液滴吐出装置を用いた描画方法および液滴吐出装置、並びに電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器
【課題】 複数のフィルタ領域を作り込んだ複数取り形式の基板に対し、フィルタ領域内で乾燥ムラの生ずることなく描画処理を行うことができる液滴吐出装置を用いた描画方法等を提供することを課題とする。
【解決手段】 フィルタ領域FをX軸方向にm個(mは1以上の整数)およびY軸方向にn個(nは2以上の整数)作り込んだ複数取り形式の基板Wtに対し、機能液を導入した機能液滴吐出ヘッド71を用いて描画処理を行う液滴吐出装置1を用いた描画方法であって、k個(kはnの約数且つk≠n)のフィルタ領域FのY軸方向の幅である領域描画幅Rに対応するように描画ラインLを構成した状態で、機能液滴吐出ヘッド71のX軸方向への相対的な移動に同期して機能液滴吐出ヘッド71を駆動する主走査と、機能液滴吐出ヘッド71をY軸方向へ描画ラインL分相対的に移動させる副走査とを繰り返して、描画処理を行う。
【解決手段】 フィルタ領域FをX軸方向にm個(mは1以上の整数)およびY軸方向にn個(nは2以上の整数)作り込んだ複数取り形式の基板Wtに対し、機能液を導入した機能液滴吐出ヘッド71を用いて描画処理を行う液滴吐出装置1を用いた描画方法であって、k個(kはnの約数且つk≠n)のフィルタ領域FのY軸方向の幅である領域描画幅Rに対応するように描画ラインLを構成した状態で、機能液滴吐出ヘッド71のX軸方向への相対的な移動に同期して機能液滴吐出ヘッド71を駆動する主走査と、機能液滴吐出ヘッド71をY軸方向へ描画ラインL分相対的に移動させる副走査とを繰り返して、描画処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のフィルタ領域を作り込んだ複数取り形式の基板に対し、機能液滴吐出ヘッドによりインクジェット方式で機能液滴を吐出・着弾させて描画処理を行う液滴吐出装置を用いた描画方法および液滴吐出装置、並びに電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置のカラーフィルタ等の基板に対し、機能液を導入した機能液滴吐出ヘッドをX軸方向に相対的に移動させながら、基板上に構成された複数の画素領域に機能液滴を吐出・着弾させる主走査(吐出走査)と、機能液滴吐出ヘッドをY軸方向に相対的に移動させる副走査とを繰り返し行って、描画処理を行う液滴吐出装置が知られている。そして、この描画処理後、乾燥処理を行って、各画素領域に着弾した機能液中の溶剤を気化させることで、カラーフィルタの着色層(成膜部)が形成される。(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−265996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、カラーフィルタ製造の効率アップを図るべく、基板を、複数の画素領域を有するフィルタ領域を間隙を存してX軸方向およびY軸方向に並べて複数作り込んだ複数取り形式のものとして構成することが考えられている。しかしながら、従来の液滴吐出装置では、機能液滴吐出ヘッドの複数の吐出ノズルにより構成される描画ラインと、フィルタ領域のY軸方向における幅とが対応していないため、1のフィルタ領域に対し2回以上の主走査により描画処理が行われる場合があった。この場合、先に主走査が行われた範囲と、後に主走査が行われた範囲との間で、各画素領域に機能液滴が吐出・着弾してから乾燥処理が行われるまでの時間が相違し、乾燥処理前における溶剤の気化量が互いに異なるものとなっていた。このような状態で乾燥処理が行われると、両範囲間において、乾燥ムラが生じるという問題があった。この乾燥ムラは、カラーフィルタにおいては、色ムラ(表示ムラ)の原因となる。特に、先に主走査が行われる範囲と、後に主走査が行われる範囲との境界部分では、この色ムラが目立ってしまう。
【0004】
本発明は、複数のフィルタ領域を作り込んだ複数取り形式の基板に対し、フィルタ領域内で乾燥ムラの生ずることなく描画処理を行うことができる液滴吐出装置を用いた描画方法および液滴吐出装置、並びに電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の液滴吐出装置を用いた描画方法は、複数の画素領域を有するフィルタ領域を、間隙を存して、X軸方向にm個(mは1以上の整数)およびY軸方向にn個(nは2以上の整数)作り込んだ複数取り形式の基板に対し、機能液を導入した機能液滴吐出ヘッドを用い、複数の画素領域に機能液滴を吐出・着弾させて描画処理を行う液滴吐出装置を用いた描画方法であって、k個(kはnの約数且つk≠n)のフィルタ領域のY軸方向の幅である領域描画幅に対応するように、機能液滴吐出ヘッドの複数の吐出ノズルにより描画ラインを構成した状態で、基板に対する機能液滴吐出ヘッドのX軸方向への相対的な移動に同期して機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動する主走査と、基板に対して機能液滴吐出ヘッドをY軸方向へ描画ライン分相対的に移動させる副走査とを繰り返して、描画処理を行うことを特徴とする。
【0006】
また、本発明の液滴吐出装置は、複数の画素領域を有するフィルタ領域を、間隙を存して、X軸方向にm個(mは1以上の整数)およびY軸方向にn個(nは2以上の整数)作り込んだ複数取り形式の基板に対し、機能液を導入した機能液滴吐出ヘッドを用い、複数の画素領域に機能液滴を吐出・着弾させて描画処理を行う液滴吐出装置であって、機能液滴吐出ヘッドと、基板に対し、機能液滴吐出ヘッドをX軸方向およびY軸方向に相対的に移動させる移動手段と、機能液滴吐出ヘッドおよび移動手段を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、k個(kはnの約数且つk≠n)のフィルタ領域のY軸方向の幅である領域描画幅に対応するように、機能液滴吐出ヘッドの複数の吐出ノズルにより描画ラインを構成した状態で、基板に対する機能液滴吐出ヘッドのX軸方向への相対的な移動に同期して機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動する主走査と、基板に対して機能液滴吐出ヘッドをY軸方向へ描画ライン分相対的に移動させる副走査とを繰り返して、描画処理を行わせることを特徴とする。
【0007】
これらの構成によれば、描画ラインと、領域描画幅とを対応させた状態で、機能液滴の吐出・着弾がなされることで、各フィルタ領域に対して1回の主走査で機能液滴の吐出・着弾がなされ、各フィルタ領域に対して複数回の主走査で描画処理が行われることがない。このため、各フィルタ領域において、各画素領域に機能液滴が吐出・着弾してから乾燥処理が行われるまでの時間が略同一となり、機能液の溶剤の気化量が均一な状態で乾燥処理が行われる。したがって、複数取り形式の基板に対し、フィルタ領域内で乾燥ムラの生ずることなく描画処理を行うことができる。
【0008】
なお、1回の主走査とは、副走査と副走査との間に行われる1回または複数回に亘る機能液滴吐出ヘッドの相対的な移動(往動および/または復動)をいう。
また、機能液滴吐出ヘッドの全吐出ノズルにより描画ラインを構成することが好ましく、これによれば、全吐出ノズルから機能液滴を吐出・着弾させて描画処理が行われるため、描画処理中に吐出ノズルが吐出駆動しない(遊んでしまう)ことがなく、その吐出ノズルの機能液が乾燥(ノズル詰まり)して吐出機能が低下するおそれがない。
【0009】
本発明の他の液滴吐出装置を用いた描画方法は、複数の画素領域を有するフィルタ領域を、間隙を存して、X軸方向にm個(mは1以上の整数)およびY軸方向にn個(nは2以上の整数)作り込んだ複数取り形式の基板に対し、複数色の機能液をそれぞれ導入すると共にY軸方向において互いに同位置に配置した色別複数の機能液滴吐出ヘッドを用い、複数の画素領域に機能液滴を吐出・着弾させて描画処理を行う液滴吐出装置を用いた描画方法であって、k個(kはnの約数且つk≠n)のフィルタ領域のY軸方向の幅である領域描画幅に対応するように、色別複数の機能液滴吐出ヘッドのそれぞれ複数の吐出ノズルにより色別複数の描画ラインを構成した状態で、基板に対する各機能液滴吐出ヘッドのX軸方向への相対的な移動に同期して各機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動する主走査と、基板に対して各機能液滴吐出ヘッドをY軸方向へ描画ライン分相対的に移動させる副走査とを繰り返して、描画処理を行うことを特徴とする。
【0010】
本発明の他の液滴吐出装置は、複数の画素領域を有するフィルタ領域を、間隙を存して、X軸方向にm個(mは1以上の整数)およびY軸方向にn個(nは2以上の整数)作り込んだ複数取り形式の基板に対し、複数色の機能液をそれぞれ導入すると共にY軸方向において互いに同位置に配置した色別複数の機能液滴吐出ヘッドを用い、複数の画素領域に機能液滴を吐出・着弾させて描画処理を行う液滴吐出装置であって、色別複数の機能液滴吐出ヘッドと、基板に対し、各機能液滴吐出ヘッドをX軸方向およびY軸方向に相対的に移動させる移動手段と、各機能液滴吐出ヘッドおよび移動手段を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、k個(kはnの約数且つk≠n)のフィルタ領域のY軸方向の幅である領域描画幅に対応するように、色別複数の機能液滴吐出ヘッドのそれぞれ複数の吐出ノズルにより色別複数の描画ラインを構成した状態で、基板に対する各機能液滴吐出ヘッドのX軸方向への相対的な移動に同期して各機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動する主走査と、基板に対して各機能液滴吐出ヘッドをY軸方向へ描画ライン分相対的に移動させる副走査とを繰り返して、描画処理を行わせることを特徴とする。
【0011】
これらの構成によれば、色別複数の描画ラインと、領域描画幅とを対応させた状態で、機能液滴の吐出・着弾がなされることで、各フィルタ領域に対し1回の主走査で複数色の機能液滴の吐出・着弾がなされ、各フィルタ領域に対して複数回の主走査で描画処理が行われることがない。このため、上記と同様に、各フィルタ領域において、機能液の溶剤の気化量が均一な状態で乾燥処理が行われることになり、乾燥ムラの生ずることがない。したがって、複数取り形式の基板に対し、フィルタ領域内で色ムラの生ずることなく、描画処理を行うことができる。
【0012】
なお、1回の主走査とは、上記と同様に、副走査と副走査との間に行われる1回または複数回に亘る機能液滴吐出ヘッドの相対的な移動(往動および/または復動)をいう。また、上記と同様に、色別複数の機能液滴吐出ヘッドの全吐出ノズルにより色別複数の描画ラインを構成することが好ましい。
さらに、カラーフィルタにおいては、R(赤)・G(緑)・B(青)の3色の機能液滴が所定の配色パターンに基づいて画素領域にそれぞれ着弾し、機能液滴が着弾した3個の画素領域、すなわち、Rの機能液滴が着弾した画素領域と、Gの機能液滴が着弾した画素領域と、Bの機能液滴が着弾した画素領域とにより、いわゆる画素が構成される。複数色の機能液としては、上記のR・G・B3色の機能液が常用されているが、色再現性を高めるべく、R・G・BにC(シアン)やE(エメラルド)を加えた4色の機能液を用いてもよく、他の組み合わせ・他の色数の機能液を用いてもよい。
【0013】
上記の液滴吐出装置において、機能液滴吐出ヘッドは、複数設けられ、複数の機能液滴吐出ヘッドは、複数のキャリッジに搭載され複数のキャリッジユニットを構成し、描画ラインは、各キャリッジユニットの複数の機能液滴吐出ヘッドのそれぞれ複数の吐出ノズルから成る部分描画ラインがY軸方向に連続して構成されることが好ましい。
【0014】
上記の他の液滴吐出装置において、各色の機能液滴吐出ヘッドは、複数設けられ、各色の複数の機能液滴吐出ヘッドは、複数のキャリッジに搭載され複数のキャリッジユニットを構成し、各色の描画ラインは、各キャリッジユニットの各色の複数の機能液滴吐出ヘッドのそれぞれ複数の吐出ノズルから成る部分描画ラインがY軸方向に連続して構成されることが好ましい。
【0015】
これらの構成によれば、標準的な吐出ノズル数の機能液滴吐出ヘッドを複数用いて、描画ラインを構成することができると共に、複数の機能液滴吐出ヘッドを複数のキャリッジに分散して搭載することで、各キャリッジユニットを構成する機能液滴吐出ヘッドの個数が少なくなるため、キャリッジユニット毎になされる機能液滴吐出ヘッドの相互の位置合わせや機能液滴吐出ヘッドの交換作業を容易に行うことができる。
なお、これらの場合、複数のキャリッジユニットは、X軸方向に互いに位置ずれして配置されることが好ましく、これによれば、キャリッジユニット間相互の物理的干渉を回避することができる。
【0016】
上記の液滴吐出装置において、移動手段は、基板を搭載すると共に、基板をX軸方向に移動させるX軸テーブルと、複数のキャリッジユニットをY軸方向に個々に移動させるY軸テーブルとを有し、制御手段は、基板のX軸方向への移動に同期して各機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動する主走査と、キャリッジユニットを介して、各機能液滴吐出ヘッドを描画ライン分移動させる副走査とを繰り返して、描画処理を行わせることが好ましい。
さらに、この場合、Y軸テーブルによる複数のキャリッジユニットの移動軌跡上には、各機能液滴吐出ヘッドを機能維持状態に保管するヘッド保管手段が設けられ、複数のキャリッジユニットは、全部分描画ラインから構成される最大幅描画ラインがX軸テーブルに搭載可能な基板の最長の領域描画幅をカバーする個数で構成されており、制御手段は、複数のキャリッジユニットのうち、X軸テーブルに搭載した基板の領域描画幅に対応する描画ラインを構成する最小個数のキャリッジユニットの各機能液滴吐出ヘッドを稼動させて描画処理を行うと共に、それ以外のキャリッジユニットをヘッド保管手段に臨ませることが好ましい。
【0017】
上記の他の液滴吐出装置において、移動手段は、基板を搭載すると共に、基板をX軸方向に移動させるX軸テーブルと、複数のキャリッジユニットをY軸方向に個々に移動させるY軸テーブルとを有し、制御手段は、基板のX軸方向への移動に同期して各機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動する主走査と、キャリッジユニットを介して、各機能液滴吐出ヘッドを描画ライン分移動させる副走査とを繰り返して、描画処理を行わせることが好ましい。
さらに、この場合、Y軸テーブルによる複数のキャリッジユニットの移動軌跡上には、各機能液滴吐出ヘッドを機能維持状態に保管するヘッド保管手段が設けられ、複数のキャリッジユニットは、各色の全部分描画ラインから構成される最大幅描画ラインがX軸テーブルに搭載可能な基板の最長の領域描画幅をカバーする個数で構成されており、制御手段は、複数のキャリッジユニットのうち、X軸テーブルに搭載した基板の領域描画幅に対応する色別複数の描画ラインを構成する最小個数のキャリッジユニットの各機能液滴吐出ヘッドを稼動させて描画処理を行うと共に、それ以外のキャリッジユニットをヘッド保管手段に臨ませることが好ましい。
【0018】
これらの構成によれば、搭載された基板の領域描画幅に応じて、必要最小数のキャリッジユニットに搭載された機能液滴吐出ヘッドを稼動させて描画処理を行うと共に、それ以外のキャリッジユニットに搭載された機能液滴吐出ヘッドをヘッド保管手段に臨ませることで、稼動しない機能液滴吐出ヘッドの吐出ノズルの乾燥等による吐出機能低下を防止することができる。
【0019】
本発明の電気光学装置の製造方法は、上記した液滴吐出装置を用い、基板上に機能液滴による成膜部を形成することを特徴とする。
【0020】
本発明の電気光学装置は、上記した液滴吐出装置を用い、基板上に機能液滴による成膜部を形成したことを特徴とする。
【0021】
これらの構成によれば、複数取り形式の基板に対し、乾燥ムラ(色ムラ)なく描画処理を行うことができる液滴吐出装置を用いて製造されるため、高品質な電気光学装置を効率良く製造することが可能となる。なお、電気光学装置(フラットパネルディスプレイ:FPD)としては、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、PDP装置、電子放出装置等が考えられる。なお、電子放出装置は、いわゆるFED(Field Emission Display)やSED(Surface-conduction Electron-Emitter Display)装置を含む概念である。さらに、電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等を包含する装置が考えられる。
【0022】
本発明の電子機器は、上記した電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置または上記した電気光学装置を搭載したことを特徴とする。
【0023】
この場合、電子機器としては、いわゆるフラットパネルディスプレイを搭載した携帯電話、パーソナルコンピュータのほか、各種の電気製品がこれに該当する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して、本発明を適用した液滴吐出装置について説明する。本実施形態の液滴吐出装置は、液晶表示装置等のFPDの製造ラインに組み込まれた描画システムに設置されており、特殊なインクや発光性の樹脂液等の機能液を機能液滴吐出ヘッドに導入して、液晶表示装置等のカラーフィルタの基板上に機能液滴による着色層(成膜部)を形成するものである。そこで、まず、液滴吐出装置1による描画対象となる基板(ワーク)について説明する。なお、以下に説明する基板のサイズ等の値は概数である。
【0025】
図1に示すように、基板Wは、石英ガラスやポリイミド樹脂等で構成された透明基板であり、そのサイズは、1500mm×1800mmである。基板Wの両長辺部分には、導入された液滴吐出装置1(図2参照)により位置認識される一対の基板アライメントマーク(図示省略)が形成されており、その長辺がY軸方向と平行になるようにして、セットされる(後述する)。
【0026】
また、この基板Wは、複数取り形式のものであり、予め、複数の画素領域507aをマトリクス状に構成したフィルタ領域Fを、間隙を存して複数作り込んである。基板Wには、作り込まれたフィルタ領域Fの個数よって様々な種類のものがあり、本実施形態では、1280mm×540mmのサイズのフィルタ領域Fが3個作り込まれた3面取り基板Wt(同図(a)参照)、730mm×350mmのサイズのフィルタ領域Fが8個作り込まれた8面取り基板We(同図(b)参照)の2種類が用いられる。3面取り基板Wtでは、間隙(Y軸方向に45mm)を存して、X軸方向に1個、Y軸方向に3個のフィルタ領域Fが作り込まれている。また、8面取り基板Weでは、間隙(X軸方向に20mm、Y軸方向に20mm)を存して、X軸方向に2個、Y軸方向に4個のフィルタ領域Fが作り込まれている。
【0027】
なお、3面取り基板Wtの3個のフィルタ領域Fを、後述する描画エリア31側からメンテナンスエリア32側に向けて(図1の右側から左側に向けて)順に第1フィルタ領域Fa、第2フィルタ領域Fb、第3フィルタ領域Fcとする(図8参照)。また、8面取り基板Weの8個のフィルタ領域Fのうち、後述する基板Wの往動側(図1の上側)の4個のフィルタ領域Fを、描画エリア31側からメンテナンスエリア32側に向けて(同図の右側から左側に向けて)順に第1フィルタ領域Fa、第2フィルタ領域Fb、・・・、第4フィルタ領域Fdとし、後述する基板Wの復動側(同図の下側)の4個のフィルタ領域Fを、描画エリア31側からメンテナンスエリア32側に向けて順に第5フィルタ領域Fe、第6フィルタ領域Ff、・・・、第8フィルタ領域Fhとする(図12参照)。
【0028】
各画素領域507aは、区画壁部507bで囲まれた平面視長方形の凹部となっており、後述する機能液滴吐出ヘッド71によりR(赤)・G(緑)・B(青)3色の成膜部(着色層508R、508G、508B)を形成する際に、機能液滴の着弾領域となる(図16参照)。この場合、機能液滴が着弾した3個の画素領域、すなわち、Rの機能液滴が着弾した画素領域と、Gの機能液滴が着弾した画素領域と、Bの機能液滴が着弾した画素領域とにより、いわゆる画素が構成される。
【0029】
本実施形態における複数の画素領域507aの配色パターンは、マトリクスの横列(Y軸方向)においてすべて同色となるストライプ配列である。もっとも、マトリクスの縦列(X軸方向)においてすべて同色となるストライプ配列であってもよい。さらに、マトリクスの縦列・横列に並んだ任意の3つの画素が、R・G・Bの3色となるモザイク配列であってもよく、複数の画素領域507aが千鳥をなすデルタ配列であってもよい。
【0030】
次に、本発明に係る液滴吐出装置について説明する。図2ないし図4に示すように、液滴吐出装置1は、基板Wに対しR・G・B3色の機能液を吐出可能なものであって、床上に設置した大型の共通架台(図示省略)と、共通架台上の全域に広く載置され、機能液滴吐出ヘッド71(キャリッジユニット21)を搭載した描画装置11と、描画装置11に添設されたメンテナンス手段12とを備え、メンテナンス手段12により機能液滴吐出ヘッド71の機能維持・回復を行うと共に、描画装置11により基板W上に機能液を吐出する描画処理を行うようにしている。また、液滴吐出装置1には、上記の描画システム全体を制御する上位コンピュータ2に接続され液滴吐出装置1の各部を制御するコントローラ13(制御部122、図7参照)等が組み込まれている。さらに、図示しないが、液滴吐出装置1には、ロボットアームで構成された基板搬出入装置が添設されており、この基板搬出入装置を介して、液滴吐出装置1に基板Wが導入される。
【0031】
まず、液滴吐出装置1における描画装置11およびこれによる描画処理について説明する。描画装置11は、それぞれ複数(24個)の機能液滴吐出ヘッド71およびこれを搭載したキャリッジ62から成る複数(5個)のキャリッジユニット21と、共通架台上に設置され、基板Wを載置する吸着テーブル41を有し、基板WをX軸方向に移動させるX軸テーブル22と、X軸テーブル22を跨ぐようにして配設され、5個のキャリッジユニット21を個々にY軸方向に移動させるY軸テーブル23と、機能液を貯留する機能液タンク(図示省略)および各機能液滴吐出ヘッド71に供給する機能液の水頭圧を調整する圧力調整弁(図示省略)を有し、各機能液滴吐出ヘッド71に機能液を供給する機能液供給手段(図示省略)と、基板Wやキャリッジユニット21等を画像認識する各種カメラを有する画像認識手段24とを備えている。
【0032】
そして、X軸テーブル22による基板Wの移動軌跡と、Y軸テーブル23によるキャリッジユニット21の移動軌跡とが交わる領域が、描画処理を行う描画エリア31となっており、また、Y軸テーブル23によるキャリッジユニット21の移動軌跡上のX軸テーブル22から外側に外れた領域が、メンテナンスエリア32となっており、このメンテナンスエリア32に上記のメンテナンス手段12が設置されている。一方、X軸テーブル22の手前側の領域は、液滴吐出装置1に対する基板Wの搬出入を行う基板搬出入エリア33となっている。
【0033】
X軸テーブル22は、導入された基板Wを吸着セットする吸着テーブル41と、吸着テーブル41の下部に接続され、吸着テーブル41を介して基板Wのθ位置を微調整(θ補正)する基板θ軸テーブル42と、基板θ軸テーブル42を支持するセットテーブル43と、セットテーブル43をX軸方向にスライド自在に支持するX軸エアースライダ44と、X軸方向に延在し、吸着テーブル41を介して基板WをX軸方向に移動させる左右一対のX軸リニアモータ(図示省略)と、X軸リニアモータに並設され、X軸エアースライダ44の移動を案内する一対のX軸ガイドレール45,45と、吸着テーブル41の位置を把握するためのX軸リニアスケール(図示省略)とを備えている。そして、一対のX軸リニアモータを駆動すると、一対のX軸ガイドレール45,45をガイドにしながら、X軸エアースライダ44をX軸方向に移動し、吸着テーブル41にセットされた基板WがX軸方向に移動する。
なお、本実施形態では、基板W(吸着テーブル41)が基板搬出入エリア33側から描画エリア31側(図3の下側から上側)に移動するときを往動とし、描画エリア31側から基板搬出入エリア33側(同図の上側から下側)に移動するときを復動とする。
【0034】
吸着テーブル41は、平面視略正方形に形成され、その一辺の長さは、基板Wの長辺の長さに合わせて1800mmに設定されており、基板Wを縦置き(基板Wの長辺をX軸方向と平行にする)および横置き(基板Wの長辺をY軸方向と平行にする)のいずれか任意の向きで、且つセンター中心でセット可能になっている。もっとも、本実施形態では、基板Wを横置きでセットするものとする。
【0035】
そして、X軸テーブル22による往復動の範囲は、基板WのX軸方向の端から端まで(1500mm)を描画エリア31に臨ませるべく、2000mmとなっている。また、X軸テーブル22の移動速度は、200mm/秒である。したがって、X軸テーブル22による往復動には、片道10秒を要する。
【0036】
なお、セットテーブル43上には、吸着テーブル41に対し基板Wの往動側(図4の左側)に隣接して、ドット抜け検査台116が配設されている。このドット抜け検査台116には、上面に巻取り自在な検査紙が張設されており、この検査紙に対して全機能液滴吐出ヘッド71から検査用に機能液滴を吐出させ、その描画結果を後述するドット認識カメラ102で画像認識することで、ドット抜け、飛行曲がり等の不良吐出の有無が検査(ドット抜け検査)される。さらに、セットテーブル43上には、ドット抜け検査台116に対し基板Wの往動側に隣接して、定期フラッシングボックス114が設けられている。
【0037】
一方、Y軸テーブル23は、Y軸方向に延在する前後一対の支持スタンド56,56上に支持され、描画エリア31およびメンテナンスエリア32間を架け渡すと共に、5個のキャリッジユニット21を、描画エリア31とメンテナンスエリア32との間で個々に移動させるものである。Y軸テーブル23は、5個のキャリッジユニット21をそれぞれ垂設する5個のブリッジプレート51と、5個のブリッジプレート51がY軸方向に整列するよう、これを両持ちで支持する5組のY軸スライドテーブル(図示省略)と、Y軸方向に延在し、各組のY軸スライドテーブルを介して各ブリッジプレート51をY軸方向に移動させる前後一対のY軸リニアモータ(図示省略)と、Y軸方向に延在し、5個のブリッジプレート51の移動を案内する前後各2本(計4本)のY軸ガイドレール(図示省略)と、各キャリッジユニット21の移動位置を検出するY軸リニアスケール(図示省略)とを備えている。
【0038】
そして、一対のY軸リニアモータを駆動すると、5組のY軸スライドテーブルをそれぞれ独立して移動させ、5個のキャリッジユニット21を個別にY軸方向へ移動させることができる。もちろん、5組のY軸スライドテーブルを同時にY軸方向に移動させることにより、5個のキャリッジユニット21を一体としてY軸方向に移動させることも可能である。
なお、本実施形態では、単一のY軸テーブル23に5個のキャリッジユニット21を並べて搭載したが、複数のY軸テーブル23を設け、5個のキャリッジユニット21をこれらに分割して搭載してもよい。
【0039】
図示しないが、各ブリッジプレート51上には、対応する各キャリッジユニット21に搭載された24個の機能液滴吐出ヘッド71を吐出駆動するヘッド用電装ユニットと、これらに機能液を供給する24個の機能液タンク(図示省略)とが配設されている。5個のヘッド用電装ユニットは、相互に干渉することがないよう(ノイズ防止)、千鳥状に配置されており、5組の機能液タンクは、各ヘッド用電装ユニットに対峙するようにして、千鳥状に配置されている。
【0040】
5個のキャリッジユニット21は、Y軸テーブル23の5個のブリッジプレート51によりそれぞれ垂設されてY軸方向に並んでおり、各キャリッジユニット21は、24個の機能液滴吐出ヘッド71から成るヘッドユニット61(図5参照)と、ヘッドユニット61および24個の圧力調整弁を搭載するキャリッジ62とから構成されている。そして、5個のキャリッジユニット21は、キャリッジユニット21間相互の物理的干渉を回避すべく、X軸方向に互いに位置ずれして、千鳥状に配設されている。
なお、5個のキャリッジユニット21を、描画エリア31側からメンテナンスエリア32側に向けて(図3の右側から左側に向けて)順に第1キャリッジユニット21a、第2キャリッジユニット21b、・・・、第5キャリッジユニット21eとする。
【0041】
各キャリッジ62は、ヘッドユニット61および24個の圧力調整弁を位置決め固定する支持プレート(図示省略)と、支持プレートを保持するキャリッジ本体66と、キャリッジ本体66を吊設すると共に、キャリッジ本体66の上部に連結され、キャリッジ本体66を介してヘッドユニット61のθ位置を微調整(θ軸補正)するヘッドθ軸テーブル67と、ヘッドθ軸テーブル67の上部に連結され、ヘッドθ軸テーブル67およびキャリッジ本体66を介してヘッドユニット61のZ位置を微調整(Z軸補正)するヘッドZ軸テーブル68とを有している。なお、図示しないが、各支持プレートには、画像認識を前提として、各キャリッジユニット21(ヘッドユニット61)をX軸、Y軸およびθ軸方向に位置決め(位置認識)するための基準となる一対の基準ピンが設けられている。
【0042】
図5に示すように、ヘッドユニット61は、24個の機能液滴吐出ヘッド71と、ステンレス等から成る平面視略平行四辺形の厚板で構成され、24個の機能液滴吐出ヘッド71を位置決めするヘッドプレート72と、各機能液滴吐出ヘッド71を裏面側から固定するヘッド保持部材73とを有している。なお、24個の機能液滴吐出ヘッド71は、3個ずつ8群のヘッド群71uに分割されている。
【0043】
図6に示すように、機能液滴吐出ヘッド71は、いわゆる2連のものであり、2連の接続針82を有する機能液導入部81と、機能液導入部81に連なる2連のヘッド基板83と、機能液導入部81の下方(同図では上方)に連なり、内部に機能液で満たされるヘッド内流路が形成されたヘッド本体84とを備えている。接続針82は、圧力調整弁を介して機能液タンクに接続され、機能液滴吐出ヘッド71のヘッド内流路に機能液を供給する。また、ヘッド基板83には、2連のコネクタ85,85が設けられており、各コネクタ85は、フレキシブルフラットケーブルを介して上記のヘッド用電装ユニット(ヘッドドライバ131、図7参照)に接続されている。
【0044】
ヘッド本体84は、ピエゾ素子等で構成されたキャビティ91と、2本のノズル列94,94を相互に平行に形成したノズル面93を有するノズルプレート92とを有している。各ノズル列94の長さは、1インチ(25.4mm)であって、各ノズル列94は180個のノズル95が等ピッチ(140μm)で並べられて構成されている。そして、両ノズル列94は、互いにノズル列方向に半ピッチ(70μm)分ずれており、ドット密度(解像度)は360dpiである。
【0045】
また、ヘッド内流路の構造上、両端部に位置するノズル95からの吐出量が中央部に位置するノズル95からの吐出量に比べて多くなってしまうため、両端部の各10個のノズル95を不吐出ノズルとし、中央部の160個のノズル95を吐出ノズルとして、吐出ノズルのみから機能液を吐出し、不吐出ノズルからは機能液を吐出しないようにしている。そのため、各ノズル列94のうち中央部の160個の吐出ノズルにより部分描画ラインLp(図5参照)が構成される。
【0046】
図5に示すように、各群3個の機能液滴吐出ヘッド71は、それぞれ2本のノズル列94,94をY軸方向と平行にすると共に、Y軸方向において互いに同位置に配置されており、同図の上側から順に、R・G・B3色の機能液をそれぞれ導入したR系機能液滴吐出ヘッド71R、G系機能液滴吐出ヘッド71G、B系機能液滴吐出ヘッド71Bとなっている。すなわち、各キャリッジユニット21の24個の機能液滴吐出ヘッド71は、Rの機能液滴を吐出する8個のR系機能液滴吐出ヘッド71Rと、Gの機能液滴を吐出する8個のG系機能液滴吐出ヘッド71Gと、Bの機能液滴を吐出する8個のB系機能液滴吐出ヘッド71Bとから構成される。
【0047】
そして、各キャリッジユニット21の8群のヘッド群71uのうち、4群のヘッド群71uを、各色4個の機能液滴吐出ヘッド71の複数のノズル95(吐出ノズル)がY軸方向に連続するように、ヘッド群71u毎にY軸方向にずらしながら階段状に配設し、さらに、他の4群のヘッド群71uを、上記の4群のヘッド群71uに対しY軸方向に列替えして、上記と同様の階段状に配設している。
なお、各機能液滴吐出ヘッド71は、コネクタ85がヘッドプレート72の外側に位置し、ヘッド本体84がヘッドプレート72の内側に位置ヘッドプレート72に固定されている。
【0048】
そして、各キャリッジユニット21の各色の全(8個)機能液滴吐出ヘッド71の全ノズル95(吐出ノズル)により、各色の部分描画ラインLpが構成され、各色の全(5本)部分描画ラインLpがY軸方向に連続して、各色の最大幅描画ラインLmが構成される。そのため、部分描画ラインLpの長さは、180.6mm(25.4mm/180×160×8)であり、最大幅描画ラインLmの長さは、903mm(180.6mm×5)である。これによれば、標準的なノズル数の機能液滴吐出ヘッド71を複数用いて、描画ラインLを構成することができると共に、各色の複数の機能液滴吐出ヘッド71を複数のキャリッジ62に分散して搭載することで、各キャリッジユニット21を構成する機能液滴吐出ヘッド71の個数が少なくなるため、キャリッジユニット21毎になされる機能液滴吐出ヘッド71の相互の位置合わせや機能液滴吐出ヘッド71の交換作業を容易に行うことができる。
【0049】
詳細は後述するが、この液滴吐出装置1は、各フィルタ領域Fに対し、1回の主走査で3色の機能液滴を吐出・着弾させるものである。そのため、必ずしも全キャリッジユニット21により色別複数の最大幅描画ラインLmを構成した状態で描画処理を行わず、少なくとも1個のキャリッジユニット21により、k個(kは、基板WのY軸方向に並ぶフィルタ領域の個数nの約数且つk≠n)のフィルタ領域のY軸方向の幅である領域描画幅Rに対応する色別複数の描画ラインLを構成した状態で、描画処理を行う。すなわち、X軸テーブル22に搭載した基板Wの領域描画幅Rに対応する色別複数の描画ラインLを構成する最小個数のキャリッジユニット21から成る稼動ユニット群26を描画エリア31に移動させると共に、描画エリア31に臨む基板Wに対し、稼動ユニット群26を相対的に移動させながら、その機能液滴吐出ヘッド71から基板W上に機能液を吐出して描画処理を行い、且つ、稼動ユニット群26以外のキャリッジユニット21から成る描画待機ユニット群27をメンテナンスエリア32に移動させると共に、その各機能液滴吐出ヘッド71を機能維持状態に保管するメンテナンス処理を行うようになっている(図9、図13参照)。
【0050】
具体的には、X軸テーブル22に搭載した基板Wが3面取り基板Wtである場合、上述したように、3面取り基板Wtは、n=3であることから、k=1であり、その領域描画幅Rは、540mmである。そのため、3面取り基板Wtの領域描画幅Rに対応する各色の描画ラインLを構成するキャリッジユニット21の最小個数は、3個となる。すなわち、稼動ユニット群26は、3個のキャリッジユニット21から構成される(図9参照)。
【0051】
また、X軸テーブル22に搭載した基板Wが8面取り基板Weである場合、上述したように、8面取り基板Weは、n=4であることから、k=1または2である。k=1のとき、その領域描画幅Rは、350mmである。そのため、8面取り基板Weの領域描画幅Rに対応する描画ラインLを構成するキャリッジユニット21の最小個数は、2個となる。すなわち、稼動ユニット群26は、2個のキャリッジユニット21から構成される。また、k=2のとき、その領域描画幅Rは、720mmである。そのため、8面取り基板Weの領域描画幅Rに対応する描画ラインLを構成するキャリッジユニット21の最小個数は、4個となる。すなわち、稼動ユニット群26は、4個のキャリッジユニット21から構成される(図13参照)。
【0052】
本実施形態では、X軸テーブル22に搭載可能な基板Wの最長の領域描画幅Rが720mm(8面取り基板Weでk=2の場合)であり、この最長の領域描画幅Rは、全(5個)キャリッジユニット21に対応する各色の全(5本)部分描画ラインLpから構成される最大幅描画ラインLm(903mm)によりカバーされる。
なお、4個のキャリッジユニット21から構成される描画ラインL(720mm)によっても、この最長の領域描画幅をカバー可能であるから、5個のキャリッジユニット21に代えて、4個のキャリッジユニット21を備えた構成であってもよい。また、搭載可能な基板Wの最長の領域描画幅Rに応じて、キャリッジユニット21の個数を変更することが好ましい。
【0053】
図示しないが、機能液供給手段は、各キャリッジユニット21の24個の機能液滴吐出ヘッド71に対応して、機能液を貯留する24個の機能液タンクから成るタンクユニットと、各機能液タンクおよび各機能液滴吐出ヘッド71間の水頭圧を調整する24個の圧力調整弁と、各圧力調整弁を介して、各機能液タンクおよび機能液滴吐出ヘッドを接続する給液チューブとを有している。24個の機能液タンクは、R・G・Bそれぞれ8個の機能液滴吐出ヘッド71に対応するように、Rの機能液を貯留する8個の機能液タンクと、Gの機能液を貯留する8個の機能液タンクと、Bの機能液を貯留する8個の機能液タンクとから構成される。そして、各機能液タンクの機能液が、給液チューブおよび圧力調整弁を介して、対応する機能液滴吐出ヘッド71に導入される。
【0054】
図2ないし図4に示すように、画像認識手段24は、基板搬出入エリア33の前後両側に臨むように配設され、基板Wの両長辺部分にそれぞれ形成された2つの基板アライメントマークをそれぞれ画像認識する2台の基板認識カメラ101と、X軸テーブル22のX軸エアースライダ44に連結され、各キャリッジ62(支持プレート)の2つの基準ピンを画像認識するヘッド認識カメラ(図示省略)と、上記のY軸テーブル23に添設されたカメラ移動機構(図示省略)によりY軸方向に移動可能にそれぞれ搭載され、基板W等に吐出された機能液滴(ドット)を画像認識する2台のドット認識カメラ102とを有している。これらの各種カメラの画像認識結果に基づいて、基板Wやヘッドユニット61の位置補正および上記のドット抜け検査が行われる。
【0055】
次に、図2ないし図4を参照して、液滴吐出装置1におけるメンテナンス手段12およびこれによる機能液滴吐出ヘッド71の機能維持・回復処理について説明する。メンテナンス手段12は、稼動ユニット群26以外のメンテナンスエリア32側のキャリッジユニット21から成る描画待機ユニット群27に搭載された機能液滴吐出ヘッド71を、吐出機能を維持した状態で保管すると共に、吐出機能を回復するものである。
【0056】
メンテナンス手段12は、メンテナンスエリア32に配設されており、機能液滴吐出ヘッド71内で増粘した機能液を除去するための吸引(クリーニング)を行う5個の吸引ユニット111と、機能液滴吐出ヘッド71のノズル面93を払拭する2個のワイピングユニット112と、5個の吸引ユニット111および2個のワイピングユニット112をそれぞれ個別に昇降可能に支持する7個のユニット昇降機構(図示省略)と、これらを支持するアングル架台113とを備えている。さらに、メンテナンス手段12は、ワイピングユニット112の描画エリア31側に配設された飛行観測ユニット117と、上記のセットテーブル43上に配設された定期フラッシングボックス114と、吸着テーブル41の前後両側に配設された一対の描画前フラッシングボックス115,115とを有している。
【0057】
5個の吸引ユニット111は、5個のキャリッジユニット21にそれぞれ対応しており、各吸引ユニット111は、各キャリッジユニット21に対して下方から臨み、24個の機能液滴吐出ヘッド71のノズル面93にそれぞれ封止させる24個のキャップ(図示省略)を備えている。これにより、各機能液滴吐出ヘッド71のノズル95の機能液が乾燥して吐出機能が低下することを防止できる。さらに、各キャップをノズル面93に封止させた状態でノズル95から機能液を吸引し、機能液滴吐出ヘッド71内で増粘した機能液を排出する。
【0058】
2個のワイピングユニット112は、吸引ユニット111の描画エリア31側に配設され、5個のキャリッジユニット21の千鳥配置に対応して、X軸方向に並んでいる。各ワイピングユニット112は、機能液滴吐出ヘッド71の吸引等により、機能液が付着して汚れたノズル面93を、ワイピングシート112aを用いて拭き取る。そして、上記の吸引処理と、このワイピングとにより、ノズル詰まりの生じた機能液滴吐出ヘッド71の吐出機能を回復させることができる。
【0059】
飛行観測ユニット117は、CCDカメラおよびストロボ等から構成されており、各機能液滴吐出ヘッド71をから吐出された機能液滴の飛行状態を撮像して、その画像認識結果に基づいて、機能液滴の飛行曲がりやサテライト(吐出された液体に起因して霧状に浮遊する微粒子)の有無、およびノズルの目詰まりがあるか否か等を検査している。
【0060】
定期フラッシングボックス114は、基板Wの交換時等に行う定期フラッシングを受けるためのものである。上記のセットテーブル43上に設けられており、基板Wの交換のために吸着テーブル41が基板搬出入エリア33に臨むとき、定期フラッシングボックス114が描画エリア31に臨み、機能液滴吐出ヘッド71の全ノズル95(吐出ノズル)からの捨て吐出を受けるようになっている。この定期フラッシングにより、機能液滴吐出ヘッド71のノズル95が乾燥して吐出機能が低下すること(ノズル詰まり)を防止できる。
【0061】
一対の描画前フラッシングボックス115,115は、基板Wに機能液を吐出させる直前(一連の描画動作中)に行う描画前フラッシングを受けるためのものである。吸着テーブル41をX軸方向に挟むように配設されており、基板Wの往復動に伴う機能液滴吐出ヘッド71の吐出駆動の直前に行われる全ノズル95(吐出ノズル)からの捨て吐出を受けるようになっている。この描画前フラッシングにより、機能液滴吐出ヘッド71からの機能液滴の吐出が安定した状態で、基板Wに機能液滴を吐出することができる。
【0062】
定期フラッシングボックス114および一対の描画前フラッシングボックス115,115は、上面を開放した平面視長方形の箱状にそれぞれ形成されており、その上面には、機能液を吸収させる吸収材(図示省略)が敷設されている。また、定期フラッシングボックスの長辺(Y軸方向)は、稼動ユニット群26が全キャリッジユニット21により構成されている場合にもフラッシングを受け得るようにすべく、上記の最大幅描画ラインLmの長さ(903mm)に対応させて形成している(上記のドット抜け検査台116も同様)。一方、一対の描画前フラッシングボックス115,115の長辺(Y軸方向)は、一連の描画動作中に稼動ユニット群26の各キャリッジユニット21を副走査させることから(後述する)、基板WのY軸方向の幅(1800mm)に対応させて形成している。
【0063】
次に、図7を参照して、液滴吐出装置1全体の制御系について説明する。液滴吐出装置1の制御系は、基本的に、上記の上位コンピュータ2と、機能液滴吐出ヘッド71、X軸テーブル22、Y軸テーブル23、メンテナンス手段12等を駆動する各種ドライバを有する駆動部121と、駆動部121を含め液滴吐出装置1全体を統括制御する制御部122(コントローラ13)とを備えている。
【0064】
上位コンピュータ2は、コントローラ13に接続されたコンピュータ本体126に、キーボード127や、キーボード127による入力結果等を画像表示するディスプレイ128等が接続されて構成されている。
【0065】
駆動部121は、機能液滴吐出ヘッド71を吐出駆動制御するヘッドドライバ131と、X軸テーブル22およびY軸テーブル23の各モータをそれぞれ駆動制御する移動用ドライバ132と、メンテナンス手段12の各ユニットを駆動制御するメンテナンス用ドライバ133とを備えている。
【0066】
制御部122は、CPU141と、ROM142と、RAM143と、P−CON144とを備え、これらは互いにバス145を介して接続されている。ROM142は、CPU141で処理する制御プログラム等を記憶する制御プログラム領域と、描画動作や画像認識を行うための制御データ等を記憶する制御データ領域とを有している。
【0067】
RAM143は、各種レジスタ群のほか、基板Wに機能液の吐出を行うための描画データを記憶する描画データ記憶部、基板Wおよび機能液滴吐出ヘッド71の位置データを記憶する位置データ記憶部等の各種記憶部を有し、制御処理のための各種作業領域として使用される。
【0068】
P−CON144には、駆動部121の各種ドライバのほか、画像認識手段24の各種カメラが接続されており、CPU141の機能を補うと共に、周辺回路とのインタフェース信号を取り扱うための論理回路が構成されて組み込まれている。このため、P−CON144は、上位コンピュータ2からの各種指令等をそのままあるいは加工してバス1455に取り込むと共に、CPU141と連動して、CPU141等からバス145に出力されたデータや制御信号を、そのままあるいは加工して駆動部121に出力する。
【0069】
そして、CPU141は、ROM142内の制御プログラムに従って、P−CON144を介して各種検出信号、各種指令、各種データ等を入力し、RAM143内の各種データ等を処理した後、P−CON144を介して駆動部121等に各種の制御信号を出力することにより、液滴吐出装置1全体を制御している。例えば、CPU141は、機能液滴吐出ヘッド71、X軸テーブル22およびY軸テーブル23を制御して、所定の液滴吐出条件および所定の移動条件で基板Wに描画を行う。
【0070】
ここで、図8ないし図14を参照して、本実施形態の液滴吐出装置1による描画制御について詳細に説明する。この液滴吐出装置1は、上述したように、稼動ユニット群26を描画エリア31に移動させると共に、描画エリア31に臨む基板Wに対し、稼動ユニット群26を相対的に移動させながら、その機能液滴吐出ヘッド71(図5参照)から基板W上に機能液を吐出して描画処理を行い、且つ、描画待機ユニット群27をメンテナンスエリア32に移動させると共に、その機能液滴吐出ヘッド71を機能維持状態に保管するメンテナンス処理を行う。この描画処理およびメンテナンス処理は、コントローラ13により、描画装置11の各装置およびメンテナンス手段12の各ユニットを制御して行われる。
【0071】
はじめに、2種類の基板Wのうち、3面取り基板Wtに対して行われる描画処理について説明する。まず、X軸テーブル22に3面取り基板Wtをセットする。続いて、上記の基板認識カメラ101により、セットされた3面取り基板Wtを撮像し、その画像認識結果に基づいて、上記の基板θ軸テーブル42によるθ軸方向の位置補正と、ワークWのX軸方向およびY軸方向の位置データ補正とを行う。なお、予め、上記のヘッド認識カメラによる画像認識結果に基づいて、各キャリッジユニット21のヘッドユニット61の位置を補正済みである。
【0072】
この3面取り基板Wtのセット作業と相前後して、上記の3面取り基板Wtの領域描画幅R(540mm)に対応する色別複数の描画ラインLを構成できるように、3個のキャリッジユニット21により稼動ユニット群26を構成する。すなわち、オペレータは、上記のキーボード127により、描画エリア31側の3個のキャリッジユニット21(第1〜第3キャリッジユニット21a〜c)を稼動ユニット群26として設定し、メンテナンスエリア32側の2個のキャリッジユニット21(第4・第5キャリッジユニット21d・e)を描画待機ユニット群27として設定する。
なお、このユニット群仕分け設定は、このようにオペレータが各キャリッジユニット21を稼動ユニット群26および描画待機ユニット群27のいずれかに仕分けすることで行われるほか、オペレータが導入される基板Wの領域描画幅Rを入力し、コントローラ13がその入力値に基づいて仕分けをしてもよい。
【0073】
次に、Y軸テーブル23を駆動制御して、稼動ユニット群26として設定された第1〜第3キャリッジユニット21a〜cを描画エリア31に残したまま、描画待機ユニット群27として設定された第4・第5キャリッジユニット21d・eをメンテナンスエリア32に移動する(図8参照)。なお、3面取り基板Wtへの吐出が行われるまでの間、稼動ユニット群26の各機能液滴吐出ヘッド71から上記の定期フラッシングボックス114に対し捨て吐出をする。
【0074】
このように吐出前の準備が行われた後、3面取り基板Wtの各フィルタ領域Fに対する描画処理が行われる。このとき、領域描画幅R(540mm)に対応するように、第1〜第3キャリッジユニット21a〜cの各色の全(8×3個)機能液滴吐出ヘッド71のそれぞれ全ノズル95(吐出ノズル)により各色の描画ラインLを構成するように制御し、この状態で描画処理が行われる。
なお、X軸テーブル22に搭載された基板Wの領域描画幅Rが、例えば530mmである場合には、上記のように各色の全機能液滴吐出ヘッド71のそれぞれ全ノズル95(吐出ノズル)により各色の描画ラインLを構成するのではなく、Y軸方向の一方の外側に位置する各色の機能液滴吐出ヘッド71の一部(10mm分に相当)のノズル95(吐出ノズル)を除いた複数のノズル95(吐出ノズル)により各色の描画ラインLを構成するように制御する。
【0075】
描画装置11は、Y軸テーブル23を駆動して、稼動ユニット群26の第1〜第3キャリッジユニット21a〜cを第1フィルタ領域Faに臨ませる。そして、3面取り基板WtをX軸テーブル22によりX軸方向に往動させると共に、これに同期して稼動ユニット群26の各機能液滴吐出ヘッド71を選択的に駆動させて、ストライプ配列の配色パターンとなるように、第1フィルタ領域Faの複数の画素領域507aに3色の機能液滴をそれぞれ吐出・着弾させる。続いて、3面取り基板Wtを復動させながら、再度第1フィルタ領域Faに対する機能液の吐出を行う。そして、各画素領域507aに所定量の機能液を吐出・着弾させるべく、このような3面取り基板WtのX軸方向への往動・復動および機能液滴吐出ヘッド71の駆動を複数回(例えば往動2回、復動2回)行う。このようにして、第1回目の主走査が行われ、第1フィルタ領域Faに対する描画処理が完了する(図9参照)。1回の主走査に要する時間は40秒(10秒×4回の往動・復動)である。
なお、3面取り基板Wtの往動・復動毎に、Y軸テーブル23により稼動ユニット群26の各キャリッジユニット21をY軸方向に微小距離(例えば、ノズルピッチの1/8の寸法分)移動させることが好ましく、これによれば、各画素領域507Aの全域に隈なく機能液滴を吐出・着弾させることができる。
【0076】
第1フィルタ領域Faに対する描画処理が完了すると、Y軸テーブル23により稼動ユニット群26の各キャリッジユニット21をY軸方向に描画ラインL分移動させ(副走査)、第1〜第3キャリッジユニット21a〜cを第2フィルタ領域Fbに臨ませる。以下、第1フィルタ領域Faに対する描画処理と同様にして、第2フィルタ領域Fbに対する描画処理(第2回目の主走査)を行う(図10参照)。
【0077】
さらに、第2フィルタ領域Fbに対する描画処理が完了すると、Y軸テーブル23により稼動ユニット群26の各キャリッジユニット21をY軸方向に描画ラインL分移動させ(副走査)、第1〜第3キャリッジユニット21a〜cを第3フィルタ領域Fcに臨ませる。以下、第1・第2フィルタ領域Fa・bに対する描画処理と同様にして、第3フィルタ領域Fcに対する描画処理(第2回目の主走査)を行う。以上のようにして、3面取り基板Wtの全フィルタ領域Fに対する描画処理が完了する(図11参照)。
【0078】
なお、この3回目の主走査の最後の復動時に、上記のドット抜け検査台116に対し、ドット抜け検査用の吐出を行う。本実施形態では、ドット抜け検査台116を、吸着テーブル41に対し、図3の左側の寄せて(Y軸方向において定期フラッシングボックス114と同位置に)配設しているため、3面取り基板Wtの図示右側から左側に向けて(第1フィルタ領域Faから順に)描画を行うが、ドット抜け検査台116を、吸着テーブル41に対し、図3の右側の寄せて(定期フラッシングボックス114の斜め向かいに)配設し、3面取り基板Wtの図示左側から右側に向けて(第3フィルタ領域Fcから順に)描画を行ってもよい。これによれば、描画処理前に定期フラッシングボックス114に対し捨て吐出を行っている各機能液滴吐出ヘッド71を、Y軸方向に移動させることなく、即座に描画処理に移行させることができる。
【0079】
このように、色別複数の描画ラインLと、領域描画幅Rとを対応させた状態で、機能液滴の吐出・着弾がなされることで、各フィルタ領域Fに対して1回の主走査で機能液滴の吐出・着弾がなされ、各フィルタ領域Fに対して複数回の主走査で描画処理が行われることがない。
【0080】
この点、仮に、各フィルタ領域Fに対して、2回の主走査で機能液滴の吐出・着弾がなされるとすると、第1回目の主走査(の2回目の復動)の40秒後に第2回目の主走査(の2回目の復動)が行われることから、第1回目の主走査が行われた範囲と、第2回目の主走査が行われた範囲との間で、各画素領域507aに機能液滴が吐出・着弾してから乾燥処理が行われるまでの時間が40秒相違するため、乾燥処理における溶剤の気化量が互いに異なるものとなってしまう。しかし、本実施形態では、各フィルタ領域Fにおいて、各画素領域507aに機能液滴が吐出・着弾してから乾燥処理が行われるまでの時間が略同一となり、機能液の溶剤の気化量が均一な状態で乾燥処理が行われることになり、乾燥ムラの生ずることがない。したがって、3面取り基板Wtに対し、フィルタ領域F内で色ムラの生ずることなく、描画処理を行うことができる。
【0081】
一方、メンテナンスエリア32に移動した描画待機ユニット群27(第4・第5キャリッジユニット21d・e)に対しては、対応する吸引ユニット111により、各機能液滴吐出ヘッド71を封止して、機能維持状態に保管しておく(図8ないし図11参照)。これによれば、稼動ユニット群26を描画エリア31に移動させて、その機能液滴吐出ヘッド71により描画処理を行っている間、描画待機ユニット群27をメンテナンスエリア32に移動させて、その機能液滴吐出ヘッド71を、吐出機能を維持した状態で保管することができる。
【0082】
次に、8面取り基板Weに対して行われる描画処理について説明する。なお、8面取り基板Weでは、上述したように、2個のキャリッジユニット21により稼動ユニット群26を構成し、350mm(k=1)の領域描画幅Rに対応する色別複数の描画ラインLを構成する場合と、4個のキャリッジユニット21により稼動ユニット群26を構成し、720mm(k=2)の領域描画幅Rに対応する色別複数の描画ラインLを構成する場合とがあるが、ここでは4個のキャリッジユニット21により稼動ユニット群26を構成する場合について主に説明する。まず、X軸テーブル22に8面取り基板Weをセットし、上記と同様にして、8面取り基板Weに対する位置補正が行われる。続いて、上記と同様にして、8面取り基板Weの領域描画幅R(720mm)に対応する色別複数の描画ラインLを構成できるように、第1〜第4キャリッジユニット21a〜dを稼動ユニット群26として設定すると共に、第5キャリッジユニット21eを描画待機ユニット群27として設定する。
【0083】
次に、Y軸テーブル23を駆動制御して、稼動ユニット群26として設定された第1〜第4キャリッジユニット21a〜dを描画エリア31に残したまま、描画待機ユニット群27として設定された第5キャリッジユニット21eをメンテナンスエリア32に移動する(図12参照)。
【0084】
このように吐出前の準備が行われた後、8面取り基板Weの各フィルタ領域Fに対する描画処理が行われる。このとき、上記と同様に、領域描画幅R(720mm)に対応するように、第1〜第4キャリッジユニット21a〜dの各色の全(8×4個)機能液滴吐出ヘッド71のそれぞれ全ノズル95(吐出ノズル)により各色の描画ラインLを構成するように制御し、この状態で描画処理が行われる。
【0085】
描画装置11は、Y軸テーブル23を駆動して、稼動ユニット群26の第1〜第4キャリッジユニット21a〜dを第1・第2フィルタ領域Fa・b(および第5・第6フィルタ領域Fe・f)に臨ませる。そして、8面取り基板WeをX軸テーブル22によりX軸方向に往動させると共に、これに同期して稼動ユニット群26の各機能液滴吐出ヘッド71を選択的に駆動させて、ストライプ配列の配色パターンとなるように、第1・第2フィルタ領域Fa・bおよび第5・第6フィルタ領域Fe・fの複数の画素領域507aに3色の機能液滴をそれぞれ吐出・着弾させる。続いて、3面取り基板Wtを復動させながら、再度第1・第2フィルタ領域Fa・bおよび第5・第6フィルタ領域Fe・fに対する機能液の吐出を行う。そして、上記と同様に、各画素領域507aに所定量の機能液を吐出・着弾させるべく、このような8面取り基板WeのX軸方向への往動・復動および機能液滴吐出ヘッド71の駆動を複数回(例えば往動2回、復動2回)行う。このようにして、第1回目の主走査が行われ、第1・第2フィルタ領域Fa・bおよび第5・第6フィルタ領域Fe・fに対する描画処理が完了する(図13参照)。
【0086】
第1・第2フィルタ領域Fa・bおよび第5・第6フィルタ領域Fe・fに対する描画処理が完了すると、Y軸テーブル23により稼動ユニット群26の各キャリッジユニット21をY軸方向に描画ラインL分移動させ(副走査)、第1〜第4キャリッジユニット21a〜dをの第3・第4フィルタ領域Fc・d(および第7・第8フィルタ領域Fg・h)に臨ませる。以下、第1・第2フィルタ領域Fa・bおよび第5・第6フィルタ領域Fe・fに対する描画処理と同様にして、第3・第4フィルタ領域Fc・dおよび第7・第8フィルタ領域Fg・hに対する描画処理(第2回目の主走査)を行う。以上のようにして、8面取り基板Weの全フィルタ領域Fに対する描画処理が完了する(図14参照)。
【0087】
このように、8面取り基板Weに対しても、色別複数の描画ラインLと、領域描画幅Rとを対応させた状態で、機能液滴の吐出・着弾がなされることで、各フィルタ領域Fに対して1回の主走査で機能液滴の吐出・着弾がなされ、各フィルタ領域Fに対して複数回の主走査で描画処理が行われることがない。したがって、8面取り基板Weに対し、フィルタ領域F内で色ムラの生ずることなく、描画処理を行うことができる。
【0088】
一方、この場合も、メンテナンスエリア32に移動した描画待機ユニット群27(第5キャリッジユニット21e)に対しては、対応する吸引ユニット111により、各機能液滴吐出ヘッド71を封止して、機能維持状態に保管しておくことで、その機能液滴吐出ヘッド71を、吐出機能を維持した状態で保管することができる。
【0089】
以上、8面取り基板Weに対し、4個のキャリッジユニット21により稼動ユニット群26を構成し、720mm(k=2)の領域描画幅Rに対応する色別複数の描画ラインLを構成する場合について説明したが、2個のキャリッジユニット21により稼動ユニット群26を構成し、350mm(k=1)の領域描画幅Rに対応する色別複数の描画ラインLを構成する場合についても、同様に、各フィルタ領域Fに対して1回の主走査で機能液滴の吐出・着弾がなされ、各フィルタ領域Fに対して複数回の主走査で描画処理が行われることがない。すなわち、2個のキャリッジユニット21の全機能液滴吐出ヘッド71の全ノズル95(吐出ノズル)により構成される色別複数の描画ラインL(350mm)と、領域描画幅R(350mm)とを対応させ、第1回目の主走査で第1・第5フィルタ領域Fa・eに対し描画処理が行われ、第2回目の主走査で第2・第6フィルタ領域Fb・fに対し描画処理が行われ、第3回目の主走査で第3・第7フィルタ領域Fc・gに対し描画処理が行われ、第4回目の主走査で第4・第8フィルタ領域Fd・hに対し描画処理が行われる。したがって、8面取り基板Weに対し、フィルタ領域F内で色ムラの生ずることなく、描画処理を行うことができる。
【0090】
また、本実施形態の液滴吐出装置1を、R・G・B3色のうちいずれか1色の機能液を吐出・着弾させる構成とし、3台の液滴吐出装置1により、それぞれ基板W上に1色の着色層508を順次形成するようにしてもよい。この場合も、各色の描画処理において、各フィルタ領域Fに対して1回の主走査で描画可能であるため、複数取り形式の基板Wに対し、フィルタ領域F内で色ムラの生ずることなく、描画処理を行うことができる。
【0091】
さらに、後述するように、本実施形態の液滴吐出装置1を用いて、カラーフィルタ以外の電気光学装置を製造することも可能である。この場合も、複数取り形式の各種基板Wに対し、フィルタ領域F内で乾燥ムラの生ずることなく、描画処理を行うことができる。
【0092】
次に、本実施形態の液滴吐出装置1を用いて製造される電気光学装置(フラットパネルディスプレイ)として、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、プラズマディスプレイ(PDP装置)、電子放出装置(FED装置、SED装置)、さらにこれら表示装置に形成されてなるアクティブマトリクス基板等を例に、これらの構造およびその製造方法について説明する。なお、アクティブマトリクス基板とは、薄膜トランジスタ、および薄膜トランジスタに電気的に接続するソース線、データ線が形成された基板をいう。
【0093】
まず、液晶表示装置や有機EL装置等に組み込まれるカラーフィルタの製造方法について説明する。図15は、カラーフィルタの製造工程を示すフローチャート、図16は、製造工程順に示した本実施形態のカラーフィルタ500(フィルタ基体500A)の模式断面図である。
まず、ブラックマトリクス形成工程(S11)では、図16(a)に示すように、基板(W)501上にブラックマトリクス502を形成する。ブラックマトリクス502は、金属クロム、金属クロムと酸化クロムの積層体、または樹脂ブラック等により形成される。金属薄膜からなるブラックマトリクス502を形成するには、スパッタ法や蒸着法等を用いることができる。また、樹脂薄膜からなるブラックマトリクス502を形成する場合には、グラビア印刷法、フォトレジスト法、熱転写法等を用いることができる。
【0094】
続いて、バンク形成工程(S12)において、ブラックマトリクス502上に重畳する状態でバンク503を形成する。即ち、まず図16(b)に示すように、基板501およびブラックマトリクス502を覆うようにネガ型の透明な感光性樹脂からなるレジスト層504を形成する。そして、その上面をマトリクスパターン形状に形成されたマスクフィルム505で被覆した状態で露光処理を行う。
さらに、図16(c)に示すように、レジスト層504の未露光部分をエッチング処理することによりレジスト層504をパターニングして、バンク503を形成する。なお、樹脂ブラックによりブラックマトリクスを形成する場合は、ブラックマトリクスとバンクとを兼用することが可能となる。
このバンク503とその下のブラックマトリクス502は、各画素領域507aを区画する区画壁部507bとなり、後の着色層形成工程において機能液滴吐出ヘッド71により着色層(成膜部)508R、508G、508Bを形成する際に機能液滴の着弾領域を規定する。
【0095】
以上のブラックマトリクス形成工程およびバンク形成工程を経ることにより、上記フィルタ基体500Aが得られる。
なお、本実施形態においては、バンク503の材料として、塗膜表面が疎液(疎水)性となる樹脂材料を用いている。そして、基板(ガラス基板)501の表面が親液(親水)性であるので、後述する着色層形成工程においてバンク503(区画壁部507b)に囲まれた各画素領域507a内への液滴の着弾位置のばらつきを自動補正できる。
【0096】
次に、着色層形成工程(S13)では、図16(d)に示すように、機能液滴吐出ヘッド71によって機能液滴を吐出して区画壁部507bで囲まれた各画素領域507a内に着弾させる。この場合、機能液滴吐出ヘッド71を用いて、R・G・Bの3色の機能液(フィルタ材料)を導入して、機能液滴の吐出を行う。なお、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライプ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0097】
その後、乾燥処理(加熱等の処理)を経て機能液を定着させ、3色の着色層508R、508G、508Bを形成する。着色層508R、508G、508Bを形成したならば、保護膜形成工程(S14)に移り、図16(e)に示すように、基板501、区画壁部507b、および着色層508R、508G、508Bの上面を覆うように保護膜509を形成する。
即ち、基板501の着色層508R、508G、508Bが形成されている面全体に保護膜用塗布液が吐出された後、乾燥処理を経て保護膜509が形成される。
そして、保護膜509を形成した後、カラーフィルタ500は、次工程の透明電極となるITO(Indium Tin Oxide)などの膜付け工程に移行する。
【0098】
図17は、上記のカラーフィルタ500を用いた液晶表示装置の一例としてのパッシブマトリックス型液晶装置(液晶装置)の概略構成を示す要部断面図である。この液晶装置520に、液晶駆動用IC、バックライト、支持体などの付帯要素を装着することによって、最終製品としての透過型液晶表示装置が得られる。なお、カラーフィルタ500は図16に示したものと同一であるので、対応する部位には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0099】
この液晶装置520は、カラーフィルタ500、ガラス基板等からなる対向基板521、および、これらの間に挟持されたSTN(Super Twisted Nematic)液晶組成物からなる液晶層522により概略構成されており、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置している。
なお、図示していないが、対向基板521およびカラーフィルタ500の外面(液晶層522側とは反対側の面)には偏光板がそれぞれ配設され、また対向基板521側に位置する偏光板の外側には、バックライトが配設されている。
【0100】
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層側)には、図17において左右方向に長尺な短冊状の第1電極523が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極523のカラーフィルタ500側とは反対側の面を覆うように第1配向膜524が形成されている。
一方、対向基板521におけるカラーフィルタ500と対向する面には、カラーフィルタ500の第1電極523と直交する方向に長尺な短冊状の第2電極526が所定の間隔で複数形成され、この第2電極526の液晶層522側の面を覆うように第2配向膜527が形成されている。これらの第1電極523および第2電極526は、ITOなどの透明導電材料により形成されている。
【0101】
液晶層522内に設けられたスペーサ528は、液晶層522の厚さ(セルギャップ)を一定に保持するための部材である。また、シール材529は液晶層522内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するための部材である。なお、第1電極523の一端部は引き回し配線523aとしてシール材529の外側まで延在している。
そして、第1電極523と第2電極526とが交差する部分が画素であり、この画素となる部分に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
【0102】
通常の製造工程では、カラーフィルタ500に、第1電極523のパターニングおよび第1配向膜524の塗布を行ってカラーフィルタ500側の部分を作成すると共に、これとは別に対向基板521に、第2電極526のパターニングおよび第2配向膜527の塗布を行って対向基板521側の部分を作成する。その後、対向基板521側の部分にスペーサ528およびシール材529を作り込み、この状態でカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる。次いで、シール材529の注入口から液晶層522を構成する液晶を注入し、注入口を閉止する。その後、両偏光板およびバックライトを積層する。
【0103】
実施形態の液滴吐出装置1は、例えば上記のセルギャップを構成するスペーサ材料(機能液)を塗布すると共に、対向基板521側の部分にカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる前に、シール材529で囲んだ領域に液晶(機能液)を均一に塗布することが可能である。また、上記のシール材529の印刷を、機能液滴吐出ヘッド71で行うことも可能である。さらに、第1・第2両配向膜524,527の塗布を機能液滴吐出ヘッド71で行うことも可能である。
【0104】
図18は、本実施形態において製造したカラーフィルタ500を用いた液晶装置の第2の例の概略構成を示す要部断面図である。
この液晶装置530が上記液晶装置520と大きく異なる点は、カラーフィルタ500を図中下側(観測者側とは反対側)に配置した点である。
この液晶装置530は、カラーフィルタ500とガラス基板等からなる対向基板531との間にSTN液晶からなる液晶層532が挟持されて概略構成されている。なお、図示していないが、対向基板531およびカラーフィルタ500の外面には偏光板等がそれぞれ配設されている。
【0105】
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層532側)には、図中奥行き方向に長尺な短冊状の第1電極533が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極533の液晶層532側の面を覆うように第1配向膜534が形成されている。
対向基板531のカラーフィルタ500と対向する面上には、カラーフィルタ500側の第1電極533と直交する方向に延在する複数の短冊状の第2電極536が所定の間隔で形成され、この第2電極536の液晶層532側の面を覆うように第2配向膜537が形成されている。
【0106】
液晶層532には、この液晶層532の厚さを一定に保持するためのスペーサ538と、液晶層532内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するためのシール材539が設けられている。
そして、上記した液晶装置520と同様に、第1電極533と第2電極536との交差する部分が画素であり、この画素となる部位に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
【0107】
図19は、本発明を適用したカラーフィルタ500を用いて液晶装置を構成した第3の例を示したもので、透過型のTFT(Thin Film Transistor)型液晶装置の概略構成を示す分解斜視図である。
この液晶装置550は、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置したものである。
【0108】
この液晶装置550は、カラーフィルタ500と、これに対向するように配置された対向基板551と、これらの間に挟持された図示しない液晶層と、カラーフィルタ500の上面側(観測者側)に配置された偏光板555と、対向基板551の下面側に配設された偏光板(図示せず)とにより概略構成されている。
カラーフィルタ500の保護膜509の表面(対向基板551側の面)には液晶駆動用の電極556が形成されている。この電極556は、ITO等の透明導電材料からなり、後述の画素電極560が形成される領域全体を覆う全面電極となっている。また、この電極556の画素電極560とは反対側の面を覆った状態で配向膜557が設けられている。
【0109】
対向基板551のカラーフィルタ500と対向する面には絶縁層558が形成されており、この絶縁層558上には、走査線561および信号線562が互いに直交する状態で形成されている。そして、これらの走査線561と信号線562とに囲まれた領域内には画素電極560が形成されている。なお、実際の液晶装置では、画素電極560上に配向膜が設けられるが、図示を省略している。
【0110】
また、画素電極560の切欠部と走査線561と信号線562とに囲まれた部分には、ソース電極、ドレイン電極、半導体、およびゲート電極とを具備する薄膜トランジスタ563が組み込まれて構成されている。そして、走査線561と信号線562に対する信号の印加によって薄膜トランジスタ563をオン・オフして画素電極560への通電制御を行うことができるように構成されている。
【0111】
なお、上記の各例の液晶装置520,530,550は、透過型の構成としたが、反射層あるいは半透過反射層を設けて、反射型の液晶装置あるいは半透過反射型の液晶装置とすることもできる。
【0112】
次に、図20は、有機EL装置の表示領域(以下、単に表示装置600と称する)の要部断面図である。
【0113】
この表示装置600は、基板(W)601上に、回路素子部602、発光素子部603および陰極604が積層された状態で概略構成されている。
この表示装置600においては、発光素子部603から基板601側に発した光が、回路素子部602および基板601を透過して観測者側に出射されると共に、発光素子部603から基板601の反対側に発した光が陰極604により反射された後、回路素子部602および基板601を透過して観測者側に出射されるようになっている。
【0114】
回路素子部602と基板601との間にはシリコン酸化膜からなる下地保護膜606が形成され、この下地保護膜606上(発光素子部603側)に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜607が形成されている。この半導体膜607の左右の領域には、ソース領域607aおよびドレイン領域607bが高濃度陽イオン打ち込みによりそれぞれ形成されている。そして陽イオンが打ち込まれない中央部がチャネル領域607cとなっている。
【0115】
また、回路素子部602には、下地保護膜606および半導体膜607を覆う透明なゲート絶縁膜608が形成され、このゲート絶縁膜608上の半導体膜607のチャネル領域607cに対応する位置には、例えばAl、Mo、Ta、Ti、W等から構成されるゲート電極609が形成されている。このゲート電極609およびゲート絶縁膜608上には、透明な第1層間絶縁膜611aと第2層間絶縁膜611bが形成されている。また、第1、第2層間絶縁膜611a、611bを貫通して、半導体膜607のソース領域607a、ドレイン領域607bにそれぞれ連通するコンタクトホール612a,612bが形成されている。
【0116】
そして、第2層間絶縁膜611b上には、ITO等からなる透明な画素電極613が所定の形状にパターニングされて形成され、この画素電極613は、コンタクトホール612aを通じてソース領域607aに接続されている。
また、第1層間絶縁膜611a上には電源線614が配設されており、この電源線614は、コンタクトホール612bを通じてドレイン領域607bに接続されている。
【0117】
このように、回路素子部602には、各画素電極613に接続された駆動用の薄膜トランジスタ615がそれぞれ形成されている。
【0118】
上記発光素子部603は、複数の画素電極613上の各々に積層された機能層617と、各画素電極613および機能層617の間に備えられて各機能層617を区画するバンク部618とにより概略構成されている。
これら画素電極613、機能層617、および、機能層617上に配設された陰極604によって発光素子が構成されている。なお、画素電極613は、平面視略矩形状にパターニングされて形成されており、各画素電極613の間にバンク部618が形成されている。
【0119】
バンク部618は、例えばSiO、SiO2、TiO2等の無機材料により形成される無機物バンク層618a(第1バンク層)と、この無機物バンク層618a上に積層され、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶媒性に優れたレジストにより形成される断面台形状の有機物バンク層618b(第2バンク層)とにより構成されている。このバンク部618の一部は、画素電極613の周縁部上に乗上げた状態で形成されている。
そして、各バンク部618の間には、画素電極613に対して上方に向けて次第に拡開した開口部619が形成されている。
【0120】
上記機能層617は、開口部619内において画素電極613上に積層状態で形成された正孔注入/輸送層617aと、この正孔注入/輸送層617a上に形成された発光層617bとにより構成されている。なお、この発光層617bに隣接してその他の機能を有する他の機能層をさらに形成しても良い。例えば、電子輸送層を形成することも可能である。
正孔注入/輸送層617aは、画素電極613側から正孔を輸送して発光層617bに注入する機能を有する。この正孔注入/輸送層617aは、正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物(機能液)を吐出することで形成される。正孔注入/輸送層形成材料としては、公知の材料を用いる。
【0121】
発光層617bは、赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)のいずれかに発光するもので、発光層形成材料(発光材料)を含む第2組成物(機能液)を吐出することで形成される。第2組成物の溶媒(非極性溶媒)としては、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な公知の材料を用いることが好ましく、このような非極性溶媒を発光層617bの第2組成物に用いることにより、正孔注入/輸送層617aを再溶解させることなく発光層617bを形成することができる。
【0122】
そして、発光層617bでは、正孔注入/輸送層617aから注入された正孔と、陰極604から注入される電子が発光層で再結合して発光するように構成されている。
【0123】
陰極604は、発光素子部603の全面を覆う状態で形成されており、画素電極613と対になって機能層617に電流を流す役割を果たす。なお、この陰極604の上部には図示しない封止部材が配置される。
【0124】
次に、上記の表示装置600の製造工程を図21〜図29を参照して説明する。
この表示装置600は、図21に示すように、バンク部形成工程(S21)、表面処理工程(S22)、正孔注入/輸送層形成工程(S23)、発光層形成工程(S24)、および対向電極形成工程(S25)を経て製造される。なお、製造工程は例示するものに限られるものではなく必要に応じてその他の工程が除かれる場合、また追加される場合もある。
【0125】
まず、バンク部形成工程(S21)では、図22に示すように、第2層間絶縁膜611b上に無機物バンク層618aを形成する。この無機物バンク層618aは、形成位置に無機物膜を形成した後、この無機物膜をフォトリソグラフィ技術等によりパターニングすることにより形成される。このとき、無機物バンク層618aの一部は画素電極613の周縁部と重なるように形成される。
無機物バンク層618aを形成したならば、図23に示すように、無機物バンク層618a上に有機物バンク層618bを形成する。この有機物バンク層618bも無機物バンク層618aと同様にフォトリソグラフィ技術等によりパターニングして形成される。
このようにしてバンク部618が形成される。また、これに伴い、各バンク部618間には、画素電極613に対して上方に開口した開口部619が形成される。この開口部619は、画素領域を規定する。
【0126】
表面処理工程(S22)では、親液化処理および撥液化処理が行われる。親液化処理を施す領域は、無機物バンク層618aの第1積層部618aaおよび画素電極613の電極面613aであり、これらの領域は、例えば酸素を処理ガスとするプラズマ処理によって親液性に表面処理される。このプラズマ処理は、画素電極613であるITOの洗浄等も兼ねている。
また、撥液化処理は、有機物バンク層618bの壁面618sおよび有機物バンク層618bの上面618tに施され、例えば四フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理によって表面がフッ化処理(撥液性に処理)される。
この表面処理工程を行うことにより、機能液滴吐出ヘッド71を用いて機能層617を形成する際に、機能液滴を画素領域に、より確実に着弾させることができ、また、画素領域に着弾した機能液滴が開口部619から溢れ出るのを防止することが可能となる。
【0127】
そして、以上の工程を経ることにより、表示装置基体600Aが得られる。この表示装置基体600Aは、図1に示した液滴吐出装置1の吸着テーブル41に載置され、以下の正孔注入/輸送層形成工程(S23)および発光層形成工程(S24)が行われる。
【0128】
図24に示すように、正孔注入/輸送層形成工程(S23)では、機能液滴吐出ヘッド71から正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物を画素領域である各開口部619内に吐出する。その後、図25に示すように、乾燥処理および熱処理を行い、第1組成物に含まれる極性溶媒を蒸発させ、画素電極(電極面613a)613上に正孔注入/輸送層617aを形成する。
【0129】
次に発光層形成工程(S24)について説明する。この発光層形成工程では、上述したように、正孔注入/輸送層617aの再溶解を防止するために、発光層形成の際に用いる第2組成物の溶媒として、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な非極性溶媒を用いる。
しかしその一方で、正孔注入/輸送層617aは、非極性溶媒に対する親和性が低いため、非極性溶媒を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617a上に吐出しても、正孔注入/輸送層617aと発光層617bとを密着させることができなくなるか、あるいは発光層617bを均一に塗布できない虞がある。
そこで、非極性溶媒並びに発光層形成材料に対する正孔注入/輸送層617aの表面の親和性を高めるために、発光層形成の前に表面処理(表面改質処理)を行うことが好ましい。この表面処理は、発光層形成の際に用いる第2組成物の非極性溶媒と同一溶媒またはこれに類する溶媒である表面改質材を、正孔注入/輸送層617a上に塗布し、これを乾燥させることにより行う。
このような処理を施すことで、正孔注入/輸送層617aの表面が非極性溶媒になじみやすくなり、この後の工程で、発光層形成材料を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617aに均一に塗布することができる。
【0130】
そして次に、図26に示すように、各色のうちのいずれか(図26の例では青色(B))に対応する発光層形成材料を含有する第2組成物を機能液滴として画素領域(開口部619)内に所定量打ち込む。画素領域内に打ち込まれた第2組成物は、正孔注入/輸送層617a上に広がって開口部619内に満たされる。なお、万一、第2組成物が画素領域から外れてバンク部618の上面618t上に着弾した場合でも、この上面618tは、上述したように撥液処理が施されているので、第2組成物が開口部619内に転がり込み易くなっている。
【0131】
その後、乾燥工程等を行うことにより、吐出後の第2組成物を乾燥処理し、第2組成物に含まれる非極性溶媒を蒸発させ、図27に示すように、正孔注入/輸送層617a上に発光層617bが形成される。この図の場合、青色(B)に対応する発光層617bが形成されている。
【0132】
同様に、機能液滴吐出ヘッド71を用い、図28に示すように、上記した青色(B)に対応する発光層617bの場合と同様の工程を順次行い、他の色(赤色(R)および緑色(G))に対応する発光層617bを形成する。なお、発光層617bの形成順序は、例示した順序に限られるものではなく、どのような順番で形成しても良い。例えば、発光層形成材料に応じて形成する順番を決めることも可能である。また、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライプ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0133】
以上のようにして、画素電極613上に機能層617、即ち、正孔注入/輸送層617aおよび発光層617bが形成される。そして、対向電極形成工程(S25)に移行する。
【0134】
対向電極形成工程(S25)では、図29に示すように、発光層617bおよび有機物バンク層618bの全面に陰極604(対向電極)を、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等によって形成する。この陰極604は、本実施形態においては、例えば、カルシウム層とアルミニウム層とが積層されて構成されている。
この陰極604の上部には、電極としてのAl膜、Ag膜や、その酸化防止のためのSiO2、SiN等の保護層が適宜設けられる。
【0135】
このようにして陰極604を形成した後、この陰極604の上部を封止部材により封止する封止処理や配線処理等のその他処理等を施すことにより、表示装置600が得られる。
【0136】
次に、図30は、プラズマ型表示装置(PDP装置:以下、単に表示装置700と称する)の要部分解斜視図である。なお、同図では表示装置700を、その一部を切り欠いた状態で示してある。
この表示装置700は、互いに対向して配置された第1基板701、第2基板702、およびこれらの間に形成される放電表示部703を含んで概略構成される。放電表示部703は、複数の放電室705により構成されている。これらの複数の放電室705のうち、赤色放電室705R、緑色放電室705G、青色放電室705Bの3つの放電室705が組になって1つの画素を構成するように配置されている。
【0137】
第1基板701の上面には所定の間隔で縞状にアドレス電極706が形成され、このアドレス電極706と第1基板701の上面とを覆うように誘電体層707が形成されている。誘電体層707上には、各アドレス電極706の間に位置し、且つ各アドレス電極706に沿うように隔壁708が立設されている。この隔壁708は、図示するようにアドレス電極706の幅方向両側に延在するものと、アドレス電極706と直交する方向に延設された図示しないものを含む。
そして、この隔壁708によって仕切られた領域が放電室705となっている。
【0138】
放電室705内には蛍光体709が配置されている。蛍光体709は、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の蛍光を発光するもので、赤色放電室705Rの底部には赤色蛍光体709Rが、緑色放電室705Gの底部には緑色蛍光体709Gが、青色放電室705Bの底部には青色蛍光体709Bが各々配置されている。
【0139】
第2基板702の図中下側の面には、上記アドレス電極706と直交する方向に複数の表示電極711が所定の間隔で縞状に形成されている。そして、これらを覆うように誘電体層712、およびMgOなどからなる保護膜713が形成されている。
第1基板701と第2基板702とは、アドレス電極706と表示電極711が互いに直交する状態で対向させて貼り合わされている。なお、上記アドレス電極706と表示電極711は図示しない交流電源に接続されている。
そして、各電極706,711に通電することにより、放電表示部703において蛍光体709が励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0140】
本実施形態においては、上記アドレス電極706、表示電極711、および蛍光体709を、図1に示した液滴吐出装置1を用いて形成することができる。以下、第1基板701におけるアドレス電極706の形成工程を例示する。
この場合、第1基板701を液滴吐出装置1の吸着テーブル41に載置された状態で以下の工程が行われる。
まず、機能液滴吐出ヘッド71により、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴としてアドレス電極形成領域に着弾させる。この液体材料は、導電膜配線形成用材料として、金属等の導電性微粒子を分散媒に分散したものである。この導電性微粒子としては、金、銀、銅、パラジウム、またはニッケル等を含有する金属微粒子や、導電性ポリマー等が用いられる。
【0141】
補充対象となるすべてのアドレス電極形成領域について液体材料の補充が終了したならば、吐出後の液体材料を乾燥処理し、液体材料に含まれる分散媒を蒸発させることによりアドレス電極706が形成される。
【0142】
ところで、上記においてはアドレス電極706の形成を例示したが、上記表示電極711および蛍光体709についても上記各工程を経ることにより形成することができる。
表示電極711の形成の場合、アドレス電極706の場合と同様に、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴として表示電極形成領域に着弾させる。
また、蛍光体709の形成の場合には、各色(R,G,B)に対応する蛍光材料を含んだ液体材料(機能液)を機能液滴吐出ヘッド71から液滴として吐出し、対応する色の放電室705内に着弾させる。
【0143】
次に、図31は、電子放出装置(FED装置あるいはSED装置ともいう:以下、単に表示装置800と称する)の要部断面図である。なお、同図では表示装置800を、その一部を断面として示してある。
この表示装置800は、互いに対向して配置された第1基板801、第2基板802、およびこれらの間に形成される電界放出表示部803を含んで概略構成される。電界放出表示部803は、マトリクス状に配置した複数の電子放出部805により構成されている。
【0144】
第1基板801の上面には、カソード電極806を構成する第1素子電極806aおよび第2素子電極806bが相互に直交するように形成されている。また、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bで仕切られた部分には、ギャップ808を形成した導電性膜807が形成されている。すなわち、第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807により複数の電子放出部805が構成されている。導電性膜807は、例えば酸化パラジウム(PdO)等で構成され、またギャップ808は、導電性膜807を成膜した後、フォーミング等で形成される。
【0145】
第2基板802の下面には、カソード電極806に対峙するアノード電極809が形成されている。アノード電極809の下面には、格子状のバンク部811が形成され、このバンク部811で囲まれた下向きの各開口部812に、電子放出部805に対応するように蛍光体813が配置されている。蛍光体813は、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の蛍光を発光するもので、各開口部812には、赤色蛍光体813R、緑色蛍光体813Gおよび青色蛍光体813Bが、上記した所定のパターンで配置されている。
【0146】
そして、このように構成した第1基板801と第2基板802とは、微小な間隙を存して貼り合わされている。この表示装置800では、導電性膜(ギャップ808)807を介して、陰極である第1素子電極806aまたは第2素子電極806bから飛び出す電子を、陽極であるアノード電極809に形成した蛍光体813に当てて励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0147】
この場合も、他の実施形態と同様に、第1素子電極806a、第2素子電極806b、導電性膜807およびアノード電極809を、液滴吐出装置1を用いて形成することができると共に、各色の蛍光体813R,813G,813Bを、液滴吐出装置1を用いて形成することができる。
【0148】
第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807は、図32(a)に示す平面形状を有しており、これらを成膜する場合には、図32(b)に示すように、予め第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807を作り込む部分を残して、バンク部BBを形成(フォトリソグラフィ法)する。次に、バンク部BBにより構成された溝部分に、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bを形成(液滴吐出装置1によるインクジェット法)し、その溶剤を乾燥させて成膜を行った後、導電性膜807を形成(液滴吐出装置1によるインクジェット法)する。そして、導電性膜807を成膜後、バンク部BBを取り除き(アッシング剥離処理)、上記のフォーミング処理に移行する。なお、上記の有機EL装置の場合と同様に、第1基板801および第2基板802に対する親液化処理や、バンク部811,BBに対する撥液化処理を行うことが、好ましい。
【0149】
また、他の電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等の装置が考えられる。上記した液滴吐出装置1を各種の電気光学装置(デバイス)の製造に用いることにより、各種の電気光学装置を効率的に製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】複数取り形式の基板の平面図である。
【図2】液滴吐出装置の外観斜視図である。
【図3】液滴吐出装置の平面図である。
【図4】液滴吐出装置の側面図である。
【図5】複数のキャリッジユニットに搭載された機能液滴吐出ヘッドおよびその吐出ノズルにより構成される描画ラインを説明する図である。
【図6】機能液滴吐出ヘッドの外観斜視図である。
【図7】液滴吐出装置の制御系について説明したブロック図である。
【図8】液滴吐出装置を用いた3面取り基板に対する描画処理の説明図である。
【図9】図8に続く、液滴吐出装置を用いた3面取り基板に対する描画処理の説明図である。
【図10】図9に続く、液滴吐出装置を用いた3面取り基板に対する描画処理の説明図である。
【図11】図10に続く、液滴吐出装置を用いた3面取り基板に対する描画処理の説明図である。
【図12】液滴吐出装置を用いた8面取り基板に対する描画処理の説明図である。
【図13】図12に続く、液滴吐出装置を用いた8面取り基板に対する描画処理の説明図である。
【図14】図13に続く、液滴吐出装置を用いた8面取り基板に対する描画処理の説明図である。
【図15】カラーフィルタ製造工程を説明するフローチャートである。
【図16】(a)〜(e)は、製造工程順に示したカラーフィルタの模式断面図である。
【図17】本発明を適用したカラーフィルタを用いた液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図18】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第2の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図19】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第3の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図20】有機EL装置である表示装置の要部断面図である。
【図21】有機EL装置である表示装置の製造工程を説明するフローチャートである。
【図22】無機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図23】有機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図24】正孔注入/輸送層を形成する過程を説明する工程図である。
【図25】正孔注入/輸送層が形成された状態を説明する工程図である。
【図26】青色の発光層を形成する過程を説明する工程図である。
【図27】青色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図28】各色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図29】陰極の形成を説明する工程図である。
【図30】プラズマ型表示装置(PDP装置)である表示装置の要部分解斜視図である。
【図31】電子放出装置(FED装置)である表示装置の要部断面図である。
【図32】表示装置の電子放出部廻りの平面図(a)およびその形成方法を示す平面図(b)である。
【符号の説明】
【0151】
1…液滴吐出装置 12…メンテナンス手段 13…コントローラ 21…キャリッジユニット 22…X軸テーブル 23…Y軸テーブル 62…キャリッジ 71…機能液滴吐出ヘッド 95…ノズル 500…カラーフィルタ 507a…画素領域 F…フィルタ領域 L…描画ライン Lm…最大幅描画ライン Lu…部分描画ライン R…領域描画幅 We…8面取り基板 Wt…3面取り基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のフィルタ領域を作り込んだ複数取り形式の基板に対し、機能液滴吐出ヘッドによりインクジェット方式で機能液滴を吐出・着弾させて描画処理を行う液滴吐出装置を用いた描画方法および液滴吐出装置、並びに電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置のカラーフィルタ等の基板に対し、機能液を導入した機能液滴吐出ヘッドをX軸方向に相対的に移動させながら、基板上に構成された複数の画素領域に機能液滴を吐出・着弾させる主走査(吐出走査)と、機能液滴吐出ヘッドをY軸方向に相対的に移動させる副走査とを繰り返し行って、描画処理を行う液滴吐出装置が知られている。そして、この描画処理後、乾燥処理を行って、各画素領域に着弾した機能液中の溶剤を気化させることで、カラーフィルタの着色層(成膜部)が形成される。(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−265996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、カラーフィルタ製造の効率アップを図るべく、基板を、複数の画素領域を有するフィルタ領域を間隙を存してX軸方向およびY軸方向に並べて複数作り込んだ複数取り形式のものとして構成することが考えられている。しかしながら、従来の液滴吐出装置では、機能液滴吐出ヘッドの複数の吐出ノズルにより構成される描画ラインと、フィルタ領域のY軸方向における幅とが対応していないため、1のフィルタ領域に対し2回以上の主走査により描画処理が行われる場合があった。この場合、先に主走査が行われた範囲と、後に主走査が行われた範囲との間で、各画素領域に機能液滴が吐出・着弾してから乾燥処理が行われるまでの時間が相違し、乾燥処理前における溶剤の気化量が互いに異なるものとなっていた。このような状態で乾燥処理が行われると、両範囲間において、乾燥ムラが生じるという問題があった。この乾燥ムラは、カラーフィルタにおいては、色ムラ(表示ムラ)の原因となる。特に、先に主走査が行われる範囲と、後に主走査が行われる範囲との境界部分では、この色ムラが目立ってしまう。
【0004】
本発明は、複数のフィルタ領域を作り込んだ複数取り形式の基板に対し、フィルタ領域内で乾燥ムラの生ずることなく描画処理を行うことができる液滴吐出装置を用いた描画方法および液滴吐出装置、並びに電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の液滴吐出装置を用いた描画方法は、複数の画素領域を有するフィルタ領域を、間隙を存して、X軸方向にm個(mは1以上の整数)およびY軸方向にn個(nは2以上の整数)作り込んだ複数取り形式の基板に対し、機能液を導入した機能液滴吐出ヘッドを用い、複数の画素領域に機能液滴を吐出・着弾させて描画処理を行う液滴吐出装置を用いた描画方法であって、k個(kはnの約数且つk≠n)のフィルタ領域のY軸方向の幅である領域描画幅に対応するように、機能液滴吐出ヘッドの複数の吐出ノズルにより描画ラインを構成した状態で、基板に対する機能液滴吐出ヘッドのX軸方向への相対的な移動に同期して機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動する主走査と、基板に対して機能液滴吐出ヘッドをY軸方向へ描画ライン分相対的に移動させる副走査とを繰り返して、描画処理を行うことを特徴とする。
【0006】
また、本発明の液滴吐出装置は、複数の画素領域を有するフィルタ領域を、間隙を存して、X軸方向にm個(mは1以上の整数)およびY軸方向にn個(nは2以上の整数)作り込んだ複数取り形式の基板に対し、機能液を導入した機能液滴吐出ヘッドを用い、複数の画素領域に機能液滴を吐出・着弾させて描画処理を行う液滴吐出装置であって、機能液滴吐出ヘッドと、基板に対し、機能液滴吐出ヘッドをX軸方向およびY軸方向に相対的に移動させる移動手段と、機能液滴吐出ヘッドおよび移動手段を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、k個(kはnの約数且つk≠n)のフィルタ領域のY軸方向の幅である領域描画幅に対応するように、機能液滴吐出ヘッドの複数の吐出ノズルにより描画ラインを構成した状態で、基板に対する機能液滴吐出ヘッドのX軸方向への相対的な移動に同期して機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動する主走査と、基板に対して機能液滴吐出ヘッドをY軸方向へ描画ライン分相対的に移動させる副走査とを繰り返して、描画処理を行わせることを特徴とする。
【0007】
これらの構成によれば、描画ラインと、領域描画幅とを対応させた状態で、機能液滴の吐出・着弾がなされることで、各フィルタ領域に対して1回の主走査で機能液滴の吐出・着弾がなされ、各フィルタ領域に対して複数回の主走査で描画処理が行われることがない。このため、各フィルタ領域において、各画素領域に機能液滴が吐出・着弾してから乾燥処理が行われるまでの時間が略同一となり、機能液の溶剤の気化量が均一な状態で乾燥処理が行われる。したがって、複数取り形式の基板に対し、フィルタ領域内で乾燥ムラの生ずることなく描画処理を行うことができる。
【0008】
なお、1回の主走査とは、副走査と副走査との間に行われる1回または複数回に亘る機能液滴吐出ヘッドの相対的な移動(往動および/または復動)をいう。
また、機能液滴吐出ヘッドの全吐出ノズルにより描画ラインを構成することが好ましく、これによれば、全吐出ノズルから機能液滴を吐出・着弾させて描画処理が行われるため、描画処理中に吐出ノズルが吐出駆動しない(遊んでしまう)ことがなく、その吐出ノズルの機能液が乾燥(ノズル詰まり)して吐出機能が低下するおそれがない。
【0009】
本発明の他の液滴吐出装置を用いた描画方法は、複数の画素領域を有するフィルタ領域を、間隙を存して、X軸方向にm個(mは1以上の整数)およびY軸方向にn個(nは2以上の整数)作り込んだ複数取り形式の基板に対し、複数色の機能液をそれぞれ導入すると共にY軸方向において互いに同位置に配置した色別複数の機能液滴吐出ヘッドを用い、複数の画素領域に機能液滴を吐出・着弾させて描画処理を行う液滴吐出装置を用いた描画方法であって、k個(kはnの約数且つk≠n)のフィルタ領域のY軸方向の幅である領域描画幅に対応するように、色別複数の機能液滴吐出ヘッドのそれぞれ複数の吐出ノズルにより色別複数の描画ラインを構成した状態で、基板に対する各機能液滴吐出ヘッドのX軸方向への相対的な移動に同期して各機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動する主走査と、基板に対して各機能液滴吐出ヘッドをY軸方向へ描画ライン分相対的に移動させる副走査とを繰り返して、描画処理を行うことを特徴とする。
【0010】
本発明の他の液滴吐出装置は、複数の画素領域を有するフィルタ領域を、間隙を存して、X軸方向にm個(mは1以上の整数)およびY軸方向にn個(nは2以上の整数)作り込んだ複数取り形式の基板に対し、複数色の機能液をそれぞれ導入すると共にY軸方向において互いに同位置に配置した色別複数の機能液滴吐出ヘッドを用い、複数の画素領域に機能液滴を吐出・着弾させて描画処理を行う液滴吐出装置であって、色別複数の機能液滴吐出ヘッドと、基板に対し、各機能液滴吐出ヘッドをX軸方向およびY軸方向に相対的に移動させる移動手段と、各機能液滴吐出ヘッドおよび移動手段を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、k個(kはnの約数且つk≠n)のフィルタ領域のY軸方向の幅である領域描画幅に対応するように、色別複数の機能液滴吐出ヘッドのそれぞれ複数の吐出ノズルにより色別複数の描画ラインを構成した状態で、基板に対する各機能液滴吐出ヘッドのX軸方向への相対的な移動に同期して各機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動する主走査と、基板に対して各機能液滴吐出ヘッドをY軸方向へ描画ライン分相対的に移動させる副走査とを繰り返して、描画処理を行わせることを特徴とする。
【0011】
これらの構成によれば、色別複数の描画ラインと、領域描画幅とを対応させた状態で、機能液滴の吐出・着弾がなされることで、各フィルタ領域に対し1回の主走査で複数色の機能液滴の吐出・着弾がなされ、各フィルタ領域に対して複数回の主走査で描画処理が行われることがない。このため、上記と同様に、各フィルタ領域において、機能液の溶剤の気化量が均一な状態で乾燥処理が行われることになり、乾燥ムラの生ずることがない。したがって、複数取り形式の基板に対し、フィルタ領域内で色ムラの生ずることなく、描画処理を行うことができる。
【0012】
なお、1回の主走査とは、上記と同様に、副走査と副走査との間に行われる1回または複数回に亘る機能液滴吐出ヘッドの相対的な移動(往動および/または復動)をいう。また、上記と同様に、色別複数の機能液滴吐出ヘッドの全吐出ノズルにより色別複数の描画ラインを構成することが好ましい。
さらに、カラーフィルタにおいては、R(赤)・G(緑)・B(青)の3色の機能液滴が所定の配色パターンに基づいて画素領域にそれぞれ着弾し、機能液滴が着弾した3個の画素領域、すなわち、Rの機能液滴が着弾した画素領域と、Gの機能液滴が着弾した画素領域と、Bの機能液滴が着弾した画素領域とにより、いわゆる画素が構成される。複数色の機能液としては、上記のR・G・B3色の機能液が常用されているが、色再現性を高めるべく、R・G・BにC(シアン)やE(エメラルド)を加えた4色の機能液を用いてもよく、他の組み合わせ・他の色数の機能液を用いてもよい。
【0013】
上記の液滴吐出装置において、機能液滴吐出ヘッドは、複数設けられ、複数の機能液滴吐出ヘッドは、複数のキャリッジに搭載され複数のキャリッジユニットを構成し、描画ラインは、各キャリッジユニットの複数の機能液滴吐出ヘッドのそれぞれ複数の吐出ノズルから成る部分描画ラインがY軸方向に連続して構成されることが好ましい。
【0014】
上記の他の液滴吐出装置において、各色の機能液滴吐出ヘッドは、複数設けられ、各色の複数の機能液滴吐出ヘッドは、複数のキャリッジに搭載され複数のキャリッジユニットを構成し、各色の描画ラインは、各キャリッジユニットの各色の複数の機能液滴吐出ヘッドのそれぞれ複数の吐出ノズルから成る部分描画ラインがY軸方向に連続して構成されることが好ましい。
【0015】
これらの構成によれば、標準的な吐出ノズル数の機能液滴吐出ヘッドを複数用いて、描画ラインを構成することができると共に、複数の機能液滴吐出ヘッドを複数のキャリッジに分散して搭載することで、各キャリッジユニットを構成する機能液滴吐出ヘッドの個数が少なくなるため、キャリッジユニット毎になされる機能液滴吐出ヘッドの相互の位置合わせや機能液滴吐出ヘッドの交換作業を容易に行うことができる。
なお、これらの場合、複数のキャリッジユニットは、X軸方向に互いに位置ずれして配置されることが好ましく、これによれば、キャリッジユニット間相互の物理的干渉を回避することができる。
【0016】
上記の液滴吐出装置において、移動手段は、基板を搭載すると共に、基板をX軸方向に移動させるX軸テーブルと、複数のキャリッジユニットをY軸方向に個々に移動させるY軸テーブルとを有し、制御手段は、基板のX軸方向への移動に同期して各機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動する主走査と、キャリッジユニットを介して、各機能液滴吐出ヘッドを描画ライン分移動させる副走査とを繰り返して、描画処理を行わせることが好ましい。
さらに、この場合、Y軸テーブルによる複数のキャリッジユニットの移動軌跡上には、各機能液滴吐出ヘッドを機能維持状態に保管するヘッド保管手段が設けられ、複数のキャリッジユニットは、全部分描画ラインから構成される最大幅描画ラインがX軸テーブルに搭載可能な基板の最長の領域描画幅をカバーする個数で構成されており、制御手段は、複数のキャリッジユニットのうち、X軸テーブルに搭載した基板の領域描画幅に対応する描画ラインを構成する最小個数のキャリッジユニットの各機能液滴吐出ヘッドを稼動させて描画処理を行うと共に、それ以外のキャリッジユニットをヘッド保管手段に臨ませることが好ましい。
【0017】
上記の他の液滴吐出装置において、移動手段は、基板を搭載すると共に、基板をX軸方向に移動させるX軸テーブルと、複数のキャリッジユニットをY軸方向に個々に移動させるY軸テーブルとを有し、制御手段は、基板のX軸方向への移動に同期して各機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動する主走査と、キャリッジユニットを介して、各機能液滴吐出ヘッドを描画ライン分移動させる副走査とを繰り返して、描画処理を行わせることが好ましい。
さらに、この場合、Y軸テーブルによる複数のキャリッジユニットの移動軌跡上には、各機能液滴吐出ヘッドを機能維持状態に保管するヘッド保管手段が設けられ、複数のキャリッジユニットは、各色の全部分描画ラインから構成される最大幅描画ラインがX軸テーブルに搭載可能な基板の最長の領域描画幅をカバーする個数で構成されており、制御手段は、複数のキャリッジユニットのうち、X軸テーブルに搭載した基板の領域描画幅に対応する色別複数の描画ラインを構成する最小個数のキャリッジユニットの各機能液滴吐出ヘッドを稼動させて描画処理を行うと共に、それ以外のキャリッジユニットをヘッド保管手段に臨ませることが好ましい。
【0018】
これらの構成によれば、搭載された基板の領域描画幅に応じて、必要最小数のキャリッジユニットに搭載された機能液滴吐出ヘッドを稼動させて描画処理を行うと共に、それ以外のキャリッジユニットに搭載された機能液滴吐出ヘッドをヘッド保管手段に臨ませることで、稼動しない機能液滴吐出ヘッドの吐出ノズルの乾燥等による吐出機能低下を防止することができる。
【0019】
本発明の電気光学装置の製造方法は、上記した液滴吐出装置を用い、基板上に機能液滴による成膜部を形成することを特徴とする。
【0020】
本発明の電気光学装置は、上記した液滴吐出装置を用い、基板上に機能液滴による成膜部を形成したことを特徴とする。
【0021】
これらの構成によれば、複数取り形式の基板に対し、乾燥ムラ(色ムラ)なく描画処理を行うことができる液滴吐出装置を用いて製造されるため、高品質な電気光学装置を効率良く製造することが可能となる。なお、電気光学装置(フラットパネルディスプレイ:FPD)としては、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、PDP装置、電子放出装置等が考えられる。なお、電子放出装置は、いわゆるFED(Field Emission Display)やSED(Surface-conduction Electron-Emitter Display)装置を含む概念である。さらに、電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等を包含する装置が考えられる。
【0022】
本発明の電子機器は、上記した電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置または上記した電気光学装置を搭載したことを特徴とする。
【0023】
この場合、電子機器としては、いわゆるフラットパネルディスプレイを搭載した携帯電話、パーソナルコンピュータのほか、各種の電気製品がこれに該当する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して、本発明を適用した液滴吐出装置について説明する。本実施形態の液滴吐出装置は、液晶表示装置等のFPDの製造ラインに組み込まれた描画システムに設置されており、特殊なインクや発光性の樹脂液等の機能液を機能液滴吐出ヘッドに導入して、液晶表示装置等のカラーフィルタの基板上に機能液滴による着色層(成膜部)を形成するものである。そこで、まず、液滴吐出装置1による描画対象となる基板(ワーク)について説明する。なお、以下に説明する基板のサイズ等の値は概数である。
【0025】
図1に示すように、基板Wは、石英ガラスやポリイミド樹脂等で構成された透明基板であり、そのサイズは、1500mm×1800mmである。基板Wの両長辺部分には、導入された液滴吐出装置1(図2参照)により位置認識される一対の基板アライメントマーク(図示省略)が形成されており、その長辺がY軸方向と平行になるようにして、セットされる(後述する)。
【0026】
また、この基板Wは、複数取り形式のものであり、予め、複数の画素領域507aをマトリクス状に構成したフィルタ領域Fを、間隙を存して複数作り込んである。基板Wには、作り込まれたフィルタ領域Fの個数よって様々な種類のものがあり、本実施形態では、1280mm×540mmのサイズのフィルタ領域Fが3個作り込まれた3面取り基板Wt(同図(a)参照)、730mm×350mmのサイズのフィルタ領域Fが8個作り込まれた8面取り基板We(同図(b)参照)の2種類が用いられる。3面取り基板Wtでは、間隙(Y軸方向に45mm)を存して、X軸方向に1個、Y軸方向に3個のフィルタ領域Fが作り込まれている。また、8面取り基板Weでは、間隙(X軸方向に20mm、Y軸方向に20mm)を存して、X軸方向に2個、Y軸方向に4個のフィルタ領域Fが作り込まれている。
【0027】
なお、3面取り基板Wtの3個のフィルタ領域Fを、後述する描画エリア31側からメンテナンスエリア32側に向けて(図1の右側から左側に向けて)順に第1フィルタ領域Fa、第2フィルタ領域Fb、第3フィルタ領域Fcとする(図8参照)。また、8面取り基板Weの8個のフィルタ領域Fのうち、後述する基板Wの往動側(図1の上側)の4個のフィルタ領域Fを、描画エリア31側からメンテナンスエリア32側に向けて(同図の右側から左側に向けて)順に第1フィルタ領域Fa、第2フィルタ領域Fb、・・・、第4フィルタ領域Fdとし、後述する基板Wの復動側(同図の下側)の4個のフィルタ領域Fを、描画エリア31側からメンテナンスエリア32側に向けて順に第5フィルタ領域Fe、第6フィルタ領域Ff、・・・、第8フィルタ領域Fhとする(図12参照)。
【0028】
各画素領域507aは、区画壁部507bで囲まれた平面視長方形の凹部となっており、後述する機能液滴吐出ヘッド71によりR(赤)・G(緑)・B(青)3色の成膜部(着色層508R、508G、508B)を形成する際に、機能液滴の着弾領域となる(図16参照)。この場合、機能液滴が着弾した3個の画素領域、すなわち、Rの機能液滴が着弾した画素領域と、Gの機能液滴が着弾した画素領域と、Bの機能液滴が着弾した画素領域とにより、いわゆる画素が構成される。
【0029】
本実施形態における複数の画素領域507aの配色パターンは、マトリクスの横列(Y軸方向)においてすべて同色となるストライプ配列である。もっとも、マトリクスの縦列(X軸方向)においてすべて同色となるストライプ配列であってもよい。さらに、マトリクスの縦列・横列に並んだ任意の3つの画素が、R・G・Bの3色となるモザイク配列であってもよく、複数の画素領域507aが千鳥をなすデルタ配列であってもよい。
【0030】
次に、本発明に係る液滴吐出装置について説明する。図2ないし図4に示すように、液滴吐出装置1は、基板Wに対しR・G・B3色の機能液を吐出可能なものであって、床上に設置した大型の共通架台(図示省略)と、共通架台上の全域に広く載置され、機能液滴吐出ヘッド71(キャリッジユニット21)を搭載した描画装置11と、描画装置11に添設されたメンテナンス手段12とを備え、メンテナンス手段12により機能液滴吐出ヘッド71の機能維持・回復を行うと共に、描画装置11により基板W上に機能液を吐出する描画処理を行うようにしている。また、液滴吐出装置1には、上記の描画システム全体を制御する上位コンピュータ2に接続され液滴吐出装置1の各部を制御するコントローラ13(制御部122、図7参照)等が組み込まれている。さらに、図示しないが、液滴吐出装置1には、ロボットアームで構成された基板搬出入装置が添設されており、この基板搬出入装置を介して、液滴吐出装置1に基板Wが導入される。
【0031】
まず、液滴吐出装置1における描画装置11およびこれによる描画処理について説明する。描画装置11は、それぞれ複数(24個)の機能液滴吐出ヘッド71およびこれを搭載したキャリッジ62から成る複数(5個)のキャリッジユニット21と、共通架台上に設置され、基板Wを載置する吸着テーブル41を有し、基板WをX軸方向に移動させるX軸テーブル22と、X軸テーブル22を跨ぐようにして配設され、5個のキャリッジユニット21を個々にY軸方向に移動させるY軸テーブル23と、機能液を貯留する機能液タンク(図示省略)および各機能液滴吐出ヘッド71に供給する機能液の水頭圧を調整する圧力調整弁(図示省略)を有し、各機能液滴吐出ヘッド71に機能液を供給する機能液供給手段(図示省略)と、基板Wやキャリッジユニット21等を画像認識する各種カメラを有する画像認識手段24とを備えている。
【0032】
そして、X軸テーブル22による基板Wの移動軌跡と、Y軸テーブル23によるキャリッジユニット21の移動軌跡とが交わる領域が、描画処理を行う描画エリア31となっており、また、Y軸テーブル23によるキャリッジユニット21の移動軌跡上のX軸テーブル22から外側に外れた領域が、メンテナンスエリア32となっており、このメンテナンスエリア32に上記のメンテナンス手段12が設置されている。一方、X軸テーブル22の手前側の領域は、液滴吐出装置1に対する基板Wの搬出入を行う基板搬出入エリア33となっている。
【0033】
X軸テーブル22は、導入された基板Wを吸着セットする吸着テーブル41と、吸着テーブル41の下部に接続され、吸着テーブル41を介して基板Wのθ位置を微調整(θ補正)する基板θ軸テーブル42と、基板θ軸テーブル42を支持するセットテーブル43と、セットテーブル43をX軸方向にスライド自在に支持するX軸エアースライダ44と、X軸方向に延在し、吸着テーブル41を介して基板WをX軸方向に移動させる左右一対のX軸リニアモータ(図示省略)と、X軸リニアモータに並設され、X軸エアースライダ44の移動を案内する一対のX軸ガイドレール45,45と、吸着テーブル41の位置を把握するためのX軸リニアスケール(図示省略)とを備えている。そして、一対のX軸リニアモータを駆動すると、一対のX軸ガイドレール45,45をガイドにしながら、X軸エアースライダ44をX軸方向に移動し、吸着テーブル41にセットされた基板WがX軸方向に移動する。
なお、本実施形態では、基板W(吸着テーブル41)が基板搬出入エリア33側から描画エリア31側(図3の下側から上側)に移動するときを往動とし、描画エリア31側から基板搬出入エリア33側(同図の上側から下側)に移動するときを復動とする。
【0034】
吸着テーブル41は、平面視略正方形に形成され、その一辺の長さは、基板Wの長辺の長さに合わせて1800mmに設定されており、基板Wを縦置き(基板Wの長辺をX軸方向と平行にする)および横置き(基板Wの長辺をY軸方向と平行にする)のいずれか任意の向きで、且つセンター中心でセット可能になっている。もっとも、本実施形態では、基板Wを横置きでセットするものとする。
【0035】
そして、X軸テーブル22による往復動の範囲は、基板WのX軸方向の端から端まで(1500mm)を描画エリア31に臨ませるべく、2000mmとなっている。また、X軸テーブル22の移動速度は、200mm/秒である。したがって、X軸テーブル22による往復動には、片道10秒を要する。
【0036】
なお、セットテーブル43上には、吸着テーブル41に対し基板Wの往動側(図4の左側)に隣接して、ドット抜け検査台116が配設されている。このドット抜け検査台116には、上面に巻取り自在な検査紙が張設されており、この検査紙に対して全機能液滴吐出ヘッド71から検査用に機能液滴を吐出させ、その描画結果を後述するドット認識カメラ102で画像認識することで、ドット抜け、飛行曲がり等の不良吐出の有無が検査(ドット抜け検査)される。さらに、セットテーブル43上には、ドット抜け検査台116に対し基板Wの往動側に隣接して、定期フラッシングボックス114が設けられている。
【0037】
一方、Y軸テーブル23は、Y軸方向に延在する前後一対の支持スタンド56,56上に支持され、描画エリア31およびメンテナンスエリア32間を架け渡すと共に、5個のキャリッジユニット21を、描画エリア31とメンテナンスエリア32との間で個々に移動させるものである。Y軸テーブル23は、5個のキャリッジユニット21をそれぞれ垂設する5個のブリッジプレート51と、5個のブリッジプレート51がY軸方向に整列するよう、これを両持ちで支持する5組のY軸スライドテーブル(図示省略)と、Y軸方向に延在し、各組のY軸スライドテーブルを介して各ブリッジプレート51をY軸方向に移動させる前後一対のY軸リニアモータ(図示省略)と、Y軸方向に延在し、5個のブリッジプレート51の移動を案内する前後各2本(計4本)のY軸ガイドレール(図示省略)と、各キャリッジユニット21の移動位置を検出するY軸リニアスケール(図示省略)とを備えている。
【0038】
そして、一対のY軸リニアモータを駆動すると、5組のY軸スライドテーブルをそれぞれ独立して移動させ、5個のキャリッジユニット21を個別にY軸方向へ移動させることができる。もちろん、5組のY軸スライドテーブルを同時にY軸方向に移動させることにより、5個のキャリッジユニット21を一体としてY軸方向に移動させることも可能である。
なお、本実施形態では、単一のY軸テーブル23に5個のキャリッジユニット21を並べて搭載したが、複数のY軸テーブル23を設け、5個のキャリッジユニット21をこれらに分割して搭載してもよい。
【0039】
図示しないが、各ブリッジプレート51上には、対応する各キャリッジユニット21に搭載された24個の機能液滴吐出ヘッド71を吐出駆動するヘッド用電装ユニットと、これらに機能液を供給する24個の機能液タンク(図示省略)とが配設されている。5個のヘッド用電装ユニットは、相互に干渉することがないよう(ノイズ防止)、千鳥状に配置されており、5組の機能液タンクは、各ヘッド用電装ユニットに対峙するようにして、千鳥状に配置されている。
【0040】
5個のキャリッジユニット21は、Y軸テーブル23の5個のブリッジプレート51によりそれぞれ垂設されてY軸方向に並んでおり、各キャリッジユニット21は、24個の機能液滴吐出ヘッド71から成るヘッドユニット61(図5参照)と、ヘッドユニット61および24個の圧力調整弁を搭載するキャリッジ62とから構成されている。そして、5個のキャリッジユニット21は、キャリッジユニット21間相互の物理的干渉を回避すべく、X軸方向に互いに位置ずれして、千鳥状に配設されている。
なお、5個のキャリッジユニット21を、描画エリア31側からメンテナンスエリア32側に向けて(図3の右側から左側に向けて)順に第1キャリッジユニット21a、第2キャリッジユニット21b、・・・、第5キャリッジユニット21eとする。
【0041】
各キャリッジ62は、ヘッドユニット61および24個の圧力調整弁を位置決め固定する支持プレート(図示省略)と、支持プレートを保持するキャリッジ本体66と、キャリッジ本体66を吊設すると共に、キャリッジ本体66の上部に連結され、キャリッジ本体66を介してヘッドユニット61のθ位置を微調整(θ軸補正)するヘッドθ軸テーブル67と、ヘッドθ軸テーブル67の上部に連結され、ヘッドθ軸テーブル67およびキャリッジ本体66を介してヘッドユニット61のZ位置を微調整(Z軸補正)するヘッドZ軸テーブル68とを有している。なお、図示しないが、各支持プレートには、画像認識を前提として、各キャリッジユニット21(ヘッドユニット61)をX軸、Y軸およびθ軸方向に位置決め(位置認識)するための基準となる一対の基準ピンが設けられている。
【0042】
図5に示すように、ヘッドユニット61は、24個の機能液滴吐出ヘッド71と、ステンレス等から成る平面視略平行四辺形の厚板で構成され、24個の機能液滴吐出ヘッド71を位置決めするヘッドプレート72と、各機能液滴吐出ヘッド71を裏面側から固定するヘッド保持部材73とを有している。なお、24個の機能液滴吐出ヘッド71は、3個ずつ8群のヘッド群71uに分割されている。
【0043】
図6に示すように、機能液滴吐出ヘッド71は、いわゆる2連のものであり、2連の接続針82を有する機能液導入部81と、機能液導入部81に連なる2連のヘッド基板83と、機能液導入部81の下方(同図では上方)に連なり、内部に機能液で満たされるヘッド内流路が形成されたヘッド本体84とを備えている。接続針82は、圧力調整弁を介して機能液タンクに接続され、機能液滴吐出ヘッド71のヘッド内流路に機能液を供給する。また、ヘッド基板83には、2連のコネクタ85,85が設けられており、各コネクタ85は、フレキシブルフラットケーブルを介して上記のヘッド用電装ユニット(ヘッドドライバ131、図7参照)に接続されている。
【0044】
ヘッド本体84は、ピエゾ素子等で構成されたキャビティ91と、2本のノズル列94,94を相互に平行に形成したノズル面93を有するノズルプレート92とを有している。各ノズル列94の長さは、1インチ(25.4mm)であって、各ノズル列94は180個のノズル95が等ピッチ(140μm)で並べられて構成されている。そして、両ノズル列94は、互いにノズル列方向に半ピッチ(70μm)分ずれており、ドット密度(解像度)は360dpiである。
【0045】
また、ヘッド内流路の構造上、両端部に位置するノズル95からの吐出量が中央部に位置するノズル95からの吐出量に比べて多くなってしまうため、両端部の各10個のノズル95を不吐出ノズルとし、中央部の160個のノズル95を吐出ノズルとして、吐出ノズルのみから機能液を吐出し、不吐出ノズルからは機能液を吐出しないようにしている。そのため、各ノズル列94のうち中央部の160個の吐出ノズルにより部分描画ラインLp(図5参照)が構成される。
【0046】
図5に示すように、各群3個の機能液滴吐出ヘッド71は、それぞれ2本のノズル列94,94をY軸方向と平行にすると共に、Y軸方向において互いに同位置に配置されており、同図の上側から順に、R・G・B3色の機能液をそれぞれ導入したR系機能液滴吐出ヘッド71R、G系機能液滴吐出ヘッド71G、B系機能液滴吐出ヘッド71Bとなっている。すなわち、各キャリッジユニット21の24個の機能液滴吐出ヘッド71は、Rの機能液滴を吐出する8個のR系機能液滴吐出ヘッド71Rと、Gの機能液滴を吐出する8個のG系機能液滴吐出ヘッド71Gと、Bの機能液滴を吐出する8個のB系機能液滴吐出ヘッド71Bとから構成される。
【0047】
そして、各キャリッジユニット21の8群のヘッド群71uのうち、4群のヘッド群71uを、各色4個の機能液滴吐出ヘッド71の複数のノズル95(吐出ノズル)がY軸方向に連続するように、ヘッド群71u毎にY軸方向にずらしながら階段状に配設し、さらに、他の4群のヘッド群71uを、上記の4群のヘッド群71uに対しY軸方向に列替えして、上記と同様の階段状に配設している。
なお、各機能液滴吐出ヘッド71は、コネクタ85がヘッドプレート72の外側に位置し、ヘッド本体84がヘッドプレート72の内側に位置ヘッドプレート72に固定されている。
【0048】
そして、各キャリッジユニット21の各色の全(8個)機能液滴吐出ヘッド71の全ノズル95(吐出ノズル)により、各色の部分描画ラインLpが構成され、各色の全(5本)部分描画ラインLpがY軸方向に連続して、各色の最大幅描画ラインLmが構成される。そのため、部分描画ラインLpの長さは、180.6mm(25.4mm/180×160×8)であり、最大幅描画ラインLmの長さは、903mm(180.6mm×5)である。これによれば、標準的なノズル数の機能液滴吐出ヘッド71を複数用いて、描画ラインLを構成することができると共に、各色の複数の機能液滴吐出ヘッド71を複数のキャリッジ62に分散して搭載することで、各キャリッジユニット21を構成する機能液滴吐出ヘッド71の個数が少なくなるため、キャリッジユニット21毎になされる機能液滴吐出ヘッド71の相互の位置合わせや機能液滴吐出ヘッド71の交換作業を容易に行うことができる。
【0049】
詳細は後述するが、この液滴吐出装置1は、各フィルタ領域Fに対し、1回の主走査で3色の機能液滴を吐出・着弾させるものである。そのため、必ずしも全キャリッジユニット21により色別複数の最大幅描画ラインLmを構成した状態で描画処理を行わず、少なくとも1個のキャリッジユニット21により、k個(kは、基板WのY軸方向に並ぶフィルタ領域の個数nの約数且つk≠n)のフィルタ領域のY軸方向の幅である領域描画幅Rに対応する色別複数の描画ラインLを構成した状態で、描画処理を行う。すなわち、X軸テーブル22に搭載した基板Wの領域描画幅Rに対応する色別複数の描画ラインLを構成する最小個数のキャリッジユニット21から成る稼動ユニット群26を描画エリア31に移動させると共に、描画エリア31に臨む基板Wに対し、稼動ユニット群26を相対的に移動させながら、その機能液滴吐出ヘッド71から基板W上に機能液を吐出して描画処理を行い、且つ、稼動ユニット群26以外のキャリッジユニット21から成る描画待機ユニット群27をメンテナンスエリア32に移動させると共に、その各機能液滴吐出ヘッド71を機能維持状態に保管するメンテナンス処理を行うようになっている(図9、図13参照)。
【0050】
具体的には、X軸テーブル22に搭載した基板Wが3面取り基板Wtである場合、上述したように、3面取り基板Wtは、n=3であることから、k=1であり、その領域描画幅Rは、540mmである。そのため、3面取り基板Wtの領域描画幅Rに対応する各色の描画ラインLを構成するキャリッジユニット21の最小個数は、3個となる。すなわち、稼動ユニット群26は、3個のキャリッジユニット21から構成される(図9参照)。
【0051】
また、X軸テーブル22に搭載した基板Wが8面取り基板Weである場合、上述したように、8面取り基板Weは、n=4であることから、k=1または2である。k=1のとき、その領域描画幅Rは、350mmである。そのため、8面取り基板Weの領域描画幅Rに対応する描画ラインLを構成するキャリッジユニット21の最小個数は、2個となる。すなわち、稼動ユニット群26は、2個のキャリッジユニット21から構成される。また、k=2のとき、その領域描画幅Rは、720mmである。そのため、8面取り基板Weの領域描画幅Rに対応する描画ラインLを構成するキャリッジユニット21の最小個数は、4個となる。すなわち、稼動ユニット群26は、4個のキャリッジユニット21から構成される(図13参照)。
【0052】
本実施形態では、X軸テーブル22に搭載可能な基板Wの最長の領域描画幅Rが720mm(8面取り基板Weでk=2の場合)であり、この最長の領域描画幅Rは、全(5個)キャリッジユニット21に対応する各色の全(5本)部分描画ラインLpから構成される最大幅描画ラインLm(903mm)によりカバーされる。
なお、4個のキャリッジユニット21から構成される描画ラインL(720mm)によっても、この最長の領域描画幅をカバー可能であるから、5個のキャリッジユニット21に代えて、4個のキャリッジユニット21を備えた構成であってもよい。また、搭載可能な基板Wの最長の領域描画幅Rに応じて、キャリッジユニット21の個数を変更することが好ましい。
【0053】
図示しないが、機能液供給手段は、各キャリッジユニット21の24個の機能液滴吐出ヘッド71に対応して、機能液を貯留する24個の機能液タンクから成るタンクユニットと、各機能液タンクおよび各機能液滴吐出ヘッド71間の水頭圧を調整する24個の圧力調整弁と、各圧力調整弁を介して、各機能液タンクおよび機能液滴吐出ヘッドを接続する給液チューブとを有している。24個の機能液タンクは、R・G・Bそれぞれ8個の機能液滴吐出ヘッド71に対応するように、Rの機能液を貯留する8個の機能液タンクと、Gの機能液を貯留する8個の機能液タンクと、Bの機能液を貯留する8個の機能液タンクとから構成される。そして、各機能液タンクの機能液が、給液チューブおよび圧力調整弁を介して、対応する機能液滴吐出ヘッド71に導入される。
【0054】
図2ないし図4に示すように、画像認識手段24は、基板搬出入エリア33の前後両側に臨むように配設され、基板Wの両長辺部分にそれぞれ形成された2つの基板アライメントマークをそれぞれ画像認識する2台の基板認識カメラ101と、X軸テーブル22のX軸エアースライダ44に連結され、各キャリッジ62(支持プレート)の2つの基準ピンを画像認識するヘッド認識カメラ(図示省略)と、上記のY軸テーブル23に添設されたカメラ移動機構(図示省略)によりY軸方向に移動可能にそれぞれ搭載され、基板W等に吐出された機能液滴(ドット)を画像認識する2台のドット認識カメラ102とを有している。これらの各種カメラの画像認識結果に基づいて、基板Wやヘッドユニット61の位置補正および上記のドット抜け検査が行われる。
【0055】
次に、図2ないし図4を参照して、液滴吐出装置1におけるメンテナンス手段12およびこれによる機能液滴吐出ヘッド71の機能維持・回復処理について説明する。メンテナンス手段12は、稼動ユニット群26以外のメンテナンスエリア32側のキャリッジユニット21から成る描画待機ユニット群27に搭載された機能液滴吐出ヘッド71を、吐出機能を維持した状態で保管すると共に、吐出機能を回復するものである。
【0056】
メンテナンス手段12は、メンテナンスエリア32に配設されており、機能液滴吐出ヘッド71内で増粘した機能液を除去するための吸引(クリーニング)を行う5個の吸引ユニット111と、機能液滴吐出ヘッド71のノズル面93を払拭する2個のワイピングユニット112と、5個の吸引ユニット111および2個のワイピングユニット112をそれぞれ個別に昇降可能に支持する7個のユニット昇降機構(図示省略)と、これらを支持するアングル架台113とを備えている。さらに、メンテナンス手段12は、ワイピングユニット112の描画エリア31側に配設された飛行観測ユニット117と、上記のセットテーブル43上に配設された定期フラッシングボックス114と、吸着テーブル41の前後両側に配設された一対の描画前フラッシングボックス115,115とを有している。
【0057】
5個の吸引ユニット111は、5個のキャリッジユニット21にそれぞれ対応しており、各吸引ユニット111は、各キャリッジユニット21に対して下方から臨み、24個の機能液滴吐出ヘッド71のノズル面93にそれぞれ封止させる24個のキャップ(図示省略)を備えている。これにより、各機能液滴吐出ヘッド71のノズル95の機能液が乾燥して吐出機能が低下することを防止できる。さらに、各キャップをノズル面93に封止させた状態でノズル95から機能液を吸引し、機能液滴吐出ヘッド71内で増粘した機能液を排出する。
【0058】
2個のワイピングユニット112は、吸引ユニット111の描画エリア31側に配設され、5個のキャリッジユニット21の千鳥配置に対応して、X軸方向に並んでいる。各ワイピングユニット112は、機能液滴吐出ヘッド71の吸引等により、機能液が付着して汚れたノズル面93を、ワイピングシート112aを用いて拭き取る。そして、上記の吸引処理と、このワイピングとにより、ノズル詰まりの生じた機能液滴吐出ヘッド71の吐出機能を回復させることができる。
【0059】
飛行観測ユニット117は、CCDカメラおよびストロボ等から構成されており、各機能液滴吐出ヘッド71をから吐出された機能液滴の飛行状態を撮像して、その画像認識結果に基づいて、機能液滴の飛行曲がりやサテライト(吐出された液体に起因して霧状に浮遊する微粒子)の有無、およびノズルの目詰まりがあるか否か等を検査している。
【0060】
定期フラッシングボックス114は、基板Wの交換時等に行う定期フラッシングを受けるためのものである。上記のセットテーブル43上に設けられており、基板Wの交換のために吸着テーブル41が基板搬出入エリア33に臨むとき、定期フラッシングボックス114が描画エリア31に臨み、機能液滴吐出ヘッド71の全ノズル95(吐出ノズル)からの捨て吐出を受けるようになっている。この定期フラッシングにより、機能液滴吐出ヘッド71のノズル95が乾燥して吐出機能が低下すること(ノズル詰まり)を防止できる。
【0061】
一対の描画前フラッシングボックス115,115は、基板Wに機能液を吐出させる直前(一連の描画動作中)に行う描画前フラッシングを受けるためのものである。吸着テーブル41をX軸方向に挟むように配設されており、基板Wの往復動に伴う機能液滴吐出ヘッド71の吐出駆動の直前に行われる全ノズル95(吐出ノズル)からの捨て吐出を受けるようになっている。この描画前フラッシングにより、機能液滴吐出ヘッド71からの機能液滴の吐出が安定した状態で、基板Wに機能液滴を吐出することができる。
【0062】
定期フラッシングボックス114および一対の描画前フラッシングボックス115,115は、上面を開放した平面視長方形の箱状にそれぞれ形成されており、その上面には、機能液を吸収させる吸収材(図示省略)が敷設されている。また、定期フラッシングボックスの長辺(Y軸方向)は、稼動ユニット群26が全キャリッジユニット21により構成されている場合にもフラッシングを受け得るようにすべく、上記の最大幅描画ラインLmの長さ(903mm)に対応させて形成している(上記のドット抜け検査台116も同様)。一方、一対の描画前フラッシングボックス115,115の長辺(Y軸方向)は、一連の描画動作中に稼動ユニット群26の各キャリッジユニット21を副走査させることから(後述する)、基板WのY軸方向の幅(1800mm)に対応させて形成している。
【0063】
次に、図7を参照して、液滴吐出装置1全体の制御系について説明する。液滴吐出装置1の制御系は、基本的に、上記の上位コンピュータ2と、機能液滴吐出ヘッド71、X軸テーブル22、Y軸テーブル23、メンテナンス手段12等を駆動する各種ドライバを有する駆動部121と、駆動部121を含め液滴吐出装置1全体を統括制御する制御部122(コントローラ13)とを備えている。
【0064】
上位コンピュータ2は、コントローラ13に接続されたコンピュータ本体126に、キーボード127や、キーボード127による入力結果等を画像表示するディスプレイ128等が接続されて構成されている。
【0065】
駆動部121は、機能液滴吐出ヘッド71を吐出駆動制御するヘッドドライバ131と、X軸テーブル22およびY軸テーブル23の各モータをそれぞれ駆動制御する移動用ドライバ132と、メンテナンス手段12の各ユニットを駆動制御するメンテナンス用ドライバ133とを備えている。
【0066】
制御部122は、CPU141と、ROM142と、RAM143と、P−CON144とを備え、これらは互いにバス145を介して接続されている。ROM142は、CPU141で処理する制御プログラム等を記憶する制御プログラム領域と、描画動作や画像認識を行うための制御データ等を記憶する制御データ領域とを有している。
【0067】
RAM143は、各種レジスタ群のほか、基板Wに機能液の吐出を行うための描画データを記憶する描画データ記憶部、基板Wおよび機能液滴吐出ヘッド71の位置データを記憶する位置データ記憶部等の各種記憶部を有し、制御処理のための各種作業領域として使用される。
【0068】
P−CON144には、駆動部121の各種ドライバのほか、画像認識手段24の各種カメラが接続されており、CPU141の機能を補うと共に、周辺回路とのインタフェース信号を取り扱うための論理回路が構成されて組み込まれている。このため、P−CON144は、上位コンピュータ2からの各種指令等をそのままあるいは加工してバス1455に取り込むと共に、CPU141と連動して、CPU141等からバス145に出力されたデータや制御信号を、そのままあるいは加工して駆動部121に出力する。
【0069】
そして、CPU141は、ROM142内の制御プログラムに従って、P−CON144を介して各種検出信号、各種指令、各種データ等を入力し、RAM143内の各種データ等を処理した後、P−CON144を介して駆動部121等に各種の制御信号を出力することにより、液滴吐出装置1全体を制御している。例えば、CPU141は、機能液滴吐出ヘッド71、X軸テーブル22およびY軸テーブル23を制御して、所定の液滴吐出条件および所定の移動条件で基板Wに描画を行う。
【0070】
ここで、図8ないし図14を参照して、本実施形態の液滴吐出装置1による描画制御について詳細に説明する。この液滴吐出装置1は、上述したように、稼動ユニット群26を描画エリア31に移動させると共に、描画エリア31に臨む基板Wに対し、稼動ユニット群26を相対的に移動させながら、その機能液滴吐出ヘッド71(図5参照)から基板W上に機能液を吐出して描画処理を行い、且つ、描画待機ユニット群27をメンテナンスエリア32に移動させると共に、その機能液滴吐出ヘッド71を機能維持状態に保管するメンテナンス処理を行う。この描画処理およびメンテナンス処理は、コントローラ13により、描画装置11の各装置およびメンテナンス手段12の各ユニットを制御して行われる。
【0071】
はじめに、2種類の基板Wのうち、3面取り基板Wtに対して行われる描画処理について説明する。まず、X軸テーブル22に3面取り基板Wtをセットする。続いて、上記の基板認識カメラ101により、セットされた3面取り基板Wtを撮像し、その画像認識結果に基づいて、上記の基板θ軸テーブル42によるθ軸方向の位置補正と、ワークWのX軸方向およびY軸方向の位置データ補正とを行う。なお、予め、上記のヘッド認識カメラによる画像認識結果に基づいて、各キャリッジユニット21のヘッドユニット61の位置を補正済みである。
【0072】
この3面取り基板Wtのセット作業と相前後して、上記の3面取り基板Wtの領域描画幅R(540mm)に対応する色別複数の描画ラインLを構成できるように、3個のキャリッジユニット21により稼動ユニット群26を構成する。すなわち、オペレータは、上記のキーボード127により、描画エリア31側の3個のキャリッジユニット21(第1〜第3キャリッジユニット21a〜c)を稼動ユニット群26として設定し、メンテナンスエリア32側の2個のキャリッジユニット21(第4・第5キャリッジユニット21d・e)を描画待機ユニット群27として設定する。
なお、このユニット群仕分け設定は、このようにオペレータが各キャリッジユニット21を稼動ユニット群26および描画待機ユニット群27のいずれかに仕分けすることで行われるほか、オペレータが導入される基板Wの領域描画幅Rを入力し、コントローラ13がその入力値に基づいて仕分けをしてもよい。
【0073】
次に、Y軸テーブル23を駆動制御して、稼動ユニット群26として設定された第1〜第3キャリッジユニット21a〜cを描画エリア31に残したまま、描画待機ユニット群27として設定された第4・第5キャリッジユニット21d・eをメンテナンスエリア32に移動する(図8参照)。なお、3面取り基板Wtへの吐出が行われるまでの間、稼動ユニット群26の各機能液滴吐出ヘッド71から上記の定期フラッシングボックス114に対し捨て吐出をする。
【0074】
このように吐出前の準備が行われた後、3面取り基板Wtの各フィルタ領域Fに対する描画処理が行われる。このとき、領域描画幅R(540mm)に対応するように、第1〜第3キャリッジユニット21a〜cの各色の全(8×3個)機能液滴吐出ヘッド71のそれぞれ全ノズル95(吐出ノズル)により各色の描画ラインLを構成するように制御し、この状態で描画処理が行われる。
なお、X軸テーブル22に搭載された基板Wの領域描画幅Rが、例えば530mmである場合には、上記のように各色の全機能液滴吐出ヘッド71のそれぞれ全ノズル95(吐出ノズル)により各色の描画ラインLを構成するのではなく、Y軸方向の一方の外側に位置する各色の機能液滴吐出ヘッド71の一部(10mm分に相当)のノズル95(吐出ノズル)を除いた複数のノズル95(吐出ノズル)により各色の描画ラインLを構成するように制御する。
【0075】
描画装置11は、Y軸テーブル23を駆動して、稼動ユニット群26の第1〜第3キャリッジユニット21a〜cを第1フィルタ領域Faに臨ませる。そして、3面取り基板WtをX軸テーブル22によりX軸方向に往動させると共に、これに同期して稼動ユニット群26の各機能液滴吐出ヘッド71を選択的に駆動させて、ストライプ配列の配色パターンとなるように、第1フィルタ領域Faの複数の画素領域507aに3色の機能液滴をそれぞれ吐出・着弾させる。続いて、3面取り基板Wtを復動させながら、再度第1フィルタ領域Faに対する機能液の吐出を行う。そして、各画素領域507aに所定量の機能液を吐出・着弾させるべく、このような3面取り基板WtのX軸方向への往動・復動および機能液滴吐出ヘッド71の駆動を複数回(例えば往動2回、復動2回)行う。このようにして、第1回目の主走査が行われ、第1フィルタ領域Faに対する描画処理が完了する(図9参照)。1回の主走査に要する時間は40秒(10秒×4回の往動・復動)である。
なお、3面取り基板Wtの往動・復動毎に、Y軸テーブル23により稼動ユニット群26の各キャリッジユニット21をY軸方向に微小距離(例えば、ノズルピッチの1/8の寸法分)移動させることが好ましく、これによれば、各画素領域507Aの全域に隈なく機能液滴を吐出・着弾させることができる。
【0076】
第1フィルタ領域Faに対する描画処理が完了すると、Y軸テーブル23により稼動ユニット群26の各キャリッジユニット21をY軸方向に描画ラインL分移動させ(副走査)、第1〜第3キャリッジユニット21a〜cを第2フィルタ領域Fbに臨ませる。以下、第1フィルタ領域Faに対する描画処理と同様にして、第2フィルタ領域Fbに対する描画処理(第2回目の主走査)を行う(図10参照)。
【0077】
さらに、第2フィルタ領域Fbに対する描画処理が完了すると、Y軸テーブル23により稼動ユニット群26の各キャリッジユニット21をY軸方向に描画ラインL分移動させ(副走査)、第1〜第3キャリッジユニット21a〜cを第3フィルタ領域Fcに臨ませる。以下、第1・第2フィルタ領域Fa・bに対する描画処理と同様にして、第3フィルタ領域Fcに対する描画処理(第2回目の主走査)を行う。以上のようにして、3面取り基板Wtの全フィルタ領域Fに対する描画処理が完了する(図11参照)。
【0078】
なお、この3回目の主走査の最後の復動時に、上記のドット抜け検査台116に対し、ドット抜け検査用の吐出を行う。本実施形態では、ドット抜け検査台116を、吸着テーブル41に対し、図3の左側の寄せて(Y軸方向において定期フラッシングボックス114と同位置に)配設しているため、3面取り基板Wtの図示右側から左側に向けて(第1フィルタ領域Faから順に)描画を行うが、ドット抜け検査台116を、吸着テーブル41に対し、図3の右側の寄せて(定期フラッシングボックス114の斜め向かいに)配設し、3面取り基板Wtの図示左側から右側に向けて(第3フィルタ領域Fcから順に)描画を行ってもよい。これによれば、描画処理前に定期フラッシングボックス114に対し捨て吐出を行っている各機能液滴吐出ヘッド71を、Y軸方向に移動させることなく、即座に描画処理に移行させることができる。
【0079】
このように、色別複数の描画ラインLと、領域描画幅Rとを対応させた状態で、機能液滴の吐出・着弾がなされることで、各フィルタ領域Fに対して1回の主走査で機能液滴の吐出・着弾がなされ、各フィルタ領域Fに対して複数回の主走査で描画処理が行われることがない。
【0080】
この点、仮に、各フィルタ領域Fに対して、2回の主走査で機能液滴の吐出・着弾がなされるとすると、第1回目の主走査(の2回目の復動)の40秒後に第2回目の主走査(の2回目の復動)が行われることから、第1回目の主走査が行われた範囲と、第2回目の主走査が行われた範囲との間で、各画素領域507aに機能液滴が吐出・着弾してから乾燥処理が行われるまでの時間が40秒相違するため、乾燥処理における溶剤の気化量が互いに異なるものとなってしまう。しかし、本実施形態では、各フィルタ領域Fにおいて、各画素領域507aに機能液滴が吐出・着弾してから乾燥処理が行われるまでの時間が略同一となり、機能液の溶剤の気化量が均一な状態で乾燥処理が行われることになり、乾燥ムラの生ずることがない。したがって、3面取り基板Wtに対し、フィルタ領域F内で色ムラの生ずることなく、描画処理を行うことができる。
【0081】
一方、メンテナンスエリア32に移動した描画待機ユニット群27(第4・第5キャリッジユニット21d・e)に対しては、対応する吸引ユニット111により、各機能液滴吐出ヘッド71を封止して、機能維持状態に保管しておく(図8ないし図11参照)。これによれば、稼動ユニット群26を描画エリア31に移動させて、その機能液滴吐出ヘッド71により描画処理を行っている間、描画待機ユニット群27をメンテナンスエリア32に移動させて、その機能液滴吐出ヘッド71を、吐出機能を維持した状態で保管することができる。
【0082】
次に、8面取り基板Weに対して行われる描画処理について説明する。なお、8面取り基板Weでは、上述したように、2個のキャリッジユニット21により稼動ユニット群26を構成し、350mm(k=1)の領域描画幅Rに対応する色別複数の描画ラインLを構成する場合と、4個のキャリッジユニット21により稼動ユニット群26を構成し、720mm(k=2)の領域描画幅Rに対応する色別複数の描画ラインLを構成する場合とがあるが、ここでは4個のキャリッジユニット21により稼動ユニット群26を構成する場合について主に説明する。まず、X軸テーブル22に8面取り基板Weをセットし、上記と同様にして、8面取り基板Weに対する位置補正が行われる。続いて、上記と同様にして、8面取り基板Weの領域描画幅R(720mm)に対応する色別複数の描画ラインLを構成できるように、第1〜第4キャリッジユニット21a〜dを稼動ユニット群26として設定すると共に、第5キャリッジユニット21eを描画待機ユニット群27として設定する。
【0083】
次に、Y軸テーブル23を駆動制御して、稼動ユニット群26として設定された第1〜第4キャリッジユニット21a〜dを描画エリア31に残したまま、描画待機ユニット群27として設定された第5キャリッジユニット21eをメンテナンスエリア32に移動する(図12参照)。
【0084】
このように吐出前の準備が行われた後、8面取り基板Weの各フィルタ領域Fに対する描画処理が行われる。このとき、上記と同様に、領域描画幅R(720mm)に対応するように、第1〜第4キャリッジユニット21a〜dの各色の全(8×4個)機能液滴吐出ヘッド71のそれぞれ全ノズル95(吐出ノズル)により各色の描画ラインLを構成するように制御し、この状態で描画処理が行われる。
【0085】
描画装置11は、Y軸テーブル23を駆動して、稼動ユニット群26の第1〜第4キャリッジユニット21a〜dを第1・第2フィルタ領域Fa・b(および第5・第6フィルタ領域Fe・f)に臨ませる。そして、8面取り基板WeをX軸テーブル22によりX軸方向に往動させると共に、これに同期して稼動ユニット群26の各機能液滴吐出ヘッド71を選択的に駆動させて、ストライプ配列の配色パターンとなるように、第1・第2フィルタ領域Fa・bおよび第5・第6フィルタ領域Fe・fの複数の画素領域507aに3色の機能液滴をそれぞれ吐出・着弾させる。続いて、3面取り基板Wtを復動させながら、再度第1・第2フィルタ領域Fa・bおよび第5・第6フィルタ領域Fe・fに対する機能液の吐出を行う。そして、上記と同様に、各画素領域507aに所定量の機能液を吐出・着弾させるべく、このような8面取り基板WeのX軸方向への往動・復動および機能液滴吐出ヘッド71の駆動を複数回(例えば往動2回、復動2回)行う。このようにして、第1回目の主走査が行われ、第1・第2フィルタ領域Fa・bおよび第5・第6フィルタ領域Fe・fに対する描画処理が完了する(図13参照)。
【0086】
第1・第2フィルタ領域Fa・bおよび第5・第6フィルタ領域Fe・fに対する描画処理が完了すると、Y軸テーブル23により稼動ユニット群26の各キャリッジユニット21をY軸方向に描画ラインL分移動させ(副走査)、第1〜第4キャリッジユニット21a〜dをの第3・第4フィルタ領域Fc・d(および第7・第8フィルタ領域Fg・h)に臨ませる。以下、第1・第2フィルタ領域Fa・bおよび第5・第6フィルタ領域Fe・fに対する描画処理と同様にして、第3・第4フィルタ領域Fc・dおよび第7・第8フィルタ領域Fg・hに対する描画処理(第2回目の主走査)を行う。以上のようにして、8面取り基板Weの全フィルタ領域Fに対する描画処理が完了する(図14参照)。
【0087】
このように、8面取り基板Weに対しても、色別複数の描画ラインLと、領域描画幅Rとを対応させた状態で、機能液滴の吐出・着弾がなされることで、各フィルタ領域Fに対して1回の主走査で機能液滴の吐出・着弾がなされ、各フィルタ領域Fに対して複数回の主走査で描画処理が行われることがない。したがって、8面取り基板Weに対し、フィルタ領域F内で色ムラの生ずることなく、描画処理を行うことができる。
【0088】
一方、この場合も、メンテナンスエリア32に移動した描画待機ユニット群27(第5キャリッジユニット21e)に対しては、対応する吸引ユニット111により、各機能液滴吐出ヘッド71を封止して、機能維持状態に保管しておくことで、その機能液滴吐出ヘッド71を、吐出機能を維持した状態で保管することができる。
【0089】
以上、8面取り基板Weに対し、4個のキャリッジユニット21により稼動ユニット群26を構成し、720mm(k=2)の領域描画幅Rに対応する色別複数の描画ラインLを構成する場合について説明したが、2個のキャリッジユニット21により稼動ユニット群26を構成し、350mm(k=1)の領域描画幅Rに対応する色別複数の描画ラインLを構成する場合についても、同様に、各フィルタ領域Fに対して1回の主走査で機能液滴の吐出・着弾がなされ、各フィルタ領域Fに対して複数回の主走査で描画処理が行われることがない。すなわち、2個のキャリッジユニット21の全機能液滴吐出ヘッド71の全ノズル95(吐出ノズル)により構成される色別複数の描画ラインL(350mm)と、領域描画幅R(350mm)とを対応させ、第1回目の主走査で第1・第5フィルタ領域Fa・eに対し描画処理が行われ、第2回目の主走査で第2・第6フィルタ領域Fb・fに対し描画処理が行われ、第3回目の主走査で第3・第7フィルタ領域Fc・gに対し描画処理が行われ、第4回目の主走査で第4・第8フィルタ領域Fd・hに対し描画処理が行われる。したがって、8面取り基板Weに対し、フィルタ領域F内で色ムラの生ずることなく、描画処理を行うことができる。
【0090】
また、本実施形態の液滴吐出装置1を、R・G・B3色のうちいずれか1色の機能液を吐出・着弾させる構成とし、3台の液滴吐出装置1により、それぞれ基板W上に1色の着色層508を順次形成するようにしてもよい。この場合も、各色の描画処理において、各フィルタ領域Fに対して1回の主走査で描画可能であるため、複数取り形式の基板Wに対し、フィルタ領域F内で色ムラの生ずることなく、描画処理を行うことができる。
【0091】
さらに、後述するように、本実施形態の液滴吐出装置1を用いて、カラーフィルタ以外の電気光学装置を製造することも可能である。この場合も、複数取り形式の各種基板Wに対し、フィルタ領域F内で乾燥ムラの生ずることなく、描画処理を行うことができる。
【0092】
次に、本実施形態の液滴吐出装置1を用いて製造される電気光学装置(フラットパネルディスプレイ)として、カラーフィルタ、液晶表示装置、有機EL装置、プラズマディスプレイ(PDP装置)、電子放出装置(FED装置、SED装置)、さらにこれら表示装置に形成されてなるアクティブマトリクス基板等を例に、これらの構造およびその製造方法について説明する。なお、アクティブマトリクス基板とは、薄膜トランジスタ、および薄膜トランジスタに電気的に接続するソース線、データ線が形成された基板をいう。
【0093】
まず、液晶表示装置や有機EL装置等に組み込まれるカラーフィルタの製造方法について説明する。図15は、カラーフィルタの製造工程を示すフローチャート、図16は、製造工程順に示した本実施形態のカラーフィルタ500(フィルタ基体500A)の模式断面図である。
まず、ブラックマトリクス形成工程(S11)では、図16(a)に示すように、基板(W)501上にブラックマトリクス502を形成する。ブラックマトリクス502は、金属クロム、金属クロムと酸化クロムの積層体、または樹脂ブラック等により形成される。金属薄膜からなるブラックマトリクス502を形成するには、スパッタ法や蒸着法等を用いることができる。また、樹脂薄膜からなるブラックマトリクス502を形成する場合には、グラビア印刷法、フォトレジスト法、熱転写法等を用いることができる。
【0094】
続いて、バンク形成工程(S12)において、ブラックマトリクス502上に重畳する状態でバンク503を形成する。即ち、まず図16(b)に示すように、基板501およびブラックマトリクス502を覆うようにネガ型の透明な感光性樹脂からなるレジスト層504を形成する。そして、その上面をマトリクスパターン形状に形成されたマスクフィルム505で被覆した状態で露光処理を行う。
さらに、図16(c)に示すように、レジスト層504の未露光部分をエッチング処理することによりレジスト層504をパターニングして、バンク503を形成する。なお、樹脂ブラックによりブラックマトリクスを形成する場合は、ブラックマトリクスとバンクとを兼用することが可能となる。
このバンク503とその下のブラックマトリクス502は、各画素領域507aを区画する区画壁部507bとなり、後の着色層形成工程において機能液滴吐出ヘッド71により着色層(成膜部)508R、508G、508Bを形成する際に機能液滴の着弾領域を規定する。
【0095】
以上のブラックマトリクス形成工程およびバンク形成工程を経ることにより、上記フィルタ基体500Aが得られる。
なお、本実施形態においては、バンク503の材料として、塗膜表面が疎液(疎水)性となる樹脂材料を用いている。そして、基板(ガラス基板)501の表面が親液(親水)性であるので、後述する着色層形成工程においてバンク503(区画壁部507b)に囲まれた各画素領域507a内への液滴の着弾位置のばらつきを自動補正できる。
【0096】
次に、着色層形成工程(S13)では、図16(d)に示すように、機能液滴吐出ヘッド71によって機能液滴を吐出して区画壁部507bで囲まれた各画素領域507a内に着弾させる。この場合、機能液滴吐出ヘッド71を用いて、R・G・Bの3色の機能液(フィルタ材料)を導入して、機能液滴の吐出を行う。なお、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライプ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0097】
その後、乾燥処理(加熱等の処理)を経て機能液を定着させ、3色の着色層508R、508G、508Bを形成する。着色層508R、508G、508Bを形成したならば、保護膜形成工程(S14)に移り、図16(e)に示すように、基板501、区画壁部507b、および着色層508R、508G、508Bの上面を覆うように保護膜509を形成する。
即ち、基板501の着色層508R、508G、508Bが形成されている面全体に保護膜用塗布液が吐出された後、乾燥処理を経て保護膜509が形成される。
そして、保護膜509を形成した後、カラーフィルタ500は、次工程の透明電極となるITO(Indium Tin Oxide)などの膜付け工程に移行する。
【0098】
図17は、上記のカラーフィルタ500を用いた液晶表示装置の一例としてのパッシブマトリックス型液晶装置(液晶装置)の概略構成を示す要部断面図である。この液晶装置520に、液晶駆動用IC、バックライト、支持体などの付帯要素を装着することによって、最終製品としての透過型液晶表示装置が得られる。なお、カラーフィルタ500は図16に示したものと同一であるので、対応する部位には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0099】
この液晶装置520は、カラーフィルタ500、ガラス基板等からなる対向基板521、および、これらの間に挟持されたSTN(Super Twisted Nematic)液晶組成物からなる液晶層522により概略構成されており、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置している。
なお、図示していないが、対向基板521およびカラーフィルタ500の外面(液晶層522側とは反対側の面)には偏光板がそれぞれ配設され、また対向基板521側に位置する偏光板の外側には、バックライトが配設されている。
【0100】
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層側)には、図17において左右方向に長尺な短冊状の第1電極523が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極523のカラーフィルタ500側とは反対側の面を覆うように第1配向膜524が形成されている。
一方、対向基板521におけるカラーフィルタ500と対向する面には、カラーフィルタ500の第1電極523と直交する方向に長尺な短冊状の第2電極526が所定の間隔で複数形成され、この第2電極526の液晶層522側の面を覆うように第2配向膜527が形成されている。これらの第1電極523および第2電極526は、ITOなどの透明導電材料により形成されている。
【0101】
液晶層522内に設けられたスペーサ528は、液晶層522の厚さ(セルギャップ)を一定に保持するための部材である。また、シール材529は液晶層522内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するための部材である。なお、第1電極523の一端部は引き回し配線523aとしてシール材529の外側まで延在している。
そして、第1電極523と第2電極526とが交差する部分が画素であり、この画素となる部分に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
【0102】
通常の製造工程では、カラーフィルタ500に、第1電極523のパターニングおよび第1配向膜524の塗布を行ってカラーフィルタ500側の部分を作成すると共に、これとは別に対向基板521に、第2電極526のパターニングおよび第2配向膜527の塗布を行って対向基板521側の部分を作成する。その後、対向基板521側の部分にスペーサ528およびシール材529を作り込み、この状態でカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる。次いで、シール材529の注入口から液晶層522を構成する液晶を注入し、注入口を閉止する。その後、両偏光板およびバックライトを積層する。
【0103】
実施形態の液滴吐出装置1は、例えば上記のセルギャップを構成するスペーサ材料(機能液)を塗布すると共に、対向基板521側の部分にカラーフィルタ500側の部分を貼り合わせる前に、シール材529で囲んだ領域に液晶(機能液)を均一に塗布することが可能である。また、上記のシール材529の印刷を、機能液滴吐出ヘッド71で行うことも可能である。さらに、第1・第2両配向膜524,527の塗布を機能液滴吐出ヘッド71で行うことも可能である。
【0104】
図18は、本実施形態において製造したカラーフィルタ500を用いた液晶装置の第2の例の概略構成を示す要部断面図である。
この液晶装置530が上記液晶装置520と大きく異なる点は、カラーフィルタ500を図中下側(観測者側とは反対側)に配置した点である。
この液晶装置530は、カラーフィルタ500とガラス基板等からなる対向基板531との間にSTN液晶からなる液晶層532が挟持されて概略構成されている。なお、図示していないが、対向基板531およびカラーフィルタ500の外面には偏光板等がそれぞれ配設されている。
【0105】
カラーフィルタ500の保護膜509上(液晶層532側)には、図中奥行き方向に長尺な短冊状の第1電極533が所定の間隔で複数形成されており、この第1電極533の液晶層532側の面を覆うように第1配向膜534が形成されている。
対向基板531のカラーフィルタ500と対向する面上には、カラーフィルタ500側の第1電極533と直交する方向に延在する複数の短冊状の第2電極536が所定の間隔で形成され、この第2電極536の液晶層532側の面を覆うように第2配向膜537が形成されている。
【0106】
液晶層532には、この液晶層532の厚さを一定に保持するためのスペーサ538と、液晶層532内の液晶組成物が外部へ漏出するのを防止するためのシール材539が設けられている。
そして、上記した液晶装置520と同様に、第1電極533と第2電極536との交差する部分が画素であり、この画素となる部位に、カラーフィルタ500の着色層508R、508G、508Bが位置するように構成されている。
【0107】
図19は、本発明を適用したカラーフィルタ500を用いて液晶装置を構成した第3の例を示したもので、透過型のTFT(Thin Film Transistor)型液晶装置の概略構成を示す分解斜視図である。
この液晶装置550は、カラーフィルタ500を図中上側(観測者側)に配置したものである。
【0108】
この液晶装置550は、カラーフィルタ500と、これに対向するように配置された対向基板551と、これらの間に挟持された図示しない液晶層と、カラーフィルタ500の上面側(観測者側)に配置された偏光板555と、対向基板551の下面側に配設された偏光板(図示せず)とにより概略構成されている。
カラーフィルタ500の保護膜509の表面(対向基板551側の面)には液晶駆動用の電極556が形成されている。この電極556は、ITO等の透明導電材料からなり、後述の画素電極560が形成される領域全体を覆う全面電極となっている。また、この電極556の画素電極560とは反対側の面を覆った状態で配向膜557が設けられている。
【0109】
対向基板551のカラーフィルタ500と対向する面には絶縁層558が形成されており、この絶縁層558上には、走査線561および信号線562が互いに直交する状態で形成されている。そして、これらの走査線561と信号線562とに囲まれた領域内には画素電極560が形成されている。なお、実際の液晶装置では、画素電極560上に配向膜が設けられるが、図示を省略している。
【0110】
また、画素電極560の切欠部と走査線561と信号線562とに囲まれた部分には、ソース電極、ドレイン電極、半導体、およびゲート電極とを具備する薄膜トランジスタ563が組み込まれて構成されている。そして、走査線561と信号線562に対する信号の印加によって薄膜トランジスタ563をオン・オフして画素電極560への通電制御を行うことができるように構成されている。
【0111】
なお、上記の各例の液晶装置520,530,550は、透過型の構成としたが、反射層あるいは半透過反射層を設けて、反射型の液晶装置あるいは半透過反射型の液晶装置とすることもできる。
【0112】
次に、図20は、有機EL装置の表示領域(以下、単に表示装置600と称する)の要部断面図である。
【0113】
この表示装置600は、基板(W)601上に、回路素子部602、発光素子部603および陰極604が積層された状態で概略構成されている。
この表示装置600においては、発光素子部603から基板601側に発した光が、回路素子部602および基板601を透過して観測者側に出射されると共に、発光素子部603から基板601の反対側に発した光が陰極604により反射された後、回路素子部602および基板601を透過して観測者側に出射されるようになっている。
【0114】
回路素子部602と基板601との間にはシリコン酸化膜からなる下地保護膜606が形成され、この下地保護膜606上(発光素子部603側)に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜607が形成されている。この半導体膜607の左右の領域には、ソース領域607aおよびドレイン領域607bが高濃度陽イオン打ち込みによりそれぞれ形成されている。そして陽イオンが打ち込まれない中央部がチャネル領域607cとなっている。
【0115】
また、回路素子部602には、下地保護膜606および半導体膜607を覆う透明なゲート絶縁膜608が形成され、このゲート絶縁膜608上の半導体膜607のチャネル領域607cに対応する位置には、例えばAl、Mo、Ta、Ti、W等から構成されるゲート電極609が形成されている。このゲート電極609およびゲート絶縁膜608上には、透明な第1層間絶縁膜611aと第2層間絶縁膜611bが形成されている。また、第1、第2層間絶縁膜611a、611bを貫通して、半導体膜607のソース領域607a、ドレイン領域607bにそれぞれ連通するコンタクトホール612a,612bが形成されている。
【0116】
そして、第2層間絶縁膜611b上には、ITO等からなる透明な画素電極613が所定の形状にパターニングされて形成され、この画素電極613は、コンタクトホール612aを通じてソース領域607aに接続されている。
また、第1層間絶縁膜611a上には電源線614が配設されており、この電源線614は、コンタクトホール612bを通じてドレイン領域607bに接続されている。
【0117】
このように、回路素子部602には、各画素電極613に接続された駆動用の薄膜トランジスタ615がそれぞれ形成されている。
【0118】
上記発光素子部603は、複数の画素電極613上の各々に積層された機能層617と、各画素電極613および機能層617の間に備えられて各機能層617を区画するバンク部618とにより概略構成されている。
これら画素電極613、機能層617、および、機能層617上に配設された陰極604によって発光素子が構成されている。なお、画素電極613は、平面視略矩形状にパターニングされて形成されており、各画素電極613の間にバンク部618が形成されている。
【0119】
バンク部618は、例えばSiO、SiO2、TiO2等の無機材料により形成される無機物バンク層618a(第1バンク層)と、この無機物バンク層618a上に積層され、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶媒性に優れたレジストにより形成される断面台形状の有機物バンク層618b(第2バンク層)とにより構成されている。このバンク部618の一部は、画素電極613の周縁部上に乗上げた状態で形成されている。
そして、各バンク部618の間には、画素電極613に対して上方に向けて次第に拡開した開口部619が形成されている。
【0120】
上記機能層617は、開口部619内において画素電極613上に積層状態で形成された正孔注入/輸送層617aと、この正孔注入/輸送層617a上に形成された発光層617bとにより構成されている。なお、この発光層617bに隣接してその他の機能を有する他の機能層をさらに形成しても良い。例えば、電子輸送層を形成することも可能である。
正孔注入/輸送層617aは、画素電極613側から正孔を輸送して発光層617bに注入する機能を有する。この正孔注入/輸送層617aは、正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物(機能液)を吐出することで形成される。正孔注入/輸送層形成材料としては、公知の材料を用いる。
【0121】
発光層617bは、赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)のいずれかに発光するもので、発光層形成材料(発光材料)を含む第2組成物(機能液)を吐出することで形成される。第2組成物の溶媒(非極性溶媒)としては、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な公知の材料を用いることが好ましく、このような非極性溶媒を発光層617bの第2組成物に用いることにより、正孔注入/輸送層617aを再溶解させることなく発光層617bを形成することができる。
【0122】
そして、発光層617bでは、正孔注入/輸送層617aから注入された正孔と、陰極604から注入される電子が発光層で再結合して発光するように構成されている。
【0123】
陰極604は、発光素子部603の全面を覆う状態で形成されており、画素電極613と対になって機能層617に電流を流す役割を果たす。なお、この陰極604の上部には図示しない封止部材が配置される。
【0124】
次に、上記の表示装置600の製造工程を図21〜図29を参照して説明する。
この表示装置600は、図21に示すように、バンク部形成工程(S21)、表面処理工程(S22)、正孔注入/輸送層形成工程(S23)、発光層形成工程(S24)、および対向電極形成工程(S25)を経て製造される。なお、製造工程は例示するものに限られるものではなく必要に応じてその他の工程が除かれる場合、また追加される場合もある。
【0125】
まず、バンク部形成工程(S21)では、図22に示すように、第2層間絶縁膜611b上に無機物バンク層618aを形成する。この無機物バンク層618aは、形成位置に無機物膜を形成した後、この無機物膜をフォトリソグラフィ技術等によりパターニングすることにより形成される。このとき、無機物バンク層618aの一部は画素電極613の周縁部と重なるように形成される。
無機物バンク層618aを形成したならば、図23に示すように、無機物バンク層618a上に有機物バンク層618bを形成する。この有機物バンク層618bも無機物バンク層618aと同様にフォトリソグラフィ技術等によりパターニングして形成される。
このようにしてバンク部618が形成される。また、これに伴い、各バンク部618間には、画素電極613に対して上方に開口した開口部619が形成される。この開口部619は、画素領域を規定する。
【0126】
表面処理工程(S22)では、親液化処理および撥液化処理が行われる。親液化処理を施す領域は、無機物バンク層618aの第1積層部618aaおよび画素電極613の電極面613aであり、これらの領域は、例えば酸素を処理ガスとするプラズマ処理によって親液性に表面処理される。このプラズマ処理は、画素電極613であるITOの洗浄等も兼ねている。
また、撥液化処理は、有機物バンク層618bの壁面618sおよび有機物バンク層618bの上面618tに施され、例えば四フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理によって表面がフッ化処理(撥液性に処理)される。
この表面処理工程を行うことにより、機能液滴吐出ヘッド71を用いて機能層617を形成する際に、機能液滴を画素領域に、より確実に着弾させることができ、また、画素領域に着弾した機能液滴が開口部619から溢れ出るのを防止することが可能となる。
【0127】
そして、以上の工程を経ることにより、表示装置基体600Aが得られる。この表示装置基体600Aは、図1に示した液滴吐出装置1の吸着テーブル41に載置され、以下の正孔注入/輸送層形成工程(S23)および発光層形成工程(S24)が行われる。
【0128】
図24に示すように、正孔注入/輸送層形成工程(S23)では、機能液滴吐出ヘッド71から正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物を画素領域である各開口部619内に吐出する。その後、図25に示すように、乾燥処理および熱処理を行い、第1組成物に含まれる極性溶媒を蒸発させ、画素電極(電極面613a)613上に正孔注入/輸送層617aを形成する。
【0129】
次に発光層形成工程(S24)について説明する。この発光層形成工程では、上述したように、正孔注入/輸送層617aの再溶解を防止するために、発光層形成の際に用いる第2組成物の溶媒として、正孔注入/輸送層617aに対して不溶な非極性溶媒を用いる。
しかしその一方で、正孔注入/輸送層617aは、非極性溶媒に対する親和性が低いため、非極性溶媒を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617a上に吐出しても、正孔注入/輸送層617aと発光層617bとを密着させることができなくなるか、あるいは発光層617bを均一に塗布できない虞がある。
そこで、非極性溶媒並びに発光層形成材料に対する正孔注入/輸送層617aの表面の親和性を高めるために、発光層形成の前に表面処理(表面改質処理)を行うことが好ましい。この表面処理は、発光層形成の際に用いる第2組成物の非極性溶媒と同一溶媒またはこれに類する溶媒である表面改質材を、正孔注入/輸送層617a上に塗布し、これを乾燥させることにより行う。
このような処理を施すことで、正孔注入/輸送層617aの表面が非極性溶媒になじみやすくなり、この後の工程で、発光層形成材料を含む第2組成物を正孔注入/輸送層617aに均一に塗布することができる。
【0130】
そして次に、図26に示すように、各色のうちのいずれか(図26の例では青色(B))に対応する発光層形成材料を含有する第2組成物を機能液滴として画素領域(開口部619)内に所定量打ち込む。画素領域内に打ち込まれた第2組成物は、正孔注入/輸送層617a上に広がって開口部619内に満たされる。なお、万一、第2組成物が画素領域から外れてバンク部618の上面618t上に着弾した場合でも、この上面618tは、上述したように撥液処理が施されているので、第2組成物が開口部619内に転がり込み易くなっている。
【0131】
その後、乾燥工程等を行うことにより、吐出後の第2組成物を乾燥処理し、第2組成物に含まれる非極性溶媒を蒸発させ、図27に示すように、正孔注入/輸送層617a上に発光層617bが形成される。この図の場合、青色(B)に対応する発光層617bが形成されている。
【0132】
同様に、機能液滴吐出ヘッド71を用い、図28に示すように、上記した青色(B)に対応する発光層617bの場合と同様の工程を順次行い、他の色(赤色(R)および緑色(G))に対応する発光層617bを形成する。なお、発光層617bの形成順序は、例示した順序に限られるものではなく、どのような順番で形成しても良い。例えば、発光層形成材料に応じて形成する順番を決めることも可能である。また、R・G・Bの3色の配列パターンとしては、ストライプ配列、モザイク配列およびデルタ配列等がある。
【0133】
以上のようにして、画素電極613上に機能層617、即ち、正孔注入/輸送層617aおよび発光層617bが形成される。そして、対向電極形成工程(S25)に移行する。
【0134】
対向電極形成工程(S25)では、図29に示すように、発光層617bおよび有機物バンク層618bの全面に陰極604(対向電極)を、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等によって形成する。この陰極604は、本実施形態においては、例えば、カルシウム層とアルミニウム層とが積層されて構成されている。
この陰極604の上部には、電極としてのAl膜、Ag膜や、その酸化防止のためのSiO2、SiN等の保護層が適宜設けられる。
【0135】
このようにして陰極604を形成した後、この陰極604の上部を封止部材により封止する封止処理や配線処理等のその他処理等を施すことにより、表示装置600が得られる。
【0136】
次に、図30は、プラズマ型表示装置(PDP装置:以下、単に表示装置700と称する)の要部分解斜視図である。なお、同図では表示装置700を、その一部を切り欠いた状態で示してある。
この表示装置700は、互いに対向して配置された第1基板701、第2基板702、およびこれらの間に形成される放電表示部703を含んで概略構成される。放電表示部703は、複数の放電室705により構成されている。これらの複数の放電室705のうち、赤色放電室705R、緑色放電室705G、青色放電室705Bの3つの放電室705が組になって1つの画素を構成するように配置されている。
【0137】
第1基板701の上面には所定の間隔で縞状にアドレス電極706が形成され、このアドレス電極706と第1基板701の上面とを覆うように誘電体層707が形成されている。誘電体層707上には、各アドレス電極706の間に位置し、且つ各アドレス電極706に沿うように隔壁708が立設されている。この隔壁708は、図示するようにアドレス電極706の幅方向両側に延在するものと、アドレス電極706と直交する方向に延設された図示しないものを含む。
そして、この隔壁708によって仕切られた領域が放電室705となっている。
【0138】
放電室705内には蛍光体709が配置されている。蛍光体709は、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の蛍光を発光するもので、赤色放電室705Rの底部には赤色蛍光体709Rが、緑色放電室705Gの底部には緑色蛍光体709Gが、青色放電室705Bの底部には青色蛍光体709Bが各々配置されている。
【0139】
第2基板702の図中下側の面には、上記アドレス電極706と直交する方向に複数の表示電極711が所定の間隔で縞状に形成されている。そして、これらを覆うように誘電体層712、およびMgOなどからなる保護膜713が形成されている。
第1基板701と第2基板702とは、アドレス電極706と表示電極711が互いに直交する状態で対向させて貼り合わされている。なお、上記アドレス電極706と表示電極711は図示しない交流電源に接続されている。
そして、各電極706,711に通電することにより、放電表示部703において蛍光体709が励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0140】
本実施形態においては、上記アドレス電極706、表示電極711、および蛍光体709を、図1に示した液滴吐出装置1を用いて形成することができる。以下、第1基板701におけるアドレス電極706の形成工程を例示する。
この場合、第1基板701を液滴吐出装置1の吸着テーブル41に載置された状態で以下の工程が行われる。
まず、機能液滴吐出ヘッド71により、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴としてアドレス電極形成領域に着弾させる。この液体材料は、導電膜配線形成用材料として、金属等の導電性微粒子を分散媒に分散したものである。この導電性微粒子としては、金、銀、銅、パラジウム、またはニッケル等を含有する金属微粒子や、導電性ポリマー等が用いられる。
【0141】
補充対象となるすべてのアドレス電極形成領域について液体材料の補充が終了したならば、吐出後の液体材料を乾燥処理し、液体材料に含まれる分散媒を蒸発させることによりアドレス電極706が形成される。
【0142】
ところで、上記においてはアドレス電極706の形成を例示したが、上記表示電極711および蛍光体709についても上記各工程を経ることにより形成することができる。
表示電極711の形成の場合、アドレス電極706の場合と同様に、導電膜配線形成用材料を含有する液体材料(機能液)を機能液滴として表示電極形成領域に着弾させる。
また、蛍光体709の形成の場合には、各色(R,G,B)に対応する蛍光材料を含んだ液体材料(機能液)を機能液滴吐出ヘッド71から液滴として吐出し、対応する色の放電室705内に着弾させる。
【0143】
次に、図31は、電子放出装置(FED装置あるいはSED装置ともいう:以下、単に表示装置800と称する)の要部断面図である。なお、同図では表示装置800を、その一部を断面として示してある。
この表示装置800は、互いに対向して配置された第1基板801、第2基板802、およびこれらの間に形成される電界放出表示部803を含んで概略構成される。電界放出表示部803は、マトリクス状に配置した複数の電子放出部805により構成されている。
【0144】
第1基板801の上面には、カソード電極806を構成する第1素子電極806aおよび第2素子電極806bが相互に直交するように形成されている。また、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bで仕切られた部分には、ギャップ808を形成した導電性膜807が形成されている。すなわち、第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807により複数の電子放出部805が構成されている。導電性膜807は、例えば酸化パラジウム(PdO)等で構成され、またギャップ808は、導電性膜807を成膜した後、フォーミング等で形成される。
【0145】
第2基板802の下面には、カソード電極806に対峙するアノード電極809が形成されている。アノード電極809の下面には、格子状のバンク部811が形成され、このバンク部811で囲まれた下向きの各開口部812に、電子放出部805に対応するように蛍光体813が配置されている。蛍光体813は、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の蛍光を発光するもので、各開口部812には、赤色蛍光体813R、緑色蛍光体813Gおよび青色蛍光体813Bが、上記した所定のパターンで配置されている。
【0146】
そして、このように構成した第1基板801と第2基板802とは、微小な間隙を存して貼り合わされている。この表示装置800では、導電性膜(ギャップ808)807を介して、陰極である第1素子電極806aまたは第2素子電極806bから飛び出す電子を、陽極であるアノード電極809に形成した蛍光体813に当てて励起発光し、カラー表示が可能となる。
【0147】
この場合も、他の実施形態と同様に、第1素子電極806a、第2素子電極806b、導電性膜807およびアノード電極809を、液滴吐出装置1を用いて形成することができると共に、各色の蛍光体813R,813G,813Bを、液滴吐出装置1を用いて形成することができる。
【0148】
第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807は、図32(a)に示す平面形状を有しており、これらを成膜する場合には、図32(b)に示すように、予め第1素子電極806a、第2素子電極806bおよび導電性膜807を作り込む部分を残して、バンク部BBを形成(フォトリソグラフィ法)する。次に、バンク部BBにより構成された溝部分に、第1素子電極806aおよび第2素子電極806bを形成(液滴吐出装置1によるインクジェット法)し、その溶剤を乾燥させて成膜を行った後、導電性膜807を形成(液滴吐出装置1によるインクジェット法)する。そして、導電性膜807を成膜後、バンク部BBを取り除き(アッシング剥離処理)、上記のフォーミング処理に移行する。なお、上記の有機EL装置の場合と同様に、第1基板801および第2基板802に対する親液化処理や、バンク部811,BBに対する撥液化処理を行うことが、好ましい。
【0149】
また、他の電気光学装置としては、金属配線形成、レンズ形成、レジスト形成および光拡散体形成等の装置が考えられる。上記した液滴吐出装置1を各種の電気光学装置(デバイス)の製造に用いることにより、各種の電気光学装置を効率的に製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】複数取り形式の基板の平面図である。
【図2】液滴吐出装置の外観斜視図である。
【図3】液滴吐出装置の平面図である。
【図4】液滴吐出装置の側面図である。
【図5】複数のキャリッジユニットに搭載された機能液滴吐出ヘッドおよびその吐出ノズルにより構成される描画ラインを説明する図である。
【図6】機能液滴吐出ヘッドの外観斜視図である。
【図7】液滴吐出装置の制御系について説明したブロック図である。
【図8】液滴吐出装置を用いた3面取り基板に対する描画処理の説明図である。
【図9】図8に続く、液滴吐出装置を用いた3面取り基板に対する描画処理の説明図である。
【図10】図9に続く、液滴吐出装置を用いた3面取り基板に対する描画処理の説明図である。
【図11】図10に続く、液滴吐出装置を用いた3面取り基板に対する描画処理の説明図である。
【図12】液滴吐出装置を用いた8面取り基板に対する描画処理の説明図である。
【図13】図12に続く、液滴吐出装置を用いた8面取り基板に対する描画処理の説明図である。
【図14】図13に続く、液滴吐出装置を用いた8面取り基板に対する描画処理の説明図である。
【図15】カラーフィルタ製造工程を説明するフローチャートである。
【図16】(a)〜(e)は、製造工程順に示したカラーフィルタの模式断面図である。
【図17】本発明を適用したカラーフィルタを用いた液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図18】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第2の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図19】本発明を適用したカラーフィルタを用いた第3の例の液晶装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図20】有機EL装置である表示装置の要部断面図である。
【図21】有機EL装置である表示装置の製造工程を説明するフローチャートである。
【図22】無機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図23】有機物バンク層の形成を説明する工程図である。
【図24】正孔注入/輸送層を形成する過程を説明する工程図である。
【図25】正孔注入/輸送層が形成された状態を説明する工程図である。
【図26】青色の発光層を形成する過程を説明する工程図である。
【図27】青色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図28】各色の発光層が形成された状態を説明する工程図である。
【図29】陰極の形成を説明する工程図である。
【図30】プラズマ型表示装置(PDP装置)である表示装置の要部分解斜視図である。
【図31】電子放出装置(FED装置)である表示装置の要部断面図である。
【図32】表示装置の電子放出部廻りの平面図(a)およびその形成方法を示す平面図(b)である。
【符号の説明】
【0151】
1…液滴吐出装置 12…メンテナンス手段 13…コントローラ 21…キャリッジユニット 22…X軸テーブル 23…Y軸テーブル 62…キャリッジ 71…機能液滴吐出ヘッド 95…ノズル 500…カラーフィルタ 507a…画素領域 F…フィルタ領域 L…描画ライン Lm…最大幅描画ライン Lu…部分描画ライン R…領域描画幅 We…8面取り基板 Wt…3面取り基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素領域を有するフィルタ領域を、間隙を存して、X軸方向にm個(mは1以上の整数)およびY軸方向にn個(nは2以上の整数)作り込んだ複数取り形式の基板に対し、機能液を導入した機能液滴吐出ヘッドを用い、前記複数の画素領域に機能液滴を吐出・着弾させて描画処理を行う液滴吐出装置を用いた描画方法であって、
k個(kはnの約数且つk≠n)の前記フィルタ領域の前記Y軸方向の幅である領域描画幅に対応するように、前記機能液滴吐出ヘッドの複数の吐出ノズルにより描画ラインを構成した状態で、
前記基板に対する前記機能液滴吐出ヘッドの前記X軸方向への相対的な移動に同期して前記機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動する主走査と、前記基板に対して前記機能液滴吐出ヘッドを前記Y軸方向へ前記描画ライン分相対的に移動させる副走査とを繰り返して、前記描画処理を行うことを特徴とする液滴吐出装置を用いた描画方法。
【請求項2】
複数の画素領域を有するフィルタ領域を、間隙を存して、X軸方向にm個(mは1以上の整数)およびY軸方向にn個(nは2以上の整数)作り込んだ複数取り形式の基板に対し、複数色の機能液をそれぞれ導入すると共に前記Y軸方向において互いに同位置に配置した色別複数の機能液滴吐出ヘッドを用い、前記複数の画素領域に機能液滴を吐出・着弾させて描画処理を行う液滴吐出装置を用いた描画方法であって、
k個(kはnの約数且つk≠n)の前記フィルタ領域の前記Y軸方向の幅である領域描画幅に対応するように、前記色別複数の機能液滴吐出ヘッドのそれぞれ複数の吐出ノズルにより色別複数の描画ラインを構成した状態で、
前記基板に対する前記各機能液滴吐出ヘッドの前記X軸方向への相対的な移動に同期して前記各機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動する主走査と、前記基板に対して前記各機能液滴吐出ヘッドを前記Y軸方向へ前記描画ライン分相対的に移動させる副走査とを繰り返して、前記描画処理を行うことを特徴とする液滴吐出装置を用いた描画方法。
【請求項3】
複数の画素領域を有するフィルタ領域を、間隙を存して、X軸方向にm個(mは1以上の整数)およびY軸方向にn個(nは2以上の整数)作り込んだ複数取り形式の基板に対し、機能液を導入した機能液滴吐出ヘッドを用い、前記複数の画素領域に機能液滴を吐出・着弾させて描画処理を行う液滴吐出装置であって、
前記機能液滴吐出ヘッドと、
前記基板に対し、前記機能液滴吐出ヘッドを前記X軸方向および前記Y軸方向に相対的に移動させる移動手段と、
前記機能液滴吐出ヘッドおよび前記移動手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、k個(kはnの約数且つk≠n)の前記フィルタ領域の前記Y軸方向の幅である領域描画幅に対応するように、前記機能液滴吐出ヘッドの複数の吐出ノズルにより描画ラインを構成した状態で、前記基板に対する前記機能液滴吐出ヘッドの前記X軸方向への相対的な移動に同期して前記機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動する主走査と、前記基板に対して前記機能液滴吐出ヘッドを前記Y軸方向へ前記描画ライン分相対的に移動させる副走査とを繰り返して、前記描画処理を行わせることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項4】
前記機能液滴吐出ヘッドは、複数設けられ、
前記複数の機能液滴吐出ヘッドは、複数のキャリッジに搭載され複数のキャリッジユニットを構成し、
前記描画ラインは、前記各キャリッジユニットの前記複数の機能液滴吐出ヘッドのそれぞれ複数の吐出ノズルから成る部分描画ラインが前記Y軸方向に連続して構成されることを特徴とする請求項3に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記移動手段は、前記基板を搭載すると共に、前記基板を前記X軸方向に移動させるX軸テーブルと、前記複数のキャリッジユニットを前記Y軸方向に個々に移動させるY軸テーブルとを有し、
前記制御手段は、前記基板の前記X軸方向への移動に同期して前記各機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動する主走査と、前記キャリッジユニットを介して、前記各機能液滴吐出ヘッドを前記描画ライン分移動させる副走査とを繰り返して、前記描画処理を行わせることを特徴とする請求項4に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記Y軸テーブルによる前記複数のキャリッジユニットの移動軌跡上には、前記各機能液滴吐出ヘッドを機能維持状態に保管するヘッド保管手段が設けられ、
前記複数のキャリッジユニットは、全前記部分描画ラインから構成される最大幅描画ラインが前記X軸テーブルに搭載可能な前記基板の最長の前記領域描画幅をカバーする個数で構成されており、
前記制御手段は、前記複数のキャリッジユニットのうち、前記X軸テーブルに搭載した前記基板の前記領域描画幅に対応する前記描画ラインを構成する最小個数の前記キャリッジユニットの前記各機能液滴吐出ヘッドを稼動させて前記描画処理を行うと共に、それ以外の前記キャリッジユニットを前記ヘッド保管手段に臨ませることを特徴とする請求項5に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
複数の画素領域を有するフィルタ領域を、間隙を存して、X軸方向にm個(mは1以上の整数)およびY軸方向にn個(nは2以上の整数)作り込んだ複数取り形式の基板に対し、複数色の機能液をそれぞれ導入すると共に前記Y軸方向において互いに同位置に配置した色別複数の機能液滴吐出ヘッドを用い、前記複数の画素領域に機能液滴を吐出・着弾させて描画処理を行う液滴吐出装置であって、
前記色別複数の機能液滴吐出ヘッドと、
前記基板に対し、前記各機能液滴吐出ヘッドを前記X軸方向および前記Y軸方向に相対的に移動させる移動手段と、
前記各機能液滴吐出ヘッドおよび前記移動手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、k個(kはnの約数且つk≠n)の前記フィルタ領域の前記Y軸方向の幅である領域描画幅に対応するように、前記色別複数の機能液滴吐出ヘッドのそれぞれ複数の吐出ノズルにより色別複数の描画ラインを構成した状態で、前記基板に対する前記各機能液滴吐出ヘッドの前記X軸方向への相対的な移動に同期して前記各機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動する主走査と、前記基板に対して前記各機能液滴吐出ヘッドを前記Y軸方向へ前記描画ライン分相対的に移動させる副走査とを繰り返して、前記描画処理を行わせることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項8】
各色の前記機能液滴吐出ヘッドは、複数設けられ、
各色の前記複数の機能液滴吐出ヘッドは、複数のキャリッジに搭載され複数のキャリッジユニットを構成し、
各色の前記描画ラインは、前記各キャリッジユニットの各色の前記複数の機能液滴吐出ヘッドのそれぞれ複数の吐出ノズルから成る部分描画ラインが前記Y軸方向に連続して構成されることを特徴とする請求項7に記載の液滴吐出装置。
【請求項9】
前記移動手段は、前記基板を搭載すると共に、前記基板を前記X軸方向に移動させるX軸テーブルと、前記複数のキャリッジユニットを前記Y軸方向に個々に移動させるY軸テーブルとを有し、
前記制御手段は、前記基板の前記X軸方向への移動に同期して前記各機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動する主走査と、前記キャリッジユニットを介して、前記各機能液滴吐出ヘッドを前記描画ライン分移動させる副走査とを繰り返して、前記描画処理を行わせることを特徴とする請求項8に記載の液滴吐出装置。
【請求項10】
前記Y軸テーブルによる前記複数のキャリッジユニットの移動軌跡上には、前記各機能液滴吐出ヘッドを機能維持状態に保管するヘッド保管手段が設けられ、
前記複数のキャリッジユニットは、各色の全前記部分描画ラインから構成される最大幅描画ラインが前記X軸テーブルに搭載可能な前記基板の最長の前記領域描画幅をカバーする個数で構成されており、
前記制御手段は、前記複数のキャリッジユニットのうち、前記X軸テーブルに搭載した前記基板の前記領域描画幅に対応する前記色別複数の描画ラインを構成する最小個数の前記キャリッジユニットの前記各機能液滴吐出ヘッドを稼動させて前記描画処理を行うと共に、それ以外の前記キャリッジユニットを前記ヘッド保管手段に臨ませることを特徴とする請求項9に記載の液滴吐出装置。
【請求項11】
請求項3ないし10のいずれかに記載の液滴吐出装置を用い、前記基板上に機能液滴による成膜部を形成することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項12】
請求項3ないし10のいずれかに記載の液滴吐出装置を用い、前記基板上に機能液滴による成膜部を形成したことを特徴とする電気光学装置。
【請求項13】
請求項11に記載の電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置または請求項12に記載の電気光学装置を、搭載したことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
複数の画素領域を有するフィルタ領域を、間隙を存して、X軸方向にm個(mは1以上の整数)およびY軸方向にn個(nは2以上の整数)作り込んだ複数取り形式の基板に対し、機能液を導入した機能液滴吐出ヘッドを用い、前記複数の画素領域に機能液滴を吐出・着弾させて描画処理を行う液滴吐出装置を用いた描画方法であって、
k個(kはnの約数且つk≠n)の前記フィルタ領域の前記Y軸方向の幅である領域描画幅に対応するように、前記機能液滴吐出ヘッドの複数の吐出ノズルにより描画ラインを構成した状態で、
前記基板に対する前記機能液滴吐出ヘッドの前記X軸方向への相対的な移動に同期して前記機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動する主走査と、前記基板に対して前記機能液滴吐出ヘッドを前記Y軸方向へ前記描画ライン分相対的に移動させる副走査とを繰り返して、前記描画処理を行うことを特徴とする液滴吐出装置を用いた描画方法。
【請求項2】
複数の画素領域を有するフィルタ領域を、間隙を存して、X軸方向にm個(mは1以上の整数)およびY軸方向にn個(nは2以上の整数)作り込んだ複数取り形式の基板に対し、複数色の機能液をそれぞれ導入すると共に前記Y軸方向において互いに同位置に配置した色別複数の機能液滴吐出ヘッドを用い、前記複数の画素領域に機能液滴を吐出・着弾させて描画処理を行う液滴吐出装置を用いた描画方法であって、
k個(kはnの約数且つk≠n)の前記フィルタ領域の前記Y軸方向の幅である領域描画幅に対応するように、前記色別複数の機能液滴吐出ヘッドのそれぞれ複数の吐出ノズルにより色別複数の描画ラインを構成した状態で、
前記基板に対する前記各機能液滴吐出ヘッドの前記X軸方向への相対的な移動に同期して前記各機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動する主走査と、前記基板に対して前記各機能液滴吐出ヘッドを前記Y軸方向へ前記描画ライン分相対的に移動させる副走査とを繰り返して、前記描画処理を行うことを特徴とする液滴吐出装置を用いた描画方法。
【請求項3】
複数の画素領域を有するフィルタ領域を、間隙を存して、X軸方向にm個(mは1以上の整数)およびY軸方向にn個(nは2以上の整数)作り込んだ複数取り形式の基板に対し、機能液を導入した機能液滴吐出ヘッドを用い、前記複数の画素領域に機能液滴を吐出・着弾させて描画処理を行う液滴吐出装置であって、
前記機能液滴吐出ヘッドと、
前記基板に対し、前記機能液滴吐出ヘッドを前記X軸方向および前記Y軸方向に相対的に移動させる移動手段と、
前記機能液滴吐出ヘッドおよび前記移動手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、k個(kはnの約数且つk≠n)の前記フィルタ領域の前記Y軸方向の幅である領域描画幅に対応するように、前記機能液滴吐出ヘッドの複数の吐出ノズルにより描画ラインを構成した状態で、前記基板に対する前記機能液滴吐出ヘッドの前記X軸方向への相対的な移動に同期して前記機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動する主走査と、前記基板に対して前記機能液滴吐出ヘッドを前記Y軸方向へ前記描画ライン分相対的に移動させる副走査とを繰り返して、前記描画処理を行わせることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項4】
前記機能液滴吐出ヘッドは、複数設けられ、
前記複数の機能液滴吐出ヘッドは、複数のキャリッジに搭載され複数のキャリッジユニットを構成し、
前記描画ラインは、前記各キャリッジユニットの前記複数の機能液滴吐出ヘッドのそれぞれ複数の吐出ノズルから成る部分描画ラインが前記Y軸方向に連続して構成されることを特徴とする請求項3に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記移動手段は、前記基板を搭載すると共に、前記基板を前記X軸方向に移動させるX軸テーブルと、前記複数のキャリッジユニットを前記Y軸方向に個々に移動させるY軸テーブルとを有し、
前記制御手段は、前記基板の前記X軸方向への移動に同期して前記各機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動する主走査と、前記キャリッジユニットを介して、前記各機能液滴吐出ヘッドを前記描画ライン分移動させる副走査とを繰り返して、前記描画処理を行わせることを特徴とする請求項4に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記Y軸テーブルによる前記複数のキャリッジユニットの移動軌跡上には、前記各機能液滴吐出ヘッドを機能維持状態に保管するヘッド保管手段が設けられ、
前記複数のキャリッジユニットは、全前記部分描画ラインから構成される最大幅描画ラインが前記X軸テーブルに搭載可能な前記基板の最長の前記領域描画幅をカバーする個数で構成されており、
前記制御手段は、前記複数のキャリッジユニットのうち、前記X軸テーブルに搭載した前記基板の前記領域描画幅に対応する前記描画ラインを構成する最小個数の前記キャリッジユニットの前記各機能液滴吐出ヘッドを稼動させて前記描画処理を行うと共に、それ以外の前記キャリッジユニットを前記ヘッド保管手段に臨ませることを特徴とする請求項5に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
複数の画素領域を有するフィルタ領域を、間隙を存して、X軸方向にm個(mは1以上の整数)およびY軸方向にn個(nは2以上の整数)作り込んだ複数取り形式の基板に対し、複数色の機能液をそれぞれ導入すると共に前記Y軸方向において互いに同位置に配置した色別複数の機能液滴吐出ヘッドを用い、前記複数の画素領域に機能液滴を吐出・着弾させて描画処理を行う液滴吐出装置であって、
前記色別複数の機能液滴吐出ヘッドと、
前記基板に対し、前記各機能液滴吐出ヘッドを前記X軸方向および前記Y軸方向に相対的に移動させる移動手段と、
前記各機能液滴吐出ヘッドおよび前記移動手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、k個(kはnの約数且つk≠n)の前記フィルタ領域の前記Y軸方向の幅である領域描画幅に対応するように、前記色別複数の機能液滴吐出ヘッドのそれぞれ複数の吐出ノズルにより色別複数の描画ラインを構成した状態で、前記基板に対する前記各機能液滴吐出ヘッドの前記X軸方向への相対的な移動に同期して前記各機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動する主走査と、前記基板に対して前記各機能液滴吐出ヘッドを前記Y軸方向へ前記描画ライン分相対的に移動させる副走査とを繰り返して、前記描画処理を行わせることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項8】
各色の前記機能液滴吐出ヘッドは、複数設けられ、
各色の前記複数の機能液滴吐出ヘッドは、複数のキャリッジに搭載され複数のキャリッジユニットを構成し、
各色の前記描画ラインは、前記各キャリッジユニットの各色の前記複数の機能液滴吐出ヘッドのそれぞれ複数の吐出ノズルから成る部分描画ラインが前記Y軸方向に連続して構成されることを特徴とする請求項7に記載の液滴吐出装置。
【請求項9】
前記移動手段は、前記基板を搭載すると共に、前記基板を前記X軸方向に移動させるX軸テーブルと、前記複数のキャリッジユニットを前記Y軸方向に個々に移動させるY軸テーブルとを有し、
前記制御手段は、前記基板の前記X軸方向への移動に同期して前記各機能液滴吐出ヘッドを吐出駆動する主走査と、前記キャリッジユニットを介して、前記各機能液滴吐出ヘッドを前記描画ライン分移動させる副走査とを繰り返して、前記描画処理を行わせることを特徴とする請求項8に記載の液滴吐出装置。
【請求項10】
前記Y軸テーブルによる前記複数のキャリッジユニットの移動軌跡上には、前記各機能液滴吐出ヘッドを機能維持状態に保管するヘッド保管手段が設けられ、
前記複数のキャリッジユニットは、各色の全前記部分描画ラインから構成される最大幅描画ラインが前記X軸テーブルに搭載可能な前記基板の最長の前記領域描画幅をカバーする個数で構成されており、
前記制御手段は、前記複数のキャリッジユニットのうち、前記X軸テーブルに搭載した前記基板の前記領域描画幅に対応する前記色別複数の描画ラインを構成する最小個数の前記キャリッジユニットの前記各機能液滴吐出ヘッドを稼動させて前記描画処理を行うと共に、それ以外の前記キャリッジユニットを前記ヘッド保管手段に臨ませることを特徴とする請求項9に記載の液滴吐出装置。
【請求項11】
請求項3ないし10のいずれかに記載の液滴吐出装置を用い、前記基板上に機能液滴による成膜部を形成することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項12】
請求項3ないし10のいずれかに記載の液滴吐出装置を用い、前記基板上に機能液滴による成膜部を形成したことを特徴とする電気光学装置。
【請求項13】
請求項11に記載の電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置または請求項12に記載の電気光学装置を、搭載したことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2006−78896(P2006−78896A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−264445(P2004−264445)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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