説明

淡水化システム

【課題】淡水化処理で使用する薬品を淡水化処理の過程で生じる物質から製造するとともに、外部からの薬品の供給を不要にし、消費電力を削減する。
【解決手段】原水を、淡水と塩分の濃度が高い濃縮水とに分離する淡水化装置と、淡水化装置で得られた濃縮水に、炭酸ガスを接触させて炭酸塩を生成する炭酸ガス接触装置と、炭酸ガス接触装置で生成された炭酸塩を含む濃縮水を濾過して濃縮水から炭酸塩を除去する炭酸塩濾過装置と、炭酸塩濾過装置で炭酸塩が除去された濃縮水を電解処理して、当該淡水化システムで使用する薬品を生成する電解装置とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩分を含む水を淡水化する淡水化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
海水やかん水等の塩分(塩類を含む水を淡水化する方法として、蒸発法、電気透析法や逆浸透法の3つの方法が一般的である。
【0003】
蒸発法は、これら3つの方法の中で最も古くから利用されている方法であり、海水を加熱して蒸発させ、水蒸気を冷却して淡水を得る方法である。この蒸発法は、スケールメリットが効く方法であるが、海水を蒸発させるため、消費エネルギーが大きい問題がある。したがって、大規模な発電プラント等の廃熱を利用することができる場合に蒸発法を利用することが多い。
【0004】
電気透析法は、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜の間に海水を通し、両膜の外側から直接電圧をかけ、海水中の陽イオンであるナトリウムイオンと陰イオンである塩素イオンとを移動させて淡水を得る方法である。この電気透析法は、塩分濃度が濃くなるにつれて消費エネルギーが大きくなるため、塩分濃度が低い海水の淡水化に利用することが多い。
【0005】
逆浸透法は、水を通し、塩分を通しにくい半透膜の片側に海水を入れて海水に所定の圧力(例えば、6.5MPa程度)を加えることにより、逆浸透作用によって透過した塩分を含まない透過水(淡水)を得る方法である。この逆浸透法は、蒸発法や電気透析法よりも少ないエネルギーで淡水化ができるため、近年、塩濃度が高い海水の淡水化を中心に利用されている。
【0006】
しかし、蒸発法、電気透析法及び逆浸透法のいずれの方法を利用する淡水化システムにおいても、システム内の生物繁殖が原因で発生する装置の故障、配管の閉塞、膜(電気透析膜、逆浸透膜)の閉塞等を防止するため、処理対象の海水(原水)に塩素や次亜塩素酸ナトリウム等の殺菌剤を添加している。また、前処理として、原水に凝集剤を注入し、原水中の固形成分を凝集させて予め分離除去している。この凝集剤注入の前には、固形物を効率よく凝集するため、pH調整剤を添加して原水のpHを調整することもある。さらに、淡水化された処理水にも、pHを調整するためのpH調整剤を添加したり、次亜塩素酸ナトリウム等の殺菌剤を添加したりする。
【0007】
また、電気透析法又は逆浸透法の淡水化システムでは、海水中の金属成分(イオン)が膜(電気透析膜、逆浸透膜)の表面に析出して膜が閉塞することがある。したがって、膜の閉塞を抑制するため、酸で処理原水を酸性にすることがある。
【0008】
さらに、逆浸透法の淡水化システムでは、逆浸透膜で海水中のホウ素を除去することは困難である。そのため、逆浸透膜を二段直列に配置し、後段の逆浸透膜の前にアルカリ(例えば、苛性ソーダ)を添加して海水をアルカリ性にすることで、二段目のホウ素除去率を向上させる淡水化システムもある(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
また、逆浸透膜の種類には、主に、アセチレンセルロース系とポリアミド系とがある。ポリアミド系の膜の方が、アセチレンセルロース系の膜よりもトリハロメタンや有機物の除去率が高い一方、塩素などの酸化剤による酸化劣化が大きい。したがって、逆浸透膜の淡水化システムでは、酸化による劣化を防止するため、重亜硫酸ナトリウム(SBS)等の還元剤を添加して残留塩素を除去しておく必要がある(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
このように、淡水化システムでは、殺菌剤、酸、アルカリ、pH調整剤、還元剤等の薬品を原水に供給する必要があるため、薬品供給の構成が必要になり、システム構成が煩雑化するとともに、薬品の輸送や貯蔵の手間が必要な問題がある。また、このように原水に薬品を供給する淡水化システムでは、薬品供給にコストが必要な問題がある。
【0011】
このように薬品供給に関する問題を解決するため、淡水化処理の過程で生じる濃縮水の一部を隔膜型電気透析槽で電解して酸、アルカリ、殺菌剤(塩素)等の薬品を製造し、ここで製造した塩素を淡水化システムで利用する方法もある(例えば、特許文献3及び4参照)。
【0012】
しかしながら、淡水化システムで生じる濃縮水には、淡水化には関係のないカルシウムイオン(Ca2+)やマグネシウムイオン(Mg2+)等の多価陽イオンが多く含まれている。カルシウムイオンやマグネシウムイオン等の多価陽イオンは、隔膜電解装置内のイオン交換膜表面に析出するファウリングの原因となるため、原水に多価陽イオンが含まれていると、電解効率が悪化し、消費電力が増大する。また、原水に多価陽イオンが含まれていると、陰極で多価陽イオンが還元されて消費電力が増大する。したがって、淡水化システムで生じる濃縮水から製造した薬品を利用すると必要な電力量が増大する問題がある。
【0013】
淡水化で使用する薬品の消費量を低減するため、特許文献3及び4に記載の淡水化システムでは、まず、電解装置で生成したアルカリ(苛性ソーダ)を注入し、カルシウムイオンやマグネシウムイオン等の多価陽イオンの水酸化物として沈殿濾過する(第1工程)。次に、薬品製造とは別の隔膜電解装置を設け、多価陽イオンを還元除去する(第2工程)。続いて、イオン交換キレート樹脂で多価陽イオンを吸着除去した濃縮水を薬品製造用隔膜電解装置で電解して、淡水化システムで必要な薬品を製造する(第3工程)。この方法を利用した場合、淡水化で使用する薬品を淡水化処理の過程で生じる物質から製造することができるため、あらかじめ用意する薬品の量を低減することができる。なお、Ca2+を除去するため、第1工程のアルカリの代わりに苛性ソーダ水(NaOH)に空気を通気して空気中の炭酸ガスを吸収した炭酸ナトリウム(Na2CO3)を供給し、炭酸カルシウム(CaCO3)として沈殿濾過してもよい。
【0014】
しかしながら、例えば、濃縮水中のカルシウムイオン(Ca2+)の水酸化物(Ca(OH)2)は、水の溶解度が0.17g/100cm3(25℃の場合)と大きい。したがって、アルカリ(苛性ソーダ)を添加するのみでは、十分に多価陽イオンを除去できない。一方、空気中の炭酸ガスを吸収した炭酸ナトリウム(Na2CO3)の溶解度は、0.0014g/100cm3(25℃の場合)にまで除去できるが、炭酸マグネシウム(MgCO3)の溶解度は、0.0094g/100cm3(25℃の場合)となり、濃縮水中に微量のMg2+が残留する。
【0015】
したがって、特許文献3及び4に記載の淡水化システムでは、第2工程で隔膜電解装置の設置が必要となる問題がある。また、特許文献3及び4に記載の淡水化システムでは、第3工程でイオン交換キレート樹脂によって多価陽イオンを吸着除去しているが、多価陽イオン吸着用の隔膜電解装置において消費電力の増加や電解効率の低下が生じる問題がある。
【0016】
また、海水を直接電解して殺菌剤の次亜塩素酸ナトリウムを生成する技術がある(例えば、特許文献5参照)。
【0017】
この特許文献5に記載の技術は、海水を冷却水として使う発電プラントや化学プラントで使用した場合、海水を電解して生成した次亜塩素酸ナトリウムで海水を殺菌剤とし、冷却配管中の貝の付着等の生物繁殖を抑制することができる。
【0018】
一方、この特許文献5に記載の技術は、海水を直接電解して次亜塩素酸ナトリウムを生成するため、海水中の臭化物イオンが電解酸化されて発ガン性の臭素酸イオン(BrO3-)が発生するため、飲料用の淡水の消毒剤としては好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2006−122787号公報
【特許文献2】特開2008−29965号公報
【特許文献3】特開平6−262172号公報
【特許文献4】特開平6−269777号公報
【特許文献5】特開2008−297604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上述したように、従来の淡水化処理では、処理の過程で多量の薬品が必要になるとともに、消費電力が増大する問題があった。
【0021】
本発明は、上記課題に鑑み、淡水化処理において、淡水化処理で使用する薬品を、淡水化処理の過程で生じる物質から製造し、外部からの薬品の供給を不要にするとともに、消費電力を削減する容易なシステム構成の淡水化システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記の課題を解決するために、本発明は、塩分を含む原水から淡水を生成する処理過程で薬品を使用する淡水化システムであって、原水を、淡水と塩分の濃度が高い濃縮水とに分離する淡水化装置と、淡水化装置で得られた濃縮水に、炭酸ガスを接触させて炭酸塩を生成する炭酸ガス接触装置と、炭酸ガス接触装置で生成された炭酸塩を含む濃縮水を濾過して濃縮水から炭酸塩を除去する炭酸塩濾過装置と、炭酸塩濾過装置で炭酸塩が除去された濃縮水を電解処理して、当該淡水化システムで使用する薬品を生成する電解装置とを備える。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、淡水化処理で使用する薬品を淡水化処理の過程で生じる物質から製造するとともに、外部からの薬品の供給を不要にし、消費電力を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る淡水化システムの概略図である。
【図2】図1の淡水化システムの前処理装置を説明する図である。
【図3】図1の淡水化システムの淡水化装置を説明する図である。
【図4】図1の淡水化システムの電解前処理装置を説明する図である。
【図5】図1の淡水化システムの電解装置を説明する図である。
【図6】一般的な淡水化システムで利用される次亜塩素酸ナトリウム生成装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、図面を用いて本発明の各実施形態に係る淡水化システムについて説明する。以下の説明において、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0026】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る淡水化システム1は、送水ポンプ10によって海水等の塩分を含む原水が送水される前処理装置20と、前処理装置20で処理された原水が導入され、淡水化する淡水化装置30と、前処理装置20及び淡水化装置30の処理で利用される塩化水素を発生させる塩化水素発生装置40と、淡水化装置30で得られた原水の濃縮水を濾過処理する電解前処理装置50と、電解前処理装置50で処理された濃縮水を電解処理する電解装置60と、淡水化装置30で得られた淡水に供給する次亜塩素酸ナトリウム水を生成する次亜塩素酸ナトリウム生成装置70とを備えている。また、淡水化システム1は、発電装置80と接続されている。
【0027】
以下の説明では、淡水化システム1で、塩分濃度が3.5%であって、塩分組成が、塩化ナトリウム78%、塩化マグネシウム9.8%、硫酸マグネシウム6.0%、硫酸カルシウム4.0%、塩化カリウム2.0%、その他0.3%の原水を淡水化する場合を例に説明する。
【0028】
[前処理装置]
前処理装置20は、淡水化の処理対象である原水を前処理する装置であって、図2に示すように、送水ポンプ10によって送水された原水が流れる第1原水ラインL1に凝集剤を供給する凝集剤供給装置21と、凝集剤が供給された原水を濾過する濾過装置22とを有している。
【0029】
第1原水ラインL1を流れる原水には、電解装置60と接続される塩素ラインL61から電解装置60で生成された塩素ガスが供給される。塩素ガスが供給された原水では、塩素の酸化作用によって海水中の貝類や微生物が殺菌される。原水を塩素によって殺菌することで、その後の原水の送水工程で、原水中に含まれる貝類や微生物等の繁殖を防止することができ、貝類や微生物等の繁殖による装置の閉塞や故障、ラインの閉塞等による淡水化システム1の処理効率の低下を防止することができる。
【0030】
凝集剤供給装置21は、第1原水ラインL1を流れる原水に、凝集剤供給ラインL21を介して原水中の固形物質を凝集する凝集剤を供給する。例えば、凝集剤供給装置21は、凝集剤として塩化第二鉄を原水に供給する。例えば、凝集剤供給装置21は、原水に対して、2〜3mg/Lの凝集剤を供給するように設定されている。
【0031】
第1原水ラインL1を流れる原水には、電解装置60と接続される酸性水ライン(調整剤ライン)L62から、調整剤が供給される。具体的には、調整剤の供給によって原水のpH値を4.0〜6.5程度に調整することで、原水中の固形物質が凝集剤によって凝集されやすくなる。この調整剤ラインL62から供給される調整剤は、電解装置60で生成された酸性水に塩化水素発生装置40で生成された塩化水素を溶解させて得られる。
【0032】
濾過装置22は、例えば、MF膜モジュールを多数段に並列配置した膜分離装置である。この濾過装置22には、第1原水ラインL1を介して凝集剤によって凝集された固形物質を含む原水が流入する。濾過装置22は、流入する原水を濾過し、濾過した原水を第2原水ラインL2を介して淡水化装置30に送水する。
【0033】
濾過装置22から排出された原水は、調整剤ラインL62を介して供給される調整剤が酸性pH値が(6.5以下)に調整された後に淡水化装置30に送水される。ここで、酸性にした原水を後段の淡水化装置30に供給するのは、濃縮やpH変化によって淡水化装置30の膜面に原水中のスケール成分(鉄やマンガン等の金属、カルシウムやマグネシウム等の炭酸塩)が析出し、膜の機能が損なわれるのを防止するためである。前処理装置20が酸性にした原水を淡水化装置30に送水することで、原水中のスケール成分を溶解し、淡水化装置30において原水が濃縮した場合にもスケール成分の膜面への析出を防止することができる。
【0034】
また、濾過装置22では、例えば所定時間(30分等)毎に逆洗水を逆流することで、原水から除去された固形物質を含む排水を排水ラインL22から排出する。なお、濾過装置22には、膜分離装置の他、沈殿池又は濾過池等の原水から固形物を濾過する手段を利用してもよい。
【0035】
[淡水化装置]
淡水化装置30は、塩分を含む原水を淡水化する装置であって、図3に示すように、第2原水ラインL2介して流入する原水を濾過処理する第1濾過装置32と、第1濾過装置32から排出される濃縮水の圧力を回収して原水に圧力を加える動力回収装置33と、第1濾過装置32から流入する原水を濾過処理する第2濾過装置36とを有している。
【0036】
第2原水ラインL2を介して淡水化装置30に流入した原水の一部は、ポンプ31を介して第1濾過装置32に送水され、残りの原水は、動力回収装置33に送水される。例えば、第1濾過装置32には、流入した原水の6割程度(具体的には、約4〜7割)が送水され、残りの4割程度(具体的には、約6〜3割)の原水が動力回収装置33に送水される。この第1濾過装置32に送水される原水と動力回収装置33に送水される原水の割合は、第1濾過装置32及び動力回収装置33の運転条件に応じて調整される。
【0037】
第2原水ラインL2には、ポンプ31が設置されている。このポンプ31は、高圧ポンプ(昇圧ポンプ)であって、前処理装置20から送水された原水に第1濾過装置32に必要な圧力(例えば、6〜7MPa程度(通常は、約6.5MPa))を与え、水圧を調整した原水を第1濾過装置32に送水する。
【0038】
動力回収装置33は、第1濾過装置32からラインL31を介して流入する濃縮水の圧力エネルギーを回収し、第2原水ラインL2から流入する原水に回収した圧力を与える。具体的には、第1濾過装置32は、第1濾過装置32の運転圧力をほぼ維持した状態で動力回収装置33に送水するため、この濃縮水から圧力エネルギーを回収して、第1濾過装置32で必要な圧力の約5〜10割の圧力を原水に与える。例えば、動力回収装置33には、多段タービン水車方式等のタービン式やピストン式等の方法で圧力エネルギーから動力を回収する装置を利用することが可能であって、この動力回収装置33の性能に応じて濃縮水から回収して原水に与えることのできる圧力が異なる。
【0039】
また、動力回収装置33は、加圧した原水を、ラインL32を介して第2原水ラインL2の原水に合流させる。一方、動力回収装置33は、原水を加圧することによって、数百kPa程度にまで減圧された濃縮水を第1濃縮水ラインL33から排出する。
【0040】
ラインL32には、ポンプ34が設置されている。このポンプ34は、例えば、高圧ポンプ(昇圧ポンプ)であって、動力回収装置33で加圧された原水に第1濾過装置32で必要な圧力を与えて第2原水ラインL2を流れる原水に合流させる。
【0041】
第1濾過装置32は、アセチレンセルロース系の膜(CA膜)を使用する逆浸透膜モジュールであって、第2原水ラインL2を介して流入する原水を、濃縮水と膜透過水とに分離し、濃縮水を第1濾過装置32の運転圧力をほぼ維持した状態でラインL31を介して動力回収装置33に送水する。また、第1濾過装置32は、濃縮水を除いた原水(膜透過水)を、ラインL34を介して第2濾過装置36に送水する。
【0042】
ラインL34を流れる原水には、電解装置60と接続されるアルカリ水ラインL63からアルカリ水(苛性ソーダ水)が供給され、pH値が9以上に調整される。
【0043】
ラインL34には、ポンプ35が設置されている。このポンプ35は、例えば、高圧ポンプ(昇圧ポンプ)であって、アルカリ水の供給によってpH値が調整されたラインL34の原水を加圧して、第2濾過装置36で必要な水圧(1〜3MPa)にして送水する。
【0044】
第2濾過装置36もCA膜を使用する逆浸透膜モジュールであって、ラインL34を介して流入する原水を、濃縮水と膜透過水とに分離し、濃縮水を第2濃縮水ラインL35から排出する。また、第2濾過装置36は、濃縮水を除いた原水(膜透過水)を処理水として処理水ラインL3から排水する。
【0045】
第2濾過装置36に送水される原水はアルカリ水の供給によりpH値が9以上に調整されるため、原水にホウ酸として溶解しているホウ素は、ホウ酸イオンに解離される。このように、原水中のホウ酸をホウ酸イオンにすることにより、第2濾過装置36でのホウ素除去性能を向上することができる。したがって、淡水化装置30では、アルカリ水ラインL63によってアルカリ水を供給することで、処理水の残留ホウ素濃度を低減することができる。
【0046】
第1濃縮水ラインL33は、電解前処理装置50に接続されており、動力回収装置33から排出される濃縮水の一部は電解前処理装置50に送水されて、電解前処理装置50で利用される。電解前処理装置50には、必要な量の濃縮水のみを送水すればよいため、動力回収装置33から排出された残りの濃縮水は、排水に必要な処理(例えば、海水との混合による希薄化)がされた後に放水してもよい。
【0047】
また、第2濃縮水ラインL35は、電解装置60に接続されており、第2濾過装置36から排出される濃縮液は、ポンプ35によって与えられた圧力(1〜3MPa)をほぼ維持した状態で電解装置60に送水されて電解装置60で利用される。
【0048】
なお、図1に示すように、淡水化装置30から排出されて処理水ラインL3を流れる処理水には、電解装置60と接続される調整剤ラインL62から調整剤が供給され、中和(pH値7程度)される。また、処理水ラインL3を流れる処理水には、次亜塩素酸ナトリウム生成装置70と接続される次亜塩素酸ナトリウムラインL71から供給される次亜塩素酸ナトリウム水溶液によって消毒処理された後に、ユーザに送水される。
【0049】
(淡水化装置の変形例)
上述した例では、第1濾過装置32の膜モジュールも第2濾過装置36の膜モジュールもCA膜を使用していた。これに対し、第1濾過装置32でCA膜を使用し、第2濾過装置36ではポリアミド系の膜(PA膜)を使用してもよい。PA膜は塩素に弱く塩素で劣化するため、塩素を含む原水の濾過には向いていないが、CA膜である第1濾過装置32で塩素が十分に除去されていれば、第2濾過装置36では、塩素による膜の劣化は生じない。一方、PA膜は、CA膜で十分に除去することの出来ない有機物やホウ素を除去することができる。
【0050】
したがって、第1濾過装置32でCA膜を用い、第2濾過装置36でPA膜を用いることで、CA膜及びPA膜の両方を使用することができるから、CA膜の第1濾過装置32で塩素を除去するとともに、第1濾過装置32のCA膜で除去されなかった有機物やトリハロメタンをPA膜の第2濾過装置36で除去することができる。
【0051】
また、第1濾過装置32の膜モジュールでPA膜を使用し、第2濾過装置36の膜モジュールでCA膜を使用してもよい。第1濾過装置32でPA膜を用い、第2濾過装置36でCA膜を用いた場合にも、PA膜とCA膜との両方を使用することができるため、両方の膜の効果が期待できる。この場合、CA膜の第2濾過装置36で塩素を除去する前にPA膜の第1濾過装置32で濾過処理されることになるから、塩素によるPA膜の劣化防止のため、淡水化装置30に送水される原水に重亜硫酸ナトリウム(SBS)等の還元剤を原水に添加して残留塩素を除去しておく必要がある。
【0052】
[塩化水素発生装置]
塩化水素発生装置40は、塩素と水素を利用して塩化水素を発生させる装置である。具体的には、塩化水素発生装置40には、塩素ラインL61を介して電解装置60から供給される塩素と、水素ラインL64を介して電解装置60から供給される水素とによって、塩化水素を発生させる。また、塩化水素発生装置40は、発生させた塩化水素を酸性水ラインL62の酸性水に供給する。酸性水に塩化水素を混合させると調整剤となる。塩化水素発生装置40で発生した調整剤は、前処理装置20に供給されるとともに、処理水ラインL3の原水に添加される。
【0053】
また、ここで生成される塩化水素を水に溶解させて塩酸を生成し、この塩酸を淡水処理においてpH値を調整する調整剤として使用することもできる。
【0054】
[電解前処理装置]
電解前処理装置50は、濃縮水からカルシウムイオン(Ca2+)やマグネシウムイオン(Mg2+)等の多価陽イオン等の不純物を除去する装置であって、図4に示すように、第1濃縮水ラインL33を介して流入する濃縮水を濾過する水酸化物濾過装置51と、水酸化物濾過装置51で濾過された濾過水に炭酸ガスを接触させる炭酸ガス接触装置52と、炭酸ガス接触装置52で発生した炭酸塩を含む処理水を濾過する炭酸塩濾過装置53とを有している。
【0055】
電解前処理装置50は、淡水化装置30と接続される第1濃縮水ラインL33を介して濃縮水を流入する。第1濃縮水ラインL33から流入する濃縮水には、淡水化装置30において原水から除去された塩類とともに、カルシウムイオン(Ca2+)やマグネシウムイオン(Mg2+)等の多価陽イオン等の不純物を含んでいる。したがって、電解前処理装置50では、流入する濃縮水に、アルカリ水ラインL63を介して電解装置60で生成されたアルカリ水(苛性ソーダ水)を供給し、濃縮水のpH値を9以上に調整する。アルカリ水が供給された濃縮水では、カルシウムイオン(Ca2+)やマグネシウムイオン(Mg2+)等の多価陽イオンの不溶性の水酸化物が生成される。
【0056】
水酸化物濾過装置51には、アルカリ水が供給された濃縮水が流入する。水酸化物濾過装置51は、濃縮水からカルシウムイオンやマグネシウムイオン等の多価陽イオンの不溶性の水酸化物をろ過し、水酸化物が除去された濃縮水(濾過水)を、ラインL51を介して炭酸ガス接触装置52に送水する。このとき、水酸化物の水への溶解度は、水酸化カルシウム0.17g/100cm3(25℃)、水酸化マグネシウム0.0012g/100cm3(25℃)であり、水酸化カルシウムの一部は膜の濾過水として膜を透過する。
【0057】
また、水酸化物濾過装置51は、濾過で濃縮水から除去された水酸化物は逆洗によって排水ラインL52から排出する。このとき、水酸化物濾過装置51は、逆洗用水として電解装置60で発生する酸性水に塩化水素発生装置40で発生した塩化水素を溶解させた酸を利用すれば、水酸化物濾過装置51の膜表面に付着した水酸化物等の汚れを溶解して排出することができる。
【0058】
炭酸ガス接触装置52には、水酸化物濾過装置51から濃縮水を流入するとともに、発電装置80と接続される炭酸ガスラインL81から炭酸ガスを多く含む排ガスが供給される。炭酸ガス接触装置52では、濃縮水に炭酸ガスを接触させることにより、濃縮水に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイオン等の多価陽イオンと炭酸ガスによって炭酸塩を生成し、炭酸塩を含む濃縮水(処理水)をラインL53を介して炭酸塩濾過装置53に送水する。例えば、水酸化カルシウムとして水酸化物濾過装置51の膜を透過したカルシウムイオンを不水溶性の炭酸カルシウムに変化させる。炭酸ガス接触装置52は、多価陽イオンと未反応の炭酸ガスがあるときには、排ガスとして排気すればよい。
【0059】
ここで、電解前処理装置50では、炭酸ガスによって数マイクロメートル未満のマイクロバブル又は数ナノメートル未満のナノバブル等の微細気泡を生成する気泡生成手段(図示せず)を備えてもよい。微細気泡の炭酸ガスを濾過水と接触させた場合、多価陽イオンとの接触効率が向上するため、炭酸塩の生成効率も向上する。
【0060】
炭酸塩濾過装置53は、炭酸ガス接触装置52から流入した濃縮水(処理水)を濾過する。これにより、濃縮水から、水酸化物濾過装置51で除去することができなかったカルシウムイオンやマグネシウムイオン等の多価陽イオンで生成された炭酸塩を除去する。また、炭酸塩濾過装置53は、炭酸塩が除去された濃縮水(濾過水)を濃縮水ラインL54を介して電解装置60に送水する。このように、炭酸ガス接触装置52において濃縮水と炭酸ガスとを接触させることで、濃縮水(処理水)中のカルシウムイオンやマグネシウムイオンを十分に除去することができる。例えば、炭酸カルシウムの水への溶解度は0.0014g/100cm3(25℃)である。
【0061】
一方、炭酸塩濾過装置53は、濃縮水から除去した炭酸塩を逆洗によって排水ラインL55から排出する。このとき、炭酸塩濾過装置53は、逆洗用水として、電解装置60で発生する酸性水に塩化水素発生装置40で発生した塩化水素を溶解させた酸を利用すれば、炭酸塩濾過装置53の膜表面に付着した炭酸塩等の汚れを溶解して排出することができる。
【0062】
淡水化システム1の近くに発電所等の発電装置80が存在する場合、図1に示すように、炭酸ガス接触装置52が発電装置80から排出される排ガスに含まれる炭酸ガスを利用することで、発電装置80で発生する炭酸ガスを有効利用するとともに、炭酸ガスの大気への放出を削減することができる。その他、炭酸ガス接触装置52は、大気中から収集した炭酸ガスを利用してもよいが、大気中の炭酸ガスの濃度は発電装置80の排ガス中の炭酸ガスの濃度よりも低いため、発電装置80の排ガスを利用した方が、効率良く炭酸塩を生成することができる。
【0063】
[電解装置]
電解装置60は、図5に示すように、陰極61が設置される陰極室62と、陽極63が設置される陽極室64と、陰極室62と陽極室64の間に設けられる電解処理室65を有する隔膜型の電解装置である。陰極室62と電解処理室65の間は陽イオン交換膜66で隔てられ、陽極室64と電解処理室65の間は陰イオン交換膜67で隔てられている。
【0064】
電解処理室65は、電解前処理装置50と接続される濃縮水ライン54からカルシウムイオンやマグネシウムイオン等の多価陽イオンが十分に除去された濃縮水(塩化ナトリウム濃度:約5〜10%)を流入する。陰極61と陽極63との間に電圧をかけると、図5に示すように、濃縮水中のナトリウムイオン(Na+)等の陽イオンは陽イオン交換膜66を透過して電解処理室65から陰極室62へ移動する。
【0065】
陰極室62には、淡水も供給されるが、電解処理室65から移動するナトリウムイオンによって、ナトリウムイオンの濃度が上がり、0.1〜3規定のアルカリ水(苛性ソーダ水)が生成される。またこのとき、陰極61では水素が発生する。陰極室62で生成されたアルカリ水は、図1に示すように、アルカリ水ラインL63を介して、淡水化装置30、電解前処理装置50及び次亜塩素酸ナトリウム生成装置70に供給されて利用される。アルカリ水はその他、逆浸透膜モジュールの塩素による酸化劣化防止のために使用する次亜硫酸ナトリウム(SBS)の生成や、その他のプロセスでpH値の調整に利用することもできる。また、陰極室62で発生した水素は、図1に示すように、水素ラインL64を介して、塩化水素発生装置40及び発電装置80に供給される。
【0066】
電解装置60が流入する濃縮水は、ナトリウムイオン(Na+)の他、炭酸イオン(CO3-)や塩化物イオン(Cl-)等の陰イオンを含んでいる。陰極61と陽極63との間に電圧をかけると、図5に示すように、濃縮水中の炭酸イオンや塩化物イオン等の陰イオンは、陰イオン交換膜67を透過して電解処理室65から陽極室64へ移動する。
【0067】
陽極室64には、淡水も供給されるが、電解処理室65から移動する濃縮水中の炭酸イオンや塩化物イオンの濃度が上がり、酸性水が生成される。またこのとき、陽極63では塩素イオン(Cl-)の酸化により塩素(Cl2)が発生する。陽極室64で生成された酸性水は、図1に示すように、酸性水ラインL62から排出され、塩化水素発生装置40で発生させた塩化水素を溶解させてpH値を1〜6に調整した後、調整剤として前処理装置20に供給され、淡水化装置30で淡水化された処理水に混合させる。また、陽極室64で発生した塩素は、塩素ラインL61を介して、前処理装置20、塩化水素発生装置40及び次亜塩素酸ナトリウム生成装置70に供給される。塩素はその他、淡水の消毒剤とすることもできる。
【0068】
塩濃度(陽イオン、陰イオン)が下がった電解水は、電解処理室65から排出され、例えば、電解処理されていない濃縮水を希釈して海に放流される。または、塩濃度が下がった電解水は、原水に循環してもよい。
【0069】
[次亜塩素酸ナトリウム生成装置]
次亜塩素酸ナトリウム生成装置70には、電解装置60で生成されたアルカリ水(苛性ソーダ水)と塩素とが供給され、アルカリ水と塩素とを接触させて次亜塩素酸ナトリウム水を生成する装置である。
【0070】
一般的な次亜塩素酸ナトリウム生成装置は、図6に示すように、陰極71と陽極72を内部に有する反応槽73内で海水や濃縮海水を電解し、電解処理して次亜塩素酸ナトリウム水を生成している。本願発明においても、この図6に示すような次亜塩素酸ナトリウム生成装置を利用しても良いが、処理水中に含まれる臭化物イオン(Br-)濃度が高いとき、臭化物イオンが電解酸化されて、次亜塩素酸ナトリウム以外に発癌性の臭素酸イオン(BrO3-)が副生成される。淡水を飲料水としてユーザに送る場合、図6に示すような次亜塩素酸ナトリウム水を消毒剤として使用した場合、電解する前に臭化物イオンの除去等の臭素酸イオン(BrO3-)の対策が必要になる。
【0071】
これに対し、上述したように、電解装置60で生成されたアルカリ水を塩素と接触させて次亜塩素酸ナトリウム水を生成する方法の場合、次亜塩素酸ナトリウム生成装置に入ることがほとんどなく、臭素酸イオンの生成を抑制することができる。
【0072】
[発電装置]
発電装置80は、例えば、ガスタービン発電機等の発電装置であって、図1に示すように、天然ガス等の燃料ガスが供給されるとともに、水素ラインL64を介して電解装置60で発生した水素が供給される。また、発電装置80には、大気中の空気が供給され、燃料ガスと水素を燃焼させて発電する。
【0073】
発電装置80からは、炭酸ガス(CO2)を多く含む燃焼ガスが排ガスとして排出され、炭酸ガスラインL81を介して電解前処理装置50に供給される。
【0074】
上述したように、本発明の実施形態に係る淡水化システム1では、電解装置60で濃縮水を電解する前に、電解前処理装置50の水酸化物濾過装置51が、アルカリ水でpH値を調整した濃縮水から多価陽イオンの不溶性の水酸化物を除去している。また、電解装置60で濃縮水を電解する前に、電解前処理装置50の炭酸塩濾過装置53が、炭酸ガス接触装置52で炭酸ガスと接触させることで生成された多価陽イオンの炭酸塩を濃縮水から除去している。したがって、電解装置60が処理対象とする濃縮水は多価陽イオンを十分に除去されており(塩化ナトリウムが5〜10%)、電解装置60内のイオン交換膜表面に析出するファウリングによって生じる電解効率の悪化や、陰極上で多価陽イオンが還元されることによる消費電力が原因となる電極の劣化やコストの増大を抑制することができる。このとき、淡水化システム1では、多価陽イオンの除去で必要な薬品に、淡水化処理の過程で生じる物質を利用して生成するため、薬品に必要なコストを低減することができる。
【0075】
また、淡水化システム1では、電解前処理装置50において濃縮水にアルカリ水(苛性ソーダ水)を添加してカルシウムイオンやマグネシウムイオン等の多価陽イオンの不溶性の水酸化物を濾過して除去した後に、炭酸ガスと接触させてカルシウムイオンやマグネシウムイオン等の多価陽イオンの炭酸塩を濾過して除去している。これにより、淡水化装置30で酸性にした濃縮水を一旦アルカリ性にしてから炭酸ガスと接触させており、酸性下で接触させるよりも炭酸カルシウムが析出しやすい。すなわち、電解装置60の膜状へのファウリングによって生じる電解効率の低下の原因になるカルシウムイオンの流入を抑制できるため、電解装置60の寿命を長くすることができるとともに、電解コストを低減することができる。一方、濃縮水を炭酸ガスと接触させて濃縮水中のイオンを炭酸塩とした後に、アルカリ水(苛性ソーダ水)によってpH値を9以上にした場合、炭酸濃度があがる。すなわち、濃縮水をより酸性にした濾過水のpH値を9以上にするために、アルカリ(苛性ソーダ)の消費量が増加する。したがって、アルカリにしてから炭酸と接触させる方が、必要なアルカリ水(苛性ソーダ水)の量を減少することが可能となり、電解で必要なコストを低減することができる。
【0076】
さらに、淡水化システム1では、電解装置60で生成したアルカリ水(苛性ソーダ水)を、電解装置60で発生した塩素と接触させることにより、臭化物イオンが、次亜塩素酸ナトリウム生成装置70に入ることがほとんどなく、臭素酸イオンの生成を抑制することができる。
【0077】
また、淡水化システム1では、発電装置80から排出される炭酸ガス濃度の高い排ガスと濾過水とを接触させることにより、効率良く炭酸塩を生成することができる。加えて、炭酸ガスをマイクロバブルやナノバブルとした状態で濾過水と接触させることにより、濾過水と炭酸ガスとの接触効率が向上して炭酸塩の生成速度が上がり、炭酸ガス接触装置52を小型化することができる。
【0078】
さらに、発電装置80の排ガス中の炭酸ガスを炭酸カルシウムとして不溶性の固形物として分離することができる。すなわち、炭酸ガスの固定化が可能となり、温暖化問題で年々厳しくなる発電プラントの炭酸ガスの排出量を削減することができる。また、電解により多量に発生した水素の一部を発電用の燃料として利用することで、淡水化プラント1で発生した水素を有効利用し、エネルギー効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0079】
1…淡水化システム
10…送水ポンプ
20…前処理装置
30…淡水化装置
40…塩化水素発生装置
50…電解前処理装置
51…水酸化物濾過装置
52…炭酸ガス接触装置
53…炭酸塩濾過装置
54…濃縮水ライン
60…電解装置
70…次亜塩素酸ナトリウム生成装置
80…発電装置
L63…アルカリ水ライン
L71…次亜塩素酸ナトリウムライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩分を含む原水から淡水を生成する処理過程で薬品を使用する淡水化システムであって、
原水を、淡水と塩分の濃度が高い濃縮水とに分離する淡水化装置と、
前記淡水化装置で得られた濃縮水に、炭酸ガスを接触させて炭酸塩を生成する炭酸ガス接触装置と、
前記炭酸ガス接触装置で生成された炭酸塩を含む濃縮水を濾過して濃縮水から炭酸塩を除去する炭酸塩濾過装置と、
前記炭酸塩濾過装置で炭酸塩が除去された濃縮水を電解処理して、当該淡水化システムで使用する前記薬品を生成する電解装置と、
を備えることを特徴とする淡水化システム。
【請求項2】
前記炭酸ガス接触装置に送水する前の濃縮水に、アルカリを供給するアルカリ水ラインと、
前記炭酸ガス接触装置の前段に配置され、前記アルカリ水ラインを介して供給されたアルカリによって生成された水酸化物を含む濃縮水を濾過し、水酸化物を除去した濃縮水を前記炭酸ガス接触装置に送水する水酸化物濾過装置と、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の淡水化システム。
【請求項3】
前記電解装置は、濃縮水から薬品としてアルカリを生成し、
前記アルカリ水ラインは、前記電解装置で生成されたアルカリを濃縮水に供給する
ことを特徴とする請求項2に記載の淡水化システム。
【請求項4】
前記電解装置は、濃縮水から薬品としてアルカリ及び塩素を生成し、
前記電解装置で生成されたアルカリ及び塩素を反応させて、薬品として次亜塩素酸ナトリウムを生成する次亜塩素酸ナトリウム生成装置を更に備える
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の淡水化システム。
【請求項5】
前記次亜塩素酸ナトリウム生成装置で生成された次亜塩素酸ナトリウムを前記淡水化装置で得られた淡水に供給する次亜塩素酸ナトリウムラインを更に備える
ことを特徴とする請求項4に記載の淡水化システム。
【請求項6】
前記電解装置は、濃縮水から薬品として塩素、水素及び酸を生成し、
前記電解装置で生成された塩素及び水素を反応させて塩化水素ガスを発生させる塩化水素発生装置と、
前記電解装置で生成された酸に、前記塩化水素発生装置で発生させた塩化水素ガスを溶解して新たな薬品として塩酸を生成する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の淡水化システム。
【請求項7】
炭酸ガスの微細気泡を発生する微細気泡発生装置を更に備え、
前記炭酸ガス接触装置は、前記微細気泡発生装置で発生された炭酸ガスの微細気泡を濃縮水に接触させることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1に記載の淡水化システム。
【請求項8】
発電装置と接続され、
前記炭酸ガス接触装置は、発電装置から排出される排ガス中の炭酸ガスを濃縮水に接触させる炭酸ガスとして利用することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1に記載の淡水化システム。
【請求項9】
前記電解装置は、前記電解装置で生成した水素を前記発電装置に供給することを特徴とする請求項8に記載の淡水化システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−56345(P2011−56345A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206315(P2009−206315)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】