説明

液晶表示装置

【課題】TFT基板と対向基板の間隔をTFT基板に形成した支柱によって規定し、かつ支柱部分からの光漏れをなくする。
【解決手段】ドレイン線107と走査線104の交点にTFT基板と対向基板の間隔を規定する支柱130を形成する。支柱130が形成される交点ではドレイン線107の幅を大きくすることによって光漏れを防止する。また、支柱130が形成される交点では、走査線104の幅を小さくすることによって、ドレイン線107と走査線104間の容量の増加を防止する。また、支柱130は特定の色の画素、例えば青画素Bに対応する交点に形成する。これによって、支柱130を形成したことによる透過率の差および、薄膜トランジスタの特性差を初期的に補償する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置に係り、支柱式スペーサによってTFT基板と対向基板の間の間隔を適正化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では画素電極や薄膜トランジスタ(TFT)が形成されたTFT基板とカラーフィルタ等が形成された対向基板との間に液晶を充填し、この液晶の分子を電界によって制御することによって画像を形成する。TFT基板と対向基板の間の間隔は数ミクロンと非常に小さい。従来は、TFT基板と対向基板との間隔の設定は、プラスチックのビーズ等を分散することによっておこなわれていた。しかし、ビーズ分散による間隔設定では、ビーズを均一に分散出来ない場合は、TFT基板と対向基板との間隔が所定の間隔に設定できない場合がある。また、ビーズは画素電極上にも分散されるために、ビーズ付近での光漏れの問題もある。
一方、従来の液晶の充填方法はTFT基板と対向基板との間をシールして内部を真空とし、大気圧によって液晶を注入していた。しかし、TFT基板と対向基板との間隔が小さく、かつ、液晶表示装置の表示面積が大きくなると注入に多大の時間がかかり、製造のスループットを長くし、ひいては製造コストの上昇を招く。これを対策するために、例えば、TFT基板上に液晶を必要量滴下し、その後対向基板をシールして液晶を封止する技術が開発されている。
【0003】
上述のように、TFT基板と対向基板の間隔は、従来は小さなビーズを分散することによって保たれてきた。しかし、滴下方式等においては、ビーズを分散させる場合は、液晶を滴下する際に、ビーズが移動し、ビーズの多い場所と少ない場所が生ずる。そうするとTFT基板と対向基板との間隔のムラが生ずる。TFT基板と対向基板との間隔のムラが生ずると、液晶表示装置の画像のコントラストが低下したり、画素のムラが生じたりする問題が生ずる。
【0004】
以上のような、TFT基板と対向基板の間隔をビーズで設定する場合の問題点を対策するものとして、対向基板あるいは、TFT基板のいずれかに支柱を形成してTFT基板と対向基板との間隔を設定する技術がある。このような技術を記載したものとして、「特許文献1」がある。
【0005】
【特許文献1】特開平11−84386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
TFT基板と対向基板の間隔を規定する支柱は、従来は、対向基板上に設置されていた。対向基板上に支柱を設置するさいは、対向基板とTFT基板を組み合わせた後、TFT基板の所定に位置に支柱が当接するように設計させる。しかし、対向基板とTFT基板の合わせずれが生ずると、支柱がTFT基板の所定に位置からずれる。そうすると、支柱が画素電極上に設置されたり、TFT基板の配線に形成されるスルーホール部分に入り込んだりする。支柱が画素電極上に設定されるとその部分の配向乱れから漏れを生ずる。また、支柱がスルーホールに入り込むとTFT基板と対向基板の間隔が適正に設定出来なくなる。
【0007】
「特許文献1」には、支柱を対向基板あるいはTFT基板に形成するが、支柱付近の配向乱れを対策するために、支柱を容量線の上に設置し、かつ、配向膜のラビング方向に容量線を張り出させる構成が記載されている。「特許文献1」に記載の構成では、容量線が必須であるが、容量線は液晶表示装置の透過率を減少させる。また、「特許文献1」のように、配向膜のラビング方向に容量線を張り出させると透過率がさらに減少することになる。
【0008】
本発明の課題は、TFT基板と対向基板との間隔を支柱によって規定する構成において、支柱を形成したことによる配向乱れ、透過率の減少を抑えた液晶表示装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は以上の課題を解決するために、TFT基板と対向基板の間隔を規定する支柱をTFT基板側で、かつ、ドレイン電極と走査線との交点に設置する。そして、この支柱は特定の色の画素に対応するドレイン線と走査線の交点に設置する。特定の色の画素に対応するドレイン線と走査線の交点においては、ドレイン線の線幅を他の部分よりも大きくする。そして、対応する走査線の幅は他の部分よりも小さくする。
【0010】
また、本発明の他の側面では、特定の色の画素に対応するドレイン線と走査線の交点においては、走査線の幅を他の部分よりも大きくする。そして、対応するドレイン線の幅は他の部分よりも小さくする。具体的な手段は次のとおりである。
【0011】
(1)横方向に延在し、縦方向に配列した走査線と、縦方向に延在し、横方向に配列したドレイン線を有し、前記ドレイン線と前記走査線とで囲まれた領域に、TFTと画素電極を有する画素が形成され、前記画素は対応する色毎に、第1の画素、第2の画素、第3の画素となって、横方向に並んで配置されているTFT基板を有し、前記TFT基板と所定の間隔をおいて対向基板が設置され、前記TFT基板と前記対向基板との間に液晶が挟持された液晶表示装置であって、前記第1の画素に対応する前記ドレイン線と前記走査線との交点には、前記TFT基板と前記対向基板の間隔を規定するための支柱が形成され、前記支柱が形成された前記交点においては、前記ドレイン線の幅が前記ドレイン線の他の部分の幅よりも大きいことを特徴とする液晶表示装置。
【0012】
(2)前記ドレイン線の幅が大きくなっている部分では、前記走査線の幅が前記走査線の他の部分の幅よりも小さくなっていることを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置。
【0013】
(3)前記支柱が形成されている部分における前記ドレイン線と前記走査線の交点には第1のTFTが形成され、前記支柱が形成されている部分における前記ドレイン線と前記走査線の交点の付近には第2のTFTが形成され、前記第1のTFTと前記第2のTFTは電気的に接続されており、前記第1のTFTのチャネル長は前記第2のTFTのチャネル長よりも短いことを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置。
【0014】
(4)前記第1の画素に対応する前記ドレイン線と前記走査線の交点に形成されたTFTのチャネル長は、前記第2の画素または前記第3の画素に対応する前記ドレイン線と前記走査線の交点に形成されたTFTのチャネル長よりも短いことを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置。
【0015】
(5)前記液晶表示装置はIPS方式であることを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置。
【0016】
(6)横方向に延在し、縦方向に配列した走査線と、縦方向に延在し、横方向に配列したドレイン線を有し、前記ドレイン線と前記走査線とで囲まれた領域に、TFTと画素電極を有する画素が形成され、前記画素は対応する色毎に、第1の画素、第2の画素、第3の画素となって、横方向に並んで配置されているTFT基板を有し、前記TFT基板と所定の間隔をおいて対向基板が設置され、前記TFT基板と前記対向基板との間に液晶が挟持された液晶表示装置であって、前記第1の画素に対応する前記ドレイン線と前記走査線との交点には、前記TFT基板と前記対向基板の間隔を規定するための支柱が形成され、前記支柱が形成された前記交点においては、前記走査線の幅が前記走査線の他の部分の幅よりも大きいことを特徴とする液晶表示装置。
【0017】
(7)前記走査線の幅が大きくなっている部分では、前記ドレイン線の幅が前記ドレイン線の他の部分の幅よりも小さくなっていることを特徴とする(6)に記載の液晶表示装置。
【0018】
(8)前記支柱が形成されている部分における前記ドレイン線と前記走査線の交点には第1のTFTが形成され、前記支柱が形成されている部分における前記ドレイン線と前記走査線の交点の付近には第2のTFTが形成され、前記第1のTFTと前記第2のTFTは電気的に接続されており、前記第1のTFTのチャネル長は前記第2のTFTのチャネル長よりも長いいことを特徴とする(6)に記載の液晶表示装置。
【0019】
(9)前記第1の画素に対応する前記ドレイン線と前記走査線の交点に形成されたTFTのチャネル長は、前記第2の画素または前記第3の画素に対応する前記ドレイン線と前記走査線の交点に形成されたTFTのチャネル長よりも長いことを特徴とする(6)に記載の液晶表示装置。
【0020】
(10)前記液晶表示装置はIPS方式であることを特徴とする(6)に記載の液晶表示装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、TFT基板と対向基板の間隔を規定する支柱をTFT基板側に設置し、かつ、走査線とドレイン線の交点に設置するので、支柱を形成したことによる透過率の減少、配向乱れによる光漏れの問題を軽減することが出来る。また、支柱が形成されている部分においては、ドレイン線の幅を大きくしているので、配向乱れによる光漏れの問題をさらに抑制できる。また、ドレイン線の幅を大きくしている部分においては、走査線の幅を小さくしているので寄生容量の増加を抑えることが出来る。
【0022】
さらに、本発明によれば、特定の色の画素に対応するドレイン線と走査線の交点のみに支柱を形成するので、初期設定によって、透過率の差、あるいは、TFTの特性の差を補償することが出来、支柱を形成したことによって色むらが生ずることを防止できる。
【0023】
また、本発明の他の側面によれば、支柱をドレイン線と走査線の交点に設置し、支柱が形成されている部分においては、走査線の幅を他の部分よりも大きくしているので、配向乱れによる光漏れを軽減することが出来る。また、走査線の幅が広い部分においては、ドレイン線の幅を狭くしているので、寄生容量の増加を抑えることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に実際の液晶セルの構造に即して本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0025】
図1は本発明が適用されるTFT基板の画素部を示す平面図であり、図2は該TFT基板と組み合わされる対向基板の平面図であり、図3は図1のA−A'断面図であり、図4は図1のB−B'断面図である。
【0026】
図1において、走査線104が横方向に延在し、縦方向に配列している。また、ドレイン線107が縦方向に延在して横方向に配列している。走査線104とドレイン線107によって囲まれた領域が画素である。図1において、青画素B、緑画素G、赤画素Rが順に横方向に並んでいる。本実施例の液晶表示装置はいわゆるIPS方式であり、液晶分子を基板と平行な方向に回転させることによって液晶を透過する光の量を制御する。
【0027】
図1において、走査線104とドレイン線107で囲まれた画素内には、画素電極となる櫛歯電極が存在している。櫛歯電極の下には絶縁膜を挟んで図示しないコモン電極が平面状に形成されている。コモン電極は配線に形成されたコンタクトホール部分を除いて全面にベタで形成されている。本実施例のIPSにおいては、画素電極である櫛歯電極とベタで形成されたとコモン電極との間に発生する電気力線によって液晶分子を制御する。
【0028】
コモン電極には一定電圧が供給されるが、画素電極にはドレイン線107を通じて映像信号が供給される。この映像信号の供給をするのがTFTである。図1において、点線で示す部分が半導体層である。半導体層は、poly−Siによって形成されている。半導体層の下には、ゲート絶縁膜を介してゲート線が通っており、コノゲート線がTFTのゲート電極の役割を持っている。図1においては、半導体はコの字状に形成されており、ゲート電極は2箇所で半導体層の下を通過している。ゲート電極の上の半導体層がTFTのチャネルとなるので、図1の構成では、各画素にTFTが直列に2個形成されている。
【0029】
半導体層はドレイン電極の下で第1コンタクトホールを介してドレイン線107と接続している。すなわち、本実施例においては、ドレイン線107がTFTのドレイン電極を兼用している。半導体層の他の端部は第2コンタクトホール、第3コンタクトホール、第4コンタクトホールを介して画素電極と導通している。したがって、ドレイン線107からの映像信号はTFTを介して画素電極に供給されることになる。
【0030】
本実施例の特徴は、走査線104とドレイン線107の交差部にTFT基板と対向基板との間隔を規定する支柱130を形成していることである。支柱130の平面形状は図1に示すように、横長の8角形である。本実施例では、TFT基板上に支柱130を形成するので、対向基板上に支柱130を形成する場合と比較して、TFT基板と対向基板を組み合わせる時の合わせずれによる支柱130の位置のずれによる問題は小さい。
【0031】
また、本実施例においては、走査線104とドレイン線107の交点に支柱130を設置しているので、透過率の低下も抑制することが出来る。すなわち、走査線104とドレイン線107の交点はもともと光を透過しない部分であるし、その付近にはTFTが存在しているので、画像形成としては利用されていなかった部分だからである。
【0032】
しかし、支柱130を形成すると、支柱130付近において、液晶の配向乱れ等が生ずるので、この影響を防止するために、本実施例においては、ドレイン線107の幅を走査線104との交点付近において大きくしている。本実施例では、交差点におけるドレイン線107の幅を他の部分の幅の2倍以上としている。このようにしても、走査線104とドレイン線107の交点はもともと画像形成には寄与していないために、透過率減少の影響は軽微である。
【0033】
交差点において、ドレイン線107の線幅を大きくしたので、交差点における走査線104とドレイン線107の重なる面積が増加する。これは寄生容量の増加を意味し例えば、TFTがONからOFFに、あるいはOFFからONに切り替わる時のシフト電圧の増加等の現象をもたらす。本実施例では交点付近における寄生容量の増加を抑えるために、走査線104の幅を交点付近において、小さくしている。
【0034】
図1において、赤画素RR、青画素BB、緑画素GGが横方向に並んで配置されている。図1に示すように、支柱130は青画素Bに対応する走査線104とドレイン線107の交点のみに形成されている。言い換えると、青画素Bを制御するTFTが形成された交点に支柱130が形成されている。支柱130が形成された部分はドレイン線107の幅が大きくなっているために、支柱130が形成されていない部分に比較して若干ではあるが、透過率が低下したり、TFTの特性が異なったりする。
【0035】
支柱130が形成されている部分が3色の画素にまたがって、形成されていると、この色むら等の制御が困難になる。本実施例は支柱130が形成される交点は青画素Bに対応する交点のみとして、支柱130を形成したことによる色むらへの影響を防止している。この場合は、青画素Bのみ透過率が他の色の画素の透過率よりも小さくなったり、青画素Bを制御するTFTの特性が他の色の画素を制御するTFTの特性と異なることになるが、これは、あらかじめ、これらの特性を補償する初期設定を行っておけば良い。
【0036】
図1において、青画素Bに対応する走査線104とドレイン線107の交点は横方向には3画素ピッチで現れるが、青画素Bに対応する交点においては全てドレイン線107幅が他の場所よりも大きくなっている。一方、支柱130は、青画素Bに対応する交点全てに設置する必要は無い。支柱130はTFT基板と対向基板の間隔を保つために、必要な数だけ存在すればよいからである。本実施例では、支柱130がある無しに係わらず、青画素Bに対応する走査線104とドレイン線107の交点全てについてドレイン線107の幅を大きくすることによって、規則性を持たせ、色むら等に対する初期設定による補償を容易としている。
【0037】
図1において、半導体はコの字状に形成されており、半導体の下をゲート絶縁膜を介してゲート線が通過している。そして、ゲート線と交差する部分の半導体がTFTのチャネル部になる。したがって、各画素には、TFTがドレイン線107上にチャネル部を有するTFTと、ドレイン線107とはややずれた部分にチャネルを有するTFTの、2個のTFTが存在することになる。
【0038】
図1において、青画素Bに対応する、ドレイン線107上に形成されたTFTのチャネル長は、赤画素R、あるいは緑画素Gに対応するドレイン線107上に形成されたTFTのチャネル長に比較して短い。したがって、青画素BのTFTの特性のみ、他の画素のTFTの特性とは異なることになる。このように、赤画素RのみのTFTの特性が他の画素のTFTの特性と異なる構成とすることによって、初期設定による特性の補償を可能としている。
【0039】
図2は図1に示すTFT基板に対応する対向基板をTFT基板側から見た平面図である。図2において、RCFは赤フィルタを、BCFは青フィルタを、GCFは緑フィルタを示す。各フィルタは赤画素R、青画素B、緑画素Gに対応する。フィルタは画面の縦方向にストライプ状に延在している。したがって、対向基板においては、縦方向の画素の区別は無い。
【0040】
各色のフィルタの間には遮光膜が形成されている。遮光膜はカラーフィルタよりも先に対向基板内に形成されるので、図2では点線で示している。遮光膜は外光を吸収し、画像のコントラストを向上させる。図2において、赤フィルタと青フィルタの境界の部分の遮光膜およびカラーフィルタの上にはTFT基板に形成された支柱130が当接する。このように、支柱130が対向基板の遮光膜上に当接することによって、透過率の減少を抑えることが出来る、
図1のTFT基板と図2の対向基板を合わせ、内部に液晶を封入することによって液晶表示パネルが形成される。図3は、TFT基板と対向基板が合わさった状態において、図1のTFT基板のA−A'で示す線に対応する断面図である。図3において、TFT基板には、第1下地膜がSiNによって形成され、その上に第2下地膜がSiOによって形成される。第1下地膜、第2下地膜ともに、ガラス基板からの不純物がTFT領域に拡散することを抑える役割を有する。
【0041】
図3において、第2下地膜の上には、半導体層としてpoly−Si層が形成されている。このpoly−Si層は当初はa−SiをCVDによって形成し、その後、レーザアニールによってpoly−Siに変換したものである。半導体層を覆ってゲート絶縁膜がSiOによって形成される。
【0042】
ゲート絶縁膜の上にゲート配線となるMoW膜を被着する。ゲート配線の抵抗を小さくする必要があるときはAl合金が使用される。そしてフォト工程によってゲート電極あるいは走査線104をパターニングする。本実施例においては、ゲート電極は、図1に示すように、走査線104で兼用している。ゲート電極の下の半導体層がTFTのチャネル部になる。図3において、ゲート電極は2個形成されている。したがって、図3においては、TFTが2個形成されていることになる。
【0043】
幅の狭いゲート電極は図1におけるドレイン線107上に形成されたTFTに対応し、幅の広いゲート電極はドレイン線107から離れた部分に形成されるTFTに対応する。図3に示すように、本実施例においては、ドレイン線107上に形成されたTFTのチャネル長は他TFTのチャネル長よりも短い。これは、青画素Bに対応する交点においては、走査線104の幅を他の部分よりも小さくしたためである。本実施例においては、交点における走査線104の幅は他の部分の走査線104の幅の半分かあるいはそれよりも小さくしている。
【0044】
ゲート電極を覆って、層間絶縁膜がSiOによって形成される。層間絶縁膜はドレイン線107あるいはソース電極と、走査線104と絶縁するためである。層間絶縁膜の上に、ドレイン線107あるいはソース線が形成される。ドレイン線107とソース電極とは同じプロセスによって同時に形成される。本実施例においては、ドレイン線107がTFTのドレイン電極を兼用している。
【0045】
層間絶縁膜およびゲート絶縁膜にコンタクトホールを形成してドレイン線107あるいはソース線と半導体層を接続する。図3において、ドレイン線107と半導体層は第1コンタクトホールで接続され、ソース電極と半導体層は第2コンタクトホールによって接続されている。ドレイン線107およびソース電極を覆って無機パッシベーション膜がSiNによって形成される。TFTを保護するためである。
【0046】
パッシベーション膜の上には有機パッシベーション膜が形成される。有機パッシベーション膜は無機パッシベーション膜のピンホール等によってカバーできない部分を被覆してTFTを保護すると同時に平坦化膜としての役割を有している。このため、有機パッシベーション膜は1〜3μmというように厚く形成される。
【0047】
有機パッシベーション膜を形成したあと、後に形成される画素電極とTFTのソース電極を接続するための第3コンタクトホールおよび第4コンタクトホールホールを形成する。有機パッシベーション膜は感光性の樹脂で形成されており、フォトレジストを用いないでパターニングすることが出来る。まず、有機パッシベーション膜に第4コンタクトホール形成し、その後、有機パッシベーション膜をレジストとして無機パッシベーション膜に第3コンタクトホールを形成する。
【0048】
その後、平坦となっている有機パッシベーション膜の上に、透明導電膜であるITOによってコモン電極が形成される。コモン電極はスパッタリング等によって全面に形成され、パターニング後も、コンタクトホール周辺を除いて面状に存在している。
【0049】
コモン電極を覆って、画素絶縁膜がSiNによって形成される。この画素絶縁膜にTFTのソース電極と画素電極を導通するためのコンタクトホールを形成する。その後、画素絶縁膜の上に透明導電膜であるITOによって画素電極が形成される。画素電極はITOを全面にスパッタリングしたあと、ITOを図1に示すような、櫛歯電極状にパターニングする。
【0050】
図3において、櫛歯電極の櫛歯の断面が記載されている。画素電極に電圧が印加されると、平面状のコモン電極との間に図3に示すように電気力線が発生し、液晶分子は電気力線に従って回転する。IPS(In plane Switching)方式では、液晶分子を回転させることによってバックライトからの光の透過を制御し、画像を形成する。
【0051】
走査線104とドレイン線107の交点に対応する部分の画素絶縁膜の上に樹脂によって支柱130が形成される。支柱130は画素絶縁膜および画素電極を覆って、樹脂をコーテイングし、フォト工程によって、必要な部分のみ樹脂を残し、支柱130を形成する。樹脂はアクリル樹脂が使用される。支柱130の高さはTFT基板と対向基板の間隔に相当するが、数μmである。
【0052】
画素電極および支柱130を覆って有機材料による配向膜が形成される。この配向膜に対して液晶を配向させるためのラビングが施される。ラビングは、配向膜を布状のもので一定方向に擦るものであるが、支柱130が存在すると、支柱130の周囲は十分にラビングされない部分が生ずる。そうするとこの部分において、光漏れが生ずる。
【0053】
しかし、本実施例では、支柱130は走査線104とドレイン線107の交点に形成され、かつ、ドレイン線107を交点において、幅を広く形成しているので、支柱130の周辺においてラビングが不十分な部分があっても、その部分から光が漏れてコントラストを低下させるということは無い。
【0054】
図3において、TFT基板の上側には対向基板が存在している。対向基板には、まず、遮光膜が形成される。遮光膜はカラーフィルタ間を埋めるもので、画像のコントラストを向上させる。また、本実施例においうて、支柱130が形成される部分と対応する対向基板には遮光膜が形成される構成となっており、支柱130周辺の光漏れはこの遮光膜によっても阻止される。
【0055】
遮光膜を形成後、各画素の色に対応するカラーフィルタが形成される、図3においては、青フィルタが形成されている。カラーフィルタの形成された面は凹凸となっているので、オーバーコート膜をカラーフィルタ上に形成し、平坦化する。その後配向膜を塗布し、液晶を配向させるためのラビングを施す。
【0056】
図3はこのようにして、形成されたTFT基板および対向基板を支柱130を挟んで対向させ、その間に液晶を封入した状態が記載されている。TFT基板と対向基板の間隔は支柱130の高さによって規定されている。
【0057】
図4はTFT基板と対向基板が合わさった状態において、図1のB−B'線に沿った断面を示す。図4は緑画素Gに対応する断面図である。図4において、TFT基板の構成は図3において説明したと同様である。ただし、図4において、ゲート電極の幅は、走査線104とドレイン線107の交点に形成されたTFTについても、交点からずれた位置に形成されたTFTについても同じである。図4においては、ゲート電極を構成する走査線104の幅は一定だからである。したがって、二つのTFTのチャネル長は同じである。そいていずれのTFTのチャネル長も、図3における、支柱130が形成された部分の交点に形成されたTFTのチャネル長よりも大きい。
【0058】
図4において、対向基板の構成は、カラーフィルタが緑フィルタであることを除いて図3で説明したのと同様である。また、図4においては、支柱130は形成されていない。本実施例においては、青画素Bに対応する、走査線104とドレイン線107の交点にのみ支柱130が形成されているからである。
【0059】
以上説明したように、本実施例によれば、支柱130を走査線104とドレイン線107の交点に形成しているので、配向乱れによる光漏れを防止することが出来る。また、本実施例によれば、支柱130が形成されたドレイン線107は、走査線104との交点において、他の場所よりも幅を大きくしているので、光漏れの危険をさらに小さくすることが出来る。また本実施例においては、ドレイン線107の幅を広くした部分においては、走査線104の幅を小さくすることによって、ゲートードレイン間の容量の増加を軽減することが出来る。
【0060】
本実施例では、さらに、同一の色に対応する走査線104とドレイン線107の交点に支柱130を形成しているので、支柱130が形成されている部分といない部分との光透過率の差、トランジスタの差等を初期設定によって補償しておくことにより、色むら等の問題を回避することが出来る。
【実施例2】
【0061】
図5は本発明の第2の実施例を示す平面図である。また、図6は図5のC−C'断面図である。図5において、走査線104とドレイン線107が交差する部分を除いては、実施例1の図1と同様である。図5において、走査線104が横方向に延在し、縦方向に配列している。また、ドレイン線107が縦方向に延在して横方向に配列している。そして、走査線104とドレイン線107交点に支柱130が形成されていることは実施例1と同様である。
【0062】
図5において、青画素Bに対応する走査線104とドレイン線107の交点に支柱130が形成されている。図5においては、支柱130周辺において、ラビングが十分に行われないことによる光漏れを対策するために、交点における走査線104の幅を他の部分よりも大きくしている。これに対応して、ゲート電極とドレイン電極の寄生容量が増加することを防止するために、ドレイン電極の幅を他の部分よりも小さくしている。
【0063】
また、ゲート線は、支柱130のある無しにかかわらず、青画素Bに対応する走査線104とドレイン線107の交点においては、幅を大きくしている。なお、青画素Bに対応する走査線104をドレイン線107の交点とは、青画素Bを制御するTFTが形成されている交点という意味である。
【0064】
図5においても走査線104とドレイン線107の交点およびその付近において、2個のTFTが形成されている。図5において、支柱130が形成された部分、すなわち、青画素Bに対応する走査線104とドレイン線107の交点においては、ゲート電極の幅が大きいために、形成されるTFTのチャネル長は他のTFTよりも長くなっている。一方、他の色の画素に対応する走査線104をドレイン線107の交点およびその付近における2個のTFTは同じゲート電極幅であり、TFTは同じチャネル長を持つ。
【0065】
図5に示すTFT基板に対応する対向基板の構成は、図2と同様である。すなわち、本実施例においては、走査線104とドレイン線107の交点に支柱130を形成することにおいて、実施例1と同様であるから、対向基板の構成は実施例1同じ構成になる。
【0066】
図5のTFT基板と図2に示すのと同様な対向基板を合わせ、内部に液晶を封入することによって液晶表示パネルが形成される。図6は、TFT基板と対向基板が合わさった状態において、図5のTFT基板のC−C'で示す線に対応する断面図である。
【0067】
図6において、ゲート絶縁膜を形成し、ゲート配線となるMoW膜を被着するまでは、実施例1の図3と同様である。図6において、ゲート絶縁膜上にゲート電極あるいは走査線104となるMoW膜を被着する。そして、フォト工程によって走査線104ありはゲート電極をパンターニングする。本実施例においても、走査線104がゲート電極を兼用している。
【0068】
図5に示すように、ゲート電極となる走査線104は走査線104とドレイン線107の交点において幅が広くなっているので、図6における、該交点におけるゲート電極の長さが長くなっており、TFTのチャネル長が長くなっている。すなわち、図6において、走査線104とドレイン線107の交点からややずれた位置に形成されているTFTのチャネル長よりも、走査線104とドレイン線107の交点に形成されたTFTのチャネル長のほうが長い。
【0069】
その後、層間絶縁膜を形成するが、以後のプロセスおよび構成は図3において説明したと同様である。TFT基板の上には対向基板が形成されているが、対向基板の構成も図3で説明したのと同様である。本実施例においては、支柱130に下には、幅の広い走査線104が形成されているので、支柱130付近の配向乱れが生じても光漏れは生じない。
【0070】
図5において、青画素B以外の画素に対応する走査線104とドレイン線107の交点には支柱130は形成されていない。図5におけるD−D'断面は赤画素Rに対応するTFT部分の断面図である。この断面図は、実施例1における図1のB−B'断面図である図4と同一であるので、構成の説明は省略する。図4に示されている、赤画素Rの走査線104とドレイン線107の交点に形成されたTFTと、図6に示されている青画素Bの走査線104とドレイン線107の交点に形成されたTFTとを比較すると、チャネル長が青画素Bに形成されているTFTのチャネル長のほうが長い。
【0071】
一方実施例1において、図4に示されている、赤画素Rの走査線104とドレイン線107の交点に形成されたTFTと、図3に示されている青画素Bの走査線104とドレイン線107の交点に形成されたTFTとを比較すると、チャネル長が青画素Bに形成されているTFTのチャネル長のほうが短い。この点が実施例1と実施例2の大きな違いになる。
【0072】
以上説明したように、本実施例においても、支柱130を走査線104とドレイン線107の交点に形成しているので、配向乱れによる光漏れを防止することが出来る。また、本実施例によれば、支柱130が形成された部分の走査線104は、ドレイン線107との交点において、他の場所よりも幅を大きくしているので、光漏れの危険をさらに小さくすることが出来る。また本実施例においては、走査線104の幅を広くした部分においては、ドレイン線107の幅を小さくすることによって、ゲートードレイン間の容量の増加を軽減することが出来る。
【0073】
また、本実施例でも、同一の色に対応する走査線104とドレイン線107の交点に支柱130を形成しているので、支柱130が形成されている部分といない部分との光透過率の差、トランジスタの特性差等を初期設定によって補償しておくことにより、色むら等の問題を回避することが出来る。
【0074】
実施例1および実施例2では、青画素Bに対応する走査線104とドレイン線107の交点に支柱130を形成するとして説明したが、赤画素R、あるいは、青画素Bのいずれかのみに対応するドレイン線107と走査線104の交点に支柱130を形成しても同様に本発明を適用できることはいうまでも無い。また、本実施例では、IPSの構成は、上側の櫛歯状の電極が画素電極であり、下側の面状の電極がコモン電極であるとして説明したが、この逆に、上側の櫛歯電極がコモン電極で、下側の面状電極が画素電極であるとしても同様に本発明を適用することが出来る。
【0075】
以上の説明では、液晶表示装置はいわゆるIPS方式であるとして説明した。しかし、本発明は、IPS方式に限らず、いわゆるTN方式、あるいは、VA方式等にも適用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施例1のTFT基板の平面図である。
【図2】実施例1の対向基板の平面図である。
【図3】図1のA−A'断面図である。
【図4】図1のB−B'断面図である。
【図5】実施例2のTFT基板の平面図である。
【図6】図5のC−C'断面図である。
【符号の説明】
【0077】
100…TFT基板、 101…第1下地膜、 102…第2下地膜、 103…半導体層、 104…ゲート絶縁膜、 105…走査線、 106…層間絶縁膜、 107…ドレイン線、 108…ソース電極、 109…無機パッシベーション膜、 110…有機パッシベーション膜、 111…コモン電極、 112…画素絶縁膜、 113…画素電極、 120…配向膜、 130…支柱、 140…液晶分子、 200…対向基板、 BM…遮光膜、 RCF…赤カラーフィルタ、 GCF…緑カラーフィルタ、 BCF…青カラーフィルタ、 OC…オーバーコート膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向に延在し、縦方向に配列した走査線と、縦方向に延在し、横方向に配列したドレイン線を有し、前記ドレイン線と前記走査線とで囲まれた領域に、TFTと画素電極を有する画素が形成され、前記画素は対応する色毎に、第1の画素、第2の画素、第3の画素となって、横方向に並んで配置されているTFT基板を有し、前記TFT基板と所定の間隔をおいて対向基板が設置され、前記TFT基板と前記対向基板との間に液晶が挟持された液晶表示装置であって、
前記第1の画素に対応する前記ドレイン線と前記走査線との交点には、前記TFT基板と前記対向基板の間隔を規定するための支柱が形成され、
前記支柱が形成された前記交点においては、前記ドレイン線の幅が前記ドレイン線の他の部分の幅よりも大きいことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記ドレイン線の幅が大きくなっている部分では、前記走査線の幅が前記走査線の他の部分の幅よりも小さくなっていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記支柱が形成されている部分における前記ドレイン線と前記走査線の交点には第1のTFTが形成され、前記支柱が形成されている部分における前記ドレイン線と前記走査線の交点の付近には第2のTFTが形成され、前記第1のTFTと前記第2のTFTは電気的に接続されており、
前記第1のTFTのチャネル長は前記第2のTFTのチャネル長よりも短いことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第1の画素に対応する前記ドレイン線と前記走査線の交点に形成されたTFTのチャネル長は、前記第2の画素または前記第3の画素に対応する前記ドレイン線と前記走査線の交点に形成されたTFTのチャネル長よりも短いことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記液晶表示装置はIPS方式であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
横方向に延在し、縦方向に配列した走査線と、縦方向に延在し、横方向に配列したドレイン線を有し、前記ドレイン線と前記走査線とで囲まれた領域に、TFTと画素電極を有する画素が形成され、前記画素は対応する色毎に、第1の画素、第2の画素、第3の画素となって、横方向に並んで配置されているTFT基板を有し、前記TFT基板と所定の間隔をおいて対向基板が設置され、前記TFT基板と前記対向基板との間に液晶が挟持された液晶表示装置であって、
前記第1の画素に対応する前記ドレイン線と前記走査線との交点には、前記TFT基板と前記対向基板の間隔を規定するための支柱が形成され、
前記支柱が形成された前記交点においては、前記走査線の幅が前記走査線の他の部分の幅よりも大きいことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】
前記走査線の幅が大きくなっている部分では、前記ドレイン線の幅が前記ドレイン線の他の部分の幅よりも小さくなっていることを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記支柱が形成されている部分における前記ドレイン線と前記走査線の交点には第1のTFTが形成され、前記支柱が形成されている部分における前記ドレイン線と前記走査線の交点の付近には第2のTFTが形成され、前記第1のTFTと前記第2のTFTは電気的に接続されており、
前記第1のTFTのチャネル長は前記第2のTFTのチャネル長よりも長いいことを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記第1の画素に対応する前記ドレイン線と前記走査線の交点に形成されたTFTのチャネル長は、前記第2の画素または前記第3の画素に対応する前記ドレイン線と前記走査線の交点に形成されたTFTのチャネル長よりも長いことを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記液晶表示装置はIPS方式であることを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−204681(P2009−204681A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−44247(P2008−44247)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】