液滴吐出ヘッドの配置方法、ヘッドユニットおよび液滴吐出装置、並びに、電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器
【課題】液滴吐出ヘッド毎に異なる液滴吐出特性を許容しつつ、複数の液滴吐出ヘッドによる描画品質を向上させることができる液滴吐出ヘッドの配置方法を提供することを課題としている。
【解決手段】複数の機能液滴吐出ヘッド17を共通のキャリッジプレート53に配置固定する機能液滴吐出ヘッド17の配置方法において、ノズル列99方向に隣接する機能液滴吐出ヘッド17同士の、相互の最内端に位置する2つの吐出ノズル98の液滴吐出量の差が所定の許容差範囲に納まるように、且つキャリッジプレート53におけるノズル列99方向の両最外端に位置する2つの吐出ノズル98の液滴吐出量が、それぞれ所定の基準量範囲に納まるように、複数の機能液滴吐出ヘッド17を配置固定することを特徴とする。
【解決手段】複数の機能液滴吐出ヘッド17を共通のキャリッジプレート53に配置固定する機能液滴吐出ヘッド17の配置方法において、ノズル列99方向に隣接する機能液滴吐出ヘッド17同士の、相互の最内端に位置する2つの吐出ノズル98の液滴吐出量の差が所定の許容差範囲に納まるように、且つキャリッジプレート53におけるノズル列99方向の両最外端に位置する2つの吐出ノズル98の液滴吐出量が、それぞれ所定の基準量範囲に納まるように、複数の機能液滴吐出ヘッド17を配置固定することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の液滴吐出ヘッドを、共通のキャリッジプレートに配置固定する液滴吐出ヘッドの配置方法、ヘッドユニットおよび液滴吐出装置、並びに、電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の液滴吐出ヘッドの配置方法として、複数の液滴吐出ヘッドを、数個ずつ主走査方向に階段状に並べ、かつ副走査方向に2群に分けて配置固定する方法が知られている(特許文献1参照)。この配置方法では、複数の液滴吐出ヘッドにおける全ノズル列により1の描画ラインを構成すると共に、複数の液滴吐出ヘッドをスペース効率良く配置できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−238821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような配置方法により作成されたヘッドユニットにて描画処理を行うと、別々の液滴吐出ヘッドの最外端の吐出ノズルから吐出された機能液滴が隣接して描画されることがある。すなわち、1の液滴吐出ヘッドの最外端に配設された吐出ノズルにより吐出着弾された機能液滴と、別の液滴吐出ヘッドの最外端に配設された吐出ノズルにより吐出着弾された機能液滴とが、隣接して描画される。しかしながら、配置固定する各液滴吐出ヘッドは、製造上の誤差から特に各吐出ノズルにおける液滴吐出量に差が生じてしまうことがある。そのため、上記の配置方法に基づいて複数の液滴吐出ヘッドを単純に配置すると、異なる液滴吐出ヘッドから吐出された、隣接する機能液滴の量に差が生じてしまい、色むら等の理由で良質な描画処理を行うことができないという問題があった。
【0005】
本発明は、液滴吐出ヘッド毎に異なる液滴吐出特性を許容しつつ、複数の液滴吐出ヘッドによる描画品質を向上させることができる液滴吐出ヘッドの配置方法、ヘッドユニットおよび液滴吐出装置、並びに、電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液滴吐出ヘッドの配置方法は、インクジェット方式の液滴吐出ヘッドが個々に有するノズル列の多数の吐出ノズルにおける個別の液滴吐出量に基づいて、共通の機能液を吐出する複数の液滴吐出ヘッドを、ノズル列方向に位置ずれさせて共通のキャリッジプレートに配置固定する液滴吐出ヘッドの配置方法であって、ノズル列方向に隣接する液滴吐出ヘッド同士において、相互の最内端に位置する2つの吐出ノズルの液滴吐出量の差が所定の許容差範囲に納まるように、且つキャリッジプレートにおけるノズル列方向の両最外端に位置する2つの吐出ノズルの液滴吐出量が、それぞれ所定の基準量範囲に納まるように、複数の液滴吐出ヘッドを配置固定することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、ノズル列方向に隣接する液滴吐出ヘッド同士の相互の最内端に位置する2つの吐出ノズルが所定の許容差範囲に納まるよう、各液滴吐出ヘッドを配置固定することにより、共通のキャリッジプレートに配置固定する液滴吐出ヘッド間で、異なる液滴吐出ヘッドから吐出着弾された隣接する機能液滴における着弾量の差を抑えることができる。また、キャリッジプレートにおけるノズル列方向の両最外端に位置する2つの吐出ノズルにおいて、液滴吐出量がそれぞれ所定の基準量範囲に納まるよう、各液滴吐出ヘッドを配置固定することにより、別のキャリッジプレートに配置固定された液滴吐出ヘッド間で、異なる液滴吐出ヘッドから吐出着弾された隣接する機能液滴における着弾量の差を抑えることができる。そのため、液滴吐出ヘッド毎に異なる液滴吐出特性を許容しつつ、複数の液滴吐出ヘッドによる描画品質を向上させることができる。
【0008】
この場合、キャリッジプレートに配置される複数の液滴吐出ヘッドは、当該液滴吐出ヘッドの数を越える数の配置候補となる候補液滴吐出ヘッドの中から選出されることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、候補液滴吐出ヘッドを、配置する液滴吐出ヘッドの数を越えた数用意することにより、上記の条件(許容差範囲および基準量範囲)を満たす可能性が高くなり、且つ条件を満たす組(パターン)が多くなる。これにより、液滴吐出ヘッドの歩留りを向上させつつ、容易に且つ確実に上記条件の配置固定を行うことができる。
【0010】
この場合、複数の候補液滴吐出ヘッドは、全吐出ノズルにおける個別の液滴吐出量のばらつきが所定の範囲内のものであることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、候補液滴吐出ヘッドとして、全吐出ノズルにおける個別の液滴吐出量のばらつきが所定の範囲外であるものを除外することにより、適性配置を容易に行うことができる。
【0012】
複数の液滴吐出ヘッドは、ノズル列方向において2つのヘッド群に区分けされてキャリッジプレートに配置され、2つのヘッド群に属する複数の液滴吐出ヘッドは、ノズル列方向において相互に対向位置されることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、複数の液滴吐出ヘッドをキャリッジプレート上で効率良く配置することができると共に、描画処理を効率良く行うことができる。
【0014】
この場合、機能液は、R色、G色およびB色いずれかの色彩を有するものであり、所定の許容差範囲は、2つの吐出ノズルによる吐出着弾結果が隣接している場合に、相互の色むらが発生しない液滴吐出量の差に基づいて定められていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、上記の最内端に位置する2つの吐出ノズルから吐出された隣接する吐出着弾結果(機能液滴)において、相互に色むらのない、より良質な描画処理を行うことができる。
【0016】
この場合、機能液は、R色、G色およびB色いずれかの色彩を有するものであり、所定の基準量範囲は、1の吐出ノズルにおける標準化された液滴吐出量を中間値とする範囲であって、隣接する吐出着弾結果に相互の色むらが発生しない液滴吐出量の範囲に基づいて定められていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、上記の最外端に位置する2つの吐出ノズルにおいて、所定の基準量範囲が、1の吐出ノズルにおける標準化された液滴吐出量を中間値とする範囲であることにより、標準化された液滴吐出量に近似する値になるため、液滴吐出量のばらつきを抑制することができる。また、所定の基準量範囲が、隣接する吐出着弾結果に相互の色むらが発生しない液滴吐出量の範囲に基づいて定められていることにより、色むらのない、より良質な描画処理を行うことができる。
【0018】
この場合、所定の基準量範囲に納まる選択肢が複数組ある場合に、基準量範囲の中間値と各組の2つの上記吐出ノズルの液滴吐出量との差の二乗和が、最小値となる選択肢を選択することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、基準量範囲の中間値と各組の2つの上記吐出ノズルの液滴吐出量との差の二乗和が最小となる組を選択することにより、2つの上記吐出ノズルの液滴吐出量の差を更に抑えることができ、より良質な描画処理を行うことができる。
【0020】
この場合、液滴吐出量は、各ノズル列における平均の液滴吐出量が絶対目標の液滴吐出量であることを前提とし、絶対目標の液滴吐出量を1として正規化された数値で比較されることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、絶対目標との液滴吐出量の比較を容易に行うことができる。
【0022】
この場合、各ノズル列の多数の吐出ノズルにおける個別の液滴吐出量は、測定結果に基づく近似特性線図から求めたものであることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、各ノズル列における多数の吐出ノズルの個別の液滴吐出量を、いくつかの吐出ノズルの測定結果に基づく近似特性線図から求めることにより、全ての吐出ノズルを測定する必要がなく、全吐出ノズルの液滴吐出量を効率良く取得することができる。
【0024】
近似特性線図は、多数の吐出ノズルの両端部の複数の吐出ノズルを全て測定すると共に、残余の中間部の複数の吐出ノズルを間引いて測定した結果から導かれることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、多数の吐出ノズルの両端部の複数の吐出ノズルに対して、厳密な値を取得することができる。そのため、基準許容範囲もしくは許容差範囲との比較を精度良く行うことができる。
【0026】
この場合、許容差範囲に納まるか否かの比較対象となる液滴吐出量は、多数の吐出ノズルの端部の複数の吐出ノズルにおける液滴吐出量の平均値であることが好ましい。
【0027】
この場合、基準量範囲に納まるか否かの比較対象となる液滴吐出量は、多数の吐出ノズルの端部の複数の吐出ノズルにおける液滴吐出量の平均値であることが好ましい。
【0028】
これらの構成によれば、1つの吐出ノズルにおける液滴吐出量のバラツキを軽減することができ、より正確に許容差範囲(基準量範囲)に納まるか否かの比較を行うことができる。
【0029】
この場合、各液滴吐出ヘッドは、それぞれのノズル列における多数の吐出ノズルの両外側に、描画に使用しない複数の無効吐出ノズルを有していることが好ましい。
【0030】
この構成によれば、構造上、中央部に位置する吐出ノズルより吐出量が多い、両端部の複数の吐出ノズルを、描画に使用しない無効吐出ノズルとすることにより、ノズル列上での吐出量のばらつきを抑制することができ、より良質な描画処理を行うことができる。
【0031】
本発明のヘッドユニットは、上記の液滴吐出ヘッドの配置方法により、キャリッジプレートに複数の液滴吐出ヘッドが配置固定されていることを特徴とする。
【0032】
この構成によれば、液滴吐出ヘッド毎に異なる液滴吐出特性を許容しつつ、複数の液滴吐出ヘッドによる描画品質を向上させることができる液滴吐出ヘッドの配置方法を使用することにより、良質な描画処理が可能なヘッドユニットを提供することができる。
【0033】
本発明の液滴吐出装置は、上記のヘッドユニットを搭載し、当該ヘッドユニットにより、ワークに対し機能液を吐出して描画を行なうことを特徴とする。
【0034】
この構成によれば、上記のヘッドユニットを使用することにより、ワークに対し、良質な描画処理を行うことができる。
【0035】
本発明の電気光学装置の製造方法は、上記した液滴吐出装置を用い、ワーク上に機能液滴による成膜部を形成することを特徴とする。
【0036】
本発明の電気光学装置は、上記した液滴吐出装置を用い、ワーク上に機能液滴による成膜部を形成したことを特徴とする。
【0037】
この構成によれば、高品質の電気光学装置を効率良く製造することができる。なお、機能材料としては、有機EL装置の発光材料(Electro-Luminescence発光層・正孔注入層)は元より、液晶表示装置に用いるカラーフィルタのフィルタ材料(フィルタエレメント)、電子放出装置(Field Emission Display, FED)の蛍光材料(蛍光体)、PDP(plasma Display Panel)装置の蛍光材料(蛍光体)、電気泳動表示装置の泳動体材料(泳動体)等であって、機能液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)により吐出可能な液体材料を言う。また、電気光学装置(Flat Panel Display, FPD)としては、有機EL装置、液晶表示装置、電子放出装置、PDP装置、電気泳動表示装置等がある。
【0038】
本発明の電子機器は、上記した電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置または上記した電気光学装置を搭載したことを特徴とする。
【0039】
この場合、電子機器としては、いわゆるフラットパネルディスプレイを搭載した携帯電話、パーソナルコンピュータのほか、各種の電気製品がこれに該当する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施形態に係る液滴吐出装置の平面図である。
【図2】液滴吐出装置の側面図である。
【図3】ヘッドユニットに搭載された機能液滴吐出ヘッドの配置構成を示した図である。
【図4】カラーフィルタの配色パターンの説明図であり、(a)は、ストライプ配列、(b)は、モザイク配列、(c)は、デルタ配列を示している。
【図5】機能液滴吐出ヘッドの外観斜視図である。
【図6】近似特性線図を示した図である。
【図7】キャリッジプレートに対する機能液滴吐出ヘッドの配置方法について示した説明図である。
【図8】カラーフィルタ製造工程を説明するフローチャートである。
【図9】(a)〜(e)は、製造工程順に示したカラーフィルタの模式断面図である。
【図10】本発明を適用したカラーフィルタを用いた液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図11】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第2の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図12】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第3の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図13】有機EL装置である表示装置の要部断面図である。
【図14】有機EL装置である表示装置の製造工程を説明するフローチャートである。
【図15】無機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図16】有機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図17】正孔注入/輸送層を形成する過程を説明する工程図である。
【図18】正孔注入/輸送層が形成された状態を説明する工程図である。
【図19】青色の発光層を形成する過程を説明する工程図である。
【図20】青色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図21】各色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図22】陰極の形成を説明する工程図である。
【図23】プラズマ型表示装置(PDP装置)である表示装置の要部分解斜視図である。
【図24】電子放出装置(FED装置)である表示装置の要部断面図である。
【図25】表示装置の電子放出部廻りの平面図(a)およびその形成方法を示す平面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係る液滴吐出ヘッドの配置方法を適用した液滴吐出装置について説明する。本実施形態に係る液滴吐出装置は、フラットパネルディスプレイの製造ラインに組み込まれており、例えば、特殊なインクや発光性の樹脂液である機能液を導入した機能液滴吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)を用い、液晶表示装置のカラーフィルタや有機EL装置の各画素となる発光素子等を形成するものである。
【0042】
図1および図2に示すように、液滴吐出装置1は、石定盤に支持されたX軸支持ベース2上に配設され、主走査方向となるX軸方向に延在して、ワークWをX軸方向(主走査方向)に移動させるX軸テーブル11と、複数本の支柱4を介してX軸テーブル11を跨ぐように架け渡された1対(2つ)のY軸支持ベース3上に配設され、副走査方向となるY軸方向に延在するY軸テーブル12と、複数の機能液滴吐出ヘッド17が搭載された10個のキャリッジユニット51とから成り、10個のキャリッジユニット51は、Y軸テーブル12に吊設されている。そして、X軸テーブル11およびY軸テーブル12の駆動と同期して機能液滴吐出ヘッド17を吐出駆動させることにより、R・G・B3色の機能液滴を吐出させ、ワークWに所定の描画パターンが描画される。
【0043】
また、液滴吐出装置1は、フラッシングユニット14、吸引ユニット15、ワイピングユニット16、吐出性能検査ユニット18から成るメンテナンス装置5を備えており、これらユニットを機能液滴吐出ヘッド17の保守に供して、機能液滴吐出ヘッド17の機能維持・機能回復を図るようになっている。なお、メンテナンス装置5を構成する各ユニットのうち、フラッシングユニット14および吐出性能検査ユニット18は、X軸テーブル11に搭載され、吸引ユニット15およびワイピングユニット16は、X軸テーブル11から外れ、かつY軸テーブル12によりキャリッジユニット51が移動可能である位置に配設された架台6上に配設されている(厳密には、吐出性能検査ユニット18は、後述するステージユニット77がX軸テーブル11に搭載され、カメラユニット78がY軸支持ベース3に支持されている。)。
【0044】
フラッシングユニット14は、一対の描画前フラッシングユニット111,111と、定期フラッシングユニット112とを有し、機能液滴吐出ヘッド17の吐出直前や、ワークWの載換え時等の描画処理休止時に行われる、機能液滴吐出ヘッド17の捨て吐出(フラッシング)を受けるためのものである。吸引ユニット15は、複数の分割吸引ユニット141を有し、各機能液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル98から機能液を強制的に吸引するものである。ワイピングユニット16は、ワイピングシート151を有し、吸引後の機能液滴吐出ヘッド17のノズル面97を拭取るものである。吐出性能検査ユニット18は、機能液滴吐出ヘッド17から吐出された機能液滴を受ける検査シート83を搭載したステージユニット77と、ステージユニット77上の機能液滴を画像認識により検査するカメラユニット78を有し、機能液滴吐出ヘッド17の吐出性能(吐出の有無および飛行曲り)を検査するものである。
【0045】
以下、液滴吐出装置1の構成要素について説明する。図1または図2に示すように、X軸テーブル11は、ワークWをセットするセットテーブル21と、セットテーブル21をX軸方向にスライド自在に支持するX軸第1スライダ22と、上記のフラッシングユニット14および吐出性能検査ユニット18をX軸方向にスライド自在に支持するX軸第2スライダ23と、X軸方向に延在し、X軸第1スライダ22を介してセットテーブル21(ワークW)をX軸方向に移動させると共に、X軸第2スライダ23を介してフラッシングユニット14およびステージユニット77をX軸方向に移動させる左右一対のX軸リニアモータ(図示省略)と、X軸リニアモータに並設され、X軸第1スライダ22およびX軸第2スライダ23の移動を案内する一対(2本)のX軸共通支持ベース24と、を備えている。
【0046】
セットテーブル21は、ワークWを吸着セットする吸着テーブル31と、吸着テーブル31を支持し、吸着テーブル31にセットしたワークWの位置をθ軸方向に補正するためのθテーブル32等を有している。また、セットテーブル21のY軸方向と平行な一対の辺には、それぞれ上記の描画前フラッシングユニット111が添設されている。
【0047】
Y軸テーブル12は、10個の各キャリッジユニット51をそれぞれ吊設した10個のブリッジプレート52と、10個のブリッジプレート52を両持ちで支持する10組のY軸スライダ(図示省略)と、上記した一対のY軸支持ベース3上に設置され、10組のY軸スライダを介してブリッジプレート52をY軸方向に移動させる一対のY軸リニアモータ(図示省略)と、を備えている。また、Y軸テーブル12は、各キャリッジユニット51を介して描画時に機能液滴吐出ヘッド17を副走査するほか、機能液滴吐出ヘッド17をメンテナンス装置5に臨ませる。
【0048】
一対のY軸リニアモータを(同期して)駆動すると、各Y軸スライダが一対のY軸支持ベース3を案内にして同時にY軸方向を平行移動する。これにより、ブリッジプレート52がY軸方向を移動し、これと共にキャリッジユニット51がY軸方向に移動する。なお、この場合、Y軸リニアモータの駆動を制御することにより、各キャリッジユニット51を独立させて個別に移動させることも可能であるし、10個のキャリッジユニット51を一体として移動させることも可能である。
【0049】
各キャリッジユニット51は、複数の機能液滴吐出ヘッド17を有するヘッドユニット13と、ヘッドユニット13をθ補正(θ回転)可能に支持するθ回転機構61と、θ回転機構61を介して、ヘッドユニット13をY軸テーブル12(各ブリッジプレート52)に支持させる吊設部材62と、を備えている。
【0050】
図3に示すように、ヘッドユニット13は、12個の機能液滴吐出ヘッド17と、12個の機能液滴吐出ヘッド17が配置固定されたキャリッジプレート53と、を備えている。12個の機能液滴吐出ヘッド17は、Y軸方向に2群に分かれ、6個ずつX軸方向に階段状に並んでヘッド群54を構成している。各ヘッド群54に属する6個の機能液滴吐出ヘッド17は、ノズル列98b方向において相互に対抗配置されており(図7参照)、複数の機能液滴吐出ヘッド17をキャリッジプレート53上で効率良く配置することができると共に、描画処理を効率良く行うことができるように構成されている。また、各ヘッド群54の各色2つの機能液滴吐出ヘッド17は、X軸方向において連設し、1の描画ラインを構成する。
【0051】
ヘッドユニット13に搭載された12×10個の機能液滴吐出ヘッド17は、R・G・B3色の機能液のいずれかに対応しており、各色4個の機能液滴吐出ヘッド17(各ヘッド群54で各色2個ずつ)により、ワークWに3色の機能液から成る描画パターンを描画できるようになっている。本実施形態のものでは、全機能液滴吐出ヘッド17(12×10個)の2回の副走査により、Y軸方向に連続するRGB3色の描画ラインがそれぞれ形成される。この描画ラインの長さは、セットテーブル21に搭載可能な最大サイズのワークWの幅に対応している。なお、3色の機能液から成る描画パターンには、図4に示すように3種類のパターンがあり、本実施形態では、図4(a)の描画パターン(ビットアップデータ)により描画が行われる。
【0052】
図5に示すように、機能液滴吐出ヘッド17は、いわゆる2連のものであり、2連の接続針92を有する機能液導入部91と、機能液導入部91に連なる2連のヘッド基板93と、機能液導入部91の下方に連なり、内部に機能液で満たされるヘッド内流路が形成されたヘッド本体94と、を備えている。接続針92は、図外の機能液タンクに接続され、機能液導入部91に機能液を供給する。ヘッド本体94は、キャビティ95(ピエゾ圧電素子)と、多数の吐出ノズル98が開口したノズル面97を有するノズルプレート96と、で構成されている。機能液滴吐出ヘッド17を吐出駆動すると、(ピエゾ圧電素子に電圧が印加され)キャビティ95のポンプ作用により、吐出ノズル98から機能液滴が吐出される。
【0053】
なお、ノズル面97には、多数の吐出ノズル98からなる第1ノズル列99aおよび第2ノズル列99bが相互に平行に形成されている。そして、2つのノズル列99a,99b同士は、相互に半ノズルピッチ分位置ずれしている。2つのノズル列99a,99bは、両端部にそれぞれ10個ずつ、描画処理に使用しない無効吐出ノズルを有しており、これにより、ノズル列99a,99b上での液滴吐出量のばらつきを抑制することができ、より良質な描画処理を行うことができる。なお、請求項にいう「ノズル列」は、本実施形態においては第1ノズル列99aおよび第2ノズル列99bを併せたものである。そのため、以下、第1ノズル列99aおよび第2ノズル列99bを併せて、単にノズル列99と表記する。
【0054】
液滴吐出装置1の描画動作は、まず、ワークWをX軸テーブル11により、X軸方向で移動させながら(図1中奥側へ)、第1描画動作(往動パス)を行う。その後、ヘッドユニット13を2ヘッド分Y軸方向に移動(副走査)させて、改めて、ワークWをX軸方向で移動させながら(図1中手前側へ)、第2描画動作(復動パス)を行う。そして、再度ヘッドユニット13を2ヘッド分副走査し、もう一度、ワークWをX軸方向で移動させながら(図1中奥側へ)、第3描画動作(往動パス)を行う。このように、副走査により、ワークW上の位置に対し、対応する機能液滴吐出ヘッド17を変更しつつ、ワークWの移動および描画動作を3度繰り返すことにより、R・G・B3色の描画処理を効率良く行っている。
【0055】
次に、図6または図7を参照して、キャリッジプレート53上における機能液滴吐出ヘッド17の配置方法について詳細に説明する。この機能液滴吐出ヘッド17の配置は、あらかじめ配置候補となる複数の機能液滴吐出ヘッド17(以下、候補吐出ノズルと表記)を用意し、その候補吐出ノズルの液滴吐出特性に基づいて、候補吐出ノズルの中から適切な機能液滴吐出ヘッド17を選出し、配置するものである。そのため、まず、この候補吐出ノズルの選出および候補吐出ノズルの液滴吐出特性取得について説明する。候補吐出ノズルの液滴吐出特性取得は、候補吐出ノズルの選出の際に行う選出前液滴吐出ヘッドの液滴吐出特性取得にて行われるため、ここで、選出前液滴吐出ヘッドの液滴吐出特性取得について説明する。なお、以下の説明において、描画や測定に係らない無効吐出ノズルの存在を無視して説明する。
【0056】
製造された選出前の多数の機能液滴吐出ヘッド17である選出前液滴吐出ヘッドは、それぞれ図外の検査装置により、各吐出ノズル98における吐出量、吐出速度および吐出不良等が取得される。特に各吐出ノズル98の吐出量は、両端部の複数の吐出ノズル98については全て測定し、残余の吐出ノズル98(中間部に位置する複数の吐出ノズル98)については、両端部の吐出ノズル98の測定結果から近似特性線図(図6参照)を用いて求める。このように、各ノズル列99における全ての吐出ノズル98の液滴吐出量を、いくつかの吐出ノズル98の測定結果に基づく近似特性線図から求めることにより、全ての吐出ノズル98を測定する必要がなく、全吐出ノズル98の液滴吐出量を効率良く取得することができる。また、近似特性線図を両端部の吐出ノズル98に基づいて作成することにより、機能液滴吐出ヘッド17の配置固定に用いる両端部の吐出ノズル98に対して、厳密な値を取得することができる。なお、近似特性線図は、6次近似曲線図を用いることが好ましい。また、上記の吐出不良には、否吐出、飛行曲がり、異常吐出等がある。
【0057】
次に、取得された液滴吐出特性に基づいて、多数の選出前液滴吐出ヘッドの中から複数の候補液滴吐出ヘッドを選出する。すなわち、1の選出前液滴吐出ヘッドにおいて、全吐出ノズル98における個別の液滴吐出量のばらつきが所定範囲内であると判断され、且つ、吐出速度や飛行曲がり等の判定により良品であると判断された場合に、当該選出前液滴吐出ヘッドを候補液滴吐出ヘッドとして選出する。このように、判定条件として全吐出ノズル98における個別の液滴吐出量のばらつきが所定範囲内であるという条件を有することにより、適正配置を容易に行うことができる。なお、選出された候補液滴吐出ヘッドは、配置する機能液滴吐出ヘッド17の数を超える数用意する。これにより、機能液滴吐出ヘッド17の配置固定に用いる条件を満たす可能性が高くなり、且つ条件を満たす組(パターン)が多くなる。そのため、機能液滴吐出ヘッド17の歩留りを向上させつつ、容易に且つ確実に条件通りの配置固定を行うことができる。
【0058】
図7に示すように、機能液滴吐出ヘッド17の配置固定は、最内端ノズル条件と最外端ノズル条件の2つの条件を満たすように行われる。なお、これらの条件は、機能液の色ごとに考慮される。そのため、ここでは、R色を例に挙げて説明する。
【0059】
最内端ノズル条件は、キャリッジプレート53上の4個(各色4個であるため)の機能液滴吐出ヘッド17において、ノズル列99方向に相互隣接する機能液滴吐出ヘッド17との間の各最内端の2つの吐出ノズル98に対し、この2つの吐出ノズル98における液滴吐出量の差が、所定の許容差範囲に納まるという条件である。この許容差範囲は、吐出着弾結果(着弾された機能液滴)が隣接している場合に、相互の色むらが発生しない液滴吐出量の差に基づいて設定される。例えば、本実施形態では、液滴吐出量の差が0.65%(標準値1.011plの0.65%)まで許容される。
【0060】
最外端ノズル条件は、キャリッジプレート53上のノズル列99方向で両外端に位置する機能液滴吐出ヘッド17において、それらの両外端に配置された2つの吐出ノズル98、すなわち、右端に配設された機能液滴吐出ヘッド17の右端の吐出ノズル98および左端に配設された機能液滴吐出ヘッド17の左端の吐出ノズル98に対し、2つの吐出ノズル98がそれぞれ所定の基準量範囲に収まるという条件である。この基準量範囲は、1の吐出ノズル98における標準化された液滴吐出量を中間値とする範囲であって、隣接する吐出着弾結果に相互の色むらが発生しない液滴吐出量の範囲に基づいて設定されている。例えば、本実施形態では、1.011pl±0.45%(標準値1.011plの0.45%)である。
【0061】
このように、ノズル列99方向に隣接する機能液滴吐出ヘッド17同士の相互の最内端に位置する2つの吐出ノズル98が所定の許容差範囲に納まるよう、各機能液滴吐出ヘッド17を配置固定することにより、共通のキャリッジプレート53に配置固定する機能液滴吐出ヘッド17間で、異なる機能液滴吐出ヘッド17から吐出着弾された隣接する吐出着弾結果における着弾量の差を抑えることができる。また、キャリッジプレート53におけるノズル列99方向の両最外端に位置する2つの吐出ノズルにおいて、液滴吐出量がそれぞれ所定の基準量範囲に納まるよう、各機能液滴吐出ヘッド17を配置固定することにより、別のキャリッジプレート53に配置固定された機能液滴吐出ヘッド17間で、異なる機能液滴吐出ヘッド17から吐出着弾された隣接する吐出着弾結果(機能液滴)における着弾量の差を抑えることができる。そのため、機能液滴吐出ヘッド17毎に異なる液滴吐出特性を許容しつつ、複数の機能液滴吐出ヘッド17による描画品質を向上させることができる。
【0062】
また、最内端ノズル条件において、許容差範囲が、吐出着弾結果が隣接している場合に、相互の色むらが発生しない液滴吐出量の差に基づいて設定されることにより、上記の最内端に位置する2つの吐出ノズル98から吐出された隣接する吐出着弾結果において、相互に色むらのない、より良質な描画処理を行うことができる。
【0063】
さらに、最外端ノズル条件において、基準量範囲が、1の吐出ノズルにおける標準化された液滴吐出量を中間値とする範囲で定められていることにより、標準化された液滴吐出量に近似する値になるため、液滴吐出量のばらつきを抑制することができると共に、基準量範囲が、隣接する吐出着弾結果に相互の色むらが発生しない液滴吐出量の範囲に基づいて定められていることにより、色むらのない、より良質な描画処理を行うことができる。
【0064】
最外端ノズル条件において、所定の基準量範囲に納まる選択肢が複数組ある場合には、各組の基準量範囲の中間値(標準値)と最外端の2つの吐出ノズル98における液滴吐出量との差の二乗和が、最小値となる選択肢を選択する。これにより、2つの吐出ノズル98の液滴吐出量の差を更に抑えることができ、より良質な描画処理を行うことができる。例えば、中間値が1.011pl、選択肢が2組あり、一方の組の2つの吐出ノズルの液滴吐出量が、1.011+0.5plと1.011−0.1pl、他方の組の2つの吐出ノズルの液滴吐出量が、1.011+0.3plと1.011−0.2plである場合、一方の組の中間値と液滴吐出量との差の二乗和は、(1.011−(1.011+0.5))2+(1.011−(1.011−0.1))2=0.26、他方の組の中間値と液滴吐出量との差の二乗和は、(1.011−(1.011+0.3))2+(1.011−(1.011−0.2))2=0.13である。そのため、この場合、最小値0.13を有する他方の組を選択する。
【0065】
なお、これらの条件に用いる液滴吐出量は、各ノズル列99における平均の液滴吐出量が絶対目標であることを前提とし、この絶対目標の液滴吐出量を1として正規化された数値とすることが好ましい。これにより、絶対目標との液滴吐出量の比較を容易に行うことができる。
【0066】
また、許容差範囲もしくは基準量範囲に納まるか否かの比較対象となる液滴吐出量は、ノズル列99の端部に位置する複数(各10個)の吐出ノズル98の液滴吐出量の平均値とすることが好ましい。すなわち、この平均値を、上記比較に利用する各吐出ノズル98の液滴吐出量とする。これにより、1つの吐出ノズル98における液滴吐出量のばらつきを軽減することができ、より正確に基準量範囲に納まるか否かの比較を行うことができる。さらに、上記の最外端ノズル条件下における選択肢の選択において、両外端に位置する各5個の吐出ノズルと中間値との差の二乗和を、比較対象とすることが好ましい。
【0067】
以上のような構成により、ノズル列99方向に隣接する機能液滴吐出ヘッド17同士の相互の最内端に位置する2つの吐出ノズル98が所定の許容差範囲に納まるよう、各機能液滴吐出ヘッド17を配置固定することにより、共通のキャリッジプレート53に配置固定する機能液滴吐出ヘッド17間で、異なる機能液滴吐出ヘッド17から吐出着弾された隣接する機能液滴における着弾量の差を抑えることができる。また、キャリッジプレート53におけるノズル列99方向の両最外端に位置する2つの吐出ノズル98において、液滴吐出量がそれぞれ所定の基準量範囲に納まるよう、各機能液滴吐出ヘッド17を配置固定することにより、別のキャリッジプレート53に配置固定された機能液滴吐出ヘッド17間で、異なる機能液滴吐出ヘッド17から吐出着弾された隣接する機能液滴における着弾量の差を抑えることができる。そのため、機能液滴吐出ヘッド17毎に異なる液滴吐出特性を許容しつつ、複数の機能液滴吐出ヘッド17による描画品質を向上させることができる。
【0068】
次に、本実施形態の液滴吐出装置1を用いて製造される電気光学装置(フラットパネルディスプレイ)として、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、プラズマディスプレイ(PDP装置)、電子放出装置(FED装置、SED装置)、さらにこれら表示装置に形成されてなるアクティブマトリクス基板等を例に、これらの構造およびその製造方法について説明する。なお、アクティブマトリクス基板とは、薄膜トランジスタ、および薄膜トランジスタに電気的に接続するソース線、データ線が形成された基板をいう。
【0069】
まず、液晶表示装置や有機EL装置等に組み込まれるカラーフィルタの製造方法について説明する。図8は、カラーフィルタの製造工程を示すフローチャート、図9は、製造工程順に示した本実施形態のカラーフィルタ500(フィルタ基体500A)の模式断面図である。
まず、ブラックマトリクス形成工程(S101)では、図9(a)に示すように、基板(W)501上にブラックマトリクス502を形成する。ブラックマトリクス502は、金属クロム、金属クロムと酸化クロムの積層体、または樹脂ブラック等により形成される。金属薄膜からなるブラックマトリクス502を形成するには、スパッタ法や蒸着法等を用いることができる。また、樹脂薄膜からなるブラックマトリクス502を形成する場合には、グラビア印刷法、フォトレジスト法、熱転写法等を用いることができる。
【0070】
続いて、バンク形成工程(S102)において、ブラックマトリクス502上に重畳する状態でバンク503を形成する。即ち、まず図9(b)に示すように、基板501およびブラックマトリクス502を覆うようにネガ型の透明な感光性樹脂からなるレジスト層504を形成する。そして、その上面をマトリクスパターン形状に形成されたマスクフィルム505で被覆した状態で露光処理を行う。
さらに、図9(c)に示すように、レジスト層504の未露光部分をエッチング処理することによりレジスト層504をパターニングして、バンク503を形成する。なお、樹脂ブラックによりブラックマトリクスを形成する場合は、ブラックマトリクスとバンクとを兼用することが可能となる。
このバンク503とその下のブラックマトリクス502は、各画素領域507aを区画する区画壁部507bとなり、後の着色層形成工程において機能液滴吐出ヘッド17により着色層(成膜部)508R、508G、508Bを形成する際に機能液滴の着弾領域を規定する。
【0071】
以上のブラックマトリクス形成工程およびバンク形成工程を経ることにより、上記フィルタ基体500Aが得られる。
なお、本実施形態においては、バンク503の材料として、塗膜表面が疎液(疎水)性となる樹脂材料を用いている。そして、基板(ガラス基板)501の表面が親液(親水)性であるので、後述する着色層形成工程においてバンク503(区画壁部507b)に囲まれた各画素領域507a内への液滴の着弾位置のばらつきを自動補正できる。
【0072】
次に、着色層形成工程(S103)では、図9(d)に示すように、機能液滴吐出ヘッド17によって機能液滴を吐出して区画壁部507bで囲まれた各画素領域507a内に着弾させる。この場合、機能液滴吐出ヘッド17を用いて、R・G・Bの3色の機能液(フィルタ材料)を導入して、機能液滴の吐出を行う。なお、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライプ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0073】
その後、乾燥処理(加熱等の処理)を経て機能液を定着させ、3色の着色層508R、508G、508Bを形成する。着色層508R、508G、508Bを形成したならば、保護膜形成工程(S104)に移り、図9(e)に示すように、基板501、区画壁部507b、および着色層508R、508G、508Bの上面を覆うように保護膜509を形成する。
即ち、基板501の着色層508R、508G、508Bが形成されている面全体に保護膜用塗布液が吐出された後、乾燥処理を経て保護膜509が形成される。
そして、保護膜509を形成した後、カラーフィルタ500は、次工程の透明電極となるITO(Indium Tin Oxide)などの膜付け工程に移行する。
【0074】
図10は、上記のカラーフィルタ500を用いた液晶表示装置の一例としてのパッシブマトリックス型液晶装置(液晶装置)の概略構成を示す要部断面図である。この液晶装置520に、液晶駆動用IC、バックライト、支持体などの付帯要素を装着することによって、最終製品としての透過型液晶表示装置が得られる。なお、カラーフィルタ500は図9に示したものと同一であるので、対応する部位には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0075】
この液晶装置520は、カラーフィルタ500、ガラス基板等からなる対向基板521、および、これらの間に挟持されたSTN(Super Twisted Nematic)液晶組成物からなる液晶層522により概略構成されており、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置している。
なお、図示していないが、対向基板521およびカラーフィルタ500の外面(液晶層522側とは反対側の面)には偏光板がそれぞれ配設され、また対向基板521側に位置する偏光板の外側には、バックライトが配設されている。
【0076】
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層側)には、図10において左右方向に長尺な短冊状の第1電極523が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極523のカラーフィルタ500側とは反対側の面を覆うように第1配向膜524が形成されている。
一方、対向基板521におけるカラーフィルタ500と対向する面には、カラーフィルタ500の第1電極523と直交する方向に長尺な短冊状の第2電極526が所定の間隔で複数形成され、この第2電極526の液晶層522側の面を覆うように第2配向膜527が形成されている。これらの第1電極523および第2電極526は、ITOなどの透明導電材料により形成されている。
【0077】
液晶層522内に設けられたスペーサ528は、液晶層522の厚さ(セルギャップ)を一定に保持するための部材である。また、シール材529は液晶層522内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するための部材である。なお、第1電極523の一端部は引き回し配線523aとしてシール材529の外側まで延在している。
そして、第1電極523と第2電極526とが交差する部分が画素であり、この画素となる部分に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
【0078】
通常の製造工程では、カラーフィルタ500に、第1電極523のパターニングおよび第1配向膜524の塗布を行ってカラーフィルタ500側の部分を作成すると共に、これとは別に対向基板521に、第2電極526のパターニングおよび第2配向膜527の塗布を行って対向基板521側の部分を作成する。その後、対向基板521側の部分にスペーサ528およびシール材529を作り込み、この状態でカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる。次いで、シール材529の注入口から液晶層522を構成する液晶を注入し、注入口を閉止する。その後、両偏光板およびバックライトを積層する。
【0079】
実施形態の液滴吐出装置1は、例えば上記のセルギャップを構成するスペーサ材料(機能液)を塗布すると共に、対向基板521側の部分にカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる前に、シール材529で囲んだ領域に液晶(機能液)を均一に塗布することが可能である。また、上記のシール材529の印刷を、機能液滴吐出ヘッド17で行うことも可能である。さらに、第1・第2両配向膜524,527の塗布を機能液滴吐出ヘッド17で行うことも可能である。
【0080】
図11は、本実施形態において製造したカラーフィルタ500を用いた液晶装置の第2の例の概略構成を示す要部断面図である。
この液晶装置530が上記液晶装置520と大きく異なる点は、カラーフィルタ500を図中下側(観測者側とは反対側)に配置した点である。
この液晶装置530は、カラーフィルタ500とガラス基板等からなる対向基板531との間にSTN液晶からなる液晶層532が挟持されて概略構成されている。なお、図示していないが、対向基板531およびカラーフィルタ500の外面には偏光板等がそれぞれ配設されている。
【0081】
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層532側)には、図中奥行き方向に長尺な短冊状の第1電極533が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極533の液晶層532側の面を覆うように第1配向膜534が形成されている。
対向基板531のカラーフィルタ500と対向する面上には、カラーフィルタ500側の第1電極533と直交する方向に延在する複数の短冊状の第2電極536が所定の間隔で形成され、この第2電極536の液晶層532側の面を覆うように第2配向膜537が形成されている。
【0082】
液晶層532には、この液晶層532の厚さを一定に保持するためのスペーサ538と、液晶層532内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するためのシール材539が設けられている。
そして、上記した液晶装置520と同様に、第1電極533と第2電極536との交差する部分が画素であり、この画素となる部位に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
【0083】
図12は、本発明を適用したカラーフィルタ500を用いて液晶装置を構成した第3の例を示したもので、透過型のTFT(Thin Film Transistor)型液晶装置の概略構成を示す分解斜視図である。
この液晶装置550は、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置したものである。
【0084】
この液晶装置550は、カラーフィルタ500と、これに対向するように配置された対向基板551と、これらの間に挟持された図示しない液晶層と、カラーフィルタ500の上面側(観測者側)に配置された偏光板555と、対向基板551の下面側に配設された偏光板(図示せず)とにより概略構成されている。
カラーフィルタ500の保護膜509の表面(対向基板551側の面)には液晶駆動用の電極556が形成されている。この電極556は、ITO等の透明導電材料からなり、後述の画素電極560が形成される領域全体を覆う全面電極となっている。また、この電極556の画素電極560とは反対側の面を覆った状態で配向膜557が設けられている。
【0085】
対向基板551のカラーフィルタ500と対向する面には絶縁層558が形成されており、この絶縁層558上には、走査線561および信号線562が互いに直交する状態で形成されている。そして、これらの走査線561と信号線562とに囲まれた領域内には画素電極560が形成されている。なお、実際の液晶装置では、画素電極560上に配向膜が設けられるが、図示を省略している。
【0086】
また、画素電極560の切欠部と走査線561と信号線562とに囲まれた部分には、ソース電極、ドレイン電極、半導体、およびゲート電極とを具備する薄膜トランジスタ563が組み込まれて構成されている。そして、走査線561と信号線562に対する信号の印加によって薄膜トランジスタ563をオン・オフして画素電極560への通電制御を行うことができるように構成されている。
【0087】
なお、上記の各例の液晶装置520,530,550は、透過型の構成としたが、反射層あるいは半透過反射層を設けて、反射型の液晶装置あるいは半透過反射型の液晶装置とすることもできる。
【0088】
次に、図13は、有機EL装置の表示領域(以下、単に表示装置600と称する)の要部断面図である。
【0089】
この表示装置600は、基板(W)601上に、回路素子部602、発光素子部603および陰極604が積層された状態で概略構成されている。
この表示装置600においては、発光素子部603から基板601側に発した光が、回路素子部602および基板601を透過して観測者側に出射されると共に、発光素子部603から基板601の反対側に発した光が陰極604により反射された後、回路素子部602および基板601を透過して観測者側に出射されるようになっている。
【0090】
回路素子部602と基板601との間にはシリコン酸化膜からなる下地保護膜606が形成され、この下地保護膜606上(発光素子部603側)に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜607が形成されている。この半導体膜607の左右の領域には、ソース領域607aおよびドレイン領域607bが高濃度陽イオン打ち込みによりそれぞれ形成されている。そして陽イオンが打ち込まれない中央部がチャネル領域607cとなっている。
【0091】
また、回路素子部602には、下地保護膜606および半導体膜607を覆う透明なゲート絶縁膜608が形成され、このゲート絶縁膜608上の半導体膜607のチャネル領域607cに対応する位置には、例えばAl、Mo、Ta、Ti、W等から構成されるゲート電極609が形成されている。このゲート電極609およびゲート絶縁膜608上には、透明な第1層間絶縁膜611aと第2層間絶縁膜611bが形成されている。また、第1、第2層間絶縁膜611a、611bを貫通して、半導体膜607のソース領域607a、ドレイン領域607bにそれぞれ連通するコンタクトホール612a,612bが形成されている。
【0092】
そして、第2層間絶縁膜611b上には、ITO等からなる透明な画素電極613が所定の形状にパターニングされて形成され、この画素電極613は、コンタクトホール612aを通じてソース領域607aに接続されている。
また、第1層間絶縁膜611a上には電源線614が配設されており、この電源線614は、コンタクトホール612bを通じてドレイン領域607bに接続されている。
【0093】
このように、回路素子部602には、各画素電極613に接続された駆動用の薄膜トランジスタ615がそれぞれ形成されている。
【0094】
上記発光素子部603は、複数の画素電極613上の各々に積層された機能層617と、各画素電極613および機能層617の間に備えられて各機能層617を区画するバンク部618とにより概略構成されている。
これら画素電極613、機能層617、および、機能層617上に配設された陰極604によって発光素子が構成されている。なお、画素電極613は、平面視略矩形状にパターニングされて形成されており、各画素電極613の間にバンク部618が形成されている。
【0095】
バンク部618は、例えばSiO、SiO2、TiO2等の無機材料により形成される無機物バンク層618a(第1バンク層)と、この無機物バンク層618a上に積層され、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶媒性に優れたレジストにより形成される断面台形状の有機物バンク層618b(第2バンク層)とにより構成されている。このバンク部618の一部は、画素電極613の周縁部上に乗上げた状態で形成されている。
そして、各バンク部618の間には、画素電極613に対して上方に向けて次第に拡開した開口部619が形成されている。
【0096】
上記機能層617は、開口部619内において画素電極613上に積層状態で形成された正孔注入/輸送層617aと、この正孔注入/輸送層617a上に形成された発光層617bとにより構成されている。なお、この発光層617bに隣接してその他の機能を有する他の機能層をさらに形成しても良い。例えば、電子輸送層を形成することも可能である。
正孔注入/輸送層617aは、画素電極613側から正孔を輸送して発光層617bに注入する機能を有する。この正孔注入/輸送層617aは、正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物(機能液)を吐出することで形成される。正孔注入/輸送層形成材料としては、公知の材料を用いる。
【0097】
発光層617bは、赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)のいずれかに発光するもので、発光層形成材料(発光材料)を含む第2組成物(機能液)を吐出することで形成される。第2組成物の溶媒(非極性溶媒)としては、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な公知の材料を用いることが好ましく、このような非極性溶媒を発光層617bの第2組成物に用いることにより、正孔注入/輸送層617aを再溶解させることなく発光層617bを形成することができる。
【0098】
そして、発光層617bでは、正孔注入/輸送層617aから注入された正孔と、陰極604から注入される電子が発光層で再結合して発光するように構成されている。
【0099】
陰極604は、発光素子部603の全面を覆う状態で形成されており、画素電極613と対になって機能層617に電流を流す役割を果たす。なお、この陰極604の上部には図示しない封止部材が配置される。
【0100】
次に、上記の表示装置600の製造工程を図14〜図22を参照して説明する。
この表示装置600は、図14に示すように、バンク部形成工程(S111)、表面処理工程(S112)、正孔注入/輸送層形成工程(S113)、発光層形成工程(S114)、および対向電極形成工程(S115)を経て製造される。なお、製造工程は例示するものに限られるものではなく必要に応じてその他の工程が除かれる場合、また追加される場合もある。
【0101】
まず、バンク部形成工程(S111)では、図15に示すように、第2層間絶縁膜611b上に無機物バンク層618aを形成する。この無機物バンク層618aは、形成位置に無機物膜を形成した後、この無機物膜をフォトリソグラフィ技術等によりパターニングすることにより形成される。このとき、無機物バンク層618aの一部は画素電極613の周縁部と重なるように形成される。
無機物バンク層618aを形成したならば、図16に示すように、無機物バンク層618a上に有機物バンク層618bを形成する。この有機物バンク層618bも無機物バンク層618aと同様にフォトリソグラフィ技術等によりパターニングして形成される。
このようにしてバンク部618が形成される。また、これに伴い、各バンク部618間には、画素電極613に対して上方に開口した開口部619が形成される。この開口部619は、画素領域を規定する。
【0102】
表面処理工程(S112)では、親液化処理および撥液化処理が行われる。親液化処理を施す領域は、無機物バンク層618aの第1積層部618aaおよび画素電極613の電極面613aであり、これらの領域は、例えば酸素を処理ガスとするプラズマ処理によって親液性に表面処理される。このプラズマ処理は、画素電極613であるITOの洗浄等も兼ねている。
また、撥液化処理は、有機物バンク層618bの壁面618sおよび有機物バンク層618bの上面618tに施され、例えば四フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理によって表面がフッ化処理(撥液性に処理)される。
この表面処理工程を行うことにより、機能液滴吐出ヘッド17を用いて機能層617を形成する際に、機能液滴を画素領域に、より確実に着弾させることができ、また、画素領域に着弾した機能液滴が開口部619から溢れ出るのを防止することが可能となる。
【0103】
そして、以上の工程を経ることにより、表示装置基体600Aが得られる。この表示装置基体600Aは、図1に示した液滴吐出装置1のセットテーブル21に載置され、以下の正孔注入/輸送層形成工程(S113)および発光層形成工程(S114)が行われる。
【0104】
図17に示すように、正孔注入/輸送層形成工程(S113)では、機能液滴吐出ヘッド17から正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物を画素領域である各開口部619内に吐出する。その後、図18に示すように、乾燥処理および熱処理を行い、第1組成物に含まれる極性溶媒を蒸発させ、画素電極(電極面613a)613上に正孔注入/輸送層617aを形成する。
【0105】
次に発光層形成工程(S114)について説明する。この発光層形成工程では、上述したように、正孔注入/輸送層617aの再溶解を防止するために、発光層形成の際に用いる第2組成物の溶媒として、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な非極性溶媒を用いる。
しかしその一方で、正孔注入/輸送層617aは、非極性溶媒に対する親和性が低いため、非極性溶媒を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617a上に吐出しても、正孔注入/輸送層617aと発光層617bとを密着させることができなくなるか、あるいは発光層617bを均一に塗布できない虞がある。
そこで、非極性溶媒並びに発光層形成材料に対する正孔注入/輸送層617aの表面の親和性を高めるために、発光層形成の前に表面処理(表面改質処理)を行うことが好ましい。この表面処理は、発光層形成の際に用いる第2組成物の非極性溶媒と同一溶媒またはこれに類する溶媒である表面改質材を、正孔注入/輸送層617a上に塗布し、これを乾燥させることにより行う。
このような処理を施すことで、正孔注入/輸送層617aの表面が非極性溶媒になじみやすくなり、この後の工程で、発光層形成材料を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617aに均一に塗布することができる。
【0106】
そして次に、図19に示すように、各色のうちのいずれか(図19の例では青色(B))に対応する発光層形成材料を含有する第2組成物を機能液滴として画素領域(開口部619)内に所定量打ち込む。画素領域内に打ち込まれた第2組成物は、正孔注入/輸送層617a上に広がって開口部619内に満たされる。なお、万一、第2組成物が画素領域から外れてバンク部618の上面618t上に着弾した場合でも、この上面618tは、上述したように撥液処理が施されているので、第2組成物が開口部619内に転がり込み易くなっている。
【0107】
その後、乾燥工程等を行うことにより、吐出後の第2組成物を乾燥処理し、第2組成物に含まれる非極性溶媒を蒸発させ、図20に示すように、正孔注入/輸送層617a上に発光層617bが形成される。この図の場合、青色(B)に対応する発光層617bが形成されている。
【0108】
同様に、機能液滴吐出ヘッド17を用い、図21に示すように、上記した青色(B)に対応する発光層617bの場合と同様の工程を順次行い、他の色(赤色(R)および緑色(G))に対応する発光層617bを形成する。なお、発光層617bの形成順序は、例示した順序に限られるものではなく、どのような順番で形成しても良い。例えば、発光層形成材料に応じて形成する順番を決めることも可能である。また、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライプ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0109】
以上のようにして、画素電極613上に機能層617、即ち、正孔注入/輸送層617aおよび発光層617bが形成される。そして、対向電極形成工程(S115)に移行する。
【0110】
対向電極形成工程(S115)では、図22に示すように、発光層617bおよび有機物バンク層618bの全面に陰極604(対向電極)を、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等によって形成する。この陰極604は、本実施形態においては、例えば、カルシウム層とアルミニウム層とが積層されて構成されている。
この陰極604の上部には、電極としてのAl膜、Ag膜や、その酸化防止のためのSiO2、SiN等の保護層が適宜設けられる。
【0111】
このようにして陰極604を形成した後、この陰極604の上部を封止部材により封止する封止処理や配線処理等のその他処理等を施すことにより、表示装置600が得られる。
【0112】
次に、図23は、プラズマ型表示装置(PDP装置:以下、単に表示装置700と称する)の要部分解斜視図である。なお、同図では表示装置700を、その一部を切り欠いた状態で示してある。
この表示装置700は、互いに対向して配置された第1基板701、第2基板702、およびこれらの間に形成される放電表示部703を含んで概略構成される。放電表示部703は、複数の放電室705により構成されている。これらの複数の放電室705のうち、赤色放電室705R、緑色放電室705G、青色放電室705Bの3つの放電室705が組になって1つの画素を構成するように配置されている。
【0113】
第1基板701の上面には所定の間隔で縞状にアドレス電極706が形成され、このアドレス電極706と第1基板701の上面とを覆うように誘電体層707が形成されている。誘電体層707上には、各アドレス電極706の間に位置し、且つ各アドレス電極706に沿うように隔壁708が立設されている。この隔壁708は、図示するようにアドレス電極706の幅方向両側に延在するものと、アドレス電極706と直交する方向に延設された図示しないものを含む。
そして、この隔壁708によって仕切られた領域が放電室705となっている。
【0114】
放電室705内には蛍光体709が配置されている。蛍光体709は、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の蛍光を発光するもので、赤色放電室705Rの底部には赤色蛍光体709Rが、緑色放電室705Gの底部には緑色蛍光体709Gが、青色放電室705Bの底部には青色蛍光体709Bが各々配置されている。
【0115】
第2基板702の図中下側の面には、上記アドレス電極706と直交する方向に複数の表示電極711が所定の間隔で縞状に形成されている。そして、これらを覆うように誘電体層712、およびMgOなどからなる保護膜713が形成されている。
第1基板701と第2基板702とは、アドレス電極706と表示電極711が互いに直交する状態で対向させて貼り合わされている。なお、上記アドレス電極706と表示電極711は図示しない交流電源に接続されている。
そして、各電極706,711に通電することにより、放電表示部703において蛍光体709が励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0116】
本実施形態においては、上記アドレス電極706、表示電極711、および蛍光体709を、図1に示した液滴吐出装置1を用いて形成することができる。以下、第1基板701におけるアドレス電極706の形成工程を例示する。
この場合、第1基板701を液滴吐出装置1のセットテーブル21に載置された状態で以下の工程が行われる。
まず、機能液滴吐出ヘッド17により、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴としてアドレス電極形成領域に着弾させる。この液体材料は、導電膜配線形成用材料として、金属等の導電性微粒子を分散媒に分散したものである。この導電性微粒子としては、金、銀、銅、パラジウム、またはニッケル等を含有する金属微粒子や、導電性ポリマー等が用いられる。
【0117】
補充対象となるすべてのアドレス電極形成領域について液体材料の補充が終了したならば、吐出後の液体材料を乾燥処理し、液体材料に含まれる分散媒を蒸発させることによりアドレス電極706が形成される。
【0118】
ところで、上記においてはアドレス電極706の形成を例示したが、上記表示電極711および蛍光体709についても上記各工程を経ることにより形成することができる。
表示電極711の形成の場合、アドレス電極706の場合と同様に、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴として表示電極形成領域に着弾させる。
また、蛍光体709の形成の場合には、各色(R,G,B)に対応する蛍光材料を含んだ液体材料(機能液)を機能液滴吐出ヘッド17から液滴として吐出し、対応する色の放電室705内に着弾させる。
【0119】
次に、図24は、電子放出装置(FED装置あるいはSED装置ともいう:以下、単に表示装置800と称する)の要部断面図である。なお、同図では表示装置800を、その一部を断面として示してある。
この表示装置800は、互いに対向して配置された第1基板801、第2基板802、およびこれらの間に形成される電界放出表示部803を含んで概略構成される。電界放出表示部803は、マトリクス状に配置した複数の電子放出部805により構成されている。
【0120】
第1基板801の上面には、カソード電極806を構成する第1素子電極806aおよび第2素子電極806bが相互に直交するように形成されている。また、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bで仕切られた部分には、ギャップ808を形成した導電性膜807が形成されている。すなわち、第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807により複数の電子放出部805が構成されている。導電性膜807は、例えば酸化パラジウム(PdO)等で構成され、またギャップ808は、導電性膜807を成膜した後、フォーミング等で形成される。
【0121】
第2基板802の下面には、カソード電極806に対峙するアノード電極809が形成されている。アノード電極809の下面には、格子状のバンク部811が形成され、このバンク部811で囲まれた下向きの各開口部812に、電子放出部805に対応するように蛍光体813が配置されている。蛍光体813は、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の蛍光を発光するもので、各開口部812には、赤色蛍光体813R、緑色蛍光体813Gおよび青色蛍光体813Bが、上記した所定のパターンで配置されている。
【0122】
そして、このように構成した第1基板801と第2基板802とは、微小な間隙を存して貼り合わされている。この表示装置800では、導電性膜(ギャップ808)807を介して、陰極である第1素子電極806aまたは第2素子電極806bから飛び出す電子を、陽極であるアノード電極809に形成した蛍光体813に当てて励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0123】
この場合も、他の実施形態と同様に、第1素子電極806a、第2素子電極806b、導電性膜807およびアノード電極809を、液滴吐出装置1を用いて形成することができると共に、各色の蛍光体813R,813G,813Bを、液滴吐出装置1を用いて形成することができる。
【0124】
第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807は、図25(a)に示す平面形状を有しており、これらを成膜する場合には、図25(b)に示すように、予め第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807を作り込む部分を残して、バンク部BBを形成(フォトリソグラフィ法)する。次に、バンク部BBにより構成された溝部分に、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bを形成(液滴吐出装置1によるインクジェット法)し、その溶剤を乾燥させて成膜を行った後、導電性膜807を形成(液滴吐出装置1によるインクジェット法)する。そして、導電性膜807を成膜後、バンク部BBを取り除き(アッシング剥離処理)、上記のフォーミング処理に移行する。なお、上記の有機EL装置の場合と同様に、第1基板801および第2基板802に対する親液化処理や、バンク部811,BBに対する撥液化処理を行うことが、好ましい。
【0125】
また、他の電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等の装置が考えられる。上記した液滴吐出装置1を各種の電気光学装置(デバイス)の製造に用いることにより、各種の電気光学装置を効率的に製造することが可能である。
【符号の説明】
【0126】
1:液滴吐出装置、 13:ヘッドユニット、 17:機能液滴吐出ヘッド、 53:キャリッジプレート、 54:ヘッド群、 98:吐出ノズル、 99:ノズル列、 W:ワーク。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の液滴吐出ヘッドを、共通のキャリッジプレートに配置固定する液滴吐出ヘッドの配置方法、ヘッドユニットおよび液滴吐出装置、並びに、電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の液滴吐出ヘッドの配置方法として、複数の液滴吐出ヘッドを、数個ずつ主走査方向に階段状に並べ、かつ副走査方向に2群に分けて配置固定する方法が知られている(特許文献1参照)。この配置方法では、複数の液滴吐出ヘッドにおける全ノズル列により1の描画ラインを構成すると共に、複数の液滴吐出ヘッドをスペース効率良く配置できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−238821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような配置方法により作成されたヘッドユニットにて描画処理を行うと、別々の液滴吐出ヘッドの最外端の吐出ノズルから吐出された機能液滴が隣接して描画されることがある。すなわち、1の液滴吐出ヘッドの最外端に配設された吐出ノズルにより吐出着弾された機能液滴と、別の液滴吐出ヘッドの最外端に配設された吐出ノズルにより吐出着弾された機能液滴とが、隣接して描画される。しかしながら、配置固定する各液滴吐出ヘッドは、製造上の誤差から特に各吐出ノズルにおける液滴吐出量に差が生じてしまうことがある。そのため、上記の配置方法に基づいて複数の液滴吐出ヘッドを単純に配置すると、異なる液滴吐出ヘッドから吐出された、隣接する機能液滴の量に差が生じてしまい、色むら等の理由で良質な描画処理を行うことができないという問題があった。
【0005】
本発明は、液滴吐出ヘッド毎に異なる液滴吐出特性を許容しつつ、複数の液滴吐出ヘッドによる描画品質を向上させることができる液滴吐出ヘッドの配置方法、ヘッドユニットおよび液滴吐出装置、並びに、電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液滴吐出ヘッドの配置方法は、インクジェット方式の液滴吐出ヘッドが個々に有するノズル列の多数の吐出ノズルにおける個別の液滴吐出量に基づいて、共通の機能液を吐出する複数の液滴吐出ヘッドを、ノズル列方向に位置ずれさせて共通のキャリッジプレートに配置固定する液滴吐出ヘッドの配置方法であって、ノズル列方向に隣接する液滴吐出ヘッド同士において、相互の最内端に位置する2つの吐出ノズルの液滴吐出量の差が所定の許容差範囲に納まるように、且つキャリッジプレートにおけるノズル列方向の両最外端に位置する2つの吐出ノズルの液滴吐出量が、それぞれ所定の基準量範囲に納まるように、複数の液滴吐出ヘッドを配置固定することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、ノズル列方向に隣接する液滴吐出ヘッド同士の相互の最内端に位置する2つの吐出ノズルが所定の許容差範囲に納まるよう、各液滴吐出ヘッドを配置固定することにより、共通のキャリッジプレートに配置固定する液滴吐出ヘッド間で、異なる液滴吐出ヘッドから吐出着弾された隣接する機能液滴における着弾量の差を抑えることができる。また、キャリッジプレートにおけるノズル列方向の両最外端に位置する2つの吐出ノズルにおいて、液滴吐出量がそれぞれ所定の基準量範囲に納まるよう、各液滴吐出ヘッドを配置固定することにより、別のキャリッジプレートに配置固定された液滴吐出ヘッド間で、異なる液滴吐出ヘッドから吐出着弾された隣接する機能液滴における着弾量の差を抑えることができる。そのため、液滴吐出ヘッド毎に異なる液滴吐出特性を許容しつつ、複数の液滴吐出ヘッドによる描画品質を向上させることができる。
【0008】
この場合、キャリッジプレートに配置される複数の液滴吐出ヘッドは、当該液滴吐出ヘッドの数を越える数の配置候補となる候補液滴吐出ヘッドの中から選出されることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、候補液滴吐出ヘッドを、配置する液滴吐出ヘッドの数を越えた数用意することにより、上記の条件(許容差範囲および基準量範囲)を満たす可能性が高くなり、且つ条件を満たす組(パターン)が多くなる。これにより、液滴吐出ヘッドの歩留りを向上させつつ、容易に且つ確実に上記条件の配置固定を行うことができる。
【0010】
この場合、複数の候補液滴吐出ヘッドは、全吐出ノズルにおける個別の液滴吐出量のばらつきが所定の範囲内のものであることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、候補液滴吐出ヘッドとして、全吐出ノズルにおける個別の液滴吐出量のばらつきが所定の範囲外であるものを除外することにより、適性配置を容易に行うことができる。
【0012】
複数の液滴吐出ヘッドは、ノズル列方向において2つのヘッド群に区分けされてキャリッジプレートに配置され、2つのヘッド群に属する複数の液滴吐出ヘッドは、ノズル列方向において相互に対向位置されることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、複数の液滴吐出ヘッドをキャリッジプレート上で効率良く配置することができると共に、描画処理を効率良く行うことができる。
【0014】
この場合、機能液は、R色、G色およびB色いずれかの色彩を有するものであり、所定の許容差範囲は、2つの吐出ノズルによる吐出着弾結果が隣接している場合に、相互の色むらが発生しない液滴吐出量の差に基づいて定められていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、上記の最内端に位置する2つの吐出ノズルから吐出された隣接する吐出着弾結果(機能液滴)において、相互に色むらのない、より良質な描画処理を行うことができる。
【0016】
この場合、機能液は、R色、G色およびB色いずれかの色彩を有するものであり、所定の基準量範囲は、1の吐出ノズルにおける標準化された液滴吐出量を中間値とする範囲であって、隣接する吐出着弾結果に相互の色むらが発生しない液滴吐出量の範囲に基づいて定められていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、上記の最外端に位置する2つの吐出ノズルにおいて、所定の基準量範囲が、1の吐出ノズルにおける標準化された液滴吐出量を中間値とする範囲であることにより、標準化された液滴吐出量に近似する値になるため、液滴吐出量のばらつきを抑制することができる。また、所定の基準量範囲が、隣接する吐出着弾結果に相互の色むらが発生しない液滴吐出量の範囲に基づいて定められていることにより、色むらのない、より良質な描画処理を行うことができる。
【0018】
この場合、所定の基準量範囲に納まる選択肢が複数組ある場合に、基準量範囲の中間値と各組の2つの上記吐出ノズルの液滴吐出量との差の二乗和が、最小値となる選択肢を選択することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、基準量範囲の中間値と各組の2つの上記吐出ノズルの液滴吐出量との差の二乗和が最小となる組を選択することにより、2つの上記吐出ノズルの液滴吐出量の差を更に抑えることができ、より良質な描画処理を行うことができる。
【0020】
この場合、液滴吐出量は、各ノズル列における平均の液滴吐出量が絶対目標の液滴吐出量であることを前提とし、絶対目標の液滴吐出量を1として正規化された数値で比較されることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、絶対目標との液滴吐出量の比較を容易に行うことができる。
【0022】
この場合、各ノズル列の多数の吐出ノズルにおける個別の液滴吐出量は、測定結果に基づく近似特性線図から求めたものであることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、各ノズル列における多数の吐出ノズルの個別の液滴吐出量を、いくつかの吐出ノズルの測定結果に基づく近似特性線図から求めることにより、全ての吐出ノズルを測定する必要がなく、全吐出ノズルの液滴吐出量を効率良く取得することができる。
【0024】
近似特性線図は、多数の吐出ノズルの両端部の複数の吐出ノズルを全て測定すると共に、残余の中間部の複数の吐出ノズルを間引いて測定した結果から導かれることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、多数の吐出ノズルの両端部の複数の吐出ノズルに対して、厳密な値を取得することができる。そのため、基準許容範囲もしくは許容差範囲との比較を精度良く行うことができる。
【0026】
この場合、許容差範囲に納まるか否かの比較対象となる液滴吐出量は、多数の吐出ノズルの端部の複数の吐出ノズルにおける液滴吐出量の平均値であることが好ましい。
【0027】
この場合、基準量範囲に納まるか否かの比較対象となる液滴吐出量は、多数の吐出ノズルの端部の複数の吐出ノズルにおける液滴吐出量の平均値であることが好ましい。
【0028】
これらの構成によれば、1つの吐出ノズルにおける液滴吐出量のバラツキを軽減することができ、より正確に許容差範囲(基準量範囲)に納まるか否かの比較を行うことができる。
【0029】
この場合、各液滴吐出ヘッドは、それぞれのノズル列における多数の吐出ノズルの両外側に、描画に使用しない複数の無効吐出ノズルを有していることが好ましい。
【0030】
この構成によれば、構造上、中央部に位置する吐出ノズルより吐出量が多い、両端部の複数の吐出ノズルを、描画に使用しない無効吐出ノズルとすることにより、ノズル列上での吐出量のばらつきを抑制することができ、より良質な描画処理を行うことができる。
【0031】
本発明のヘッドユニットは、上記の液滴吐出ヘッドの配置方法により、キャリッジプレートに複数の液滴吐出ヘッドが配置固定されていることを特徴とする。
【0032】
この構成によれば、液滴吐出ヘッド毎に異なる液滴吐出特性を許容しつつ、複数の液滴吐出ヘッドによる描画品質を向上させることができる液滴吐出ヘッドの配置方法を使用することにより、良質な描画処理が可能なヘッドユニットを提供することができる。
【0033】
本発明の液滴吐出装置は、上記のヘッドユニットを搭載し、当該ヘッドユニットにより、ワークに対し機能液を吐出して描画を行なうことを特徴とする。
【0034】
この構成によれば、上記のヘッドユニットを使用することにより、ワークに対し、良質な描画処理を行うことができる。
【0035】
本発明の電気光学装置の製造方法は、上記した液滴吐出装置を用い、ワーク上に機能液滴による成膜部を形成することを特徴とする。
【0036】
本発明の電気光学装置は、上記した液滴吐出装置を用い、ワーク上に機能液滴による成膜部を形成したことを特徴とする。
【0037】
この構成によれば、高品質の電気光学装置を効率良く製造することができる。なお、機能材料としては、有機EL装置の発光材料(Electro-Luminescence発光層・正孔注入層)は元より、液晶表示装置に用いるカラーフィルタのフィルタ材料(フィルタエレメント)、電子放出装置(Field Emission Display, FED)の蛍光材料(蛍光体)、PDP(plasma Display Panel)装置の蛍光材料(蛍光体)、電気泳動表示装置の泳動体材料(泳動体)等であって、機能液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)により吐出可能な液体材料を言う。また、電気光学装置(Flat Panel Display, FPD)としては、有機EL装置、液晶表示装置、電子放出装置、PDP装置、電気泳動表示装置等がある。
【0038】
本発明の電子機器は、上記した電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置または上記した電気光学装置を搭載したことを特徴とする。
【0039】
この場合、電子機器としては、いわゆるフラットパネルディスプレイを搭載した携帯電話、パーソナルコンピュータのほか、各種の電気製品がこれに該当する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施形態に係る液滴吐出装置の平面図である。
【図2】液滴吐出装置の側面図である。
【図3】ヘッドユニットに搭載された機能液滴吐出ヘッドの配置構成を示した図である。
【図4】カラーフィルタの配色パターンの説明図であり、(a)は、ストライプ配列、(b)は、モザイク配列、(c)は、デルタ配列を示している。
【図5】機能液滴吐出ヘッドの外観斜視図である。
【図6】近似特性線図を示した図である。
【図7】キャリッジプレートに対する機能液滴吐出ヘッドの配置方法について示した説明図である。
【図8】カラーフィルタ製造工程を説明するフローチャートである。
【図9】(a)〜(e)は、製造工程順に示したカラーフィルタの模式断面図である。
【図10】本発明を適用したカラーフィルタを用いた液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図11】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第2の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図12】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第3の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図13】有機EL装置である表示装置の要部断面図である。
【図14】有機EL装置である表示装置の製造工程を説明するフローチャートである。
【図15】無機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図16】有機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図17】正孔注入/輸送層を形成する過程を説明する工程図である。
【図18】正孔注入/輸送層が形成された状態を説明する工程図である。
【図19】青色の発光層を形成する過程を説明する工程図である。
【図20】青色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図21】各色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図22】陰極の形成を説明する工程図である。
【図23】プラズマ型表示装置(PDP装置)である表示装置の要部分解斜視図である。
【図24】電子放出装置(FED装置)である表示装置の要部断面図である。
【図25】表示装置の電子放出部廻りの平面図(a)およびその形成方法を示す平面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係る液滴吐出ヘッドの配置方法を適用した液滴吐出装置について説明する。本実施形態に係る液滴吐出装置は、フラットパネルディスプレイの製造ラインに組み込まれており、例えば、特殊なインクや発光性の樹脂液である機能液を導入した機能液滴吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)を用い、液晶表示装置のカラーフィルタや有機EL装置の各画素となる発光素子等を形成するものである。
【0042】
図1および図2に示すように、液滴吐出装置1は、石定盤に支持されたX軸支持ベース2上に配設され、主走査方向となるX軸方向に延在して、ワークWをX軸方向(主走査方向)に移動させるX軸テーブル11と、複数本の支柱4を介してX軸テーブル11を跨ぐように架け渡された1対(2つ)のY軸支持ベース3上に配設され、副走査方向となるY軸方向に延在するY軸テーブル12と、複数の機能液滴吐出ヘッド17が搭載された10個のキャリッジユニット51とから成り、10個のキャリッジユニット51は、Y軸テーブル12に吊設されている。そして、X軸テーブル11およびY軸テーブル12の駆動と同期して機能液滴吐出ヘッド17を吐出駆動させることにより、R・G・B3色の機能液滴を吐出させ、ワークWに所定の描画パターンが描画される。
【0043】
また、液滴吐出装置1は、フラッシングユニット14、吸引ユニット15、ワイピングユニット16、吐出性能検査ユニット18から成るメンテナンス装置5を備えており、これらユニットを機能液滴吐出ヘッド17の保守に供して、機能液滴吐出ヘッド17の機能維持・機能回復を図るようになっている。なお、メンテナンス装置5を構成する各ユニットのうち、フラッシングユニット14および吐出性能検査ユニット18は、X軸テーブル11に搭載され、吸引ユニット15およびワイピングユニット16は、X軸テーブル11から外れ、かつY軸テーブル12によりキャリッジユニット51が移動可能である位置に配設された架台6上に配設されている(厳密には、吐出性能検査ユニット18は、後述するステージユニット77がX軸テーブル11に搭載され、カメラユニット78がY軸支持ベース3に支持されている。)。
【0044】
フラッシングユニット14は、一対の描画前フラッシングユニット111,111と、定期フラッシングユニット112とを有し、機能液滴吐出ヘッド17の吐出直前や、ワークWの載換え時等の描画処理休止時に行われる、機能液滴吐出ヘッド17の捨て吐出(フラッシング)を受けるためのものである。吸引ユニット15は、複数の分割吸引ユニット141を有し、各機能液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル98から機能液を強制的に吸引するものである。ワイピングユニット16は、ワイピングシート151を有し、吸引後の機能液滴吐出ヘッド17のノズル面97を拭取るものである。吐出性能検査ユニット18は、機能液滴吐出ヘッド17から吐出された機能液滴を受ける検査シート83を搭載したステージユニット77と、ステージユニット77上の機能液滴を画像認識により検査するカメラユニット78を有し、機能液滴吐出ヘッド17の吐出性能(吐出の有無および飛行曲り)を検査するものである。
【0045】
以下、液滴吐出装置1の構成要素について説明する。図1または図2に示すように、X軸テーブル11は、ワークWをセットするセットテーブル21と、セットテーブル21をX軸方向にスライド自在に支持するX軸第1スライダ22と、上記のフラッシングユニット14および吐出性能検査ユニット18をX軸方向にスライド自在に支持するX軸第2スライダ23と、X軸方向に延在し、X軸第1スライダ22を介してセットテーブル21(ワークW)をX軸方向に移動させると共に、X軸第2スライダ23を介してフラッシングユニット14およびステージユニット77をX軸方向に移動させる左右一対のX軸リニアモータ(図示省略)と、X軸リニアモータに並設され、X軸第1スライダ22およびX軸第2スライダ23の移動を案内する一対(2本)のX軸共通支持ベース24と、を備えている。
【0046】
セットテーブル21は、ワークWを吸着セットする吸着テーブル31と、吸着テーブル31を支持し、吸着テーブル31にセットしたワークWの位置をθ軸方向に補正するためのθテーブル32等を有している。また、セットテーブル21のY軸方向と平行な一対の辺には、それぞれ上記の描画前フラッシングユニット111が添設されている。
【0047】
Y軸テーブル12は、10個の各キャリッジユニット51をそれぞれ吊設した10個のブリッジプレート52と、10個のブリッジプレート52を両持ちで支持する10組のY軸スライダ(図示省略)と、上記した一対のY軸支持ベース3上に設置され、10組のY軸スライダを介してブリッジプレート52をY軸方向に移動させる一対のY軸リニアモータ(図示省略)と、を備えている。また、Y軸テーブル12は、各キャリッジユニット51を介して描画時に機能液滴吐出ヘッド17を副走査するほか、機能液滴吐出ヘッド17をメンテナンス装置5に臨ませる。
【0048】
一対のY軸リニアモータを(同期して)駆動すると、各Y軸スライダが一対のY軸支持ベース3を案内にして同時にY軸方向を平行移動する。これにより、ブリッジプレート52がY軸方向を移動し、これと共にキャリッジユニット51がY軸方向に移動する。なお、この場合、Y軸リニアモータの駆動を制御することにより、各キャリッジユニット51を独立させて個別に移動させることも可能であるし、10個のキャリッジユニット51を一体として移動させることも可能である。
【0049】
各キャリッジユニット51は、複数の機能液滴吐出ヘッド17を有するヘッドユニット13と、ヘッドユニット13をθ補正(θ回転)可能に支持するθ回転機構61と、θ回転機構61を介して、ヘッドユニット13をY軸テーブル12(各ブリッジプレート52)に支持させる吊設部材62と、を備えている。
【0050】
図3に示すように、ヘッドユニット13は、12個の機能液滴吐出ヘッド17と、12個の機能液滴吐出ヘッド17が配置固定されたキャリッジプレート53と、を備えている。12個の機能液滴吐出ヘッド17は、Y軸方向に2群に分かれ、6個ずつX軸方向に階段状に並んでヘッド群54を構成している。各ヘッド群54に属する6個の機能液滴吐出ヘッド17は、ノズル列98b方向において相互に対抗配置されており(図7参照)、複数の機能液滴吐出ヘッド17をキャリッジプレート53上で効率良く配置することができると共に、描画処理を効率良く行うことができるように構成されている。また、各ヘッド群54の各色2つの機能液滴吐出ヘッド17は、X軸方向において連設し、1の描画ラインを構成する。
【0051】
ヘッドユニット13に搭載された12×10個の機能液滴吐出ヘッド17は、R・G・B3色の機能液のいずれかに対応しており、各色4個の機能液滴吐出ヘッド17(各ヘッド群54で各色2個ずつ)により、ワークWに3色の機能液から成る描画パターンを描画できるようになっている。本実施形態のものでは、全機能液滴吐出ヘッド17(12×10個)の2回の副走査により、Y軸方向に連続するRGB3色の描画ラインがそれぞれ形成される。この描画ラインの長さは、セットテーブル21に搭載可能な最大サイズのワークWの幅に対応している。なお、3色の機能液から成る描画パターンには、図4に示すように3種類のパターンがあり、本実施形態では、図4(a)の描画パターン(ビットアップデータ)により描画が行われる。
【0052】
図5に示すように、機能液滴吐出ヘッド17は、いわゆる2連のものであり、2連の接続針92を有する機能液導入部91と、機能液導入部91に連なる2連のヘッド基板93と、機能液導入部91の下方に連なり、内部に機能液で満たされるヘッド内流路が形成されたヘッド本体94と、を備えている。接続針92は、図外の機能液タンクに接続され、機能液導入部91に機能液を供給する。ヘッド本体94は、キャビティ95(ピエゾ圧電素子)と、多数の吐出ノズル98が開口したノズル面97を有するノズルプレート96と、で構成されている。機能液滴吐出ヘッド17を吐出駆動すると、(ピエゾ圧電素子に電圧が印加され)キャビティ95のポンプ作用により、吐出ノズル98から機能液滴が吐出される。
【0053】
なお、ノズル面97には、多数の吐出ノズル98からなる第1ノズル列99aおよび第2ノズル列99bが相互に平行に形成されている。そして、2つのノズル列99a,99b同士は、相互に半ノズルピッチ分位置ずれしている。2つのノズル列99a,99bは、両端部にそれぞれ10個ずつ、描画処理に使用しない無効吐出ノズルを有しており、これにより、ノズル列99a,99b上での液滴吐出量のばらつきを抑制することができ、より良質な描画処理を行うことができる。なお、請求項にいう「ノズル列」は、本実施形態においては第1ノズル列99aおよび第2ノズル列99bを併せたものである。そのため、以下、第1ノズル列99aおよび第2ノズル列99bを併せて、単にノズル列99と表記する。
【0054】
液滴吐出装置1の描画動作は、まず、ワークWをX軸テーブル11により、X軸方向で移動させながら(図1中奥側へ)、第1描画動作(往動パス)を行う。その後、ヘッドユニット13を2ヘッド分Y軸方向に移動(副走査)させて、改めて、ワークWをX軸方向で移動させながら(図1中手前側へ)、第2描画動作(復動パス)を行う。そして、再度ヘッドユニット13を2ヘッド分副走査し、もう一度、ワークWをX軸方向で移動させながら(図1中奥側へ)、第3描画動作(往動パス)を行う。このように、副走査により、ワークW上の位置に対し、対応する機能液滴吐出ヘッド17を変更しつつ、ワークWの移動および描画動作を3度繰り返すことにより、R・G・B3色の描画処理を効率良く行っている。
【0055】
次に、図6または図7を参照して、キャリッジプレート53上における機能液滴吐出ヘッド17の配置方法について詳細に説明する。この機能液滴吐出ヘッド17の配置は、あらかじめ配置候補となる複数の機能液滴吐出ヘッド17(以下、候補吐出ノズルと表記)を用意し、その候補吐出ノズルの液滴吐出特性に基づいて、候補吐出ノズルの中から適切な機能液滴吐出ヘッド17を選出し、配置するものである。そのため、まず、この候補吐出ノズルの選出および候補吐出ノズルの液滴吐出特性取得について説明する。候補吐出ノズルの液滴吐出特性取得は、候補吐出ノズルの選出の際に行う選出前液滴吐出ヘッドの液滴吐出特性取得にて行われるため、ここで、選出前液滴吐出ヘッドの液滴吐出特性取得について説明する。なお、以下の説明において、描画や測定に係らない無効吐出ノズルの存在を無視して説明する。
【0056】
製造された選出前の多数の機能液滴吐出ヘッド17である選出前液滴吐出ヘッドは、それぞれ図外の検査装置により、各吐出ノズル98における吐出量、吐出速度および吐出不良等が取得される。特に各吐出ノズル98の吐出量は、両端部の複数の吐出ノズル98については全て測定し、残余の吐出ノズル98(中間部に位置する複数の吐出ノズル98)については、両端部の吐出ノズル98の測定結果から近似特性線図(図6参照)を用いて求める。このように、各ノズル列99における全ての吐出ノズル98の液滴吐出量を、いくつかの吐出ノズル98の測定結果に基づく近似特性線図から求めることにより、全ての吐出ノズル98を測定する必要がなく、全吐出ノズル98の液滴吐出量を効率良く取得することができる。また、近似特性線図を両端部の吐出ノズル98に基づいて作成することにより、機能液滴吐出ヘッド17の配置固定に用いる両端部の吐出ノズル98に対して、厳密な値を取得することができる。なお、近似特性線図は、6次近似曲線図を用いることが好ましい。また、上記の吐出不良には、否吐出、飛行曲がり、異常吐出等がある。
【0057】
次に、取得された液滴吐出特性に基づいて、多数の選出前液滴吐出ヘッドの中から複数の候補液滴吐出ヘッドを選出する。すなわち、1の選出前液滴吐出ヘッドにおいて、全吐出ノズル98における個別の液滴吐出量のばらつきが所定範囲内であると判断され、且つ、吐出速度や飛行曲がり等の判定により良品であると判断された場合に、当該選出前液滴吐出ヘッドを候補液滴吐出ヘッドとして選出する。このように、判定条件として全吐出ノズル98における個別の液滴吐出量のばらつきが所定範囲内であるという条件を有することにより、適正配置を容易に行うことができる。なお、選出された候補液滴吐出ヘッドは、配置する機能液滴吐出ヘッド17の数を超える数用意する。これにより、機能液滴吐出ヘッド17の配置固定に用いる条件を満たす可能性が高くなり、且つ条件を満たす組(パターン)が多くなる。そのため、機能液滴吐出ヘッド17の歩留りを向上させつつ、容易に且つ確実に条件通りの配置固定を行うことができる。
【0058】
図7に示すように、機能液滴吐出ヘッド17の配置固定は、最内端ノズル条件と最外端ノズル条件の2つの条件を満たすように行われる。なお、これらの条件は、機能液の色ごとに考慮される。そのため、ここでは、R色を例に挙げて説明する。
【0059】
最内端ノズル条件は、キャリッジプレート53上の4個(各色4個であるため)の機能液滴吐出ヘッド17において、ノズル列99方向に相互隣接する機能液滴吐出ヘッド17との間の各最内端の2つの吐出ノズル98に対し、この2つの吐出ノズル98における液滴吐出量の差が、所定の許容差範囲に納まるという条件である。この許容差範囲は、吐出着弾結果(着弾された機能液滴)が隣接している場合に、相互の色むらが発生しない液滴吐出量の差に基づいて設定される。例えば、本実施形態では、液滴吐出量の差が0.65%(標準値1.011plの0.65%)まで許容される。
【0060】
最外端ノズル条件は、キャリッジプレート53上のノズル列99方向で両外端に位置する機能液滴吐出ヘッド17において、それらの両外端に配置された2つの吐出ノズル98、すなわち、右端に配設された機能液滴吐出ヘッド17の右端の吐出ノズル98および左端に配設された機能液滴吐出ヘッド17の左端の吐出ノズル98に対し、2つの吐出ノズル98がそれぞれ所定の基準量範囲に収まるという条件である。この基準量範囲は、1の吐出ノズル98における標準化された液滴吐出量を中間値とする範囲であって、隣接する吐出着弾結果に相互の色むらが発生しない液滴吐出量の範囲に基づいて設定されている。例えば、本実施形態では、1.011pl±0.45%(標準値1.011plの0.45%)である。
【0061】
このように、ノズル列99方向に隣接する機能液滴吐出ヘッド17同士の相互の最内端に位置する2つの吐出ノズル98が所定の許容差範囲に納まるよう、各機能液滴吐出ヘッド17を配置固定することにより、共通のキャリッジプレート53に配置固定する機能液滴吐出ヘッド17間で、異なる機能液滴吐出ヘッド17から吐出着弾された隣接する吐出着弾結果における着弾量の差を抑えることができる。また、キャリッジプレート53におけるノズル列99方向の両最外端に位置する2つの吐出ノズルにおいて、液滴吐出量がそれぞれ所定の基準量範囲に納まるよう、各機能液滴吐出ヘッド17を配置固定することにより、別のキャリッジプレート53に配置固定された機能液滴吐出ヘッド17間で、異なる機能液滴吐出ヘッド17から吐出着弾された隣接する吐出着弾結果(機能液滴)における着弾量の差を抑えることができる。そのため、機能液滴吐出ヘッド17毎に異なる液滴吐出特性を許容しつつ、複数の機能液滴吐出ヘッド17による描画品質を向上させることができる。
【0062】
また、最内端ノズル条件において、許容差範囲が、吐出着弾結果が隣接している場合に、相互の色むらが発生しない液滴吐出量の差に基づいて設定されることにより、上記の最内端に位置する2つの吐出ノズル98から吐出された隣接する吐出着弾結果において、相互に色むらのない、より良質な描画処理を行うことができる。
【0063】
さらに、最外端ノズル条件において、基準量範囲が、1の吐出ノズルにおける標準化された液滴吐出量を中間値とする範囲で定められていることにより、標準化された液滴吐出量に近似する値になるため、液滴吐出量のばらつきを抑制することができると共に、基準量範囲が、隣接する吐出着弾結果に相互の色むらが発生しない液滴吐出量の範囲に基づいて定められていることにより、色むらのない、より良質な描画処理を行うことができる。
【0064】
最外端ノズル条件において、所定の基準量範囲に納まる選択肢が複数組ある場合には、各組の基準量範囲の中間値(標準値)と最外端の2つの吐出ノズル98における液滴吐出量との差の二乗和が、最小値となる選択肢を選択する。これにより、2つの吐出ノズル98の液滴吐出量の差を更に抑えることができ、より良質な描画処理を行うことができる。例えば、中間値が1.011pl、選択肢が2組あり、一方の組の2つの吐出ノズルの液滴吐出量が、1.011+0.5plと1.011−0.1pl、他方の組の2つの吐出ノズルの液滴吐出量が、1.011+0.3plと1.011−0.2plである場合、一方の組の中間値と液滴吐出量との差の二乗和は、(1.011−(1.011+0.5))2+(1.011−(1.011−0.1))2=0.26、他方の組の中間値と液滴吐出量との差の二乗和は、(1.011−(1.011+0.3))2+(1.011−(1.011−0.2))2=0.13である。そのため、この場合、最小値0.13を有する他方の組を選択する。
【0065】
なお、これらの条件に用いる液滴吐出量は、各ノズル列99における平均の液滴吐出量が絶対目標であることを前提とし、この絶対目標の液滴吐出量を1として正規化された数値とすることが好ましい。これにより、絶対目標との液滴吐出量の比較を容易に行うことができる。
【0066】
また、許容差範囲もしくは基準量範囲に納まるか否かの比較対象となる液滴吐出量は、ノズル列99の端部に位置する複数(各10個)の吐出ノズル98の液滴吐出量の平均値とすることが好ましい。すなわち、この平均値を、上記比較に利用する各吐出ノズル98の液滴吐出量とする。これにより、1つの吐出ノズル98における液滴吐出量のばらつきを軽減することができ、より正確に基準量範囲に納まるか否かの比較を行うことができる。さらに、上記の最外端ノズル条件下における選択肢の選択において、両外端に位置する各5個の吐出ノズルと中間値との差の二乗和を、比較対象とすることが好ましい。
【0067】
以上のような構成により、ノズル列99方向に隣接する機能液滴吐出ヘッド17同士の相互の最内端に位置する2つの吐出ノズル98が所定の許容差範囲に納まるよう、各機能液滴吐出ヘッド17を配置固定することにより、共通のキャリッジプレート53に配置固定する機能液滴吐出ヘッド17間で、異なる機能液滴吐出ヘッド17から吐出着弾された隣接する機能液滴における着弾量の差を抑えることができる。また、キャリッジプレート53におけるノズル列99方向の両最外端に位置する2つの吐出ノズル98において、液滴吐出量がそれぞれ所定の基準量範囲に納まるよう、各機能液滴吐出ヘッド17を配置固定することにより、別のキャリッジプレート53に配置固定された機能液滴吐出ヘッド17間で、異なる機能液滴吐出ヘッド17から吐出着弾された隣接する機能液滴における着弾量の差を抑えることができる。そのため、機能液滴吐出ヘッド17毎に異なる液滴吐出特性を許容しつつ、複数の機能液滴吐出ヘッド17による描画品質を向上させることができる。
【0068】
次に、本実施形態の液滴吐出装置1を用いて製造される電気光学装置(フラットパネルディスプレイ)として、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、プラズマディスプレイ(PDP装置)、電子放出装置(FED装置、SED装置)、さらにこれら表示装置に形成されてなるアクティブマトリクス基板等を例に、これらの構造およびその製造方法について説明する。なお、アクティブマトリクス基板とは、薄膜トランジスタ、および薄膜トランジスタに電気的に接続するソース線、データ線が形成された基板をいう。
【0069】
まず、液晶表示装置や有機EL装置等に組み込まれるカラーフィルタの製造方法について説明する。図8は、カラーフィルタの製造工程を示すフローチャート、図9は、製造工程順に示した本実施形態のカラーフィルタ500(フィルタ基体500A)の模式断面図である。
まず、ブラックマトリクス形成工程(S101)では、図9(a)に示すように、基板(W)501上にブラックマトリクス502を形成する。ブラックマトリクス502は、金属クロム、金属クロムと酸化クロムの積層体、または樹脂ブラック等により形成される。金属薄膜からなるブラックマトリクス502を形成するには、スパッタ法や蒸着法等を用いることができる。また、樹脂薄膜からなるブラックマトリクス502を形成する場合には、グラビア印刷法、フォトレジスト法、熱転写法等を用いることができる。
【0070】
続いて、バンク形成工程(S102)において、ブラックマトリクス502上に重畳する状態でバンク503を形成する。即ち、まず図9(b)に示すように、基板501およびブラックマトリクス502を覆うようにネガ型の透明な感光性樹脂からなるレジスト層504を形成する。そして、その上面をマトリクスパターン形状に形成されたマスクフィルム505で被覆した状態で露光処理を行う。
さらに、図9(c)に示すように、レジスト層504の未露光部分をエッチング処理することによりレジスト層504をパターニングして、バンク503を形成する。なお、樹脂ブラックによりブラックマトリクスを形成する場合は、ブラックマトリクスとバンクとを兼用することが可能となる。
このバンク503とその下のブラックマトリクス502は、各画素領域507aを区画する区画壁部507bとなり、後の着色層形成工程において機能液滴吐出ヘッド17により着色層(成膜部)508R、508G、508Bを形成する際に機能液滴の着弾領域を規定する。
【0071】
以上のブラックマトリクス形成工程およびバンク形成工程を経ることにより、上記フィルタ基体500Aが得られる。
なお、本実施形態においては、バンク503の材料として、塗膜表面が疎液(疎水)性となる樹脂材料を用いている。そして、基板(ガラス基板)501の表面が親液(親水)性であるので、後述する着色層形成工程においてバンク503(区画壁部507b)に囲まれた各画素領域507a内への液滴の着弾位置のばらつきを自動補正できる。
【0072】
次に、着色層形成工程(S103)では、図9(d)に示すように、機能液滴吐出ヘッド17によって機能液滴を吐出して区画壁部507bで囲まれた各画素領域507a内に着弾させる。この場合、機能液滴吐出ヘッド17を用いて、R・G・Bの3色の機能液(フィルタ材料)を導入して、機能液滴の吐出を行う。なお、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライプ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0073】
その後、乾燥処理(加熱等の処理)を経て機能液を定着させ、3色の着色層508R、508G、508Bを形成する。着色層508R、508G、508Bを形成したならば、保護膜形成工程(S104)に移り、図9(e)に示すように、基板501、区画壁部507b、および着色層508R、508G、508Bの上面を覆うように保護膜509を形成する。
即ち、基板501の着色層508R、508G、508Bが形成されている面全体に保護膜用塗布液が吐出された後、乾燥処理を経て保護膜509が形成される。
そして、保護膜509を形成した後、カラーフィルタ500は、次工程の透明電極となるITO(Indium Tin Oxide)などの膜付け工程に移行する。
【0074】
図10は、上記のカラーフィルタ500を用いた液晶表示装置の一例としてのパッシブマトリックス型液晶装置(液晶装置)の概略構成を示す要部断面図である。この液晶装置520に、液晶駆動用IC、バックライト、支持体などの付帯要素を装着することによって、最終製品としての透過型液晶表示装置が得られる。なお、カラーフィルタ500は図9に示したものと同一であるので、対応する部位には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0075】
この液晶装置520は、カラーフィルタ500、ガラス基板等からなる対向基板521、および、これらの間に挟持されたSTN(Super Twisted Nematic)液晶組成物からなる液晶層522により概略構成されており、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置している。
なお、図示していないが、対向基板521およびカラーフィルタ500の外面(液晶層522側とは反対側の面)には偏光板がそれぞれ配設され、また対向基板521側に位置する偏光板の外側には、バックライトが配設されている。
【0076】
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層側)には、図10において左右方向に長尺な短冊状の第1電極523が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極523のカラーフィルタ500側とは反対側の面を覆うように第1配向膜524が形成されている。
一方、対向基板521におけるカラーフィルタ500と対向する面には、カラーフィルタ500の第1電極523と直交する方向に長尺な短冊状の第2電極526が所定の間隔で複数形成され、この第2電極526の液晶層522側の面を覆うように第2配向膜527が形成されている。これらの第1電極523および第2電極526は、ITOなどの透明導電材料により形成されている。
【0077】
液晶層522内に設けられたスペーサ528は、液晶層522の厚さ(セルギャップ)を一定に保持するための部材である。また、シール材529は液晶層522内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するための部材である。なお、第1電極523の一端部は引き回し配線523aとしてシール材529の外側まで延在している。
そして、第1電極523と第2電極526とが交差する部分が画素であり、この画素となる部分に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
【0078】
通常の製造工程では、カラーフィルタ500に、第1電極523のパターニングおよび第1配向膜524の塗布を行ってカラーフィルタ500側の部分を作成すると共に、これとは別に対向基板521に、第2電極526のパターニングおよび第2配向膜527の塗布を行って対向基板521側の部分を作成する。その後、対向基板521側の部分にスペーサ528およびシール材529を作り込み、この状態でカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる。次いで、シール材529の注入口から液晶層522を構成する液晶を注入し、注入口を閉止する。その後、両偏光板およびバックライトを積層する。
【0079】
実施形態の液滴吐出装置1は、例えば上記のセルギャップを構成するスペーサ材料(機能液)を塗布すると共に、対向基板521側の部分にカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる前に、シール材529で囲んだ領域に液晶(機能液)を均一に塗布することが可能である。また、上記のシール材529の印刷を、機能液滴吐出ヘッド17で行うことも可能である。さらに、第1・第2両配向膜524,527の塗布を機能液滴吐出ヘッド17で行うことも可能である。
【0080】
図11は、本実施形態において製造したカラーフィルタ500を用いた液晶装置の第2の例の概略構成を示す要部断面図である。
この液晶装置530が上記液晶装置520と大きく異なる点は、カラーフィルタ500を図中下側(観測者側とは反対側)に配置した点である。
この液晶装置530は、カラーフィルタ500とガラス基板等からなる対向基板531との間にSTN液晶からなる液晶層532が挟持されて概略構成されている。なお、図示していないが、対向基板531およびカラーフィルタ500の外面には偏光板等がそれぞれ配設されている。
【0081】
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層532側)には、図中奥行き方向に長尺な短冊状の第1電極533が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極533の液晶層532側の面を覆うように第1配向膜534が形成されている。
対向基板531のカラーフィルタ500と対向する面上には、カラーフィルタ500側の第1電極533と直交する方向に延在する複数の短冊状の第2電極536が所定の間隔で形成され、この第2電極536の液晶層532側の面を覆うように第2配向膜537が形成されている。
【0082】
液晶層532には、この液晶層532の厚さを一定に保持するためのスペーサ538と、液晶層532内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するためのシール材539が設けられている。
そして、上記した液晶装置520と同様に、第1電極533と第2電極536との交差する部分が画素であり、この画素となる部位に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
【0083】
図12は、本発明を適用したカラーフィルタ500を用いて液晶装置を構成した第3の例を示したもので、透過型のTFT(Thin Film Transistor)型液晶装置の概略構成を示す分解斜視図である。
この液晶装置550は、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置したものである。
【0084】
この液晶装置550は、カラーフィルタ500と、これに対向するように配置された対向基板551と、これらの間に挟持された図示しない液晶層と、カラーフィルタ500の上面側(観測者側)に配置された偏光板555と、対向基板551の下面側に配設された偏光板(図示せず)とにより概略構成されている。
カラーフィルタ500の保護膜509の表面(対向基板551側の面)には液晶駆動用の電極556が形成されている。この電極556は、ITO等の透明導電材料からなり、後述の画素電極560が形成される領域全体を覆う全面電極となっている。また、この電極556の画素電極560とは反対側の面を覆った状態で配向膜557が設けられている。
【0085】
対向基板551のカラーフィルタ500と対向する面には絶縁層558が形成されており、この絶縁層558上には、走査線561および信号線562が互いに直交する状態で形成されている。そして、これらの走査線561と信号線562とに囲まれた領域内には画素電極560が形成されている。なお、実際の液晶装置では、画素電極560上に配向膜が設けられるが、図示を省略している。
【0086】
また、画素電極560の切欠部と走査線561と信号線562とに囲まれた部分には、ソース電極、ドレイン電極、半導体、およびゲート電極とを具備する薄膜トランジスタ563が組み込まれて構成されている。そして、走査線561と信号線562に対する信号の印加によって薄膜トランジスタ563をオン・オフして画素電極560への通電制御を行うことができるように構成されている。
【0087】
なお、上記の各例の液晶装置520,530,550は、透過型の構成としたが、反射層あるいは半透過反射層を設けて、反射型の液晶装置あるいは半透過反射型の液晶装置とすることもできる。
【0088】
次に、図13は、有機EL装置の表示領域(以下、単に表示装置600と称する)の要部断面図である。
【0089】
この表示装置600は、基板(W)601上に、回路素子部602、発光素子部603および陰極604が積層された状態で概略構成されている。
この表示装置600においては、発光素子部603から基板601側に発した光が、回路素子部602および基板601を透過して観測者側に出射されると共に、発光素子部603から基板601の反対側に発した光が陰極604により反射された後、回路素子部602および基板601を透過して観測者側に出射されるようになっている。
【0090】
回路素子部602と基板601との間にはシリコン酸化膜からなる下地保護膜606が形成され、この下地保護膜606上(発光素子部603側)に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜607が形成されている。この半導体膜607の左右の領域には、ソース領域607aおよびドレイン領域607bが高濃度陽イオン打ち込みによりそれぞれ形成されている。そして陽イオンが打ち込まれない中央部がチャネル領域607cとなっている。
【0091】
また、回路素子部602には、下地保護膜606および半導体膜607を覆う透明なゲート絶縁膜608が形成され、このゲート絶縁膜608上の半導体膜607のチャネル領域607cに対応する位置には、例えばAl、Mo、Ta、Ti、W等から構成されるゲート電極609が形成されている。このゲート電極609およびゲート絶縁膜608上には、透明な第1層間絶縁膜611aと第2層間絶縁膜611bが形成されている。また、第1、第2層間絶縁膜611a、611bを貫通して、半導体膜607のソース領域607a、ドレイン領域607bにそれぞれ連通するコンタクトホール612a,612bが形成されている。
【0092】
そして、第2層間絶縁膜611b上には、ITO等からなる透明な画素電極613が所定の形状にパターニングされて形成され、この画素電極613は、コンタクトホール612aを通じてソース領域607aに接続されている。
また、第1層間絶縁膜611a上には電源線614が配設されており、この電源線614は、コンタクトホール612bを通じてドレイン領域607bに接続されている。
【0093】
このように、回路素子部602には、各画素電極613に接続された駆動用の薄膜トランジスタ615がそれぞれ形成されている。
【0094】
上記発光素子部603は、複数の画素電極613上の各々に積層された機能層617と、各画素電極613および機能層617の間に備えられて各機能層617を区画するバンク部618とにより概略構成されている。
これら画素電極613、機能層617、および、機能層617上に配設された陰極604によって発光素子が構成されている。なお、画素電極613は、平面視略矩形状にパターニングされて形成されており、各画素電極613の間にバンク部618が形成されている。
【0095】
バンク部618は、例えばSiO、SiO2、TiO2等の無機材料により形成される無機物バンク層618a(第1バンク層)と、この無機物バンク層618a上に積層され、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶媒性に優れたレジストにより形成される断面台形状の有機物バンク層618b(第2バンク層)とにより構成されている。このバンク部618の一部は、画素電極613の周縁部上に乗上げた状態で形成されている。
そして、各バンク部618の間には、画素電極613に対して上方に向けて次第に拡開した開口部619が形成されている。
【0096】
上記機能層617は、開口部619内において画素電極613上に積層状態で形成された正孔注入/輸送層617aと、この正孔注入/輸送層617a上に形成された発光層617bとにより構成されている。なお、この発光層617bに隣接してその他の機能を有する他の機能層をさらに形成しても良い。例えば、電子輸送層を形成することも可能である。
正孔注入/輸送層617aは、画素電極613側から正孔を輸送して発光層617bに注入する機能を有する。この正孔注入/輸送層617aは、正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物(機能液)を吐出することで形成される。正孔注入/輸送層形成材料としては、公知の材料を用いる。
【0097】
発光層617bは、赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)のいずれかに発光するもので、発光層形成材料(発光材料)を含む第2組成物(機能液)を吐出することで形成される。第2組成物の溶媒(非極性溶媒)としては、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な公知の材料を用いることが好ましく、このような非極性溶媒を発光層617bの第2組成物に用いることにより、正孔注入/輸送層617aを再溶解させることなく発光層617bを形成することができる。
【0098】
そして、発光層617bでは、正孔注入/輸送層617aから注入された正孔と、陰極604から注入される電子が発光層で再結合して発光するように構成されている。
【0099】
陰極604は、発光素子部603の全面を覆う状態で形成されており、画素電極613と対になって機能層617に電流を流す役割を果たす。なお、この陰極604の上部には図示しない封止部材が配置される。
【0100】
次に、上記の表示装置600の製造工程を図14〜図22を参照して説明する。
この表示装置600は、図14に示すように、バンク部形成工程(S111)、表面処理工程(S112)、正孔注入/輸送層形成工程(S113)、発光層形成工程(S114)、および対向電極形成工程(S115)を経て製造される。なお、製造工程は例示するものに限られるものではなく必要に応じてその他の工程が除かれる場合、また追加される場合もある。
【0101】
まず、バンク部形成工程(S111)では、図15に示すように、第2層間絶縁膜611b上に無機物バンク層618aを形成する。この無機物バンク層618aは、形成位置に無機物膜を形成した後、この無機物膜をフォトリソグラフィ技術等によりパターニングすることにより形成される。このとき、無機物バンク層618aの一部は画素電極613の周縁部と重なるように形成される。
無機物バンク層618aを形成したならば、図16に示すように、無機物バンク層618a上に有機物バンク層618bを形成する。この有機物バンク層618bも無機物バンク層618aと同様にフォトリソグラフィ技術等によりパターニングして形成される。
このようにしてバンク部618が形成される。また、これに伴い、各バンク部618間には、画素電極613に対して上方に開口した開口部619が形成される。この開口部619は、画素領域を規定する。
【0102】
表面処理工程(S112)では、親液化処理および撥液化処理が行われる。親液化処理を施す領域は、無機物バンク層618aの第1積層部618aaおよび画素電極613の電極面613aであり、これらの領域は、例えば酸素を処理ガスとするプラズマ処理によって親液性に表面処理される。このプラズマ処理は、画素電極613であるITOの洗浄等も兼ねている。
また、撥液化処理は、有機物バンク層618bの壁面618sおよび有機物バンク層618bの上面618tに施され、例えば四フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理によって表面がフッ化処理(撥液性に処理)される。
この表面処理工程を行うことにより、機能液滴吐出ヘッド17を用いて機能層617を形成する際に、機能液滴を画素領域に、より確実に着弾させることができ、また、画素領域に着弾した機能液滴が開口部619から溢れ出るのを防止することが可能となる。
【0103】
そして、以上の工程を経ることにより、表示装置基体600Aが得られる。この表示装置基体600Aは、図1に示した液滴吐出装置1のセットテーブル21に載置され、以下の正孔注入/輸送層形成工程(S113)および発光層形成工程(S114)が行われる。
【0104】
図17に示すように、正孔注入/輸送層形成工程(S113)では、機能液滴吐出ヘッド17から正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物を画素領域である各開口部619内に吐出する。その後、図18に示すように、乾燥処理および熱処理を行い、第1組成物に含まれる極性溶媒を蒸発させ、画素電極(電極面613a)613上に正孔注入/輸送層617aを形成する。
【0105】
次に発光層形成工程(S114)について説明する。この発光層形成工程では、上述したように、正孔注入/輸送層617aの再溶解を防止するために、発光層形成の際に用いる第2組成物の溶媒として、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な非極性溶媒を用いる。
しかしその一方で、正孔注入/輸送層617aは、非極性溶媒に対する親和性が低いため、非極性溶媒を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617a上に吐出しても、正孔注入/輸送層617aと発光層617bとを密着させることができなくなるか、あるいは発光層617bを均一に塗布できない虞がある。
そこで、非極性溶媒並びに発光層形成材料に対する正孔注入/輸送層617aの表面の親和性を高めるために、発光層形成の前に表面処理(表面改質処理)を行うことが好ましい。この表面処理は、発光層形成の際に用いる第2組成物の非極性溶媒と同一溶媒またはこれに類する溶媒である表面改質材を、正孔注入/輸送層617a上に塗布し、これを乾燥させることにより行う。
このような処理を施すことで、正孔注入/輸送層617aの表面が非極性溶媒になじみやすくなり、この後の工程で、発光層形成材料を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617aに均一に塗布することができる。
【0106】
そして次に、図19に示すように、各色のうちのいずれか(図19の例では青色(B))に対応する発光層形成材料を含有する第2組成物を機能液滴として画素領域(開口部619)内に所定量打ち込む。画素領域内に打ち込まれた第2組成物は、正孔注入/輸送層617a上に広がって開口部619内に満たされる。なお、万一、第2組成物が画素領域から外れてバンク部618の上面618t上に着弾した場合でも、この上面618tは、上述したように撥液処理が施されているので、第2組成物が開口部619内に転がり込み易くなっている。
【0107】
その後、乾燥工程等を行うことにより、吐出後の第2組成物を乾燥処理し、第2組成物に含まれる非極性溶媒を蒸発させ、図20に示すように、正孔注入/輸送層617a上に発光層617bが形成される。この図の場合、青色(B)に対応する発光層617bが形成されている。
【0108】
同様に、機能液滴吐出ヘッド17を用い、図21に示すように、上記した青色(B)に対応する発光層617bの場合と同様の工程を順次行い、他の色(赤色(R)および緑色(G))に対応する発光層617bを形成する。なお、発光層617bの形成順序は、例示した順序に限られるものではなく、どのような順番で形成しても良い。例えば、発光層形成材料に応じて形成する順番を決めることも可能である。また、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライプ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0109】
以上のようにして、画素電極613上に機能層617、即ち、正孔注入/輸送層617aおよび発光層617bが形成される。そして、対向電極形成工程(S115)に移行する。
【0110】
対向電極形成工程(S115)では、図22に示すように、発光層617bおよび有機物バンク層618bの全面に陰極604(対向電極)を、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等によって形成する。この陰極604は、本実施形態においては、例えば、カルシウム層とアルミニウム層とが積層されて構成されている。
この陰極604の上部には、電極としてのAl膜、Ag膜や、その酸化防止のためのSiO2、SiN等の保護層が適宜設けられる。
【0111】
このようにして陰極604を形成した後、この陰極604の上部を封止部材により封止する封止処理や配線処理等のその他処理等を施すことにより、表示装置600が得られる。
【0112】
次に、図23は、プラズマ型表示装置(PDP装置:以下、単に表示装置700と称する)の要部分解斜視図である。なお、同図では表示装置700を、その一部を切り欠いた状態で示してある。
この表示装置700は、互いに対向して配置された第1基板701、第2基板702、およびこれらの間に形成される放電表示部703を含んで概略構成される。放電表示部703は、複数の放電室705により構成されている。これらの複数の放電室705のうち、赤色放電室705R、緑色放電室705G、青色放電室705Bの3つの放電室705が組になって1つの画素を構成するように配置されている。
【0113】
第1基板701の上面には所定の間隔で縞状にアドレス電極706が形成され、このアドレス電極706と第1基板701の上面とを覆うように誘電体層707が形成されている。誘電体層707上には、各アドレス電極706の間に位置し、且つ各アドレス電極706に沿うように隔壁708が立設されている。この隔壁708は、図示するようにアドレス電極706の幅方向両側に延在するものと、アドレス電極706と直交する方向に延設された図示しないものを含む。
そして、この隔壁708によって仕切られた領域が放電室705となっている。
【0114】
放電室705内には蛍光体709が配置されている。蛍光体709は、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の蛍光を発光するもので、赤色放電室705Rの底部には赤色蛍光体709Rが、緑色放電室705Gの底部には緑色蛍光体709Gが、青色放電室705Bの底部には青色蛍光体709Bが各々配置されている。
【0115】
第2基板702の図中下側の面には、上記アドレス電極706と直交する方向に複数の表示電極711が所定の間隔で縞状に形成されている。そして、これらを覆うように誘電体層712、およびMgOなどからなる保護膜713が形成されている。
第1基板701と第2基板702とは、アドレス電極706と表示電極711が互いに直交する状態で対向させて貼り合わされている。なお、上記アドレス電極706と表示電極711は図示しない交流電源に接続されている。
そして、各電極706,711に通電することにより、放電表示部703において蛍光体709が励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0116】
本実施形態においては、上記アドレス電極706、表示電極711、および蛍光体709を、図1に示した液滴吐出装置1を用いて形成することができる。以下、第1基板701におけるアドレス電極706の形成工程を例示する。
この場合、第1基板701を液滴吐出装置1のセットテーブル21に載置された状態で以下の工程が行われる。
まず、機能液滴吐出ヘッド17により、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴としてアドレス電極形成領域に着弾させる。この液体材料は、導電膜配線形成用材料として、金属等の導電性微粒子を分散媒に分散したものである。この導電性微粒子としては、金、銀、銅、パラジウム、またはニッケル等を含有する金属微粒子や、導電性ポリマー等が用いられる。
【0117】
補充対象となるすべてのアドレス電極形成領域について液体材料の補充が終了したならば、吐出後の液体材料を乾燥処理し、液体材料に含まれる分散媒を蒸発させることによりアドレス電極706が形成される。
【0118】
ところで、上記においてはアドレス電極706の形成を例示したが、上記表示電極711および蛍光体709についても上記各工程を経ることにより形成することができる。
表示電極711の形成の場合、アドレス電極706の場合と同様に、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴として表示電極形成領域に着弾させる。
また、蛍光体709の形成の場合には、各色(R,G,B)に対応する蛍光材料を含んだ液体材料(機能液)を機能液滴吐出ヘッド17から液滴として吐出し、対応する色の放電室705内に着弾させる。
【0119】
次に、図24は、電子放出装置(FED装置あるいはSED装置ともいう:以下、単に表示装置800と称する)の要部断面図である。なお、同図では表示装置800を、その一部を断面として示してある。
この表示装置800は、互いに対向して配置された第1基板801、第2基板802、およびこれらの間に形成される電界放出表示部803を含んで概略構成される。電界放出表示部803は、マトリクス状に配置した複数の電子放出部805により構成されている。
【0120】
第1基板801の上面には、カソード電極806を構成する第1素子電極806aおよび第2素子電極806bが相互に直交するように形成されている。また、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bで仕切られた部分には、ギャップ808を形成した導電性膜807が形成されている。すなわち、第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807により複数の電子放出部805が構成されている。導電性膜807は、例えば酸化パラジウム(PdO)等で構成され、またギャップ808は、導電性膜807を成膜した後、フォーミング等で形成される。
【0121】
第2基板802の下面には、カソード電極806に対峙するアノード電極809が形成されている。アノード電極809の下面には、格子状のバンク部811が形成され、このバンク部811で囲まれた下向きの各開口部812に、電子放出部805に対応するように蛍光体813が配置されている。蛍光体813は、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の蛍光を発光するもので、各開口部812には、赤色蛍光体813R、緑色蛍光体813Gおよび青色蛍光体813Bが、上記した所定のパターンで配置されている。
【0122】
そして、このように構成した第1基板801と第2基板802とは、微小な間隙を存して貼り合わされている。この表示装置800では、導電性膜(ギャップ808)807を介して、陰極である第1素子電極806aまたは第2素子電極806bから飛び出す電子を、陽極であるアノード電極809に形成した蛍光体813に当てて励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0123】
この場合も、他の実施形態と同様に、第1素子電極806a、第2素子電極806b、導電性膜807およびアノード電極809を、液滴吐出装置1を用いて形成することができると共に、各色の蛍光体813R,813G,813Bを、液滴吐出装置1を用いて形成することができる。
【0124】
第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807は、図25(a)に示す平面形状を有しており、これらを成膜する場合には、図25(b)に示すように、予め第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807を作り込む部分を残して、バンク部BBを形成(フォトリソグラフィ法)する。次に、バンク部BBにより構成された溝部分に、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bを形成(液滴吐出装置1によるインクジェット法)し、その溶剤を乾燥させて成膜を行った後、導電性膜807を形成(液滴吐出装置1によるインクジェット法)する。そして、導電性膜807を成膜後、バンク部BBを取り除き(アッシング剥離処理)、上記のフォーミング処理に移行する。なお、上記の有機EL装置の場合と同様に、第1基板801および第2基板802に対する親液化処理や、バンク部811,BBに対する撥液化処理を行うことが、好ましい。
【0125】
また、他の電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等の装置が考えられる。上記した液滴吐出装置1を各種の電気光学装置(デバイス)の製造に用いることにより、各種の電気光学装置を効率的に製造することが可能である。
【符号の説明】
【0126】
1:液滴吐出装置、 13:ヘッドユニット、 17:機能液滴吐出ヘッド、 53:キャリッジプレート、 54:ヘッド群、 98:吐出ノズル、 99:ノズル列、 W:ワーク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット方式の液滴吐出ヘッドが個々に有するノズル列の多数の吐出ノズルにおける個別の液滴吐出量に基づいて、
共通の機能液を吐出する複数の液滴吐出ヘッドを、ノズル列方向に位置ずれさせて共通のキャリッジプレートに配置固定する液滴吐出ヘッドの配置方法であって、
ノズル列方向に隣接する前記液滴吐出ヘッド同士において、相互の最内端に位置する2つの前記吐出ノズルの液滴吐出量の差が所定の許容差範囲に納まるように、
且つ前記キャリッジプレートにおけるノズル列方向の両最外端に位置する2つの前記吐出ノズルの液滴吐出量が、それぞれ所定の基準量範囲に納まるように、前記複数の液滴吐出ヘッドを配置固定することを特徴とする液滴吐出ヘッドの配置方法。
【請求項2】
前記キャリッジプレートに配置される複数の液滴吐出ヘッドは、当該液滴吐出ヘッドの数を越える数の配置候補となる候補液滴吐出ヘッドの中から選出されることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッドの配置方法。
【請求項3】
前記複数の候補液滴吐出ヘッドは、全吐出ノズルにおける個別の液滴吐出量のばらつきが所定の範囲内のものであることを特徴とする請求項2に記載の液滴吐出ヘッドの配置方法。
【請求項4】
前記複数の液滴吐出ヘッドは、ノズル列方向において2つのヘッド群に区分けされて前記キャリッジプレートに配置され、
前記2つのヘッド群に属する複数の液滴吐出ヘッドは、ノズル列方向において相互に対向位置されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの配置方法。
【請求項5】
前記機能液は、R色、G色およびB色いずれかの色彩を有するものであり、
前記所定の許容差範囲は、2つの前記吐出ノズルによる吐出着弾結果が隣接している場合に、相互の色むらが発生しない液滴吐出量の差に基づいて定められていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの配置方法。
【請求項6】
前記機能液は、R色、G色およびB色いずれかの色彩を有するものであり、
前記所定の基準量範囲は、1の吐出ノズルにおける標準化された液滴吐出量を中間値とする範囲であって、隣接する吐出着弾結果に相互の色むらが発生しない液滴吐出量の範囲に基づいて定められていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの配置方法。
【請求項7】
前記所定の基準量範囲に納まる選択肢が複数組ある場合に、前記基準量範囲の中間値と各組の2つの前記吐出ノズルの液滴吐出量との差の二乗和が、最小値となる選択肢を選択することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの配置方法。
【請求項8】
前記液滴吐出量は、各ノズル列における平均の液滴吐出量が絶対目標の液滴吐出量であることを前提とし、前記絶対目標の液滴吐出量を1として正規化された数値で比較されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの配置方法。
【請求項9】
前記各ノズル列の多数の吐出ノズルにおける個別の液滴吐出量は、測定結果に基づく近似特性線図から求めたものであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの配置方法。
【請求項10】
前記近似特性線図は、前記多数の吐出ノズルの両端部の複数の吐出ノズルを全て測定すると共に、残余の中間部の複数の吐出ノズルを間引いて測定した結果から導かれることを特徴とする請求項9に記載の液滴吐出ヘッドの配置方法。
【請求項11】
前記許容差範囲に納まるか否かの比較対象となる液滴吐出量は、前記多数の吐出ノズルの端部の複数の吐出ノズルにおける液滴吐出量の平均値であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの配置方法。
【請求項12】
前記基準量範囲に納まるか否かの比較対象となる液滴吐出量は、前記多数の吐出ノズルの端部の複数の吐出ノズルにおける液滴吐出量の平均値であることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの配置方法。
【請求項13】
前記各液滴吐出ヘッドは、それぞれのノズル列における多数の吐出ノズルの両外側に、描画に使用しない複数の無効吐出ノズルを有していることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの配置方法。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの配置方法により、前記キャリッジプレートに前記複数の液滴吐出ヘッドが配置固定されていることを特徴とするヘッドユニット。
【請求項15】
請求項14に記載のヘッドユニットを搭載し、前記ヘッドユニットにより、ワークに対し機能液を吐出して描画を行なうことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項16】
請求項15に記載の液滴吐出装置を用い、前記ワーク上に機能液滴による成膜部を形成することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項17】
請求項15に記載の液滴吐出装置を用い、前記ワーク上に機能液滴による成膜部を形成したことを特徴とする電気光学装置。
【請求項18】
請求項16に記載の電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置または請求項17に記載の電気光学装置を搭載したことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
インクジェット方式の液滴吐出ヘッドが個々に有するノズル列の多数の吐出ノズルにおける個別の液滴吐出量に基づいて、
共通の機能液を吐出する複数の液滴吐出ヘッドを、ノズル列方向に位置ずれさせて共通のキャリッジプレートに配置固定する液滴吐出ヘッドの配置方法であって、
ノズル列方向に隣接する前記液滴吐出ヘッド同士において、相互の最内端に位置する2つの前記吐出ノズルの液滴吐出量の差が所定の許容差範囲に納まるように、
且つ前記キャリッジプレートにおけるノズル列方向の両最外端に位置する2つの前記吐出ノズルの液滴吐出量が、それぞれ所定の基準量範囲に納まるように、前記複数の液滴吐出ヘッドを配置固定することを特徴とする液滴吐出ヘッドの配置方法。
【請求項2】
前記キャリッジプレートに配置される複数の液滴吐出ヘッドは、当該液滴吐出ヘッドの数を越える数の配置候補となる候補液滴吐出ヘッドの中から選出されることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッドの配置方法。
【請求項3】
前記複数の候補液滴吐出ヘッドは、全吐出ノズルにおける個別の液滴吐出量のばらつきが所定の範囲内のものであることを特徴とする請求項2に記載の液滴吐出ヘッドの配置方法。
【請求項4】
前記複数の液滴吐出ヘッドは、ノズル列方向において2つのヘッド群に区分けされて前記キャリッジプレートに配置され、
前記2つのヘッド群に属する複数の液滴吐出ヘッドは、ノズル列方向において相互に対向位置されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの配置方法。
【請求項5】
前記機能液は、R色、G色およびB色いずれかの色彩を有するものであり、
前記所定の許容差範囲は、2つの前記吐出ノズルによる吐出着弾結果が隣接している場合に、相互の色むらが発生しない液滴吐出量の差に基づいて定められていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの配置方法。
【請求項6】
前記機能液は、R色、G色およびB色いずれかの色彩を有するものであり、
前記所定の基準量範囲は、1の吐出ノズルにおける標準化された液滴吐出量を中間値とする範囲であって、隣接する吐出着弾結果に相互の色むらが発生しない液滴吐出量の範囲に基づいて定められていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの配置方法。
【請求項7】
前記所定の基準量範囲に納まる選択肢が複数組ある場合に、前記基準量範囲の中間値と各組の2つの前記吐出ノズルの液滴吐出量との差の二乗和が、最小値となる選択肢を選択することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの配置方法。
【請求項8】
前記液滴吐出量は、各ノズル列における平均の液滴吐出量が絶対目標の液滴吐出量であることを前提とし、前記絶対目標の液滴吐出量を1として正規化された数値で比較されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの配置方法。
【請求項9】
前記各ノズル列の多数の吐出ノズルにおける個別の液滴吐出量は、測定結果に基づく近似特性線図から求めたものであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの配置方法。
【請求項10】
前記近似特性線図は、前記多数の吐出ノズルの両端部の複数の吐出ノズルを全て測定すると共に、残余の中間部の複数の吐出ノズルを間引いて測定した結果から導かれることを特徴とする請求項9に記載の液滴吐出ヘッドの配置方法。
【請求項11】
前記許容差範囲に納まるか否かの比較対象となる液滴吐出量は、前記多数の吐出ノズルの端部の複数の吐出ノズルにおける液滴吐出量の平均値であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの配置方法。
【請求項12】
前記基準量範囲に納まるか否かの比較対象となる液滴吐出量は、前記多数の吐出ノズルの端部の複数の吐出ノズルにおける液滴吐出量の平均値であることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの配置方法。
【請求項13】
前記各液滴吐出ヘッドは、それぞれのノズル列における多数の吐出ノズルの両外側に、描画に使用しない複数の無効吐出ノズルを有していることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの配置方法。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの配置方法により、前記キャリッジプレートに前記複数の液滴吐出ヘッドが配置固定されていることを特徴とするヘッドユニット。
【請求項15】
請求項14に記載のヘッドユニットを搭載し、前記ヘッドユニットにより、ワークに対し機能液を吐出して描画を行なうことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項16】
請求項15に記載の液滴吐出装置を用い、前記ワーク上に機能液滴による成膜部を形成することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項17】
請求項15に記載の液滴吐出装置を用い、前記ワーク上に機能液滴による成膜部を形成したことを特徴とする電気光学装置。
【請求項18】
請求項16に記載の電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置または請求項17に記載の電気光学装置を搭載したことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2010−75923(P2010−75923A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204464(P2009−204464)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【分割の表示】特願2007−147284(P2007−147284)の分割
【原出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【分割の表示】特願2007−147284(P2007−147284)の分割
【原出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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