説明

混合分散剤を含むペースト組成物及びそれを採用した表示素子

【課題】混合分散剤を含むペースト組成物及びそれを採用した表示素子を提供する。
【解決手段】親水部が酸性作用基を含む分散剤、親水部が塩基性作用基を含む分散剤、無機粒子、及び有機溶媒を含むペースト組成物である。これにより、分散性に優れて粘度が低い、ペースト組成物を使用して製造された表示素子は、充填密度などの改善が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合分散剤を含むペースト組成物及びそれを採用した表示素子に係り、特に親水部が酸性である分散剤及び親水部が塩基性である分散剤を含むペースト組成物、前記ペースト組成物を採用した表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の情報伝達媒体の重要部分である表示素子の代表的な活用分野としては、パソコンのモニタ及びテレビジョン受像機などが挙げられる。かかる表示素子は、高速熱電子放出を利用する陰極線管(Cathode Ray Tube:CRT)、最近に急速に発展している液晶表示素子(Liquid Crystal Display:LCD)、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel:PDP)及び電界放出表示素子(Field Emission Display:FED)またはカーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube:CNT)ランプのような平板表示素子に大別されうる。
【0003】
かかる平板表示素子のうち、例えばPDPは、透明電極の相互間に電圧を印加することによって、電極上にある誘電層及び保護層の表面で放電が起きて紫外線が発生し、このように発生した紫外線により、背面基板に塗布されている蛍光体を励起して発光させる表示素子であり、FEDまたはCNTランプは、カソード電極上に一定した間隔で配列されたエミッタにゲート電極から強い電場を印加することによって、エミッタから電子を放出させ、この電子をアノード電極の表面に塗布された蛍光物質に衝突させて発光させる表示素子である。
【0004】
前記素子の原理的な相違点にもかかわらず、前記素子の製造時にパネルの間に位置する構成要素のうち蛍光体、隔壁などは、ペーストの形態にて基板上に塗布されることが一般的である。この場合、前記ペーストを構成する各種の成分は、ペースト内で均一に分散されねばならず、容易に沈殿されてはならない。それは、焼成などの以後のステップを経た後にも均一な品質を有するパネルが得られうるためである。これは、単に平板表示素子の場合だけでなく、電子分野に使われる他の多くの素子の場合にも同一に要求されるものであって、分散性が低下する場合、焼成などの硬化ステップを経た後に均一な電気的または磁気的特性を表し難い。
【0005】
したがって、かかる分散性の向上のために、前記ペーストには、分散剤が添加されることが一般的である。例えば、ペースト組成物に分散剤を使用した場合としては、特許文献1、2及び3など多くの従来の技術が知られている。
【0006】
しかしながら、従来のペースト組成物は、一つの分散剤を使用することが一般的であり、かかる単一分散剤の使用では、粘度の減少、すなわち分散性の向上に限界があった。最近に分散性が向上した分散剤が提示されているが、それらは、複雑なデザインなどを通じて合成されるので、高価であるなどの理由により実際に適用し難い場合がほとんどである。したがって、従来の一般的な分散剤を使用しつつも分散性をさらに向上させる方法が依然として要求される。
【特許文献1】韓国公開特許第2001−0037347号公報
【特許文献2】韓国公開特許第2003−0033564号公報
【特許文献3】特開2000−203887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、混合分散剤を含むペースト組成物を提供することである。
【0008】
本発明が解決しようとする他の課題は、前記無機素子を採用した表示素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は、親水部が酸性作用基を含む分散剤、親水部が塩基性作用基を含む分散剤、無機粒子、及び有機溶媒を含むペースト組成物を提供する。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、前記親水部が酸性作用基を含む分散剤対親水部が塩基性作用基を含む分散剤の重量比は、100:1ないし4:1であることが望ましい。
【0011】
本発明の他の実施形態によれば、前記酸性作用基は、燐酸基、カルボキシル基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホン基、スルフェノ基、スルフィノ基及び水酸基からなる群から選択されることが望ましい。
【0012】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記親水部は、アルキレンオキサイド基をさらに含むことが望ましい。
【0013】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記塩基性作用基は、置換または非置換されたアミノ基、窒素原子を含む飽和または不飽和されたヘテロシクロアルキル基、及び窒素原子を含む置換または非置換されたヘテロアリール基からなる群から選択されることが望ましい。
【0014】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記窒素原子を含む飽和または不飽和されたヘテロシクロアルキル基(heterocycloalkyl group)は、イミダゾリル基(imidazolyl group)、ピロリジル基(pyrrolidyl group)、イミダゾリジル基(imidazolidyl group)、ピラゾリジル基(pyrazolidyl group)、ピペリジル基(piperllidyl group)、ピペラジル基(piperazyl group)、インドリジル基(indolidyl group)及びイソインドリル基(isoindollenyl group)からなる群から選択されることが望ましい。
【0015】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記窒素原子を含む置換または非置換されたヘテロアリール基(heteroaryl group)は、ピロリル基(pyrrollyl group)、イミダゾリル基(imidazolyl group)、イソチアゾリル基(isothiazolyl group)、イソオキサゾリル基(isoxazolyl group)、ピリジル基(pyridyl group)、プリル基(puryl group)、ピラジル基(pyrazyl group)、キノリジニル基(qiunolizinyl group)、ピリミジル基(pyrimidyl group)、イソキノリル基(isoquinolyl group)、ピリダジニル基(pyridazinyl group)、キノリル基(quinolyl group)、ピロリジニル基(pyrrolizinyl group)、フタラジニル基(phthalazinyl group)、インドリジニル基(indolizinyl group)、1,8−ナフチリジニル基(1,8−naphthyridinyl group)、イソインドリル基(isoindolyl group)、キノキサリル基(quinoxalyl group)、3H−インドリル基(3H−indolyl group)、キナゾリニル基(quinazolinyl group)、インドリル基(indolyl group)、シンノリル基(cinnolyl group)、インダゾリル基(indazolyl group)、プテリジニル基(pteridinyl group)、4aH−カルバゾリル基(4aH−carbazolyl group)、カルバゾリル基(carbazolyl group)、フェナントリジニル基(phenantridinyl group)、アクリジニル基(acridinyl group)、ペリミジニル基(perimidinyl group)及びフェナントロリル基(phenanthrolyl group)からなる群から選択されることが望ましい。
【0016】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記有機溶媒は、テルピネオール、ブチルカルビトール、酢酸ブチルカルビトール、ペンタンジオール、ジペンテン、リモニン、エチレングリコールアルキルエーテル、ジエチレングリコールアルキルエーテル、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアルキルエーテルアセテート、トリエチレングリコールアルキルエーテルアセテート、トリエチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールアルキルエーテル、トリプロピレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル及び蒸溜水からなる群から選択された一つ以上であることが望ましい。
【0017】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記組成物は、無機粒子の100重量部を基準として、有機溶媒の24ないし80重量部及び分散剤の0.5ないし3重量部を含むことが望ましい。
【0018】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記無機粒子は、ガラス粉末であり、有機バインダをさらに含むことが望ましい。
【0019】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記ガラス粉末は、PbO、BaO、SiO、B、Al、ZnO、Bi、MgO、NaO、KO、TiO、ZrO、CuO及びSnOからなる群から選択された一つ以上であることが望ましい。
【0020】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記有機バインダは、セルロース系樹脂、ブチラル系樹脂、ポリエチレンオキサイド、アクリレート系樹脂、ビニル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルエステル及びポリプロピレンカーボネートからなる群から選択された一つ以上であることが望ましい。
【0021】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記無機粒子がガラス粉末であり、有機バインダをさらに含む前記組成物は、添加剤をさらに含むことが望ましい。
【0022】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記組成物は、ガラス粉末の100重量部を基準として、有機バインダの3ないし6重量部、有機溶媒の21ないし74重量部及び分散剤の0.5ないし3.0重量部を含むことが望ましい。
【0023】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記組成物は、ガラス粉末の100重量部を基準として、添加剤の0.1ないし3重量部をさらに含むことが望ましい。
【0024】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記ペースト組成物は、温度25℃、剪断速度1sec−1での粘度が5,000ないし60,000cpsであることが望ましい。
【0025】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記無機粒子は、蛍光体であり、有機バインダをさらに含むことが望ましい。
【0026】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記蛍光体は、YBO:Tb、BaMg10Al17:Eu、YGdBO:Eu及びZnSiO:Mnからなる群から選択された一つ以上であることが望ましい。
【0027】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記無機粒子が蛍光体であり、有機バインダをさらに含む前記組成物は、添加剤をさらに含むことが望ましい。
【0028】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記蛍光体ペースト組成物は、蛍光体の100重量部を基準として、バインダの3ないし6重量部、有機溶媒の21ないし74重量部及び分散剤の0.5ないし3重量部を含むことが望ましい。
【0029】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記組成物は、蛍光体の100重量部を基準として、添加剤の0.1ないし3重量部をさらに含むことが望ましい。
【0030】
前記他の課題を解決するために、本発明は、前記ペースト組成物を採用した表示素子を提供する。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、前記表示素子がプラズマディスプレイ素子であることが望ましい。
【0032】
本発明の他の実施形態によれば、前記表示素子がFEDであることが望ましい。
【0033】
前記ペースト組成物を隔壁として採用したPDPを提供する。
【発明の効果】
【0034】
本発明の混合分散剤を含むペースト組成物は、分散性に優れて粘度が低く、前記ペースト組成物を使用して製造された表示素子は、充填密度などの改善が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明をさらに具体的に説明する。
【0036】
本発明の混合分散剤を含むペースト組成物は、分散性に優れて粘度が低く、前記ペースト組成物を使用して製造された無機素子は、充填密度などの改善が可能である。
【0037】
本発明のペースト組成物は、親水部が酸性作用基を含む分散剤、親水部が塩基性作用基を含む分散剤、無機粒子及び有機溶媒を含むペースト組成物を提供する。分散剤は、界面活性剤のうち、特に分散の目的で使われるものを総称する用語である。分散剤が必ずしも界面活性剤である必要はないが、連続相の間に分散された不連続相粒子は互いに集まろうとする傾向があるので、それらの間に反発力を与えるためには、ほとんどの場合、連続相及び不連続相の界面に存在する界面活性剤を使用する。前記酸性作用基及び塩基性作用基は、水素イオンを出そうとする傾向の相対的な程度によって決定される。例えば、実際に必ずしも水素イオンと解離される必要はないが、水溶液中で水素イオンと解離される場合に、前記作用基に残る余分の電子を非偏在化などにより安定化させる能力が大きい作用基は、酸性作用基に該当する。作用基の実際的な解離度は、作用基が連結された分子全体の構造によって変わるが、本発明では、作用基に連結された分子がいずれも同じ場合に(例えば、水素原子またはメチル基)相対的に水素イオンを出そうとする傾向が大きいものを酸性作用基、水素イオンを受け取ろうとする傾向が大きいものを塩基性作用基と定義する。
【0038】
本発明のペースト組成物が含む分散剤は、親水部が酸性作用基を含む分散剤と親水部が塩基性作用基を含む分散剤とを共に含む混合分散剤である。前記混合分散剤は、種類が異なる分散剤の単純な混合の場合に、それらの分散剤の間に特別な相互作用がないこととは異なり、親水部に酸性作用基を含む分散剤と親水部に塩基性作用基を含む分散剤との間に水素結合を形成することが可能である。かかる水素結合により、界面に存在する分散剤の分布がさらに稠密になることが可能である。かかる場合、界面に存在する分散剤の濃度が増加して界面張力をさらに減少させうる。また、相対的にさらに堅固な単分子層を形成して粒子の間の衝突にも耐え、表面電荷密度も上昇して分散性が向上する。
【0039】
かかる混合分散剤の場合に、界面で充填密度が最適化される混合比が存在する。例えば、一つの分散剤が界面に存在する場合、分散剤分子の間には一定した間隙が存在する。かかる間隙に相対的に体積の小さい他の形態の分散剤を添加して前記間隙を充填すれば、追加的な界面張力の減少が可能である。前記間隙を充填するために、他の形態の分散剤を添加する場合、添加する分散剤の量が少なすぎれば、前記間隙を適切に充填できずに界面張力の減少が微々であり、添加する分散剤の量が多すぎれば、界面に存在する分散剤の組成全体が変化して、かえって界面張力が増加する場合も発生しうる。したがって、適切な添加剤の量を決めることが重要である。本発明において、前記親水部が酸性作用基を含む分散剤対親水部が塩基性作用基を含む分散剤の重量比は、100:1ないし4:1であることが望ましい。前記重量比が4:1未満である(即ち、親水部が塩基性作用基を含む分散剤1重量部に対し親水部が酸性作用基を含む分散剤が4重量部未満)場合には、粘度上昇の問題があり、100:1を超える(即ち、親水部が塩基性作用基を含む分散剤1重量部に対し親水部が酸性作用基を含む分散剤が100重量部を超える)場合には、粘度下降の効果が微々であるという問題がある。
【0040】
本発明において、前記酸性作用基は、燐酸基、カルボキシル基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホン基、スルフェノ基、スルフィノ基及び水酸基からなる群から選択されることが望ましいが、必ずしもこれに限定されず、当該技術分野で使われるあらゆる酸性作用基が使用可能である。
【0041】
本発明において、前記親水部は、アルキレンオキサイド基をさらに含むことが望ましい。かかるアルキレンオキサイド基は、親水性を調節する役割を行う。前記アルキレン基の炭素数は、2ないし10が望ましい。炭素数が1である場合には、合成し難く、炭素数が10を超える場合には、親水性を表し難い。
【0042】
本発明において、前記塩基性作用基は、置換または非置換されたアミノ基、窒素原子を含む飽和または不飽和されたヘテロシクロアルキル基、及び窒素原子を含む置換または非置換されたヘテロアリール基からなる群から選択されることが望ましいが、必ずしもこれに限定されず、当該技術分野で使われるあらゆる塩基性作用基が使用可能である。
【0043】
本発明において、前記窒素原子を含む飽和または不飽和されたヘテロシクロアルキル基は、イミダゾリル基、ピロリジル基、イミダゾリジル基、ピラゾリジル基、ピペリジル基、ピペラジル基、インドリジル基及びイソインドリル基からなる群から選択されることが望ましいが、必ずしもこれに限定されず、当該技術分野で使われるあらゆるヘテロシクロアルキル基が使用可能である。
【0044】
親水部が酸性作用基を含む分散剤としては、例えば、オレイン酸、リン酸エスター(商品名:Disperbyk 111,BYK−chemie社製)などが利用可能であるが、必ずしもこれに限定されず、当該技術分野で使われるあらゆる親水部が酸性作用基を含む分散剤が使用可能である。
【0045】
親水部が塩基性作用基を含む分散剤としては、例えば、オレイルアミン、イミダゾール(商品名:Unamine O,Lonza社製)などが利用可能であるが、必ずしもこれに限定されず、当該技術分野で使われるあらゆる親水部が塩基性作用基を含む分散剤が使用可能である。
【0046】
本発明において、前記窒素原子を含む置換または非置換されたヘテロアリール基は、ピロリル基、イミダゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、プリル基、ピラジル基、キノリジニル基、ピリミジル基、イソキノリル基、ピリダジニル基、キノリル基、ピロリジニル基、フタラジニル基、インドリジニル基、1,8−ナフチリジニル基、イソインドリル基、キノキサリル基、3H−インドリル基、キナゾリニル基、インドリル基、シンノリル基、インダゾリル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基及びフェナントロリル基からなる群から選択されることが望ましいが、必ずしもこれに限定されず、当該技術分野で使われるあらゆるヘテロアリール基が使用可能である。
【0047】
本発明において、前記無機粒子は、特別に限定されず、無機酸化物、金属酸化物など有機溶媒などに分散されてペーストの形態に製造可能な当該技術分野で使われるあらゆる形態の無機粒子を含む。例えば、ガラス粒子、蛍光体粒子、磁性体粒子などである。かかる無機粒子は、ペーストの形態に使われるためには、化学的組成よりはその粒子の平均粒径がさらに重要に取り扱われるが、本発明のペーストに使われる無機粒子の平均粒径(Davg)は、0.001ないし1000μmが望ましく、さらに望ましくは、0.01ないし100μm、最も望ましくは、0.1ないし10μmである。
【0048】
本発明において、前記ペースト組成物に使われる有機溶媒は、テルピネオール、ブチルカルビトール、酢酸ブチルカルビトール、ペンタンジオール、ジペンテン、リモニン、エチレングリコールアルキルエーテル、ジエチレングリコールアルキルエーテル、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアルキルエーテルアセテート、トリエチレングリコールアルキルエーテルアセテート、トリエチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールアルキルエーテル、トリプロピレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル及び蒸溜水などが望ましく、それらの混合物も可能であるが、それらに限定されず、前記無機粒子を分散可能な溶媒として当該技術分野で使われる溶媒であればいずれも使用可能である。
【0049】
なお、上記有機溶媒のアルキルエーテル部位及びアルキルエーテルアセテート部位のアルキルの炭素数は2〜30が望ましいが、それらに限定されず、前記無機粒子を分散可能な溶媒として当該技術分野で使われる溶媒であればいずれも使用可能である。
【0050】
前記ペースト組成物の具体的な例として、本発明は、ガラス粉末、有機バインダ、有機溶媒及び前記分散剤を含むガラスペースト組成物を提供する。
【0051】
本発明で使用するガラス粉末は、まず、ガラスフリットであって、熱膨張係数が60×10−7ないし90×10−7/℃(30〜300℃)であり、400ないし600℃の軟化点を有するガラスならば制限はないが、PbO−SiO系、PbO−SiO−B系、PbO−SiO−B−ZnO系、PbO−SiO−B−BaO系、PbO−SiO−ZnO−BaO系、ZnO−SiO系、ZnO−B−SiO系、ZnO−KO−B−SiO−BaO系、BaO−ZnO−B−SiO系、ZnO−Bi−B−SiO系、Bi−SiO系、Bi−B−SiO系、Bi−B−SiO−BaO系、ZnO−BaO−B−P−NaO系及びBi−B−SiO−BaO−ZnO系からなる群から選択される。
【0052】
例えば、PbO−B−SiO系ガラスとしては、質量百分率でPbOの35ないし75%、Bの0ないし50%、SiOの8ないし30%、Alの0ないし10%、ZnOの0ないし10%、CaO+MgO+SrO+BaO(合計量)の0ないし10%、SnO+TiO+ZrO(合計量)の0ないし6%の組成を有するガラスを使用できる。
【0053】
BaO−ZnO−B−SiO系ガラスとしては、質量百分率でBaOの20ないし50%、ZnOの25ないし50%、Bの10ないし35%、SiOの0ないし10%の組成を有するガラスや、BaOの3ないし25%、ZnOの30ないし60%、Bの15ないし35%、SiOの3ないし20%、LiO+NaO+KO(合計量)の1ないし12%の組成を有するガラスを使用できる。
【0054】
ZnO−Bi−B−SiO系ガラスとしては、質量百分率でZnOの25ないし45%、Biの15ないし40%、Bの10ないし30%、SiOの0.5ないし10%、CaO+MgO+SrO+BaO(合計量)の0ないし24%の組成を有するガラスを使用できる。
【0055】
ZnO−BaO−B−P−NaO系ガラスとしては、質量百分率でZnOの30ないし35%、BaOの20ないし25%、Bの30ないし35%、Pの8ないし12%、NaOの3ないし5%の組成を有するガラスを使用できる。
【0056】
前記ガラスフリットの粒子形状は、特別に限定されないが、球形であることが望ましい。これは、球形の粒子が充填率及び紫外線透過度において板状や無定形より優秀な特性を有するためである。ガラスフリットの平均粒径(Davg)は2ないし5μm、最小粒径(Dmin)は0.5μm、最大粒径(Dmax)は10μmであることが適している。平均粒径が2μm未満であるか、または最小粒径が0.5μm未満であれば、露光感度の低下及び焼成時の収縮率が上昇して所望のPDP用の隔壁形態が得られず、平均粒径が5μmを超えるか、または最大粒径が10μmを超えれば、隔壁の緻密性及び隔壁形状の直進性が低下するという問題点があるので望ましくない。
【0057】
前述したように、ガラスフリットの軟化温度は、400ないし600℃であることが望ましいが、軟化温度が400℃未満であれば、焼成時に所望の形状の隔壁が得られず、軟化温度が600℃を超えれば、軟化が正しく起きないという問題点があるので望ましくない。また、ガラスフリットの熱膨張係数は、隔壁が形成される基板の熱膨脹係数に近いほど望ましいが、これは、ガラスフリットと基板との熱膨張係数の差が大きくなれば、基板が反るか、または甚だしい場合には破損されることもあるためである。
【0058】
前記ガラス粉末は、本発明の目的に符合する範囲内で純粋なガラス成分のフリット以外にその他の成分をさらに含有することが可能である。
【0059】
かかる成分は、Laなどの希土類酸化物、P、MnO、Fe、CoO、NiO、GeO、Y、MoO、Rh、AgO、In、TeO、WO、ReO、VO、PdOなどが可能であり、また、前記ガラス粉末は、セラミック充填剤を含むことが可能である。かかる充填剤としては、アルミナ、チタニア(ルチル、アナターゼ型)、ジルコニア、ジルコン、α−石英、石英ガラス、β−石英固溶体などが可能である。特に、α−石英などのシリカ系材料を使用すれば、隔壁の低誘電率化を図ることができるので、消費電力を低減できる。また、隔壁の機械的強度を向上させるために、充填剤の一部または全部を球状の充填剤としてもよい。
【0060】
したがって、前記ガラス粉末は、ガラスフリット及びその他の添加剤をいずれも含んで、PbO、BaO、SiO、B、Al、ZnO、Bi、MgO、NaO、KO、TiO、ZrO、CuO及びSnOなどからなる群から選択される一つ以上からなることが望ましい。
【0061】
前記有機バインダは、セルロース系樹脂、ブチラル系樹脂、アクリレート系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエチレンオキサイド、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルエステル及びポリプロピレンカーボネートなどが望ましいが、これに限定されず、当該技術分野で使われる有機バインダを一つまたは二つ以上混合して使用可能である。
【0062】
さらに具体的に、セルロース系樹脂は、乾燥膜の強度及び基板とドライフィルムレジストとの密着性を向上させる効果がある。セルロース系樹脂としては、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどを使用でき、特にエチルセルロースは、隔壁材料層の形成時の印刷やコーターに適したペースト特性となるので望ましい。
【0063】
ブチラル系樹脂は、基板とドライフィルムレジストとの密着性の確保に重要な役割を行う。その効果は、セルロース系樹脂と共存させることによって有効に発揮される。適当な程度の乾燥膜の強度及び柔軟性を得るためには、ブチラル系樹脂として、重合度が200ないし1,000であり、質量平均分子量(M)が30,000ないし200,000であるものを使用することが望ましい。また、基板とドライフィルムとの密着性を向上させるためには、ブチラル化度が70ないし80mol%であるものを使用することが望ましい。ブチラル系樹脂としては、例えば、ポリビニルプチラル樹脂などが挙げられるが、が、必ずしもこれに限定されず、当該技術分野で使われるあらゆるブチラル系樹脂が使用可能である。
【0064】
本発明のガラスペースト組成物に使用する有機バインダは、セルロース樹脂を単独で使用することが望ましい。しかし、セルロース系樹脂とブチラル系樹脂とを混合して、その比率を質量比で90:10ないし50:50の範囲とすることも可能である。
【0065】
本発明のガラスペースト組成物で使われる分散剤は、前述した分散剤以外に魚オイル、ポリエチレンイミン、グリセリルトリオレート、ポリアクリル酸、コーン油、グリセリン、リン酸エステルなどをさらに使用できる。
【0066】
本発明の前記組成物は、分散剤以外にその他の添加剤をさらに含むことが望ましい。前記ガラスペースト組成物にさらに含まれうる添加剤としては、可塑剤として蓚酸ジエチル、ポリエチレン、ポリエチレングリコール、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチルなどが使われうる。また、その他の添加剤として酸化防止剤、平滑剤、気泡除去剤、沈降防止剤などが使われうる。
【0067】
本発明のガラスペースト組成物は、一例として、ガラス粉末の100重量部を基準として、有機バインダの3ないし6重量部、有機溶媒の21ないし74重量部及び分散剤の0.5ないし3重量部を含むことが望ましい。
【0068】
有機バインダが3重量部未満である場合には、溶媒の乾燥後に乾燥膜の亀裂及び欠陥が発生するという問題があり、6重量部を超える場合には、有機溶液の初期粘度が高くてペーストの粘度が上昇するという問題がある。
【0069】
有機溶媒が21重量部未満である場合には、有機溶液の初期粘度が高くてペーストの粘度が上昇するという問題があり、74重量部を超える場合には、相対的に有機バインダの含量が少なくて溶媒の乾燥後に乾燥膜の亀裂及び欠陥が発生するという問題がある。
【0070】
分散剤が0.5重量部未満である場合には、無機粒子の分散が十分に行われずにペーストの粘度が上昇するという問題があり、3重量部を超える場合には、無機粒子の表面に吸着しない残りの分散剤が高分子溶液と混合されつつ、ペーストの粘度を上昇させるという問題がある。
【0071】
また、前記ガラスペースト組成物は、ガラス粉末の100重量部を基準として、添加剤の0.1ないし3重量部をさらに含むことが望ましい。
【0072】
前記添加剤が0.1重量部未満である場合には、乾燥時に膜の亀裂が発生するという問題が発生し、3重量部を超える場合には、かえって分散剤の機能を妨害するという問題が発生しうる。
【0073】
本発明のペースト組成物は、温度25℃、剪断速度1sec−1での粘度が5,000ないし60,000cpsであることが望ましい。すなわち、粘度が60,000cpsを超えれば、効果的に印刷し難いという問題があり、粘度が5,000cps未満である場合には、印刷後に膜の形成が均一でないという問題がある。
【0074】
前記ペースト組成物の他の具体的な例として、本発明は、蛍光体、有機バインダ、有機溶媒及び分散剤を含む蛍光体ペースト組成物を提供する。
【0075】
前記蛍光体ペースト組成物において、蛍光体は、YBO:Tb、BaMg10Al17:Eu、YGdBO:Eu及びZnSiO:Mnなどが望ましい。また、前記蛍光体粒子の平均粒径は、0.5ないし5.0μmであることが望ましい。蛍光体粒子の平均粒径が0.5μm未満である場合には、光特性に不利な影響を及ぼして望ましくなく、5.0μmを超える場合には、ノズルが塞がる現象により膜の不良の原因が発生して望ましくない。
【0076】
前記組成物において、有機バインダ及び有機溶媒は、前記ガラスペースト組成物に記載された通りである。
【0077】
前記蛍光体ペースト組成物は、可塑剤、酸化防止剤及び平滑剤を含む添加剤をさらに含むことが望ましい。
【0078】
前記蛍光体ペースト組成物は、蛍光体の100重量部を基準として、バインダの3ないし6重量部、有機溶媒の21ないし74重量部及び分散剤の0.5ないし3重量部を含むことが望ましい。
【0079】
バインダの含量が3重量部未満である場合には、粘度調節効果の問題点があって望ましくなく、6重量部を超える場合には、焼成後の残留炭素による光効率の低下の問題点があって望ましくない。
【0080】
有機溶媒の含量が21重量部未満である場合には、高粘度による印刷性不足の問題点があって望ましくなく、74重量部を超える場合には、粘度低下の問題点があって望ましくない。
【0081】
また、分散剤の含量が0.5重量部未満である場合には、無機粒子の分散が十分に行われずにペーストの粘度が上昇するという問題があり、3重量部を超える場合には、粘度低下の問題があって望ましくない。
【0082】
また、前記蛍光体ペースト組成物は、蛍光体の100重量部を基準として、添加剤の0.1ないし3重量部をさらに含むことが望ましい。
【0083】
前記添加剤が0.1重量部未満である場合には、形成された膜の強度低下により乾燥時の熱的ストレスによる亀裂、陥没などの問題があり、3重量部を超える場合には、有機溶液の初期粘度が高くて粒子の分散に問題がある。
【0084】
本発明は、前記ペースト組成物から焼成、加工などの工程を経て製造される焼成体を採用した表示素子を提供する。前記焼成体は、無機素子であって、向上した充填密度の具現が可能である。すなわち、同じ粘度でさらに多くの無機粒子を含むスラリを製造できるので、かかるスラリを焼成させる場合、さらに向上した充填密度を有する焼成体、すなわち無機素子が得られる。本発明において、前記焼成体は、PDP用の隔壁または蛍光体であることが望ましい。前記隔壁及び蛍光体は、前記ペースト組成物を乾燥、焼成などの工程を経て製造でき、周知されたあらゆる方法で製造されうる。例えば、PDP用の隔壁は、スクリーンプリンティング法、サンドブラスト法、添加、感光性ペースト法及びLTCCM(Low Temperature Cofired Ceramic on Metal)方法などを適用できる。
【0085】
また、本発明は、前記ペースト組成物を焼成させて得られた焼成体を採用した表示素子を提供する。本発明による表示素子の一例として、前記表示素子は、プラズマディスプレイ素子であることが望ましい。前記プラズマディスプレイ素子は、図1に示したような構成を有し、プラズマディスプレイ素子の製造方法として、まず、前面ガラス基板111上にX電極113及びY電極112の電極対114をパターニングして形成し、バス電極113aを形成した後、電極を保護する透明誘電体層115を形成し、透明誘電体層115上に通常MgOからなる保護膜116を形成して、前面基板110を製造する。
【0086】
一方、背面基板120の製作では、背面ガラス基板121上にパターニングされるアドレス電極122を形成した後、そのアドレス電極をカバーする誘電体層123を形成する。隔壁124は、本発明のペースト組成物を誘電体層123上の全面に塗布して乾燥させた後、サンドブラストにより所望の隔壁パターンを加工して焼成して形成する。次いで、蛍光体層125を印刷、焼成して形成する。
【0087】
PDPは、前面ガラス基板111、背面ガラス基板121の周囲に封止材をディスペンサーで塗布し、前記で製作した前面基板と背面基板とを基板の電極が対向して組み立ててパネル化した後、焼成してPDPの内部を排気し、放電空間にNeやHe−Xeなどの放電気体を封入して製造する。その他の表示装置の場合にも、前記ガラスペースト組成物を利用して製造されうる。
【0088】
本発明による表示素子の他の例として、前記表示素子は、FEDであることが望ましい。前記FEDは、図2に示したような構成を有し、カソード電極412、アノード電極422及びゲート電極414を有する3極管の構造でなされている。その製造方法として、まず、前記カソード電極412及びゲート電極414をエミッタ416が配置された背面基板411上に形成し、アノード電極422を前面基板421の底面に形成し、アノード電極422の底面には、本発明による蛍光体ペースト組成物から製造された蛍光層423、及びコントラストの向上のためのブラックマトリックス424を形成する。前記カソード電極412上には、微細な開口415を有する絶縁層413及びゲート電極414を積層する。そして、背面基板411と前面基板421との間には、スペーサ431を配置して、相互間の間隔を維持するように形成する。前記ペースト組成物を焼成させて製造した焼成体を採用した本発明による表示素子は、前記表示素子に限定されず、当該技術分野で適用可能なその他のあらゆる表示素子を含む。特に、前記ペースト組成物を焼成させて製造した隔壁を採用したPDPが望ましい。
【実施例】
【0089】
以下の実施例及び比較例を通じて、本発明をさらに詳細に説明する。ただし、実施例は、本発明を例示するためのものであり、それらだけで本発明の範囲を限定するものではない。
【0090】
ガラスペースト組成物の製造
実施例1(酸95%+アミン5%)
ガラス粉末(ガラスフリット(ZnO 35質量%、BaO 20質量%、B30質量%、P 12質量%、NaO 3質量%)85質量%、ZnO 5質量%、Al 10質量%)37.69g、エチルセルロース1.93g、テルピネオール8.68g、酢酸ブチルカルビトール8.68g、フタル酸ジブチル0.4g、オレイン酸0.36g及びオレイルアミン0.02gを配合して攪拌器で攪拌した後、3−ロールミルを利用して練ることによって、本発明によるガラスペースト組成物を製造した。前記組成物の製造においては、ビークル成分を先に配合してビークルを製造した後、ガラス粉末を添加した。
【0091】
実施例2(酸90%+アミン10%)
オレイン酸0.36g及びオレイルアミン0.02gの代わりに、オレイン酸0.34g及びオレイルアミン0.04gを使用した点を除いては、実施例1と同じ方法で製造した。
【0092】
実施例3(酸80%+アミン20%)
オレイン酸0.36g及びオレイルアミン0.02gの代わりに、オレイン酸0.3g及びオレイルアミン0.08gを使用した点を除いては、実施例1と同じ方法で製造した。
【0093】
実施例4(酸80%+イミダゾール20%)
オレイン酸0.36g及びオレイルアミン0.02gの代わりに、オレイン酸0.3g及びイミダゾール(商品名:Unamine O,Lonza社製)0.08gを使用した点を除いては、実施例1と同じ方法で製造した。
【0094】
実施例5(リン酸95%+アミン5%)
オレイン酸0.36g及びオレイルアミン0.02gの代わりに、リン酸エスター(商品名:Disperbyk 111,BYK−chemie社製)0.36g及びオレイルアミン0.02gを使用した点を除いては、実施例1と同じ方法で製造した。
【0095】
実施例6(リン酸90%+アミン10%)
オレイン酸0.36g及びオレイルアミン0.02gの代わりに、リン酸エスター(商品名:Disperbyk 111,BYK−chemie社製)0.34g及びオレイルアミン0.04gを使用した点を除いては、実施例1と同じ方法で製造した。
【0096】
実施例7(リン酸80%+アミン20%)
オレイン酸0.36g及びオレイルアミン0.02gの代わりに、リン酸エスター(商品名:Disperbyk 111,BYK−chemie社製)0.3g及びオレイルアミン0.08gを使用した点を除いては、実施例1と同じ方法で製造した。
【0097】
実施例8(リン酸95%+イミダゾール5%)
オレイン酸0.36g及びオレイルアミン0.02gの代わりに、リン酸エスター(商品名:Disperbyk 111,BYK−chemie社製)0.36g及びイミダゾール(商品名:Unamine O,Lonza社製)0.02gを使用した点を除いては、実施例1と同じ方法で製造した。
【0098】
実施例9(リン酸90%+イミダゾール10%)
オレイン酸0.36g及びオレイルアミン0.02gの代わりに、リン酸エスター(商品名:Disperbyk 111,BYK−chemie社製)0.34g及びイミダゾール(商品名:Unamine O,Lonza社製)0.04gを使用した点を除いては、実施例1と同じ方法で製造した。
【0099】
実施例10(リン酸85%+イミダゾール15%)
オレイン酸0.36g及びオレイルアミン0.02gの代わりに、リン酸エスター(商品名:Disperbyk 111,BYK−chemie社製)0.32g及びイミダゾール(商品名:Unamine O,Lonza社製)0.06gを使用した点を除いては、実施例1と同じ方法で製造した。
【0100】
実施例11(リン酸80%+イミダゾール20%)
オレイン酸0.36g及びオレイルアミン0.02gの代わりに、リン酸エスター(商品名:Disperbyk 111,BYK−chemie社製)0.3g及びイミダゾール(商品名:Unamine O,Lonza社製)0.08gを使用した点を除いては、実施例1と同じ方法で製造した。
【0101】
比較例1
オレイン酸0.36g及びオレイルアミン0.02gの代わりに、オレイン酸0.38gのみを使用した点を除いては、実施例1と同じ方法で製造した。
【0102】
比較例2
オレイン酸0.36g及びオレイルアミン0.02gの代わりに、リン酸エスター(商品名:Disperbyk 111,BYK−chemie社製)0.377gのみを使用した点を除いては、実施例1と同じ方法で製造した。
PDPの隔壁の製造
実施例13
前記実施例1によって製造されたガラスペースト組成物を約50μm内外の厚さに基板上に塗布し、塗布が完了すれば、前記ガラスペースト組成物を乾燥させた。次いで、ガラスペースト組成物の表面に耐磨耗性感光性フィルム(Dry Film Resister:DFR)をラミネーティングさせた。前記フィルムは、ロールを利用してペースト組成物の表面に加圧することによってラミネーティングされ、以後にサンドブラスト工程でガラスペースト組成物を選択的に除去できた。前記DFRを露光及び現像させることによって、ブラストマスクパターンを形成した。かかる状態でサンドを高速に加圧噴射するサンドブラスティングが行われれば、マスクパターンで遮蔽されていない部分のペーストが磨耗されて隔壁が形成された。隔壁が形成された後には、ブラストマスクパターンを除去し、480ないし500℃の温度で30分間焼成し、全体の2時間工程を通じて隔壁を完成した。
【0103】
比較例4
前記実施例1によって製造されたガラスペースト組成物の代わりに、前記比較例1によって製造されたガラスペースト組成物を使用した点を除いては、実施例13と同じ方法で製造された。
【0104】
実験例1:粘度測定−ガラスペースト組成物
前記実施例1ないし11及び比較例1、2で製造されたガラスペースト組成物の粘度を測定して、分散剤によるペースト組成物の分散性を評価した。使用した粘度計は、ブルックフィールド社のモデルRVIIであった。使用したスピンドルは、シリンダ型の14番であった。温度は、25℃であった。前記実験結果を下記の表1に示した。
【0105】
【表1】

【0106】
前記表1に示したように、実施例は、比較例に比べて1/secを超えるあらゆる剪断速度で相対的に低くなった粘度を表した。実施例1ないし4の場合に、塩基性作用基を含む界面活性剤の濃度が20質量%である場合に、相対的に最も低い粘度を表した。また、実施例5ないし11の場合に、塩基性作用基を含む分散剤の含量が1ないし10質量%である場合に、最も低い粘度を表した。かかる粘度の下降は、酸性作用基を有する分散剤と塩基性作用基を有する分散剤との水素結合により、界面で前記混合された分散剤がさらに稠密に存在するためであると判断され、特定の混合比で最も粘度の下降が著しいことを表している。前記実験結果は、図3ないし図6に示されている。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、表示素子関連の技術分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明によるPDPの概略的な構造を示す図面である。
【図2】本発明によるFEDの概略的な構造を示す図面である。
【図3】実施例1ないし3及び比較例1に対して得られた見かけ上の粘度の測定結果を示すグラフである。
【図4】実施例1及び比較例1に対して得られた見かけ上の粘度の測定結果を示すグラフである。
【図5】実施例5ないし7及び比較例2の剪断速度の変化によって得られた見かけ上の粘度の測定結果を示すグラフである。
【図6】実施例8ないし11及び比較例2に対して得られた見かけ上の粘度の測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0109】
110 前面基板、
111 前面ガラス基板、
112 Y電極、
113 X電極、
114 維持電極対、
115 透明誘電体層、
116 保護膜、
120 背面基板、
121 背面ガラス基板、
122 アドレス電極、
123 誘電体層、
124 隔壁、
125 蛍光体層、
411 背面基板、
412 カソード電極、
413 絶縁層、
414 ゲート電極、
415 微細開口、
416 エミッタ、
421 前面基板、
422 アノード電極、
423 蛍光層、
424 ブラックマトリックス、
431 スペーサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水部が酸性作用基を含む分散剤と、
親水部が塩基性作用基を含む分散剤と、
無機粒子と、
有機溶媒と、を含むことを特徴とするペースト組成物。
【請求項2】
前記親水部が酸性作用基を含む分散剤対親水部が塩基性作用基を含む分散剤の重量比は、100:1ないし4:1であることを特徴とする請求項1に記載のペースト組成物。
【請求項3】
前記酸性作用基は、燐酸基、カルボキシル基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホン基、スルフェノ基、スルフィノ基及び水酸基よりなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項1に記載のペースト組成物。
【請求項4】
前記親水部は、アルキレンオキサイド基をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のペースト組成物。
【請求項5】
前記塩基性作用基は、置換または非置換されたアミノ基、窒素原子を含む飽和または不飽和されたヘテロシクロアルキル基、及び窒素原子を含む置換または非置換されたヘテロアリール基よりなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項1に記載のペースト組成物。
【請求項6】
前記窒素原子を含む飽和または不飽和されたヘテロシクロアルキル基は、イミダゾリル基、ピロリジル基、イミダゾリジル基、ピラゾリジル基、ピペリジル基、ピペラジル基、インドリジル基及びイソインドリル基よりなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項5に記載のペースト組成物。
【請求項7】
前記窒素原子を含む置換または非置換されたヘテロアリール基は、ピロリル基、イミダゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、プリル基、ピラジル基、キノリジニル基、ピリミジル基、イソキノリル基、ピリダジニル基、キノリル基、ピロリジニル基、フタラジニル基、インドリジニル基、1,8−ナフチリジニル基、イソインドリル基、キノキサリル基、3H−インドリル基、キナゾリニル基、インドリル基、シンノリル基、インダゾリル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基及びフェナントロリル基よりなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項5に記載のペースト組成物。
【請求項8】
前記有機溶媒は、テルピネオール、ブチルカルビトール、酢酸ブチルカルビトール、ペンタンジオール、ジペンテン、リモニン、エチレングリコールアルキルエーテル、ジエチレングリコールアルキルエーテル、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアルキルエーテルアセテート、トリエチレングリコールアルキルエーテルアセテート、トリエチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールアルキルエーテル、トリプロピレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル及び蒸溜水よりなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項1に記載のペースト組成物。
【請求項9】
前記組成物は、無機粒子の100重量部を基準として、有機溶媒の24ないし80重量部及び分散剤の0.5ないし3重量部を含むことを特徴とする請求項1に記載のペースト組成物。
【請求項10】
前記無機粒子は、ガラス粉末であり、有機バインダをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のペースト組成物。
【請求項11】
前記ガラス粉末は、PbO、BaO、SiO、B、Al、ZnO、Bi、MgO、NaO、KO、TiO、ZrO、CuO及びSnOよりなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項10に記載のペースト組成物。
【請求項12】
前記有機バインダは、セルロース系樹脂、ブチラル系樹脂、アクリレート系樹脂、ビニル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルエステル、ポリエチレンオキサイド及びポリプロピレンカーボネートよりなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項10に記載のペースト組成物。
【請求項13】
前記組成物は、添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載のペースト組成物。
【請求項14】
前記組成物は、ガラス粉末の100重量部を基準として、有機バインダの3ないし6重量部、有機溶媒の21ないし74重量部及び分散剤の0.5ないし3.0重量部を含むことを特徴とする請求項10に記載のペースト組成物。
【請求項15】
前記組成物は、ガラス粉末の100重量部を基準として、添加剤の0.1ないし3重量部をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載のペースト組成物。
【請求項16】
前記無機粒子は、蛍光体であり、有機バインダをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のペースト組成物。
【請求項17】
前記蛍光体は、YBO:Tb、BaMg10Al17:Eu、YGdBO:Eu及びZnSiO:Mnよりなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項16に記載のペースト組成物。
【請求項18】
前記組成物は、添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載のペースト組成物。
【請求項19】
前記蛍光体ペースト組成物は、蛍光体の100重量部を基準として、バインダの3ないし6重量部、有機溶媒の21ないし74重量部及び分散剤の0.5ないし3重量部を含むことを特徴とする請求項16に記載のペースト組成物。
【請求項20】
前記組成物は、蛍光体の100重量部を基準として、添加剤の0.1ないし3重量部をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載のペースト組成物。
【請求項21】
請求項10〜20のうちいずれか一項に記載のペースト組成物を採用した表示素子。
【請求項22】
前記表示素子は、プラズマディスプレイ素子であることを特徴とする請求項21に記載の表示素子。
【請求項23】
前記表示素子は、電界放出表示素子であることを特徴とする請求項21に記載の表示素子。
【請求項24】
請求項10〜20のうちいずれか一項に記載のペースト組成物を隔壁として採用したプラズマディスプレイパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−39657(P2007−39657A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−164093(P2006−164093)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】