説明

液滴吐出装置

【課題】吐出ヘッドに対するメンテナンス頻度を適正に行い、吐出特性を安定化させる。
【解決手段】機能液を液滴として吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドの周囲の湿度を測定する湿度測定部と、前記吐出ヘッドを保守するメンテナンス部と、測定された前記湿度に基づいて、前記吐出ヘッドに対する前記メンテナンス部の駆動頻度を制御する制御部と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクを吐出するインクジェットヘッドと、吐出されたインクを硬化させる硬化装置等を備え、例えば、電子機器等の表面に向けてインクを塗布し、塗布されたインクを硬化して、電子部品等の表面に文字や記号を形成する液滴吐出装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−80687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記に示したような液滴吐出装置では、インクの吐出性を確保するため、例えば、吐出ヘッドのメンテナンス(フラッシング等)が行われている。しかしながら、例えば、湿度に対して特性が変化しやすいインクを使用する場合、一律的なメンテナンス頻度では、吐出ヘッドの周囲の湿度に応じたインクの特性変化に対応できず、吐出不良が発生してしまう、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる液滴吐出装置は、機能液を液滴として吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドの周囲の湿度を測定する湿度測定部と、前記吐出ヘッドを保守するメンテナンス部と、測定された前記湿度に基づいて、前記吐出ヘッドに対する前記メンテナンス部の駆動頻度を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、吐出ヘッドの周囲の湿度に基づいて、吐出ヘッドのメンテナンス頻度が制御される。吐出ヘッドのメンテナンスとしては、例えば、フラッシングやキャッピングやクリーニング等が含まれる。このため、例えば、湿度に対して特性が変化しやすい機能液を使用する場合、吐出ヘッドの周囲の湿度に基づき、適正に吐出ヘッドのメンテナンスが実施されるので、機能液の吐出性を安定化させ、品質の高い画像等を形成することができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる液滴吐出装置の前記制御部では、測定された前記湿度に基づいて、前記吐出ヘッドに対する前記メンテナンス部の駆動頻度を変更することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、測定された湿度に基づいて、メンテナンス頻度が変更される。すなわち、例えば、液滴吐出装置を駆動させている間に、湿度変化が生じた場合であっても、適正なメンテナンス頻度に変更することができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例にかかる液滴吐出装置の前記機能液が、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化型インクであり、前記吐出ヘッドから吐出された前記紫外線硬化型インクに対して紫外線を照射する紫外線照射部を備えたことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、湿度による紫外線硬化型インクの特性変化に対して、適切な吐出ヘッドのメンテナンスが行われるので、紫外線硬化型インクの吐出特性が保持され、吐出されたインクを紫外線の照射により確実に硬化させることができる。
【0012】
[適用例4]上記適用例にかかる液滴吐出装置では、前記紫外線硬化型インクが、カチオン重合性化合物を含むカチオン重合インクであることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、カチオン重合インクは、湿度の変化に伴って、特性が変化する。例えば、周囲の湿度が低い場合にはインクが硬化しやすく、周囲の湿度が高い場合にはインクは硬化しにくい。このため、測定された湿度から所定湿度よりも低い場合と高い場合に区別して吐出ヘッドのメンテナンスの頻度を制御することにより、カチオン重合インクの吐出特性が保持され、品質の高い画像等を形成することができる。
【0014】
[適用例5]上記適用例にかかる液滴吐出装置の前記制御部では、測定された前記湿度と照射される前記紫外線の光量に基づいて、前記吐出ヘッドに対する前記メンテナンス部の駆動頻度を制御することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、吐出ヘッド周囲の湿度のほか、紫外線の光量がメンテナンス頻度のパラメーターとして使用される。例えば、吐出されたインクに照射された紫外線は、インク等に反射し、反射された紫外線が、吐出ヘッドの方向に照射される場合がある。この吐出ヘッド方向に照射される紫外線により、吐出ヘッド内の紫外線硬化型インクの特性が変化してしまう。このため、吐出ヘッド周囲の湿度に加え、紫外線の光量に基づいて吐出ヘッドのメンテナンス頻度を制御することにより、安定した吐出性を保持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】液滴吐出装置の構成を示す斜視図。
【図2】ヘッドユニットの構成を示す側面図。
【図3】吐出ヘッドの構成を示す断面図。
【図4】液滴吐出装置の制御部の構成を示すブロック図。
【図5】液滴吐出装置の動作を示す説明図。
【図6】第1実施形態における液滴吐出装置の制御方法を示すフローチャート。
【図7】第2実施形態における液滴吐出装置の制御方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の第1及び第2実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
【0018】
[第1実施形態]
(液滴吐出装置の構成)
まず、液滴吐出装置の構成について説明する。図1は、液滴吐出装置の構成を示す斜視図である。液滴吐出装置は、機能液を液滴として吐出する吐出ヘッドと、吐出ヘッドの周囲の湿度を測定する湿度測定部と、吐出ヘッドを保守するメンテナンス部と、測定された湿度に基づいて、吐出ヘッドに対するメンテナンス部の駆動頻度を制御する制御部と、を備えたものである。以下、具体的に説明する。
【0019】
図1に示すように、液滴吐出装置1には、直方体形状の基台2が備えられている。本実施形態では、この基台2の長手方向をY軸方向とし、同Y軸方向と直交する方向をX軸方向とする。
【0020】
基台2の上面2aには、Y軸方向に延びる一対の案内レール3a,3bが同Y軸方向の全幅にわたり凸設されている。その基台2の上側には、一対の案内レール3a,3bに対応する図示しない走査手段を備えたステージ4が取り付けられている。走査手段は、例えば、直動機構であり、当該直動機構は、例えば案内レール3a,3bに沿ってY軸方向に延びるネジ軸(駆動軸)と、同ネジ軸と螺合するボールナットを備えたネジ式直動機構であって、その駆動軸が、所定のパルス信号を受けてステップ単位で正逆転するY軸モーター(図示しない)に連結されている。そして、所定のステップ数に相対する駆動信号がY軸モーターに入力されると、Y軸モーターが正転又は逆転して、ステージ4が同ステップ数に相当する分だけ、Y軸方向に沿って所定の速度で往動又は、復動する(Y軸方向に走査する)ようになっている。
【0021】
さらに、基台2の上面2aには、案内レール3a,3bと平行に主走査位置検出装置5が配置され、ステージ4の位置が計測できるようになっている。
【0022】
そのステージ4の上面には、載置面6が形成され、その載置面6には、図示しない吸引式のチャック機構が設けられている。そして、載置面6にワーク7を載置すると、チャック機構によって、そのワーク7が載置面6の所定位置に位置決め固定されるようになっている。
【0023】
基台2のX軸方向両側には、一対の支持台8a,8bが立設され、その一対の支持台8a,8bには、X軸方向に延びる案内部材9が架設されている。案内部材9は、ステージ4のX軸方向における幅よりも長く形成され、その一端が支持台8a側に張り出すように配置されている。案内部材9の上側には、吐出する液体を供給可能に収容する収容タンク10が配設されている。一方、その案内部材9の下側には、X軸方向に延びる案内レール11がX軸方向の全幅にわたり凸設されている。
【0024】
案内レール11には、ヘッドユニット40がX軸方向に移動可能に配置されている。そのヘッドユニット40の直動機構は、例えば、案内レール11に沿ってX軸方向に延びるネジ軸(駆動軸)と、同ネジ軸と螺合するボールナットを備えたネジ式直動機構であって、その駆動軸が、所定のパルス信号を受けてステップ単位で正逆転するX軸モーター(図示しない)に連結されている。そして、所定のステップ数に相当する駆動信号をX軸モーターに入力すると、X軸モーターが正転又は逆転して、キャリッジ12が同ステップ数に相当する分だけX軸方向に沿って往動又は復動する(X軸方向に走査する)。また、案内部材9とヘッドユニット40との間には、副走査位置検出装置13が配置され、ヘッドユニット40の位置が計測できるようになっている。そして、ヘッドユニット40には、機能液を液滴として吐出する吐出ヘッド14が備えられている。
【0025】
基台2の片側の一方(図中X軸方向の逆方向)には、保守用基台15が配置されている。保守用基台15の上面15aには、Y方向に延びる一対の案内レール16a,16bが同Y軸方向の全幅にわたり凸設されている。その保守用基台15の上側には、一対の案内レール16a,16bに対応する図示しない直動機構を備えた移動手段を構成する保守ステージ17が取り付けられている。その保守ステージ17の直動機構は、例えばステージ4と同様の直動機構であり、Y軸方向に沿って往動又は、復動するようになっている。
【0026】
保守ステージ17の上には、吐出ヘッド14の保守を行うメンテナンス部21が設けられている。メンテナンス部21は、フラッシングユニット18やキャッピングユニット19やワイピングユニット20等を含む。
【0027】
フラッシングユニット18は、吐出ヘッド14の吐出特性を回復させるため、吐出ヘッド14から吐出された液滴を捕集する装置である。例えば、吐出ヘッド14の機能液の粘度が上昇した場合や吐出ヘッド14内に固形物が混入した場合に、吐出ヘッド14から液滴を吐出して粘度が高い機能液や固形物を排除する。そして、吐出された機能液がフラッシングユニット18によって捕集される。
【0028】
キャッピングユニット19は、吐出ヘッド14に蓋をする装置である。使用される機能液によっては、吐出ヘッド14の周囲の環境により、機能液の特性が変化し、例えば、機能液の粘度が変わり、吐出ヘッド14のノズルが目詰まりすることがある。そこで、キャッピングユニット19は、吐出ヘッド14に蓋をすることで、吐出ヘッド14の外気と接触を避け、ノズルの目詰まりを防止することができる。さらに、キャッピングユニット19は、吐出ヘッド14に蓋をするとともに吐出ヘッド14内の機能液を吸引する機能を有する。この場合、吐出ヘッド14に蓋をした状態で、当該蓋内に負圧をかけ、吐出ヘッド14内の機能液を吸引する。これにより、吐出ヘッド14内の機能液や気泡や異物等を取り除くことができる。
【0029】
ワイピングユニット20は、吐出ヘッド14のノズルが形成されているノズルプレートの表面を拭く装置である。ノズルプレートに液滴が付着していると、ノズルプレートに付着した液滴とワーク7とが接触して、ワーク7の予定外の場所に液滴が付着してしまうことがある。そこで、ワイピングユニット20は、ノズルプレートを拭くことにより、ノズルプレートに付着した液滴を除去して、ワーク7の予定外の場所への液滴の付着を防止することができる。
【0030】
保守用基台15と基台2との間には、重量測定装置22が配置されている。重量測定装置22は、吐出ヘッド14から吐出される液滴の重量を測定する吐出検査に用いられる。重量測定装置22には、図示しない電子天秤が2台設置され、各電子天秤には、受け皿が配置されている。液滴が、吐出ヘッド14から受け皿に吐出され、電子天秤が液滴の重量を測定するようになっている。受け皿は、スポンジ状の吸収体を備え、吐出される液滴が、跳ねて、受け皿の外に出ないようになっている。電子天秤は、吐出ヘッド14が液滴を吐出する前後で、受け皿の重量を測定し、吐出前後の受け皿の重量の差分を測定している。
【0031】
ヘッドユニット40が、案内レール11に沿って、X軸方向に移動することにより、吐出ヘッド14をメンテナンス部21や重量測定装置22やワーク7と対向する場所に移動させることができる。
【0032】
次に、ヘッドユニットの構成について説明する。図2は、ヘッドユニットの構成を示す側面図である。図2に示すように、ヘッドユニット40は、機能液としての紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化型インクを液滴として吐出する吐出ヘッド14と、吐出された紫外線硬化型インクに対して紫外線を照射する紫外線照射部50(50a,50b)と、吐出ヘッド14の周囲の湿度を測定する湿度測定部としての湿度センサー29等を備えている。本実施形態では、キャリッジ12を備え、キャリッジ12に吐出ヘッド14が搭載されている。そして、キャリッジ12が案内レール11に沿ってX軸方向に移動可能に配置されている。また、本実施形態では、キャリッジ12のX軸方向における両端部のそれぞれに、第1紫外線照射部50aと第2紫外線照射部50bが配置されている。湿度センサー29は、吐出ヘッド14の周辺部に配置されている。
【0033】
次に、吐出ヘッドの構成について説明する。図3は、吐出ヘッドの構成を示す断面図である。図3に示すように、吐出ヘッド14は、ノズルプレート30を備え、ノズルプレート30には、ノズルプレート30を貫通するノズル31が形成されている。ノズルプレート30の上側であってノズル31と相対する位置には、ノズル31と連通するキャビティ32が形成されている。そして、吐出ヘッド14のキャビティ32には、収容タンク10に貯留されている機能液33が供給される。
【0034】
キャビティ32の上側には、上下方向(Z方向:縦振動)に振動して、キャビティ32内の容積を拡大縮小する振動板34と、上下方向に伸縮して振動板34を振動させる加圧手段としての圧電素子35が配設されている。圧電素子35が上下方向に伸縮して振動板34を振動し、振動板34がキャビティ32内の容積を拡大縮小してキャビティ32を加圧する。それにより、キャビティ32内の圧力が変動し、キャビティ32内に供給された機能液33は、ノズル31を通って吐出されるようになっている。
【0035】
そして、吐出ヘッド14が圧電素子35を制御駆動するための駆動信号を受けると、圧電素子35が伸張して、振動板34がキャビティ32内の容積を縮小する。その結果、吐出ヘッド14のノズル31からは、縮小した容積分の機能液33が液滴36として吐出される。なお、本実施形態では、加圧手段として、縦振動型の圧電素子35を用いたが、特に、これに限定されず、例えば、下電極と圧電体層と上電極とを積層形成した撓み変形型の圧電素子を用いてもよい。また、圧力発生手段として、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルから液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用してもよい。さらには、発熱体を用いてノズル内に泡を発生させ、その泡によって機能液を液滴として吐出させる構成を有する吐出ヘッドであってもよい。
【0036】
次に、本実施形態に用いられる機能液について説明する。本実施形態にかかる機能液は、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化型インクであり、例えば、カチオン重合性化合物を含むカチオン重合インクである。以下、カチオン重合インクの成分を説明する。
【0037】
<カチオン重合開始剤>
カチオン重合開始剤(光酸発生剤)としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。
【0038】
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C654-、PF6-、AsF6-、SbF6-、CF3SO3-塩を挙げることができる。第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができる。第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができる。第4に、鉄アレーン錯体を挙げることができる。
【0039】
また、インクにおいて、重合開始剤の総使用量は、それぞれ、重合性化合物の総使用量に対して、0.01〜35質量%であることが好ましく、0.5〜20質量%であることがより好ましく、1.0〜20質量%であることがさらに好ましい。0.01質量%以上であると、インクを十分硬化させることができ、35質量%以下であると、硬化度が均一な硬化膜を得ることができる。また、インクに後述する増感剤を用いる場合、重合開始剤の総使用量は、重合開始剤:増感剤の質量比で、重合開始剤:増感剤=200:1〜1:200であることが好ましく、50:1〜1:50であることがより好ましく、20:1〜1:5であることがさらに好ましい。
【0040】
<カチオン重合性化合物>
カチオン重合性化合物としては、硬化性及び耐擦過性の観点から、オキセタン環含有化合物及びオキシラン環含有化合物が好適であり、オキセタン環含有化合物及びオキシラン環含有化合物の両方を含有する態様がより好ましい。ここで、オキシラン環含有化合物(以下、「オキシラン化合物」ともいう。)とは、分子内に、少なくとも1つのオキシラン環(オキシラニル基、エポキシ基)を含む化合物であり、具体的にはエポキシ樹脂として通常用いられているものの中から適宜選択することができ、例えば、従来公知の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂が挙げられる。モノマー、オリゴマー及びポリマーのいずれであってもよい。
【0041】
また、オキセタン環含有化合物(以下、「オキセタン化合物」ともいう。)とは、分子内に少なくとも1つのオキセタン環(オキセタニル基)を含む化合物である。前記第1のインクにカチオン重合性化合物を使用する場合、前記第1のインクは、(b−1)重合性化合物の総質量のうち、単官能カチオン重合性化合物が65〜95質量%であることが好ましく、65〜85質量%であることがより好ましく、65〜75質量%であることがさらに好ましい。上記範囲であると、得られる画像の柔軟性に優れる。
【0042】
前記第2のインクにカチオン重合性化合物を使用する場合、前記第2のインクは、(b−2)重合性化合物の総質量のうち、多官能カチオン重合性化合物が50〜90質量%であることが好ましく、52〜75質量%であることがより好ましく、55〜65質量%であることがさらに好ましい。上記範囲であると、得られる画像の耐傷性及び耐溶剤性に優れる。
【0043】
また、カチオン重合性化合物は、単官能であっても、多官能であってもよい。
単官能カチオン重合性化合物としては、単官能オキシラン化合物、及び/又は、単官能オキセタン化合物であることが好ましい。
多官能カチオン重合性化合物としては、2官能カチオン重合性化合物であることが好ましい。また、多官能ラジカル重合性化合物としては、多官能オキシラン化合物、及び/又は、多官能オキセタン化合物であることが好ましく、多官能オキシラン化合物と多官能オキセタン化合物とを併用することがより好ましい。
【0044】
前記第1のインクにカチオン重合性化合物を使用する場合、前記第1のインクは、第1のインクの総質量のうち、単官能カチオン重合性化合物が40〜95質量%であることが好ましく、45〜80質量%であることがより好ましく、45〜65質量%であることがさらに好ましい。上記範囲であると、得られる画像の柔軟性に優れる。
前記第2のインクにカチオン重合性化合物を使用する場合、前記第2のインクは、第2のインクの総質量のうち、多官能カチオン重合性化合物が35〜90質量%であることが好ましく、38〜75質量%であることがより好ましく、40〜60質量%であることがさらに好ましい。上記範囲であると、得られる画像の耐傷性及び耐溶剤性に優れる。
【0045】
以下、単官能カチオン重合性化合物、及び、多官能カチオン重合性化合物について詳細に説明する。
カチオン重合性化合物としては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、同2001−40068号、同2001−55507号、同2001−310938号、同2001−310937号、同2001−220526号などの各公報に記載されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
【0046】
単官能エポキシ化合物の例としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられる。
【0047】
また、多官能エポキシ化合物の例としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−7,8−エポキシ−1,3−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、1,13−テトラデカジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン等が挙げられる。
【0048】
これらのエポキシ化合物のなかでも、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが、硬化速度に優れるという観点から好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。
ビニルエーテル化合物としては、ジ又はトリビニルエーテル化合物が、硬化性、支持体との密着性、形成された画像の表面硬度などの観点から好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。
【0049】
オキセタン化合物としては、特開2001−220526号、同2001−310937号、同2003−341217号の各公報に記載されているような、公知のオキセタン化合物を任意に選択して使用できる。
オキセタン化合物としては、その構造内にオキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。このような化合物を使用することで、インクジェット記録用液体の粘度をハンドリング性の良好な範囲に維持することが容易となり、また、硬化後のインクの支持体との高い密着性を得ることができる。
【0050】
単官能オキセタン化合物の例としては、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−(メタ)アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、4−フルオロ−[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、4−メトキシ−[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル]フェニルエーテル、イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
【0051】
多官能オキセタン化合物の例としては、例えば、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサノナン、3,3’−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス(3−エチルオキセタン)、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等の多官能オキセタンが挙げられる。
【0052】
なお、これらのカチオン重合性化合物は、1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。
また、インク中の重合性化合物の総質量は、インクの総質量に対し、55〜95質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましい。上記範囲内であると、硬化性に優れ、また、粘度が適度である。
また、重合性化合物の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法により合成することができる。また、入手可能な場合は、市販品を使用してもよい。
【0053】
(制御部の構成)
次に、液滴吐出装置の制御部の構成について説明する。液滴吐出装置1は、制御部38を備えている。制御部38は、上記説明した各部材を制御するものであり、例えば、湿度センサー29によって測定された湿度に基づいて、吐出ヘッド14に対するメンテナンス部21の駆動頻度を制御するものである。以下、具体的な構成について説明する。
【0054】
図4は、液滴吐出装置の制御部の構成を示すブロック図である。制御部38は、指令部130と駆動部140とを備え、指令部130は、CPU132、記憶手段としてのROM133,RAM134および入出力インターフェイス131からなり、CPU132が入出力インターフェイス131を介して入力される各種信号を、ROM133、RAM134のデータに基づき処理し、入出力インターフェイス131を介して駆動部140へ制御信号を出力する。CPU132は、例えば、ROM133に記憶されたプログラムソフトに従って、ワーク7の表面の所定位置に機能液を液滴吐出するための制御を行うものである。
【0055】
駆動部140は、ヘッドドライバー141、モータードライバー142、メンテナンスドライバー145、第1紫外線照射ドライバー147、第2紫外線照射ドライバー148、湿度センサードライバー146等から構成されている。モータードライバー142は、指令部130の制御信号により、X軸モーター、Y軸モーター、メンテモーターを制御し、ワーク7や吐出ヘッド14の移動を制御する。また、メンテナンスドライバー145は、フラッシングユニット18、キャッピングユニット19、ワイピングユニット20のそれぞれを制御する。ヘッドドライバー141は、吐出ヘッド14を制御し、モータードライバー142の制御と同調して、ワーク7上の所定位置に吐出を行う。湿度センサードライバー146は、湿度センサー29を制御する。第1紫外線照射ドライバー147は、第1紫外線照射部50aを制御し、第2紫外線照射ドライバー148は、第2紫外線照射部50bを制御する。
【0056】
次に、液滴吐出装置の動作方法について説明する。図5は、液滴吐出装置の動作方法を示す説明図である。本実施形態では、図5(a),(b)に示すように、吐出ヘッド14(ヘッドユニット40)をX軸方向に走査(往復動作)させながら、液滴36を吐出し、ワーク7が載置されたステージ4をY軸方向に走査させる形態について説明する。なお、本実施形態における機能液は、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化型インクである。
【0057】
図5(a)に示すように、例えば、吐出ヘッド14をX軸方向(+方向)に移動(往動)させながら、ワーク7に向けて吐出ヘッド14から紫外線硬化型インクを液滴36として吐出させる。吐出された紫外線硬化型インクはワーク7の表面に付着する。そして、吐出ヘッド14の移動方向に対して後方に配置された第1紫外線照射部50aから紫外線が照射され、紫外線に照射された液滴ドットDが硬化される。
【0058】
その後、ステージ4をY軸方向に移動させる。そして、図5(b)に示すように、例えば、吐出ヘッド14をX軸方向(−方向)に移動(復動)させながら、ワーク7に向けて吐出ヘッド14から紫外線硬化型インクを液滴36として吐出させる。吐出された紫外線硬化型インクはワーク7の表面に付着する。そして、吐出ヘッド14の移動方向に対して後方に配置された第2紫外線照射部50bから紫外線が照射され、紫外線に照射された液滴ドットDが硬化される。
【0059】
(液滴吐出装置の制御方法)
次に、液滴吐出装置の制御方法について説明する。図6は、本実施形態にかかる液滴吐出装置の制御方法を示すフローチャートである。具体的には、メンテナンス部の駆動頻度を制御する制御方法を示すフローチャートである。なお、本実施形態における機能液は、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化型インクである。さらに詳細には、カチオン重合性化合物を含むカチオン重合インクを適用した場合について説明する。ここで、カチオン重合インクは、例えば、ラジカル重合インクに比べ、臭気が弱く安全性に優れている一方で、湿度依存性があるという特性を有している。具体的には、相対的に湿度が低い場合には、カチオン重合インクの硬化性が高まり、相対的に湿度が高い場合には、カチオン重合インクの硬化性が低くなる。このため、例えば、湿度が低い場合には、吐出ヘッド14のノズル31に露出したカチオン重合インクが硬化して目詰まりし、吐出不具合が発生してしまうおそれがある。そこで、以下に示すようにメンテナンス部21の駆動頻度を制御する。
【0060】
ステップS11では、湿度を測定する。本実施形態では、吐出ヘッド14の周辺部に配置された湿度センサー29を駆動させて湿度データを取得する。これにより、吐出ヘッド14の周辺部の湿度が取得される。
【0061】
次いで、ステップS12では、測定された湿度に基づいて、吐出ヘッド14に対するメンテナンス部21の駆動頻度を設定する。具体的には、予め、ROM133には、湿度に対するメンテナンス部21の駆動頻度が規定されたテーブルデータが記憶されている。そして、測定された湿度に対応するメンテナンス部21の駆動頻度が選択(設定)される。メンテナンス部21としては、フラッシングユニット18やキャッピングユニット19やワイピングユニット20から任意に選択することができる。また、メンテナンス部21の駆動頻度としては、液滴吐出装置1の動作単位、例えば、吐出ヘッド14(ヘッドユニット40)の動作に関して、1走査毎や1往復毎等を任意に設定することができる。また、時間単位で駆動させてもよい。
【0062】
なお、本実施形態では、湿度に対するカチオン重合インクの特性を考慮し、制御部38では、測定された湿度が、相対的に低い場合には、メンテナンス頻度を高く設定する。一方、測定された湿度が、相対的に高い場合には、メンテナンス頻度を低く設定する。
【0063】
その後、液滴吐出装置1の吐出動作を開始させ、設定されたメンテナンス部21の駆動頻度に基づいて、メンテナンス部21が駆動される。
【0064】
さらに、制御部38では、測定された湿度に基づいて、吐出ヘッド14に対するメンテナンス部21の駆動頻度を変更してもよい。すなわち、液滴吐出装置1の吐出動作中に湿度の測定(ステップS11)及びメンテナンス部21の駆動頻度を設定(ステップS12)を繰り返し実行させ、湿度の変化に応じてメンテナンス部21の駆動頻度を変更設定してもよい。なお、ステップS11及びステップS12を繰り返す実行頻度は、任意に決定することができる。
【0065】
以上、上記第1実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0066】
(1)取得された湿度に基づいて、メンテナンス部21の駆動頻度が設定される。そして、設定された駆動頻度に基づいて、吐出ヘッド14が保守される。このため、特に湿度依存性がある機能液を使用する場合には、湿度による影響を抑え、良好な機能液の吐出を行うことができる。
【0067】
(2)取得された湿度に基づいて、メンテナンス部21の駆動頻度が変更される。すなわち、例えば、液滴吐出装置1を駆動させている間に湿度変化が生じた場合であっても、適正な吐出ヘッド14の保守頻度に変更することができる。
【0068】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。なお、液滴吐出装置1の構成、制御部38の構成、液滴吐出装置の吐出動作等については、第1実施形態と同様なので、説明を省略し、第1実施形態と異なる制御方法について説明する。
【0069】
図7は、本実施形態にかかる液滴吐出装置の制御方法を示すフローチャートである。具体的には、メンテナンス部の駆動頻度を制御する制御方法を示すフローチャートである。なお、本実施形態における機能液は、第1実施形態と同様に、カチオン重合性化合物を含むカチオン重合インクを適用した場合について説明する。そして、本実施形態にかかる液滴吐出装置1の制御部38では、測定された湿度と照射される紫外線の光量に基づいて、吐出ヘッド14に対するメンテナンス部21の駆動頻度を制御する。以下、具体的に説明する。
【0070】
ステップS21では、湿度を測定する。具体的には、吐出ヘッド14の周辺部に配置された湿度センサー29を駆動させて湿度データを取得する。これにより、吐出ヘッド14の周辺部の湿度が取得される。
【0071】
次いで、ステップS22では、紫外線光量を取得する。具体的には、液滴吐出装置1の吐出動作において、第1及び第2紫外線照射部50a,50bから照射される紫外線光量を取得する。なお、ステップS21の実行とステップS22の実行の順番を逆にしてもよい。
【0072】
次いで、ステップS23では、測定された湿度と紫外線の光量に基づいて、吐出ヘッド14に対するメンテナンス部21の駆動頻度を設定する。具体的には、予め、ROM133には、湿度と紫外線光量に対するメンテナンス部21の駆動頻度が規定されたテーブルデータが記憶されている。そして、測定された湿度と紫外線光量に対応するメンテナンス部21の駆動頻度が選択(設定)される。メンテナンス部21としては、フラッシングユニット18やキャッピングユニット19やワイピングユニット20から任意に選択することができる。また、メンテナンス部21の駆動頻度としては、液滴吐出装置1の動作単位、例えば、吐出ヘッド14(ヘッドユニット40)の動作に関して、1走査毎や1往復毎等を任意に設定することができる。また、時間単位で駆動させてもよい。
【0073】
なお、本実施形態では、湿度に対するカチオン重合インクの特性を考慮するとともに、吐出ヘッド14側への紫外線の反射を考慮する必要がある。そこで、制御部38では、例えば、測定された湿度が、相対的に低い場合であって、紫外線光量が相対的に高い場合には、紫外線光量が相対的に低い場合と比較してメンテナンス頻度を高く設定する。また、例えば、測定された湿度が、相対的に低く、さらに、紫外線光量が相対的に高い場合には、メンテナンス頻度を高く設定する。一方、測定された湿度が、相対的に高く、さらに、紫外線光量が相対的に低い場合には、メンテナンス頻度を低く設定する。
【0074】
その後、液滴吐出装置1の吐出動作を開始させ、設定されたメンテナンス部21の駆動頻度に基づいて、メンテナンス部21が駆動される。
【0075】
さらに、制御部38では、測定された湿度に基づいて、吐出ヘッド14に対するメンテナンス部21の駆動頻度を変更してもよい。すなわち、液滴吐出装置1の吐出動作中に上記ステップS21〜ステップS23を繰り返し実行させ、湿度の変化に応じてメンテナンス部21の駆動頻度を変更設定してもよい。なお、ステップS21〜ステップS23を繰り返す実行頻度は、任意に決定することができる。
【0076】
以上、上記第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
【0077】
吐出ヘッド14の周囲の湿度のほか、第1及び第2紫外線照射部50a,50bから照射される紫外線の光量がメンテナンス頻度のパラメーターとして使用される。従って、特に湿度依存性がある機能液を使用する場合に、湿度の他紫外線の反射の影響を抑え、良好な機能液の吐出を行うことができる。
【0078】
なお、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下のような変形例が挙げられる。
【0079】
(変形例1)上記実施形態では、機能液として紫外線硬化型インクのカチオン重合インクについて説明したが、これに限定されない。例えば、他の湿度依存性を有する紫外線硬化型インクでもよい。さらには、紫外線硬化型インクであるか否かに関わらず、湿度依存性を有する機能液に適用することができる。このようにしても、測定された湿度に応じて吐出ヘッド14のメンテナンス頻度を制御することにより、上記同様の効果を得ることができる。
【0080】
(変形例2)上記実施形態では、測定された湿度に応じて吐出ヘッド14のメンテナンス頻度を制御したが、吐出ヘッド14のメンテナンス頻度に加え、液滴の吐出検査の頻度を制御してもよい。このようにすれば、湿度に応じて吐出検査の頻度が適正化され、吐出特性を保持することができる。
【符号の説明】
【0081】
1…液滴吐出装置、12…キャリッジ、14…吐出ヘッド、18…フラッシングユニット、19…キャッピングユニット、20…ワイピングユニット、21…メンテナンス部、29…湿度センサー、30…ノズルプレート、31…ノズル、33…機能液、36…液滴、38…制御部、40…ヘッドユニット、50(50a,50b)…紫外線照射部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能液を液滴として吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドの周囲の湿度を測定する湿度測定部と、
前記吐出ヘッドを保守するメンテナンス部と、
測定された前記湿度に基づいて、前記吐出ヘッドに対する前記メンテナンス部の駆動頻度を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液滴吐出装置において、
前記制御部では、
測定された前記湿度に基づいて、前記吐出ヘッドに対する前記メンテナンス部の駆動頻度を変更することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液滴吐出装置において、
前記機能液が、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化型インクであり、
前記吐出ヘッドから吐出された前記紫外線硬化型インクに対して紫外線を照射する紫外線照射部を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液滴吐出装置において、
前記紫外線硬化型インクが、カチオン重合性化合物を含むカチオン重合インクであることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の液滴吐出装置において、
前記制御部では、
測定された前記湿度と照射される前記紫外線の光量に基づいて、前記吐出ヘッドに対する前記メンテナンス部の駆動頻度を制御することを特徴とする液滴吐出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−245462(P2012−245462A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118789(P2011−118789)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】