説明

液滴吐出装置及び描画方法

【課題】生産性良く液滴を扁平な形状に形成する装置を提供する。
【解決手段】ノズル20から基板7に光硬化性の機能液からなる液滴29を吐出するヘッドユニット13と、基板7に着弾した液滴29に気流38を吹き付ける吹付装置14と、基板7に着弾した液滴29に紫外光47aを照射する照射装置15と、ヘッドユニット13が液滴29を吐出するときに、基板7に対して、ヘッドユニット13、吹付装置14及び照射装置15を主走査方向11aに相対移動するキャリッジ11と、主走査方向11aと交差する副走査方向4aに、基板7に対して照射装置15を相対移動させるステージ4と、を有し、吹付装置14は、ノズル20の主走査方向11aに配置され、照射装置15はノズル20の主走査方向11aとは異なる場所に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置にかかわり、特に光硬化性の液状体を吐出する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークに対して液滴を吐出する装置として、インクジェット式の液滴吐出装置が知られている。液滴吐出装置は、基板等のワークを載置してワークを一方向に移動させるテーブルと、テーブルの上方位置において、テーブルの移動方向と直交する方向に配置されたガイドレールに沿って移動するキャリッジとを備えている。キャリッジはインクジェットヘッド(以下、液滴吐出ヘッドと称す)を配置し、ワークに対して液滴を吐出して、塗布していた。
【0003】
ワークに対して、液滴にして吐出して塗布する機能液には、各種の材料が用いられている。機能液に光硬化性の樹脂を用いる液滴吐出装置が特許文献1に開示されている。それによると、液滴吐出装置は紫外光を照射する光照射装置を備えている。キャリッジの移動方向において光照射装置は液滴吐出ヘッドを挟んで配置されている。そして、ワークに液滴を吐出した後、キャリッジを移動する。そして、光照射装置は着弾した液滴に紫外光を照射して、液滴を硬化させていた。
【0004】
紫外光を照射する手段としてランプやLED(Light Emitting Diode)が用いられている。LEDは瞬時点灯が可能であり、待機時間は消灯しておけるのでランプに比べて省エネルギーに光が照射することができる。さらに、待機時間にはLEDを消灯することによりLEDはランプに比べて高寿命な光照射手段となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−264264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
液滴吐出ヘッドから吐出された液滴はワークに着弾する。着弾した液滴は重力の影響を受けるので時間の経過とともに扁平な形状に変化する。従って、着弾後から所定の時間が経過した後に紫外光を照射することにより扁平な形状に形成することができる。このとき、液滴を吐出する工程と暫く放置する工程と紫外光を照射する工程とを続けて行うとき、総ての工程を行うには各工程にかかる時間を加算した時間となる。そこで、生産性良く液滴を扁平な形状に形成する装置が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]
本適用例にかかる液滴吐出装置であって、ノズルからワークに光硬化性の液状体からなる液滴を吐出する吐出部と、前記ワークに着弾した前記液滴に気流を吹き付ける吹付部と、前記ワークに着弾した前記液滴に光を照射する照射部と、前記ワークに対して、前記吐出部と前記吹付部と前記照射部とを相対移動させる移動部と、を有し、前記ノズルから前記液滴を吐出するときに前記移動部が前記ワークと前記吐出部とを相対移動させる方向を主走査方向とするとき、前記吹付部は前記主走査方向に配置され、前記照射部は前記ノズルの主走査方向と直交する方向にずれた場所に配置されていることを特徴とする。
【0009】
この液滴吐出装置によれば、移動部がワークと吐出部とを主走査方向に相対移動させながら、吐出部がノズルからワークに液滴を吐出する。ワークに着弾した液滴は主走査方向に移動する。そして、吹付部はノズルと対向する場所から移動した液滴に気流を吹き付ける。次に、移動部がワークに対して吐出部と吹付部と照射部とを相対移動する。そして、移動部がワークと照射部とを主走査方向と異なる方向と主走査方向とに相対移動させて、照射部が光を照射する場所にワークに着弾した液滴が移動するとき、ワークに着弾した液滴に光を照射する。このとき、照射部による光の照射と吐出部による液滴の吐出と吹付部による吹きつけとを並行して行う。
【0010】
ワークに着弾した液滴が早く硬化するときには球に近くなり、遅く硬化するときには重力の影響を受けるので扁平に近くなる。従って、着弾した液滴を扁平な形状に硬化させるときには、着弾後に所定の時間を経過した後に光を照射して硬化させる。本適用例では、ワークに液滴が着弾した後、吹付部が液滴に気流を吹き付けて液滴の表面を硬化させる。そして、隣り合う液滴が合体することを防止できる。液滴に光を照射するまでの間に移動部がワークを主走査方向に移動する時間と、さらに主走査方向以外の方向に移動する時間と、さらに着弾した液滴を照射部が照射する場所まで移動する時間が経過する。従って、液滴が扁平になってから硬化させることができる。そして、液滴の吐出と液滴の硬化とを並行して行うことができるので、生産性良く描画することができる。
【0011】
[適用例2]
上記適用例にかかる液滴吐出装置において、前記移動部は、前記吐出部と前記吹付部と前記照射部との互いの相対位置を変えることなく、前記ワークに対して相対移動させることを特徴とする。
【0012】
この液滴吐出装置によれば、吐出部と吹付部と照射部とは相対位置を変えていない。吐出部と吹付部と照射部との相対位置を変えるときには、それぞれの相対位置を変える移動機構が必要となる。この場合に比べて、移動機構を少なくできるので、製造し易い装置にすることができる。
【0013】
[適用例3]
上記適用例にかかる液滴吐出装置において、前記吹付部は、前記吐出部から離れる方向に前記気流を進行させることを特徴とする。
【0014】
この液滴吐出装置によれば、気流が吐出部から離れる方向に進行するので、気流がワークと吐出部との間に侵入し難くなる。気流がワークと吐出部との間に侵入するとき、吐出部から吐出された液滴が気流により曲がって飛行することがある。このとき、液滴の着弾位置が変動するので、液滴の着弾位置精度が悪くなる。本適用例では気流がワークと吐出部との間に侵入し難い為、液滴の着弾位置が変動し難くなる。その結果、液滴吐出装置は液滴の着弾位置精度を良くすることができる。
【0015】
[適用例4]
本適用例にかかる描画方法であって、ワークとノズルとを主走査方向に相対移動しながら、前記ノズルから前記ワークに光硬化性の液状体からなる液滴を吐出する吐出工程と、前記ワークに着弾した前記液滴に気流を吹き付ける吹付工程と、前記主走査方向と交差する副走査方向に前記ワークと前記ノズルとを相対移動する改行工程と、前記ワークに着弾した前記液滴に光を照射する照射工程と、を有し、前記吐出工程にて吐出された前記液滴は、前記吹付工程と前記改行工程と前記照射工程とを経て硬化され、前記吐出工程と前記吹付工程と前記照射工程とは少なくとも一部が並行して行われることを特徴とする。
【0016】
この描画方法によれば、吐出工程にてワークに液滴が吐出され、吹付工程にてワーク上の液滴に気流が吹き付けられる。液滴は気流が吹き付けられることにより表面が乾燥するので、隣り合う液滴と合体し難くなる。ワーク上の液滴は吐出工程と改行工程とにおいて放置される。このとき、液滴には重力が作用するので扁平な形状となる。そして、液滴は扁平な形状のまま光が照射されるので、扁平な形状に形成することできる。吐出工程と吹付工程と照射工程とは並行して行われる。従って、液滴の吐出と液滴の硬化とが並行して行われるので、生産性良く描画することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施形態にかかわる液滴吐出装置の構成を示す概略斜視図。
【図2】(a)は、キャリッジを示す模式側面図、(b)は、キャリッジを示す模式平面図、(c)は、液滴吐出ヘッドの構造を示す要部模式断面図。
【図3】(a)は吹付装置を示す模式断面図、(b)は照射装置を示す模式断面図。
【図4】液滴吐出装置の電気制御ブロック図。
【図5】描画作業を示すフローチャート。
【図6】描画方法を説明するための模式図。
【図7】描画方法を説明するための模式図。
【図8】第2の実施形態にかかわるキャリッジを示す模式平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、具体化した実施形態について図面に従って説明する。尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
【0019】
(第1の実施形態)
本実施形態における特徴的な液滴吐出装置とこの液滴吐出装置を用いた描画方法との特徴的な例について図1〜図7に従って説明する。液滴吐出装置に関しては様々な種類の装置があるが、インクジェット法を用いた装置が好ましい。インクジェット法は微小液滴の吐出が可能であるため、微細加工に適している。
【0020】
(液滴吐出装置)
図1は、液滴吐出装置の構成を示す概略斜視図である。液滴吐出装置1により膜を構成する材料を含む機能液が吐出されて塗布される。図1に示すように液滴吐出装置1は直方体形状に形成される基台2を備えている。本実施形態では、この基台2の長手方向をY方向とし、水平面内にてY方向と直交する方向をX方向とする。そして、鉛直方向をZ方向とする。
【0021】
基台2の上面2aには、Y方向に延びる一対の案内レール3a,3bが同Y方向全幅にわたり凸設されている。その基台2の上側には、一対の案内レール3a,3bに対応する図示しない直動機構を備えた移動部としてのステージ4が取付けられている。そして、ステージ4はY方向に走査する。ステージ4が走査する方向を副走査方向4aとする。この直動機構の種類は、特に限定されないが、サーボモーターとボールネジとを組み合わせて構成することができる。他にも、リニアモーターを採用しても良い。
【0022】
さらに、基台2の上面2aには、案内レール3a,3bと平行に副走査位置検出装置5が配置され、ステージ4のY方向の位置が計測できるようになっている。そのステージ4の上面には、載置面6が形成され、その載置面6には、図示しない吸引式の基板チャック機構が設けられている。操作者が載置面6にワークとしての基板7を載置して所定の位置に位置決めする。その後、基板チャック機構により基板7は載置面6に固定される。
【0023】
基台2のX方向両側には、一対の支持台8a,8bが立設されている。その一対の支持台8a,8bには、X方向に延びる案内部材9が架設されている。案内部材9は、その長手方向の幅がステージ4のX方向よりも長く形成され、その一端が支持台8a側に張り出すように配置されている。案内部材9の下側には、X方向に延びる案内レール10がX方向全幅にわたり凸設されている。そして、案内レール10に沿って略角柱状に形成されたキャリッジ11が配置されている。キャリッジ11は直動機構を備え、X方向に走査可能となっている。この直動機構の種類は、特に限定されないが、例えば、リニアモーターを採用することができる。キャリッジ11が走査するX方向を主走査方向11aとする。主走査方向11aはノズルから液滴を吐出しながら基板7を移動する方向であり、副走査方向4aは改行動作を行う方向である。そして、改行動作を行うときノズルから液滴を吐出せずに基板7を副走査方向4aへ移動する。案内部材9とキャリッジ11との間には、主走査位置検出装置12が配置され、キャリッジ11の位置が計測可能になっている。
【0024】
キャリッジ11の基板7側にはヘッドユニット13と一対の吹付装置14及び一対の照射装置15が配置されている。そして、キャリッジ11が主走査方向11aに移動するとき、ヘッドユニット13、吹付装置14、照射装置15は互いの相対位置を変えることなく、基板7に対して相対移動する。ヘッドユニット13の基板7側には液滴を吐出する液滴吐出ヘッドが凸設され、液滴吐出ヘッドから液滴が吐出される。吹付装置14は吐出された液滴に気流を吹き付ける装置である。そして、吹付装置14は吐出された液滴を硬化させる紫外線を照射する装置である。吹付装置14及び照射装置15は主走査方向11aにおいてヘッドユニット13を挟んだ位置に配置されている。
【0025】
キャリッジ11の図中上側には収容タンク16が配置されている。収容タンク16には機能液が収容されている。ヘッドユニット13には図示しない液滴吐出ヘッドが配置され、液滴吐出ヘッドと収容タンク16とは図示しないチューブにより接続されている。そして、収容タンク16内の機能液がチューブを介して液滴吐出ヘッドに供給される。
【0026】
機能液は樹脂材料、光重合開始剤、溶媒を主材料とする。この主材料に顔料または染料等の色素や金属粉末や親液性または撥液性等の表面改質材料等の機能性材料を添加することにより固有の機能を有する機能液を形成することができる。機能液の樹脂材料は樹脂膜を形成する材料である。樹脂材料としては、常温で液状であり、重合させることによりポリマーとなる材料であれば特に限定されない。さらに、粘性の小さい樹脂材料が好ましく、オリゴマーの形態であるのが好ましい。モノマーの形態であればさらに好ましい。光重合開始剤はポリマーの架橋性基に作用して架橋反応を進行させる添加剤であり特に限定されない。例えば、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタールを用いることができる。溶媒は樹脂材料の粘度を調整するものである。機能液を液滴吐出ヘッドから吐出し易い粘度にすることにより、液滴吐出ヘッドは安定して機能液を液滴にして吐出することができる。
【0027】
基台2の図中左側の側面であって案内部材9と対向する場所には保守装置17が配置されている。この保守装置17には液滴吐出ヘッドをクリーニングする機構が配置されている。そして、保守装置17が液滴吐出ヘッドをクリーニングすることにより、液滴吐出ヘッドから液滴を正常に吐出可能な状態に保つことが可能になっている。
【0028】
図2(a)は、キャリッジを示す模式側面図である。図2(a)に示すようにヘッドユニット13の基板7側の面13aには3個の液滴吐出ヘッド18が配置されている。液滴吐出ヘッド18の個数は特に限定されず、吐出する機能液の種類に合わせて設定できる。ヘッドユニット13と基板7との隙間をワークヘッド間距離13bとする。ヘッドユニット13の両側に配置された吹付装置14と基板7との隙間をワーク吹付装置間距離14aとする。このとき、ワークヘッド間距離13bはワーク吹付装置間距離14aより短い距離に設定されている。吹付装置14は基板7に空気を吹き付ける機能を備えており、吹付装置14が吹き付ける風がヘッドユニット13と基板7との間に入り難くなっている。そして、液滴吐出ヘッド18から吐出される液滴が風の影響で曲がることなく飛行し、基板7に着弾するようになっている。
【0029】
図2(b)は、キャリッジを示す模式平面図である。図2(b)に示すようにキャリッジ11に配置されたヘッドユニット13には3個の液滴吐出ヘッド18が配置され、液滴吐出ヘッド18の下面には、それぞれノズルプレート19が備えられている。そのノズルプレート19には、それぞれ複数のノズル20が副走査方向4aであるY方向に所定の間隔で配列されている。
【0030】
吹付装置14の下面には吹出口23が配置され、吹出口23はノズル20の主走査方向11aに配置されている。吹出口23からは基板7に着弾した液滴の表面を乾燥させるための気流が吹出される。照射装置15の下面には照射窓24が配置され、照射窓24はノズル20の主走査方向11aと異なる場所に配置されている。そして、照射窓24からは基板7に着弾した液滴の表面を硬化させるための紫外光が照射される。
【0031】
図2(c)は、液滴吐出ヘッドの構造を示す要部模式断面図である。図2(c)に示すように、ノズルプレート19の上側であってノズル20と相対する位置には、キャビティ25が形成されている。そして、キャビティ25には収容タンク16に貯留されている液状体としての機能液26が供給される。キャビティ25の上側には、上下方向に振動して、キャビティ25内の容積を拡大縮小する振動板27と、上下方向に伸縮して振動板27を振動させる圧電素子28が配設されている。
【0032】
液滴吐出ヘッド18が圧電素子28を制御駆動するためのノズル駆動信号を受けると、圧電素子28が上下方向に伸縮する。そして、圧電素子28は振動板27を振動させるので、振動板27と隣接するキャビティ25の容積が拡大縮小する。それにより、キャビティ25内に供給された機能液26のうち縮小した容積分の機能液26がノズル20を通り、液滴29となって吐出される。液滴吐出装置1はステージ4とキャリッジ11とを走査する。そして、ノズル20が所定の場所に位置するときに液滴29を吐出することにより、所望のパターンを描画することができる。
【0033】
図3(a)は吹付装置を示す模式断面図であり、図2(a)における図中左側の吹付装置14を示している。図2(a)における図中右側の吹付装置14の構造は図中左側の吹付装置14とX方向に対して左右対称の構造となっている。図3(a)に示すように吹付装置14は図中左上に吸引口32を備えている。吸引口32は吸引流路33と接続され、吸引流路33は送風ファン34と接続されている。吸引口32は吹付装置14の内部へ空気を取り込む口であり、吸引流路33は、取り込んだ空気を流動させる流路である。送風ファン34の回転中心にはモーター35の回転軸が接続されている。そして、送風ファン34及びモーター35等により送風部としての送風装置36が構成されている。
【0034】
送風ファン34の図中下側には第1排気流路37が形成され、第1排気流路37は送風ファン34と接続されている。モーター35により送風ファン34が回転させられて、吸引口32から取り込まれた空気が気流38となって吸引流路33に流入する。次に、気流38は送風ファン34を通過した後、第1排気流路37へ流入する。
【0035】
第1排気流路37は吹出口23と接続され、第1排気流路37を通過する気流38は吹出口23から排出される。第1排気流路37内で吹出口23側には整流板39が配置されている。整流板39は吹出口23から流出する気流38の速度分布における偏りを小さくする機能を有する。従って、吸引流路33から吹出される気流38の流速の分布は平坦な分布になる。
【0036】
吹出口23付近では第1排気流路37と整流板39とがヘッドユニット13から離れる方向に向けて形成されている。そして、気流38が吹出口23を通過した後ヘッドユニット13から離れる方向に進行する。つまり、吹付装置14はヘッドユニット13から離れる方向に気流38を進行させる。
【0037】
図3(b)は照射装置を示す模式断面図であり、図2(a)における図中左側の照射装置15を示している。図2(a)における図中右側の照射装置15の構造は図中左側の照射装置15とX方向に対して左右対称の構造となっている。図3(b)に示すように照射装置15は図中左上に吸引口40を備えている。吸引口40は吸引流路41と接続され、吸引流路41は送風ファン42と接続されている。吸引口40は照射装置15の内部へ空気を取り込む口であり、吸引流路41は、取り込んだ空気を流動させる流路である。送風ファン42の回転中心にはモーター43の回転軸が接続されている。そして、送風ファン42及びモーター43等により送風部としての送風装置44が構成されている。
【0038】
送風ファン42の図中下側には第2排気流路45が形成され、第2排気流路45は送風ファン42と接続されている。モーター43により送風ファン42が回転させられて、吸引口40から取り込まれた空気が気流38となって吸引流路41に流入する。次に、気流38は送風ファン42を通過した後、第2排気流路45へ流入する。
【0039】
第2排気流路45において送風ファン42の下流側にも整流板46が配置されている。整流板46は第2排気流路45内を流動する気流38の速度分布における偏りを小さくする機能を有する。整流板46の下流側には照射部としての照射装置47が配置され、整流板46によって平坦な流速分布となった気流38が照射装置47に向かって流れる。
【0040】
照射装置47は発光ユニット48と放熱板49等から構成されている。発光ユニット48には多数のLED素子48aが配列して設置されている。各LED素子48aはコネクターと電気的に接続され、発光ユニット48にはこのコネクターとLED素子48a等が配置されている。LED素子48aにはコネクターを介して電力が供給される。LED素子48aは、電力の供給を受けて紫外線の光である紫外光47aを発光する素子である。LED素子48aに電力が供給されるとき電力の一部が熱に変換されるので、LED素子48aは発熱する。LED素子48aは温度と発光する紫外光47aの照度との間で負の相関関係を有する。換言すれば、LED素子48aの温度が高くなるほど発光する紫外光47aの照度が小さくなる。従って、LED素子48aを冷却して温度上昇を抑えることにより発光する紫外光47aの照度が低下することを防止できる。
【0041】
LED素子48aの熱は発光ユニット48を介して放熱板49に熱伝導する。放熱板49と接して気流38を通過させることにより、放熱板49の熱は気流38に奪われる。つまりLED素子48aは空冷されるので温度上昇が防止される。その結果、照射装置47は安定した照度の紫外光47aを照射することができる。
【0042】
照射装置47の下流には照射窓24が配置され、照射窓24と対向する場所では基板7が通過する。そして、照射装置47が発光する紫外光47aは基板7を照射する。照射装置47を通過した気流38は照射窓24から排出される。第2排気流路45内には照射装置47が配置されているので、照射窓24から排出される気流38は吹出口23から排出される気流38に比べて温度が高く遅い流速の気流38となっている。そして、吹出口23及び照射窓24から排出される気流38は基板7に着弾した液滴29に吹き付けられる。その結果、液滴29に含まれる溶媒が蒸発する為、液滴29の表面を乾燥し易くすることができる。
【0043】
図4は、液滴吐出装置の電気制御ブロック図である。図4において、液滴吐出装置1は液滴吐出装置1の動作を制御する制御部としての制御装置52を備えている。そして、制御装置52はプロセッサーとして各種の演算処理を行うCPU(中央演算処理装置)53と、各種情報を記憶するメモリー54とを備えている。
【0044】
主走査駆動装置55、主走査位置検出装置12、副走査駆動装置56、副走査位置検出装置5、液滴吐出ヘッド18を駆動するヘッド駆動回路57は、入出力インターフェイス58及びデータバス59を介してCPU53に接続されている。さらに、照射装置47、吹付装置14、入力装置60、表示装置61、保守装置17も入出力インターフェイス58及びデータバス59を介してCPU53に接続されている。
【0045】
主走査駆動装置55はキャリッジ11を駆動する装置であり、副走査駆動装置56はステージ4を駆動する装置である。副走査位置検出装置5がステージ4の位置を検出し、副走査駆動装置56がステージ4を駆動することにより、ステージ4を所望の速度にて走査することが可能になっている。同じく、主走査位置検出装置12がキャリッジ11の位置を検出し、主走査駆動装置55がキャリッジ11を駆動することにより、キャリッジ11を所望の速度にて走査することが可能となっている。
【0046】
入力装置60は液滴29を吐出する各種加工条件を入力する装置であり、例えば、基板7に液滴29を吐出する座標を図示しない外部装置から受信し、入力する装置である。表示装置61は加工条件や作業状況を表示する装置であり、表示装置61に表示される情報を基に、操作者は入力装置60を用いて操作を行う。保守装置17はCPU53の指示信号に従って液滴吐出ヘッド18の保守を行う装置である。保守装置17は液滴吐出ヘッド18内の機能液26を吸引したり、ノズルプレート19を拭き取る機能を備えている。CPU53はキャリッジ11を保守装置17と対向する場所に移動させた後、保守装置17に保守の指示信号を出力する。保守装置17は指示信号を入力し、指示信号に従って液滴吐出ヘッド18の保守を行う。
【0047】
メモリー54は、RAM、ROM等といった半導体メモリーや、ハードディスク、DVD−ROMといった外部記憶装置を含む概念である。機能的には、液滴吐出装置1の動作の制御手順が記述されたプログラムソフト62を記憶する記憶領域や、基板7上に吐出する液滴29の着弾位置の座標データである吐出位置データ63を記憶するための記憶領域が設定される。他にも、液滴吐出ヘッド18を駆動するときの駆動信号である駆動信号データ64を記憶するための記憶領域や、着弾した液滴29を硬化させる条件を設定したデータである硬化条件データ65の記憶領域が設定される。他にも、CPU53のためのワークエリアやテンポラリーファイル等として機能する記憶領域やその他各種の記憶領域が設定される。
【0048】
CPU53は、メモリー54内に記憶されたプログラムソフト62に従って、基板7の表面の所定位置に液滴29を吐出するための制御を行うものである。具体的な機能実現部として液滴吐出ヘッド18から液滴29を吐出するための演算を行う吐出演算部66を有する。
【0049】
吐出演算部66を詳しく分割すれば、キャリッジ11を主走査方向11aへ所定の速度で走査移動させるための制御を演算する主走査制御部67と、基板7を副走査方向4aへ所定の副走査量で移動させるための制御を演算する副走査制御部68を有する。さらに、吐出演算部66は液滴吐出ヘッド18内の複数あるノズル20から液滴29を吐出させるノズル20を選択する吐出制御部69等を有する。吐出制御部69は選択したノズル20に対応する圧電素子28を作動させて液滴29を吐出させる。
【0050】
主走査制御部67、主走査駆動装置55、主走査位置検出装置12、キャリッジ11等により主走査移動部が構成されている。同様に、副走査制御部68、副走査駆動装置56、副走査位置検出装置5、ステージ4等により副走査移動部が構成されている。そして、主走査移動部及び副走査移動部等により移動部が構成されている。吐出制御部69、ヘッド駆動回路57、液滴吐出ヘッド18等により吐出部が構成されている。さらに、吹付制御部74及び吹付装置14等により吹付部が構成され、光照射制御部73及び照射装置47等により照射部が構成されている。
【0051】
他にも、CPU53はビットマップ演算部72を有する。ビットマップは基板7上に着弾する液滴29の位置データを示す。そして、ビットマップ演算部72は載置面6における基板7の位置とステージ4及びキャリッジ11の移動速度のデータを用いてビットマップの演算を行う。他にも、CPU53は光照射制御部73を有する。光照射制御部73は照射装置47の点灯、消灯及び照射光量を制御する装置である。他にも、CPU53は吹付制御部74を有する。吹付制御部74は送風装置36の起動及び停止を制御する装置である。吹付制御部74は送風ファン34の回転と停止とを制御し、気流38の生成を制御する。他にも、CPU53は保守装置17を制御する保守装置制御部75を有する。
【0052】
尚、本実施形態では、上記の各機能がCPU53を用いてプログラムソフトで実現することとしたが、上記の各機能がCPUを用いない単独の電子回路(ハードウェア)によって実現できる場合には、そのような電子回路を用いることも可能である。
【0053】
(描画方法)
次に、上述した液滴吐出装置1を用いて、着弾した液滴29を扁平な形状に形成して描画する方法について図5〜図7にて説明する。図5は、描画作業を示すフローチャートであり、図6及び図7は、描画方法を説明するための模式図である。
【0054】
図5に示すフローチャートにおいて、ステップS1は、給材工程に相当する。この工程は、操作者が載置面に基板を配置して位置決めした後、固定する工程である。次にステップS2〜ステップS4に移行する。ステップS2〜ステップS4は並行して行われる。ステップS2は吐出工程に相当する。この工程は、キャリッジを主走査方向に移動させながら液滴吐出ヘッドから液滴を吐出させる工程である。ステップS3は、吹付工程に相当する。この工程は、基板に着弾した液滴に気流を吹き付ける工程である。ステップS4は、照射工程に相当する。この工程は、着弾した液滴に紫外光を照射させる工程である。次にステップS5に移行する。
【0055】
ステップS5は、走査判断工程に相当する。この工程は、キャリッジが主走査方向の所定の位置まで移動したかを判断する工程である。所定の位置まで移動しておらず、主走査を継続するとき、ステップS2〜ステップS4に移行する。所定の位置まで移動したので、主走査を終了するとき、ステップS6に移行する。
【0056】
ステップS6は、終了判断工程に相当する。この工程は、機能液を塗布する予定の総ての場所に液滴を吐出したかを判断する工程である。機能液を塗布し、硬化する予定の場所があるときステップS7に移行する。ステップS7は、改行工程に相当する。この工程は、ステージを副走査方向に移動する工程である。次にステップS2〜ステップS4に移行する。ステップS6の終了判断工程において、機能液を予定の範囲に総て塗布し、硬化したと判断するとき描画作業を終了する。
【0057】
次に、図6及び図7を用いて、図5に示したステップと対応させて、描画方法を詳細に説明する。図6(a)及び図6(b)は、ステップS1の給材工程〜ステップS4の照射工程に対応する図である。図6(a)に示すように、ステップS1において載置面6上に基板7が載置され固定される。次に、ステップS2の吐出工程において主走査制御部67がキャリッジ11を主走査方向11aに移動させる。そして、ノズル20が所定の場所に位置するとき、吐出制御部69がノズル20から液滴29を吐出させる。ステップS2と並行してステップS3の吹付工程が行われる。吹付制御部74は吹付装置14の吹出口23から気流38を基板7に向けて吹出させる。基板7上には着弾した液滴29が位置しているので、気流38は着弾した液滴29にも吹き付けられる。
【0058】
ステップS2及びステップS3と並行してステップS4の照射工程が行われる。光照射制御部73は照射装置15の照射窓24から紫外光47aを基板7に向けて照射させる。照射窓24と対向する場所に着弾した液滴29が位置するとき、液滴29に紫外光47aが照射される。そして、紫外光47aが照射された液滴29は硬化する。
【0059】
図6(b)は基板を鉛直方向から見たときの模式図である。図6(b)に示すように、ノズル20と基板7とが主走査方向11aに相対移動する。そして、ノズル20が通過した後には基板7に着弾した液滴29が配列する。このとき、副走査方向4aに配列したノズル20の列の幅で主走査方向11aにノズル20が移動可能な範囲の領域を吐出領域76とする。換言すれば、吐出領域76は1回のキャリッジ11の主走査でノズル20から吐出できる領域である。そして、吐出された液滴29は吐出領域76内に着弾する。
【0060】
ノズル20の主走査方向11aには吹出口23が配置されている。吹出口23の副走査方向4aの幅で主走査方向11aに吹出口23が移動可能な範囲の領域を吹出領域77とする。換言すれば、1回のキャリッジ11の走査で吹出口23から気流38を吹き出せる領域である。吹出領域77は吐出領域76より広い範囲を占めている。従って、吹付装置14は基板7上に着弾した液滴29に気流38を吹き付けることができる。
【0061】
吹出口23の副走査方向4aには照射窓24が配置されている。照射窓24の副走査方向4aの幅で主走査方向11aに照射窓24が移動可能な範囲の領域を照射領域78とする。換言すれば、照射領域78は1回のキャリッジ11の走査で照射窓24から紫外光47aを照射できる領域である。照射領域78の副走査方向4aの幅は吐出領域76の副走査方向4aの幅と同じ長さに設定されている。そして、照射領域78は吐出領域76と副走査方向4aに隣接して位置するように、ノズル20と照射窓24とが配置されている。
【0062】
従って、吐出制御部69がノズル20から液滴29を吐出しながら、主走査制御部67がキャリッジ11を主走査方向11aに移動させる。そして、吹付制御部74が吹出口23から気流38を吹出させるとき、気流38は着弾した直後の液滴29に吹き付けられる。一方、吐出領域76と照射領域78とは重なっていないので、着弾した直後の液滴29に紫外光47aは照射されないようになっている。
【0063】
図6(c)はステップS5の走査判断工程とステップS7の改行工程に対応する図である。図6(c)に示すように、ステップS5において、主走査制御部67は基板7上に描画する描画領域7aとノズル20と対向する場所とを比較する。そして、ノズル20と対向する場所が描画領域7aの外側になるとき主走査を停止して、ステップS7の改行工程に移行する。ステップS7では副走査制御部68が副走査駆動装置56を駆動してステージ4を副走査方向4aに移動させる。このとき、副走査制御部68はステージ4に吐出領域76の幅と同じ移動距離の移動をさせる。その結果、着弾した液滴29は照射領域78に移動する。吐出領域76は着弾した液滴29がない場所に移動する。ステップS7の改行工程の次にステップS2の吐出工程〜ステップS4の照射工程に移行する。
【0064】
図7は、ステップS2の吐出工程〜ステップS4の照射工程に対応する図である。図7に示すように、吐出領域76及び吹出領域77ではステップS2の吐出工程及びステップS3の吹付工程が行われる。主走査制御部67がキャリッジ11を主走査方向11aに移動させて、吐出制御部69がノズル20から液滴29を吐出させる。吹付制御部74は吹付装置14の吹出口23から気流38を基板7に向けて吹出させる。基板7上には着弾した液滴29が位置しているので、気流38は着弾した液滴29にも吹き付けられる。基板7に液滴29が着弾した後、液滴29に気流38を吹き付けて液滴29の表面を硬化させる。そして、隣合う液滴29が合体することを防止する。
【0065】
ステップS2及びステップS3と並行して照射領域78ではステップS4の照射工程が行われる。光照射制御部73は照射装置15の照射窓24から紫外光47aを基板7に向けて照射させる。照射領域78には着弾した液滴29が位置している。液滴29が照射窓24と対向する場所を通過するとき、液滴29に紫外光47aが照射される。そして、紫外光47aが照射された液滴29は硬化する。
【0066】
基板7に着弾した液滴29が早く硬化するときには球に近くなり、遅く硬化するときには重力の影響を受けるので扁平に近くなる。そして、着弾した液滴29を扁平な形状に硬化させるときには、着弾後に所定の時間を経過した後に光を照射して硬化させる。ステップS2の吐出工程にて基板7に着弾した液滴29に紫外光47aが照射される間にステップS7の改行工程及びキャリッジ11の移動する時間が経過する。従って、着弾した液滴29を扁平な形状に硬化させることができる。
【0067】
ステップS2〜ステップS7の工程を反復して行う。そして、ステップS6の終了判断工程において、制御装置52が予定の範囲に総て塗布し、硬化したことを確認した後、描画作業を終了する。
【0068】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、基板7に液滴29が着弾した後、液滴29に気流38を吹き付けて液滴29の表面を硬化させている。従って、隣り合う液滴29が合体することを防止することができる。
【0069】
(2)本実施形態によれば、液滴29に紫外光47aを照射するまでの間にキャリッジ11が基板7を主走査方向11aに移動する時間と、さらにステージ4が基板7を副走査方向4aに移動する時間と、さらに着弾した液滴29を照射装置15が照射する場所まで移動する時間とが経過する。従って、液滴29が扁平になってから硬化させることができる。
【0070】
(3)本実施形態によれば、液滴29の吐出と液滴29の硬化とを並行して行うので、生産性良く描画することができる。
【0071】
(4)本実施形態によれば、ヘッドユニット13と吹付装置14と照射装置15とは同じキャリッジ11に配置されている。ヘッドユニット13と吹付装置14と照射装置15とを異なるキャリッジ11に配置するときには、それぞれの装置を配置するキャリッジが必要となる。この場合に比べて、キャリッジを少なくできるので、製造し易い装置にすることができる。
【0072】
(5)本実施形態によれば、吹出口23から排出される気流38がヘッドユニット13から離れる方向に進行するので、気流38が基板7と液滴吐出ヘッド18との間に侵入し難くなる。気流38が基板7と液滴吐出ヘッド18との間に侵入するとき、ノズル20から吐出された液滴29が気流38により曲がって飛行することがある。このとき、液滴29の着弾位置が変動するので、液滴29の着弾位置精度が悪くなる。本実施形態では気流38が基板7と液滴吐出ヘッド18との間に侵入し難い為、液滴29の着弾位置が変動し難くなる。その結果、液滴吐出装置1は液滴29の着弾位置精度を良くすることができる。
【0073】
(第2の実施形態)
次に、液滴吐出装置の一実施形態について図8のキャリッジを示す模式平面図を用いて説明する。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、図6(b)に示した吐出領域76と照射領域78とが離れている点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0074】
すなわち、本実施形態では、図8に示したように液滴吐出装置81は移動部としてのキャリッジ82を備え、キャリッジ82にはヘッドユニット13が配置されている。ヘッドユニット13の主走査方向11aの両側には吹付部としての吹付装置83が配置され、吹付装置83には気流38を吹出す吹出口84が形成されている。1回の走査で気流38を吹き付ける場所を吐出領域85とするとき、吐出領域85の副走査方向4aの幅は吐出領域76の幅の2倍以上に設定されている。従って、吹付装置83は着弾直後の液滴29に加えて、改行後にも液滴29に2回目の気流38の吹きつけをすることができる。
【0075】
吹付装置83の主走査方向11aの両側には照射装置15が配置されている。照射領域78は吐出領域76に対して副走査方向4aに離れた場所に位置する。そして、基板7に着弾した液滴29は副走査制御部68により2回改行された後、照射領域78に位置する。そして、照射領域78に位置する液滴29に照射装置15より紫外光47aが照射される。
【0076】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、基板7に着弾した液滴29は副走査制御部68により2回改行された後、照射装置15により紫外光47aが照射される。従って、第1の実施形態において1回改行された後、照射装置15により紫外光47aが照射される場合に比べて、着弾した液滴29が硬化されるまで放置される時間が長くなっている。その結果、液滴29をさらに扁平な形状に形成することができる。
【0077】
(2)本実施形態によれば、基板7に着弾した液滴29に紫外光47aが照射される2回の走査の間に吹付装置83から気流38が吹き付けられる。従って、液滴29をさらに乾燥させることができる為、少ない光量の紫外光47aで液滴29を固化させることができる。その結果、照射装置15が照射する光量を減らすことができるので、省資源な装置にすることができる。
【0078】
尚、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、基板7に液滴29を吐出した。液滴29が吐出されるワークは基板7に限らない。ワークは立体形状でも良い。基板7に電子素子を実装した電子基板でもよい。他にも金属、樹脂等のシートでも良い。各種のワークに所定のパターンを描画することができる。
【0079】
(変形例2)
前記第1の実施形態では、空気を流動させて気流38を形成したが、空気以外の気体を用いて気流38を形成しても良い。基板7や機能液26を酸化させたくない場合には、窒素、アンモニアガス等の酸素を含まないガスや不活性ガスを用いても良い。酸化膜が形成され難くすることができる。
【0080】
(変形例3)
前記第1の実施形態では、送風ファン34及び送風ファン42に軸流ファンを用いたが、他の形態のファンを採用しても良い。遠心ファン、斜流ファン、シロッコファン、クロスフローファン等の各種形態のファンを用いることができる。さらに、圧縮した気体を収納したタンクを用意して、タンクから圧縮した気体を吹付けても良い。
【0081】
(変形例4)
前記第1の実施形態では、ステージ4を用いて基板7を移動した。基板7の代わりにシート状のワークをもちいるときには、移動部としてのプラテンとローラーとを用いてシートを移動しても良い。小型の装置にすることができる。
【0082】
(変形例5)
前記第1の実施形態では、紫外光47aを発光する素子にLED素子48aを採用したが、紫外線ランプを採用しても良い。同様に液滴29を硬化することができる。
【0083】
(変形例6)
前記第2の実施形態では、2回の改行後に液滴29に紫外光47aを照射したが、3回以上の改行後に紫外光47aを照射しても良い。液滴29をさらに扁平な形状に形成することができる。
【符号の説明】
【0084】
1,81…液滴吐出装置、4…移動部としてのステージ、4a…副走査方向、5…移動部としての副走査位置検出装置、7…ワークとしての基板、11,82…移動部としてのキャリッジ、11a…主走査方向、12…移動部としての主走査位置検出装置、13…吐出部としてのヘッドユニット、14,83…吹付部としての吹付装置、18…吐出部としての液滴吐出ヘッド、20…ノズル、26…液状体としての機能液、29…液滴、38…気流、47…照射部としての照射装置、47a…光としての紫外光、55…移動部としての主走査駆動装置、56…移動部としての副走査駆動装置、57…吐出部としてのヘッド駆動回路、67…移動部としての主走査制御部、68…移動部としての副走査制御部、69…吐出部としての吐出制御部、73…照射部としての光照射制御部、74…吹付部としての吹付制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルからワークに光硬化性の液状体からなる液滴を吐出する吐出部と、
前記ワークに着弾した前記液滴に気流を吹き付ける吹付部と、
前記ワークに着弾した前記液滴に光を照射する照射部と、
前記ワークに対して、前記吐出部と前記吹付部と前記照射部とを相対移動させる移動部と、を有し、
前記ノズルから前記液滴を吐出するときに前記移動部が前記ワークと前記吐出部とを相対移動させる方向を主走査方向とするとき、前記吹付部は前記主走査方向に配置され、
前記照射部は前記ノズルの主走査方向と直交する方向にずれた場所に配置されていることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液滴吐出装置であって、
前記移動部は、前記吐出部と前記吹付部と前記照射部との互いの相対位置を変えることなく、前記ワークに対して相対移動させることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液滴吐出装置であって、
前記吹付部は、前記吐出部から離れる方向に前記気流を進行させることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項4】
ワークとノズルとを主走査方向に相対移動しながら、前記ノズルから前記ワークに光硬化性の液状体からなる液滴を吐出する吐出工程と、
前記ワークに着弾した前記液滴に気流を吹き付ける吹付工程と、
前記主走査方向と交差する副走査方向に前記ワークと前記ノズルとを相対移動する改行工程と、
前記ワークに着弾した前記液滴に光を照射する照射工程と、を有し、
前記吐出工程にて吐出された前記液滴は、前記吹付工程と前記改行工程と前記照射工程とを経て硬化され、前記吐出工程と前記吹付工程と前記照射工程とは少なくとも一部が並行して行われることを特徴とする描画方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−25165(P2011−25165A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173993(P2009−173993)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】