼成前であれば、TFT形成側電極基板から容易に剥がすことができるので、TFT形成側電極基板が不良になることはまれである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の製造方法を用いた場合は、製造工程が19工程短縮されるとともに、TFT素子側電極基板を無駄にすることなく、高品質の液晶表示装置を製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の液晶表示装置用電極基板の製造方法を、その一実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0018】
本発明の液晶表示装置用電極基板の製造方法は、従来の製造方法より大幅に工程を削減できるため、工程数の削減と、工期の短縮ができる。表1は、カラーフィルタおよびブラックマトリックス製造方法の比較例である。製造工程が本発明により19工程短縮される。なお、表1は、保護膜及びスルホールを形成したTFT素子形成電極基板(40)をA基板とし、後工程は共通するため、例えば透明導電膜以降は除外した。下記に表1を記す。
【0019】
【表1】

従来工法と本発明の工法と比較した工程数である。
【0020】
図1は、本発明の液晶表示装置用電極基板の製造方法の一実施例を用いた液晶表示装置用電極基板の部分拡大図であり、(a)は、液晶表示装置用電極基板の側断面図であり、(b)は、本発明の液晶表示装置用電極基板を用いた液晶表示装置の側断面図であり、(c)は、TFT素子形成電極基板の上面図である。
【0021】
図1(a)に示すように、本発明の液晶表示装置用電極基板(1)は、透明基板(11)の片面上にTFT素子(12)、保護膜(13)、カラーフィルタの機能を有する着色層(14)、TFT素子を隠蔽するための遮光層(27)、画素電極(18)、配向膜(16)、及び柱状スペーサ(17)が形成されたものである。
【0022】
図1(b)に示す液晶表示装置(4)は、図1に示す本発明の液晶表示装置用電極基板(1)と、本発明の電極基板(2)とを対向させ、該ギャップ内に液晶(3)を封入した構成である。なお、本発明の電極基板(2)は、透明基板(21)の片面上に透明導電膜(22)、配向膜(23)が形成されたものである。
【0023】
図1bに示すように、本発明による液晶表示装置用電極基板(1)を用いた液晶表示装置(4)においては、基板間の位置合わせに精密位置合わせの必要のない液晶表示装置を可能とするものである。すなわち、液晶表示装置用電極基板(1)の上のTFT素子の配線部分と遮光膜及び着色層との精密位置合わせは、製造工程内で実施され、一体化された構造である。
【0024】
図1(c)は、本発明の液晶表示装置用電極基板の製造に用いるTFT素子形成電極基板であり、該TFT素子形成電極基板40を説明する上面図である。なお、図左の丸破線内はY−Y面、側断面図のスルホール部分の拡大の参考図、図右の丸破線内は、X−X面、正面断面図のTFT素子部分の拡大の参考図である。
【0025】
次いで、図1(c)に示すように、TFT素子形成電極基板(40)は、透明基板(11)の片面上に、ゲート配線(41)、ソース配線(42)、画素配線(43)、及び補助容量部(44)が形成されたものである。そして、ソース配線(42)のピッチ(P)、及び幅(W)は、カラーフィルタの隣り合う着色層(14)とのピッチ(P)、及び着色層と着色層の間ブラックマトリックス幅(W)に対応したものとなっている。X−X面、正面断面図では、TFT素子(12)の部位である。TFT素子(12)は、ゲート電極(45)、絶縁膜(19)、ソース電極(46)、ポリシリコン、及びドレイン電極などで構成されている。Y−Y面、側断面図では、スルホールを形成する部位である。スルホールは、画素(43)と着色層上に形成する透明導電膜の画素電極を通電する部位である。なお、破線枠内は、着色層の配置域であり、1点破線枠は、遮光膜の配置域である。
【0026】
本発明では、TFT素子形成電極基板(40)上にブラックマトリックスの遮光膜(27)を形成する場合、その下層の部位、例えば、TFT素子の配置位置を視認し、位置あわせを実施するため、各々工程内の部位間の位置補正がされた電極基板が製造される。そのため、液晶表示装置の組み立て工程では、厳しい位置あわせは、不用となる。
【0027】
図2a〜fは、本発明による液晶表示装置用電極基板の製造方法を示す工程断面図である。
【0028】
図2(a)は、TFT素子形成電極基板(40)のTFT素子側上の全面に保護膜(49)を形成する。
【0029】
次いで、図2(b)は、例えば、フォトリソグラフィ法、ドライエッチング法等により、補助容量部(44)上の保護膜(49)に、所定のパターンのスルーホール(51)を形成し、画素配線(43)の一部を保護膜より露出させる。
【0030】
次いで、図2(c)は、印刷により、着色層(14、R、G、B)を形成する。印刷方法は、スロット型塗布ヘッドを持つ印刷機のシリコーンブランケットローラ上にの着色層パターン膜を形成し、位置を制御しながらTFT素子形成電極基板(40)に位置合わせする。このとき、TFT素子形成電極基板(40)の素子が形成された面と、印刷機のシリコーンブランケットローラ(60)上の着色層(14)が形成された面とを対向させるものである。
【0031】
TFT素子形成電極基板(40)のTFT素子側上に、印刷方式で、所定のパターンの着色層を転写し、検査・修正して、良品のみを焼成して撥インキ物を含んだカラーフィルタを形成する。カラーフィルタのパターンは、表面に撥インキ部物質が焼成により染み出してきている。
【0032】
次いで、図2(d)に示すように、TFT素子上にインキジェット方式で遮光膜(27)を形成する。カラーフィルタのパターンの表面に染み出している撥インキ部物質は、水洗で落ちてしまうので、洗浄せずに、インキジェットで遮光膜パターンを形成する。なお、カラーフィルタのパターンは、表面に撥インキ部物質が染み出してきているので、インキジェットのインキが、カラーフィルタのパターンを越えて流れ出すことはない。インクジェットで、遮光膜を形成し、良品のみを焼成して遮光膜のブラックマトリックスとする。
【0033】
次いで、図2(e)に示すように、洗浄して、このとき撥インキ物質は、洗い流されて、後工程での支障はまったくない。TFT素子形成電極基板(40)のTFT素子側上の全面にITO膜を付け、焼成して透明導電膜(28)を形成する。
【0034】
次いで、透明導電膜を所定の形状にパターニングして、スルーホールにより画素配線(43)と電気的に接続した透明導電膜よりなる画素電極(18)を形成する。
【0035】
続いて、図2(f)に示すように、TFT素子(12)上の遮光膜上に柱状スペ一サ(17)を形成する。以上の工程により柱状スペーサを有する液晶表示装置用電極基板を製造するものである。以上の図2(a)〜(f)の工程を経て、TFT素子形成電極基板(40)上に、着色層(14)と、透明導電膜(28)よりなる画素電極(18)と、柱状スペ一サ(17)とをその順に形成して液晶表示装置用電極基板(1)が完成する。
【0036】
カラーフィルタの着色層のパターンおよび遮光膜のブラックマトリックスは、現像等の工程が必要なく、イオンを含んだ現像液を通らないので、イオンコンタミ等ない。
【0037】
本発明における遮光膜は、高絶縁性である。高絶縁性であることにより、液晶表示装置の画素電極間のリークを防ぎ表示品質を良好なものとする。
【0038】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0039】
実施例1では、液晶表示装置用電極基板の作製した。透明基板の片面上にTFT素子、ゲート配線、ソース配線、画素配線、及び補助容量部を公知の方法により形成したTFT素子形成電極基板(40)を用いた。先ず、TFT素子形成電極基板の全面にSi02を蒸着形成し、保護膜(49)を形成した。
【0040】
次いで、保護膜上に感光性レジストを塗布した後、フォトリソグラフィ法を用い、補助容量部の領域の感光性レジストから開口部を形成し、所定パターンの形状に保護膜の一部を露出させた。次いで、ドライエッチング装置を用い、所定の条件にて、感光性レジストから露出した保護膜にドライエッチングを行った。次いで、感光性レジストを剥離し、保護膜に、所定パターンのスルーホール(51)を形成し、画素配線(43)の一部を露出させた。なお、スルーホール付きTFT素子形成電極基板と呼ぶ。
【0041】
前記スルーホール付きTFT素子形成電極基板に、スロット型塗布ヘッドの印刷装置を用いて、位置合わせを行いながら、TFT素子形成面と着色層面とが対向するよう重ね合わせ、カラーフィルタの赤色、青色、緑色を順次印刷した。スルーホール付きTFT素子形成電極基板において、配線幅は、20μmにした。
【0042】
次に、スロット型塗布ヘッドの印刷について説明する。図3は、スロット型塗布ヘッドを備えた印刷機の説明図であり、(a)は印刷機であり、(b)は、スロット型塗布ヘッドのインキ塗布模式図であり、(c)版ローラであり、(d)は、印刷模式図である。
【0043】
図3(a)に示すスロット型塗布ヘッドを使用するRGB3色のカラーフィルタ印刷装置の構成は、印刷機定盤(50)、表面をシリコーンゴムで被覆した表面の平滑なシリコーンブランケットローラ(60R、60G、60B)、表面にカラーフィルタの画素パターン形状の凹部形成の版ローラ(61R、61G、61B)、余分インキ除去ローラ62、余分インキ除去シート63からなっている。
【0044】
表面をシリコーンゴムで被覆し、表面平滑なシリコーンブランケットローラ(60R、60G、60B)は、円筒状に作成した。
【0045】
表面にカラーフィルタの画素パターン形状の凹部を形成した版ローラ(61R、61G
、61B)は、図3(c)に示すように凹部底面幅100μm、凹部の深さは50μm、凹部のピッチは300μmで作成した。
【0046】
図3(a)に示すように余分インキ除去ローラ62は、円筒状であり、余分インキ除去シート63には、接着剤が塗布してある。
【0047】
表面をシリコーンゴムで被覆した表面平滑なシリコーンブランケットローラ60、版ローラ61、余分インキ除去ローラ62等は、全てのローラの円周長は同じ長さのものとし、低コスト化とした。
【0048】
スロット型塗布ヘッド10R、表面をシリコーンゴムで被覆した表面平滑なシリコーンブランケットローラ60R、表面にカラーフィルタの画素パターン形状の凹部形成の版ローラ61R、余分インキ除去ローラ62R、および、余分インキ除去シート63Rは同一位置に配置され、上下移動は、一緒に移動できるようにした。
【0049】
TFT素子形成電極基板40は、印刷機定盤(50)に固定されていて、XYθおよび上下駆動の調整できるようにした。余分インキ除去ローラ62は、表面にカラーフィルタ画素パターン形状の凹部形成の版ローラ61と、表面をシリコーンゴムで被覆した表面平滑なシリコーンブランケットローラ60と同期をとって回転できるようにした。
【0050】
TFT素子形成電極基板40は、X・Y・θ制御定盤上の所定の位置にセットするようにした。X・Y・θ駆動の制御定盤は、基板取り出しロボットの下まで移動できるようにした。
【0051】
以下に、スロット型塗布ヘッドを用いたカラーフィルタ用の着色層の印刷方法を説明する。図4のa〜eは、本発明のTFT素子形成電極基板へのTFTの印刷模式図である。先ず、アクリル樹脂系カラーフィルタ用の顔料インキ撥インキ物入り(80R、80G、80B)を用意した。
【0052】
図3(b)に示すように、表面をシリコーンゴムで被覆した表面平滑なシリコーンブランケットローラ60Rの表面に、スロット型塗布ヘッド10Rを用いて、カラーフィルタ用の顔料インキ撥インキ物入り80Rを塗布して塗布膜を設ける。スロット型塗布ヘッド10Rを用いることによって、ローラ幅2m程度のシリコーンブランケットローラ60R表面に精度良く印刷インキの塗布膜80を設けることができた。
【0053】
シリコーンブランケットローラ60R表面に、ウェット状態で約10μm厚の塗布膜を塗布面内バラツキ3%以内で、印刷インキ80Rの塗布膜を作成した。
【0054】
次いで、図3(d)に示すように、表面にカラーフィルタの画素状の凹のある版ローラ61Rの凸部が、シリコーンブランケットローラ60R表面の半乾燥状態の塗布膜と接し、半乾燥状態の余分カラーフィルタ用の顔料インキの塗布膜80Rが版ローラ61Rの凸部に転写する。
【0055】
次いで、図4(a)に示すように、シリコーンブランケットローラ60R表面にカラーフィルタの画素状のカラーフィルタ用の顔料インキ80Rの塗布膜が残る。余分カラーフィルタ用の顔料インキの塗布膜80Rが版ローラ61Rの凸部に転写しているので、シリコーンブランケットローラ60Rに残ったカラーフィルタ用の顔料インキの塗布膜80Rのエッジの切れは良好であった。なお、シリコーンブランケットローラ60Rの顔料インキ80Rの残膜厚は、約1.6μmであった。
【0056】
次いで、図4bに示すように、TFT素子形成電極基板40を固定した状態で、シリコーンブランケットローラ60Rとの同期をとり移動させながら、シリコーンブランケットローラ60R上の前記画素状の顔料インキ80RをTFT素子形成電極基板40に転写する。シリコーンブランケットローラ60から顔料インキの塗布膜80Rの薄膜がTFT素子形成電極基板40に、所定の位置に合わせて転写した。
【0057】
以下同様に、図4(c)では、TFT素子形成電極基板40上に、画素状の顔料インキ80Gを転写する。次いで、図4(d)では、画素状の顔料インキ80Bとを所定の位置に合わせて着色層を転写した。図4(e)に示すように、R、G、Bの顔料インキ80からなるカラーフィルタ用の着色層(14)が形成した。
【0058】
次いで、以降、検査、修正を行い、修正できないものは、印刷した着色層薄膜をアルカリで洗浄除去した。
【0059】
次いで、図5(a)では、インキジェット方式で、遮光膜(27)を形成した。検査、修正を行い、修正できないものは、印刷した着色層薄膜をアルカリ洗浄して除去した。
【0060】
次いで、図5(b)では、着色層を形成したTFT素子形成電極基板40上の全面にスパッタ法を用いて、ITO膜を形成し、焼成し透明導電膜を形成し、フォトリソグラフィ法を用い透明導電膜をエッチングした。これにより、所定の形状にパターニングされた画素電極(18)を着色層上に作成した。なお、画素電極は、スルーホールにより画素配線と電気的接続がなされている。
【0061】
次いで、図5(c)では、配向膜を形成した。以上により、液晶表示装置用電極基板が製造できた。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の製造方法の一実施例の液晶表示装置用電極基板及びその液晶表示装置の部分拡大の模式図であり、(a)は、液晶表示装置用電極基板の側断面図であり、(b)は、液晶表示装置の側断面図であり、(c)は、TFT素子形成電極基板ある。
【図2】本発明の液晶表示装置用電極基板の製造方法を示す説明図の側断面図である。
【図3】スロット型塗布ヘッドを備えた印刷機の説明図であり、(a)は印刷機であり、(b)は、スロット型塗布ヘッドのインキ塗布模式図であり、(c)版ローラであり、(d)は、印刷模式図である。
【図4】a〜eは、本発明のTFT素子形成電極基板へのTFTの印刷模式図である。
【図5】本発明のTFT素子形成電極基板へのTFTの層形成の側断面の模式図であり、(a)は、インキジェット方式による、(b)はスパッタ方式による、(c)は、配向膜処理によるよる。
【図6】従来の薄膜トランジスタ素子側電極基板の側断面図である。
【図7】従来の液晶表示装置の側断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1…液晶表示装置用電極基板
2…電極基板
3…液晶
4…液晶表示装置
5…薄膜トランジスタ素子側電極基板
6…従来法における電極基板
8…スペーサ
9…一従来法における液晶表示装置
10…スロット型塗布ヘッド
11,21…透明基板
12…TFT素子
13,49…保護膜
14…着色層
16、23…配向膜
17…柱状スペーサ
18…画素電極
19…絶縁膜
22,28…透明導電膜
27…遮光膜(ブラックマトリックス)
40…TFT素子形成電極基板
41…ゲート配線
42…ソース配線
43…画素配線
44…補助容量部
45…ゲート電極
46…ソース電極
49…保護膜
50…印刷機定盤
51…スルーホール
R…赤色
G…緑色
B…青色
60…シリコーンブランケットローラ
61…版ローラ
62…余分インキ除去ローラ
63…余分インキ除去シート
80…印刷インキ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示装置用電極基板の製造方法において、
(a)透明基板の片面上に、少なくとも薄膜トランジスタ素子(TFT)、ゲート配線、ソース配線、画素配線、及び補助容量部が形成された薄膜トランジスタ素子(TFT)形成電極基板の薄膜トランジスタ素子(TFT)側上に保護膜を形成し、
(b)前記補助容量部上の保護膜に、前記画素配線を露出させる所定のパターンのスルーホールを形成し、
(c)前記保護膜上に、印刷方式で、所定のパターンの撥インキ物を含んだ着色層を転写し、検査および修正して、良品のみを焼成してカラーフィルタの着色層を形成し、
(d)インクジェット方式で、遮光膜を形成し、検査および修正して、良品のみを焼成して遮光膜のブラックマトリックスとし、
(e)薄膜トランジスタ素子(TFT)側上の全面に、ITO膜を付け、焼成してITO膜の透明導電膜を形成し、
(f)前記透明導電膜を所定の形状にパターニングして、前記スルーホールを介して画素配線と電気的に接続した透明導電膜よりなる画素電極を形成する液晶表示装置用電極基板を製造することを特徴とする液晶表示装置用電極基板の製造方法。
【請求項2】
前記所定のパターンの撥インキ物を含んだ着色層は、その焼成前に不良の着色層の基板を選別し、該薄膜トランジスタ素子(TFT)形成電極基板上から不良の着色層のみを剥離し、除去する工程を含むことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置用電極基板の製造方法。
【請求項3】
前記遮光膜は、その焼成前に不良の遮光膜の基板を選別し、該薄膜トランジスタ素子(TFT)形成電極基板上から不良の遮光膜のみを剥離し、除去する工程を含むことを特徴とする請求項1、又は2記載の液晶表示装置用電極基板の製造方法。
【請求項4】
薄膜トランジスタ素子(TFT)側の電極基板と電極基板とを対向させ、両電極間のギャップ内に液晶を封入した液晶表示装置において、請求項1乃至3のいずれか1項記載の液晶表示装置用電極基板の製造方法を用いて製造した液晶表示装置用電極基板を用いたことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−3559(P2007−3559A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−180194(P2005−180194)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】